(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】イマースドアンテナ源におけるRF窓のためのアクティブ温度制御
(51)【国際特許分類】
H01J 27/16 20060101AFI20240918BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20240918BHJP
H01J 37/08 20060101ALI20240918BHJP
H01J 37/32 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H01J27/16
H05H1/24
H01J37/08
H01J37/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518667
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022041675
(87)【国際公開番号】W WO2023048896
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カルキンス, アダム
(72)【発明者】
【氏名】クランパート, ジェフリー イー.
【テーマコード(参考)】
2G084
5C101
【Fターム(参考)】
2G084AA12
2G084CC13
2G084DD04
2G084DD12
2G084DD25
2G084DD38
2G084DD62
2G084FF32
2G084FF33
2G084HH11
2G084HH20
2G084HH45
2G084HH52
5C101AA31
5C101DD03
5C101DD11
5C101DD18
5C101DD38
5C101EE53
5C101FF02
5C101GG22
(57)【要約】
プラズマを閉じ込めるためのプラズマチャンバと、プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を含む、抽出アセンブリと、プラズマチャンバを通って延在するアンテナアセンブリとを有する、イオン源を含む、処理システム。アンテナアセンブリは、誘電体エンクロージャと、誘電体エンクロージャを通って延在する複数の導電性アンテナであって、導電性アンテナが、誘電体エンクロージャ中にガスを供給するための、中に形成されたそれぞれのガスポートを有する、複数の導電性アンテナとを含み得る。処理システムは、誘電体エンクロージャの温度を監視することと、誘電体エンクロージャの温度を調節するために、導電性アンテナに供給されるガスを調節することとを行うための、導電性アンテナにおよび誘電体エンクロージャに結合された、温度調節システムをさらに含み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを閉じ込めるためのプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を備える、抽出アセンブリと、
前記プラズマチャンバを通って延在するアンテナアセンブリであって、
誘電体エンクロージャと、
前記誘電体エンクロージャを通って延在する複数の導電性アンテナであって、前記導電性アンテナが、前記誘電体エンクロージャ中にガスを供給するための、中に形成されたそれぞれのガスポートを有する、複数の導電性アンテナと
を備える、アンテナアセンブリと
を備える、イオン源。
【請求項2】
前記導電性アンテナが中空の管状本体である、請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記抽出開孔を通して角度付きイオンビームを抽出するための、前記抽出開孔に隣接する、前記プラズマチャンバ内に配設されたビームブロッカをさらに備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項4】
前記プラズマを発生させるための、前記プラズマチャンバに結合された電力発生器をさらに備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項5】
処理システムであって、
プラズマを閉じ込めるためのプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を備える、抽出アセンブリと、
前記プラズマチャンバを通って延在するアンテナアセンブリであって、
誘電体エンクロージャと、
前記誘電体エンクロージャを通って延在する複数の導電性アンテナであって、前記導電性アンテナが、前記誘電体エンクロージャ中にガスを供給するための、中に形成されたそれぞれのガスポートを有する、複数の導電性アンテナと
を備える、アンテナアセンブリと
を備える、イオン源と、
前記誘電体エンクロージャの温度を監視することと、前記誘電体エンクロージャの前記温度を調節するために、前記導電性アンテナに供給される前記ガスを調節することとを行うための、前記導電性アンテナにおよび前記誘電体エンクロージャに結合された、温度調節システムと
を備える、処理システム。
【請求項6】
前記温度調節システムが、
前記導電性アンテナに供給される前記ガスを加熱するためのヒータと、
前記ヒータの動作を制御するためのヒータ制御部と
を備える、請求項5に記載の処理システム。
【請求項7】
前記温度調節システムが、前記導電性アンテナに供給される前記ガスの流量を調節するための流量コントローラを備える、請求項5に記載の処理システム。
【請求項8】
前記温度調節システムが、前記誘電体エンクロージャの前記温度を監視するための温度センサを備える、請求項5に記載の処理システム。
【請求項9】
前記温度調節システムが、
前記導電性アンテナに供給される前記ガスを加熱するためのヒータと、
前記ヒータの動作を制御するためのヒータ制御部と、
前記導電性アンテナに供給される前記ガスの流量を調節するための流量コントローラと、
前記誘電体エンクロージャの前記温度を監視するための温度センサと、
前記ヒータ制御部と、前記流量コントローラと、前記温度センサとに接続されたメインコントローラであって、前記メインコントローラが、前記温度センサによって監視された前記温度に基づいて、前記ヒータ制御部と前記流量コントローラとの動作を要求するように適応された、メインコントローラと
を備える、請求項5に記載の処理システム。
【請求項10】
前記メインコントローラは、前記誘電体エンクロージャの前記温度がターゲット温度を上回る場合、前記流量コントローラに、前記導電性アンテナへのガスの前記流量を増加させるように指示するように適応されている、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
前記メインコントローラが、前記誘電体エンクロージャの前記温度がターゲット温度を下回る場合、前記流量コントローラに、前記導電性アンテナへのガスの前記流量を減少させるように指示するように適応されている、請求項9に記載の処理システム。
【請求項12】
前記メインコントローラが、前記誘電体エンクロージャの前記温度がターゲット温度を上回る場合、前記ヒータ制御部に、前記ヒータを介した前記ガスの加熱を減少させるかまたは完全に中断するように指示するように適応されている、請求項9に記載の処理システム。
【請求項13】
前記メインコントローラが、前記誘電体エンクロージャの前記温度がターゲット温度を下回る場合、前記ヒータ制御部に、前記ヒータを介した前記ガスの加熱を増加させるように指示するように適応されている、請求項9に記載の処理システム。
【請求項14】
イオン源のプラズマチャンバ内の温度を調節する方法であって、前記方法が、
前記プラズマチャンバ内の誘電体エンクロージャの温度を監視することと、
前記誘電体エンクロージャを通って延在する複数の導電性アンテナを介して前記誘電体エンクロージャ中にガスを流すことと
を含む、方法。
【請求項15】
前記誘電体エンクロージャの監視された前記温度に基づいて、前記ガスの温度および流量のうちの少なくとも一方を調節することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記誘電体エンクロージャの監視された前記温度を所定のターゲット温度と比較することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記誘電体エンクロージャの監視された前記温度をターゲット温度と比較することと、前記誘電体エンクロージャの前記温度が前記ターゲット温度を上回る場合、前記誘電体エンクロージャへのガスの流量を増加させることとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体エンクロージャの監視された前記温度をターゲット温度と比較することと、前記誘電体エンクロージャの前記温度が前記ターゲット温度を下回る場合、前記誘電体エンクロージャへのガスの流量を減少させることとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体エンクロージャの監視された前記温度をターゲット温度と比較することと、前記誘電体エンクロージャの前記温度が前記ターゲット温度を上回る場合、前記誘電体エンクロージャに供給される前記ガスの加熱を減少させることとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記誘電体エンクロージャの監視された前記温度をターゲット温度と比較することと、前記誘電体エンクロージャの前記温度が前記ターゲット温度を下回る場合、前記誘電体エンクロージャに供給される前記ガスの加熱を増加させることとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その出願の内容全体が参照により本明細書に援用される、2021年9月27日に出願された、「ACTIVE TEMPERATURE CONTROL FOR RF WINDOW IN IMMERSED ANTENNA SOURCE」と題する米国非仮出願第17/485,612号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、半導体デバイスのための処理装置に関し、より詳細には、プラズマベースイオン源に関する。
【背景技術】
【0003】
現代において、プラズマは、基板エッチング、層堆積、イオン注入、および他のプロセスなどの適用例のために、電子デバイスにおいて使用されるものなど、基板を処理するために使用される。いくつかの処理装置が、基板処理のためのイオン源として働くプラズマを発生させる、プラズマチャンバを採用する。イオンビームが、抽出アセンブリを通して抽出され、隣接するチャンバ中の基板に向けられ得る。
【0004】
様々な商業システムでは、1つまたは複数のアンテナが、プラズマチャンバ内に配設され得、内部アンテナと呼ばれることがある。内部アンテナは、誘電体窓として働くための好適な誘電体材料から形成された管状エンクロージャ内に閉じ込められ得る。電力発生器が、内部アンテナに結合され得、内部アンテナとプラズマとの間の誘導結合を介して誘電体窓の周囲のプラズマに点火するために使用され得る。
【0005】
通常、プラズマチャンバの内部表面と抽出アセンブリとは、プラズマ発生のためにより一貫した、より均一な環境を提供するために水冷却システムを使用して冷却される。内部アンテナを閉じ込める管状の誘電体窓は、概して冷却されない。誘電体窓は、プラズマチャンバ内の内部表面のほぼ25%を占め得る。したがって、温度調節がなければ、誘電体窓は著しい温度変動を受け得、これは、プラズマチャンバ内の環境均一性を低下させ、プラズマチャンバから抽出されるイオンビームに有害に影響を及ぼす。
【0006】
これらおよび他の考慮事項に関して、本開示が提供される。
【発明の概要】
【0007】
本発明の概要は、簡略化された形式での概念の選択を導入するために提供される。本発明の概要は、請求される主題の主要な特徴または不可欠な特徴を識別するものではなく、請求される主題の範囲を決定する際の助けとなるものでもない。
【0008】
イオン源は、プラズマを閉じ込めるためのプラズマチャンバと、プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を含む、抽出アセンブリと、プラズマチャンバを通って延在するアンテナアセンブリとを含む。アンテナアセンブリは、誘電体エンクロージャと、誘電体エンクロージャを通って延在する複数の導電性アンテナであって、導電性アンテナが、誘電体エンクロージャ中にガスを供給するための、中に形成されたそれぞれのガスポートを有する、複数の導電性アンテナとを含み得る。
【0009】
処理システムは、プラズマを閉じ込めるためのプラズマチャンバと、プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を含む、抽出アセンブリと、プラズマチャンバを通って延在するアンテナアセンブリとを有する、イオン源を含む。アンテナアセンブリは、誘電体エンクロージャと、誘電体エンクロージャを通って延在する複数の導電性アンテナであって、導電性アンテナが、誘電体エンクロージャ中にガスを供給するための、中に形成されたそれぞれのガスポートを有する、複数の導電性アンテナとを含み得る。処理システムは、誘電体エンクロージャの温度を監視することと、誘電体エンクロージャの温度を調節するために、導電性アンテナに供給されるガスを調節することとを行うための、導電性アンテナにおよび誘電体エンクロージャに結合された、温度調節システムをさらに含み得る。
【0010】
イオン源のプラズマチャンバ内の温度を調節する方法であって、方法が、プラズマチャンバ内の誘電体エンクロージャの温度を監視することと、誘電体エンクロージャを通って延在する複数の導電性アンテナを介して誘電体エンクロージャ中にガスを流すこととを含む、方法。
【0011】
添付の図面は、以下のように、本開示の原理の実際的適用例を含む、本開示の例示的な手法を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態による、第1の構成における、例示的なシステムを示す端面図(end-on view)である。
【
図2】本開示の実施形態による、第1の構成における、プラズマチャンバとアンテナアセンブリとを示す断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、第1の構成における、温度調節システムの構成要素を示す概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、誘電体エンクロージャの温度を調節するための例示的な方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は、必ずしも一定の縮尺であるとは限らない。図面は、表現にすぎず、本開示の特定のパラメータを描くものではない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すものであり、したがって、範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面において、同様の番号付けは同様の要素を表す。
【0014】
次に、本開示による装置、システムおよび方法が、そのシステムおよび方法の実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、以下でより十分に説明される。装置、システムおよび方法は、多くの異なる形態で具現され得、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。代わりに、これらの実施形態は、本開示が、装置、システム、および方法のいくつかの例示的な態様を当業者に伝えるように提供される。
【0015】
本明細書で使用される、単数形で具陳され、「a」または「an」という単語で始まる要素または動作は、潜在的に複数の要素または動作をも含むものとして理解されたい。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、具陳された特徴をも組み込む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されるものではない。
【0016】
処理装置における、特に、コンパクトイオンビーム処理装置における、改善された温度均一性を達成するための手法が、本明細書で提供される。本実施形態は、プラズマチャンバ内の温度一貫性および均一性が有用である適用例に好適であり得る。
【0017】
図1は、本開示の実施形態による、第1の構成における、例示的なシステムの端面図を示す。システムは、本明細書では「処理システム10」と呼ばれ、プロセスチャンバ15内の基板ホルダ13上で支持される基板12のイオンビーム処理に好適である。処理システム10は、プラズマ16を閉じ込めるためのプラズマチャンバ14と、好適なガス種(gaseous species)(別々に図示せず)がプラズマチャンバ14に供給されたとき、プラズマ16を発生させるための、電力を供給するために結合された電力発生器18とを含み得る。電力発生器18は、たとえば、RF電力発生器であり得る。
【0018】
基板12を処理するために、抽出アセンブリ20が、プラズマチャンバ14の側部に沿って提供され、抽出アセンブリ20は、1つまたは複数の対応するイオンビーム24を発生させる少なくとも1つの抽出開孔22を含む。
図1の例では、説明の目的で、1つの抽出開孔22が示されているが、任意の好適な数の抽出開孔が、本実施形態による抽出アセンブリ中に含まれ得る。
【0019】
処理システム10は、アンテナアセンブリ26をさらに含み、アンテナアセンブリ26は、第1の軸(この場合、図示の直交座標系のZ軸)に平行に、プラズマチャンバ14を通って延在する。アンテナアセンブリ26は、誘電体窓として働くための好適な絶縁材料から形成された誘電体エンクロージャ28を含む。そのような材料の例は、アルミナ、窒化アルミナ、およびセラミックを含み、それらに限定されない。アンテナアセンブリ26は、誘電体エンクロージャ28内で第1の軸(Z軸)に平行に延在する、複数の導電性アンテナをさらに含み得る。図示の例では、複数の導電性アンテナは、第1のアンテナ30と第2のアンテナ32とを含む。本開示はこの点について限定されない。
【0020】
したがって、電力発生器18と、プラズマチャンバ14と、アンテナアセンブリ26と、抽出アセンブリ20とは、基板12の処理のために少なくとも1つのイオンビームを発生させるために使用されるイオン源を構成し得る。動作中、電力発生器18は、プラズマ16に対する第1のアンテナ30および第2のアンテナ32の誘導結合を通してなど、プラズマ16に電力供給するために、第1のアンテナ30および第2のアンテナ32に結合される。より詳細には、プロセスガスがプラズマチャンバ14に向けられたとき、電力が、第1のアンテナ30および第2のアンテナ32に印加され、これは、プラズマチャンバ14中のプラズマ16が点火されることを引き起こす。
【0021】
バイアス電圧が、プラズマチャンバ14と、基板12、または基板ホルダ13との間に、抽出電圧供給(extraction voltage supply)34によって印加されたとき、(1つまたは複数の)イオンビーム24が、抽出開孔22を通して抽出され、基板12に向けられる。様々な実施形態では、抽出電圧供給34は、プラズマチャンバ14と基板12(または基板ホルダ13)との間に、パルスDCバイアス電圧またはRFバイアス電圧を印加するように動作し得る。その上、いくつかの実施形態では、抽出アセンブリ20は、抽出開孔22を通して角度付きイオンビーム24を抽出するための、抽出開孔22に隣接する、プラズマチャンバ14内に配設された1つまたは複数のビームブロッカ36を含み得、イオンビーム24は、基板の上面によって画定された平面(すなわち、図示の直交座標系のX軸に平行な平面)に対して非0入射角度を形成し得る。
【0022】
処理システム10は、プラズマチャンバ14におよび抽出アセンブリ20に結合された、液体冷却システム40をさらに含み得る。液体冷却システム40は、水または別の冷却流体をプラズマチャンバ14と抽出アセンブリ20とを通して循環させて、そこから熱を抜き出し、プラズマチャンバ14内の表面の温度を調節するように適応され得る。そのような冷却システムは、当業者によく知られており、本明細書でさらに詳細に説明されない。
【0023】
図2を参照すると、処理システム10のプラズマチャンバ14とアンテナアセンブリ26とを示す断面図が示されている。この図に示されているように、第1および第2のアンテナ30、32は、中に形成されたそれぞれの一連の長手方向に離間したガスポート42、44を有する、中空の管状本体であり得る。したがって、第1および第2のアンテナ30、32は、以下でさらに説明されるように、誘電体エンクロージャ28の温度を調節するために誘電体エンクロージャ28の内部に加熱ガスまたは冷却ガスを供給するためのガスマニホールドとして使用され得る。
【0024】
処理システム10は、第1および第2のアンテナ30、32にならびに誘電体エンクロージャ28に結合された、温度調節システム50をさらに含み得る。以下でより詳細に説明されるように、温度調節システム50は、誘電体エンクロージャ28の温度を監視し得、誘電体エンクロージャ28の温度を調節するために第1および第2のアンテナ30、32への加熱または冷却ガスの温度および流量を制御し得る。様々な実施形態では、温度調節システム50は、処理システム10と一体であり得る(たとえば、処理システム10に「搭載」)か、あるいは処理システム10に隣接してまたは処理システム10から離れて配置され、第1および第2のアンテナ30、32にならびに誘電体エンクロージャ28に、たとえば、ホースおよびリード線によって、結合され得る。本開示はこの点について限定されない。
【0025】
次に
図3を参照すると、温度調節システム50の構成要素と、アンテナアセンブリ26および誘電体エンクロージャ28へのそのような構成要素の接続とを示す、概略図が示されている。温度調節システム50は、メインコントローラ52と、空気取入れ口54と、流量コントローラ56と、ヒータ58と、ヒータ制御部60と、温度センサ62とを含み得る。メインコントローラ52は、たとえば、制御信号を送るために、および構成要素からの信号を受信するために、これらの構成要素に結合され得る。メインコントローラ52は、知られているタイプのマイクロプロセッサ、専用半導体プロセッサチップ、汎用半導体プロセッサチップ、または同様のデバイスなど、プロセッサ64を含み得る。流量コントローラ56とヒータ制御部60とは、メインコントローラ52から受信された命令を実行するための同様のプロセッサ(別々に図示せず)を含み得る。メインコントローラ52は、プロセッサ64に結合された、メモリまたはメモリユニット66をさらに含み得、メモリユニット66は、制御ルーチンを含んでいる。制御ルーチンは、以下で説明されるように、誘電体エンクロージャ28の温度を監視および調整するようにプロセッサ64上で動作可能であり得る。
【0026】
メモリユニット66は、製造品を備え得る。一実施形態では、メモリユニット66は、光、磁気または半導体ストレージなど、任意の非一時的コンピュータ可読媒体または機械可読媒体を備え得る。ストレージ媒体は、本明細書で説明される論理フローのうちの1つまたは複数を実装するための様々なタイプのコンピュータ実行可能命令を記憶し得る。コンピュータ可読または機械可読ストレージ媒体の例は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ、取外し可能または非取外し可能メモリ、消去可能または非消去可能メモリ、書込み可能または再書込み可能メモリなどを含む、電子データを記憶することが可能な任意の有形媒体を含み得る。コンピュータ実行可能命令の例は、ソースコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、オブジェクト指向コード、視覚コードなど、任意の好適なタイプのコードを含み得る。実施形態はこのコンテキストに限定されない。
【0027】
動作において、温度センサ62は、誘電体エンクロージャ28の温度を周期的にまたは連続的に監視し得、監視された温度をメインコントローラ52に通信し得る。メインコントローラ52は、プロセッサ64およびメモリユニット66を介して、監視された温度を所定のまたは所望の温度または温度範囲(以下、「ターゲット温度」と呼ばれる)と比較し得る。様々な実施形態では、ターゲット温度は、プラズマチャンバ14内のリアルタイム温度から導出され得る。メインコントローラ52によって実施された比較に基づいて、メインコントローラ52は、流量コントローラ56に、空気取入れ口からヒータ58へのガス(たとえば、周囲空気または他の不活性ガス)の流量を調整するように指示し得、および/または、ヒータ制御部60に、ヒータ58を介してガスに適用される加熱の量を調整するように指示し得る。
【0028】
一例では、メインコントローラ52が、誘電体エンクロージャ28の温度がターゲット温度を上回ると決定した場合、メインコントローラ52は、流量コントローラ56に、ヒータ58へのガスの流量を増加させるように指示し得、および/または、ヒータ制御部60に、ヒータ58を介したガスの加熱を減少させる(または完全に中断する)ように指示し得る。逆に、メインコントローラ52が、誘電体エンクロージャ28の温度がターゲット温度を下回ると決定した場合、メインコントローラ52は、流量コントローラ56に、ヒータ58へのガスの流量を減少させるように指示し得、および/または、ヒータ制御部60に、ヒータ58を介したガスの加熱を増加させるように指示し得る。温度調節されたガスは、次いで、第1および第2のアンテナ30、32を介して誘電体エンクロージャ28中にフィードされ、したがって、必要に応じて、誘電体エンクロージャ28を加熱または冷却する。たとえば、誘電体エンクロージャ28は、プラズマチャンバ14内の他の表面の温度に等しいか、またはほぼ等しい、温度まで加熱または冷却されて、プラズマチャンバ14内のより高い温度均一性を提供し得る。
【0029】
図4を参照すると、本開示による、イオンビーム処理システム内の誘電体エンクロージャの温度を調節するための例示的な方法を示す流れ図が示されている。次に、方法は、
図1~
図3に示されている処理システム10および温度調節システム50の例示に関して説明される。
【0030】
例示的な方法のブロック100において、温度調節システム50の温度センサ62は、誘電体エンクロージャ28の温度を周期的にまたは連続的に監視し得、監視された温度をメインコントローラ52に通信し得る。方法のブロック110において、メインコントローラ52は、監視された温度をターゲット温度(特定の値または範囲)と比較し得る。様々な実施形態では、ターゲット温度は、プラズマチャンバ14内のリアルタイム温度から導出され得る。
【0031】
例示的な方法のブロック120において、メインコントローラ52は、ブロック110において実施された比較に基づいて、流量コントローラ56に、空気取入れ口からヒータ58へのガス(たとえば、周囲空気または他の不活性ガス)の流量を調整するように指示し得、および/または、ヒータ制御部60に、ヒータ58を介してガスに適用される加熱の量を調整するように指示し得る。たとえば、メインコントローラ52が、誘電体エンクロージャ28の温度がターゲット温度を上回ると決定した場合、メインコントローラ52は、例示的な方法のブロック130において、流量コントローラ56に、ヒータ58へのガスの流量を増加させるように指示し得、および/または、ヒータ制御部60に、ヒータ58を介したガスの加熱を減少させる(または完全に中断する)ように指示し得る。逆に、メインコントローラ52が、誘電体エンクロージャ28の温度がターゲット温度を下回ると決定した場合、メインコントローラ52は、例示的な方法のブロック140において、流量コントローラ56に、ヒータ58へのガスの流量を減少させるように指示し得、および/または、ヒータ制御部60に、ヒータ58を介したガスの加熱を増加させるように指示し得る。
【0032】
例示的な方法のブロック150において、方法のブロック130またはブロック140において準備された温度調節されたガスは、第1および第2のアンテナ30、32を介して誘電体エンクロージャ28中にフィードされ、したがって、必要に応じて、誘電体エンクロージャ28を加熱または冷却する。
【0033】
上記に鑑みて、本開示は、少なくとも以下の利点を提供する。第1の利点として、本実施形態は、プラズマチャンバから抽出されるイオンビームの品質を改善するための、イオンビーム処理システムのプラズマチャンバ内のより高い環境均一性を提供する。第2の利点として、本実施形態は、既存のイオンビーム処理システムの構造、構成、または設置面積を著しく変更することなしに実装され得る。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態が本明細書で説明されたが、本開示は、当技術分野が許容する限りにおいて範囲が広く、本明細書は同様に読まれ得るので、本開示はそれらの実施形態に限定されない。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきでない。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および趣旨内で他の修正を想定するであろう。
【国際調査報告】