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特表2024-535242パワーダウン状態にあるコントローラを管理するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】パワーダウン状態にあるコントローラを管理するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3234 20190101AFI20240920BHJP
   G06F 1/3209 20190101ALI20240920BHJP
   G06F 1/3296 20190101ALI20240920BHJP
   G06F 15/78 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06F1/3234
G06F1/3209
G06F1/3296
G06F15/78 530
G06F15/78 517
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516571
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2022039082
(87)【国際公開番号】W WO2023048833
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/485,199
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ジェイ. ブラノーバー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ティー. ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】インドラニ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒル シャイルシュバイ ドクター
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ヴィー. コソノキー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー. ペトリー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイ. ギブニー
【テーマコード(参考)】
5B011
5B062
【Fターム(参考)】
5B011EA08
5B011EA09
5B011KK12
5B011KK14
5B011LL11
5B062HH07
5B062JJ03
(57)【要約】
コントローラを管理するための方法及び装置は、第1のデバイスのプロセッサが、第1の電力状態から第2の電力状態に入るように第2のデバイスのコントローラに指示することを含む。第2のデバイスのコントローラは、第1のデバイスのプロセッサに確認を応答する。第1のデバイスのプロセッサは、第2の電力状態に入るための信号を第2のデバイスのコントローラに送信する。第2のデバイスのコントローラは、ウェイクイベントを受信すると、第2のデバイスを第2の電力状態から第1の電力状態にする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを管理するための方法であって、
第1のデバイスのプロセッサが、第1の電力状態から第2の電力状態に入るように第2のデバイスのコントローラに指示することと、
前記第2のデバイスのコントローラが、前記第1のデバイスのプロセッサに確認を応答することと、
前記第1のデバイスのプロセッサが、前記第2の電力状態に入るための信号を前記第2のデバイスのコントローラに送信することと、
前記第2のデバイスのコントローラが、ウェイクイベントを受信すると、前記第2のデバイスを前記第2の電力状態から前記第1の電力状態にすることと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記第1のデバイスのプロセッサは、前記第2のデバイスが前記第2の電力状態に入ることを指示する第1の信号を前記第2のデバイスのコントローラに送信する、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記第2のデバイスのコントローラは、前記第2の電力状態に入ることの指示の確認を示す第2の信号を前記プロセッサに送信する、
請求項2の方法。
【請求項4】
前記第2のデバイスは、前記第1のデバイスのプロセッサから前記信号を受信すると、前記第2の電力状態に入る、
請求項3の方法。
【請求項5】
前記第2のデバイスが、前記第2の電力状態に入ると、ウェイクするためにアーミングすることを含む、
請求項4の方法。
【請求項6】
前記第1のデバイスのプロセッサが、第3の信号を前記第2のデバイスのコントローラに送信することを含む、
請求項1の方法。
【請求項7】
前記第3の信号は、トランザクション信号である、
請求項6の方法。
【請求項8】
前記第2のデバイスが、前記第3の信号を受信すると、前記第2の電力状態を終了することを含む、
請求項7の方法。
【請求項9】
前記第2の電力状態は、低電力状態である、
請求項1の方法。
【請求項10】
前記第1のデバイスは、システムオンチップ(SOC)デバイスであり、前記第2のデバイスのコントローラは、前記SOCの外部のデバイスの組み込みコントローラ(EC)である、
請求項1の方法。
【請求項11】
コントローラを管理するためのシステムであって、
システムオンチップ(SOC)プロセッサと、
前記SOCの外部デバイスに統合された組み込みコントローラ(EC)であって、前記ECは、前記SOCプロセッサと動作可能に結合されており、前記SOCプロセッサと通信する、ECと、を備え、
前記SOCプロセッサは、前記外部デバイスが第1の電力状態から第2の電力状態に入るように前記ECに指示し、
前記ECは、前記SOCプロセッサに確認を応答し、
前記SOCプロセッサは、前記第2の電力状態に入るための信号を前記ECに送信し、
前記ECは、ウェイクイベントを受信すると、前記第2の電力状態から前記第1の電力状態になる、
システム。
【請求項12】
前記SOCプロセッサは、前記第2のデバイスが前記第2の電力状態に入ることを指示する第1の信号を前記ECに送信する、
請求項11のシステム。
【請求項13】
前記ECは、前記第2の電力状態に入ることの指示の確認を示す第2の信号を前記SOCプロセッサに送信する、
請求項12のシステム。
【請求項14】
前記外部デバイスは、前記第1のデバイスのSOCプロセッサから前記第1の信号を受信すると、前記第2の電力状態に入る、
請求項13のシステム。
【請求項15】
前記外部デバイスが、前記第2の電力状態に入ると、ウェイクするためにアーミングすることを含む、
請求項14のシステム。
【請求項16】
前記SOCプロセッサが、第3の信号を前記ECに送信することを含む、
請求項11のシステム。
【請求項17】
前記第3の信号は、トランザクション信号である、
請求項16のシステム。
【請求項18】
前記外部デバイスが、前記第3の信号を受信すると、前記第2の電力状態を終了することを含む、
請求項17のシステム。
【請求項19】
前記第2の電力状態は、低電力状態である、
請求項11のシステム。
【請求項20】
コントローラを管理するためのコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると前記プロセッサに動作を実行させる命令を有し、
前記動作は、
第1のデバイスのプロセッサが、第1の電力状態から第2の電力状態に入るように第2のデバイスのコントローラに指示することと、
前記第2のデバイスのコントローラが、前記第1のデバイスのプロセッサに確認を応答することと、
前記第1のデバイスのプロセッサが、前記第2の電力状態に入るための信号を前記第2のデバイスのコントローラに送信することと、
前記第2のデバイスのコントローラが、ウェイクイベントを受信すると、前記第2のデバイスを前記第2の電力状態から前記第1の電力状態にすることと、を含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年9月24日に出願された米国特許出願第17/485,199号の利益を主張するものであり、参照により、本明細書に十分に記載されているように組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
システムオンチップ(System on Chip、SOC)コンピュータシステムにおける電力節約モード中に、デバイスがSOCを電力節約モードからウェイク(wake)させ得ることが可能である。それら自体の組み込みコントローラ(Embedded Controller、EC)を含む、SOCと通信する多数の外部デバイスが存在している。それらのECがSOCに信号を送信する場合、SOCを電力節約状態から早期にウェイクさせる場合がある。一方、ECは、プラットフォームレベルの電力節約を最大化するために、より低い電力状態に置かれる必要もある。
【0003】
添付の図面と共に例として与えられる以下の説明から、より詳細な理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の1つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイスのブロック図である。
図2】本開示の特徴のうち1つ以上が実装され得る例示的なシステムのブロック図である。
図3A】電力節約開始モード中のシステムオンチップ(SOC)及び組み込みコントローラ(EC)の例示的な信号図である。
図3B】電力節約終了モード中のSOC及びECの例示的な信号図である。
図4】パワーダウン状態にあるコントローラを管理するための例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本方法及び装置は、以下で更に詳細に拡張されるが、簡単に、パワーダウン状態にあるコントローラを管理するための方法が説明される。システムオンチップ(SOC)がパワーダウン状態に入る場合、SOCは、SOCをパワーダウン状態から早期にウェイクさせないように、SOCに接続されたデバイス内の組み込みコントローラ(EC)に、同様にパワーダウン状態に入るようにシグナリングする。パワーダウン状態から出ると、ECが復旧する。
【0006】
例えば、SOCコンピュータシステムでは、電力節約を達成するために、SOCに関連する一部のエリアが電力節約のためにパワーダウンされることがある。しかしながら、オンプラットフォームデバイス(on-platform device、PLD)又はBMC(baseboard management controller、ベースボード管理コントローラ)等の構成要素は、電源オンにされ続け得る。したがって、それらのデバイス内のECは、別様に命令されない場合、アクティブのままであり得る。以下で更に詳細に説明するが、SOCは、システム全体の多くの構成要素がチップ上に存在するデバイスである。例えば、SOCは、単一のチップ上に、プロセッサ、メモリ、ストレージ、入力及び出力ドライバ、並びに、他の構成要素を含み得る。
【0007】
コントローラを管理するための方法は、第1のデバイスのプロセッサによって、第1の電力状態から第2の電力状態に入るように第2のデバイスのコントローラに指示することを含む。第2のデバイスのコントローラは、第1のデバイスのプロセッサに確認を応答する。第1のデバイスのプロセッサは、第2の電力状態に入るための信号を第2のデバイスのコントローラに送信する。ウェイクイベントを受信すると、第2のデバイスのコントローラは、第2のデバイスを第2の電力状態から第1の電力状態にする。
【0008】
コントローラを管理するためのシステムは、システムオンチップ(SOC)プロセッサと、SOCに対する外部デバイス上に統合された組み込みコントローラ(EC)と、を含み、ECは、SOCプロセッサと動作可能に結合され、SOCプロセッサと通信する。SOCプロセッサは、第1の電力状態から外部デバイスのための第2の電力状態に入るようにECに指示する。ECは、SOCプロセッサに確認を応答する。SOCプロセッサは、第2の電力状態に入るための信号をECに送信し、ウェイクイベントを受信すると、ECは、第2の電力状態を出て第1の電力状態になる。
【0009】
コントローラを管理するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、プロセッサによって実行されるとプロセッサに動作を実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体に記録された命令を有する。動作は、第1のデバイスのプロセッサによって、第1の電力状態から第2の電力状態に入るように第2のデバイスのコントローラに指示することを含む。第2のデバイスのコントローラは、第1のデバイスのプロセッサに確認を応答する。第1のデバイスのプロセッサは、第2の電力状態に入るための信号を第2のデバイスのコントローラに送信する。ウェイクイベントを受信すると、第2のデバイスのコントローラは、第2のデバイスを第2の電力状態から第1の電力状態にする。
【0010】
図1は、本開示の1つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイス100のブロック図である。デバイス100は、例えば、コンピュータ、サーバ、ゲームデバイス、ハンドヘルドデバイス、セットトップボックス、テレビ、携帯電話又はタブレットコンピュータを含み得る。デバイス100は、プロセッサ102と、メモリ104と、ストレージ106と、1つ以上の入力デバイス108と、プロセッサ102と通信する1つ以上のデバイス110と、を含む。例えば、バッテリコントローラ又は熱コントローラ等のシステムの動作を制御する1つ以上のデバイス110は、プロセッサ102と通信することができる。また、デバイス110は、出力デバイスであってもよい。
【0011】
また、デバイス100は、デバイス110がドライバを必要とする場合、入力ドライバ112及びドライバ114をオプションで含むことができる。追加的に、デバイス100は、プロセッサ102及びメモリ104と通信し、外部メモリ116とも通信することができるメモリコントローラ115を含む。いくつかの実施形態において、メモリコントローラ115は、プロセッサ102内に含まれる。デバイス100は、図1に示されていない追加の構成要素を含むことができることを理解されたい。
【0012】
上述したように、プロセッサ102、メモリ104、ストレージ106、入力ドライバ112、出力ドライバ114、及び、メモリコントローラ115は、SOC101上に含まれ得る。
【0013】
様々な代替例では、プロセッサ102は、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、同じダイ上に位置するCPU及びGPU、又は、1つ以上のプロセッサコアを含み、各プロセッサコアは、CPU又はGPUとすることができる。様々な代替例では、メモリ104は、プロセッサ102と同じダイ上に位置するか、又は、プロセッサ102とは別に位置する。メモリ104は、揮発性又は不揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、ダイナミックRAM、キャッシュ)を含む。
【0014】
ストレージ106は、固定又はリムーバブルストレージ(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスク、フラッシュドライブ)を含む。入力デバイス108は、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、タッチパッド、検出器、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、生体認証スキャナ、又は、ネットワーク接続(例えば、無線IEEE802シグナルの送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含むが、これらに限定されない。出力デバイス110は、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、1つ以上の光、アンテナ、又は、ネットワーク接続(例えば、無線IEEE802シグナルの送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含むが、これらに限定されない。
【0015】
入力ドライバ112は、プロセッサ102及び入力デバイス108と通信し、プロセッサ102が入力デバイス108から入力を受信することを可能にする。出力ドライバ114は、プロセッサ102及び出力デバイス110と通信し、プロセッサ102が出力デバイス110に出力を送信することを可能にする。入力ドライバ112及び出力ドライバ114は、オプションの構成要素であること、並びに、デバイス100は、入力ドライバ112及び出力ドライバ114が存在しない場合に、同じ方式で動作することに留意されたい。
【0016】
外部メモリ116は、メモリ104と同様であってもよく、オフチップメモリの形態で存在し得る。追加的に、外部メモリは、メモリコントローラ115が外部メモリ116にアクセスするためにネットワークインターフェースを介して通信するサーバ内に常駐するメモリであり得る。
【0017】
図2は、本開示の特徴のうち1つ以上が実装され得る例示的なシステム200のブロック図である。例示的なシステム200は、複数のデバイス110(例えば、1101~110nと指定された出力デバイス110)と通信するSOC101を含む。デバイス110の各々は、デバイスの動作を制御するEC230(2301~230nと指定される)を含む。EC230は、入力デバイス108及び出力デバイス110に関連付けられ得ることにも留意されたい。
【0018】
EC230の各々は、(例えば、プロセッサ102を介して)SOC101と通信している。EC230は、一部の実施形態では、情報を処理し、プロセッサ102及びSOC101から独立したデバイスのための動作を実行するマイクロコントローラである。例えば、EC230は、キーボード、タッチパッド、オンボードバッテリ等のような、システム200に接続されたPCIeデバイスとの間で信号を処理する機能を実行することができる。
【0019】
ECを利用することによって、デバイスのファームウェアを更新することができ、オペレーティングシステムがデバイスを制御することなく、デバイスを制御することができる。これは、オペレーティングシステム及びSOC101が他のタスクを実行するためのリソースを解放し得る。したがって、EC230によって制御されるデバイス110は、SOC101とは独立して動作し、例えば、EC230によって制御されるデバイス110は、オンプラットフォームデバイス(PLD)又はBMC(baseboard management controller、ベースボード管理コントローラ)用のEC230を含んでもよい。しかしながら、ECを含む他のデバイス110がSOC101に接続されてもよいことに留意されたい。
【0020】
SOC構成要素とEC構成要素の両方が、可能な限り長い時間にわたって中断されずに低電力状態のままであることを保証するために、SOC-ECプロトコルが、シグナリングを行うために利用される。実際、ECがウェイクアップされ、SOCをウェイクアップする必要がある場合であっても、内部ECプロトコルは、SOCウェイクアップをトリガする前に2つ以上のイベントをキューイングすることを可能にする。
【0021】
ECの管理に関してSOCとECとの間のシグナリングを示すために、図3A及び図3Bを、図4に示す方法とともに参照する。図3Aは、電力節約開始モード中のSOC及びECの例示的な信号図である。図3Bは、電力節約終了モード中のSOC及びECの例示的な信号図である。図4は、パワーダウン状態にあるコントローラを管理するための例示的な方法400のフロー図である。
【0022】
図4を参照し、適用可能な場合には図3A及び図3Bに戻って参照すると、システムは、低電力状態とも称されるパワーダウン状態に入る(ステップ410)。ステップ420において、SOCは、パワーダウン状態に関してECにシグナリングする。
【0023】
例えば、図3Aに戻って参照すると、SOC(ホスト)101は、第1の信号(例えば、PUT_VW310信号)をEC230に送信する。この信号310は、低電力モードに入るように命令されようとしていることをEC110に示すために送信される。SOCを使用することによって、多くの機能を単一のチップに組み合わせることができ、その結果、単一のチップに電力を供給することによるコスト節約及び電力節約がもたらされる。ECを利用することによって、追加の処理機能が、動作を制御するためにローカルデバイスに移される。したがって、ECは、SOCとは無関係に動作し、したがって、命令されない限り低電力モードに入ることができない。
【0024】
この信号310は、2つのエンドポイント間の論理接続である仮想配線を介して送信され得る。すなわち、2つのデバイス(例えば、SOC101及びEC230)を接続する物理配線ではなく、追加のポイントを介してルーティングされ得る論理接続が存在する。有線ソリューションでは、構成要素間で情報を送信するための物理配線が存在する。他の実施形態では、直接配線又はファームウェアメッセージがこの指示を提供することができることに留意されたい。
【0025】
ステップ430において、ECはSOCに応答する。再び図3Aに戻って参照すると、EC220は、応答信号(例えば、PUT_VW応答信号320)をSOC101に送信する。この応答信号320は、EC230が低電力モードに入るように命令する第1の信号310を受信したことを示す。
【0026】
この場合も、この応答信号320は、第1の信号310が送信されるのと同じ仮想配線を介して送信され得る。あるいは、異なる仮想配線又は物理配線を介して送信されてもよい。
【0027】
所定の期間待機した後、SOC101は、低電力モードに入るためにECに低電力入力信号330を送信する。また、低電力モード入力信号330は、第1の信号310及び応答信号320が送信されるのと同じ仮想配線を介して送信され得る。あるいは、異なる仮想配線又は物理配線を介して送信されてもよい。次に、EC230は、パワーダウン/低電力状態に入り、ウェイク機能のために自身をアーミング(arm)する(ステップ440)。
【0028】
このようにして、EC230は、低電力モードに入り、次いでウェイクアップメッセージを待機する。低電力モードは、複数のレベルの低電力であり得る。例えば、低電力モードは、最大電力節約モード又はより低い電力節約モードであるバッテリ節約モードであり得る。
【0029】
例えば、低電力節約モードは、ECが最小限の機能を達成するための電力量のみで動作する電力モードである。一部の実施形態では、それは、以下で説明するウェイク信号を受信するとウェイクするために利用され得る回路を動作させ続けるためだけの電力であり得る。すなわち、SOCがパワーダウンモードにある場合、一部のEC開始動作が完全に無効にされ得るか、又は、それらの使用レートが実質的に低減される。例えば、システム内のファンを制御するECの場合、システムを冷却するためにファンをいつオンにすべきかに関する情報をそのECに提供する熱センサのポーリング(polling)は、より低い頻度で発生する可能性がある。
【0030】
SOCは、ウェイクアップする必要がある前の時間期間の間、パワーダウンモードにある。時間期間は、予め構成されるか、又は、動的に決定され得る。例えば、SOCがウェイクアップする必要がある前の時間期間は、ヒステリシス又はイベントトラッカに依存し得る。
【0031】
特に、SOCをウェイクアップするための1つの技術は、トラッカが一部の予め定義された値を超えた場合にウェイクアップのためにSOCを適格とするために使用されるヒステリシス又はイベントトラッカを介したものであり得る。ヒステリシスは、低電力状態からSOCをウェイクアップすることに進む前に、あらゆるタイプのウェイクアップイベントがどのくらい長く待機することが予想されるかを定義する。また、上述したように、バッテリ電力レベル等のイベントが追跡されてもよく、追跡されているイベントが所定の値を超える(例えば、バッテリレベルが所定の値を下回る)場合、ウェイクアップがトリガされる。
【0032】
あるいは、動作は、反対方向に利用されてもよい。すなわち、SOCは、ECが動作中である必要性を認定した後にECをウェイクアップする。上述したように、SOCがECをウェイクアップさせるかどうかを判定することは、予め構成されるか、又は、動的に決定され得る。一例では、ECをウェイクアップするための1つの技術は、イベントトラッカを介するものであり得る。例えば、イベントトラッカが設定され、SOCは、イベントトラッカが所定の値を超えた場合にECをウェイクアップする。
【0033】
例えば、ECによって制御されるデバイスが実行する動作が必要とされる場合、SOCは、ECがウェイクされるべきであると判定し、ECをウェイクする信号を送信することができる。イベントトラッカが所定の値を超えない場合、SOCは、所定の値を超えるまでウェイクアップイベントを追跡することによってEC低電力状態を延長することができる。
【0034】
ECがSOCからトランザクションを受信しない場合(ステップ450)、ECは低電力モードのままである。ECがSOCからトランザクションを受信した場合(ステップ450)、ECは、ステップ460においてパワーダウン状態から出る。また、ECは、キーボードストライク、マウスタッチ又はバッテリ消耗が閾値量を下回る等のイベントが発生した場合、電力パワーダウン状態を出ることができる。
【0035】
例えば、上述したように、ECが制御するデバイスからの動作が必要であるとSOCが判断した場合、SOCは、以下で説明するトランザクション信号をそのECに送ってウェイクさせる。
【0036】
図3Bに戻って参照すると、SOC210は、任意のトランザクション信号340をEC230に送信し、それにより、これらを完全な動作状態に戻す。すなわち、ECは、上述した低電力状態から完全に動作可能な電力供給された状態にウェイクする。
【0037】
別の実施形態では、ECは、タイマに基づいて周期的に完全動作状態にウェイクアップし、次いで、ECを必要とするアクティビティが発生しない場合、低電力状態に戻され得る。
【0038】
例えば、SOC210は、そのEC230によって実行される必要がある動作に関連するトランザクション信号を送信してもよい。上述したように、EC230は、動作を実行するためにSOCに接続されたオンプラットフォームデバイス(PLD)又はBMC(baseboard management controller、ベースボード管理コントローラ)上に存在し得る。
【0039】
上記の説明によれば、組み込みコントローラを含むSOCへの外部デバイスは、SOCに信号を送信すること、潜在的にSOCを時期尚早にウェイクすること、及び、電力節約を妨げることを防止される。また、ECは、電力節約モードにされ、イベントが発生するとウェイクするようにアーミングされる。一例では、イベントは、SOCから発生する任意のトランザクションである。
【0040】
加えて、上述した例では単一のECを論じているが、SOCが2つ以上のEC又は他のプラットフォーム上のデバイス(すなわち、PLD)と対話することができる他の実施形態がある。例えば、上述したように、SOCは、システムの温度制御を制御するために利用されるECと対話することができる。
【0041】
しかしながら、2つ以上のオンプラットフォームデバイスが存在し得る場合であっても、プロトコル/ハンドシェイクは、本願で説明されるものと同一である。
【0042】
説明したように、上記の説明は、電力節約を達成するためにSOCがパワーダウン状態に入る場合に関する。
【0043】
ECがSOCウェイクアップをトリガする場合、SOCの限られた部分のみが電源投入され、より拡張されたウェイクアップの理由/必要性が分析される。この分析は、SOCウェイクアップの理由を理解するためにEC内部ログ/ステータスレジスタにアクセスすることを含み得る。
【0044】
例えば、バッテリ制御又は熱制御のために必要とされるSOCの一部のエリアは、要件に応じてウェイクアップすることができる。しかしながら、SOCが、例えば、イベントに対してスクリーン上のユーザに警告する必要に基づいて、SOCの追加のエリア(例えば、表示領域回路)がウェイクアップする必要があると判定した場合、それらのエリアは更にウェイクアップすることができる。
【0045】
別の例では、このチェックに基づいて、SOCの更なるウェイクアップの程度が識別される。例えば、ウェイクアップ及びSOCからECへの相互作用がオンダイIOドメインマイクロコントローラに限定される必要があるか否か、又は、CPU/GPUコアがウェイクアップされる必要があるか否かが分析されてもよい。上述したように、ディスプレイが必要であると判定された場合、GPUコアは、任意の必要なグラフィックス処理を実行するためにウェイクアップされ得る。
【0046】
別の例では、ECトリガ/インターフェースは、SOCが低電力状態に入る場合にのみ考慮される。低電力状態になると、SOCは、ECから来るトリガ又はウェイクアップイベントを無視し得る。すなわち、SOCは、ECがウェイクアップをトリガすることを試みたとしても、ウェイクアップが必要でないと判定し得る。例えば、SOCは、EC(例えば、熱センサ)からトリガを受信し得るが、バッテリ電力により、電力節約を維持するために低電力状態を維持することを判定する。
【0047】
提供される方法は、汎用コンピュータ、プロセッサ又はプロセッサコアにおいて実施することができる。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、目的プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor、DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(integrated circuit、IC)、及び/又は、状態マシンが挙げられる。そのようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(hardware description language、HDL)命令及びネットリストを含む他の中間データ(コンピュータ可読媒体に記憶させることが可能な命令)の結果を使用して製造プロセスを構成することによって製造することができる。そのような処理の結果はマスクワークとすることができ、このマスクワークをその後の半導体製造プロセスにおいて使用して、本開示の特徴を実装するプロセッサを製造する。更に、上述した方法及び装置は、PCIeリンク及びポートを制御及び構成するコンテキストで説明されているが、方法及び装置は、リンク幅がネゴシエートされる任意の相互接続プロトコルにおいて利用され得る。
【0048】
本明細書に提供される方法又はフローチャートは、汎用コンピュータ又はプロセッサによる実行のために非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア又はファームウェアにおいて実装することができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク等の磁気媒体、磁気光学媒体、並びに、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)等の光学媒体が挙げられる。例えば、上述した方法は、プロセッサ102において、又は、コンピュータシステム100内の任意の他のプロセッサ上で実装され得る。更に、例えば、上述した方法又はその態様は、SOC又はEC中のプロセッサの何れかによって実行され得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】