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特表2024-535474両面PVDスパッタリングのための真空中での基板反転
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】両面PVDスパッタリングのための真空中での基板反転
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C23C14/34 J
H01L21/68 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519681
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022041389
(87)【国際公開番号】W WO2023059405
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】17/493,283
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペンメサ, ハリシュ
(72)【発明者】
【氏名】パラニスワミ, スレーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラジャマニッカム, ディネシュ
(72)【発明者】
【氏名】アソカン, ナレーシュ クマール
【テーマコード(参考)】
4K029
5F131
【Fターム(参考)】
4K029BA03
4K029BA04
4K029BA05
4K029BA08
4K029BA12
4K029BA16
4K029BA17
4K029BA21
4K029CA05
4K029DC03
4K029JA02
4K029JA06
5F131AA03
5F131AA21
5F131CA09
5F131CA22
5F131CA32
5F131DA02
5F131DA54
5F131DA62
5F131EA03
5F131EA24
5F131EA25
5F131EB62
5F131EB63
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
スループットを増大させるためにそれぞれの側のPVDスパッタリング間に真空中で基板を反転させるための装置および方法が本明細書に提供される。本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、真空中で基板を反転させるための処理システムのモジュールが提供される。モジュールは、基板を固定するためのクランプアセンブリと、クランプアセンブリを回転させるためにクランプアセンブリに結合された第1のモータアセンブリと、第1のモータアセンブリおよびクランプアセンブリを昇降させるために第1のモータアセンブリに結合された第2のモータアセンブリと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中で基板を反転させるための処理システムのモジュールであって、
基板を固定させるためのクランプアセンブリと、
前記クランプアセンブリを回転させるために前記クランプアセンブリに結合された第1のモータアセンブリと、
前記第1のモータアセンブリおよび前記クランプアセンブリを昇降させるために前記第1のモータアセンブリに結合された第2のモータアセンブリと、を備える、モジュール。
【請求項2】
軸受支持部を有する滑動部であって、前記第1のモータアセンブリの反対側の前記クランプアセンブリに結合される、滑動部をさらに備え、前記滑動部は、
前記第1のモータアセンブリによる前記クランプアセンブリの回転、および、
前記第2のモータアセンブリによる前記クランプアセンブリの昇降を支持する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記クランプアセンブリ、前記第1のモータアセンブリ、および前記滑動部はそれぞれ、真空中に配設される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記クランプアセンブリは、
第1のプレートと、
前記第1のプレートに平行な第2のプレートであって、前記第1のプレートの平面に垂直な方向において前記第1のプレートに移動可能に結合される、第2のプレートと、
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートのそれぞれに結合された一対のばね付き連結部であって、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートをクランプ位置へと互いの方へ偏らせる、一対のばね付き連結部と、を備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートはそれぞれ、前記基板の縁部を支持するためのレッジを全体的に形成する複数のL字形部品を備え、
前記複数のL字形部品のそれぞれは、対応する前記プレートから、前記第1のプレートの前記平面に垂直な方向に延在し、
前記クランプ位置において、前記複数のL字形部品のそれぞれは、対向する前記プレートにおける対応する開口部を通して配置され、
開位置において、前記複数のL字形部品のそれぞれは、前記基板を前記プレートのうちの1つの前記レッジ上に搬入するために、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の空間に配置される、請求項4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートはそれぞれ、前記基板の搬入を可能にするためにL字形部品がない縁部を含む、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記モジュールは、前記クランプアセンブリを開位置に移動させるために前記第1のプレートまたは前記第2のプレートのうちの1つに接触するように構成される一対のリフトピンをさらに備える、請求項4に記載のモジュール。
【請求項8】
前記第1のモータアセンブリの本体に結合された前記第2のモータアセンブリのアクチュエータと、
前記アクチュエータを取り囲むベローであって、
前記アクチュエータおよび前記本体は真空中に配設され、
前記第2のモータアセンブリは大気中に配設される、ベローと、をさらに備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項9】
堆積チャンバと、
前記堆積チャンバに結合された移送チャンバと、
前記移送チャンバに結合されたロードロックチャンバであって、真空中で基板を反転させるためのモジュールを含む、ロードロックチャンバと、を備える、処理システム。
【請求項10】
前記モジュールは、
前記基板を固定させるためのクランプアセンブリと、
前記クランプアセンブリを回転させるための第1のモータアセンブリと、
前記クランプアセンブリを昇降させるための第2のモータアセンブリと、を備える、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
前記堆積チャンバ、前記移送チャンバ、および前記ロードロックチャンバは、真空状態にある、請求項9に記載の処理システム。
【請求項12】
前記堆積チャンバは、物理的気相堆積(PVD)チャンバを備える、請求項9に記載の処理システム。
【請求項13】
前記移送チャンバに結合された前洗浄チャンバをさらに備える、請求項9に記載の処理システム。
【請求項14】
前記ロードロックチャンバは、前記基板を前記システムから搬出するためのドアを備え、前記システムは、別の基板を前記システムに搬入するための別のロードロックチャンバをさらに備える、請求項9に記載の処理システム。
【請求項15】
基板を反転させる方法であって、
ロードロックチャンバにおいて前記基板を受けることであって、前記ロードロックチャンバは前記基板を反転させるためのモジュールを備える、前記基板を受けることと、
真空中で前記基板を反転させることと、を含む、方法。
【請求項16】
第1の上昇位置にクランプアセンブリを位置付けることであって、前記クランプアセンブリでは第1のプレートが第2のプレートより上に配設されている、クランプアセンブリを位置付けることと、
前記クランプアセンブリが開放された状態で、前側が上を向いている前記基板を前記第1のプレート上で受けることと、
第1のモータアセンブリを使用して前記クランプアセンブリを反転位置まで下降させることと、
第2のモータアセンブリを使用して前記クランプを180度回転させることと、
第2の上昇位置まで前記クランプアセンブリを上昇させることであって、前記第2の上昇位置において、前記基板は前記前側が下を向くように前記第2のプレート上に配置される、前記クランプアセンブリを上昇させることと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反転位置まで前記クランプアセンブリを下降させることは、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に前記基板をクランプするために前記第2のプレートに対して前記第1のプレートを下降させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のプレートに対して前記第1のプレートを下降させることは、一対のばね付き連結部が前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを互いの方へ偏らせることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記クランプアセンブリを前記第2の上昇位置まで上昇させることは、前記クランプアセンブリを開放するために前記第1のプレートに対して前記第2のプレートを上昇させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のプレートに対して前記第2のプレートを上昇させることは、前記第2のプレートを上昇させる際に前記第1のプレートの位置を維持するように前記第1のプレートを一対のリフトピンと接触させることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般的に、電子デバイス製造プロセスにおける基板の両面物理気相堆積(PVD)スパッタリングに関し、より詳細には、それぞれの面のPVDスパッタリング間に真空中で基板を反転させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス製造における基板処理は、多くの場合、基板の両面で堆積プロセスを行うことを伴う。しかしながら、プロセスチャンバは、典型的には、基板の上面または下面などにおいて、一度に1つの表面上でのみ材料を堆積するように設計される。したがって、堆積プロセス間でチャンバに対して基板を反転させるまたは基板の向きを変えることが必要であることが多い。
【0003】
これは、とりわけ、パネルなど、一部の大面積基板を処理するときの課題である。本明細書で使用される際、「パネル」という用語は、大表面積のポリマー材料を含有する大面積基板を指す場合がある。例えば、一般のパネルサイズは600mm×600mmであり得る。一般のパネル材料は、味の素ビルドアップフィルム(ABF)、銅張積層板(CCL)、表面にポリマーを塗布したパネル、ガラスなどを含む可能性がある。パネル上に大面積のポリマー材料があるせいで、パネルは多くの湿気を吸収する。したがって、良好な接触抵抗を実現するために、パネルからの全ての放出ガスの除去と汚染の除去のために、非常に効率的なガス抜きが必要とされる。
【0004】
基板/パネルの両面でPVDスパッタリングを行うために、基板/パネルは、クラスタツールの真空チャンバから取り去られ大気中で反転させる。これを実行すると、基板/パネル上で吸収された湿気を取り去るための追加のガス抜き処理が必要とされる。ガス抜きには、数十分、場合によっては約40分かかり得るため、この追加のガス抜き処理はスループットに非常に悪い影響を及ぼす。
【0005】
両面から同時にスパッタリングするためにPVDチャンバにおいて基板/パネルを垂直に保持しようと試みられている。しかしながら、この手法では、基板/パネルに対する能動冷却が行われず、望ましくないアーク放電が生じる可能性がある。
【0006】
それ故に、当技術分野では、それぞれの側のPVDスパッタリング間に真空中で基板を反転させるための装置および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に説明される実施形態は、一般的に、電子デバイス製造プロセスにおける基板の両面物理気相堆積(PVD)スパッタリングに関する。より詳細には、本明細書に説明される実施形態は、それぞれの面のPVDスパッタリングの間に真空中で基板を反転させるための装置および方法を提供する。
【0008】
1つの実施形態では、処理システムは、堆積チャンバと、堆積チャンバに結合された移送チャンバと、移送チャンバに結合されたロードロックチャンバであって、真空中で基板を反転させるためのモジュールを有するロードロックチャンバと、を含む。
【0009】
別の実施形態では、真空中で基板を反転させるための処理システムのモジュールは、基板を固定させるためのクランプアセンブリと、クランプアセンブリを回転させるためにクランプアセンブリに結合された第1のモータアセンブリと、第1のモータアセンブリおよびクランプアセンブリを昇降させるために第1のモータアセンブリに結合された第2のモータアセンブリと、を含む。
【0010】
別の実施形態では、基板を反転させるための方法は、ロードロックチャンバ内に基板を受け入れることであって、ロードロックチャンバは基板を反転させるためのモジュールを有する、基板を受けることを含み、該方法は、真空中で基板を反転させることを含む。
【0011】
本開示の上記の列挙した特徴が詳細に理解され得るように、上に簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、一部が添付の図面に示されている実施形態を参照して行われる場合がある。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しているため、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、本開示では、他の等しく効果的な実施形態が認められ得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ある特定の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略的な上面図である。
図2】ある特定の実施形態による、フリッパーモジュールを使用して真空中で基板を反転させる方法を示す図である。
図3】ある特定の実施形態による、フリッパーモジュールを含む図1の基板処理システムの一部分の概略的な上面等角図である。
図4A】ある特定の実施形態による、フリッパーモジュールを含む図1の基板処理システムの一部分の概略的な上面等角図である。
図4B】ある特定の実施形態による、図4Aに示される位置におけるフリッパーモジュールの部分的な側断面図である。
図4C】ある特定の実施形態による、図4Aに示される位置におけるフリッパーモジュールの部分的な側断面図である。
図4D】ある特定の実施形態による、図4Bの一部分の拡大図である。
図4E】ある特定の実施形態による、クランプアセンブリの分解組立図である。
図4F】ある特定の実施形態による、図4Bに示される位置におけるクランプアセンブリの一部分の上面等角図である。
図5A】ある特定の実施形態による、クランプ位置におけるフリッパーモジュールの部分的な側断面図である。
図5B】ある特定の実施形態による、図5Aの一部分の拡大図である。
図5C】ある特定の実施形態による、クランプアセンブリの分離部分の上面等角図である。
図5D】ある特定の実施形態による、図5Aに示される位置におけるクランプアセンブリの一部分の上面等角図である。
図6】ある特定の実施形態による、図2の方法の反転位置におけるフリッパーモジュールの部分的な側断面図である。
図7】ある特定の実施形態による、図2の方法のさらに別の段階におけるフリッパーモジュールの上面等角図である。
図8】ある特定の実施形態による、図2の方法のさらに他の段階におけるフリッパーモジュールの部分的な側断面図である。
図9】ある特定の実施形態による、図2の方法のさらに別の段階におけるフリッパーモジュールの部分的な側断面図である。
図10】ある特定の実施形態による、図2の方法のさらに別の段階におけるフリッパーモジュールの部分的な側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするために、同一の参照番号が、可能な場合に、図に共通である同一の要素を明示するために使用されている。1つの実施形態の要素および特徴がさらに詳述せずに他の実施形態に有利に組み入れられてよいことが考えられる。
【0014】
本明細書に説明される実施形態は、一般的に、電子デバイス製造プロセスにおける基板の両面物理気相堆積(PVD)スパッタリングに関する。より詳細には、本明細書に説明される実施形態は、それぞれの側のPVDスパッタリング間に真空中で基板を反転させるための装置および方法を提供する。
【0015】
本明細書に説明される実施形態は、基板が真空から取り去られ大気中で反転させる従来の手法とは対照的に、真空から基板を取り去ることなく基板の両側でのPVDスパッタリングを可能にする。真空中でこのプロセスを行うことは、追加のガス抜き処理を省き、かつスループットを向上させる。
【0016】
本明細書に説明される実施形態は、基板を垂直に保持することなく基板の両面でのPVDスパッタリングを可能にする。水平に配置された基板上でスパッタリングを行うことによって、能動冷却が可能になり望ましくないアーク放電が防止される。
【0017】
本明細書に説明される実施形態は、既存のまたは新たな処理システムの設置面積を増大することなくロードロックチャンバ内で真空中で基板を反転させるための装置を提供する。本明細書に説明される実施形態は、従来の基板に加えて、真空中での大面積基板の反転を可能にする。
【0018】
例示的な基板処理システム
図1は、ある特定の実施形態による、例示的な基板処理システム100(「処理プラットフォーム」とも称される)の概略的な上面図である。ある特定の実施形態では、基板処理システム100は、とりわけ、上述されるようなパネルなどの大面積基板を処理するように構成される。基板処理システム100は一般的に、以下に詳細に説明されるように、基板を処理システム100に搬入するための機器フロントエンドモジュール(EFEM)102と、EFEM102に結合される第1のロードロックチャンバ104と、第1のロードロックチャンバ104に結合される移送チャンバ106と、移送チャンバ106に結合される複数の他のチャンバと、を含む。移送チャンバ106の周りで第1のロードロックチャンバ104から反時計回りに進むと、処理システム100は、第1の専用ガス抜きチャンバ108と、第1の前洗浄チャンバ110と、第1の堆積チャンバ112と、第2の前洗浄チャンバ114と、第2の堆積チャンバ116と、第2の専用ガス抜きチャンバ118と、第2のロードロックチャンバ120と、を含む。第2のロードロックチャンバ120は、以下により詳細に説明されるように、真空中で基板を反転させるためのフリッパーモジュールを含む。ある特定の実施形態では、第2のロードロックチャンバ120に結合されたターボ分子ポンプを使用して真空状態を引き起こす。しかしながら、他のタイプの真空ポンプも考えられる。ある特定の実施形態では、移送チャンバ106および移送チャンバ106に結合されたそれぞれのチャンバは真空状態にある。本明細書で使用される際、「真空」という用語は、約10-2Paを下回る圧力を指す場合がある。しかしながら、一部の高真空システムは10-5Paを下回って動作し得る。
【0019】
ある特定の実施形態では、基板は、第1のロードロックチャンバ104においてドア(「スリットバルブ」とも称される)を通して処理システム100に搬入され、第2のロードロックチャンバ120においてドアを通して処理システム100から搬出される。ある特定の実施形態では、積み重なった基板は、第1のロードロックチャンバ104内に配置されるカセット内で支持される。第1のロードロックチャンバ104がポンプダウンされると、移送チャンバ106にあるロボットを使用してカセットから一度に1つの基板が取り出される。1つの実施形態では、第2のロードロックチャンバ120は、処理がそれぞれの面で行われた後に一枚の基板を受けとり、かつ処理された基板をEFEM102に搬出する。第2のロードロックチャンバ120は、基板を両面が処理された後の基板を受けとり、かつ基板をEFEM102に搬出するための上側チャンバ部分125(図3)と、片面が処理された基板をもう片面を処理するために反転させるためのフリッパーモジュール130(図3)を含む下部分とを含むデュアルチャンバであってよい。しかしながら、他の搬出入構成も考えられる。
【0020】
基板の前洗浄は、基板表面から酸化物などの不純物を取り去ることで、堆積チャンバに堆積した金属膜が基板から電気的に絶縁されないようにするために重要である。第1の堆積チャンバ112および第2の堆積チャンバ116と同じ真空環境を共有する第1の前洗浄チャンバ110および第2の前洗浄チャンバ114において前洗浄を行うことによって、基板は、大気にさらされることなく洗浄チャンバから堆積チャンバに移送可能である。これによって、移送中の堆積上の不純物の形成が防止される。さらに、堆積チャンバへの洗浄済み基板の移送中に基板処理システム100において真空が維持されるため、真空ポンプダウンサイクルが低減される。
【0021】
ある特定の実施形態では、前洗浄チャンバおよび堆積チャンバのそれぞれの中で一度に1つの基板のみが処理される。代替的には、複数の基板、例えば、4~6枚の基板が一度に処理され得る。そのような実施形態では、基板は各チャンバ内の回転可能なペデスタル上に配設されてよい。ある特定の実施形態では、第1の前洗浄チャンバ110および第2の前洗浄チャンバ114は、基板表面をエッチングするための前洗浄エッチングチャンバである。しかしながら、他のタイプの前洗浄チャンバも考えられる。ある特定の実施形態では、前洗浄チャンバのうちの1つまたは両方が、反応性スパッタリングによる、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、または他の材料などの反応性スパッタリングプロセスを行うために堆積チャンバと置き換えられる。ICPチャンバにおいて、チャンバの最上部のコイルは、チャンバにおいて励起場を生じさせるために外部RF源によって励磁される。アルゴンガスが外部ガス源からチャンバを通して流れる。チャンバにおけるアルゴン原子はRFエネルギーによってイオン化される(帯電する)。基板が置かれているアルミニウム製ペデスタルに結合されたDCバイアス源によって基板にバイアスがかけられる。帯電した原子が基板に引き寄せられて、基板表面のエッチングがもたらされる。所望のエッチング速度およびエッチングされる材料に応じて、アルゴン以外の他のガスが使用され得る。基板表面のフィーチャーをエッチングするプロセスとは対照的に、洗浄プロセスの一部としてエッチングする場合のイオン化エネルギーレベルは比較的低くてよい。エネルギーが低いため、基板上で既に形成されている回路デバイスやフィーチャーの損傷が回避される。
【0022】
ある特定の実施形態では、第1の堆積チャンバ112および第2の堆積チャンバ116はPVDチャンバである。そのような実施形態では、PVDチャンバは、銅、チタン、アルミニウム、金、ニッケル、ニッケルバナジウム、銀、および/またはタンタルを堆積するように構成され得る。しかしながら、他のタイプの堆積プロセスおよび材料も考えられる。PVDチャンバにおいて、基板の後面全体は、ペデスタルと電気的にかつ熱的に接触している。予測可能で信頼性が高い薄膜を得るためにスパッタリングプロセス中に基板の温度を制御することは、重要である。クーラントシステムは、ペデスタルにおける冷却管に流体を供給する外部冷却源を含む。冷却源は、スパッタリングプロセスとは無関係にワークピース温度を上昇させるための加熱源と置き換えられてまたはこれによって増強させてよい。
【0023】
ある特定の実施形態では、RFバイアス源は、ペデスタルに電気的に結合されてペデスタルを励磁することで基板を励磁してスパッタリングプロセスを行う。基板/パネルが、例えば、良好なステップカバレッジを必要とするフィーチャーを有する場合、基板バイアス(RFバイアス)が使用され得る。代替的には、ペデスタルは、DC電圧源のみによって、接地されたり、フローティング(=浮遊)されたり、またはバイアスがかけられたりできる。
【0024】
動作中、チャンバは真空状態にされ、再びアルゴンガスが充填される。ガスは、DC源によって励磁されてチャンバ内で電磁場と結合して、ターゲット面近くで持続的な高密度プラズマを励起する。ターゲット面近くに閉じ込められたプラズマは、正イオン(Ar+など)および自由電子を含有する。プラズマ内のイオンは、ターゲット面に衝突してターゲットから材料をスパッタリングする。基板は、スパッタリングされた材料を受けて基板表面上に堆積層を形成する。1つの例では、20キロワットものDC電源をターゲット上に与えて、ターゲットが基板上に毎秒およそ1ミクロンの材料を堆積できるようにする。
【0025】
スパッタリングチャンバは、真空外でマグネトロンアセンブリを使用して、プラズマによるターゲットの衝撃をさらに制御する。ある特定の実施形態では、固定された永久磁石が(堆積源としての役割を果たすように)ターゲットの後方に配置され、それによって、プラズマはターゲット領域に閉じ込められる。他の場合では、磁石は、さらに一層のターゲット浸食に対してターゲット上に磁場を均一に分散するのに役立つようにターゲットの裏側にわたって走査される。その結果、磁場は、電子トラップとしての機能を果たす閉ループ環状経路を形成し、ターゲットから放出された二次電子の軌道をサイクロイド軌道に再形成し、閉じ込めゾーン内のスパッタリングガスのイオン化の確率を大幅に増大させる。アルゴンなどの不活性ガスは通常、スパッタリングガスとして用いられるが、これは、不活性ガスがターゲット材料と反応せず、いずれのプロセスガスとも結合したりもせず、それら不活性ガスの分子量が大きいためスパッタリング速度や堆積速度が高いことが理由である。プラズマからの正電荷を持つアルゴンイオンは、負のバイアスがかけられたターゲットの方に加速されターゲットに影響を及ぼすことで、材料がターゲット表面からスパッタリングされることになる。
【0026】
チャンバ壁は、典型的には、処理動作時に電気的に接地される。基板に対するバイアス電圧は、帯電種のフラックス(ターゲットからスパッタリングされたAr+および/または原子蒸気)を基板へと動かすことができる。このフラックスは、基板上のスパッタリングされた材料の特性、例えば密度を変更する可能性がある。
【0027】
ある特定の実施形態では、チャンバガスは、最上部からではなくチャンバの底部における分配チャネルによって提供されることで、スパッタリングプロセス中の粒子汚染が減少し、マグネトロンアセンブリの最適化が可能になる。
【0028】
例示的なフリッパーモジュールおよびその使用方法
図2は、ある特定の実施形態による、第2のロードロックチャンバ120のフリッパーモジュール130を使用して真空中で基板122を反転させる方法200を示す図である。図3は、ある特定の実施形態による、図1の基板処理システム100の概略的な上面等角図である。図3では、明確にするために移送チャンバ106および第2のロードロックチャンバ120のみが示されていることに留意されたい。示されるように、ロードロックチャンバ120は、両側での処理後に基板を受けかつ搬出するように構成される上側チャンバ部分125と、第1の側で処理される基板を受け、かつ第2の側で処理するために基板を反転させるように構成される下側チャンバまたはフリッパーモジュール130とを含む。また、移送チャンバ106の上部分が移送チャンバ106の内部を示すためにさらに省かれていることに留意されたい。
【0029】
図3に示される位置において、基板122は移送チャンバ106に配置されている。基板122の縁部は移送ロボット124のエンドエフェクタと接触している。基板122、および移送ロボット124のエンドエフェクタは、ロードロックチャンバ120のフリッパーモジュール130のドアと位置合わせされる。図3に示される配向では、基板122の前側122aは上方に向いており、裏側122bはエンドエフェクタによって下から支持される。この例では、基板122はパネルである。しかしながら、本開示の装置および方法は、多くの異なるタイプの基板で実施されてよい。
【0030】
図4Aは、ある特定の実施形態による、図1の基板処理システム100の概略的な上面等角図である。図4Aに示されるように、工程202では、基板122はフリッパーモジュール130に移送される。図4Aでは、明確にするために、図3の、移送チャンバ106、および第2のロードロックチャンバ120のフリッパーモジュール130のみが示されていることに留意されたい。また、それぞれのチャンバの上部分が、それぞれの対応するチャンバの内部を示すためにさらに省かれていることに留意されたい。図4Aに示されるように、移送ロボット124は、基板122を移送チャンバ106からフリッパーモジュール130のハウジング131内に移動するように作動する。
【0031】
図4B図4Cは、ある特定の実施形態による、図4Aに示される位置におけるロードロックチャンバ120の上部分および下部分をそれぞれ示す部分的な側断面図である。図4B図4Cに示されるように、フリッパーモジュール130は一般的に、基板122を固定するためのクランプアセンブリ140と、クランプアセンブリ140を回転させるためにクランプアセンブリ140に結合された第1のモータアセンブリ132と、第1のモータアセンブリ132およびクランプアセンブリ140を昇降させるために第1のモータアセンブリ132に結合された第2のモータアセンブリ134とを含む。第1のガイドブロック156はクランプアセンブリ140と第1のモータアセンブリ132との間に結合される。第2のガイドブロック158は、第1のモータアセンブリ132の反対側のクランプアセンブリ140に結合される。第2のモータアセンブリ134のアクチュエータ135は、第1のモータアセンブリ132を昇降させるために第1のモータアセンブリ132の本体133に結合される。図4B図4Cに示されるように、アクチュエータ135、つまりクランプアセンブリ140は、完全上昇位置(「搬入位置」とも称される)にある。アクチュエータ135および本体133はそれぞれ真空中に配設されるのに対し、第2のモータアセンブリ134は大気中に配設される。フリッパーモジュール130のハウジング131の真空を維持するために、ベロー137がアクチュエータ135を取り囲み、かつハウジング131と第2のモータアセンブリ134との間のシールを形成する。
【0032】
クランプアセンブリ140は、第1のプレート142と、第1のプレート142に平行な第2のプレートとを含む。図4Bに示されるように、クランプアセンブリ140は、第1のプレート142および第2のプレート144が互いから間隔があけられている開位置にある。一対のリフトピン152は、以下により詳細に説明されるように、クランプアセンブリ140を開位置に移動させるために第1のプレート142または第2のプレート144のうちの1つに接触するように構成される。一対のリフトピン152はハウジング131の上側表面168に結合される。図4Bの断面には1つのリフトピンのみが示されているが、第2のリフトピンはハウジング131の斜め向かいに位置している。一対のリフトピン152は、上側表面168から、各々の第1のプレート142および第2のプレート144の対向する隅に位置している対応する耳154a~b(図4Eに示されている)に接触する下端170へと下方に延在する。図4Bに示される配向では、一対のリフトピン152は、図4Dにより詳細に示されるように、第1のプレート142が第2のモータアセンブリ134によってさらに上方に移動すると、上側表面168に対する固定位置に第2のプレート144を保持するように第2にプレート144に接触する。
【0033】
図4Dは、ある特定の実施形態による、図4Bの一部分の拡大図である。図4Dにさらに詳細に示されるように、フリッパーモジュール130は軸受支持部138を有する滑動部136を含む。滑動部136は、第1のモータアセンブリ132の反対側の、軸受支持部138および第2のガイドブロック158を通してクランプアセンブリ140に結合される。軸受支持部138は、回転可能な軸受164を通して第1のモータアセンブリ132によるクランプアセンブリ140の回転を支持する。軸受支持部138は、第2のモータアセンブリ134によるクランプアセンブリ140の昇降を支持するために滑動部136上で移動可能である。第2のロードロックチャンバ120が真空状態にあるとき、クランプアセンブリ140、第1のモータアセンブリ132、および滑動部136はそれぞれ、真空中に配設される。
【0034】
第2のガイドブロック158は、クランプアセンブリ140と軸受支持部138との間に結合される。第2のガイドブロック158は、第1のプレート142上の対応するピン166aに適合する第1の溝160aと、第2のプレート144上の対応するピン166bに適合する、第1の溝160aと位置合わせされた第2の溝160bとを有する。第1の溝160aおよび第2の溝160bは壁162によって分離される。図4Dに示されるように、第1のプレート142のピン166aと壁162との接触によって、第1のプレート142は、第2のプレート144が一対のリフトピン152と接触後に停止した後でもさらに上方に移動する。ある特定の実施形態では、第1のガイドブロック156および第2のガイドブロック158は、構造的および機能的に同等である。
【0035】
図4Eは、ある特定の実施形態による、クランプアセンブリ140の分解組立図である。図4Eに示されるように、第1のプレート142および第2のプレート144はそれぞれ、複数のL字形部品148(148a~b)を備える。それぞれの対応するプレートのL字形部品148は、基板122の縁部を支持するためのレッジを全体的に形成する。複数のL字形部品148のそれぞれは、対応するプレートから、第1のプレート142の平面に垂直な方向に延在する。移送チャンバ106の最も近くに位置している第1のプレート142および第2のプレート144のそれぞれの縁部(例えば、図4Eに示される図ではそれぞれのプレートの後部左縁)は、移送チャンバ106からの基板122の搬入を可能にするためにL字形部品148を有さない。
【0036】
図4Fは、ある特定の実施形態による、図4Bに示される位置におけるクランプアセンブリ140の一部分の上面等角図である。図4Fに示されるように、第2のプレート144は、第1のプレート142の平面に垂直な方向において第1のプレート142に移動可能に結合される。図4Fに示される配向では、第1のプレート142は第2のプレート144より上に配設される。第1のプレート142および第2のプレート144は、共に、一対のばね付き連結部146と結合される。一対のばね付き連結部146は、第1のプレート142および第2のプレート144を互いの方に偏るようにして、第1のプレート142および第2のプレート144を開位置(図4Fに示される)からクランプ位置(図5Dに示される)に移行させる。それぞれのばね付き連結部146は、第1のプレート142および第2のプレート144における対応する開口を通して配設されたピン172と、ピン172の両端に配設された一対のばね174とを含む。
【0037】
開位置(図4Fに示される)において、複数のL字形部品148のそれぞれは、基板122をプレートのうちの1つのレッジ上に搬入するように、第1のプレート142と第2のプレート144との間の空間に配設される。図4Fに示される配向では、基板122の裏側122bは、第1のプレート142のL字形部品148aと接触してこのL字形部品148aによって下から支持される。
【0038】
図5Aは、ある特定の実施形態による、クランプ位置における第2のロードロックチャンバ120のフリッパーモジュール130の部分的な側断面図である。図5Aに示されるように、工程204において、基板122はクランプアセンブリ140において固定される。第1のプレート142および第2のプレート144を開位置(図4Bに示される)からクランプ位置(図5Aに示される)に移動させるために、第2のモータアセンブリ134のアクチュエータ135が引き込まれることで、第1のモータアセンブリ132および第1のプレート142が第2のプレート144に対して下降する。一対のばね付き連結部146によって第1のプレート142を第2のプレート144の方へ偏らせる。図5Aに示されるように、クランプアセンブリ140は一部上昇位置にある。クランプ位置において、基板122は、第1のプレート142および第2のプレート144と直接接触してこれらの間に基板122を固定する。図5Aの配向では、前側122aは第1のプレート142と接触しており、裏側122bは第2のプレート144と接触している。さらに、前側122aは上方に向いており、裏側122bは下方に向いている。
【0039】
図5Bは、ある特定の実施形態による、図5Aの一部分の拡大図である。図5Bに示されるように、クランプ位置において、一対のばね付き連結部146は、第2のガイドブロック158に対してクランプアセンブリ140がセンタリングされるように、第1のプレート142および第2のプレート144のそれぞれを偏らせて壁162に接触させる。
【0040】
図5Cは、ある特定の実施形態による、クランプアセンブリ140の分離部分の上面等角図である。図5Cに示されるように、第1のプレート142および第2のプレート144はそれぞれ、基板と接触する「+」形状バッキング176を有する。しかしながら、その他の形状も考えられる。したがって、基板122とそれぞれの対応するプレートとの接触は、基板122の全領域に接触するのではなく、バッキングの比較的小さい断面積のみに限定される。
【0041】
図5Dは、ある特定の実施形態による、図5Aに示される位置におけるクランプアセンブリ140の一部分の上面等角図である。図5Dに示されるように、クランプ位置において、複数のL字形部品148のそれぞれは、第1のプレート142および第2のプレート144を基板122に接触するほどすぐそばに移動させることができるように、対向するプレートにおける対応する開口部を通して配置される。
【0042】
工程206において、クランプアセンブリ140は(図6に示される)反転位置へと下降させられる。クランプアセンブリ140を反転位置まで移動させるために、第2のモータアセンブリ134のアクチュエータ135は、一部上昇位置より下にさらに引き込まれ、この地点で、第2のプレート144と一対のばね付き連結部146との接触が解除される。アクチュエータ135を引き込み続けると、第1のモータアセンブリ132およびこれに結合されたクランプアセンブリ140が下降する。ある特定の実施形態では、第2のモータアセンブリ134は、完全上昇位置(図4Bに示される)および反転位置(図6に示される)において停止するようにプログラムされた電動機または空気モータを含む。ある特定の実施形態では、モータは歯車駆動部およびベルト駆動部を含む。ある特定の実施形態では、第2のモータアセンブリ134は電動または空気圧式のリニアアクチュエータを含む。しかしながら、他のタイプのアクチュエータも考えられる。
【0043】
工程208では、クランプアセンブリ140は約180度回転する。図7は、90度回転したクランプアセンブリ140の配向を示す第2のロードロックチャンバ120のフリッパーモジュール130の上面等角図である。図8は、180度回転したフリッパーモジュール130の部分的な側断面図である。クランプアセンブリ140は、第1のモータアセンブリ132を作動させることによって回転する。ある特定の実施形態では、第1のモータアセンブリ132は、180度ごとに停止するようにプログラムされた電動機または空気モータを含む。ある特定の実施形態では、第1のモータアセンブリ132は、180度電動または空気圧アクチュエータを含む。しかしながら、他のタイプのアクチュエータも考えられる。クランプアセンブリ140およびここに固定されている基板122の配向は、クランプアセンブリ140が約180度回転した後、逆になる(図8に示される)。図8に示される配向では、前側122aは下方に向いており、裏側122bは上方に向いている。前側122aは第1のプレート142と接触したままであり、裏側122bは第2のプレート144と接触したままである。
【0044】
工程210において、クランプアセンブリ140を一部上昇位置まで上昇させる(図9に示される)。クランプアセンブリ140を一部上昇位置まで移動させるために、第2のモータアセンブリ134のアクチュエータ135を拡張し、それによって、第1のモータアセンブリ132およびこれに結合されたクランプアセンブリ140が上昇する。図9に示される配向では、一対のリフトピン152は、第2のプレート144をその後上昇させる間、上側表面168に対する固定位置に第1のプレート142を保持するように第1のプレート142と接触している。
【0045】
工程212では、基板122は、クランプアセンブリ140から解除される(図10に示される)。第1のプレート142および第2のプレート144をクランプ位置(図9に示される)から開位置(図10に示される)に移動させるために、第2のモータアセンブリ134のアクチュエータ135はさらに拡張され、それによって、第1のモータアセンブリ132および第2のプレート144は第1のプレート142に対して上昇する。第2のプレート144は、一対のばね付き連結部146によって加えられたバイアス力に打ち勝つ。図10に示される配向では、基板122の前側122aは、第2のプレート144のL字形部品148bと接触してこのL字形部品148bによって下から支持される。
【0046】
工程214において、基板122はフリッパーモジュール130から外に移送される。基板122がフリッパーモジュール130における反転後に移送チャンバ106に再び移送されると、裏側122bは上方に向いており、それによって、裏側122bで前洗浄プロセスおよび堆積プロセスを行うことができる。上述されるように、基板122は、方法200のそれぞれの工程中、真空中に維持される。したがって、基板122が移送チャンバ106内に再び移送されるとき、裏側122bにおけるその後の前洗浄プロセスおよび堆積プロセスを行う前に、基板122をガス抜きする必要はない。これによって、両面処理に対する時間が大幅に削減され、スループットが増大する。
【0047】
前述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が本開示の基本的な範囲から逸脱せずに考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲により決定される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中で基板を反転させるための処理システムのモジュールであって、
第1の平面に配置された基板を固定させるためのクランプアセンブリと、
前記クランプアセンブリを前記第1の平面に平行である第1の方向の周りに回転させるために前記クランプアセンブリに結合された第1のモータアセンブリと、
前記第1の方向において前記第1のモータアセンブリの反対側の前記クランプアセンブリに結合された滑動部であって、前記滑動部は、回転可能な軸受を通した前記第1の方向での前記第1のモータアセンブリによる前記クランプアセンブリの回転を支持する軸受支持部を含む、滑動部と、を備える、モジュール。
【請求項2】
前記第1の平面に垂直である第2の方向に前記第1のモータアセンブリおよび前記クランプアセンブリを昇降させるための第2のモータアセンブリをさらに備え、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記クランプアセンブリ、前記第1のモータアセンブリ、および前記滑動部はそれぞれ、真空中に配設される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記クランプアセンブリは、
第1のプレートと、
前記第1のプレートに平行な第2のプレートであって、前記第1の平面に垂直である第2の方向において前記第1のプレートに移動可能に結合される、第2のプレートと、
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートのそれぞれに結合された一対のばね付き連結部であって、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートをクランプ位置へと互いの方へ偏らせる、一対のばね付き連結部と、を備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートはそれぞれ、前記基板の縁部を支持するためのレッジを全体的に形成する複数のL字形部品を備え、
前記複数のL字形部品のそれぞれは、対応する前記プレートから、前記第2の方向に延在し、
前記クランプ位置において、前記複数のL字形部品のそれぞれは、対向する前記プレートにおける対応する開口部を通して配設され、
開位置において、前記複数のL字形部品のそれぞれは、前記基板を前記第1のプレートおよび前記第2のプレートのうちの1つの前記レッジ上に搬入するために、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の空間に配設される、請求項4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートはそれぞれ、前記基板の搬入を可能にするためにL字形部品がない縁部を含む、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記モジュールは、前記クランプアセンブリを開位置に移動させるために前記第1のプレートまたは前記第2のプレートのうちの1つに接触するように構成される一対のリフトピンをさらに備える、請求項4に記載のモジュール。
【請求項8】
堆積チャンバと、
前記堆積チャンバに結合された移送チャンバと、
前記移送チャンバに結合された反転チャンバであって、真空中で基板を反転させるためのモジュールを含み、前記モジュールは、
第1の平面に配置された基板を固定させるためのクランプアセンブリ、
前記クランプアセンブリを前記第1の平面に平行である第1の方向の周りに回転させるために前記クランプアセンブリに結合された第1のモータアセンブリ、および
前記第1の方向において前記第1のモータアセンブリの反対側の前記クランプアセンブリに結合された滑動部であって、前記滑動部は、回転可能な軸受を通した前記第1の方向での前記第1のモータアセンブリによる前記クランプアセンブリの回転を支持する軸受支持部を含む、滑動部を含む、反転チャンバと、を備える、処理システム。
【請求項9】
前記第1の平面に垂直である第2の方向において前記第1のモータアセンブリおよび前記クランプアセンブリを昇降させるための第2のモータアセンブリをさらに備える、請求項に記載の処理システム。
【請求項10】
前記堆積チャンバ、前記移送チャンバ、および前記反転チャンバは、真空状態にある、請求項8に記載の処理システム。
【請求項11】
前記堆積チャンバは、物理的気相堆積(PVD)チャンバを備える、請求項8に記載の処理システム。
【請求項12】
前記移送チャンバに結合された前洗浄チャンバをさらに備える、請求項8に記載の処理システム。
【請求項13】
前記反転チャンバは、前記基板を前記処理システムから搬出するためのドアを備え、前記処理システムは、別の基板を前記処理システムに搬入するためのロードロックチャンバをさらに備える、請求項8に記載の処理システム。
【請求項14】
基板を反転させる方法であって、
反転チャンバにおいて前記基板を受けることであって、前記反転チャンバは前記基板を反転させるためのモジュールを備え、前記モジュールは、
第1の平面に配置された基板を固定させるためのクランプアセンブリ、
前記クランプアセンブリを前記第1の平面に平行である第1の方向の周りに回転させるために前記クランプアセンブリに結合された第1のモータアセンブリ、および
前記第1の方向において前記第1のモータアセンブリの反対側の前記クランプアセンブリに結合された滑動部であって、前記滑動部は、回転可能な軸受を通した前記第1の方向での前記第1のモータアセンブリによる前記クランプアセンブリの回転を支持する軸受支持部を含む、滑動部を備える、前記基板を受けることと、
真空中で前記基板を反転させることと、を含む、方法。
【請求項15】
前記モジュールは、前記第1の平面に垂直である第2の方向において前記第1のモータアセンブリおよび前記クランプアセンブリを昇降させるための第2のモータアセンブリをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記移送チャンバに結合されたロードロックチャンバをさらに備える、請求項8に記載の処理システム。
【請求項17】
第1の位置に前記クランプアセンブリを位置付けることであって、前記クランプアセンブリでは第1のプレートが第2のプレートより上に配設されている、前記クランプアセンブリを位置付けることと、
前記クランプアセンブリが開放された状態で、前側が上を向いている前記基板を前記第1のプレート上で受けることと、
前記第1のモータアセンブリを使用して前記クランプアセンブリを180度回転させることであって、前記基板は前記前側が下を向いた状態で前記第2のプレート上に配設される、前記クランプアセンブリを回転させることと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】