(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】単結晶シリコンインゴット製造のための熱ドナー形成と目標抵抗率のモデリング
(51)【国際特許分類】
C30B 15/04 20060101AFI20240920BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20240920BHJP
C30B 33/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C30B15/04
C30B29/06 502H
C30B33/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521834
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 US2022077268
(87)【国際公開番号】W WO2023064681
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン,カリシマ マリー
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ジェウ
(72)【発明者】
【氏名】シークリスト,マイケル ロビン
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB06
4G077BA04
4G077CF06
4G077CF10
4G077EB01
4G077EB03
4G077EB06
4G077FE11
4G077GA07
4G077HA12
4G077PF55
(57)【要約】
単結晶シリコンインゴットの製造方法が開示されている。この方法は、インターポーザーデバイスの製造などの後続デバイス製造中など、下流のアニールプロセスにおける熱ドナーの形成と目標抵抗率のモデリングを含んでも良い。モデルは、アニール前のウエハ抵抗率の目標範囲を出力しても良い。単結晶シリコンインゴットの製造プロセスをモデル化して、インゴット本体のより長い長さにわたってアニール前のウエハ抵抗率の目標範囲を達成するためのカウンタードーピングスケジュールを決定しても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法であって、
インゴットからスライスされたウエハのアニール後の目標抵抗率を決定する工程;
インゴットからスライスされたウエハのその後のアニール中に発生する熱ドナーをモデル化して、アニール前のウエハの抵抗率の目標範囲を決定する工程;
インゴット成長中の融液のドーパントプロファイルをモデル化して、インゴットの少なくとも一部がアニール前のウエハの抵抗率の目標範囲内になるようにカウンタードーピングスケジュールを決定する工程;
るつぼに多結晶シリコンを加える工程;
多結晶シリコンを加熱して、るつぼ内にシリコン融液を形成させる工程;
るつぼに第1のドーパントを加える工程であって、第1のドーパントはp型またはn型である工程;
融液を種結晶と接触させる工程;
種結晶を融液から引き上げて、単結晶シリコンインゴットを形成する工程;および、
カウンタードーピングスケジュールに基づいて単結晶シリコンインゴットを形成する間に、シリコン融液に第2のドーパントを加える工程であって、第2のドーパントはp型またはn型であり、第1のドーパントの型とは異なる型である工程、
を含む方法。
【請求項2】
インゴットからスライスされたウエハのその後のアニール中に発生する熱ドナーをモデル化する工程は、アニールの温度およびアニールの長さをモデルに入力する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
インゴットからスライスされたウエハのその後のアニール中に発生する熱ドナーをモデル化する工程は、ウエハの酸素含有量をモデルに入力する工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アニールは、少なくとも300℃、少なくとも350℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、少なくとも500℃、または300℃から500℃の温度である請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
アニールの長さは、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも20時間、または5時間から40時間である請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アニールは、デバイス製造工程の一部である請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
デバイス製造工程は、インターポーザーデバイスを形成する工程を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1のドーパントはp型である請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1のドーパントは、ホウ素、ガリウム、アルミニウム、およびインジウムからなる群より選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1のドーパントはホウ素である請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第2のドーパントはn型であり、リン、アンチモン、およびヒ素からなる群から選択される請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第2のドーパントはn型であり、リンである請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
インゴットは一定直径部分を有し、一定直径部分の長さの少なくとも50%がアニール前ウエハ抵抗率目標範囲内にあるか、または少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはインゴットの一定の直径部分の全体がアニール前ウエハ抵抗率目標範囲内にある請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
アニール後の目標抵抗率は、最小抵抗率、最大抵抗率、または抵抗率の範囲を含む請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
アニール後の目標抵抗率は、少なくとも75Ω・cm、または少なくとも300Ω・cm、少なくとも1,000Ω・cm、または1,000Ω・cm未満である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アニール前ウエハ抵抗率目標範囲を決定するために、インゴットからスライスされたウエハのその後のアニール中に発生する熱ドナーをモデル化する工程は、
インゴットからスライスされたウエハのアニール前ウエハ抵抗率目標範囲を決定するためのモデルをコンピュータシステムのメモリに記憶する工程;および、
ウエハの酸素含有量、アニールの長さ、およびアニールの温度を入力として用いてモデルを実行する工程;
を含む請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
インゴットがアニール前ウエハ抵抗率目標範囲内にあるカウンタードーピングスケジュールを決定するために、インゴット成長中の融液のドーパントプロファイルをモデル化する工程は、
インゴット成長中の融液のドーパントプロファイルを決定するためにモデルをコンピュータシステムのメモリに記憶する工程;および、
融液の初期ドーピング量とアニール前ウエハ抵抗率目標範囲とを用いてモデルを実行する工程、
を含む請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年10月11日に出願された米国仮特許出願第63/254,337号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の分野は、単結晶シリコンインゴットを製造するための方法に関し、特に、下流のアニール工程中の熱ドナーの形成および抵抗率の変化をモデル化するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インターポーザは、隣接する能動デバイス間の回路を接続する機械的プラットフォームである。インターポーザ技術は、集積回路およびパッケージングにおける2.5次元集積のためのコスト効果の高い解決を可能にした。インターポーザは、シリコン貫通ビア(TSV)を介したデバイス速度の向上のために相互接続長を短縮し、パッケージのフォームファクタを低減し、異種デバイスの集積を可能にする。
【0004】
単結晶シリコンは、シリコンベースのデバイス部品との熱膨張係数の不整合が比較的小さいため、インターポーザの基板として一般的に使用される。シリコンプロセス中に発生する熱機械応力は小さく、シリコンにおけるビア技術は十分に確立されている。高周波(RF)回路などの受動デバイスは、比較的容易に集積できる。
【0005】
単結晶シリコンは、一般にいわゆるチョクラルスキ(CZ)プロセスによって準備される。種結晶を溶融シリコンに浸漬し、インゴットを融液からゆっくりと引上げることによって成長させる。得られたインゴットは、インターポーザ基板として使用できるウエハにスライスしても良い。
【0006】
RFなどのシリコンインターポーザ用途は、抵抗率の高いp型シリコン基板(例えば、75Ω・cm以上、300Ω・cm以上、さらには1000Ω・cm以上)を含む。デバイスが下流の低温プロセス(例えば300℃から500℃のアニール)を受ける場合、RF用に比較的高い抵抗率を維持することは困難な場合がある。ウエハに取り込まれた酸素は、この温度範囲で「熱二重ドナー」(TDD)または単に「熱ドナー」(TD)と呼ばれる電気的に活性な酸素クラスタを形成する可能性がある。熱ドナーの生成速度は、温度と格子間酸素濃度の両方に強く依存する。インターポーザを製造する温度と時間の範囲により、酸素に関連する熱ドナーは許容範囲を超えて抵抗率をシフトさせたり、あるいはタイプシフト(すなわちP型からN型へ)を引き起こす可能性がある。場合によっては、下流のアニール時間が長くなっても抵抗率が規格内に保たれるようにするために、結晶の生産性(プライム使用可能長さによって測定される)が影響を受けることがある。
【0007】
インゴットのプライム部分を増加させるための、および/または熱ドナーの形成に起因する下流の抵抗率シフトを考慮した、単結晶シリコンインゴット製造の調整方法に対するニーズが存在する。
【0008】
本セクションは、本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図しており、これらは以下に記載および/または請求される。この議論は、本開示の様々な態様をより良く理解するための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。従って、これらの記載は、このような観点から読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないと理解されるべきである。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一態様は、るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。インゴットからスライスされたウエハのアニール後の目標抵抗率が決定される。インゴットからスライスされたウエハのその後のアニール中に発生する熱ドナーは、アニール前のウエハ抵抗率の目標範囲を決定するためにモデル化される。インゴット成長中の融液のドーパントプロファイルがモデル化され、インゴットの少なくとも一部がアニール前のウエハ抵抗率目標範囲内に収まるようなカウンタードーピングスケジュールが決定される。多結晶シリコンをるつぼに加える。多結晶シリコンを加熱し、るつぼ内にシリコン融液を形成する。第1のドーパントをるつぼに添加する。第1のドーパントはp型またはn型である。融液を種結晶と接触させる。種結晶が融液から引上げられ、単結晶シリコンインゴットが形成される。カウンタードーピングスケジュールに基づいて、単結晶シリコンインゴットを形成しながら、シリコン融液に第2のドーパントを添加する。第2のドーパントはp型またはn型であり、第1のドーパントの型とは異なる型である。
【0010】
本開示の上述の態様に関連して指摘された特徴の様々な改良が存在する。さらなる特徴も同様に、本開示の上述の態様に組み込まれ得る。これらの改良および追加の特徴は、個々に、または任意の組み合わせで存在し得る。例えば、本開示の図示された実施の形態のいずれかに関連して後述される様々な特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで、本開示の上述の態様のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】単結晶シリコンインゴットを製造する方法のブロック図である。
【
図2】単結晶シリコンインゴットを形成するための引上げ装置の概略側面図である。
【
図3】
図1の方法で使用するためのコンピューティングデバイスのブロック図である。
【
図4】様々な酸素濃度を有するウエハについて、5時間350℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図5】様々な酸素濃度を有するウエハについて、10時間350℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図6】様々な酸素濃度を有するウエハについて、20時間350℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図7】様々な酸素濃度を有するウエハについて、40時間350℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図8】様々な酸素濃度を有するウエハについて、5時間400℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図9】様々な酸素濃度を有するウエハについて、10時間400℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図10】様々な酸素濃度を有するウエハについて、20時間400℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図11】様々な酸素濃度を有するウエハについて、40時間400℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図12】様々な酸素濃度を有するウエハについて、5時間450℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図13】様々な酸素濃度を有するウエハについて、10時間450℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図14】様々な酸素濃度を有するウエハについて、20時間450℃のアニールにおける開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図15】様々な酸素濃度を有するウエハについて40時間450℃のアニールした場合の開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図16】p型ホウ素ドープのインゴットについて、インゴット本体の長さに渡る抵抗率(Ω・cm)の変化を示すグラフである。
【
図17】400℃で5、10、20、および40時間アニールした8nppmaウエハについて、開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図18】100、150、および200Ω・cmのシードエンドインゴットのp型ホウ素ドープインゴットについて、インゴット本体の長さに渡る抵抗率の変化を示すグラフである。
【
図19】2回のリンのカウンタードーピングサイクルによる、シードエンド抵抗率100Ω・cmのp型ホウ素ドープインゴットのインゴット本体の長さに渡る抵抗率の変化を示すグラフである。
【
図20】5時間、10時間、および40時間(それぞれ、6nppma、5nppma、4nppma)アニールしたウエハの、開始抵抗率の関数としての最終抵抗率を示すグラフである。
【
図21】320、380および420Ω・cmのシードエンド酸素を有するp型ホウ素ドープインゴットのインゴット本体の長さに渡る抵抗率の変化を示すグラフである。
【
図22】3回のリンのカウンタードーピングサイクロを行った340Ω・cmのシード端抵抗率を有するp型ホウ素ドープインゴットの、インゴット本体の長さに渡る抵抗率の変化を示すグラフである。
【0012】
対応する参照文字は、図面全体を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の規定は、単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。インゴットからスライスされたウエハは、デバイス製造中(例えば、インターポーザーデバイスの形成中)などの下流でアニールされる。本開示の例示的な方法は、インゴットからスライスされたウエハのアニール後の目標抵抗率を決定することを含む。アニール後の目標抵抗率は、デバイスが構築されるシリコンウエハ(または、ウエハがアニール前にチップに切断される場合にはチップ)の所望の抵抗率である。インゴットからスライスされたウエハのその後のアニール中に生成される熱ドナー(本明細書では「熱二重ドナー」とも呼ばれる)は、インゴットから形成されるウエハの目標抵抗率(アニール前の抵抗率)を決定するためにモデル化される。その後、インゴットのより多くの部分がアニール前の目標抵抗率を有するように、融液を系統的にドープ(例えば、カウンタードーピング)しても良い。
【0014】
本開示の方法の一実施形態を
図1に示す。最初のステップ100では、インゴットからスライスされたウエハのアニール後の目標抵抗率が決定される。目標抵抗率は、後続のデバイスが動作する(すなわち、デバイスの単結晶シリコン基板部分の)所望の抵抗率とすることができる。目標抵抗率は、デバイス製造中など、ウエハの1回以上のアニールが行われた後の抵抗率である。目標抵抗率は、最小抵抗率、最大抵抗率、または抵抗率の範囲であってもよい。インターポーザーデバイスのようないくつかの実施形態では、デバイス(すなわち、製造熱処理後)の所望の抵抗率は、少なくとも75Ω・cm、少なくとも300Ω・cm、または少なくとも1,000Ω・cm(例えば、75Ω・cmから5,000Ω・cm、または100Ω・cmから1,500Ω・cm)であってもよい。他の実施形態では、20,000Ω・cmまでのようなさらに高い抵抗率を使用してもよい。
【0015】
第2のステップ200では、インゴットからスライスされたウエハのその後のアニール中に発生する熱ドナーの量がモデル化される。熱ドナー(n型ドーパントと同様の電子供与体として作用する)をモデル化することにより、その後のアニール中の熱ドナー生成によって引き起こされる抵抗率の変化を決定することができる。その後のアニール中の抵抗率の変化を知ることで、アニール前のウエハの抵抗率の目標範囲(例えば、最小抵抗率、最大抵抗率、または抵抗率の範囲)を決定することができる。例えば、p型基板の場合、アニール前の目標抵抗率は、アニール後の目標抵抗率から、アニール中の熱ドナー形成による抵抗率の増加を差し引いた値に等しくなる。n型基板の場合、アニール前の目標抵抗率は、アニール後の目標抵抗率にアニール中の熱ドナー形成による抵抗率の減少を加えたものに等しくなる。
【0016】
アニール中の熱ドナーの生成による抵抗率の変化を決定するために、任意の適切なモデルを使用することができる。例えば、モデルは、Voronkovらの、"Properties of Fast-Diffusing Oxygen Species in Silicon Deduced from the Generation Kinetics of Thermal Donors", Solid State Phenomena, Vols. 156-158 (2010), pp.115-122に記載されている。計算は、Londosらの、"Effect of Oxygen Concentration on the Kinetics of Thermal Donor Formation in Silicon at Temperatures between 350 and 500℃", Applied Physics Letters, Vol. 62, 1525 (1993)などの熱ドナー形成に関する他の公表された研究に基づいてもよく、この研究もまた、全ての関連する一貫した目的のために参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、モデルは、アニール中に生じる抵抗率の変化に関する経験的データに基づいてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、熱ドナー形成および/またはアニール中に生じる抵抗率の変化を決定するために、アニールおよび/または基板に関連する入力210をモデルに入力することができる。例えば、好適な入力210には、インゴット/ウエハの酸素濃度(顧客の仕様やインゴット成長システムの能力に基づく場合がある)、アニール温度、アニール時間、および開始抵抗率およびタイプが含まれる。モデルは、生成された熱ドナーの数を出力することができ、この出力は、アニールによって引き起こされる抵抗率とタイプの変化を決定するために使用することができる。あるいは、それに加えて、モデルはアニール中の抵抗率の変化、またはアニール後の最終的な抵抗率とタイプを出力することもできます。アニールによる抵抗率の変化は、アニール前のウエハ抵抗率の目標範囲を決定するために使用される。
【0018】
本開示の実施形態に従って、モデルに入力される下流アニールの詳細は、下流デバイス(例えば、インターポーザーデバイス)の製造方法に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、後続のアニールは、少なくとも300℃、少なくとも350℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、少なくとも500℃、または300℃から500℃の温度である。アニールの長さは、少なくとも5時間、少なくとも10時間、または少なくとも20時間(例えば、5~40時間)であってよい。
【0019】
ステップ300では、インゴット成長中の融液のドーパントプロファイルがモデル化される。ドーパントプロファイルは、アニール前のウエハ抵抗率の目標範囲内の抵抗率を有するインゴット本体の長さを最大化する、カウンタードーピングスケジュールを決定するためにモデル化される。例えば、ホウ素をドーパントとして使用するp型ドーピング領域では、ホウ素の偏析係数のために、融液中のホウ素の蓄積により、融液の抵抗率が時間と共に低下することがある。ドーパントプロファイルをモデル化することにより、カウンタードーピングスケジュールを決定することができる。いくつかの実施形態(例えば、インターポーザアプリケーション)では、カウンタードーピングスケジュールは、ホウ素の蓄積を補償するために、インゴット成長中にリンなどのn型ドーパントの量を融液に添加することからなる。例えば、インゴット成長中に1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、または5サイクル以上でリンを添加することができる。カウンタードーピングスケジュールを決定するために使用されるモデルは、ドーパント量と抵抗率との間の既知の関係に基づいてもよい。抵抗率は、ドーパント元素の濃度と次の関係で表される。
抵抗率=1/(nqu) (式1)
ここで、nは電荷キャリアの数、qは基本クーロン電荷、uは電荷キャリアの移動度である。一般的に、ドーパントは完全にイオン化していると考えられ、nは目的のドーパントの濃度と等しいとみなすことができる。
【0020】
複数の元素がドナーまたはアクセプタとして存在し得るので、キャリアの正味の大部分は、以下のように絶対値として計算することができる。
nnet=|ndonors-nacceptors| (式2)。
ドナーの数がアクセプタの数を上回る場合、抵抗率は次のように計算される。
抵抗率=(nnetque’) (式3)
ここでue’は電子の移動度である。逆に、ドナーの数がアクセプタの数より少ない場合、抵抗率は次のように計算される。
抵抗率=1/(nnetquh°) (式4)
ここで、uh°は正孔の移動度である。
【0021】
カウンタードーピングスケジュールを決定するためのモデルへの入力310には、融液中の主ドーパントまたは「第1の」ドーパント(例えば、ホウ素)の量、融液不純物(例えば、電荷からのバックグラウンド不純物)、初期シリコン電荷、選択されたカウンタドーパント、カウンタドーパント供給量(例えば、本体長の関数として)、トップおよびテーパの重量、および本体の直径が含まれる。
【0022】
後続のアニール中に生成される熱ドナーの量および/またはアニール中の抵抗率の変化を決定するためにステップ200で使用されるモデルと、インゴット成長中の融液のドーパントプロファイルを決定し、カウンタードーピングスケジュールを決定するためにステップ300で使用されるモデルは、それぞれ、プロセッサおよびメモリを含むコンピュータシステムなどのコンピューティングシステムによって実行することができる。
【0023】
本明細書で使用されるように、プロセッサは、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に記載される機能を実行することができる他の回路またはプロセッサを使用するシステムを含む、任意のプログラム可能なシステムを含むことができる。上記の例は例示であり、したがって、「プロセッサ」という用語の定義および/または意味を、いかなる形でも限定することを意図するものではない。
【0024】
モデルに関連するデータベースがメモリに格納されてもよい。本明細書で使用する場合、「データベース」という用語は、データ本体、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、またはその両方を指すことがある。本明細書で使用される場合、データベースは、階層データベース、リレーショナルデータベース、フラットファイルデータベース、オブジェクトリレーショナルデータベース、オブジェクト指向データベース、およびコンピュータシステムに格納されるレコードまたはデータの他の任意の構造化されたコレクションを含むデータの任意のコレクションを含むことができる。上記の例は例示であり、データベースという用語の定義や意味を限定するものではない。RDBMSの例としては、Oracle(登録商標)Database、MySQL(登録商標)、IBM(登録商標)DB2、Microsoft(登録商標)SQL Server、Sybase(登録商標)PostgreSQLなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、本明細書で説明するシステムおよび方法を可能にするデータベースであれば、どのようなものでも使用することができる。(Oracleは、カリフォルニア州レッドウッドショアズのOracle Corporationの登録商標であり、IBMは、ニューヨーク州アーモンクのInternational Business Machines Corporationの登録商標であり、Microsoftは、ワシントン州レッドモンドのMicrosoft Corporationの登録商標であり、Sybaseは、カリフォルニア州ダブリンのSybaseの登録商標である)。
【0025】
別の実施形態では、コンピュータプログラムが提供され、そのプログラムはコンピュータ可読媒体上に具現化される。例示的な実施形態では、システムは、サーバーコンピュータへの接続を必要とせずに、単一のコンピュータシステム上で実行される。さらに例示的な実施形態では、システムはWindows(登録商標)環境で実行される(Windowsは、ワシントン州レドモンドのマイクロソフト社の登録商標である)。さらに別の実施形態では、システムはメインフレーム環境およびUNIX(登録商標)サーバー環境(UNIXは、英国バークシャー州レディングにあるX/Open Company Limitedの登録商標である)で実行されている。さらなる実施形態では、システムはiOS(登録商標)環境上で実行される(iOSは、カリフォルニア州サンノゼにあるCisco Systems, Inc.の登録商標である)。さらに別の実施形態では、システムはMac OS(登録商標)環境上で実行される(Mac OSは、カリフォルニア州クパチーノにあるApple Inc.の登録商標である)。さらに別の実施形態では、システムはAndroid(登録商標)OS上で実行される(Androidは、カリフォルニア州マウンテンビューにあるGoogle,Inc.の登録商標である)。別の実施形態では、システムはLinux(登録商標)OS(Linuxはマサチューセッツ州ボストンのリーナス・トーバルズの登録商標)で実行される。このアプリケーションは柔軟性があり、主要な機能を損なうことなく、様々な異なる環境で実行できるように設計されている。いくつかの実施形態では、システムは、複数のコンピューティングデバイスに分散された複数の構成要素を含む。1つ以上の構成要素は、コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータ実行可能命令の形態である。システムおよびプロセスは、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。加えて、各システムの構成要素および各プロセスは、本明細書に記載される他の構成要素およびプロセスとは独立して別個に実施することができる。また、各構成要素および各工程は、他の組立パッケージおよび工程と組み合わせて使用することもできる。
【0026】
システムおよびプロセスは、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。さらに、各システムの構成要素および各工程は、本明細書に記載される他の構成要素および工程とは独立して、別個に実施することができる。また、各構成要素および各工程は、他の組立パッケージおよび工程と組み合わせて使用することもできる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ステップ200、300(
図1)で使用される各モデルは、例示的なコンピューティングデバイス400(
図3)上で実行される。コンピューティングデバイス400は、プロセッサ402、メモリ404、メディア出力構成要素406、入力デバイス408、および通信インタフェイス410を含む。他の実施形態は、異なる構成要素、追加の構成要素を含み、および/または
図3に示されるすべての構成要素を含まない。コンピューティングデバイス400は、例えば、データ(例えば、本明細書に記載の入力210、310)を受信して処理し、熱ドナーおよび/または結晶成長シミュレーションを実行するために使用することができる。
【0028】
プロセッサ402は、命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、実行可能な命令がメモリ404に記憶される。プロセッサ402は、1つ以上の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を含み得る。プロセッサという用語は、本明細書で使用される場合、中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、および本明細書で説明される機能を実行可能な任意の他の回路またはプロセッサを指す。上記は例示であり、したがって、「プロセッサ」という用語の定義および/または意味を限定することを意図するものではない。
【0029】
メモリ404は、本明細書に記載の技術を実行するための、非一過性の、コンピュータ読み取り可能な命令を記憶する。このような命令は、プロセッサ402によって実行されると、プロセッサ402に、本明細書で説明する方法の少なくとも一部を実行させる。いくつかの実施形態では、メモリ404は、メディア出力構成要素406を介してユーザインタフェイスをユーザに提供し、入力デバイス408からの入力を受信して処理するためのコンピュータ読み取り可能な命令を記憶する。メモリ404は、ダイナミックRAM(DRAM)またはスタティックRAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、および不揮発性RAM(NVRAM)を含み得るが、これらに限定されない。プロセッサ402とは別個のものとして図示されているが、いくつかの実施形態では、メモリ404は、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサなどにおいてプロセッサ402と組み合わされるが、それでもなお別個に参照されることがある。上記のメモリの種類は例示であり、したがって、コンピュータプログラムの格納に使用可能なメモリの種類を限定するものではない。
【0030】
メディア出力構成要素406は、ユーザ(例えば、装置のオペレータ)に情報を提示するように構成される。メディア出力構成要素406は、ユーザに情報を伝えることができる任意の構成要素である。いくつかの実施形態では、メディア出力構成要素406は、ビデオアダプタおよび/またはオーディオアダプタなどの出力アダプタを含む。出力アダプタは、プロセッサ402に動作可能に接続され、ディスプレイデバイス(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、陰極線管(CRT)、「電子インク」ディスプレイ、1つまたは複数の発光ダイオード(LED))またはオーディオ出力デバイス(例えば、スピーカまたはヘッドフォン)などの出力デバイスに動作可能に接続される。
【0031】
コンピューティングデバイス400は、ユーザからの入力を受信するための入力デバイス408(例えば、
図1に示す入力210、310)を含むか、または入力デバイス408に接続されている。入力デバイス408は、視覚、音声、タッチ、ボタン押下、スタイラスタップなどを含む、アナログおよび/またはデジタルコマンド、命令、または他の入力をコンピューティングデバイス400がユーザから受信することを可能にする任意のデバイスである。入力デバイス408は、例えば、可変抵抗器、入力ダイヤル、キーボード/キーパッド、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチセンシティブパネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、音声入力デバイス、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。タッチスクリーンなどの単一の構成要素が、メディア出力構成要素406の出力デバイスおよび入力デバイス408の両方として機能する場合もある。
【0032】
通信インタフェイスは、コンピューティングデバイス400が、リモートセンサ、リモートデータベース、リモートコンピューティングデバイスなどのリモートデバイスおよびシステムと通信することを可能にし、複数のリモートデバイスまたはシステムと対話するための複数の通信インタフェイスを含み得る。通信インタフェイスは、コンピューティングデバイス400がリモートデバイスおよびシステムと直接またはネットワークを介して通信することを可能にする有線または無線通信インタフェイスであってよい。無線通信インタフェイスは、無線周波数(RF)トランシーバ、Bluetooth(登録商標)アダプタ、Wi-Fiトランシーバ、ZigBee(登録商標)トランシーバ、近距離無線通信(NFC)トランシーバ、赤外線(IR)トランシーバ、および/または無線通信のための任意の他のデバイスおよび通信プロトコルを含み得る。(Bluetoothは、ワシントン州カークランドのBluetooth Special Interest Groupの登録商標であり、ZigBeeは、カリフォルニア州サンラモンのZigBee Allianceの登録商標である)。有線通信インタフェイスは、USB、RS232、I2C、SPI、アナログ、および独自のI/Oプロトコルを含むがこれらに限定されない、直接通信のための任意の適切な有線通信プロトコルを使用することができる。いくつかの実施形態では、有線通信インタフェイスは、コンピューティングデバイス400が、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メッシュネットワーク、および/またはネットワークを介してリモートデバイスおよびシステムと通信するための任意の他のネットワークなどのネットワークに結合されることを可能にする有線ネットワークアダプタを含む。
【0033】
本明細書で議論されるコンピュータシステムは、本明細書の他の箇所で議論されるものを含め、追加機能、より少ない機能、または代替機能を含むことができる。本明細書で論じるコンピュータシステムは、非一過性のコンピュータ可読媒体または媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令を含むか、またはそれを介して実装されてもよい。
【0034】
ステップ200を実行するための例示的な実施形態では、コンピュータ装置400は、アニール温度および長さの範囲に対する熱ドナー形成による抵抗率変化のモデル(例えば、シミュレーション)を含む。ステップ300を実行するための例示的な実施形態では、コンピュータ装置400は、初期ドーピング量(例えば、ホウ素などのp型)および/または様々なカウンタードーピング量、に基づくシリコン融液から形成されたインゴットの抵抗率のモデル(例えば、シミュレーション)を含む。
【0035】
カウンタードーピングスケジュールが決定されると、ステップ400において、カウンタードーピングスケジュールに従ってインゴットを成長させることができる。本開示の実施形態に従い、
図2を参照すると、インゴットは、インゴット引上げ装置23のるつぼ22内に保持されたシリコン融液44からインゴットが引上げられ、いわゆるチョクラルスキプロセスによって成長される。
【0036】
インゴット引上げ装置23は、結晶成長チャンバ16と、成長チャンバよりも小さい横方向寸法を有する引上げチャンバ20とを規定するハウジング25を含む。成長チャンバ16は、成長チャンバ16から狭くなった引上げチャンバ20に移行する概ねドーム状の上壁45を有する。インゴット引上げ装置23は、結晶成長中にハウジング25へのプロセスガスの導入およびハウジング25からのプロセスガスの除去に使用され得る入口ポート7および出口ポート11を含む。
【0037】
インゴット引上げ装置23内のるつぼ22は、シリコンインゴットが引上げられるシリコン融液44を含む。シリコン融液44は、るつぼ22に装入された多結晶シリコンを溶融することによって得られる。るつぼ22は、インゴット引上げ装置23の中心長手方向軸Xを中心としてるつぼを回転させるために、ターンテーブル31に取り付けられている。
【0038】
加熱装置39(例えば、電気抵抗ヒータ39)は、融液44を生成するためにシリコンチャージを融解するために、るつぼ22を取り囲む。ヒータ39はまた、米国特許第8,317,919号に示されるように、るつぼの下方に延びてもよい。ヒータ39は、制御システム(図示せず)によって制御され、融液44の温度が引上げ工程全体に渡って正確に制御する。ヒータ39を囲む断熱材(図示せず)は、ハウジング25を通して失われる熱の量を減少させることができる。インゴット引上げ装置23は、固体-溶融界面における軸方向の温度勾配を増大させるために、インゴットをるつぼ22の熱から遮蔽するための、融液面の上方の熱遮蔽アセンブリ(図示せず)を含むこともできる。
【0039】
引上げ機構(図示せず)が、機構から下方に延びる引上げワイヤ24に取り付けられている。この機構はプルワイヤ24を昇降させることができる。インゴット引上げ装置23は、引上げ機の種類によっては、ワイヤではなくプルシャフトを有してもよい。プルワイヤ24は、シリコンインゴットの成長に使用される種結晶6を保持する種結晶チャック32を含む引上げアセンブリ58で終端する。インゴットを成長させる際、引上げ機構は、シリコン融液44の表面に接触するまで種結晶6を下降させる。種結晶6が融解し始めると、引上げ機構は、単結晶インゴットを成長させるために、成長チャンバ16および引上げチャンバ20を通して種結晶をゆっくりと引き上げる。引上げ機構が種結晶6を回転させる速度および引上げ機構が種結晶を引上げる速度(すなわち、引上げ速度v)は、制御システムによって制御される。
【0040】
プロセスガスは、入口ポート7からハウジング26内に導入され、出口ポート12から引き出される。プロセスガスはハウジング内に雰囲気を作り出し、融液と雰囲気は融液-ガス界面を形成する。出口ポート12は、インゴット引上げ機の排気システム(図示せず)と流体連通している。
【0041】
この点に関して、
図1に示され、本明細書に記載されるインゴット引上げ装置23は例示的なものであり、他の結晶引上げ装置の構成および配置が、特に断らない限り、融液から単結晶シリコンインゴットを引上げるために使用され得る。
【0042】
本開示の実施形態に従って、多結晶シリコンをるつぼ22に添加する。多結晶シリコンは、シリコンを液化させ、るつぼ内で融液を形成させるために加熱される。ドーパント(例えば、ホウ素などのp型)を(多結晶シリコンの融解前または融解後に)るつぼに添加する。
【0043】
本開示の方法は、第1のドーパントがp型ドーパント(例えば、ホウ素であるが、ガリウム、アルミニウムまたはインジウムでもよい)であり、カウンタードーパントまたは「第2の」ドーパントがn型ドーパント(例えば、他の実施形態では、主ドーパントは1つまたは複数のn型ドーパントであってもよく、カウンタドーパントはp型ドーパントであってもよい(すなわち、第1のドーパントはp型またはn型であり、第2のドーパントは第1のドーパントの型とは異なる型である)。リンを添加する場合、任意の適切なリンの供給源を使用することができる。
【0044】
所望のプレアニール抵抗率を達成するためにカウンタードーピングを行うことにより、目標とするプレアニール抵抗率の範囲内にあるインゴットの一定直径部分または「本体」の長さ(すなわち、「プライム」部分)を長くすることができる。例えば、一定直径部分の長さの少なくとも50%がプレアニールウエハ抵抗率目標範囲内にあるか、またはインゴットの一定直径部分の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または全体がプレアニールウエハ抵抗率目標範囲内にある。
【0045】
いくつかの実施形態では、インゴットが成長した後、ウエハは、アニール前ウエハ抵抗率目標範囲内のインゴットの部分からスライスされる。インターポーザーデバイスのようなデバイスは、デバイス製造プロセスの一部として上述の熱処理が行われたウエハ上に構築される。デバイスは、デバイス製造プロセスの一部として熱ドナーが形成される任意のデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、デバイスはインターポーザーである。いくつかの実施形態では、デバイスは、シリコン貫通ビア接続(TSV)を含む任意のデバイスである。
【0046】
インゴットを形成する従来の方法と比較して、本開示の方法にはいくつかの利点がある。下流のアニールによる抵抗率の変化をモデル化することにより、アニール前の目標抵抗率範囲を決定することができる。これにより、インゴットのプライム部分を増加させるためのカウンタードーピングスケジュールを開発することができる。これにより、その後のアニール温度と時間に基づいてインゴットプロセスを調整することができる。インターポーザーデバイスは、熱ドナーを形成できる温度範囲(例えば350~500℃)で比較的長時間のアニール(例えば5~40時間)を伴う方法で作製されるため、これはインターポーザーデバイスに使用される基板に特に有利である。この方法によって、顧客はインライン性能を向上させるためのインゴット成長仕様範囲をより明確にすることができ、後工程のライン性能をウエハ統合と連動させることができる。
【0047】
実施例
本開示のプロセスは、以下の実施例によってさらに説明される。これらの実施例は、限定的な意味で捉えられるべきではない。
【0048】
実施例1:最終抵抗率に対する熱ドナーの影響
図4~7は、p型(ホウ素)ウエハにおける熱ドナー生成に対する350℃の熱アニールの影響と、5、10、20および40時間のアニール(実施例1および2の各インゴットおよびウエハはp型であり、ホウ素がドープされている)に対する所定の開始抵抗率に対する結果として生じる抵抗率の変化を示す。
図4~7に示すように、40時間後の高酸素ウエハ(8nppma)を除いて、アニール後の抵抗率にはほとんど影響がない(
図7)。
【0049】
400°C(
図8~11)では、より多くの熱ドナーが生成され、一部のウエハでタイプチェンジが起こる。アニール時間が長くなると、酸素含有量の低いウエハでも抵抗率が変化する。300Ω・cm~1000Ω・cmのアニール後の目標抵抗率は、より広い酸素含有量範囲において、(350℃に対して)400℃ではより制約を受ける。
図8~11に示すように、アニール時間が長くなるにつれて、酸素が4ppmaを超えると、実行可能な開始抵抗率が抑制される。多くの場合、最終的な抵抗率は少なくとも1,000Ω・cm増加するだけでなく、実際にタイプ反転する。抵抗率の上昇とタイプフリップを避けるため、使用可能な酸素窓と開始抵抗率の窓はかなり狭くなり、インゴット本体のプライム部分の長さに影響を与える可能性がある。
【0050】
450℃(
図12-15)では、さらに多くの熱ドナーが生成され、開始抵抗率および酸素のプロセスウインドウはさらに縮小する。
【0051】
実施例2:さまざまな酸素濃度とアニールおよびカウンタードーピング技術に対するアニール後の抵抗率目標および結晶ウインドウ
図4~7に示すように、350℃の場合、75-300Ω・cmのアニール(40時間)後の目標抵抗率では、結晶ウインドウは6nppmaまで制約を受けないが、300-1000Ω・cmの最終目標抵抗率では、6nppmaで~700Ω・cm、8nppmaで~550Ω・cmで制約を受ける。いずれの場合も、シードエンドの目標が550または700Ω・cm未満に維持されれば、結晶全体を
図16に示すように成長させることができる。
【0052】
400℃の場合(
図17)、Oiが8nppmaの場合、アニール後の結晶抵抗率の上限は75-300Ω・cmで、5時間のアニールでは~200Ω・cm、10時間のアニールでは~150Ω・cm、20時間のアニールでは~100Ω・cm、40時間のアニールでは実質的にウインドウがないことがわかる。
【0053】
図18は、P型ホウ素ドープ結晶の典型的なシードエンド目標100、150および200Ω・cmの凝固率(g値)の関数としての抵抗率プロファイルを示す。
図18では、上限を300Ω・cm、下限を75Ω・cmとしている。また、
図18に示すように、シードエンド目標が100Ω・cm(400℃20時間アニールの上限値)の場合、結晶プライム長さは凝固率の72%に制限される。
【0054】
図19に示すように、インゴットの主体部中間の成長中に抵抗率をリセットし、全体のプライム長さを確保するために、リンの気相カウンタードーピングを使用することができる。この場合、凝固率46%および67%での結晶成長中に、結晶成長界面に近い融液に気相リンがカウンタードーピングされる。この予言的な例は、リンを断続的にドーピングすることで、400℃で20時間のアニール後に、抵抗率を300Ω・cm未満に維持するのに必要な、75~100Ω・cmの範囲内に抵抗率を維持できることを示す。
【0055】
450℃の場合、酸素と時間の関数としての結晶上限抵抗率の代表例を
図20に示す。300-1000Ω・cmの結晶抵抗率のアニール後の上限は、酸素と時間の影響を強く受ける。
図20に示すように、5時間のアニールでの6nppmaOiの抵抗率上限は~380Ω・cm、10時間のアニールでの5nppmaOiの抵抗率上限は~420Ω・cm、40時間のアニールでの4nppmaOiの抵抗率上限は~340Ω・cmである。
【0056】
図21は、結晶が300Ω・cmの規格限界を下回るプライム長さ(矢印)を含む、通常の偏析で成長したホウ素ドープ結晶の対応する抵抗率プロファイル(320、380、420Ω・cmのシードエンド)を示す。
【0057】
図22は、450℃で40時間アニールした場合、4nppmaOiの抵抗率を340Ω・cmと下限の300Ω・cmの間に維持するために、リンを用いた気相カウンタードーピングを効果的に使用できる場合を示す。この例では、プライム長さは、約32%の凝固率からほぼ全体n長さまで延長される。
【0058】
本明細書において、寸法、濃度、温度または他の物理的もしくは化学的性質もしくは特性の範囲と共に使用される場合の用語「約」、「実質的に」、「本質的に」および「約」は、例えば、丸め、測定方法または他の統計的変動に起因する変動を含む、性質または特性の範囲の上限および/または下限に存在し得る変動をカバーすることを意味する。
【0059】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「(その)the」、および「(該)said」は、要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。特定の方向を示す用語(例えば、「上部(top)」、「下部(bottom)」、「側部(side)」など)の使用は、説明の便宜のためであり、記載される項目の特定の方向を必要とするものではない。
【0060】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成および方法において様々な変更がなされ得るので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味において解釈されないことが意図される。
【国際調査報告】