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特表2024-535296流量制限器の上流側のヒータを使用する複数のステーションへのガス流量のバランシング
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  • 特表-流量制限器の上流側のヒータを使用する複数のステーションへのガス流量のバランシング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】流量制限器の上流側のヒータを使用する複数のステーションへのガス流量のバランシング
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/205
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517382
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022043573
(87)【国際公開番号】W WO2023049008
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/246,656
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラトリフ・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】オーデ・ロヒト
(72)【発明者】
【氏名】トッピング・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ・ブライアン・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ブリューニング・リゲル・マーティン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA01
4K030EA03
4K030FA01
4K030HA01
4K030KA05
4K030KA22
4K030KA25
4K030KA41
5F004AA16
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004BC03
5F004BC08
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5F004BD06
5F004CB12
5F045AA06
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5F045DP03
5F045EC09
5F045EE04
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH14
5F045EK01
5F045EK07
5F045EK22
5F045GB05
5F045GB13
(57)【要約】
【解決手段】
基板処理ツールの複数のステーションにガスを供給するシステムは、ガスを供給するガス源と、ガス源に接続されたマスフローコントローラと、複数の導管と、複数のヒータとを含む。導管は、相互接続され、互いに流体連通している。導管は、マスフローコントローラに接続された入口と、複数の出口を含む複数の部分と、複数のガス流量制限器とを含む。出口は、ステーションにガスを供給するためにそれぞれのマニホールドに接続される。ガス流量制限器は、出口に近接した複数の導管のそれぞれの部分に配置される。ヒータは、出口に近接し、ガス流量制限器を含む導管のそれぞれの部分に結合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理ツールの複数のステーションにガスを供給するシステムであって、
前記ガスを供給するように構成されたガス源と、
前記ガス源に接続されたマスフローコントローラと、
相互接続され、互いに流体連通している複数の導管であって、
前記マスフローコントローラに接続された入口と、
複数の出口をそれぞれ備える複数の部分であって、
前記複数の出口は、それぞれ、複数のマニホールドに接続され、
前記複数のマニホールドは、それぞれ、前記基板処理ツールの前記複数のステーションに前記ガスを供給するように構成される複数の部分と、
前記複数の部分にそれぞれ配置された複数のガス流量制限器であって、前記複数の出口に近接してそれぞれ配置される複数のガス流量制限器と
を備える複数の導管と、
前記複数の部分にそれぞれ結合された複数のヒータであって、
前記複数のヒータは、それぞれ、前記複数の部分に近接して配置され、
前記複数のヒータは、それぞれ、前記複数のガス流量制限器を備える前記複数の部分を加熱するように構成される複数のヒータと
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数のヒータは、それぞれ、前記複数の導管の前記複数の部分の周囲に同軸に配置される、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数のヒータは、それぞれ、前記複数の導管の前記複数の部分を取り囲む、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数のヒータは、それぞれ、前記複数の出口まで延びる、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数のヒータの内側部分は、前記複数の導管の前記複数の部分に隣接し、前記複数の導管の前記複数の部分と熱的に連通しており、前記複数のヒータの外側部分は、断熱材の層で構成される、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数の出口を通る前記ガスの流量のバランスを取るために、前記複数のヒータに電力を供給するコントローラをさらに備える、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記複数の出口を通る前記ガスの前記流量のバランスを取るために、前記複数のヒータの各々に供給される前記電力を制御するように構成される、システム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記複数の出口の1つを通る前記ガスの前記流量が、前記複数の出口の他の出口を通る前記ガスの前記流量とは異なることに応答して、前記複数のヒータの少なくとも1つに供給される前記電力を調整するように構成される、システム。
【請求項9】
請求項6に記載のシステムであって、
前記コントローラは、
前記複数の出口の1つの下流側に位置する前記基板処理ツールの構成要素からデータを受信し、前記データは、前記複数の出口の1つを通る前記ガスの前記流量が、前記複数の出口の他の出口を通る前記ガスの前記流量とは異なることを示し、
前記複数の出口を通る前記ガスの前記流量のバランスを取るために、前記データに基づいて前記複数のヒータの少なくとも1つに供給される前記電力を調整するように構成される、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、
前記構成要素は、前記複数の出口の前記1つから前記ガスを受け取る前記ステーションの1つに関連したセンサを含む、システム。
【請求項11】
請求項9に記載のシステムであって、
前記構成要素は、計測システムを含む、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数の導管の少なくとも2つは、直角以外の角度で相互接続されている、システム。
【請求項13】
基板処理ツールの複数のステーションへのガス流量のバランスを取る方法であって、
ガス源からガスを受容することと、
複数の導管を相互接続して、それぞれ、
前記ガスを受容する入口と、
前記複数の導管の複数の部分に複数の出口と
を備えることと、
前記入口に接続されたマスフローコントローラを使用して、前記複数の導管を通る前記ガス流量を制御することと、
前記複数の出口に近接する前記複数の導管の前記複数の部分を通る前記ガス流量を制限することと、
前記複数の出口に近接する前記複数の導管の前記複数の部分を加熱することと、
前記制限および前記加熱に基づいて、前記複数の出口を通る前記ガス流量のバランスを取ることと、
前記複数の出口から、前記複数の出口にそれぞれ接続されている複数のマニホールドを通って、前記基板処理ツールの前記複数のステーションにそれぞれ前記ガスを供給することと
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記複数の導管の加熱された前記部分を断熱することをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記複数の部分の1つに関連した前記複数の出口の1つを通る前記ガス流量が、前記複数の出口の他の出口を通る前記ガス流量とは異なることに応答して、前記複数の部分の前記1つの前記加熱を調整することをさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記出口の1つの下流側に位置する前記基板処理ツールの構成要素から受信したデータに基づいて、前記複数の部分の前記加熱を制御して、前記複数の出口を通る前記ガス流量のバランスを取ることをさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記複数の出口を通る前記ガス流量のバランスを取るために、計測システムから受信したデータに基づいて、前記複数の部分の前記加熱を制御することをさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記複数の導管の少なくとも2つを直角以外の角度で相互接続することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年9月21日に出願された、米国仮特許出願番号第63/246,656号の利益を主張する。上記出願の開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、基板処理システムに関し、より具体的には、流量制限器の上流側のヒータを使用する複数のステーションへのガス流量のバランシングに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に提供される背景技術の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。本背景技術のセクションにて説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている出願人らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途見なされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板処理システムは、概して、半導体ウエハなどの基板上に堆積、エッチング、および他の処理を実行する複数のステーション(処理チャンバまたはプロセスモジュールとも呼ばれる)を備える。基板上で実行され得るプロセスの例としては、化学気相堆積(CVD)プロセス、化学励起プラズマ気相堆積(CEPVD)プロセス、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)プロセス、スパッタリング物理気相堆積(PVD)プロセス、原子層堆積(ALD)、およびプラズマ励起ALD(PEALD)が挙げられる。基板上で実行され得るプロセスのさらなる例としては、エッチング(例えば、化学エッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、原子層エッチング(ALE)、プラズマ励起ALE(PEALE)等)および洗浄プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0005】
処理中、基板は、ステーション内の台座などの基板支持体上に配置される。堆積中、1つまたは複数の前駆体で構成されるガス混合物をステーション内に導入し、化学反応を活性化するためにプラズマを任意に打ってもよい。エッチング中、エッチングガスで構成される混合ガスをステーション内に導入し、化学反応を活性化するためにプラズマを任意に打ってもよい。コンピュータで制御されたロボットは、概して、基板が処理される順序で1つのステーションから別のステーションへ基板を搬送する。
【0006】
原子層堆積(ALD)は、ガス状の化学プロセスを順次実行して、材料の表面(例えば、半導体ウエハなどの基板の表面)に薄膜を堆積させる薄膜堆積法である。ほとんどのALD反応では、前駆体(反応物)と呼ばれる少なくとも2つの化学物質が使用され、自己限定的手法で、一度に1つの前駆体が順次材料の表面で反応する。別々の前駆体への曝露を繰り返すことによって、材料の表面に薄膜が徐々に堆積される。熱ALD(T-ALD)は、加熱された処理チャンバ内で行われる。処理チャンバは、真空ポンプと制御された不活性ガスの流れを用いて、大気圧よりも低い圧力に維持される。ALD膜でコーティングされる基板は、処理チャンバ内に載置され、ALDプロセスを開始する前に処理チャンバの温度と平衡させることができる。原子層エッチングは、基板の最上層の原子層のみに影響を与える自己制限的な化学修飾ステップと、基板から化学修飾された領域のみを除去するエッチングステップとを交互に繰り返すシーケンスを含む。このシーケンスにより、基板から個々の原子層の除去が可能である。
【発明の概要】
【0007】
基板処理ツールの複数のステーションにガスを供給するシステムは、ガス源と、マスフローコントローラと、複数の導管と、複数のヒータとを備える。ガス源は、ガスを供給するように構成される。マスフローコントローラは、ガス源に接続される。複数の導管は、相互接続され、互いに流体連通している。複数の導管は、入口と、複数の部分と、複数のガス流量制限器とを備える。入口は、マスフローコントローラに接続される。複数の部分は、複数の出口を備える。複数の出口は、それぞれ、基板処理ツールの複数のステーションにガスを供給するために、複数のマニホールドに接続される。複数のガス流量制限器は、それぞれ、複数の出口に近接する複数の導管の複数の部分に配置される。複数のヒータは、それぞれ、複数の導管の複数の部分に結合される。複数のヒータが結合される複数の部分は、複数の出口に近接し、複数のガス流量制限器を備える。
【0008】
さらなる特徴では、複数のヒータは、それぞれ、複数の導管の複数の部分の周囲に同軸に配置される。
【0009】
さらなる特徴では、複数のヒータは、それぞれ、複数の導管の複数の部分を取り囲む。
【0010】
さらなる特徴では、複数のヒータは、それぞれ、複数の出口まで延びる。
【0011】
さらなる特徴では、複数のヒータの内側部分は、複数の導管の複数の部分に隣接し、複数の導管の複数の部分と熱的に連通している。複数のヒータの外側部分は、断熱材の層で構成される。
【0012】
さらなる特徴では、システムは、複数の出口を通るガスの流量のバランスを取るために、複数のヒータに電力を供給するためのコントローラをさらに備える。
【0013】
さらなる特徴では、コントローラは、複数の出口を通るガスの流量のバランスを取るために、複数のヒータの各々に供給される電力を制御するように構成される。
【0014】
さらなる特徴では、コントローラは、複数の出口の1つを通るガスの流量が、複数の出口の他の出口を通るガスの流量とは異なることに応答して、複数のヒータの少なくとも1つに供給される電力を調整するように構成される。
【0015】
さらなる特徴では、コントローラは、出口の1つの下流側に位置する基板処理ツールの構成要素からデータを受信するように構成される。データは、複数の出口の1つを通るガスの流量が、複数の出口の他の出口を通るガスの流量とは異なることを示す。コントローラは、複数の出口を通るガスの流量のバランスを取るために、データに基づいて、複数のヒータの少なくとも1つに供給される電力を調整するように構成される。
【0016】
さらなる特徴では、構成要素は、複数の出口の1つからガスを受容するステーションの1つに関連したセンサを含む。
【0017】
さらなる特徴では、構成要素は、計測システムを含む。
【0018】
さらなる特徴では、複数の導管の少なくとも2つは、直角以外の角度で相互接続されている。
【0019】
他の特徴では、基板処理ツールの複数のステーションへのガス流量のバランスを取る方法は、ガス源からガスを受容することを含む。方法は、複数の導管を相互接続して、それぞれ、ガスを受容する入口と、複数の導管の複数の部分に複数の出口とを備えることを含む。方法は、入口に接続されたマスフローコントローラを使用して、複数の導管を通るガス流量を制御することを含む。方法は、複数の出口に近接する複数の導管の複数の部分を通るガス流量を制限することを含む。方法は、複数の出口に近接する複数の導管の複数の部分をそれぞれ加熱することを含む。方法は、制限および加熱に基づいて、複数の出口を通るガス流量のバランスを取ることを含む。方法は、複数の出口から、複数の出口に接続された複数のマニホールドを通して、基板処理ツールの複数のステーションにそれぞれガスを供給することを含む。
【0020】
さらなる特徴では、方法は、複数の導管の加熱された部分を断熱することをさらに含む。
【0021】
さらなる特徴では、方法は、複数の部分の1つに関連した複数の出口の1つを通るガス流量が、複数の出口の他の出口を通るガス流量とは異なることに応答して、複数の部分の1つの加熱を調整することをさらに含む。
【0022】
さらなる特徴では、方法は、複数の出口を通るガス流量のバランスを取るために、複数の出口の1つの下流側に位置する基板処理ツールの構成要素から受信したデータに基づいて、複数の部分の加熱を制御することをさらに含む。
【0023】
さらなる特徴では、方法は、複数の出口を通るガス流量のバランスを取るために、計測システムから受信したデータに基づいて、複数の部分の加熱を制御することをさらに含む。
【0024】
さらなる特徴では、方法は、複数の導管の少なくとも2つを直角以外の角度で相互接続することをさらに含む。
【0025】
本開示の更なる適用可能領域は、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および具体例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0027】
図1図1は、本開示の加熱システムを採用する基板処理システム(ツール)の例を示す。
【0028】
図2図2は、基板上に原子層堆積(ALD)プロセスを実行するための図1のツールで使用されるステーションの例を示す。
【0029】
図3図3は、基板上でプラズマ励起化学気相堆積(PECVD)プロセスを実行するための図1のツールで使用されるステーションの例を示す。
【0030】
図4図4は、図1のツールのステーションへのガス流量のバランスを取るために使用される加熱システムの例を示す。
【0031】
図5図5は、図4の加熱システムと共に使用されるガス流量制限器の例を示す。
【0032】
図6図6は、図4の加熱システムのヒータを備えるガス溶接部のセグメントの断面を示す。
【0033】
図7図7は、本開示の加熱システムを使用せずに、ツールのステーションにガスを供給するガス溶接部の例を概略的に示す。
【0034】
図8図8は、本開示の加熱システムを使用して、図1のツールのステーションへのガス流量のバランスを取る方法を示す。
【0035】
図面において、参照番号は、類似および/または同一の要素を識別するために再使用される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示によれば、複数のステーションを備える基板処理ツールでは、プロセスガスのステーション間の流量バランシングは、ガス分配器の各脚部上に制御されたヒータを使用して、微細なスケールで達成できる。ガス分配器の各脚部上の制御されたヒータは、較正されたガス流量制限器と組み合わせて使用できる。整合され、較正された、チョーク型ガス流量制限器のシステムの上流側にあるガス分配器の別々に加熱された分岐を用いて達成される流量バランシングは、実質的に線形である。流量バランシングは、初期ツールセットアップとして実行可能である。流量バランシングは、ステーションにてプロセスを実行する前に較正可能である。また、流量バランシングは、ステーション内のセンサから受信したフィードバックと組み合わせ可能である。また、流量バランシングは、ステーションにて処理された基板についてin-situ計測システムから受信したフィードバックと組み合わせ可能である。フィードバックと組み合わされた流量バランシングは、ツールの実行中にプロセスを調整するためのアクティブ制御ノブとして使用可能である。
【0037】
マルチステーションツールを使用することの中核的な利点は、ツールに複数の(例えば、2つ以上の)ステーションを使用することにより、シングルステーションまたはデュアルステーションを使用するツールと比較して、より高いスループットおよびステーション間の洗浄時間の延長が可能になることである。しかしながら、マルチステーションツールの基本的な課題の1つは、ステーション間のプロセス整合を促進するために、複数のステーション間のガス流量のバランスを取ることである。
【0038】
複数のステーション内のシャワーヘッドへのガス流量は、ガスボックスマニホールドからガスを受容し、その後、流路内の圧力を一致させて複数のステーションへの流路内にガス分配器を分岐させることによって達成される。したがって、単一のマスフローコントローラ(MFC)が、複数のステーションに均等に分配され割り当てられる、ガス流量を制御できる。このようなマルチステーションシステムにおける主な課題は、流量バランシングが、ガスライン溶接部およびガス流量制限器の製造公差を介してのみ制御されることである。ガス流量制限器は、各ステーション内のそれぞれのシャワーヘッドに供給するガス溶接部およびポイントオブユースバルブマニホールド(PVMs)の両端部の間に介在している。このタイプのシステムは、顧客への納品前に検査できない。プロセス仕様から逸脱する、またはプロセス仕様に適合しない流量の不均衡は、ハードウェアの変更および再試験という手間のかかるサイクルによってのみ調整できる。
【0039】
現在のツールは、流量バランシングを促進するために、チョーク型制限器のシステムを使用し、流量の不均衡をプロセス仕様の5%以内に制限している。しかしながら、新しいプロセスは、以前よりもはるかに流量バランスに敏感であり、チョーク型制限器の現在のシステムおよび5%の変動は旧式となる。このシステムは、ガス流量分配器の各脚部上のヒータを制御する制御ノブを追加することによって補完できる。制御ノブをツールセットアップで調整し、流量バランシングのための微調整制御を提供できる。制御ノブは、ステーション間の流量バランシングへのアクティブ制御をツールに提供する。
【0040】
具体的には、本開示の加熱システムは、ガス分配器の個々の脚部のガスを別々に加熱することによって、流量バランシング制御ノブを提供する。制御ノブは、加熱されたガスを、較正されたガス流量制限器およびPVMを通してシャワーヘッド内に流す前に、ガスを加熱する。ガス流量制限器を通る質量流量は、ガス流量制限器の上流側で加熱されたガスのガス温度にほぼ線状の関係を有する。ほぼ線状の関係は、理想気体の法則に準拠する任意の気体に対して保持される。加熱システムの感度(例えば、50℃の温度偏差に対して~2%の質量流量の変化)により、微細な制御が可能となる。ガス流量制限器が5%以内の流量バランスを達成する一方で、ガス流量制限器と連結した加熱システムは、感度を1%の範囲内に高め得る。
【0041】
本開示の加熱システムでは、ヒータは、ガス分配器の分岐の出口に位置するチョーク型制限器を備えたシャワーヘッドに通じるガス分配器の分岐に載置される。N個の各ステーションに1つずつ、N個のヒータゾーン(Nは1よりも大きい整数)が、ステーション間の流量バランスを微調整するために使用される。N個のヒータゾーンは、それぞれのチョーク型制限器とヒータとを備えたガス分配器の分岐を含む。システムコントローラを使用してヒータに供給される電力を個別に調整することを含む、流量バランシングは、ツールセットアップ中に実行される。各ヒータの温度定点は、次の予防保全(PM)サイクルまで維持可能である。流量制御ノブ(すなわち、ヒータへの電力供給)は、広範囲に使用できる。流量制御ノブは、センサおよび/またはin-situ計測システムからのフィードバックと共に使用できる。流量制御ノブは、フィードバックと共に、ツール性能を能動的に調節するために使用できる。ツール性能は、プロセスが経時的にドリフトし、ステーション内の堆積蓄積量が経時的に増加するにつれて、適応するように調節できる。
【0042】
加熱システムにより、流量制御がステーションにて達成される直線性が改善される。フィードバックがなければ、ガス流量は、単に単一のステーションを通じて一定の質量流量でガスを流し、影響を受けたガス分配器の脚部の温度を調整して、較正された上流側の圧力に到達させることによって調整可能である。また、各ヒータの温度定点は、ツールを出荷する前の製造中に実行でき、これにより、後続の現場におけるツールセットアップを簡略化できる。
【0043】
注目すべきは、ガス流が、チョーク型制限器の上流側で加熱される。チョーク型制限器の上流側でガスを加熱することにより、温度変化に応じたシステムの予測可能性が向上する。ガス流の温度を変更することにより、微調整ノブが提供される。チョーク型制限器はシステムのハードウェアに固定される粗制御ノブとして機能し、加熱システムは微調整ノブとして機能する。チョーク型制限器と制御可能なヒータとの組み合わせによって提供される粗調整および微調整の設備により、現場でのツールセットアッププロセスが簡素化される。
【0044】
現在、加熱システムがない、チョーク型制限器は、プロセス仕様内でステーション間の流量バランシングを制御するには十分ではない。唯一の頼りは、ツールをシャットダウンし、ガス分配器のハードウェアを変更し、交換部品が仕様範囲の両極端にあることを期待することである。このアプローチは、システムコストとダウンタイムとを増加させる。その代わりに、加熱システムによって提供されるアクティブ微制御ノブによって、ステーション間の流量バランシングのプロセスを手順化できる。ステーション間の流量バランシングは、製造からセットアップまで、製造から運転時間まで、ツールの寿命のどの時点でも実行できる。次に、本開示のこれらおよび他の特徴をさらに詳細に説明する。
【0045】
本開示は、以下のように構成される。図1を参照して、本開示の加熱システムを採用する基板処理システム(ツールとも呼ばれる)の例を示し、説明する。図2および図3を参照して、図1のツールで使用されるステーション(処理チャンバまたはプロセスモジュールとも呼ばれる)の例を示し、説明する。図2は原子層堆積(ALD)ステーションの例を示し、図3はプラズマ励起化学気相堆積(PECVD)ステーションの例を示す。図4は、本開示による加熱システムの例を詳細に示す。図5は、図4の加熱システムと共に使用されるガス流量制限器の例を示す。図6は、加熱システムのヒータを備えるガス溶接部のセグメントの断面を示す。図7は、本開示の加熱システムを使用せずにステーションのPVMsに分割接続されたガス溶接部の例を概略的に示す。図7の目的は、ヒータを使用しないガス溶接部が一般的に、直角に曲がる複数の部分から構成されることを示すことであり、これは、詳細に後述するように加熱システムを使用する場合には不要である。図8は、本開示の加熱システムを用いて複数のステーションへのガス流量のバランスを取る方法を示す。
【0046】
図1は、基板処理システム(以下、ツール)100の例を示す。ツール100は、ガス源および前駆体源(以下、総称してガス源と呼ぶ)102を備える。前駆体に加えて、ガス源102によって供給されるガスの非限定的な例としては、反応物、不活性ガス、およびその他のガスが挙げられる。ツール100は、マスフローコントローラ(MFC)106を備える。MFC106は、ガス溶接部を通ってガス源102によって供給されるガスの流量を制御する。ガス溶接部は、第1および第2の部分(後述の要素104および105)を備える。図示を簡略化するために、MFC106は、1つだけ示されている。しかしながら、ツール100は、ガス溶接部を通ってガス源102によって供給されるガスの質量流量を制御する複数のMFCsを備えてもよい。いくつかの例では、複数のガス溶接部が、それぞれのMFCsと共に使用されてもよい。ガス溶接部に関する以下の説明は、これらのガス溶接部にも同様に適用される。
【0047】
ガス溶接部の第1の部分104は、MFC106から延びる。ガス溶接部の第2の部分は、複数のセグメント(以下に説明する要素105)に分割される。第1および第2の部分は、ガス溶接部を形成する。第1の部分104は、導管104-1および104-2を備える。導管104-1は、MFC106から延びる。導管104-1の遠位端は、導管104-2の両端の間に接続される。第2の部分105は、セグメント105-1、105-2、105-3、および105-4(総称してセグメント105)に分割される。セグメント105の第1の端部は、導管104-2に接続される。セグメント105の遠位端は、複数のPVM108-1、108-2、108-3、および108-4(総称してPVMs108)にそれぞれ接続される。ガス溶接部の第1および第2の部分104、105は、互いに流体連通している。第1および第2の部分104、105は、MFC106からPVMs108へのガスの連続流路を提供する。
【0048】
ツール100は、複数のステーション110-1、110-2、110-3、および110-4(総称してステーション110)を備える。ステーション110はそれぞれ、シャワーヘッド109-1、109-2、109-3、および109-4(総称してシャワーヘッド109)を備える。PVMs108はそれぞれ、シャワーヘッド109に接続される。PVMs108は、ガス源102によって供給されたガスをそれぞれのステーション110に供給する。PVMs108は、それぞれのシャワーヘッド109を介してステーション110にガスを供給する。PVMs108は、ガスを所定の温度および圧力でステーション110に供給する。4つのPVMs108および4つのステーション110のみが、例示のためだけに示されている。ツール100は、N個のPVMs108とN個のステーション110(Nは、2よりも大きい整数である)とを備えてもよい。
【0049】
セグメント105は、それぞれのヒータ112-1、112-2、112-3、および112-4(総称してヒータ112)によって加熱される。ヒータ112は、それぞれのセグメント105を取り囲む。ヒータ112は、図6を参照して詳細に示し、説明する。ガス溶接部は、MFC106とPVMs108との間で、この例で示した以外の他の方法で分割され得る。MFC106とPVMs108との間でガス溶接部を分割する別の例は、図4を参照して以下に示し、説明する。
【0050】
ガス溶接部の分割方法にかかわらず、セグメント105はそれぞれのPVMs108に接続し、セグメント105はそれぞれのヒータ112を取り囲み、ヒータ112によって加熱される。また、セグメント105は、PVMs108に近接するそれぞれのガス流量制限器を備える。ガス流量制限器の例は、図5を参照して以下に示し、説明する。セグメント105からのガスは、ガス流量制限器を通ってそれぞれのPVMs108に流入する。また、ヒータ112は、ガス流量制限器を取り囲み、PVMs108まで延びる。
【0051】
なお、セグメント105のみが加熱されることに留意されたい。導管104-1および104-2から構成されるガス溶接部の第1の部分104は、加熱されない。セグメント105のみを加熱することにより、ガスを効率的に加熱し、PVM108内へのガスの流入点の付近で確実にガス流量のバランスを取ることができる。セグメント105に加えて第1の部分104を加熱することは、MFC106からPVM108までのガス溶接部全体を加熱することに等しい。ガス溶接部全体を加熱することは、非効率的であり、第1の部分104およびセグメント105にわたって熱勾配を生じさせる可能性がある。熱勾配により、ガス溶接部全体を加熱しても、PVM108内へのガスの流入点の付近でガス流量のバランスを取ることができない。したがって、ガス溶接部全体を加熱しない。その代わりに、PVM108に近接し、ガス流量制限器150を備えるガス溶接部の一部のみを加熱する。
【0052】
ツール100は、システムコントローラ114をさらに備える。システムコントローラ114は、ガス源102、MFC106、ヒータ112、ステーション110の構成要素、およびツール100の他の要素を制御する。ステーション110の構成要素およびツール100の他の要素の例は、図2および図3を参照して以下に示し、説明する。
【0053】
図2は、ステーション110の例を示し、ツール100の任意のステーション110であってもよい。例えば、ステーション110は、ALDステーションとすることができる。すなわち、ステーション110を使用して、ステーション110内の基板上でALDプロセスを実行できる。基板上でPECVDプロセスを実行可能なステーション110の別の例は、図3を参照して以下に示し、説明する。ALDおよびPECVDプロセスは、例示として説明されているが、他のプロセスもステーション110内の基板上で実行可能である。
【0054】
図2では、ステーション110は、ALDプロセスを使用して(例えば、熱ALTまたはT-ALDを使用して)基板272を処理するように構成される。ステーション110は、基板支持体(例えば、台座)270を備える。処理中、基板272は、台座270上に配置される。処理中に基板272を加熱するために、1つまたは複数のヒータ274(例えば、ヒータアレイ、ゾーンヒータ等)が、台座270に配置されてもよい。さらに、台座270の温度を感知するために、1つまたは複数の温度センサ276が台座270に配設される。システムコントローラ114は、温度センサ276によって感知された台座270の温度を受信する。システムコントローラ114は、感知された温度に基づいて、ヒータ274に供給される電力を制御する。
【0055】
ステーション110は、シャワーヘッド109をさらに備える。シャワーヘッド109は、PVM108から受容したプロセスガスをステーション110内に導入し、分配する。シャワーヘッド109は、ステム部280を備える。ステム部280の一端は、ステーション110を囲むトッププレート281に接続される。PVM108は、少なくとも2つの取付脚部283-1、283-2を使用してシャワーヘッド109の上方のトッププレート281に取り付けられる。
【0056】
PVM108は、アダプタ282を介してシャワーヘッド109のステム部280に接続される。アダプタ282は、アダプタ282の第1の端部の第1のフランジ279-1と、第2の端部の第2のフランジ279-2とを備える。フランジ279-1、279-2はそれぞれ、PVM108の底部およびシャワーヘッド109のステム部280に、ファスナー287-1から287-4によって留められる。アダプタは、ボア285-1、285-2(総称してボア285)を備える。ボア285は、PVM108およびシャワーヘッド109のステム部280と流体連通している。シャワーヘッド109の基部284は、概して円筒形である。基部284は、ステーション110の上面から離間する位置で、ステム部280の反対端から半径方向外側に延びる。
【0057】
シャワーヘッド109の基部284の基板に面する表面は、フェースプレート286を備える。フェースプレート286は、複数の出口またはフィーチャ(例えば、スロットまたは貫通孔)288を備える。フェースプレート286の出口288は、アダプタ282のボア285を介してPVM108と流体連通している。プロセスガスは、PVM108からボア285および出口288を通ってステーション110に流入する。
【0058】
さらに、図示していないが、シャワーヘッド109は、1つまたは複数のヒータも備える。シャワーヘッド109は、シャワーヘッド109の温度を感知するために、1つまたは複数の温度センサ290を備える。システムコントローラ114は、温度センサ290によって感知されたシャワーヘッド109の温度を受信する。システムコントローラ114は、感知された温度に基づいて、シャワーヘッド109内の1つまたは複数のヒータに供給される電力を制御する。
【0059】
アクチュエータ292は、静止している、シャワーヘッド109に対して台座270を垂直に移動させるように動作可能である。台座270をシャワーヘッド109に対して垂直に移動させることによって、シャワーヘッド109と台座270との間(すなわち、基板272とシャワーヘッド109のフェースプレート286との間)の隙間を変化させ得る。隙間は、プロセス中または基板272上で実行されるプロセス間で動的に変化させ得る。処理中、シャワーヘッド109のフェースプレート286は、図示よりも台座270に近づけることができる。
【0060】
バルブ294は、ステーション110の排気ポートおよび真空ポンプ296に接続される。真空ポンプ296は、基板処理中、ステーション110の内部を大気圧よりも低い圧力に維持できる。バルブ294および真空ポンプ296は、ステーション110内の圧力を制御し、ステーション110から排気ガスと反応物とを排出するために使用される。システムコントローラ114は、ステーション110に関連するこれらの追加の構成要素を制御する。
【0061】
図3は、基板272上でPECVDプロセスを実行するように構成されたステーション110の別の例を示す。図2にも同一の参照数字で示されている図3のすべての要素は、簡潔にするために再度説明しない。さらに、PECVDプロセスを実行するために、ツール100は、無線周波数(RF)発生システム(またはRF源)250を含んでもよい。RF発生システム250は、RF電圧を生成し、出力する。RF電圧は、シャワーヘッド109に印加してもよい。台座270は、図示のように、直流(DC)接地、交流(AC)接地されてもよいし、浮遊していてもよい。あるいは、図示しないが、RF電圧を台座270に印加できる。シャワーヘッド109は、DC接地、AC接地されてもよいし、浮遊していてもよい。
【0062】
例えば、RF発生システム250は、RF発生器252を備えてもよい。RF発生器252は、RF電力を生成する。RF電力は、整合および分配ネットワーク254によってシャワーヘッド109または台座270に供給される。いくつかの例では、蒸気供給システム256が、気化した前駆体をPVM108に供給する。シャワーヘッド109または台座270に供給されたRF電圧をステーション110内のプラズマに衝突させ、基板272上でPECVDプロセスを実行する。あるいは、誘導プラズマまたはステーション110から遠隔(すなわち、外部)で生成されたプラズマを使用して、PECVDプロセスを実行してもよい。
【0063】
図4は、ヒータ112を備える加熱システムの別の例を示す。図4では、ガス溶接部の第2の部分は、図1とは異なるセグメントに分割されている。例えば、ガス溶接部の第2の部分は、2つのセクションに細分されている。各セクションは、さらに2つのセグメントに分割される。例えば、ガス溶接部の第2の部分の第1のセクションは、セグメント105-1、105-2に分割される。ガス溶接部の第2の部分の第2のセクションは、セグメント105-3、105-4に分割される。
【0064】
あるいは、ガス溶接部は、他の方法でセグメントに分割できる。例えば、ガス溶接部を第1の部分と第2の部分とに分割し、次に図1または図4に示すように第2の部分をセグメントに細分する代わりに、ガス溶接部は、4つの別個の導管から構成されてもよい。この4つの別個の導管は、互いに独立して、MFC106からそれぞれのPVM108に直接延びていてもよい。このような構成では、各導管は、PVMs108に近接する導管の遠位端においてガス流量制限器を備える。さらに、ガス流量制限器を備える、PVMs108に近接する導管の一部は、ヒータ112によって加熱される。
【0065】
図4では、セグメント105-1、105-2はそれぞれ、ガス流量制限器150-1、150-2を備える。セグメント105-3、105-4はそれぞれ、ガス流量制限器150-3、150-4を備える。ヒータ112-1、112-2はそれぞれ、それぞれのガス流量制限器150-1、150-2を備えるセグメント105-1、105-2を加熱する。ヒータ112-3、112-4はそれぞれ、それぞれのガス流量制限器150-3、150-4を備えるセグメント105-3、105-3を加熱する。ガス流量制限器150-1、150-2、150-3、および150-4を総称して、ガス流量制限器150と呼ぶ。ガス流量制限器150は、ツール100の他の要素の図示を簡略化するために、図1には示されていない。しかしながら、図1のセグメント105も、PVMs108に近接するガス流量制限器150を備える。
【0066】
ガス流量制限器150の構造は、図5を参照して示し、説明する。ヒータ112の構造は、図6を参照して示し、説明する。ガス流量制限器150およびヒータ112によって実行される機能は、図4を参照して以下に説明する。
【0067】
図4では、各ガス流量制限器150は、それぞれのセグメント105からそれぞれのPVM108に一定の圧力でガスを供給する。MFC106は、ガスがガス溶接部の第1および第2の部分104、105を通って供給される圧力を制御する。ガス流量制限器150は、下流側で発生し得る温度変動が、ガス溶接部内の上流側のガス流量に影響を与えないようにする。例えば、温度変動は、PVM108、シャワーヘッド109、および/またはステーション110で発生し得る。
【0068】
しかしながら、ガス流量制限器150から上流側のガス溶接部内のガス流量は、ガス溶接部を取り囲む領域で発生し得る温度変化を含む要因によって影響され得るが、これに限定されない。例えば、そのような温度変化は、トッププレート281によって伝導された熱に起因して発生し得る。このような温度変化は、ガス溶接部に近接するツールの他の要素における温度変化等に起因して発生し得る。ガス溶接部を取り囲む領域内のこれらの温度変化は、ガスがガス溶接部を流通する圧力を変化させる。ガス流量制限器150だけでは、ガス溶接部内のガス流量制限器150から上流側で発生し得るこれらの圧力変化を補償するには不十分である。これらの圧力変化は、以下のように、ヒータ112を使用してガス溶接部のセグメント105のみを加熱することによって防止できる。
【0069】
システムコントローラ114は、ヒータ112を個別に制御して、ガス溶接部のセグメント105の温度を互いに独立して制御する。ヒータ112を個別に制御することによって、ガスがガス溶接部のセグメント105を通ってそれぞれのPVMs108に流入する圧力が個別に制御される。その結果、各ガス流量制限器150およびそれぞれのPVMs108に供給されるガスの質量流量は、均一となる。したがって、ガス流量制限器150は、MFC106から各PVM108(および最終的にステーション110)に、均一な(すなわち、整合した)質量流量でガスを供給できる。このように、ガス流量制限器150とヒータ112との組み合わせを用いて、ガスは、一定の質量流量でMFC106から各PMV108およびステーション110に供給される。
【0070】
通常、ステーション110が基板上で同じプロセスを実行する場合、ステーション間のプロセス不均一性が発生し得る。例えば、ステーション間のプロセス不均一性は、別のステーションに対して、あるステーション内の基板上で実行される堆積におけるばらつきから構成される。不均一性は、ガス溶接部における製造公差、ガス溶接部を取り囲む領域内の温度変動などの要因によって引き起こされた流量の不均衡に起因して発生し得る。本開示によれば、流量バランシングは、ガス流量制限器150と、セグメント105およびガス流量制限器150の加熱との組み合わせによって実行される。したがって、ステーション110が基板上で同じプロセスを実行する場合、セグメント105およびガス流量制限器150が加熱されない場合と比較して、不均一性が著しく低減される。
【0071】
上述のように、ステーション110にて実行されるプロセスのための各ヒータ112の温度定点は、較正可能である(例えば、経験的に設定可能である)。温度定点は、ツール100の製造中および/またはツール100の現場でのセットアップ中に較正できる。すなわち、ステーション110内の基板272上で実行されるプロセスの要件に基づいて、システムコントローラ114によって各ヒータ112に供給される電力量を調整できる。この調整により、ガス溶接部を形成するために使用される導管の製造において不可避的に発生し得る製造公差のあらゆるばらつきが補償される。この調整により、MFC106からのガスは、均一な質量流量でMFC106からPVMs108の各々およびステーション110に供給される。製造公差のばらつきに関係なく、ガスは、均一な質量流量で供給される。
【0072】
さらに、温度定点は、必要に応じてツール100の予防保全中に再較正できる。さらに、温度定点は、実行中(すなわち、プロセスを実行中)に調整できる。例えば、システムコントローラ114は、PVM108内の圧力センサからフィードバックを受信してもよい。システムコントローラ114は、ステーション110内および/またはツール100内の他のセンサからフィードバックを受信してもよい。これらのセンサは、まとめてセンサ260として示されている。センサ260からのフィードバックは、あるステーションでは発生し得るが、他のステーションでは発生し得ない基板272の不均一性を示してもよい。システムコントローラ114は、センサ260からのフィードバックに基づいて、そのステーション110に関連するセグメント105のヒータ112の温度定点を調整できる。ツール100の他の要素の図示を簡略化するために図1には示されていないが、図1に示すシステムコントローラ114も、センサ260と通信する。
【0073】
代替的または追加的に、システムコントローラ114は、フィードバックとしてin-situ(または外部)計測システム262からデータを受信してもよい。例えば、計測システム262は、ステーションで処理された基板272の特性を測定してもよい。例えば、計測システム262は、ステーション内のプロセスによって基板272上に堆積された膜の厚さを測定してもよい。計測システム262からのデータは、あるステーション内でプロセスを用いて処理された基板272のばらつきを、別のステーション内で同じプロセスを用いて処理された基板272と比較して示してもよい。計測システム262からのデータに基づいて、システムコントローラ114は、基板272の特性がばらつきを示すステーション110に関連するセグメント105のヒータ112の温度定点を調整できる。同じプロセスを用いて、各ステーション110内で基板27を処理しても、ばらつきが生じ得る。ツール100の他の要素の図示を簡略化するために図1には示していないが、図1に示すシステムコントローラ114も、計測システム262と通信する。
【0074】
ここでも、セグメント105のみが加熱される。導管104-1および104-2から構成されるガス溶接部の第1の部分104は、加熱されない。セグメント105のみを加熱することにより、ガスを効率的に加熱し、PVM108へのガスの流入点の付近で確実にガス流量のバランスを取ることができる。セグメント105に加えて第1の部分104を加熱することは、MFC106からPVM108までのガス溶接部全体を加熱することに等しい。ガス溶接部全体を加熱することは、非効率的であり、第1の部分104およびセグメント105にわたって熱勾配を生じさせる可能性がある。熱勾配のために、ガス溶接部全体を加熱しても、PVM108へのガスの流入点の付近でガス流量のバランスを取ることができない。したがって、ガス溶接部全体は、加熱されない。その代わりに、PVM108に近接し、ガス流量制限器150を備えるガス溶接部の一部のみが加熱される。
【0075】
図5は、ガス流量制限器150の構造を示す。ガス流量制限器150の構造に焦点を当てるため、ヒータ112は、詳細に示されていない。図5に示すA-A線に沿って取られたセグメント105の断面を示す、図6は、ヒータ112を詳細に示す。
【0076】
図5では、ガス流量制限器150は、PVM108に接続されたセグメント105の遠位端の付近に位置する。ガス流量制限器150は、第1の要素160、第2の要素162、および第3の要素164の3つの要素を備える。第2の要素162は、第1の要素160の第1の端部170に接続される。第3の要素164は、第1の要素160の第2の端部174に接続される。第1の要素160は、セグメント105よりも小さな断面を有する。例えば、セグメント105が円形の場合、第1の要素160は、セグメント105よりも小さい直径を有する。第1の要素160は、セグメント105の長さよりも小さい所定の長さを有する。
【0077】
第2の要素162は、セグメント105から第1の要素160の第1の端部170に向かって半径方向内側に先細りになっている。第2の要素162の先細りした端部は、第1の要素160の第1の端部170に接続する。ガスの圧力は、ガスがセグメント105から第2の要素162を通って第1の要素160に流入するにつれて上昇する。ガスは、第2の要素162の先細りした端部を出て、ガスが第2の要素162の先細りしていない端部に入る圧力よりも高い圧力で第1の要素160の第1の端部170に入る。別の言い方をすると、ガスは、ガスがセグメント105を流通する圧力よりも高い圧力で第2の要素162から出る。ガスは、より高い圧力で第1の要素160を流通する。
【0078】
第3の要素164は、第1の要素160の第2の端部174から半径方向外側にフレア状になっている。第3の要素164のフレア状の端部は、PVM108に近接するセグメント105の遠位端に接続する。ガスの圧力は、ガスが第1の要素160の第2の端部174から第3の要素164を通ってセグメント105の遠位端に流入するにつれて減少する。ガスは、より高い圧力で第1の要素160の第2の端部174から出る。ガスは、第3の要素164のフレア状の端部から出て、ガスが第1の要素160の第2の端部174から出る圧力よりも低い圧力でセグメント105の遠位端に入る。別の言い方をすれば、ガスは、ガスが第1の要素160を流通する圧力よりも低い圧力で第3の要素164から出る。ガスは、より低い圧力でセグメント105の遠位端を通ってPVM108に流入する。
【0079】
図6は、図5に示すA-A線に沿って取られたセグメント105の断面を示す。ヒータ112(例えば、ヒータコイル)は、セグメント105の周囲に同軸に配置される。セグメント105は、ヒータ112によって供給された熱を、セグメント105、ガス流量制限器150、およびPVM108に接続されたセグメント105の遠位端を流通するガスに伝導する。断熱層180が、ヒータ112の周囲に同軸に配置される。断熱層180は、セグメント105を取り囲む領域内の温度変化がセグメント105の温度に影響を与えないようにする。
【0080】
図7は、ヒータ112を使用しないガス溶接部200のレイアウトの例を示す。例えば、ガス溶接部200は、以下のように相互接続された複数の導管から構成される。導管の配置は、ツールのトッププレート上に配置された他の構成要素の配置に依存する。
【0081】
一例では、第1の導管202は、MFC106から延びる。第1の導管202の第1の端部は、MFC106に接続される。第2の導管204は、第1の導管202に対して実質的に垂直である。第1の導管202の第2の端部は、第2の導管204の両端の間(例えば、中央部)に接続される。第3および第4の導管206、208は、第2の導管204の両端から実質的に垂直に延びる。第1、第3、および第4の導管202、206、208は、互いに実質的に平行である。第1、第2、第3、および第4の導管202、204、206、208は、実質的に共平面であり、第1の平面にある。
【0082】
第5および第6の導管210、212はそれぞれ、第3および第4の導管206、208の遠位端から実質的に垂直に下方に延びる。第5および第6の導管210、212は、互いに実質的に平行である。第7および第8の導管214、216はそれぞれ、第5および第6の導管210、212の遠位端から実質的に垂直に延びる。
【0083】
第9および第10の導管218、220は、それぞれ、第7および第8の導管214、216の遠位端から実質的に垂直に延びる。第9および第10の導管218、220は、互いに実質的に平行であり、第1、第3、および第4の導管202、206、208に実質的に平行である。第7および第8の導管214、216の遠位端はそれぞれ、第9および第10の導管218、220の両端の間(例えば、中心部)に接続される。第7、第8、第9、および第10の導管214、216、218、220は、実質的に共平面であり、第2の平面にある。第1および第2の平面は、互いに実質的に平行である。
【0084】
第11および第12の導管222、224はそれぞれ、第9の導管218の両端から実質的に垂直に上方に延びる。第13および第14の導管226、228はそれぞれ、第10の導管220の両端から実質的に垂直に上方に延びる。第11、第12、第13、および第14の導管222、224、226、228は、互いに実質的に平行であり、第5および第6の導管206、208に実質的に平行である。
【0085】
第15および第16の導管230、232はそれぞれ、第11および第12の導管222、224の遠位端から実質的に垂直に延びる。第17および第18の導管234、236はそれぞれ、第13および第14の導管226、228の遠位端から実質的に垂直に延びる。第15、第16、第17、第18の導管230、232、234、236の遠位端は、それぞれのPVMs108に接続する。第15、第16、第17、および第18の導管230、232、234、236は、実質的に共平面であり、第1の平面あるいは第1の平面および/または第2の平面に平行であり得る第3の平面にあってもよい。
【0086】
なお、第1および第2の導管202、204と、第7および第9の導管214、218と、第8および第10の導管216、220との接合部を除く、これらの導管の接合部は、実質的に直角であることに留意されたい。これらの導管の直角の接合部は、ガス溶接部200内の圧力を一定に維持するのに役立つが、その範囲は限定されている。さらに、ガス溶接部200は、これらの様々な多数の導管を上記の方法で組み立てる(すなわち、配置し、接合する)必要がある。複数の導管は、トッププレート上に配置されたツールの様々な構成要素間もしくはその周囲に導管を配線および配置するのに有用である。しかしながら、多数の導管は、異なる製造公差を有し得、これは、ガス溶接部200内のガスの質量流量に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0087】
上述のようにセグメント105上にヒータ212を追加することにより、これらの導管の製造公差のばらつきを補償できる。さらに、導管の数を大幅に低減できる。例えば、第2から第8の導管204~216は、単一の導管に置き換え可能である。第9、第11、第12、第15、および第16の導管218、222、224、230、232は、単一の導管に置き換え可能である。第10、第13、第14、第17、第18の導管220、226、228、234、236は、単一の導管に置き換え可能である。導管の数は、導管を他の方法で組み合わせることによって低減できる。
【0088】
さらに、様々な導管を組み合わせることによって形成された単一の導管は、任意の形状になり得る。単一の導管は、複数の導管を直角に接合する必要性を排除する。さらに、単一の導管は任意の形状になり得るので、単一の導管は、トッププレート上に配置されたツールの様々な構成要素の間ならびにその周囲にも配線および配置できる。したがって、単一の導管により、ガス溶接部内の導管の総数を減らすだけでなく、トッププレート上に配置されたツールの様々な構成要素の間ならびにその周囲に配線および配置する際の柔軟性も提供される。このような構成では、導管の数が少ないため、製造公差によるばらつきも減少する。ヒータ112を使用することによって、ガス溶接部は、直角の方向転換の必要性をなくし、導管の接合部に直角の方向転換を用いる場合よりも優れた質量流量の制御を提供する。
【0089】
図8は、本開示の加熱システムを使用して複数のステーションへのガス流量のバランスを取る方法300を示す。例えば、システムコントローラ114は、方法300を実行する。302で、方法300は、ガス流量制限器を備え、PVMsに近接しているガス溶接部(すなわち、複数の相互接続された導管)の一部を加熱する。304で、方法300は、ガス溶接部の入口を介してマスフローコントローラからガスを受容し、ガス溶接部の加熱された部分を通してPVMsにガスを供給する。306で、方法300は、PVMsへのガス流量のバランスを取るために、加熱された部分の温度を設定する(すなわち、部分を加熱するために使用されるヒータに供給される電力を設定する)。
【0090】
308で、方法は、PVMsの1つへのガス流量が不均衡であるかを判断する。PVMsの1つへのガス流量が不均衡でない場合(すなわち、すべてのPVMsへのガス流量が均衡している場合)、方法300は、302に戻る。PVMsの1つへのガス流量が不均衡である場合、310において、方法300は、温度を調整し(すなわち、ガス流量が不均衡であるPVMsの1つにガスを供給するガス溶接部の一部に関連するヒータに供給される電力を調整し)、PVMsへのガス流量を再均衡する。
【0091】
前述の説明は、本質的に単に例示的であり、本開示、その用途、または使用を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施可能である。したがって、本開示は具体的な例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更が明白となるので、本開示の真の範囲は、そのような例に限定されるべきではない。方法内の1つまたは複数のステップは、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、各実施形態が特定の特徴を含むものとして上述されているが、本開示のいずれかの実施形態に関して説明したこれらの特徴のいずれか1つまたは複数を、他の実施形態において実施すること、および/または、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることが、たとえそのような組み合わせが明示的に説明されていなくても可能である。すなわち、説明した実施形態は相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態を互いに入れ替えることは本開示の範囲内に留まる。
【0092】
要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間等)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接した」、「隣に」、「上に」、「上方に」、「下方に」、および「配設された」を含む、様々な用語を使用して説明される。上記開示において、第1の要素と第2の要素との間の関係が説明されるとき、「直接」であると明示的に説明されない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係である可能性があるだけでなく、第1の要素と第2の要素との間に1つまたは複数の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係である可能性もある。本明細書で使用する場合、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを使用する、論理(AまたはBまたはC)を意味するものと解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0093】
いくつかの実施態様では、コントローラは、システムの一部であり、上述した例の一部であってもよい。このようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流量システム等)を含む、半導体処理装置を含み得る。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれる場合があり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素またはサブパーツを制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示のプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールへのウエハの搬入出、ならびに、特定のシステムに接続または連動する他の搬送ツールおよび/またはロードロックへのウエハの搬入出が挙げられる。
【0094】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にする等の様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを含む電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であって、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハのダイの製造中に1つまたは複数の処理ステップを達成してもよい。
【0095】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合しているか、結合しているか、そうでない場合はシステムにネットワーク接続されているか、またはそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であっても結合していてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよく、ファブホストコンピュータシステムのすべてまたは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にし、製造動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製造動作の履歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定する、あるいは新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供できる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実行される処理ステップの各々に対するパラメータを特定する。パラメータは、実行されるプロセスの種類およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールの種類に特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、互いにネットワーク接続され、本明細書に記載のプロセスおよび制御など、共通の目的に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを含むことなどによって、分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの一例としては、(プラットフォームレベルでまたはリモートコンピュータの一部としてなど)遠隔配置され、チャンバ上のプロセスを制御するように結合する1つまたは複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つまたは複数の集積回路が挙げられるであろう。
【0096】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか、または使用され得る任意の他の半導体処理システムを含み得るが、これらに限定されない。
【0097】
上述したように、ツールによって実行される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュールの1つまたは複数、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体生産工場内のツール場所および/またはロードポートへウエハの容器を搬入出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】