(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】誘電体のCMPに使用される高分子量ポリマーを含むシリカ系スラリー組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240920BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240920BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20240920BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
B24B37/12 D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518463
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022044486
(87)【国際公開番号】W WO2023049317
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リース, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ブリタニー
(72)【発明者】
【氏名】ナイク, サジョ
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ルン-タイ
(72)【発明者】
【氏名】ロン, キム
(72)【発明者】
【氏名】ナプトン, エリオット
(72)【発明者】
【氏名】ロベロ, ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ブロスナン, サラ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158DA12
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(57)【要約】
本発明は(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び(c)水を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する、研磨組成物を提供する。本発明は(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び(c)水を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約2cPの粘度、及び約9から約12のpHを有する、研磨組成物を更に提供する。本発明はまた、前記組成物を使用して、基板、特に酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、又はそれらの組み合わせを含む基板を化学機械研磨する方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、
少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する、研磨組成物。
【請求項2】
約3.5重量%から約8重量%のシリカ砥粒を含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
約3.5重量%から約5重量%のシリカ砥粒を含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項4】
約10から約12のpHを有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
少なくとも約2cPの粘度を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項6】
約0.4cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項7】
ポリマーが、約1000kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項8】
ポリマーが、約2000kDaから約4000kDaの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項9】
ポリマーが、カルボキシレート基、ホスホネート基、スルホネート基、又はそれらの組み合わせを含むアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマーを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項10】
ポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホネート、2-アクリルアミド-2-メチルブタンスルホン酸、[2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]-ホスホン酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマーを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項11】
ポリマーが、カルボキシメチルセルロース、疎水変性ポリアクリレートコポリマー、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリスチレンスルホネート、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性ポリマーを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項12】
約100ppmから約2000ppmのポリマーを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項13】
シリカ砥粒が、約60nmから約150nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項14】
シリカ砥粒が、約80nmから約120nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項15】
シリカ砥粒が少なくとも1.1の平均アスペクト比を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項16】
シリカ砥粒が少なくとも1.25の平均アスペクト比を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項17】
シリカ砥粒が、約20cm
2/gから約60cm
2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項18】
シリカ砥粒が、約30cm
2/gから約45cm
2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項19】
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、
少なくとも約1.2cPの粘度、及び約9から約12のpHを有する、研磨組成物。
【請求項20】
非イオン性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアクリルアミド、疎水変性ポリアクリルアミド、セルロース、疎水変性セルロース、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水変性ポリアクリレートポリマー、多糖類、疎水変性多糖類、ポリスチレン、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項19に記載の研磨組成物。
【請求項21】
(i)基板を提供し、
(ii)研磨パッドを提供し、
(iii)
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物を提供し、
(iv)基板を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させ、そして
(v)研磨パッド及び化学機械研磨組成物を基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を摩耗させて基板を研磨する
ことを含む、基板を化学機械研磨する方法。
【請求項22】
(i)基板を提供し、
(ii)研磨パッドを提供し、
(iii)
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1.2cPの粘度、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物を提供する
ことを含む、基板を化学機械研磨する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路及び他の電子デバイスの製造では、導電体、半導体、及び誘電体材料の複数の層が基板表面上に堆積され、又は基板表面から除去される。材料層が順次に基板上に堆積され、基板から除去されるにつれて、基板の最上面が非平面状になり、平坦化を必要とする場合がある。表面の平坦化、又は表面の「研磨」は、基板の表面から材料を除去して、ほぼ平坦な平面を形成するプロセスである。平坦化は、望ましくない表面トポグラフィー及び表面欠陥、例えば粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ、及び汚染された層又は材料を除去するのに有用である。平坦化はまた基板上にフィーチャを形成するのに有用であり、フィーチャは、フィーチャを埋めるために、かつメタライゼーション及びプロセシングの後続のレベルのために平坦な表面を提供するために、使用された過剰の堆積材料を除去することにより形成される。
【0002】
基板の表面を平坦化し又は研磨するための組成物及び方法は、当該技術分野でよく知られている。化学機械平坦化、又は化学機械研磨(CMP)は、基板を平坦化するために使用される一般的な技術である。CMPは、基板から材料を選択的に除去するために、CMP組成物、又はより単純に研磨組成物(研磨スラリーとも呼ばれる)として知られる化学組成物を利用する。研磨組成物は、典型的には、研磨組成物で飽和された研磨パッド(例えば、研磨クロス又は研磨ディスク)に基板の表面を接触させることによって基板に適用される。基板の研磨は、典型的には、研磨組成物の化学的活性及び/又は研磨組成物中に懸濁され若しくは研磨パッド(例えば、固定砥粒研磨パッド)に取り込まれた砥粒の機械的作用によって更に促進される。
【0003】
集積回路のサイズが縮小し、チップ上の集積回路の数が増加するにつれて、典型的なチップ上で利用できる限られたスペースに適応するために、回路を構成するコンポーネントを互いにより近接させて配置する必要がある。最適な半導体性能を確保するには、回路間の効果的な分離が重要である。このために、半導体基板内にシャロートレンチがエッチングされ、絶縁材料が埋められて、集積回路の活性領域が分離される。例えば、シャロー・トレンチ・アイソレーション(STI)は、シリコン基板上に窒化ケイ素層を形成し、エッチング又はフォトリソグラフィによってシャロートレンチを形成し、誘電体層を堆積してトレンチを埋めるプロセスである。このようにして形成されたトレンチの深さは変動するため、典型的には、全てのトレンチの完全な充填を確実にするために基板の上面に過剰な誘電体材料を堆積させる必要がある。誘電体材料(例えば、酸化ケイ素)は、基板の下側のトポグラフィーに一致する。
【0004】
このように、誘電体材料が配された後、堆積された誘電体材料の表面は、誘電体材料内のトレンチによって分離された誘電体材料の隆起エリアの平坦でない組み合わせによって特徴付けられ、誘電体材料の隆起エリアとトレンチが下側表面の対応する隆起エリア及びトレンチと整合する。隆起した誘電体材料及びトレンチを含む基板表面の領域は、例えば「パターン材料」、「パターン酸化物」、又は「パターン誘電体」など、基板のパターンフィールドと呼ばれる。パターンフィールドは、トレンチ高さに対する誘電体材料の隆起エリアの高さの差である「段差(ステップ高さ)」によって特徴付けられる。
【0005】
過剰の誘電体材料は典型的には、更なるプロセシングのために平坦な表面を更に提供するCMPプロセスによって除去される。隆起エリア材料の除去中に、トレンチからも所定量の材料が除去される。このトレンチからの材料の除去は、「トレンチ・エロージョン」又は「トレンチ損失」と呼ばれる。トレンチ損失は、初期段差を排除することによってパターン誘電体材料の平坦化を達成する際にトレンチから除去される材料の量(厚さ、例えばオングストローム(Å))である。トレンチ損失は、初期トレンチ厚から最終トレンチ厚を引いたものとして計算される。望ましいのは、トレンチからの材料除去速度が、隆起エリアからの除去速度よりも十分に低いことである。このように、隆起エリアの材料が(トレンチから除去される材料と比較して速い速度で)除去されると、パターン誘電体は、「ブランケット誘電体」又は「ブランケット酸化物」など、プロセシングされた基板表面の「ブランケット」領域と呼ばれることがある、高度に平坦化された表面になる。
【0006】
研磨組成物は、その研磨速度(すなわち、除去速度)とその平坦化効率に従って特徴付けることができる。研磨速度は、基板の表面からの材料の除去速度を指し、通常、単位時間当たり(例えば、1分当たり)の長さ(厚さ、例えば、オングストローム(Å))の単位で表される。基板の異なる領域、又は研磨工程の異なる段階に関する異なる除去速度が、プロセス性能を評価する際に重要でありうる。「パターン除去速度」又は「アクティブ除去速度」とは、基板がかなりの段差を示すプロセス段階においてパターン誘電体層の隆起エリアからの誘電体材料を除去する速度である。「ブランケット除去速度」とは、段差が大幅に(例えば、本質的に完全に)低減されたときの、研磨工程の終了時にパターン誘電体層の平坦化された(すなわち、「ブランケット」)エリアから誘電体材料を除去する速度を指す。平坦化効率は、基板から除去された材料の量に対する段差低減(すなわち、段差低減をトレンチ損失で割ったもの)に関連する。具体的には、研磨表面、例えば研磨パッドは、最初に表面の「ハイポイント」に接触し、平坦な表面を形成するために材料を除去する必要がある。より少ない材料の除去で平坦な表面を達成する結果となるプロセスが、平坦性を達成するためにより多くの材料の除去を必要とするプロセスよりも効率的であると考えられる。
【0007】
多くの場合、パターン材料の除去速度がSTIプロセスにおける誘電体研磨工程に対して律速となる可能性があるため、デバイスのスループットを向上させるためには高い除去速度が望まれる。しかし、一般に、高い除去速度を達成するには、高充填量の砥粒(コロイダルシリカなど)が必要となる。しかして、高充填量の砥粒(例えば、コロイダルシリカ)を配合した従来から使用されている研磨組成物は、法外に高価であった。
【0008】
従って、砥粒(例えば、コロイダルシリカ)の高充填量を必要とせずに、パターン材料の高除去速度を示しうる、化学機械研磨のための自己停止型CMP組成物及び方法に対する必要性が依然として残っている。
【0009】
本発明は、このような研磨組成物及び方法を提供する。本発明のこれらの利点及び他の利点、並びに追加の発明の特徴は、ここに提供された発明の記載から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、(a)約0.001重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び(c)水を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する、研磨組成物を提供する。
【0011】
本発明は、(a)約0.001重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び(c)水を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1.2cPの粘度、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物をまた提供する。
【0012】
本発明は、(i)基板を提供し、(ii)研磨パッドを提供し、(iii)(a)約0.001重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び(c)水を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物を提供し、(iv)基板を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させ、そして(v)研磨パッド及び化学機械研磨組成物を基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を摩耗させて基板を研磨することを含む、基板を化学機械研磨する方法を更に提供する。
【0013】
本発明は、(i)基板を提供し、(ii)研磨パッドを提供し、(iii)(a)約0.001重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び(c)水を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1.2cPの粘度、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物を提供し、(iv)基板を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させ、そして(v)研磨パッド及び化学機械研磨組成物を基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を摩耗させて基板を研磨することを含む、基板を化学機械研磨する方法をまた更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1に記載したように、ポリマーを含まない対照研磨組成物と比較して、8重量%のシリカ砥粒と約450kDaの重量平均分子量を有する1000ppmのポリアクリル酸ポリマーを含む研磨組成物についての、動的光散乱(DLS)粒径(nm)の関数としてTEOS除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0015】
【
図2A】実施例3に記載したように、3重量%のシリカ砥粒又は5重量%のシリカ砥粒を含む研磨組成物についての、ポリアクリル酸ポリマー分子量(Da)の関数としてTEOS除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0016】
【
図2B】実施例3に記載したように、3重量%のシリカ砥粒又は5重量%のシリカ砥粒を含む研磨組成物についての、ポリアクリル酸ポリマー分子量(Da)の関数としてSiN除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0017】
【
図3】実施例3に記載されるように、3重量%のシリカ砥粒又は5重量%のシリカ砥粒を含む研磨組成物についての、研磨組成物粘度(cP)の関数としてTEOS除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0018】
【
図4A】実施例3に記載されるように、3重量%のシリカ砥粒を含む研磨組成物についての、ポリマー分子量(kDa)の関数として粘度(cP)を示すプロットである。
【0019】
【
図4B】実施例3に記載されるように、3重量%のシリカ砥粒を含む研磨組成物についての、ポリマー分子量(kDa)の関数としてTEOS除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0020】
【
図5】実施例6に記載されるように、ポリマーを含まない対照研磨組成物と比較して、約800kDaの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ポリマーを含む研磨組成物についての、シリカ砥粒充填量(重量%)の関数として粘度(cP)を示すプロットである。
【0021】
【
図6A】実施例6に記載されるように、ポリマーを含まない対照研磨組成物と比較して、約800kDaの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ポリマーを含む研磨組成物についての、シリカ砥粒充填量(重量%)の関数としてTEOS除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0022】
【
図6B】実施例6に記載されるように、約800kDaの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ポリマーを任意選択的に含む研磨組成物についての、シリカ砥粒充填量(重量%)の関数としてSiN除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0023】
【
図6C】実施例6に記載されるように、ポリマーを含まない対照研磨組成物と比較して、約800kDaの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ポリマーを含む研磨組成物についての、粘度(cP)の関数としてTEOS除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【0024】
【
図6D】実施例6に記載されるように、ポリマーを含まない対照研磨組成物と比較して、約800kDaの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ポリマーを含む研磨組成物についての、粘度(cP)の関数としてSiN除去速度(Å/分)を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、(a)約0.001重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び(c)水を含み、それらから本質的になり、又はそれらからなる化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する、研磨組成物を提供する。加えて、本発明は、(a)約0.001重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び(c)水を含み、それらから本質的になり、又はそれらからなる化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1.2cPの粘度、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物を提供する。
【0026】
研磨組成物はシリカ砥粒を含む。ここで使用される場合、「シリカ砥粒」、「シリカ砥粒粒子」、「シリカ粒子」、及び「砥粒粒子」という用語は、互換的に使用することができ、任意のシリカ粒子(例えば、コロイダルシリカ粒子)を指しうる。シリカ粒子(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、変性(例えば、表面変性)又は未変性であり得、負の固有ゼータ電位又は正の固有ゼータ電位を有しうる。ここで使用される場合、「固有ゼータ電位」という語句は、研磨組成物にシリカ砥粒を添加する前のシリカ砥粒のゼータ電位を指す。例えば、固有ゼータ電位は、中性(すなわち、pH約7)の水溶液中で測定される、研磨組成物にシリカ砥粒を添加する前のシリカ砥粒のゼータ電位を指しうる。当業者であれば、シリカ砥粒を研磨組成物に添加する前に、シリカ砥粒が負の固有ゼータ電位を有するか又は正の固有ゼータ電位を有するかを決定することができるであろう。シリカ砥粒(例えば、コロイダルシリカ粒子)などの分散粒子上の電荷は、一般にゼータ電位(又は運動電位)と呼ばれる。粒子のゼータ電位は、粒子の周囲のイオンの電荷と、測定される組成物のバルク溶液(例えば、液体担体とそこに溶解している任意の他の成分)の電荷との間の電位差を指す。ゼータ電位は典型的には、水性媒体のpHに依存する。所与の研磨組成物について、粒子の等電点は、ゼータ電位がゼロになるpHとして定義される。pHが等電点から離れて増加又は減少すると、それに応じて表面電荷(従ってゼータ電位)も(負又は正のゼータ電位値に)減少又は増加する。固有ゼータ電位と研磨組成物のゼータ電位は、Dispersion Technologies,Inc.(Bedford Hills,N.Y.)から入手可能なモデルDT-1202音響及び電気音響分光計を使用して得ることができる。ここで使用される場合、「負のゼータ電位」という語句は、研磨組成物中で測定した場合に負の表面電荷を示すシリカ砥粒を指す。ここで使用される場合、「正のゼータ電位」という語句は、研磨組成物中で測定した場合に正の表面電荷を示すシリカ砥粒を指す。
【0027】
幾つかの実施態様では、シリカ砥粒は、研磨組成物中で測定した場合に0mV未満のゼータ電位を有する、すなわち、シリカ砥粒は、研磨組成物中で測定した場合に負のゼータ電位を有する。例えば、シリカ砥粒は、化学機械研磨組成物中で-10mV以下のゼータ電位、化学機械研磨組成物中で-20mV以下のゼータ電位、化学機械研磨組成物中で-30mV以下のゼータ電位、又は化学機械研磨組成物中で-40mV以下のゼータ電位を有しうる。幾つかの実施態様では、シリカ砥粒は、約0mVから約-60mV、例えば、約-10mVから約-60mV、約-10mVから約-50mV、約-10mVから約-40mV、約-20mVから約-60mV、約-20mVから約-50mV、約-20mVから約-40mV、約-30mVから約-40mV、又は約-20mVから約-30mVの負のゼータ電位を有する。
【0028】
シリカ砥粒(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、変性(例えば、表面変性)されていても未変性であってもよく、負の固有ゼータ電位又は正の固有ゼータ電位を有しうる。従って、シリカ砥粒(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、化学機械研磨組成物に添加する前に、正のゼータ電位又は負のゼータ電位を有しうる。例えば、シリカ粒子(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、化学機械研磨組成物に添加する前に、0mV未満(例えば、-5mV以下)の固有ゼータ電位を有しうる。或いは、シリカ粒子(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、化学機械研磨組成物に添加する前に、0mV以上(例えば、5mV以上)の固有ゼータ電位を有しうる。
【0029】
シリカ粒子(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、様々な方法によって調製することができ、その幾つかの例は商業的に使用され、知られている。有用なシリカ粒子には、「ゾルゲル」法と呼ばれる方法又はケイ酸塩イオン交換などの既知の方法を使用して調製されうる沈降又は縮合重合シリカが含まれる。縮合重合シリカ粒子は、多くの場合、Si(OH)4を縮合させて実質的に球形(例えば、球形、卵形、又は楕円形)の粒子を形成することによって調製される。前駆体Si(OH)4は、例えば、高純度アルコキシシランの加水分解によって、又はケイ酸塩水溶液の酸性化によって得ることができる。米国特許第5230833号には、コロイダルシリカ粒子溶液を調製する方法が記載されている。
【0030】
幾つかの実施態様では、シリカ砥粒はコロイダルシリカである。当業者には知られているように、コロイダルシリカは、微細な非晶質、非多孔質で、典型的には球形の粒子の液相懸濁液である。コロイダルシリカは、縮合重合又は沈降シリカ粒子の形態をとりうる。幾つかの実施態様では、シリカは湿式法型のシリカ粒子の形態である。粒子、例えばコロイダルシリカは、任意の適切な平均サイズ(すなわち、平均粒径)を有しうる。平均砥粒粒径が小さすぎると、研磨組成物が十分な除去速度を示すことができない場合がある。対照的に、平均砥粒粒径が大きすぎると、研磨組成物が、例えば劣った基板欠陥率などの望ましくない研磨性能を示す場合がある。
【0031】
従って、シリカ砥粒(例えば、シリカ粒子又はコロイダルシリカ粒子)は、約10nm以上、例えば約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約30nm以上、約35nm以上、約40nm以上、約45nm以上、約50nm以上、約60nm以上、約70nm以上、又は約80nm以上の平均粒径を有しうる。或いは、又は加えて、シリカ砥粒は、約200nm以下、例えば、約175nm以下、約150nm以下、約140nm以下、約130nm以下、約125nm以下、約120nm以下、約110nm以下、約100nm以下、約75nm以下、約50nm以下、又は約40nm以下の平均粒径を有しうる。従って、シリカ砥粒は、前述のエンドポイントの何れか二つによって境界付けられる平均粒径を有しうる。非球形のシリカ砥粒粒子の場合、粒子のサイズは粒子を取り囲む最小の球の直径である。シリカ砥粒粒子の粒径は、任意の適切な技術、例えばレーザー回折技術を使用して測定することができる。適切な粒径測定機器は、例えば、Malvern Instruments(Malvern,UK)から入手可能である。
【0032】
例えば、シリカ砥粒(例えば、シリカ粒子又はコロイダルシリカ粒子)は、約10nmから約200nm、約20nmから約200nm、約20nmから175nm、約20nmから約150nm、約25nmから約125nm、約25nmから約100nm、約30nmから約100nm、約30nmから約75nm、約30nmから約40nm、又は約50nmから約100nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有しうる。幾つかの実施態様では、シリカ砥粒は、約60nmから約150nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する。所定の実施態様では、シリカ砥粒は、約80nmから約120nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する。
【0033】
シリカ砥粒(例えば、シリカ粒子又はコロイダルシリカ粒子)は、任意の適切な表面積を有しうる。シリカ砥粒粒子の表面積は、任意の適切な技術を使用して、例えば、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を使用して測定することができる。如何なる特定の理論にも束縛されることを望まないが、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)理論は、固体表面上のガス分子の物理的吸着を利用して、材料の比表面積の近似値を提供する。例えば、シリカ砥粒は、約15cm2/g以上、約20cm2/g以上、約25cm2/g以上、又は約30cm2/g以上の平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有しうる。或いは、又は加えて、シリカ砥粒は、約100cm2/g以下、例えば、約75cm2/g以下、約60cm2/g以下、約50cm2/g以下、約45cm2/g以下、又は約40cm2/g以下の平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有しうる。従って、シリカ砥粒は、前述のエンドポイントの何れか二つによって境界付けられる平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有しうる。
【0034】
例えば、シリカ砥粒は、約15cm2/gから約100cm2/g、約15cm2/gから約75cm2/g、約15cm2/gから約60cm2/g、約15cm2/gから約50cm2/g、約15cm2/gから約45cm2/g、約15cm2/gから約40cm2/g、約20cm2/gから約100cm2/g、約20cm2/gから約75cm2/g、約20cm2/gから約60cm2/g、約20cm2/gから約50cm2/g、約20cm2/gから約45cm2/g、約20cm2/gから約40cm2/g、約25cm2/gから約100cm2/g、約25cm2/gから約75cm2/g、約25cm2/gから約60cm2/g、約25cm2/gから約50cm2/g、約25cm2/gから約45cm2/g、約25cm2/gから約40cm2/g、約30cm2/gから約100cm2/g、約30cm2/gから約75cm2/g、約30cm2/gから約60cm2/g、約30cm2/gから約50cm2/g、約30cm2/gから約45cm2/g、又は約30cm2/gから約40cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有しうる。幾つかの実施態様では、シリカ砥粒は、約20cm2/gから約60cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する。所定の実施態様では、シリカ砥粒は、約30cm2/gから約45cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する。
【0035】
幾つかの実施態様では、シリカ砥粒(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、卵形又は楕円形である。従って、シリカ砥粒(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、1を超える平均アスペクト比(すなわち、幅と高さの比)、例えば、少なくとも1.1の平均アスペクト比、少なくとも1.2の平均アスペクト比、少なくとも1.25の平均アスペクト比、又は少なくとも1.3の平均アスペクト比を有しうる。或いは、又は加えて、シリカ砥粒は、2以下の平均アスペクト比(すなわち、幅と高さの比)、例えば、1.75以下の平均アスペクト比、1.5以下の平均アスペクト比、又は1.4以下の平均アスペクト比を有しうる。従って、シリカ砥粒は、前述のエンドポイントの何れか二つによって境界付けられる平均アスペクト比を有しうる。幾つかの実施態様では、シリカ砥粒は少なくとも1.1の平均アスペクト比を有する。所定の実施態様では、シリカ砥粒は少なくとも1.25の平均アスペクト比を有する。
【0036】
例えば、シリカ砥粒(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、約1.1から約2、約1.1から約1.75、約1.1から約1.5、約1.1から約1.4、約1.2から約2、約1.2から約1.75、約1.2から約1.5、約1.2から約1.4、約1.25から約2、約1.25から約1.75、約1.25から約1.5、約1.25から約1.4、約1.3から約2、約1.3から約1.75、約1.3から約1.5、又は約1.3から約1.4の平均アスペクト比(すなわち、幅と高さの比)を有しうる。幾つかの実施態様では、シリカ砥粒は、約1.1から約1.5の平均アスペクト比を有する。所定の実施態様では、シリカ砥粒は、約1.25から約1.5の平均アスペクト比を有する。
【0037】
幾つかの実施態様では、シリカ砥粒(例えば、コロイダルシリカ粒子)は、(i)約60nmから約150nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径、(ii)少なくとも1.1の平均アスペクト比、及び(iii)約20cm2/gから約60cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する。所定の実施態様では、シリカ砥粒は、(i)約80nmから約120nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径、(ii)少なくとも1.25の平均アスペクト比、及び(iii)約30cm2/gから約45cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する。
【0038】
シリカ砥粒(例えば、シリカ粒子又はコロイダルシリカ粒子)は、研磨組成物中でコロイド的に安定であることが好ましい。コロイドという用語は、液体担体(例えば、水)中の粒子の懸濁液を指す。コロイド安定性とは、時間が経過してもその懸濁液が維持されることを指す。この発明の文脈では、砥粒を100mLのメスシリンダーに入れ、2時間撹拌せずに静置したとき、メスシリンダーの底部50mL内の粒子濃度([B]g/mL)とメスシリンダーの上部50mL内の粒子濃度([T]g/mL)の差を砥粒組成物中の粒子の初期濃度([C]g/mL)で割ったものが0.5以下である場合(すなわち、{[B]-[T]}/[C]≦0.5)、砥粒はコロイド的に安定であるとみなされる。より好ましくは、[B]-[T]/[C]の値は0.3以下であり、最も好ましくは0.1以下である。
【0039】
シリカ砥粒は、研磨組成物中に任意の適切な量で存在しうる。本発明の研磨組成物が含む砥粒が少なすぎると、組成物は十分な除去速度を示さない場合がある。対照的に、研磨組成物が含む砥粒が多すぎると、研磨組成物は望ましくない研磨性能を示す場合があり、及び/又は費用効率性が悪い場合があり、及び/又は安定性に欠ける場合がある。研磨組成物は、約10重量%以下のシリカ砥粒、例えば、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下のシリカ砥粒を含みうる。或いは、又は加えて、研磨組成物は、約3.0重量%以上、約3.5重量%以上、又は約4.0重量%以上のシリカ砥粒を含みうる。従って、研磨組成物は、必要に応じて、前述のエンドポイントの何れか二つによって境界付けされる量でシリカ砥粒を含みうる。
【0040】
例えば、幾つかの実施態様では、シリカ砥粒は、研磨組成物中に約3.0重量%から約10重量%、約3.0重量%から約8重量%、約3.0重量%から約6重量%、約3.0重量%から約5重量%、約3.5重量%から約10重量%、約3.5重量%から約8重量%、約3.5重量%から約6重量%、約3.5重量%から約5重量%、約4.0重量%から約10重量%、約4.0重量%から約8重量%、約4.0重量%から約6重量%、約4.0重量%から約5重量%、約4.5重量%から約10重量%、約4.5重量%から約8重量%、約4.5重量%から約5重量%の量で存在しうる。幾つかの実施態様では、研磨組成物は、約3.0重量%から約10重量%(例えば、約3.5重量%から約8重量%)のシリカ砥粒を含む。所定の実施態様では、研磨組成物は、約3.0重量%から約5重量%(例えば、約3.5重量%から約5重量%)のシリカ砥粒を含む。他の実施態様では、研磨組成物は、約4.0重量%から約10重量%(例えば、約4.0重量%から約8重量%)のシリカ砥粒を含む。
【0041】
化学機械研磨組成物は、約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するポリマーを含む。例えば、ポリマーは、約400kDaから約7000kDa、例えば、約500kDaから約7000kDa、約1000kDaから約7000kDa、約1500kDaから約7000kDa、約2000kDaから約7000kDa、約3000kDaから約7000kDa、約1000kDaから約6000kDa、約1500kDaから約6000kDa、約2000kDaから約6000kDa、約3000kDaから約6000kDa、約1000kDaから約5000kDa、約1500kDaから約5000kDa、約2000kDaから約5000kDa、約3000kDaから約5000kDa、約1000kDaから約4000kDa、約1500kDaから約4000kDa、約2000kDaから約4000kDa、約3000kDaから約4000kDaの重量平均分子量を有しうる。幾つかの実施態様では、ポリマーは、約1000kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する。所定の実施態様では、ポリマーは、約2000kDaから約4000kDaの重量平均分子量を有する。
【0042】
ポリマーは、任意の適切な多分散指数(PDI)を有しうる。例えば、ポリマーは、少なくとも約1、例えば、少なくとも約1.1、少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.8、少なくとも約1.9、少なくとも約2.0の多分散指数を有しうる。幾つかの実施態様では、ポリマーは少なくとも約1.3の多分散指数を有する。所定の実施態様では、ポリマーは少なくとも約1.5の多分散指数を有する。
【0043】
ポリマーは、アニオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む。ポリマーは、任意の適切な構造タイプでありうる。例えば、ポリマーはホモポリマー又はコポリマーでありうる。ポリマーがコポリマーである実施態様では、コポリマーは、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、又はグラフトコポリマーとして存在し得、任意の適切な数の異なるモノマー単位を有しうる。例えば、コポリマーは、2種の異なるモノマー単位、3種の異なるモノマー単位、4種の異なるモノマー単位、5種の異なるモノマー単位、又は6種の異なるモノマー単位を含みうる。コポリマーモノマー単位は、任意の適切な濃度及び任意の適切な割合で存在しうる。
【0044】
幾つかの実施態様では、ポリマーは非イオン性ポリマーを含む。ここで使用される場合、「非イオン性ポリマー」という用語は、約9から約12のpHでカチオン又はアニオン電荷を持たない任意のポリマーを指す。例えば、非イオン性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリプロピレンオキシド(PPO))、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアクリルアミド、疎水性変性ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、セルロース、疎水性変性セルロース、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水性変性ポリアクリレートポリマー、多糖類、疎水性変性多糖類、ポリスチレン、及びそれらの組み合わせから選択されうる。ここで使用される場合、「疎水性変性」という用語は、水素(例えば、N-H又はO-H)をC1-20アルキル置換基で置換するように変性された化学モチーフ(例えば、アミド、酸、アルコール、又はアミン)を指す。例えば、「疎水変性ポリアクリレートポリマー」という用語は、全ての酸部分がエステル部分で置換されたポリアクリル酸ポリマーを指す。好ましい実施態様では、ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)若しくはポリプロピレンオキシド(PPO)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0045】
幾つかの実施態様では、ポリマーはアニオン性ポリマーを含む。ここで使用される場合、「アニオン性ポリマー」という用語は、約9から約12のpHでアニオン電荷を有する任意のポリマーを指す。例えば、アニオン性ポリマーは、カルボキシレート基、ホスホネート基、スルホネート基、又はそれらの組み合わせを含むアニオン性モノマーを含む任意のポリマー(例えば、ホモポリマー又はコポリマー)でありうる。幾つかの実施態様では、アニオン性ポリマーは、アクリルアミド、疎水変性アクリルアミドモノマー、疎水変性アクリレートモノマー、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0046】
幾つかの実施態様では、ポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホネート、2-アクリルアミド-2-メチルブタンスルホン酸、[2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]-ホスホン酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性モノマーを含むアニオン性モノマーを含む。所定の実施態様では、ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、疎水変性ポリアクリレートコポリマー(例えば、疎水変性アクリレート/アクリル酸コポリマー)、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリスチレンスルホネート、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性ポリマーを含む。好ましい実施態様では、ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマー、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0047】
研磨組成物は、任意の適切な量のポリマーを含みうる。研磨組成物は、約25ppm以上、例えば約50ppm以上、約100ppm以上、又は約200ppm以上のポリマーを含みうる。或いは、又は加えて、研磨組成物は、約5000ppm以下、例えば、約4000ppm以下、約3000ppm以下、約2000ppm以下、又は約1000ppm以下のポリマーを含みうる。従って、研磨組成物は、前述のエンドポイントの何れか二つによって境界付けされる量でポリマーを含みうる。例えば、研磨組成物は、約25ppmから約5000ppmのポリマー、例えば約25ppmから約4000ppm、約25ppmから約3000ppm、約25ppmから約2000ppm、約25ppmから1000ppm、約50ppmから5000ppm、約50ppmから約4000ppm、約50ppmから約3000ppm、約50ppmから約2000ppm、約50ppmから約1000ppm、約100ppmから約5000ppm、又は約100ppmから約1000ppmのポリマーを含みうる。幾つかの実施態様では、研磨組成物は、約50ppmから約5000ppmのポリマーを含む。所定の実施態様では、研磨組成物は、約100ppmから約2000ppmのポリマーを含む。
【0048】
研磨組成物は水性担体を含む。水性担体は水(例えば、脱イオン水)を含み、一又は複数種の水混和性有機溶媒を含みうる。使用されうる有機溶媒の例には、例えば、プロペニルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、1-プロパノール、メタノール、1-ヘキサノール等のアルコール;アセチルアルデヒド等のアルデヒド;アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン等のケトン;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチル等のエステル;ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリム等を含むエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等のアミド;エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール及び多価アルコール誘導体;及びアセトニトリル、アミルアミン、イソプロピルアミン、イミダゾール、ジメチルアミン等の含窒素有機化合物が含まれる。好ましくは、水性担体は水単独、すなわち有機溶媒が存在しない水である。
【0049】
研磨組成物は、研磨組成物のpHを調整することができる(すなわち、調整する)一又は複数種の化合物(すなわち、pH調整化合物)を含みうる。研磨組成物のpHは、研磨組成物のpHを調整できる任意の適切な化合物を使用して調整することができる。pH調整化合物は、水溶性であり、研磨組成物の他の成分と相溶性であることが望ましい。典型的には、化学機械研磨組成物は、ユースポイントにおいて約9から約12のpH(例えば、約9.5から約12、約10から約12、約10.5から約12、約11から約12、約9.5から約11.5、約10から約11.5、約10.5から約11.5、約9.5から約11、約10から約11、約10.5から約11.5、又は約11から約12のpH)を有する。幾つかの実施態様では、研磨組成物はユースポイントにおいて約9から約12のpHを有する。所定の実施態様では、研磨組成物はユースポイントにおいて約10から約12のpHを有する。他の実施態様では、研磨組成物はユースポイントにおいて約10から約11のpHを有する。
【0050】
pHを調整し緩衝することができる化合物は、アルキルアミン、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、カルボン酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ホウ酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0051】
化学機械研磨組成物は、任意選択的に一又は複数種の添加剤を更に含む。例示的な添加剤には、コンディショナー、酸(例えば、スルホン酸)、錯化剤、キレート剤、殺生物剤、スケール防止剤、及び分散剤が含まれる
【0052】
殺生物剤は、存在する場合、任意の適切な殺生物剤であり得、任意の適切な量で研磨組成物中に存在しうる。適切な殺生物剤は、イソチアゾリノン殺生物剤などである。殺生物剤は、約1から約750ppm、好ましくは約20から約200ppmの濃度で研磨組成物中に存在しうる。
【0053】
研磨組成物は、少なくとも約1cP、例えば少なくとも約1.1cP、少なくとも約1.2cP、少なくとも約1.3cP、少なくとも約1.4cP、少なくとも約1.5cP、少なくとも約2cP、少なくとも約2.5cP、又は少なくとも約3cPの粘度を有する。幾つかの実施態様では、研磨組成物は少なくとも約1.3cPの粘度を有する。所定の実施態様では、例えば、非イオン性ポリマーが使用される場合、研磨組成物は少なくとも約1.2cPの粘度を有する。
【0054】
研磨組成物の粘度を定量する複数の方法が存在する。ここで言及される場合、粘度測定は、鋼製二重壁同心円筒ボブ及びカップジオメトリを利用するTA Instruments Discovery HR2ハイブリッドレオメータで定量された値を反映する。この機器では、ボブ寸法は、内径31.98mm、外径35.8mmである。カップ寸法は、内径30.21mm、外径37.03である。内筒高さは55mm、浸漬高さは53mmである。ジオメトリ動作ギャップは2000ミクロンである。ドローロッドイナーシャ、ボブイナーシャ、ボブフリクション、及びボブ回転マッピングを、各使用前にTA Instruments TRIOSソフトウェアバージョン4.1.1.33073によって調整した。サンプルを、TRIOSソフトウェアを使用してペルチェ加熱ジャケットによって維持された25℃において測定した。
【0055】
測定は、使い捨てピペットを使用してカップの外筒中に試験対象のスラリー14グラムを入れ、次にカップを25℃に予め設定された加熱ジャケット中に配して行った。円筒ボブをドローロッドに取り付け、ギャップ高さを2000ミクロンの動作ギャップに設定した。
【0056】
各サンプルに対する実験手順は、120秒の温度浸漬に設定し、その後10 l/sから100 l/sまで10進当たり5ポイントの対数せん断速度スイープを続けた。一回目のスイープの完了直後に、10秒の温度浸漬に続いて同じサンプルで二回目のせん断速度スイープが自動的に開始されるように設定し、100 l/sから10 l/sまで10進当たり5ポイントで対数的にスイープした。データポイントは、最大平衡時間60秒、サンプル期間5秒、及び3回の測定内で連続する5%許容誤差での定常状態センシングを利用して収集した。制御された速度アドバンスにはソフトモーターモードを使用した。両スイープからのデータポイントを一緒に平均して、試験した各サンプルについて25Cでの平均粘度を得た。研磨組成物は、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%、例えば、約0.3cP/重量%から約1.5cP/重量%、約0.4cP/重量%から約1.5cP/重量%、又は約0.5cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する。幾つかの実施態様では、研磨組成物は、約0.3cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する。所定の実施態様では、研磨組成物は、約0.4cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する。
【0057】
研磨組成物は、多くが当業者に知られている任意の適切な技術によって製造することができる。研磨組成物は、バッチプロセス又は連続プロセスで調製することができる。一般に、研磨組成物は、研磨組成物の成分を混合することによって調製される。ここで使用される「成分」という用語には、個々の成分(例えば、砥粒、ポリマー、及び/又は任意の他の任意選択的添加剤)並びに成分(例えば、砥粒、ポリマー、及び/又は任意の他の任意選択的添加剤など)の任意の組み合わせが含まれる。
【0058】
例えば、研磨組成物は、(i)液体担体の全部又は一部を提供し、(ii)そのような分散液を調製するための任意の適切な手段を使用して、砥粒、ポリマー、及び/又は任意の他の任意選択的添加剤を分散させ、(iii)分散液のpHを適切に調整し、及び(iv)任意選択的に、適切な量の他の任意選択的成分及び/又は添加剤を混合物に添加することによって、調製することができる。
【0059】
研磨組成物は、砥粒、ポリマー、任意の他の任意選択的添加剤、及び水を含むワンパッケージ系として供給することができる。或いは、本発明の研磨組成物は、第一のパッケージに砥粒スラリーを、第二のパッケージに添加剤溶液を含むツーパッケージ系として供給することができ、ここで、砥粒スラリーは、砥粒粒子と水から本質的になるか又はそれらからなり、添加剤溶液は、ポリマー及び/又は任意の他の任意選択的添加剤から本質的になるか又はそれらからなる。ツーパッケージ系では、ツーパッケージ、すなわち砥粒スラリーと添加剤溶液のブレンド比を変えることにより、研磨組成物の特性を調整することができる。
【0060】
このようなツーパッケージ研磨系を利用するために、様々な方法を用いることができる。例えば、砥粒スラリーと添加剤溶液を、供給配管の出口で接合され連結された異なる配管によって研磨テーブルに送達させることができる。砥粒スラリーと添加剤溶液を、研磨の直ぐ前又は研磨直前に混合することができ、又は研磨テーブル上に同時に供給することができる。更に、二つのパッケージを混合する際、所望に応じて脱イオン水を添加して、研磨組成物と得られる基板研磨特性を調整することができる。
【0061】
同様に、3、4、又はそれ以上のパッケージ系を本発明に関連して利用することができ、複数の容器のそれぞれが、本発明の化学機械研磨組成物の異なる成分、一又は複数種の任意選択的成分、及び/又は異なる濃度での一又は複数の同じ成分を含む。
【0062】
二つ以上の貯蔵装置に含まれる成分を混合してユースポイント又はその近くで研磨組成物を生成するために、貯蔵装置には典型的には、各貯蔵装置から研磨組成物のユースポイント(例えば、プラテン、研磨パッド、又は基板表面)に至る一つ又は複数のフローラインが設けられる。ここで使用される場合、「ユースポイント」という用語は、研磨組成物が基板表面(例えば、研磨パッド又は基板表面自体)に適用されるポイントを指す。「フローライン」という用語は、個々の貯蔵容器から、その中に保存されている成分のユースポイントまでの流路を意味する。フローラインはそれぞれがユースポイントに直接導かれるか、或いは二つ以上のフローラインが、任意のポイントで組み合わされて、ユースポイントに導かれる単一のフローラインとされる場合がある。更に、フローラインの何れか(例えば、個々のフローライン又は組み合わせたフローライン)が、成分のユースポイントに到達する前に、先ず一又は複数の他の装置(例えば、ポンプ装置、測定装置、混合装置など)に導かれる場合がある。
【0063】
研磨組成物の成分は、ユースポイントに独立して送達させることができ(例えば、成分は基板表面に送達され、そこで研磨プロセス中に成分が混合される)、又は成分の一又は複数種がユースポイントへの送達前、例えば、ユースポイントへの送達の少し前又は直前に混合することができる。成分がプラテン上に混合形態で添加される約5分前以降、例えばプラテン上に混合形態で添加される約4分前以降、約3分前以降、約2分前以降、約1分前以降、約45秒前以降、約30秒前以降、約10秒前以降に、或いはユースポイントにおける成分の送達と同時に混合される(例えば成分がディスペンサーで混合される)場合、成分は「ユースポイントへの送達の直前に」混合される。成分がユースポイントから5m以内、例えばユースポイントから1m以内、又は更にはユースポイントから10cm以内(例えばユースポイントから1cm以内)で混合される場合、成分はまた「ユースポイントへの送達の直前に」混合される。
【0064】
研磨組成物の成分の二種以上がユースポイントに到達する前に混合される場合、成分はフローライン内で混合され、混合装置を使用せずにユースポイントに送達されうる。或いは、フローラインの一又は複数を混合装置に導いて、二種以上の成分の混合を促進することもできる。任意の適切な混合装置を使用することができる。例えば、混合装置は、成分の二種以上が貫流するノズル又はジェット(例えば、高圧ノズル又はジェット)でありうる。或いは、混合装置は、研磨スラリーの二種以上の成分がミキサーに導入される一又は複数の入口と、混合された成分が直接又は装置の他の部材を介して(例えば、一又は複数のフローラインを介して)ミキサーを出てユースポイントまで送達される際に通る少なくとも一の出口とを備える容器型の混合装置でありうる。更に、混合装置は一を超えるチャンバーを具備し得、各チャンバーは少なくとも一の入口と少なくとも一の出口を有し、二種以上の成分が各チャンバー内で混合される。容器型の混合装置が使用される場合、混合装置は、好ましくは成分の混合を更に容易にする混合機構を備える。混合機構は当該技術分野で一般的に知られており、スターラー、ブレンダー、アジテーター、パドルバッフル、ガススパージャーシステム、バイブレーターなどを含む。
【0065】
研磨組成物は、使用前に適切な量の水で希釈することを意図した濃縮物として提供することもできる。このような実施態様では、研磨組成物濃縮物は、濃縮物を適切な量の水で希釈すると、研磨組成物の各成分が各成分について上に記載した適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で研磨組成物の成分を含む。例えば、砥粒、ポリマー、及び/又は任意の他の任意選択的添加剤はそれぞれ濃縮物中に、濃縮物を等量の水(例えば、それぞれ2等量の水、3等量の水、又は4等量の水)で希釈すると、各成分が研磨組成物中に、各成分について上に記載した範囲内の量で研磨組成物中に存在するように、各成分について上に記載した濃度よりも約2倍(例えば、約3倍、約4倍、又は約5倍)多い量である量で存在しうる。更に、当業者には理解されるように、濃縮物は、砥粒粒子、ポリマー、及び/又は任意の他の任意選択的添加剤が少なくとも部分的に又は完全に濃縮物に溶解されることを確実にするために、最終研磨組成物中に存在する水の適切な割合を含みうる。
【0066】
本発明は更に、(i)基板を提供し、(ii)研磨パッドを提供し、(iii)(a)約2.5重量%から約10重量%のシリカ砥粒;(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び(c)水を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度と、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する研磨組成物を提供し、(iv)基板を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させ、そして(v)研磨パッド及び化学機械研磨組成物を基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を摩耗させて基板を研磨することを含む、基板を化学機械研磨する方法を提供する。
【0067】
化学機械研磨組成物は、任意の適切な基板を研磨するために使用することができ、低誘電体材料からなる少なくとも一層(典型的には表面層)を含む基板を研磨するのに特に有用である。適切な基板には、半導体産業で使用されるウェーハが含まれる。ウェーハは典型的には、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属複合体、金属合金、又はそれらの組み合わせを含むか又はそれらからなる。本発明の方法は、酸化ケイ素及び/又はポリシリコン、例えば前述の材料の何れか一種又は全てを含む基板を研磨するのに特に有用である。幾つかの実施態様では、基板は、基板の表面上に酸化ケイ素及びポリシリコンを含み、基板の表面上の酸化ケイ素及び/又はポリシリコンの少なくとも一部を摩耗させて基板を研磨する。
【0068】
幾つかの実施態様では、基板は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、又はそれらの組み合わせを含む。ポリシリコンは、多くが当該技術分野で知られている任意の適切なポリシリコンでありうる。ポリシリコンは、任意の適切な相を有し得、非晶質、結晶、又はそれらの組み合わせでありうる。窒化ケイ素は、多くが当該技術分野で知られている任意の適切な窒化ケイ素でありうる。窒化ケイ素は、任意の適切な相を有し得、非晶質、結晶、又はそれらの組み合わせでありうる。酸化ケイ素も同様に、多くが当該技術分野で知られている任意の適切な酸化ケイ素でありうる。酸化ケイ素の適切な種類には、限定されないが、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、高密度プラズマ(HDP)酸化物及び/又はプラズマ増強オルトケイ酸テトラエチル(PETEOS)及び/又はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、熱酸化物、及び非ドープ型ケイ酸塩ガラスが含まれる。所定の実施態様では、基板は酸化ケイ素及びポリシリコンを含む。
【0069】
本発明の化学機械研磨組成物は、特定の薄層材料に選択的な所望の研磨範囲で効果的な研磨をもたらすと同時に、表面の不完全性、欠陥、コロージョン、エロージョン及びストップ層の除去を最小限に抑えるように調整することができる。選択比は、研磨組成物の成分の相対濃度を変えることによって、ある程度まで制御することができる。ここで使用される場合、「選択比」という用語は、二種の異なる標的材料の除去速度比を指す。例えば、選択比は、二種の異なる材料の除去速度比、又は二種の異なるトポグラフィーの除去速度比(例えば、ブランケット除去対アクティブ除去)を指しうる。
【0070】
幾つかの実施態様では、(a)約3重量%から約10重量%のシリカ砥粒と(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマーとを含む化学機械研磨組成物は、約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するポリマーを含まない同一の化学機械研磨組成物によってもたらされる除去速度よりも少なくとも30%大きい(例えば、少なくとも40%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも70%大きい、又は少なくとも80%大きい)酸化ケイ素除去速度をもたらす。
【0071】
幾つかの実施態様では、(a)約3重量%から約10重量%のシリカ砥粒と(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマーとを含む化学機械研磨組成物は、約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するポリマーを含まない同一の化学機械研磨組成物によってもたらされる除去速度よりも少なくとも30%大きい(例えば、少なくとも40%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも70%大きい、又は少なくとも80%大きい)ポリシリコン除去速度をもたらす。
【0072】
幾つかの実施態様では、(a)約3重量%から約10重量%のシリカ砥粒と(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマーとを含む化学機械研磨組成物は、約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するポリマーを含まない同一の化学機械研磨組成物によってもたらされる除去速度よりも少なくとも30%大きい(例えば、少なくとも40%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも70%大きい、又は少なくとも80%大きい)窒化ケイ素除去速度をもたらす。
【0073】
幾つかの実施態様では、(a)約3重量%から約10重量%のシリカ砥粒と(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマーとを含む化学機械研磨組成物は、約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するポリマーを含まない同一の化学機械研磨組成物によってもたらされる除去速度よりも少なくとも30%大きい(例えば、少なくとも40%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも70%大きい、又は少なくとも80%大きい)ホウリンケイ酸ガラス除去速度をもたらす。
【0074】
本発明の研磨組成物は、適切な技術によって判定されて、基板を研磨する際に粒子欠陥が少ないことが望ましい。好ましい実施態様では、本発明の化学機械研磨組成物は、低欠陥率に寄与する湿式プロセスセリアを含む。本発明の研磨組成物を用いて研磨された基板上の粒子欠陥は、任意の適切な技術によって判定することができる。例えば、暗視野垂直ビーム複合体(DCN)及び暗視野斜めビーム複合体(DCO)などのレーザー光散乱技術を使用して、研磨された基板上の粒子欠陥を判定できる。粒子欠陥を評価するための適切な機器は、例えば、KLA-Tencorから入手可能である(例えば、120nm閾値又は160nm閾値で動作するSURFSCAN(登録商標)SPI機器)。
【0075】
本発明の研磨組成物で研磨される基板(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、又はそれらの組み合わせ)、特に酸化ケイ素及び/又はポリシリコンを含むシリコンは、望ましくは、約20000カウント以下、例えば約17500カウント以下、約15000カウント以下、約12500カウント以下、約3500カウント以下、約3000カウント以下、約2500カウント以下、約2000カウント以下、約1500カウント以下、又は約1000カウント以下のDCN値を有する。好ましくは、本発明の一実施態様に従って研磨された基板は、約750カウント以下、例えば、約500カウント以下、約250カウント以下、約125カウント以下、又は更には約100カウント以下のDCN値を有する。
【0076】
或いは、又は加えて、本発明の化学機械研磨組成物を用いて研磨された基板は、望ましくは、適切な技術によって判定されて、低スクラッチを示す。例えば、本発明の一実施態様に従って研磨されたシリコンウェーハは、例えばレーザー光散乱技術などの当該技術分野で知られている任意の適切な方法によって判定されて、約250スクラッチ以下、又は約125スクラッチ以下を有することが望ましい。
【0077】
本発明の化学機械研磨組成物及び方法は、化学機械研磨装置と組み合わせて使用するのに特に適している。典型的には、装置は、使用時に運動しており、軌道運動、直線運動、又は円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触し、運動中にプラテンと共に移動する研磨パッドと、基板を研磨パッドの表面に接触させて相対的に移動させることによって、研磨される基板を保持するキャリアを具備する。基板の研磨は、基板を研磨パッド及び本発明の研磨組成物と接触させて配置し、次に研磨パッドを基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を摩耗させて基板を研磨することによって行われる。
【0078】
基板は、任意の適切な研磨パッド(例えば、研磨表面)を使用して、化学機械研磨組成物で研磨することができる。適切な研磨パッドには、例えば、織布及び不織布の研磨パッドが含まれる。更に、適切な研磨パッドは、様々な密度、硬度、厚さ、圧縮性、圧縮時の反発能力、及び圧縮弾性率を有する任意の適切なポリマーを含みうる。適切なポリマーには、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共形成生成物、及びそれらの混合物が含まれる。軟質ポリウレタン研磨パッドが、本発明の研磨方法との関係で特に有用である。典型的なパッドには、限定されないが、SURFINTM000、SURFINTMSSW1、SPM3100 Eminess Technologies)、Dow Chemical Company(Newark,DE)から市販されているPOLITEXTM、及び富士紡(大阪、日本)から市販されているPOLYPASTM27、及びCabot Microelectronics(Aurora,IL)から市販されているEPICTMD100パッド又はNEXPLANARTME6088が含まれる。好ましい研磨パッドは、Dow Chemicalから市販されている硬質の微多孔性ポリウレタンパッド(IC1010TM)である。
【0079】
望ましくは、化学機械研磨装置は、その多くは当該技術分野で知られている、現場研磨エンドポイント検出システムを更に備えている。研磨中の基板の表面から反射される光又は他の放射線を分析することによって研磨プロセスを検査し監視するための技術は、当該技術分野で知られている。このような方法は、例えば、米国特許第5196353号、米国特許第5433651号、米国特許第5609511号、米国特許第5643046号、米国特許第5658183号、米国特許第5730642号、米国特許第5838447号、特許第5872633号、米国特許第5893796号、米国特許第5949927号、及び米国特許第5964643号に記載されている。望ましくは、研磨中の基板に関する研磨プロセスの進行状況を検査し又は監視することにより、研磨エンドポイントの決定、すなわち、特定の基板に関して研磨プロセスをいつ終了するかの決定が可能になる。
【0080】
[実施態様]
(1)実施態様(1)では、
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物が提供される。
【0081】
(2)実施態様(2)では、約3.5重量%から約8重量%のシリカ砥粒を含む、実施態様1の研磨組成物が提供される。
【0082】
(3)実施態様(3)では、約3.5重量%から約5重量%のシリカ砥粒を含む、実施態様1又は実施態様2の研磨組成物が提供される。
【0083】
(4)実施態様(4)では、約10から約12のpHを有する、実施態様1~3の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0084】
(5)実施態様(5)では、約10から約11のpHを有する、実施態様1~4の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0085】
(6)実施態様(6)では、少なくとも約1.3cPの粘度を有する、実施態様1~5の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0086】
(7)実施態様(7)では、少なくとも約2cPの粘度を有する、実施態様1~6の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0087】
(8)実施態様(8)では、約0.3cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する、実施態様1~7の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0088】
(9)実施態様(9)では、約0.4cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する、実施態様1~8の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0089】
(10)実施態様(10)では、ポリマーが約1000kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する、実施態様1~9の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0090】
(11)実施態様(11)では、ポリマーが約2000kDaから約4000kDaの重量平均分子量を有する、実施態様1~10の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0091】
(12)実施態様(12)では、ポリマーが、カルボキシレート基、ホスホネート基、スルホネート基、又はそれらの組み合わせを含むアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマーを含む、実施態様1~11の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0092】
(13)実施態様(13)では、ポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホネート、2-アクリルアミド-2-メチルブタンスルホン酸、[2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]-ホスホン酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマーを含む、実施態様1~12の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0093】
(14)実施態様(14)では、ポリマーが、カルボキシメチルセルロース、疎水変性ポリアクリレートコポリマー、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリスチレンスルホネート、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性ポリマーを含む、実施態様1~13の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0094】
(15)実施態様(15)では、約50ppmから約5000ppmのポリマーを含む、実施態様1~14の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0095】
(16)実施態様(16)では、約100ppmから約2000ppmのポリマーを含む、実施態様1~15の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0096】
(17)実施態様(17)では、シリカ砥粒が約60nmから約150nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様1~16の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0097】
(18)実施態様(18)では、シリカ砥粒が約80nmから約120nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様1~17の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0098】
(19)実施態様(19)では、シリカ砥粒が少なくとも1.1の平均アスペクト比を有する、実施態様1~18の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0099】
(20)実施態様(20)では、シリカ砥粒が少なくとも1.25の平均アスペクト比を有する、実施態様1~19の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0100】
(21)実施態様(21)では、シリカ砥粒が約20cm2/gから約60cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様1~20の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0101】
(22)実施態様(22)では、シリカ砥粒が約30cm2/gから約45cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様1~21の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0102】
(23)実施態様(23)では、シリカ砥粒がコロイダルシリカである、実施態様1~22の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0103】
(24)実施態様(24)では、
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1.2cPの粘度、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物が提供される。
【0104】
(25)実施態様(25)では、非イオン性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアクリルアミド、疎水変性ポリアクリルアミド、セルロース、疎水変性セルロース、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水変性ポリアクリレートポリマー、多糖類、疎水変性多糖類、ポリスチレン、及びそれらの組み合わせから選択される、実施態様24の研磨組成物が提供される。
【0105】
(26)実施態様(26)では、約50ppmから約5000ppmのポリマーを含む、実施態様24~25の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0106】
(27)実施態様(27)では、約100ppmから約2000ppmのポリマーを含む、実施態様24~26の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0107】
(28)実施態様(28)では、シリカ砥粒が約60nmから約150nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様24~27の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0108】
(29)実施態様(29)では、シリカ砥粒が約80nmから約120nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様24~28の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0109】
(30)実施態様(30)では、シリカ砥粒が少なくとも1.1の平均アスペクト比を有する、実施態様24~29の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0110】
(31)実施態様(31)では、シリカ砥粒が少なくとも1.25の平均アスペクト比を有する、実施態様24~30の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0111】
(32)実施態様(32)では、シリカ砥粒が約20cm2/gから約60cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様24~31の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0112】
(33)実施態様(33)では、シリカ砥粒が約30cm2/gから約45cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様24~32の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0113】
(34)実施態様(34)では、シリカ砥粒がコロイダルシリカである、実施態様24~33の何れか一の研磨組成物が提供される。
【0114】
(35)実施態様(35)では、
(i)基板を提供し、
(ii)研磨パッドを提供し、
(iii)
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するアニオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1cPの粘度、約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比、及び約9から約12のpHを有する研磨組成物を提供し;
(iv)基板を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させ、そして
(v)研磨パッド及び化学機械研磨組成物を基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を摩耗させて基板を研磨する
ことを含む、基板を化学機械研磨する方法が提供される。
【0115】
(36)実施態様(36)では、研磨組成物が約3.5重量%から約8重量%のシリカ砥粒を含む、実施態様35の方法が提供される。
【0116】
(37)実施態様(37)では、研磨組成物が約3.5重量%から約5重量%のシリカ砥粒を含む、実施態様35又は実施態様36の方法が提供される。
【0117】
(38)実施態様(38)では、研磨組成物が約10から約12のpHを有する、実施態様35~37の何れか一の方法が提供される。
【0118】
(39)実施態様(39)では、研磨組成物が約10から約11のpHを有する、実施態様35~38の何れか一の方法が提供される。
【0119】
(40)実施態様(40)では、研磨組成物が少なくとも約1.3cPの粘度を有する、実施態様35~39の何れか一の方法が提供される。
【0120】
(41)実施態様(41)では、研磨組成物が少なくとも約2cPの粘度を有する、実施態様35~40の何れか一の方法が提供される。
【0121】
(42)実施態様(42)では、研磨組成物が、約0.3cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する、実施態様35~41の何れか一の方法が提供される。
【0122】
(43)実施態様(43)では、研磨組成物が、約0.4cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有する、実施態様35~42の何れか一の方法が提供される。
【0123】
(44)実施態様(44)では、ポリマーが約1000kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する、実施態様35~43の何れか一の方法が提供される。
【0124】
(45)実施態様(45)では、ポリマーが約2000kDaから約4000kDaの重量平均分子量を有する、実施態様35~44の何れか一の方法が提供される。
【0125】
(46)実施態様(46)では、ポリマーがアニオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様35~45の何れか一の方法が提供される。
【0126】
(47)実施態様(47)では、ポリマーが、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアクリルアミド、疎水変性ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、セルロース、疎水変性セルロース、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水変性ポリアクリレートポリマー、多糖類、疎水変性多糖類、ポリスチレン、及びそれらの組み合わせから選択される非イオン性ポリマーを含む、実施態様35~46の何れか一の方法が提供される。
【0127】
(48)実施態様(48)では、ポリマーが、カルボキシレート基、ホスホネート基、スルホネート基、又はそれらの組み合わせを含むアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマーを含む、実施態様35~47の何れか一の方法が提供される。
【0128】
(49)実施態様(49)では、ポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホネート、2-アクリルアミド-2-メチルブタンスルホン酸、[2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]-ホスホン酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマーを含む、実施態様35~48の何れか一の方法が提供される。
【0129】
(50)実施態様(50)では、ポリマーが、カルボキシメチルセルロース、疎水変性ポリアクリレートコポリマー、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリスチレンスルホネート、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるアニオン性ポリマーを含む、実施態様35~49の何れか一の方法が提供される。
【0130】
(51)実施態様(51)では、研磨組成物が約50ppmから約5000ppmのポリマーを含む、実施態様35~50の何れか一の方法が提供される。
【0131】
(52)実施態様(52)では、研磨組成物が約100ppmから約2000ppmのポリマーを含む、実施態様35~51の何れか一の方法が提供される。
【0132】
(53)実施態様(53)では、シリカ砥粒が約60nmから約150nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様35~52の何れか一の方法が提供される。
【0133】
(54)実施態様(54)では、シリカ砥粒が約80nmから約120nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様35~53の何れか一の方法が提供される。
【0134】
(55)実施態様(55)では、シリカ砥粒が少なくとも1.1の平均アスペクト比を有する、実施態様35~54の何れか一の方法が提供される。
【0135】
(56)実施態様(56)では、シリカ砥粒が少なくとも1.25の平均アスペクト比を有する、実施態様35~55の何れか一の方法が提供される。
【0136】
(57)実施態様(57)では、シリカ砥粒が約20cm2/gから約60cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様35~56の何れか一の方法が提供される。
【0137】
(58)実施態様(58)では、シリカ砥粒が約30cm2/gから約45cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様35~57の何れか一の方法が提供される。
【0138】
(59)実施態様(59)では、シリカ砥粒がコロイダルシリカである、実施態様35~58の何れか一の方法が提供される。
【0139】
(60)実施態様(60)では、基板が酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、又はそれらの組み合わせを含み、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、又はそれらの組み合わせの少なくとも一部が摩耗されて基板を研磨する、実施態様35~59の何れか一の方法が提供される。
【0140】
(61)実施態様(61)では、
(i)基板を提供し、
(ii)研磨パッドを提供し、
(iii)
(a)約3.0重量%から約10重量%のシリカ砥粒;
(b)約300kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有する非イオン性ポリマー;及び
(c)水
を含む化学機械研磨組成物であって、少なくとも約1.2cPの粘度と約9から約12のpHを有する研磨組成物を提供すること
を含む、基板を化学機械研磨する方法が提供される。
【0141】
(62)実施態様(62)では、非イオン性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアクリルアミド、疎水変性ポリアクリルアミド、セルロース、疎水変性セルロース、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水変性ポリアクリレートポリマー、多糖類、疎水変性多糖類、ポリスチレン、及びそれらの組み合わせから選択される、実施態様61の方法が提供される。
【0142】
(63)実施態様(63)では、研磨組成物が約50ppmから約5000ppmのポリマーを含む、実施態様61~62の何れか一の方法が提供される。
【0143】
(64)実施態様(64)では、研磨組成物が約100ppmから約2000ppmのポリマーを含む、実施態様61~63の何れか一の方法が提供される。
【0144】
(65)実施態様(65)では、シリカ砥粒が約60nmから約150nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様61~64の何れか一の方法が提供される。
【0145】
(66)実施態様(66)では、シリカ砥粒が約80nmから約120nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径を有する、実施態様24~28の何れか一の方法が提供される。
【0146】
(67)実施態様(67)では、シリカ砥粒が少なくとも1.1の平均アスペクト比を有する、実施態様24~29の何れか一の方法が提供される。
【0147】
(68)実施態様(68)では、シリカ砥粒が少なくとも1.25の平均アスペクト比を有する、実施態様24~30の何れか一の方法が提供される。
【0148】
(69)実施態様(69)では、シリカ砥粒が約20cm2/gから約60cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様24~31の何れか一の方法が提供される。
【0149】
(70)実施態様(70)では、シリカ砥粒が約30cm2/gから約45cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、実施態様24~32の何れか一の方法が提供される。
【0150】
(71)実施態様(71)では、シリカ砥粒がコロイダルシリカである、実施態様24~33の何れか一の方法が提供される。
【実施例】
【0151】
これら次の実施例は本発明を更に例証するものであるが、もちろん、その範囲を如何なる方法によっても限定するものとして解釈されるべきではない。
【0152】
次の略語が実施例全体を通して使用される:除去速度(RR);オルトケイ酸テトラエチル(TEOS);窒化ケイ素(SiN);ポリシリコン(ポリSi);ホウリンケイ酸ガラス(BPSG);ポリエチレンオキシド(PEO);ユースポイント(POU);及び重量平均分子量(MW)。
【0153】
次の実施例において、基板TEOS(つまり、酸化ケイ素)、SiN(つまり、窒化ケイ素)、及び/又はポリSiを未処理のシリコン基板上に塗布し、MIRRATM(Applied Materials,Inc.)研磨ツール、AP-300TM(CTS Co.,Ltd)研磨ツール、LogicoolTM研磨ツール(Logitech,Ltd.)、又はREFLEXIONTM(Applied Materials,Inc.)研磨ツールの何れかを使用して研磨した。IC1010TM研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials)又はNEXPLANARTME6088研磨パッド(Cabot Microelectronics,Aurora,IL)を、全ての組成物に対して同一の研磨パラメータで使用した。パッドは3M製の189Lディスクで調整した。特に明記されていない限り、標準REFLEXIONTM研磨パラメータは次の通りである:IC1010TMパッド、ダウンフォース=20.68kPa(3psi)、ヘッド速度=110rpm、プラテン速度=120rpm、総流量=200mL/分。特に明記しない限り、標準LogitechTM研磨パラメータは次の通りである:ダウンフォース=27.58kPa(4.0psi)、ヘッド速度=87rpm、プラテン速度=93rpm、総流量=50mL/分。特に明記されていない限り、標準AP-300TM研磨パラメータは次の通りである:IC1010TMパッド、ダウンフォース=20.68kPa(3psi)、ヘッド速度=110rpm、プラテン速度=120rpm、総流量=200mL/分。特に明記されていない限り、標準MIRRATM研磨パラメータは次の通りである:IC1010TM又はNEXPLANARTME6088パッド、ダウンフォース=27.58kPa(4psi)、ヘッド速度=57rpm、プラテン速度=63rpm、総流量=175mL/分。除去速度は、分光エリプソメトリーを使用して膜厚を測定し、初期厚から最終厚を差し引くことによって計算した。
【0154】
実施例1
この実施例は、TEOS、SiN、ポリSi、及びBPSGの除去速度に対する、シリカ砥粒粒子の種類及び約540kDaの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ポリマーの効果を実証する。
【0155】
この実施例の研磨組成物1A~1Pに使用されるシリカ砥粒粒子A1~A8を表1に示す。
【0156】
この実施例で使用されるポリマーを含む研磨組成物のそれぞれについて、540kDa MWのポリアクリル酸(PAA)を、水酸化カリウム(KOH)及びシリカ砥粒粒子A1~A8から選択されるコロイダルシリカ砥粒を含むコロイダルシリカスラリーに添加した。
【0157】
得られた組成物をユースポイントで希釈して、8重量%のコロイダルシリカ、2500ppmのKOH、及び1000ppmの540kDa MWのポリアクリル酸(PAA)を含む研磨組成物を得た。
【0158】
TEOS、SiN、ポリSi、又はBPSGを含む個別のブランケットウェーハ(200mmウェーハ)を、研磨組成物1A~1Pと共に27.6kPa(4psi)のダウンフォースでNEXPLANAR
TME6088研磨パッドを使用して、Mirra
TMツールで研磨した。組成物の動的光散乱(nm)及び粘度(cP)を測定し、TEOS、SiN、ポリSi、及びBPSGの除去速度を決定し、結果を表2に示す。
【0159】
表4に示される結果から明らかなように、1000ppmの540kDa MWのポリアクリル酸(PAA)を含んでいた研磨組成物1A、1C、1E、1G、1I、1K、1M、及び1Oは、ポリマーを含んでいなかった研磨組成物1B、1D、1F、1H、1J、1L、1N及び1Pに対して、一般に増加したTEOS、SiN、及びBPSGの除去速度を示した。これらの結果は、450kDa MWのポリアクリル酸(PAA)ポリマーを研磨組成物に添加して、TEOS、SiN、及びBPSGの除去速度を増加させることができることを実証している。
【0160】
加えて、表4に示される研磨組成物のTEOS除去速度を動的光散乱(DLS)粒径の関数としてプロットし、その結果を
図1に示す。ポリマー添加剤を含まない研磨組成物は三角形でプロットし、ポリマー添加剤を含む研磨組成物は円形でプロットしている。
図1は、DLS粒径が増加するにつれて、TEOS除去速度が一般に増加することを示している。
【0161】
実施例2
この実施例は、TEOS、SiN、及びポリSiの除去速度に対する、約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するポリマーの効果を実証する。
【0162】
この実施例の研磨組成物2B~2Rに使用されるポリマーP1~P9を表3に示す。
【0163】
この実施例で使用された研磨組成物のそれぞれについて、ポリマーP1~P9を、水酸化カリウム(KOH)と、約108nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径、約1.15の平均アスペクト比、及び約29cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有するコロイダルシリカ砥粒とを含むコロイダルシリカスラリーに添加した。
【0164】
得られた組成物をユースポイントで希釈して、8重量%のコロイダルシリカ、2500ppmのKOH、及び表4に与えられたポリマー濃度を含む研磨組成物を得た。
【0165】
TEOS又はSiNを含む個別のブランケットウェーハ(2×2インチのクーポンウェーハ)を、研磨組成物2A~2Rと共に27.6kPa(4psi)のダウンフォースでNEXPLANAR
TME6088研磨パッドを使用して、Logitech
TMツールで研磨した。組成物の粘度(cP)を測定し、TEOS、SiN、及びポリSiの除去速度を決定した。結果を表4に示す。
【0166】
表2に示された結果から明らかなように、請求項記載の発明のポリマーを含む研磨組成物は、ポリマーを含んでいなかった対照研磨組成物2Aと比較して、一般にTEOS及びSiNの増加した除去速度を示した。研磨組成物2J及び2Kはそれぞれ1.2及び1.3の測定粘度を有していた。加えて、400kDa未満の重量平均分子量を有するポリマーを含む研磨組成物2B及び2Cは、ポリマーを含んでいなかった対照研磨組成物2Aと比較して、TEOS及びSiNの低下した除去速度を示した。これらの結果は、本発明のポリマーを研磨組成物に添加して、TEOS及びSiNの除去速度を増加させることができることを実証している。
【0167】
実施例3
この実施例は、TEOSとSiNの除去速度に対するシリカ砥粒の量とポリマーの分子量の効果を実証している。
【0168】
この実施例で使用されたポリマーを含む研磨組成物のそれぞれについて、水酸化カリウム(KOH)と、約66nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径、約1.3の平均アスペクト比、及び約40cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有するコロイダルシリカ砥粒とを含むコロイダルシリカスラリーに、ポリアクリル酸(PAA)を添加した。
【0169】
得られた組成物をユースポイントで希釈して、3重量%又は5重量%のコロイダルシリカ、2500ppmのKOH、及び表5に指定される分子量を有する250ppmのポリアクリル酸ポリマーを含む研磨組成物を得た。
【0170】
TEOS又はSiNを含む個別のブランケットウェーハ(2×2インチのクーポンウェーハ)を、研磨組成物3A~3Pと共に20.68kPa(3psi)のダウンフォースでNEXPLANAR
TME6088研磨パッドを使用して、Logitech
TMツールで研磨した。組成物の動的光散乱(nm)及び粘度(cP)を測定し、TEOS及びSiNの除去速度を決定し、結果を表5に示す。
【0171】
表5に示された結果から明らかなように、3重量%又は5重量%のコロイダルシリカを含む研磨組成物について、ポリアクリル酸(PAA)ポリマーの分子量を増加させると、TEOS及びSiNの除去速度が増加した。より特定的には、約500kDaから約1250kDaの重量平均分子量を有するPAAポリマーを含む研磨組成物3I~3K及び3N~3Pが、ポリマーを含んでいなかったか、又は250kDa未満の重量平均分子量を有するPAAポリマーを含んでいた研磨組成物3A~3H及び3L~3Mと比較して、TEOS及びSiNの増加した除去速度を示した。
【0172】
3重量%又は5重量%のコロイダルシリカを含む研磨組成物3A~3Pに対するTEOS及びSiNの除去速度を、PAAポリマーの重量平均分子量の関数としてプロットし、その結果を
図2A及び
図2Bに示す。
図2A及び
図2Bにプロットされた結果から明らかなように、PAAポリマーの重量平均分子量が増加するにつれて、TEOS及びSiNの除去速度が増加する。これらの結果は、約400kDaから約7000kDaの重量平均分子量を有するポリマーを研磨組成物に添加して、TEOS及びSiNの除去速度を増加させることができることを実証している。
【0173】
3重量%又は5重量%のコロイダルシリカを含む研磨組成物3A~3PのTEOS除去速度を粘度の関数としてプロットし、その結果を
図3に示す。
図3にプロットした結果から明らかなように、研磨組成物の粘度が増加するにつれて、TEOS除去速度が増加する。
【0174】
加えて、研磨組成物3B~3K(
図4A及び4Bでは6B~6Kとして示される)に対する粘度及びTEOS除去速度を、PAAポリマーの重量平均分子量の関数としてプロットし、その結果をそれぞれ
図4A及び4Bに示す。
図4A及び4Bにプロットされた結果から明らかなように、PAAポリマーの重量平均分子量を増加させると、スラリーの粘度が増加し、これが、研磨組成物が少なくとも約1cPの粘度と約0.2cP/重量%から約1.5cP/重量%のシリカ砥粒の重量%に対する粘度(cP)の比を有している限り、TEOS除去速度を増加させる。
【0175】
実施例4
この実施例は、シリカ砥粒粒子の量がTEOSとSiNの除去速度に及ぼす効果を実証する。
【0176】
この実施例で使用されるポリマーを含む研磨組成物のそれぞれについて、900kDa MWのポリアクリル酸(PAA)を、約66nmの平均透過型電子顕微鏡(TEM)相当粒径、約1.3の平均アスペクト比、及び約40cm2/gの平均ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有するコロイダルシリカ砥粒に添加した。
【0177】
得られた組成物をユースポイントで希釈して、2500ppmのKOH、250ppmの900kDa MWのポリアクリル酸(PAA)、及び表6に指定された量のシリカ砥粒を含む研磨組成物を得た。
【0178】
TEOS又はSiNを含む個別のブランケットウェーハ(2×2インチのクーポンウェーハ)を、研磨組成物6A~6Nと共に27.6kPa(4psi)のダウンフォースでNEXPLANAR
TME6088研磨パッドを使用して、Logitech
TMツールで研磨した。組成物の動的光散乱(nm)及び粘度(cP)を測定し、TEOSとSiNの除去速度を決定した。結果を表6に示す。
【0179】
表6に示される結果から明らかなように、900kDa MWのポリアクリル酸(PAA)ポリマーを含む研磨組成物4I、4K、及び4Mは、ポリマーを含まなかった研磨組成物4J、4L及び4Nと比較して、顕著に増加したTEOS及びSiNの除去速度を示した。これらの結果は、800kDa MWのポリアクリル酸(PAA)ポリマーを研磨組成物に添加して、TEOS及びSiNの除去速度を高めることができることを実証している。
【0180】
研磨組成物4A~4Nの粘度をシリカ砥粒粒子の量の関数としてプロットし、その結果を
図5に示す。ポリマー添加剤を含まない研磨組成物は三角形でプロットされ、ポリマー添加剤を含む研磨組成物は円形でプロットされる。
図5は、シリカ砥粒粒子の量が増加するにつれて粘度が増加することを示している。更に、900kDa MWのポリアクリル酸(PAA)ポリマーの添加により、全てのシリカ砥粒粒子充填量に対して研磨組成物の粘度が劇的に増加する。
【0181】
加えて、研磨組成物4A~4NのTEOS及びSiN除去速度をシリカ砥粒粒子の量又は粘度の関数としてプロットし、その結果を
図6A~6Dに示す。ポリマー添加剤を含まない研磨組成物は三角形でプロットし、ポリマー添加剤を含む研磨組成物は円形でプロットしている。
図6A~6Dにプロットされた結果から明らかなように、シリカ砥粒粒子の量及び粘度が増加するにつれて、TEOS及びSiN除去速度が増加する。更に、
図6A~6Dは、900kDa MWのポリアクリル酸(PAA)ポリマーを含む研磨組成物4A、4C、4E、4G、4I、4K、及び4Mが、全シリカ砥粒粒子充填量及び粘度で、ポリマーを含んでいなかった研磨組成物4B、4D、4F、4H、4J、4L、及び4Nよりも概して性能が優れていたことを示している。TEOS除去速度の劇的な増加は、250ppmの800kDa MWのポリアクリル酸(PAA)ポリマーを含む3重量%のシリカで起こったが、他の本発明のポリマーは、約3重量%又はそれ以上のシリカ濃度で同等のTEOS除去速度をもたらすことが期待されうる。
【0182】
実施例5
この実施例は、非イオン性ポリマーの分子量の効果、よってスラリー粘度の増加がTEOSとSiNの除去速度に及ぼす効果を実証する。
【0183】
先に記載されたように、様々な分子量(MW)のヒドロキシエチルセルロース(HEC)を、2000ppm(重量)のKOH及び5重量%のコロイダルシリカを含む水溶液に添加した。ポリマーは500ppm(重量)の濃度で試験した。TEOS又はSiNを含む個別のブランケットウェーハ(2×2インチのクーポンウェーハ)を、E6088パッド、3M A189Lコンディショナー、及び3psiのダウンフォースを使用してLogitechツールで研磨した。組成物の粘度(cP)を測定し、TEOSとSiNの除去速度を決定した。結果を表7に示す。
【0184】
表7のデータは、低MWの非イオン性ポリマー(HEC)(90k MW)をスラリーに添加すると、ポリマーを含まない対照と比較して、スラリー粘度又は除去速度に影響が観察されないことを示している。しかし、高MWの非イオン性ポリマー(HEC 1.3M MW)を添加すると、粘度が2cpを超えて増加し、TEOS除去速度が959A/分から1374A/分に増加する。
【0185】
ここに引用された刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、あたかも各参考文献が出典明示により援用されることが個別かつ具体的に示され、その全体がここに記載されるのと同じ程度まで、出典明示によりここに援用される。
【0186】
本発明を記述する文脈(特に特許請求の範囲の文脈)における「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも一つ」という用語及び類似の指示対象の使用は、ここに別段の指示がない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の双方を包含すると解釈されるべきである。一又は複数の項目のリストに続く「少なくとも一つ」という用語の使用(例えば、「A及びBの少なくとも一つ」)は、ここに別段の指示がない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(A又はB)又は列挙された項目の二つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)から選択される一つの項目を意味すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」という用語は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、それらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。ここでの値の範囲の記載は、ここに別段の指示がない限り、その範囲内に入るそれぞれの個別の値を個別に参照する簡略的な方法として機能することを単に意図しており、それぞれの個別の値は、あたかもここに個別に記載されているかのように明細書に援用される。ここに記載される全ての方法は、ここに別段の指示がない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図しており、別に請求項に記載されない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書の如何なる文言も、請求項に記載されていない任意の要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0187】
本発明を実施するための発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施態様がここに記載されている。これらの好ましい実施態様の変形態様は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形態様を必要に応じて用いることを期待しており、本発明がここに具体的に記載されている以外の形で実施されることを意図している。従って、本発明は、適用される法律によって認められる、ここに添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更及び均等物を含む。更に、ここに別段の指示がない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、それらのあらゆる可能な変形態様における上述の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【国際調査報告】