(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】エネルギー分散型X線分光法ラインスキャン分析からの元素マップ情報を使用したプロセスモデルの作成
(51)【国際特許分類】
H01L 21/00 20060101AFI20240925BHJP
G01N 23/2252 20180101ALI20240925BHJP
G01N 23/04 20180101ALN20240925BHJP
【FI】
H01L21/00
G01N23/2252
G01N23/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515349
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022042941
(87)【国際公開番号】W WO2023039092
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン スンダララマン
(72)【発明者】
【氏名】セトゥラマン アナンサ アール
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA05
2G001CA01
2G001FA02
2G001FA06
2G001FA29
2G001FA30
2G001GA06
2G001HA01
2G001HA03
2G001HA13
2G001KA01
2G001KA05
2G001KA11
2G001LA11
2G001MA05
2G001QA01
2G001RA02
2G001RA04
(57)【要約】
開示する実施は、モデルを使用して、基板処理装置内で技術プロセスの1つまたは複数の段階によって引き起こされるサンプルの物理状態の変化を予測し、技術プロセスの1つまたは複数の段階の実際の実行に関連付けられた撮像データを取得する方法を記載する。撮像データは、サンプルの複数の領域に対する1つまたは複数の化学元素の分布を含む。この方法は、撮像データに基づいて、サンプルの物理状態の予測変化と、技術プロセスの1つまたは複数の段階の実際の実行によって引き起こされるサンプルの物理状態の実際の変化との間の差分を識別することをさらに含む。この方法は、識別された差分に基づいて、モデルのパラメータを判定することをさらに含む。
【選択図】
図3D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モデルを使用して、基板処理装置内で技術プロセスの1つまたは複数の段階によって引き起こされるサンプルの物理状態の変化を予測することと、
前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階の実際の実行に関連付けられた撮像データを取得することであって、前記撮像データが、前記サンプルの複数の領域に対する1つまたは複数の化学元素の分布を含む、取得することと、
前記撮像データに基づいて、前記サンプルの前記物理状態の前記予測された変化と、前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階の前記実際の実行によって引き起こされた前記サンプルの前記物理状態の実際の変化との間の差分を識別することと、
前記識別された差分に基づいて、前記モデルのパラメータを判定することと
を含む方法。
【請求項2】
前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階が、堆積段階、エッチング段階、材料除去段階、または酸化段階のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルの前記物理状態の前記変化を予測するために、前記モデルが、前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階によって引き起こされる前記サンプルの寸法の1つまたは複数の変化を予測するためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記撮像データが、前記サンプルの前記複数の領域に対するエネルギー分散型X線分光法(EDS)データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記撮像データが、透過型電子顕微鏡法(TEM)データまたは走査型電子顕微鏡法(SEM)データのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の化学元素の前記分布が、前記サンプルの前記複数の領域のサブセット内の前記1つまたは複数の化学元素の密度を特徴付け、前記サブセットが、前記サンプルの表面に直交するように向けられた1つまたは複数の領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の化学元素の前記分布が、前記サンプルの前記複数の領域のサブセット内の前記1つまたは複数の化学元素の密度を特徴付け、前記サブセットが、前記サンプルの表面に平行になるように向けられた1つまたは複数の領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の化学元素が、堆積プロセス中に前記サンプル上に堆積させられた第1の材料、またはエッチングプロセス中に前記サンプルに加えられた第2の材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルの前記物理状態の前記予測された変化と、前記サンプルの前記物理状態の前記実際の変化との間の前記差分を識別することが、
前記モデルを使用して、前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階のうちの堆積段階中に第1の材料に対する第1の堆積速度を予測することと、
前記堆積段階の前記実際の実行中の前記サンプルの厚さの変化を判定することとを含み、
前記モデルの前記パラメータを判定することが、
前記予測された堆積速度および前記サンプルの前記厚さの前記判定された変化を考慮して、前記モデルの前記パラメータを調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記モデルを適用して、後続のサンプル上に堆積させられた前記第1の材料に対する第2の堆積速度を予測することをさらに含み、前記後続のサンプルが、前記サンプルの前記厚さとは異なる厚さを有する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記モデルを適用して、後続のサンプル上に堆積させられた第2の材料に対する第2の堆積速度を予測することをさらに含み、前記第2の材料が前記第1の材料とは異なる、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルの前記物理状態の前記予測された変化と前記サンプルの前記物理状態の前記実際の変化との間の前記差分を識別することが、
前記撮像データに基づいて、i)第1の材料の表面、またはii)前記第1の材料と第2の材料との間のインターフェースのうちの少なくとも1つの場所を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1組の履歴撮像データおよび前記撮像データを機械学習モデルへの入力として使用することと、
前記機械学習モデルの1つまたは複数の出力を取得することであって、前記1つまたは複数の出力が、前記撮像データの信頼性分類を示す、取得することと、
前記信頼性分類が予想外であると判定することと、
前記モデルの前記パラメータを調整することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記モデルの前記判定したパラメータを使用して、前記基板処理装置内の後続の技術プロセスに対する予測を取得することと、
機械学習モデルを使用して、前記取得した予測を処理することと、
前記取得した予測が現実的であることを示す前記機械学習モデルの出力に基づいて、前記モデルの前記判定したパラメータを認証することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、処理デバイスによって実行されたとき、前記処理デバイスに、
モデルを使用して、基板処理装置内で技術プロセスの1つまたは複数の段階によって引き起こされるサンプルの物理状態の変化を予測させ、
前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階の実際の実行に関連付けられた、前記サンプルの複数の領域に対する1つまたは複数の化学元素の分布を含む撮像データを取得させ、
前記撮像データに基づいて、前記サンプルの前記物理状態の前記予測された変化と、前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階の前記実際の実行によって引き起こされた前記サンプルの前記物理状態の実際の変化との間の差分とを識別させ、
前記識別された差分に基づいて、前記モデルのパラメータを判定させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記サンプルの物理状態の前記変化を予測するために、前記モデルが、前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階によって引き起こされる前記サンプルの寸法の1つまたは複数の変化を予測するためのものである、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記撮像データが、前記サンプルの前記複数の領域に対するエネルギー分散型X線分光法(EDS)データを含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記撮像データが、透過型電子顕微鏡法(TEM)データまたは走査型電子顕微鏡法(SEM)データのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記サンプルの前記物理状態の前記予測された変化と前記サンプルの前記物理状態の前記実際の変化との間の前記差分を識別するために、前記処理デバイスはさらに、
前記モデルを使用して、前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階のうちの堆積段階中に第1の材料に対する第1の堆積速度を予測し、
前記堆積段階の前記実際の実行中の前記サンプルの厚さの変化を判定するためのものであり、
前記モデルの前記パラメータを判定するために、前記処理デバイスがさらに、
前記予測された堆積速度および前記サンプルの前記厚さの前記判定された変化を考慮して、前記モデルの前記パラメータを調整するためのものである、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
メモリと、
前記メモリに通信可能に結合された処理デバイスとを備え、前記処理デバイスが、
モデルを使用して、基板処理装置内で技術プロセスの1つまたは複数の段階によって引き起こされるサンプルの物理状態の変化を予測し、
前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階の実際の実行に関連付けられた、前記サンプルの複数の領域に対する1つまたは複数の化学元素の分布を含む撮像データを取得し、
前記撮像データに基づいて、前記サンプルの前記物理状態の前記予測された変化と、前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階の前記実際の実行によって引き起こされた前記サンプルの前記物理状態の実際の変化との間の差分を識別し、
前記識別された差分に基づいて、前記モデルのパラメータを判定する、
システム。
【請求項21】
前記技術プロセスの前記1つまたは複数の段階が、堆積段階、エッチング段階、材料除去段階、または酸化段階のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つまたは複数の化学元素の前記分布が、前記サンプルの前記複数の領域のサブセット内の前記1つまたは複数の化学元素の密度を特徴付け、前記サブセットが、前記サンプルの表面に平行になるようにまたは直交するように向けられた1つまたは複数の領域を含む、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、基板処理システム内で製造された材料の品質管理を確実にすることに関する。より詳細には、本明細書は、X線撮像データから取得した化学元素の分布を使用して、正確なプロセスモデルを作成および最適化することに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の材料の製造は、多くの場合、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、または原子層堆積(ALD)技法などの様々な堆積技法を伴い、真空堆積チャンバによって提供される低真空または高真空環境内に保持された基板(ウエハ)上に、1つまたは複数の選択された種類の原子が堆積させられる。材料はまた、酸素および窒素への露出による堆積膜の表面処置によって生成され、薄い膜を生成する。このようにして製造された材料は、単結晶、半導体膜、微細コーティング、および電子デバイスの製造などの実際的な用途で使用される多数の他の物質を含むことができる。複雑な基板の製造は高価で時間のかかるプロセスである可能性があるため、様々な処理技法およびシステムの試験は、モデリングによって補足されることが多い。
【発明の概要】
【0003】
元素マップを使用してプロセスモデルを作成する方法およびシステムが提供される。この方法は、モデルを使用して、基板処理装置内で技術プロセスの段階によって引き起こされるサンプルの物理状態の変化を予測することを含む。この方法は、技術プロセスの段階の実際の実行に関連付けられた撮像データを取得することをさらに含む。撮像データは、サンプルの領域に対する化学元素の分布を含む。この方法は、撮像データに基づいて、サンプルの物理状態の予測変化と、技術プロセスの段階の実際の実行によって引き起こされたサンプルの物理状態の実際の変化との間の差分を識別することをさらに含む。この方法は、識別された差分に基づいて、モデルのパラメータを判定することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の実施が機能することができる例示的なシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図2】一実施形態によるサンプルの概略的な透過型電子顕微鏡法(TEM)画像である。
【
図3A】一実施形態によるサンプルの概略的なエネルギー分散型X線分光法(EDS)画像である。
【
図3B】一実施形態によるサンプルの表面に平行な矩形走査領域を有する
図3Aに示すサンプルの概略的なEDS画像である。
【
図3C】一実施形態による
図3Bの矩形走査領域に対するサンプル内に存在する様々な元素の原子密度を示すグラフである。
【
図3D】一実施形態によるサンプルの表面に直交する矩形走査領域を有する
図3Aに示すサンプルの概略的なEDS画像である。
【
図4】一実施形態によるEDS元素マップを使用してプロセスモデルを作成する方法の流れ図である。
【
図5】本開示の1つまたは複数の態様によって動作する例示的な処理デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
製造への適用の精度および均一性は、様々な処理動作によるサンプルの現実的な変化を予測するモデルの能力に依存する。モデルのパラメータは、サンプルの実際の変化の観察に基づいて判定されるべきであり、それにより異なるサンプルまたは異なる処理動作に対する変化をより正確に予測するように、モデルを更新することができる。本明細書に開示する実施形態は、元素マップを使用してプロセスモデルを作成するシステムおよび方法を提供する。サンプルの製造(たとえば、微細製造、ウエハ製造、基板生成など)では、所望の結果(たとえば、所望の仕様を満たすまたは所望の特性を有するサンプル)をもたらすために、様々な処理ツールおよび手順が使用される。製造プロセスは、材料堆積、材料エッチング、研磨などの様々な処理動作を含むことができる。たとえば、堆積動作は、基板上へ直接、または基板上へ事前に堆積させられた異なる材料上へ、1つまたは複数の材料を配置(堆積)することを含むことができる。製造量の品質は、特有の製造条件下の堆積層の厚さを判定(または予測)する能力に依存する。厚さの判定は、予想される堆積速度、堆積材料の種類、処理チャンバ内で維持される温度および圧力、基板の種類および品質などの様々な要因に基づくモデルまたは予測を使用して行われることが多い。これらのモデルを生成する既存の方法は、典型的には、透過型電子顕微鏡法(TEM)画像または走査型電子顕微鏡法(SEM)画像から抽出されたパラメータに依拠する。しかし、TEMおよびSEM画像は、サンプルの様々な場所によって生成される電子束に関して提供する情報の量が制限されており、それらの場所に位置する原子の種類を直接示さず、したがって後続の層同士の間の反応面およびインターフェースを正確に反映することができない。同様に、エッチング動作(たとえば、ハロゲン剤を導入する)により、少量のエッチング材料がサンプルの意図しない領域内へ浸透することがある(ハロゲン化物の含有と呼ばれる)。しかし、残りのハロゲンは、典型的には、サンプル材料より少量で存在し、したがってTEMまたはSEM画像上で十分に目視することができない。
【0006】
堆積およびエッチングのどちらの場合も、サンプルが処理による影響または変化を受ける方法を予測する従来のモデルは、TEMまたはSEM画像から抽出されるパラメータに依存することが多い。これらのパラメータは、サンプルの任意の所与の箇所における特有の元素の量(たとえば、密度)を正確に反映することができない。したがって、これらのパラメータを使用して生成または開発されるモデルは、特に堆積層が非常に薄い場合、または堆積層間に形成されたインターフェース層が存在する場合、基板または堆積面が粗く、トレンチを有し、または十分に大きい湾曲を有する場合、ハロゲン化物の含有が存在する場合などは、所望の精度を欠くことがある。したがって、モデルを生成することはできるが、モデルの精度は制限されることがあり、TEMまたはSEMデータから抽出されたパラメータを使用してモデルを認証しても、TEMおよび/またはSEM撮像の性質によって本質的に制限されたモデルの精度を改善することはできない。
【0007】
本開示の態様および実施は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)データを使用して、様々な技術プロセスまたは処理動作によって引き起こされるサンプルの物理状態のより正確な予測変化に対するプロセスモデルを構築および/または認証することによって、既存の方法の上記およびその他の欠点に対処する。EDSは、様々な化学元素(たとえば、複数の関心元素)の局所分布に関する情報を提供し、本明細書では、これをサンプルの元素密度マップと呼ぶことが多い。いくつかの実施では、EDSデータは、サンプルの画像の各画素(または複数の画素)に対する元素密度を指定することができる。いくつかの特有の処理動作に対して取得した詳細なEDSデータを使用して開発および較正されたプロセスモデルは、詳細な測定データが不在である、取得するのが困難または高価であることがある他の処理動作に拡張されたときでも、高い予測能力を有する。
【0008】
本開示の態様および実施は、EDSデータを使用することによって、反応面、エッチング面、インターフェース、エッチングプロセス後に存在する薄膜内の切取り部、ハロゲン化物の含有、粗面、湾曲面、または溝付き面上の堆積、材料の不安定状態などの情報を取得するシステムおよび方法を記載する。そのような方法は、膜が非常に薄く(たとえば、10オングストローム(Å)程度)、膜厚さ(たとえば、5Å程度)と高さが同等の粗さ特徴プロファイルを有する表面上に堆積させられた場合でも、膜厚さを高い精度で判定することを可能にする。追加または別法として、そのような方法は、ハロゲンがエッチングプロセス中にサンプルの側壁または他の領域に浸透する程度を判定することを可能にする。追加または別法として、そのような方法は、予想外の核形成作用などが生じた場合に酸化または窒化が存在するかどうかなど、ある層と別の層または基板との間のインターフェースに関する情報を取得することを可能にする。本開示の態様は、EDSデータから取得した情報を使用することによって、プロセスモデルを作成および/または認証する方法を提供する。
【0009】
図1は、本開示の実施が機能することができる例示的なシステムアーキテクチャ100を示すブロック図である。
図1に示すように、システムアーキテクチャ100は、データ収集システム102、クライアントデバイス150、データストア140、サーバ120、およびモデル構築システム170を含む。モデル構築システム170は、サーバ120の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、モデル構築システム170の1つまたは複数の構成要素が、クライアントデバイス150内へ完全にまたは部分的に一体化されてもよい。データ収集システム102、クライアントデバイス150、データストア140、サーバ120、およびモデル構築システム170は各々、サーバコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、移動通信デバイス、携帯電話、手持ち式コンピュータ、または類似のコンピューティングデバイスを含む、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによってホストすることができる。
【0010】
データ収集システム102、クライアントデバイス150、データストア140、サーバ120、およびモデル構築システム170は、ネットワーク160を介して互いに結合することができる(たとえば、本明細書に記載する方法を実行するため)。いくつかの実施形態では、ネットワーク160は、システムアーキテクチャ100の各要素に互いへのアクセスおよび他の私的に利用可能なコンピューティングデバイスへのアクセスを提供する私設ネットワークである。ネットワーク160は、1つまたは複数のワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、有線ネットワーク(たとえば、イーサネットネットワーク)、無線ネットワーク(たとえば、802.11ネットワークまたはWi-Fiネットワーク)、セルラーネットワーク(たとえば、Long Term Evolution(LTE)ネットワーク)、ルータ、ハブ、スイッチ、サーバコンピュータ、および/またはこれらの任意の組合せを含むことができる。別法または追加として、ネットワーク160を使用することなく、システムアーキテクチャ100の要素のいずれかをともに一体化することができ、または他の方法で結合することができる。
【0011】
クライアントデバイス150は、任意のパーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、移動電話、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ネットワーク接続式テレビジョン(「スマートTV」)、ネットワーク接続式メディアプレーヤ(たとえば、Blue-rayプレーヤ)、セットトップボックス、オーバーザトップ(OOT)ストリーミングデバイス、オペレータボックスなどとすることができ、またはこれらを含むことができる。クライアントデバイス150は、システムアーキテクチャ100の他のシステムによって記述および実行されるブラウザ、アプリケーション、および/または他のツールを含むことができる。いくつかの実施形態では、クライアントデバイス150は、本明細書に記載するように、データ収集システム102、データストア140、サーバ120、および/またはモデル構築システム170にアクセスし、システムアーキテクチャ100の様々な段階の処理におけるプロセス動作制御、データストア140からのデータ(画像データ144および/またはEDSデータ146など)、および/または様々なプロセスツール(たとえば、比較ツール122、認証ツール124、および/またはプロセスモデル190)の入出力を通信(たとえば、伝送および/または受信)することが可能とすることができる。
【0012】
図1に示すように、データ収集システム102は、顕微鏡104、分光計106、およびプロセスコントローラ108を含む。顕微鏡104および分光計106は、データ収集システム102および/または対応するデータ収集ツール(イオンビーム分光計など)によって使用することができる。いくつかの実施形態では、顕微鏡104は、TEMまたはSEMを含む。いくつかの実施形態では、分光計106は、X線分光計を含む。データ収集システム102は、顕微鏡104および分光計106によって実行されるべき動作を調整するプロセスコントローラ108をさらに含む。調整された動作は、データ(データストア140上に記憶された撮像データ144およびEDSデータ146など)に基づいてサンプル上で実行されたプロセス動作を変更すること、またはデータに基づいてモデルを構築することに関連付けることができる。プロセスコントローラ108は、システムアーキテクチャ100の他の構成要素(たとえば、モデル構築システム170、サーバ120など)から入力を受信して、前述の動作を実行することができる。
【0013】
モデル構築システム170は、プロセスモデル190を構築するためのプロセスモデリングサーバ172を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセスモデリングサーバ172は、プロセス特徴付け174を含むことができる。プロセス特徴付け174は、堆積、エッチング、研磨の速度など、モデリングされている製造動作中に発生する様々な物理的および化学的プロセスを記述するモジュールとすることができる。プロセス特徴付け174は、プラズマの密度、プラズマの化学組成、製造チャンバの環境の温度および圧力、研磨デバイスに印加される圧力などの様々な条件に基づくことができる。追加または別法として、プロセス特徴付け174は、移送チャンバ、ロボット部分、光学測定デバイスなどの導入および/または交換などの外部条件の変化に基づくことができる。追加の実施形態では、プロセス特徴付け174は、以前のプロセス特徴付けから導出することができる入力パラメータに依存することができる。たとえば、場合により、プロセス特徴付けは、静的モデルから導出される堆積速度、特有の材料、チャンバ環境などの結果に基づくことができる。そのような静的モデルは、プロセス特徴付けに適合するように調整または更新することができる。
【0014】
プロセス特徴付け174は、製造チャンバの物理的および化学的条件および製造チャンバ内で実行される技術的動作を、製造の出力に関係付けるモデルパラメータ176を使用することができる。たとえば、1組のモデルパラメータ176は、特定の材料の堆積速度を、チャンバ内のその材料の密度、チャンバ内の温度および圧力、基板の種類、ならびに基板の表面の品質に関係付けることができる。別の1組のモデルパラメータ176は、エッチング速度を、基板へ誘導されるハロゲンの密度および束に関係付けることができる。さらに別の1組のモデルパラメータ176は、材料除去速度を、材料の種類、除去ツールに印加される圧力、除去ツールの動作速度などに関係付けることができる。以下でより詳細に説明するように、プロセスモデリングサーバ172は、実際の基板処理中に1つまたは複数の基板に対して取得したEDSデータを使用して、プロセスモデル190に対するモデルパラメータ176を判定(および/または調整)することができる。モデルパラメータ176のプロセス特徴付け174を使用して、プロセスモデル190を生成することができる。いくつかの実施形態では、プロセスモデル190は、モデルパラメータのプロセス特徴付けに基づいて、プロセス動作の結果を予測することができる。第1の機械学習モデルを実施して、結果が現実的/正確であるか否か、および現実的/正確なデータからの逸脱に基づいて、プロセスモデルの予測結果を分類することができる。いくつかの実施形態では、プロセスモデル190は、第2の機械学習モデルの結果にさらに基づくことができ、この結果をプロセスモデル190への入力として使用することができる。いくつかの実施形態では、以下でさらに説明するように、第1の機械学習モデルは、プロセスモデル190の出力で適用することができ、第2の機械学習モデルは、プロセスモデル190の入力として適用することができる。
【0015】
プロセスコントローラ108は、顕微鏡104および/または分光計106の動作を管理および調整するように設計されたデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセスコントローラ108は、顕微鏡104が撮像データ(TEM画像またはSEM画像など)を取得したことに対応して、分光計106にEDSデータを取得させることに関連付けられる。たとえば、各EDSデータ点は、顕微鏡画像の画素に対応することができ、したがって顕微鏡画像に関連して、元素特有の密度マップを取得することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、機械学習モデル(MLM)192は、MLM訓練サーバ180によって訓練された機械学習モデルとすることができる。MLM訓練サーバ180は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(ラックマウントサーバ、ルータコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータなど)、データストア(たとえば、ハードディスク、メモリデータベース)、ネットワーク、ソフトウェア構成要素、またはハードウェア構成要素を含むことができる。MLM192および/または194の訓練のために、MLM訓練サーバ180は、データストア140内に記憶されたデータを使用することができる。データストア140は、メモリ(たとえば、ランダムアクセスメモリ)、ドライブ(たとえば、ハードドライブ、フラッシュドライブ)、データベースシステム、またはデータを記憶することが可能な別の種類の構成要素もしくはデバイスとすることができる。データストア140は、プロセス動作にかけられた前のサンプルの物理的変化の撮像データ144(たとえば、顕微鏡104によって取得される)および/またはEDSデータ146(たとえば、分光計106によって取得される)を含む1つまたは複数の履歴データ142を記憶することができる。いくつかの実施形態では、履歴データ142を使用して、MLM192および/または194を訓練、認証、および/または試験することができる。
【0017】
1つまたは複数の訓練済み機械学習モデル、たとえばMLM192は、プロセスモデル190とともに使用することができる。いくつかの実施形態では、前に実行された技術的動作からのEDSデータ146を含む履歴データ142を使用して訓練されたMLM192に、EDSデータを入力することができる。まず、(新しい)EDSデータをMLM192に入力して、EDSデータの信頼性分類を取得してから、EDSデータを使用してプロセスモデル190を調整することができる。いくつかの事例では、訓練済みMLM192は、EDSデータを予想データとして分類することができ、このデータは、このEDSデータが、前に開発されたプロセスモデル190が予測する可能性が高いものと一致していることを示すことができる。そのような事例では、プロセスモデリングサーバ172は、EDSデータに基づいてプロセスモデル190を修正することを省くことができる。いくつかの事例では、訓練済みMLM192は、EDSデータを予想外のデータとして分類することができ、これは、現在利用可能なプロセスモデル190が、取得したEDSデータを調整なく補償することができない可能性が高いことを示すことができる。そのような事例では、プロセスモデリングサーバ172は、たとえばEDSデータに基づいてプロセスモデル190のモデルパラメータ176を修正することによって、プロセスモデル190の調整を開始することができる。最後に、いくつかの事例では、訓練済みMLM192は、EDSデータを非常に予想外と分類することができ、これは、現在利用可能なプロセスモデル190が、モデルパラメータ176が調整された後でも、取得したEDSデータを補償することができない可能性が高いことを示すことができる。これは、たとえばプロセスモデル190で前は無視されたいくつかの物理的プロセスおよび/または条件のモデリングを含むことによって、プロセスモデル190がより著しい修正を受けなければならない可能性があることを、モデルユーザまたはデベロッパに伝えることができる。
【0018】
訓練済みMLM192は、様々な設定閾値に基づいて、(新しい)EDSデータを、予想どおり、予想外、または非常に予想外として分類することができる。いくつかの実施形態では、特定の箇所における特定の元素に対する元素密度を、新しいEDSデータおよび履歴EDSデータに分類することができる。元素密度が第1の閾値だけ異なる場合、新しいEDSデータを予想外として分類することができ、元素密度が第1の閾値より大きい第2の閾値だけ異なる場合、新しいEDSデータを非常に予想外として分類することができる。他の実施形態では、表面特徴、複数の元素に対する元素密度などの他の特徴を、単独で、または任意の他の基準とともに、使用することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、訓練済みMLM194を適用して、プロセスモデル190(修正または調整されたプロセスモデル190を含む)の予測を認証することができる。より具体的には、プロセスモデル190を使用して特定の技術プロセスが行われる方法(プロセスの持続時間、プロセスの出力などを含む)を予測した後、プロセスモデル190のこの予測出力を、プロセスモデル190の前の出力に関して訓練されたMLM192に入力することができる。訓練済みMLM192は、プロセスモデル190の出力を現実的または非現実的として分類することができる。プロセスモデル190の出力を、プロセスモデル190の前の出力と比較することができ、相違が閾値条件を上回る場合、その結果を非現実的として分類することができ、相違が閾値条件を下回る場合、その結果を現実的として分類することができる。閾値条件は、堆積厚さ、堆積速度、エッチング速度、インターフェース形成などのうちの1つまたは複数などの比較可能な数量とすることができる。たとえば、一実施形態では、プロセスモデル190の履歴予測は、技術プロセスに対するインターフェース層の形成を予測することができ、プロセスモデル190の(新しい)予測は、著しく厚い同じ技術プロセスに対するインターフェース層の形成を予測することができる。比較は、厚さ、組成などを比較することを含むことができ、判定は、(新しい)予測が現実的であるか、それとも非現実的であるかに関して行うことができる。
【0020】
出力が非現実的として分類された場合(たとえば、出力は前の出力から閾値量だけ異なってよい)、プロセスモデリングサーバ172は、プロセスモデル190のモデルパラメータ176を(たとえば、デベロッパからの入力なく自動的に)調整することができる。次いで、プロセスモデル190の新しい出力を取得することができ、プロセスモデル190による新しい予測をMLM192によって処理することができる。モデルパラメータ176を調整しようとする複数の自動的な試行が非現実的として分類された場合、プロセスモデリングサーバ172は、プロセスモデル190のさらなる修正を停止し、デベロッパの入力を探すことができる。デベロッパは次いで、いくつかの追加の(前に無視された)物理的プロセスおよび/または条件のモデリングを、更新されたプロセスモデル190に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、MLMモデル192および194はどちらも、プロセスモデル190とともに使用することができ、たとえばEDSデータ処理MLMをプロセスモデル190の前に使用することができ、予測処理MLMをプロセスモデル190の出力に適用することができる。
【0021】
サーバ120は、ラックマウントサーバ、ルータコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータなどの1つまたは複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。サーバ120は、比較ツール122および認証ツール124を含むことができる。
【0022】
比較ツール122は、サンプル上の処理動作(堆積、エッチングなど)の実行に関連付けられた撮像データ(測定データと呼ばれる)、ならびに処理動作に対応するサンプルの予測された物理的変化に対応するデータ(予測データと呼ばれる)を表すEDSデータを、たとえば分光計106から取得することができる。いくつかの実施形態では、予測データは、プロセスモデル190によって生成される。他の実施形態では、予測データは、異なるモデルまたは計算から生成することができる。処理動作は、処理チャンバ内で行われる技術プロセスの1つまたは複数の動作/段階(ウエハまたはサンプル製造で行われるものなど)を含むことができる。比較ツール122は、測定データと予測データとの間の差分および/または相違を識別し、これらの差分を使用し、またはモデル構築システム170に提供することができる。
【0023】
認証ツール124は、プロセスモデル190を認証することができる。比較ツール122によってモデル構築システム170に提供された差分に基づいて、認証ツール124は、プロセスモデル190を生成もしくは更新すること、および/またはプロセスモデル190のパラメータを判定することができる。いくつかの実施形態では、差分に加えて、モデル構築システム170は、プロセスモデル190のパラメータを構築および/または判定するための差分に加えて、温度、圧力、処理チャンバ環境条件などの他のデータも使用することができる。いくつかの実施形態では、認証ツール124は、プロセスモデル190を生成するために使用されているモデリングされたデータを認証することができる。プロセスモデル190は、少なくとも一部には、履歴データ142を使用して生成することができる。いくつかの実施形態では、認証ツール124は、モデル構築システム170を使用してMLM192を訓練することができる。たとえば、履歴データ142による教師あり学習を使用して、機械学習モデルを訓練することができる。MLM192は、特徴(たとえば、サンプル上の技術的なプロセス動作に関連付けられた変数、要因、および/またはパラメータ)を評価してサンプルの物理状態の変化を予測するランダムフォレストのような決定木を含むことができる。
【0024】
前述のように、比較ツール122および認証ツール124のいくつかの実施形態は、MLM192、MLM194、または別の機械学習モデルを使用して、記載の方法を実行することができる。関連付けられた機械学習モデルは、モデル構築システム170および/またはMLM訓練サーバ180を使用して、生成(たとえば、訓練、認証、および/または試験)することができる。しかし、この説明は純粋に例示であることに留意されたい。類似の処理階層および方法は、他の実施形態に関連してさらに論じるように、比較ツール122および認証ツール124に関連付けられた機械学習モデルを個々にかつ/または互いに組み合わせて生成および実行する際に使用することもできる。
【0025】
モデル構築システム170は、ラックマウントサーバ、ルータコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータなどの1つまたは複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、モデル構築システム170は、履歴データ142を使用して、予測結果と測定結果との間の識別された差分に基づいて、プロセスモデル190のパラメータを判定することができる。
【0026】
MLM訓練サーバ180は、機械学習モデルを訓練、認証、または試験するためにデータセット(たとえば、1組のデータ入力および1組のターゲット出力)を生成することが可能なデータセット生成器182を含むことができる。データセット生成器182は、履歴データ142を訓練セット(たとえば、履歴データの60パーセント、または履歴データの任意の他の部分)、認証セット(たとえば、履歴データの20パーセント、または履歴データの何らかの他の部分)、および試験セット(たとえば、履歴データの20パーセント)に区画化することができる。たとえば、1組または複数組の訓練データは、データセット(たとえば、訓練セット、認証セット、および試験セット)の各々を含むことができる。
【0027】
限定ではなく説明の目的で、本開示の態様は、履歴データ142に関する情報を使用した機械学習モデルの訓練および訓練された学習モデルの使用について説明する。他の実施では、プロセスモデル190は、発見的モデルまたは規則に基づくモデルとすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス112、サーバ120、データストア140、およびモデル構築システム170の機能は、
図1に示すものより少数の機械によって提供することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、プロセスモデリングサーバ172およびMLM訓練サーバ180を単一の機械に一体化することができ、いくつかの他の実施形態では、プロセスモデリングサーバ172およびMLM訓練サーバ180を単一の機械に一体化することができる。いくつかの実施形態では、モデル構築システム170は、サーバ120によって完全にまたは部分的に提供することができる。
【0029】
概して、クライアントデバイス150、データストア140、計測システム110、細胞培養システム102、およびモデル構築システム170によって実行されるものとして一実施形態に記載する機能は、他の実施形態では、適当な場合、サーバ120上で実行することもできる。加えて、特定の構成要素に起因する機能を、ともに動作する異なるまたは複数の構成要素によって実行することもできる。
【0030】
実施形態では、「ユーザ」とは、単一の個人として表すことができる。しかし、本開示の他の実施形態は、複数のユーザおよび/または自動化されたソースによって制御される実体である「ユーザ」も包含する。たとえば、1群の管理者としてまとめられた1組の個別ユーザを、「ユーザ」と見なすことができる。
【0031】
図2は、一実施形態によるサンプル200の概略的なTEM画像201である。サンプル200は、基板202(たとえば、シリコン基板、炭化ケイ素基板)、誘電体層204(たとえば、二酸化ケイ素層)、金属膜206(たとえば、銀または銅膜)、およびマスク208(たとえば、ハード(酸化ケイ素、窒化ケイ素など)マスク、ポリマーマスク、または他の種類の好適なマスクなど)を含む。サンプル200は、堆積および/またはエッチングなどの1つまたは複数のプロセス動作によってその物理状態の変化を受けたサンプルとすることができる。いくつかの実施形態では、基板202は、処理チャンバ、移送チャンバ、エッチングチャンバ、堆積チャンバ、またはプロセス動作を行うことができる任意の他の好適なチャンバ内に配置または位置付けすることができる。基板上には、誘電体層204を設けることができる。いくつかの実施形態では、誘電体層204は、酸化によって形成することができる。追加または別法として、誘電体層204は、基板202上に堆積させることができる。誘電体層204上に、金属膜206を堆積させることができる。いくつかの実施形態では、金属膜206などによって表される金属膜の一部分に、マスク208などのハードマスクを配置または堆積させることができ、その場合、サンプル200はエッチングされ、金属膜206のみが残る。
【0032】
いくつかの実施形態では、エッチングプロセスは、ハロゲンガス(たとえば、塩素、フッ素、臭素など)の使用を含む。サンプル200は次いで、残留エッチング材料を除去するために、エッチング後洗浄プロセスを受けるはずである。しかし、場合により、エッチング後洗浄プロセスは、残留エッチング材料のすべてを除去するとは限らず、その結果、サンプル200の側壁(たとえば、金属膜206の側面)にハロゲン化物の含有が残る可能性がある。ハロゲン化物の含有、または金属膜206内の1つもしくは複数のハロゲン化物ガスの存在は、デバイス性能、接触抵抗、および他の物理特性に影響する可能性がある。残留ハロゲンは揮発性を有し、後の処理動作中に漏れる可能性があり、これはサンプル200を高温、低圧などの状態にすることを伴う可能性がある。たとえば、窒化チタン(TiN)は、ハロゲンガスによってエッチングされることがある。TiN側壁(たとえば、金属層)はこのとき、エッチングに使用されるハロゲンガスを含むことがある。概して、エッチング後、金属膜206は、ある程度の残留ハロゲンを含むことがあり、したがって金属膜206自体の側壁が、ほんの数パーセント(たとえば、最大約10%)のエッチング材料を含むことがある。しかし、大部分の材料は依然として金属であるため、そのようなハロゲン化物の含有はTEM画像上ではっきり見えない可能性がある。
【0033】
いくつかの事例では、基板202は、エッチングプロセス中に損傷を受ける可能性がある。そのような場合、エッチング材料は、エッチング材料に露出された基板202の上面に浸透する可能性がある。同様に、エッチング材料に露出された誘電体層204の縁部も損傷を受ける可能性がある。これらの場合の各々において、基板202(および/または誘電体層204)内に存在するエッチング材料は、その存在がTEM画像内ではっきり見えないほど十分に小さい割合で存在する。
【0034】
サンプル200は、説明および例示の目的で示されている。本開示に記載するEDSラインスキャンを使用してプロセスモデルを作成する方法は、異なる構造(たとえば、より多いまたはより少ない層)を有する他のサンプルおよび他の半導体ウエハにも適用可能である。
【0035】
図3Aは、一実施形態によるサンプル200の概略的なEDS画像301である。EDSデータは、化学分析に使用することができ、サンプルの所与の場所における元素の存在に関する情報を提供することができる。EDSは、様々な元素に対するX線の特有の相互作用に依拠する。示されている事例では、EDSデータは、サンプルにわたる化学元素の分布に関する情報を提供する。
【0036】
特に、EDSデータは、EDS画像301として描写することができ、領域310内のハロゲン化物の含有、領域312内の誘電体切取り部、および領域314内のエッチングの損傷に関する情報を提供することができる。これは、EDSデータがTEMデータと比べて、追加のより正確な情報を提供することができるからである。
【0037】
サンプル200(または任意の他のサンプル)に対する製造プロセスの精度は、処理チャンバ内の1つまたは複数のプロセス動作によって引き起こされるサンプル200の物理状態の変化を予測する1つまたは複数のモデルに依拠することができる。たとえば、モデルは、堆積させられている材料の種類、材料が堆積させられている持続時間、処理チャンバの環境などに基づいて、堆積された膜の厚さを予測することができる。同様に、同じモデルまたは異なるモデルが、エッチングされている材料、エッチング材料、エッチングプロセスの持続時間、処理チャンバの環境などに基づいて、どれだけ多くの材料がエッチングによって除去されるかを予測することができる。そのようなモデルは、典型的には、顕微鏡データ(たとえば、TEMまたはSEMデータ)を開始点として使用して、これらの予測モデルを構築する。そのようなモデルは、記載されているように、
図1のMLM192および/または194などの機械学習モデルによって生成された予測データによって更新することができる。たとえば、履歴顕微鏡データに加えて、これらの予測モデルのパラメータを調整するために、MLM194を使用して、顕微鏡データを出力することができる。MLMは、任意の適当なソフトウェア、たとえばPython、Java、C/C++、または任意の他の好適なプログラミング言語のスクリプトを使用して実施することができる。
【0038】
多くの場合、TEM画像はグレースケール画像として描写されることから、予測モデルを正確に構築するのに十分な情報を提供することができない。たとえば、そのような場合、他の可能性の中でも、i)薄い膜(たとえば、数Å程度)、ii)ハロゲン化物の含有、iii)粗い表面を伴う可能性がある。上に挙げた3つの事例は例として使用するが、TEM画像が予測モデルを正確に構築するのに十分な情報を提供することができない追加の状況も生じる可能性がある。
【0039】
第1の例として、材料の膜(たとえば、数百オングストローム程度)を堆積させ、その結果得られるTEM画像を検査することによって、所与の材料のための堆積速度および処理チャンバの特定の環境を判定することができる。そのような情報を使用して、後のサンプルのための材料の堆積に対する予測モデルを構築することができる。同じ環境内で後のサンプル上に材料の薄い層を堆積させるときは、堆積速度を使用して、所望の厚さを取得するために材料を堆積させるべき持続時間を判定することができる。そのような場合、堆積速度は一定であると仮定することが多い。多くの場合、堆積速度は堆積プロセスの持続時間にわたって一定でない。たとえば、プロセスの開始時は堆積速度が低いことがあり、時間とともに堆積速度が上昇することがあり、堆積の終了付近でさらに変化することがある。そのような場合、所望の厚さが十分に薄い(たとえば、数オングストロームから数十オングストローム程度)とき、堆積速度(たとえば、厚い膜の堆積時間から判定される)が一定であるという仮定は、薄い膜に対してあまり正確でない可能性がある。加えて、堆積プロセスは、堆積材料とベース材料(その上に堆積材料が堆積させられる)との間の相互作用に依存する可能性がある。所望の厚さが十分に薄いとき、TEM画像は、予測モデルの不正確性に関する情報を提供するための分解能を有していない可能性がある。
【0040】
他方では、EDSはサンプルの各点における個々の元素密度を提供することから(たとえば、各々の異なる化学元素に対して測定された強度による)、たとえば生EDSデータを介して提供される元素密度を使用することには実質的な利点がある。生EDSデータを分析して、堆積材料の厚さを判定することができる(数オングストロームの分解能による)。さらに、生EDSデータは個々の元素情報を提供することから、非常に薄い酸化層でも、酸素ピークのスパイクによって検出することができる。同様に、堆積のための表面が粗い(ピークおよび/またはトレンチなど、堆積層厚さ程度のプロファイル特徴)とき、または大きい湾曲を有するとき、EDSデータは、表面特徴と堆積材料とを区別することを可能にする。
【0041】
さらに、生EDSデータは、金属層を走査するとき、それぞれのハロゲンガスに対するピークを提示することによって、ハロゲン化物の含有に関する情報を提供することができ、したがって金属中のハロゲン化物(たとえば、領域310)の存在を明らかにすることができる。生EDSデータは、基板202内のエッチングの損傷(領域314)に関する情報を提供することができる。
【0042】
図3Bは、一実施形態によるサンプル200の表面に平行な矩形走査領域303および305を有する
図3Aに示すサンプル200の概略的なEDS画像301である。サンプル200の表面に平行な矩形スキャンを得ることで、距離(この場合、サンプル200の表面に沿った距離)に応じた元素分布のグラフを取得することができる。特に、この分布は、元素密度を表すことができる。そのようなスキャンを使用して、サンプルより上の任意の高さでサンプルの表面にわたる元素分布に関する情報を取得することができる。たとえば、サンプルの表面に平行な矩形スキャンを使用して、ハロゲン化物の含有、誘電体切取り部などを精査することができる。
【0043】
例として、矩形走査領域303は、基板202の表面より上の第1の高さでサンプル200を走査することができる。この走査は、領域310における金属膜206の存在ならびにハロゲン化物の含有を明らかにすることができる。同様に、矩形走査領域305は、基板202の表面より上の第1の高さでサンプル200を走査し、同じく領域310における金属膜206の存在ならびにハロゲン化物の含有を明らかにすることができる。以下の
図3Cに示すように、2つの走査領域303および305間において、ハロゲン化物の含有は均一でないことがある。
【0044】
図3Bは2つの矩形走査領域を有するものとして示されているが、任意の数の走査領域を得ることができる(たとえば、矩形走査領域は、基板202の底部または基板202の頂部から開始して、サンプル200全体が走査されるまで段階的に上方へ進むことができ、矩形走査領域は、サンプル200の頂部から開始して、段階的に下方へ進むことができ、スキャンは、各矩形走査領域の頂縁部/底縁部が後続の各走査領域の底縁部/頂縁部と位置合わせされるように走査することができ、矩形走査領域は重複してもよく、または後続の走査領域間に間隙が存在してもよく、以下同様である)。
【0045】
図3Cは、一実施形態による
図3Bの矩形走査領域303および305に対するサンプル200内に存在する様々な元素の原子密度を示すグラフである。線303(1)および303(2)は、矩形走査領域303からの走査に対応する。線305(1)および301(2)は、矩形走査領域305からの走査に対応する。
【0046】
線303(1)および305(1)は、金属膜206の金属に対応する。線303(2)および305(2)は、ハロゲン化物の含有によって金属膜206の側壁内に存在するハロゲン(たとえば、領域310に対応するフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、またはアスタチン)に対応する。任意の所与の線に対して、対応する材料の厚さを半値全幅(FWHM)厚さとして正確に推定することができる。
【0047】
幅(この場合、サンプルの表面に直交して測定される)は、サンプルの特有の特性に基づいて設定されるべきであることに留意されたい。たとえば、大きすぎる幅は不十分な分解能を招く可能性があり、狭すぎる幅は過度に偽のスキャンを招く可能性がある。
【0048】
図3Dは、一実施形態によるサンプル200の表面に直交する走査領域307および309を有する
図3Aに示すサンプル200の概略的なEDS画像301である。サンプル200の表面に直交する矩形スキャン(本明細書では垂直スキャンとも呼ぶ)を得ることで、距離(この場合、サンプル200の表面に直交する距離)に応じた元素分布のグラフを取得することができる。そのようなスキャンを使用して、サンプルの表面に沿った元素分布に関する情報を取得することができる。たとえば、垂直スキャンを使用して、サンプルおよび/または酸化物層のスタック内の薄い誘電体、隣接する層同士の間のインターフェース、反応面などを精査することができる。特に、SEMおよびTEMデータは、異なる材料間のインターフェースの場所に関する制限された情報を提供することができるが(たとえば、酸化ケイ素SEM強度はケイ素SEM強度に類似していることがある)、EDSデータは、はるかに高い空間分解能を確実にすることができる。たとえば、酸化ケイ素層内の酸素原子の存在により、サンプル内の酸化ケイ素/ケイ素のインターフェースの場所を判定することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、接触抵抗に影響する可能性のある追加の(望ましくない)酸化が層同士の間に形成される可能性がある。いくつかの実施形態では、サンプル200のスタックを通るバイア(たとえば、電気接点、光学接点、機械接点など、所与の層への接点を確立するため)を有することが必要になることがあるが、バイアの底部に酸化が生じる可能性があり、これは不十分な接触を招く可能性がある。EDSデータは、酸化層の厚さ、そのような層の形成速度などに関する正確な情報を提供することができる。そのような情報に基づいて、処理モデルを調整して、TEMおよび/またはSEMデータのみに基づくモデルより酸化の動力学をはるかに正確に補償することができる。
【0050】
表面およびインターフェースの化学組成および物理的な場所を判定することに加えて、サンプル200の表面に直交する垂直スキャンを使用して、走査領域をサンプル200の表面にわたって動かすことによって、表面にわたる膜厚さの変動を精査することができる。これは特に、粗い表面(たとえば、薄い膜の厚さの程度の特徴、トレンチ、湾曲などを含む)上に薄い膜を堆積させるときに有利となりうる。
【0051】
いくつかの実施では、EDSデータをTEMデータとともに使用することができる。たとえば、EDSデータは個々の原子密度を提供するのに対して、TEMデータは、EDSデータに対する場所の基準として働くことができる。言い換えれば、TEMデータを使用して、EDSデータが対応するサンプルの場所を指すことができる。これらの例の各々において、特にTEM画像およびスキャンは、単独では、欠陥、不純物、ハロゲン化物の含有などの偽の材料の存在を識別するのに十分な能力を有することができない。さらに、TEM画像およびスキャンは、酸化または窒化、誘電体、堆積材料、インターフェースなどの薄い層を明らかにするのに十分な分解能を有することができない。それにもかかわらず、SEMまたはTEM画像は、顕著な基準となる特徴(たとえば、基板の側面、基板内の顕著な隆起もしくは溝、または任意の他の好適な特徴)を識別することができ、そのような特徴を使用して、EDSスキャナを走査するべきサンプルの場所へ誘導することができる。
【0052】
上記で論じたように、サンプル200(または任意の他のサンプル)に対する製造プロセスは、処理チャンバ内の1つまたは複数のプロセス動作によって引き起こされるサンプル200の物理状態の変化を予測する1つまたは複数のモデルを利用することができる。EDSデータによって提供される個々の元素情報を、モデルを構築するための初期入力(開始点)として使用することができる。いくつかの実施形態では、物理的出力がモデリングされるべき1つまたは複数の実験を実行することができる。TEMデータおよびEDSデータはどちらも、実際の技術プロセス中に取得することができ、または試験処理から取得することができる。EDSデータから、特有の関心元素に対応するデータを選択することができる。いくつかの実施形態では、生EDSデータのすべてまたは大部分を保持することができ、それによりモデルの追加の調整のために、任意の後の時点で、情報にアクセスすることが可能になる。EDSラインスキャンを使用して、個々の元素に対する測定結果を取得することができ、そこから関連パラメータ(たとえば、厚さ、化学組成、酸化など)を抽出することができる。たとえば、2つの膜同士の間に酸化が存在し、酸素ピークが明らかである場合、酸化物層の厚さをFWHM厚さとして抽出することができる。サンプルの表面に平行もしくは直交(または両方)の方向において、または表面に対してある程度の角度を付けて、サンプルにわたってEDSラインスキャンを行うことができる。上述した(たとえば、矩形)走査領域を使用してラインスキャンを実行することによって、堆積膜の厚さ、元素の含有などの特徴を平均化して、厚さ、濃度などを正確に判定することができる。
【0053】
加えて、新しいサンプル(たとえば、物理モデルを最初に構築するためにEDSデータが使用されなかったもの)に対する追加のEDSデータを取得することによって、EDS元素マップを使用して構築された物理モデルを認証することができる。そのような物理モデルを使用して、処理動作による新しいサンプルの物理的変化を予測することができる。新しいサンプルは、処理動作を受けることができ、実際の処理動作に対応する実際のEDSデータを取得することができる。実際のEDSデータを、物理モデルの予測と比較することができる。あらゆる相違を使用して、物理モデルのパラメータを判定および/または更新することができる。記載するプロセスは、モデリングソフトウェアに直接一体化することができる。
【0054】
図4は、一実施形態によるEDS元素マップを使用してプロセスモデルを作成する方法400の流れ図である。方法400は、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せを含む処理論理によって実行することができる。方法400は、モデルを使用して基板処理装置内の技術プロセスの1つまたは複数の段階によって引き起こされるサンプルの物理状態の変化を予測する処理論理から始まる(ブロック402)。技術プロセスの1つまたは複数の段階は、堆積段階(1つまたは複数の材料をサンプルに追加すること)、エッチング段階(たとえば、サンプルから1つまたは複数の材料を化学的に除去すること)、除去段階(たとえば、サンプルから材料を機械的に除去すること)、または酸化段階のうちの少なくとも1つとすることができる。サンプルの物理状態の変化を予測するために、モデルは、技術プロセスの1つまたは複数の段階によって引き起こされるサンプルの寸法の1つまたは複数の変化を予測することができる。
【0055】
処理論理は、技術プロセスの1つまたは複数の段階の実際の実行に関連付けられた撮像データを取得する(ブロック404)。撮像データは、サンプルの複数の領域に対する1つまたは複数の化学元素の分布を含む。特に、撮像データは、サンプルの領域の数に関するEDSデータを含む。1つまたは複数の化学元素の分布は、サンプルの領域の数のサブセットにおける1つまたは複数の化学元素の密度を特徴付ける。サブセットは、i)サンプルの表面に直交するように向けられた1つもしくは複数の領域、および/またはii)サンプルの表面に平行になるように向けられた1つもしくは複数の領域を含む。1つまたは複数の化学元素は、堆積プロセス中にサンプル上に堆積させられた第1の材料、またはエッチングプロセス中にサンプルに加えられた第2の材料のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、撮像データは、TEMデータまたはSEMデータのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0056】
処理論理は、撮像データに基づいて、サンプルの物理状態の予測変化と、技術プロセスの1つまたは複数の段階の実際の実行によって引き起こされたサンプルの物理状態の実際の変化との間の差分を識別する(ブロック406)。この差分を識別するために、処理論理は、モデルを使用して、技術プロセスの1つまたは複数の段階のうちの堆積段階中の第1の材料に対する第1の堆積速度を予測し、堆積段階の実際の実行中のサンプルの厚さの変化を判定する。モデルのパラメータを判定するために、処理論理は、予測された堆積速度および判定されたサンプルの厚さの変化を考慮して、モデルのパラメータを調整する。いくつかの実施形態では、処理論理は、モデルを適用して、サンプルの厚さとは異なる厚さを有する後続のサンプル上に堆積させられた第1の材料に対する第2の堆積速度を予測する。いくつかの実施形態では、処理論理は、モデルを適用して、後続のサンプル上に堆積させられた第1の材料とは異なる第2の材料に対する第2の堆積速度を予測する。さらなる実施形態では、その差分を識別するために、処理論理は、撮像データに基づいて、i)第1の材料の表面、またはii)第1の材料と別の材料(たとえば、その上に第1の材料が堆積させられる材料、または第1の材料の上に堆積させられた材料)との間のインターフェースのうちの少なくとも1つの場所を識別する。
【0057】
処理論理は、識別された差分に基づいてモデルのパラメータを判定し(ブロック408)、方法400が終了する。
【0058】
図5は、本開示の1つまたは複数の態様によって動作する例示的な処理デバイス500のブロック図を示す。例示的な処理デバイス500は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネット内で、他の処理デバイスに接続することができる。処理デバイス500は、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはそのデバイスがとるべき動作を指定する1組の命令を(順次または他の方法で)実行することが可能な任意のデバイスとすることができる。さらに、単一の例示的な処理デバイスのみが示されているが、「処理デバイス」という用語はまた、本明細書に論じる方法のいずれか1つまたは複数を実行するための1組(または複数組)の命令を個々にまたは共同で実行する任意の1群の処理デバイス(たとえば、コンピュータ)を含むと解釈されるものとする。
【0059】
例示的な処理デバイス500は、プロセッサ502(たとえば、CPU)、主メモリ504(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、たとえば同期DRAM(SDRAM)など)、スタティックメモリ506(たとえば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、および2次メモリ(たとえば、データストレージデバイス518)を含むことができ、これらはバス530を介して互いに通信することができる。
【0060】
プロセッサ502は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなどの1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、プロセッサ502は、複雑命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実施するプロセッサ、または命令セットの組合せを実施するプロセッサとすることができる。プロセッサ502はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の特別目的処理デバイスとすることができる。本開示の1つまたは複数の態様によれば、プロセッサ502は、厚さ変動マッピングの方法400を実施する命令を実行するように構成することができる。
【0061】
例示的な処理デバイス500は、ネットワーク520に通信可能に結合することができるネットワークインターフェースデバイス508をさらに備えることができる。例示的な処理デバイス500は、ビデオディスプレイ510(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチスクリーン、または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス512(たとえば、キーボード)、入力制御デバイス514(たとえば、カーソル制御デバイス、タッチスクリーン制御デバイス、マウス)、および信号生成デバイス516(たとえば、音響スピーカ)をさらに備えることができる。
【0062】
データストレージデバイス518は、1組または複数組の実行可能な命令522が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体(またはより具体的には、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)528を含むことができる。本開示の1つまたは複数の態様によれば、実行可能な命令522は、厚さ変動マッピングの方法400を実施する実行可能な命令を含むことができる。
【0063】
実行可能な命令522はまた、例示的な処理デバイス500によるその実行中に、主メモリ504内および/またはプロセッサ502内に完全にまたは少なくとも部分的に常駐することができ、主メモリ504、およびプロセッサ502はコンピュータ可読記憶媒体も構成する。実行可能な命令522は、ネットワーク上でネットワークインターフェースデバイス508を介してさらに伝送または受信することができる。
【0064】
コンピュータ可読記憶媒体528は単一の媒体として
図5に示されているが、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、1組または複数組の動作命令を記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連付けられたキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるべきである。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語はまた、本明細書に記載する方法のいずれか1つまたは複数を機械に実行させる1組の命令を機械による実行のために記憶または符号化することが可能な任意の媒体を含むと解釈されるものとする。それに応じて、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、それだけに限定されるものではないが、固体状態メモリならびに光学および磁気媒体を含むと解釈されるものとする。
【0065】
上記の説明は、制限ではなく説明を意図したものであることを理解されたい。上記の説明を読んで理解すれば、多くの他の実施例が当業者には明らかである。本開示では特有の例について説明したが、本開示のシステムおよび方法は、本明細書に記載する例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内で修正を加えて実施することができることが認識されよう。それに応じて、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく説明的な意味で見なされるべきである。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲に与えられる均等物の完全な範囲とともに判定されるべきである。
【0066】
上述した方法、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはコードの実施形態は、処理要素によって実行可能な機械アクセス可能、機械可読、コンピュータアクセス可能、またはコンピュータ可読の媒体上に記憶された命令またはコードを介して実施することができる。「メモリ」は、コンピュータまたは電子システムなどの機械によって可読の形態で情報を提供(すなわち、記憶および/または伝送)する任意の機構を含む。たとえば、「メモリ」には、スタティックRAM(SRAM)またはダイナミックRAM(DRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、ROM、磁気または光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気記憶デバイス、光学記憶デバイス、音響記憶デバイス、および機械(たとえば、コンピュータ)によって可読の形態で電子的な命令または情報を記憶または伝送するのに好適な任意の種類の有形の機械可読媒体が含まれる。
【0067】
本明細書全体にわたって、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への参照は、その実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって様々な場所における「一実施形態では(in one embodiment)」または「実施形態では(in an embodiment)」という語句への言及は、必ずしも同じ実施形態を参照するとは限らない。さらに、1つまたは複数の実施形態では、特定の特徴、構造、または特性を任意の好適な形で組み合わせることができる。
【0068】
上記の本明細書では、特有の例示的な実施形態を参照して詳細な説明を与えてきた。しかし、添付の特許請求の範囲に記載する本開示のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変化をそこへ加えることができることが明らかである。それに応じて、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく説明的な意味で見なされるべきである。さらに、実施形態、実施形態、および/または他の例示的な言語の上記の使用は、必ずしも同じ実施形態または同じ例を指すとは限らず、異なる別個の実施形態を指すことがあり、場合により同じ実施形態を指すこともある。
【0069】
「例」または「例示的」という単語は、本明細書では、例、事例、または説明として機能することを意味するために使用される。本明細書に「例」または「例示的」として記載するあらゆる態様または設計は、必ずしも他の態様または設計に比べて好ましいまたは有利であると解釈されるべきであるとは限らない。むしろ、「例」または「例示的」という単語の使用は、概念を具体的に提示することを意図したものである。本出願で使用されるとき、「または(or)」という用語は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図される。すなわち、別途指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを含む」とは、自然で包括的な置換のいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAおよびBをどちらも含む場合、「XはAまたはBを含む」は上記の事例のいずれにおいても満たされる。加えて、本出願および添付の特許請求の範囲に使用される冠詞「a」および「an」は、単数形を対象とすることが別途指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、全体として「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。さらに、全体にわたって、「実施形態(an embodiment)」もしくは「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」もしくは「一実施形態(one embodiment)」という用語の使用は、そのように記載されない限り、同じ実施形態または実施形態を意味することを意図したものではない。また本明細書で使用される「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、異なる要素を区別するためのラベルとすることを意味し、必ずしも数値の表示に従った順序を表す意味を有するとは限らない。
【国際調査報告】