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特表2024-535512学習装置、解析装置、学習方法、解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】学習装置、解析装置、学習方法、解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240920BHJP
【FI】
G06N20/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520687
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 US2021054086
(87)【国際公開番号】W WO2023059331
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523112138
【氏名又は名称】エヌティーティー リサーチ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋江 遼平
(72)【発明者】
【氏名】柏野 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】中野 允裕
(72)【発明者】
【氏名】友池 仁暢
(57)【要約】
本発明の一態様は、周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する、学習装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、
前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、
を備え、
前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する、
学習装置。
【請求項2】
前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルは、隠れセミマルコフモデルである、
請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記被観測時系列は心音の時系列である、
請求項1に記載の学習装置。
【請求項4】
解析対象の時系列を取得する解析対象取得部と、
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する学習装置、によって得られた学習済みの線形和推定学習モデルを用いて、解析対象の時系列を解析する解析部と、
を備える解析装置。
【請求項5】
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得ステップと、
前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行ステップと、
を有し、
前記学習処理実行ステップでは、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルが更新される、
学習方法。
【請求項6】
解析対象の時系列を取得する解析対象取得ステップと、
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する学習装置、によって得られた学習済みの線形和推定学習モデルを用いて、解析対象の時系列を解析する解析ステップと、
を有する解析方法。
【請求項7】
コンピュータのプロセッサによる命令の実行時に、そのコンピュータを請求項1に記載の学習装置として機能させるコンピュータが実行可能な命令、を有する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
コンピュータのプロセッサによる命令の実行時に、そのコンピュータを請求項4に記載の解析装置として機能させるコンピュータが実行可能な命令、を有する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習装置、解析装置、学習方法、解析方法及びプログラム
に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の循環器系の状態を知るうえで重要な手がかりの1つとして心音がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】L G Gamero and R Watrous, “Detection of the firrst and second heart sound using probabilistic models,” Proc. IEEE Eng. Med. Biol. Soc., vol. 3, pp. 2877-2880, 2003.
【非特許文献2】D Gill, N Gavrieli, and N Intrator, “Detection and identication of heart sounds using homomorphic envelogram and self-organizing probabilistic model,” pp. 957-960, 2005.
【非特許文献3】A D Ricke, R J Povinelli, and M T Johnson, “Automatic segmentation of heart sound signals using hidden markov models,” pp. 953-956, 2005.
【非特許文献4】P Sedighian, A W Subudhi, F Scalzo, and S Asgari, “Pediatric heart sound segmentation using hidden markov model,” pp. 5490-5493, 2014.
【非特許文献5】S E Schmidt, C Holst-Hansen, C Graff, E Toft, and J J Struijk, “Segmentation of heart sound recordings by a duration-dependent hidden markov model,” Physiol. Meas., vol. 31, no. 4, pp. 513-529, 2010.
【非特許文献6】D B Springer, L Tarassenko, and G D Clifford, “Logistic regression-HSMM-based heart sound segmentation,” IEEE Trans. Biomed. Eng., vol. 63, no. 4, pp. 822-832, 2016.
【非特許文献7】S Ari and Go Saha, “Classification of heart sounds using empirical mode decomposition based features,” Int. J. Med. Eng. Inform., vol. 1, no. 1, pp. 91-108, 2008.
【非特許文献8】H Sun, W Chen, and J Gong, “An improved empirical mode decomposition-wavelet algorithm for phonocardiogram signal denoising and its application in the first and second heart sound extraction,” pp. 187-191, 2013.
【非特許文献9】C D Papadaniil and L J Hadjileontiadis, “Efficient heart sound segmentation and extraction using ensemble empirical mode decomposition and kurtosis features,” IEEE J Biomed Health Inform, vol. 18, no. 4, pp. 1138-1152, 2014.
【非特許文献10】E F Blick, H N Sabbah, and P D Stein, “One-dimensional model of diastolic semilunar valve vibrations productive of heart sounds,” J. Biomech., vol. 12, no. 3, pp. 223-227, 1979.
【非特許文献11】M J Johnson and A S Willsky, “Stochastic variational inference for bayesian time series models," pp. II-1854-II-1862, 2014.
【非特許文献12】D L Sikarskie, P D Stein, and M Vable, “A mathematical model of aortic valve vibration,” J. Biomech., vol. 17, no. 11, pp. 831-837, 1984.
【非特許文献13】H Ozcan Gulcur and Y Bahadirlar, “Estimation of systolic blood pressure from the second heart sounds,” Int. Biom. Eng. Days, pp. 39-41, 1998.
【非特許文献14】X-Y Zhang and Y-T Zhang, “Model-based analysis of effects of systolic blood pressure on frequency characteristics of the second heart sound,” Proc. IEEE Eng. Med. Biol. Soc., vol. 2006, pp. 2888-2891, 2006.
【非特許文献15】T Matsuda and F Komaki, “Multivariate time series decomposition into oscillation components,” Neural Comput., vol. 29, no. 8, pp. 2055-2075, 2017.
【非特許文献16】H Soulat, E P Stephen, A M Beck, and P L Purdon, “State space methods for phase amplitude coupling analysis,”bioRxiv, 2019.
【非特許文献17】E Archer, I M Park, L Buesing, J Cunningham, and L Paninski, “Black box variational inference for state space models,” 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の先行研究で心音時系列から自動的に心臓の各時刻の状態を推定する手法が提案されているものの、心臓の各時刻の状態を推定する精度があまり良くない。そのため、現在でも心音による心臓の状態推定には、心電を用いた教師ありデータを事前に作成する労力を要した。
【0005】
心臓の各時刻の状態を推定する精度があまり良くない、という点について少し詳しく説明する。心音の時系列が示す波形は、周期的に振幅が変化する複数の振動子の振幅の波形に分解される。すなわち、心音の時系列の波形は、複数の変動振動子の振幅の波形の線形和である。変動振動子は、周期的に振幅が変化する振動子である。心臓の各時刻の状態を推定する精度があまり良くない、というのは具体的には、心音の時系列を、変動振動子の振幅の時系列の線形和に分解する精度が良くない、ことを意味する。
【0006】
なおこのような課題は、必ずしも心音に限るものではなく、変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列の解析に対しては共通に存在する課題であった。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列の解析の精度を向上させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する、学習装置である。
【0009】
本発明の一態様は、解析対象の時系列を取得する解析対象取得部と、周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する学習装置、によって得られた学習済みの線形和推定学習モデルを用いて、解析対象の時系列を解析する解析部と、を備える解析装置である。
【0010】
本発明の一態様は、周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得ステップと、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行ステップと、を有し、前記学習処理実行ステップでは、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルが更新される、学習方法である。
【0011】
本発明の一態様は、解析対象の時系列を取得する解析対象取得ステップと、周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する学習装置、によって得られた学習済みの線形和推定学習モデルを用いて、解析対象の時系列を解析する解析ステップと、を有する解析方法である。
【0012】
本発明の一態様は、上記の学習装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0013】
本発明の一態様は、上記の解析装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列の解析の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の解析システムの構成の一例を示す図。
図2】実施形態における学習装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態における学習装置が備える制御部の構成の一例を示す図。
図4】実施形態における学習装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図5】実施形態における解析装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図6】実施形態における解析装置が備える制御部の構成の一例を示す図。
図7】実施形態における解析装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図8】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第1の図。
図9】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第2の図。
図10】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第3の図。
図11】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第4の図。
図12】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第5の図。
図13】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第6の図。
図14】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第7の図。
図15】実施形態の解析システムを用いた実験の結果の一例を示す第8の図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
図1は、実施形態の解析システム100の構成の一例を示す図である。以下説明の簡単のため解析システム100の解析対象が心音の時系列(以下「心音時系列」という。)であり、解析システム100は心音時系列に基づき心音時系列の発生源である心臓の状態を推定する、という場合を例に解析システム100を説明する。
【0017】
しかしながら、解析システム100の解析対象の時系列は、必ずしも心音の時系列である必要は無い。解析システム100の解析対象の時系列は、周期的に振幅が変化する振動子(以下「変動振動子」という。)の振幅の波形の線形和で表現される時系列であればどのような時系列であってもよい。波形とは時系列のことであるので、変動振動子の振幅の波形の線形和とは、変動振動子の振幅の時系列(以下「振動子時系列」という。)の線形和(以下「振動子線形和」という。)である。
【0018】
また解析システム100が出力する解析の結果は、必ずしも心臓の状態の推定の結果でなくてもよい。解析システム100が出力する解析の結果は、振動子線形和に基づいて得られる結果であればどのようなものであってもよい。解析システム100が出力する解析の結果は、振動子線形和の各変動振動子の振幅の時系列であってもよい。
【0019】
解析システム100は、学習装置1と解析装置2とを含む。学習装置1は、入力された心音時系列に基づき、振動子線形和を推定する機械学習モデル(以下「線形和推定学習モデル」という。)を学習により更新する。
【0020】
なお、機械学習モデルは、実行される条件と順番と(以下「実行規則」という。)が予め定められた1又は複数の処理を含む数理モデルである。学習とは、機械学習の方法による機械学習モデルの更新を意味する。また、機械学習モデルの更新とは、機械学習モデルに含まれる所定のパラメータの値を好適に調整することを意味する。また、機械学習モデルの実行とは、機械学習モデルが含む各処理を実行規則にしたがって実行することを意味する。
【0021】
なお機械学習モデルは、例えばニューラルネットワークによって表現される。なお、ニューラルネットワークとは、電子回路、電気回路、光回路、集積回路等の回路であって機械学習モデルを表現する回路である。機械学習モデルの更新とは、機械学習モデルを表現するニューラルネットワークが学習によって更新されることでもある。学習によってニューラルネットワークが更新されるとは、ニューラルネットワークのパラメータの値が更新されることを意味する。またニューラルネットワークのパラメータは、ニューラルネットワークを構成する回路のパラメータであり、ニューラルネットワークを構成する回路が表現する学習モデルのパラメータでもある。
【0022】
線形和推定学習モデルを表現するニューラルネットワークは、線形和推定学習モデルを表現可能なニューラルネットワークであればどのようなニューラルネットワークであってもよい。線形和推定学習モデルを表現するニューラルネットワークは、例えば深層ニューラルネットワークである。
【0023】
学習装置1は所定の終了条件(以下「学習終了条件」という。)が満たされるまで線形和推定学習モデルの学習を行う。学習終了条件は、例えば所定の回数の学習が行われたという条件である。学習終了条件は、例えば更新による線形和推定学習モデルの変化が所定の変化よりも小さい、という条件であってもよい。
【0024】
解析装置2は、学習装置1が得た学習済みの線形和推定学習モデルを用いて、入力された心音時系列を示す振動子線形和、を推定する。学習済みの線形和推定学習モデルは、学習終了条件が満たされたタイミングにおける線形和推定学習モデルである。
【0025】
<線形和推定学習モデルと線形和推定学習モデルの学習の処理とについて>
線形和推定学習モデルと、学習装置1が線形和推定学習モデルを学習する処理(以下「学習処理」という。)との関係について説明する。線形和推定学習モデルは、入力された心音時系列に基づき、心周期の状態の事後分布を推定する機械学習モデル(以下「心周期状態事後分布学習モデル」という。)を含む。線形和推定学習モデルは、心周期の状態の事後分布に基づき、振動子時系列の事後分布を推定する機械学習モデル(以下「振動子時系列事後分布学習モデル」という。)を含む。線形和推定学習モデルは、振動子時系列の事後分布を用いて,心音時系列の周辺分布を推定する機械学習モデル(以下「心音時系列周辺分布学習モデル」という。)を含む。
【0026】
学習処理は、時系列入力処理、心周期状態事後分布推定処理、振動子時系列事後分布推定処理、心音時系列周辺分布推定処理、更新処理を含む。
【0027】
時系列入力処理は、線形和推定学習モデルに心音時系列が入力される処理である。
【0028】
心周期状態事後分布推定処理は、心周期状態事後分布学習モデルの実行により、入力された心音時系列に基づき、心周期の状態の事後分布を推定する処理である。
【0029】
振動子時系列事後分布推定処理は、振動子時系列事後分布学習モデルの実行により、心周期の状態の事後分布に基づき、振動子時系列の事後分布を推定する処理である。
【0030】
心音時系列周辺分布推定処理は、心音時系列周辺分布学習モデルの実行により、振動子時系列の事後分布を用いて,心音時系列の周辺分布を推定する処理である。
【0031】
更新処理は、時系列入力処理によって入力された心音時系列が、心音時系列周辺分布推定処理で推定された周辺分布のもとでの周辺尤度を大きくするように線形和推定学習モデルを更新する処理である。
【0032】
線形和推定学習モデルを更新するとは、より具体的には、心周期状態事後分布学習モデル、振動子時系列事後分布学習モデル及び心音時系列周辺分布学習モデルを更新することを意味する。
【0033】
<心周期状態事後分布学習モデルについて>
心周期状態事後分布学習モデルは、心音時系列に基づいて心周期の状態の事後分布を計算できればどのような数理モデルであってもよい。心周期の状態には、S1音、収縮期、S2音、拡張期の4つの状態がある。心周期の状態は、S1音、収縮期、S2音、拡張期の4つの状態を周期的に繰り返す。より具体的には心周期の状態は、S1音の状態から収縮期の状態へと遷移する。心周期の状態は、収縮期の状態からS2音の状態へと遷移する。心周期の状態は、S2音の状態から拡張期の状態へと遷移する。心周期の状態は、拡張期の状態からS1音の状態へと遷移する。
【0034】
S1音の状態の音とS2音の状態の音とは心音の中で極めて大きく聞こえる音であり、それぞれ僧帽弁と大動脈弁の閉鎖時に発生する弁の振動に起因する音である。したがって、心音時系列は主に心臓内の弁の振動に相当する非線形な振動子が周期的にその振幅が変化しながら足し合わされた時系列である。
【0035】
心周期状態事後分布学習モデルは、例えば、以下の式(1)で表される事後確率分布を心音時系列に基づいて取得する数理モデルである。心音時系列は以下の式(2)で表される。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】
【数3】
【0039】
【数4】
【0040】
【数5】
【0041】
【数6】
【0042】
Jは心音を取得するマイクロフォンの数である。Rは、心音時系列の長さである。zは、r番目の時刻における心音時系列の観測されない状態である。観測されない状態とは、具体的には、心周期の状態である。心周期の状態は上述したように4つであるため、zが取り得る値は、式(4)に示すように1~4である。
【0043】
心周期の状態は、状態遷移が生じた後にすぐ次の状態に遷移するわけではない。状態遷移が生じた後は有限の時間は、遷移後の状態に滞在する。すなわち心周期の各状態では次の状態に遷移するまでの有限の存続期間が存在する。そこで、以下の式(7)で定義される遷移確率を定義する。
【0044】
【数7】
【0045】
【数8】
【0046】
式(8)のAは、遷移行列である。p(δ)は存続期間の分布である。p(δ)で表される存続期間の分布は、例えば以下の式(9)の負の二項分布で表される。
【0047】
【数9】
【0048】
θは試行の成功確率である。mは形状パラメータである。式(6)のeは、擬状態である。擬状態とは、各状態の中でどれだけの時間その状態に滞在したかを示す量である。この擬状態erとzを使って式(5)によって定義されるz^{-}は、(7)、(8)及び(9)によって決まるある確率遷移行列をもつマルコフ過程に従う。なお、以下、記号の上にバーが付いた記号を、記号^{-}で表現する。例えばz^{-}は、記号zの上にバーが付いた記号を意味する。したがって、z^{-}は、式(5)の左辺の記号を意味する。また、式(10)のように、zの確率はz^{-}を擬状態について周辺化した確率と一致する。
【0049】
【数10】
【0050】
式(1)の計算には、全ての潜在変数z^{-}の組み合わせについて式(1)の分子を計算したのち、左辺の事後確率が足して1になるように正規化する必要がある。しかしながら、取り得る状態の組み合わせは(4m)個であり、計算量は(4m)のオーダーとなる。このような演算量の増大は、例えば、式(1)の分子にある以下の式(11)の項に代えて、式(12)の関数(以下「ポテンシャル」という。)を用いた式である式(13)の右辺の近似式に代えることで抑制される。
【0051】
【数11】
【0052】
【数12】
【0053】
【数13】
【0054】
式(13)の近似により、式(1)の値を算出するための計算量を4mRのオーダーにまで軽減することができる。なお、上記(13)の近似式は一例であり、ポテンシャルは、心周期の状態の事後確率分布を表現する関数の一部の関数であって予め表現する内容が定義された関数であれば、どのような関数であってもよい。
【0055】
ポテンシャルを表す数式は、心音時系列に基づき、例えばニューラルネットワーク等の機械学習モデルを用いて得られる。したがって、心周期の状態の事後確率分布がポテンシャルを用いて表現される場合、線形和推定学習モデルの学習においてはポテンシャルを表す数式も更新される。
【0056】
<振動子時系列事後分布学習モデルについて>
振動子時系列事後分布学習モデルについてより詳細に説明する。振動子時系列事後分布学習モデルは、隠れマルコフモデルや隠れセミマルコフモデル等の確率的な状態遷移と各状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルである。確率的な状態遷移と記号出力との関係を表現する数理モデルにおける状態は、心周期の状態である。
【0057】
確率的な状態遷移と記号出力との関係を表現する数理モデルにおける記号出力は、振動子時系列である。確率的な状態遷移と記号出力との関係を表現する数理モデルが隠れセミマルコフモデルである場合、各状態の継続時間も数理モデルは表現する。
【0058】
<心音時系列周辺分布学習モデルについて>
心音時系列周辺分布学習モデルについてより詳細に説明する。心音時系列は,式(14)に従って変動振動子の線形和として観測される。式(19)は変動振動子の従う分布で,心音時系列の発生機序を表現する式(17)から導出される式である。式(17)は心音時系列の発生機序を表現する微分方程式である。
【0059】
【数14】
【0060】
【数15】
【0061】
【数16】
【0062】
【数17】
【0063】
τは観測ノイズの分布の分散である。式(16)の左辺の量yrlは、l番目の変動振動子の時刻rにおける振幅を示す。
【0064】
Mは、心臓の弁の質量である。uは心臓の弁の変位である。ΔPは心臓の弁にかかる圧力である。Dは心臓の弁の動きの減衰の大きさを示す減衰係数である。Kは心臓の弁の剛性係数である。
【0065】
式(17)の形式解は、以下の式(18)である。
【0066】
【数18】
【0067】
C及びαは定数である。ωは角周波数である。ψは初期移相である。tは時刻である。
【0068】
心音時系列が示す波形の振幅は、心臓の弁の変位uの一次微分(すなわち、心臓弁膜の速さ)に比例するため、変動振動子は、2次の自己回帰モデルによって表現される。したがって、以下の式(19)が成り立つ。
【0069】
【数19】
【0070】
は、l番目の変動振動子の減衰係数である。fは、l番目の変動振動子の平均周波数である。fは、サンプリング周波数である。σli はシステムノイズの分布の分散である。分散σli は心周期の状態に強く依存し、心周期の状態に基づき心音時系列に含まれる支配的な変動振動子を変更する。特に、分散σli の値が大きいことは、心周期の状態がiである場合にl番目の変動振動子が支配的であることを意味する。
【0071】
<更新処理について>
更新処理についてより詳細に説明する。更新処理では、例えば以下の式(20)で表される対数周辺尤度を最大化するように線形和推定学習モデルが更新される。
【0072】
【数20】
【0073】
更新処理では、例えば以下の式(21)で表される尤度の下限値を最大化するように線形和推定学習モデルが更新されてもよい。なお線形和推定学習モデルの更新とは、具体的には、例えば{θ_j}、{a}、{f}、{σli}、{gjl}及びτを更新することを意味する。
【0074】
【数21】
【0075】
式(20)が示す対数周辺尤度と式(21)が示す尤度の下限値とは以下の式(22)の関係にある。
【0076】
【数22】
【0077】
式(22)における以下の式(23)の項は、式(14)を表す。式(22)における以下の式(24)の項は、式(19)を表す。式(22)における以下の式(25)の項は、式(7)(8)(9)(10)から導出されるz^{-}の遷移確率である。
【0078】
【数23】
【0079】
【数24】
【0080】
【数25】
【0081】
式(21)が示す尤度の下限値の最大化に際しては、演算量の削減のため、以下の式(26)及び(27)の関係が用いられる。
【0082】
【数26】
【0083】
【数27】
【0084】
式(27)にはポテンシャルが含まれるが、上述したようにポテンシャルを示す数式はニューラルネットワーク等の機械学習モデルによって得られる。ポテンシャルは例えば以下の式(28)である。
【0085】
【数28】
【0086】
式(28)の右辺に現れるφ(・)は、以下の式(29)から以下の式(30)への上への写像である。
【0087】
【数29】
【0088】
【数30】
【0089】
sは予め定められた固定の長さの窓長である。式(28)の右辺に現れる以下の式(31)の記号は、入力された行列の(i、δ)番目の要素を返す作用素である。なお、入力された行列とは具体的には(30)式である。
【0090】
【数31】
【0091】
ポテンシャルを表現する数式の形は、CNN(Convolutional Neural Network)やRNN(Recurrent Neural Network)等の教師有りの心音分割で用いられるものを使ってもよい。
【0092】
なお、以下の式(32)と以下の式(33)とは、式(7)(8)(9)(10)から導出されるz^{-}初期確率と遷移確率である。
【0093】
【数32】
【0094】
【数33】
【0095】
式(23)から式(33)により、式(22)の関係は以下の式(34)の関係に変換される。
【0096】
【数34】
【0097】
【数35】
【0098】
式(21)が示す尤度の下限値の最大化は、メッセージ伝搬法を用いることで、式(20)が示す対数周辺尤度の最大化に要する演算量よりも少ない演算量で行われる。
【0099】
なお、式(34)は具体的には以下の式(36)及び(37)の変形によって導出される。
【0100】
【数36】
【0101】
【数37】
【0102】
図2は実施形態における学習装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。学習装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。学習装置1は、プログラムの実行によって制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0103】
より具体的には、プロセッサ91が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、学習装置1は、制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0104】
制御部11は、学習装置1が備える各種機能部の動作を制御する。制御部11は、学習処理を実行する。制御部11は、例えば出力部15の動作を制御し、出力部15に学習処理の実行結果を出力させる。制御部11は、例えば学習処理の実行により生じた各種情報を記憶部14に記録する。記憶部14が記憶する各種情報は、例えば線形和推定学習モデルの学習結果を含む。
【0105】
入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部12は、これらの入力装置を学習装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部12は、学習装置1に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部12には、例えば心音時系列が入力される。
【0106】
通信部13は、学習装置1を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部13は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば心音時系列の送信元の装置である。外部装置は、例えば解析装置2である。通信部13は、解析装置2との通信によって学習済みの線形和推定学習モデルを解析装置2に送信する。
【0107】
記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部14は学習装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば入力部12又は通信部13を介して入力された情報を記憶する。記憶部14は、例えば線形和推定学習モデルを記憶する。記憶部14は、例えば学習処理の実行により生じた各種情報を記憶する。
【0108】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部15は、これらの表示装置を学習装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部15は、例えば入力部12又は通信部13に入力された情報を出力する。出力部15は、例えば学習処理の実行結果を表示してもよい。
【0109】
図3は実施形態における学習装置1が備える制御部11の構成の一例を示す図である。制御部11は、心音時系列取得部111、学習処理実行部112、終了判定部113、記録部114及び出力制御部115を備える。
【0110】
心音時系列取得部111は、入力部12又は通信部13に入力された心音時系列を取得する。心音時系列取得部111は、予め記憶部14に心音時系列が記録済みの場合には、記憶部14から心音時系列を読み出してもよい。
【0111】
学習処理実行部112は、学習処理を実行する。終了判定部113は、学習終了条件が満たされたか否かを判定する。学習処理実行部112が実行する学習処理によって得られた線形和推定学習モデルであって終了判定部113によって学習終了条件が満たされた時点の線形和推定学習モデルが学習済みの線形和推定学習モデルである。
【0112】
学習処理実行部112は、時系列入力部121、心周期状態事後分布推定部122、振動子時系列事後分布推定部123、心音時系列周辺分布推定部124及び更新部125を備える。
【0113】
時系列入力部121は、心音時系列取得部111が取得した心音時系列に対して、時系列入力処理を実行する。すなわち、時系列入力部121は、心音時系列取得部111が取得した心音時系列を線形和推定学習モデルに入力する。
【0114】
心周期状態事後分布推定部122は、心周期状態事後分布推定処理を実行する。振動子時系列事後分布推定部123は、振動子時系列事後分布推定処理を実行する。心音時系列周辺分布推定部124は、心音時系列周辺分布推定処理を実行する。更新部125は、更新処理を実行する。
【0115】
記録部114は各種情報を記憶部14に記録する。出力制御部115は出力部15の動作を制御する。
【0116】
図4は実施形態における学習装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。時系列入力部121が心音時系列を線形和推定学習モデルに入力する(ステップS101)。次に心周期状態事後分布推定部122が、心周期状態事後分布推定処理を実行する(ステップS102)。すなわち心周期状態事後分布推定部122が、入力された心音時系列に基づき、心周期の状態の事後分布を推定する。
【0117】
次に振動子時系列事後分布推定部123が、振動子時系列事後分布推定処理を実行する(ステップS103)。すなわち、振動子時系列事後分布推定部123が、心周期の状態の事後分布に基づき、振動子時系列の事後分布を推定する。次に心音時系列周辺分布推定部124が、心音時系列周辺分布推定処理を実行する(ステップS104)。すなわち、心音時系列周辺分布推定部124が、振動子時系列の事後分布を用いて,心音時系列の周辺分布を推定する。次に、更新部125が更新処理を実行する(ステップS105)。更新処理の実行により線形和推定学習モデルが更新される。
【0118】
次に終了判定部113が、学習終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS106)。学習終了条件が満たされない場合(ステップS106:NO)、ステップS101の処理に戻る。一方、学習終了条件が満たされる場合(ステップS106:YES)、処理が終了する。
【0119】
図5は実施形態における解析装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。解析装置2は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。解析装置2は、プログラムの実行によって制御部21、入力部22、通信部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0120】
より具体的には、プロセッサ93が記憶部24に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、解析装置2は、制御部21、入力部22、通信部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0121】
制御部21は、解析装置2が備える各種機能部の動作を制御する。制御部21は、学習済みの線形和推定学習モデルを実行する。制御部21は、例えば出力部25の動作を制御し、出力部25に学習済みの線形和推定学習モデルの実行結果を出力させる。制御部21は、例えば学習済みの線形和推定学習モデルの実行により生じた各種情報を記憶部24に記録する。
【0122】
入力部22は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部22は、これらの入力装置を解析装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部22は、解析装置2に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部22には、例えば解析対象の心音時系列が入力される。
【0123】
通信部23は、解析装置2を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部23は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば解析対象の心音時系列の送信元の装置である。外部装置は、例えば学習装置1である。通信部23は、学習装置1との通信によって学習済みの線形和推定学習モデルを取得する。
【0124】
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部24は解析装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部24は、例えば入力部22又は通信部23を介して入力された情報を記憶する。記憶部24は、例えば学習済みの線形和推定学習モデルを記憶する。記憶部24は、例えば学習済みの線形和推定学習モデルの実行により生じた各種情報を記憶する。
【0125】
出力部25は、各種情報を出力する。出力部25は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部25は、これらの表示装置を解析装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部25は、例えば入力部22又は通信部23に入力された情報を出力する。出力部25は、例えば学習済みの線形和推定学習モデルの実行結果を表示してもよい。
【0126】
図6は実施形態における制御部21の構成の一例を示す図である。制御部21は、解析対象取得部211、解析部212、記録部213及び出力制御部214を備える。
【0127】
解析対象取得部211は、入力部22又は通信部23に入力された解析対象の心音時系列を取得する。解析対象取得部211は、予め記憶部24に解析対象の心音時系列が記録済みの場合には、記憶部24から解析対象の心音時系列を読み出してもよい。
【0128】
解析部212は、解析対象の心音時系列を解析する。より具体的には、解析部212は、解析対象の心音時系列に対して学習済みの線形和推定学習モデルを実行することで、学習済みの線形和推定学習モデルの出力を解析の結果として取得する。解析対象の心音時系列に対して学習済みの線形和推定学習モデルを実行するとは具体的には、解析対象の心音時系列を学習済みの線形和推定学習モデルに入力し、解析対象の心音時系列が入力された学習済みの線形和推定学習モデルを実行する、ことを意味する。
【0129】
解析対象の心音時系列に対する学習済みの線形和推定学習モデルの実行では、まず、解析対象の心音時系列に基づいて心周期の状態の事後分布が推定される。解析対象の心音時系列に対する学習済みの線形和推定学習モデルの実行では、次に、得られた心周期の状態の事後分布に基づき、振動子時系列の事後分布が推定される。
【0130】
記録部213は各種情報を記憶部24に記録する。出力制御部214は出力部25の動作を制御する。
【0131】
図7は実施形態における解析装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。解析対象取得部211が解析対象の心音時系列を取得する(ステップS201)。次に、解析部212が解析対象の心音時系列に対して学習済みの線形和推定学習モデルを実行する(ステップS202)。学習済みの線形和推定学習モデルを実行により、振動子時系列の事後分布が推定される。次に、出力制御部214が、得られた振動子時系列の事後分布を出力部25に出力させる(ステップS203)。
【0132】
<実験結果>
解析システム100を用いた実験の結果を説明する。実験では、4種類のデータセットが用いられた。第1のデータセットと第2のデータセットは、聴診教科書に付随する、正常な心音時系列とさまざまな種類の症状における異常な心音時系列であった。これらのデータセットは合計で119の時系列を含んでいた。
【0133】
図8は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第1の図である。図8は、第1のデータセットに含まれる心音時系列の一例である。図8の縦軸は、正規化された振幅を示す。
【0134】
図9は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第2の図である。図9は、第2のデータセットに含まれる心音時系列の一例である。図9の縦軸は、正規化された振幅を示す。
【0135】
第3のデータセットは、1つのマイクロフォンで得られた心音時系列であった。
第3のデータセットが含む心音時系列は、S1音とS2音とのあのーテーションが人手で付与された心音時系列であった。第4のデータセットは、多数のマイクロフォンで同時に得られた心音時系列であった。
【0136】
実験では、非特許文献9に記載のthe ensemble empirical mode decomposition method with a kurtosis feature(EEMD)との比較が行われた。
【0137】
EEMDを用いる方法では,まずはじめにIMF(intrinsic mode functions)を抽出するためEMD(empirical mode decomposition)を適用した。S1音とS2音との期間では、各IMFの振幅は同時に増大する。EEMDでは、この増大の検出のため、スライディング窓を用いてIMFの尖度が算出された。窓にS1音とS2音との開始のタイミングが含まれる場合、窓にS1音とS2音との開始のタイミングが含まれない場合よりも、窓の周辺分布は裾が重く、尖度が高くなる。したがって、IMFの周辺分布の尖度の積のピークを異なるスケールの窓で検出することで,S1音とS2音との開始のタイミングを推定できる。
【0138】
実験では、全ての心音時系列が2000Hzまでダウンサンプリングされ、10Hzから150Hzまでの周波数帯域を通すバンドパスフィルタにかけられた。こうして得られた時系列が、解析システム100とEEMDとに適用された。実験ではポテンシャルとして、式(28)のポテンシャルが用いられた。sは64であった。そしてφは2層のCNNによって学習が行われた。データごとにノイズレベルは異なるが、ロバストネスの検証のため、実験では両手法のハイパーパラメータは同じ値が用いられた。
【0139】
S1音とS2音との開始のタイミングは、推定された開始のタイミングと真の開始のタイミングとの間隔が100msであれば推定が適切であると判定された。
【0140】
区分けの処理の適切さの検証には、F1スコアが用いられた。F1スコアは以下の式(38)で定義される量である。
【0141】
【数38】
【0142】
は、精度であり、Sは、検出率である。
【0143】
図10は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第3の図である。図10は、解析システム100を用いて正常な心音時系列から得られた振動子分解の例である。振動子分解とは、振動子線形和の各変動振動子の波形を取得することを意味する。PCGは解析対象の心音時系列を示し、IMF1~IMF3はそれぞれ解析対象の心音時系列から得られた変動振動子の時系列を示す。PCG、IMF1、IMF2及びIMF3の各グラフの縦軸は振幅を示す。PCGは解析対象の心音時系列を示し、IMF1~IMF3はそれぞれ解析対象の心音時系列から得られた変動振動子の時系列を示し、PCG、IMF1、IMF2及びIMF3の各グラフの縦軸が振幅を示すことは、図11図13についても同様である。
【0144】
図11は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第4の図である。図11は、EEMDを用いて正常な心音時系列から得られた振動子分解の例である。
【0145】
図12は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第5の図である。図12は、解析システム100を用いて異常な心音時系列から得られた振動子分解の例である。
【0146】
図13は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第6の図である。図13は、EEMDを用いて異常な心音時系列から得られた振動子分解の例である。
【0147】
図14は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第7の図である。図14の“Our model”は、解析システム100を意味する。図14の”N“はS1音とS2音の数を意味する。図14の”TP“は、真陽性を意味する。図14の”FP“は偽陽性を意味する。図14の”FN“は、偽陰性を意味する。図14の”F“は、F1スコアを意味する。図14の(a)は第1のデータセットを意味する。図14の(b)は第2のデータセットを意味する。図14の(c)は第3のデータセットを意味する。
【0148】
図14は、第1のデータセットから第3のデータセットまでの3つのデータセットの全てにおいて、解析システム100によるS1音とS2音の開始のタイミングの推定は、EEMDよりも高い精度であることを示す。
【0149】
図15は実施形態の解析システム100を用いた実験の結果の一例を示す第8の図である。図15のCh1とCh2とはそれぞれ、解析対象の振動子時系列であって2次元の振動子時系列の各次元の時系列を示す。図15のIMF1、IMF2、IMF3及びIMF4は、Ch1及びCh2の振動子時系列から得られた4つの変動振動子の波形を示す。Ch1、Ch2、IMF1、IMF2、IMF3及びIMF4の各グラフの縦軸は、振幅を示す。図15のLabelのグラフは、推定された心周期の状態を示す。図15は、解析システム100が、複数のマイクロフォンで取得された心音時系列から変動振動子を抽出できている、ことを示す。
【0150】
このように構成された実施形態の解析システム100は、心音時系列の発生機序を表現する式と、確率的な状態遷移と記号出力との関係を表現する数理モデルとに基づき、学習済みの線形和推定学習モデルを得る。そのため、心音時系列の発生機序を表現する式を用いないで得られた数理モデルよりも高い精度で、解析対象の心音時系列から変動振動子の線形和を得ることができる。したがって、解析システム100は、変動振動子の線形和で表現される時系列の解析の精度を向上させることができる。
【0151】
また、実施形態の解析システム100は、経験モード分解を用いる技術ではない。経験モード分解を用いる場合、Mode mixingと呼称される問題が発生することが知られている。解析システム100は、経験モード分解を用いる技術では無いため、Mode mixingの発生を抑制することができる。
【0152】
また、経験モード分解の技術では、計算がヒューリスティックであることや、分解後の時系列に課す制約が緩いことが理由で、変動振動子の線形和を得る数理モデルに、時系列の発生機序を組み込むことが難しい。実施形態の解析システム100は経験モード分解を用いる技術では無いため、式(18)に示したように、解析システム100では時系列の発生機序を変動振動子の線形和を得る数理モデルに組み込むことが可能である。
【0153】
また、経験モード分解の技術では、複数のマイクロフォンで同時に録音された多チャンネルの時系列から変動振動子の線形和を得ることができないことが知られている。解析システム100は、多次元の時系列が観測されている状況を想定しているため多チャンネルの時系列から変動振動子の線形和を得ることができる。
【0154】
(変形例)
上述したように、心音時系列は一例であり、解析システム100は、必ずしも心音の時系列を解析する必要は無い。解析システム100の解析対象の時系列は、変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列であればどのような時系列であればどのような時系列であってもよい。変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列は、例えば呼吸音の時系列であってもよい。変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列が呼吸音の時系列である場合、解析システム100は、心音時系列の発生機序を表現する式に代えて呼吸音の時系列の発生機序を表現する式を用いる。このように、心音時系列の発生機序を表現する式は、解析対象の時系列の発生機序を表現する式の一例である。
【0155】
また、確率的な状態遷移と記号出力との関係を表現する数理モデルの状態は、変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列が呼吸音である場合には、呼気相と吸気相との2相の状態である。このように、確率的な状態遷移と記号出力との関係を表現する数理モデルの状態は、変動振動子の振幅の波形の線形和で表現される時系列の発生源の状態である。
【0156】
学習装置1及び解析装置2はそれぞれ、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、学習装置1及び解析装置2のそれぞれが備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0157】
なお、学習装置1及び解析装置2は、必ずしも異なる装置として実装される必要は無い。学習装置1及び解析装置2は、例えば両者の機能を併せ持つ1つの装置として実装されてもよい。
【0158】
なお、解析システム100、学習装置1及び解析装置2それぞれの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0159】
なお、心音時系列は被観測時系列の一例である。
【0160】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0161】
100…解析システム、 1…学習装置、 2…解析装置、 11…制御部、 12…入力部、 13…通信部、 14…記憶部、 15…出力部、 111…心音時系列取得部、 112…学習処理実行部、 113…終了判定部、 114…記録部、 115…出力制御部、 121…時系列入力部、 122…心周期状態事後分布推定部、 123…振動子時系列事後分布推定部、 124…心音時系列周辺分布推定部、 125…更新部、 21…制御部、 22…入力部、 23…通信部、 24…記憶部、 25…出力部、 211…解析対象取得部、 212…解析部、 213…記録部、 214…出力制御部、 91…プロセッサ、 92…メモリ、 93…プロセッサ、 94…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、
前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、
を備え、
前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する、
学習装置。
【請求項2】
前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルは、隠れセミマルコフモデルである、
請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記被観測時系列は心音の時系列である、
請求項1又は2に記載の学習装置。
【請求項4】
解析対象の時系列を取得する解析対象取得部と、
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する学習装置、によって得られた学習済みの線形和推定学習モデルを用いて、解析対象の時系列を解析する解析部と、
を備える解析装置。
【請求項5】
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得ステップと、
前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行ステップと、
を有し、
前記学習処理実行ステップでは、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルが更新される、
学習方法。
【請求項6】
解析対象の時系列を取得する解析対象取得ステップと、
周期的に振幅が変化する振動子である変動振動子の振幅の時系列を振動子時系列とし、前記振動子時系列の線形和である振動子線形和で表現される時系列である被観測時系列を取得する時系列取得部と、前記被観測時系列の発生機序を表現する式と、前記被観測時系列の発生源の状態の確率的な状態遷移と各前記状態で確率的に出力される情報である記号出力との関係を表現する数理モデルとを用いて、前記被観測時系列に基づき、前記被観測時系列の振動子線形和を推定する数理モデルである線形和推定学習モデルを実行する学習処理実行部と、を備え、前記学習処理実行部は、前記線形和推定学習モデルの実行の結果に基づき、前記線形和推定学習モデルを更新する学習装置、によって得られた学習済みの線形和推定学習モデルを用いて、解析対象の時系列を解析する解析ステップと、
を有する解析方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載の学習装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項4に記載の解析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【国際調査報告】