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特表2024-535082薬物送達デバイスのための電子構成要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスのための電子構成要素
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240918BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61M5/315 550N
A61M5/32 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518327
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022076293
(87)【国際公開番号】W WO2023046798
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21315174.9
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ポール・リチャード・ドレイパー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ポール・モリス
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ケア・スティール
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066FF05
4C066GG15
4C066LL22
4C066QQ25
4C066QQ79
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
(57)【要約】
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスのための電子構成要素(1)は、取付けセクション(21)およびその取付けセクションに接続領域(23)を介して接続されたセンサセクション(22)を有するキャリア(2)を含む。センサ(3)は、センサセクションに配置され、電気要素(4)は、取付けセクションに配置され、センサに電気接続されている。センサセクションは、第1の位置と感知位置との間で取付けセクションに対して可動に配置されている。感知位置において、センサは、第1の位置と比べて軸方向にオフセットされている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1000)のための電子構成要素(1)であって、
取付けセクション(21)、および該取付けセクション(21)に接続領域(23)を介して接続されたセンサセクション(22)を有するキャリア(2)と、
センサセクション(22)に配置されたセンサ(3)と、
取付けセクション(21)に配置され、センサ(3)に電気接続された、電気要素(4)と
を含み、ここで、
センサセクション(22)は、第1の位置と感知位置との間で取付けセクション(21)に対して可動に配置され、
感知位置において、センサ(3)は、第1の位置と比べて軸方向にオフセットされている、前記電子構成要素。
【請求項2】
電気要素(4)は、センサ(3)と電気信号を交換するように構成されており、
感知位置において、センサ(3)は、第1の位置と比べて軸方向にオフセットされており、ここで、軸方向は、取付けセクション(21)の主延在面に垂直な長手方向軸に平行なまたは該長手方向軸に沿った方向である、請求項1に記載の電子構成要素(1)。
【請求項3】
センサ(3)は、該センサ(3)とさらなる部材(8)との間の相対運動を検出するように構成されており、
センサ(3)は、感知位置において取付けセクション(21)の軸方向下方に位置する感知領域を測定するように配置されており、
センサ(3)は光センサである、請求項1または2に記載の電子構成要素(1)。
【請求項4】
第1の位置および/または感知位置において、センサ(3)は、接続領域(23)に対して角度的にオフセットされており、
感知位置において、センサ(3)は、接続領域(23)に対して軸方向にオフセットされている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)。
【請求項5】
センサセクション(22)は、第1の下位セクション(221)および第2の下位セクション(222)を含み、
第1の下位セクション(221)は、第2の下位セクション(222)を接続領域(23)に接続しており、
第1の位置および/または感知位置において、第2の下位セクション(222)は、接続領域(23)および/または第1の下位セクション(221)に対して角度的にオフセットされて配置されており、
感知位置において、第2の下位セクション(222)は、接続領域(23)および/または第1の下位セクション(221)に対して軸方向にオフセットされて配置されており、
第1の位置および/または感知位置において、センサ(3)は、第2の下位セクション(222)と角度的に重なっている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)。
【請求項6】
第1の位置および/または感知位置において、第2の下位セクション(222)は、第1の下位セクション(221)よりも角度方向に向けられており、
第1の位置において、第1の下位セクション(221)は、第2の下位セクション(222)よりも径方向に向けられている、請求項5に記載の電子構成要素(1)。
【請求項7】
センサセクション(22)は、キャリア(2)のアームであり、該アームは、自由端(226)を有し、接続領域(23)と自由端(226)との間を延び、
アームの向きは、接続領域(23)から自由端(226)に向かって変化する、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)。
【請求項8】
第1の位置および/または感知位置において、アームは、自由端(226)に近い方の領域では、接続領域(23)に近い方の領域よりも角度方向に向けられており、
アームは、犬の脚の形状である、請求項7に記載の電子構成要素(1)。
【請求項9】
センサセクション(22)にはスリット(224)が形成されており、
該スリット(224)はセンサセクション(22)に沿って延び、
第1の位置および/または感知位置において、センサ(3)は、角度方向においてスリット(224)と位置合わせされており、
感知位置において、センサ(3)は、スリット(224)に対して軸方向にオフセットされている、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)
【請求項10】
キャリア(2)は、第2のセンサ(3a)が配置された第2のセンサセクション(22a)を含み、該第2のセンサセクション(22a)は、接続領域(23a)を介して取付けセクション(21)に接続されており、
第2のセンサセクション(22a)は、センサセクション(22)に対して角度的にオフセットされており、
第1の位置および/または感知位置において、センサセクション(22)および第2のセンサセクション(22a)の接続領域(23、23a)は、角度方向において複数のセンサ(3、3a)との間に配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)。
【請求項11】
キャリア(2)は、取付けセクション(21)において、接続領域(23)および/またはセンサセクション(22)におけるよりも剛性である、請求項1~10のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)のための取付け部材(100)であって、
取付けセクション(21)が載置されるように構成された上面(101)と、
該上面(101)に対して傾斜して延びる側面(102)と
を含み、ここで、
センサセクション(22)がその感知位置にあるときに、側面(102)は、センサ(3)を公称位置に保持するための少なくとも1つの連結機能(125a、125b、125c)を含む、前記取付け部材。
【請求項13】
側面(102)の少なくとも1つの連結機能(125b、125c)は、公称位置に対するセンサ(3)の軸方向変位および/または回転変位を防止するための、径方向外側に突出する突出部であり、
側面(102)の少なくとも1つの連結機能(125c)は、公称位置に対するセンサ(3)の径方向変位を防止するためにセンサセクション(22)の少なくとも1つの連結機能(225)を挿入するためのポケットである、請求項12に記載の取付け部材(100)。
【請求項14】
薬物送達デバイス(1000)のための装置であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)と、
請求項12または13に記載の取付け部材(100)と
を含み、ここで、
電子構成要素(1)は、
取付けセクション(21)が上面(101)上に載置され、
センサセクション(22)がその感知位置にあり、
センサ(3)が、取付け部材(100)の少なくとも1つの連結機能(125a、125b、125c)によってその公称位置に保持される
ように、取付け部材(100)上に取り付けられる、前記装置。
【請求項15】
センサ(3)に対して可動に配置された可動部材(8)
をさらに含み、ここで、
センサ(3)は、該センサ(3)に対する可動部材(8)の動きを検出するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
薬物送達デバイス(1000)であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)、または請求項14もしくは15に記載の装置と、
薬物容器(14)を保持するための容器ホルダ(10)と
を含む、前記薬物送達デバイス。
【請求項17】
薬物送達デバイス(1000)のための装置を組み立てるための方法であって、
センサセクション(22)がその第1の位置にある、請求項1から11のいずれか1項に記載の電子構成要素(1)を提供することと、
請求項12または13に記載の取付け部材(100)を提供することと、
取付けセクション(21)が上面(101)上にくるように電子構成要素(1)を載置することと、
センサセクション(22)をその感知位置に動かすことと
を含む、前記方法。
【請求項18】
薬物送達デバイス(1000)のための電子構成要素(1)であって、
取付けセクション(21)、および該取付けセクション(21)に接続領域(23)を介して接続されたセンサセクション(22)を有するキャリア(2)と、
センサセクション(22)に配置されたセンサ(3)と、
該センサと電気信号を交換するように構成された電気要素(4)であって、取付けセクション(21)に配置され、センサ(3)に電気接続された、電気要素と
を含み、ここで、
センサセクション(22)は、第1の位置と感知位置との間で取付けセクション(21)に対して可動に配置されており、
感知位置において、センサ(3)は、第1の位置と比べて軸方向にオフセットされており、ここで、軸方向は、取付けセクションの主延在面に垂直な長手方向軸に平行なまたは該長手方向軸に沿った方向であり、
第1の位置および/または感知位置において、センサ(3)は、接続領域(23)に対して角度的にオフセットされている、前記電子構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬物送達デバイスのための電子構成要素、電子構成要素のための取付け部材、薬物送達デバイスのための装置、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスのための装置を組み立てるための方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
注射の投与は、ユーザおよび医療従事者にとって、精神的にも身体的にもいくつかのリスクおよび難題を伴うプロセスである。薬物送達デバイスは、自己注射を患者にとってより簡単にすることをねらいとする場合がある。製薬業界においてならびにユーザまたは患者にとって、電子部品を用いる薬物送達デバイスがますます普及している。送達される用量を電子的に測定することで、薬物送達デバイスの使用をより快適にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
達成するべき目的の1つは、薬物送達デバイスのための改善された電子構成要素を提供することである。好ましくは、電子構成要素は、センサを薬物送達デバイスに確実かつ精密に載置することを可能にする。達成するべきさらなる目的は、電子構成要素のための改善された取付け部材、薬物送達デバイスのための改善された機構、改善された薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスのための装置を組み立てるための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
それらの目的は、とりわけ、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態およびさらなる発展形態が、従属請求項の主題であり、以下の説明および図から導き出すこともできる。
【0005】
まず、薬物送達デバイスのための電子構成要素を示す。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子構成要素はキャリアを含む。キャリアは、取付けセクションおよびセンサセクションを有する。センサセクションは、接続領域を介して取付けセクションに接続されている。
【0007】
接続領域は、具体的には、キャリアの一部である。接続領域は、センサセクションおよび/または取付けセクションに直接的に隣接してよい。たとえば、接続領域において、取付けセクションは、センサセクションに直接的に隣接する。接続領域は、連続した、好ましくは単に接続された、キャリアの領域またはセクションでよい。たとえば、センサセクションは、接続領域を介してのみまたは接続領域においてのみ、取付けセクションに接続されている。
【0008】
キャリアは、1つまたはそれ以上の導電体を含む接続キャリアとすることができる。キャリアは、たとえばプラスチックから形成された、絶縁性のベース体を含むことができる。取付けセクションおよびセンサセクションはそれぞれ、ベース体によって部分的に形成することができる。ベース体は、1部片で形成できるかまたは一体形成することができる。ベース体は、取付けセクションから接続領域を越えてセンサセクションまで連続して延びることができる。1つもしくはそれ以上の導電トラックをベース体上に配置してもよく、および/またはベース体に組み込んでもよい。導電トラックのうちの少なくとも1つは、取付けセクションから接続領域を介してセンサセクションまで延びることができる。キャリアは、プリント回路基板、略してPCBでよい。
【0009】
ここで、また、以下において、「接続される(connected)」もしくは「接続する(connects)」という表現または同様の表現が「機械的(mechanical)」または「電気的(electrical)」などの接頭辞による指定なしで用いられている場合、それらの表現は特に機械的な接続に関するものである。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションにはセンサが配置されている。たとえば、センサは、センサセクションにおいてキャリアに電気接続されている。センサは、キャリアの1つまたはそれ以上の導電トラックに電気接続することができる。センサは、センサセクションにおいてキャリアに固定することができる。センサは、センサセクションにはんだ付けまたは接着することができる。センサは、非接触センサまたはコンタクトレスセンサでもよい。すなわち、センサは、感知動作または測定を行う必要のある物体に物理的に接触せずに感知動作を行うように構成することができる。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によれば、取付けセクションには電気要素が配置されている。電気要素は、センサに電気接続することができる。電気要素は、取付けセクションにおいてキャリアに電気接続することができる。たとえば、電気要素は、キャリアの1つまたはそれ以上の導電トラックに電気接続されている。電気要素は、導電トラックのうちの1つまたはそれ以上を介してセンサに電気接続することができる。電気要素は、取付けセクションにおいてキャリアに固定することができる。電気要素は、具体的には、取付けセクションにはんだ付けまたは接着することができる。キャリアは、具体的には、センサおよび電気要素を機械的に担持でき、ならびに/または、たとえば導電トラックを介して、電気要素およびセンサを電気接続することができる。
【0012】
電気要素は、たとえば、電気制御ユニット、または、ワイヤレス通信モジュールの、たとえばBluetoothモジュールのプロセッサもしくは要素でよい。特に、電気要素は、センサと電気信号を交換するように構成することができる。たとえば、電気要素は、センサを動作させおよび/もしくは起動し、ならびに/またはセンサから測定信号を受信し、ならびに/またはその測定信号を電子処理するように構成されている。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションは、取付けセクションに対して可動に配置されている。特に、センサセクションは、第1の位置と感知位置との間で取付けセクションに対して可動とすることができる。第1の位置は、電子構成要素が送られる位置および/または薬物送達デバイスのための装置に電子構成要素を組み付ける前の位置とすることができる。感知位置は、センサを動作させるための位置および/または薬物送達デバイスのための装置に電子構成要素が組み付けられた位置とすることができる。
【0014】
可動とは、好ましくは、センサセクションが取付けセクションに対して枢動可能および/または屈曲可能および/または折り曲げ可能に配置されるという意味である。たとえば、少なくとも接続領域において、キャリアは、取付けセクションとセンサセクションとの間の相対運動を可能にするために可撓性または屈曲可能になるように形成されている。接続領域は、ヒンジ連結、たとえば、フィルムヒンジ連結によって形成することができる。たとえば、キャリアはいわゆるフレキシブルボードである。第1の位置から感知位置へのおよび/または感知位置から第1の位置への動きは可逆的でよい。
【0015】
取付けセクションに対して第1の位置から感知位置にセンサセクションを動かすときは、センサセクションは、取付けセクションに対して、少なくとも45°または少なくとも80°、たとえば90°枢動することができる。追加的にまたは代替的に、センサセクションは、2つの位置の間で最大135°または最大100°枢動することができる。
【0016】
キャリアは薄くてよい。たとえば、キャリアの厚さは、キャリアの正面側と背面側との間を測定すると、正面側または背面側の範囲よりも小さく、たとえば、少なくとも5分の1または少なくとも10分の1の大きさである。第1の位置において、取付けセクションの主延在面は、センサセクションの主延在面に平行またはほぼ平行でよい。たとえば、第1の位置において、センサセクションの主延在面と取付けセクションの主延在面との間の角度は、最大10°または最大5°である。感知位置において、センサセクションの主延在面と、取付けセクションの主延在面とは、互いに傾斜してよく、たとえば互いに垂直でよい。たとえば、感知位置において、センサセクションの主延在面と取付けセクションの主延在面との間の角度は、少なくとも45°または少なくとも80°である。
【0017】
「主延在面(main extension plane)」および「主延在方向/軸(main extension direction/axis)」という用語が当業者に知られている。特に、要素の主延在面は、たとえばカイ二乗最適化によって、その要素を通るように合わせられた面でよい。したがって、主延在方向は、その要素を通るように合わせられた、線、たとえば直線の方向でよい。このような直線は、主延在軸を画成することができる。
【0018】
電気要素とセンサとは、キャリアの異なる側に配置することができる。たとえば、センサは、キャリアの背面側に配置され、電気要素は、キャリアの正面側に配置されている。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、感知位置において、センサは、第1の位置と比べて軸に沿ってオフセットされている。「軸に沿ってオフセットされる(axially offset)」とは、軸方向にオフセットされることを意味する。これは、第1の位置から感知位置へのセンサセクションの動きが、センサの軸方向の動きを含むことを意味する。特に、感知位置において、センサはさらに、取付けセクションおよび/または電気要素に対して、第1の位置よりも軸に沿ってオフセットされている。
【0020】
軸方向は、本明細書では、長手方向軸に平行なまたは長手方向軸に沿った方向と定義されている。長手方向軸は、取付けセクションの主延在面に垂直に延びることができる。特に、長手方向軸は、取付けセクションと交差し、ならびに/またはその中心、たとえば、幾何学的な中心および/もしくはその重心を通って延びる。長手方向軸は、取付けセクションにおいて、キャリアの正面側および/もしくは背面側と交差することができ、ならびに/またはそれに垂直に延びることができる。
【0021】
たとえば、第1の位置から感知位置に動くときに、センサは、軸に沿って少なくとも0.5cmまたは少なくとも1cm変位する。追加的にまたは代替的に、センサは、最大5cmまたは最大3cm、軸に沿って変位する。
【0022】
ここで、また、以下において、要素または部材または構成間の相対位置および相対運動を説明するために、長手方向軸は特に、座標系を画成するためにおよび/または方向を画成するために用いられる。既に言及したように、長手方向軸に平行な方向は、本明細書では、軸方向と定義されている。長手方向軸に垂直な方向および/または長手方向軸と交差する方向は、本明細書では、径方向と呼ばれている。径方向内側は、長手方向軸を指す径方向である。径方向外側は、長手方向軸から離れる方を指す径方向である。
【0023】
「角度方向(angular direction)」、「アジマス方向(azimuthal direction)」、および「回転方向(rotational direction)」という用語は、本明細書では、同義語として用いられている。このような方向は、長手方向軸に垂直かつ径方向に垂直な方向である。この方向は、具体的には、長手方向軸の周りの円形トラック上での運動の方向である。
【0024】
少なくとも1つの実施形態において、薬物送達デバイスのための電子構成要素は、取付けセクションおよびその取付けセクションに接続領域を介して接続されたセンサセクションを有するキャリアを含む。センサセクションにはセンサが配置されており、取付けセクションには電気要素が配置されており、その電気要素はセンサに電気接続されている。センサセクションは、第1の位置と感知位置との間で取付けセクションに対して可動に配置されている。感知位置において、センサは、第1の位置と比べて軸に沿ってオフセットされている。
【0025】
本明細書に記載されている電子構成要素は、とりわけ、取付け部材に簡単かつ確実に取り付けることができる。たとえば、センサセクションが第1の位置にある電子構成要素を、まず、取付け部材に載置し、次いで、センサセクションをその感知位置に動かすことができる。そうすることで、センサを公称位置に運ぶことができ、公称位置に保持するために取付け部材に連結することができる。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションを第1の位置から感知位置に動かす間は、接続領域とセンサとの間の距離は一定または実質的に一定である。たとえば、その動きの間に、距離は、最大5%または最大1%だけ変化する。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリアは、取付けセクションにおいて、接続領域および/またはセンサセクションにおけるよりも剛性である。たとえば、取付けセクションにおいて、キャリアは、接続領域および/またはセンサセクションにおけるよりも、たとえば少なくとも2倍の厚さがある。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、電気要素およびセンサ以外に、1つまたはそれ以上のさらなる電気要素をキャリアに配置することができる。電気構成要素または電子構成要素は、以下のさらなる電気要素のうちの1つもしくはそれ以上またはすべてを含むことができる:時計、メモリ、コンデンサ、インダクタ、プロセッサ、制御ユニット、スイッチ、Bluetoothモジュールまたはより概略的にはワイヤレス通信モジュールの部材、さらなるセンサ、たとえば圧力センサまたはタッチセンサまたは容量センサ。
【0029】
さらなる電気要素のうちの1つもしくはそれ以上またはすべては、キャリアに配置された電気要素と同じ側に、たとえばキャリアの正面側に配置することができる。追加的にまたは代替的に、1つもしくはそれ以上またはすべてのさらなる電気要素は、電気要素の反対側(特に、センサと同じ側)、たとえば背面側に配置することができる。1つもしくはそれ以上またはすべてのさらなる電気要素は、取付けセクションに配置することができる。たとえば、さらなるセンサ、たとえば圧力センサまたはタッチセンサまたは容量センサは、取付けセクションに配置されている。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、電気構成要素または電子構成要素はアンテナを含む。アンテナは、電子構成要素とさらなるデバイス、たとえばスマートフォンまたはコンピュータとの間のワイヤレス通信のために構成することができる。たとえば、センサを用いて受信したデータは、アンテナを介してさらなるデバイスに送信することができる。アンテナは、電気要素および/またはセンサに電気接続することができる。
【0031】
アンテナは、キャリアによって形成されるアンテナセクションを含むことができる。アンテナセクションは、取付けセクションに接続できおよび/もしくは隣接でき、ならびに/または取付けセクションから離れる方に延びることができる。特に、アンテナセクションは細長く、すなわち、アンテナセクションの長さは、アンテナセクションの幅および/または厚さよりも大きい。たとえば、長さは、幅の少なくとも5倍または少なくとも10倍である。アンテナセクションは可撓性になるように形成することができる。特に、アンテナセクションは、薬物送達デバイスに電子構成要素を取り付けたときに、たとえば長手方向軸の周りで、コイル状になるように構成することができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサは、センサと、以下で可動部材とも称されるさらなる部材と、の間の相対運動を検出するように構成される。特に、センサは、センサとさらなる部材との間の相対回転運動を検出するように構成されている。たとえば、センサは、センサがさらなる部材と軸の周りで重なっているかまたは軸の周りで位置合わせされているときに、さらなる部材の回転運動を検出するように構成されている。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサは、感知領域を測定または検出するように配置されている。好ましくは、感知位置において、感知領域は、取付けセクションの軸方向下方に位置する。特に、感知領域は、取付けセクションと径方向に重なる。たとえば、長手方向軸に沿って、特に遠位方向に見たときに、感知領域は、取付けセクションによって覆われている。センサは、物理的、電磁気的、および/もしくは化学的な特徴、または感知領域で起きる変化を検出するように構成することができる。
【0034】
たとえば、センサは、検査予定の物体から信号を受信しおよび/または検査予定の物体に当接するように構成されたセンサ表面を含む。感知位置において、センサ表面は、好ましくは、取付けセクションの軸方向下方に位置する感知領域を向き、および/または取付けセクションの軸方向下方に位置する検査予定の物体を向く。特に、感知位置において、センサ表面は長手方向軸を向いていてよい。感知位置において、センサ表面の法線は、取付けセクションの主延在面に平行にまたはたとえば最大10°の鋭角で延びることができる。特に、感知位置において、センサ表面は、径方向内側を向いてよい。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサは光センサである。センサは、光センサとして、好ましくは、発光素子、たとえばLEDを含む。発光素子は、放射線、たとえば赤外線を放射することができ、次いで、その放射線の反射された部分が、センサによって、たとえば、検出器チップなど、その放射線感受性素子によって検出される。
【0036】
追加的にまたは代替的に、センサは、放射線センサ、たとえば光センサもしくは赤外線センサ、または加速度計、または音センサ、または圧力センサ、または温度センサ、または近接センサ、または超音波センサ、または色センサ、または湿度センサ、またはチルトセンサ、またはフローセンサ、または磁気センサ、たとえばホール効果センサ、またはライダ、または電流センサ、または光センサ、または力/トルクセンサ、またはひずみゲージセンサ、または機械的スイッチでよい。ただし、好ましくは、センサは機械的スイッチではない。センサは、デジタルセンサまたはアナログセンサでよい。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置および/または感知位置において、センサは、接続領域に対して角度的にオフセットされており、すなわち、角度方向にオフセットされている。特に、センサは、角度方向において接続領域と重ならない。たとえば、センサは、接続領域に対して少なくとも5°または少なくとも10°または少なくとも20°角度的にオフセットされている。追加的にまたは代替的に、センサは、接続領域に対して最大30°または最大20°角度的にオフセットしてよい。特に、キャリアのうちのセンサが配置されている領域から取付けセクションおよび/または接続領域までの最短経路は、キャリアを全体的には通り抜けない経路、たとえば、取付けセクションとセンサセクションとの間の隙間を通る経路である。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションを第1の位置から感知位置に動かすことは、軸方向および/または径方向、たとえば、径方向内側への動きを含む。たとえば、センサセクションを第1の位置から感知位置に動かすことは、主として径方向および軸方向のものである。その動きの間は、軸方向および/または径方向の変位は、角度方向の変位よりも大きく、たとえば、少なくとも5倍または少なくとも10倍大きくてよい。たとえば、動きの間は、センサは角度方向には動かされない。これは、センサおよび/またはセンサセクションの角度位置が第1の位置および感知位置において同じでよく、たとえば、第1の位置から感知位置に動く間は同じままであることを意味する。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、感知位置において、センサは、接続領域に対して軸方向にオフセットされている。たとえば、センサは、接続領域に対して少なくとも0.5cmまたは少なくとも1cm軸方向にオフセットされている。追加的にまたは代替的に、感知位置において、センサは、接続領域に対して最大5cmまたは最大3cm軸方向にオフセットしていてよい。第1の位置において、センサは、接続領域に対して、たとえば同じ距離だけ径方向にオフセットしていてよい。
【0040】
第1の位置において、センサは、接続領域と軸方向に重なることができるか、または軸方向に位置合わせすることができる。追加的にまたは代替的に、第1の位置において、センサは、接続領域に対して、感知位置の場合よりも軸方向にオフセットされていなくてよい。たとえば、第1の位置において、接続領域と比べてセンサに対する軸方向オフセットは、最大0.5cmである。感知位置において、センサは、接続領域と径方向に位置合わせできるか、または径方向に重なることができる。
【0041】
ここで、また、以下において、2つの要素間の相対位置について論じる場合、そのことは、特に、要素の幾何学的中心間または要素の重心間の相対位置に関することがある。センサの場合、その位置は、センサの光学的中心によって画成することもできる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションは、第1の下位セクションおよび第2の下位セクションを含む。
【0043】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の下位セクションは、第2の下位セクションを接続領域に接続する。たとえば、第1の下位セクションは、さらなる接続領域を介して第2の下位セクションに接続されている。第1の下位セクションは、第2の下位セクションおよび/または接続領域に直接的に隣接することができる。代替的に、さらなる下位セクション、たとえば、湾曲した下位セクションを、第1の下位セクションと第2の下位セクションとの間に形成できる。下位セクションは、センサセクションの長さに沿って他の下位セクションの後ろに配置することができ、および/または、それぞれセンサセクションの幅全体にわたって延びることができる。
【0044】
第1の下位セクションおよび/または第2の下位セクションは、さらなる接続領域および/または接続領域よりも剛性に形成することができ、たとえば、より厚く形成することができる。さらなる接続領域は、可撓性または屈曲可能になるように形成でき、そのため、第2の下位セクションは、第1の下位セクションに対して可動にでき、たとえば、第1の下位セクションに対して枢動可能および/または屈曲可能にすることができる。
【0045】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置および/または感知位置において、第2の下位セクションは、接続領域および/または第1の下位セクションに対して角度的にオフセットされて配置されている。たとえば、第1の位置において、第2の下位セクションと取付けセクションとの間に隙間が形成されており、そのため、第2の下位セクションから取付けセクションまでキャリアを完全に通り抜ける直線的な経路はない。感知位置において、その隙間は、第2の下位セクションと取付けセクションとの間で軸方向に配置することができる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置において、第2の下位セクションは、第1の下位セクションおよび/または接続領域と軸方向に位置合わせできるか、または軸方向に重なることができる。第1の位置において、第2の下位セクションは、特に、第1の下位セクションおよび/または接続領域に対して径方向にオフセットされている。
【0047】
少なくとも1つの実施形態によれば、感知位置において、第2の下位セクションは、第1の下位セクションおよび/または接続領域に対して軸方向にオフセットされている。感知位置において、第2の下位セクションは、第1の下位セクションおよび/または接続領域と径方向に位置合わせできるかまたは径方向に重なることができる。
【0048】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置および/または感知位置において、センサは、第2の下位セクションと角度的に重なる。センサは、第2の下位セクションに配置することができる。センサから電気要素までの導電トラックは、センサから第2の下位セクションを介して、利用可能であればさらなる接続領域および/または湾曲した下位セクションを介して、第1の下位セクションを介して、接続領域を介して取付けセクションまで延びることができる。
【0049】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置および/または感知位置において、第2の下位セクションは、第1の下位セクションよりも角度方向に向けられている。特に、第2の下位セクションの主延在軸は、第1の下位セクションの主延在軸よりも角度方向に向けることができる。
【0050】
たとえば、第1の位置および/または感知位置において、第2の下位セクションの主延在軸と角度方向との間の角度は、最大45°または最大30°または最大20°である。第1の位置および/または感知位置において、第1の下位セクションの主延在軸と角度方向との間の角度は、少なくとも45°または少なくとも60°または少なくとも70°でよい。たとえば、角度方向に対する第2の下位セクションの主延在軸の角度は、第1の下位セクションの主延在軸と角度方向との間の角度の最大50%または最大30%である。
【0051】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置において、第1の下位セクションは、第2の下位セクションよりも径方向に向けられている。感知位置において、第1の下位セクションは、第2の下位セクションよりも軸方向に向けることができる。したがって、前の段落で言及した角度に関する値は、径方向および/または軸方向に関係する向きに適用できる。
【0052】
追加的にまたは代替的に、第1の位置および/または感知位置において、第2の下位セクションは、第1の下位セクションよりも回転軸に沿って向けることができる。回転軸とは、第1の位置から感知位置に動かされるときにセンサセクションが取付けセクションに対して、それを中心にして折り畳まれる/屈曲される/枢動される軸である。たとえば、第1の位置および/または感知位置において、第2の下位セクションは、回転軸に平行に延びることができ、および/または第1の下位セクションは回転軸に垂直に延びることができる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションはキャリアのアームである。アームは自由端を有することができる。さらに、アームは接続領域と自由端との間を延びることができる。
【0054】
特に、アームは細長くてよい。したがって、アームの長さは、アームの幅および/または厚さよりも大きくてよい。たとえば、アームの長さは、アームの幅および/または厚さの少なくとも2倍または少なくとも5倍である。アームの自由端は、取付けセクションに対して可動でよい。アームの自由端は、アームの長手方向端部とすることができる。アームのさらなる長手方向端部は、接続領域に隣接することができる。
【0055】
少なくとも1つの実施形態によれば、アームの向きは、接続領域から自由端に向かって変化する。これは、第1の位置および/または感知位置に関して有効とすることができる。たとえば、第1の位置において、アームは、接続領域から始まって、まず、取付けセクションから離れる方に、たとえば、主に径方向外側にまたは専ら径方向外側に延び、次いで湾曲し、そこから自由端まで、取付けセクションから離れる方にあまり大きく延びなくなり、たとえば主に角度方向にまたは専ら角度方向に延びる。したがって、感知位置において、アームは、接続領域から始まって、まず、取付けセクションから離れる方に、たとえば、主に軸方向にまたは専ら軸方向に、特に遠位方向に延び、次いで湾曲し、そこから自由端まで、取付けセクションから離れる方にあまり大きく延びなくなり、たとえば主に角度方向にまたは専ら角度方向に延びる。
【0056】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置および/または感知位置において、アームは、自由端に近い方の領域では、接続領域に近い方の領域よりも角度方向に向けられている。たとえば、自由端からアームの湾曲部に向かう領域において、アームは、湾曲部から接続領域の領域よりも角度方向に向けられている。
【0057】
少なくとも1つの実施形態によれば、アームは、犬の脚の形状である。
【0058】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションにはスリットが形成されている。スリットの長さは、スリットの幅よりも大きく、たとえば、幅の少なくとも5倍または少なくとも10倍である。スリットは、センサセクションを貫通して、すなわち、正面側から背面側まで、および/またはセンサセクションの厚さ全体を通って延びることができる。
【0059】
少なくとも1つの実施形態によれば、スリットは、センサセクションに沿って、特にアームに沿って延びる。たとえば、スリットは、センサセクションの形状に従う。スリットは、その長さに沿ってその向きが変わってよい。特に、スリットは、第1の領域および第2の領域を含み、第1の領域の方が接続領域に近い。第2の領域の方がアームの自由端に近くてよい。センサセクションが第1の位置および/または感知位置にあるときに、第2の領域のスリットは、第1の領域のものよりも角度方向に向いていてよい。特に、スリットは、連続して形成することができる。スリットは、センサセクションの長さの大部分にわたって、たとえば、センサセクションの長さの少なくとも50%または少なくとも75%にわたって延びることができる。
【0060】
少なくとも1つの実施形態によれば、スリットは、一方の長手方向端部にまたは両方の長手方向端部に孔を含む。孔の直径は、中央領域におけるスリットの幅よりも大きくてよい。孔は、センサセクションを貫通して延びることができる。
【0061】
センサセクションに形成されたスリットによって、センサセクションがその感知位置にあるときに、センサセクションの可動性、特に、軸方向の可動性が大きくなる。そのことによって、電気構成要素または電子構成要素を取付け部材に取り付けることと、取付け部材に対してセンサをその公称位置に運ぶことを単純化できる。
【0062】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置および/または感知位置において、センサは、角度方向においてスリットと位置合わせされるかまたはスリットと重なっている。
【0063】
少なくとも1つの実施形態によれば、感知位置において、センサは、スリットに対して軸方向にオフセットされている。たとえば、センサは、センサセクションが感知位置にあるときに、軸方向にスリットよりも取付けセクションから離れて配置されている。特に、感知位置において、センサは、第1の位置のときよりも、スリットに対して軸方向にオフセットされている。
【0064】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリアの導電トラック、たとえば、センサを電気要素と電気接続する導電トラックは、スリットの隣でスリットに沿って延びる。たとえば、導電トラックはスリットに平行に延びる。
【0065】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子構成要素は、少なくとも1つの連結機能を含む。その連結機能は、センサをその取付け部材に対して公称位置に保持するために、取付け部材の1つまたはそれ以上の連結機能と相互作用するように構成されることができる。連結機能は、センサセクションの1つまたはそれ以上の連結領域上にまたはそれによって形成することができる。たとえば、第1の位置および/または感知位置において、連結機能は、センサに対して角度的にオフセットされて位置する。センサは、角度方向において連結機能間に配置することができる。たとえば、アームの自由端においてまたはそれによって、1つの連結機能が形成される。
【0066】
連結機能は、センサセクションのうちの、連結部材(coupling member)の1つまたはそれ以上のポケットに挿入されるように構成された領域でよい。それらの領域では、キャリアは、たとえば、センサが配置される領域よりも薄くてよい。連結機能は、センサセクションの第2の下位セクションに配置することができる。
【0067】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサは、センサセクションのタブに配置されている。タブは、接続領域および/または第1の下位セクションに対して角度的にオフセットしてよい。感知位置において、タブは、取付けセクションから離れる方にセンサセクションの残りの部分から軸方向に延びることができる。たとえば、感知位置において、タブは、センサセクションの残りの部分よりも、たとえば、連結機能よりもおよび/または湾曲した下位セクションよりもおよび/または第1の下位セクションよりも、取付けセクションから離れる方に軸方向に位置する。タブは、第2の下位セクションの一部でよい。
【0068】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリアは第2のセンサセクションを含む。センサセクションに関連して開示するすべての構成は、第2のセンサセクションに関しても開示されている。特に、第2のセンサは、第2のセンサセクションに配置でき、第2のセンサセクションは、接続領域を介して取付けセクションに接続することができる。第2のセンサは、センサセクションのセンサと同じタイプのものでよい。センサおよびセンサセクションに関して開示するすべての構成は、第2のセンサおよび第2のセンサセクションに関しても開示されている。
【0069】
第2のセンサも、取付けセクション上で電気要素に電気接続できる。第2のセンサセクションも、第1の位置と感知位置との間で、可動、特に枢動可能または屈曲可能とすることができ、そのため、感知位置において、第2のセンサは第1の位置と比べて軸方向にオフセットされている。第2のセンサは、第2のセンサとさらなる部材との間の相対運動を検出するように構成することができる。たとえば運動の測定の分解能を高めるためにならびに/またはセンサおよび第2のセンサに対するさらなる部材の運動の方向を判定するために、たとえば、組み合わせたセンサ(すなわち、センサおよび第2のセンサ)によって、さらなる部材の運動に応答して生成されるグレイコード出力を介して、センサおよび第2のセンサからの測定値を組み合わせることができる。
【0070】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のセンサセクションは、センサセクションに対して角度的にオフセットされている。そのことは、両方のセンサセクションがそれぞれの第1の位置および/またはそれぞれの感知位置にあるときに有効とすることができる。たとえば、両方のセンサセクションがそれぞれの感知位置にあるときに、2つのセンサは角度的にオフセットしてよい。
【0071】
2つのセンサの間の角度距離は、それぞれのセンサセクションが感知位置にあるときには、さらなる部材の感知機能に応じて予め定められていてよい。たとえば、2つのセンサは光センサである。
【0072】
少なくとも1つの実施形態によれば、さらなる部材はエンコーダ構造を含む。エンコーダ構造は、たとえば薬物送達デバイスによって行われる用量送達動作の間に、センサに対して動く、たとえば回転することができる。センサに対するエンコーダ構造の動きは、特に、センサとさらなる部材との間の相対運動を定量化できるように、センサを介して検出および/または測定することができ、たとえば、回転角度を判定することができる。測定値を用いて、用量送達動作中に送達される用量を計算することができる。エンコーダ構造は、たとえばさらなる部材の周りで周方向に、さらなる部材の外面上にまたは外面によって設けることができる。エンコーダ構造は、周方向に交互に配設された、光または赤外線に対する異なる反射率を示すエンコーダ領域を含むことができる。エンコーダ構造は、たとえば、暗い領域と明るい領域とが交互に配置された領域を含む。エンコーダ領域のそれぞれの角度幅はWでよく、たとえばW=30°である。好ましくは、Wは、W*m=360°になるように選択され、ここでmは整数である。2つのセンサ間の角度間隔はW*n+W/2でよく、ここでnは整数である。2つのセンサ間の角度間隔は、特に、2つのセンサの光学的中心間の角度間隔を指す。したがって、センサに対してさらなる部材が回転する間に、センサは、エンコーダ領域に対して位相がずれていてよい。
【0073】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサおよびエンコーダ構造は、センサに対するさらなる部材の動きの間に、センサおよびさらなる部材が、マルチビットのグレイコード出力、たとえば2ビットのグレイコードを生成するのに適したシステムを提供するように調節される。したがって、各センサとさらなる部材との間の固有の相対位置、たとえば2ビットのグレイコードの場合は4つの相対位置を、各センサの組み合わせた出力を介して判定することができる。
【0074】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の位置および/または感知位置において、センサセクションおよび第2のセンサセクションの接続領域は、角度方向においてセンサ間に配置されている。センサセクションと第2のセンサセクションとは、角度方向において反対に向けることができる。たとえば、第1の位置および/または感知位置において、センサセクションおよび第2のセンサセクションは、軸方向および径方向に平行に延びる面に対して鏡映対称に配置されている。
【0075】
次に、電気構成要素または電子構成要素のための取付け部材を示す。特に、取付け部材は、本明細書で示される電気構成要素または電子構成要素を取り付けるかまたは保持するように構成することができる。取付け部材はシャーシ下部でよい。たとえば、取付け部材は、プラスチックからおよび/または1部片になるように形成されている。
【0076】
少なくとも1つの実施形態によれば、取付け部材は上面を含む。上面は、特に、その上に取付けセクションを載置できるように構成されている。たとえば、上面の面積および/または形状は、取付けセクションの面積および/または形状に適用される。
【0077】
たとえば、上面は円の形状を有する。上面は、特に、取付けセクションを保持または担持するように構成されている。電子構成要素が取付け部材に取り付けられているときは、長手方向軸は、上面を通って、たとえばその中央を通って、傾斜して、たとえば垂直に延びることができる。
【0078】
少なくとも1つの実施形態によれば、取付け部材は側面を含む。側面は、上面に対して傾斜して、たとえば垂直に延びてよい。側面は、長手方向軸の周りを周方向に延びてよい。
【0079】
取付け部材は、細長いおよび/または管状の形状でよい。たとえば、取付け部材の主延在方向は長手方向軸に沿って延びる。
【0080】
少なくとも1つの実施形態によれば、側面は、センサセクションがその感知位置にあるときにセンサを公称位置に保持するための連結機能を少なくとも1つ含む。
【0081】
少なくとも1つの実施形態によれば、側面の少なくとも1つの連結機能は、センサの公称位置に対するセンサの軸方向変位および/または回転変位を防止するように構成されている。たとえば、少なくとも1つの連結機能は、径方向外側に突出する1つまたはそれ以上の突出部によって実現される。突出部は、回転方向および/または軸方向のセンサの動きをブロックまたは制限するために、センサに当接してよく、またはセンサに当接するように配置できる。
【0082】
少なくとも1つの実施形態によれば、側面の少なくとも1つの連結機能は、その公称位置に対するセンサの径方向変位を防止するように構成されている。たとえば、少なくとも1つの連結機能は、電子構成要素の連結機能を受けるように、特に、アームの自由端を受けるように構成されたポケットである。ポケットは、電子構成要素の連結機能を軸方向に、たとえば軸方向に取付けセクションから離れる方に摺動させることによって、電子構成要素の連結機能を受けるように構成することができる。側方面は、このような連結機能を2つ含むことができ、たとえば、それぞれがセンサセクションの連結機能を受けるためのポケットの形態である。公称位置において、センサは、側面のそれらの2つの連結機能の間で角度的に配置することができる。
【0083】
次に、薬物送達デバイスのための装置を示す。
【0084】
少なくとも1つの実施形態によれば、装置は電子構成要素を含む。電子構成要素は、本明細書に示される電子構成要素でよい。
【0085】
少なくとも1つの実施形態によれば、装置は取付け部材を含む。取付け部材は、本明細書に示される取付け部材でよい。
【0086】
電子構成要素および/または取付け部材に関連して開示されるすべての構成は、装置に関しても開示され、その逆も同様である。
【0087】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子構成要素は、取付け部材に取り付けられる。たとえば、取付け部材は電子構成要素を担持する。電子構成要素は、取付け部材に回転不能におよび/または軸方向におよび/または径方向に固定することができる。
【0088】
少なくとも1つの実施形態によれば、取付けセクションは上面に載置される。たとえば、取付けセクションは、上面の大部分、たとえば少なくとも50%または少なくとも75%を覆う。取付けセクションおよび/または取付けセクションに配置された要素、たとえば電気要素は、上面に当接することができる。
【0089】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションはその感知位置にある。たとえば、センサセクションは、上面と側面との間に形成された取付け部材の縁部の上に枢動または屈曲または折畳みされる。キャリアの屈曲軸は、周りにセンサセクションが取付けセクションに対して屈曲または枢動または折畳みされ、前記縁部に平行に延びることができる。
【0090】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサは、取付け部材の少なくとも1つの連結機能によってその公称位置に保持される。
【0091】
少なくとも1つの実施形態によれば、装置は、センサに対して可動に配置された可動部材を含む。たとえば、可動部材は装置に連結される。可動部材は、回転方向および/または軸方向においてセンサに対して可動に配置することができる。可動部材は上記で言及したさらなる部材でよい。
【0092】
可動部材は、センサによって検査されるように構成された感知表面を含むことができる。感知表面は径方向外側を向いてよい。感知表面は、上記で言及したエンコーダ構造を含むかまたは形成することができる。たとえば、上記でさらに論じたようにセンサおよび第2のセンサと組み合わせた感知表面が、グレイコードを画成するのに適切な場合がある。センサセクションのセンサまたはそのセンサ表面は、感知表面を向くことができる。可動部材は、エンコーダリングおよび/またはダイヤル設定スリーブを含むことができる。
【0093】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサは、センサに対する可動部材の動き、特に回転運動を検出するように構成されている。
【0094】
少なくとも1つの実施形態によれば、装置の第1の状態において、可動部材は、センサに回転不能にロックすることができる。これは、第1の状態において、可動部材がセンサに対して回転できないことを意味する。たとえば、第1の状態において、可動部材は、回転ロックインターフェースを介して取付け部材に回転不能にロックされている。回転ロックインターフェースは歯付きインターフェースでよい。第1の状態とは、用量をダイヤル設定するための状態でよい。
【0095】
少なくとも1つの実施形態によれば、装置の第2の状態において、可動部材は、センサに対して回転可能である。特に、可動部材と取付け部材との間の回転ロックインターフェースは、第2の状態では解放されている。第2の状態とは、ダイヤル設定された用量を投薬するための状態でよい。
【0096】
次に、薬物送達デバイスを示す。薬物送達デバイスは、注射デバイスおよび/またはペン型デバイス、たとえば、ダイヤル伸長ペンでよい。薬物送達デバイスは、ユーザに送達予定の薬物用量を可変に設定できる可変用量デバイスでよい。たとえば、薬物送達デバイスは再使用可能なデバイスである。
【0097】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスは、本明細書に示される電子構成要素または本明細書に示される装置を含む。したがって、電子構成要素または装置に関連して開示される構成はすべて、薬物送達デバイスに関しても開示されており、その逆も同様である。
【0098】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスは、薬物容器を保持するための容器ホルダを含む。容器ホルダは、薬物送達デバイスのハウジングでよく、またはハウジングに接続されるかもしくは接続可能でよい。容器ホルダは、薬物送達デバイスのハウジングに対して軸方向におよび/または回転不能に固定された薬物容器を保持するように構成することができる。特に、容器ホルダは、薬物容器が薬物送達プロセス中に軸方向および/または回転方向に動かないように薬物容器を保持することができる。
【0099】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスは、薬物で充填された薬物容器を含む。薬物容器は、遠位端に針が予め取り付けられたシリンジでよい。代替的に、針は、薬物容器に、たとえばその遠位端に取り付け可能でよい。
【0100】
薬物送達デバイスは細長くてよい。薬物送達デバイスの主延在方向は長手方向軸と一致してよい。追加的にまたは代替的に、薬物送達デバイスは、長手方向軸に対して回転対称でよい。長手方向軸に平行な方向は、本明細書で軸方向と呼ばれる。一例として、薬物送達デバイスは筒形である。
【0101】
さらに、薬物送達デバイスは、端部、たとえば長手方向端部を含むことができ、その端部は、ヒトの身体の皮膚領域を向くかまたは押し付けられるように設けることができる。その端部は本明細書で遠位端と呼ばれる。薬物または薬剤は遠位端を介して供給することができる。反対側の端部は本明細書では近位端と呼ばれる。近位端は、使用中に、皮膚領域から離れている。近位端から遠位端を向く軸方向は、本明細書では遠位方向と呼ばれる。遠位端から近位端を向く軸方向は、本明細書では近位方向と呼ばれる。薬物送達デバイスの部材または要素または構成の、たとえばユーザインターフェース部材の、遠位端は、本明細書では、最も遠位に位置する部材/要素/構成の端部であると理解される。したがって、部材または要素または構成の近位端は、本明細書では、最も近位に位置する要素/部材/構成の端部であると理解される。
【0102】
言い換えれば、遠位は、本明細書では、薬物送達デバイスもしくはその構成要素の投薬端部を向くかもしくは指すようにおよび/または薬物送達デバイスもしくはその構成要素の近位端から離れる方を向くかもしくは指すように配置されるかまたは配置予定である、方向、端部、または表面を示すために用いられる。一方、近位とは、本明細書では、薬物送達デバイスまたはその構成要素の投薬端部および/または遠位端から離れる方を向くかまたは指すように配置されるかまたは配置予定である方向、端部、または表面を示すために用いられる。遠位端は、投薬端部に最も近いおよび/または近位端から最も遠い端部でよく、近位端は、投薬端部から最も遠い端部でよい。近位表面は、遠位端から離れる方を向くおよび/または近位端を向く面でよく、遠位表面は、遠位端を向くおよび/または近位端から離れる方を向く面でよい。投薬端部は、たとえば針ユニットがデバイスに取り付けられているかまたは取り付け予定である針端部でよい。
【0103】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスは、ユーザインターフェース部材、たとえばノブを含む。ユーザインターフェース部材は、用量をダイヤル設定するおよび/または用量を注射するように構成することができる。取付け部材および/または電子構成要素は、ユーザインターフェース部材に回転不能におよび/または軸方向に固定することができる。ユーザインターフェース部材は、薬物送達デバイスのハウジングに対しておよび/または薬物容器(ホルダ)に対して、回転可能におよび/または軸方向に可動に配置することができる。
【0104】
たとえば、薬物送達デバイスは以下のように使用することができる。まず、ハウジングおよび/または薬物容器(ホルダ)に対してユーザインターフェース部材を回転させる。ユーザインターフェース部材は、ハウジングおよび/または薬物容器(ホルダ)に対して螺旋の経路上を回転できる。その間に、装置を、取付け部材が可動部材と共に回転不能にロックされる第1の状態にする。したがって、可動部材は、ユーザインターフェース部材と共に回転する。用量をダイヤル設定した後に、ユーザは、遠位方向に動かしてダイヤル設定された用量を送達するためにユーザインターフェース部材を押圧できる。装置は、ここで、取付け部材が可動部材から回転可能にデカップリングされた第2の状態にあるかまたは第2の状態に切り替えることができる。ユーザインターフェース部材が遠位方向に動く間に、ユーザインターフェース部材は回転できず、可動部材は回転できる。そうすることで、ダイヤル設定された用量を射出、たとえば、患者に注射できる。センサセクション上のセンサは、可動部材の回転を測定することができる。次いで、センサの測定信号を電気構成要素または電子構成要素、たとえばプロセッサに送信でき、そこで、送達された用量をそれらの測定信号から判定できる。次いで、その情報をさらなるデバイスに、たとえばワイヤレス通信モジュールによって通信することができる。
【0105】
次に、薬物送達デバイスのための装置を組み立てるための方法を示す。本方法は、本明細書に示される装置を組み立てるために用いることができる。したがって、装置に関連して開示されるすべての構成は、本方法に関しても開示されており、その逆も同様である。
【0106】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、電子構成要素が提供される工程を含む。その工程において、センサセクションは、好ましくは、その第1の位置にある。
【0107】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、取付け部材が提供される工程を含む。
【0108】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、取付けセクションが上面上にくるように電子構成要素が載置される工程を含む。特に、取付けセクションは、そうすることで、上面に載置され、たとえば上面に接触する。
【0109】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、センサセクションがその感知位置に動かされる工程を含む。その工程において、センサセクションは、上面と側面との間に形成された縁部において枢動または屈曲または折畳みすることができる。
【0110】
少なくとも1つの実施形態によれば、センサセクションがその感知位置に動いたときに、センサセクションおよび/またはセンサは、側面の1つまたはそれ以上の連結機能によって側面に連結できる。
【0111】
本明細書で以下に、電気構成要素または電子構成要素、取付け部材、装置、薬物送達デバイス、および本明細書に記載されている装置を組み立てるための方法を、例示的な実施形態に基づく図面を参照しながらより詳細に説明する。個々の図において、同じ参照符号は、同じもしくは同様の要素または同様に作用する要素を示す。ただし、サイズの比は、必ずしも縮尺通りとは限らず、むしろ個々の要素が、より良い理解のために誇張されたサイズで示されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1】薬物送達デバイスの例示的な実施形態を示す。
図2】電気構成要素の例示的な実施形態を正面図および背面図で示す。
図3】電気構成要素の例示的な実施形態を正面図および背面図で示す。
図4】電気構成要素の例示的な実施形態を斜視図で示す。
図5】電気構成要素の例示的な実施形態を斜視図で示す。
図6】電気構成要素の例示的な実施形態を斜視図で示す。
図7】薬物送達デバイスの装置および近位セクションの例示的な実施形態を断面図で示す。
図8】薬物送達デバイスの装置および近位セクションの例示的な実施形態を断面図で示す。
図9】装置の例示的な実施形態を側面図および斜視図で示す。
図10】装置の例示的な実施形態を側面図および斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0113】
以下では、インスリン注射デバイスを参照しながら例示的な実施形態を説明する。ただし、本開示はそのような用途に限定されるものではなく、他の薬剤を射出するように構成された注射デバイスと共に、または一般的な薬物送達デバイス、好ましくは、ペン型デバイスおよび/もしくは注射デバイスと共に同様に採用することができる。
【0114】
本書における特定の例示的な実施形態は、たとえば、WO2014033195に記載されているデバイスと同様の、ユーザインターフェース部材が注射ボタンと用量設定(ダイヤル設定)部材とを同時に実現するノブとして形成された、注射デバイスの形態の薬物送達デバイスに対して示されている。したがって、ノブは、薬物送達デバイスの用量送達動作を始めるおよび/または行うために使用することができ、用量設定動作を始めるおよび/または行うために使用することもできる。デバイスは、ダイヤルが伸長するタイプのものでよく、すなわち、用量設定中にその長さが大きくなる。用量設定動作モードおよび用量排出動作モードの間にダイヤルが伸長する同じ運動学的挙動を有する他の注射デバイスが、たとえば、Eli Lillyによって販売されているKwikpen(登録商標)またはSavvio(登録商標)デバイス、およびNovo Nordiskによって販売されているFlexPen(登録商標)、FlexTouch(登録商標)、またはNovopen(登録商標)デバイスとして知られている。したがって、それらのデバイスへの一般的な原理の利用は簡単明瞭であると思われるので、さらなる説明は省略する。ただし、本開示において、一般的な原理はその運動学的挙動に限定されない。
【0115】
別々の注射ボタンおよびグリップ構成要素/用量設定部材がある注射デバイス、たとえば、WO2004078239に記載されているデバイスに利用するために、特定の他の実施形態を想定することができる。したがって、本開示は、2つの別々のユーザインターフェース部材、たとえば、用量設定動作のための部材および用量送達動作のための部材を有するシステムにも関する。デバイスの用量設定構成および用量送達構成との間で切り替えるために、用量送達のためのユーザインターフェース部材は、用量設定のためのユーザインターフェース部材に対して動くことができる。
【0116】
1つのユーザインターフェース部材が設けられる場合、そのユーザインターフェース部材をハウジングに対して遠位に動かすことができる。それぞれの動きの過程で、デバイスの用量設定部材と駆動機構部材という2つの部材間のクラッチ連結がその状態を、たとえば、係合状態から解放状態にまたはその逆に変える。クラッチ連結(たとえば、2つの部材上のかみ合っている歯のセットによって形成される)が、係合されているときには、回転ロックインターフェースが確立され、2つの部材を互いに回転不能にロックすることができる。クラッチ連結が係合解除または解放されているときには、回転ロックインターフェースは解放されて、部材の一方は2つの部材の他方に対して回転可能にできる。部材の一方は、用量設定および駆動機構のピストンロッドに係合する駆動部材または駆動スリーブでよい。駆動スリーブは、用量設定中にハウジングに対して回転するように設計することができ、用量送達中にハウジングに対して回転不能にロックすることができる。駆動スリーブとピストンロッドとの間の係合は、ねじ係合とすることができる。したがって、用量送達中に駆動スリーブが回転できないので、駆動スリーブがハウジングに対して軸方向運動すると、ピストンロッドが回転する。この回転は、ピストンロッドとハウジングとの間のねじ連結によって、送達動作中のピストンロッドの軸方向変位に変換できる。
【0117】
図1は、薬物送達デバイス1000の例示的な実施形態の分解図である。この例示的な実施形態において、薬物送達デバイス1000は、注射デバイス、たとえば、ペン型注射器である。
【0118】
図1の注射デバイス1000は注射ペンであり、その注射ペンは、薬物容器14、たとえばインスリン容器、またはそのような容器14用の容器ホルダを保持するハウジング10を含む。容器14は、薬物、たとえばインスリンを収容することができる。容器14は、カートリッジまたはカートリッジ用レセプタクルとすることができ、そのレセプタクルは、カートリッジを収容できるかまたはカートリッジを受けるように構成できる。容器14またはレセプタクルには針15を取り付けることができる。容器14はカートリッジでよく、レセプタクルはカートリッジホルダでよい。針15は、内側ニードルキャップ16と、外側ニードルキャップ17または別のキャップ18とによって保護される。注射デバイス1000から射出予定のインスリン用量は、ノブ71の形態のユーザインターフェース部材71を回すことによって、設定、プログラム、または「ダイヤル設定」することができ、次いで、その時点でプログラムまたは設定されている用量が、たとえば単位の倍数で、投与量窓13を介して表示される。単位は用量設定機構によって決定でき、その用量設定機構は、投与量の1増分を定義できる1単位設定増分の整数倍にのみ、ハウジング10に対するノブ71の相対的回転を可能にできる。これは、たとえば、適切なラチェットシステムによって実現することができる。窓に表示される印は、数字スリーブまたはダイヤル設定スリーブ70に提示することができる。たとえば、注射デバイス100がヒトインスリンを投与するように構成されている場合、投与量は、いわゆる国際単位(IU)で表示でき、ここで、1IUは、純粋な結晶性インスリン約45.5マイクログラム(1/22mg)の生物学的な等価物である。アナログインスリンまたは他の薬剤を送達するための注射デバイスには他の単位を採用することができる。選択された用量は、図1の投与量窓13に示されているものとは異なるように、同様に表示できることに留意されたい。
【0119】
投与量窓13は、ハウジング10においてアパーチャの形態であってよく、その時点でプログラムされている用量の視覚的インジケーションを提供するように、ノブ71が回されると動くように構成されているダイヤル設定スリーブ70の限られた部分をユーザが視認できるようにする。ノブ71は、プログラム中に回されるとハウジング10に対して螺旋の経路上で回転する。
【0120】
この例示的な実施形態において、ノブ71は、データ収集デバイスまたは電子システムの把持および/または取付けを容易にするために、フォーメーションの形態の1つまたはそれ以上の構成71a、71b、71cを含む。
【0121】
注射デバイス1000は、ノブ71を回すと機械的なクリック音が発生してユーザに音響フィードバックを提供するように構成することができる。本実施形態において、ノブ71は注射ボタンとしても働く。針15が患者の皮膚部分に刺され、次いで、ノブ71が軸方向に押されると、ディスプレイ窓13に表示されているインスリン用量が注射デバイス1000から射出される。ノブ71がしっかりと押された後に注射デバイス1000の針15が皮膚部分に一定時間留まると、用量が患者の身体に注射される。インスリン用量の射出も機械的なクリック音を発生させることができるが、その音は、用量のダイヤル設定中にノブ71を回転させるときに生じる音とは異なる。
【0122】
この例示的な実施形態において、インスリン用量の送達中には、ノブ71は、回転せずに軸方向運動でその初期位置に戻され、ダイヤル設定スリーブ70または数字スリーブ70は、その初期位置に戻るように、たとえば、ゼロ単位の用量を表示するように回転する。既に言及したように、本開示はインスリンに限定されず、薬物容器14内のすべての薬物、特に液体薬物または薬物製剤を包含するべきである。
【0123】
注射デバイス1000は、インスリン容器14が空になるまでまたは注射デバイス1000内の薬剤の使用期限の日(たとえば、初回の使用から28日後)に達するまでに、いくつかの注射プロセスのために使用することができる。
【0124】
さらに、注射デバイス1000を初めて使用する前に、流体がインスリン容器14および針15から正確に流れることを保証するために、たとえば、インスリン2単位を選択し、針15を上向きにして注射デバイス1を保持しながらノブ1を押圧することによって、いわゆる「プライミングショット」を行うことが必要になる場合がある。説明を簡単にするために、以下では、射出される量が注射される用量に実質的に相当し、そのため、たとえば、注射デバイス1000から射出される薬剤の量が、ユーザが受ける用量に等しいことが想定される。
【0125】
先に説明したように、ノブ71は、注射ボタンとしても機能し、そのため、用量をダイヤル設定/設定するためにおよび用量を投薬/送達するために同じ構成要素が使用される。ここでもまた、本発明者らは、好ましくは限られた方法でのみ互いに対して可動である、異なる2つのユーザインターフェース部材を有する構成も可能であることに留意している。ただし、以下では、用量設定および用量送達の機能を提供する単一のユーザインターフェース部材に焦点を絞って説明する。言い換えれば、用量設定動作のためにユーザによって接触される部材の設定面と、用量送達動作のためにユーザによって接触される用量送達面とは、不動に接続されている。代替的に、それらは、異なるユーザインターフェース部材が使用される場合には、互いに対して可動でよい。ユーザインターフェース部材は、それぞれの動作中に、好ましくは、デバイスの本体またはハウジングに対して動かされる。用量設定中には、ユーザインターフェース部材は、近位に動かされおよび/またはハウジングに対して回転する。用量送達中には、ユーザインターフェース部材は、好ましくはハウジングまたは本体に対して回転することなく、軸方向に、たとえば遠位に、動く。
【0126】
図1は、部材または要素または構成の位置を特定するための、本明細書で使用される座標系も示す。遠位方向Dおよび近位方向Pは長手方向軸Lに平行に延びる。長手方向軸Lは、デバイス1000の主延在軸であるかまたはそれと一致する。径方向Rは、長手方向軸Lに垂直でありかつ長手方向軸Lと交差する方向である。角度方向または回転方向とも称されるアジマス方向Cは、径方向Rおよび長手方向軸Lに垂直な方向である。図の明確さを向上させるために、それらの様々な方向および軸が以下の図のすべてにおいて示されているわけではない。
【0127】
図2は、電気構成要素1の例示的な実施形態を、電子構成要素1のキャリア2の正面側の正面図で示す。キャリア2は、プリント回路基板、略してPCBである。特に、キャリア2は、いわゆるフレキシブルボードである。
【0128】
キャリア2は様々なセクションを含む。取付けセクション21は、ほぼ円形の形状を有する。長手方向軸L(バツ印で示されている)は、取付けセクション21を通って、取付けセクション21の主延在面に垂直におよび/または取付けセクション21のキャリア2の正面側に垂直に延びる。取付けセクション21においてキャリア2の正面側には、電気要素4、たとえば制御ユニットまたはプロセッサまたはリアルタイムクロックが配置されている。さらに、取付けセクション21には、たとえば、正面側および/または背面側に、コンデンサ、インダクタ、および/または発光ダイオードなど、1つまたはそれ以上のさらなる電気要素が配置されている。
【0129】
2つのセンサセクション22、22aは、接続領域23、23aを介して取付けセクション21に接続されている。センサセクション22、22aはそれぞれ、第1の位置と感知位置との間で取付けセクション21に対して可動であり、特に、屈曲可能である。図2は、それぞれの第1の位置にあるセンサセクション22、22aを示す。この第1の位置において、センサセクション22、22aの主延在面は、取付けセクション21の主延在面に平行またはほぼ平行に延びる。
【0130】
図2は屈曲軸Bも示し、屈曲軸Bの周りで、センサセクション22、22aが取付けセクション21に対して枢動または屈曲できる。特に、屈曲軸Bは、それぞれの接続領域23、23aを通って延びる。
【0131】
図2を見ると分かるように、センサセクション22、22aは、キャリア2の細長いアームであり、アームの一端は、接続領域23、23aを介して取付けセクション21に接続されており、アームの他端は自由端226である。アームのうちの自由端226に隣接する領域は、以下でより詳細に説明する連結機能225を形成する。
【0132】
以下において、第1のセンサセクション22とも称される一方のセンサセクション22をより詳細に説明する。ただし、第1のセンサセクション22に関して説明される構成は、第2のセンサセクション22aに関しても同様に有効とすることができる。
【0133】
アームは、それらの向きが接続領域23から自由端226に向かって変化するように形成されている。特に、アームは、接続領域23から始まって、まず、主に径方向Rに延びる第1の下位セクション221によって形成され、次いで、アーム22は、湾曲した下位セクションによって形成され、次いで、第2の下位セクション222が続く。その第2の下位セクション222では、アームは、第1の下位セクション221と比べると径方向Rよりも角度方向Cに向けられている。アームの形状は、犬の脚の形状であると言える。
【0134】
センサセクション22はタブ223も含み、タブ223は、取付けセクション21から離れる方にアームの残りの部分から突出している。タブ223は、以下で説明するようにセンサ3のための取付け領域を構成する。タブ223は、センサセクション22の接続領域23に対して角度的にオフセットされている。
【0135】
さらに図2を見ると分かるように、角度方向における第1のセンサセクション22の向きは、角度方向における第2のセンサセクション22aの向きの反対である。特に、センサセクション22、22aは、径方向に延びる軸に対して鏡映対称に配置されている。
【0136】
図2は、センサセクション22にスリット224が形成されていることも示す。スリット224は、細長く、その長さに沿ってやはり向きを変える。特に、スリット224は、センサセクション22、22aの形状に従っている。スリット224は、それらの長手方向端部において、スリット224の中央部よりも大きい直径を有する孔形状とされている。
【0137】
電気構成要素1はアンテナ5も含む。アンテナ5は、キャリア2のアンテナセクションを含み、そのアンテナセクションは、細長く、取付けセクション21に接続されている。アンテナセクションは、取付けセクション21から始まって、まず径方向に延び、次いで、径方向に垂直な方向に延びる。アンテナセクションは、薬物送達デバイスに組み付けられたときに長手方向軸Lの周りに巻かれるように構成することができる。
【0138】
キャリア2は、取付けセクション21と同様の形状のさらなる取付けセクション21aも含む。さらなる取付けセクション21aと取付けセクション21とは、キャリア2の細長い接続セクション21bを介して接続されている。キャリア2は、その接続セクション21bにおいて可撓性または屈曲可能でよく、そのため、さらなる取付けセクション21aが取付けセクション21の上方に取付けセクション21に対して軸方向にオフセットされて配置される位置まで、さらなる取付けセクション21aを動かすことができる。次いで、軸方向に取付けセクション21とさらなる取付けセクション21aとの間に、キャリア2上の電気要素に電力供給するためのバッテリを配置でき、そのバッテリを取付けセクション21ならびにさらなる取付けセクション21aに電気接続することができる。
【0139】
図3は、図2の電気構成要素を示すが、ここでは、キャリア2の背面側を確認できるように裏返しである。センサセクション22、22aのタブ223上にセンサ3、3aが取り付けられている。センサ3、3aは、接続領域23、23aに対して角度的にオフセットされている。センサ3、3aは、キャリア2の正面側の電気要素4と電気接続できる。たとえば、導電性トラックがセンサ3からセンサセクション22、22aに沿って接続領域23、23aを介して電気要素4まで延び、電気要素4をセンサ3、3aと電気接続する。センサ3、3aは、たとえば、表面から反射された光または赤外線を検出するための光センサでよい。光または放射線を生成する放射線源、たとえばLEDをセンサに組み込むことができ、センサは、放射線源に加えて、反射された放射線を受けるための検出器チップを含むことができる。
【0140】
図4は、電気構成要素1の、たとえば、図2および図3の電気構成要素1のセクションを斜視図で示す。図示のセンサセクション22はここではその感知位置にある。キャリア2は、取付けセクション21または接続領域23に隣接する第1の下位セクション221において、取付けセクション21よりも厚さが小さくなるように形成されていることが示されている。これにより、取付けセクション21に対してセンサセクション22を第1の位置からその感知位置に屈曲させることが可能になる。
【0141】
さらに図4を見ると分かるように、センサセクション22は、第2の下位セクション222のうちの自由端226を形成し連結機能225も形成する領域よりも、タブ223において厚くなるように形成されている。
【0142】
図4は、第2の下位セクション222と第1の下位セクション221との間、特に、湾曲した下位セクション227と第2の下位セクション222との間に、さらなる接続領域23bが形成されており、その領域23bは可撓性であり、そのため、さらなる屈曲軸B2の周りで第1の下位セクション221に対して第2の下位セクション222が動くことができるかまたは屈曲もしくは枢動できることも示す。特に、これによりセンサ3を径方向に動かすことが可能になる。キャリア2は、さらなる接続領域23bにおいてもやはり、取付けセクション21またはタブ223よりも厚さが小さくなるように形成される。
【0143】
図5は、センサセクション22が感知位置にあるときの取付けセクション21に対するセンサセクション22の可動性を示す。この可動性によって、センサ3の厳密な位置を調節することが可能になる。特に、向きが変わることおよびスリット224を有することという、センサセクション22の特別な形状によって、軸方向、角度方向、径方向においてセンサの位置を調節することが可能になり、径方向を回転軸にしたセンサの回転も可能になる。
【0144】
図6は、センサセクション22が感知位置にある状態の、電気構成要素1、たとえば、前述の例示的な実施形態の電気構成要素を示す。センサ3、3aの位置をより良好に見せるために、センサ3の領域ではキャリア2を透明に描いている。センサ3、3aは、取付けセクション21の軸方向下方に位置する感知領域を測定するように配置されている。センサ3、3aのセンサ表面は、好ましくは、その感知領域および長手方向軸Lに向かって径方向内側を向く。
【0145】
可動部材8は、感知領域内で、すなわち、取付けセクション21の軸方向下方で、センサ3、3aと軸の周りで重なるかまたは位置合わせされて配置されている。特に、可動部材8のうちのセンサ3、3aと軸の周りで重なる領域は、表面構造体および/または反射領域と低反射領域とが交互に配置された領域、たとえば、暗い領域と明るい領域とが交互に配置された領域または凹所領域と非凹所領域とが交互に配置された領域を含むことができる。センサ3、3aは、さらなる部材から反射された放射線を検出するための光センサ、および関連する測定信号を電気構成要素4またはプロセッサに送信するための光センサでよい。たとえば関連するセンサにより近いおよび/または反射率がより高いため、その領域がより多くの放射線をセンサに反射する場合は、たとえば関連するセンサからより離れているおよび/または反射率がより低いため、その領域がより少ない放射線をセンサに反射する場合よりも、測定信号が高くなる。可動部材8は、特に、センサ3に対して回転可能である。可動部材8は、ダイヤル設定スリーブおよび/またはエンコーダリングであってもよく、それを含んでもよい。可動部材は、用量送達動作中に、たとえば用量送達動作中にだけ、センサに対して動く、たとえば回転することができる。センサおよび可動部材は、用量設定動作中に、薬物送達デバイスのハウジングに対して、たとえば回転可能におよび/または軸方向に、一緒に動くことができる。
【0146】
図7は、薬物送達デバイス1000の例示的な実施形態の近位セクションを示す。特に、近位のユーザインターフェース部材71の領域が示されている。図7は、たとえば、図1の薬物送達デバイス1000の近位セクションの断面図である。見て分かるように、電気構成要素1は、取付け部材100に取り付けられている。取付け部材100は、上面101および側面102を含むシャーシ下部である。取付けセクション21は、上面101に取り付けられており、センサセクション22はその感知位置にあり、そのため、センサセクション22は側方表面102と軸の周りで重なっている。
【0147】
さらに、さらなる取付けセクション21aが取付けセクション21に対して軸方向にオフセットされて配置されており、軸方向において取付けセクション21とさらなる取付けセクション21aとの間にバッテリ6が配置されていることが示されている。
【0148】
図7に示されている薬物送達デバイス1000は、可動部材8、たとえば図6の可動部材8も含む。
【0149】
図8は、図7の水平の破線によって示される断面上の図である。センサ3、3aは、互いに角度的にオフセットされている。センサ3、3aはそれぞれ、赤外線を放射するように構成されており、赤外線は、可動部材8から反射され、次いで、センサ3、3aによって検出される。これは、センサ3、3aに対する可動部材の回転を検出することを可能にする。
【0150】
図7および図8の例示的な実施形態において、可動部材8は、可動部材8の周りに交互に配置された黒色領域および白色領域を12個含む。各領域は、幅が30°であり、これは1回転当たり12か所の移行縁部を作成する。2つの光センサ3、3aの光学的中心間の角度間隔は135°である。このような配置により、一方のセンサ3が、他方のセンサ3aと90°位相のずれた状態で載置される(任意のnの場合に30n°+15°がこれを実現する)。これは、直交エンコーダの実装を容易にし、すなわち、回転方向を判定するために2つのセンサ3、3aを組み合わせて使用できる。各縁部が一方または他方のセンサを越えて移行すること(これは可動部材が完全に1回りする間に24回起きる)は、1単位の薬物の投薬を表す。各センサは表面構造体の領域(反射率のより高い領域またはより低い領域を有する)に対して位相がずれており、さらなる部材の領域の角度幅が適切に選択されるため、組み合わせられた各センサは、グレイコード出力、たとえば、2ビットのグレイコード出力を生成する。これは、各センサと部材8との間の異なる4つの相対位置を識別可能にする。
【0151】
光センサの場合、最後に投薬された用量に応じて、各センサ3、3aは、可動部材8の黒色領域または白色領域のいずれかを指すこともできる。名目上は、各センサ3、3aの中心は、黒色領域と白色領域との間の移行縁部からある角度だけ離れた場所に位置する。白色領域を指している間のセンサの応答は、バイナリ1として、黒色領域を指している間はバイナリ0として定義できる。センサ3、3aが名目上2つの状態の一方を指し、それらの状態の間で移行が起きる構成は、上記に列挙したように他のセンサ技術に応用可能である。
【0152】
デバイス1000の動作の際には、可動部材8は、センサ3、3aに対して軸方向に(すなわち、近位または遠位に)動くことができる(またはその逆も同様である)。センサ3、3aは、感知距離が軸方向運動に関係なく比較的一定に保たれるようにして、径方向に可動部材8を視認するように位置している。このような配置は、「レンズ」作用、すなわち、対象物がセンサの焦点に出入りすることを事実上排除する。しかし、自然の部材間変動による公差の累積および組立てプロセスによる変動(たとえば、センサとPCBとの間のはんだの厚さ)は、径方向運動および軸方向運動がセンサの最適な動作範囲に対して重大な場合があることを意味する。したがって、それらの公差を可能な限り最小限に抑えることが望ましい。これは、とりわけ、本明細書に記載されている電子構成要素1の特別な設計によって実現される。
【0153】
図9は、装置の例示的な実施形態の側面図を示す。図10は、いくつかの細部を目立たせた装置の斜視図を示す。図10では、キャリア2は、センサ3の位置をより良好に見せるために透明にされている。
【0154】
電気構成要素1は取付け部材100に取り付けられており、センサセクション22は、その感知位置にある。取付け部材100の側方表面102は、いくつかの連結機能125a、125b、125cを含む。それらの連結機能のうちの2つの125aは、センサセクション22の連結機能225が受けられるポケットである。たとえば、角度方向においてセンサ3の両側に配置されたセンサセクション22の領域は、遠位方向Dにポケット125a中に摺動される連結機能225を構成する。それぞれのポケットは、近位は開放し、遠位は閉鎖してよい。ポケット125aを介した取付け部材100へのセンサセクション22の連結は、その公称位置から径方向の、好ましくはやはり遠位方向Dのセンサ3の変位を制限する。代替的または追加的に、1つまたはそれ以上の遠位止め具機能125dは、取付け部材100に対するセンサ3の遠位の変位を制限または防止するように、たとえば径方向の突出部を備えることができる。それぞれの遠位止め具機能125dは、便宜上、センサ3と角度的および/または径方向に重なるように位置する。
【0155】
さらなる径方向内側への動きの制限は、センサセクション22に対して径方向内側に配置される側方表面102の表面領域によって実現することができる。その表面領域は、センサ3の軸方向上方に位置するセンサセクション22の領域に径方向に当接しているか、または径方向に当接するように構成されている。代替的または追加的に、センサ3自体が、取付け部材100および/またはその表面102に当接することができる。これは、取付け部材100に対するセンサ3の径方向内側への動きを防止するかまたは防止を支援することができる。センサ3の感知表面は露出でき、特に径方向内側では(たとえば、表面にアパーチャがあるので)表面102によって覆われず、センサがセンサ3の感知表面を介して可動部材に放射線を放射しおよび/またはそこから反射する放射線を受けることを可能にできる。
【0156】
側方表面102のさらなる連結機能は突出部125bであり、突出部125bは、径方向外側に突出し、軸方向、特に近位方向Pのセンサ3の動きを制限するように構成されている。その公称位置にあるときは、センサ3は、遠位方向Dに突出部125bの下流に位置する。その突出部125bは、センサ3がその公称位置から近位方向Pに動かされるときにセンサ3に当接するように構成されている。
【0157】
さらに別の連結機能125cは、径方向外側に突出するさらなる突出部である。それらの突出部125cは、センサ3と軸方向で重なり、センサ3の両側にセンサ3に対して角度的にオフセットされて配置されている。突出部125cは、センサ3がその公称位置から角度方向に動かされるときにセンサ3に当接するように構成されている。
【0158】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0159】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0160】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0161】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0162】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0163】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0164】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0165】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0166】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0167】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0168】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0169】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0170】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0171】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0172】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0173】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0174】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0175】
本明細書に記載されているAPIの各種成分、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の修正(追加および/または削除)は、このような修正およびそのあらゆる等価物を包含する本発明の全範囲および精神から逸脱することなく行うことができることを、当業者であれば理解するであろう。
【0176】
例示的な薬物送達デバイスは、ISO11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載されている針ベースの注射システムを含むことができる。ISO11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注射システムは、複数回用量の容器システムと単回用量(部分排出または全量排出)の容器システムとに大別することができる。容器は、交換可能な容器でもよく、交換不能な一体型容器でもよい。
【0177】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、複数回用量の容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムにおいて、各容器は複数回用量を保持し、そのサイズは、固定でも可変(ユーザによって予め設定される)でもよい。別の複数回用量の容器システムは、交換不可能な一体型容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムにおいて、各容器は複数回用量を保持し、そのサイズは固定でも可変(ユーザによって予め設定される)でもよい。
【0178】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、単回用量の容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムの一例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積全体が排出される(全量排出)。さらなる例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積の一部分が排出される(部分排出)。やはりISO11608-1:2014(E)に記載されているように、単回用量の容器システムは、交換不可能な一体型容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムの一例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積全体が排出される(全量排出)。さらなる例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積の一部分が排出される(部分排出)。
【0179】
本明細書に記載されている本発明は、例示的な実施形態と併せた説明によって限定されるものではない。むしろ、前記構成または前記組合せそれ自体が特許請求の範囲または例示的な実施形態に明示的に述べられていなくても、本発明は、特に特許請求の範囲における任意の組合せの構成を含む、任意の新たな構成ならびに任意の組合せの構成を含む。
【符号の説明】
【0180】
1 電子構成要素、電気構成要素
2 キャリア
3 (第1の)センサ
3a 第2のセンサ
4 電気要素
5 アンテナ
6 バッテリ
8 可動部材
10 薬物容器ホルダ/ハウジング
13 投与量窓
14 薬物容器
15 針
16 内側ニードルキャップ
17 外側ニードルキャップ
18 キャップ
21 取付けセクション
21a さらなる取付けセクション
21b 接続セクション
22 (第1の)センサセクション
22a 第2のセンサセクション
23 接続領域
23a 接続領域
23b さらなる接続領域
71 ユーザインターフェース部材/ノブ/ボタン
71a フォーメーション
100 取付け部材/シャーシ下部
101 上面
102 側面
125a 連結機能/ポケット
125b 連結機能/突出部
125c 連結機能/突出部
125d 止め具機能
221 第1の下位セクション
222 第2の下位セクション
223 タブ
224 スリット
225 連結機能/タブ
226 自由端
227 湾曲した下位セクション
1000 薬物送達デバイス
B 屈曲軸
B2 さらなる屈曲軸
D 遠位方向
P 近位方向
L 長手方向軸
R 径方向
C アジマス方向/回転方向/角度方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】