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特表2024-535209改善された熱安定性を有する湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】改善された熱安定性を有する湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/08 20060101AFI20240920BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C09J175/08
C09J175/06
C09J11/06
C09J4/02
C09J4/00
C09J5/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514679
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2021119886
(87)【国際公開番号】W WO2023044665
(87)【国際公開日】2023-03-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】トン ポン
(72)【発明者】
【氏名】エリエス ジェンドゥビ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェイミン
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EF111
4J040EF131
4J040EF281
4J040FA112
4J040FA132
4J040JB01
4J040JB04
4J040KA14
4J040KA28
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA42
4J040PA00
4J040PA30
4J040PA34
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを含む湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物であって、i.少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPであって、a)少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1、b)少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2、c)任意選択的に、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2と異なる少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3、及びd)少なくとも1種のポリイソシアネートPIを反応させることによって得られる少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPと、ii.任意選択的に、少なくとも1種の触媒CAとを反応させることによって得られ、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、グラフト化ポリエーテルポリオールである、湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物に関する。本発明は、白物家電、自動車及び電子デバイスの製造における基材の結合のための接着剤組成物の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPであって、
a)少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1、
b)少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2、
c)任意選択的に、前記少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2と異なる少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3、及び
d)少なくとも1種のポリイソシアネートPI
を反応させることによって得られる少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPと、
ii.任意選択的に、少なくとも1種の触媒CAと
を含む接着剤組成物であって、前記少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、グラフト化ポリエーテルポリオールである、接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、25~75重量%、好ましくは30~65重量%の、40℃における固体含有量及び/又は10~100mgKOH/g、好ましくは15~75mgKOH/gの、ISO4629-2規格に従って決定されるヒドロキシル価を有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、前記少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全ポリオールの総重量の2.5~65重量%、好ましくは5~60重量%を構成する、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、少なくとも1種のベースポリエーテルポリオールと1種又は複数のエチレン性不飽和モノマーの組成物とのグラフト共重合によって得られたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和モノマーの組成物は、少なくとも1種のアクリルモノマー、好ましくはアクリロニトリルモノマーを含む、請求項4に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和モノマーの組成物は、少なくとも1種のアクリルモノマー、好ましくはアクリロニトリルと、少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマー、好ましくはスチレンとを含むか又はそれらから構成される、請求項4又は5に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のベースポリエーテルポリマーは、ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオール及びポリオキシエチレンポリエーテルポリオールからなる群から選択される、請求項4~6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1は、500~10000g/mol、好ましくは1000~5000g/molの数平均分子量(M)、及び/又は10~75mgKOH/g、好ましくは15~50mgKOH/gの、ISO4629-2規格に従って決定されるヒドロキシル価、及び/又は30~100℃、好ましくは40~70℃の、DSCで決定される融点(T)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1は、前記少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全ポリオールの総重量の5~45重量%、好ましくは10~40重量%を構成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3は、前記少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全ポリオールの総重量の15~85重量%、好ましくは25~80重量%を構成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートPIは、好ましくは、1000g/mol以下、好ましくは500g/mol以下の数平均分子量(M)を有するジイソシアネート、好ましくはモノマージイソシアネートである、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPは、前記接着剤組成物の総重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも75重量%を構成する、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項13】
前記接着剤組成物の総重量の5~55重量%、好ましくは10~45重量%、を好ましくは構成する、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートACをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
イソシアネート基と水との反応を触媒する前記少なくとも1種の触媒CAをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の触媒CAは、前記接着剤組成物の総重量の0.005~2.00重量%、好ましくは0.05~1.00重量%を構成する、請求項14に記載の接着剤組成物。
【請求項16】
白物家電、自動車及び電子デバイスの製造における基材の結合のための、請求項1~15のいずれか一項に記載の接着剤組成物の使用。
【請求項17】
第1の基材を第2の基材に接着結合する方法であって、
I)請求項1~15のいずれか一項に記載の接着剤組成物を加熱して、溶融された接着剤組成物を提供するステップと、
II)前記溶融された接着剤組成物を前記第1の基材の表面に適用して、接着フィルムを形成するステップと、
III)前記接着フィルムを前記第2の基材の表面に接触させるステップと、
IV)前記接着フィルムを水、好ましくは大気中の湿気で化学的に硬化させるステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された耐熱性を有する反応性ポリウレタンホットメルト接着剤並びに白物家電、自動車及び電子デバイスの製造における基材の結合のための接着剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、無溶媒の接着剤であり、室温で固体であり、結合される基材に溶融状態で適用される。冷却後、接着剤は、固化し、物理的に生じる結合により基板と接着結合を形成する。従来のホットメルト接着剤は、非反応性接着剤であり、加熱すると再び軟化するため、高温での使用に適していない。反応性ホットメルト接着剤は、例えば、ポリマー鎖の架橋によって接着剤の化学硬化を可能にする反応性基を有するポリマーを含む。化学的に硬化したポリマーマトリックスのため、反応性ホットメルト接着剤は、加熱しても軟化せず、したがって、これらの接着剤は、高温での使用にも適している。ポリマーの化学硬化は、例えば、接着剤組成物を加熱するか又は大気中の湿気などの水に曝露することによって開始することができる。湿気硬化性ホットメルト接着剤は、典型的には、イソシアネート基又はシラン基によって官能化されたポリマーを含み、大気中の湿気との接触によりポリマー鎖の架橋を可能にする。
【0003】
湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤(PUR-RHM)は、主にイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーからなる。これは、適切なポリオール、典型的にはポリエステル及び/又はポリエーテルポリオールをポリイソシアネートと反応させることによって得られる。この反応は、ヒドロキシル(OH)基よりもイソシアネート(NCO)基をモル過剰にして実施される。接着剤組成物は、残存するイソシアネート基と水との反応によって硬化し、その結果、ポリマーの様々な鎖延長反応及び/又は架橋反応が生じる。完全に硬化したポリウレタンホットメルト接着剤は、ウレア結合及び/又はウレタン結合を含み、イソシアネート官能性ポリマーを提供するために使用される出発材料に応じてエステル結合及び/又はエーテル結合を含む。架橋ホットメルト接着剤は、加熱しても再溶解しない。しかし、エポキシ接着剤又はシリコーン接着剤などの架橋密度の高い接着剤と比較して、湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤は、典型的には、低い耐熱性を有する。この欠点は、多くの用途、特に自動車、白物家電及び電子産業における部品の結合においてPUR-HMの使用を著しく制限する。
【0004】
したがって、改善された耐熱性を有する新規タイプの湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤が必要とされている。このような接着剤は、特に、白物家電、自動車及び電子デバイスの製造における基材の結合での使用に適切である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述したような従来技術の湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤の欠点を克服するか又は少なくとも緩和する接着剤組成物を提供することである。
【0006】
特に、本発明の目的は、改善された耐熱性を有する湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を提供することである。硬化した接着剤組成物は、好ましくは、優れた機械的特性、特に高い破断時の引張強さ及び伸び率並びにホットメルト接着剤の典型的な適用温度における低粘度も有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、請求項1の特徴により、その目的を達成できることが判明した。
【0008】
本発明の核心は、ポリオール組成物をポリイソシアネートと反応させることによって得られる少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーを含む新規タイプの湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物であり、ポリオール組成物は、25℃で固体のポリエステルポリオール、グラフト化ポリエーテルポリオール及びポリイソシアネートを含む。
【0009】
驚くべきことに、接着剤組成物へのグラフト化ポリエーテルポリオールの添加は、硬化した接着剤の熱安定性を改善するのみならず、硬化した接着剤組成物の機械的特性、特に引張強さの改善をもたらすことが判明した。
【0010】
本発明の他の主題は、他の独立請求項に示される。本発明の好ましい態様は、従属請求項に示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の主題は、
i.少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPであって、
a)少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1、
b)少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2、
c)任意選択的に、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2と異なる少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3、及び
d)少なくとも1種のポリイソシアネートPI
を反応させることによって得られる少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPと、
ii.任意選択的に、少なくとも1種の触媒CAと
を含む接着剤組成物であって、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、グラフト化ポリエーテルポリオールである、接着剤組成物である。
【0012】
「ポリオール」又は「ポリイソシアネート」などの物質呼称における「ポリ」という接頭辞は、正式には、その呼称に現れる官能基を1分子あたり2つ以上含む物質を指す。例えば、ポリオールとは、2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、ポリイソシアネートとは、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。
【0013】
「ポリマー」という用語は、重合反応(重合、重付加、重縮合)によって生成される化学的に均一な高分子の集合体を意味する。高分子は重合度、分子量及び鎖長に関して異なる。この用語は、多反応から生じる高分子の前記集合体の誘導体、すなわち所定の高分子中の官能基の例えば付加又は置換などの反応によって得られ、化学的に均一であるか又は化学的に不均一であり得る化合物も含む。
【0014】
「官能化ポリマー」という用語は、ポリマー骨格上に官能基を含むように化学変性されたポリマーを意味する。対照的に、「非官能化ポリマー」という用語は、ポリマー骨格上にエポキシ基、シラン基、スルホネート基、アミド基又は無水物基などの官能基を含むように化学変性されていないポリマーを意味する。
【0015】
「ポリウレタンポリマー」という用語は、いわゆるジイソシアネート重付加法によって調製されたポリマーを意味する。これらには、ウレタン基を実質的に又は完全に含まないポリマーも含まれる。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレア、ポリウレア、ポリエステル-ポリウレア、ポリイソシアヌレート及びポリカルボジイミドである。
【0016】
「イソシアネート官能性ポリウレタンポリマー」という用語は、1つ又は複数の未反応イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーを意味する。ポリウレタンプレポリマーは、過剰のポリイソシアネートをポリオールと反応させることによって得ることができ、それらはポリイソシアネート自体である。「イソシアネート官能性ポリウレタンポリマー」及び「ポリウレタンプレポリマー」という用語は互換的に使用される。
【0017】
「分子量」という用語は、分子又は分子の一部のモル質量(g/mol)を意味し、「部分」とも呼ばれる。「平均分子量」という用語は、分子又は部分のオリゴマー又はポリマー混合物の数平均分子量(M)又は重量平均分子量(M)を指す。分子量は、標準としてポリスチレン、カラムとして多孔度が100オングストローム、1000オングストローム及び10000オングストロームのスチレン-ジビニルベンゼンゲル及び分子に応じて溶媒として35℃でテトラヒドロフラン又は溶媒として160℃で1,2,4-トリクロロベンゼンを用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0018】
「平均OH官能性」という用語は、分子あたりのヒドロキシル(OH)基の平均数を示す。化合物の平均OH官能性は、化合物の数平均分子量(M)及びヒドロキシル価に基づいて計算することができる。化合物のヒドロキシル価は、DIN53240-2規格に定義される方法を使用して測定することができる。
【0019】
「オープンタイム」という用語は、基材の表面に適用された接着剤が、別の基材と接触した後に接着結合を形成することができる時間の長さを意味する。
【0020】
組成物中の「少なくとも1種の成分Xの量」、例えば「少なくとも1種のポリオールの量」とは、本明細書中、組成物中に含まれる全てのポリオールの個々の量の合計を指す。例えば、少なくとも1種のポリオールが25℃で固体のポリエステルポリオールであり、組成物が少なくとも1種のポリオールを20重量%含む場合、組成物中に含まれる全ての25℃で固体のポリエステルポリオールの量の合計は20重量%に等しい。
【0021】
「室温」という用語は、約23℃の温度を指す。
【0022】
接着剤組成物は、好ましくは、ホットメルト接着剤であり、より好ましくは一成分ホットメルト接着剤である。「一成分組成物」という用語は、本発明に関して、組成物の全成分が同一容器又は区画中で混合物として貯蔵される組成物を指す。
【0023】
接着剤組成物は、少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1及び少なくとも1種のグラフト化ポリエーテルポリオールPO2を含むポリオール組成物を少なくとも1種のポリイソシアネートPIと反応させることによって得られる少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを含む。
【0024】
グラフト化ポリエーテルポリオールは、「グラフトポリエーテルポリオール」、「変性ポリエーテルポリオール」、「コポリマーポリエーテルポリオール(CPP)」又はポリマーポリオール(POP)としても知られており、エチレン性不飽和モノマーの分散ポリマーを含むポリエーテルポリオールである。グラフト化ポリエーテルポリオールは、例えば、ベースとなるポリエーテルポリオールと、スチレン及びアクリロニトリルなどのエチレン性不飽和モノマーとのフリーラジカルグラフト重合によって得ることができる。適切なグラフト化ポリエーテルポリオールの製造方法は、例えば、国際公開第2008005708A1号パンフレット及び国際公開第2017053064A1号パンフレットに開示されている。
【0025】
グラフト化ポリエーテルポリオールの「固体含有量」という用語は、グラフト密度としても知られ、ポリエーテルポリオールの全質量に対するポリエーテルポリオールのグラフト化部分の質量の割合を指す。グラフト化ポリエーテルポリオールの固体含有量は、GB/T31062-2014規格に定義される方法を使用して決定することができる。
【0026】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、25~75重量%、好ましくは30~65重量%、より好ましくは30~55重量%、さらにより好ましくは35~55重量%の固体含有量及び/又は10~100mgKOH/g、好ましくは15~75mgKOH/g、より好ましくは20~50mgKOH/g、さらにより好ましくは25~45mgKOH/gの、ISO4629-2規格に従って決定されたヒドロキシル価を有する。
【0027】
適切なグラフト化ポリエーテルポリオールは、例えば、Voranol(登録商標)3943A及びVoranol(登録商標)220-260などのVoranol(登録商標);Voralux(登録商標)HL400、Voralux(登録商標)HL431及びVoralux(登録商標)HL500などのVoralux(登録商標);並びにSpecflex(登録商標)NC701及びSpecflex(登録商標)NC702などのSpecflex(登録商標)(全てDow Chemical Companyから)の商品名で市販されている。
【0028】
さらに適切なグラフト化ポリエーテルポリオールは、Arcol(登録商標)HS-100などのArcol(登録商標)(Covestroから)並びにPluracol(登録商標)1365、Pluracol(登録商標)1441及びPluracol(登録商標)5132などのPluracol(登録商標)(BASFから)の商品名で市販されている。
【0029】
好ましくは、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全ポリオールの総重量の少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%、より好ましくは少なくとも5重量%を構成する。
【0030】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全ポリオールの総重量の2.5~65重量%、好ましくは5~60重量%、より好ましくは10~55重量%、さらにより好ましくは15~50重量%、なおより好ましくは15~45重量%を構成する。少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2を上記の範囲に入る量で含む接着剤組成物は、硬化した接着剤組成物の熱安定性及び機械的特性が特に良好であることが判明している。
【0031】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2は、少なくとも1種のベースポリエーテルポリオールと1種又は複数のエチレン性不飽和モノマーの組成物とのグラフト共重合、好ましくはフリーラジカルグラフト共重合によって得られている。
【0032】
グラフト共重合において使用するのに適切なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、スチレン、メチルスチレン、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、ビニルベンゼン及びビニルトルエンが挙げられる。
【0033】
1つ又は複数の実施形態によれば、エチレン性不飽和モノマーの組成物は、少なくとも1種のアクリルモノマー、好ましくはアクリロニトリルモノマーを含む。
【0034】
1つ又は複数の好ましい実施形態によれば、エチレン性不飽和モノマーの組成物は、少なくとも1種のアクリルモノマー、好ましくはアクリロニトリルと、少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマー、好ましくはスチレンとを含むか又はそれらから構成される。
【0035】
好ましくは、少なくとも1種のベースポリエーテルポリマーは、ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオール及びポリオキシエチレンポリエーテルポリオールからなる群から選択される。
【0036】
少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1として使用するのに適切なポリエステルポリオールには、結晶性及び部分結晶性ポリエステルポリオールが含まれる。これらは、二価及び三価、好ましくは二価のアルコール、例えば1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、二量体脂肪アルコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン又は前述のアルコールの混合物を有機ジカルボン酸又はトリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸又はそれらの無水物若しくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、二量体脂肪酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びヘキサヒドロフタル酸又は前述の酸の混合物と反応させることによって得ることができる。ポリカプロラクトンとしても知られるε-カプロラクトンなどのラクトンから製造されたポリエステルポリオールも適切である。
【0037】
好ましいポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸としてアジピン酸、セバシン酸又はドデカンジカルボン酸と、二価アルコールとしてヘキサンジオール又はネオペンチルグリコールとを反応させて得られるものが挙げられる。適切なポリエステルポリオールのさらなる例としては、オレオケミカル由来のポリエステルポリオールが挙げられる。このタイプのポリエステルポリオールは、例えば、少なくとも部分的にオレフィン性の不飽和脂肪酸を含む脂肪混合物のエポキシ化トリグリセリドを、1~12個の炭素原子を有する1種又は複数のアルコールで完全に開環させ、その後トリグリセリド誘導体を部分的にエステル交換して、アルキル基中に1~12個の炭素原子を有するアルキルエステルポリオールを得ることによって調製され得る。特に適切な結晶性及び部分結晶性ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸/ヘキサンジオールポリエステル及びドデカンジカルボン酸/ヘキサンジオールポリエステルが挙げられる。
【0038】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1は、500~10000g/mol、好ましくは1000~5000g/molの数平均分子量(M)、及び/又は10~75mgKOH/g、好ましくは15~50mgKOH/gの、ISO4629-2規格に従って決定されるヒドロキシル価、及び/又は30~100℃、好ましくは40~70℃、より好ましくは45~65℃の、DSCで決定される融点(T)を有する。
【0039】
適切な25℃で固体のポリエステルポリオールは、例えば、Dynacoll(登録商標)7300-シリーズ(Evonik Industriesから)の商品名で市販されている。
【0040】
好ましくは、少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1は、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全ポリオールの総重量の少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%を構成する。
【0041】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の25℃で固体のポリエステルポリオールPO1は、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全ポリオールの総重量の5~45重量%、好ましくは10~40重量%、より好ましくは10~35重量%、さらに好ましくは10~30重量%を構成する。
【0042】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用されるポリオール組成物は、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2に加えて、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールPO2と異なる少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3を含む。
【0043】
少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3として使用するための、ポリオキシアルキレンポリオールとしても知られる適切なポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-若しくは2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン又はそれらの混合物の重合生成物が挙げられ、任意選択的に、2つ以上の活性水素原子を有するスターター分子、例えば水、アンモニア又は2つ以上のOH-若しくはNH-基を有する化合物、例えば1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン及び前述の化合物の混合物によって重合される。例えば二重金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)によって製造される(ASTM D-2849-69に従って測定され、ポリオール1gあたりの不飽和度のミリ当量(meq/g)で表される)不飽和度が低いポリオキシアルキレンポリオール及び例えばNaOH、KOH又はアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン性触媒によって製造される比較的高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールは、両方とも使用可能である。
【0044】
特に適切なポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシエチレンジオール又はポリオキシエチレントリオールが挙げられる。
【0045】
特に適切なのものは、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、より特には、1000~30000g/molの範囲の数平均分子量(M)を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオール並びに400~8000g/molの数平均分子量(M)を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールである。適切なポリエーテルポリオールは、例えば、Acclaim(登録商標)、Desmophene(登録商標)及びArcol(登録商標)(全てCovestroから)の商品名で市販されている。
【0046】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3は、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを得るために使用される全てのポリオールの総重量の15~85重量%、好ましくは25~80重量%、より好ましくは30~75重量%、さらに好ましくは35~70重量%、さらに好ましくは35~65重量%を構成する。
【0047】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールPO3は、25℃で液体のポリエーテルポリオールであり、好ましくは、15~100mgKOH/g、好ましくは35~75mgKOH/g、より好ましくは45~65mgKOH/gの、ISO4629-2規格に従って決定されたヒドロキシル価を有する。
【0048】
少なくとも1種のポリイソシアネートPIとして使用するために適切なポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族、脂環族及び芳香族ポリイソシアネート、特にジイソシアネート、特にモノマージイソシアネートが挙げられる。モノマージイソシアネートのオリゴマー及びポリマー生成物などの非モノマージイソシアネート、例えばモノマージイソシアネートの付加物も適切であるが、モノマージイソシアネートの使用が好ましい。
【0049】
「モノマー」という用語は、少なくとも1種の重合性基を有する分子を意味する。モノマージイソシアネート又はポリイソシアネートは、特にウレタン基を含まない。本発明に関して、モノマー性ジイソシアネートの付加体などのジイソシアネートモノマーのオリゴマー又はポリマー生成物は、モノマー性ジイソシアネートではない。
【0050】
そのイソシアネート基が脂肪族、脂環族又はアリール脂肪族部分に直接結合している場合、イソシアネートは「脂肪族」と呼ばれる。したがって、対応する官能基は脂肪族イソシアネート基と呼ばれる。イソシアネート基が芳香族部分に直接結合している場合、イソシアネートは「芳香族」と呼ばれる。したがって、対応する官能基は芳香族イソシアネート基と呼ばれる。
【0051】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種のポリイソシアネートPIは、ジイソシアネート、好ましくはモノマージイソシアネート、より好ましくは1000g/mol以下、好ましくは500g/mol以下、より好ましくは400g/mol以下の数平均分子量(M)を有するモノマージイソシアネートである。
【0052】
適切なモノマージイソシアネートの例としては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)並びにこれらの異性体の混合物、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート及びシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物、1-メチル-2,4-及び-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン並びにこれらの異性体の混合物(HTDI又はH6TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ペルヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)並びにこれらの異性体の混合物、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナト-メチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)並びにこれらの異性体の混合物、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)並びにこれらの異性体の混合物、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物(TDI)、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物(MDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)及びジアニシジンジイソシアネート(DADI)が挙げられる。
【0053】
1つ又は複数の実施形態によれば、モノマージイソシアネートは、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物(MDI)、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物(TDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及び1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)からなる群から選択される。さらに、当業者であれば、ジイソシアネートのテクニカルグレード製品は、不純物として異性体混合物又は他の異性体を頻繁に含む可能性があることを知っている。1つ又は複数の実施形態によれば、モノマージイソシアネートは、MDI及びIPDIからなる群から選択される。適切なモノマージイソシアネートは、例えば、Lupranat(登録商標)(BASFから)及びDesmodur(Covestroから)の商品名で市販されている。
【0054】
1つ又は複数の実施形態によれば、イソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPは、3.5以下、好ましくは3.0以下の平均イソシアネート官能性を有する。「平均NCO官能性」という用語は、本開示において、1分子あたりのイソシアネート(NCO)基の平均数を指す。化合物の平均NCO官能性は、ISO14896-2006規格方法Aに定義されるような方法を用いて決定することができる。
【0055】
好ましくは、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPは、接着剤組成物の総重量の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも65重量%、さらに好ましくは少なくとも75重量%、なおより好ましくは少なくとも85重量%を構成する。
【0056】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPは、接着剤組成物の総重量の50~95重量%、好ましくは60~90重量%、より好ましくは65~85重量%、さらに好ましくは70~85重量%を構成する。
【0057】
1つ又は複数の実施形態によれば、接着剤組成物は、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートACをさらに含む。「(メタ)アクリレート」という用語は、本発明に関して、メタクリレート又はアクリレートを示す。
【0058】
「ポリ(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリレートモノマーと1種若しくは複数のさらなる(メタ)アクリレートモノマー及び/又は1種若しくは複数のさらなるモノマーとのホモポリマー、コポリマー及び高次インターポリマーを指す。
【0059】
(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基などの官能基をさらに含まないことが好ましい場合がある。しかしながら、さらなる官能基、特にヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートモノマーは、さらなる官能基を含まない(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて使用することができる。
【0060】
適切な(メタ)アクリレートモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びそれらの分岐異性体、例えばイソブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、さらにシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート又は3,5-ジメチルアダマンチルアクリレートが挙げられる。
【0061】
さらなる官能基を有する適切な(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-ヘキシル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0062】
少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートACの合成のためのさらなる適切なコモノマーとしては、ビニル化合物、例えば官能基を有するエチレン性不飽和炭化水素、ビニルエステル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、エチレン性不飽和炭化水素のニトリル、リン酸エステル及び(メタ)アクリル酸の亜鉛塩が挙げられる。さらなる適切なコモノマーの例としては、例えば、無水マレイン酸、スチレン、スチレン系化合物、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、β-アクリロイルオキシプロピオン酸、ビニル酢酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、トリクロロアクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸並びにこれらのアミドが挙げられる。
【0063】
特に適切なポリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、1種又は複数の(メタ)アクリレートモノマーを、任意選択的に1種若しくは複数のヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートモノマー及び/又は少なくとも1種のさらなるコモノマーと組み合わせてフリーラジカル重合をすることによって得られるホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0064】
適切なポリ(メタ)アクリレートは、例えば、Dynacoll(登録商標)AC、例えばDynacoll(登録商標)AC1420、Dynacoll(登録商標)AC1520、Dynacoll(登録商標)AC1631、Dynacoll(登録商標)AC1620、Dynacoll(登録商標)AC1630、Dynacoll(登録商標)AC1632、Dynacoll(登録商標)AC1750、Dynacoll(登録商標)AC1920、Dynacoll(登録商標)AC4830及びDynacoll(登録商標)AC2740(全てEvonik Industriesから)の商品名で市販されている。
【0065】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートACは、15000~100000g/mol、好ましくは25000~65000g/molの重量平均分子量(M)及び/又は0℃以上、好ましくは35℃以上のISO11357-1規格に従って決定されるガラス転移温度及び/又はISO4625規格に従って環球法により決定される75~200℃、好ましくは125~185℃の軟化点及び/又はEN ISO2114規格に従って決定される25mgKOH/g以下、好ましくは10mgKOH/g以下の酸価を有する。
【0066】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートACは、接着剤組成物の総重量の5~55重量%、好ましくは10~45重量%、より好ましくは15~35重量%を構成する。
【0067】
1つ又は複数の実施形態によれば、接着剤組成物は、イソシアネート基と水との反応を触媒する少なくとも1種の触媒CAをさらに含む。
【0068】
適切な触媒の例としては、金属ベースの触媒、例えばジアルキルスズ錯体、特にジブチルスズ(IV)又はジオクチルスズ(IV)カルボキシレート又はアセトアセトネート、例えばジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズジラウレート(DOTDL)、さらにはビスマス(III)錯体、例えばビスマスオクトエート又はビスマスネオデカノエート、亜鉛(II)錯体、例えば亜鉛オクトエート又は亜鉛ネオデカノエート及びジルコニウム(IV)錯体、例えばジルコニウムオクトエート又はジルコニウムネオデカノエートが挙げられる。
【0069】
適切な触媒のさらなる例としては、アミン基を含む化合物、例えばジモルホリノジアルキルエーテル及び/又はジモルホリノ置換ポリアルキレングリコール、例えば2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]-オクタンが挙げられる。2種以上の触媒の組み合わせも使用され得、好ましい組み合わせとしては、1種又は複数の金属触媒と1種又は複数のモルホリンアミン化合物との組み合わせが挙げられる。
【0070】
1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも1種の触媒CAは、接着剤組成物の総重量の0.005~2.00重量%、好ましくは0.05~1.00重量%を構成する。
【0071】
接着剤組成物は、補助物質及び添加剤、例えば充填剤、可塑剤、接着促進剤、UV吸収剤、UV及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料及び乾燥剤からなる群から選択されるものをさらに含むことができる。
【0072】
接着剤組成物に添加することができる適切なUV安定剤の例としては、例えば、立体障害フェノールが挙げられ、適切なUV吸収剤としては、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾトリアゾール、トリアジン、アニリド、ベンゾエート、シアノアクリレート、フェニルホルムアミジン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0073】
適切な充填剤としては、無機及び有機充填剤、特に天然、粉砕又は沈殿炭酸カルシウムであって、任意選択的に脂肪酸又は脂肪酸エステル、特にステアリン酸によってコーティングされたもの、バリウム(重晶石)、タルク、石英粉、石英砂、ドロマイト、ウォラストナイト、カオリン、焼成カオリン、マイカ(ケイ酸アルミニウムカリウム)、モレキュラーシーブ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、熱分解プロセスからの微粉シリカを含むシリカ、工業的に製造されるカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、鉄、銀、鋼鉄などの金属粉末、ポリ塩化ビニル粉末及び中空球体が挙げられる。
【0074】
このような補助物質及び添加剤の総量は、接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0075】
1つ又は複数の実施形態によれば、接着剤組成物は、
A)ポリオールa)~c)及び任意選択的に少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートACを反応器に供給するステップ、
B)ステップA)から得られた混合物に少なくとも1種のイソシアネートPIを添加し、任意選択的に1種又は複数の触媒の存在下で反応を実施するステップであって、イソシアネート基とヒドロキシル基とのモル比は、少なくとも1.1、好ましくは少なくとも1.3であり、少なくとも1種のイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーPを含む反応混合物が得られる、ステップ、
C)任意選択的にステップB)から得られた反応混合物に少なくとも1種の触媒CAを添加するステップ
を含む方法によって得られる。
【0076】
1つ又は複数の実施形態によれば、本方法のステップB)におけるNCO/OH比は、3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.75以下、特に1.3~2.5、好ましくは1.5~2.2である。
【0077】
ステップB)で実施される反応は、ポリオール組成物の実質的に全てのヒドロキシル基、例えばポリオール組成物のヒドロキシル基の少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%を変換する。
【0078】
好ましくは、ステップA)で提供された出発混合物は、ステップB)を実施する前に真空下において120℃以上の温度で脱水される。
【0079】
ステップB)における反応は、イソシアネート官能性ポリウレタンポリマーの調製に使用される従来の方法に従って実施され得る。反応は、例えば、50~160℃、好ましくは60~120℃の範囲の温度において任意選択的に触媒の存在下で実施され得る。反応時間は、利用される温度次第であるが、例えば30分~6時間、特に30分~3時間、好ましくは30分~1.5時間の範囲であり得る。ステップB)の反応に使用される適切な触媒としては、例えば、Coscat(登録商標)83(Vertellus Performance Materials Inc.から)などの金属触媒及びスズ触媒が挙げられる。
【0080】
本発明の接着剤組成物は、湿気硬化性接着剤組成物であり、すなわち接着剤組成物を水、特に大気中の湿気と接触させることにより硬化させることができる。
【0081】
さらに、本発明の接着剤組成物は、ホットメルト接着剤の典型的な適用条件下、特に85~200℃の範囲の温度で良好な作業性を有し、これは、適用温度において、接着剤が、溶融状態での基材への適用を可能にするために十分に低い粘度を有することを意味する。接着剤組成物は、水、特に大気中の湿気との架橋反応の開始前でも、基材への塗布直後の冷却時に高い初期強度を発現する。
【0082】
1つ又は複数の実施形態によれば、接着剤組成物は、110℃の温度において、25000mPa・s以下、好ましくは15000mPa・s以下、より好ましくは12500mPa・s以下の粘度を有する。温度110℃における粘度は、例えば、好ましくは温度制御のためのThermosel Systemを装備したスピンドルNo.27を有するBrookfield DV-2粘度計を使用することにより、毎分5回転で従来の粘度計を使用して測定することができる。
【0083】
1つ又は複数の実施形態によれば、接着剤組成物は、40~175℃、好ましくは45~150℃、より好ましくは50~135℃、さらに好ましくは50~120℃の範囲の、ISO4625規格に従って環球法によって測定された軟化点を有する。
【0084】
ポリウレタンポリマーP、25℃で固体のポリエステルポリオールPO1、第1のポリエーテルポリオールPO2、第2のポリエーテルポリオールPO3、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートAC及び少なくとも1種の触媒CAに関する上記の好ましさは、特に断らない限り、本発明の全ての主題に等しく適用される。
【0085】
本発明の別の主題は、白物家電、自動車及び電子デバイスの製造における基材の結合のための本発明の接着剤組成物の使用である。適切な電子デバイスとしては、例えば、ディスプレイ、携帯電話、スマートウォッチ及びオーディオデバイスが挙げられる。
【0086】
本発明の別の主題は、第1の基材を第2の基材に接着結合する方法であって、
I)本発明による接着剤組成物を加熱して、溶融された接着剤組成物を提供するステップと、
II)溶融された接着剤組成物を第1の基材の表面に適用して、接着フィルムを形成するステップと、
III)接着フィルムを第2の基材の表面に接触させるステップと、
IV)接着フィルムを水、好ましくは大気中の湿気で化学的に硬化させるステップと
を含む方法である。
【0087】
第1及び第2の基材は、周縁によって画定され、その間の厚さを規定する第1及び第2の主要面を有するシート状物品又は三次元形状の物品であり得る。
【0088】
第1の基材を第2の基材に接着結合する方法において、接着剤組成物は、接着剤組成物の軟化点超の温度に加熱され、いずれかの従来技術、例えばスロットダイコーティング、ローラーコーティング、エクストルージョンコーティング、カレンダーコーティング又はスプレーコーティングを用いて、溶融状態で第1の基材の表面に適用される。接着剤組成物は、例えば、25~750g/m、好ましくは35~500g/m、より好ましくは45~350g/m、さらに好ましくは50~250g/mのコーティング重量で第1の基材の表面に適用することができる。
【0089】
接着フィルムが第2の基材の表面に接触した後、接着剤組成物は物理的硬化、すなわち冷却により一定の初期接着力を発現する。適用温度及び接着剤組成物の実施形態、特に接着剤の反応性次第で、化学硬化反応は、第1の基材の表面に接着剤組成物を適用している間に既に開始することがある。しかし、典型的には、化学硬化の大部分は、接着剤の適用後、特に適用された接着フィルムが第2の基材の表面と接触した後に起こる。
【0090】
第1及び第2の基材は、高分子材料、金属、塗装金属、ガラス、木材、木材由来材料、例えば天然繊維ポリプロピレン(NFPP)及び繊維材料を含む従来のいずれかの材料から構成されることができる。適切な高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ガラス繊維強化ポリプロピレン(GFPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA)及びこれらの組み合わせが挙げられる。第1及び第2の基板は、単一の層から構成されるか、又は異なる種類の材料の複数の層から構成され得る。高分子材料から構成される層は、充填剤、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、染料、殺生物剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0091】
本発明のさらに別の主題は、本発明の第1の基材を第2の基材に接着結合する方法を使用することによって得られる複合要素である。
【実施例
【0092】
表1に示す化合物及び製品を実施例で使用した。
【0093】
【表1】
【0094】
表2に示す接着剤組成物は、以下に示す手順に従って調製した。
【0095】
試験した接着剤組成物の調製
固体ポリエステルポリオール(PO1)、ポリエーテルポリオール(PO2及びPO3)並びにポリ(メタ)アクリレート(AC)をステンレス鋼反応器に装入した。
【0096】
混合物を140℃で120分間撹拌しながら真空下に保持し、成分を脱水して均一に混合した混合物を得た。混合物の温度を120℃まで下げ、窒素ブランケット下でポリイソシアネート(PI)を混合物に添加した。こうして得られた出発混合物を真空下において120℃の温度で45分間撹拌しながら反応させ、イソシアネート官能性ポリウレタンポリマー(P)を含む反応生成物を得た。次いで、触媒(CA)を窒素ブランケット下で反応生成物に添加した。真空下で45分間混合した後、得られた接着剤組成物を湿気排除下において室温で保存した。
【0097】
測定方法
接着剤組成物は、以下の測定方法を用いて特性評価した。
【0098】
110℃における粘度
密封管に供給された試料接着剤組成物をオーブン中で110℃の温度で20分間予熱した。加熱後、12.3gの接着剤組成物の試料を秤量し、使い捨てスリーブに入れて粘度計に配置した。粘度は、Thermosel systemを装備したスピンドルNo.27を有するBrookfield DV-2粘度計を使用し、温度110℃で、毎分5回転で測定した。測定温度で20分間テンパリングし、5分間測定して得られた値を代表粘度として記録した。
【0099】
オープンタイム
密閉管に供給された試料接着剤組成物を最初にオーブン中で110℃の温度まで30分間予熱した。加熱後、20gの溶融接着剤の試料を、ドクターブレードを用いて、加熱プレート上に配置されたシリコーン紙片(B700白、Laufenberg&Sohn KG)の表面に適用した。シリコーン紙片は30cm×10cmの寸法を有し、接着剤は厚さ500μm、寸法30cm×6cmのフィルムとして適用された。接着フィルムを適用する前に、シリコーン紙片及びドクターブレードを加熱プレートで110℃の温度まで加熱した。
【0100】
接着剤適用直後にシリコーン紙片を加熱プレートから除去し、(接着フィルムを上に向けて)室温(23℃)で合板のシート上に配置し、その時間を測定開始点として記録した。10秒ごとに、(非シリコーン化面を外側に向けて)10cm×1cmの寸法を有するロール状に形成したシリコーンコート紙の短冊を接着フィルム上に配置し、次いでゆっくりと剥離し、接着フィルムから短冊を分離した。この手順を、紙片又は接着フィルムに損傷を与えることなく、紙片を接着フィルムから剥離することができなくなるまで繰り返した。測定開始点から最後のサンプリング点までの時間間隔を、接着剤組成物のオープンタイム(秒)として記録した。
【0101】
表2に示されるオープンタイムの値は、同一接着剤組成物で実施した3回の測定の平均値として得られたものである。
【0102】
破断時の引張強さ及び伸び率
密封管に供給された接着剤組成物をオーブン中で110℃の温度まで30分間予熱した。加熱後、40gの溶融接着剤の試料を、ドクターブレードを用いて、加熱プレート上に配置されたシリコーン紙片(B700白、Laufenberg&Sohn KG)の表面に適用した。シリコーン紙は60cm×10cmの寸法を有し、接着剤は厚さ500μm、寸法60cm×6cmのフィルムとして適用された。接着剤の適用直後、シリコーン紙片を加熱プレートから除去し、標準気候条件(23℃、相対湿度55%)で7日間保管した。
【0103】
測定はDIN53504規格に基づく方法で実施した。2.0cm×8.0cmの寸法を有する長方形の試験片5枚を、500μmの厚さを有する硬化された接着フィルム(23℃/相対湿度50%で14日間硬化)から切断した。試験片を引張試験機(Zwick Z 020)に固定し、100mm/分の速度で引き剥がした(試験条件23℃、相対湿度50%)。破断時の引張強さ及び伸び率は、測定された最大引張応力に基づいて決定された。
【0104】
表2に示した破断時の引張強さ及び伸び率の値は、同一接着剤組成物で実施した5回の測定の平均値として得られたものである。
【0105】
静荷重下での熱安定性(耐熱性)
密封管に供給された接着剤組成物をオーブン中で110℃の温度で20分間予熱した。加熱後、溶融接着剤の試料を、9cm×2cm×5mmの寸法を有し、表面上にスペーサーとして1mmの銅線を有する木材試験片(パイン)の表面に適用した。接着剤は、寸法2cm×2cm及び厚さ1mmのフィルムとして適用した。
【0106】
接着剤の適用直後に、第1の木材試験片と同一の寸法を有する第2の木材試験片(パイン)を、接着フィルムの縁に沿って第1の木材試験片上に配置し、試験用複合要素を形成した。第2の木材試験片を第1の木材試験片に確実に押し付け、接着結合から空気を除去した。第2の木材試験片の上面に150gの重りを配置した。接合部から絞り出された接着剤はナイフで切り落とした。その後、結合した木材試験片からなる試験複合要素を標準気候条件(23℃、相対湿度40~60%)で14日間保管した。
【0107】
その後、試験複合要素を第1の木材試験片の一端から金属フックで垂直に吊り下げ、オーブン内に配置した。1kgの静荷重に相当する金属の重りを、各複合要素の第2の木材試験片の下端に取り付けた。熱安定性測定のために、一度に3つの複合要素をオーブン中に配置した。
【0108】
熱安定性測定では、最初にオーブンを予想接着結合破壊温度より40℃低い温度まで加熱した。複合要素をこの開始温度で60分間保持した。結合不良が発生しなかった場合、オーブンの温度を10℃上げ、さらに60分間測定を続けた。結合不良が発生するまで、上記の手順に従ってオーブン温度を10℃ずつ上昇させた。結合不良が発生する前に最後に測定した温度を、代表的な熱安定性温度として記録した。
【0109】
表2に示す各接着剤組成物の耐熱性値は、同一の接着剤組成物を用いて調製した同一の試験複合要素を用いて実施した3回の測定の平均値として得られたものである。
【0110】
【表2】
【国際調査報告】