(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】カルコゲナイド処理技術および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20240918BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513693
(86)(22)【出願日】2022-09-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022042570
(87)【国際公開番号】W WO2023038870
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロウツァーン・アーロン・リン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シェン・メイホア
(72)【発明者】
【氏名】リル・ソーステン・ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラダラジャン・セシャサイー
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BA03
5F004BA19
5F004BA20
5F004BB25
5F004BB26
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5F045AA06
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5F045AD05
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5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AE21
5F045AE23
5F045EE17
(57)【要約】
【解決手段】カルコゲナイド材料の層は、カルコゲナイド材料の層を有するウェハを処理チャンバに提供することと、ウェハを第1の温度に加熱することと、ウェハが第1の温度にある間にフッ化物または塩化物を含む第1の化学種をウェハ上に流すことで、カルコゲナイド材料の層の表面を改質してカルコゲナイド材料の改質された層を生成することと、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む第2の化学種をウェハ上に流すことで、プラズマを使用することなくカルコゲナイド材料の改質された層を除去することとによって、エッチングすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
カルコゲナイド材料の層を有するウェハを処理チャンバに提供することと、
前記ウェハを第1の温度に加熱することと、
前記ウェハが前記第1の温度にある間にフッ化物または塩化物を含む第1の化学種を前記ウェハ上に流すことで、前記カルコゲナイド材料の層の表面を改質することで前記カルコゲナイド材料の改質された層を生成することと、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む第2の化学種を前記ウェハ上に流すことで、プラズマを使用することなく前記カルコゲナイド材料の改質された層を除去することとによって、前記カルコゲナイド材料の層をエッチングすることと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記カルコゲナイド材料は、相変化材料を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記カルコゲナイド材料は、ゲルマニウム・アンチモン・テルルを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の化学種は、フッ化水素、フッ化窒素、フッ化硫黄、フッ化キセノン、塩化水素、塩化硫黄、または塩化窒素を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記化合物は、水素、メチル基、エチル基、または複数の塩素原子のうちの1つ以上をさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記化合物は、ジメチルアルミニウムクロライドおよびトリメチルアルミニウムのうちの一方を含む、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記エッチングすることの後に、前記エッチングされたカルコゲナイド材料の層上にカプセル化材料を堆積することをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記エッチングすることの後、かつ前記堆積の前に、前記ウェハを第2の処理チャンバに搬送することをさらに含み、前記堆積は、前記第2の処理チャンバ内で行われる、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記搬送することは、前記ウェハが真空圧にとどまった状態で行われる、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記カプセル化材料は、アルミニウムを含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記化合物の前記中心原子は、アルミニウムであって、
前記堆積することは、前記第2の化学種および水蒸気を前記ウェハ上に流すことを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記化合物は、ジメチルアルミニウムクロライドまたはトリメチルアルミニウムである、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記堆積することは、前記エッチングと同じ処理チャンバ内で行われる、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、
前記エッチングすること、および前記堆積することの後に、前記ウェハを第2の処理チャンバに搬送することと、
前記搬送することの後に、前記カプセル化材料上に第2のカプセル化材料を堆積することであって、前記第2のカプセル化材料は、酸化ケイ素または窒化ケイ素を含むことと、
をさらに含む方法。
【請求項15】
請求項7に記載の方法であって、
前記ウェハは、第2のカルコゲナイド材料の層をさらに含み、
前記方法は、
前記堆積することの後に、前記ウェハが前記第1の温度にある間にフッ化物または塩化物を含む第3の化学種を前記ウェハ上に流すことで、前記第2のカルコゲナイド材料の層の表面を改質して前記第2のカルコゲナイド材料の改質された層を生成することと、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む第4の化学種を前記ウェハ上に流すことで、プラズマを使用することなく前記第2のカルコゲナイド材料の改質された層を除去することとによって、前記第2のカルコゲナイド材料の層をエッチングすること、
をさらに含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記第2のカルコゲナイド材料の層のエッチングの後に、前記第2のカルコゲナイド材料の層上に第2のカプセル化材料を堆積することをさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ウェハは、カルコゲナイド材料の複数の層をさらに含み、
前記エッチングすることは、前記ウェハが前記第1の温度にある間に前記第1の化学種を前記ウェハ上に流すことで、前記カルコゲナイド材料の複数の層の表面を改質して前記カルコゲナイド材料の改質された層を生成することと、前記第2の化学種を前記ウェハ上に流すことで、プラズマを使用することなく前記カルコゲナイド材料の改質された層を除去することとによって、前記カルコゲナイド材料の前記複数の層を同時にエッチングすることを含む、方法。
【請求項18】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質することは、前記第1の化学種を含む第1のプロセスガスを流すことを含み、
前記除去することは、前記第2の化学種を含む第2のプロセスガスを流すことを含む、
方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1のプロセスガスを前記ウェハ上に流すことは、前記第2のプロセスガスを前記ウェハ上に流すことと少なくとも部分的に重複する、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1のプロセスガスを流すことは、前記第2のプロセスガスを前記ウェハ上に流すことと重複しない、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記エッチングすることは、
前記第1のプロセスガスの前記流れを止めることと、
前記第1のプロセスガスの前記流れを止めた後に、ウェハ上ウェハ上にパージガスを流すことと、
前記パージガスを流す間または流した後に、前記第2のプロセスガスの流れを開始することと、
を含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記エッチングすることは、前記第1のプロセスガスの停止前、停止中、または停止後に、前記パージガスの流れを開始することをさらに含む、方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1のプロセスガスを流すことは、第1の期間行われ、
前記第2のプロセスガスを流すことは、前記第1の期間と異なる第2の期間行われる、
方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法であって
前記第1のプロセスガスを流すことおよび前記第2のプロセスガスを流すことは、どちらも実質的に同じ期間行われる、方法。
【請求項25】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記エッチングすることは、前記第1の化学種および前記第2の化学種の両方を含むプロセスガスを前記ウェハ上に流すことを含む、方法。
【請求項26】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質することは、プラズマを使用することを含む、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記プラズマは、リモートプラズマである、方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、
前記プラズマは、前記処理チャンバで生成される、方法。
【請求項29】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質することは、プラズマを使用しない、方法。
【請求項30】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質すること、および前記除去することは、前記ウェハが実質的に同じ温度で維持されている間に生じる、方法。
【請求項31】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質することは、前記ウェハが前記第1の温度で維持されている間に生じ、
前記除去することは、前記ウェハが前記第1の温度と異なる第2の温度で維持されている間に生じる、
方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、
前記改質することの後に、前記ウェハを、前記第1の温度から、前記第1の温度よりも高い前記第2の温度に加熱することをさらに含む、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、
前記改質することの後に、前記ウェハを、前記第1の温度から、前記第1の温度よりも低い前記第2の温度に冷却することをさらに含む、方法。
【請求項34】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質することは、前記ウェハが、前記第1の温度から、前記第1の温度と異なる第2の温度に変更される間に生じる、方法。
【請求項35】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記除去することは、前記ウェハが、前記第1の温度から、前記第1の温度と異なる第2の温度に変更される間に生じる、方法。
【請求項36】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質すること、および前記除去することは、前記処理チャンバが実質的に同じ圧力に維持されている間に生じる、方法。
【請求項37】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質することは、前記処理チャンバが第1の圧力に維持されている間に生じ、
前記除去することは、前記処理チャンバが前記第1の圧力と異なる第2の圧力に維持されている間に生じる、
方法。
【請求項38】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記改質することは、前記処理チャンバ圧力が、第1の圧力から、前記第1の圧力と異なる第2の圧力に変更される間に生じる、方法。
【請求項39】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記除去することは、前記処理チャンバ圧力が、第1の圧力から、前記第1の圧力と異なる第2の圧力に変更される間に生じる、方法。
【請求項40】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の化学種は、フッ化水素、フッ化硫黄、フッ化窒素、フッ化キセノン、塩化水素、塩化硫黄、または塩化窒素のうちの1つを含む、方法。
【請求項41】
半導体処理用の装置であって、
第1の内部と第1の処理ステーションとを含む第1の処理チャンバであって、前記第1の処理ステーションは、前記第1の内部でウェハを支持するように構成された第1のウェハ支持体と、前記第1のウェハ支持体に支持された前記ウェハを加熱するように構成された第1のウェハ加熱ユニットとを有する、第1の処理チャンバと、
プロセスガスユニットであって、
前記第1の処理チャンバ内の前記第1の処理ステーションにおいて、フッ化物または塩化物を含む第1の化学種を前記ウェハ上に流し、
前記第1の処理チャンバ内の前記第1の処理ステーションにおいて、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む第2の化学種を前記ウェハ上に流すように構成された、プロセスガスユニットと、
命令を有するコントローラであって、前記命令は、
カルコゲナイド材料の層を有する前記ウェハを前記第1の処理チャンバ内の前記第1の処理ステーションに提供し、
前記第1のウェハ加熱ユニットに前記ウェハを第1の温度まで加熱させ、
前記ウェハが前記第1の温度にある間に、前記第1の処理チャンバ内の前記第1の処理ステーションにおいて、前記プロセスガスユニットに前記第1の化学種を前記ウェハ上に流させることで、前記カルコゲナイド材料の層の表面を改質して前記カルコゲナイド材料の改質された層を生成することと、前記第1の処理チャンバ内の前記第1の処理ステーションにおいて、前記プロセスガスユニットに前記第2の化学種を前記ウェハ上に流させることで、プラズマを使用することなく前記カルコゲナイド材料の改質された層を除去することとによって、前記ウェハ上の前記カルコゲナイド材料の層をエッチングするように構成された、コントローラと、
を備える、装置。
【請求項42】
請求項41に記載の装置であって、
前記第1の処理チャンバは、前記第1の内部に第2の処理ステーションをさらに含み、前記第2の処理ステーションは、前記第1の内部でウェハを支持するように構成された第2のウェハ支持体と、前記第2のウェハ支持体に支持された前記ウェハを加熱するように構成された第2のウェハ加熱ユニットとを有し、
前記コントローラは命令を有してさらに構成され、前記命令は、
前記第1の処理チャンバ内の前記第2の処理ステーションに、カルコゲナイド材料の層を有する第2のウェハを提供し、
前記第2のウェハ加熱ユニットに前記第2のウェハを第1の温度まで加熱させ、
前記ウェハが前記第1の温度にある間に、前記第1の処理チャンバ内の前記第2の処理ステーションにおいて、前記プロセスガスユニットに前記第1の化学種を前記第2のウェハ上に流させることで、前記カルコゲナイド材料の層の表面を改質して前記カルコゲナイド材料の改質された層を生成することと、前記第1の処理チャンバ内の前記第2の処理ステーションにおいて、前記プロセスガスユニットに前記第2の化学種を前記ウェハ上に流させることで、プラズマを使用することなく前記カルコゲナイド材料の改質された層を除去することとによって、前記第2のウェハ上の前記カルコゲナイド材料の層をエッチングするように、構成されている、
装置。
【請求項43】
請求項42に記載の装置であって、
前記ウェハ上の前記カルコゲナイド材料の層の前記エッチング、および前記第2のウェハ上の前記カルコゲナイド材料の層の前記エッチングは、同時に行われる、装置。
【請求項44】
請求項41に記載の装置であって、
第2の内部と、前記第2の内部でウェハを支持するように構成された第2のウェハ支持体と、前記第2のウェハ支持体によって支持された前記ウェハを加熱するように構成された第2のウェハ加熱ユニットとを含む第2の処理チャンバと、
前記ウェハを前記第1の処理チャンバおよび前記第2の処理チャンバとの間で搬送するように構成されたウェハ搬送ユニットと
をさらに備え、
前記プロセスガスユニットは、前記第2の処理チャンバ内で、前駆体を含む第3の化学種を前記ウェハ上に流すようにさらに構成され、
前記コントローラは命令をさらに含み、前記命令は、
前記ウェハ搬送ユニットに前記第1の処理チャンバから前記第2の処理チャンバに前記ウェハを搬送させ、
前記プロセスガスユニットに前記前駆体を前記ウェハ上に流させることによって、前記第2の処理チャンバ内で前記ウェハ上にカプセル化材料を堆積するように構成された、
装置。
【請求項45】
請求項41に記載の装置であって、
前記プロセスガスユニットは、前記第1の処理チャンバ内で、水素および酸素を含む第3の化学種を前記ウェハ上に流すようにさらに構成され、
前記コントローラは、前記プロセスガスユニットに前記第2の化学種および前記第1の化学種を前記ウェハ上に流させることによって、前記第1の処理チャンバ内で、前記ウェハ上にカプセル化材料を堆積させるように構成された命令をさらに含む、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
PCT出願願書は、本出願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されたPCT出願願書において特定されているように本願が利益または優先権を主張する各出願は、その全体が全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
半導体デバイスの製作は、メモリスタックの形成を含むが、その形成が困難である場合があり、かつエネルギ種への曝露などのエッチング処理にしばしば敏感であるとともに、酸化、水分、およびエッチング後のエネルギ種への追加曝露に敏感である。その結果、一部のメモリスタックは、エッチング後処理を経ることで、エッチングおよび環境への曝露による損傷に対処し、その後、後の工程に先立ってメモリスタックのカプセル化を行う場合がある。しかしながら、カプセル化前のエッチング後処理のいくつかの方法、および対応する装置は、メモリスタックへの損傷および曝露に十分に対処できないことがない場合があり、メモリスタックにさらに損傷を与え得る。
【背景技術】
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究は、この背景技術の欄で説明される範囲内において、出願時に先行技術として別途みなされ得ない説明の態様と同様に、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、および装置は、各々いくつかの革新的な態様を有し、いずれも本明細書に開示される望ましい特性に単独で全責任を負わない。これら態様に含まれるのは、少なくとも以下の実施態様であるが、さらなる実施態様が発明を実施するための形態に記載されてよい、または本明細書に記載される説明から明らかになってよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、開示された実施形態に従い操作を行うための処理フロー図例を示す。
【0006】
【
図2】
図2は、開示された実施形態に従い操作を行うための第2の処理フロー図例を示す。
【0007】
【
図3】
図3は、開示された実施形態に従う原子層エッチングの概略図例を示す。
【0008】
【
図4】
図4は、開示された実施形態に従い操作を行うための第3の処理フロー図例を示す。
【0009】
【
図5A】
図5Aは、様々な実施形態に係るガス流シーケンス例を示す。
【
図5B】
図5Bは、様々な実施形態に係るガス流シーケンス例を示す。
【
図5C】
図5Cは、様々な実施形態に係るガス流シーケンス例を示す。
【0010】
【
図6】
図6は、開示された実施形態に従うエッチングの概略図例を示す。
【0011】
【
図7】
図7は、カルコゲナイドをエッチングする処理フロー例を示す。
【0012】
【
図8】
図8は、ALD処理によって基板上に材料の膜を形成する操作のシーケンス例のフローチャートを示す。
【0013】
【
図9】
図9は、開示された実施形態に従い操作を行うための第3の処理フロー図例を示す。
【0014】
【
図10】
図10は、開示された実施形態に係る第1の処理装置例を示す。
【0015】
【
図11】
図11は、カルコゲナイド層をエッチングするさらに別の処理フロー例を示す。
【0016】
【
図12】
図12は、開示された実施形態に係る第2の処理装置例を示す。
【0017】
【
図13】
図13は、開示された実施形態に応じた別の技術を示す。
【0018】
【
図14】
図14は、開示された実施形態に応じたさらに別の技術を示す。
【0019】
【
図15】
図15は、2つのカルコゲナイドをエッチングする処理フロー例を示す。
【0020】
【
図16】
図16は、本開示に係る、材料をエッチングするための基板処理チャンバの例を示す。
【0021】
【
図17】
図17は、開示された実施形態に応じた装置例の断側面図を示す。
【0022】
【
図18】
図18は、複数のLEDを有する基板ヒータの上面図を示す。
【0023】
【0024】
【
図20】
図20は、材料の堆積に使用してよい処理ステーションの実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、提示される実施形態の十分な理解を提供するために多くの特定の詳細が述べられる。開示される実施形態は、これら特定の詳細の一部または全てを用いずに実施されてよい。その他の例では、開示される実施形態を不必要に曖昧にしないように周知の処理動作は詳細に説明されていない。いくつかの開示される実施形態は特定の実施形態と共に説明されるが、それらの開示される実施形態に限定することを意図していないことを理解されたい。
【0026】
本願において、「半導体ウェハ」、「ウェハ」、「基板」、「ウェハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」の用語は置き換え可能に用いられる。当業者であれば、「部分的に製作された集積回路」の用語が、シリコンウェハ上への集積回路製作の多くの段階のいずれかの間のシリコンウェハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス産業で使用されるウェハまたは基板は、典型的に、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。以下の詳細な説明では、本発明がウェハ上で実装されることを想定する。しかしながら、本発明はそのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料であり得る。半導体ウェハに加えて、本発明を利用し得る他のワークピースは、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなどのの様々なものを含む。
【0027】
導入と背景:
半導体製作プロセスは、しばしば窒化ケイ素材料の堆積を伴う。一例では、窒化ケイ素は、半導体製作プロセスにおいて、拡散バリア、ゲート絶縁膜、側壁スペーサ、およびカプセル化層として使用され得る。また、コンフォーマルな窒素ケイ素層は、他の用途で使用されてよい。例えば、窒化ケイ素は、メモリ構造の製作中に使用されてよい。メモリ構造には、ビットストレージのために使用される金属酸化物材料を含むものがある。しかしながら、より小型のデバイスの収容、および効率の向上のために高度なメモリ構造の開発が進むにつれて、新たな課題が生じる。磁気抵抗ランダムアクセスメモリや相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)などの高度なメモリアーキテクチャは、ビットストレージ用の、カルコゲナイドなどの(金属酸化物以外の)新たな材料に依存している。
【0028】
いくつかのメモリデバイスでは、オボニック閾値スイッチング(OTS)などのカルコゲナイドがスタック上に存在する。OTSおよび他のカルコゲナイドは、種々のガスおよびプラズマに対して敏感である場合がある。例えば、PCRAMの場合、金属カルコゲナイドの相によってビット状態が決まる。カルコゲナイドのいくつかの例としては、硫黄(S)、セレン(Se)、およびテルル(Te)が挙げられる。これらの新たな材料は、空気や湿気に敏感であり、カプセル化層を要し得る。これらのカルコゲナイドは、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)などの適切な半金属イオンと結合すると、相変化層を形成する。いくつかの場合には、メモリデバイスは、ゲルマニウムアンチモンテルル(GST)材料を含む。カルコゲナイドは、損傷を受けると適切に機能しない場合があり、例えば、相変化層の相が変化しない場合がある。
【0029】
カルコゲナイドの使用は、所望の構造を作るために、カルコゲナイドを堆積することと、トレンチまたはビア内からカルコゲナイドの一部を除去するなど、堆積されたカルコゲナイドの一部をウェハから除去することとの両方を必要とする。カルコゲナイドは、望ましい不均一性公差内において、ウェハ上に残ることを意図されるカルコゲナイド材料の組成を傷つけるおよび/または変化させることなくエッチングすることが望ましい。しかしながら、一部のカルコゲナイドをウェハから除去することは、特有かつ難しい課題および検討を提起し、従来のエッチングでは望ましい不均一性公差内でカルコゲナイド材料の組成を傷つけるおよび/または変化させることなく一部のカルコゲナイドを除去できない。
【0030】
また、カルコゲナイドを除去するための従来技術の一部は、ウェハに不利な影響を与え得る。例えば、プラズマを使用する反応性イオンエッチング(「RIE」)は、場合によっては、不十分なエッチング均一性をもたらすとともに、カルコゲナイドに不要な損傷を与え、それによってその特性が損なわれ、かつ有効なPCRAMとなることが妨げられる可能性がある。また、RIEエッチングにおけるプラズマは、等方性ではなく指向性であり、したがってその能力は基板表面に対して垂直な方向へのエッチングに制限され、棚またはオーバーハングの下のエッチングを妨げる。例えば、ウェハは、ビアまたはコンタクトホールなどの「フィーチャ」を有してよく、フィーチャは、狭い、かつ/または凹状の開口部、フィーチャ内部の狭窄、および高アスペクト比のうちの1つ以上によって特徴づけられてよい。フィーチャの一例は、半導体基板または基板層内の穴またはビアである。他の例としては、基板または層内のトレンチ、ならびにRIEエッチングで使用される指向性イオンではアクセスできない場合がある箇所でのエッチングを必要とし得るオーバーハングまたは棚が挙げられる。
【0031】
RIEエッチングを用いる一部の処理は、場合によっては、「クリーン」または「洗浄」操作と称するエッチング後操作を行うことを必要とし、それによって、傷ついたカルコゲナイド材料の少なくとも一部を除去する。しかしながら、これらの洗浄操作は、スループットを低下させる、費用を増加させる、さらにウェハを傷つける可能性があり、かつ実装が難しい可能性がある。そのような洗浄操作の一部は、ウェハの表面から傷ついたカルコゲナイド材料を除去する数多くの液体化学品にウェハを曝露するウェット洗浄処理を利用する。しかしながら、ウェット洗浄処理は、様々なやりかたでウェハを傷つける可能性がある。いくつかの例では、液体化学品自体が、GSTなどの一部のカルコゲナイド材料の組成を変える場合があり、それによってカルコゲナイドをさらに傷つける可能性がある。加えて、トレンチまたはビア内の液体などのウェット洗浄液によってカルコゲナイドを有する構造上へ加えられる毛管力によって、構造の崩壊が引き起こされる可能性がある。ウェット洗浄処理の一部は、表面改質反応剤を使用することでこの崩壊を防ぐ場合があるが、これらの反応剤は、カルコゲナイドの表面に残り、ウェハ上のカルコゲナイドまたは他の材料に不利な影響を与える可能性がある。また、ダメージの除去量は、損傷していないバルクカルコゲナイドに対する損傷したカルコゲナイドの選択性に依存し、したがって、損傷したカルコゲナイドを除去する課題および困難さを増大させる。
【0032】
さらに、ウェット洗浄処理で使用する液体は、高価である可能性があり、かつ運用および維持が困難であり得る複雑な液体の保存および送達システムを必要とする可能性がある。さらに、多くのエッチングおよびエッチング後処理(エッチングされたカルコゲナイド上へのカプセル化層の堆積など)は真空圧で行われ、一方でウェット洗浄操作は大気圧で行われる。したがって、ウェハは、エッチングが行われる真空環境から、ウェット洗浄のために大気圧に搬送され、その後さらなるエッチング後処理のために真空環境に戻される。真空と大気環境との間でのウェハの搬送は、処理時間を長引かせてスループットを低下させる、粒子汚染によるウェハの欠陥につながる可能性がある、ならびにエッチングされたカルコゲナイドを空気、酸素、またはN2に曝露し、それによってエッチングされたカルコゲナイド材料を酸化させる、ならびに傷つける可能性がある。また、ウェット洗浄処理は、一般的に、個別のチャンバ内で行われ、これは、複雑な液体の保存および送達システムとともに、製作環境における追加のスペースを必要とする。したがって、半導体処理ツールの設置面積を拡大し、かつ施設内に追加のツールを配置することを妨げ、よって施設内の全体的なスループットを低下させる。
【0033】
本明細書は、カルコゲナイド材料をエッチングするための、ならびにさらに処理するための技術および装置を提供する。技術は、サーマルエッチング(サーマル原子層エッチングを含んでもよい)を使用して、ウェット洗浄操作の代わりに、RIEエッチングまたは他のイオンベースのエッチング後のカルコゲナイド材料の洗浄操作を行う、ならびに/あるいは、RIEまたは他のイオンベースのエッチングの代わりに、バルクカルコゲナイド材料をエッチングする。これは、材料のスタック内の、カルコゲナイド材料の単一の層、またはカルコゲナイド材料の複数の層上でサーマルエッチングを行うことを含んでよい。以下でより詳細に説明するように、サーマルエッチングは、フッ化物または塩化物を含む第1の化学種をウェハに流すことでカルコゲナイド材料の層の表面を改質してカルコゲナイド材料の改質された層を形成してよく、かつアルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む第2の化学種をウェハ上に流すことで、プラズマを使用することなく、カルコゲナイド材料の改質された層を除去してよい。
【0034】
原子層エッチング(「ALE」)処理は、連続する自己律速型の反応(self-limiting reaction)を用いて材料の薄層を除去する。一般的に、ALEサイクルは、単層のエッチングなど、1回のエッチング処理を実行するために用いられる最小の操作セットである。1回のALEサイクルの結果、基板表面上の少なくとも一部の膜層がエッチングされる。典型的には、ALEサイクルは、反応性層を形成する改質操作と、それに続いて反応性層のみを除去またはエッチングする除去操作とを含む。サイクルは、反応物または副生成物のうちの一方の除去などの特定の補助操作、ならびに処理チャンバの表面に蓄積した残留物を除去する洗浄操作を含んでよい。一般的に、1つのサイクルは、特有の一連の操作における1つのインスタンスを含む。
【0035】
例として、ALEサイクルは、次の操作を含んでよい:(i)反応物ガスである第1のプロセスガスの送達、(ii)チャンバからの反応物ガスのパージ、(iii)除去ガスである第2のプロセスガスおよび任意選択のプラズマの送達、ならびに(iv)チャンバのパージ。改質操作(上記項目(ii))は、一般的に、未改質材料よりも厚みが小さい、薄い反応性の表面層を形成し、例えば、1、2、または3原子層の厚さなどであるか、あるいは1サイクルで全原子層未満の厚さである。
【0036】
本明細書に記載されるエッチング処理は、化学反応と併せて、「サーマルALE」または「サーマルエッチング」と考えてよい改質操作および/または除去操作における化学反応を促進する特定の温度または温度範囲で基板を維持することに依存してよい。いくつかの実施形態では、サーマルエッチングまたはサーマルALEは、等方性エッチングと考えてよい。いくつかの実施形態では、基板の1以上の層が、基板が第1の温度で維持されている間に、プラズマを使用せず、化学的な吸着(以下、「化学吸着」)によって改質されてよく、その後、基板の1以上の改質された層は、基板が第2の温度にある間に、プラズマを使用せず、脱着によって除去されてよい。いくつかの実施態様は、改質操作中に任意選択でプラズマを使用し、かつ除去操作中に使用しなくてよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の温度が同じであってよく、いくつかの他の実施形態では、それらの温度が互いに違っていてよい。
【0037】
化学吸着および脱着は、温度依存性の化学反応であり、別々の温度状況で生じる、部分的に重複する温度状況で生じる、あるいは同じ温度状況で生じる場合がある。そのため、一部の本明細書に記載のサーマルエッチング技術は、改質操作および除去中、基板の温度を同じか、または実質的に同じ(例えば、互いの約10%または5%以内)温度で維持する。いくつかの他の実施形態は、ある温度で生じる化学吸着を改質操作のために可能にして利用し、かつ異なる温度で生じる脱着を除去操作のために可能にして利用するために、改質操作と除去操作との間で基板の温度を調整する。
【0038】
本明細書で提供されるサーマルエッチング処理の一部では、基板が第1の温度で維持されている間に、材料の1以上の表面層が化学吸着によって改質され、その結果、基板の1以上の改質された表面層が形成されてよい。基板は、材料の均一な層であるか、または異なる分子および元素を含む不均一な層であってよい材料の層と露出面とを含む。改質分子を有する第1のプロセスガスは、第1の温度で維持される基板上に流されてよい。いくつかの実施形態では、改質分子は、下記のように、基板上の分子をフッ素化または塩素化するために、フッ素または塩素を含んでよい。また、第1のプロセスガスは、N2、Ar、He、およびNeなどのキャリアガスを含んでよい。この第1温度は、改質分子と、材料の1または複数の露出面内の分子の少なくとも一部との間の化学吸着を可能にする。
【0039】
1以上の改質された表面層は、基板が第2の温度で維持されている間に取り除かれてよい。いくつかの実施形態では、第2の温度のみが、改質された分子の基板からの脱着を可能にし、かつ脱着させ、それによって改質された分子を基板から除去してよい。いくつかの他の実施形態では、除去分子を有する第2のプロセスガスが、基板の露出面上を含む基板上に流されてよい。また、第2のプロセスガスは、上述のようなキャリアガスを含んでよい。これらの除去分子は、改質された分子と反応して異なる揮発性分子を形成してよく、これは揮発化分子と考えてよい。この揮発化分子はその後、基板が第2の温度であるときに、脱着により基板から除去されてよい。いくつかの実施形態では、この第2のプロセスガスを流すことは、除去操作の一部であってよく、あるいは基板を加熱する前、後、または加熱中に生じる別個の操作であってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、サーマルALEは、等方性であり、よって無指向性であってよい。いくつかの他の実施形態では、サーマルALEは、指向性イオンが改質操作などにおけるエッチング処理で使用される場合に等方性ではない。
【0041】
改質分子および除去分子が基板上に少なくとも並行して流され、それにより改質操作および除去操作が部分的に重複する他のサーマルエッチングが行われてよい。改質分子および除去分子の両方を含む1以上のプロセスガスが、そのような処理中にウェハ上に同時に流されてよい。このサーマルエッチングの多くの実施態様では、改質分子および除去分子は、互いに有害な反応がないように限定され、したがってそれらは基板上に並行して流されてよい。いくつかの例では、この並行する流れは、エッチングの全体において生じてもよく、他の例では、並行する流れは、エッチングの一部のみにおいて生じてもよい。部分的にのみ重複する流れを有するいくつかの例では、除去分子が基板上に流される前に改質分子が基板上に流され、その後は、改質分子および除去分子の両方が同時に基板上に流されてもよい。いくつかの例では、改質分子および除去分子の両方の流れが、実質的に同時に停止されてよく(例えば、互いの10%または5%以内)、他の例では、改質分子の流れが停止し、かつ除去分子が基板上に流されてもよい。
【0042】
また、本明細書で提供される技術は、エッチングされたカルコゲナイド上に1以上のカプセル化材料を堆積してよい。これは、エッチングを行う処理チャンバとは別の処理チャンバ内で、化学気相成長(「CVD」)、プラズマ励起CVD(「PECVD」)、または原子層堆積(「ALD」)を用いてカプセル化材料を堆積することを含んでよい。いくつかの実施形態では、両処理チャンバ内において、および処理チャンバ間の搬送の際にウェハが真空圧にとどまるように、ウェハを大気圧にさらすことなくこれらの処理チャンバ間を移動させてよい。いくつかの実施形態では、エッチングを行う処理チャンバ内にウェハが残されている状態で、第1のカプセル化材料の層がエッチングされたカルコゲナイド上に堆積されてよく、第1のカプセル化材料は酸化アルミニウムなどのアルミニウムを含んでもよい。第1のカプセル化材料が堆積された後、ウェハは、追加のカプセル化材料がウェハ上に堆積される別の処理チャンバに搬送されてよい。
【0043】
サーマルエッチングおよびカプセル化技術:
本開示の態様は、カルコゲナイド材料の1以上の層のサーマルエッチングに関する。上述のように、サーマルエッチング処理は、化学反応と併せて、改質操作および/または除去操作における化学反応を促進する特定の温度または温度範囲で基板を保持することに依存する。いくつかの実施形態では、サーマルエッチングまたはサーマルALEは、等方性エッチング、すなわち無指向性エッチングと考えてよい。いくつかの実施形態では、基板の1以上の層が、基板が第1の温度で維持されている間に、プラズマを使用せず、化学吸着によって改質されてよく、その後、基板の1以上の改質された層は、基板が第2の温度にある間に、プラズマを使用せず、脱着によって除去されてよい。いくつかの実施態様は、改質操作中に任意選択でプラズマを使用し、かつ除去操作中に使用しなくてよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の温度が同じであってよく、いくつかの他の実施形態では、それらの温度が互いに違っていてよい。
【0044】
本明細書に記載の技術の一部は、フッ化水素のようにフッ素を含有するか、または塩化水素のように塩素を含有する第1の化学種をウェハに流すことでカルコゲナイド層の表面を改質して、カルコゲナイド材料の改質された層を形成する改質操作を行うことによって、カルコゲナイド材料をエッチングする。フッ化物または塩化物を有する第1の化学種は、本明細書に記載の改質分子と考えてよい。この改質は、カルコゲナイドの層を、フッ素化されたカルコゲナイド、または塩素化されたカルコゲナイドに変換する。カルコゲナイドの改質された層は反応性であり、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含有する第2の化学種をウェハ上に流すことで除去できる。第2の化学種の化合物は、フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドと反応することで、ウェハから脱着する揮発性分子を形成する。
【0045】
図1は、開示された実施形態に従い操作を行うための処理フロー図例を示す。ブロック101では、ウェハのエッチングを行うように構成された処理チャンバにウェハが提供される。ウェハは、その上に堆積されたカルコゲナイドの層を有してよく、いくつかの例では、カルコゲナイド層の表面が処理チャンバ環境に曝露されてよい。また、ウェハ上において、このカルコゲナイドは、穴、ビア、またはトレンチの側壁および/または底部に沿って、棚またはフィーチャの下側に、ならにびに/あるいはフィーチャの上面上に配置されてもよい。そのような実施態様のいくつかでは、サーマルALEを含む等方性サーマルエッチングは、アスペクト比の高いエリアや、棚やオーバーハングの下など見えないエリアに届く無指向性で見通し外のエッチングを実行できるため、有利である。
【0046】
カルコゲナイドは、本明細書で列挙されるいずれかであってよい。いくつかの実施態様では、カルコゲナイドは、ゲルマニウム(Ge)アンチモン(Sb)テルル(Te)(集合的に「GST」または「GeSbTe」)材料などの相変化材料であってよい。これはまた、nドープGeSbTe化合物(N-GST)、Sb2Te、ならびにAgとInとをドープされたSb2Te(AIST)を含んでよい。上述のように、相変化材料は、例えば、金属カルコゲナイドの相によってビット状況が決まるため、メモリデバイスの形成における使用に有利である。いくつかの実施形態では、カルコゲナイドは、オボニック閾値スイッチング(OTS)材料などの、相が変化しないものを含んでもよい。オボニック閾値スイッチング(OTS)材料は、例えば、ゲルマニウム、ヒ素、およびセレンを含む化合物(GeAsSe)、またはゲルマニウム、アンチモン、セレン、および窒素を含む化合物(GeSb、Se、N)を含んでよい。
【0047】
ブロック103では、ウェハは第1の温度に加熱され、第1の温度は、本明細書に記載のように、特定の温度、または温度範囲のいずれとも考えられてよい。いくつかの実施形態では、第1の温度は、例えば、約20℃~約500℃、約20℃~約150℃、約20℃~約80℃、約20℃~約100℃、約100℃~約450℃、約100℃~約400℃、約150℃~約400℃、約200℃~約600℃、約200℃~約500℃、約200℃~約350℃、または約350℃~約500℃の間であってよい。以下でより詳細に論じるように、ウェハは、エッチング、改質操作、および/または除去操作の全てまたは実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の間、第1の温度で維持されてよい。
【0048】
ブロック105では、フッ化物または塩化物を含む第1の化学種をウェハ上に流すことでカルコゲナイド層の表面を改質してフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドを生成し、かつアルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む第2の化学種を流すことでフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドの層を除去することによって、ウェハ上のカルコゲナイド層がエッチングされる。いくつかの実施態様は、いくつかの例において、パージ操作によって分離され得る別々の改質操作および除去操作を含んでもよい。これらの実施態様は、自己律速型エッチングと考えてよい。いくつかの他の実施態様は、いくつかの実施形態において第1種(すなわち改質分子)と第2種(すなわち除去分子)とをウェハ上に並行して流すことによって実行され得る少なくとも部分的に重複する改質操作および除去操作を含んでよい。
【0049】
フッ化物を有する第1の化学種は、次の非限定的な例のうちの1つ以上を含んでよい:HFなどのフッ化水素、四フッ化硫黄、六フッ化硫黄、またはフッ化スルフリル(SO2F2)などのフッ化硫黄、三フッ化窒素などのフッ化窒素、ならびに二フッ化キセノンなどのフッ化キセノン。塩素を有する第1の化学種は、次の非限定的な例のうちの1つ以上を含んでよい:HCIなどの塩化水素、二塩化硫黄、四塩化硫黄、または塩化スルフリル(SO2Cl2)などの塩化硫黄、あるいはトリクロラミン(NCl3)などの塩化窒素。他のハロゲンまたは分子とは対照的に、これらのフッ素種または塩素種のカルコゲナイド層の表面の改質のための使用は、除去分子が存在する場合にカルコゲナイドの全ての除去を可能かつ許容する特有の反応性化合物をもたらす。これは、フッ素および塩素が表面に非常に強く結合して下地層との結合を弱めることによる。第1の化学種は、ウェハ上に蒸気の形態で流されてよく、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンなどのキャリアガスを任意選択で含み得るプロセスガスの一部として流されてよい。
【0050】
アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む第2の化学種は、様々な化合物を含んでよい。いくつかの実施態様において、化合物は、水素、メチル基、またはエチル基を任意選択で含んでよい。例えば、化合物は、ジメチルアルミニウムクロライド(DMAC)またはトリメチルアルミニウム(TMA)クロライドなど、塩素およびメチル基とともにアルミニウム中心原子を有してよい。別の例では、化合物は、三塩化ホウ素(BCl3)など、複数の塩化物とともにホウ素中心を有しよい。さらに別の例では、化合物は、四塩化ケイ素(SiCl4)など、複数の塩化物とともにケイ素中心を有してよい。
【0051】
第2の化学種の化合物は、フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドと反応することによって、その元素を揮発性にし、ウェハから脱着させる。例えば、この交換反応はエネルギ的に好ましく、したがってフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドは、例えば、塩素の転移を通じて、または結合してフッ化物および塩化物の組み合わせを含む揮発性のゲルマニウム、アンチモン、およびテルル化合物を形成することを通じて、化合物を伴う揮発性化合物を形成できる。また、第2の化学種は、ウェハ上に蒸気の形態で流されてよく、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンなどのキャリアガスを任意選択で含み得るプロセスガスの一部として流されてよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ブロック105のエッチングは、そのようなエッチングを可能にする様々な処理条件下で行われてよい。上述の温度範囲に加えて、いくつかの実施態様では、エッチングの間、基板を、例えば約20℃~約500℃、約20℃~約150℃、約20℃~約80℃、約20℃~約100℃、約100℃~約450℃、約100℃~約400℃、約150℃~約400℃、約200℃~約600℃、約200℃~約500℃、約200℃~約350℃、または350℃~約500℃の間の温度で維持してよい。エッチングはまた、処理チャンバを、例えば約20mTorr~600mTorr、約30mTorr~500mTorr、および約40mTorr~400mTorrの間を含む、約20ミリトル(mTorr)~760Torr(1atm)の間、ならびに約3Torr~8Torr、約4Torr~8Torr、2Torr~10Torr、および100Torr~760Torrの間の圧力で維持されている間に行われてよい。以下でより詳細に論じるように、いくつかの実施態様では、ブロック105のエッチングを実質的に一定の処理条件(例えば、設定条件の約10%または5%の偏差など、わずかな偏差)で行い、他の実施態様では、エッチング中に1以上の処理条件を変動させてよい。
【0053】
いくつかの実施態様は、別々の改質操作および除去操作を用いてカルコゲナイド材料をエッチングしてもよい。
図2は、開示された実施形態に従い操作を行うための第2の処理フロー図例を示す。ここで、ブロック201および203は、
図1のブロック101および103と同じである。
図2では、ブロック105の改質操作および除去操作が、それぞれブロック205Aおよび205Bで別々の操作として実行される。これは、自己律速型エッチング、ならびにALEまたはサーマルALEと考えてよい。
【0054】
ブロック203に続いて、ブロック205Aでカルコゲナイド層の表面が改質され、すなわち、このブロックは改質操作を表す。ここではブロック205Aが、フッ化物または塩化物を含有する第1の化学種を含む第1のプロセスガスをウェハ上に流すことを含む点を除いて、カルコゲナイド層は、
図1のブロック105について上述したように改質される。ブロック105と同じように、第1の化学種をウェハ上に流すことで、カルコゲナイド層の表面を改質し、フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドを生成する。フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドは、第2の化学種への曝露、ならびにそれとの反応によって一意的に除去可能である。この第1のプロセスガス内の第1の化学種は、次の非限定的な例のうちの1つ以上を含む本明細書で提供されるもののうちのいずれかであってよい:HFなどのフッ化水素、四フッ化硫黄、六フッ化硫黄、またはフッ化スルフリルなどのフッ化硫黄、三フッ化窒素などのフッ化窒素、二フッ化キセノンなどのフッ化キセノン、HCIなどの塩化水素、二塩化硫黄、四塩化硫黄、または塩化スルフリルなどの塩化硫黄、あるいはトリクロラミン(NCl
3)などの塩化窒素。また、第1のプロセスガスは、ウェハ上に蒸気の形態で流されてよく、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンなどのキャリアガスを任意選択で含んでもよい。ブロック205Aの改質操作は、第1のプロセスガスのウェハへの流れを止めることによって停止されてよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、改質分子が活性化障壁を克服してウェハ上に吸着するのを助けるために、活性化エネルギが提供されてよい。この活性化エネルギは、熱エネルギ、ラジカルエネルギ、および/またはUV光子を備えてよく、それは、いくつかの例では、ウェハを加熱すること、ならびに/あるいはプラズマまたは光子を発生させることを含んでよい。この第1材料上への改質分子の吸着は、エネルギ依存性(例えば温度依存性)の化学反応である化学的な吸着、あるいは「化学吸着」と考えてよい。一部のサーマルエッチング技術において、改質操作中のこの化学吸着は、材料層中の分子および入ってくる改質分子の活性化障壁の克服を可能にして、分子と改質分子中の吸着物との間の解離および化学結合を可能にする、特定の温度範囲でのみ生じてよい。この温度範囲の外では、化学吸着が生じないか、望ましくない(例えば遅い)速度で生じ得る。
【0056】
したがって、ブロック205Aのいくつかの実施態様は、プラズマを使用しせず、熱活性化エネルギのみを用いてカルコゲナイドの表面層を改質する。第1のプロセスガスは、活性化エネルギを提供する第1の温度で維持されているウェハ上に流され、カルコゲナイドが化学吸着によって改質されて、カルコゲナイドの改質された層を形成する。第1の温度は本明細書で提供されるいずれかの温度または温度範囲であってよく、例えば、約20℃~約500℃、約20℃~約150℃、約20℃~約80℃、約20℃~約100℃、約100℃~約450℃、約100℃~約400℃、約150℃~約400℃、約200℃~約600℃、約200℃~約500℃、約200℃~約350℃、または約350℃~約500℃の間などである。加えて、ウェハは、改質操作の全て、または実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の間、第1の温度で維持されてよい。改質操作の持続時間は、基板上の所望の露出分子のうちの実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)について改質が生じるための持続時間であってよい。これは、例えば、約0.5秒~約600秒、約0.5秒~約400秒、約0.5秒~約300秒、約0.5~約10秒、約0.5秒~約5秒、約1秒~約5秒、または約5秒~約300秒の範囲であってよい。
【0057】
いくつかの実施態様では、プラズマからなどのイオンエネルギが、ブロック205Aの改質操作を促進するために用いられてもよい。いくつかの例では、プラズマが点火され、フッ素または塩素がウェハと反応するか、あるいはウェハの表面上に吸着してよい。プラズマから生成される種は、ウェハを収容する処理チャンバ内にプラズマを形成することにより直接的に生成できるか、あるいはウェハを収容しない処理チャンバ内で遠隔で生成して、ウェハを収容する処理チャンバ内に供給できる。
【0058】
ブロック205Aの改質操作の後、改質されたカルコゲナイド、すなわちフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドは、ブロック205Bにおいてウェハから除去される。ここではブロック205Bが、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含有する第2の化学種を含む第2のプロセスガスをウェハ上に流すことを含む点を除いて、この除去は、
図1のブロック105について上述したように実行される。ブロック105と同じように、第2種は、フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドと反応し、その成分をウェハから脱着させて、したがって除去する。この第2プロセスガス中の第2の化学種は、本明細書で提供されるいずれかであってよく、例えばDMAC、TMA、またはBCl
3などであってよい。また、第2のプロセスガスは、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンなどのキャリアガスを含んでよい。ブロック205Bの除去操作は、第2のプロセスガスのウェハへの流れを止めることによって停止されてよい。
【0059】
脱着においては、特定の温度が、改質された分子の活性化障壁の克服を可能にし、これによって改質された層のウェハからの解放を可能にしてよい。いくつかの例では、化学吸着および脱着が生じる温度範囲は重複せず、他の例では、それらは部分的にまたは完全に重複してよい。したがって、化学吸着および脱着を用いてウェハから分子を除去するために、いくつかの実施態様では、除去操作および改質操作の間、ウェハを同じ、または実質的に同じ(例えば、互いの10%または5%以内)温度で維持してよい。異なる温度状況で生じる化学吸着および脱着を用いてウェハから分子を除去するために、ブロック205Aの改質操作は、第1の温度範囲で生じてよく、かつブロック205Bの除去操作は、第1の温度よりも高いか、あるいは低くてよい第2の異なる温度範囲で生じてよい。そのような実施形態のいくつかは、材料の複数の層を除去するために、除去操作および改質操作の間、ウェハを同じ、または実質的に同じ温度で維持することによって複数サイクルを実行してよく、他の実施形態は、化学吸着および脱着のための2つの温度状況の間でウェハを繰り返し加熱および冷却してよい。
【0060】
異なる温度状況を用いるいくつかの実施形態では、ブロック205Bの間または前に、ウェハの温度を、ブロック205Aの改質操作中にウェハが維持される第1の温度とは異なる第2の温度にしてよい。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は、第1の温度と同じ、または実質的に同じ(例えば、互いの10%または5%以内)温度である。この第2の温度は、1以上の改質された表面層において脱着が生じる温度であってよい。いくつかの実施形態では、第2の温度は第1の温度より高くてよく、これらの実施形態では、ブロック205Bは、ウェハを第1の温度から第2の温度に加熱することを含んでよい。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は第1の温度より低くてよく、これらの実施形態では、ウェハは第1の温度から第2の温度に能動的に冷却されてよい。
【0061】
ウェハは、放射加熱、対流加熱、固体間伝熱、またはプラズマを使用して加熱されてよい。加えて、ウェハの上部、底部、またはその両方が加熱されてよい。いくつかの実施形態において、ウェハの加熱はまた、下記でさらに論じるように、非線形的に生じてもよい。また後述するように、ウェハは様々な方法で能動的に冷却されてよい。いくつかの例では、ウェハは、加熱された台座などの、互いに異なる温度で維持される2つの別々の基板支持体上にウェハを配置することによって、2つの異なる温度に加熱されてよい。したがって、ウェハは、これらの2つの異なる基板支持体間を搬送され、それらの上に配置されることによって、2つの異なる温度に加熱されてよい。
【0062】
ブロック205Bでは、ウェハが第2の温度で維持されている間に、1以上の改質された層が除去されてよい。いくつかの実施形態では、第2の温度のみが、改質された分子のウェハからの脱着を可能にし、かつ脱着させ、それによって改質された分子をウェハから除去してよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、例えば、約20℃~約500℃、約20℃~約150℃、約20℃~約80℃、約20℃~約100℃、約100℃~約450℃、約100℃~約400℃、約150℃~約400℃、約200℃~約600℃、約200℃~約500℃、約200℃~約350℃、または約350℃~約500℃の間であってよい。加えて、ウェハは、除去操作の全て、または実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の間、その温度で維持されてよい。除去操作の持続時間は、ウェハ上の所望の分子のうちの実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)について脱着が生じるための持続時間であってよい。これは、例えば、約0.5秒~約600秒、約0.5秒~約400秒、約0.5秒~約300秒、約0.5~約10秒、約0.5秒~約5秒、約1秒~約5秒、または約5秒~約300秒の範囲であってよい。
【0064】
ブロック205Aおよび205Bの実行は、単一のサーマルALEサイクルと考えてよい。いくつかの実施態様では、複数サイクル実行して、カルコゲナイドの、単原子層、サブ単層、ならびに多層を除去するために、ブロック205Aおよび205Bを繰り返してよい。一部のエッチング速度は、エッチングされている材料の格子定数よりも低くなり得るため、いくつかの実施形態では、1サイクルで単層のごく一部を除去する。これは、例えば、約1~約1,000サイクル、約1~約500サイクル、約1~約100サイクル、約1サイクル~約30サイクル、または約1~約20サイクル行うことを含んでよい。所望の量のカルコゲナイド膜をエッチングするために、任意の適切な数のALEサイクルを含んでよい。いくつかの実施形態では、ALEは、ウェハ上の層表面の約1オングストローム(Å)~約50Åをエッチングするために、サイクルを実行する。いくつかの実施形態では、ALEのサイクルは、ウェハ層の表面の約2Å~約50Åの間をエッチングする。いくつかの実施形態では、各ALEサイクルは、少なくとも約0.1Å、0.5Å、1Å、2Å、または3Åをエッチングしてよい。
図2にさらに示すように、ブロック205Aおよび205B、ならびにいくつかの実施態様では、ブロック207の任意選択のパージが、N回のALEもしくはエッチングサイクル繰り返されてもよい。決定ステップ209が、N回のALEサイクルが実行されたと判定すると、エッチングが終了し、したがって完了してよい。
【0065】
一部の操作では、ブロック205Aの改質操作後かつブロック205Bの除去操作の前に、ブロック207の任意選択のパージ操作が行われてもよい。パージ操作では、フッ素種または塩素種などの非表面結合活性改質分子、ならびに/あるいは他の残渣または微粒子が、処理チャンバ、チャンバ壁、チャンバガス容積、および/または基板から除去されてよい。これは、吸着された層を除去することなく処理チャンバをパージおよび/または排気することで活性種または他の元素を除去することによって実行できる。プラズマ内に生成された種は、プラズマを停止し、かつ残留するの種を崩壊させることによって除去可能であり、任意選択でチャンバのパージおよび/または排気と組合わされる。パージは、N2、Ar、Ne、He、およびそれらの組み合わせなどの任意の不活性ガスを使用して実行できる。パージはまた、改質操作後、除去操作後、またはそれらの両方を含む本明細書で提供されるいずれかの操作、ブロック、またはステップの後に実行されてよい。パージは任意選択であるため、いくつかの実施態様は、いかなるパージも含まなくてよい。
【0066】
いくつかの実施態様では、ブロック205Aおよび205Bの改質操作および除去操作の、各操作における持続時間、温度、および圧力などの処理条件をそれぞれ異ならせる。いくつかの実施形態では、ブロック205Aおよび205Bは、実質的におおよそ同じ時間(例えば、互いの10%または5%以内)実行してよく、他の実施形態では、それらは異なる時間実行されてもよい。例えば、ブロック205Aは、ブロック205Bよりも短い、または長い時間実行されてもよい。各ブロックの様々な期間は、例えば、約0.5秒~約600秒、約0.5秒~約400秒、約0.5秒~約300秒、約0.5秒~約10秒、約0.5秒~約5秒、約1秒~約5秒、または約5秒~約300秒の範囲であってよい。
【0067】
いくつかの実施態様では、ブロック205Aの改質操作およびブロック205Bの除去操作は、異なる圧力で実行されてよい。例えば、ブロック205Aの改質操作は、第1の圧力または第1の圧力範囲で実行され、ブロック205Bの除去操作は、ブロック205Aの改質操作と異なる第2の圧力または第2の圧力範囲で実行されてよい。
図2に示されないが、いくつかの実施態様は、圧力を第1の圧力から第2の圧力に変更する圧力調整操作を含んでよい。この圧力調整は、例えばブロック205Aと205Bとの間に生じてよい。上記と同様に、第1および第2圧力は、例えば、約20mTorr~600mTorr、約30mTorr~500mTorr、および約40mTorr~400mTorrを含む、約20ミリトル(mTorr)~760Torr(1atm)の間、ならびに約3Torr~8Torr、約4Torr~8Torr、2Torr~10Torr、および100Torr~760Torrのの間の圧力であってよい。いくつかの他の実施形態では、ブロック205Aの改質操作およびブロック205Bの除去操作の両方が、本明細書に記載のいずれかの圧力または圧力範囲などの、実質的に同じ圧力(例えば、互いの10%または5%以内)で実行されてよい。
【0068】
記載のエッチングのいくつかの実施態様を、
図3を用いてさらに説明する。
図3は、開示された実施形態に従う原子層エッチングの概略図例を示す。
図300a~300eはALEサイクルを示す。300aでは、カルコゲナイドの1以上の層を有するウェハが提供される。300bでは、カルコゲナイドの表面が改質される。300cでは、次の操作の準備を行い、この準備は、第2プロセスガスを流すこと、またはチャンバをパージすることを含んでよい。300dでは、改質されたカルコゲナイド層と反応し、改質されたカルコゲナイド層をウェハから脱着させて、したがって除去する除去分子にウェハを曝露する。300eでは、所望の材料が除去されている。
【0069】
図302a~302eでは、カルコゲナイド材料の単層がウェハからエッチングされる。302aでは、ウェハが設けられ、ウェハはカルコゲナイドの1以上の層を有する。それぞれのカルコゲナイド分子は、影なしの丸で表される。カルコゲナイドの最上層は表面層306と考えてよい。302bでは、フッ化物または塩化物を含む改質分子308(黒塗りの丸、その一部が識別子308で特定される)を有する第1のプロセスガスがウェハに導入され、カルコゲナイド表面層306を改質して、フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドを形成する。302bの概念図では、改質分子308の一部は、表面層306のカルコゲナイド分子304上に吸着して、改質された312(1つの改質された分子312が点線の楕円302b内に特定される)を含む改質された表面層310を生成する。上述のように、改質分子308は、フッ化水素などの、フッ素を含む種、または塩化水素などの、塩化物を含む種であってよい。加えて、カルコゲナイドは、GeSbTeまたはOTS材料などの本明細書で提供される材料のいずれかであってよい。一部のサーマルALE技術において、
図302bは、ウェハが上述の第1の温度で維持されている間に生じてよく、例えば、その温度は、カルコゲナイド材料の表面上への改質分子の化学吸着を可能にする。いくつかの他の例では、改質操作はプラズマ支援によるものであってもよい。
【0070】
図302cでは、改質された分子312および改質された表面層310が302bで生成された後、上述および
図2のブロック207に表されるように、プロセスガスが第1のチャンバから任意選択でパージされてよい。
【0071】
図302dでは、除去分子314が処理チャンバ内に導入され、いくつかの実施形態では、これは、第2の種、すなわち除去分子314を有する第2のプロセスガスをウェハ上に流すことによって生じてよい。第2の種は、DMACなどの、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含んでよい。概念
図302dは、影付きのひし形で示される除去分子314がフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイド、すなわち改質された分子312と反応し、それによってカルコゲナイド304、ならびにフッ化物308または塩化物308をウェハから脱着させて、したがってウェハから除去することをさらに示す。いくつかの実施形態では、除去分子314および改質された分子312の間の反応は、改質分子308をウェハから脱着させ、除去分子およびカルコゲナイドによって別の化合物316を形成する。別の化合物316は、カルコゲナイド304の影なしの丸と、除去分子314の影付きのひし形との組み合わせにより図示され、ウェハから脱着する。いくつかの他の実施形態では、図示しないが、除去分子と改質された分子とがともに、ウェハから脱着される別の化合物を形成する。
【0072】
いくつかのサーマルALEの実施形態では、この除去操作は、改質された表面層310の改質された分子312のウェハからの脱着が生じる第2の温度で行われてよい。一部のこれらの除去操作では、プラズマが利用されなくてよい。いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の温度と同じ、または実質的に同じ(例えば、互いの10%または5%以内)である。他の実施形態では、第1および第2温度は、互いに異なっていてもよく、これらの実施形態では、基板を加熱または冷却することによって温度を第1の温度から第2の温度に変化させてよい。いくつかの例では、1以上の操作の温度は、ランプアップされてもよい。
【0073】
302eでは、改質された分子312、したがって改質された表面層310は、ウェハから除去されている。
【0074】
上述のように、いくつかの実施態様は、例えばHFおよびBCl
3の重複する流れなど、改質種および除去種の少なく部分的に重複する流れを有してよい。
図4は、開示された実施形態に従い操作を行うための第3の処理フロー図例を示す。ここで、ブロック401および403は、
図1のブロック101および103と同じである。
図4では、ブロック105の改質操作および除去操作の少なくとも一部が同時に行われ、これは、同時になされるブロック405Aおよび405Bから見てとれる。ブロック405Aの改質操作およびブロック405Bの除去操作は、第1および第2種をウェハ上に流すタイミングおよび重複を含む既述の違いを除いて、本明細書内で上述したものと同じであってよい。例えば、ブロック405Aの第1種は、カルコゲナイド層の表面上に流され、カルコゲナイド表面を改質してフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドなどの改質された表面層を生成する、フッ化物または塩化物を有する。加えて、ブロック405Bの第2種は、カルコゲナイドの改質された表面層と反応して、それをウェハから除去する、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含む。他の処理条件および実施態様については後述する。また、各プロセスガスは、上述のキャリアガスを含んでよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、ブロック405Aの改質操作およびブロック405Bの除去操作は、エッチングの一部のみにおいて重複する。他の実施形態では、これらのブロック405Aおよび405Bは、エッチングの実質的に全て(例えば、互いの10%または5%以内)において重複する。いくつかのこれらの実施態様は、ウェハ上に流される同一のプロセスガス中に第1および第2の化学種を有し、いくつかの他の実施態様は、ウェハ上に並行してながされるかまたは同時に流される別々のプロセスガス中にこれらの種を有する。
【0076】
図5A~5Cは、様々な実施形態に係るガス流シーケンス例を示す。
図5Aでは、第1の種を有する第1のプロセスガスと、第2の種を有する第2のプロセスガスとが、いかなる重複なしにウェハ上に流され、
図2および3に関して記載されたガス流と考えてよい。ここで、第1のプロセスガスは、時刻t1から時刻t2まで流され、その後停止される。これは、ブロック205Aおよび概念
図302bの改質操作と考えてよい。いくつかの例では、任意選択のブロック207および概念
図302cのように、任意選択のパージ操作が、時刻t2~時刻t3の間に実行されてもよい。時刻t3において、第2のプロセスガスが時刻t4まで、停止されるまでウェハ上に流される。この期間は、ブロック205Bおよび概念
図302dの除去操作と考えてよい。
【0077】
図5Bでは、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスとが、エッチングの一部でのみ重複する。時刻t1において、第1のプロセスガスがウェハ上に流され、一方で第2のプロセスガスはウェハ上に流されず、これが時刻t2まで続く。これも、ブロック205Aおよび概念
図302bの改質操作と考えてよい。時刻t2において、第2のプロセスガスがウェハ上に流され、一方で第1のプロセスガスが同時にウェハ上に流される。時刻t2~時刻t3の間、第1および第2プロセスガスは両方ともウェハ上に流される。これは、第1および第2プロセスガスが重複する、または並行して流される期間と考えてよい。再び
図4を参照し、この重複期間は、ブロック405Aおよび405Bの同時実行と考えてよい。
図5Bの時刻t3において、第1のプロセスガス流が停止され、かつ第2のプロセスガスは、時刻t4で停止されるまで流れ続ける。この時間も、ブロック205Bおよび概念
図302dの除去操作と考えてよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、
図5Bに示すエッチング中に、ウェハの温度が調整されてよい。例えば、ウェハは、時刻t1~t2の間、第1の温度で維持され、時刻t2において第2の温度に調整され、時刻t3またはt4まで第2の温度で維持されてよい。そのような実施態様のいくつかでは、温度は、時刻t3から時刻t4まで第3の温度に調整されてよい。いくつかの他の実施形態では、温度は、時刻t1から時刻t3まで第1の温度で保持され、その後第2の温度に調整されてよい。これは、いくつかの実施形態において、第1の温度より高いまたは低い第2の温度と、該当する場合には第2の温度より高いまたは低い第3の温度とを用いる温度ランプアップまたはランプダウンシーケンスと考えてよい。これらの温度は、本明細書で提供されるいずれかであってよい。本明細書で提供されるエッチングのいずれかの間に温度を調整することで、化学吸着および脱着の追加の制御および利用を可能にしてよい。いくつかの他の実施形態では、ウェハは、
図5Bのエッチング中、実質的に一定の温度で維持されてもよい(例えば、設定温度の約10%または5%以内)。
【0079】
同様に、改質、除去、またはその両方の間に、ウェハの温度を増減させてよい。例えば
図5Aを参照して、ウェハ温度は、時刻t1~時刻t2の間の改質操作中に、第1の温度からより高い第2の温度に上げられるか、または第1の温度からより低い第3の温度に下げられてよい。それに代えて、または加えて、時刻t3~t4の間の除去操作中にも、ウェハ温度を増減させてよい。
【0080】
それに代えて、または加えて、
図5Bのエッチング中に、チャンバ圧力が調整されてよい。例えば、チャンバは、時刻t1~t2の間、第1の圧力で維持され、時刻t2において第2の圧力に調整され、時刻t3またはt4まで第2の圧力で維持されてよい。そのような実施態様のいくつかでは、圧力は、時刻t3から時刻t4まで第3の圧力に調整されてよい。いくつかの他の実施形態では、圧力は、時刻t1から時刻t3まで第1の圧力で保持され、その後第2の圧力に調整されてよい。これは、いくつかの実施形態において、第1の圧力より高いまたは低い第2の圧力と、該当する場合には第2の圧力より高いまたは低い第3の圧力とを用いる圧力ランプアップまたはランプダウンシーケンスと考えてよい。これらの圧力は、本明細書で提供されるいずれかであってよい。本明細書で提供されるエッチングのいずれかの間に圧力を調整することで、化学吸着および脱着の追加の制御および利用、ならびにチャンバ内における不要な残留物の蓄積の低減を可能にしてよい。いくつかの他の実施形態では、圧力は、
図5Bのエッチング中、実質的に一定であってよい(例えば、設定圧力の約10%または5%以内)。
【0081】
同様に、改質、除去、またはその両方の間に、チャンバ圧力を増減させてよい。例えば
図5Aを参照して、チャンバ圧力は、時刻t1~時刻t2の間の改質操作中に第1の圧力からより高い第2の圧力に上げられるか、または第1の圧力からより低い第2の圧力に下げられてよい。それに代えて、または加えて、時刻t3~t4の間の除去操作中にも、チャンバ圧力を増減させてよい。
【0082】
図5Cでは、エッチングの実質的に全てにおいて、第1の種および第2の種がウェハ上に並行して流されるか、あるいは同時に流される。ガス送達システムにおける設計、実装、公差、および動作の不完全性により、これらのガスは厳密に同時に並行して流されることが意図され得るが、実際には厳密でない場合がある。ここで、
図5Cにおいて、第1の種および第2の種は、時刻t1からt2までウェハ上に同時に流され、その後、両方が停止される。いくつかの実施態様では、第1および第2の種は、任意選択のキャリアガスとともに、ウェハ上に流される同じプロセスガス中にあってよい。いくつかの他の実施態様では、上述のように、第1の種は、第1のプロセスガスの一部であってよく、第2の種は、別の第2のプロセスガスの一部であってよく、かつこれらの第1および第2のプロセスガスの両方が、時刻t1から時刻t2までウェハ上に並行して流される。
【0083】
いくつかの実施態様では、第1および第2の種が処理チャンバに入るまで、それらを分離したままにしておくことが有利な場合がある。これは、第1および第2の種の間の交差反応を回避し得る。したがって、第1および第2の種は、例えばデュアルプレナムシャワーヘッドを介して、または別々のノズルを介してなど、別々のラインおよび別々のポートを介してチャンバ内に流されてよい。これによって、2つの化学物質がウェハ表面上でのみ出会うことを可能にしてよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、ウェハの温度は、
図5Cおよび
図4に示すエッチング中に調整されてよい。例えば、ウェハは、時刻t1~taの間第1の温度で維持され、時刻taにおいて第2の温度に調整され、時刻t2まで第2の温度で維持されてよい。そのような実施態様のいくつかでは、温度は、このエッチング全体を通して第3の温度または他の温度に調整されてよい。これは、いくつかの実施形態において、例えば、第1の温度より高いまたは低い第2の温度と、該当する場合には第2の温度より高いまたは低い第3の温度とを用いる温度ランプアップまたはランプダウンシーケンスと考えてよい。これらの温度は、本明細書で提供されるいずれかであってよい。いくつかの他の実施形態では、ウェハは、
図5Cのエッチング中、実質的に一定の温度で維持されてもよい。
【0085】
それに代えて、または加えて、チャンバ圧力は、
図5Cのエッチング中に調整されてよい。例えば、チャンバは、時刻t1~t2の間、第1の圧力で維持され、時刻t2において第2の圧力に調整され、時刻t3まで第2の圧力で維持されてよい。これは、いくつかの実施形態において、第1の圧力より高いまたは低い第2の圧力を用いる圧力ランプアップまたはランプダウンシーケンスと考えてよい。これらの圧力は、本明細書で提供されるいずれかであってよい。いくつかの他の実施形態では、圧力は、
図5Cのエッチング中、実質的に一定であってよい。
【0086】
重複する流れを用いる改質操作および除去操作が
図6にさらに示される。
図6は、開示された実施形態に従うエッチングの概略図例を示す。
図602aは、上述の
図302aに対応し、そこではウェハが提供され、かつウェハはカルコゲナイドの1以上の層を有する。それぞれのカルコゲナイド分子は、影なしの丸で表される。カルコゲナイドの最上層は、表面層606と考えてよい。602bでは、第1の種、すなわち改質分子608(黒塗りの丸、その一部が識別子608で特定される)と、第2の種、すなわち除去分子614とが、同時に処理チャンバに導入される。これは、
図4、5B、および5Cなどについて上述した並行する流れ、または同時の流れを表してよい。
【0087】
ここで、改質分子608の一部は、表面層606のカルコゲナイド分子604上に吸着して、改質された612(1つの改質された分子612が点線の楕円602b内に特定される)を含む改質された表面層610を生成する。上述のように、改質分子608は、フッ化水素のように、フッ素を含むか、または塩化水素のように、塩化物を含んでよい。除去分子614もウェハ上に並行して流されて、第2の種は、上述のように、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含んでよい。これらの除去分子614は、改質された分子612と反応し、それによってカルコゲナイドをウェハから脱着させ、したがってウェハから除去する。いくつかの実施形態では、第1の種および第2の種は、別々のガスラインおよび/または別々のポート(例えば同じシャワーヘッド内の別々の注入ノズルまたはポート)を介して処理チャンバ内に別々に流されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、第1の種および第2の種、例えば改質分子および除去分子がウェハ上に流されるときに、カルコゲナイドの追加の層がエッチングされてよい。例えば、
図602bは、カルコゲナイドの第2の層622が同様に改質され、改質された分子612aが形成されてよく、改質された分子612aもまた、除去分子614に曝露され、それと反応したときにウェハから除去されてよいことを示す。
【0089】
図602bは、第1および第2の種がウェハ上に同時に流される間のエッチングの例示であると考えてよい。
図5Bに関して上述したように、一部の改質は、この
図602bの前に生じてもよく、それは
図302bに表されるものであってよい。加えて、
図5Bのようないくつかの例では、
図602bのこの並行して流すことの後に、いかなる同質の改質なしに追加の除去が生じてよく、これは、
図302dによって表されるものであってよい。そのような実施形態のいくつかでは、
図5Bのエッチングが、
図302b、602b、および302dのシーケンスによって例示されてよい。
【0090】
再び
図4を参照し、ある持続時間でのブロック405Aおよび405Bを合わせた実行は、単一のALEサイクルと考えてよい。いくつかの実施態様では、ブロック405Aおよび405Bは、複数サイクルを実行し、カルコゲナイドの複数の層を除去するために、停止され、その後繰り返されてもよい。これは、例えば、約1~約1,000サイクル、約1~約500サイクル、約1~約100サイクル、約1サイクル~約30サイクル、または約1~約20サイクルを実行することを含んでよい。所望の量のカルコゲナイド膜をエッチングするために、任意の適切な数のALEサイクルが含まれてよい。いくつかの実施形態では、ALEは、ウェハ上の層表面の約1オングストローム(Å)~約50Åをエッチングするために、サイクルを実行する。いくつかの実施形態では、ALEのサイクルは、ウェハ上の層表面の約2Å~約50Åの間をエッチングする。いくつかの実施形態では、各ALEサイクルは、少なくとも約0.1Å、0.5Å、1Å、2Å、または3Åをエッチングしてよい。
【0091】
ここで提供される実施形態のいくつかでは、第1のプロセスガスの流量は一定のままでよく、かつ第2のプロセスガスの流量は一定のままでよい。いくつかの他の実施形態では、第1および第2のプロセスガスは、同じまたは異なる流量で流されてよい。いくつかの他の実施形態では、第1および/または第2のプロセスガスの流量を変化させることが有利な場合がある。これは、例えば、除去操作の進行に伴いより多くの除去分子を提供するために、除去操作中に第2のプロセスガスの流量を増加させることを含んでよい。いくつかの流量の例としては、約50sccm~1000sccmの間が挙げられる。
【0092】
上述のように、本明細書で提供されるサーマルエッチングは、種々の目的で使用されてよい。いくつかの実施態様では、サーマルエッチングは、カルコゲナイドがRIEエッチングまたは他のイオン支援エッチングを使用してエッチングされた後に、カルコゲナイドの洗浄操作に使用されてもよい。加えて、または代わりに、いくつかの実施態様は、バルクカルコゲナイドをエッチングするためにサーマルエッチングを行ってよい。そのような例のいくつでは、RIEエッチングまたは他のイオン支援エッチングの代わりにサーマルエッチングを使用してよい。
【0093】
ここで、RIEまたは他のイオン支援エッチングなどの別のエッチング処理がカルコゲナイド上行われた後に洗浄操作として使用されるサーマルエッチングの態様について論じる。
図7は、カルコゲナイドをエッチングする処理フロー例を示す。この例では、
図728aは、カルコゲナイド732がウェハ734上に1以上のバルク層として堆積されてよく、ハードマスク730がカルコゲナイド732上に堆積されてよいことを示す。バルク層の一部(例えばハードマスク730を超えて延び、731により特定されるエリア)を除去し、カルコゲナイドの所望の表面形状を形成する、RIEエッチングまたは他のプラズマ支援エッチングなどのエッチング処理が行われてよい。ここで、
図728bでは、カルコゲナイド732が柱状にエッチングされる。しかしながら、上述のように、このRIEまたはプラズマ支援エッチングは、カルコゲナイドに望ましくない損傷を与える、ならびに/あるいは曝露したカルコゲナイド732は酸化される場合があり、これらの効果は、損傷および/または酸化した側壁733によって図示される。
【0094】
上述のように、サーマルALEなどのサーマルエッチングを利用する洗浄操作は、このRIEまたは他のイオン支援エッチングの後にカルコゲナイド上に行ってよい。
図728cは、サーマルエッチング洗浄操作が行われたあとのカルコゲナイド732を示す。図示のように、カルコゲナイド732の損傷および/または酸化した側壁733の少なくとも一部が除去されている。これは、
図728bにおける幅735Bよりも小さな幅735Bを有する直線状の側壁733を備えるカルコゲナイド732によって表される。サーマルALEを使用するいくつかの実施態様では、除去されるカルコゲナイド732の量は、サイクル単位で制御でき、したがって単層またはサブ単層レベルでカルコゲナイドを除去できる。したがって、所望の量のカルコゲナイドを除去するために、1以上のサイクルのサーマルALEを行うことができる。いくつかの実施形態において、一部の処理は、損傷および/または酸化したカルコゲナイドがウェハ上に残ることができるの許容量を有し得るため、カルコゲナイドの損傷および/または酸化した部分の一部のみをサーマルエッチングによって除去してもよい。これは、ウェハ上により少ないエッチングを行い、したがってウェハの処理時間を減少させることで、スループットを改善し得る。いくつかの他の実施態様では、カルコゲナイドの損傷および/または酸化した部分の実質的に全て、ならびにいくつかの例ではバルクカルコゲナイドの追加の層が除去されてよい。
【0095】
いくつかの実施態様は、カルコゲナイド上にサーマルエッチングが行われた後に、材料のカプセル化層を堆積することをさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、
図7の
図728dに示すように、サーマルエッチング洗浄操作が行われた後に、材料のカプセル化層736が、カルコゲナイド732およびマスク730上に堆積されてよい。カプセル化材料は、化学気相成長(「CVD」)、プラズマ励起CVD(「PECVD」)、原子層堆積(「ALD」)、減圧CVD、超高(ultra-high)CVD、物理蒸着(「PVD」)、およびコンフォーマル膜堆積(「CFD」)などの様々な技術を使用して堆積されてよい。一部のCVD処理は、膜前駆体および副生成物を形成する1以上のガス反応物をリアクタ内に流すことでウェハ表面上に膜を堆積してよい。前駆体は、ウェハによって前駆体が吸着されるウェハ表面に移送され、ウェハ内に拡散され、かつPECVDにおけるプラズマ生成によることを含む化学反応によってウェハ上に堆積される。一部の他の堆積処理は、複数の膜堆積サイクルを伴い、それぞれのサイクルが「別個の」膜厚を生成する。ALDはそのような膜堆積法の1つであるが、膜の薄層を配置し、かつ繰り返しの連続した方法で使用される任意の技術が、複数の堆積サイクルを伴うとみなされてよい。
【0096】
半導体産業において、デバイスおよびフィーチャの大きさが縮小し続け、また集積回路(IC)設計において3Dデバイス構造がより一般的になるにつれて、コンフォーマル薄膜(非平面であっても下層構造の形に対して均一の厚さを有する材料膜)を堆積する能力の重要性が増し続けている。ALDは、単一のALDサイクルが材料の単一薄膜のみを堆積するという事実から、コンフォーマル膜の堆積によく適した膜形成技術である。厚さは、膜形成化学反応自体に先立って基板表面に吸着し得る1以上の膜前駆体反応物の量(すなわち吸着制限層の形成)によって制限される。その後、複数の「ALDサイクル」が所望の厚さの膜を蓄積するために使用されてよく、各層は薄くコンフォーマルであるため、結果として生じる膜は、下層デバイス構造の形に実質的に一致する。特定の実施形態では、各ALDサイクルは、次のステップを含む:(1)基板表面の第1の前駆体への曝露、(2)基板が配置されている反応チャンバのパージ、典型的にはプラズマおよび/または第2の前駆体を用いた基板表面の反応の活性化、ならびに基板が配置されている反応チャンバのパージ。
【0097】
サーマルALDによる薄膜の堆積は、基板を昇温温度に加熱すること、基板を前駆体に曝露して基板の表面上に吸着すること、ならびに基板を1以上のガス反応物に曝露して1以上のガス反応物と前駆体との間の表面反応を促進することを含んでよく、したがってサーマルALDによって薄膜を形成する。具体的には、サーマルALDによって第1のシリコン酸化膜を堆積することは、基板を昇温温度に加熱すること、基板をケイ素含有前駆体に曝露して基板の表面上に吸着すること、ならびに基板を酸素含有反応物に曝露して酸素含有反応物とケイ素含有前駆体との間の反応を促進することを含んでよく、したがってサーマルALDによって第1のシリコン酸化膜を形成する。
【0098】
各ALDサイクルの持続時間は、典型的には25秒未満、または10秒未満、または5秒未満であってよい。ALDサイクルの1つまたは複数のプラズマ曝露ステップは、例えば1秒以下などの短い持続時間であってよい。プラズマは、例えば2秒、5秒、または10秒などの1秒より長い他の持続時間を有してよい。
【0099】
図8は、ALD処理によって基板上に材料の膜を形成する操作のシーケンス例のフローチャートを示す。
図8に見られるように、上記の項目1はブロック858に対応し、上記の項目2はブロック860に対応し、上記の項目3はブロック862に対応し、上記の項目4はブロック864に対応しする。4つのブロックは、N回サイクル実行され、その後処理は停止される。
【0100】
いくつかの例では、カプセル化材料は、窒化ケイ素または酸化ケイ素のように、ケイ素を含んでよい。いくつかの実施態様では、ケイ素含有前駆体は、アミノシランのように、シランを含む。アミノシランは、ケイ素原子に結合された少なくとも1つの窒素原子を含むが、水素、酸素、ハロゲン、および炭素も含有してよい。アミノシランの例としては、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、N-(ジエチルアミノシリル)-N-エチルエタンアミン(SAM-24)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(3DMAS)、およびテトラキス(ジメチルアミノ)シラン(4DMAS)が挙げられる。いくつかの実施形態では、他の材料がカプセル化層のために堆積されてよい。例えば、本明細書に記載のカプセル化層は、第4族元素の窒化物または炭化物を含んでよく、それらのいずれも(酸素などが)ドープされているか、ドープされていなくてもよい。様々な実施形態では、カプセル化層は、次の化学物質のいずれかまたはそれらのいずれかの組み合わせであってよい:窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、酸素がドープされた酸化ケイ素(SiCO)、窒化ゲルマニウム(GeN)、炭化ゲルマニウム(GeC)、および酸素がドープされた炭化ゲルマニウム(GeCO)。
【0101】
いくつかの実施態様では、
図8の操作862は、酸素(O
2)、オゾン(O
3)、過酸化水素(H
2O
2)、水(H
2O)、またはそれらの組み合わせなどの酸化剤ガスを含むことができる酸素含有反応物などの反応物を流すことを含んでよい。いくつかの実施態様では、基板を酸素含有反応物に曝露することは、水素および酸素を基板に流してプラズマ処理チャンバ内でその場で反応させ、発熱反応を引き起こすことを含む。いくつかの実施態様では、水素と酸素との間の反応によって、水がその場で生成され得ると信じられる。水蒸気は、始動反応物としてプラズマ処理チャンバ内に流されなくてもよく、プラズマ処理チャンバ内にその場で生成されてもよいし、されなくてもよい。本明細書において、「水素」を流すことは分子性の水素を流すことを指し、「酸素」を流すことは分子性の酸素を流すことを指す。水素および酸素は、プラズマ処理チャンバ内の基板に向かって同時に流されてよい。水素および酸素を伴う発熱反応は、吸着されたケイ素含有前駆体との表面反応を促進して第1のシリコン酸化膜を形成するために、エネルギを解放してよい。
【0102】
図8のALDサイクルの間、ウェハは、操作862の熱酸化中などのサイクル中に、適切な持続時間、酸素含有反応物に曝露され、昇温温度に曝されてよい。操作862の持続時間は、約0.1秒~約6秒の間、約0.2秒~約4秒の間、または約0.5秒~約3秒の間であってよい。基板は、酸素含有反応物に曝露されるのと同時に、昇温温度で作用していてもよい。いくつかの実施態様では、昇温温度は、約150℃~約750℃の間、約150℃~約500℃の間、約500℃~約650℃の間、または約550℃~約650℃の間であってよい。基板は、
図8におけるこれらの操作の1つ以上の間、約7Torr以上、約10Torr以上、約12Torr以上、または約10Torr~約20Torrの間などの増加されたチャンバ圧力にさらされてよい。
【0103】
吸着された前駆体への反応をプラズマを使用して引き起こすいくつかのALD処理では、プラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力は、比較的低く、約10mTorr~約200mTorrの間であってよく、あるいは比較的高く、約1Torr~約7Torrの間であってよい。RFフィールドをプラズマ処理チャンバに適用することで、酸素含有反応物のイオンおよびラジカルを生成する。様々な実施態様では、プラズマの生成に用いられるRF周波数は、少なくとも約13.56MHz、少なくとも約27MHz、少なくとも約40MHz、または少なくとも約60MHzであってよいが、他の周波数も用いてよい。いくつかの実施態様では、RF電力は数百ワットであってよく、例えば、約500W以下、約400W以下、または約300W以下であってよいが、基板面積に応じて他のRF電力が与えられてよいことが理解されよう。いくつかの実施態様では、プラズマ曝露フェーズの持続時間は、約0.1秒~約120秒の間、または約1秒~約60秒の間であってよい。
【0104】
ここで、RIEエッチングまたは他のイオン支援エッチング後の洗浄操作、ならびにバルクカルコゲナイド材料のエッチングに使用され得るカルコゲナイドの追加エッチング技術について論じる。
図9は、開示された実施形態に従い操作を行うための第3の処理フロー図例を示す。ブロック901、903、および905は、それぞれ上述の
図1におけるブロック101、103、および105と同じである。ブロック901から905の操作は、RIEエッチングまたは他のイオン支援エッチングの後に、RIEエッチングまたは他のイオン支援エッチングに代わってバルクカルコゲナイド材料の1以上の層をエッチングするために実行されてよい。ブロック905のエッチングは、
図2に示す2つとして、別々の改質操作および除去操作がパージ操作で分離されていることを含む、本明細書で提供されるいずれかの方法で実行してよい。また、ブロック905のエッチングは、上述のサーマルエッチングによる洗浄操作を表してよい。ここで、
図9では、ウェハ上にサーマルエッチングが実行された後に、ブロック911においてカプセル化材料がウェハ上に堆積される。このカプセル化は、ALDによることを含む本明細書で提供されるいずれかの方法で実行されてよく、材料は窒化ケイ素または酸化ケイ素など、ケイ素を含んでよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、サーマルエッチングおよびサーマルALEを含むエッチング操作は、1以上のエッチングチャンバ内で行われてよく、一方でカプセル化堆積が、ウェハ上に材料を堆積するように構成された堆積チャンバなどの別の処理チャンバ内で行われる。したがって、
図9の任意選択のブロック913に表されるように、ウェハは1以上のエッチングチャンバから堆積処理チャンバに搬送されてよい。いくつかの実施形態では、ウェハと、搬送先チャンバを含むチャンバとが真空または低圧、例えば、約1mTorr~約10Torrの間で維持されている間に、ウェハはチャンバ間を搬送されてよく、その結果、ウェハは、この搬送の間に大気圧に曝されない。
【0106】
例えば、1以上のエッチングチャンバおよび堆積チャンバは、真空または他の低圧で維持されてよく、ウェハは、1以上のエッチングチャンバから堆積チャンバへ、同じく真空または他の低圧で維持された1以上の搬送チャンバを介して搬送されてよい。この搬送の間、ウェハおよびエッチングされたカルコゲナイドは大気圧に曝されない。このような方法でウェハを搬送することは、エッチングされたカルコゲナイドが空気、酸素、または他の環境ガスに曝露される時間を有利に減少させ、それによってカルコゲナイドの不要な酸化を低減する、あるいは防ぐ。また、この搬送は、ポンプダウンステップ、およびウェハが真空と大気圧との間で搬送される際に行われる追加の搬送を省くことで、処理されたウェハのスループットを有利に増大させる。
【0107】
ウェハの搬送は、
図10を用いてさらに説明される。
図10は、開示された実施形態に係る第1の処理装置例を示す。ツール1000の追加の特徴について以下でより詳細に論じ、一部の記載の技術に関する様々な特徴についてここで論じる。ツール1000は、第1の処理チャンバ1002と、第2の処理チャンバ1004と、第3の処理チャンバ1006とを含む。いくつかの実施態様では、第1の処理チャンバ1002は、RIEまたはその他のイオン支援エッチングなどの、バルクカルコゲナイドのエッチングを含む、ウェハ上へのエッチング操作を行うように構成される。第2の処理チャンバ1004は、サーマルALEを含むサーマルエッチングを行うように構成される。また、第2の処理チャンバ1004は複数の処理ステーション(4つのステーション1080A~D)を含み、それぞれのステーションがウェハを処理してよい。第1および第2の処理チャンバ1002および1004は、エッチングチャンバと考えてよい。第3の処理チャンバ1006は、ウェハ上に堆積を行うように構成され、堆積チャンバと考えてよい。また、第3の処理チャンバ1006は複数の処理ステーション(4つのステーション1082A~D)を含み、それぞれのステーションがウェハを処理してよい。第2および第3の処理チャンバ1004および1006は、マルチステーション処理チャンバと考えてよい。
【0108】
また、ツール1000は、ツール1000内で1以上のウェハを搬送するように構成されたウェハ搬送ユニットを含む。例えば、ウェハが第1の処理チャンバ1002内でエッチングされた後、ウェハ搬送ユニットは、ウェハを、第1の処理チャンバ1002から、本明細書に記載のサーマルエッチングを1以上のウェハ上に実行してよい第2の処理チャンバ1004に搬送できる。この第2の処理チャンバ1004内でのサーマルエッチングに続いて、ウェハ搬送ユニットは、1以上のウェハを、第2の処理チャンバ1004から、カプセル化材料の1以上の層が1以上のウェハ上に堆積されてよい第3の処理チャンバ1006に搬送してよい。
【0109】
図10に図示される例では、ウェハ搬送ユニットは、第1のウェハ搬送モジュール1010内の第1のロボットアームユニット1008と、第2のウェハ搬送モジュール1014内の第2のロボットアームユニット1012とを含む。第1のロボットアームユニット1008は、ウェハを、第1の処理チャンバ1002と、第2のロボットアームユニット1012との間で搬送するように構成される。第2のロボットアームユニット1012は、ウェハを、第1のロボットアームユニット1008と、第2の処理チャンバ1004と、第3の処理チャンバ1006との間で搬送するように構成される。1つの実施態様では、ロボットアームユニット1008および1012のそれぞれが1つのアームを有してよく、別の実施態様では、それらのロボットアームユニットのそれぞれが2つのアームを有してよく、それぞれのアームが搬送のために基板をつまむエンドエフェクタ1224を有してよい。大気搬送モジュール(ATM)1022、例えば装置フロントエンドモジュール(EFEM)内のフロントエンドロボット1020が、カセットまたは前面開口一体型ポッド(FOUP)からエアロック1018へ基板を搬送するのに使用されてよい。
【0110】
第1および第2のウェハ搬送モジュールは、それぞれ真空搬送モジュール(VTM)であってよい。エアロック1018(ロードロックまたは搬送モジュールとしても知られる)が示され、種々の製作プロセスを行うために個別に最適化されてよい。また、ツール1000は、ツール1000の圧力を真空または低圧、例えば、約1mTorr~約10Torrの間に下げて、かつツール1000をこの圧力で維持するように構成された圧力ユニット1016を含む。これは、第1、第2、および第3の処理チャンバ1002~1006、第1のウェハ搬送モジュール1010、および第2のウェハ搬送モジュール1012を真空または低圧で維持することを含む。
【0111】
ウェハをツール全体にわたって搬送するとき、ウェハは真空または低圧で維持されている環境の範囲にあることができる。例えば、ウェハが第1の処理チャンバ1002から、第1のウェハ搬送モジュール1010内に、第2のウェハ搬送モジュール1014に、第2の処理チャンバ1004に搬送されるとき、ウェハは真空または低圧に曝され、かつ維持され、したがって大気圧に曝されない。同様に、ウェハが第2の処理モジュール1004から、第2のウェハ搬送モジュール1014、および第3の処理モジュール1006に搬送されるとき、ウェハは真空または低圧で維持され、大気圧に曝されない。
【0112】
さらなる例では、基板がFOUP1024の1つに配置され、フロントエンドロボット1020が、基板をFOUP1024からアライナへ搬送し、それによって、エッチングされる、またはその上に堆積される、または他様に処理される前に、基板が適切にセンタリングされることを可能にする。整列された後、基板はフロントエンドロボット1020によってエアロック1018内に移動される。エアロックモジュールは、ATMとVTMとの間の環境を整合する能力を有するため、基板は、2つの圧力環境の間を損傷なく移動できる。基板は、第1のロボットアームユニット1008によって、エアロックモジュール1018から第1のウェハ搬送モジュール1010あるいはVTM1010を介して第1の処理チャンバ1002内に移動される。この基板の移動を実現するために、第1のロボットアームユニット1008は、そのそれぞれのアーム上のエンドエフェクタを使用する。
【0113】
図10のツール1000を使用するいくつかの実施態様では、エッチング操作は2つ以上の処理チャンバ内で行われてよい。例えば、RIEまたは他のイオン支援エッチングなどのエッチング操作を処理チャンバ1002内で行い、一方でサーマルALEなどのサーマルエッチングを第2の処理チャンバ1004などの異なる処理チャンバ内で行ってよい。2つの異なるエッチング処理チャンバを使用することによって、ウェハ上への異なるエッチング技巧を用いることを可能としてよい。例えば、バルクカルコゲナイドのエッチングを第1の処理チャンバ1002内で行い、かつサーマルエッチング洗浄操作を第2の処理チャンバ1004内で行ってよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、カルコゲナイドを除去するためにRIEエッチングまたは他のイオン支援エッチングを使用するのに替えて、バルクカルコゲナイドをエッチングするためにサーマルエッチングを使用してよい。RIEまたはイオン支援エッチングが実施されないため洗浄操作が不要であり得る点を除いて、バルクカルコゲナイドのサーマルエッチングに関する技術は、
図1~6、8、および9などの上述したものと同じであってよい。例えば、
図9を再び参照し、ブロック901は、ウェハをサーマルALEなどのサーマルエッチング用に構成された処理チャンバに提供することを含んでよい。その後、ブロック903および905が、バルクカルコゲナイドをエッチングするために実行されてよく、これは、上述および
図1~6に示すように複数のサーマルALEサイクルを実行することを含んでよい。ブロック905のサーマルエッチングに続き、ウェハは、ブロック913において堆積チャンバに搬送されてよく、そこでは、ブロック911においてカプセル化材料がウェハ上に堆積される。
【0115】
バルクカルコゲナイドをエッチングするとともに、損傷および/または酸化したカルコゲナイドの一部をエッチングするために、一部の本明細書で提供されるサーマルエッチングは、カルコゲナイドの複数の層を同時にエッチングするなど、多層のエッチングを含んでよい。これは、材料のスタック内に位置するカルコゲナイドの複数の層を含んでよい。例えば、ウェハは複数のトレンチ、穴、ビアを有してよく、それらのそれぞれが、材料の複数の層および異なる表面形状を有する側壁を備えている。多様なデバイスを形成するために、カルコゲナイド材料は、これらのトレンチ、穴、またはビア内に、本明細書に記載されるサーマルエッチングの等方性の性質を有して堆積されてよい。カルコゲナイド材料は様々な構造内でエッチング可能である。
【0116】
カルコゲナイド材料の複数の層のエッチングは、カルコゲナイド層をエッチングするさらに別の処理フロー例を示す
図11に図示される。ここで、ウェハ1134の1つのフィーチャ1152の部分断面図が示され、フィーチャは、例えばトレンチ、穴、またはビアであってよい。フィーチャ1152の側壁1150Aおよび1150Bのそれぞれは、金属1154(クロスハッチングで示す)および誘電体1156などの複数の材料を含む。カルコゲナイド材料1158(シェーディングで示す)の層は、フィーチャ1152内であり、かつ側壁1150Aおよび1150Bの材料1154および1156の表面に堆積される。
【0117】
カルコゲナイド材料1158の複数の層を除去するためにバルクカルコゲナイド材料1158のサーマルエッチングが実行されてよく、これは、カルコゲナイド材料1158の複数の層を同時にエッチングすることを含む。サーマルエッチングが等方性かつ無指向性であるため、カルコゲナイド材料1158のサーマルエッチングは、フィーチャ1152の各エリア、オーバーハング、リセス、および他の形状エリア内でのエッチングが可能である。
図1128aでは、サーマルエッチングは、バルク、モノリシックカルコゲナイド1158の層を含んでよい、フィーチャ1152のギャップ1164内のカルコゲナイド1158の複数の層を除去してよい。カルコゲナイド1158がギャップ1164から除去されると、カルコゲナイドは、フィーチャの種々のエリア内における別個の離れた材料部分として存在してよい。例えば
図1128aでは、点線の四角形に囲まれたエリア1160A、1160B、および1160Cが、それぞれその中にカルコゲナイド1158の別個の部分を有する。RIEエッチングなどの指向性エッチングでは、これらのエリア内のカルコゲナイドのエッチングが不可能である。しかしながら、サーマルエッチング技巧は、これらのエリア内のカルコゲナイド1158の各層に達して同時にエッチングすることができる。
図1128bでは、カルコゲナイド1158が各エリア内でエッチバックされており、複数の層を同時にエッチングすることを含む。いくつかの例では、各エリア内のカルコゲナイド1158の各部分は、カルコゲナイド1158の1つの層であると考えてよい。
【0118】
上記と同様に、カルコゲナイド材料1158がエッチングされた後、
図1128cに示すように、カプセル化材料1162(濃いシェーディングで示す)が、ALDを使用してその上に堆積される。ALDはコンフォーマルな堆積であるため、カプセル化材料1162は、フィーチャ1152内の多様な表面形状の上に堆積可能である。
【0119】
様々な装置を用いてバルクカルコゲナイドのサーマルエッチングを行ってよい。例えば、
図10のツール1000では、このサーマルエッチングのために第2の処理チャンバ1004を使用し、かつカプセル化材料の堆積のために第3の処理チャンバ1006を使用してよい。別の例では、2つの処理チャンバを備える装置が使用されてよい。
図12は、開示された実施形態に係る第2の処理装置例を示す。ツール1200は、第1の処理チャンバ1202と、第2の処理チャンバ1204とを含む。このツール1200は、
図10の第1の処理チャンバ1000を含まない。第1の処理チャンバ1202は、複数の処理ステーション(4つのステーション1280A~D)を含み、それぞれのステーションがウェハを処理してよい。第1の処理チャンバ1202は、バルクカルコゲナイド材料のサーマルALEなどのサーマルエッチングを含むサーマルエッチング操作をウェハ上に行うように構成される。第2の処理チャンバ1204は、ウェハ上に堆積を行うように構成され、堆積チャンバと考えてよい。また、第2の処理チャンバ1204は、複数の処理ステーション(4つのステーション1282A~D)を含み、それぞれのステーションがウェハを処理してよい。第1および第2の処理チャンバ1202および1204は、マルチステーション処理チャンバと考えてよい。いくつかの実施形態では、処理チャンバ1202および1204は、
図10の処理チャンバ1004および1006と同じであってよい。
【0120】
また、ツール1200は、1以上のウェハをツール1200内で搬送するように構成されたウェハ搬送ユニットを含む。ツール1200の追加の特徴について以下でより詳細に論じ、記載の技術の一部に関する様々な特徴についてここで論じる。図示の例では、ウェハ搬送ユニットは、第1のウェハ搬送モジュール1210内の第1のロボットアームユニット1208と、前面開口一体型ポッド(FOUP)1216などのウェハ用容器を受け取るように構成された装置フロントエンドモジュール(EFEM)と考えてよい、第2のウェハ搬送モジュール1214内の第2のロボットアームユニット1212とを含む。第1のロボットアームユニット1208は、第1の処理チャンバ1202と第2の処理チャンバ1204との間、ならびに第2第2のロボットアームユニット1212の間でウェハを搬送するように構成される。第2のロボットアームユニット1212は、FOUPと第1のロボットアームユニット1208との間でウェハを搬送するように構成される。第1の処理チャンバ1202内で、ウェハが、サーマルALEなどのサーマルエッチングを利用してエッチングされた後、ウェハ搬送ユニットは、第1の処理チャンバ1202から、カプセル化材料の1以上の層が1以上のウェハ上に堆積され得る第2の処理チャンバ1204にウェハを搬送できる。
【0121】
上記と同様に、第1の搬送モジュール1210は、真空搬送モジュール(VTM)であってよい。エアロック1220(ロードロックまたは搬送モジュールとしても知られる)が示され、種々の製作プロセスを行うために個別に最適化されてよい。また、ツール1200は、ツール1200の圧力を真空または低圧、例えば、約1mTorr~約10Torrの間に下げて、かつツール1200をこの圧力で維持するように構成された圧力ユニット1216を含む。これは、第1および第2の処理チャンバ1202および1204、ならびに第1のウェハ搬送モジュール1210を真空または低圧で維持することを含む。第2のウェハ搬送モジュール1214は、大気圧など異なる圧力であってよい。ウェハをツール1200全体にわたって搬送するとき、ウェハはしたがって真空または低圧で維持される。例えば、ウェハが第1の処理チャンバ1202から第1のウェハ搬送モジュール1210内、および第2の処理チャンバ1204に搬送されるとき、ウェハは真空または低圧で維持され、大気圧に曝されない。
【0122】
さらなる例では、基板は、FOUP1218の1つに配置され、第2のロボットアームユニット1212またはフロントエンドロボットが、基板をFOUP1218からアライナに搬送し、それによって、エッチングされる、またはその上に堆積される、または他様に処理される前に、基板が適切にセンタリングされることを可能にする。整列された後、基板はフロントエンドロボット1212によってエアロック1220内に移動される。エアロックモジュールは、ATMとVTMとの間の環境を整合する能力を有するため、基板は2つの圧力環境の間を損傷なく移動できる。基板は、第1のロボットアームユニット1208によって、エアロックモジュール1220から第1のウェハ搬送モジュール1210あるいはVTM1210を介して第1の処理チャンバ1202内に移動される。この基板の移動を実現するために、第1のロボットアームユニット1208は、そのそれぞれのアーム上のエンドエフェクタを使用する。
【0123】
カプセル化材料の堆積は異なる方法で行われてよく、それらのいくつかをここで説明する。再び
図9を参照し、例えば、ツール1000の第3の処理チャンバ1006またはツール1200の第2の処理チャンバ1204などの堆積チャンバ内にウェハがある状態で、ブロック911毎にカプセル化材料がウェハ上に堆積されてよい。いくつかの実施態様では、このカプセル化材料が堆積される前に、ツール1000の第2の処理チャンバ1004またはツール1200の第1の処理チャンバ1202などのサーマルエッチングチャンバ内にウェハがある状態で、別のカプセル化材料がウェハ上に堆積されてよい。
【0124】
図13は、開示された実施形態に応じた別の技術を示す。ここで、ブロック1301、1303、および1305は、
図9のブロック901、903、および905、ならびに
図1のブロック101、103、および105と同じである。ブロック1305のエッチングは、
図2に示す2つとして、別々の改質操作および除去操作がパージ操作で分離されていることを含む、本明細書で提供されるいずれかの方法で実行してよいことが理解されるだろう。また、ブロック1305のエッチングは、上述のサーマルエッチングによる洗浄操作を表してよい。
【0125】
ブロック1315では、サーマルエッチングの後であって、かつウェハがエッチングチャンバ内に残されている間に、第1のカプセル化材料がウェハ上に堆積される。この堆積は、第1のカプセル化材料を堆積するために、エッチングで使用される第1または第2の化学種の一方とともに、1以上の追加の成分を使用してよい。いくつかの実施態様では、ウェハ温度または処理チャンバ圧力などの処理条件の少なくともいくつかは、エッチングで使用するそれらの条件と同じままであってよい。いくつかの実施態様では、GSTなどの下層のカルコゲナイドを良好に保護し得る、アルミニウムを含む第1のカプセル化材料を堆積してよい。第1のカプセル化材料は、例えば酸化アルミニウムまたはフッ化アルミニウムを含む。
【0126】
1つの例では、操作1305のエッチングは、DMACを含む第2の化学種を含んでよい。操作1315における堆積は、ウェハ上に、DMACを有する第2の種を流し、かつ水蒸気などの第3の化学種を流して酸化アルミニウムを堆積させてよい。水蒸気および処理条件は、DMACの酸化アルミニウムへの変換を引き起こし、さらにALDによってウェハ上に酸化アルミニウムを堆積させる。別の例では、第2の種は、ウェハ上に水蒸気などの第3の化学種とともにウェハ上に流されて酸化アルミニウムを堆積するTMAを有してよい。水蒸気は、同じく、ALDによってウェハ上に堆積される酸化アルミニウムにTMAを変換する。堆積のための活性化エネルギは、プラズマを使用せず、ウェハおよび処理チャンバの熱エネルギによって提供される。プラズマではなく熱エネルギを用いるALD堆積は、サーマルALDと考えてよい。したがって、ブロック1315のいくつかの実施態様は、サーマルALDを用いて第1のカプセル化材料を堆積する。
【0127】
エッチングが行われたチャンバ内で第1のカプセル化材料が堆積された後、ブロック1313および1311を実行することでウェハを堆積処理チャンバに搬送し、そこでさらなる堆積を行ってよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、2つの異なるカルコゲナイドがウェハ上でエッチングされてよい。
図14は、開示された実施形態に応じたさらに別の技術を示す。ブロック1401では、処理チャンバに提供されたウェハは2つの異なるカルコゲナイドを含み、チャンバ内に配置されると、
図1のブロック103に関して記載のように、ブロック1403においてウェハが第1の温度に加熱される。ブロック1405では、フッ化物または塩化物を有する第1の化学種を用いて第1のカルコゲナイドの表面を改質し、したがってフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドの第1の層を生成することと、フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドの第1の層を、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含有する第2の化学種を用いて除去することとを含み、本明細書に記載するように第1のカルコゲナイドをエッチングする。ブロック1405のエッチングは、
図2に示す2つとして、別々の改質操作および除去操作がパージ操作で分離されているとともに、複数サイクルでの除去を含む、本明細書で提供されるいずれかの方法で実行してよいことが理解されるだろう。また、ブロック1405のエッチングは、上述のサーマルエッチングによる洗浄操作を表してよい。
【0129】
ブロック1405のエッチングの後、ブロック1407において、ウェハは処理チャンバから堆積チャンバに搬送される。この搬送は、
図9のブロック913に関して、ならびに
図10に示したものなど、上述のものと同じであってよい。堆積チャンバ内に配置されると、
図9のブロック911に関してなど上述のものと同様に、ブロック1409において、堆積チャンバ内にウェハがある状態で第1のカプセル化材料がウェハ上に堆積される。
【0130】
この堆積の後、ブロック1411に示すように、ウェハはさらなるエッチングのために処理チャンバに戻されてよい。いくつかの他の実施形態では、ウェハは異なる処理のために1以上の他の処理チャンバに搬送され、その後ウェハはエッチングのための処理チャンバに搬送されてよい。処理チャンバまたはエッチングチャンバ内に配置されると、ブロック1413において、ウェハはブロック1403と同様に第1の温度に加熱され、ブロック1415に示すように、第2のカルコゲナイド層がエッチングされる。いくつかの実施形態では、他のRIEまたは他のイオン支援エッチングが実行されてよく、かつブロック1415のエッチングが洗浄操作であってよく、他の実施態様では、エッチングはバルクカルコゲナイド材料のエッチングであってよい。
【0131】
ブロック1415のエッチングは、フッ化物または塩化物を有する第1の化学種を用いて第2のカルコゲナイドの表面を改質し、したがってフッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドの第1の層を生成することと、フッ素化されたカルコゲナイドまたは塩素化されたカルコゲナイドの第2の層を、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を含有する第2の化学種を用いて除去することとを含む。ブロック1415のエッチングは、
図2に示す2つとして、別々の改質操作および除去操作がパージ操作で分離されているとともに、複数サイクルでの除去を含む、本明細書で提供されるいずれかの方法で実行してよいことが理解されるだろう。また、ブロック1415のエッチングは、上述のサーマルエッチングによる洗浄操作を表してよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、第1の温度、第1の化学種、および第2の化学種が、第1のカルコゲナイド材料および第2のカルコゲナイド材料の両方をエッチングするために使用されてよい。いくつかの他の実施形態では、第1および第2のカルコゲナイドのエッチングにおいて、これらの項目のうちの1つ以上が異なっていてよい。例えば、第1のカルコゲナイドをエッチングするために使用される第1の種はフッ素を含んでよく、一方で第2のカルコゲナイドをエッチングするために使用される第1の種は塩素を含んでよい。別の例では、第1のカルコゲナイドをエッチングするために使用される第2の種はDMACを含んでよく、一方で第2のカルコゲナイドをエッチングするために使用される第2の種はTMAを含んでよい。
【0133】
ブロック1415の後、ブロック1419におけるウェハ上への第2のカプセル化材料の別の堆積のために、ブロック1417において、ウェハは処理チャンバから堆積チャンバに再び搬送されてよい。カプセル化堆積は本明細書で提供されるものと同じでよい。いくつかの実施形態では、第1のカルコゲナイドおよび第2のカルコゲナイド上に堆積されるカプセル化材料は同じであってよく、他の実施形態では、それらは異なっていてよい。
【0134】
図14の技術が、2つのカルコゲナイドをエッチングする処理フロー例を示す
図15にさらに示される。この例では、
図1528aは、ハードマスク1530を含む材料のスタックを有するウェハ1534を含む。ハードマスク1530は第1のカルコゲナイド1532上に堆積され、第1のカルコゲナイド1532は別のマスクであり得る別の材料の層1538上に堆積され、それに第2のカルコゲナイド1540が続いてよい。この
図1528aおよび
図15は本明細書における概念を例示したものであり、材料のスタックの全ての層を含むことを意図していない。
図1528aは、
図14のブロック1401と対応してよい。
図1528bでは、第1のカルコゲナイド1532はエッチングされており、この図は、
図14のブロック1403および1405と対応してよい。また、エッチングは、
図1528aと1528bとの間に生じる第1のカルコゲナイド材料1532の幅1535Aの減少として図示され、
図1528bでは幅1535Bがより小さい。この第1のカルコゲナイド材料1532のエッチングに続いて、ブロック1409に関して記載のように、ハードマスク1530および第1のカルコゲナイド1532上に第1のカプセル化材料1536の層が堆積される。
【0135】
この第1のカプセル化材料1536が堆積された後、
図1528dに示されてブロック1413および1415に関して記載のように、第2のカルコゲナイド1540をエッチングする別のエッチング処理が行われてよい。また、エッチングは、
図1528cと1528dとの間に生じる第2のカルコゲナイド材料1540の幅1527Aの減少として図示され、
図1528dでは幅1527Bがより小さい。その後、第2のカプセル化層1542が、エッチングされた第2のカルコゲナイド材料1540上に、ならびにいくつかの例では
図1528eに示すように第1のカプセル化材料1536上に堆積される。第2のカプセル化材料1442は、点線の境界線をもつシェーディングによって示される。
図1528eは、
図14のブロック1419と対応する。
【0136】
本明細書に記載の技術および装置は、数多くの恩恵と利点を提供する。例えば、RIEエッチングまたは他のイオンベースのエッチングの後に洗浄操作を行うためにサーマルエッチングを用いることは、ウェット洗浄操作の省略を可能にし、それによって数多くの恩恵をもたらす。そのような恩恵のいくつかとしては、ウェハを真空環境からウェット洗浄のために大気へ、そして再び真空環境へ搬送することがなく、したがってウェハを真空に保持し、カルコゲナイドの不要な酸化を防ぐまたは低減する、ならびに処理時間を減少させることでウェハのスループットを向上させることが挙げられる。さらに、ウェット洗浄操作のための液体送達システムが装置には不要であり、したがってツールの設置面積が減る、システムのメンテナンスが減る、ならびにそのようなシステムや液体を必要としないことによって費用が減少する。また、追加の恩恵としては、ウェット洗浄操作によってカルコゲナイドおよびウェハに生じ得る、液体表面張力による構造崩壊などの損傷を減らすまたは排除し、表面改質反応物が必要ないことが挙げられる。
【0137】
また、本明細書で提供される熱技術は、単層またはサブ単層スケールでのエッチングによって正確な量のカルコゲナイドを除去することを可能にし、それによって均一なエッチングを提供する。上述のように、これらのサーマルエッチング技術は等方性であるため、複雑な表面形状であっても、見通し内あるいは指向性エッチングを必要とすることなくエッチングし得る。
【0138】
また、本明細書で提供される装置は、マルチステーションチャンバ内でのエッチングおよびカプセル化材料の堆積を含むウェハの処理が可能であることによって、複雑性を低減する、ならびにウェハのスループットを向上させる。
【0139】
追加の装置:
本開示は上述ならびに本明細書で以下に記載の装置を含む。ここで
図16を参照し、本開示に係る、材料をエッチングするための基板処理チャンバの例を示す。特定の基板処理チャンバが示され、説明されるが、本明細書に記載の方法は他の種類の基板処理システム上に実装されてよい。
図16は、サーマル原子層エッチングを含む開示された実施形態に応じた半導体処理のための装置例1620を示す。この装置1620は、処理チャンバ1622と、プロセスガスユニット1624と、基板加熱ユニット1626と、基板冷却ユニット1628とを含む。処理チャンバ1622は、少なくとも部分的にチャンバ内部1632(プレナム容積と考えてよい)の境界を示し、かつ画定するチャンバ壁1630を有する。
【0140】
プロセスガスユニット1624は、反応物、改質分子、変換分子、または除去分子などの液体および/またはガスを含み得るプロセスガスを、チャンバ内部1632内の基板1634上に流すように構成される。また、プロセスガスユニット1624は、第1のプロセスガスを基板1634上に流すように構成された穴、ノズル(うち2つが図示される)、またはシャワーヘッドなどの1以上のフロー機能部1642を含む。1以上のフロー機能部1642は、チャンバ内部1632内の上方、下方、側方、またはそれらの位置の組み合わせに配置されてよく、例えば処理チャンバの壁、上部、および下部などである。プロセスガスユニット1624は、チャンバ内部1632への送達のためにプロセスガスを調合および/または調節するための混合容器を含んでよい。1以上の混合容器入口弁がプロセスガスの混合容器への導入を制御してよい。
【0141】
プロセスガスユニット1624は、第1のプロセスガス源1636と、第1のプロセス液体源1638と、第1の液体をガスに気化し得る気化点(図示せず)と、キャリアガス源1640とを含んでよい。一部の反応物が、気化に先立って、かつ処理チャンバ1622への送達後に、液体の形態で保持されてよい。いくつかの実施形態では、第1のプロセスガスは、プラズマを使用することなく基板上の材料の1以上の層を改質するように構成された塩素またはフッ素を含んでよい。第2のプロセスガスは、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、またはゲルマニウムである中心原子と、少なくとも1つの塩素とを有する化合物を、上述のように第2の処理チャンバにおけるウェハ上に含んでよい。
【0142】
いくつかの実施態様では、気化点は、加熱液体注入モジュールであってよい。いくつかの他の実施態様では、気化点は、加熱気化器であってよい。いくつかの他の実施形態では、蒸気は、液体試薬を含む容器の上方を真空にすることによって生成されてよい。さらに他の実施態様では、気化点は、処理ステーションから排除されてよい。いくつかの実施態様では、気化およびチャンバ内部1632への送達のための液体質量流量を制御するために、液体流コントローラ(LFC)が気化点の上流に設けられてよい。キャリアガス源1640は、プロセスガスとともに流され得る1以上のキャリアガスまたは液体を含み、これらはN2、Ar、Ne、Heのような不活性ガスであってよい。また、装置1620は、ポンピングによってチャンバ内部を、例えば1mTorrまたは10Torrの圧力を有する真空などの低圧にするよう構成された真空ポンプ1633を含んでよい。
【0143】
チャンバ内部1632は、チャンバ内で基板1634を支持および熱的に浮かせるように構成された基板支持機能部1635を含む。基板支持機能部1635は、チャンバ内部1632内で基板1634を支持する、例えばクランプ、水平ピンまたは支持体、垂直ピンまたは支持体、ならびに半円形リングを含んでよい。これらの機能部は、基板1634の熱質量が基板のみの熱質量までできるだけ減少するように基板1634を支持するように構成される。したがって、それぞれの基板支持機能部1635は、基板1634との接触が最小限であってよく、かつ処理の間に基板を適切に支持するために(例えば、基板の重量を支持して基板の非弾性変形を防ぐために)必要とされる最小数の機能部であってよい。例えば、基板と接触する1つの基板支持機能部1635の表面積は、基板裏面の全表面積の約1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%未満であってよい。また、例えば2、3、または4つの機能部が利用されてよい。
【0144】
1つの例では、支持機能部1635は、垂直の縦方向軸に沿って巻かれるか、螺旋状になった溝を有し、かつ異なる距離で縦方向軸からオフセットされ、基板を支持するように構成された、2つ以上の垂直ピンを含んでよい。垂直ピンがその縦方向軸に沿って回転して基板のエッジが溝内に位置すると、溝のエッジ、したがって基板のエッジが縦方向軸から遠ざかるように動く。複数の垂直ピンを使用して基板を支持する場合、垂直ピンの回転により、溝は縦方向軸に対して垂直方向の支持力を基板に加える。
【0145】
いくつかの実施形態では、チャンバ1622は、基板リフトピンを含むウェハ支持台座を含んでよい。サーマルALE処理の間、リフトピンは、台座と基板との間で熱エネルギの伝達が実質的に生じないように(例えば、両者間のエネルギ伝達の10%、5%、1%、0.5%、または0.1%未満)、台座から離して基板を支持および位置決めしてよい。いくつかの他の実施形態では、チャンバ1622は台座を有さなくてよい。いくつかの実施形態では、約20℃~500℃の間などの本明細書で提供される温度に基板を加熱するよう構成された基板加熱ユニット1626を含む静電チャック(ESC)が使用されてよい。
【0146】
基板加熱ユニット1626は、基板を複数の温度に加熱し、かつ、例えば、少なくとも1秒、5秒、10秒、30秒、1分、2分、または3分間、そのような温度を維持するように構成される。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット1626は、少なくとも2つの温度範囲の間で基板を加熱するように構成され、第1の範囲は約20℃~150℃の間であり、第2の範囲は約200℃~600℃の間であり、かつ基板をこれらの範囲内の温度で、例えば、少なくとも1秒、5秒、または10秒間維持するように構成される。加えて、いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット1626は、基板を第1の温度範囲から第2の温度範囲に、例えば、約250ミリ秒、150ミリ秒、100ミリ秒、または50ミリ秒未満で加熱するように構成される。
【0147】
基板加熱ユニット1626は、放射加熱、対流加熱、レーザ加熱、プラズマ加熱、固体間伝熱(例えば、加熱された静電チャックまたは台座内の1以上の加熱素子によって発生した熱を、そのチャックまたは台座によって、もしくはその上に支持された基板に伝達すること)、またはこれらの項目の組み合わせを利用してよい。放射加熱において、基板加熱ユニット1626は、放射光加熱、紫外線加熱、マイクロ波加熱、高周波加熱、および誘導加熱のために使用されてよい。例えば、基板加熱ユニット1626は、400ナノメートル(nm)~800nmの間の範囲を含み得る波長を有する可視光を発する発光ダイオード(LED)を含んでよい。また、これは、例えばヒートランプ、発光ダイオード(例えばLED)、セラミックヒータ、石英ヒータ、または光エネルギ源に接続された複数の屈折率分布型(GRIN)レンズを含んでよい。GRINレンズは、光エネルギ源から基板に熱エネルギ(熱または光)を均一に送達するように構成されている。光源は、光ファイバーケーブルなどの導管を通して熱エネルギをGRINレンズに伝達するレーザまたは高強度光源であってよい。基板加熱ユニット1626によって利用される加熱素子は、基板1634の上方、下方、側方、またはそれらを組み合わせた位置に配置されてよく、ならびにチャンバ内部1632の内側、外側、またはその両方に配置されてよい。
図16では、基板加熱ユニット1626により利用される加熱素子は、基板1634の上方および下方の両方に配置された複数のLED1626Aを含む。下方の加熱素子は、チャンバ内部1632の内側に配置され、上方の加熱素子は、チャンバ内部1632の外側に配置される。いくつかの実施形態では、チャンバ1622の外側に配置された加熱素子のいくつかに対し、チャンバ1622は、放射がチャンバ内部1632内かつ基板1634上に伝達されることを可能にする窓1654を有してよい。いくつかの実施形態では、この窓1654は、光学グレード石英プレートであってよく、他の実施形態では、透明酸化インジウムスズ(ITO:transparent indium tin oxide)窓であってよい。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット1626は、基板1634の下のみに配置され得る複数のLED1626Aを含み、これは窓を含み得る台座またはESCの内部であることを含んでよく、LEDによって発せられた光が窓を通って基板の裏面に到達してよい。
【0148】
固体間伝熱において、基板加熱ユニット1626は、チャンバ内部で基板と接触し、かつ加熱するように構成された1以上の加熱表面を有してよい。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット1626は、平らな表面または基板台座表面などの加熱プラテンを有してよく、加熱プラテンは、基板の裏面に接触し、かつ基板を加熱するように構成される。この加熱プラテンは、加熱プラテンの表面を加熱し得る加熱コイル、加熱流体、または上述の放射加熱などの加熱素子を有してよい。基板は、基板の裏面が加熱プラテンと直接接触している場合、または加熱プラテンからオフセットしているが加熱プラテンから熱エネルギを受けとるのに十分に近い場合に加熱されてよい。この固体間伝熱を使用して基板を加熱する場合、基板を冷却するときには基板を加熱プラテンから離す。一部の従来のALE装置は、加熱および冷却素子の両方を含む基板台座を有する場合がある。しかしこれらの装置では、繰り返し加熱および冷却される台座の大きな熱質量により、サーマルALEの温度間で素早く(例えば250ミリ秒未満)サイクルを成すことができない。例えば、台座を第1の温度範囲(例えば20℃~100℃)から第2の温度範囲(例えば200℃~500℃)まで加熱し、かつ台座を第2の温度範囲から、基板を第1の温度範囲まで冷却できるより低い温度まで冷却するには、複数秒または複数分かかる場合がある。したがって、この固体間加熱技術を使用した後、加熱プラテンと基板とは互いに分離され、これは、例えば基板および/または加熱プラテンを互いに遠ざけるように動かすことによって達成されてよい。この分離がなければ、基板および加熱プラテンの両方の熱質量について冷却が生じ、それによって冷却時間が増加して基板のスループットが低減する。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニットおよび冷却用のペルチェ素子を有するESCまたは台座が、短い加熱および冷却時間(基板を所望の温度に冷却するために約30秒など)を可能にしてよい。いくつかの実施形態では、これは例えば50mTorr未満を含む1Torr未満などの低圧で行われてよい。
【0149】
図16の基板冷却ユニット1628は、能動的に基板を冷却するように構成される。いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット1628は、冷却ガスを基板1634上に流し、基板1634を能動的に冷却する。基板冷却ユニット1628は、冷却流体(ガスまたは液体)を含み得る冷却流体源1648と、所望の温度、例えば0℃、-50℃、-100℃、-150℃、-170℃、-200℃、および-250℃以下などに冷却流体を冷却するように構成されたクーラ1650とを含んでよい。基板冷却ユニット1628は、管と、冷却剤流体をチャンバ内部1632に流すように構成された冷却剤フロー機能部1652、例えばノズルまたは穴とを有する。いくつかの実施形態では、例えば、チャンバ内部1632が例えば1Torrなどの低圧状態である場合、流体は、チャンバ1622に流されるときは液体の形態でよく、チャンバ内部1632に達するときに気体の形態となってよい。冷却流体は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性元素であってよい。いくつかの実施形態では、冷却流体のチャンバ内部1632への流量は、例えば、少なくとも毎秒10リットル、毎秒50リットル、毎秒100リットル、毎秒150リットル、毎秒200リットル、毎秒250リットル、および毎秒300リットルであってよい。
【0150】
様々な要因によって、基板を冷却する冷却流体の能力が増大し得る。様々な実験を通じて、冷却流体の流量が高いほど、基板の冷却が速くなることが明らかになっている。1つの実験例では、毎秒1リットルの流量で基板上に流された約-196℃の冷却ガスは、基板の温度を約5,000ミリ秒で約220℃から約215℃に下げることが分かり、一方で、同じ冷却ガスの毎秒10リットルの流量では、基板の温度を約5,000ミリ秒で約220℃から約195℃に下げた。また、基板とチャンバの上部との間のギャップ(
図17の1786)もまた基板の冷却に影響を与える場合があり、ギャップが小さいほど冷却が大きくなることが分かった。1つの例では、約50マイクロメートルのギャップによりチャンバの上部から離された基板は、約-196℃の冷却ガスを用いて、約5,000ミリ秒で約220℃から約215℃に冷却され、一方で約5ミリメートルのギャップによりチャンバの上部から離された基板は、同様の冷却ガスを用いて、約5,000ミリ秒で約220℃から約209℃に冷却されることが明らかになった。したがって、流量が高いほど、ならびにギャップが小さいほど、基板が速く冷却されることが明らかになった。
【0151】
いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット1628は、固体間伝熱を使用して能動的に基板1634を冷却してよい。これらの実施形態のいくつかでは、平らで、冷却された表面などの冷却プラテンが、基板の底部に接触して基板を冷却するために使用されてよい。このプラテンは、プラテンの上、中、または下に冷却流体を流すことで冷却されてよい。この固体間冷却を使用する場合、上述の固体間加熱と同様に、基板は、例えばリフトピンで基板を持ち上げることで基板を冷却プラテンから遠ざけるように動かすことなどによって、基板の加熱中に冷却プラテンから分離される。この分離がなければ、基板および冷却プラテンの両方の熱質量が冷却され、より多くの冷却を要し、その結果処理時間が増加してスループットが低減する。いくつかの実施形態では、基板上部の放射加熱、または基板底部のプラズマ加熱が、固体間冷却と組み合わせて使用されてよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット1628は、レーザ冷却を使用して基板を冷却してよい。これによって、逆ナビエ・ストークス(Navier-Stokes)反応を利用して、基板の少なくとも露出面上にツリウム分子を含む基板を冷却できる。例えば、基板の温度はフォノンに現れ、レーザ冷却は基板表面にフォノンを放出し、このフォノンは、ツリウムのフォノンと相互作用し、かつそれをピックアップし、その後より高いエネルギレベルでツリウムからのフォノンとともに基板から離れる。これらのフォノンの除去は、基板温度の低下をもたらす。このレーザ冷却を可能にするために、基板の表面上にツリウムがドープされてよく、このドープは、除去操作などの任意の操作の後または前に行われるなど、上述の技術に組み込まれてよい。
【0153】
上述のように、装置のいくつかの実施形態は、チャンバ内部でプラズマを生成するように構成されたプラズマ源を含んでよい。これらのプラズマ源は、容量結合プラズマ(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、上方リモートプラズマ、および下方リモートプラズマであってよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置は、本明細書に記載の技術を実行するために装置の様々な態様を制御するように構成されたコントローラを含んでよい。例えば、
図16では、装置1620は、処理チャンバと通信可能に接続し、処理チャンバの一部または全ての操作を制御するコントローラ1666(1以上のフィジカルまたはロジカルコントローラを含んでよい)を含む。システムコントローラ1666は、1以上のメモリデバイス1668と、1以上のプロセッサ1670とを含んでよい。いくつかの実施形態では、開示された実施形態が行われる場合、装置は、例えば、流量および持続時間、基板加熱ユニット、基板冷却ユニット、チャンバ内での基板の搬出入、基板の熱的な浮遊、ならびにプロセスガスユニットを制御するためのスイッチングシステムを含む。いくつかの実施形態では、装置は、最大約500msまたは最大約1650msのスイッチング時間を有してよい。スイッチング時間は、フローケミストリ、選択されたレシピ、リアクタアーキテクチャ、および他の要因に依存してよい。
【0155】
いくつかの実施態様では、コントローラ1666は、装置またはシステムの一部であり、装置またはシステムは上述の例の一部であってよい。そのようなシステムまたは装置は、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、ならびに/あるいは特定の処理構成要素(ガス流システム、基板加熱ユニット、基板冷却ユニットなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のそれらのシステムの動作を制御するためにエレクトロニクスと統合されてよい。エレクトロニクスは「コントローラ」と呼ばれる場合があり、1つまたは複数のシステムの種々の構成要素または副部品を制御してよい。コントローラ1666は、処理パラメータおよび/またはシステムの種類に応じて、本明細書に記載の処理のいずれかを制御するようにプログラムされてよい。処理は、プロセスガスの送達、温度設定(例えば加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置および操作設定、ツールへの、ならびに特定のシステムに接続またはインターフェースされた他の搬送ツールおよび/またはロードロックへのウェハの搬出入を含む。
【0156】
概括的には、コントローラ1666は、例えば命令を受け、命令を出し、操作を制御し、洗浄操作を可能にし、ならびにエンドポイント測定を可能にする、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有するエレクトロニクスとして定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形態のチップ、デジタルシグナルプロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されるチップ、および/またはプログラム命令(例えばソフトウェア)を実行する1以上のマイクロプロセッサあるいはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であってよく、プログラム命令は、半導体ウェハ上に、または半導体ウェハのために、あるいはシステムに対して、特定の処理を実行するための動作パラメータを定義する。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1以上の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウェハのダイの製作中に1以上の処理動作を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0157】
いくつかの実施態様では、コントローラ1666は、システムに統合された、結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、またはそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であるか、あるいはそのようなコンピュータと結合されてよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあるか、もしくはファブホストコンピュータシステムの全体または一部であってよく、それによってウェハ処理の遠隔アクセスが可能になる。コンピュータは、システムへの遠隔アクセスを可能にすることで、製作作業の現在の進行状況を監視する、過去の製作作業の履歴を調査する、複数の製作作業にから傾向またはパフォーマンスメトリクスを調査する、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に続く処理動作を設定する、または新たな処理を開始してもよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えばサーバ)が、ネットワークを介してシステムに処理レシピを提供でき、ネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでよい。遠隔コンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよく、パラメータおよび/または設定はその後遠隔コンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラ1666は、1以上の操作の間に行われる各処理動作のためのパラメータを指定する命令をデータの形式で受け取る。パラメータは、実行される処理の種類と、コントローラがインターフェース接続するまたは制御するように構成されたツールの種類とに特有のものであってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラ1666は、ともにネットワーク接続されて、かつ本明細書に記載の処理および制御などの共通の目的にむけて動作する1以上の離散コントローラを含むことなどによって分散されてよい。そのような目的のための分散型コントローラの例としては、遠隔に配置されて(プラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部としてなど)チャンバ上での処理を制御するために協同する1以上の集積回路と通信する、チャンバ上の1以上の集積回路がある。
【0158】
上述のように、装置によって行われる1つまたは複数の処理動作に応じて、コントローラ1666は、他の装置回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、近接ツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、あるいは半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートにウェハ容器を搬出入する材料搬送に使用されるツールのうちの、1つまたは複数と通信し得る。
【0159】
また上述のように、コントローラは、上述したいずれかの技術を行うように構成される。例えば、
図16の装置1620および
図1の技術を参照し、いくつかの実施形態では、コントローラ1666は、基板加熱ユニット1626によって、基板支持機能部1635上に位置するウェハ1634を第1の温度にする(すなわち加熱する)、かつプロセスガスユニット1624によって第1のプロセスガスをウェハ1634に流すように構成される。上述のように、第1のプロセスガスは、ウェハが第1の温度で維持される間に、いくつかの実施形態ではプラズマを使用することなく化学吸着によってウェハ1634上のカルコゲナイドの1以上の表面層を改質するように構成される。コントローラ1666は、本明細書に記載のように、プロセスガスユニットによって第2のプロセスガスをウェハ1634上に流して、カルコゲナイドの改質された層を除去するようにさらに構成されてよい。いくつかの実施態様は、本明細書で提供されるように、コントローラ1666がカプセル化材料の1以上の層をウェハ1634上に堆積させることを含む。
【0160】
上述のように、本明細書で実行される一部のエッチングは、処理チャンバ、例えばその側壁、上部、および/または底部、ならびにシャワーヘッドおよびガス送達システムの、温度制御された機能であってよい。
図17は、開示された実施形態に応じた装置例の断側面図を示す。以下に詳述するように、この装置1700は、基板の温度を急速かつ正確に制御可能でき、サーマルエッチング操作を行うことを含む。装置1700は、処理チャンバ1702と、基板ヒータ1706と基板1718を支持するように構成された複数の基板支持体1708とを有する台座1704と、ガス分配ユニット1710とを含む。
【0161】
処理チャンバ1702は、側壁1712Aと、上部1712Bと、底部1712Cとを含み、それらがプレナム容積と考えてよいチャンバ内部1714を少なくとも部分的に画定する。本明細書に記載のように、いくつかの実施形態では、処理チャンバの壁1712A、上部1712B、および底部1712Cの表面上における不要な凝縮を防ぐために、それらの温度を能動的に制御することが望ましい場合がある。一部の新興の半導体処理操作では、水および/またはアルコール蒸気などの蒸気を基板上に流し、蒸気が基板上に吸着するが、チャンバの内面上に不要に吸着する場合もある。これは、チャンバ内面上での不要な堆積およびエッチングにつながる可能性があり、それによってチャンバ表面が損傷し、微粒子状の物質が基板上に剥がれ落ちて基板の欠陥をもたらす可能性がある。チャンバ内面上での不要な凝縮を低減ならびに防止するために、チャンバの壁、上部、底部の温度は、処理動作に使用される化学物質の凝縮が生じない温度で維持されてよい。
【0162】
このチャンバ表面の能動的な温度制御は、ヒータを用いてチャンバ壁1712A、上部1712B、および底部1712Cを加熱することによって達成されてよい。
図17に図示されるように、チャンバヒータ1716Aは、チャンバ壁1712A上に配置され、かつチャンバ壁1712Aを加熱するように構成され、チャンバヒータ1716Bは、上部1712B上に配置されて、かつ上部1712Bを加熱するように構成され、ならびにチャンバヒータ1716Cは、底部1712C上に配置されて、かつ底部1712Cを加熱するように構成される。チャンバヒータ1716A~1716Cは、抵抗素子を通って電流が流されたときに熱を発生するように構成された抵抗ヒータであってよい。また、チャンバヒータ1716A~1716Cは、流体導管であってもよく、その中を通って、加熱された水を含み得る加熱流体などの伝熱流体が流れてよい。いくつかの例では、チャンバヒータ1716A~1716Cは、加熱流体および抵抗ヒータの両方の組み合わせであってよい。チャンバヒータ1716A~1716Cは、チャンバ壁1712A、上部1712B、および底部1712Cのそれぞれの内面を所望の温度にするために熱を発生するように構成される。所望の温度は、例えば、約80℃~約130℃の間、約90℃、または約120℃含む約40℃~約150℃の間の範囲であってよい。一部の条件下では、水およびアルコール蒸気は、約90℃以上で維持された表面上では凝縮しないことが明らかになっている。
【0163】
また、チャンバ壁1712A、上部1712B、および底部1712Cは、処理技術で使用される化学物質に耐えることができる多様な材料で構成されてよい。これらのチャンバ材料は、例えばアルミニウム、陽極酸化アルミニウム、プラスチックなどのポリマを有するアルミニウム、イットリアコーティングを有する金属または金属合金、ジルコニアコーティングを有する金属または金属合金、ならびに酸化アルミニウムコーティングを有する金属または金属合金を含んでよい。いくつかの例では、コーティングの材料は、異なる材料の組み合わせの調合または層、例えば酸化アルミニウムとイットリア、あるいは酸化アルミニウムとジルコニアの交互の層などであってよい。これらの材料は、無水HF、水蒸気、メタノール、イソプロピルアルコール、塩素、フッ素ガス、窒素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、およびそれらの混合物など、処理技術で使用される化学物質に耐えるように構成される。
【0164】
また、装置1700は、約0.1Torr~約100Torr、または約20Torr~約200Torr、または約0.1Torr~約10Torrの圧力など、真空か真空付近で処理動作を行うように構成されてよい。これは、チャンバ内部1714をポンピングすることで、約0.1Torr~約10Torrを含む約0.1Torr~約100Torr、および約20Torr~約200Torr、または約0.1Torr~約10Torrの圧力を有する真空などの低圧にするように構成された真空ポンプ1784を含んでよい。
【0165】
ここで、台座1704の様々な特徴について述べる。台座1704は、450nmを含む、400nm以上かつ800nm以下の波長を有する可視光を発するように構成された複数のLED1724を有するヒータ1722(
図17において破線の長方形で囲まれる)を含む。ヒータLEDは、基板を加熱する可視光を基板の裏面上に発する。約400nm~800nmの波長を有する可視光は、例えば約20℃の周囲温度から約600℃まで、迅速かつ効率的にシリコンウェハを加熱できる。これは、シリコンがこの範囲内の光を吸収するためである。対照的に、赤外線放射を含む放射加熱は、約400℃までの温度ではシリコンを非効率的に加熱する場合があり、これは、約400℃未満の温度では、シリコンが赤外線に対して透明な傾向があるためである。加熱コイルを有する台座など、基板と加熱プラテンとの間の固体間伝熱に依存する従来的な「ホットプレート」ヒータは、加熱および冷却速度が比較的低く、基板の反りや、加熱プラテンとの一貫性のない接触によって生じ得る不均一な加熱をもたらす。例えば、従来の台座を所望の温度に、ならびに第1の温度からより高い第2の温度に加熱するとともに、台座をより低い温度に冷却するために、複数分かかる場合がある。
【0166】
ヒータの複数のLEDは、様々な方法で配置され、電気的に接続され、ならびに電気的に制御されてよい。各LEDは、可視青色光および/または可視白色光を発するように構成されてよい。特定の実施形態では、白色光(EMスペクトルの可視域における波長範囲を用いて生成される)が使用される。一部の半導体処理動作では、白色光は、不要な薄膜干渉を低減または防止できる。例えば、一部の基板は、異なる光波長を様々な量で反射する裏面膜を有し、したがって不均等で潜在的に非効率的な加熱をもたらす。白色光を使用することで、白色光によって提供される広い可視スペクトルにわたる薄膜干渉を平均化することによって、この不要な反射変動を低減できる。いくつかの例において、基板の裏面上の材料によっては、単一帯域または狭帯域の波長を提供するために、例えば450nmの波長を有する青色光などの可視非白色光を使用することが有利な場合がある。単一帯域または狭帯域の波長は、白色光よりも狭帯域波長をよりよく吸収し得る一部の基板の、より効率的、強力、かつ直接的な加熱を提供し得る。
【0167】
様々な種類のLEDが採用されてよい。例としては、チップオンボード(COB)LEDまたは表面実装ダイオード(SMD)LEDが挙げられる。SMD LEDにおいて、LEDチップは、チップ上の各ダイオードの制御を可能にする複数の電気接点を有し得るプリント基板(PCB)と融合されてよい。例えば、単一のSMDチップは、典型的には、例えば異なる色を生成するために個別に制御可能な3つのダイオード(例えば赤、青、または緑)を有するものに限られる。SMD LEDチップは、2.8×2.5mm、3.0×3.0mm、3.5×2.8mm、5.0×5.0mm、および5.6×3.0mmなどの範囲のサイズを有してよい。COB LEDにおいて、各チップは、同じPCB上にプリントされた、9、12、数十、数百、またはそれ以上などの、4つ以上のダイオードを有することができる。典型的に、COB LEDチップは、ダイオードの数にかかわらず1つの回路と2つの接点とを有し、したがって簡素なデザインおよび効率的な単色適用を提供する。基板を加熱するためのLEDの能力および性能は、各LEDが発する熱のワットによって測定してよく、これらの熱のワットは、基板の加熱に直接的に寄与し得る。
【0168】
図18は、複数のLEDを有する基板ヒータの上面図を示す。この基板ヒータ1722は、プリント基板1726と複数のLED1724とを含み、その一部がラベルづけされている。図示された複数のLEDは、おおよそ1,300のLEDを含む。外部接続部1728が、トレースによって接続され、複数のLED1724に電力を提供する。
図18に示すように、LEDは、異なる半径だけ基板ヒータ1722の中心1730から径方向にオフセットされた多数の円弧に沿って配置されてよい。各円弧において、LEDは互いに等間隔であってよい。例えば、1つの円弧1732は、部分的に陰影を付けた点線形状で囲まれており、16のLED1724を含み、かつ中心1730の周りに延びる半径Rを有する円の一部である。16のLED1724は、この円弧1732に沿って互いに等間隔であると考えてよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、複数のLEDは、例えば、約1,200、1,500、2,000、3,000、4,000、5,000、または6,000より多くを含む、少なくとも約1,000のLEDを含んでよい。いくつかの例では、各LEDは、100%の電力で3ワット、および100%の電力で1ワットを含む、100%の電力で4ワット以下を使用するように構成されてよい。これらのLEDは、個別制御可能ゾーン内に配置され、かつ電気的に接続されることで、基板全体にわたる温度調整および微調節を可能にしてもよい。いくつかの例では、LEDは、例えば、少なくとも約25、50、75、80、85、90、95、または100のゾーンを含む、例えば、少なくとも20の個別制御可能ゾーンにグループ化されてよい。これらのゾーンによって、径方向および方位角(すなわち角度)方向の温度調整を可能にしてよい。これらのゾーンは、矩形グリッド、六角形グリッド、または所望の温度プロファイルを生成するのに適切な他のパターンなどの、定義されたパターンで配置できる。また、ゾーンは、正方形、台形、矩形、三角形、長円形、楕円形、円形、環状(例えばリング)、部分環状(すなわち環状扇形)、円弧、弓形、およびヒータの中心を中心として基板ヒータのPCBの全半径以下の半径を有し得る扇形などの様々な形状を有してよい。これらのゾーンは、より均等な温度分布とともに、基板のエッジ付近の温度が基板の中心よりも高いなどの、所望の温度プロファイルを生成するために、ウェハ全体にわたる多数の位置で温度を調整できる。また、これらのゾーンの個別制御は、各ゾーンの電力出力を制御する能力を含んでよい。例えば、各ゾーンは、少なくとも15、20、または25の調整可能な電力出力を有し得る。いくつかの例では、各ゾーンは、1つのLEDを有し、それによってそれぞれのLEDの個別制御および調整を可能としてよく、したがって、基板上の加熱プロファイルをより均一にすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、基板ヒータ内の複数のLEDのそれぞれは、個別に制御可能であってよい。
【0170】
特定の実施形態では、基板ヒータ1722は、基板を複数の温度に加熱し、かつそのような各温度に様々な持続時間維持するように構成される。これらの持続時間は、次の非限定的な例を含んでよく、非限定的な例は、少なくとも約1秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、少なくとも約120秒、少なくとも約150秒、または少なくとも約180秒である。基板ヒータは、基板を、例えば、約130℃を含む約50℃~150℃の間、または約150℃~350℃の間を含む、約50℃~600℃の間まで加熱するように構成されてよい。基板ヒータは、これらの範囲内の温度で、次の非限定的な例を含む様々な持続時間、基板を維持するように構成されてよい:例えば、少なくとも約1秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、少なくとも約120秒、少なくとも約150秒、または少なくとも約180秒。加えて、いくつかの実施形態では、基板ヒータ1722は、これらの範囲内の任意の温度で、例えば、約60秒未満、約45秒未満、約30秒未満、または約15秒未満、基板を加熱するように構成される。特定の実施形態では、基板ヒータ1722は、例えば、少なくとも約0.1℃/秒~少なくとも約20℃/秒の間など、1以上の加熱速度で基板を加熱するように構成される。
【0171】
基板ヒータは、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%の電力を含む1以上の電力レベルで、LEDに可視光を発させることによって、基板の温度を上昇させてよい。いくつかの実施形態では、基板ヒータは、少なくとも約10W、少なくとも約30W、少なくとも約0.3キロワット(kW)、少なくとも約0.5kW、少なくとも約2kW、少なくとも約3kW、または少なくとも約4kwを含む、約10W~4000Wの間で発するように構成さる。装置は、約0.1kw~9kWの間の電力を台座に供給するように構成される。電源は、台座を通じて基板ヒータに接続されるが図示されない。温度上昇中に、基板ヒータは高電力で動作してよく、加熱された基板の温度を保持するために、より低い電力レベル(例えば、約5W~約0.5kWの間を含む)で動作してよい。
【0172】
また、いくつかの実施形態では、基板ヒータは、複数のLEDによって発生した熱をLEDから台座クーラに伝達できるように、LEDに熱的に接続された台座クーラを含んでよい。この熱的接続は、複数のLEDから台座クーラへ、これらの構成要素の間の1以上の熱流経路に沿って熱が伝導可能であるものである。いくつかの例では、台座クーラは、基板ヒータの1以上の素子と直接接触し、他の例では、(例えば金属を含む)熱伝導プレートなどの他の伝導素子が基板ヒータと台座クーラとの間に介在する。再び
図17を参照して、基板ヒータは、PCB1726の底部と直接的に接触する台座クーラ1736を含む。熱がLEDからPCB1726へ、そして台座クーラ1736へ流れるように構成される。また、台座クーラ1736は複数の流体導管1738を含み、その中を、熱を受けとって基板ヒータ1722内のLEDを冷却するために水などの伝熱流体が流れるように構成される。流体導管1738は、チャンバの外に配置されたタンクおよびポンプ(図示なし)に接続されてよい。いくつかの例では、台座クーラは、約5℃~20℃の間などの冷却された水を流すように構成されてよい。
【0173】
本明細書で提供されるように、処理チャンバ1702の外面を能動的に加熱することが有利な場合がある。いくつかの例では、同様に、外面上での不要な凝縮および堆積を防ぐために、台座1704の外面を加熱することが有利な場合がある。
図17に示すように、台座1704は、その側壁1742Aおよび底部1742Bを含む台座1704の外面を加熱するように構成される台座ヒータ1744を、台座1704の内部にさらに含んでよい。台座ヒータ1744は、1以上の抵抗加熱素子などの1以上の加熱素子と、加熱流体がその内部を流れるように構成された流体導管とを含んでよい。いくつかの例では、台座クーラおよび台座ヒータはともに、台座クーラおよび台座ヒータの両方を同じ伝熱流体が流れ得るように互いに流体的に接続された流体導管を有してよい。これらの実施形態では、流体は、約90℃および120℃を含む、50℃~130℃の間に加熱されてよい。
【0174】
また、台座は、複数のLEDを含む基板ヒータを、処理動作中に用いられる処理化学物質および圧力への曝露に起因する損傷から保護するために、窓を含んでよい。
図17に示すように、窓1750は、チャンバ内部から流体的に隔離されたプレナム容積を台座内に作るために、基板ヒータ1722の上方に配置されてよく、かつ台座1704の側壁1749に対して密封されてよい。また、このプレナム容積は、くぼみ1746の内部と考えてよい。窓は、400nm~800nmの範囲の波長を有する光を含む、LEDが発する可視光に対して光学的に透明である1以上の材料で構成されてよい。いくつかの実施形態では、この材料は、石英、サファイア、サファイアコーティングを有する石英、またはフッ化カルシウム(CaF)であってよい。また、窓は、その内部にいかなる穴または開口を有さなくてよい。いくつかの実施形態では、ヒータは、20mmおよび25mmを含む15~30mmの厚さを有してよい。
【0175】
図17に示すように、台座1704の基板支持体1708は、窓1750および基板ヒータ1722の上方で、かつそれらからオフセットして、基板1718を支持するように構成される。特定の実施形態では、チャンバ内で基板を熱的に浮かせる、または熱的に分離することによって、基板の温度を迅速かつ正確に制御可能である。基板の加熱および冷却は、基板の熱質量と、基板と接触する他の部品の熱質量の両方を対象とする。例えば、多くの従来のエッチング装置のように、基板の裏側全体が台座または静電チャックの大きな面上に載置されるなど、基板が大きな物体と熱的に接触する場合、この物体は基板におけるヒートシンクとして作用し、これは基板温度を正確に制御する能力に影響を与え、かつ基板の加熱および冷却の素早さを低減させる。したがって、最小の熱質量が加熱および冷却されるように基板を配置することが望ましい。この熱的な浮遊は、基板とチャンバ内の他の物体との熱的な接触(直接および放射を含む)が最小限となるように基板を配置するように構成される。
【0176】
したがって、いくつかの実施形態では、台座1704は、チャンバ内部1714で基板を熱的に浮かせる、または熱的に分離することによって基板1718を支持するように構成される。台座1704の複数の基板支持体1708は、基板1718の熱質量が基板1718のみの熱質量までできるだけ減少するように基板1718を支持するように構成される。それぞれの基板支持体1708は、基板1718との接触が最小限となる基板支持表面1720を有してよい。基板支持体1708の数は、少なくとも3から、例えば、少なくとも6以上の範囲であってよい。また、支持表面1720の表面積は、処理動作中に基板を適切に支持するために(例えば、基板の重量を支持して基板の非弾性変形を防ぐために)必要とされる最小面積であってよい。いくつかの実施形態では、1つの支持表面1720の表面積は、例えば、約0.1%未満、約0.075%未満、約0.05%未満、約0.025%未満、または約0.01%未満であってよい。
【0177】
また、基板支持体は、台座の表面および基板の下の機能部を含む台座の他の要素に基板が接触するのを防ぐように構成される。また、基板1718は、基板ヒータ1722から(いくつかの例において、LED1724の上面であり得る基板ヒータ1722の上面から測定されるように)、基板1718を加熱する数多くの態様に影響を与え得る距離だけオフセットされている。
【0178】
上述のように、基板支持体1708は、窓の上方で基板1718を支持するように構成される。いくつかの実施形態では、これらの基板支持体は、静止して所定の位置に固定されており、これらはリフトピンやサポートリングでなくてもよい。いくつかの実施形態では、支持表面1720を含む各基板支持体1708の少なくとも一部が、少なくともLED1724が発した光に対して透明な材料で構成されてよい。いくつかの例では、この材料は、石英またはサファイアであってよい。これらの基板支持体1708の透明性によって、基板ヒータ1722のLEDが発した可視光が、基板支持体1708を通過し、基板1718に達することを可能にしてよく、したがって基板支持体1708がこの光を妨害せず、基板1718は、それが支持されている領域内で加熱されることができる。これによって、可視光に対して不透明な材料を含む基板支持体を用いる場合と比較して、基板1718のより均一な加熱が提供されてよい。いくつかの他の実施形態では、基板支持体1708は、二酸化ジルコニウム(ZrO2)などの非透明性の材料で構成されてよい。
【0179】
再び
図17を参照して、いくつかの実施形態では、台座はまた、垂直方向に動くように構成される。これは、ガス分配ユニット1710のフェースプレート1776と基板1718との間のギャップ1786を2mmおよび70mmの範囲とすることができるように台座を動かすことを含んでよい。以下でさらに詳細に提供されるように、台座を垂直に動かすことは、ガス分配ユニット1710と基板1718との間に形成される低容積により、基板の能動的な冷却、ならびにガスを流すことおよびパージを含む処理動作の迅速なサイクル時間を可能にしてよい。また、この移動は、基板とガス分配ユニットとの間の小さな処理容積の形成を可能にしてよく、その結果、より小さなパージおよび処理容積をもたらすことができ、したがってパージおよびガス移動の時間が減少し、スループットが増加する。
【0180】
ガス分配ユニット1710は、反応物、改質分子、変換分子、または除去分子などの液体および/またはガスを含み得るプロセスガスをチャンバ内部1714内の基板1718に流すように構成される。
図17に見られるように、ガス分配ユニット1710は、1以上のガス源1772および/または1以上の蒸気源1774と流体的に接続される1以上の流体入口1770を含む。いくつかの実施形態では、ガスラインおよび混合チャンバが加熱されることで、その中を流れる蒸気およびガスの不要な凝縮を防いでよい。これらのラインは、少なくとも約40℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、または少なくとも約150℃に加熱されてよい。1以上の蒸気源は、ガスおよび/または気化される液体の1以上のソースを含んでよい。気化は、直接注入式気化器、フローオーバー気化器、またはそれら両方であってもよい。また、ガス分配ユニット1710は、ガス分配ユニット1710をチャンバ内部1714に流体的に接続する複数の貫通孔1778を含むフェースプレート1776を含む。これらの貫通孔1778は、1以上の流体入口1770に流体的に接続され、さらにフェースプレート1776の前面1777を通って延び、前面1777は、基板1718に面するように構成されている。いくつかの実施形態では、ガス分配ユニット1710は、トッププレートと考えてよく、いくつかの他の実施形態では、シャワーヘッドと考えてよい。
【0181】
貫通孔1778は、基板上に均一なガス流を送達するために、様々な方法で構成されてよい。いくつかの実施形態では、これらの貫通孔は全て、約0.04インチ(1.016mm)を含む、約0.03インチ~0.05インチの間などの同じ外径を有してよい。また、これらのフェースプレート貫通孔は、フェースプレートからの均一な流れを作るために、フェースプレート全体にわたって配置されてよい。
【0182】
また、再び
図17を参照し、ガス分配ユニット1710は、フェースプレート1776とユニットヒータ1780との間で熱を伝達できるようにフェースプレート1776に熱的に接続されるユニットヒータ1780を含んでよい。ユニットヒータ1780は、流体導管を含んでもよく、その中を伝熱流体が流れてよい。上記と同様に、伝熱流体は、例えば、約20℃および120℃の温度範囲に加熱されてよい。いくつかの例では、ユニットヒータ1780を使用してガス分配ユニット1710を加熱することで、蒸気およびガスの不要な凝縮を防いでよく、そのような例のいくつかでは、この温度は、少なくとも約90℃または120℃であってよい。
【0183】
いくつかの実施形態では、ガス分配ユニット1710は、フェースプレート1776を加熱するように構成された第2のユニットヒータ1782を含んでよい。この第2のユニットヒータ1782は、1以上の抵抗加熱素子、加熱流体を流すための流体導管、またはそれら両方を含んでよい。ガス分配ユニット1710内で2つのヒータ1780および1782を使用することで、ガス分配ユニット1710内における様々な伝熱を可能にしてよい。これは、ガス分配ユニット1710の要素上での不要な凝縮を低減または防止する目的で、上述のように、温度制御されたチャンバを提供するために、第1のユニットヒータ1780および/または第2のユニットヒータ1782を使用することによってフェースプレート1776を加熱することを含んでよい。
【0184】
また、装置1700は、基板を冷却するように構成されてよい。この冷却は、冷却ガスを基板上に流すこと、基板とフェースプレートとの間で伝熱を可能にするために基板をフェースプレートに近づけること、またはそれら両方を含んでよい。基板を能動的に冷却することで、より正確な温度制御およびより速い温度間遷移が可能になり、これによって処理時間を減らし、スループットを改善する。いくつかの実施形態では、流体導管に伝熱流体を流す第1のユニットヒータ1780を使用して、基板1719から伝達される熱をフェースプレート1776から逃がすことによって基板1718を冷却してよい。基板1718は、したがって、5mmまたは2mm以下のギャップ1786などによってフェースプレート1776に近接して配置されることによって冷却されてもよく、その結果、基板1718の熱が放射によりフェースプレート1776に伝達され、第1のユニットヒータ1780内の伝熱流体によってフェースプレート1776から逃がされる。フェースプレート1776は、したがって、基板1718を冷却するための基板1718用のヒートシンクと考えてよい。
【0185】
いくつかの実施形態では、装置1700は、冷却流体(ガスまたは液体)を含み得る冷却流体源1773と、冷却流体を所望の温度に冷却するように構成されたクーラ(図示せず)とをさらに含んでよい。所望の温度は、例えば、少なくとも約90℃、少なくとも約70℃、少なくとも約50℃、少なくとも約20℃、少なくとも約10℃、少なくとも約0℃、少なくとも約-50℃、少なくとも約-100℃、少なくとも約-150℃、少なくとも約-190℃、少なくとも約-200℃、または少なくとも約-250℃以下などである。装置1700は、冷却流体を1以上の流体入口1770に送達するための管と、冷却流体を基板上に流すように構成されたガス分配ユニット1710とを含む。いくつかの実施形態では、例えば、チャンバ内部1714が、上述したように、例えば約0.1Torr~10Torrの間、または約0.1Torr~100Torrの間、または約20Torr~200Torrの間などの低圧状態である場合、流体は、チャンバ1702に流されるときは液体の形態でよく、チャンバ内部1714に達するときに気体の形態となってよい。冷却流体は、窒素、アルゴン、またはヘリウムなどの不活性元素であってよい。いくつかの例では、冷却流体は、水素ガスなどの不活性でない元素または混合物を含むか、あるいはそれのみを有してもよい。いくつかの実施形態では、冷却流体のチャンバ内部1714内への流量は、例えば、少なくとも毎分約0.25リットル、少なくとも毎分約0.5リットル、少なくとも毎分約1リットル、少なくとも毎分約5リットル、少なくとも毎分約10リットル、少なくとも毎分約50リットル、または少なくとも毎分約100リットルであってよい。特定の実施形態では、装置は、少なくとも約5℃/秒、少なくとも約10℃/秒、少なくとも約15℃/秒、少なくとも約20℃/秒、少なくとも約30℃/秒、または少なくとも約40℃/秒などの1以上の冷却速度で基板を冷却するように構成されてよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、装置1700は、基板をフェースプレートに近づけることと、冷却ガスを基板上に流すこととの両方によって、能動的基板を冷却してよい。いくつかの例では、能動的な冷却は、基板がフェースプレートに近接している間に冷却ガスを流すことで、より効果的であり得る。また、冷却ガスの有効性は、使用されるガスの種類に依存し得る。
【0187】
したがって、本明細書で提供される装置は、基板を迅速に加熱かつ冷却できる。
図19は、温度制御シーケンスの例を提供する。時刻0において、基板は、おおよそ20または25℃であり、かつ本明細書で提供される基板ヒータのLEDは、400nm~800nmの間の波長を有する可視光を発して、基板温度をおおよそ30秒で約400℃に上昇させる。この加熱は、基板ヒータへのおおよそ9kWの供給電力によって提供される、1kW~2kWの間の加熱電力を使用して達成された。約30秒~約95秒の間、基板ヒータ1722は、おおよそ2kWの供給電力によって提供される0.3~約0.5kWの加熱電力などのより小さな電力を使用して、基板を400℃で保持した。約30~60秒の間、基板は、基板上に流された冷却ガス(例えば水素またはヘリウム)と、フェースプレートへの伝熱との両方を使用して能動的に冷却された。一旦冷却されると、基板ヒータは、約100Wの供給電力によって提供される約10~30Wの間の加熱電力を使用して基板を加熱し、その温度をおおよそ70℃で保持した。様々な処理技術は、基板を処理するためにこの種のシーケンスを1回または繰り返し使用してよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、装置1700は、流体入口1770に到達する前に、送達のためにプロセスガスを調合および/または調節するための混合プレナムを含んでよい。1以上の混合プレナム入口弁は、プロセスガスの混合プレナムへの導入を制御してよい。いくつかの他の実施形態では、ガス分配ユニット1710は、ガス分配ユニット1710内部に1以上の混合プレナムを含んでよい。また、ガス分配ユニット1710は、貫通孔1778に流体的に接続される1以上の環状流路を含んでよく、環状流路は、基板上への均一な流れを提供するために、受け取った流体を貫通孔1778に等しく分配してよい。
【0189】
装置1700はコントローラ1731を含む。コントローラ1731は、コントローラ1666と同じであってよく、処理チャンバと通信可能に接続され、処理チャンバの一部または全ての操作を制御し、かつ本明細書に記載のいずれかの処理を実行できる1以上のフィジカルまたはロジカルコントローラを含んでよい。
【0190】
図20は、いずれもプラズマ励起であってよい原子層堆積(ALD)および/または化学気相成長(CVD)を用いて材料を堆積するために使用してよい処理ステーション2000の実施形態を概略的に示す。簡素化のために、処理ステーション2000は、低圧環境を維持するための処理チャンバ本体2002を有するスタンドアローンの処理ステーションとして図示される。しかしながら、共通の処理ツール環境内に複数の処理ステーション2000が含まれ得ることが理解されるであろう。さらに、いくつかの実施形態では、以下で詳細に論じられるものを含む、処理ステーション2000の1以上のハードウェアパラメータが、1以上のコンピュータコントローラによってプログラムで調整され得ることが理解されるであろう。
【0191】
処理ステーション2000は、プロセスガスを分配シャワーヘッド2006へ送達するための反応物送達システム2001と流体的に連通している。反応物送達システム2001は、シャワーヘッド2006への送達のためにプロセスガスを調合および/調節するための混合容器2004を含む。1以上の混合容器入口弁2020が、プロセスガスの混合容器2004への導入を制御してよい。同様に、シャワーヘッド入口弁2005が、プロセスガスのシャワーヘッド2006への導入を制御してよい。
【0192】
BTBASのような一部の反応物は、処理ステーションへの送達時および送達後に気化に先立って、液体の状態で保持されてよい。例えば、
図20の実施形態は、混合容器2004に供給される液体反応物を気化するための気化点2003を含む。いくつかの実施形態では、気化点2003は、加熱された気化器であってよい。そのような気化器によって生成された反応物蒸気は、下流の送達管において凝縮し得る。凝縮した反応物への不適合性のガスの曝露は、小さな粒子を生成し得る。これらの小さな粒子は、例えば、管を詰まらせる、弁の動作を妨げる、基板を汚染する場合がある。これらの問題に対処するいくつかのアプローチとしては、残留反応物を除去するために、送達管をスウィープする、および/または排気することが挙げられる。しかしながら、管をスウィープすることは、処理ステーションのサイクル時間を長引かせ、処理ステーションのスループットを低下させ得る。したがって、いくつかの実施形態では、気化点2003の下流の送達管にヒートトレースが施されてよい。いくつかの例では、混合容器2004にもヒートトレースが施されてよい。非限定的な一例では、気化点2003の下流の管は、おおよそ100℃から、混合容器2004でのおおよそ150℃に向かう上昇温度プロファイルを有する。
【0193】
いくつかの実施形態では、反応物液体は、液体注入器において気化されてよい。例えば、液体注入器は、液体反応物のパルスを、混合容器の上流のキャリアガス流内に注入してよい。1つのシナリオでは、液体注入器は、高圧から低圧へ液体を勢いよく流すことによって反応物を気化させてよい。別のシナリオでは、液体注入器は、液体を霧化して噴霧微滴にしてよく、これらの微滴はその後、加熱された送達管内で気化される。より小さな液滴は、より大きな液滴よりも早く気化されて、液体注入と完全気化との間の遅延を低減し得ることが理解されるであろう。より速い気化は、気化点2003よりも下流の管の長さを短縮させ得る。1つのシナリオでは、液体注入器は、混合容器2004に直接取付けられてよい。別のシナリオでは、液体注入器は、シャワーヘッド2006に直接取付けられてよい。
【0194】
いくつかの実施形態では、気化および処理ステーション2000への送達のための液体の質量流量を制御するために、気化点2003上流の液体流コントローラが提供されてよい。例えば、液体流コントローラ(LFC)は、その下流に配置される熱質量流量メータ(MFM)を含んでよい。そして、LFCのプランジャ弁が、MFMと電気的に通信する比例・積分・微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号を受けて調整されてよい。しかしながら、フィードバック制御を用いて液体流量を安定させるには、1秒以上かかる場合がある。これは、液体反応物を投入するための時間を長引かせ得る。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてよい。いくつかの実施形態では、LFCは、LFCの感知管およびPIDコントローラを無効化することによって、フィードバック制御モードから直接制御モードへ動的に切り替えられてよい。
【0195】
シャワーヘッド2006は、プロセスガスを基板2012へ分配する。
図20に示す実施形態では、基板2012は、シャワーヘッド2006の下に配置され、かつ台座2008上に載置されて示される。シャワーヘッド2006は、任意の適切な形状を有してよく、かつ基板2012へプロセスガスを分配するための、任意の適切な数および配置のポートを有してよいことが理解されるであろう。
【0196】
いくつかの実施形態では、微小容積2007が、シャワーヘッド2006の下に配置される。ALDおよび/またはCVD処理を、処理ステーションの全体容積内ではなく、微小容積内で実行することによって、例えば、反応物曝露およびスウィープの時間を短縮し得る、処理条件(例えば圧力や温度など)を変更するための時間を短縮し得る、プロセスガスへの処理ステーションロボティクスの曝露を制限し得る。微小容積のサイズの例としては、0.1リットル~2リットルの間の容積が挙げられるが、それに限定されない。また、この微小容積は、生産性スループットにも影響を与える。1サイクルあたりの堆積率が下がる一方で、サイクル時間もまた同時に減少する。特定の場合では、後者の影響は、所与の目標膜厚のための、モジュールの全体的なスループットを改善するのに十分なほど劇的である。
【0197】
いくつかの実施形態では、基板2012を微小容積2007に曝露させるために、および/または微小容積2007の容積を変化させるために、台座2008を上昇または下降させてよい。例えば、基板を搬送する段階では、基板2012が台座2008上に搭載されることを可能にするために、台座2008を下降させてよい。堆積処理の段階中には、基板2012を微小容積2007内に位置決めするために、台座2008を上昇させてよい。いくつかの実施形態では、堆積処理中に高流量インピーダンスの領域を形成するために、微小容積2007は、基板2012、ならびに台座2008の一部を完全に囲ってよい。
【0198】
任意選択で、微小容積2007内における処理圧力や反応物濃度などを調節するために、堆積処理の一部において、台座2008を下降および/または上昇させてよい。堆積処理中に処理チャンバ本体2002が基準圧力にとどまる1つのシナリオでは、台座2008の下降は微小容積2007の排気を可能にし得る。処理チャンバ容積に対する微小容積の比の例としては、1:2000~1:10の間の容積比が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、台座高さが、適切なコンピュータコントローラによってプログラムで調整されてよいことが理解されるであろう。
【0199】
別のシナリオでは、台座2008の高さの調整によって、堆積処理に含まれるプラズマ活性化サイクルおよび/または処理サイクル中におけるプラズマ密度の変更が可能にされてよい。堆積処理段階の終わりには、基板2012を台座2008から取り除くことを可能にするために、別の基板搬送段階において台座2008を下降させてよい。
【0200】
本明細書に記載する微小容積の変更例としては、高さ調整可能な台座に言及しているが、いくつかの実施形態では、微小容積2007の容積を変化させるために、シャワーヘッド2006の位置が台座2008に相対的に調整されてよいことが理解されるであろう。さらに、台座2008および/またはシャワーヘッド2006の垂直位置は、本開示の範囲内における任意の適切な機構によって変更されてよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、台座2008は、基板2012の向きを回転させるための回転軸を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、これらの調整例の1つ以上が、1以上の適切なコンピュータコントローラによってプログラムで実行されてよいこと理解されるであろう。
【0201】
いくつかの実施形態において、
図2000の処理チャンバは、ALD堆積のためにプラズマを使用せず、したがってプラズマ関連の装置を有さない。いくつかの他の実施形態では、プラズマが使用されてよいか、または、リアクタは、そのようなプラズマ関連の装置を有してよい。例えば、
図20に示すように、シャワーヘッド2006および台座2008は、プラズマに電力供給するために、RF電力供給源2014および整合ネットワーク2016と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギは、処理ステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つ以上を制御することによって制御されてよい。例えば、RF電力供給部2014および整合ネットワーク2016は、ラジカル種の所望の組成を有するプラズマを生成するために、任意の適切な電力で動作されてよい。適切な電力の例は、上で挙げられている。同様に、RF電力供給源2014は、任意の適切な周波数のRF電力を提供してよい。いくつかの実施形態では、RF電力供給源2014は、高周波数RF電源および低周波数RF電源を互いに独立して制御するように構成されてよい。低周波数RF周波数の例としては、50kHz~2000kHzの間の周波数が挙げられるが、これに限定されない。高周波数RF周波数の例としては、1.8MHz~2.45GHzの間の周波数が挙げられるが、これに限定されない。表面反応のためのプラズマエネルギを提供するために、任意の適切なパラメータが離散的にまたは連続的に調整されてよいことが理解されるであろう。非限定的な一例では、プラズマ電力は、継続的に電力供給されるプラズマと比べて基板表面に対するイオン衝撃を減らすために、間欠的にパルス状に提供されてよい。
【0202】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1以上のプラズマモニタによってその場で監視されてよい。1つのシナリオでは、プラズマ電力が、1以上の電圧、電流センサ(例えばVIプローブ)によって監視されてよい。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度が、1以上の発光分析(OES)センサによって測定されてよい。いくつかの実施形態では、1以上のプラズマパラメータが、このようなその場のプラズマモニタからの測定結果に基づいてプログラムで調整されてよい。例えば、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループにおいて、OESセンサが使用されてよい。いくつかの実施形態では、プラズマや他の処理特性を監視するために、他のモニタが使用されてよいことが理解されるであろう。そのようなモニタの例としては、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
いくつかの実施形態では、プラズマは、入出力制御(IOC)シーケンス命令を介して制御されてよい。一例では、プラズマ処理段階のためのプラズマ条件を設定するための命令が、堆積処理レシピにおける対応するプラズマ活性化レシピ段階に含められてよい。いくつかの場合には、処理レシピにおける段階は、堆積処理段階のための全ての命令がその処理段階と同時に実行されるように、順番に並べられてよい。いくつかの実施形態では、1以上のプラズマパラメータを設定するための命令が、プラズマプロセス段階の前に来るレシピ段階に含められてよい。例えば、第1のレシピ段階は、不活性および/または反応物ガスの流量を設定するための命令と、プラズマ発生器を電力設定値に設定するための命令と、第1のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。続く第2のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を無効にするための命令と、第3のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。なお、これらのレシピ段階は、本開示の範囲内において任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復されてよいことが理解されるであろう。
【0204】
一部の堆積処理では、プラズマの打ち出しが、数秒またはそれ以上のオーダの持続時間で継続する。特定の実施態様では、ずっと短いプラズマ打ち出しが用いられてよい。これらは、10ms~1秒のオーダであってよく、典型的には、約20~80ms、一具体例は50msである。そのような非常に短いRFプラズマ打ち出しでは、プラズマの非常に迅速な安定化が必要とされる。これを達成するために、プラズマ発生器は、インピーダンス整合が特定の電圧に予め設定されるのに対して周波数は変動可能であるように、構成されてよい。従来、高周波数プラズマは、約13.56MHzのRF周波数で生成される。本明細書で開示される様々な実施形態では、周波数は、この標準値とは異なる値に変動可能である。インピーダンス整合を所定の電圧に固定しつつ周波数を変動可能にすることによって、プラズマは、ある種の堆積サイクルに関連する非常に短いプラズマ打ち出しを用いる場合に重要になり得る結果を、より迅速に安定化することができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、台座2008は、ヒータ2010を介して温度制御されてよい。いくつかの実施形態では、ヒータ2010は、ウェハを加熱するために使用される複数のLEDを含むヒータユニットなどの、上述および
図16~18に示すヒータユニットと同じであってよい。さらに、いくつかの実施形態では、堆積処理ステーション2000のための圧力制御が、バタフライ弁2018によって提供されてよい。
図20の実施形態に示すように、バタフライ弁2018は、下流の真空ポンプ(図示なし)によって提供される真空を絞り調整する。しかしながら、いくつかの実施形態では、処理ステーション2000の圧力制御は、処理ステーション2000に導入される1以上のガスの流量を変化させることによって調整されてよい。
【0206】
図20は、シングルステーションとして図示されるが、処理チャンバは、ガス送達システムまたは他の装置を共有する複数のそのようなステーションを有してよいことが理解されるであろう。例えば、
図10および12に示すように、チャンバ1004、1006、1202、および1204は、4つの処理ステーションを含む。各ステーションは、
図16~18、および20におけるシングルステーションに関して記載されたいずれかの、および全ての特徴を含んでよい。チャンバ1004および1202のステーションは、エッチングに使用されてよく、かつチャンバ1006および1204のステーションは、ウェハ上への材料の堆積に使用されてよい。例えば、チャンバ1004および1202のそれぞれのステーションは、特定の処理ステーションにおいて、台座などのウェハホルダに保持されているウェハ上に、サーマルALEなどのサーマルエッチングを実行するために使用されてよい。同様に、チャンバ1006および1204のそれぞれのステーションは、特定の処理ステーションにおいてウェハホルダに保持されているウェハ上に、ALDおよびサーマルALDなどの堆積を実行するために使用されてよい。他の同様のマルチステーション処理装置は、実装と、例えば、並行ウェハ処理の所望レベル、サイズ/スペースの制限、費用の制限、などに応じて、より多い、またはより少ない処理ステーションを有してよい。
【0207】
図10および12における堆積チャンバ1006および1204などのいくつかの処理チャンバのそれぞれにおいて、RFサブシステム1090および1290は、RF電力を生成し、それを高周波入力ポートを介して集積回路製作チャンバ1006および1204へ伝達してよい。特定の実施形態では、集積回路製作チャンバ1006および1204は、高周波入力ポートに加え、入力ポートを含んでよい。したがって、集積回路製作チャンバ1006および1204は、8つのRF入力ポートを利用してよい。特定の実施形態では、集積回路製作チャンバ1006および1204の処理ステーション1082A-Dおよび1282A-Dは、それぞれ、第1および第2の入力ポートを利用してよく、第1の入力ポートは第1の周波数の有する信号を伝達してよく、第2の入力ポートは第2の周波数の有する信号を伝達してよい。二周波の使用は、強化されたプラズマ特性をもたらし得る。
【0208】
上述のように、システムコントローラは、エッチング中および/または堆積中の処理条件を制御するために、本明細書に記載のツールに対して採用されてよい。
図10の1029、
図12の1229、および
図16の1666のコントローラは、例えば典型的に、1以上のメモリデバイスと、1以上のプロセッサとを含む。コントローラ1029は、ツール1000および/または1200の動作の全てを制御してよい。いくつかの実施態様では、コントローラ1029および/または1229は、システムの一部であり、システムは上述の例の一部であってよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、ならびに/あるいは特定の処理構成要素(ウェハ台座やガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のそれらのシステムの動作を制御するためにエレクトロニクスと統合されてよい。
【0209】
コントローラは、上述したいずれかの技術を行うように構成される。例えば、
図10の装置1000または
図12の装置1200、および
図1の技術を参照し、いくつかの実施形態では、コントローラ1029および/または1229は、基板加熱ユニットによって、基板支持機能部上に位置するウェハを第1の温度にする(すなわち加熱する)、かつプロセスガスユニットよって第1のプロセスガスをウェハに流すように構成される。上述のように、第1のプロセスガスは、ウェハが第1の温度に維持されている間に、いくつかの実施形態ではプラズマを使用することなく化学吸着によってウェハ上のカルコゲナイドの1以上の表面層を改質するように構成される。コントローラは、本明細書に記載のように、プロセスガスユニットによって第2のプロセスガスを基板上に流して、カルコゲナイドの改質された層を除去するようにさらに構成される。いくつかの実施態様は、本明細書に記載のように、コントローラがカプセル化材料の1以上の層をウェハ上に堆積させることを含む。コントローラは、ロボットアームのいずれかを含むウェハ搬送ユニットに、いずれかの処理ステーション間でウェハを搬送させる、かつ、1以上の真空ポンプを含み得る圧力ユニット1016および1216を制御して、ツールおよびチャンバ内の圧力を制御するようにさらに構成されている。
【0210】
本明細書に開示された主題は、例示された実施形態に関して特に説明されたが、種々の変更、変形、および適応が本開示に基づいてなされてもよく、かつ本発明の範囲の範囲内であることを意図していることが理解されるであろう。説明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲の範囲内に含まれる種々の変形および同等の取り合わせをカバーすることを意図していることが理解されよう。
【国際調査報告】