(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ディフューザーの片面陽極酸化処理
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240920BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/455
H01L21/302 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516440
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021050861
(87)【国際公開番号】W WO2023043453
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ネーラー, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】オ, サン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マ, イン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA06
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(57)【要約】
基板処理チャンバのための例示的なディフューザーは、ディフューザー本体の入口側にある第1の表面とディフューザー本体の出口側にある第2の表面とによって特徴付けられる、ディフューザー本体を含んでもよい。ディフューザー本体は、ディフューザー本体の厚さを通して複数の開孔を規定してもよい。第1の表面は陽極酸化処理されていなくてもよい。第2の表面は陽極酸化処理されていてもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディフューザー本体であって、前記ディフューザー本体の入口側にある第1の表面と前記ディフューザー本体の出口側にある第2の表面とによって特徴付けられる、ディフューザー本体を備え、
前記ディフューザー本体が、前記ディフューザー本体の厚さを通して複数の開孔を規定し、
前記第1の表面が陽極酸化処理されておらず、
前記第2の表面が陽極酸化処理されている、
基板処理チャンバのためのディフューザー。
【請求項2】
前記複数の開孔がそれぞれ、上側領域と下側領域とを備え、
前記上側領域および前記下側領域がチョーク領域によって分離される、
請求項1に記載の基板処理チャンバのためのディフューザー。
【請求項3】
前記チョーク領域が陽極酸化処理されている、
請求項2に記載の基板処理チャンバのためのディフューザー。
【請求項4】
前記チョーク領域が陽極酸化処理されていない、
請求項2に記載の基板処理チャンバのためのディフューザー。
【請求項5】
前記下側領域が陽極酸化処理されている、
請求項2に記載の基板処理チャンバのためのディフューザー。
【請求項6】
前記下側領域がほぼ円錐の形状を備える、
請求項2に記載の基板処理チャンバのためのディフューザー。
【請求項7】
前記ディフューザー本体が、前記第1の表面と前記第2の表面との間に延在し、前記第1の表面および前記第2の表面を結合する側面を含み、
前記側面が陽極酸化処理されていない、
請求項1に記載の基板処理チャンバのためのディフューザー。
【請求項8】
ディフューザーの第1の表面をポリマー材料でコーティングし、前記ディフューザーの第2の表面を露出したままにすることであって、
前記第1の表面が前記第2の表面の反対側にあり、
前記ディフューザーが、前記ディフューザーの厚さを通して複数の開孔を規定する、
ディフューザーの第1の表面をポリマー材料でコーティングすることと、
前記ディフューザーに熱を加えることと、
前記ディフューザーを化学浴に暴露することと、
前記化学浴に電圧を印加して、前記ディフューザーの前記第2の表面を陽極酸化処理することと、
前記ポリマー材料を前記第1の表面から除去することと
を含む、ディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項9】
前記ディフューザーに熱を加えた後、前記開孔を通して加圧された材料を流すこと
をさらに含む、請求項8に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項10】
前記加圧された材料を流すことが、ビーズブラストおよびCO
2ブラストの一方または両方を含む、
請求項9に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項11】
前記複数の開孔がそれぞれ、上側領域と下側領域とを備え、
前記上側領域および前記下側領域がチョーク領域によって分離され、
前記加圧された材料を流すことが、前記複数の開孔それぞれの前記チョーク領域に存在する任意のポリマー材料を除去する、
請求項9に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項12】
前記第1の表面をコーティングすることが、指向性コーティング処理を使用して、前記ポリマー材料を前記第1の表面上に、前記複数の開孔それぞれの長さに対してある角度で、前記複数の開孔それぞれの一部分内に適用することを含む、
請求項8に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項13】
前記ポリマー材料を除去することが、
前記ポリマー材料に熱を加えて、前記ポリマー材料を軟化させることと、
前記ポリマー材料を前記ディフューザーから剥離することとを含む、
請求項8に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項14】
前記ポリマー材料を除去することが、前記ディフューザーを溶媒に暴露することをさらに含む、
請求項13に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項15】
前記化学浴に電圧を印加することが、
前記電圧を開始電圧から標的電圧まで上昇させることと、
所定期間の間、前記電圧を前記標的電圧で維持することとを含む、
請求項8に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項16】
前記化学浴に電圧を印加することが、
前記電圧を前記標的電圧から追加の標的電圧まで上昇させることと、
追加の所定期間の間、前記電圧を前記追加の標的電圧で維持することとをさらに含む、
請求項15に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項17】
前記ディフューザーが、前記第1の表面と前記第2の表面との間に延在し、前記第1の表面および前記第2の表面を結合する側面を備え、
前記方法が、前記側面を前記ポリマー材料でコーティングすることをさらに含む、
請求項8に記載のディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法。
【請求項18】
前駆体を処理チャンバに流し込むことであって、
前記処理チャンバが、ディフューザーと、基板が上に配設される基板支持体とを備え、
前記処理チャンバの処理領域が、前記ディフューザーと前記基板支持体との間に少なくとも部分的に規定され、
前記ディフューザーが、第1の表面と、前記基板支持体に面しており前記第1の表面とは反対側の第2の表面とによって特徴付けられ、
前記ディフューザーが、前記ディフューザーの厚さを通して複数の開孔を規定し、
前記第1の表面が陽極酸化処理されておらず、
前記第2の表面が陽極酸化処理されている、
前駆体を処理チャンバに流し込むことと、
前記処理チャンバの前記処理領域内で前記前駆体のプラズマを発生させることと、
前記基板上に材料を堆積させることと
を含む、基板を処理する方法。
【請求項19】
前記複数の開孔がそれぞれ、上側領域と下側領域とを備え、
前記上側領域および前記下側領域がチョーク領域によって分離され、
前記チョーク領域が陽極酸化処理されていない、
請求項18に記載の基板を処理する方法。
【請求項20】
前記下側領域がほぼ円錐の形状を備える、
請求項19に記載の基板を処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ガラス基板および半導体基板製造のための構成要素および装置に関する。より詳細には、本技術は、処理チャンバ分配構成要素および他の基板処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、基板表面に複雑なパターンの材料層を作り出す処理によって可能になる。基板上にパターン付き材料を作り出すには、材料の形成および除去のための制御された方法が必要である。チャンバ構成要素は、多くの場合、膜を堆積させるかまたは材料を除去するため、処理ガスを基板に送達する。対称性および均一性を促進するため、多くのチャンバ構成要素は、均一性を向上させることができる形で材料を提供するために、開孔などの特徴の規則的パターンを含んでもよい。しかしながら、これは、ウエハ上調節のためのレシピを調整する能力を制限することがある。
【0003】
したがって、高品質のデバイスおよび構造を作り出すために使用できる改良されたシステムおよび方法が必要である。これらおよびその他のニーズが本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0004】
基板処理チャンバのための例示的なディフューザーは、ディフューザー本体の入口側にある第1の表面とディフューザー本体の出口側にある第2の表面とによって特徴付けられる、ディフューザー本体を含んでもよい。ディフューザー本体は、ディフューザー本体の厚さを通して複数の開孔を規定してもよい。第1の表面は陽極酸化処理されていなくてもよい。第2の表面は陽極酸化処理されていてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、複数の開孔はそれぞれ、上側領域と下側領域とを含んでもよい。上側領域および下側領域はチョーク領域によって分離されてもよい。チョーク領域は陽極酸化処理されていてもよい。チョーク領域は陽極酸化処理されていなくてもよい。下側領域は陽極酸化処理されていてもよい。下側領域はほぼ円錐の形状を含んでもよい。ディフューザーは、第1の表面と第2の表面との間に延在し、第1の表面および第2の表面を結合する側面を含んでもよい。側面は陽極酸化処理されていなくてもよい。
【0006】
本技術のいくつかの実施形態は、ディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する方法を包含してもよい。方法は、ディフューザーの第1の表面をポリマー材料でコーティングし、ディフューザーの第2の表面を露出したままにすることを含んでもよい。第1の表面は第2の表面の反対側にあってもよい。ディフューザーは、ディフューザーの厚さを通して複数の開孔を規定してもよい。方法は、ディフューザーに熱を加えることを含んでもよい。方法は、ディフューザーを化学浴に暴露することを含んでもよい。方法は、化学浴に電圧を印加して、ディフューザーの第2の表面を陽極酸化処理することを含んでもよい。方法は、ポリマー材料を第1の表面から除去することを含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、ディフューザーに熱を加えた後、開孔を通して加圧された材料を流すことを含んでもよい。加圧された材料を流すことは、ビーズブラストおよびCO2ブラストの一方または両方を含んでもよい。複数の開孔はそれぞれ、上側領域と下側領域とを含んでもよい。上側領域および下側領域はチョーク領域によって分離されてもよい。加圧された材料を流すことは、複数の開孔それぞれのチョーク領域に存在する任意のポリマー材料を除去してもよい。第1の表面をコーティングすることは、指向性コーティング(directional coating)処理を使用して、ポリマー材料を第1の表面上に、複数の開孔それぞれの長さに対してある角度で、複数の開孔それぞれの一部分内に適用することを含んでもよい。ポリマー材料を除去することは、ポリマー材料に熱を加えて、ポリマー材料を軟化させることを含んでもよい。ポリマー材料を除去することは、ポリマー材料をディフューザーから剥離することを含んでもよい。ポリマー材料を除去することは、ディフューザーを溶媒に暴露することを含んでもよい。化学浴に電圧を印加することは、電圧を開始電圧から標的電圧まで上昇させることを含んでもよい。化学浴に電圧を印加することは、所定期間の間、電圧を標的電圧で維持することを含んでもよい。化学浴に電圧を印加することは、電圧を標的電圧から追加の標的電圧まで上昇させることを含んでもよい。化学浴に電圧を印加することは、追加の所定期間の間、電圧を追加の標的電圧で維持することを含んでもよい。ディフューザーは、第1の表面と第2の表面との間に延在し、第1の表面および第2の表面を結合する側面を含んでもよい。方法は、側面をポリマー材料でコーティングすることを含んでもよい。
【0008】
本技術のいくつかの実施形態は、基板を処理する方法を包含してもよい。方法は、前駆体を処理チャンバに流し込むことを含んでもよい。処理チャンバは、ディフューザーと、基板が上に配設される基板支持体とを含んでもよい。処理チャンバの処理領域は、ディフューザーと基板支持体との間に少なくとも部分的に規定されてもよい。ディフューザーは、第1の表面と、基板支持体に面しており第1の表面とは反対側の第2の表面とによって特徴付けられてもよい。ディフューザーは、ディフューザーの厚さを通して複数の開孔を規定してもよい。第1の表面は陽極酸化処理されていなくてもよい。第2の表面は陽極酸化処理されていてもよい。方法は、処理チャンバの処理領域内で前駆体のプラズマを発生させることを含んでもよい。方法は、材料を基板上に堆積させることを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の開孔はそれぞれ、上側領域と下側領域とを含んでもよい。上側領域および下側領域はチョーク領域によって分離されてもよい。チョーク領域は陽極酸化処理されていなくてもよい。下側領域はほぼ円錐の形状を含んでもよい。
【0010】
かかる技術は、従来のシステムおよび技法を超える多数の利益を提供することができる。例えば、本技術の実施形態は、膜の不純物含量を低減し、ウエハの閾値電圧を改善することができる。加えて、構成要素は、処理過程ごとの所望の安定性を維持することができる。これらおよび他の実施形態は、それらの利益および特徴の多くとともに、以下の説明および添付の図面と併せてより詳細に説明される。
【0011】
開示された技術の性質および利点は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによってさらに理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの上面図である。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステムの概略断面図である。
【
図3】本技術のいくつかの実施形態による例示的なディフューザーの概略部分断面図である。
【
図4】本技術のいくつかの実施形態によるディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する例示的な方法の動作を示す図である。
【
図5A】本技術のいくつかの実施形態による陽極酸化処理されている例示的なディフューザーの概略部分断面図である。
【
図5B】本技術のいくつかの実施形態による陽極酸化処理されている例示的なディフューザーの概略部分断面図である。
【
図5C】本技術のいくつかの実施形態による陽極酸化処理されている例示的なディフューザーの概略部分断面図である。
【
図5D】本技術のいくつかの実施形態による陽極酸化処理されている例示的なディフューザーの概略部分断面図である。
【
図5E】本技術のいくつかの実施形態による陽極酸化処理されている例示的なディフューザーの概略部分断面図である。
【
図6】本技術のいくつかの実施形態によるディフューザーを陽極酸化処理する例示的な方法の動作を示す図である。
【
図7】本技術のいくつかの実施形態による基板処理の例示的な方法の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの図が概略図として含まれている。図は例示を目的としており、特に縮尺が示されていない限り、縮尺は考慮されるべきではないことを理解されたい。さらに、図は概略図として、理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較してすべての態様または情報が含まれていない場合があり、説明目的で誇張された内容が含まれている場合がある。
【0014】
添付の図では、同様の構成要素および/または機能に同じ参照ラベルが付いている場合がある。さらに、同じ種類のさまざまな構成要素は、参照ラベルの後の、類似の構成要素を区別する文字によって区別され得る。本明細書で最初の参照ラベルのみが使用されている場合、その説明は、文字に関係なく、同じ最初の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つに適用され得る。
【0015】
プラズマ強化堆積処理は、1つまたは複数の構成前駆体にエネルギーを与えて、基板上での膜形成を促進し得る。導電膜および誘電膜を含む、基板構造を展開する任意の数の材料膜、ならびに材料の移動および除去を容易にする膜が作成されてもよい。例えば、ハードマスク膜は、基板のパターニングを容易にするために形成される一方で、下にある材料を保護して他の方法で維持することができる。多くの処理チャンバでは、多数の前駆体がガスパネル内で混合され得、基板が配置され得るチャンバの処理領域に供給され得る。前駆体は、チャンバ内の1つまたは複数の構成要素にわたって分配されてもよく、それによって、基板表面における形成または除去を向上させる、送達の径方向または横方向分布を作り出してもよい。
【0016】
デバイスの特徴のサイズが減少するにつれて、基板表面にわたる公差が減少する可能性があり、膜にわたる材料特性の違いがデバイスの実現と均一性に影響を与える可能性がある。多くのチャンバは、基板にわたる不均一性を作り出すことができる、特性プロセスシグネチャ(characteristic process signature)を含む。温度差、流量パターンの均一性、および処理のその他の態様が基板上の膜に影響を与える可能性があり、作り出されるまたは除去される材料の基板にわたって膜の均一性の差が生じる可能性がある。例えば、前駆体を処理チャンバ内に送達し分配する、1つまたは複数のデバイスが処理チャンバ内に含まれてもよい。前駆体フローにチョークを提供するのに、遮蔽板がチャンバに含まれてもよく、それによって前駆体の遮蔽板における滞留時間を増加させ、横方向または計方向分布を向上させてもよい。面板またはディフューザーは、処理領域内への送達の均一性をさらに改善してもよく、それによって堆積またはエッチングを改善してもよい。
【0017】
いくつかの従来のディフューザーは、裸の(陽極酸化処理されていない)表面を有するが、かかるディフューザーは、堆積処理中の堆積速度および厚さの均一性に関して、実行ごとの安定性に乏しいことがある。この不安定性に対処するため、いくつかのディフューザーは陽極酸化処理されてもよく、それによって、ディフューザーの陽極酸化処理に起因する誘電効果により、堆積速度および厚さの均一性に関して実行ごとの安定性を改善してもよい。しかしながら、ディフューザーの陽極酸化処理の間、ナノサイズの細孔が酸化膜に生成され、それによって、不動態化条件において可能であろうよりも厚く酸化物を成長させることが可能になる。ディフューザーの底部の細孔は、シーズニング膜および堆積膜によって覆われることがあり、ウエハに対して影響を有さないことがある。しかしながら、ディフューザーの頂部の細孔は、露出したままのことがあり、またいくつかの処理ガスを捕捉することがあり、それらの処理ガスは後続の堆積動作中に後で放出されることがある。これらの放出されたガスによって、望ましくない材料がウエハ上にドープされることがあり、それがウエハの閾値電圧に悪影響を及ぼし、ならびに/あるいは他の欠陥を引き起こすことがある。
【0018】
本技術は、底面のみが陽極酸化処理され、頂面が陽極酸化処理されないままであるディフューザーを利用することによって、これらの課題を克服する。かかるディフューザーは、頂面の露出した細孔を排除してもよいが、それらの細孔は、排除されなければ、後で放出されて望ましくないドーパントを膜上に形成することがあるガスを捕捉する。結果として、陽極酸化処理された頂面は、ウエハの閾値電圧を規格内で維持しながら、堆積処理の間の堆積速度および厚さの均一性に関する実行ごとの安定性を改善してもよい。加えて、本技術のいくつかの実施形態は、細孔サイズを増加させ、陽極酸化処理されたディフューザー表面に存在する細孔の数を低減する、陽極酸化処理技法を利用して、後で望ましくないドーパントを膜上に形成し、閾値電圧に影響することがある、任意の捕捉されたガスを低減または排除する助けとしてもよい。したがって、本技術は、ウエハごとの改善された膜堆積特性を作り出してもよい。
【0019】
残りの開示は、開示された技術を利用した特定の堆積処理を日常的に特定するものであるが、システムおよび方法は、他の堆積チャンバおよび洗浄チャンバ、ならびに記載されたチャンバ内で発生し得る処理にも同様に適用可能であることが容易に理解されるであろう。したがって、本技術は、これらの特定の堆積処理またはチャンバのみでの使用に限定されるものと考えるべきではない。本開示は、本技術の実施形態によるこのシステムに対する追加の変形および調整を説明する前に、本技術の実施形態によるリッドスタック構成要素を含み得る1つの可能なシステムおよびチャンバについて説明する。
【0020】
図1は、本技術の実施形態による、堆積、エッチング、焼成、および硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上面図を示す。図では、1対の前方開口型統一ポッド102は、ロボットアーム104によって受け取られ、基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つに配置される前に、タンデムセクション109a~109cに配置される低圧保持エリア106内に配置されるさまざまなサイズの基板を供給する。第2のロボットアーム110は、基板ウエハを保持エリア106から基板処理チャンバ108a~108fに搬送し、またその逆に搬送するために使用され得る。各基板処理チャンバ108a~108fは、プラズマ強化化学気相堆積、原子層堆積、物理的気相堆積、エッチ、前洗浄、ガス抜き、配向、およびアニーリング、アッシングなどを含むその他の基板処理に加えて、本明細書で説明される半導体材料のスタックの形成を含む、多くの基板処理工程を実行するように装備することができる。
【0021】
基板処理チャンバ108a~108fは、基板上に誘電体または他の膜を堆積、アニーリング、硬化および/またはエッチングするための1つまたは複数のシステム構成要素を含んでいてもよい。1つの構成では、2対の処理チャンバ、例えば、108c~108dおよび108e~108fを使用して、基板上に誘電体材料を堆積させることができ、第3の対の処理チャンバ、例えば108a~108bを使用して、堆積された誘電体をエッチングすることができる。別の構成では、3対のチャンバすべて、例えば108a~108fが、基板上に交互の誘電体膜のスタックを堆積させるように構成されてもよい。説明される処理の任意の1つまたは複数は、異なる実施形態で示される製造システムから分離されたチャンバ内で実行されてもよい。誘電体膜のための堆積、エッチング、アニーリング、および硬化チャンバの追加の構成がシステム100によって企図されていることが理解されるであろう。
【0022】
図2は、本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステム200の概略断面図を示す。プラズマシステム200は、さらに後述するような本技術の実施形態による、1つまたは複数のタンデムセクション109に嵌合されてもよく、面板もしくは他の構成要素またはアセンブリを含んでもよい、1対の処理チャンバ108を例示してもよい。プラズマシステム200は一般に、側壁212、底壁216、ならびに1対の処理領域220Aおよび220Bを画定する内部側壁201を有するチャンバ本体202を含み得る。処理領域220A~220Bのそれぞれは、同様に構成されていてもよく、同一の構成要素を含んでいてもよい。
【0023】
例えば、処理領域220B(その構成要素は処理領域220Aに含まれてもよい)は、プラズマシステム200の底壁216に形成された通路222を通って処理領域内に配置されたペデスタル228を含み得る。ペデスタル228は、本体部分などのペデスタルの露出表面上で基板229を支持するように適合されたヒータを提供し得る。ペデスタル228は、加熱素子232、例えば、基板温度を所望の処理温度に加熱および制御し得る抵抗加熱素子を含んでいてもよい。ペデスタル228は、ランプアセンブリなどの遠隔加熱素子、または任意の他の加熱装置によって加熱されてもよい。
【0024】
ペデスタル228の本体は、フランジ233によってステム226に結合され得る。ステム226は、ペデスタル228を電源コンセントまたは電力ボックス203と電気的に結合し得る。電力ボックス203は、処理領域220B内のペデスタル228の上昇および移動を制御するドライバシステムを含んでいてもよい。ステム226はまた、ペデスタル228に電力を供給するための電力インターフェースを含んでいてもよい。電力ボックス203は、熱電対インターフェースなどの、電力および温度インジケータ用のインターフェースも含み得る。ステム226は、電力ボックス203と取り外し可能に結合するように適合された、ベースアセンブリ238を含んでいてもよい。電力ボックス203の上に円周リング235が示されている。いくつかの実施形態では、円周リング235は、ベースアセンブリ238と電力ボックス203の上面との間に機械的インターフェースを提供するように構成された機械的ストップまたはランドとして適合された肩部であってもよい。
【0025】
ロッド230は、処理領域220Bの底壁216に形成された通路224を通って含まれてもよく、ペデスタル228の本体を通って配置された基板リフトピン261を位置決めするために利用されてもよい。基板リフトピン261は、基板移送ポート260を通じて処理領域220Bに基板229を移送する、または処理領域220Bから基板229を移送するために利用されるロボットとの基板229の交換を容易にするために、ペデスタルから基板229を選択的に離間させることができる。
【0026】
チャンバリッド204は、チャンバ本体202の上部に結合され得る。リッド204は、それに結合された1つまたは複数の前駆体分配システム208を収容することができる。前駆体分配システム208は、反応物および洗浄前駆体をガス供給アセンブリ218を通して処理領域220Bに供給し得る前駆体入口通路240を含んでいてもよい。ガス供給アセンブリ218は、面板246の中間に配置された遮蔽板244を有するガスボックス248を含んでいてもよい。ガス供給アセンブリ218に高周波(「RF」)源265を結合してもよく、高周波(「RF」)源265は、ガス供給アセンブリ218に電力を供給して、ガス供給アセンブリ218の面板246とチャンバの処理領域であり得るペデスタル228との間にプラズマ領域の生成を促進することができる。いくつかの実施形態では、RF源は、プラズマの生成を容易にするために、ペデスタル228などのチャンバ本体202の他の部分と結合されてもよい。リッド204へのRF電力の伝導を防ぐために、リッド204とガス供給アセンブリ218との間に誘電体アイソレータ258を配置してもよい。ペデスタル228と係合する、ペデスタル228の周囲にシャドウリング206が配置されてもよい。
【0027】
工程中にガスボックス248を冷却するために、ガス分配システム208のガスボックス248内に任意選択の冷却チャネル247を形成してもよい。ガスボックス248を所定の温度に維持できるように、水、エチレングリコール、ガスなどの熱伝達流体を冷却チャネル247を通して循環させてもよい。処理領域220B内の処理環境への側壁201、212の露出を防ぐために、チャンバ本体202の側壁201、212に近接して処理領域220B内にライナアセンブリ227が配置されてもよい。ライナアセンブリ227は、処理領域220Bからガスおよび副生成物を排出し、処理領域220B内の圧力を制御するように構成されたポンピングシステム264に結合され得る円周ポンピングキャビティ225を含んでいてもよい。ライナアセンブリ227上に複数の排気口231が形成されていてもよい。排気口231は、システム200内での処理を促進する方法で、処理領域220Bから円周ポンピングキャビティ225へのガスの流れを可能にするように構成され得る。
【0028】
図3は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な面板またはディフューザー300の概略部分断面図を示している。
図3は、面板246のためなどの、システム200内の構成要素に関するさらなる詳細を示してもよい。ディフューザー300は、いくつかの実施形態で上述したシステム200の任意の特徴または態様を含むことが理解される。ディフューザー300は、上述したようなハードマスク材料の堆積を含む基板処理動作、ならびに他の堆積、除去、および洗浄動作を実施するのに使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ディフューザー300は、ディスプレイデバイスで使用される基板など、ガラス基板および/または半導体基板などの基板の1つもしくは複数の表面上に、材料を堆積させるのに使用されてもよい。ディフューザー300は、基板処理システムに組み込まれてもよい、ディフューザーの部分図を示してもよく、そうでなければ任意のサイズのものであってもよく、任意の数の開孔を含む、ディフューザーの中央を通る図を例示してもよい。多くの開孔が横方向または径方向外側に延在して示されるが、図面は実施形態の例示のためだけに含まれ、縮尺通りとみなすべきでないことが理解されるべきである。例えば、例示的な面板は、さらに後述されるように、約20以上の開孔の直径に沿った開孔の数によって特徴付けられてもよく、約25以上の開孔、約30以上の開孔、約35以上の開孔、約40以上の開孔、約45以上の開孔、約50以上の開孔、またはそれ以上によって特徴付けられてもよい。
【0029】
示されるように、ディフューザー300は、上述したシステム200を含む、任意の数の処理チャンバに含まれてもよい。ディフューザー300は、ガスボックスおよび遮蔽板などを有する、ガス入口アセンブリの一部として含まれてもよい。例えば、ガスボックスは、処理チャンバ内へのアクセスを規定または提供してもよい。基板支持体は、チャンバ内に含まれてもよく、処理のために基板を支持するように構成されてもよい。遮蔽板は、ガスボックスと基板支持体との間でチャンバに含まれてもよい。遮蔽板は、板を通る多くの開孔を含むかまたは規定してもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽板は、中心のコンダクタンス(central conductance)の増加によって特徴付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、遮蔽板の中央領域に近接するかまたはその周りに延在する開孔のサブセットは、中央領域の径方向外側の開孔よりも開孔直径が大きいことによって特徴付けられてもよい。これは、いくつかの実施形態では、中心のフローコンダクタンスを増加させてもよい。構成要素は、同様の構成要素に関して上述した特徴のいずれか、ならびに本技術によって同様に包含されるさまざまな他の修正を含んでもよい。
【0030】
ディフューザー300は、上述したように、チャンバ内で遮蔽板と基板支持体との間に位置付けられてもよい。ディフューザー300は、第1の表面305と、第1の表面の反対側にあってもよい第2の表面310とを有する本体によって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面305は、ディフューザー300の入口側にあってもよく、遮蔽板、ガスボックス、または処理チャンバ内へのガス入口に面してもよい。第2の表面310は、ディフューザー300の出口側にあってもよく、処理チャンバの処理領域内の基板支持体または基板に面するように位置付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ディフューザー300の第2の表面310および基板支持体は、チャンバ内の処理領域を少なくとも部分的に規定してもよい。ディフューザー300は、面板の中点を通って垂直に延在してもよく、処理チャンバを通る中心軸と同軸であってもよい、中心軸315によって特徴付けられてもよい。
【0031】
ディフューザー300は、面板を通って規定され、第1の表面から第2の表面を通って延在する、複数の開孔320を規定してもよい。各開孔320は、面板を通る流体経路を提供してもよく、開孔は、チャンバの処理領域への流体アクセスを提供してもよい。ディフューザーのサイズおよび開孔のサイズに応じて、ディフューザー300は、約1,000以上の開孔、約2,000以上の開孔、約3,000以上の開孔、約4,000以上の開孔、約5,000以上の開孔、約6,000以上の開孔、またはそれ以上など、板を通る任意の数の開孔を規定してもよい。上述したように、開孔は、中心軸から外側に延在するリングのセットに含まれてもよく、上述したように任意の数のリングを含んでもよい。リングは、円形または楕円形を含む任意の数の形状、ならびに長方形、六角形、または径方向外側の複数のリングに分配される開孔を含んでもよい他の任意の幾何学パターンなど、他の任意の幾何学パターンによって特徴付けられてもよい。開孔は、均一な、または互い違いの間隔を有してもよく、中心から中心まで約10mm以下で離隔されてもよい。開孔はまた、約9mm以下、約8mm以下、約7mm以下、約6mm以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、またはそれ以下で離隔されてもよい。
【0032】
リングは、上述したような任意の幾何学形状によって特徴付けられてもよく、いくつかの実施形態では、開孔は、リングごとの開孔のスケーリング関数によって特徴付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の開孔は、図示されるように中心軸に沿ってなど、ディフューザーの中央を通って延在してもよい。開孔の第1のリングは、中央の開孔の周りに延在してもよく、各開孔の中央を通って延在する幾何学形状の周りで均等に離隔されてもよい、約4~約10の開孔など、任意の数の開孔を含んでもよい。任意の数の開孔の追加のリングは、第1のリングから径方向外側に延在してもよく、第1のリングにおける開孔の数の関数であってもよい、多くの開孔を含んでもよい。例えば、連続する各リングの開孔の数は、式XRに従って(Xは開孔の基本数、Rは対応するリング数)、対応する各リング内の開孔の数によって特徴付けられてもよい。開孔の基本数は、第1のリング内の開孔の数であってもよく、いくつかの実施形態では、第1のリングが増加された数の開孔を有する場合がさらに後述されるように、他の何らかの数であってもよい。例えば、第1のリングの周りに分配された5つの開孔を有する例示的なディフューザーに関して、5が開孔の基本数である場合、第2のリングは10の開孔(5)×(2)によって特徴付けられてもよく、第3のリングは15の開孔(5)×(3)によって特徴付けられてもよく、第20のリングは100の開孔(5)×(20)によって特徴付けられてもよい。これが、50以下、50超過、または約50のリングなど、上述したように、開孔の任意の数のリングに対して続いてもよい。いくつかの実施形態では、ディフューザーにわたる複数の開孔の各開孔は、本技術の実施形態において同じであるかまたは異なってもよい、開孔のプロファイルによって特徴付けられてもよい。
【0033】
開孔320は、任意のプロファイル、または図示されるものなど、異なるプロファイルを有する任意の数のセクションを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、開孔320はほぼ円筒状であってもよい。他の実施形態では、開孔320の一部またはすべてはより複雑なプロファイルを有してもよい。例えば、図示されるような1つの非限定例では、各開孔320は上側領域322と下側領域324とを含んでもよい。上側領域322および下側領域324は、上側領域322および下側領域324よりも小さい直径(または平均直径)を有してもよい、チョーク領域326によって分離されてもよい。上側領域322は、ディフューザー300の第1の表面305から延在してもよく、部分的にディフューザー300を通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、上側領域322は、第1の表面305と第2の表面310との間のディフューザーの厚さを通して、少なくとも約半分以上、または75%に延在してもよい。上側領域322は、図示されるように、実質的に円筒状のプロファイルによって特徴付けられてもよい。実質的にとは、プロファイルが円筒状のプロファイルによって特徴付けられてもよいが、機械加工の公差および部品のばらつき、ならびに特定の誤差範囲を考慮してもよいことを意味する。上側領域322は、ディフューザー300のチョークとして動作してもよい任意選択のチョーク領域326へと遷移してもよく、フローの分布または均一性を増加してもよい。図示されるように、チョーク領域326は、上側領域322の直径からチョーク領域326のより狭い直径へと遷移する、テーパおよび/または段差を含んでもよい。チョーク領域326の直径は、上側領域322の直径よりも小さくてもよい。例えば、上側領域322の直径は、チョーク領域326の直径の1.5倍超過、1.75倍超過、2.0倍超過、2.25倍超過、2.5倍超過、またはそれ以上であってもよい。チョーク領域326は次に下側領域324へと広がる。下側領域324は、ディフューザーを部分的に通る位置から第2の表面310まで延在してもよい。下側領域324は、例えば、ディフューザー300の厚さの半分未満を通って延在してもよく、またはディフューザー300の半分以下または約半分に延在してもよい。下側領域324は、いくつかの実施形態では、第2の表面310から先細のプロファイルによって特徴付けられてもよく、チョーク領域326を含む場合、チョーク領域326と交差する円筒状および/または円錐状部分を含んで延在してもよい。下側領域324は、いくつかの実施形態では、ほぼ円錐状のプロファイルによって特徴付けられてもよく、または先細のプロファイルの中でも特に、皿頭のプロファイルによって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ほぼ円錐状のプロファイルは、単一の先細/円錐状プロファイルを含んでもよいが、他の実施形態では、ほぼ円錐状のプロファイルは、図示されるようなテーパの程度が異なる2つ以上の領域を含んでもよい。下側領域324の(第2の表面310などにおける)最大直径は、上側領域322およびチョーク領域326両方の直径よりも大きくてもよい。例えば、下側領域324の最大直径は、上側領域326の直径の1.1倍超過、1.2倍超過、1.3倍超過、1.4倍超過、1.5倍超過、1.75倍超過、2.0倍超過、2.25倍超過、2.5倍超過、またはそれ以上であってもよい。下側領域324の最大直径は、チョーク領域326の直径の3.5倍超過、4.0倍超過、4.5倍超過、5.0倍超過、5.25倍超過、またはそれ以上であってもよい。
【0034】
開孔320の下側領域324の円錐状プロファイルは、円錐セクションの顕著な中空陰極効果により、イオン流束を増加させる助けとなってもよい。このイオン流束の増加は、ディフューザーの下方に位置付けられた基板の縁部における、堆積速度の改善に直接変換される。基板の縁部における堆積の増加は、堆積の均一性および基板全体のより平らな厚さプロファイルの総体的な増加をもたらす。
【0035】
ディフューザー300の一部分は陽極酸化処理されてもよい。例えば、ディフューザー300の第2の表面310は陽極酸化処理されてもよく、第1の表面305(および少なくとも各開孔320の上側領域322)は、陽極酸化処理されない。これにより、ディフューザーが、いかなる欠点もない、裸であってかつ陽極酸化処理されたディフューザーの利益がもたらされる。特に、陽極酸化処理された第2の表面310は、堆積処理の間の堆積速度および厚さの均一性に関する実行ごとの安定性を改善してもよく、ナノ細孔形成は、ウエハの閾値電圧に悪影響を及ぼすことがある、第1の表面305へのナノ細孔形成を排除する。いくつかの実施形態では、第2の表面310とともに、開孔320それぞれの下側領域324および/またはチョーク領域326が陽極酸化処理されてもよく、他の実施形態では、開孔320それぞれの下側領域324および/またはチョーク領域326は陽極酸化処理されなくてもよい。チョーク領域326が陽極酸化処理される実施形態では、陽極酸化処理プロセスは、各開孔320内の均一な陽極酸化処理を確実にし、各チョーク領域326の直径を均一に、またディフューザー300を通る適正で均一なフローコンダクタンスを維持する所望のサイズに保つように、慎重に制御されてもよい。ディフューザー300は、第1の表面305と第2の表面310との間に延在し、第1の表面305および第2の表面310を結合する側面312を含んでもよい。いくつかの実施形態では、側面312は陽極酸化処理されてもよく、他の実施形態では、側面312は陽極酸化処理されなくてもよい。
【0036】
図4は、本技術のいくつかの実施形態によるディフューザーの1つの表面を陽極酸化処理する例示的な方法400の動作を示す。方法は、上述のディフューザー300と同様の単一の陽極酸化処理された表面を有する、ディフューザーを作成してもよい。方法400は、本技術による方法のいくつかの実施形態と具体的に関連付けられてもよく、または関連付けられなくてもよい、多くの任意選択の動作を含んでもよい。方法400は、方法400の開始前に任意選択の動作を含んでもよく、または方法は追加の動作を含んでもよい。例えば、方法400は、図示されるのとは異なる順序で実施される動作を含んでもよい。方法400は、方法400に従って陽極酸化処理されているディフューザー500(ディフューザー300と同様であってもよく、処理チャンバ200などの任意の処理チャンバで使用されてもよい)を示す、
図5A~
図5Eに関連して記載される。
【0037】
いくつかの実施形態では、方法400は、動作405で、ディフューザー500の第1の表面505をポリマー材料530でコーティングし、ディフューザー500の第2の表面510を露出したままにすることを含んでもよい。第1の表面510とともに、ディフューザー500によって規定される各開孔520の一部分がコーティングされてもよい。例えば、各開孔520の上側領域522が、ポリマー材料530でコーティングされてもよい。第1の表面505は、第1の表面305と同様であってもよく、またディフューザー500の頂面であってもよく、第2の表面510は、第2の表面310と同様であってもよく、またディフューザー500の底面であってもよい。いくつかの実施形態では、側面512はポリマー材料530でコーティングされてもよい。ポリマー材料530は、いくつかの実施形態では、熱可塑性材料(高密度ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどであるがそれらに限定されない)を含んでもよく、これは、ディフューザー500のコーティングされた表面が陽極酸化処理されないように保護してもよい。
図5Aに示されるものなど、いくつかの実施形態では、第1の表面505のコーティングは、第1の表面505上、および各開孔520の上側領域522内への、ポリマー材料530の3D印刷および/または噴霧などであるがそれらに限定されない、指向性コーティング塗布処理を含んでもよい。ポリマー材料530が開孔520のチョーク領域526に入るのを防ぐのが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、これを防ぐ助けとするため、ポリマー材料530を塗布するのに使用される1つまたは複数のアプリケータノズル580は、ノズル580から放出されたポリマー材料がチョーク領域526に向けられないように、各開孔520の長手方向軸に対して角度付けられてもよい。例えば、ノズル580は、放出されたポリマー材料の縁部が上側領域522の下側角部および/または縁部に向けられるように角度付けられてもよい。この角度は、開孔520の上側領域522のアスペクト比に応じて決まってもよい。ノズル580を、1つまたは複数の方向に沿って並進させ、ならびに/あるいはディフューザー500を通る1つまたは複数の経路内で回転させて、ディフューザー500の所望の表面を均一にコーティングしてもよい。いくつかの実施形態では、ディフューザー500を、第1の表面505が下向きになるように、コーティング処理の間に反転させてもよい。かかる配向は、ポリマー材料530が、重力の効果によって、各開孔520のチョーク領域526に流入するのを防ぐ助けとなることができる。加えて、または別の方法として、コーティング動作の間、空気(または他の流体)を各開孔520の下側領域524およびチョーク領域526に流してもよい。例えば、ディフューザー500の第2の表面510が、キャッピングされるかまたは別の方法で密封されて、流体を供給する流体源が、第2の表面510の近傍で正圧環境を作ってもよい。正圧は、噴霧が開孔520の上側領域522の基部に達するのを妨げることなく、ポリマー材料530がチョーク領域526を貫通するのを防ぐ十分な強さの、開孔520を通る、また特にチョーク領域526を通る気流を生成してもよい。
【0038】
図5Bに示されるように、第1の表面505をコーティングすることで、ポリマー材料530が上側領域522の基部に完全に達しないようにしてもよい。例えば、チョーク領域526を通る気流、および/またはノズル580からの噴霧の角度によって、各開孔520の上側領域522の基部の一部またはすべてがコーティングされないままになってもよい。動作410で、熱がディフューザー500に加えられてもよく、それによってポリマー材料530が流れて上側領域522の基部を覆うように十分に柔らかくされてもよい。熱は、ポリマー材料530の軟化温度まで加えられてもよい。いくつかの実施形態では、軟化温度は、100℃~150℃の間または概ねその温度であってもよいが、かかる温度は使用されるポリマー材料に応じて決まってもよいことが認識されるであろう。いくつかの例では、ポリマー材料530の一部は、
図5Cに示されるようにチョーク領域526に流入することがあり、それが陽極酸化処理中におけるチョーク領域526の不均一性につながることがある。この問題を排除するため、方法は、ディフューザーに熱を加えた後、開孔を通して加圧された材料を流すことを含んでもよい。例えば、ビーズブラスト、CO
2ブラスト、サンドブラスト、および/または加圧された材料を送達する他の技法が、
図5Dに示されるように、ポリマー材料530がチョーク領域526にある場合にそこから除去するのに使用されてもよい。加圧された材料は、加圧された材料が上側領域522および/または第1の表面505内にある材料を除去するのを防ぐように、ディフューザー500の第2の表面510側から送達されてもよい。
【0039】
動作415で、部分的にコーティングされたディフューザー500は化学浴590に暴露されてもよい。例えば、ディフューザー500は、
図5Eに示されるように、第2の表面510が陰極585に面した状態で、電解質に沈められてもよい。動作420で、電圧が化学浴に印加されて、コーティングされた第1の表面505は陽極酸化処理されないまま、露出した第2の表面510を陽極酸化処理してもよい。いくつかの実施形態では、電圧は、開始電圧(ゼロであってもよい)から標的電圧まで上昇させてもよい。電圧は、所定期間の間、標的電圧で維持されてもよい。標的電圧は、いくつかの実施形態では、最終電圧であってもよい。単一の標的電圧ステップを使用することによって、任意の陽極酸化処理された表面で、細孔サイズが増加されてもよく、また細孔密度が減少されてもよく、それによって、堆積動作の間、細孔によって捕捉され、後で放出されることがある、ガスの量が低減されてもよい。加えて、多重ステップの電圧送達処理と比較して、生成される細孔の分岐の数が少ない。これは、ディフューザーを使用して作成されるウエハにおける閾値電圧の一貫性を改善する助けとなることがある。他の実施形態では、標的電圧は中間電圧であってもよい。かかる実施形態では、電圧は、標的電圧から追加のより高い標的電圧まで上昇させてもよく、追加の所定期間にわたって維持されてもよい。かかるステップは、陽極酸化処理を完了するため、任意の回数繰り返されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、3つの標的電圧が使用されてもよいが、さまざまな実施形態では、処理は、1つ以上の標的電圧、2つ以上の標的電圧、3つ以上の標的電圧、4つ以上の標的電圧、5つ以上の標的電圧、10以上の標的電圧、またはそれ以上を含んでもよい。
【0040】
第2の表面510が陽極酸化処理されると、動作425で、ポリマー材料530は、いずれのコーティングされた表面からも除去されてもよい。ポリマー材料530を除去することは、ポリマー材料530に熱を加えて、ポリマー材料530を軟化させることを含んでもよい。軟化されると、ポリマー材料530は、ディフューザー500の表面から剥離され、および/または別の方法で手作業で除去されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー材料530の残留物がある程度残っていることがある。かかる事例では、ディフューザー500をアセトンなどの溶媒に暴露して、残留物を除去してもよい。結果として得られるディフューザー500は、ポリマー材料530でコーティングされなかった表面上において陽極酸化処理され、コーティングされた表面は陽極酸化処理されないままであってもよい。かかるディフューザー500は、いかなる欠点もない、裸であってかつ陽極酸化処理されたディフューザーの利益を提供してもよい。特に、陽極酸化処理された第2の表面510は、堆積処理の間の堆積速度および厚さの均一性に関する実行ごとの安定性を改善してもよく、ウエハの閾値電圧に悪影響を及ぼすことがある、第1の表面505へのナノ細孔形成を排除する。
【0041】
図6は、本技術のいくつかの実施形態によるディフューザーを陽極酸化処理する例示的な方法600の動作を示す。方法は、上述のディフューザー300と同様の単一の陽極酸化処理された表面を有する、ディフューザーを作成してもよく、または完全に陽極酸化処理されたディフューザーを作成してもよい。方法600は、本技術による方法のいくつかの実施形態と具体的に関連付けられてもよく、または関連付けられなくてもよい、複数の任意選択の動作を含んでもよい。方法600は、方法600の開始前に任意選択の動作を含んでもよく、または方法は追加の動作を含んでもよい。例えば、方法600は、図示されるのとは異なる順序で実施される動作を含んでもよい。
【0042】
方法600は、動作605で、ディフューザー(任意の表面上に任意のポリマー材料コーティングを含んでもよく、または含まなくてもよい)を化学浴に暴露することを含んでもよい。動作610で、電圧が化学浴に印加されて、ディフューザーの露出した(コーティングされていない)表面を陽極酸化処理してもよい。電圧は、単一のステップで、開始電圧(ゼロであってもよい)から最終標的電圧まで上昇させてもよい。電圧は、所定期間の間、最終標的電圧で維持されてもよい。単一の標的電圧ステップを使用することによって、任意の陽極酸化処理された表面で、細孔サイズが増加されてもよく、また細孔密度が減少されてもよく、それによって、堆積動作の間、細孔によって捕捉され、後で放出されることがある、ガスの量が低減されてもよい。加えて、多重ステップの電圧送達処理と比較して、生成される細孔の分岐の数が少ない。これは、ディフューザーを使用して作成されるウエハにおける閾値電圧の一貫性を改善する助けとなることがある。
【0043】
図7は、本技術のいくつかの実施形態による基板処理の例示的な方法700の動作を示す。方法は、ディフューザー300または500など、本技術の実施形態によるディフューザーを含んでもよい、上述の処理システム200を含むさまざまな処理チャンバ内で実施されてもよい。方法700は、本技術による方法のいくつかの実施形態と具体的に関連付けられてもよく、または関連付けられなくてもよい、複数の任意選択の動作を含んでもよい。
【0044】
方法700は、ハードマスク膜を形成する動作または他の堆積動作を含んでもよい、処理方法を含んでもよい。方法は、方法700の開始前に任意選択の動作を含んでもよく、または方法は追加の動作を含んでもよい。例えば、方法700は、図示されるのとは異なる順序で実施される動作を含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法700は、動作705で、1つまたは複数の前駆体を処理チャンバに流し込むことを含んでもよい。例えば、前駆体を、システム200に含まれるものなどのチャンバに流し込んでもよく、前駆体をチャンバの処理領域内に送達する前に、前駆体を、ガスボックス、遮蔽板、またはディフューザーのうちの1つもしくは複数を通して流してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、ディフューザーは、第1の表面および第2の表面によって特徴付けられてもよく、ディフューザーの厚さを通して多くの開孔を規定してもよい。第2の表面が陽極酸化処理され、第1の表面は陽極酸化処理されないままであってもよいなど、ディフューザー300または500の任意の態様を含む、上述したディフューザーの他の特性のいずれかも含まれてもよい。いくつかの実施形態では、各開孔は、チョーク領域によって分離されてもよい、上側領域および下側領域を含んでもよい。上側領域は陽極酸化処理されなくてもよく、下側領域は陽極酸化処理されてもよく、チョーク領域は、陽極酸化処理されないかまたは陽極酸化処理されてもよい。いくつかの実施形態では、下側領域はほぼ円錐のプロファイル形状を有してもよい。動作710で、RF電力をディフューザーに提供してプラズマを発生させることなどによって、プラズマを処理領域内で前駆体に発生させてもよい。プラズマで形成された材料を、動作715で、ガラスおよび/または半導体基板などの基板上に堆積させてもよい。いくつかの実施形態では、堆積される材料の厚さに応じて、堆積された材料は、基板の中央領域内の厚さとほぼ同じである、基板の縁部における厚さによって特徴付けられてもよい。例えば、堆積される材料は、500A未満の標的の均一性を有する、基板の縁部に近似した厚さによって特徴付けられてもよい。
【0046】
前述の説明では、説明の目的で、本技術のさまざまな実施形態の理解を提供するために多くの詳細が述べられてきた。しかしながら、特定の実施形態は、これらの詳細のいくつかを省略して、または追加の詳細を加えて実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0047】
いくつかの実施形態を開示したが、実施形態の精神から逸脱することなく、さまざまな変更、代替構造、および均等物を使用できることが当業者には理解されよう。さらに、本技術を不必要に曖昧にすることを避けるために、多くのよく知られた処理および要素については説明されていない。したがって、上記の説明は本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0048】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の介在する各値も、下限の単位の最小の端数まで具体的に開示されることが理解される。記載された値または記載された範囲内の記載されていない介在値と、記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値との間の任意の狭い範囲が含まれる。これらの小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含めたり除外したりでき、より小さい範囲に、制限のいずれかが含まれる、いずれも含まれない、または両方が含まれる各範囲も、記載された範囲内で特に除外される任意の制限の影響を受けて、本技術内に包含される。記載された範囲に制限の一方または両方が含まれる場合、これらの含まれる制限の一方または両方を除いた範囲も含まれる。
【0049】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈による別段の明示がない限り、複数形を含む。したがって、例えば、「ヒータ」に対する言及は複数のかかるヒータを含み、「突出部」に対する言及は、1つまたは複数の突出部、および当業者には知られているその等価物を含み、その他も同様である。
【0050】
また、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「包含する(contain(s))」、「包含している(containing)」、「含む(include(s))」、および「含んでいる(including)」という用語は、記載された機能、整数、構成要素または工程の存在を指定することを目的としているが、1つまたは複数の他の機能、整数、構成要素、工程、行為、またはグループの存在または追加を除外するものではない。
【国際調査報告】