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特表2024-535274重合体、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及び配線パターンの形成方法
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  • 特表-重合体、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及び配線パターンの形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】重合体、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及び配線パターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/34 20060101AFI20240920BHJP
   C08F 265/04 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 257/02 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 4/00 20060101ALI20240920BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240920BHJP
   G03F 7/029 20060101ALI20240920BHJP
   G03F 7/028 20060101ALI20240920BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20240920BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08F220/34
C08F265/04
C08F257/02
C08F2/44 C
C08F20/00 510
C08F4/00
G03F7/004 512
G03F7/029
G03F7/028
G03F7/004 507
G03F7/033
G03F7/20 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516907
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2021121321
(87)【国際公開番号】W WO2023050062
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(71)【出願人】
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI JIAO TONG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】800 Dongchuan Rd.,Minhang District,Shanghai,200240,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100221992
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】松谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】李 宝
(72)【発明者】
【氏名】村上 泰治
(72)【発明者】
【氏名】宮武 正人
(72)【発明者】
【氏名】谷本 明敏
(72)【発明者】
【氏名】姜 学松
(72)【発明者】
【氏名】馬 暁東
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J011
4J015
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
2H197CA03
2H197CA04
2H197CA05
2H197CA07
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA02
2H225AC32
2H225AC34
2H225AC63
2H225AD24
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM32P
2H225AN10P
2H225AN12P
2H225AN29P
2H225AN31P
2H225AN38P
2H225AN47P
2H225AN66P
2H225BA02P
2H225BA11P
2H225BA17P
2H225BA18P
2H225CA13
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4J011AA05
4J011AC04
4J011BA04
4J011PA69
4J011PB30
4J011PC02
4J011PC08
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4J011QB16
4J011RA03
4J011SA72
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4J011SA88
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J015EA02
4J015EA04
4J026AA17
4J026AA45
4J026BA28
4J026BA30
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4J026DA09
4J026DA12
4J026DB36
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4J100AJ02R
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4J100AL08S
4J100BA37S
4J100BC43Q
4J100CA05
4J100CA06
4J100DA01
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4J100FA19
4J100FA28
4J100FA30
4J100GC07
4J100GC16
4J100GC25
4J100JA37
(57)【要約】
本開示の一態様は、下記式(I)で表される構造単位と、カルボキシ基を有する構造単位と、を含む重合体に関する。式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Mはアルキレン基又はアルキレンオキサイド鎖を示し、Rはアルキル基又はアリール基を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される構造単位と、カルボキシ基を有する構造単位と、を含む、重合体。
【化1】

[式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Mはアルキレン基又はアルキレンオキサイド鎖を示し、Rはアルキル基又はアリール基を示す。]
【請求項2】
前記式(I)で表される構造単位の含有量が、前記重合体の総量を基準として5~50質量%である、請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の重合体を含むバインダ樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する、感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール化合物を含む、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
増感剤を更に含有する、請求項3又は4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
光発色剤を更に含有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された感光層と、を備え、
前記感光層が、請求項3~6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含む、感光性エレメント。
【請求項8】
基板上に、請求項3~6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又は請求項7に記載の感光性エレメントを用いて感光層を形成する工程と、
前記感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程と、
前記基板から、前記感光層の前記光硬化部以外の少なくとも一部を除去してレジストパターンを形成する工程と、
を備える、レジストパターンの形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板を、エッチング処理又はめっき処理して導体パターンを形成する工程を備える、配線パターンの形成方法。
【請求項10】
前記エッチング処理又はめっき処理の後に、前記光硬化部をアルカリ性水溶液により除去する工程を更に備える、請求項9に記載の配線パターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重合体、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及び配線パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造分野においては、エッチング処理又はめっき処理等に用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物、及び支持フィルム上に感光性樹脂組成物を用いて形成された層(以下、「感光層」ともいう)を備える感光性エレメント(積層体)が広く用いられている。
【0003】
プリント配線板は、上記感光性エレメントを用いて、例えば、以下の手順で製造されている。すなわち、まず、感光性エレメントの感光層を銅張積層板等の回路形成用基板上にラミネートする。次に、マスクフィルム等を介して感光層を露光し、光硬化部を形成する。このとき、露光前又は露光後に支持フィルムを剥離する。その後、感光層の光硬化部以外の領域を現像液で除去し、レジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをレジストとして、エッチング処理又はめっき処理を施して導体パターンを形成させ、最終的に感光層の光硬化部(レジストパターン)を剥離(除去)する。
【0004】
感光性樹脂組成物には、解像性に優れるレジストパターンを形成できると共に、レジストパターンの剥離特性に優れることが求められる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-122123号
【特許文献2】特開2006-234995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
感光性樹脂組成物には、解像性及び剥離特性に優れるレジストパターンを形成するだけでなく、回路形成用基板上に感光層をラミネートした際に、回路形成用基板への追従性に優れることが求められる。本開示は、ラミネート時の追従性に優れる感光性樹脂組成物に用いられる新規な重合体、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及び配線パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、下記式(I)で表される構造単位と、カルボキシ基を有する構造単位と、を含む重合体に関する。式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Mはアルキレン基又はアルキレンオキサイド鎖を示し、Rはアルキル基又はアリール基を示す。
【化1】
【0008】
本開示の別の一側面は、上記重合体を含むバインダ樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物に関する。
【0009】
本開示の別の一側面はまた、支持体と、該支持体上に形成された感光層とを備え、感光層が上記感光性樹脂組成物を含む、感光性エレメントに関する。
【0010】
本開示の別の一側面はまた、基板上に、上記感光性樹脂組成物又は感光性エレメントを用いて感光層を形成する工程と、感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して光硬化部を形成する工程と、基板から感光層の光硬化部以外の少なくとも一部を除去する工程と、を備えるレジストパターンの形成方法に関する。
【0011】
本開示の別の一側面はまた、レジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板を、エッチング処理又はめっき処理して導体パターンを形成する工程を備える、配線パターンの形成方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ラミネート時の追従性に優れる感光性樹脂組成物に用いられる新規な重合体、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及び配線パターンの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】感光性エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。
図2】実施例5で形成したレジストパターンの電子顕微鏡写真である。
図3】比較例2で形成したレジストパターンの電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成される限り、他の工程と明確に区別できない工程も含む。「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」又はそれに対応する「メタクリル酸」の少なくとも一方を意味する。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル等の他の類似表現についても同様である。
【0016】
本明細書において、感光性樹脂組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、感光性樹脂組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。本明細書において、「固形分」とは、感光性樹脂組成物に含まれる水及び溶剤等の揮発する物質を除いた不揮発分を指す。すなわち、「固形分」とは、後述する感光性樹脂組成物の乾燥において揮発せずに残る溶剤以外の成分を指し、室温(25℃)で液状、水飴状及びワックス状の成分も含む。
【0017】
[重合体]
本実施形態に係る重合体は、下記式(I)で表される構造単位と、カルボキシ基を有する構造単位と、を含む。
【化2】
【0018】
式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Mはアルキレン基又はアルキレンオキサイド鎖を示し、Rはアルキル基又はアリール基を示す。
【0019】
アルキレン基の炭素数は、1~6、1~4、又は1~3であってもよい。アルキレンオキサイド鎖は、アルキレンオキサイドの繰り返し数が1~10、1~8、又は1~6であってよく、アルキレンオキサイドの炭素数が2~10、2~6,又は2~4であってもよい。Mは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、エチレンオキサイド鎖、又はプロピレンオキサイド鎖であってもよい。
【0020】
アルキル基の炭素数は、1~20、2~10、又は3~6であってもよい。アリール基の炭素数は、6~20、6~15、又は6~10であってもよい。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、又はフェニル基であってもよい。
【0021】
式(I)で表される構造単位を与える単量体としては、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物とアミン化合物との反応物を用いることができる。イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソシアナトメチル、(メタ)アクリル酸2-イソシアナトエチル、(メタ)アクリル酸3-イソシアナトプロピル、(メタ)アクリル酸2-イソシアナトプロピル、(メタ)アクリル酸2-イソシアナト-1-メチルエチル、(メタ)アクリル酸2-イソシアナトブチル、及び2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナートが挙げられる。アミン化合物としては、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-メトキシエチルアミン、3-メトキシエチルアミン、及びアニリンが挙げられる。
【0022】
本実施形態に係る重合体は、式(I)で表される構造単位を含むことで、感光性樹脂組成物として用いた場合、ラミネート時の追従性を向上することができる。このような効果は、重合体が側鎖に尿素結合とカルボキシ基とを有するため、尿素結合同士又は尿素結合とカルボキシ基との水素結合による相互作用が生じることによるものと、本発明者らは考えている。
【0023】
重合体中の式(I)で表される構造単位の含有量は、重合体の総量を基準として、5~50質量%であることが好ましい。式(I)で表される構造単位の含有量は、追従性をより向上する点から、6質量%以上、7質量%以上、又は8質量%以上であってもよい。式(I)で表される構造単位の含有量は、重合体のアルカリ性水溶液に対する溶解性を高める点から、45質量%以下、40質量%以下、又は35質量%以下であってもよい。
【0024】
本実施形態に係る重合体は、アルカリ現像性の見地から、カルボキシ基を有する構造単位を含む。カルボキシ基を有する構造単位の含有量は、アルカリ現像性とアルカリ耐性とをバランスよく向上させる点から、重合体の総量を基準として、10~45質量%、15~40質量%、又は20~35質量%であってもよい。カルボキシ基を有する構造単位の含有量が10質量%以上ではアルカリ現像性が向上する傾向があり、45質量%以下ではアルカリ耐性に優れる傾向がある。
【0025】
カルボキシ基を有する構造単位を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、α-ブロモアクリル酸、α-クロルアクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、及びプロピオール酸が挙げられる。実施形態に係る重合体は、アルカリ現像性をより向上する点から、(メタ)アクリル酸に基づく構造単位を含むことが好ましい。
【0026】
本実施形態に係る重合体は、密着性及び剥離特性の観点から、スチレン又はスチレン誘導体に基づく構造単位を有してもよい。スチレン誘導体は、スチレンのα位又は芳香環における水素原子が置換された重合可能な化合物である。スチレン誘導体としては、例えば、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、及びp-エチルスチレンが挙げられる。
【0027】
重合体中におけるスチレン又はスチレン誘導体に基づく構造単位の含有量は、重合体の総量を基準として、10~60質量%、15~55質量%、又は25~50質量%であってもよい。スチレン又はスチレン誘導体に基づく構造単位の含有量が10質量%以上では、密着性が向上する傾向があり、60質量%以下では、現像時に剥離片が大きくなることを抑制でき、剥離に要する時間の長時間化が抑えられる傾向がある。
【0028】
本実施形態に係る重合体は、解像性及びアスペクト比の見地から、(メタ)アクリル酸ベンジル又は(メタ)アクリル酸ベンジル誘導体に基づく構造単位を有してもよい。(メタ)アクリル酸ベンジル誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸4-メチルベンジルが挙げられる。重合体中における(メタ)アクリル酸ベンジル又は(メタ)アクリル酸ベンジル誘導体に基づく構造単位の含有量は、解像性を向上させる見地から、重合体の総量を基準として、5~40質量%、10~40質量%、又は15~30質量%であってもよい。
【0029】
本実施形態に係る重合体は、可塑性を向上する見地から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構造単位を有してもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、及び(メタ)アクリル酸ドデシルが挙げられる。
【0030】
解像性を向上する点から、重合体の重量平均分子量(Mw)は、5000以上、6000以上、7000以上、又は8000以上であってよい。好適に現像できる点から、重合体のMwは、30000以下、28000以下、26000以下、又は24000以下であってよい。Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
【0031】
[感光性樹脂組成物]
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(A)バインダ樹脂(以下、「(A)成分」という場合がある。)、(B)光重合性化合物(以下、「(B)成分」という場合がある。)と、(C)光重合開始剤(以下、「(C)成分」という場合がある。)と、を含有する。以下、感光性樹脂組成物が含有し得る各成分について詳述する。
【0032】
(バインダ樹脂)
(A)成分であるバインダ樹脂は、上述した特定構造を有する重合体(以下、「(A1)成分という場合がある。」)を含む。(A1)成分を用いることによって、感光性樹脂組成物(感光層)のラミネート時の追従性を向上することができる。(A1)成分は、1種の樹脂のみで構成されてもよく、2種以上の樹脂を含んで構成されてもよい。
【0033】
(A)成分は、(A1)成分以外の樹脂を更に含んでよい。このような樹脂は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂であってもよい。フェノール性水酸基を有する樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンをモノマ単位として含む共重合体等のヒドロキシスチレン系樹脂、フェノール樹脂、ポリ(ヒドロキシアミド)等のポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリ(ヒドロキシフェニレン)エーテル、及びポリナフトールが挙げられる。
【0034】
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、30~90質量部、40~85質量部、又は50~80質量部であってもよい。(A)成分の含有量がこの範囲内であると、感光層の光硬化部の強度がより良好となる。
【0035】
(光重合性化合物)
(B)成分である光重合性化合物は、光重合性を示す官能基として、例えば、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基を有する化合物である。(B)成分は、エチレン性不飽和基を1つ以上有する化合物であれば特に限定されない。光重合性を示す官能基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
エチレン性不飽和基を1つ有する光重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びフタル酸系化合物が挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルエステル、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステルが挙げられる。
【0038】
(B)成分は、解像度、密着性、及びレジスト形状を好適に向上させる観点から、フタル酸系化合物を含んでもよい。フタル酸系化合物としては、例えば、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート(別名:3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート)、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、及びβ-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレートが挙げられる。
【0039】
エチレン性不飽和基を2つ有する光重合性化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、及びアルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0040】
(B)成分は、アルカリ現像性及び解像度を向上させる観点から、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートを含んでもよい。アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン等)、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、及び2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
【0041】
エチレン性不飽和基を3つ以上有する光重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート;テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラメチロールメタン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のジトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート;ジグリセリン由来の骨格を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、硬化(露光)後の耐薬品性を高めて、露光部と未露光部との耐現像液性の差を大きくするという観点から、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0042】
感光性樹脂組成物の未露光部のアルカリ現像性を向上すると共に、露光部の接着強度を向上する観点から、(B)成分は、エチレン性不飽和基と酸変性基とを有する光重合性化合物を含んでもよい。変性する酸性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、フェノール性水酸基等が挙げられ、これらの中でもカルボキシ基が好ましい。
【0043】
エチレン性不飽和基と酸性基とを有する光重合性化合物としては、例えば、スチレン-マレイン酸系樹脂及び酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体が挙げられる。
【0044】
スチレン-マレイン酸系樹脂は、スチレン-無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性物である。酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体は、エポキシ樹脂をビニル基含有有機酸で変性した化合物に、飽和基又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させてなる化合物である。
【0045】
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、及びグリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂が挙げられる。これらの中でも、半導体チップ実装時の信頼性の観点から、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0046】
ビニル基含有有機酸としては、特に制限されず、ビニル基含有モノカルボン酸であってもよい。ビニル基含有モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、β-スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α-シアノ桂皮酸等のアクリル酸誘導体;水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物;ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物;などが挙げられる。
【0047】
α,β-不飽和カルボニル基を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールのα,β-不飽和カルボン酸エステル、ビスフェノール型(メタ)アクリレート、グリシジル基含有化合物のα,β-不飽和カルボン酸付加物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0048】
多価アルコールのα,β-不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、エチレン基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2~14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2~14でありプロピレン基の数が2~14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。「EO変性」とはエチレンオキサイド(EO)基のブロック構造を有するものであることを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキサイド(PO)基のブロック構造を有するものであることを意味する。
【0049】
(B)成分は、レジストパターンの柔軟性を向上する観点から、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含んでもよい。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、EO基及びPO基の少なくとも一方を有してもよく、EO基及びPO基の双方を有してもよい。EO基及びPO基の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートにおいて、EO基及びPO基は、それぞれ連続してブロック的に存在しても、ランダムに存在してもよい。また、PO基は、オキシ-n-プロピレン基又はオキシイソプロピレン基のいずれであってもよい。なお、(ポリ)オキシイソプロピレン基において、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてもよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。
【0050】
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、FA-023M(昭和電工マテリアルズ株式会社製)、FA-024M(昭和電工マテリアルズ株式会社製)、及びNKエステルHEMA-9P(新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0051】
(B)成分は、レジストパターンの柔軟性を向上する観点から、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレートを含んでもよい。ウレタン結合を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等)との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、及びEO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0052】
EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、「UA-11」及び「UA-21EB」(新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、「UA-13」(新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0053】
(B)成分は、厚膜のレジストパターンが形成し易く、解像度及び密着性をバランスよく向上させる観点から、ジペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含んでもよい。ジペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリロイル基を4つ以上有することが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートであってもよい。
【0054】
解像度及び硬化後の剥離特性をより向上させる観点から、(B)成分は、ビスフェノール型(メタ)アクリレートを含んでもよく、ビスフェノール型(メタ)アクリレートの中でもビスフェノールA型(メタ)アクリレートを含んでもよい。ビスフェノールA型(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、及び2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。中でも、解像度及びパターン形成性を更に向上させる観点から、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンが好ましい。
【0055】
商業的に入手可能なものとしては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパンは、BPE-200(新中村化学工業株式会社)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE-500(新中村化学工業株式会社)、FA-321M(昭和電工マテリアルズ株式会社)等が挙げられる。
【0056】
ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、及びノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレートが挙げられる。
【0057】
(光重合開始剤)
(C)成分である光重合開始剤としては、(B)成分を重合させることができる成分であれば、特に限定されず、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。(C)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
(C)成分として、例えば、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系、芳香族ケトン系、キノン系、アルキルフェノン系、イミダゾール系、アクリジン系、フェニルグリシン系、クマリン系等の光重合開始剤が挙げられる。
【0059】
(C)成分として、感度及び解像性をバランスよく向上する点で、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、アクリジン化合物、又はイミダゾール化合物を用いてよい。
【0060】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5-トリス-(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール、2,4-ビス-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、及び2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾールが挙げられる。中でも、感度及び密着性の観点から、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2-ビイミダゾールが保土谷化学工業株式会社製の商品名「B-CIM」として、商業的に入手可能である。
【0061】
アクリジン化合物としては、例えば、9-フェニルアクリジン、9-(p-メチルフェニル)アクリジン、9-(m-メチルフェニル)アクリジン、9-(p-クロロフェニル)アクリジン、9-(m-クロロフェニル)アクリジン、9-アミノアクリジン、9-ジメチルアミノアクリジン、9-ジエチルアミノアクリジン、9-ペンチルアミノアクリジン、1,2-ビス(9-アクリジニル)エタン、1,4-ビス(9-アクリジニル)ブタン、1,6-ビス(9-アクリジニル)ヘキサン、1,8-ビス(9-アクリジニル)オクタン、1,10-ビス(9-アクリジニル)デカン、1,12-ビス(9-アクリジニル)ドデカン、1,14-ビス(9-アクリジニル)テトラデカン、1,16-ビス(9-アクリジニル)ヘキサデカン、1,18-ビス(9-アクリジニル)オクタデカン、1,20-ビス(9-アクリジニル)エイコサン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-オキサプロパン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-チアプロパン、及び1,5-ビス(9-アクリジニル)-3-チアペンタンが挙げられる。
【0062】
イミダゾール化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5-トリス-(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール、2,4-ビス-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、及び2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾールが挙げられる。
【0063】
(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1~10質量部、0.2~5質量部、又は0.5~4質量部であってもよい。(C)成分の含有量が0.1質量部以上では、光感度、解像度及び密着性が向上する傾向があり、10質量部以下では、レジストパターン形成性により優れる傾向がある。
【0064】
(増感剤)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(D)成分として増感剤を更に含有してもよい。(D)成分を含有することにより、特定の波長範囲内にピークを有する光で露光する場合において、その特定の波長範囲付近に極大吸収を持たせることができ、感光性樹脂組成物の感度が高められる。(D)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
(D)成分としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。(D)成分は、解像度をより向上する観点からピラゾリン化合物又はアントラセン化合物を含んでもよい。
【0066】
ピラゾリン化合物としては、例えば、1-(4-メトキシフェニル)-3-スチリル-5-フェニル-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-メトキシスチリル)-5-(4-メトキシフェニル)-ピラゾリン、1,5-ビス-(4-メトキシフェニル)-3-(4-メトキシスチリル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピルフェニル)-3-スチリル-5-フェニル-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-イソプロピルスチリル)-5-(4-イソプロピルフェニル)-ピラゾリン、1,5-ビス-(4-イソプロピルフェニル)-3-(4-イソプロピルスチリル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(4-tert-ブチル-スチリル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(4-メトキシスチリル)-5-(4-メトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(4-tert-ブチル-スチリル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(4-イソプロピル-スチリル)-5-(4-イソプロピル-フェニル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(4-イソプロピルスチリル)-5-(4-イソプロピルフェニル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(4-メトキシスチリル)-5-(4-メトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(3,5-ジメトキシスチリル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(3,4-ジメトキシスチリル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,6-ジメトキシスチリル)-5-(2,6-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,5-ジメトキシスチリル)-5-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,3-ジメトキシスチリル)-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,4-ジメトキシスチリル)-5-(2,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(3,5-ジメトキシスチリル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(3,4-ジメトキシスチリル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(2,6-ジメトキシスチリル)-5-(2,6-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(2,5-ジメトキシスチリル)-5-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(2,3-ジメトキシスチリル)-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-メトキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシスチリル)-5-(2,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(3,5-ジメトキシスチリル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(3,4-ジメトキシスチリル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(2,6-ジメトキシスチリル)-5-(2,6-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(2,5-ジメトキシスチリル)-5-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(2,3-ジメトキシスチリル)-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-tert-ブチル-フェニル)-3-(2,4-ジメトキシスチリル)-5-(2,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(3,5-ジメトキシスチリル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(3,4-ジメトキシスチリル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(2,6-ジメトキシスチリル)-5-(2,6-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(2,5-ジメトキシスチリル)-5-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(2,3-ジメトキシスチリル)-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、及び1-(4-イソプロピル-フェニル)-3-(2,4-ジメトキシスチリル)-5-(2,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリンが挙げられる。
【0067】
アントラセン化合物としては、例えば、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、及び9,10-ジペントキシアントラセンが挙げられる。
【0068】
(D)成分の含有量は、光感度及び解像性を向上させる観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01~5質量部、0.01~1質量部、又は0.01~0.2質量部であってもよい。
【0069】
(光発色剤)
感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の感度を高める点から、(E)成分として光発色剤を更に含有してもよい。光発色剤は、アミン系化合物であってもよい。光発色剤としては、例えば、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット、ジフェニルアミン、ベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、及びo-クロロアニリンが挙げられる。
【0070】
(その他の成分)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて、染料、熱発色防止剤、可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤、重合禁止剤等の添加剤を更に含有してもよい。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
染料としては、例えば、マラカイトグリーン、ビクトリアピュアブルー、ブリリアントグリーン、及びメチルバイオレットが挙げられる。可塑剤としては、例えば、p-トルエンスルホンアミドが挙げられる。
【0072】
感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して、固形分が30~60質量%程度の溶液として調製することができる。
【0073】
[感光性エレメント]
本実施形態に係る感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成されたと感光層とを備え、感光層は上述の感光性樹脂組成物を含む。本実施形態に係る感光性エレメントを用いる場合には、感光層を基板上にラミネートした後、支持体(支持フィルム)を剥離することなく露光してもよい。本実施形態に係る感光性エレメント1は、図1にその一例の模式断面図を示すように、支持体2と、支持体2上に形成された上記感光性樹脂組成物に由来する感光層3とを備え、必要に応じて設けられる保護層4等のその他の層を備えて構成される。
【0074】
支持体しては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、及びポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。中でも、入手し易く、且つ、製造工程におけるハンドリング性(特に、耐熱性、熱収縮率、破断強度)に優れる点で、PETフィルムであってもよい。
【0075】
支持体のヘーズは、0.01~1.0%又は0.01~0.5%であってもよい。ヘーズが0.01%以上であると、支持体自体を製造し易くなる傾向があり、1.0%以下であると、レジストパターンに発生し得る微小欠損を低減する傾向がある。「ヘーズ」とは、曇り度を意味する。本開示におけるヘーズは、JIS K 7105に規定される方法に準拠して、市販の曇り度計(濁度計)を用いて測定された値をいう。ヘーズは、例えば、NDH-5000(日本電色工業(株)製)等の市販の濁度計で測定が可能である。
【0076】
支持体の厚みは、1~100μm、5~60μm、10~50μm、10~40μm、10~30μm、又は10~25μmであってもよい。支持体の厚みが1μm以上であることで、支持体を剥離する際に支持体が破れることを抑制できる傾向がある。また、支持体の厚みが100μm以下であることで、支持体を通して露光する場合に解像性が低下することを抑制することができる。
【0077】
感光性エレメントは、必要に応じて保護層を更に備えてもよい。保護層としては、感光層と支持体との間の接着力よりも、感光層と保護層との間の接着力が小さくなるようなフィルムを用いてもよく、また、低フィッシュアイのフィルムを用いてもよい。具体的には、例えば、上述する支持体として用いることができるものが挙げられる。感光層からの剥離性の見地から、ポリエチレンフィルムであってもよい。
【0078】
保護層の厚さは、用途により異なるが、1~100μm、5~50μm、5~30μm、又は15~30μmであってもよい。保護層の厚みが1μm以上であることで、保護層を剥離する際に保護層が破れることを抑制できる傾向があり、保護層の厚みが100μm以下であることで、廉価性に優れる傾向がある。
【0079】
感光性エレメントは、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、支持体上に、感光性樹脂組成物の溶液(塗布液)を塗布して塗布層を形成し、これを乾燥することで感光層を形成する。次いで、感光層の支持体とは反対側の面を保護層で被覆することにより、支持体と、該支持体上に形成された感光層と、該感光層上に積層された保護層とを備える、感光性エレメントが得られる。
【0080】
塗布液の支持体上への塗布は、例えば、ロールコート、コンマコート、グラビアコート、エアーナイフコート、ダイコート、バーコート等の公知の方法により行うことができる。
【0081】
塗布層の乾燥は、塗布層から有機溶剤の少なくとも一部を除去することができれば特に制限はない。例えば、70~150℃にて、5~30分間程度行ってもよい。乾燥後、感光層中の残存溶剤量は、後の工程での溶剤の拡散を防止する観点から、2質量%以下であってもよい。
【0082】
感光性エレメントにおける感光層の厚みは、用途により適宜選択することができるが、乾燥後の厚みで1~100μm、5~50μm、又は10~40μmであってもよい。厚さが1μm以上であることで、工業的な塗工が容易になり、生産性が向上する。また、100μm以下であることで、密着性及び解像度が向上する。
【0083】
感光層は、波長365nmの紫外線に対する透過率が5~75%であることが好ましく、7~60%であることがより好ましく、10~40%であることが更に好ましい。透過率が5%以上であると、密着性を向上し易くなり、透過率が75%以下であると解像度を向上し易くなる。透過率は、UV分光計により測定することができる。
【0084】
感光性エレメントの形態は特に制限されない。例えば、シート状であってもよく、巻芯にロール状に巻き取った形状であってもよい。ロール状に巻き取る場合、支持フィルムが外側になるように巻き取ってもよい。巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂又はABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。
【0085】
ロール状の感光性エレメントの端面には、端面保護の点から端面セパレータを設置してもよく、耐エッジフュージョンの点から防湿端面セパレータを設置してもよい。感光性エレメントは、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装してもよい。
【0086】
感光性エレメントは、例えば、後述するレジストパターンの形成方法に好適に用いることができる。中でも、解像性の観点で、めっき処理によって導体パターンを形成する製造方法への応用に適している。
【0087】
[レジストパターンの形成方法]
本実施形態のレジストパターンの形成方法は、(i)基板上に、上記感光性樹脂組成物、又は、上記感光性エレメントを用いて、感光層を形成する工程(感光層形成工程)と、(ii)上記感光層の少なくとも一部(所定部分)に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程(露光工程)と、(iii)上記基板上から上記光硬化部以外の少なくとも一部を除去してレジストパターンを形成する工程(現像工程)と、を備え、必要に応じてその他の工程を含んで構成されてもよい。レジストパターンとは、感光性樹脂組成物の光硬化物パターンともいえ、レリーフパターンともいえる。レジストパターンの形成方法は、レジストパターン付き基板の製造方法ともいえる。
【0088】
((i)感光層形成工程)
基板上に感光層を形成する方法としては、例えば、上記感光性樹脂組成物を塗布及び乾燥してもよく、又は、上記感光性エレメントから保護層を除去した後、感光性エレメントの感光層を加熱しながら上記基板に圧着してもよい。感光性エレメントを用いた場合、基板と感光層と支持体とからなり、これらが順に積層された積層体が得られる。上記基板としては特に制限されないが、通常、絶縁層と絶縁層上に形成された導体層とを備えた回路形成用基板、又は合金基材等のダイパッド(リードフレーム用基材)が用いられる。
【0089】
感光性エレメントを用いた場合、感光層形成工程は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。圧着の際の感光層及び/又は基板の加熱は、70~130℃の温度で行ってもよい。圧着は、0.1~1.0MPa程度(1~10kgf/cm程度)の圧力で行ってもよいが、これらの条件は必要に応じて適宜選択される。なお、感光層を70~130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、密着性及び追従性を更に向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
【0090】
((ii)露光工程)
露光工程においては、基板上に形成された感光層の少なくとも一部に活性光線を照射することで、活性光線が照射された部分が光硬化して、潜像が形成される。この際、感光層上に支持体が存在する場合、その支持体が活性光線に対して透過性であれば、支持体を通して活性光線を照射することができるが、支持体が遮光性の場合には、支持体を除去した後に感光層に活性光線を照射する。
【0091】
露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを介して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。また、露光方法として、投影露光法により活性光線を画像状に照射する方法、LDI(Laser Direct Imaging)露光法、DLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
【0092】
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光を有効に放射するものが用いられる。
【0093】
((iii)現像工程)
現像工程においては、上記感光層の光硬化部以外の少なくとも一部が基板上から除去されることで、レジストパターンが基板上に形成される。
【0094】
感光層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去してから、上記光硬化部以外の領域(未露光部分ともいえる)の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像とがあるが、ウェット現像が広く用いられている。
【0095】
ウェット現像による場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッビング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられ、解像性向上の観点からは、高圧スプレー方式を用いてもよい。これら2種以上の方法を組み合わせて現像を行ってもよい。
【0096】
現像液の構成は上記感光性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。現像液としては、例えば、アルカリ性水溶液及び有機溶剤現像液が挙げられる。
【0097】
安全且つ安定であり、操作性が良好である見地から、現像液として、アルカリ性水溶液を用いてもよい。アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩;ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ジアミノプロパノール-2、モルホリンなどが用いられる。
【0098】
アルカリ性水溶液としては、0.1~5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1~5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1~5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1~5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等を用いることができる。アルカリ性水溶液のpHは、9~14の範囲としてもよく、その温度は、感光層のアルカリ現像性に合わせて調節できる。アルカリ性水溶液中には、例えば、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0099】
アルカリ性水溶液に用いられる有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1~4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
【0100】
有機溶剤現像液に用いられる有機溶剤としては、例えば、1,1,1-トリクロロエタン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤には、引火防止のため、1~20質量%の範囲となるように水を添加して有機溶剤現像液としてもよい。
【0101】
本実施形態におけるレジストパターンの形成方法においては、現像工程において未硬化部分を除去した後、必要に応じて60~250℃程度での加熱又は0.2~10J/cm程度の露光を行うことにより、レジストパターンを更に硬化する工程を含んでもよい。
【0102】
[配線パターンの形成方法]
本実施形態に係る配線パターンの形成方法は、上記レジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング処理又はめっき処理して導体パターンを形成する工程を有する。配線パターンの形成方法は、エッチング処理又はめっき処理の後に、光硬化部をアルカリ性水溶液により除去する工程を更に備えてよい。
【0103】
めっき処理では、基板上に形成されたレジストパターンをマスクとして、基板上に設けられた導体層にめっき処理が行われる。めっき処理の後、後述するレジストパターンの除去によりレジストを除去し、更にこのレジストによって被覆されていた導体層をエッチングして、導体パターンを形成してもよい。めっき処理の方法としては、電解めっき処理であっても、無電解めっき処理であってもよいが、無電解めっき処理であってもよい。
【0104】
エッチング処理では、基板上に形成されたレジストパターンをマスクとして、基板上に設けられた導体層をエッチング除去し、導体パターンを形成する。エッチング処理の方法は、除去すべき導体層に応じて適宜選択される。エッチング液としては、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液等が挙げられる。
【0105】
エッチング処理又はめっき処理の後、基板上のレジストパターンは除去してもよい。レジストパターンの除去は、例えば、上記現像工程に用いたアルカリ性水溶液よりも更に強アルカリ性の水溶液により剥離することができる。強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1~10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1~10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。レジストパターンの除去は、強アルカリ水溶液を用いて、45~65℃で行ってもよい。
【0106】
めっき処理を施してからレジストパターンを除去した場合、更にエッチング処理によってレジストで被覆されていた導体層をエッチングし、導体パターンを形成することで所望のプリント配線板を製造することができる。この際のエッチング処理の方法は、除去すべき導体層に応じて適宜選択される。例えば、上述のエッチング液を適用することができる。
【0107】
本実施形態に係る配線パターンの形成方法は、単層プリント配線板のみならず、多層プリント配線板の製造にも適用可能であり、また小径スルーホールを有するプリント配線板等の製造にも適用可能である。
【実施例
【0108】
以下、本開示を実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0109】
(合成例1)
磁気回転子、還流冷却器、塩化カルシウム管、温度計、及び滴下ロートを備えたフラスコに、ブチルアミン(23.8g、0.325mol)及び脱水トルエン(400mL)を加え、0℃から5℃に冷却した。次いで、メタクリル酸2-イソシアナトエチル(50.4g、0.325mol)をゆっくりとフラスコ内に滴下した後、室温で6時間撹拌して反応液を得た。反応液中に生成した沈殿を濾取し、濾液を減圧濃縮した。沈殿物と濃縮物を合せて、単量体Uを得た(収率100%)。単量体Uは、メタクリル酸2-イソシアナトエチルのイソシアネート基とブチルアミンのアミノ基が反応した尿素結合を有する化合物である。
【0110】
[重合体]
(実施例1~4)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート、及び窒素導入管を備えたフラスコに、表1に示す配合量(g)のスチレン、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸、単量体U、メチルセロソルブ、及びトルエンを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃まで昇温した。フラスコ内に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、メチルセロソルブ、及びトルエンの混合液を30分間かけて滴下した後、撹拌しながら75℃で90分間、85℃で2時間、95℃で2時間反応を行った。その後、反応液を室温まで冷却した。反応液のトルエンを減圧留去した後、残渣を水中に投じ、沈殿物を回収し、乾燥し、重合体A1~A4を得た。
【0111】
(比較例1)
表1に示す配合量(g)のスチレン、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸、AIBN、メチルセロソルブ、及びトルエンを用いた以外は、実施例1~4と同様にして、重合体A5を得た。
【0112】
重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(PStQuick MP-H、PStQuick B[東ソー(株)製、商品名])を用い、JIS K 7252-2(2016)に従いユニバーサルキャリブレーション曲線の3次式で近似した。GPCの条件を以下に示す。
【0113】
(GPC条件)
ポンプ、検出器:HLC-8320(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel SuperMultipore HZ-M(3本)(東ソー株式会社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:40℃
流量:0.35mL/分
【0114】
【表1】
【0115】
[感光性樹脂組成物]
重合体60質量部に対して、表2に示す配合量(質量部)の各成分を混合することにより、感光性樹脂組成物を調製した。
【0116】
表2に示す各成分の詳細は、以下のとおりである。
(光重合性化合物)
B-1:EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(昭和電工マテリアルズ株式会社製、商品名:FA-321M)
B-2:EO変性ポリプロピレングリコールジメタクリレート(昭和電工マテリアルズ社製、商品名:FA-023M)
(光重合開始剤)
C-1:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(保土谷化学工業株式会社製、商品名:B-CIM)
(増感剤)
D-1:9,10-ジブトキシアントラセン(川崎化成工業株式会社)
(光発色剤)
E-1:4,4’,4’’-メチリジントリス(N,N-ジメチルアニリン)
(染料)
F-1:4-[(4-ジメチルアミノフェニル)-フェニル-メチル]-N,N-ジメチル-アニリン
【0117】
【表2】
【0118】
[感光性エレメント]
感光性樹脂組成物を、厚み16μmのPETフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社、商品名「G2J」)(支持体)上に塗布し、80℃及び120℃の熱風対流式乾燥器でそれぞれ2分間乾燥して、乾燥後の厚みが35μmの感光層を形成した。この感光性層上にポリプロピレンフィルム(タマポリ株式会社、製品名「NF-13」)(保護層)を貼り合わせ、支持体と、感光層と、保護層とがこの順に積層された感光性エレメントを得た。
【0119】
[評価]
感光性エレメントを用いて、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
【0120】
(べたつき性)
感光性エレメントを30℃に加熱した後、保護フィルムを除去し、感光層の表面のべたつきの有無を確認した。
【0121】
(弾性率)
感光性エレメントの感光層を、80℃、0.4MPaの圧力下で4回ラミネートし、感光性フィルムを作製した。感光性フィルムをレオメーター(TAインストルメンツ株式会社製)の測定盤に挟み、30℃及び110℃における貯蔵弾性率を測定した。
【0122】
(溶解性)
感光性エレメントの感光層を110℃、0.4MPaの圧力下でシリコン基板上にラミネートした後、25℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、感光層が完全に溶解する時間を測定した。
【0123】
(積層体)
銅箔(厚み35mm)をガラス繊維強化エポキシ樹脂層の両面に積層した銅張積層板(昭和電工マテリアルズ株式会社製、製品名MCL-E-67)を用意した。銅張積層板の一方の銅表面に、ライン幅/スペース幅が100μm/100μmのフォトレジストのパターンを形成した後、エッチング液に浸漬した。次いで、フォトレジストを除去し、幅100μm、間隔100μm、深さ15μmの溝を銅張積層板に形成した。
【0124】
銅張積層板の溝が形成された面上に、感光性エレメントを銅張積層板の銅表面に積層した。積層は、110℃のヒートロールを用いて、保護層を除去しながら、0.4MPaの圧着圧力、1.0m/分のロール速度で行った。こうして、銅張積層板と感光層と支持体とがこの順に積層された積層体を得た。
【0125】
(追従性)
ライン幅/スペース幅が100μm/100μmの矩形パターンが形成されたフォトマスクを装着した紫外線露光機(ミカサ株式会社製、商品名:MA-20)を用いて、積層体の支持体面に、フォトマスクのパターンと溝の方向が垂直になるようにして、10mJ/cmの紫外線を照射した。照度は、365nm対応プローブを適用した紫外線照度計(ウシオ電機株式会社製、商品名:UIT-150)を用いて測定した。露光後、支持体を剥離し、感光層に30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を90秒間スプレーすることで、未露光部分を除去した(現像処理)。
【0126】
現像処理後、感光層と銅張積層板の溝との間に生じた空隙(ボイド)の有無を、日立ハイテク株式会社製の走査型電子顕微鏡SU5000を用いて観察した。図2に、実施例5で形成したレジストパターンの電子顕微鏡写真を示し、図3に、比較例2で形成したレジストパターンの電子顕微鏡写真を示す。
【0127】
【表3】
【0128】
以上の結果より、実施例の重合体及び感光性樹脂組成物を用いることで、30℃付近では層表面にべたつきがなく、110℃では流動性を示し、ラミネートボイドのない感光層を形成することができることが確認できる。
【符号の説明】
【0129】
1…感光性エレメント、2…支持体、3…感光層、4…保護層。
図1
図2
図3
【国際調査報告】