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特表2024-535817プラズマ抑制のためのガス流ガイド設計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】プラズマ抑制のためのガス流ガイド設計
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240925BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240925BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20240925BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/455
C23C16/509
H05H1/46 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516413
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022042651
(87)【国際公開番号】W WO2023043643
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/243,819
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】知利 美蘭
(72)【発明者】
【氏名】リャン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】コ ジェフリー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ホ クァン ス
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
2G084FF15
2G084FF39
4K030AA11
4K030AA14
4K030BA02
4K030BA22
4K030BA42
4K030BA43
4K030EA03
4K030FA03
4K030KA12
4K030KA45
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB40
5F045AC00
5F045AC11
5F045AC15
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB01
5F045BB15
5F045DP04
5F045DQ10
5F045EE17
5F045EF13
5F045EH06
5F045EH13
(57)【要約】
本明細書に記載された実施形態は、プロセスガスを均一に供給するためのガス流入り口ガイドを有するチャンバを提供する。ガス流入り口ガイドは、開口を有するフローガイドボトムプレートを有する。フローガイドボトムプレートの上にトッププレートが配されており、開口の上にプラズマブロッカが配されている。プラズマブロッカは、プラズマ密度、電子温度、イオン温度またはプロセスガスの特性のうちの1つまたは複数に基づいてサイズが決められた1つまたは複数の開孔を含む。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口および第2の開口を備えるフローガイドボトムプレートであり、前記第2の開口が、前記第2の開口の上に配されたプラズマブロッカを含む、前記フローガイドボトムプレートと、
プレナムを画定するために、前記フローガイドボトムプレートの上に、前記フローガイドボトムプレートと接触して配されたトッププレートと、
前記第1の開口から前記第2の開口にガスを導くために前記プレナム内に配された複数のフローガイドと
を備えるガス流入り口ガイド。
【請求項2】
前記プラズマブロッカが金属メッシュである、請求項1に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項3】
前記金属メッシュの開孔サイズが約50μm~約100μmである、請求項2に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項4】
前記金属メッシュが、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、これらの合金またはこれらの組合せを含む、請求項2に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項5】
前記金属メッシュがステンレス鋼を含む、請求項2に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項6】
前記金属メッシュがアルミニウムを含む、請求項2に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項7】
前記プラズマブロッカが、前記フローガイドボトムプレートの表面に形成された凹部に配された、請求項1に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項8】
第1の開口および第2の開口を備えるフローガイドボトムプレートであり、前記第2の開口が、前記第2の開口の上に配されたプラズマブロッカを含む、前記フローガイドボトムプレートと、
プレナムを画定するために、前記フローガイドボトムプレートの上に、前記フローガイドボトムプレートと接触して配されたトッププレートと、
前記プレナム内の、前記第1の開口と前記第2の開口との間に配されたフローガイドモジュレータと、
前記第1の開口から前記第2の開口にガスを導くために前記プレナム内に配された複数のフローガイドと
を備えるガス流入り口ガイド。
【請求項9】
前記プラズマブロッカが金属メッシュである、請求項8に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項10】
前記金属メッシュの開孔サイズが約50μm~約100μmである、請求項9に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項11】
前記金属メッシュが、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、これらの合金またはこれらの組合せを含む、請求項10に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項12】
前記フローガイドモジュレータが、前記フローガイドモジュレータを貫いて形成された複数の開口を備え、それぞれの開口が、隣り合うフローガイドによって画定されたチャネルと位置合わせされている、請求項11に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項13】
前記フローガイドが互いに対して非平行である、請求項12に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項14】
前記フローガイドのうちのそれぞれのフローガイドが長さを有し、横方向外側のフローガイドの長さが内側に配置されたフローガイドの長さよりも長い、請求項13に記載のガス流入り口ガイド。
【請求項15】
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体に結合されたリッドと、
前記リッドに結合されたガス流入り口ガイドと
を備え、前記ガス流入り口ガイドが、
第1の開口および第2の開口を備えるフローガイドボトムプレートであり、前記第2の開口が、前記第2の開口の上に配されたプラズマブロッカを含み、前記フローガイドボトムプレートが三角形の形状を有する、前記フローガイドボトムプレートと、
プレナムを画定するために、前記フローガイドボトムプレートの上に、前記フローガイドボトムプレートと接触して配されたトッププレートであり、前記トッププレートが三角形の形状を有する、前記トッププレートと、
前記プレナム内の、前記第1の開口と前記第2の開口との間に配されたフローガイドモジュレータと、
前記第1の開口から前記第2の開口にガスを導くために前記プレナム内に配された複数のフローガイドと
を備える、プロセスチャンバ。
【請求項16】
前記フローガイドボトムプレートと係合するプロセスキットをさらに処理する、請求項15に記載のプロセスチャンバ。
【請求項17】
前記プラズマブロッカが金属メッシュである、請求項16に記載のプロセスチャンバ。
【請求項18】
前記金属メッシュの開孔サイズが約50μm~約100μmである、請求項17に記載のプロセスチャンバ。
【請求項19】
前記金属メッシュが、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、これらの合金またはこれらの組合せを含む、請求項18に記載のプロセスチャンバ。
【請求項20】
前記フローガイドモジュレータが、前記フローガイドモジュレータを貫いて形成された複数の開口を備え、それぞれの開口が、隣り合うフローガイドによって画定されたチャネルと位置合わせされている、請求項19に記載のプロセスチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般にプロセスチャンバ用のガス流ガイド(gas flow guide)設計に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、プロセスガスを均一に供給し、最小限の欠陥で基板を効果的に処理するためのガス流ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上に材料を均一に堆積させるために、原子層堆積(ALD)チャンバまたはプラズマCVD(PECVD)チャンバなどのいくつかのプロセスチャンバに対してガス分配アセンブリが使用されている。ガス分配アセンブリには、プラズマ源からの寄生プラズマまたはプロセスチャンバのプロセス容積からの寄生プラズマが侵入することがあり、この寄生プラズマによってガス分配アセンブリ内で堆積が生じることがある。時間の経過とともに、この堆積は、基板を汚染しうるまたは基板の欠陥の原因となりうる粒子を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当技術分野では、プロセスガスを均一に供給するガス分配アセンブリであり、ガス分配アセンブリに寄生プラズマが侵入することを防ぐガス分配アセンブリを有するチャンバが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、ガス流入り口ガイドが、第1の開口および第2の開口を備えるフローガイドボトムプレートであり、第2の開口が、第2の開口の上に配されたプラズマブロッカを含む、フローガイドボトムプレートと、プレナムを画定するために、フローガイドボトムプレートの上に、フローガイドボトムプレートと接触して配されたトッププレートと、第1の開口から第2の開口にガスを導くためにプレナム内に配された複数のフローガイドとを備える。
【0005】
別の実施形態では、ガス流入り口ガイドが、第1の開口および第2の開口を備えるフローガイドボトムプレートであり、第2の開口が、第2の開口の上に配されたプラズマブロッカを含む、フローガイドボトムプレートと、プレナムを画定するために、フローガイドボトムプレートの上に、フローガイドボトムプレートと接触して配されたトッププレートと、プレナム内の、第1の開口と第2の開口との間に配されたフローガイドモジュレータ(flow guide modulator)と、第1の開口から第2の開口にガスを導くためにプレナム内に配された複数のフローガイドとを備える。
【0006】
別の実施形態では、プロセスチャンバが、チャンバ本体と、チャンバ本体に結合されたリッドと、リッドに結合されたガス流入り口ガイドとを備え、ガス流入り口ガイドが、第1の開口および第2の開口を備えるフローガイドボトムプレートであり、第2の開口が、第2の開口の上に配されたプラズマブロッカを含み、フローガイドボトムプレートが三角形の形状を有する、フローガイドボトムプレートと、プレナムを画定するために、フローガイドボトムプレートの上に、フローガイドボトムプレートと接触して配されたトッププレートであり、トッププレートが三角形の形状を有する、トッププレートと、プレナム内の、第1の開口と第2の開口との間に配されたフローガイドモジュレータと、第1の開口から第2の開口にガスを導くためにプレナム内に配された複数のフローガイドとを備える。
【0007】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるようにするため、そのうちのいくつかが添付図面に示されている実施形態を参照することにより、上に概要を簡単に示した本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を本開示の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。これは、本開示が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による原子層堆積チャンバの概略断面図である。
図2】一実施形態によるガス流入り口ガイドの概略側断面図である。
図3A】一実施形態によるガス流入り口ガイドのフローガイドボトムプレートの概略図である。
図3B】一実施形態によるフローモジュレータの概略図である。
図4】一実施形態によるガス流入り口ガイドのフローガイドトッププレートの概略下面図である。
図5】一実施形態による、プラズマブロッカのメッシュ開口サイズを決定するための例示的なデバイ長曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通の同一の要素を示すのに同一の参照符号を使用した。追加の記載なしに、1つの実施形態の要素および特徴を他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図される。
【0010】
本明細書に記載された実施形態は、プロセスガスを均一に供給するためのガス流入り口ガイドと、プロセスガスを効果的にパージし、パージ時間を短縮するためのガス流出口ガイドとを有するチャンバを提供する。このチャンバはチャンバ本体を含み、チャンバ本体は、リッドアセンブリ、チャンバ内の処理領域と流体連結するように構成されたプロセスガス入り口およびプロセスガス出口、プロセスガス入り口に配されたガス流入り口ガイド、ならびにプロセスガス出口に配されたガス流出口ガイドを有する。ガス流入り口ガイドはフローモジュレータおよび入り口ガイドチャネルを含む。ガス流出口ガイドは出口ガイドチャネルを含む。
【0011】
図1は、一実施形態によるALDチャンバ100の概略断面図である。適当なALDチャンバは、米カリフォルニア州Santa ClaraにあるApplied Materials,Inc.から入手することができる。以下で説明するシステムは例示的なチャンバであり、他の製造業者のチャンバを含む他のチャンバを本開示の諸態様とともに使用すること、または他の製造業者のチャンバを含む他のチャンバを本開示の諸態様を実施するように変更することができることを理解すべきである。PECVDチャンバが本開示の諸態様から利益を得ることも企図される。ALDチャンバ100は、チャンバ本体102、リッドアセンブリ104、プロセスキット106、基板支持アセンブリ108、プロセスガス入り口110およびプロセスガス出口112を含む。
【0012】
リッドアセンブリ104はチャンバ本体102の上に配されており、基板支持アセンブリ108は少なくとも部分的にチャンバ本体102内に配されている。プロセスキット106はリッドアセンブリ104に結合されている。基板支持アセンブリ108は、ステム(stem)118によってチャンバ本体102内に移動可能に配されたペデスタル116を含む。ペデスタル116は、基板101を支持するように構成された基板支持面132を含む。ステム118はチャンバ本体102を貫いて延びており、そこで、ステム118は、ペデスタル116を処理位置(図示の位置)と移送位置との間で移動させるリフトシステム(図示せず)に接続されている。移送位置は、ALDチャンバ100の内部へのアクセスを提供するためにチャンバ本体102の側壁に形成されたスリットバルブ開口114を通して基板101を移送することを容易にする。
【0013】
処理位置では、基板支持アセンブリ108がプロセスキット106と接触して、基板支持面132と、プロセスキット106とリッドアセンブリ104の下面とによって画定された処理領域120を形成する。処理位置にある基板支持アセンブリ108がプロセスキット106と接触して処理領域120を形成したとき、プロセスキット106のガス入り口122およびガス出口124はそれぞれプロセスガス入り口110およびプロセスガス出口112に結合されて、密封されたそれぞれのガス通路を形成する。プロセスガス入り口110およびプロセスガス出口112は処理領域120と流体連結するように配置されている。このようにすると、プロセスガスはプロセスガス入り口110に供給され、ガス入り口122を通して処理領域120に供給される。プロセスガス出口112はポンプ126に接続されている。ポンプ126によって、プロセスガスは処理領域120内を基板101を横切って流れ、ガス出口124およびプロセスガス出口112を通して排出される。リッドアセンブリ104の電極130にRF(高周波)源128が結合されている。RF源128は電極130に電力を供給して、処理領域120内でプロセスガスからプラズマを発生させることを容易にする。ペデスタル116は接地されており、または、RF源128に接続されたときにペデスタル116が、基板101に向かってプラズマ種を加速するためにリッドアセンブリ104の下面とペデスタル116との間に容量性電場を発生させるためのカソードの役割を果たしてもよい。
【0014】
ALDおよび/またはPECVDに対して使用される特定の一種または数種のガスは、実行する1つまたは複数のプロセスによって決まる。一実施形態では、このガスが、トリメチルアルミニウム(CH33Al(TMA)、CpZr、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウムZr[N(CH3)(C25)]4(TEMAZ)、窒素(N2)および酸素(O2)を含みうるが、ガスはこれらに限定されるわけではなく、一種または数種の前駆体、還元剤、触媒、担体、パージガス、洗浄ガス(例えばBCl3)またはこれらの混合物もしくは組合せを含むことがある。ガスは片側からALDチャンバ100に導入され、基板101を横切って流れる。例えば、ガスは、プロセスガス入り口110、ガス入り口122を通り、処理領域120を横切って流れ、ガス出口124およびプロセスガス出口112を通して排出される。
【0015】
例示的な酸化アルミニウム(Al23)膜形成プロセスでは、処理領域120にTMAの流れが供給される。処理領域120を横切って流れるTMAは基板101を横切って流れ、基板101上にTMAの層を形成する。処理領域120に酸素含有ガスの流れが供給される。処理領域120を横切って流れる酸素含有ガスは、基板101を横切って流れ、活性化されてプラズマとなって、TMAの層と反応するための酸素ラジカルを供給する。一実施形態ではこの酸素含有ガスがO2またはオゾン(O3)である。この酸素ラジカルは基板101上のTMAの層と反応してAl23の層を形成する。TMAを流すこと、酸素含有ガスを流すこと、および酸素含有ガスを活性化してプラズマとし基板101上に追加の層を形成することの反復を、所望の厚さを有するAl23膜が形成されるまで続ける。
【0016】
例示的な二酸化ジルコニウム(ZrO2)膜形成プロセスでは、処理領域120にTEMAZの流れが供給される。処理領域120を横切って流れるTEMAZは基板101を横切って流れ、基板101上にTEMAZの層を形成する。処理領域120に酸素含有ガスの流れが供給される。処理領域120を横切って流れる酸素含有ガスは、基板101を横切って流れ、活性化されてプラズマとなって、TEMAZの層と反応するための酸素ラジカルを供給する。この酸素ラジカルは基板101上のTEMAZの層と反応して基板101上にZrO2の層を形成する。TEMAZを流すこと、O2を流すこと、および酸素含有ガスを活性化してプラズマとすることの反復を、所望の厚さを有するZrO2膜が形成されるまで続ける。
【0017】
プロセスガス流を均一に供給するためにガス流入り口ガイド202が提供されており、プロセスガスを効果的かつ効率的にパージするためにガス流出口ガイド203が提供されている。処理中には、従来のガス流入り口ガイドに、プラズマ源(図示せず)からのプラズマまたはプロセス容積からのプラズマなどの寄生プラズマが侵入し、この寄生プラズマによってフローガイドアセンブリ内で堆積が生じる。この堆積の結果、粒子が生成し、これによって基板支持体上に配されたガラス基板などの基板上に汚染が生じる。しかしながら、ガス流入り口ガイド202の開口とプロセスキット106との境界面にプラズマブロッカ201を含めることによって、ガス流入り口ガイド202へのプラズマの侵入を大幅に低減させることができることが分かった。プラズマブロッカ201は、例えば金属でできたメッシュ材料またはメッシュを含んでもよく、プラズマブロッカ201を通り抜けてガスが流れることを許し、その一方で寄生プラズマの侵入を防ぐ。適切なサイズのメッシュ材料を選択することによって寄生プラズマの侵入を防ぐことができる。
【0018】
図2は、ガス流入り口ガイド202の概略側断面図である。ガス流入り口ガイド202は、フローガイドボトムプレート206に結合されたフローガイドトッププレート204から形成されている。ガス流入り口ガイド202は、ガス流入り口ガイド202内に形成されたプロセスガス入り口110を含む。プロセスガス入り口110を画定するために、フローガイドトッププレート204は、トッププレートシール210、例えばOリングなどを用いてフローガイドボトムプレート206と気密シールを形成している。プロセスガス入り口110内には、少なくとも1つのチャネル214(図3には複数のチャネル214が示されている)が配されている。それぞれのチャネル214は隣り合うガイド270間に画定されており、それらのフローガイドは、互いに対して非平行構成で配置されている。チャネル214は、プロセスガス入り口110を通る改良されたガス流を容易にする。入り口274を介してプロセスガス入り口110にプロセスガスが供給される。任意選択のフローガイドモジュレータ390(図3Bに関してさらに詳細に説明する)が、チャネル214内でのガス流の誘導および/または調節を容易にする。
【0019】
フローガイドボトムプレート206は、処理領域120(図1に示されている)と流体連結した開口208を含む。開口208は、処理領域120との流体連結を容易にするためにプロセスキット106の開口と位置合わせされている。フローガイドボトムプレート206は、フローガイド本体シール212、例えばOリングなどを用いてプロセスキット106と気密シールを形成している。いくつかの実施形態では、プロセスキット106が、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素または別のセラミック材料などのセラミックからなる。
【0020】
プロセスガス源272からプロセスガスが、プロセスガス入り口110、少なくとも1つのチャネル214を通って開口208に流れる。プロセスキット106とフローガイドボトムプレート206との境界面207にプラズマブロッカ201が配されている。プラズマブロッカ201は、フローガイドボトムプレート206またはプロセスキット106に結合されている。代替として、フローガイドボトムプレート206は、フローガイド本体シール212のために形成された溝の中において、プロセスキット106とフローガイドボトムプレート206との間に締め付けられている。プラズマブロッカは、金属メッシュなどのメッシュ材料であり、このメッシュ材料は、メッシュ材料を通り抜けてガスが流れることを許し、その一方で寄生プラズマの逆流を防ぐ。一例では、プラズマの逆流を軽減するようにメッシュサイズが選択される。サイズおよびパターンを含むさまざまなメッシュ構成が、ガスが十分に流れることを容易にし、その一方で寄生プラズマの逆流を軽減する可能性があることが企図される。例えば、メッシュは、正方形または長方形の開口を形成するように配置された複数の金属ワイヤによって形成されたものとすることができる。このような例では、このような開口の長さの幅が、750以下、例えば500マイクロメートル以下、例えば400マイクロメートル以下、例えば300マイクロメートル以下、例えば200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、例えば100マイクロメートル以下、例えば50マイクロメートル以下、例えば40マイクロメートル以下、例えば30マイクロメートル以下、例えば20マイクロメートル以下であってもよい。上記のとおり、他のサイズも企図される。
【0021】
図3Aは、フローガイドボトムプレート206の概略上面図であり、図4は、フローガイドトッププレート204の概略下面図である。フローガイドボトムプレート206は、プロセスキット106と少なくとも部分的にインターフェースするように構成されたインターフェース面を含む。このインターフェース面は内面302の反対側の主要面である。インターフェース面にはシール212(破線で示されている)が配されている。フローガイドボトムプレート206は、長さが等しい2辺を有する三角形として示されているが、他の形状の三角形を含む他の形状も企図される。
【0022】
フローガイドボトムプレート206は上流端306および下流端307を含む。開口208は下流端307に隣接して配されており、開口208を通してガスを分配するように構成されている。プラズマブロッカ201は少なくとも部分的に開口208の上に配されている。図示されているように、プラズマブロッカ201は開口208を完全に覆っている。プラズマブロッカ201は、フローガイドボトムプレート206に取外し可能に結合されているか、またはプロセスキット106とフローガイドボトムプレート206との間に締め付けられている。プラズマブロッカ201をその中に受け取るために、プロセスキット106またはフローガイドボトムプレート206に凹部が形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、所定の量の基板処理後にプラズマブロッカ201が交換される。いくつかの実施形態では、プラズマブロッカ201の材料に適合するBCl3などの洗浄ケミストリを使用してプラズマブロッカ201が洗浄される。いくつかの実施形態では、所定の回数の処理後にプラズマブロッカ201が交換される。いくつかの実施形態では、保守中にプラズマブロッカ201およびシール212が交換される。
【0023】
隣り合うガイド270間に複数のチャネル214が形成されている。ガイド270は、互いから角度の付いた間隔を置いて配置されており、プラズマブロッカ201に向かってガスを導く。ガイド270は、任意選択のガス流モジュレータ390から所定の距離だけ延びている。ガイド270はプラズマブロッカ201まで延びていてもよいこと、または(図示されているように)プラズマブロッカ201まで達していなくてもよいことが企図される。さらに、ガイド270の長さ、幅、角度の付いた間隔および量を、プロセス仕様に従ってガス流に影響を与えるように調整してもよいことも企図される。
【0024】
一例では、プラズマブロッカが、幅の少なくとも2倍、例えば少なくとも5倍、例えば少なくとも10倍、例えば少なくとも20倍の長さを有する。一例では、プラズマブロッカ201の長さが、最も外側のフローガイド270の最も開いた点間の最大幅よりも大きい。他の寸法および構成も企図される。
【0025】
図3Bは、任意選択のガス流モジュレータ390の概略図である。ガス流入り口ガイド202内でのガス流の誘導を容易にするため、フローガイドボトムプレート206にガス流モジュレータ390を結合してもよい。ガス流モジュレータは、ガスをチャネル214に導入するための複数の開口291(1つに符号がつけられている)を含む。一例では、それぞれの開口291が単一チャネル214に対応する。しかし他の構成も企図される。プロセス均一性(例えば堆積均一性)を調整するために、チャネル214を通して所定の態様で流れを導くように、開口のサイズ(例えば直径)、方向、位置および/または数を調整することができる。ガス流モジュレータ390の形状は円弧形である(しかし他の形状も企図される)。ガス流モジュレータ390の端部は、フローガイドボトムプレート206の隣接する側壁に接している。
【0026】
図4を参照すると、表面408を取り囲む凹部404を有するフローガイドトッププレート204の下面図が示されている。凹部404は、その中でシールを支持するように構成された溝である。例えば、凹部404は、トッププレートシール210(図2に示されている)のための蟻溝(dovetail groove)であってもよい。表面408は、フローガイドボトムプレート206と少なくとも部分的にインターフェースして、フローガイドボトムプレート206内にプレナム(例えばプロセスガス入り口110)を画定するように構成されている。
【0027】
フローガイドトッププレート204は、締め具406(3つの締め具が示されているが、それよりも多くの締め具も企図される)を使用してフローガイドボトムプレート206に結合されている。フローガイドトッププレート204は三角形として示されているが、他の形状も企図される。さらに、凹部404も三角形として示されているが、1つまたは複数の頂点が丸くなった三角形など、他の形状も企図される。凹部404が存在することを除けば、フローガイドトッププレート204は、反対側を向いた平らな主要面を有する平らな部材である、
【0028】
プラズマブロッカ201(図1に示されている)は、表面408など、ガス流入り口ガイド202の容積を形成している表面内における材料の堆積を抑止することが分かった。プラズマブロッカ201は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、これらの合金またはこれらの組合せなどの金属からなる。プラズマブロッカ201は、処理において使用される1種または数種のプラズマのデバイ長(λD)に基づいて決められたメッシュ開口サイズを有するメッシュである。プラズマブロッカは、プラズマ密度、電子温度またはイオン温度などの1つまたは複数のプラズマ特性に基づいてサイズが決められた1つまたは複数のメッシュ開口を含む。いくつかの実施形態では、メッシュ開口のサイズが、ガス原子またはガス分子のサイズなどプロセスガスの特性に基づいて決められる。本明細書で使用されるとき、メッシュ開口サイズは、メッシュの開孔の長さまたは直径、例えば平均長または平均直径を指す。このメッシュは、平面状に配置されたワイヤの第1のセットであり、ワイヤの第1のセットの隣り合うワイヤの各々が互いに実質的に平行である、ワイヤの第1のセットと、ワイヤの第1のセットの上に配置されたワイヤの第2のセットであり、ワイヤの第2のセットの隣り合うそれぞれのワイヤが互いに実質的に平行である、ワイヤの第2のセットとからなることができる。ワイヤの第1のセットは、ワイヤの第2のセットに対して角度が付けられている。例えば垂直配置をとっている。メッシュ開口は、ワイヤの第1のセットもしくは第2のセットの隣り合うワイヤ間の距離とすることができ、または隣り合うワイヤ交点間の距離とすることができる。他のメッシュテクスチャおよび配置も企図される。
【0029】
デバイ長は下式(1)を使用して決定される。
【数1】
上式で、λDはデバイ長、ε0は材料の誘電率(例えば自由空間)、kBはボルツマン定数、qeは電子電荷、Teは電子温度、Tiはイオン温度、neは電子密度、njは、正のイオン電荷zjeを有する原子種jの密度である。
【0030】
いくつかの実施形態では、イオンの移動度を無視できるときなどに、デバイ長が下式(2)を使用して決定される。
【数2】
上式で、λDはデバイ長、εは材料の誘電率(例えば自由空間)、kBはボルツマン定数、qは電子電荷、Teは電子温度、nは電子密度である。
【0031】
メッシュ開口サイズを、下式(3)によって表すことができるデバイ長の因数とすることができる。
メッシュ開口=C×λD、ここでCは0よりも大きい。 式(3)
【0032】
約0~約1以下のC値は非常に良好な遮蔽に対応するが、プロセスガス流およびプラズマを少なくとも部分的にまたは完全に遮断しうる。いくつかの実施形態では、約1~約10、約2~約5などの約1以上のC値が、良好なプラズマ遮蔽を提供し、その一方で、それを通り抜けてプロセスガスが流れることを許す。
【0033】
図5は、さまざまなプラズマ密度を、メッシュ開口サイズを決定するのに使用する対応するデバイ長に関連づけるCCPパラメータから生成された曲線を示している。例示的なプロセスに関して、プラズマの電子密度は約1×1010cm3~約10×1010cm3であり、電子温度は約1~約4eVである。プラズマの電子密度は、約3×1010cm3~約5×1010cm3、または7×1010cm3~約9×1010cm3でありうる。メッシュ開口サイズは約50μm~約100μmが選択される。メッシュ開口サイズは、プラズマの侵入を高い確率レジームで防ぎ、その一方でプロセスガスがメッシュを通り抜けてプロセス容積に入ることを許すように選択される。プラズマに応じて他の電子密度およびメッシュ開口サイズも企図される。小さすぎるメッシュ開口サイズを選択することはプロセスに影響を及ぼしうることが分かった。例えば、小さすぎるメッシュ開口サイズを選択すると、プロセスに必要なガス分子の少なくとも一部が遮断されることによって、プロセスチャンバに流入するガスのケミストリが変化しうる。また、大きすぎるメッシュ開口サイズを選択すると、ガス流入り口ガイド202に入る寄生プラズマを低減させる効果がなくなる。
【0034】
ALDチャンバに関してプラズマブロッカ201を説明したが、PECVDチャンバなど、プラズマを使用する他のチャンバも企図される。メッシュでできたプラズマブロッカ201を使用し、メッシュ開口サイズを、プラズマ密度、電子温度などのプラズマプロセス特性に基づいて決定することによって、プラズマブロッカ201を通り抜けてガスが流れることを許し、その一方で寄生プラズマを遮断することができる。
【0035】
以上の説明は本開示の例を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の例および追加の例が考案される可能性があり、本開示の範囲は以下の請求項によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】