(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバ、投影システム、リソグラフィ装置、およびリソグラフィシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520951
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022075331
(87)【国際公開番号】W WO2023057175
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン、フランシスクス、ヨハネス、ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】アルレマーク、エリク、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】グツェルカ、ヤツェク
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA20
2H197HA03
(57)【要約】
【解決手段】リソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバが説明される。チャンバは、使用時に、チャンバの外部に配置された基板上に、パターニングされた放射ビームを投影可能とするように構成された開口部と、開口部に出口を有する導管であって、開口部のガスシールを提供するために開口部にガスを供給するように構成された導管と、出口またはその近傍でガスの流路に配置されたフィルタであって、ガスを熱的に調整するように構成されたフィルタと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバであって、
使用時に、前記チャンバの外部に配置された基板上に、パターニングされた放射ビームを投影可能とするように構成された開口部と、
前記開口部に出口を有する導管であって、前記開口部のガスシールを提供するために前記開口部にガスを供給するように構成された導管と、
前記出口またはその近傍で前記ガスの流路に配置されたフィルタであって、前記ガスを熱的に調整するように構成されたフィルタと、を備えるチャンバ。
【請求項2】
前記フィルタは、多孔質金属材料またはセラミック材料を備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記フィルタは、焼結金属シートを備える、請求項1または2に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記フィルタは、前記基板に所定の熱負荷を形成するように前記ガスを熱的に調整するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項5】
前記所定の熱負荷は、実質的にゼロである、請求項4に記載のチャンバ。
【請求項6】
前記出口は、前記開口部全体に沿って延びている、請求項1から5のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項7】
前記フィルタは、実質的に前記出口全体を覆っている、請求項6に記載のチャンバ。
【請求項8】
前記フィルタは、前記出口に配置されている、請求項6または7に記載のチャンバ。
【請求項9】
前記フィルタは、前記開口部の表面に対して内側に配置されている、請求項6、7、または8に記載のチャンバ。
【請求項10】
前記チャンバは、真空環境に適用されるように構成され、前記導管は、低圧源から前記ガスを受け取るように構成され、前記低圧源の圧力は、およそ2kPaないし1Paの範囲、好ましくは1kPaないし2Paの範囲にある、請求項1から9のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項11】
前記フィルタは、供給される前記ガスの平均自由行程長のせいぜい10分の1の孔径を有するように構成され、または、前記フィルタは、供給される前記ガスの平均自由行程長の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍の厚さを有する、請求項10に記載のチャンバ。
【請求項12】
前記フィルタは、粒子が前記チャンバ内に入ること又は前記基板を汚染することを少なくとも部分的に防止するように構成されている、請求項1から11のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項13】
リソグラフィ装置のための投影システムであって、
請求項1から12のいずれかに記載のチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、使用時に前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成された複数の光学素子と、を備える投影システム。
【請求項14】
請求項13に記載の投影システムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項15】
請求項14に記載のリソグラフィ装置と、
放射ビームを発生する放射源と、を備えるリソグラフィシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバ、リソグラフィ装置のための投影システム、およびリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターンを、基板上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0003】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4nmないし20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極紫外(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも、基板上に小さいフィーチャを形成するのに使用できる。
【0004】
EUV放射は物質によって強く吸収されるため、EUV放射を使用するリソグラフィ装置内では、EUV放射の光路は真空条件下(すなわち、大気圧よりも大幅に低い圧力下)にある。特に、EUV放射を基板上に投影するための光学素子システムを備える投影システムは、リソグラフィ装置の専用区画内の真空条件下に保持されることがある。EUV放射は、前記区画の開口部を通じて基板上に投影される。前記開口部を介した投影システムへの汚染物質の侵入を回避又は緩和するために、ガスロック又はガスシールが通例適用される。しかしながら、公知のガスロックまたはガスシールは、パターニングされる基板の熱的状態、および/または開口部の近傍で使用されるセンサの熱的状態を乱しうる。さらに、光学素子、例えば、投影システムの光学素子も、ガスロックによって引き起こされる熱擾乱に悩まされうる。このような外乱は、パターニングプロセスの精度に悪影響を及ぼしうる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの目的は、例えばリソグラフィ装置におけるエンクロージャまたはチャンバ内で例えば使用可能な改良されたガスロックを提供することにある。
【0006】
本発明のある態様によると、リソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバであって、使用時に、前記チャンバの外部に配置された基板上に、パターニングされた放射ビームを投影可能とするように構成された開口部と、前記開口部に出口を有する導管であって、前記開口部のガスシールを提供するために前記開口部にガスを供給するように構成された導管と、前記出口またはその近傍で前記ガスの流路に配置されたフィルタであって、前記ガスを熱的に調整するように構成されたフィルタと、を備えるチャンバが提供される。
【0007】
本発明の更なる態様によると、リソグラフィ装置のための投影システムであって、本発明に係るチャンバと、前記チャンバ内に配置され、使用時に前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成された複数の光学素子と、を備える投影システムが提供される。
【0008】
本発明の更なる態様によると、本発明に係る投影システムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るリソグラフィ装置、および放射源を備えるリソグラフィシステムを示す図である。
【
図2】当該技術分野で知られている投影システムのガスロックを示す図である。
【
図3】本発明に係るチャンバに適用可能であるガスロックまたはガスシールの一実施形態を示す図である。
【
図4】本発明に係るガスロックまたはガスシールの基板上での熱負荷を様々な位置のフィルタについて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、放射源SOと本発明に係るリソグラフィ装置LAとを含むリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、そのEUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成されている。本発明に係るリソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0011】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調整するように構成されている。そこで、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11を含んでもよい。ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11は、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布を提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、またはこれに代えて、その他のミラーまたはデバイスを含んでもよい。
【0012】
こうして調整された後、EUV放射ビームBは、パターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターニングされたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターニングされたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成されている。そのために、投影システムPSは、基板テーブルWTによって保持される基板WにパターニングされたEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を備えてもよい。投影システムPSは、パターニングされたEUV放射ビームB’に縮小率を適用してもよく、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャをもつ像が形成される。例えば、4倍または8倍の縮小率が適用されうる。
図1では投影システムPSが2つのミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば6つ又は8つのミラー)を含みうる。
【0013】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含んでいてもよい。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターニングされたEUV放射ビームB’によって形成された像を、基板W上に以前に形成されたパターンに位置合わせする。
【0014】
相対的な真空、すなわち大気圧よりも十分に低い圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPSに提供されてもよい。
【0015】
典型的には、リソグラフィシステムの様々なサブシステムは、異なる区画またはチャンバに配置されてもよい。特に、投影システムPSは、
図1に示すミラー13、14のような光学部品の汚染を回避又は軽減するために、チャンバ又はエンクロージャ15内に配置されてもよい。前記チャンバ又はエンクロージャは、典型的には、パターニングされた放射ビームB’が基板W上に投影されることを可能にする開口部又はアパーチャ16を有している。開口部を介して投影システムPSに汚染が入るのを避けるために、ガスロックまたはガスシールが開口部16に設けられている。前記ガスロックまたはガスシールは、開口部16に出口を有し、開口部にガスを供給するように構成された導管を備える。本発明によると、ガスロックまたはガスシールは、出口またはその近傍に配置されたフィルタをさらに備え、前記フィルタは、ガスを熱的に調整するように構成されている。ガスロックおよび適用されるフィルタの更なる詳細は、以下に提供される。
【0016】
図1に示す放射源SOは、例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)源とも呼ばれるタイプのものである。レーザシステム1は、例えばCO
2レーザを含み、レーザビーム2を介して、例えば燃料エミッタ3から供給されるスズ(Sn)などの燃料にエネルギを付与するように配置されている。以下の説明ではスズについて言及するが、任意の適切な燃料を使用することができる。燃料は、例えば液体状であってもよく、例えば金属または合金であってもよい。燃料エミッタ3は、例えば液滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4へ向かう軌道に沿って方向付けるように構成されたノズルを備えてもよい。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4でスズに入射する。スズへのレーザエネルギの付与により、プラズマ形成領域4にスズプラズマ7が形成される。プラズマ7からは、プラズマの電子とイオンとの脱励起および再結合の際に、EUV放射を含む放射が放出される。
【0017】
プラズマからのEUV放射は、コレクタ5によって収集され、集束される。コレクタ5は、例えば、近垂直入射放射コレクタ5(より一般的には、垂直入射放射コレクタと呼ばれることもある)を備える。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように構成された多層ミラー構造を有してもよい。コレクタ5は、2つの焦点を有する楕円形の構成を有してもよい。一方の焦点はプラズマ形成領域4にあってもよく、他方の焦点は後述する中間焦点6にあってもよい。
【0018】
レーザシステム1は、放射源SOから空間的に分離されていてもよい。この場合、レーザビーム2は、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を備えるビーム伝送システム(図示せず)の助けを借りて、レーザシステム1から放射源SOへと渡されてもよい。レーザシステム1、放射源SO及びビーム伝送システムは合わせて、放射システムであるとみなされてもよい。
【0019】
コレクタ5で反射された放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、中間焦点6に集束され、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの中間焦点6における像を形成する。中間焦点6における像は、照明システムILのための仮想放射源として機能する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの包囲構造9の開口部8またはその近傍に位置するように構成される。
【0020】
図1は、放射源SOをレーザ生成プラズマ(LPP)源として描いているが、放電生成プラズマ(DPP)源や自由電子レーザ(FEL)などの任意の適切な源がEUV放射の生成に使用されてもよい。
【0021】
図2は、公知の投影システムPSの下部、特に投影システムPSのチャンバまたはエンクロージャ200の下部を概略的に示している。この下部は、壁部分215によって画定された開口部210を有する。パターニングされた放射ビームは、この開口部210を介して基板W上に投影されることができる。基板Wは、基板テーブルWTによって保持されている。開口部210のためにガスロックまたはガスシールを提供するために、導管220が設けられている。導管220は、矢印230で示されるように、ガスを導管220の出口に供給し、それによってガスを開口部に供給し、ガスロックまたはガスシールを生成する。図示の構成では、導管220は、ガスをチャンバ220.2に供給するパイプ220.1を備える。このようなチャンバ220.2は、例えば環状チャンバであってもよい。チャンバ220.2は、スリット220.3に接続され、このスリット220.3を介してガスが開口部210に供給される。スリット220.3は、このようにガスの出口として機能する。
図2において、矢印250は、開口部210から基板Wに向かい、投影システムPSの内部に向かうガスの流れを模式的に示している。
図2に示すような構成は、淀みと膨張ガスの効果により、基板に正の熱負荷をもたらすことが確認されている。本発明の意味において、正の熱負荷とは、熱負荷を受ける物体、例えば基板Wに温度上昇を生じさせる熱負荷または熱的負荷をいう。そこで、開口部210に供給されるガスを冷却することが、基板Wへの熱負荷を低減するために提案されている。このような冷却には、例えば、ヒートパイプ、熱交換器、ペルチェ素子などの使用が含まれうる。このようにすることで、基板への熱負荷が実際に低減されるか、またはほぼゼロにすることができる。しかしながら、本発明者らによる考案によれば、結果として生じる熱負荷は小さいかほぼゼロかもしれないが、熱流束は依然として物体に生じうる。特に、物体、例えば基板または基板テーブルWT上に配置されたセンサへの、結果として生じるゼロに近い熱負荷は、実際には、正の熱負荷を受ける物体の領域と負の熱負荷を受ける領域の組み合わせとして実現されるものと考えられる。その結果、熱負荷がほぼゼロであるにもかかわらず、局所的な冷却効果と加熱効果が生じる可能性がある。本発明の意味において、熱流束とは、物体例えば基板又はセンサ上の不均一な熱負荷分布を指す。当該不均一な熱負荷分布は、異なる熱負荷を受けている領域間での熱伝達すなわち熱流束を引き起こす。このような熱流束は、基板又はセンサの特性に経時的変化をもたらす過渡的または動的な効果とみなされうる。一例として、基板テーブルWT上に配置されたセンサの膨張を挙げることができる。センサが感知する熱流束により、センサの膨張は時間に依存する。その結果、センサから得られる測定結果も時間依存性を持つ可能性がある。別の言い方をすれば、センサから得られる測定結果は、測定が実際に実行される瞬間に依存しうる。この測定結果は、例えば、パターニングプロセスについても依存するため、パターニングプロセスは、センサ上の熱流束によっても悪影響を受ける可能性がある。同様に、基板上の熱流束は、基板に時間依存性の変形を引き起こし、これもまたパターニングプロセスの精度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0022】
そこで、本発明によると、リソグラフィ装置の投影システムのガスロック近傍の物体への熱負荷を低減するための別のアプローチが提案される。開口部に供給されるガスを冷却するのではなく、本発明によると、ガスの流路にフィルタを設けることが提案される。フィルタは、開口部におけるガス出口またはその近傍に設けられ、ガスを熱的に調整するように構成される。開口部におけるガス出口またはその近傍に配置されたフィルタを通じてガス流れを導くことにより、フィルタを出るガス流れは、ランダムな方向に規則正しく分布したガス流れとみなすことができる。
【0023】
一実施形態では、フィルタは、例えば、焼結材料で形成されてもよい。一実施形態では、フィルタは、例えば、ステンレス鋼のような金属またはセラミック材料で形成されてもよい。このようなセラミック材料の例としては、SiCまたはSiSiCなどの炭化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、フィルタは、例えば熱伝導性材料で形成されてもよい。
【0024】
いかなる科学的理論にも拘束されることなく、投影システム用または投影システムのエンクロージャ用のガスロックまたはガスシールの用途では、適用されるフィルタの典型的な孔径は、供給されるガスの平均自由行程長よりもはるかに小さいと考えられる。その結果、ガスがフィルタから放出される際の最後の相互作用は、ガス分子間ではなく、フィルタとガス分子との間の相互作用となる。その結果、ガスはフィルタの熱特性を得ることになる。
【0025】
図3は、本発明に係るリソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバ300の一部を概略的に示す。
図3において、参照番号315は、チャンバ300の壁部分を指し、壁部分315は、壁の開口部310を画定し、開口部310は、使用中に、チャンバ300の外部に配置された基板W上にパターニングされた放射ビームを投影することを可能にするように構成されている。図示の実施形態では、開口部310を画定する壁部分315は、傾斜した内側表面315.1を有する。他の適切な形状を適用することもできる。内側表面315.1は、例えば、図示されたZ方向に平行とされていてもよいし、または、湾曲されていてもよい。一実施形態では、開口部310の断面310.1は、例えば環状または矩形の形状を有していてもよい。使用中、パターニングされた放射ビームが通過して基板Wに到達するのに適した形状であれば、どのような形状でも適用することができる。図示の実施形態では、チャンバ300は、開口部310に出口320.3を有する導管320をさらに備え、導管320は、開口部310のガスシールを提供するために開口部310にガスを供給するように構成されている。図示の実施形態では、導管320は、導管内のチャンバ320.2にガスを供給するパイプまたは管路320.1を備える。このようなチャンバ320.2は、例えば、開口部310を取り囲む環状チャンバとすることができる。図示の実施形態では、チャンバ320.2は、出口320.3を介して開口部310に接続されており、この出口320.3を介してガスが開口部310に供給される。一実施形態では、出口320.3は例えばスリット状であり、例えばチャンバ300の開口部310を全体にわたり取り囲んでいてもよい。本発明によると、チャンバ300は、ガスの流路に配置されたフィルタ340をさらに備え、流路は、出口320.3またはその近傍で、矢印330によって示され、フィルタ340は、ガスを熱的に調整するように構成されている。
【0026】
本発明者らは、フィルタ340、すなわちガスを熱的に調整するように構成されたフィルタを追加することによって、基板Wに対するガスの悪影響を緩和することができることを考案した。また、本発明に係るフィルタ340の適用は、供給ガスの自由なガス膨張(この膨張は、ガスの冷却およびガスロックとガスとの間の熱伝達を誘発しうる)を回避または緩和するのに役立つことも言及できる。
【0027】
供給されるガスの流路、特にガスの出口320.3またはその近傍にフィルタ340を含めることによって、ガスによってもたらされる熱負荷を制御できることが判明している。特に、導管320の出口320.3にフィルタ340を導入することで、開口部310またはその近傍に設置され、ガス流の影響を受ける基板Wまたはセンサへの熱的負荷または熱負荷を制御することができる。フィルタ340の適用により、熱負荷、例えば基板またはセンサへの熱負荷を所定の値に制御できることが、シミュレーションおよび測定により確認されている。一実施形態では、開口部310から基板に向かうガス流れによって引き起こされる熱負荷をゼロまたは実質的にゼロに調整することができる。また、フィルタの適用により、熱負荷に関連する熱流束もゼロまたは実質的にゼロに調整できることが確認されている。その結果、センサまたは基板に発生する熱流束の前述の悪影響は、本発明によって緩和される。
【0028】
一実施形態では、フィルタは、熱伝導性材料、例えば多孔質材料を備える。熱伝導性材料から形成されたフィルタを通してガスを導くことにより、ガスはフィルタの温度を実質的に踏襲する。別の言い方をすれば、ガスはフィルタの熱特性を受け継ぎ、フィルタからランダムに分布した方向に出力される。ガスがフィルタから出ると、ガスの膨張と、ガスの流れ方向の整列(すなわち基板Wに向かうのか、またはチャンバ300の内部に向かうのか)とに起因して、冷却効果が生じる。したがって、フィルタ340が、開口部310に面するその外面340.1が開口部の内側表面315.1と面一になるように配置されるか、または開口部310内に突出するように配置されると、基板Wに向かって負の熱負荷が発生する。しかし、開口部310の内側表面315.1に対するフィルタ340の位置を変更することによって、発生する熱負荷を調整、すなわち所望の値に調整できることが判明している。これを
図4に模式的に示す。
【0029】
図4の下部は、本発明に係るチャンバの壁の一部415を概略的に示しており、壁部分415は、チャンバの壁に開口部を画定している。壁部分415は、開口部へのガス供給の出口420に対して、3つの異なる位置に配置されたフィルタ440をさらに備える。配置(a)では、フィルタ440は出口420からわずかに突出するように配置されている。配置(b)では、フィルタ440は出口420の内側にわずかに配置されている。配置(c)では、フィルタ440は、配置(b)と比較してさらに幾分、出口420の内側に配置されている。
【0030】
図4の上部は、3つの配置について、基板Wが受ける累積熱負荷Q[W]を、
図3に示した開口部の中心からの半径方向距離Rの関数として模式的に示している。
図4のグラフAは、
図4の下部に示す配置(a)に対応する。見てわかるように、壁部分415のわずかに外側にフィルタを配置することで、基板への熱負荷が負になる。
図4のグラフBは、
図4の下部に示す配置(b)に対応する。このような配置では、フィルタが壁部分415のわずかに内側に配置されることで、基板への熱負荷がほぼゼロになる。
図4のグラフCは、
図4の下部に示す配置(c)に対応する。見てわかるように、配置(b)と比較してフィルタをさらに内側に配置すると、基板への熱負荷が正になる。
【0031】
以上のことから、ガスロックまたはガスシールのガス供給の出口またはその近傍に適用されるフィルタによって、供給されるガスに起因する熱負荷を調整することができると結論づけることができる。特に、発生する熱負荷と、ガス供給の出口に対するフィルタの位置との間には、強い依存関係が存在する。
【0032】
シミュレーションに基づくと、チャンバの開口部付近で使用される基板またはセンサへの熱流束も大幅に減少することが確認された。また、これは測定によっても確認された。
【0033】
冷却構成が適用される公知の構成と比較して、本発明は、公知の構成よりもはるかに複雑でない受動的構成を提供することを言及することができる。しかしながら、本発明の一実施形態では、チャンバまたはチャンバ壁における開口部への出口またはその近傍でのフィルタの使用は、ヒーターの使用と組み合わせることができることを指摘することができる。
【0034】
そのような実施形態では、フィルタ、例えば
図4に示すフィルタ440は、例えば基板Wに負の熱負荷を発生させるように配置することができる。しかし、チャンバまたはチャンバ壁の開口部に供給されるガスを加熱することによって、基板への結果として生じる熱負荷を、例えば実質的にゼロとなる熱負荷に調整することができる。フィルタによる負の熱負荷を補償するためにヒーターが使用されるこのような構成について、ヒーターの適用は、冷却器または冷却装置の適用よりも複雑でないと考えることができることを指摘することができる。
【0035】
本発明の一実施形態では、フィルタは、焼結金属シートを備える。焼結材料は、材料の粉末を圧縮し、材料を溶融することなく、熱または圧力を用いて固体塊を形成することによって製造される。むしろ、材料の粒子または粉末は一緒に融合される。焼結材料は、例えば、その孔径または平均孔径によって特徴付けることができる。
【0036】
本発明の一実施形態では、適用されるガスの平均自由行程長に関連する特定の孔径を有する材料が選択される。
【0037】
既に上述したように、本発明に係るチャンバは、有利には真空環境にあることができる。このような環境において、チャンバの導管は、例えば、低圧源からガスを受け入れるように構成することができる。低圧源の圧力は、例えば、1~2kPaと1~2Paの間の範囲、例えば、1kPaと2Paの間の範囲である。気体の所定の圧力について、気体分子の平均自由行程長を決定することができる。以下の表は、いくつかの圧力についてこれを示している。
【表1】
【0038】
このようにして、導管内に印加される圧力に基づいて、ガスの平均自由行程長を決定することができる。本発明の一実施形態では、平均自由行程長よりも実質的に小さい孔径を有するフィルタ用の材料または構造が選択される。そうすることで、フィルタを通過する際のガス分子の相互作用が、他のガス分子との相互作用ではなく、主にフィルタ材料との相互作用となることを保証することができる。本発明の一実施形態では、フィルタは、供給されるガスの平均自由行程長のせいぜい5分の1、好ましくはせいぜい10分の1の孔径を有するように構成される。
【0039】
ガスとフィルタとの間の十分な相互作用を確実にするために、フィルタの適切な厚さを、例えば、適用されるガスの平均自由行程長に基づいて選択することができる。特に、本発明の一実施形態では、適用されるフィルタは、供給されるガスの平均自由行程長の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍の厚さを有する。一実施形態では、フィルタの厚さは、例えば0.1~10mmの範囲、好ましくは0.2~5mmの範囲とすることができる。
【0040】
本発明の一実施形態では、導管の出口、例えば
図3に示す導管320の出口320.2は、開口部全体、例えば
図3の開口部310に沿って延びている。このような実施形態では、ガスはこのように開口部全体を取り囲む出口から供給される。このような実施形態では、導管は、チャンバ、例えばチャンバ320.2にガスを供給するように構成されるパイプ320.1などの1つ又は複数のパイプを備えてもよい。これにより、開口部、例えば開口部310を取り囲むようにガスを分配することができる。
【0041】
一実施形態では、フィルタは、導管の出口全体を実質的に覆っている。一実施形態では、導管の出口の一部は、開放されたままであってもよいし、または、別のフィルタ、例えば、より薄いフィルタ、若しくは異なるグレードまたは孔径のフィルタで覆われてもよい。そうすることで、基板またはセンサへの熱負荷も調整することができる。このような実施形態は、したがって、出口に対するフィルタの内側への位置決めの代替として、またはそれに追加して適用することができる。
【0042】
本発明の一実施形態では、フィルタは、出口に配置される。
図4を参照して上述したように、出口にフィルタを配置することによって、基板またはセンサへのガスロックまたはガスシールによって引き起こされる正味の熱負荷を調整することができる。特に、出口、例えば
図3の出口320.3または
図4の出口420のいくらか内側にフィルタを配置することによって、結果として生じる熱負荷を所望の値、例えば正味の正の熱負荷、正味の負の熱負荷、またはゼロに近い熱負荷に調整することができる。フィルタの高さと、特定の熱負荷に到達するために必要な内側の位置との間に相関関係が観察されることは、言及に値する。フィルターの高さが大きいほど、望ましい熱負荷を得るためには出口の内側に移動されるべきである。フィルタの代表的な寸法と位置は、フィルタの高さが1mmから10mmの間で、内側に0.1mmから5mmの間である。
【0043】
上述した本発明に係るチャンバは、光学素子、例えばリソグラフィ装置の投影システムのミラーを収容するために有利に適用することができる。
【0044】
したがって、本発明の一態様によれば、投影システム、例えば
図1に示すような投影システムPSが提供される。前記投影システムは、本発明に係るチャンバと、チャンバ内に配置された複数の光学素子とを備え、前記光学素子は、使用中、パターニングされた放射ビームを基板上に投影するように構成される。一実施形態では、適用される光学素子は、例えばミラーであってもよく、例えばEUV放射ビームを反射するように構成されたミラーであってもよい。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る投影システムを備えるリソグラフィ装置が提供される。このようなリソグラフィ装置LAは、
図1に概略的に示されている。本発明によると、本発明に係るリソグラフィ装置LAは、有利には、リソグラフィ装置によって使用される放射ビームを生成するための放射源と組み合わせることができる。このように、一実施形態では、本発明は、本発明に係るリソグラフィ装置と、放射ビームを生成するための放射源とを備えるリソグラフィシステムを提供する。
【0046】
上述したように、本発明は、チャンバ例えばリソグラフィ装置の投影システムのチャンバのガスロック又はガスシールによって引き起こされる熱負荷に対する改善された制御を得ることを可能にする。このような改善された制御は、ガスロックまたはガスシールのガス供給の出口またはその近傍にフィルタを使用することによって得られる。また、フィルタの適用により、粒子、例えば供給ガス中に存在する粒子がチャンバ内に侵入したり、チャンバの開口部近傍の基板やセンサを汚染したりするのを少なくとも部分的に防止できることも特筆に値する。
【0047】
本書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及しているが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることを理解すべきである。ありうる他の用途には、統合光学システム、磁区メモリの案内および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0048】
本書では、リソグラフィ装置の文脈で本発明の実施形態を具体的に説明しているが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、または、ウェーハ(または他の基板)又はマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成してもよい。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれ得る。そのようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0049】
上記では、光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的に言及がなされたかもしれないが、文脈が許す限り、本発明は光リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィのような他の用途において使用され得ることが理解されるであろう。
【0050】
文脈が許す場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ実行され得る、機械可読媒体に格納された命令として実装されることもできる。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態で情報を格納または送信するための任意の機構を含んでもよい。例えば、機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);磁気記憶媒体;光学記憶媒体;フラッシュメモリ装置;電気、光学、音響または他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、その他を含んでもよい。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定の動作を実行するものとして本明細書に記載される場合がある。しかしながら、そのような記述は単に便宜上のものであり、そのような動作は、実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、または他のデバイスがファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行することから生じ、それを行うことによってアクチュエータまたは他のデバイスに現実世界との相互作用を引き起こさせうるものであることを理解されたい。
【0051】
本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明は、説明された以外の方法で実施されてもよいことを理解すべきである。上記の説明は、限定ではなく、例示を目的としている。したがって、記載された本発明には、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、変更が加えられてもよいことは当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバであって、
使用時に、前記チャンバの外部に配置された基板上に、パターニングされた放射ビームを投影可能とするように構成された開口部と、
前記開口部に出口を有する導管であって、前記開口部のガスシールを提供するために前記開口部にガスを供給するように構成された導管と、
前記出口またはその近傍で前記ガスの流路に配置されたフィルタであって、前記ガスを熱的に調整するように構成されたフィルタと、を備えるチャンバ。
【請求項2】
前記フィルタは、多孔質金属材料またはセラミック材料を備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記フィルタは、焼結金属シートを備える、請求項
1に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記フィルタは、前記基板に所定の熱負荷を形成するように前記ガスを熱的に調整するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項5】
前記所定の熱負荷は、実質的にゼロである、請求項4に記載のチャンバ。
【請求項6】
前記出口は、前記開口部全体に沿って延びている、請求項1から
3のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項7】
前記フィルタは、実質的に前記出口全体を覆っている、請求項6に記載のチャンバ。
【請求項8】
前記フィルタは、前記出口に配置されている、請求項
6に記載のチャンバ。
【請求項9】
前記フィルタは、前記開口部の表面に対して内側に配置されている、請求項
6に記載のチャンバ。
【請求項10】
前記チャンバは、真空環境に適用されるように構成され、前記導管は、低圧源から前記ガスを受け取るように構成され、前記低圧源の圧力は、およそ2kPaないし1Paの範囲、好ましくは1kPaないし2Paの範囲にある、請求項1から
3のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項11】
前記フィルタは、供給される前記ガスの平均自由行程長のせいぜい10分の1の孔径を有するように構成され、または、前記フィルタは、供給される前記ガスの平均自由行程長の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍の厚さを有する、請求項10に記載のチャンバ。
【請求項12】
前記フィルタは、粒子が前記チャンバ内に入ること又は前記基板を汚染することを少なくとも部分的に防止するように構成されている、請求項1から
3のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項13】
リソグラフィ装置のための投影システムであって、
請求項1から
3のいずれかに記載のチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、使用時に前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成された複数の光学素子と、を備える投影システム。
【請求項14】
請求項13に記載の投影システムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項15】
請求項14に記載のリソグラフィ装置と、
放射ビームを発生する放射源と、を備えるリソグラフィシステム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明は、説明された以外の方法で実施されてもよいことを理解すべきである。上記の説明は、限定ではなく、例示を目的としている。したがって、記載された本発明には、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、変更が加えられてもよいことは当業者には明らかであろう。
下記の番号付けられた項によっても実施の形態が与えられる。
1.リソグラフィ装置の投影システムのためのチャンバであって、
使用時に、前記チャンバの外部に配置された基板上に、パターニングされた放射ビームを投影可能とするように構成された開口部と、
前記開口部に出口を有する導管であって、前記開口部のガスシールを提供するために前記開口部にガスを供給するように構成された導管と、
前記出口またはその近傍で前記ガスの流路に配置されたフィルタであって、前記ガスを熱的に調整するように構成されたフィルタと、を備えるチャンバ。
2.前記フィルタは、多孔質金属材料またはセラミック材料を備える、項1に記載のチャンバ。
3.前記フィルタは、焼結金属シートを備える、項1または2に記載のチャンバ。
4.前記フィルタは、前記基板に所定の熱負荷を形成するように前記ガスを熱的に調整するように構成されている、項1から3のいずれかに記載のチャンバ。
5.前記所定の熱負荷は、実質的にゼロである、項4に記載のチャンバ。
6.前記出口は、前記開口部全体に沿って延びている、項1から5のいずれかに記載のチャンバ。
7.前記フィルタは、実質的に前記出口全体を覆っている、項6に記載のチャンバ。
8.前記フィルタは、前記出口に配置されている、項6または7に記載のチャンバ。
9.前記フィルタは、前記開口部の表面に対して内側に配置されている、項6、7、または8に記載のチャンバ。
10.前記チャンバは、真空環境に適用されるように構成され、前記導管は、低圧源から前記ガスを受け取るように構成され、前記低圧源の圧力は、およそ2kPaないし1Paの範囲、好ましくは1kPaないし2Paの範囲にある、項1から9のいずれかに記載のチャンバ。
11.前記フィルタは、供給される前記ガスの平均自由行程長のせいぜい10分の1の孔径を有するように構成され、または、前記フィルタは、供給される前記ガスの平均自由行程長の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍の厚さを有する、項10に記載のチャンバ。
12.前記フィルタは、粒子が前記チャンバ内に入ること又は前記基板を汚染することを少なくとも部分的に防止するように構成されている、項1から11のいずれかに記載のチャンバ。
13.リソグラフィ装置のための投影システムであって、
項1から12のいずれかに記載のチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、使用時に前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成された複数の光学素子と、を備える投影システム。
14.項13に記載の投影システムを備えるリソグラフィ装置。
15.項14に記載のリソグラフィ装置と、
放射ビームを発生する放射源と、を備えるリソグラフィシステム。
【国際調査報告】