IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】菌体外多糖生成微生物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20240925BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240925BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20240925BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240925BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240925BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240925BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240925BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 63/25 20200101ALI20240925BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12N15/63 Z
A61K35/742
A61K35/74 Z
A61P35/00
A61P39/06
A61K38/16
A61K47/36
A01P21/00
A01N63/25
C12N1/20 D
C12N1/20 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515331
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022075122
(87)【国際公開番号】W WO2023036938
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】21196088.5
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイ,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ヘロルト,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ハインリヒ,ダニエル クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ホイシュケル,インゲボルク
(72)【発明者】
【氏名】センドロフスキ,ヘイコ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
4H011
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA15X
4B065AA23X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA41
4B065CA43
4B065CA44
4B065CA47
4B065CA49
4B065CA54
4C076EE30A
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA04
4C084DC50
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC41
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC54
4C087BC64
4C087BC68
4C087CA12
4C087CA14
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC41
4H011AB03
4H011BB21
(57)【要約】
本発明は、ファーミキューテス(Firmicutes)の菌体外多糖生成に関与する遺伝子に関する。本発明は、特に発酵の過程にわたり、菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させるため又は菌体外多糖の自己分解を防止するための、それらの遺伝子に対する変異及び対応する変異タンパク質を提供する。本発明はまた、微生物及び菌体外多糖の好適な発酵方法、並びに微生物及び菌体外多糖の変異遺伝子及び変異タンパク質の好適な使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変異型degU遺伝子及び/又は変異型degS遺伝子、並びに任意選択的に更に変異型spo0A遺伝子を含む微生物であって、
菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示す、微生物。
【請求項2】
変異型degU遺伝子を含む、請求項1に記載の微生物であって、
- 前記degU遺伝子が、DNA結合活性が低減しており且つ/若しくは機能的DNA結合ドメインを欠く、DegUタンパク質をコードする、且つ/又は
- 前記degU遺伝子がDegUタンパク質をコードし、その変異が、各選択肢a)及びb)について優先度の降順で、
a)Q218*、Q218K、Q218N、Q218D、Q218R、及び/若しくは
b)D223*、D223*+M220N、D223*+M220N+E221G、D223*+M220N+V222G、D223*+M220N+E221G+V222G、D223*+M220D、D223*+M220E、D223*+M220H、D223*+M220F、D223*+M220W、D223*+M220S、D223*+M220A、のうちの1つ以上を含むか若しくはそれらからなる、微生物。
【請求項3】
変異型degS遺伝子を含む、請求項1又は2に記載の微生物であって、
- 前記degS遺伝子が、機能的単一結合ドメイン、機能的ホスポアクセプター(phospoacceptor)ドメイン及び/若しくは機能的ATPアーゼドメインを欠くDegSタンパク質をコードする、且つ/又は
- 前記degS遺伝子がDegSタンパク質をコードし、その変異が、L99F、L99C、L99D、L99E、L99G、L99H、L99K、L99N、L99P、L99Q、L99R、L99S、L99W若しくはL99Yを含むか若しくはそれらからなる、微生物。
【請求項4】
変異型spo0A遺伝子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の微生物であって、
a)その変異が、DNA結合ドメイン若しくはレシーバードメインに位置し、Spo0Aタンパク質のリン酸化の低減若しくは消失及び/若しくは二量体化の低減若しくは消失をもたらし、且つ/又は
b)前記変異が、
- A257V、より好ましくはA257S、若しくは
- I161R、より好ましくはI161L、若しくは
- 優先度の降順で、A257S+I161I、A257A+I161L、A257V+I161I、A257S+I161F若しくはA257A+I161R、のいずれかからなるか若しくはそれらのいずれかを含む、微生物。
【請求項5】
前記微生物が液体発酵培地中で増殖する場合、好ましくはバッチ発酵中に最大炭素移動速度(CTR)に達した後48時間にわたり、前記発酵培地の粘度が、対応する野生型株の発酵で得られる最大発酵培地粘度の50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%よりも高いままであるように、前記発酵培地の粘度増加を引き起こす、請求項1~4のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項6】
前記微生物が、
- ファーミキューテス(Firmicutes)門、バチルス(Bacilli)綱、クロストリジウム(Clostridia)綱又はネガティウィクテス(Negativicutes)綱、
- より好ましくはバチルス(Bacillales)目、クロストリジウム(Clostridiales)目、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacterales)目、サーモセディミニバクター(Thermosediminibacterales)目又はセレノモナス(Selenomonadales)目、
- より好ましくはバチルス(Bacillaceae)科、パエニバチルス(Paenibacillaceae)科、パスツリア(Pasteuriaceae)科、クロストリジウム(Clostridiaceae)科、ペプトコッカス(Peptococcaceae)科、ヘリオバクテリウム(Heliobacteriaceae)科、シントロフォモナス(Syntrophomonadaceae)科、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacteraceae)科、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacteraceae)科又はスポロミュサ(Sporomusaceae)科、
- より好ましくはアルカリバチルス(Alkalibacillus)属、バチルス(Bacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、リシニバチルス(Lysinibacillus)属、ピシバチルス(Piscibacillus)属、テリバチルス(Terribacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、サーモバチルス(Thermobacillus)属、パスツリア(Pasteuria)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、ヘリオバクテリウム(Heliobacterium)属、ペロスポラ(Pelospora)属、ペロトマクルム(Pelotomaculum)属、カルダナエロバクター(Caldanaerobacter)属、ムーレラ(Moorella)属、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)属、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacter)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属又はスポロミュサ(Sporomusa)属、
- より好ましくはバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属又はクロストリジウム(Clostridium)
の分類階級から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項7】
微生物の菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させる方法、又は微生物の菌体外多糖分解を低減若しくは防止する方法であって、
a)請求項2に記載の変異型DegUタンパク質、
b)請求項3に記載の変異型DegSタンパク質、
c)請求項4に記載の変異型Spo0Aタンパク質
のうちの1つ以上を前記微生物に提供する工程を含む、方法。
【請求項8】
a)請求項2に記載の変異型DegUタンパク質、
b)請求項3に記載の変異型DegSタンパク質、
c)請求項4に記載の変異型Spo0Aタンパク質
のうちの1つ以上を発現させるための発現カセットを含む、発現ベクター。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の微生物を、
a)植物材料及び/又は
b)植物栽培基材
に適用することを含む、植物の健康を改善する方法。
【請求項10】
菌体外多糖の生成方法であって、
i)請求項1~6のいずれか一項に記載の微生物を増殖させること、及び
ii)任意選択的に前記菌体外多糖から前記微生物を分離すること
を含む、方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の微生物、又は請求項2に記載のdegU遺伝子若しくはタンパク質及び/又は請求項3に記載のdegS遺伝子若しくはDegSタンパク質及び/又は請求項4に記載のspo0A遺伝子若しくはSpo0Aタンパク質の使用であって、
- 菌体外多糖組成物の生成、
- 植物、植物の葉、植物の根及び/又は植物の種子の処理、
- 好ましくは土壌肥沃度を高めるための、土壌の接種、
- 収量一貫性の改善、
- 地下層の処理、
- 廃水の処理、
- 医薬担体又は化粧品担体の調製、
- 医薬組成物又は化粧用組成物の調製、
- 皮膚水和組成物の調製、
- 凝集剤の調製、
- 食品又は飼料添加物の調製、
- 抗腫瘍剤の調製、
- 抗酸化剤の調製
のいずれかのための、使用。
【請求項12】
請求項6に記載の分類階級のいずれかから選択される微生物の菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させるか又は菌体外多糖分解を防止するための、
a)請求項2に記載の変異型DegUタンパク質、
b)請求項3に記載の変異型DegSタンパク質、
c)請求項4に記載の変異型Spo0Aタンパク質
のうちの1つ以上の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファーミキューテス(Firmicutes)の菌体外多糖生成に関与する遺伝子に関する。本発明は、特に発酵の過程にわたり、菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させるため又は菌体外多糖分解を防止するための、それらの遺伝子の変異及び対応する変異タンパク質を提供する。本発明はまた、微生物及び菌体外多糖の好適な発酵方法、並びに微生物及び菌体外多糖の変異遺伝子及び変異タンパク質の好適な使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
微生物の菌体外多糖は、例えばバイオフィルム中に見られるような増殖促進性の微小環境を作り出すことにより、生成細胞に対して複数の保護機能、例えば、乾燥、毒素及び非生物的ストレスに対する保護、栄養素及び細胞外酵素の捕捉、表面への細胞の接着物質としての役割、並びに構造上の目的の維持を担っている。
【0003】
したがって、菌体外多糖は、例えば植物の処理において、有益微生物による生存及び表面への定着を改善するための有用なツールである。菌体外多糖の生成により、例えば雨又は風によって葉から植物に有益な微生物が洗い流されることが防止されるか又は低減され、葉、苗条及び根の表面への定着が改善される。これは、例えば、植物に有益なパエニバチルス(Paenibacilli)を適用する際に有利であり、パエニバチルス(Paenibacilli)が植物表面に定着することにより、植物が真菌性病原体から顕著に保護され、且つ根の栄養摂取が改善される。一例として、P.ポリミクサ(P.polymyxa)A26のバイオフィルム多糖は、フサリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)に拮抗することができる(Timmusk S,Copolovici D,Copolovici L,Teder T,Nevo E,Behers L.Paenibacillus polymyxa biofilm polysaccharides antagonise Fusarium graminearum.Sci Rep.2019 Jan 24;9(1):662.doi:10.1038/s41598-018-37718-w)。一部のパエニバチルス(Paenibacillus)種のバイオフィルム形成は、それらが植物の根に定着するのを効果的に補助し、宿主植物が過酷な条件で適応し生存するのを補助することができる。
【0004】
加えて、菌体外多糖及び菌体外多糖を生成する微生物は、例えば吸水及び植物へのアンモニアの供給によって、土壌肥沃度を高め、収量一貫性を改善することができる。これに関連して、菌体外多糖は細菌周囲における微好気性環境の確立を補助することができ、したがって微生物による大気窒素の固定に必要な酸素感受性酵素ニトロゲナーゼの活動を可能にすることができる。
【0005】
菌体外多糖の他の用途は、液体のレオロジー特性を変化させる能力、特に同時に生物学的分解性であることによって粘度を増加させる能力に依拠する。これは、例えば、地下の石油及びガスの抽出、化粧品、食品、飼料及び医薬の調製に有用である。一例として、菌体外多糖は、組織工学、薬物送達及び創傷被覆材における足場又はマトリックスとして適用される(Nwodo UU,Green E,Okoh AI.Bacterial exopolysaccharides:functionality and prospects.Int J Mol Sci.2012;13(11):14002-14015.Published 2012 Oct 30.doi:10.3390/ijms131114002)。更に、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)由来の菌体外多糖は、抗腫瘍剤、抗酸化剤又は凝集剤として適用された(He X,Li Q,Wang N,Chen S.Effects of an EPS Biosynthesis Gene Cluster of Paenibacillus polymyxa WLY78 on Biofilm Formation and Nitrogen Fixation under Aerobic Conditions.Microorganisms.2021 Jan 30;9(2):289.doi:10.3390/microorganisms9020289)。このことは、微生物の菌体外多糖の生物工学上及び産業上の適用分野が広範にわたることを示している。菌体外多糖は糖単位から構築され、1種の単量体のみ(例えば、多糖レバン中のフルクトース)又は異なる単量体のいずれかからなり得る。多糖の例には、特に、グルカン、フルクタン、カードラン、ジェラン、キサンタン、エマルサン、デキストラン、セルロース、アリギネート(aliginate)、コロン酸(colonic acid)、カードラン、デキストラン、ジウタン(diutan)、レバン、スクシノグリカン、ウェラン及びそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない。同様に、菌体外多糖を生成するための製造材料及び製造方法が記載されている:公報国際公開第2015118516号パンフレット及び国際公開第2016044768号パンフレットには、特に土壌肥沃度を改善するための、菌体外多糖を使用した土壌接種について記載されている。公報国際公開第2020163251号パンフレットには、収量一貫性を改善するための菌体外多糖の適用について記載されている。公報国際公開第2014176061号パンフレットには、地下層の処理のための、特に石油及びガスの抽出における菌体外多糖の適用について記載されている。また、公報国際公開第2014160350号パンフレットには、菌体外多糖を使用した廃水の処理について記載されている。菌体外多糖を沈殿させ、その中に植物に有益な微生物を捕捉するための材料及び方法は、国際公開第2017151742号パンフレットに記載されている。パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)の菌体外多糖生成に関与する遺伝子及び代謝は、Ruetering et al.,Tailor-made exopolysaccharides - CRISPR-Cas9 mediated genome editing in Paenibacillus polymyxa,Synthetic Biology 2017,doi:10.1093/synbio/ysx007(その全体が本明細書に組み込まれる)に、特に、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)の菌体外多糖糖単量体の組成及び菌体外多糖合成に関与する遺伝子への参照として、詳細に研究されている。
【0006】
それらの利益を別にして、菌体外多糖は、工業的液相発酵における懸念の主要因である。菌体外多糖により引き起こされる発酵培地粘度の増加によって酸素及び栄養素の移動速度が低減する可能性があり、それにより発酵収量が低減し、より高いエネルギーが発酵培地の撹拌に必要となる。したがって、典型的には、微生物中の菌体外多糖生成を低減させる又は消滅させるための試みがなされる。
【0007】
多くの微生物は、発酵の間、主に対数期増殖中に細胞外多糖を生成する。発酵の後期段階、特に対数期増殖の終了時に、菌体外多糖は分解され栄養素として消費されるため、菌体外多糖生成に消費された代謝エネルギーの一部が回収される。したがって、発酵ブロスの最大菌体外多糖含有量は、標的発酵生成物の最大含有量にしばしば先行する。例えば、パエニバチルス(Paenibacillus)の発酵では、フサリシジンA、B又はDの最大含有量に達する前に最大粘度、したがって最大菌体外多糖含有量に達するため、菌体外多糖含有量をフサリシジン含有量と交換する必要がある。これは、特に植物保護用途においては明らかに望ましくない。更に、回収後の発酵ブロスの保管中に、菌体外多糖は多くの場合、数時間又は数日以内に細胞又は残存酵素から分解された。したがって、高レベルの菌体外多糖を得るためには、下流処理は多くの場合時間が重要視される。
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術の前述の欠点を緩和又は軽減することであった。特に、本発明の目的は、対応する微生物が発酵ブロス中で対応する野生型と比較してより高い菌体外多糖含有量をもたらすことを可能にするアレルを含む改変された核酸を提供することであった。更に、本発明の目的は、後期発酵相における発酵槽内容物の菌体外多糖含有量を、好ましくは、菌体外多糖に加えて微生物により生成される少なくとも1種の標的発酵生成物、好ましくは抗菌物質の最大含有量が利用可能である場合に、対応する野生型と比較して増加させることを可能にするような核酸、アレル及び微生物を提供することであった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、変異型degU遺伝子及び/又は変異型degS遺伝子、並びに任意選択的に更に変異型spo0A遺伝子を含む微生物を提供し、この微生物は、菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示す。
【0010】
本発明はまた、微生物の菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させる方法、又は微生物の菌体外多糖分解を低減若しくは防止する方法であって、
a)変異型degU遺伝子であって、
- degU遺伝子が、DNA結合活性が低減しており且つ/若しくは機能的DNA結合ドメインを欠く、DegUタンパク質をコードする、且つ/又は
- degU遺伝子がDegUタンパク質をコードし、その変異が、各選択肢aa)及びab)について優先度の降順で、
aa)Q218*、Q218K、Q218N、Q218D、Q218R、及び/若しくは
ab)D223*、D223*+M220N、D223*+M220N+E221G、D223*+M220N+V222G、D223*+M220N+E221G+V222G、D223*+M220D、D223*+M220E、D223*+M220H、D223*+M220F、D223*+M220W、D223*+M220S、D223*+M220A、のうちの1つ以上を含むか若しくはそれらからなる、変異型degU遺伝子;
b)変異型degS遺伝子であって、
- degS遺伝子が、機能的単一結合ドメイン、機能的ホスホアクセプタードメイン及び/若しくは機能的ATPアーゼドメインを欠くDegSタンパク質をコードする、且つ/又は
- degS遺伝子がDegSタンパク質をコードし、その変異が、L99F、L99C、L99D、L99E、L99G、L99H、L99K、L99N、L99P、L99Q、L99R、L99S、L99W若しくはL99Yを含むか若しくはそれらからなる、変異型degS遺伝子;
c)変異型spo0A遺伝子であって、
ca)その変異が、DNA結合ドメイン若しくはレシーバードメインに位置し、Spo0Aタンパク質のリン酸化の低減若しくは消失及び/若しくは二量体化の低減若しくは消失をもたらし、且つ/又は
cb)その変異が、
- A257V、より好ましくはA257S、
- I161R、より好ましくはI161L、
- 優先度の降順で、A257S+I161I、A257A+I161L、A257V+I161I、A257S+I161F若しくはA257A+I161R、のいずれかからなるか若しくはそれらのいずれかを含む、変異型spo0A遺伝子、のうちの1つ以上を微生物に提供する工程を含む方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、
a)変異型degU遺伝子であって、
- degU遺伝子が、DNA結合活性が低減しており且つ/若しくは機能的DNA結合ドメインを欠く、DegUタンパク質をコードする、且つ/又は
- degU遺伝子がDegUタンパク質をコードし、その変異が、各選択肢aa)及びab)について優先度の降順で、
aa)Q218*、Q218K、Q218N、Q218D、Q218R、及び/若しくは
ab)D223*、D223*+M220N、D223*+M220N+E221G、D223*+M220N+V222G、D223*+M220N+E221G+V222G、D223*+M220D、D223*+M220E、D223*+M220H、D223*+M220F、D223*+M220W、D223*+M220S、D223*+M220A、のうちの1つ以上を含むか若しくはそれらからなる、変異型degU遺伝子;
b)変異型degS遺伝子であって、
- degS遺伝子が、機能的単一結合ドメイン、機能的ホスホアクセプタードメイン及び/若しくは機能的ATPアーゼドメインを欠くDegSタンパク質をコードする、且つ/若しくは
- degS遺伝子がDegSタンパク質をコードし、その変異が、L99F、L99C、L99D、L99E、L99G、L99H、L99K、L99N、L99P、L99Q、L99R、L99S、L99W若しくはL99Yを含むか若しくはそれらからなる、変異型degS遺伝子;
c)変異型spo0A遺伝子であって、
ca)その変異が、DNA結合ドメイン若しくはレシーバードメインに位置し、Spo0Aタンパク質のリン酸化の低減若しくは消失及び/若しくは二量体化の低減若しくは消失をもたらし、且つ/又は
cb)その変異が、
- A257V、より好ましくはA257S、
- I161R、より好ましくはI161L、
- 優先度の降順で、A257S+I161I、A257A+I161L、A257V+I161I、A257S+I161F若しくはA257A+I161R、のいずれかからなるか若しくはそれらのいずれかを含む、変異型spo0A遺伝子、のうちの1つ以上を発現させるための発現カセットを含む発現ベクターを提供する。
【0012】
更に、本発明は、変異型degU遺伝子及び/又は変異型degS遺伝子、並びに任意選択的に更に変異型spo0A遺伝子を含む微生物の適用を含む、植物の健康を改善する方法を提供し、この微生物は、
a)植物材料及び/又は
b)植物栽培基材、に対する菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示す。
【0013】
また、本発明は、
i)変異型degU遺伝子及び/又は変異型degS遺伝子、並びに任意選択的に更に変異型spo0A遺伝子を含む微生物を増殖させることであって、この微生物が、菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示す、増殖させること、並びに
ii)任意選択的に菌体外多糖から微生物を分離すること、を含む、菌体外多糖の生成方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、
変異型degU遺伝子及び/又は変異型degS遺伝子、並びに任意選択的に更に変異型spo0A遺伝子を含む微生物の使用であって、この微生物が菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示す、使用
或いはdegU遺伝子若しくはタンパク質であって、
- degU遺伝子が、DNA結合活性が低減しており且つ/若しくは機能的DNA結合ドメインを欠く、DegUタンパク質をコードする、且つ/若しくは
- degU遺伝子がDegUタンパク質をコードし、その変異が、各選択肢aa)及びab)について優先度の降順で、
aa)Q218*、Q218K、Q218N、Q218D、Q218R、及び/若しくは
ab)D223*、D223*+M220N、D223*+M220N+E221G、D223*+M220N+V222G、D223*+M220N+E221G+V222G、D223*+M220D、D223*+M220E、D223*+M220H、D223*+M220F、D223*+M220W、D223*+M220S、D223*+M220A、のうちの1つ以上を含むか若しくはそれらからなる、degU遺伝子若しくはタンパク質、
並びに/又はdegS遺伝子若しくはDegSタンパク質であって、
- degS遺伝子が、機能的単一結合ドメイン、機能的ホスホアクセプタードメイン及び/若しくは機能的ATPアーゼドメインを欠くDegSタンパク質をコードする、且つ/若しくは
- degS遺伝子がDegSタンパク質をコードし、その変異が、L99F、L99C、L99D、L99E、L99G、L99H、L99K、L99N、L99P、L99Q、L99R、L99S、L99W若しくはL99Yを含むか若しくはそれらからなる、degS遺伝子若しくはDegSタンパク質;
並びに/又はspo0A遺伝子若しくはSpo0Aタンパク質であって、
ca)その変異が、DNA結合ドメイン若しくはレシーバードメインに位置し、Spo0Aタンパク質のリン酸化の低減若しくは消失及び/若しくは二量体化の低減若しくは消失をもたらし、且つ/若しくは
cb)その変異が、
- A257V、より好ましくはA257S、
- I161R、より好ましくはI161L、
- 優先度の降順で、A257S+I161I、A257A+I161L、A257V+I161I、A257S+I161F若しくはA257A+I161R、のいずれかからなるか若しくはそれらのいずれかを含む、spo0A遺伝子若しくはSpo0Aタンパク質、の使用であって、
以下のいずれか:
- 菌体外多糖組成物の生成、
- 植物、植物の葉、植物の根及び/若しくは植物の種子の処理、
- 好ましくは土壌肥沃度を高めるための、土壌の接種、
- 収量一貫性の改善、
- 地下層の処理、
- 廃水の処理、
- 医薬担体又は化粧品担体の調製、
- 医薬組成物又は化粧用組成物の調製、
- 皮膚水和組成物の調製、
- 食品又は飼料添加物の調製、
- 抗腫瘍剤の調製、
- 抗酸化剤の調製、
- 凝集剤の調製、のための使用を提供する。
【0015】
また、本発明は、
a)変異型degU遺伝子であって、
- degU遺伝子が、DNA結合活性が低減しており且つ/若しくは機能的DNA結合ドメインを欠く、DegUタンパク質をコードする、且つ/又は
- degU遺伝子がDegUタンパク質をコードし、その変異が、各選択肢aa)及びab)について優先度の降順で、
aa)Q218*、Q218K、Q218N、Q218D、Q218R、及び/若しくは
ab)D223*、D223*+M220N、D223*+M220N+E221G、D223*+M220N+V222G、D223*+M220N+E221G+V222G、D223*+M220D、D223*+M220E、D223*+M220H、D223*+M220F、D223*+M220W、D223*+M220S、D223*+M220A、のうちの1つ以上を含むか若しくはそれらからなる、変異型degU遺伝子;
b)変異型degS遺伝子であって、
- degS遺伝子が、機能的単一結合ドメイン、機能的ホスポアクセプター(phospoacceptor)ドメイン及び/若しくは機能的ATPアーゼドメインを欠くDegSタンパク質をコードする、且つ/又は
- degS遺伝子がDegSタンパク質をコードし、その変異が、L99F、L99C、L99D、L99E、L99G、L99H、L99K、L99N、L99P、L99Q、L99R、L99S、L99W若しくはL99Yを含むか若しくはそれらからなる、変異型degS遺伝子;
c)変異型spo0A遺伝子であって、
ca)その変異が、DNA結合ドメイン若しくはレシーバードメインに位置し、Spo0Aタンパク質のリン酸化の低減若しくは消失及び/若しくは二量体化の低減若しくは消失をもたらし、且つ/又は
cb)その変異が、
- A257V、より好ましくはA257S、
- I161R、より好ましくはI161L、
- 優先度の降順で、A257S+I161I、A257A+I161L、A257V+I161I、A257S+I161F若しくはA257A+I161R、のいずれかからなるか若しくはそれらのいずれかを含む、変異型spo0A遺伝子、のうちの1つ以上の使用であって、
ファーミキューテス(Firmicutes)門、バチルス(Bacilli)綱、クロストリジウム(Clostridia)綱又はネガティウィクテス(Negativicutes)綱の分類階級のいずれかから選択される微生物の菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させるか又は菌体外多糖分解を防止するための、使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例3に従って測定した発酵ブロス粘度の進展を示す。発酵ブロスは、実施例2に記載の21lバイオリアクタ内での発酵中に野生型パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)DSM365及びその変異型から得た。グラフ中、野生型DSM365の粘度プロファイルを、それぞれの変異株と比較するための参照として常に維持した。野生株の場合、粘度は100/sで発酵開始の13時間後におよそ120[mPa・s]の最大値に達し、その後100/sで発酵開始の24時間後におよそ50[mPa・s]まで低下する。その後、粘度は著しくは変化しない。DSM365 DegU変異株(株DegU Q218*及び株DegU D223*+M220N+E221G+V222G)の両方の発酵ブロスは、それぞれ発酵開始の16時間後及び24時間後に、100/sでそれぞれおよそ120[mPa・s]の粘度に達し、粘度はそれぞれ36時間及び28時間時点で100/sでおよそ160[mPa・s]へと増加する。その後、両方のブロス粘度は100/sで120[mPa・s]以上を維持する。DSM365のDegS L99F変異型の発酵ブロス粘度は、発酵開始の12時間後に100/sでおよそ140[mPa・s]に達し、100/sでおよそ200[mPa・s]でピークに達し、100/sでおよそ130[mPa・s]を上回って維持される。変異したdegU Q218*とdegS L99Fの両方を有するDSM365株は、発酵開始のおよそ14時間後に100/sでおよそ120[mPa・s]に達し、発酵ブロス粘度は粘度の開始の28時間後に100/sでおよそ180[mPa・s]まで増加し続けた。spo0A A257V変異のみを有するDSM365株は、発酵開始後22時間で100/sでおよそ120[mPa・s]の発酵ブロス粘度に達し、発酵開始後32時間で100/sで140[mPa・s]のピークまで発酵ブロス粘度を増加させた。三重変異株DSM365 degU Q218*+degS L99F+spo0A A257Vは、発酵開始後16時間で発酵ブロス粘度が100/sでおよそ120[mPa・s]に達し、発酵ブロス粘度のピークは100/sでおよそ180[mPa・s]であり、その後、100/sで少なくともおよそ150[mPa・s]の発酵ブロス粘度が続いた。
図2】野生型株パエニバチルス(Paenibacillus)DSM365の炭素移動速度(CTR、質量分析計で測定)とブロス粘度(実施例3に従って測定、図1と同じデータ)との比較を例示的に示す。
図3-1】DegSタンパク質に関し、配列番号2とUniprotエントリA0A074LBY4_PAEPOによる配列との配列アラインメントを示す。番号は、UniprotエントリA0A074LBY4_PAEPO配列の位置に従って示されている。A0A074LBY4_PAEPO配列の各アミノ酸の上にあるアスタリスクの数は保存の程度を示しており、星の数が多いほど保存が強いことを示す。配列番号2の各アミノ酸の下に示すアミノ酸は、それぞれの位置で許容される起こり得る置換を示し、「-」は、ギャップ(A0A074LBY4_PAEPO配列に対する欠失)を示す。起こり得る置換はそれぞれの優先度順に列挙されており、好ましい置換ほど配列番号2のそれぞれの位置の近くに示されている。
図3-2】図3の続き。
図3-3】図3の続き。
図3-4】図3の続き。
図4-1】DegUタンパク質に関し、配列番号1とUniprotエントリE3EBP5_PAEPSによる配列との配列アラインメントを示す。番号は、UniprotエントリE3EBP5_PAEPS配列の位置に従って示されている。E3EBP5_PAEPS配列の各アミノ酸の上にあるアスタリスクの数は保存の程度を示しており、星の数が多いほど保存が強いことを示す。配列番号1の各アミノ酸の下に示すアミノ酸は、それぞれの位置で許容される起こり得る置換を示し、「-」は、ギャップ(E3EBP5_PAEPS配列に対する欠失)を示す。起こり得る置換はそれぞれの優先度順に列挙されており、好ましい置換ほど配列番号1のそれぞれの位置の近くに示されている。
図4-2】図4の続き。
図4-3】図4の続き。
図5-1】Spo0Aタンパク質に関し、配列番号3とUniprotエントリA0A074LZY6_PAEPOによる配列との配列アラインメントを示す。番号は、UniprotエントリA0A074LZY6_PAEPO配列の位置に従って示されている。A0A074LZY6_PAEPO配列の各アミノ酸の上にあるアスタリスクの数は保存の程度を示しており、星の数が多いほど保存が強いことを示す。配列番号3の各アミノ酸の下に示すアミノ酸は、それぞれの位置で許容される起こり得る置換を示し、「-」は、ギャップ(A0A074LZY6_PAEPO配列に対する欠失)を示す。起こり得る置換はそれぞれの優先度順に列挙されており、好ましい置換ほど配列番号3のそれぞれの位置の近くに示されている。
図5-2】図5の続き。
図5-3】図5の続き。
【発明を実施するための形態】
【0017】
【表1】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明の技術的教示は、言語手段を使用して、特に科学用語及び技術用語を使用することにより、本明細書で表される。しかしながら、当業者は、言語手段が、それが詳細且つ正確であり得るとしても、教示を表現する複数の方法があり、その各々が全ての概念上のつながりを完全に表現することは、表現の各々が必然的に完結しなければならないことから必然的に不可能である、ということのみが理由であるとしても、技術的教示の完全な内容に近似するものに過ぎない可能性があることを理解している。これを念頭において、当業者は、本発明の主題が、本明細書で示されるか又は本明細書の本質的な制約によって必然的にパルス・プロ・トト方式で表現される個々の技術的概念の総和であることを理解する。特に、当業者は、個々の技術的概念の表明が、本明細書において、技術的に実用的である限り概念の各々の考えられる組み合わせを詳細に述べたものの略記としてなされ、その結果、例えば、3つの概念又は実施形態の開示であるA、B及びCは、概念A+B、A+C、B+C、A+B+Cの省略表記であることを理解するであろう。特に、特徴に関する代替案は、代替例又は具体例を集約するリストに関して本明細書で記載される。別途記述されない限り、本明細書に記載の本発明は、そのような代替例の任意の組み合わせを含む。そのようなリストから幾分好ましい要素を選択することは、本発明の一部であり、またそれぞれの特徴によって伝えられる利点を最小程度に現実化させるための当業者の優先性によるものである。かかる複数の組み合わされた具体例は、本発明の適切に好ましい形態を表す。
【0019】
本明細書中でデータベースエントリ、例えば、Uniprotエントリへの参照がなされている限り、エントリは2021年5月1日10:00CETに公開されたものである。これは、対応するデータベースエントリ識別子下で公開された配列にも適用される。
【0020】
核酸及びアミノ酸は、標準的な1文字又は3文字の略称を使用して略記される。欠失は「-」で示され、トランケーションは「*」で示される。アミノ酸の改変は、それぞれの親配列における改変の位置によって指定される。
【0021】
本明細書で使用される場合、文脈上明らかに別途示されている場合を除き、単数の用語並びに「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」などの単数形には、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「核酸」という用語の使用は、実際に、その核酸分子の多くのコピーを任意選択で含む。同様に、「プローブ」という用語は、任意選択で(且つ典型的には)多くの類似又は同一のプローブ分子を包含する。本明細書で使用される場合、「含んでいる」という語又は「含む」若しくは「含んでいる」などの変形形態は、記載された要素、整数若しくは工程又は要素、整数若しくは工程の群を含むが、いかなる他の要素、整数若しくは工程又は要素、整数若しくは工程の群を排除するものではないことも理解される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる全ての可能な組み合わせ並びに二者択一(「又は」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、且つ包含する。「含む」という用語は、「からなる」という用語も包含する。
【0023】
「約」という用語は、測定可能な値、例えば質量、用量、時間、温度、配列同一性などの大きさに関して使用される場合、特定の値の±0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は更に20%の変動値及びその特定の値を指す。したがって、所与の組成物が「約50%のX」を含むと記載されている場合、いくつかの実施形態では、組成物は50%のXを含む一方、他の実施形態では、組成物は、40%~60%のX(即ち50%±10%)を含み得ることを理解されたい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、核酸中で具現化されると、遺伝子産物、即ち更なる核酸、好ましくはRNAに転写され得る、また好ましくはペプチド又はポリペプチドに翻訳され得る、生化学的情報を指す。したがって、この用語は、前記情報に類似する核酸のセクション及びかかる核酸の配列(本明細書では「遺伝子配列」とも呼ばれる)を示すためにも使用される。
【0025】
また、本明細書で使用される場合、「アレル」という用語は、他の配列差異の存在を問わず、野生型遺伝子配列と比較した遺伝子配列における1つ以上の特異的差異を特徴とする遺伝子の変種を指す。本発明のアレル又はヌクレオチド配列バリアントは、野生型遺伝子のヌクレオチド配列に対して、少なくとも、優先度の昇順に、30%、40%、50%、60%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%~84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%のヌクレオチド「配列同一性」を有する。同様に、「アレル」がペプチド又はポリペプチドを発現するための生化学的情報を指す場合、アレルのそれぞれの核酸配列は、それぞれの野生型ペプチド又はポリペプチドに対して、少なくとも、優先度の昇順に、30%、40%、50%、60%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%~84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸「配列同一性」を有する。
【0026】
アミノ酸配列又は核酸配列の変異又は改変は、置換、欠失又は挿入のいずれかであり得る。「変異」又は「改変」という用語は、これらの任意の組み合わせも包含する。以下に、アミノ酸配列変異を参照して、変異の3つの具体的な方法全てをより詳細に記載する。対応する教示は核酸配列に適用され、それにより「アミノ酸」が「ヌクレオチド」に置き換えられる。変異は、ランダム変異誘発技術又は指向性変異誘発技術によって遺伝子のヌクレオチド配列に導入され得る。ランダム変異誘発技術としては、例えば、UV照射及び化学物質、例えばEMSへの曝露が挙げられる。指向性変異誘発技術としては、プライマー伸長、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ及びCRISPR型鋳型指向性変異誘発が挙げられる。
【0027】
「置換」は、元のアミノ酸の後にアミノ酸配列内の位置の番号を付与し、その後に置換されたアミノ酸を付与することにより記述される。例えば、120位でのヒスチジンのアラニンによる置換は、「His120Ala」又は「H120A」と命名される。
【0028】
「欠失」は、元のアミノ酸の後にアミノ酸配列内の位置の番号を付与し、その後に「-」を付与することにより記述される。したがって、150位でのグリシンの欠失は、「Gly150-」又は「G150-」と命名される。或いは欠失は、例えば「D183及びG184の欠失」により示される。
【0029】
「終結」は、元のアミノ酸の後にアミノ酸配列内の位置の番号を付与し、その後に「*」を付与することにより記述される。したがって、150位でのこの位置にあるグリシンに代わるアミノ酸鎖の終結は、「G150*」の「Gly150*」と命名される。
【0030】
「挿入」は、元のアミノ酸の後にアミノ酸配列内の位置の番号を付与し、その後に元のアミノ酸と付加されたアミノ酸とを付与することにより記述される。例えば、グリシンの隣へのリジンの180位での挿入は、「Gly180GlyLys」又は「G180GK」と命名される。例えばGly180の後にLys及びAlaなど、複数のアミノ酸残基が挿入される場合、これは、Gly180GlyLysAla又はG180GKAと示され得る。置換及び挿入が同じ位置で起こる場合、これはS99SD+S99A、又は略してS99ADと示され得る。既存のアミノ酸残基と同一のアミノ酸残基が挿入される場合、命名に縮重が生じることは明らかである。例えば、上記の例でグリシンがグリシンの後に挿入される場合、これは、G180GGによって示されることになる。
【0031】
複数の改変を含むバリアントは、「+」によって分離され、例えば「Arg170Tyr+Gly195Glu」又は「R170Y+Gly195E」は、170位及び195位のアルギニン及びグリシンのチロシン及びグルタミン酸による置換をそれぞれ表す。或いは複数の改変は、スペース又はカンマによって分離される場合があり、例えば、それぞれR170Y G195E又はR170Y,G195Eである。
【0032】
ある位置に異なる改変が導入され得る場合、異なる改変は、カンマによって分離され、例えば「Arg170Tyr,Glu」は、170位のアルギニンのチロシン又はグルタミン酸による置換を表す。或いは、異なる改変又は任意選択の置換は、角括弧で示される場合があり、例えばArg170[Tyr,Gly]若しくはArg170{Tyr,Gly}又は略してR170[Y,G]若しくはR170{Y,G}である。
【0033】
アミノ酸置換に関する特別な局面は、タンパク質フォールディングに対する影響が最小限であると思われることが多い保存的変異であり、結果としてそれぞれのペプチド又はポリペプチドバリアントのペプチド又はポリペプチド特性が、親ペプチド又はポリペプチドのペプチド又はポリペプチド特性と比較して実質的に維持される。保存的変異とは、あるアミノ酸が類似のアミノ酸と交換される変異である。%類似性の決定には、以下が適用される。これは、データベース検索及び配列アラインメントに最も使用されるアミノ酸類似性マトリックスの1つであるBLOSUM62マトリックスにも準拠している:
アミノ酸Aは、アミノ酸Sと類似する
アミノ酸Dは、アミノ酸E、Nと類似する
アミノ酸Eは、アミノ酸D、K及びQと類似する
アミノ酸Fは、アミノ酸W、Yと類似する
アミノ酸Hは、アミノ酸N、Yと類似する
アミノ酸Iは、アミノ酸L、M及びVと類似する
アミノ酸Kは、アミノ酸E、Q及びRと類似する
アミノ酸Lは、アミノ酸I、M及びVと類似する
アミノ酸Mは、アミノ酸I、L及びVと類似する
アミノ酸Nは、アミノ酸D、H及びSと類似する
アミノ酸Qは、アミノ酸E、K及びRと類似する
アミノ酸Rは、アミノ酸K及びQと類似する
アミノ酸Sは、アミノ酸A、N及びTと類似する
アミノ酸Tは、アミノ酸Sと類似する
アミノ酸Vは、アミノ酸I、L及びMと類似する
アミノ酸Wは、アミノ酸F及びYと類似する
アミノ酸Yは、アミノ酸F、H及びWと類似する
【0034】
保存的アミノ酸置換は、ペプチド又はポリペプチドなどの機能的タンパク質のポリペプチド配列の配列の完全長にわたって起こり得る。好ましくは、かかる変異は、ペプチド又はポリペプチドの機能的ドメインに関係しない。
【0035】
タンパク質又は核酸のバリアントは、親タンパク質又は親核酸と比較した際の配列同一性によって定義され得る。配列同一性は、通常、「%配列同一性」又は「%同一性」として示される。第1工程で2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性を決定するために、それらの2つの配列間でペアワイズ配列アラインメントを作製し、この2つの配列をそれらの完全長にわたりアラインメントする(即ち、ペアワイズグローバルアラインメント)。アラインメントは、Needleman及びWunschアルゴリズム(J.Mol.Biol.(1979)48,p.443-453)を実装したプログラムで、好ましくは「NEEDLE」(European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS))をプログラムデフォルトパラメータ(ギャップオープン=10.0、ギャップ伸長=0.5及びマトリックス=EBLOSUM62)を用いて使用することにより作製される。本発明の目的のための好ましいアラインメントは、最大配列同一性を決定することができるアラインメントである。
【0036】
以下の例は2つのヌクレオチド配列を説明することを意図しているが、同じ計算がタンパク質配列にも適用される。
配列A:AAGATACTG 長さ:9塩基
配列B:GATCTGA 長さ:7塩基
よって、短い方の配列が配列Bである。
【0037】
両方の配列をそれらの完全長にわたって示すペアワイズグローバルアラインメントを生成すると、以下が得られる。
【化1】
【0038】
アラインメント内の記号「I」は同一残基を示す(DNAの場合は塩基、タンパク質の場合はアミノ酸を意味する)。同一残基の数は6である。
【0039】
アラインメント内の記号「-」はギャップを示す。アラインメントによって導入される配列B内のギャップの数は1である。アラインメントによって導入される配列Bの境界でのギャップの数は2であり、配列Aの境界では1である。
【0040】
完全長にわたってアラインメントされた配列を示すアラインメント長は10である。
【0041】
本発明に従って、より短い配列をその完全長にわたって示すペアワイズアラインメントを生成すると、結果として以下が得られる。
【化2】
【0042】
本発明に従って、配列Aをその完全長にわたって示すペアワイズアラインメントを生成すると、結果として以下が得られる。
【化3】
【0043】
本発明に従って、配列Bをその完全長にわたって示すペアワイズアラインメントを生成すると、結果として以下が得られる。
【化4】
【0044】
より短い配列をその完全長にわたって示すアラインメント長は8である(より短い配列のアラインメント長に含まれている1つのギャップが存在する)。
【0045】
したがって、配列Aをその完全長にわたって示すアラインメント長は9となり(配列Aが本発明の配列であることを意味する)、配列Bをその完全長にわたって示すアラインメント長は8となる(配列Bが本発明の配列であることを意味する)。
【0046】
2つの配列をアラインメントした後、第2工程で、アラインメントから同一性値が決定されることとなる。したがって、本発明の記載に従って、以下のパーセント同一性の計算が適用される。
%同一性=(同一残基/本発明のそれぞれの配列をその完全長にわたって示すアラインメント領域の長さ)*100。したがって、本発明による2つのアミノ酸配列の比較に関する配列同一性は、同一残基の数を、本発明のそれぞれの配列をその完全長にわたって示すアラインメント領域の長さで除すことによって計算される。この値に100を乗じると、「%同一性」が得られる。上に示される例によれば、%同一性は、配列Aが本発明の配列である場合、(6/9)×100=66.7%;配列Bが本発明の配列である場合、(6/8)*100=75%である。
【0047】
「発現カセット」という用語は、発現されるアミノ酸配列をコードする核酸配列が、その発現(即ち、転写及び/又は翻訳)を可能にする又は調節する少なくとも1つの遺伝子制御要素に作動可能に連結されているコンストラクトを意味する。発現は例えば、安定的又は一時的、構成的又は誘導的であり得る。発現カセットは、2つ以上のポリペプチドのコード領域を含み、ポリシストロン性RNAの転写をもたらす場合もある。
【0048】
「発現する」、「発現している」、「発現された」及び「発現」という用語は、遺伝子産物(例えば、本出願に定義され且つ記載される経路又は反応の遺伝子の生合成酵素)の発現であって、コードされるこのタンパク質の結果として生じる酵素活性のレベルでの発現、又はそれが指す経路若しくは反応が、この遺伝子/経路が発現される生物内でこの経路若しくは反応を介した代謝フラックスを可能にするレベルでの発現を指す。発現は、出発生物として使用される微生物の遺伝子改変によって行われる場合もある。いくつかの実施形態では、微生物は、出発微生物によって生成されるもの又は改変されていない同等の微生物において生成されるものと比較して増加したレベルで遺伝子産物を発現するように遺伝子改変(例えば遺伝子操作)され得る。遺伝子改変には、限定されないが、特定の遺伝子の発現に関連する調節配列又は調節部位の改変又は修飾(例えば、強力なプロモーター、誘導性プロモーター若しくは複数のプロモーターを追加することによる、又は発現が構成的になるように調節配列を除去することによる)、特定の遺伝子の染色体上位置の変更、リボソーム結合部位又は転写ターミネーターなどの特定の遺伝子に隣接する核酸配列の改変、特定の遺伝子のコピー数の増加、特定の遺伝子の転写及び/又は特定の遺伝子産物の翻訳に関与するタンパク質(例えば、調節タンパク質、サプレッサー、エンハンサー、転写活性化因子など)の修飾、或いは当該技術分野における日常的作業を使用した特定の遺伝子の発現を調節解除する任意の他の従来の手段(例えばリプレッサータンパク質の発現を遮断するための、アンチセンス核酸分子の使用が含まれるがこれらに限定されない)が含まれる。
【0049】
「過剰発現する」、「過剰発現している」、「過剰発現される」及び「過剰発現」という用語は、遺伝子産物の発現を指し、特に、出発微生物の遺伝子改変前に存在するレベルよりも高いレベルで遺伝子産物の発現を高めることを指す。いくつかの実施形態では、微生物は、出発微生物によって生成されるものと比較して増加したレベルで遺伝子産物を発現するように遺伝子改変(例えば遺伝子操作)され得る。遺伝子改変には、限定されないが、特定の遺伝子の発現に関連する調節配列又は調節部位の改変又は修飾(例えば、強力なプロモーター、誘導性プロモーター若しくは複数のプロモーターを追加することによる、又は発現が構成的になるように調節配列を除去することによる)、特定の遺伝子の染色体上位置の変更、リボソーム結合部位又は転写ターミネーターなどの特定の遺伝子に隣接する核酸配列の改変、特定の遺伝子のコピー数の増加、特定の遺伝子の転写及び/又は特定の遺伝子産物の翻訳に関与するタンパク質(例えば、調節タンパク質、サプレッサー、エンハンサー、転写活性化因子など)の修飾、或いは当該技術分野における日常的作業を使用した特定の遺伝子の発現を調節解除する任意の他の従来の手段(例えばリプレッサータンパク質の発現を遮断するための、アンチセンス核酸分子の使用が含まれるがこれらに限定されない)が含まれる。遺伝子産物を過剰発現させる別の方法は、遺伝子産物の安定性を高めてその寿命を増大させることである。「過剰発現する」、「過剰発現している」、「過剰発現される」及び「過剰発現」という用語はまた、例えば、組換え遺伝子、例えば異種遺伝子を、好ましくは遺伝子工学によって1つ以上のコピーで微生物に導入することによって、遺伝子活性が、そのそれぞれの遺伝子活性が以前に観察されていない微生物に導入されることも意味し得る。
【0050】
「植物」という用語は、それが有機物質に属することから、本明細書ではその最も広い意味で使用され、分類学上の植物界のメンバーである真核生物を包含することを意図しており、その例としては、単子葉植物及び双子葉植物、維管束植物、野菜、穀類、花、樹木、草本、灌木、イネ科草本、つる、シダ、コケ、真菌類、藻類など、並びに無性生殖に使用されるクローン、側枝及び植物の一部(例えば、切穂、管状体、苗条、根茎、地下茎、群生株、樹冠、鱗茎、球茎、塊茎、根茎、組織培養で生成された植物/組織など)が挙げられるが、これらに限定されない。別途記述されない限り、「植物」という用語は、植物全体、その任意の部分又は植物に由来する細胞若しくは組織培養物を指し、植物全体、植物の構成要素若しくは器官(例えば、葉、茎、根など)、植物組織、種子、植物細胞及び/又はそれらの後代のいずれかを含む。植物細胞は、植物から採取された又は植物から採取された細胞の培養を通して得られた、植物又は植物の部分中の生物学的細胞である。
【0051】
本発明の目的に特に有用である植物には、カエデ属種(Acer spp.)、マタタビ属種(Actinidia spp.)、トロロアオイ属種(Abelmoschus spp.)、サイザルアサ(Agave sisalana)、カモジグサ属種(Agropyron spp.)、ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera)、アリウム属種(Allium spp.)、ヒユ属種(Amaranthus spp.)、アンモフィラ・アレナリア(Ammophila arenaria)、パイナップル(Ananas comosus)、バンレイシ属種(Annona spp.)、セロリ(Apium graveolens)、ラッカセイ属種(Arachis spp.)、パンノキ属種(Artocarpus spp.)、アスパラガス(Asparagus officinalis)、カラスムギ属種(Avena spp.)(例えば、アベナ・サティバ(Avena sativa)、アベナ・ファツア(Avena fatua)、アベナ・ビザンチナ(Avena byzantina)、アベナ・ファツア変種サティバ(Avena fatua var.sativa)、アベナ・ハイブリダ(Avena hybrida))、スターフルーツ(Averrhoa carambola)、ホウライチク属種(Bambusa sp.)、トウガン(Benincasa hispida)、ブラジルナッツ(Bertholletia excelsea)、サトウダイコン(Beta vulgaris)、アブラナ属種(Brassica spp.)(例えば、セイヨウアブラナ(Brassica napus)、ブラッシカ・ラパ亜種(Brassica rapa ssp.)[キャノーラ、ナタネ、カブラナ(turnip rape)])、カダバ・ファリノーサ(Cadaba farinosa)、チャノキ(Camellia sinensis)、ダンドク(Canna indica)、大麻(Cannabis sativa)、トウガラシ属種(Capsicum spp.)、カレックス・エラータ(Carex elata)、パパイヤ(Carica papaya)、オオバナカリッサ(Carissa macrocarpa)、ペカン属種(Carya spp.)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)、クリ属種(Castanea spp.)、カポック(Ceiba pentandra)、エンダイブ(Cichorium endivia)、ニッケイ属種(Cinnamomum spp.)、スイカ(Citrullus lanatus)、ミカン属種(Citrus spp.)、ココヤシ属種(Cocos spp.)、コーヒーノキ属種(Coffea spp.)、サトイモ(Colocasia esculenta)、コーラ属種(Cola spp.)、ツナソ属種(Corchorus sp.)、コリアンダー(Coriandrum sativum)、ハシバミ属種(Corylus spp.)、サンザシ属種(Crataegus spp.)、サフラン(Crocus sativus)、カボチャ属種(Cucurbita spp.)、キュウリ属種(Cucumis spp.)、チョウセンアザミ属種(Cynara spp.)、ノラニンジン(Daucus carota)、ヌスビトハギ属種(Desmodium spp.)、リュウガン(Dimocarpus longan)、ヤマノイモ属種(Dioscorea spp.)、カキノキ属種(Diospyros spp.)、ヒエ属種(Echinochloa spp.)、アブラヤシ属(Elaeis)(例えば、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)、アメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera))、シコクビエ(Eleusine coracana)、テフ(Eragrostis tef)、エリアンサス属種(Erianthus sp.)、ビワ(Eriobotrya japonica)、ユーカリ属種(Eucalyptus sp.)、ピタンガ(Eugenia uniflora)、ソバ属種(Fagopyrum spp.)、ブナ属種(Fagus spp.)、オニウシノケグサ(Festuca arundinacea)、イチジク(Ficus carica)、キンカン属種(Fortunella spp.)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、イチョウ(Ginkgo biloba)、ダイズ属種(Glycine spp.)(例えば、ダイズ(Glycine max)、ソヤ・ヒスピダ(Soja hispida)又はソヤ・マックス(Soja max))、ワタ(Gossypium hirsutum)、ヒマワリ属種(Helianthus spp.)(例えば、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ノカンゾウ(Hemerocallis fulva))、フヨウ属種(Hibiscus spp.)、オオムギ属種(Hordeum spp.)(例えば、オオムギ(Hordeum vulgare))、サツマイモ(Ipomoea batatas)、クルミ属種(Juglans spp.)、レタス(Lactuca sativa)、レンリソウ属種(Lathyrus spp.)、レンズマメ(Lens culinaris)、アマ(Linum usitatissimum)、レイシ(Litchi chinensis)、ハス属種(Lotus spp.)、トカドヘチマ(Luffa acutangula)、ルピナス属種(Lupinus spp.)、ルズラ・シルバチカ(Luzula sylvatica)、トマト属種(Lycopersicon spp.)(例えば、トマト(Lycopersicon esculentum)、リコペルシコン・リコペルシクム(Lycopersicon lycopersicum)、リコペルシコン・ピリフォルメ(Lycopersicon pyriforme))、マクロチロマ属種(Macrotyloma spp.)、リンゴ属種(Malus spp.)、アセロラ(Malpighia emarginata)、マメイアップル(Mammea americana)、マンゴー(Mangifera indica)、キャッサバ属種(Manihot spp.)、サポジラ(Manilkara zapota)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)、シナガワハギ属種(Melilotus spp.)、ハッカ属種(Mentha spp.)、ススキ(Miscanthus sinensis)、ツルレイシ属種(Momordica spp.)、クロミグワ(Morus nigra)、バショウ属種(Musa spp.)、タバコ属種(Nicotiana spp.)、オリーブ属種(Olea spp.)、オプンティア属種(Opuntia spp.)、オルニソプス種(Ornithopus spp.)、イネ属種(Oryza spp.)(例えば、イネ(Oryza sativa)、オリザ・ラティフォリア(Oryza latifolia))、キビ(Panicum miliaceum)、パニクム・ヴィルガツム(Panicum virgatum)、クダモノトケイソウ(Passiflora edulis)、パースニップ(Pastinaca sativa)、チカラシバ属種(Pennisetum sp.)、ワニナシ属種(Persea spp.)、パセリ(Petroselinum crispum)、クサヨシ(Phalaris arundinacea)、インゲンマメ属種(Phaseolus spp.)、オオアワガエリ(Phleum pratense)、ナツメヤシ属種(Phoenix spp.)、ヨシ(Phragmites australis)、ホオズキ属種(Physalis spp.)、マツ属種(Pinus spp.)、ピスタチオ(Pistacia vera)、エンドウ属種(Pisum spp.)、イチゴツナギ属種(Poa spp.)、ヤマナラシ属種(Populus spp.)、プロソピス属種(Prosopis spp.)、サクラ属種(Prunus spp.)、パンジロウ属種(Psidium spp.)、ザクロ(Punica granatum)、セイヨウナシ(Pyrus communis)、コナラ属種(Quercus spp.)、ダイコン(Raphanus sativus)、カラダイオウ(Rheum rhabarbarum)、スグリ属種(Ribes spp.)、トウゴマ(Ricinus communis)、キイチゴ属種(Rubus spp.)、サトウキビ属種(Saccharum spp.)、ヤナギ属種(Salix sp.)、ニワトコ属種(Sambucus spp.)、ライムギ(Secale cereale)、ゴマ属種(Sesamum spp.)、シナピス属種(Sinapis sp.)、ナス属種(Solanum spp.)(例えば、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ヒラナス(Solanum integrifolium)又はトマト(Solanum lycopersicum))、モロコシ(Sorghum bicolor)、ホウレンソウ属種(Spinacia spp.)、フトモモ属種(Syzygium spp.)、センジュギク属種(Tagetes spp.)、タマリンド(Tamarindus indica)、カカオ(Theobroma cacao)、シャジクソウ属種(Trifolium spp.)、ガマグラス(Tripsacum dactyloides)、トリチコセケル・リンパウイ(Triticosecale rimpaui)、コムギ属種(Triticum spp.)(例えば、コムギ(Triticum aestivum)、デュラムコムギ(Triticum durum)、リベットコムギ(Triticum turgidum)、トリチカム・ハイベルナム(Triticum hybernum)、マッハコムギ(Triticum macha)、トリチカム・サチバム(Triticum sativum)、ヒトツブコムギ(Triticum monococcum)又はトリチカム・ブルガレ(Triticum vulgare))、ヒメキンレンカ(Tropaeolum minus)、キンレンカ(Tropaeolum majus)、スノキ属種(Vaccinium spp.)、ソラマメ属種(Vicia spp.)、ササゲ属種(Vigna spp.)、ニオイスミレ(Viola odorata)、ブドウ属種(Vitis spp.)、トウモロコシ(Zea mays)、ワイルドライス(Zizania palustris)、ナツメ属種(Ziziphus spp.)、アマランス、アーティチョーク、アスパラガス、ブロッコリー、メキャベツ、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、カラードグリーン、アマ、ケール、レンズマメ、ナタネ、オクラ、タマネギ、ジャガイモ、イネ、ダイズ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、トマト、カボチャ、茶及び藻類をとりわけ含む一覧から選択される、緑色植物亜界の上科、特に飼葉用又は飼料用マメ科植物を含む単子葉及び双子葉植物、観葉植物、食用穀物、樹木又は低木に属する全ての植物が含まれる。本発明の好ましい実施形態によれば、植物は作物である。作物の例には、とりわけ、ダイズ、ヒマワリ、キャノーラ、アルファルファ、ナタネ、ワタ、トマト、ジャガイモ、トウモロコシ又はタバコが含まれる。
【0052】
本発明によれば、植物は、植物材料を得るために栽培される。栽培条件は、植物を考慮して選択され、例えば、温室での生育、畑での生育、ハイドロカルチャーでの生育及び水耕による生育のいずれかが含まれ得る。植物及び植物の部分、例えば、種子及び細胞は遺伝子修飾されたものであり得る。特に、植物及びその部分、好ましくは種子及び細胞は、組換えされたもの、好ましくはトランスジェニック又はシスジェニックで組換えされたものであり得る。
【0053】
「植物材料」という用語は、植物細胞、茎、根、花、植物繁殖材料、胚珠、雄しべ、種子、葉、胚、成長点領域、カルス組織、葯培養物、配偶体、胞子体、花粉、小胞子、プロトプラスト、毛状根培養物、わら、外皮、果実及び堅果の殻を含むがこれらに限定されない、植物によって生成される任意の組織、器官又は材料を意味する。本明細書で使用される場合、「植物細胞」は、プロトプラスト、配偶子生成細胞、及び植物全体に再生する細胞を含むが、これらに限定されない。「植物繁殖材料」という用語は、種子並びに植物の増殖のために使用され得る切穂及び塊茎(例えばジャガイモ)などの栄養植物材料などの植物の全ての生殖部分を意味すると理解されるべきである。これは、種子、根、果実、塊茎、鱗茎、根茎、苗条、新芽、並びに発芽後又は土壌からの出芽後に移植されることになる実生及び苗を含む植物の他の部分を含む。これらの苗はまた、本発明の植物健康促進組成物中での浸漬又はその注入による全体的又は部分的処理によって、移植前に保護され得る。
【0054】
本発明は、変異型degU遺伝子を含む微生物を提供する。変異型degU遺伝子が微生物内で発現される場合、変異型DegUタンパク質が生成される。これはdegU遺伝子がDegUタンパク質をコードするためである。本発明によれば、野生型DegUタンパク質は、CheY様スーパーファミリー(InterPro ID IPR011006)のメンバーであり、InterPro表記を使用すると、シグナル伝達応答調節因子(レシーバードメイン)(IPR001789)及び転写調節因子LuxRドメイン(C末端)(IPR000792)を含む。Pfam命名法に従って、野生型DegUタンパク質は、応答調節因子レシーバードメイン(PF00072,Pao et al.,J Mol Evol 1995,136-154 Response regulators of bacterial signal transduction systems:selective domain shuffling during evolution)及びLuxR型DNA結合HTHドメイン(PF00196)を含む。好ましくは、野生型degU遺伝子は、アミノ酸配列が配列番号1に対して少なくとも40%、より好ましくは少なくとも43%、より好ましくは少なくとも45%、より好ましくは少なくとも53%、より好ましくは少なくとも57%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも77%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%の配列同一性を有するDegUタンパク質をコードし、好ましくは、配列番号1に対する配列同一性は、最大で95%、より好ましくは最大で92%である。特に好ましい野生型DegUタンパク質は、配列番号1に対して50~95%、より好ましくは77~91%の配列同一性を有する。配列番号1がアミノ酸配列のスクリーニング及びアニーリングを目的とした鋳型として特別に構築された人工アミノ酸配列であることを理解されたい。したがって、この配列は、本明細書では配列番号1のポリペプチドのDegU活性が示されていないという事実とは無関係に、degU遺伝子の同定に使用することができる。本発明による方法又は植物における野生型DegU遺伝子として特に好ましいのは、優先度の降順で以下のUniprot識別子によって定義されるアミノ酸配列のいずれかである:E3EBP5_PAEPS、A0A4R6MUX9_9BACL、A0A268SA79_9BACL、A0A069DEZ2_9BACL、A0A0B0HVN5_9BACL、W4EI28_9BACL、A0A1X7GB62_9BACL、A0A089MEU3_9BACL、A0A0E4HEC8_9BACL、A0A4P8XUS1_9BACL、A0A0M2VKR6_9BACL、A0A089M364_9BACL、V9GIW8_9BACL、W7YTM0_9BACL、A0A098MFT1_9BACL、D3EMG0_GEOS4、A0A1B8VU54_9BACI、A0A2Z2KSF3_9BACL、A0A269W3P3_9BACL、A0A1R1EEL5_9BACL、X5A6E5_9BACL、A0A089IT67_9BACL、A0A1I0JV80_9BACL、A0A168QEL2_9BACL、A0A0D3VFM7_9BACL、A0A172ZLN3_9BACL、A0A167D848_9BACL、A0A1E3L0K1_9BACL、A0A2W1LCB1_9BACL、A0A0U2N3N5_9BACL、L0EHW2_THECK、A0A1T2X729_9BACL、A0A1B8UUC0_9BACL、H3S9W0_9BACL、A0A3D9SC72_9BACL、A0A401I4R6_9BACL、A0A1I6WHZ6_9BACL、A0A015NM30_9BACL、A0A0F5R725_9BACL、A0A2N5NDN0_9BACL、M9LLL0_PAEPP、A0A0D5NRR7_9BACL、A0A2S0UEL3_9BACL、A0A4Q2M1I7_9BACL、A0A1H1WMP7_9BACL、A0A3A1US45_9BACL、A0A3G9JII4_9BACL、C6D5A1_PAESJ、A0A433XGQ7_9BACL、A0A1I3PZK5_9BACL、A0A1R1DAD8_9BACL、A0A4P6F1N4_9BACL、A0A0Q4R517_9BACL、A0A172TIH8_9BACL、A0A2V4X724_9BACL、A0A1Y5KD60_9BACL、A0A368VSS2_9BACL、A0A1B8VZY5_9BACI、A0A371P0X4_9BACL、A0A231RB89_9BACL、A0A369BC27_9BACL、E0IEE4_9BACL、A0A2V2YZQ8_9BACL、A0A1G7PNR5_9BACL、A0A3S1BJF8_9BACL、A0A1A5YDL9_9BACL、A0A0U2WGN9_9BACL、A0A494X986_9BACL、A0A3D9KD00_9BACL、C6J2I4_9BACL、A0A3Q9IF25_9BACL、A0A3G3K2Z7_9BACL、A0A090XUD0_PAEMA、A0A3D9I787_9BACL、A0A398CFS8_9BACL、A0A1B1N3Y9_9BACL、A0A081P3I6_9BACL、A0A3T1DDG1_9BACL、A0A1K1QXK1_9BACL、A0A3Q8SA76_9BACL、A0A1X7KWC6_9BACL、A0A229USY4_9BACL、A0A4Q9DKY4_9BACL、A0A4R5KE70_9BACL、A0A329L4V8_9BACL、A0A2W1N4T3_9BACL、A0A1I1BB61_9BACL、H6NT64_9BACL、A0A1I4LD00_9BACL、A0A329MBB6_9BACL、A0A3S1AKF3_9BACL、F5LST8_9BACL、A0A1V4HGJ1_9BACL、A0A1H0L0T9_9BACL、A0A0Q7JPS4_9BACL、A0A1H4RQ86_9BACL、A0A3S0BTA6_9BACL、A0A1C0ZYC4_9BACL、A0A0C2RFX7_9BACL、V9W4A0_9BACL、A0A2V5KBB6_9BACL、A0A3B0C3G8_9BACL、A0A4R4EFH3_9BACL、A0A1U9KAL0_9BACL、A0A4R3KIF8_9BACI、A0A292YJB9_9BACL、A0A075RHH4_BRELA、A0A0D1XDF4_ANEMI、A0A1A5XJS0_9BACL、V6M9Z2_9BACL、A0A120HRZ5_9BACL、A0A419V950_9BACL、A0A3R9QNM1_9BACI、A0A1I4L117_9BACI、A0A1H0J2F9_9BACI、A0A3M8DYQ5_9BACL、A0A1I2EIB9_9BACI、A0A428N9S8_9BACI、A0A2P6MHC1_9BACI、A0A1I4CG56_9BACL、C0Z730_BREBN、M8DFP6_9BACL、A0A345BZD8_9BACI、A0A419SF78_9BACL、A0A3M8BE38_9BACL、A0A1H9W953_9BACI、A0A4Q1ST01_9BACL、F5L9B2_CALTT、A0A1G8AEE7_9BACI、D6Y0E8_BACIE、A0A4Q0VW28_9BACI、A0A2T4U7P0_9BACI、A0A061NX68_9BACL、A0A061P3R3_9BACL、A0A098EIU7_9BACL、A0A3M8P3C8_9BACL、A0A1H2UAM2_9BACI、A0A3A9KCQ9_9BACI、A0A1Y0IJ22_9BACL、A0A1G8E1Q8_9BACI、A0A1S2M8P6_9BACI、Q9K6U7_BACHD、A0A4R3N1F6_9BACI、A0A437KCI7_9BACI、A0A2P8GCB9_9BACL、A0A1X9MFG9_9BACI、A0A1H9TTG1_9BACI、A0A327YHU2_9BACI及びA0A368Y3Q5_9BACI。本発明によれば、野生型DegUタンパク質配列及びそれをコードする対応するdegU遺伝子であって、Uniprot識別子E3EBP5_PAEPSによって示されるアミノ酸配列に対して少なくとも45%、より好ましくは少なくとも51%、より好ましくは少なくとも54%、更により好ましくは73~100%の配列同一性を有するものが特に好ましい。本発明に従って記載されるDegUタンパク質配列に対する特定の変異を考慮しない場合、変異型DegUタンパク質は、好ましくは、Uniprot識別子E3EBP5_PAEPSによって示されるアミノ酸配列と、0~20アミノ酸、より好ましくは0~15アミノ酸、更により好ましくは0~10アミノ酸、更により好ましくは1~5アミノ酸が異なり、それらの差異は好ましくは図4による制約に合致する。変異型DegU配列が、Uniprot識別子E3EBP5_PAEPSによる配列とアラインメントされたときに前記配列よりも長い場合、各C末端又はN末端伸長は、好ましくは10アミノ酸以下、より好ましくは0~5アミノ酸である。
【0055】
本発明はまた、変異型degS遺伝子を含む微生物を提供する。変異型degS遺伝子が微生物内で発現される場合、変異型DegSタンパク質が生成される。これはdegS遺伝子がDegSタンパク質をコードするためである。本発明によれば、野生型DegSタンパク質は、DegS型シグナル伝達ヒスチジンキナーゼファミリー(InterPro ID IPR016381)のメンバーであり、InterPro表記を使用すると、センサーDegSドメイン(IPR008595)及びヒスチジンキナーゼドメイン(IPR005467)を含む。Pfam命名法に従って、野生型DegSタンパク質は、センサータンパク質DegSドメイン(PF05384)、HisKA_3ヒスチジンキナーゼドメイン(PF07730)及びHATPアーゼ_c GHKLドメイン(PF02518)を含む。好ましくは、野生型degS遺伝子は、アミノ酸配列が配列番号2に対して少なくとも40%、より好ましくは少なくとも43%、より好ましくは少なくとも46%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも58%、より好ましくは少なくとも64%、より好ましくは少なくとも79%、より好ましくは少なくとも84%の配列同一性を有するDegSタンパク質をコードし、好ましくは、配列番号2に対する配列同一性は、最大で95%、より好ましくは最大で91%である。特に好ましい野生型DegSタンパク質は、配列番号2に対して50~95%、より好ましくは58~89%の配列同一性を有する。配列番号2がアミノ酸配列のスクリーニング及びアニーリングを目的とした鋳型として特別に構築された人工アミノ酸配列であることを理解されたい。したがって、この配列は、本明細書では配列番号2のポリペプチドのDegS活性が示されていないという事実とは無関係に、degS遺伝子の同定に使用することができる。本発明による方法又は植物における野生型degS遺伝子として特に好ましいのは、優先度の降順で以下のUniprot識別子によって定義されるアミノ酸配列のいずれかである:A0A074LBY4_PAEPO、E3EBP6_PAEPS、A0A4R6MVR0_9BACL、A0A069DLG2_9BACL、A0A268SAI9_9BACL、A0A1X7GB86_9BACL、A0A0M2VLZ1_9BACL、A0A1R1EED0_9BACL、A0A0B0HR83_9BACL、A0A4P8XRM7_9BACL、W7YPT3_9BACL、A0A433XGY7_9BACL、D3EMG1_GEOS4、V9GK22_9BACL、A0A269W177_9BACL、A0A3Q8SA22_9BACL、A0A1E3L2X6_9BACL、A0A369BCF2_9BACL、A0A2S0UEJ3_9BACL、A0A090XSK7_PAEMA、A0A3S1DMQ5_9BACL、A0A1B1N3X4_9BACL、C6J2I3_9BACL、A0A172ZLS7_9BACL、A0A1G7PLD1_9BACL、A0A2Z2KM36_9BACL、A0A3Q9IDP6_9BACL、A0A0D3VFE7_9BACL、A0A168QEJ2_9BACL、A0A1B8VU57_9BACI、W4EHN2_9BACL、A0A0E4CZI9_9BACL、A0A089L4Y0_9BACL、A0A098MEC1_9BACL、A0A089IPW0_9BACL、A0A167D837_9BACL、A0A089NAN3_9BACL、X4ZSE0_9BACL、A0A2W1M2J1_9BACL、A0A1I0JTZ3_9BACL、A0A4Q2LW12_9BACL、A0A1I3PZ40_9BACL、A0A401I4T4_9BACL、A0A1B8UU84_9BACL、A0A1T2X709_9BACL、A0A2N5NDJ2_9BACL、A0A0F5RAF5_9BACL、A0A3G9IYB3_9BACL、A0A1H1WM07_9BACL、H3S9W1_9BACL、A0A1I6WIJ5_9BACL、A0A0D5NQK3_9BACL、A0A015KKW1_9BACL、A0A3D9SD21_9BACL、A0A1B8VZZ2_9BACI、M9LFD8_PAEPP、A0A2V4WBE9_9BACL、A0A0U2WI25_9BACL、A0A1R1DAI7_9BACL、A0A368VS81_9BACL、E0IEE5_9BACL、A0A371P0S2_9BACL、A0A4P6EY40_9BACL、L0EJK6_THECK、A0A3D9I772_9BACL、A0A1X7KY93_9BACL、A0A231R9F5_9BACL、A0A3A1UXN0_9BACL、A0A494XFI9_9BACL、A0A1Y5KD15_9BACL、A0A398CI63_9BACL、A0A3T1DDD1_9BACL、A0A0Q4RDM1_9BACL、C6D5A2_PAESJ、A0A2V2Z262_9BACL、A0A3G3K194_9BACL、A0A3D9KBV6_9BACL、A0A1A5YD71_9BACL、A0A433R8L8_9BACL、A0A172TIT6_9BACL、A0A1I1BCS1_9BACL、A0A081P3I5_9BACL、A0A4R5KGY1_9BACL、A0A229USJ3_9BACL、A0A2V5JWK3_9BACL、A0A329MCI0_9BACL、A0A0U2INE8_9BACL、A0A1K1QX93_9BACL、A0A2W1NWZ0_9BACL、A0A1I4LCQ8_9BACL、A0A329L6X4_9BACL、A0A0C2V9A2_9BACL、A0A4Q9DIC7_9BACL、H6NT63_9BACL、A0A1H4RQL7_9BACL、A0A3B0C2F8_9BACL、V9VZ78_9BACL、A0A1H0L1L7_9BACL、A0A430JA16_9BACL、F5LST9_9BACL、A0A4R4EAF4_9BACL、A0A0Q7JRA6_9BACL、A0A1V4HGJ0_9BACL、A0A1C0ZYJ1_9BACL、A0A4R3KJJ5_9BACI、M8DFK7_9BACL、A0A1U9KAR4_9BACL、A0A3M8DWV1_9BACL、A0A1A5XKA3_9BACL、A0A1E5LA89_9BACL、A0A074LTT3_9BACL、A0A1I4CE81_9BACL、C0Z731_BREBN、V6MBX1_9BACL、A0A1Y0IJ16_9BACL、A0A3M8BE71_9BACL、A0A4Q1STZ5_9BACL、A0A1E5G3N9_9BACL、A0A075RB77_BRELA、A0A419SF93_9BACL、A0A1Z5HTH4_9THEO、F5L9B1_CALTT、A0A3S9T1P5_9FIRM、A0A2N5M9N1_9BACI、A0A235FGA1_9BACI、A0A0M2U6G0_9FIRM、A0A4R6TU87_9BACI、A0A1E5LDM8_9BACI、A0A498RIM9_9FIRM、A0A120HRZ3_9BACL、A0A4Q0VV23_9BACI、A0A1I2EJ29_9BACI、A0A1U7MGK1_9FIRM、E6TSA5_BACCJ、A0A3E2JMS2_9BACI、A0A1I4L1V6_9BACI、A0A2P8HQR2_9BACI、Q9K6U6_BACHD、A0A402BS91_9FIRM、A0A4R3MVB0_9BACI、X0RMB4_9BACI、A0A4R2RM72_9FIRM、A0A1H4AT83_9BACI、A0A292YC86_9BACL、C5D873_GEOSW、Q5KV50_GEOKA、A0A1W2BFW9_9FIRM、A0A285CZH1_9BACI及びA0A1G9QKZ2_9FIRM。本発明によれば、野生型DegSタンパク質配列及びそれをコードする対応するdegS遺伝子であって、Uniprot識別子A0A074LBY4_PAEPOによって示されるアミノ酸配列に対して少なくとも40%、より好ましくは少なくとも46%、より好ましくは少なくとも58%、更により好ましくは80~100%の配列同一性を有するものが特に好ましい。本発明に従って記載されるDegSタンパク質配列に対する特定の変異を考慮しない場合、変異型DegSタンパク質は、好ましくは、Uniprot識別子A0A074LBY4_PAEPOによって示されるアミノ酸配列と、0~40アミノ酸、より好ましくは0~20アミノ酸、更により好ましくは0~10アミノ酸、更により好ましくは1~5アミノ酸が異なり、それらの差異は好ましくは図3による制約に合致する。変異型DegS配列が、Uniprot識別子A0A074LBY4_PAEPOによる配列とアラインメントされたときに前記配列よりも長い場合、各C末端又はN末端伸長は、好ましくは10アミノ酸以下、より好ましくは0~5アミノ酸である。
【0056】
本発明による微生物は、変異型degU遺伝子若しくは変異型degS遺伝子のいずれかを含むことができ、又は微生物は、変異型degU遺伝子と変異型degS遺伝子の両方を含む。同様に、本発明による微生物は、変異型DegUタンパク質若しくは変異型DegSタンパク質のいずれかを含むことができ、又は微生物は、変異型DegUタンパク質と変異型DegSタンパク質の両方を含む。
【0057】
本発明によれば、微生物は、変異型spo0A遺伝子を含むことができる。変異型spo0A遺伝子が微生物内で発現される場合、変異型Spo0Aタンパク質が生成される。これはspo0A遺伝子がSpo0Aタンパク質をコードするためである。本発明によれば、野生型Spo0Aタンパク質は、胞子形成転写因子Spo0A(IPR012052)のメンバーであり、InterPro表記を使用すると、シグナル伝達応答調節因子レシーバードメイン(IPR001789)及びウィングドヘリックス様DNA結合ドメインスーパーファミリー(IPR036388)の一部である胞子形成開始因子Spo0A C末端ドメイン(IPR014879)を含む。Pfam命名法に従って、野生型Spo0Aタンパク質は、応答調節因子レシーバードメイン(PF00072)及び胞子形成開始因子Spo0A C末端ドメイン(PF08769)を含む。好ましくは、野生型spo0A遺伝子は、アミノ酸配列が配列番号3に対して少なくとも45%、より好ましくは少なくとも56%、より好ましくは少なくとも69%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも67%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも73%、より好ましくは少なくとも74%、より好ましくは75%の配列同一性を有するSpo0Aタンパク質をコードし、好ましくは、配列番号3に対する配列同一性は、最大で85%、より好ましくは最大で11%である。特に好ましい野生型Spo0Aタンパク質は、配列番号3に対して50~85%、より好ましくは76~84%の配列同一性を有する。配列番号3がアミノ酸配列のスクリーニング及びアニーリングを目的とした鋳型として特別に構築された人工アミノ酸配列であることを理解されたい。したがって、この配列は、本明細書では配列番号3のポリペプチドのSpo0A活性が示されていないという事実とは無関係に、spo0A遺伝子の同定に使用することができる。本発明による方法又は植物における野生型spo0A遺伝子として特に好ましいのは、優先度の降順で以下のUniprot識別子によって定義されるアミノ酸配列のいずれかである:A0A074LZY6_PAEPO、E0RDX7_PAEP6、H6CM41_9BACL、A0A0D7WZ78_9BACL、A0A167DI09_9BACL、W7YKB3_9BACL、A0A168BRF7_9BACL、A0A1G5JWJ2_9BACL、A0A168P4Q5_9BACL、A0A168M3D7_9BACL、A0A1R1EUX4_9BACL、A0A2W6PE29_9BACL、A0A2V4WTN3_PAEBA、A0A328WGM0_PAELA、D3E6N2_GEOS4、G4HF05_9BACL、A0A1R0XBX0_9BACL、A0A098M8U8_9BACL、A0A3Q8SBT8_9BACL、A0A0M1P3N3_9BACL、R9LQX4_9BACL、A0A2Z2KRN4_9BACL、A0A1B8WQN2_9BACI、A0A089MEU2_9BACL、A0A089LZP7_9BACL、A0A0F7FA95_PAEDU、A0A0E4HDK7_9BACL、A0A1G7R7Q0_9BACL、A0A1H8N6P6_9BACL、X4ZFA8_9BACL、A0A3G9IQE6_9BACL、A0A369BNP1_9BACL、A0A1B1N0I3_9BACL、A0A015KRJ2_9BACL、A0A2N5N5F6_9BACL、A0A1T2XNU8_9BACL、A0A090ZFJ2_PAEMA、A0A3D9QX06_9BACL、E0ICH6_9BACL、A0A1G9E5Z0_9BACL、A0A3S1DUM5_9BACL、A0A0D5NPL4_9BACL、A0A368WCL4_9BACL、A0A4Q2LM98_9BACL、A0A328U1G0_9BACL、A0A172TM01_9BACL、A0A1I2EKA8_9BACL、A0A1A5YCA7_9BACL、A0A371PM84_9BACL、A0A3A6PB13_9BACL、A0A2V2YXM7_9BACL、L0EEN3_THECK、A0A3A1UXY9_9BACL、A0A3B0CH88_9BACL、A0A1V4HR00_9BACL、A0A1V0UWJ6_9BACL、H3SFG5_9BACL、A0A1X7JKH5_9BACL、A0A1I2FDS6_9BACL、A0A3D9IJB3_9BACL、A0A398CE46_9BACL、M9LB51_PAEPP、A0A3D9KSR7_9BACL、A0A081NWT7_9BACL、H6NL94_9BACL、A0A1C0ZWF8_9BACL、A0A4Y8M823_9BACL、A0A1X7HJ70_9BACL、A0A329MFB7_9BACL、A0A1G4P4T7_9BACL、A0A229UXF4_9BACL、A0A0U2WBQ5_9BACL、A0A3S0BM74_9BACL、K4ZP76_PAEA2、A0A2W1NBK6_9BACL、A0A172ZK56_9BACL、A0A3M8CIR1_9BACL、M8EE17_9BACL、A0A0Q3T5E2_BRECH、A0A0K9YRB7_9BACL、A0A1I3U483_9BACL、V6MCA1_9BACL、C0ZC17_BREBN、A0A4R3KM88_9BACI、A0A3M8B6E4_9BACL、A0A2N3LN87_9BACI、A0A419SMW9_9BACL、A0A3M8D088_9BACL、A0A075R4A3_BRELA、U1X7N0_ANEAE、A0A1H2UFN8_9BACL、A0A0D1VW72_ANEMI、A0A0X8D3E6_9BACL、A0A0U5AZK5_9BACL、A0A4R3L002_9BACL、A0A0Q3WXA1_9BACI、A0A0B0IAE5_9BACI、A0A223KSV6_9BACI、W4PXN5_9BACI、A0A235BCM6_9BACL、A0A235FAK4_9BACI、A0A2T4Z9J8_9BACL、A0A1S2MEZ1_9BACI、Q9K977_BACHD、A0A1S2LUZ3_9BACI、A0A1U9KC16_9BACL、A7Z6J0_BACVZ、Q65HJ7_BACLD、W4QWX1_BACA3、A0A1I6TUX2_9BACL、A0A1I2L3I1_9BACL、A0A0H3E179_BACA1、SP0A_BACSU、A8FF06_BACP2、A0A0J6EVC7_9BACI、A0A417YV34_9BACI、D5DS62_BACMQ、A0A4Q0VQU7_9BACI、A0A1H9PKN5_9BACI、A0A1I3QAI8_9BACL、A0A1G6Q9T8_9BACL、W1SHY1_9BACI、A0A364K8M0_9BACL、A0A150F6K4_9BACI、M5PEN8_9BACI、A0A1S2M754_9BACI、A0A0A8X8S8_9BACI、A0A1R1RU53_9BACI、A0A1S2LYV1_9BACI、A0A1B3XQX6_9BACI、A0A1H8EQX3_9BACL、A0A2N5GRE3_9BACI、A0A4R1B005_9BACI、A0A4R1QFH8_9BACI、A0A1B1Z5W5_9BACI、K6BXH2_9BACI、A0A160F753_9BACI、U5LDF9_9BACI、A0A0M0KYT7_9BACI、A0A061NL57_9BACL、A0A3A1QZJ5_9BACI、A0A2N5H854_9BACI、A0A160ISE8_9BACI、A0A2I7SRN1_LACSH、A0A1M4TLQ2_9BACL、A0A4R2QSJ5_9BACL、A0A3L7K5H6_9BACI、A0A2N5M452_9BACI、W4QKM5_9BACI、A0A4R2PAA5_9BACL、A0A0J1IMN1_BACCI、R9C857_9BACI、A0A0M4FX23_9BACI、A0A165XSR5_9BACI、A0A179SV99_9BACI、A0A1Y0IS88_9BACL、A0A248TLE9_9BACI、A0A1H0WI33_9BACI、A0A0H4PIL5_9BACI、I8AMT2_9BACI、A0A0D6ZAA3_9BACI、A0A3T0I1Q1_9BACI、A0A1I0SQQ4_9BACI、I3EAA8_BACMM、A0A0M0GB29_SPOGL、A0A1L8ZLZ8_9BACI、A0A370GBM9_9BACI、A0A433H928_9BACI、A0A4R6U795_9BACI、A0A060LXS4_9BACI、A0A074LME5_9BACL、A0A0K9GWU6_9BACI、A0A150KM63_9BACI、K6CV08_BACAZ、A0A323TXM3_9BACI、A0A2N0Z9Q2_9BACI、J8AK67_BACCE、A0A073KUP4_9BACI、A0A292YQZ8_9BACL、A0A226QLR6_9BACI、A0A160FBJ9_9BACI、C3BPR4_9BACI、E6TXR1_BACCJ、A0A1L3MQ53_9BACI、A0A0C2YCQ6_BACBA、Q8EQ49_OCEIH、A0A316D8M3_9BACL、A0A0J6FU61_9BACI、A0A1H8C0C3_9BACI、A0A084J373_BACMY、A0A1I4JPZ3_9BACI、A0A0M2SG37_9BACI、A0A150MMS1_9BACI、A0A1J6WGW3_9BACI、A0A0P6W2Q8_9BACI、A0A1I0SZE6_9BACI、A7GSJ0_BACCN、A0A2C9Z3P6_BACHU、A0A398BG15_9BACI、A0A0V8JFI7_9BACI、A0A1I5NPW8_9BACI、A0A4R2B866_9BACI、A0A023DE04_9BACI、A0A023CLR0_9BACI、A0A327YN47_9BACI、A0A0Q9XV74_9BACI、A0A147K7R5_9BACI、A0A443J408_9BACI、A0A498DDK1_9BACI、A0A0K6GMP9_9BACI、A0A429XD58_9BACI、A0A1I1ZLD5_9BACI、A4IQR2_GEOTN、A0A073K3V0_9BACI、A0A1X7D063_9BACI、Q5WF68_BACSK、A0A3S4RLT9_9BACI、A0A150JT68_BACCO、F5L3H6_CALTT、A0A0M0GPU2_9BACI、S5Z7C0_BACPJ、A0A1Z2V3H9_9BACI、A0A3A9KGU4_9BACI、A0A285CLU9_9BACI、A0A366XYH1_9BACI、A0A0D8BRF6_GEOKU、A0A265NFG5_9BACI、A0A428N868_9BACI、A0A2P8HAG1_9BACI、A0A1H0B3U0_9BACI、A0A150M7C5_9BACI、A0A1G8D1C3_9BACI、A0A1G8BRD8_9BACI、A0A4Q4IIH6_9BACL、A0A4Y9AEG4_9BACI、A0A1I0FQG9_9BACI、A0A0F5HWK7_9BACI、A0A1H1BJ69_9BACI、W9A8X3_9BACI、A0A1H9LW77_9BACI、A0A494Z0K1_9BACI、
A0A1M5CXL0_9BACI、A0A1G8JJN9_9BACI、A0A1G6IGH8_9BACI、A0A4Y7S8L6_9FIRM、A0A1X9MFG7_9BACI、A0A0A2UZF1_9BACI、A0A1H9ZLP9_9BACI、A0A1M4XLK4_9CLOT、A0A0A5GIF6_9BACI、A0A0C2VIM1_9BACL、A0A2A2IDA3_9BACI、A0A366EJ45_9BACI、A0A317KZA9_9BACI、A0A0A5GEQ9_9BACI、A0A1E5LK88_9BACI、A0A2S5GEL8_9BACL、A0A1G9LM94_9BACI、A0A1N6PFX1_9BACI、A0A1E7DMX2_9BACI、N4WSS3_9BACI、A0A1I1T1Z9_9BACI、A0A0A1MZ98_9BACI、A0A4R3N0Q4_9BACI、A0A4Y8KST9_9BACL、A0A2U1K6N5_9BACI、A0A075LLD7_9BACI、A0A1I0V6R2_9BACI、A0A0U1KL95_9BACI、A0A2P6MK99_9BACI、C8WXF8_ALIAD、A0A1M6KIQ3_9CLOT、A0A1L8CTW3_9THEO、A0A1V2A9Q9_9BACI、A0A2T4UAN8_9BACI、A0A4Z0GKV9_9BACL、A0A1M6I6U1_9FIRM、A0A1I2VPT9_9BACL、A0A1M6S6D3_9BACL、A0A1N7KMH0_9BACL、A0A140L8E0_9CLOT、A0A090J299_9BACI、V6IWU0_9BACL、A0A024P5H3_9BACI、A0A285NM88_9BACI、A0A143MRA0_9BACI、A0A0A5GCA3_9BACI、A0A0U1QSI9_9BACL、A0A0B5AS70_9BACL、A0A1M6C4X1_9CLOT、A0A2I0QX97_9BACI、A0A0P9EJT7_9BACL、A0A1U7MLA0_9FIRM、A0A2T0BRS8_9CLOT、A0A1H2T3C9_9BACL、A0A1H9A7M5_9BACI、A0A084JIX0_9CLOT、D9SLV6_CLOC7、A0A4R2RWP5_9FIRM、U2CLF1_9FIRM及びA0A1G8VG90_9BACI。本発明によれば、野生型Spo0Aタンパク質配列及びそれをコードする対応するspo0A遺伝子であって、Uniprot識別子A0A074LZY6_PAEPOによって示されるアミノ酸配列に対して少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも62%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは80~100%、更により好ましくは95~100%の配列同一性を有するものが特に好ましい。本発明に従って記載されるSpo0Aタンパク質配列に対する特定の変異を考慮しない場合、変異型Spo0Aタンパク質は、好ましくは、Uniprot識別子A0A074LZY6_PAEPOによって示されるアミノ酸配列と、0~20アミノ酸、より好ましくは0~15アミノ酸、更により好ましくは0~10アミノ酸、更により好ましくは1~5アミノ酸が異なり、それらの差異は好ましくは図5による制約に合致する。変異型Spo0A配列が、Uniprot識別子A0A074LZY6_PAEPOによる配列とアラインメントされたときに前記配列よりも長い場合、各C末端又はN末端伸長は、好ましくは30アミノ酸以下、より好ましくは0~10アミノ酸である。
【0058】
本発明による微生物は、変異型degU遺伝子及び/又は変異型degS遺伝子に加えて、変異型Spo0Aタンパク質又は変異型spo0A遺伝子を含むことができる。微生物は、変異型DegUタンパク質及び/又は変異型DegSタンパク質に加えて、変異型Spo0Aタンパク質又は変異型spo0A遺伝子を含むこともできる。
【0059】
本発明の微生物は、本発明の変異を欠く菌体外多糖生成対照株(「親」)と比較して、菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示す。但し、本発明は、菌体外多糖生成微生物の修飾に限定されない。本発明はまた、有益なことに、これまで欠如していた菌体外多糖生成のための1つ以上の遺伝子が導入された後に、菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示す微生物を作り出すことを可能にする。特に、本発明は、本発明のdegU、degS及び/又はspo0Aを導入することによって、菌体外多糖を生成するためのファーミキューテス(Firmicutes)株を調製することを可能にし、その結果、異種菌体外多糖遺伝子クラスターの更なる導入又は天然遺伝子の修飾の後、株は、菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減を示しつつ、1種以上の所望の菌体外多糖を生成することができる。
【0060】
本発明の利点の1つは、菌体外多糖生成の増加若しくは安定化及び/又は菌体外多糖分解の防止若しくは低減が、多種多様なファーミキューテス(Firmicutes)微生物における容易にアクセス可能な遺伝子の変異によって可能になることである。したがって、本発明は以下の具体的な実施例によって説明されるものの、実施例に記載される方法を他の微生物種に移用して、菌体外多糖生成を増加させ且つ/若しくは安定化させ、且つ/又は菌体外多糖分解を低減させることができる。更に、本明細書に記載される変異は、下流遺伝子の転写に影響を及ぼし得る大型核酸断片の欠失又は挿入を必要としない。菌体外多糖の形成に関与する様々な遺伝子の転写調節因子結合部位を変更する又はそれらの遺伝子を欠失させる必要の代わりに、本発明は、degU、degS及び/又はspo0A遺伝子の変異によって、本明細書に記載される利点を達成することを可能にする。これらの遺伝子は遺伝子調節経路の複雑な網に関与しており、本発明の変異の導入により引き起こされる影響は予測可能ではなかった。同様に、菌体外多糖の生成及び分解は、それ自体が複雑な調節機序の影響を受け、これは本質的に予測不能である。更に、公報国際公開第2019221988号パンフレットを踏まえると、degS、degU及び/又はspo0A遺伝子の変異が、菌体外多糖生成の増加若しくは安定化及び/又は菌体外多糖分解の防止若しくは低減をもたらすことは特に驚くべきことであった。この文献では、発酵中に菌体外多糖によって引き起こされる粘度を低減させるという明確な意図を伴って、Spo0A欠損のバックグラウンドを有し、且つSpo0A欠損に加えて変異したdegU及びdegS遺伝子を含む株が用いられている。しかしながら、本明細書に示すように、またこの文献の一見妥当である教示に反して、野生型微生物においてdegU、degS及び/又はspo0A遺伝子のみに変異を導入すると、菌体外多糖生成が増加若しくは安定化し、且つ/又は菌体外多糖分解が防止若しくは低減される。したがって、前記公報に記載されている効果は、degU、degS及びspo0A遺伝子の変異と因果的に関連しているわけではない。
【0061】
本発明は、特に注目すべき利点として、発酵生成中の菌体外多糖の安定化、及び/又は特に発酵生成中の、微生物による菌体外多糖分解の低減を可能にする。これはバッチ発酵の比較分析で検出可能である。かかる分析では、本発明による微生物のバッチ発酵及び適切な対照微生物を使用した対照発酵を実施し、最大炭素移動速度の時間を決定する。その時点以降、次の48時間にわたり各発酵ブロスの粘度を所定の間隔で測定する。その後、本発明の微生物の発酵の粘度読取値の合計が、比較発酵の同数の粘度測定値の合計よりも高いことが見出される。菌体外多糖は、実施例に示されるように、後期発酵段階において予備炭素又はエネルギー源として微生物によって使用され得る。したがって、初期発酵段階の間に多量に生成された菌体外多糖であっても、後期発酵状態又はその後の保管及び下流処理中に分解される可能性があり、それにより、特に生成物が菌体外多糖を、更なる成分、好ましくは1種以上の微生物、その胞子、及び微生物により生成される標的物質、好ましくは1種以上のフサリシジンとともに含む場合、菌体外多糖の収量が低減し、生成物組成が変化する可能性がある。しかしながら、本発明により、発酵全体を通して、更には場合により更なる下流処理又は保管中でさえも、高粘度を維持すること、したがって高い菌体外多糖含有量を維持することが可能になる。したがって、野生型株と比較して、菌体外多糖収量を前記更なる成分の収量に対して均衡させるために発酵槽を早期に回収する必要がない。事実上、本発明は、単回の発酵によって2つの生成物カテゴリー、即ち、1種以上の菌体外多糖及び前記1種以上の更なる成分を生成するために使用することができる。
【0062】
好ましくは、標的発酵生成物は、リポペプチド及び/又はシデロフォアであるか又はそれらを含み、好ましくは抗菌活性、好ましくは抗真菌活性を有する。好ましくは、リポペプチドは、非リボソームリポペプチド(NRP)である。更により好ましくは、リポペプチド及び/又はシデロフォアは、以下のタイプのいずれか:アクレアシン、アンフィシン、アンホマイシン、アンチカプシン、アスパルトシン、バシラエン、バシリバクチン、バシロマイシン、バシロリン(bacillorin)、バシリシン、バシトラシン、カスポファンギン、セレキシン、シコファクチン(cichofactin)、コルマイシン、クリスタロマイシン(crystallomycin)、ダプトマイシン、ディフィシジン(difficidin)、エコマイシン(ecomycin)、エントリシン(entolysin)、フェンギシン、フリウリマイシン(friulimicin)、フサリシジン、ガタバリン(gatavalin)、ホデルシン(hodersin)、イツリン、ジョリペプチン(jolipeptin)、クルスタキン(kurstakin)、ラスパルトマイシン、リケニシン、ロシロマイシン(locillomycin)、ロキシン、マクロラクチン、マリバシン、マリヒシン、マセトリド(massetolide)、オクタペプチン、オルファミド、パエニバクテリン(paenibacterin)、パエニラルビン(paenilarvin)、パエニプロキシリン(paeniproxilin)、パエニセリン(paeniserin)、ペルギペプチン(pelgipeptin)、プランタゾリシン、プリパスタチン、ニューモカンジン、ポリケチド、ポリミキシン、ポリペプチン、シュードデスミン(pseudodesmin)、シュードマイシン(pseudomycin)、シュードホミン(pseudophomin)、プチソルビン(putisolvin)、サルタバリン(saltavalin)、サーファクチン、シリンガファクチン(syringafactin)、シリンゴマイシン、シリンゴペプチン、テンシン、トラアシン、トリデカプチン(tridecaptin)、ツシマイシン、ビスコシン及びビスコシンアミドの1つ以上の抗菌剤を含む。特に、パエニバチルス(Paenibacilllus)株から得ることができる抗菌標的発酵生成物の生成は、国際公開第2016154297号パンフレットに記載されている。特に好ましい標的発酵生成物は、フサリシジンである。フサリシジンは、環状リポデプシペプチドのクラスのパエニバチルス属種(Paenibacillus spp.)から単離された抗生物質群であり、これらは多くの場合、以下の構造的特徴:6個のアミノ酸残基からなる大環状環(うち3個はL-Thr、D-アロ-Thr及びD-Ala)並びにアミド結合によりN末端L-Thr残基に付着した15-グアニジノ-3-ヒドロキシペンタデカン酸尾部、を共有している(ChemMedChem 7,871-882,2012;J.Microbiol.Meth.85,175-182,2011)。これらの化合物は、N末端L-Thrヒドロキシル基とC末端D-Alaカルボニル基の間のラクトン架橋によって環化される。デプシペプチド環内のアミノ酸残基の位置は、通常、それ自体もGHPD鎖を保有する前述のL-Thrから出発して付番され、C末端D-Alaで終わる。パエニバチルス(Paenibacillus)から単離されたフサリシジンの非限定的な例は、LI-F03、LI-F04、LI-F05、LI-F07及びLI-F08(J.Antibiotics 40(11),1506-1514,1987;Heterocycles 53(7),1533-1549,2000;Peptides 32,1917-1923,2011)、並びにフサリシジンA(Ll-F04aとも呼ばれる)、B(Ll-F04bとも呼ばれる)、C(Ll-F03aとも呼ばれる)及びD(Ll-F03bとも呼ばれる)(J.Antibiotics 49(2),129-135,1996;J.Antibiotics 50(3),220-228,1997)と命名されている。フサリシジンのアミノ酸鎖は、リボソームにより作製されるのではなく、非リボソームペプチド合成酵素によって作製される。単離されたフサリシジンの中でも、フサリシジンAは、種々の臨床的に関連する真菌及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などのグラム陽性菌に対して最も有望な抗菌活性を示している(MIC値範囲:0.78~3.12g/ml)(ChemMedChem 7,871-882,2012)。フサリシジンA、B、C及びDはまた、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、アルペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アルペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)及びペニシリウム・ソミイ(Penicillium thomii)などの植物病原性真菌を阻害することが報告されている(J.Antibiotics 49(2),129-135,1996;J.Antibiotics 50(3),220-228,1997)。Li-F05、LI-F07及びLI-F08などのフサリシジンは、フサリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、F.オキシスポラム(F.oxysporum)、F.ロゼウム(F.roseum)、ジベレラ・フジクロイ(Giberella fujkuroi)、ヘルミントスポリウム・セサマム(Helminthosporium sesamum)及びペニシリウム・エクスパンサム(Penicillium expansum)などの様々な植物病原性真菌に対するある特定の抗真菌活性を有することが見出されている(J.Antibiotics 40(11),1506-1514,1987)。フサリシジンはまた、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を含むグラム陽性細菌に対する抗細菌活性を有する(J.Antibiotics 49,129-135,1996;J.Antibiotics 50,220-228,1997)。加えて、フサリシジンは、キャノーラの黒根病を引き起こすレプトスファエリア・マキュランス(Leptosphaeria maculans)に対する抗真菌活性を有する(Can.J.Microbiol.48,159-169,2002)。更に、ある特定のパエニバチルス(Paenibacillus)株によって生成されるフサリシジンA及びB並びにその2つの関連する化合物は、培養されたパセリ細胞中において耐性反応を誘導し、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の増殖を阻害することが見出された(国際公開第2006/016558号パンフレット;欧州特許第1788074A1号明細書)。国際公開第2016/020371号パンフレットにおいて、細菌株Lu16774、Lu17007及びLu17015の全培養ブロス、培養培地及び無細胞抽出物は、とりわけアルテルナリア属種(Alternaria spp.)、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)及びフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に対する阻害活性を示すことが見出された。
【0063】
本発明による微生物は、好ましくは変異型degU遺伝子を含み、このdegU遺伝子は、DNA結合活性が低減しており且つ/又は機能的DNA結合ドメインを欠く、DegUタンパク質をコードする。これは、好ましくは、変異型DegUタンパク質をコードする変異型degU遺伝子を提供することによって達成され、この変異は、LuxR型DNA結合HTHドメイン(PF00196)に影響を及ぼす。以下の実施例に示されるように、単に変異型degU遺伝子を提供することが、発酵プロセス中に菌体外多糖生成を改善し、且つ/又は菌体外多糖分解を低減させるのに既に十分である。これは、degU遺伝子のかかる変異が発酵ブロスの粘度の増加をもたらさず、したがって発酵中に菌体外多糖生成を増加及び/若しくは安定化させ、且つ/又は菌体外多糖分解を低減させるのに好適ではないと明示的に公表している、国際公開第2019221988号パンフレットを考慮すると、特に驚くべきことであった。
【0064】
本発明のDegS、DegU及びDegS+DegU変異型が、微生物の胞子形成能を消滅させない又は著しく低減させないことは、更なる利点である。これは、胞子形成植物健康組成物又は胞子形成に依拠する他の用途にとって特に有利である。
【0065】
DegUタンパク質は、好ましくは、DNA結合活性が低減しており、且つ/又は機能的DNA結合ドメインを欠いている。これらの形質の存在は、本発明の微生物、好ましくはパエニバチルス(Paenibacillus)属の微生物において、対応する野生型株と比較して、発酵中の粘度の増加又は粘度の保持を観察することにより容易に同定され得る。
【0066】
上述したように、野生型DegUタンパク質は、DNA結合HTHドメインを含む。このドメインは、Uniprot識別子E3EBP5を有するタンパク質配列の付番に従って、アミノ酸171位から配列の終わりまで延在する。DNA結合ドメインに関する更なる情報は、対応するPfam及びInterProデータベースから入手可能である。例えば、最も好ましい野生型DegUタンパク質配列E3EBP5の場合、DNA結合ドメインは、180~191位、195~202位、206~221位及び225~235位に及ぶ4つのアルファヘリックスドメインを含むと予測される。DegUタンパク質のDNA結合ドメインが3番目又は4番目で変異していることが好ましく、第3のアルファヘリカルドメインで変異していれば最も好ましい。ここで、タンパク質配列の変異は、概してDegUタンパク質の残部の正しいフォールディング及び機能に影響を与えない。
【0067】
好ましくは、DegUタンパク質変異は、各選択肢a)及びb)について優先度の降順で、
a)Q218*、Q218K、Q218N、Q218D、Q218R、
b)D223*、D223*+M220N、D223*+M220N+E221G、D223*+M220N+V222G、D223*+M220N+E221G+V222G、D223*+M220D、D223*+M220E、D223*+M220H、D223*+M220F、D223*+M220W、D223*+M220S、D223*+M220A、のうちの1つ以上を含むか又はそれらからなる。
【0068】
本発明の目的のために、前述の付番は、Uniprot識別子E3EBP5の野生型DegUタンパク質配列を参照している。上記のように、変異型DegUタンパク質は、上述の具体的に列挙された変異を無視した場合、Uniprot識別子E3EBP5_PAEPSによって示されるアミノ酸配列に対して少なくとも45%、より好ましくは少なくとも51%、より好ましくは少なくとも54%、更により好ましくは73~100%の配列同一性を有することに留意されたい。
【0069】
a)及びb)の両方の変異は、DNA結合ドメインの予測される第3のアルファヘリックスに同時に含まれる。実施例に示されるように、タイプa)及びb)の両方の変異は、両方とも発酵の過程にわたって発酵ブロス粘度の増加をもたらす。更に、発酵ブロスの粘度は、後期発酵段階において変化したとしても、発酵中の最大炭素移動速度の時点の48時間後に測定して、実施例に示されるように、野生型株の発酵ブロスの最大粘度の50%を下回らず、好ましくは野生型株の発酵ブロスの最大粘度の70%を下回らない。粘度の測定条件は以下の実施例に示される。
【0070】
好ましくは、選択肢a)の変異は、選択肢b)による変異のみを含む微生物と比較して粘度のより速い増加をもたらし、その結果、選択肢b)による変異のみを含む微生物と比較してより早く粘度のプラトーに達する。一方、選択肢b)によるDegU変異を含む微生物は、選択肢a)による微生物と比較して、好ましくはより高いピーク粘度をもたらす(図1も参照されたい)。
【0071】
選択肢a)及びb)による変異アミノ酸は、それぞれ、DegUタンパク質の天然ホモログにおけるそれぞれの頻度の昇順で上に列挙されている。本発明の関心は、野生型と比較してDegUタンパク質の特性が改変された微生物を提供することにあるため、最も頻度が低い改変が最も好ましい改変であり、それぞれの位置におけるそれぞれのアミノ酸の頻度が増加するにつれて優先度は低下する。
【0072】
変異Q218*を除いて、前述のDegUタンパク質変異を組み合わせることもできる。したがって、本発明はまた、変異型DegUタンパク質をコードする変異型degU遺伝子を含む微生物にも関し、変異は、Uniprot識別子E3EBP5による配列の付番で、Q218K+D223*、Q218K+M220N+D223*、Q218K+M220N+E221G+D223*、Q218K+M220N+V222G+D223*、Q218K+M220N+E221G+V222G+D223*、Q218K+M220D+D223*、Q218K+M220E+D223*、Q218K+M220H+D223*、Q218K+M220F+D223*、Q218K+M220W+D223*、Q218K+M220S+D223*、Q218K+M220A+D223*、Q218N+D223*、Q218N+M220N+D223*、Q218N+M220N+E221G+D223*、Q218N+M220N+V222G+D223*、Q218N+M220N+E221G+V222G+D223*、Q218N+M220D+D223*、Q218N+M220E+D223*、Q218N+M220H+D223*、Q218N+M220F+D223*、Q218N+M220W+D223*、Q218N+M220S+D223*、Q218N+M220A+D223*、Q218D+D223*、Q218D+M220N+D223*、Q218D+M220N+E221G+D223*、Q218D+M220N+V222G+D223*、Q218D+M220N+E221G+V222G+D223*、Q218D+M220D+D223*、Q218D+M220E+D223*、Q218D+M220H+D223*、Q218D+M220F+D223*、Q218D+M220W+D223*、Q218D+M220S+D223*、Q218D+M220A+D223*、Q218R+D223*、Q218R+M220N+D223*、Q218R+M220N+E221G+D223*、Q218R+M220N+V222G+D223*、Q218R+M220N+E221G+V222G+D223*、Q218R+M220D+D223*、Q218R+M220E+D223*、Q218R+M220H+D223*、Q218R+M220F+D223*、Q218R+M220W+D223*、Q218R+M220S+D223*、Q218R+M220A+D223*のいずれかを含むか又はそれらからなる。
【0073】
本発明による微生物は、好ましくは変異型degS遺伝子を含み、このdegS遺伝子は、機能的単一結合ドメイン、機能的ホスホアクセプタードメイン及び/又は機能的ATPアーゼドメインを欠くDegSタンパク質をコードする。以下の実施例に示されるように、単に変異型degS遺伝子を提供することが、発酵プロセス中に菌体外多糖生成を改善し、且つ/又は菌体外多糖分解を低減させるのに既に十分である。これは、degS遺伝子のかかる変異が発酵ブロスの粘度の増加をもたらさず、したがって発酵中に菌体外多糖生成を増加及び/若しくは安定化させ、且つ/又は菌体外多糖分解を低減させるのに好適ではないと明示的に公表している、国際公開第2019221988号パンフレットを考慮すると、特に驚くべきことであった。
【0074】
DegSタンパク質は、好ましくは、機能的単一結合ドメイン、機能的ホスホアクセプタードメイン及び/又は機能的ATPアーゼドメインを欠く。これらの形質の存在は、本発明の微生物、好ましくはパエニバチルス(Paenibacillus)属の微生物において、対応する野生型株と比較して、発酵中の粘度の増加又は粘度の保持を観察することにより容易に同定することができ、例えばセンサーDegSドメイン(IPR008595)に変異を導入することにより容易に達成することができる。
【0075】
上述したように、野生型DegSタンパク質は、センサーDegSドメインを含む。このドメインは、Uniprot識別子A0A074LBY4_PAEPOを有するタンパク質配列の付番に従って、アミノ酸10位から165位に延在する。DNA結合ドメインに関する更なる情報は、対応するPfam及びInterProデータベースから入手可能である。例えば、最も好ましい野生型DegSタンパク質配列A0A074LBY4_PAEPOの場合、DNA結合ドメインは、5~81位及び84~186位に及ぶ2つのアルファヘリックスドメインを含むと予測され、175~186位のアミノ酸は既にヒスチジンキナーゼドメインと重複している。ヒスチジンキナーゼドメインのフォールディングへの干渉を防止するために、アルファヘリカル構造全体がそのまま維持されるようにDegSタンパク質のDNA結合ドメインが変異していれば好ましい。
【0076】
好ましくは、変異型DegSタンパク質は、優先度の降順で、L99F、L99C、L99D、L99E、L99G、L99H、L99K、L99N、L99P、L99Q、L99R、L99S、L99W又はL99Yから選択される1つ以上の変異によって、対応する野生型配列とは異なる。
【0077】
本発明の目的のために、前述の付番は、Uniprot識別子A0A074LBY4_PAEPOの野生型DegSタンパク質配列を参照している。上記のように、変異型DegSタンパク質は、上述の具体的に列挙された変異を無視した場合、Uniprot識別子A0A074LBY4_PAEPOによって示されるアミノ酸配列に対して少なくとも40%、より好ましくは少なくとも46%、より好ましくは少なくとも58%、更により好ましくは80~100%の配列同一性を有することに留意されたい。
【0078】
前述の特定の変異は、DegSセンサードメインの予測される第2のアルファヘリックスに含まれる。実施例に示されるように、かかる変異は、いずれも発酵の過程にわたって発酵ブロス粘度の増加をもたらす。更に、発酵ブロスの粘度は、後期発酵段階において変化したとしても、実施例に示されるように、野生型株の発酵ブロスの最大粘度の50%を下回らず、好ましくは野生型株の発酵ブロスの最大粘度の70%を下回らない。粘度の測定条件は以下の実施例に示される。
【0079】
好ましくは、本発明によるdegS遺伝子の変異は野生型株と比較してより高いピーク粘度をもたらし、更に好ましくは、粘度の増加は野生型株と比較して遅延せず、その結果、野生型発酵ブロスの最大粘度の時点で、対応するDegS変異型発酵ブロスの粘度は、野生型発酵ブロスの粘度の少なくとも90%、好ましくは野生型発酵ブロスの粘度の100%~300%である(図1も参照されたい)。
【0080】
DegS変異型タンパク質の変異アミノ酸は、DegSタンパク質の天然ホモログにおけるそれぞれの頻度の昇順に上に列挙されている。本発明の関心は、野生型と比較してDegSタンパク質の特性が改変された微生物を提供することにあるため、最も頻度が低い改変が最も好ましい改変であり、それぞれの位置におけるそれぞれのアミノ酸の頻度が増加するにつれて優先度は低下する。
【0081】
本発明による微生物は、好ましくは変異型spo0A遺伝子を含み、その変異は、DNA結合ドメイン又はレシーバードメインに位置し、Spo0Aタンパク質のリン酸化の低減又は消失をもたらす。以下の実施例に示されるように、単に変異型spo0A遺伝子を提供することが、発酵プロセス中に菌体外多糖生成を改善し、且つ/又は菌体外多糖分解を低減させるのに既に十分である。これは、国際公開第2019221988号パンフレット及び国際公開第2016154297号パンフレットを考慮すると、特に驚くべきことであった。後者の公報によれば、国際公開第2019221988号パンフレットの全てのDegU/DegS変異型の親株は、既にspo0A変異を含んでいた。国際公開第2016154297号パンフレットでは、安定したコロニー形態型の理由としてこのspo0A変異が記載されていたが、一方でその親株は粘稠性の粘液様表現型などの様々な形態を示していた。点変異の標的挿入に野生型株を使用した本発明者らの知見とは対照的に、特に、後者の文献において既にランダムに変異した株が更なる遺伝的最適化のために親株として使用されたことを踏まえると、国際公開第2019221988号パンフレットでは、発酵ブロスの粘度の増加又は安定化は観察されていなかった。
【0082】
変異型Spo0Aタンパク質は、好ましくは、機能的DNA結合ドメイン又はレシーバードメインを欠いている。これらの形質の存在は、本発明の微生物、好ましくはパエニバチルス(Paenibacillus)属の微生物において、対応する野生型株と比較して、発酵中の粘度の増加又は粘度の保持を観察することにより容易に同定することができ、例えばSpo0A C末端ドメイン(IPR014879)に変異を導入することにより容易に達成することができる。
【0083】
上述したように、野生型Spo0Aタンパク質は、胞子形成開始因子Spo0A C末端ドメインを含む。このドメインは、Uniprot識別子A0A074LZY6_PAEPOを有するタンパク質配列の付番に従って、アミノ酸158位から261位に延在する。Spo0A C末端ドメインに関する更なる情報は、前述した対応するPfam及びInterProデータベースから入手可能である。
【0084】
好ましくは、変異型Spo0Aタンパク質の変異は、
- A257V、より好ましくはA257S、又は
- I161R、より好ましくはI161L、又は
- 優先度の降順で、A257S+I161I、A257A+I161L、A257V+I161I、A257S+I161F又はA257A+I161R、のいずれかからなるか又はそれらのいずれかを含む。
【0085】
本発明の目的のために、前述の付番は、Uniprot識別子A0A074LZY6_PAEPOの野生型Spo0Aタンパク質配列を参照している。上記のように、変異型Spo0Aタンパク質は、上述の具体的に列挙された変異を無視した場合、Uniprot識別子A0A074LZY6_PAEPOによって示されるアミノ酸配列に対して少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも62%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは80~100%、更により好ましくは95~100%の配列同一性を有することに留意されたい。
【0086】
好ましくは、変異型Spo0Aタンパク質は、257位に前述の2つの変異のうちの1つ、即ちA257V、又はより好ましくはA257Sを含む。この位置は、Spo0A C末端ドメインの予測される最後のアルファヘリックスに含まれる。また、好ましくは、変異型Spo0Aタンパク質は、161位に前述の2つの変異のうちの1つ、即ちI161R、又はより好ましくはI161Lを含む。この位置は、Spo0A C末端ドメインの予測される第1のアルファヘリックスに含まれる。更に好ましくは、変異型Spo0Aタンパク質は、前述の位置の各々に前述のそれぞれの変異のいずれか、即ち優先度の降順で、A257S+I161I、A257A+I161L、A257V+I161I、A257S+I161F又はA257A+I161Rを含む。二重変異型の変異アミノ酸は、Spo0Aタンパク質の天然ホモログにおけるそれぞれの頻度の昇順に列挙されている。本発明の関心は、野生型と比較してSpo0Aタンパク質の特性が改変された微生物を提供することにあるため、最も頻度が低い改変が最も好ましい改変であり、それぞれの位置におけるそれぞれのアミノ酸の頻度が増加するにつれて優先度は低下する。
【0087】
典型的には、Spo0Aタンパク質の前述の変異により、野生型と比較して、発酵ブロス粘度が最大に達するまでに遅延が生じる。更に、発酵ブロスの粘度は、後期発酵段階において変化したとしても、実施例に示されるように、野生型株の発酵ブロスの最大粘度の50%を下回らず、好ましくは野生型株の発酵ブロスの最大粘度の70%を下回らない。粘度の測定条件は以下の実施例に示される。
【0088】
実施例に示されるように、1つの遺伝子のみではなく2つの遺伝子に変異型を含む微生物を提供することにより、本発明により得ることができる利点を更に改善することができ、特に、菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減をもたらすことができる。
【0089】
更に、本発明は、変異型degU遺伝子と変異型degS遺伝子の両方、変異型degU遺伝子と変異型spo0A遺伝子、変異型degS遺伝子と変異型spo0A遺伝子、又は変異型degU遺伝子と変異型degS遺伝子と変異型spo0A、を含む微生物を提供する。実施例に例示的に示されるように、1つの遺伝子のみではなく2つの遺伝子に変異型を含む微生物を提供することにより、本発明により得ることができる利点を更に改善することができ、特に、菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減をもたらすことができる。例えば、変異型DegUタンパク質と変異型DegSタンパク質の両方を含む微生物により、後期発酵段階においてより安定した粘度を達成することが可能になる。また、実施例に示されるように、変異型DegUタンパク質と、変異型DegSタンパク質と、変異型Spo0Aタンパク質とを含む微生物により、対応するSpo0A単一遺伝子変異型微生物と比較してより早く最大粘度に達することも可能になる。また、一例として、変異型DegSを有する微生物は、野生型degS遺伝子を有する株と比較して著しく高い粘度に達し得る。
【0090】
本発明によれば、微生物が液体発酵培地中で増殖する場合、バッチ発酵における最大炭素移動速度の48時間後以内に、発酵培地の粘度が、対応する野生型株の発酵で得られる最大発酵培地粘度の50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%よりも高いままであるように、発酵培地の粘度増加を引き起こすことが特に好ましい。したがって、本発明の微生物の菌体外多糖生成が有利に増加し、且つ/又は菌体外多糖分解が有利に低減する。
【0091】
本発明による微生物は、好ましくは、
- ファーミキューテス(Firmicutes)門、バチルス(Bacilli)綱、クロストリジウム(Clostridia)綱又はネガティウィクテス(Negativicutes)綱、
- より好ましくはバチルス(Bacillales)目、クロストリジウム(Clostridiales)目、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacterales)目、サーモセディミニバクター(Thermosediminibacterales)目又はセレノモナス(Selenomonadales)目、
- より好ましくはバチルス(Bacillaceae)科、パエニバチルス(Paenibacillaceae)科、パスツリア(Pasteuriaceae)科、クロストリジウム(Clostridiaceae)科、ペプトコッカス(Peptococcaceae)科、ヘリオバクテリウム(Heliobacteriaceae)科、シントロフォモナス(Syntrophomonadaceae)科、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacteraceae)科、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacteraceae)科又はスポロミュサ(Sporomusaceae)科、
- より好ましくはアルカリバチルス(Alkalibacillus)属、バチルス(Bacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、リシニバチルス(Lysinibacillus)属、ピシバチルス(Piscibacillus)属、テリバチルス(Terribacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、サーモバチルス(Thermobacillus)属、パスツリア(Pasteuria)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、ヘリオバクテリウム(Heliobacterium)属、ペロスポラ(Pelospora)属、ペロトマクルム(Pelotomaculum)属、カルダナエロバクター(Caldanaerobacter)属、ムーレラ(Moorella)属、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)属、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacter)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属又はスポロミュサ(Sporomusa)属、
- より好ましくはバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属又はクロストリジウム(Clostridium)の分類階級から選択される。
【0092】
特に、バチルス(Bacillaceae)科、パエニバチルス(Paenibacillaceae)科及びクロストリジウム(Clostridiaceae)科の微生物は、菌体外多糖を生成することが公知であり、工業的発酵プロセスにおいて重要な微生物である。更に、かかる属の微生物の中では、胞子生成株が知られている。
【0093】
農業では、細菌胞子は、植物病原性真菌性又は細菌性病害を低減させるか又は防止する植物有害生物防除組成物に使用された。胞子生物製剤は、生物的及び非生物的ストレスに対する植物の耐性を改善し、植物の生長を加速させ、且つ植物、果実又はマメ科植物の収穫時の収量を増加させるためにも適用される。胞子製品は、葉、苗条、果実、根又は植物繁殖材料及び植物が生長する基材に適用された(Toyota K.Bacillus-related Spore Formers:Attractive Agents for Plant Growth Promotion.Microbes Environ.2015;30(3):205-207.doi:10.1264/jsme2.me3003rh)。Bochow,H.,et al.“Use of Bacillus Subtilis as Biocontrol Agent.IV.Salt-Stress Tolerance Induction by Bacillus Subtilis FZB24 Seed Treatment in Tropical Vegetable Field Crops,and Its Mode of Action / Die Verwendung von Bacillus Subtilis zur biologischen Bekaempfung.IV.Induktion einer Salzstress-Toleranz durch Applikation von Bacillus subtilis FZB24 bei tropischem Feldgemuese und sein Wirkungsmechanismus.”Zeitschrift fuer Pflanzenkrankheiten und Pflanzenschutz / Journal of Plant Diseases and Protection,vol.108,no.1,2001,pp.21-30.JSTOR,www.jstor.org/stable/43215378.Accessed 14 Dec.2020.)(Hashem,Abeer&Tabassum,B.&Abd_Allah,Elsayed.(2019).Bacillus subtilis:A plant-growth promoting rhizobacterium that also impacts biotic stress.Saudi Journal of Biological Sciences.26.10.1016/j.sjbs.2019.05.004.)
【0094】
更に、細菌胞子は、ナノバイオテクノロジー及び建築化学の領域において、例えば自己修復コンクリート(亀裂の修復)、モルタルの安定性及び透水性の低減のために適用された[J.Y.Wang,H.Soens,W.Verstraete,N.De Belie,Self-healing concrete by use of microencapsulated bacterial spores,Cement and Concrete Research,Volume 56,2014,139-152,ISSN 0008-8846,https://doi.org/10.1016/j.cemconres.2013.11.009][Ricca E,Cutting SM.Emerging Applications of Bacterial Spores in Nanobiotechnology.J Nanobiotechnology.2003;1(1):6.Published 2003 Dec 15.doi:10.1186/1477-3155-1-6]。
【0095】
加えて、細菌胞子は、臨床環境及び家庭環境における洗濯物、硬質表面、衛生設備の清浄用及び臭気抑制用などの清浄製品の領域に適用された(Caselli E.Hygiene:microbial strategies to reduce pathogens and drug resistance in clinical settings.Microb Biotechnol.2017 Sep;10(5):1079-1083.doi:10.1111/1751-7915.12755.Epub 2017 Jul 5)。一例として、胞子は、化粧品組成物、例えば皮膚清浄製品(米国特許出願公開第20070048244号明細書)、食器洗浄剤(国際公開第2014/107111号パンフレット)、パイプ脱脂剤(独国特許第19850012号明細書)、洗濯物の悪臭抑制(国際公開第2017/157778号パンフレット及び欧州特許第3430113号明細書)又はアレルゲンの除去(米国特許出願公開第20020182184号明細書)に使用された。胞子は、その後のマトリックス分解を触媒するために、非生物起源のマトリックスに埋め込むこともできる。
【0096】
加えて、細菌胞子は、ヒト及び動物の栄養及び健康の領域に適用された。一例として、抗生物質置き換え戦略の一環として、様々な細菌株がブロイラーに適用された(Neveling,D.P.,Dicks,L.M.Probiotics:an Antibiotic Replacement Strategy for Healthy Broilers and Productive Rearing.Probiotics & Antimicro.Prot.13,1-11(2021).https://doi.org/10.1007/s12602-020-09640-z)。他の例には、水産養殖、ブタなど多数が含まれる(Nayak,S.K.(Nayak,S.K.(2021),Multifaceted applications of probiotic Bacillus species in aquaculture with special reference to Bacillus subtilis.Rev.Aquacult.,13:862-906.https://doi.org/10.1111/raq.12503)。ヒトの健康に対する細菌胞子の適用も広範に記載されている(例えば、米国特許出願公開第20180289752号明細書;Lee,NK.,Kim,WS.& Paik,HD.Bacillus strains as human probiotics:characterization,safety,microbiome,and probiotic carrier.Food Sci Biotechnol 28,1297-1305(2019).https://doi.org/10.1007/s10068-019-00691-9)。
【0097】
したがって、本明細書に記載される変異により、かかる工業的に関連する生物における菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減が可能になることは、本発明の特定の利点である。微生物の菌体外多糖の補助により、細菌胞子は生物的及び非生物的ストレスから更に保護され、発芽及び繁殖が支援された。
【0098】
特に好ましいものは、以下の種のうちの1つの微生物である。
【0099】
パエニバチルス(Paenibacillus)種:P.アベカワエンシス(P.abekawaensis)、P.アビシ(P.abyssi)、P.アセリス(P.aceris)、P.アセチ(P.aceti)、P.アエスツアリイ(P.aestuarii)、P.アガレクセデンス(P.agarexedens)、P.アガリデボランス(P.agaridevorans)、P.アルバ(P.alba)、P.アルビダス(P.albidus)、P.アルブス(P.albus)、P.アルギノリチカス(P.alginolyticus)、P.アルゴリフォンティコラ(P.algorifonticola)、P.アルカリテラエ(P.alkaliterrae)、P.アルベイ(P.alvei)、P.アミロリティカス(P.amylolyticus)、P.アナエリカヌス(P.anaericanus)、P.アンタルクティカス(P.antarcticus)、P.アンチバイオチコフィラ(P.antibioticophila)、P.アントリ(P.antri)、P.アピアリーズ(P.apiaries)、P.アピアリウス(P.apiarius)、P.アピス(P.apis)、P.アクイスタグニ(P.aquistagni)、P.アラキジス(P.arachidis)、P.アークティカス(P.arcticus)、P.アサメンシス(P.assamensis)、P.アウランティアクス(P.aurantiacus)、P.アゾレデュセンス(P.azoreducens)、P.アゾティフィゲンス(P.azotifigens)、P.ベクロクダミソリ(P.baekrokdamisoli)、P.バルキノネンシス(P.barcinonensis)、P.バレンゴルトジ(P.barengoltzii)、P.ベイジンゲンシス(P.beijingensis)、P.ボレアリス(P.borealis)、P.ボウチェスデュルホネンシス(P.bouchesdurhonensis)、P.ボビス(P.bovis)、P.ブラジレンシス(P.brasilensis)、P.ブラシカエ(P.brassicae)、P.ブリョフィラム(P.bryophyllum)、P.カエスピティス(P.caespitis)、P.カメリアエ(P.camelliae)、P.カメロウネンシス(P.camerounensis)、P.キャンピナセンシス(P.campinasensis)、P.カスタネアエ(P.castaneae)、P.カタルパエ(P.catalpae)、P.カトルミ(P.cathormii)、P.カベルナエ(P.cavernae)、P.セルロシリティカス(P.cellulosilyticus)、P.セルロシトロフィカス(P.cellulositrophicus)、P.チャータリウス(P.chartarius)、P.チベンシス(P.chibensis)、P.チネンシス(P.chinensis)、P.チンジュエンシス(P.chinjuensis)、P.キチノリティカス(P.chitinolyticus)、P.コンドロイティヌス(P.chondroitinus)、P.チュンガゲンシス(P.chungangensis)、P.シネリス(P.cineris)、P.シスオロケンシス(P.cisolokensis)、P.コンタミナンス(P.contaminans)、P.クッキイ(P.cookii)、P.クラソストレアエ(P.crassostreae)、P.ククミス(P.cucumis)、P.カードラノリティカス(P.curdlanolyticus)、P.テジョネンシス(P.daejeonensis)、P.ダカレンシス(P.dakarensis)、P.ダランシエンシス(P.darangshiensis)、P.ダーウィニアヌス(P.darwinianus)、P.ダウチ(P.dauci)、P.デンドリティフォルミス(P.dendritiformis)、P.ドンドネンシス(P.dongdonensis)、P.ドンハエンシス(P.donghaensis)、P.ドゥーサネンシス(P.doosanensis)、P.ダラス(P.durus)、P.エダフィカス(P.edaphicus)、P.エヒメンシス(P.ehimensis)、P.エルギイ(P.elgii)、P.エリミ(P.elymi)、P.エンドフィティカス(P.endophyticus)、P.エンシディス(P.enshidis)、P.エステリソルベンス(P.esterisolvens)、P.エテリ(P.etheri)、P.エウコムミアエ(P.eucommiae)、P.ファエシス(P.faecis)、P.ファビスポラス(P.favisporus)、P.フェラリウス(P.ferrarius)、P.フィリシス(P.filicis)、P.フラゲラータス(P.flagellatus)、P.フォンティコーラ(P.fonticola)、P.フォルシチアエ(P.forsythiae)、P.フリゴリレシステンス(P.frigoriresistens)、P.フジエンシス(P.fujiensis)、P.フクイネンシス(P.fukuinensis)、P.ガンスエンシス(P.gansuensis)、P.ゼラチンリティカス(P.gelatinilyticus)、P.ジンセンアグリ(P.ginsengagri)、P.ジンセンアルビ(P.ginsengarvi)、P.ジンセンイフミ(P.ginsengihumi)、P.ジンセンイテラエ(P.ginsengiterrae)、P.グラシアリス(P.glacialis)、P.グレバエ(P.glebae)、P.グルカノリティカス(P.glucanolyticus)、P.グリカニリティカス(P.glycanilyticus)、P.ゴリラエ(P.gorillae)、P.グラミニス(P.graminis)、P.グラニボランス(P.granivorans)、P.グアンゾウエンシス(P.guangzhouensis)、P.ハレナエ(P.harenae)、P.ヘリアンティ(P.helianthi)、P.ヘメロカリコラ(P.hemerocallicola)、P.ヘルベルティ(P.herberti)、P.ヒスパニカス(P.hispanicus)、P.ホドガイエンシス(P.hodogayensis)、P.ホルデイ(P.hordei)、P.ホルティ(P.horti)、P.フミカス(P.humicus)、P.フナンエンシス(P.hunanensis)、P.イベタエ(P.ihbetae)、P.イフアエ(P.ihuae)、P.イフミ(P.ihumii)、P.イリノイセンシス(P.illinoisensis)、P.インスラエ(P.insulae)、P.インテスティニ(P.intestini)、P.ジャミラエ(P.jamilae)、P.ジルンリ(P.jilunlii)、P.コベンシス(P.kobensis)、P.コレオボランス(P.koleovorans)、P.コンクケンシス(P.konkukensis)、P.コンシデンシス(P.konsidensis)、P.コーリエンシス(P.koreensis)、P.クリベンシス(P.kribbensis)、P.キュンヘンシス(P.kyungheensis)、P.ラクティス(P.lactis)、P.ラクス(P.lacus)、P.ラルバエ(P.larvae)、P.ロータス(P.lautus)、P.レムナエ(P.lemnae)、P.レンティモルブス(P.lentimorbus)、P.レンタス(P.lentus)、P.リャオニンエンシス(P.liaoningensis)、P.リミコーラ(P.limicola)、P.ルピニー(P.lupini)、P.ルテウス(P.luteus)、P.ルチミネラリス(P.lutimineralis)、P.マセランス(P.macerans)、P.マッカリエンシス(P.macquariensis)、P.マーチャンチオフィトルム(P.marchantiophytorum)、P.マリニセディミニス(P.marinisediminis)、P.マリヌム(P.marinum)、P.マシリエンシス(P.massiliensis)、P.マイシエンシス(P.maysiensis)、P.メディカジニス(P.medicaginis)、P.メンデリイ(P.mendelii)、P.メソフィルス(P.mesophilus)、P.メタノリカス(P.methanolicus)、P.モビリス(P.mobilis)、P.モンタニソリ(P.montanisoli)、P.モンタニテラエ(P.montaniterrae)、P.モトブエンシス(P.motobuensis)、P.ムシラギノサス(P.mucilaginosus)、P.ナネンシス(P.nanensis)、P.ナフタレノボランス(P.naphthalenovorans)、P.ナスチテルミチス(P.nasutitermitis)、P.ネブラスケンシス(P.nebraskensis)、P.ネマトフィルス(P.nematophilus)、P.ニコチアナエ(P.nicotianae)、P.ヌルキ(P.nuruki)、P.オセアニセディミニス(P.oceanisediminis)、P.オドリファー(P.odorifer)、P.オエノセラエ(P.oenotherae)、P.オラリス(P.oralis)、P.オリゼー(P.oryzae)、P.オリジソリ(P.oryzisoli)、P.オットウィー(P.ottowii)、P.オウロフィネンシス(P.ourofinensis)、P.パブリ(P.pabuli)、P.パエオニアエ(P.paeoniae)、P.パナチフミ(P.panacihumi)、P.パナチソリ(P.panacisoli)、P.パナチテラエ(P.panaciterrae)、P.パリディス(P.paridis)、P.パサデネンシス(P.pasadenensis)、P.ペクチニリティクス(P.pectinilyticus)、P.ペオリアエ(P.peoriae)、P.ペリアンドラエ(P.periandrae)、P.フォカエンシス(P.phocaensis)、P.フェニシス(P.phoenicis)、P.フィルロスファエラエ(P.phyllosphaerae)、P.フィスコミトレラエ(P.physcomitrellae)、P.ピニ(P.pini)、P.ピニフミ(P.pinihumi)、P.ピニソリ(P.pinisoli)、P.ピニストラメンティ(P.pinistramenti)、P.ポケオネンシス(P.pocheonensis)、P.ポリミクサ(P.polymyxa)、P.ポリサッカロリティクス(P.polysaccharolyticus)、P.ポピリアエ(P.popilliae)、P.ポプリ(P.populi)、P.プロフンダス(P.profundus)、P.プロソピディス(P.prosopidis)、P.プロタエチアエ(P.protaetiae)、P.プロベンセンシス(P.provencensis)、P.サイコロレジステンス(P.psychroresistens)、P.プエリ(P.pueri)、P.プエルニーセ(P.puernese)、P.プルデウンゲンシス(P.puldeungensis)、P.プリスパティ(P.purispatii)、P.チンシェンイー(P.qingshengii)、P.チンリンエンシス(P.qinlingensis)、P.クエルカス(P.quercus)、P.ラジシス(P.radicis)、P.レリクチセサミ(P.relictisesami)、P.レシジュイ(P.residui)、P.リゾプラナエ(P.rhizoplanae)、P.リゾリザエ(P.rhizoryzae)、P.リゾスファエラエ(P.rhizosphaerae)、P.リグイ(P.rigui)、P.リパエ(P.ripae)、P.ルビンファンティス(P.rubinfantis)、P.ルミノコラ(P.ruminocola)、
P.サビナエ(P.sabinae)、P.サチョネンシス(P.sacheonensis)、P.サリニカエニ(P.salinicaeni)、P.サングイニス(P.sanguinis)、P.セディミニス(P.sediminis)、P.セゲティス(P.segetis)、P.セレニー(P.selenii)、P.セレニティレデュセンス(P.selenitireducens)、P.セネガレンシス(P.senegalensis)、P.セネガリマシリエンシス(P.senegalimassiliensis)、P.セオドネンシス(P.seodonensis)、P.セプテントリオナリス(P.septentrionalis)、P.セプルクリ(P.sepulcri)、P.シェンヤンエンシス(P.shenyangensis)、P.シラカミエンシス(P.shirakamiensis)、P.シュンペンギイ(P.shunpengii)、P.シアメンシス(P.siamensis)、P.シラゲイ(P.silagei)、P.シルバエ(P.silvae)、P.シノポドフィリー(P.sinopodophylli)、P.ソラナセアルム(P.solanacearum)、P.ソラニ(P.solani)、P.ソリ(P.soli)、P.ソンチ群(P.sonchi group)、P.ソフォラエ(P.sophorae)、P.スピリタス(P.spiritus)、P.スプチ(P.sputi)、P.ステリファー(P.stellifer)、P.スーソンエンシス(P.susongensis)、P.スウェンシス(P.swuensis)、P.タイチュンゲンシス(P.taichungensis)、P.タイヒュエンシス(P.taihuensis)、P.タイワンエンシス(P.taiwanensis)、P.タオファシャネンセ(P.taohuashanense)、P.タリメンシス(P.tarimensis)、P.テルリス(P.telluris)、P.テピディフィラス(P.tepidiphilus)、P.テラエ(P.terrae)、P.テレウス(P.terreus)、P.テリゲナ(P.terrigena)、P.テズプレンシス(P.tezpurensis)、P.タイランデンシス(P.thailandensis)、P.サーモアエロフィルス(P.thermoaerophilus)、P.サーモフィルス(P.thermophilus)、P.チアミノリティカス(P.thiaminolyticus)、P.チアンムエンシス(P.tianmuensis)、P.チベテンシス(P.tibetensis)、P.チモネンシス(P.timonensis)、P.トランスルーセンス(P.translucens)、P.トリティシ(P.tritici)、P.トリティシソリ(P.triticisoli)、P.トゥアレギ(P.tuaregi)、P.トゥンバエ(P.tumbae)、P.ツンドラエ(P.tundrae)、P.ツリセンシス(P.turicensis)、P.チロピリ(P.tylopili)、P.チファエ(P.typhae)、P.チルフィス(P.tyrfis)、P.ウリギニス(P.uliginis)、P.ウリナリス(P.urinalis)、P.バリダス(P.validus)、P.ベラエイ(P.velaei)、P.ヴィニー(P.vini)、P.ボルテックス(P.vortex)、P.ボルチカリス(P.vorticalis)、P.ブルネリス(P.vulneris)、P.ウェンシーニアエ(P.wenxiniae)、P.ウイットソニアエ(P.whitsoniae)、P.ウーポネンシス(P.wooponensis)、P.ウーソンゲンシス(P.woosongensis)、P.ウルムチエンシス(P.wulumuqiensis)、P.ウィニイ(P.wynnii)、P.キサンタニリティカス(P.xanthanilyticus)、P.キサンチニリティカス(P.xanthinilyticus)、P.キセロサーモデュランス(P.xerothermodurans)、P.シンジャンゲンシス(P.xinjiangensis)、P.キシラネクセデンス(P.xylanexedens)、P.キシラニクラスティカス(P.xylaniclasticus)、P.キシラニリティカス(P.xylanilyticus)、P.キシラニソルベンス(P.xylanisolvens)、P.ヤンチェンゲンシス(P.yanchengensis)、P.ヨンギネンシス(P.yonginensis)、P.ユンナネンシス(P.yunnanensis)、P.ザントキシリ(P.zanthoxyli)、P.ジアエ(P.zeae)、好ましくは、P.アガレクセデンス(P.agarexedens)、P.アガリデボランス(P.agaridevorans)、P.アルギノリチカス(P.alginolyticus)、P.アルカリテラエ(P.alkaliterrae)、P.アルベイ(P.alvei)、P.アミロリティカス(P.amylolyticus)、P.アナエリカヌス(P.anaericanus)、P.アンタルクティカス(P.antarcticus)、P.アサメンシス(P.assamensis)、P.アゾレデュセンス(P.azoreducens)、P.バルキノネンシス(P.barcinonensis)、P.ボレアリス(P.borealis)、P.ブラシカエ(P.brassicae)、P.キャンピナセンシス(P.campinasensis)、P.チンジュエンシス(P.chinjuensis)、P.キチノリティカス(P.chitinolyticus)、P.コンドロイティヌス(P.chondroitinus)、P.シネリス(P.cineris)、P.カードラノリティカス(P.curdlanolyticus)、P.テジョネンシス(P.daejeonensis)、P.デンドリティフォルミス(P.dendritiformis)、P.エヒメンシス(P.ehimensis)、P.エルギイ(P.elgii)、P.ファビスポラス(P.favisporus)、P.グルカノリティカス(P.glucanolyticus)、P.グリカニリティカス(P.glycanilyticus)、P.グラミニス(P.graminis)、P.グラニボランス(P.granivorans)、P.ホドガイエンシス(P.hodogayensis)、P.イリノイセンシス(P.illinoisensis)、P.ジャミラエ(P.jamilae)、P.コベンシス(P.kobensis)、P.コレオボランス(P.koleovorans)、P.コーリエンシス(P.koreensis)、P.クリベンシス(P.kribbensis)、P.ラクティス(P.lactis)、P.ラルバエ(P.larvae)、P.ロータス(P.lautus)、P.レンティモルブス(P.lentimorbus)、P.マセランス(P.macerans)、P.マッカリエンシス(P.macquariensis)、P.マシリエンシス(P.massiliensis)、P.メンデリイ(P.mendelii)、P.モトブエンシス(P.motobuensis)、P.ナフタレノボランス(P.naphthalenovorans)、P.ネマトフィルス(P.nematophilus)、P.オドリファー(P.odorifer)、P.パブリ(P.pabuli)、P.ペオリアエ(P.peoriae)、P.フェニシス(P.phoenicis)、P.フィルロスファエラエ(P.phyllosphaerae)、P.ポリミクサ(P.polymyxa)、P.ポピリアエ(P.popilliae)、P.リゾスファエラエ(P.rhizosphaerae)、P.サングイニス(P.sanguinis)、P.ステリファー(P.stellifer)、P.タイチュンゲンシス(P.taichungensis)、P.テラエ(P.terrae)、P.チアミノリティカス(P.thiaminolyticus)、P.チモネンシス(P.timonensis)、P.チロピリ(P.tylopili)、P.ツリセンシス(P.turicensis)、P.バリダス(P.validus)、P.ボルテックス(P.vortex)、P.ブルネリス(P.vulneris)、P.ウィニイ(P.wynnii)、P.キシラニリティカス(P.xylanilyticus)、
特に好ましいのは、パエニバチルス・コーリエンシス(Paenibacillus koreensis)、パエニバチルス・リゾスファエラエ(Paenibacillus rhizosphaerae)、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)、パエニバチルス新種エピフィチカス(Paenibacillus nov.spec epiphyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、
より好ましいのは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)、パエニバチルス新種エピフィチカス(Paenibacillus nov.spec epiphyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、
更により好ましいのは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)及びパエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)。
【0100】
バチルス(Bacillus)種:B.アビッサリス(B.abyssalis)、B.アカンティ(B.acanthi)、B.アシディセラー(B.acidiceler)、B.アシディコーラ(B.acidicola)、B.アシディプロデュセンス(B.acidiproducens)、B.アシディトレランス(B.aciditolerans)、B.アシドプルリチカス(B.acidopullulyticus)、B.アシドボランス(B.acidovorans)、B.アエオリウス(B.aeolius)、B.エクオロリス(B.aequororis)、B.アエリス(B.aeris)、B.アエリウス(B.aerius)、B.アエロラクティカス(B.aerolacticus)、B.アエスツアリイ(B.aestuarii)、B.アイディンゲンシス(B.aidingensis)、B.アキバイ(B.akibai)、B.アルカリイヌリヌス(B.alcaliinulinus)、B.アルカロフィルス(B.alcalophilus)、B.アルギコーラ(B.algicola)、B.アルカリコーラ(B.alkalicola)、B.アルカリラクス(B.alkalilacus)、B.アルカリニトリリクス(B.alkalinitrilicus)、B.アルカリセディミニス(B.alkalisediminis)、B.アルカリテルリス(B.alkalitelluris)、B.アルカリトレランス(B.alkalitolerans)、B.アルカロガヤ(B.alkalogaya)、B.アルティテュディニス(B.altitudinis)、B.アルベアユエンシス(B.alveayuensis)、B.アミリエンシス(B.amiliensis)、B.アンドレエセニ(B.andreesenii)、B.アンドレラオウルティ(B.andreraoultii)、B.アポロエウス(B.aporrhoeus)、B.アクイマリス(B.aquimaris)、B.アルブチニボランス(B.arbutinivorans)、B.アリアブハッタイ(B.aryabhattai)、B.アサヒイ(B.asahii)、P.アウランティアクス(P.aurantiacus)、B.オーストラリマリス(B.australimaris)、B.アゾトフォルマンス(B.azotoformans)、B.バクテリウム(B.bacterium)、B.バディウス(B.badius)、B.ベキュリュンゲンシス(B.baekryungensis)、B.バタビエンシス(B.bataviensis)、B.ベンゾエボランス(B.benzoevorans)、B.ベリンゲンシス(B.beringensis)、B.ベルケレイ(B.berkeleyi)、B.ベベリッジイ(B.beveridgei)、B.ビンマヨンゲンシス(B.bingmayongensis)、B.ボゴリエンシス(B.bogoriensis)、B.ボルボリ(B.borbori)、B.ボロニフィルス(B.boroniphilus)、B.ブタノリボランス(B.butanolivorans)、B.カブリアレシイ(B.cabrialesii)、B.カカエ(B.caccae)、B.カメリアエ(B.camelliae)、B.カンピサリス(B.campisalis)、B.カナベラリウス(B.canaveralius)、B.カパリディス(B.capparidis)、B.カルボニフィルス(B.carboniphilus)、B.カサマンセンシス(B.casamancensis)、B.カゼイニリティクス(B.caseinilyticus)、B.カテヌラツス(B.catenulatus)、B.カベルナエ(B.cavernae)、B.セセムベンシス(B.cecembensis)、B.セルロシリティカス(B.cellulosilyticus)、B.チャガンノレンシス(B.chagannorensis)、B.チャンディーガルヘンシス(B.chandigarhensis)、B.チョナネンシス(B.cheonanensis)、B.チュンガゲンシス(B.chungangensis)、B.シセンシス(B.ciccensis)、B.シフエンシス(B.cihuensis)、B.サークランス(B.circulans)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.コアグランス(B.coagulans)、B.コアウィレンシス(B.coahuilensis)、B.コーニイ(B.cohnii)、B.コンポスティ(B.composti)、B.コニフェルム(B.coniferum)、B.コレアエンシス(B.coreaensis)、B.クラソストレアエ(B.crassostreae)、B.クレッセンス(B.crescens)、B.ククミス(B.cucumis)、B.ダカレンシス(B.dakarensis)、B.ダリエンシス(B.daliensis)、B.ダナンゲンシス(B.danangensis)、B.ダキンゲンシス(B.daqingensis)、B.デシシフロンディス(B.decisifrondis)、B.デコロラティオニス(B.decolorationis)、B.デプレサス(B.depressus)、B.デラミフィカンス(B.deramificans)、B.デザーティ(B.deserti)、B.ディエルモエンシス(B.dielmoensis)、B.ジベロレンシス(B.djibelorensis)、B.ドレンテンシス(B.drentensis)、B.エクトイニフォルマンス(B.ectoiniformans)、B.エイセニアエ(B.eiseniae)、B.エンクレンシス(B.enclensis)、B.エンドリチカス(B.endolithicus)、B.エンドフィティカス(B.endophyticus)、B.エンドラディシス(B.endoradicis)、B.エンドザントキシリカス(B.endozanthoxylicus)、B.ファラギニス(B.farraginis)、B.ファスティディオサス(B.fastidiosus)、B.フェンキウエンシス(B.fengqiuensis)、B.フェルメンティ(B.fermenti)、B.フェラリアラム(B.ferrariarum)、B.フィラメントスス(B.filamentosus)、B.フィルミス(B.firmis)、B.ファーマス(B.firmus)、B.フラボカルダリウス(B.flavocaldarius)、B.フレクス(B.flexus)、B.ホラミニス(B.foraminis)、B.フォルディ(B.fordii)、B.フォルモセンシス(B.formosensis)、B.フォルティス(B.fortis)、B.フリューデンレイッヒイ(B.freudenreichii)、B.フコシボランス(B.fucosivorans)、B.フマリオリ(B.fumarioli)、B.フニクルス(B.funiculus)、B.ガラクトシディリティカス(B.galactosidilyticus)、B.ガリシエンシス(B.galliciensis)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)、B.ジンセンギソリ(B.ginsenggisoli)、B.ジンセンイフミ(B.ginsengihumi)、B.ジンセンイソリ(B.ginsengisoli)、B.グレンニー(B.glennii)、B.グリシニフェルメンタンス(B.glycinifermentans)、B.ゴビエンシス(B.gobiensis)、B.ゴシッピー(B.gossypii)、B.ゴッテイリイ(B.gottheilii)、B.グラミニス(B.graminis)、B.グラナデンシス(B.granadensis)、B.ハッケンサッキイ(B.hackensackii)、B.ハイコウエンシス(B.haikouensis)、B.ハルマパルス(B.halmapalus)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.ハロサッカロボランス(B.halosaccharovorans)、B.ハイネシイ(B.haynesii)、B.ヘミセルロシリティカス(B.hemicellulosilyticus)、B.ヘミセントロティ(B.hemicentroti)、B.ハーバーステイネンシス(B.herbersteinensis)、B.ヒサシイ(B.hisashii)、B.ホリコシイ(B.horikoshii)、B.ホルネキアエ(B.horneckiae)、B.ホルティ(B.horti)、B.フイジョウエンシス(B.huizhouensis)、B.ヒュミ(B.humi)、B.フナンエンシス(B.hunanensis)、B.ヒュワジンポエンシス(B.hwajinpoensis)、B.イドリエンシス(B.idriensis)、B.インディカス(B.indicus)、B.インファンティス(B.infantis)、B.インフェルナス(B.infernus)、B.インターメディウス(B.intermedius)、B.インテスティナリス(B.intestinalis)、B.イオカサエ(B.iocasae)、B.イサベリアエ(B.isabeliae)、B.イスラエリ(B.israeli)、B.ジェダヘンシス(B.jeddahensis)、B.ジェトガリ(B.jeotgali)、B.ケクスエアエ(B.kexueae)、B.キスクンサゲンシス(B.kiskunsagensis)、B.コッチイ(B.kochii)、B.コケシフォルミス(B.kokeshiiformis)、B.コーリエンシス(B.koreensis)、B.コルレンシス(B.korlensis)、B.クリベンシス(B.kribbensis)、B.クルウィチアエ(B.krulwichiae)、B.クワシオルコリ(B.kwashiorkori)、B.キョンギエンシス(B.kyonggiensis)、B.ラシサルシー(B.lacisalsi)、B.ラクス(B.lacus)、B.レヘンシス(B.lehensis)、B.レンタス(B.lentus)、B.リグニニフィルス(B.ligniniphilus)、B.リンディアネンシス(B.lindianensis)、B.リトラリース(B.litoralis)、B.ロイセレウリアエ(B.loiseleuriae)、B.ロナレンシス(B.lonarensis)、B.ロンギクアエシトゥム(B.longiquaesitum)、
B.ロンギスポルス(B.longisporus)、B.ルシフェレンシス(B.luciferensis)、B.ルテオルス(B.luteolus)、B.ルテウス(B.luteus)、B.リコペルシシ(B.lycopersici)、B.マガテリウム(B.magaterium)、B.マリキイ(B.malikii)、B.マングロベンシス(B.mangrovensis)、B.マングロビ(B.mangrovi)、B.マンナニライティカス(B.mannanilyticus)、B.マヌセンシス(B.manusensis)、B.マラスミ(B.marasmi)、B.マルコレスチンクタム(B.marcorestinctum)、B.マリニセディメントーラム(B.marinisedimentorum)、B.マリスフラビ(B.marisflavi)、B.マリティムス(B.maritimus)、B.マルマレンシス(B.marmarensis)、B.マッシリグラシエイ(B.massiliglaciei)、B.マッシリオアノレクシウス(B.massilioanorexius)、B.マッシリオガボネンシス(B.massiliogabonensis)、B.マッシリオゴリラエ(B.massiliogorillae)、B.マッシリオニゲリエンシス(B.massilionigeriensis)、B.マッシリオセネガレンシス(B.massiliosenegalensis)、B.メディテラネエンシス(B.mediterraneensis)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.メソナエ(B.mesonae)、B.メソフィラム(B.mesophilum)、B.メソフィルス(B.mesophilus)、B.メタノリカス(B.methanolicus)、B.ミスカンティ(B.miscanthi)、B.ムラリス(B.muralis)、B.ムリマルティニ(B.murimartini)、B.ナカムライ(B.nakamurai)、B.ナンハイイセディミニス(B.nanhaiisediminis)、B.ナトロノフィルス(B.natronophilus)、B.ンディオピクス(B.ndiopicus)、B.ネアルソニイ(B.nealsonii)、B.ネマトシダ(B.nematocida)、B.ナイアベンシス(B.niabensis)、B.ナイアシニ(B.niacini)、B.ナイアメイエンシス(B.niameyensis)、B.ニトリトフィルス(B.nitritophilus)、B.ノトジンセンイソリ(B.notoginsengisoli)、B.ノバリス(B.novalis)、B.オブストラクティブス(B.obstructivus)、B.オセアニ(B.oceani)、B.オセアニセディミニス(B.oceanisediminis)、B.オーベンシス(B.ohbensis)、B.オケンシス(B.okhensis)、B.オクヒデンシス(B.okuhidensis)、B.オレイボランス(B.oleivorans)、B.オレロニウス(B.oleronius)、B.オリバエ(B.olivae)、B.オヌベンシス(B.onubensis)、B.オリゼー(B.oryzae)、B.オリゼーコルチシス(B.oryzaecorticis)、B.オリジソリ(B.oryzisoli)、B.オリジテラエ(B.oryziterrae)、B.オシメンシス(B.oshimensis)、B.パキスタネンシス(B.pakistanensis)、B.パナチソリ(B.panacisoli)、B.パナチテラエ(B.panaciterrae)、B.パラフレクサス(B.paraflexus)、B.パタゴニエンシス(B.patagoniensis)、B.ペルシクス(B.persicus)、B.ペルバガス(B.pervagus)、B.フォカエエンシス(B.phocaeensis)、B.ピチノチイ(B.pichinotyi)、B.ピスシコーラ(B.piscicola)、B.ピスシス(B.piscis)、B.プラコルチディス(B.plakortidis)、B.ポケオネンシス(B.pocheonensis)、B.ポリゴニ(B.polygoni)、B.ポリマチュス(B.polymachus)、B.ポプリ(B.populi)、B.プラエディー(B.praedii)、B.シュードアルカリフィルス(B.pseudalcaliphilus)、B.シュードファーマス(B.pseudofirmus)、B.シュードフレクス(B.pseudoflexus)、B.シュードメガテリウム(B.pseudomegaterium)、B.サイクロサッカロリティカス(B.psychrosaccharolyticus)、B.プミルス(B.pumilus)、B.プルガチオニレジステンス(B.purgationiresistens)、B.チンシェンイー(B.qingshengii)、B.ラセミラクティカス(B.racemilacticus)、B.リゾスファエラエ(B.rhizosphaerae)、B.リジリプロフンディ(B.rigiliprofundi)、B.ルビインファンティス(B.rubiinfantis)、B.ルリス(B.ruris)、B.サフェンシス(B.safensis)、B.サガニー(B.saganii)、B.サラセティス(B.salacetis)、B.サラリウス(B.salarius)、B.サリデュランス(B.salidurans)、B.サリス(B.salis)、B.サリトレランス(B.salitolerans)、B.サルマラヤ(B.salmalaya)、B.サルサス(B.salsus)、B.セディミニス(B.sediminis)、B.セレナタルセナティス(B.selenatarsenatis)、B.セネガレンシス(B.senegalensis)、B.セオヘアネンシス(B.seohaeanensis)、B.シャチェエンシス(B.shacheensis)、B.シャクレトニイ(B.shackletonii)、B.シャントゥンゲンシス(B.shandongensis)、B.シバジ(B.shivajii)、B.シミリス(B.similis)、B.シンプレックス(B.simplex)、B.シネサロウムエンシス(B.sinesaloumensis)、B.シラリス(B.siralis)、B.スミシイ(B.smithii)、B.ソラニ(B.solani)、B.ソリ(B.soli)、B.ソリマングロビ(B.solimangrovi)、B.ソリシルバエ(B.solisilvae)、B.ソングクレンシス(B.songklensis)、B.スポンギアエ(B.spongiae)、B.スポロサーモデュランス(B.sporothermodurans)、B.スタムシ(B.stamsii)、B.サブテラネウス(B.subterraneus)、B.スウェゼイ(B.swezeyi)、B.タエアネンシス(B.taeanensis)、B.タイワンエンシス(B.taiwanensis)、B.タマリシス(B.tamaricis)、B.タクシ(B.taxi)、B.テラエ(B.terrae)、B.テスティス(B.testis)、B.タオンヒエンシス(B.thaonhiensis)、B.サーモアルカロフィルス(B.thermoalkalophilus)、B.サーモアミロリケファシエンス(B.thermoamyloliquefaciens)、B.サーモアミロボランス(B.thermoamylovorans)、B.サーモコプリアエ(B.thermocopriae)、B.サーモラクティス(B.thermolactis)、B.サーモフィルス(B.thermophilus)、B.サーモプロテオリティカス(B.thermoproteolyticus)、B.サーモテレストリス(B.thermoterrestris)、B.サーモゼアマイゼ(B.thermozeamaize)、B.チオパランス(B.thioparans)、B.チアンムエンシス(B.tianmuensis)、B.ティエンシェンイー(B.tianshenii)、B.チモネンシス(B.timonensis)、B.チプキラリス(B.tipchiralis)、B.トリポキシリコーラ(B.trypoxylicola)、B.トゥアレギ(B.tuaregi)、B.ウルムチエンシス(B.urumqiensis)、B.ベトナメンシス(B.vietnamensis)、B.ヴィニー(B.vini)、B.ビレティ(B.vireti)、B.ビスコーサス(B.viscosus)、B.ビテリヌス(B.vitellinus)、B.ワコーエンシス(B.wakoensis)、B.ウェイハイエンシス(B.weihaiensis)、B.ウーターリエンチーエンシス(B.wudalianchiensis)、B.ウーイーシャンエンシス(B.wuyishanensis)、B.シアメンエンシス(B.xiamenensis)、B.シャオシエンシス(B.xiaoxiensis)、B.ザントキシリ(B.zanthoxyli)、B.ジアエ(B.zeae)、B.チャンチョウエンシス(B.zhangzhouensis)、B.チャンチヤンエンシス(B.zhanjiangensis)、
好ましくは、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.サブティリス(B.subtilis)、B.プミルス(B.pumilus)、B.ファーマス(B.firmus)、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)、B.ベレゼンシス(B.velezensis)、B.リネンス(B.linens)、B.アトロファエウス(B.atrophaeus)、B.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.アリアブハッタイ(B.aryabhattai)、B.セレウス(B.cereus)、B.アクアティリス(B.aquatilis)、B.サークランス(B.circulans)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.スファエリカス(B.sphaericus)、B.チアミノリティカス(B.thiaminolyticus)、B.モジャベンシス(B.mojavensis)、B.バリスモルティス(B.vallismortis)、B.コアグランス(B.coagulans)、B.ソノレンシス(B.sonorensis)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.ポケオネンシス(B.pocheonensis)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)、B.アシディセラー(B.acidiceler)、B.フレクス(B.flexus)、B.フナンエンシス(B.hunanensis)、B.シュードマイコイデス(B.pseudomycoides)、B.シンプレックス(B.simplex)、B.サフェンシス(B.safensis)、B.マイコイデス(B.mycoides)、
特に好ましいのは、B.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.リケニホルミス(B.licheniformis)、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)、B.ベレゼンシス(B.velezensis)、B.サブティリス(B.subtilis)及びB.メガテリウム(B.megatherium)、
更により好ましくは、B.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)、B.ベレゼンシス(B.velezensis)及びB.メガテリウム(B.megatherium)。
【0101】
クロストリジウム(Clostridium)種:C.オートエタノゲナム(C.autoethanogenum)、C.ベイジェリンキ(C.beijerinckii)、C.ブチリカム(C.butyricum)、C.カルボキシディボランス(C.carboxidivorans)、C.ディスポリカム(C.disporicum)、C.ドラケイ(C.drakei)、C.リュングダリイ(C.ljungdahlii)、C.クルイベリ(C.kluyveri)、C.パステリアヌム(C.pasteurianum)、C.プロピオニカム(C.propionicum)、C.サッカロブチリカム(C.saccharobutylicum)、C.サッカロパーブチルアセトニカム(C.saccharoperbutylacetonicum)、C.スカトロゲネス(C.scatologenes)、C.チロブチリカム(C.tyrobutyricum)、好ましくは、C.ブチリカム(C.butyricum)、C.パステリアヌム(C.pasteurianum)及び/又はC.チロブチリカム(C.tyrobutyricum)、C.アエロトレランス(C.aerotolerans)、C.アミノフィルム(C.aminophilum)、C.アミンバレリカム(C.aminvalericum)、C.セレレクレッセンス(C.celerecrescens)、C.アスパラグフォルメ(C.asparagforme)、C.ボルテアエ(C.bolteae)、C.クロストリディオフォルメ(C.clostridioforme)、C.グリチリジニリチカム(C.glycyrrhizinilyticum)、C.(フンガテラ)ハセワイ(C.(Hungatela)hathewayi)、C.ヒストリティカム(C.histolyticum)、C.インドーリス(C.indolis)、C.レプツム(C.leptum)、C.(ティゼレラ)ネキシレ(C.(Tyzzerella)nexile)、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)、C.(エリシペラトクロストリジウム)ラモーサム(C.(Erysipelatoclostridium)ramosum)、C.シンデンス(C.scindens)、C.シンビオサム(C.symbiosum)、クロストリジウム・サッカログミア(Clostridium saccharogumia)、クロストリジウム・ソルデリイ(Clostridium sordelli)、クロストリジウム・クロストリディオフォルメ(Clostridium clostridioforme)、C.メチルペントサム(C.methylpentosum)、C.イスランジクム(C.islandicum)並びにクロストリジウム(Clostridia)クラスターIV、XIVa及びXVIIIの全てのメンバー、特に好ましいのは、C.ブチリカム(C.butyricum)。
【0102】
いくつかの好適なバチルス(Bacillus)株及びパエニバチルス(Paenibacillus)株は、以下の国際特許出願に記載され寄託されている。かかる微生物の胞子又はそれらの任意の殺有害生物活性を有するバリアントは、本発明による組成物の胞子として組み込まれ得る:国際公開第2020200959号パンフレット:NRRLアクセッション番号B-21661で寄託されたバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)又はバチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)QST713又はその殺真菌性変異体。バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)QST713、その変異体、その上清及びそのリポペプチド代謝産物並びに植物病原体及び昆虫を防除するためのそれらの使用方法は、米国特許第6060051号明細書、同第6103228号明細書、同第6291426号明細書、同第6417163号明細書及び同第6638910号明細書に十分に記載されている。これらの特許において、株はQST713と同義のAQ713と称される;国際公開第2020102592号パンフレット:バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)株NRRL B-67685、NRRL B-67687及びNRRL B-67688;国際公開第2019135972号パンフレット:寄託アクセッション番号NRRL B-67533又はNRRL B-67534を有するバチルス・メガテリウム(Bacillus megatherium);国際公開第2019035881号パンフレット:パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-50972、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67129、アクセッション番号NRRL B-50421で寄託されたバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)株QST30002及びバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)株NRRL B-50455;国際公開第2018081543号パンフレット:ATCCアクセッション番号PT A-123720又はPT A-124246で寄託されたバチルス・サイクロサッカロリティカス(Bacillus psychrosaccharolyticus)株;国際公開第2017151742号パンフレット:アクセッション番号NRRL B-21661を割り当てられたバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis);国際公開第2016106063号パンフレット:バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)NRLL B-30087;国際公開第2013152353号パンフレット:CNMC 1-1582として寄託されたバチルス属種(Bacillus sp.);国際公開第2013016361号パンフレット:NRRL B-50760として寄託されたバチルス属種(Bacillus sp.)株SGI-015-F03、NRRL B-50761として寄託されたバチルス属種(Bacillus sp.)株SGI-015-H06;国際公開第2020181053号パンフレット:パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67721、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67723、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67724、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-50374。
【0103】
最も好ましくは、微生物は、分類学上のパエニバチルス(Paenibacillus)属の微生物であり、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)種、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)種、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)種及びパエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)種のいずれかから選択される。微生物がパエニバチルス(Paenibacillus)微生物である場合、好ましくは微生物は、本発明に従って記載されるA257V Spo0A変異と、Q218* DegU変異及び/又はL99F DegS変異との両方をともに含まない。更により好ましくは、微生物は、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)株NRRL B-67304、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)株NRRL B-67306又はパエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67615ではない。株NRRL B-67306及びNRRL B-67615は、国際公開第2019221988号パンフレットに記載されている。しかしながら、上述したように、この公報では、本発明に記載されているような菌体外多糖生成の増加若しくは安定化、及び/又は菌体外多糖分解の低減が認められていない。これら3つの株は全てパエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)株NRRL B-67129に由来し、この株は、国際公開第2016154297号パンフレットの実施例22、25及び図16によると、spo0A遺伝子にA257V変異及び更なる変異を含む。更に好ましくは、微生物は、2015年9月1日にNRRLに寄託されたパエニバチルス(Paenibacillus)株NRRL B-67129に由来しない。したがって、本発明のパエニバチルス(Paenibacillus)微生物のゲノム(このためあらゆる染色体外核酸、例えばプラスミドは除外される)を、(a)パエニバチルス(Paenibacillus)株NRRL B-67129のゲノム及び(b)当該パエニバチルス(Paenibacillus)微生物の種の基準株のゲノムに対してアラインメントする場合、当該パエニバチルス(Paenibacillus)微生物の配列同一性は、好ましくは、それぞれの種の基準株に対するものの方が、パエニバチルス(Paenibacillus)株NRRL B-67129に対するものよりも高い。本発明によれば、以下の基準株が好ましい。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
当該微生物について種を確実に決定することができない場合、当該微生物のゲノムが、パエニバチルス(Paenibacillus)株NRRL B-67129のゲノムに対してよりも、前述の好ましい基準株のいずれかのゲノムに対してより大きな配列同一性を有していれば十分である。
【0110】
本発明はまた、微生物の菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させる方法、又は微生物の菌体外多糖分解を低減若しくは防止する方法であって、
a)本発明による本明細書に記載の変異型DegUタンパク質、
b)本発明による本明細書に記載の変異型DegSタンパク質、
c)本発明による本明細書に記載の変異型Spo0Aタンパク質のうちの1つ以上を微生物に提供する工程を含む方法を提供する。
【0111】
本明細書に記載されるように、かかる変異型タンパク質を提供することにより、本発明によって付与される利点、特に後期発酵段階における菌体外多糖分解の低減及び/又は最大発酵ブロス粘度の安定化を達成することが可能になる。したがって、微生物が更に目的物質、例えば1種以上のフサリシジンを生成する場合、本発明は、有利なことに、一方の最高粘度/菌体外多糖含有量と目的物質の最高濃度との両方が達成された場合に発酵ブロスを回収することを可能にし、それにより、目的物質の最大濃度又は最大菌体外多糖含有量のいずれかの間で決定する必要をなくす。
【0112】
同様に、本発明はまた、微生物の菌体外多糖を生成するための方法であって、
i)本発明の微生物を発酵させて、1種以上の菌体外多糖、好ましくは1種以上の標的発酵生成物を含有する発酵ブロスを生成する工程、及び
ii)前記発酵ブロスから、1種以上の菌体外多糖を、また好ましくは1種以上の標的発酵生成物も濃縮する工程、を含む方法を提供する。
【0113】
本明細書に記載されるように、該当する場合、degU、degS及び/又はspo0A遺伝子のアレルを含む本発明の微生物の特定の利点は、これらの微生物が菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させること、並びに/又は菌体外多糖分解を低減させることが可能であることである。したがって、本発明は、有利には、高含有量の菌体外多糖と高含有量の標的発酵生成物の両方が回収可能な時点で発酵を回収することを可能にする。本発明の教示を使用すると、菌体外多糖分解微生物を使用した場合に起こるであろう菌体外多糖収量の損失を被ることなく、十分な標的発酵生成物収量に達するまで回収時間を延長することができる。
【0114】
発酵中の菌体外多糖生成を増加させるための技術及び/又は菌体外多糖を濃縮するための技術は、当業者に公知である。それらは例えば、Liang et al.,Recent Advances in Exopolysaccharides from Paenibacillus spp.:Production,Isolation,Structure,and Bioactivities, Mar.Drugs 2015,13,1847-1863,doi:10.3390/md13041847;Sun et al.,Extraction of extracellular polymeric substances in activated sludge using sequential extraction,J Chem Technol Biotechnol 2015;90:1448-1454,DOI 10.1002/jctb.4449;Chen Xu,Optimised Procedures for Extraction,Purification and Characterization of Exopolymeric Substances(EPS)from Two Bacteria With Relevance to the Study of Actinide Binding in Aquatic environments;Ms.Science Thesis,December 2007,Texas A&M Universityのいずれかに記載されている。濃縮には、典型的には、発酵ブロス上清の沈殿又は陽イオン交換樹脂抽出を行って、未精製の菌体外多糖画分を得ることが含まれる。未精製の菌体外多糖画分は、例えばクロマトグラフィーによって、更に精製することができる。
【0115】
本発明はまた、
a)本発明による本明細書に記載の変異型DegUタンパク質、
b)本発明による本明細書に記載の変異型DegSタンパク質、
c)本発明による本明細書に記載の変異型Spo0Aタンパク質のうちの1つ以上を発現させるための発現カセットを含む発現ベクターを提供する。
【0116】
かかる発現ベクターにより、それぞれの野生型遺伝子に加えて、又はそれらの置き換えとしてのいずれかで、それぞれの変異型遺伝子を野生型生物に導入することが可能になる。したがって、本発明の発現ベクターにより、野生型微生物を本発明の微生物へと特に容易に転換することできる。
【0117】
上記のように、本発明による微生物は、好ましくは農学的関連性を有する。同様に、本発明が植物の健康を改善する方法を提供することは特に有利であり、本方法は、本発明の微生物を、
a)植物材料及び/又は
b)植物栽培基材に適用することを含む。
【0118】
本発明の微生物の菌体外多糖生成の増加及び/若しくは安定化並びに/又は菌体外多糖分解の低減により、有利には、微生物が当初適用された場所でのその滞留時間を増加させることが可能になる。本発明によるプロバイオティック微生物は、菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させること並びに/又は菌体外多糖分解を低減させることができる。したがって、微生物は、対応する野生型微生物と比較して、より大きな菌体外多糖のコートに埋め込まれる傾向がある。次に、菌体外多糖は、本発明の微生物の移動を防止し、且つ例えば、降雨による洗い流し又は風による吹き飛ばしから微生物を保護する。
【0119】
好ましくは、本発明の微生物は、発酵中又は植物材料若しくは植物栽培物質への適用後に、植物に有益な化合物を生成する。したがって、本発明の微生物は、好ましくは植物プロバイオティック微生物である。
【0120】
本発明の植物健康促進組成物は、好ましくはドレッシング、噴霧、コーティング、フィルムコーティング、ペレット化、散布又は浸漬のいずれかの工程によって植物材料、好ましくは植物繁殖材料に適用される。
【0121】
本発明の植物プロバイオティック微生物は、好ましくは植物の表面、好ましくは植物の葉に適用される。菌体外多糖生成の改善及び/又は菌体外多糖分解の低減によって、本発明のプロバイオティック微生物は適用部位における不動性の増加を示すことになる。これは、植物の表面、最も好ましくは葉の表面に抗病原性コーティングを提供するのに特に有利である。最も好ましくは、本発明のプロバイオティック微生物は、植物の表面に定着し、それにより植物に対するその有益な効果、好ましくは抗病原性効果を更に拡大する。これに関連して、本発明のパエニバチルス(Paenibacillus)属の微生物は、それらが真菌感染に対して植物に与える保護を考慮すると特に好ましい。
【0122】
本発明のプロバイオティック微生物の植物表面への適用に加えて又はその代替として、本発明のプロバイオティック微生物は、好ましくは植物栽培基材、最も好ましくは土壌に適用される。また、本発明の微生物の菌体外多糖生成の改善及び/又は菌体外多糖分解の低減に起因して、前記微生物は、それぞれの野生型微生物と比較して適用部位により長時間保持される。したがって、最も好ましくは、本発明のプロバイオティック微生物は、適用部位で植物栽培基材に定着し、それにより植物生長基材の品質を改善し、且つそれを植物生長の改善により適するようにする。
【0123】
したがって、本発明は、土壌肥沃度の改善及び/又は収量一貫性の改善を可能にし、それにより、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015118516号パンフレット、国際公開第2016044768号パンフレット及び国際公開第2020163251号パンフレットの各々の教示を更に前進させる。
【0124】
好ましくは、植物に有益な化合物は、本明細書に記載される標的発酵生成物である。かかる化合物及びそれらの混合物は、抗菌特性、好ましくは抗真菌特性を有する。したがって、本発明の微生物は、本明細書に記載される植物栽培基材及び/又は植物材料に適用される場合、植物の健康及び/又は収量及び/又は収量一貫性を有利に改善する。
【0125】
特に、本発明の微生物は、植物病原体微生物、好ましくは真菌による植物材料、好ましくは植物全体の感染を防止し、遅延させ、且つ/又は低減させるために好ましく使用される。好ましくは、本発明の微生物は、以下のいずれかから選択される微生物による植物材料、好ましくは植物全体の感染を防止し、遅延させ、且つ/又は低減させるために使用される:
- ガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)綱、より好ましくはキサントモナス(Xanthomonadales)目、より好ましくはキサントモナス(Xanthomonadaceae)科のもの、より好ましくはキサントモナス(Xanthomonas)属のもの;
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはヒポクレア(Hypocreales)目のもの、より好ましくはベニアワツブタケ(Nectriaceae)科のもの、より好ましくはフサリウム(Fusarium)属のもの;
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはグロメレラ(Glomerellales)目のもの、より好ましくはグロメレラ(Glomerellaceae)科のもの、より好ましくはコレトトリカム(Colletotrichum)属のもの;
- レオチノマイセテス(Leotinomycetes)綱、より好ましくはビョウタケ(Helotiales)目のもの、より好ましくは菌核病菌(Sclerotiniaceae)科のもの、より好ましくはボトリチス(Botrytis)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporaceae)科のもの、より好ましくはアルテルナリア(Alternaria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriales)目のもの、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはマクロフォミナ(Macrophomina)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはカプノディウム(Capnodiales)目のもの、より好ましくはコタマカビ(Mycosphaerellaceae)科のもの、より好ましくはジモセプトリア(Zymoseptoria)属のもの;
- ハラタケ(Agraricomycetes)綱、より好ましくはアンズタケ(Cantharellales)目のもの、より好ましくはツノタンシキン(Ceratobasidiaceae)科のもの、より好ましくはリゾクトニア(Rhizoctonia)属又はタナテフォルス(Thanatephorus)属のもの;
- サビキン(Pucciniomycetes)綱、より好ましくはサビキン(Pucciniales)目のもの、より好ましくはサビキン(Pucciniaceae)科のもの、より好ましくはウロマイセス(Uromyces)属又はサビキン(Puccinia)属のもの;
- クロボキン(Ustilaginomycetes)綱、より好ましくはクロボキン(Ustilaginales)目のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilaginaceae)科のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilago)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはフハイカビ(Pythiales)目のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythiaceae)科のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythium)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはツユカビ(Peronosporales)目のもの、より好ましくはツユカビ(Peronosporaceae)科のもの、より好ましくは疫病菌(Phytophthora)属、プラスモパラ(Plasmopara)属又はシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属のもの;
- ユーロチウム(Eurotiomycetes)綱、より好ましくはユーロチウム(Eurotiales)目又はホネタケ(Onygenales)目のもの、より好ましくはアスペルギルス(Aspergillaceae)科のもの、より好ましくはアスペルギルス(Aspergillus)属、ペニシリウム(Penicillium)属又はシュードペニシリウム(Pseudopenicillium)属のもの;
更により好ましくはアルテルナリア(Alternaria)属、ボトリチス属(Botrytis)属、フサリウム(Fusarium)属、菌核病菌(Sclerotinia)属又はトリコデルマ属(Trichoderma)属。
【0126】
本発明の微生物は、活性細胞(即ち、代謝が活発であり分裂可能である非胞子形成細胞)の形態で植物材料及び/又は植物栽培物質に適用することができる。本明細書に記載されるとおり、微生物は植物材料及び/又は栽培基材に定着して、その有益な特性を発揮することができる。しかしながら、好ましくは微生物は、任意選択的に微生物の活性細胞とともに、前記微生物の胞子の形態で適用される。胞子により、微生物は活性細胞の増殖及び生存に不適な条件に耐えることができる。特に、発酵槽の回収、下流処理、保管及び高圧噴霧は、植物健康製品の製造に一般に使用される工程であるが、これらの各工程は、生存している活性細胞の含有量の顕著な低減を引き起こし得る。一方、胞子はこれらの条件で容易に生き延びることができるため、植物健康製品の製造に特に好適である。
【0127】
これに応じて、本発明は、本発明の1種以上の微生物の微生物培養物(好ましくは胞子及び/又は活性細胞を含む)を含む植物健康製品を提供する。微生物は、異なる種の微生物及び/又はある種の微生物の異なる株からなる混合培養物の形態で植物健康製品に含まれ得る。或いは、微生物培養物は、好ましくは、1つの種の1種の微生物からなる純粋培養物であり、更により好ましくは、1つの種の本発明の微生物の1種の株からなる。
【0128】
微生物培養物の少なくとも1種の微生物が胞子を生成する場合、好ましくはかかる胞子が回収される。遠視分離、濾過及び装置による濾過のような回収技術は、当業者に公知である。高含有量の抗真菌物質、特にフサリシジンを有する高力価の胞子を、都合よく短時間に低労力で生成することができ、それらが高い抗真菌活性を有することは、本発明の発酵方法の特定の利点である。
【0129】
本発明の発酵方法の最後に無細胞懸濁液を回収することも好ましい。また、当業者には未知である無細胞懸濁液を得るための技術は、胞子を回収するための方法と有利に組み合わせることができる。
【0130】
本発明はまた、本発明による方法によって得ることができる又は得られる植物健康促進組成物を提供する。本明細書に記載されるとおり、かかる組成物は驚くほど効果的であり、且つそれらは、生成するのが容易であり、迅速に生成され、対費用効果の高いものである。
【0131】
植物健康組成物は、任意選択的に、安定化剤(好ましくは国際公開第2019222253A号パンフレットに開示されているもの)及び好ましくは上述の1種以上の標的発酵生成物を更に含む。
【0132】
更に、本発明の植物健康組成物は、好ましくは、
a)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
b)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
c)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
d)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性、フェロモン活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
e)呼吸阻害剤、ステロール生合成阻害剤、核酸合成阻害剤、細胞分裂及び細胞骨格の形成又は機能の阻害剤、アミノ酸及びタンパク質合成の阻害剤、シグナル伝達阻害剤、脂質及び膜合成阻害剤、多部位作用性阻害剤、細胞壁合成阻害剤、植物防御誘導剤並びに作用機序が不明である殺真菌剤から選択される1種以上の殺真菌剤を更に含む。
【0133】
更なる成分a)~d)は、それぞれの物質を列挙する目的のために本明細書に組み込まれる国際公開第2017137353号パンフレットに記載されている。更なる成分e)は、それぞれの殺真菌剤を列挙する目的のために同様に本明細書に組み込まれる国際公開第2017137351号パンフレットに記載されている。
【0134】
本発明はまた、本発明による微生物を増殖させ、任意選択的に菌体外多糖から微生物を分離することを含む、菌体外多糖の生成方法も提供する。本発明の微生物を増殖させる好適な方法、即ち発酵方法は、一般に当業者に公知である。本発明によって、対応する発酵プロセスを根本的に変更せずに菌体外多糖の収量の改善を達成することができることは、特に有利である。
【0135】
本発明の利点の拡張として、
- 菌体外多糖組成物の生成、
- 植物、植物の葉、植物の根及び/又は植物の種子の処理、
- 好ましくは土壌肥沃度を高めるための、土壌の接種、
- 収量一貫性の改善、
- 地下層の処理、
- 廃水の処理、
- 医薬担体又は化粧品担体の調製、
- 医薬組成物又は化粧用組成物の調製、
- 皮膚水和組成物の調製、
- 凝集剤の調製、
- 食品又は飼料添加物の調製、
- 抗腫瘍剤の調製、
- 抗酸化剤の調製
のいずれかのための本発明による微生物又は変異型DegUタンパク質若しくは遺伝子及び/又は変異型DegSタンパク質若しくは遺伝子及び/又は変異型Spo0Aタンパク質若しくは遺伝子の使用が更に提供される。
【0136】
地下層の処理に菌体外多糖及び/又は微生物を使用する特に好適な方法は、国際公開第2014176061号パンフレットに記載されている。廃水の処理に菌体外多糖及び/又は微生物を使用する特に好適な方法は、国際公開第2014160350号パンフレットに記載されており、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
本発明はまた、上で定義された分類階級のいずれかから選択される微生物の菌体外多糖生成を増加若しくは安定化させるか又は菌体外多糖分解を防止するための、
a)本発明による変異型DegUタンパク質、
b)本発明による変異型DegSタンパク質、
c)本発明による変異型Spo0Aタンパク質
のうちの1つ以上の使用を提供する。
【0138】
本発明の選択された態様を、以下の非限定的な実施例によって以下に更に説明する。
【実施例
【0139】
実施例1:変異型の作製
株及び栽培条件
P.ポリミクサ(P.polymyxa)におけるCRISPR Cas9による点変異の標的組み込みに使用した株の一覧を表1に示す。野生型株P.ポリミクサ(P.polymyxa)DSM365における標的点変異を、Ruetering et.al(Ruetering et al.,Tailor-made exopolysaccharides-CRISPR-Cas9 mediated genome editing in Paenibacillus polymyxa.Synth Biol(Oxf).2017 Dec 21;2(1):ysx007.doi:10.1093/synbio/ysx007)に記載されているCRISPR Cas9手順に従って組み込んだ。DSM 365を、German Collection of Microorganisms and Cell Culture(DSMZ),Braunschweig,Germanyから得た。プラスミドのクローニング及び増殖を、大腸菌(E.Coli)DH5α又はNEB(New England Biolabs,USA)のTurboのいずれかで実施した。P.ポリミクサ(P.polymyxa)の形質転換を、大腸菌(E.Coli)S17-1(DSMZ)の媒介による接合により実施した。株をLB培地(10g/Lトリプトンペプトン、5g/L酵母抽出物、5g/L NaCl)中で増殖させた。平板培地には1.5%寒天を使用した。必要に応じて、陽性形質転換体の対抗選択及び接合手順後の大腸菌(E.Coli)の除去のために、培地に50μg/mlネオマイシン及び/又は20μg/mLポリミキシンを補充した。別途記述されない限り、P.ポリミクサ(P.polymyxa)は30℃、250rpmで増殖させ、一方大腸菌(E.Coli)は37℃、250rpmで増殖させた。株を24%グリセロールを含む凍結培養物として保管し、長期保管用に-80Cで保管した。
【0140】
【表7】
【0141】
接合
Ruetering et al.2017(Ruetering M,Cress BF,Schilling M,Ruehmann B,Koffas MAG,Sieber V,Schmid J.Tailor-made exopolysaccharides-CRISPR-Cas9 mediated genome editing in Paenibacillus polymyxa.Synth Biol(Oxf).2017 Dec 21;2(1):ysx007.doi:10.1093/synbio/ysx007.PMID:32995508;PMCID:PMC7445874)に記載されているCRISPR Cas9手順に従って、P.ポリミクサ(P.polymyxa)(レシピエント株)と目的のプラスミドを保有する大腸菌(E.Coli)S17-1(ドナー株)との間で接合を実施した。誤りのない接合体の確認を、コロニーPCR及びDNA断片の配列決定により実施した。プラスミドのキュアリングを、LB液体培地中にて37℃で陽性変異型を1:100で継代培養することにより実施した。
【0142】
プラスミドの構築
CRISPR-Cas9媒介系により標的点変異を実現した。選択したgRNA配列は、degU、degS又はspo0A遺伝子内の標的位置に最も近い位置に基づいて選択した。等温ギブソンアセンブリによりプラスミドをアセンブリした。相同隣接部のPCRに使用したプライマーから、所望の点変異を導入した。degS及びspo0Aについては、系の効率を改善するためにいくつかのサイレント変異もプライマーに導入した。相同隣接部は、標的ヌクレオチドの約1kbp上流及び下流のP.ポリミクサ(P.polymyxa)ゲノムDNAのPCRによって得た。大腸菌(E.Coli)DH5α又はTurboにギブソンアセンブリ混合物を形質転換し、50μg/mlネオマイシンを含有するLBプレート上にプレーティングした。陽性コロニーのスクリーニングをコロニーPCRによって行った。プラスミドをミニプレップにより単離し、更なる確認のために配列決定により検証した。誤りのないプラスミドを使用して、後にP.ポリミクサ(P.polymyxa)への形質転換を媒介することになる大腸菌(E.Coli)S17-1を形質転換した。
【0143】
pCasPPベクター系と、標的点変異領域に隣接するゲノム配列周囲の1000bpをそれぞれ保有するホモログ隣接部とを使用して、以下の変異を作製した(表2):
【0144】
【表8】
【0145】
実施例2:発酵条件
Ruetering et.al 2017を適合した12lの菌体外多糖生成培地を充填した21lバイオリアクタ(Techfors,Infors)で、変異型の特性評価を実行した。発酵培地の組成を表3に列挙する。
【0146】
【表9】
【0147】
発酵を30℃で40時間行い、pHを6.8に設定し、H3PO4(25%)及びNaOH(1M)で調整した。前培養として、全ての変異型を、100mlの改変TSB培地(Becton Dickenson Art.番号211825の30g/L TSB、3g/L酵母抽出物、20.9g/L MOPS緩衝液、10g/Lグルコース)を含有するバッフル付き1L振盪フラスコ中、33℃、150rpm/2.5cmスロー(throw)で24時間増殖させた。
【0148】
バイオリアクタでは、撹拌器-ガスフローカスケード中で標的溶存酸素レベルを30%以上に設定した。生成される菌体外多糖のせん断を防止するために、2つのプロペラと1つのRushtonからなる撹拌器機構を使用する間、撹拌を300~600rpmに制限し、Rushtonは撹拌シャフト付近に配置した。酸素供給を維持するために、エアレーションを0.5barの圧力にて5~30l/分で実施した。Struktol J673(Schill+Seilacher“Struktol”GmbH,Germany)を消泡剤として使用した。培養試料をレオロジー粘度分析及び更なるオフライン分析のために4時間毎に採取した。
【0149】
実施例3:培養ブロス粘度のレオロジー分析
二重スリッド形状(double slid geometry)のAnton Paar MCR302レオメーターを使用して、ブロス粘度のレオロジー分析を発酵中4時間毎に行った(計量カップ:C-DG26.7/SS/空気、温度:30℃、試料体積:全培養ブロスのうちの5ml)。試料を、10s-1の一定のせん断速度で100秒間の予備せん断実験で予備調整した。10秒毎に10個のデータポイントを記録した。予備調整後、粘度をせん断速度の関数として測定した。したがって、せん断速度を1s-1から100s-1まで対数的に増加させ、その間、合計25個のデータポイントを記録した。発酵時間の経過にわたって測定した培養ブロス粘度を図1に示す。
【0150】
実施例4:炭素移動速度の決定
炭素移動速度(CTR、mmol/l*h-1)を、Anderlei et al.(Anderlei,Tibor & Zang,Werner & Papaspyrou,Manfred & Buechs,Jochen.(2004).Online respiration activity measurement(OTR,CTR,RQ)in shake flasks.Biochemical Engineering Journal.17.187-194.10.1016/S1369-703X(03)00181-5)のプロトコルに従って、質量分析計を使用して、実施例2の21L発酵槽のヘッドスペース内で5分毎に評価した。炭素移動速度を株の代謝活性のオンライン指標として使用した。パエニバチルス(Paenibacillus)DSM365の炭素移動速度及び粘度のプロファイルを図2に例示的に示す。最大CTRの後に発酵ブロスの最大粘度に達する。この挙動は、図1で考察したdegU、degS及びspo0A変異株にも見出される(データは示さず)。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
【配列表】
2024535770000001.xml
【国際調査報告】