(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】5-メチルへキサ-2-エノールのエステル及び芳香化学物質としてのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20240927BHJP
C07C 69/145 20060101ALI20240927BHJP
C07C 69/24 20060101ALI20240927BHJP
C07C 69/75 20060101ALI20240927BHJP
C07C 69/78 20060101ALI20240927BHJP
C07C 69/767 20060101ALI20240927BHJP
C07C 67/293 20060101ALI20240927BHJP
B01J 31/28 20060101ALI20240927BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C11B9/00 T
C07C69/145 CSP
C07C69/24
C07C69/75 Z
C07C69/78
C07C69/767
C07C67/293
B01J31/28 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518794
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2022076823
(87)【国際公開番号】W WO2023052353
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテンベルク,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲル,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ブル ロイク,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】ガルリヒス,フロリアン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169BE18A
4G169BE18B
4G169BE46A
4G169BE46B
4G169CB25
4G169CB41
4G169DA02
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB14
4H006AC14
4H006AC48
4H006BA25
4H006BA37
4H006BA46
4H006BA62
4H006BB11
4H006BB25
4H006BC19
4H006BC34
4H006BJ10
4H006BJ50
4H006KA30
4H039CA66
4H039CJ90
(57)【要約】
本発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物又はその立体異性体であって、Rが、芳香成分として直鎖若しくは分枝状のC
1~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、非置換若しくはC
1~C
3置換C
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換アリールである化合物の使用に関する。式(I)の少なくとも1つの化合物は、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノート、又は2つ以上のノートの組み合わせを想起させる芳香の印象を組成物に付与し、また、組成物の芳香を向上及び/又は改質するために使用することができる。本発明は、更に、式(I)の少なくとも1つの化合物、並びに(i)式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの芳香化学物質、及び/又は(ii)少なくとも1つの非芳香化学物質担体を含む組成物を対象とする。本発明はまた、式(I)の特定の化合物それ自体、及びそれらの調製プロセスも対象とする。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の少なくとも1つの化合物
【化1】
又はその立体異性体
(式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
1~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである)
の、組成物に芳香の印象を付与するための使用。
【請求項2】
Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニル、又は4-メチルフェニルから選択される、請求項1に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項3】
Rがメチルである、請求項1に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、単一の立体異性体、シス異性体I(a)
【化2】
及び
トランス異性体I(b)
【化3】
を、0.01~99.99から99.99~0.01の範囲の重量比で含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物を組成物に添加する工程を少なくとも含む、組成物に芳香のノートを付与する方法。
【請求項6】
前記芳香の印象が、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノート、又は2つ以上のノートの組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項7】
式(I)の化合物が、前記組成物の総重量に基づいて、0.001重量%以上から70.0重量%以下の範囲の総量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項8】
請求項1~4に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(i)前記式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの芳香化学物質(X)、又は
(ii)少なくとも1つの非芳香化学物質担体、又は
(i)と(ii)の両方を含む組成物。
【請求項9】
式(I)の化合物
【化4】
又はその立体異性体であって、
式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである化合物。
【請求項10】
式(Ib)の化合物であって、
【化5】
式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである化合物。
【請求項11】
Rが、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニル、又は4-メチルフェニルから選択される、請求項9~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
請求項10に記載の前記式(Ib)の化合物を調製するためのプロセスであって、
a)式(II)の化合物
【化6】
のアリル転位を、有機金属触媒の存在下で実施する工程と、
b)任意選択により、工程(a)で得られた式(I)の粗化合物を精製する工程と、を含み、
式中、Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールであるプロセス。
【請求項13】
工程a)のアリル転位が、3時間~21時間の時間周期で反応混合物を撹拌することによって実施される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記有機金属触媒が、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセタト)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(アセトニトリル)パラジウムジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリド、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル-イミダゾール-2-イリデン)金(I)クロリド、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)テトラフルオロボラート、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)ヘキサフルオロホスフェート、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)フルオロアンチモン酸、又は(アセトニトリル)1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾール-2-イリデン金(I)ヘキサフルオロホスフェートから選択される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記有機金属触媒が、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記有機金属触媒が、前記式(II)の化合物に対して0.001重量当量~0.3重量当量の量で使用される、請求項12~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
式(Ib’)の化合物であって、
【化7】
式(IIa)の化合物
【化8】
を、1.0重量%~0.01重量%の範囲で含む化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、芳香成分としての式(I)の少なくとも1つの化合物の使用に関する。式(I)の少なくとも1つの化合物は、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノート、又は2つ以上のノートの組み合わせを想起させる芳香の印象を組成物に付与し、また、組成物の芳香を向上及び/又は改質するために使用される。本発明は、更に、式(I)の少なくとも1つの化合物、及び(i)式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの芳香化学物質、又は(ii)少なくとも1つの非芳香化学物質担体、又は(iii)(i)と(ii)の両方を含む組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
芳香化学物質、特に香料は、特に、化粧品、洗浄組成物及び洗濯用組成物の分野で大きな注目を集めている。
【0003】
多数の合成芳香化学物質が既に存在しているにもかかわらず、極めて多様な用途分野で所望される多数の特性を満たすことができるようにするために、新しい成分が常に必要とされている。これらの特性には、第1に感覚特性が含まれ、即ち、化合物は有利な匂い(嗅覚)特性を有する必要がある。更に、芳香化学物質は、例えば、効率的な調製方法、他の芳香化学物質との相乗効果の結果としてより良好な感覚プロファイルを提供する可能性、特定の適用条件下におけるより高い安定性、及び/又はより良好で高い持続性などの、更なる肯定的な二次特性も有する必要がある。
【0004】
このような特性は、例えば、ケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維製品洗剤組成物、及び香りディスペンサー用組成物などの組成物において特に注目されている。
【0005】
特に注目されているものの中に、組成物に1つ以上の明確な感覚的印象を与え、これによって、豊かで興味深い感覚プロファイル、特に組成物の嗅覚プロファイルに寄与することができる芳香化学物質がある。この点において、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノートを付与することができる芳香化学物質が主に注目されている。加えて、組成物だけでなく組成物で処理された表面にも長期間持続する匂いの印象が得られるように、持続性及び粘り強さが特に注目されている。
【0006】
しかしながら、化学構造のわずかな変化でさえ、匂い及び/又は香味などの感覚特性に大きな変化をもたらすため、特定の匂いなどの特定且つ明確な感覚特性を持つ物質を対象として探索することは非常に困難である。したがって、新しい芳香化学物質の探索は、ほとんどの場合、所望の匂い及び/又は香味を持つ物質が実際に見つかるかどうかさえわからないままでは、困難で骨の折れる作業である。
【0007】
本明細書で特許請求される発明の目的は、芳香化学物質として、組成物中で単独で又は混合物として使用できる物質を提供することであり、特に、心地よい匂いを有する強い匂い物質が求められている。更に、それらは、新規で有利な感覚プロファイルの生成を可能にし、組成物中で使用することができる、他の芳香化学物質と組み合わせることができなければならない。
【0008】
本明細書で特許請求される発明の目的は、心地よい嗅覚的印象;好ましくは、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノートから選択される印象のうちの2つ以上の組み合わせを有する新規の芳香化学物質を提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、無毒な芳香化学物質であり、それらを迅速且つ経済的に製造することが可能な、容易に入手可能な出発材料から得られる必要のある芳香化学物質を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、容易に製造することができ、心地よい芳香を有する式(I)の化合物を提供することによって達成された。
【0011】
本明細書で特許請求される発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物
【化1】
又はその立体異性体
(式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
1~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである)
の、組成物に芳香の印象を付与するための使用に関する。
【0012】
本明細書で特許請求される発明の更なる態様は、式(I)の少なくとも1つの化合物を組成物に添加する工程を少なくとも含む、組成物に芳香の印象を付与する方法に関する。
【0013】
本明細書で特許請求される発明の別の態様は、組成物の芳香の特徴を改質するための、式(I)の少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0014】
本明細書で特許請求される発明の更なる態様は、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノート、又は2つ以上のノートの組み合わせを組成物に付与するための、式(I)の少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0015】
本明細書で特許請求される発明の更なる態様は、組成物の芳香を増強する方法に関する。前記方法は、芳香組成物を得るために、式(I)の少なくとも1つの化合物を、例えば式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの他の芳香化学物質及び/又は少なくとも1つの非芳香化学物質担体などの他の成分と混合する工程を含む。
【0016】
本明細書で特許請求される発明の更に別の態様は、組成物の芳香を改質する方法に関する。前記方法は、芳香が改質された芳香組成物を得るために、本明細書で特許請求される発明の少なくとも1つの化合物を芳香組成物に組み込む工程を含む。
【0017】
更に、式(I)の化合物は、容易に入手可能な出発物質から出発する単純な合成によって、良好な収率及び純度で生成することができる。したがって、本明細書で特許請求される発明の化合物は、大規模で簡易的なコスト効率の高い方法で生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書全体にわたる「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」又は「好ましい実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造又は特性が、本明細書で特許請求される発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所における「一実施形態では(in one embodiment)」又は「好ましい実施形態では(In a preferred embodiment)」又は「好ましい実施形態では(in a preferred embodiment)」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態を指すことがあり得る。更に、本開示から当業者には明らかなように、1つ以上の実施形態において、特徴、構造、又は特性を任意の好適な方法で組み合わせることができる。更に、当業者には理解されるように、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、いくつかの特徴を含むが、他の実施形態に含まれる他の特徴は含まれず、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、主題の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲では、特許請求された実施形態のいずれかが任意の組み合わせで使用される。
【0019】
更に、本明細書全体にわたって定義される範囲には、最終値も同様に含まれ、即ち、1~10の範囲は、1と10の両方が範囲内に含まれることを意味する。疑義を避けるために、本出願人は、適用法に従って任意の均等物を得る権利を有するものとする。
【0020】
本発明の文脈における「芳香」という用語は、感覚特性を指し、匂い及び/又は香味を含む。
【0021】
「芳香化学物質」という用語は、感覚的又は官能的(本明細書では交換可能に使用される)印象を得るために使用される物質を意味し、嗅覚及び/又は香味印象を得るためのその使用を含む。「嗅覚的印象」又は「ノート」という用語(本明細書では交換可能に使用される)は、いずれの肯定的な判断又は否定的な判断もない匂いの印象を意味するが、「香りの印象」又は「香料の印象」又は「芳香の印象」(本明細書では交換可能に使用される)という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に心地よいと感じられる匂いの印象に関連する。したがって、「香料」又は「香り」は、心地よい匂いの印象を主に誘発する芳香化学物質を意味する。香味は、味覚の印象を誘発する芳香化学物質を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「芳香組成物」という用語は、芳香を誘発する組成物を指す。芳香組成物という用語は、「匂い組成物」及び/又は「香味組成物」を含む。匂い組成物は、主に匂いの印象を誘発する組成物であり、香味組成物は、主に味覚の印象を誘発する組成物である。
【0023】
「芳香プロファイル」という用語は、芳香化学物質の全体的な芳香の印象を意味し、芳香化学物質の個々の芳香の印象から構成される。匂い組成物という用語は、「香料組成物」又は「香り組成物」(本明細書では交換可能に使用される)を含み、主に、一般的に心地よいと感じられる匂いの印象を誘発する。
【0024】
一般的な表現である「有利な感覚特性」又は「有利な官能特性」は、芳香化学物質によって伝達される官能的印象の快適さ(niceness)及び明確さ(conciseness)を表す。「快適さ」及び「明確さ」は、調香師などの当業者によく知られている用語である。快適さは、一般的に、自発的にもたらされ、肯定的に知覚された心地よい感覚的印象を指す。しかしながら、「快適」は、「甘い」と同義である必要はない。「快適」は、ムスク又はサンダルウッドの匂いでもあり得る。「明確さ」は、一般的に、同じ試験パネリストに対し、なにか特定のものを再現可能に同一的に思い出させる、自発的にもたらされる感覚的印象を指す。例えば、ある物質が、自発的に「リンゴ」の匂いを想起させる匂いを有する場合、その匂いは、明確に「リンゴ」になる。このリンゴの匂いが、例えば、甘くて完熟したリンゴを想起させるために非常に心地よい場合、その匂いは、「快適」と称される。しかしながら、典型的には酸っぱいリンゴの匂いもまた、明確であり得る。物質の匂いをかぐと両方の反応が起こり、この例では、これにより快適で明確なリンゴの匂いがする場合、この物質は、特に有利な感覚特性を有する。
【0025】
2つの化合物の組成物、方法又は使用を言及して本明細書で使用される場合、「の組み合わせ」、「と組み合わせて」又は「と組み合わせた」という表現は、この2つの化合物が前記化合物の物理的混合物の形態で使用される必要はなく、別々に使用(例えば、添加)され得るという事実が考慮される。化合物が別々に使用される場合、それらは、任意の順序で連続的に(即ち、順々に)、又は同時に(即ち、基本的に同時点で)使用(例えば、添加)され得る。
【0026】
「増強する(boosting)」又は「増強する(boost)」という用語は、本明細書では、芳香組成物のそれぞれ芳香化学物質又は組成物の芳香を向上及び/又は改質する効果を表すために使用される。「向上する」という用語は、芳香の快適さ及び/若しくは明確さの改善、並びに/又は強度の改善を含む。「改質する」という用語は、芳香プロファイルの改質を含む。「快適さ」及び「明確さ」という用語は、調香師などの当業者によく知られており、それぞれの意味を有する。強度は、閾値の決定によって決定することができる。もはや定義する必要はないが、匂いの閾値は、代表する試験パネリストが匂いの印象を依然として知覚できる、関連するガス空間内の物質の濃度である。
【0027】
増強効果は、例えば、防臭剤、エアフレッシュナー又はチューインガムにおける味覚分野で、匂いが特に迅速且つ集中的に伝達される、トップノートを特徴とする用途が必要とされる香料組成物に特に所望される。
【0028】
「本発明は~に関する」及び「本発明は~を対象とする」という用語は、本発明の全体にわたって同義的に使用される。
【0029】
「粘り強さ」という用語は、芳香化学物質の経時的な蒸発挙動を表す。粘り強さは、例えば、芳香化学物質を試験ストリップに塗布し、続いてこの試験ストリップの匂いの印象を嗅覚的に評価することによって決定することができる。高い粘り強さを有する芳香化学物質の場合、パネリストが依然として芳香の印象を識別できる時間間隔は長くなる。「持続性」という用語は、例えば、皮膚又は繊維製品などの表面との、特に、例えば洗浄などの表面の後続処理後の芳香化学物質の相互作用を表す。持続性は、例えば、芳香化学物質を含む繊維製品洗剤組成物で繊維製品を洗浄し、続いて洗浄直後の繊維製品(濡れた繊維製品)の嗅覚的評価、及び長期保存後の乾燥した繊維製品の評価によって決定することができる。
【0030】
「安定性」という用語は、酸素、光、及び/又は他の物質と接触した際の芳香化学物質の挙動を表す。安定性の高い芳香化学物質は、その芳香プロファイルを、好ましくは多種多様な組成物中で、及び様々な保管条件下で、長期間にわたり維持する。
【0031】
組成物又は組成物で処理された表面に長く持続する芳香の印象を付与するためには、芳香化学物質の残留性、持続性及び組成物中での安定性が、好ましくは高いものでなければならない。
【0032】
「直鎖状のC1~C9アルキル」という用語は、1~9個の炭素原子を有する直鎖飽和炭化水素基を指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル及びノニルが挙げられる。
【0033】
「分枝状のC1~C9アルキル」という用語は、1~9個の炭素原子を有する分枝鎖飽和炭化水素基を指す。好ましくは、分枝状のC1~C9アルキルは、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、1-メチルヘプチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、1-メチルオクチル、2-メチルオクチル、3-メチルオクチル、4-メチルオクチル、5-メチルオクチル、6-メチルオクチル及び7-メチルオクチル、1-エチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、1-エチルヘプチル、2-エチルヘプチル、3-エチルヘプチル、4-エチルヘプチル及び5-エチルヘプチル、1-プロピルブチル、1-プロピルペンチル、2-プロピルペンチル、1-プロピルヘキシル、又は2-プロピルヘキシル及び3-プロピルヘキシルから選択される。
【0034】
「直鎖状のC2~C9アルケニル」という用語は、2~9個の炭素原子を有する直鎖不飽和炭化水素基を指す。好ましくは、直鎖状のC2~C9アルケニルは、エテニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニル、ブト-1-エニル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニル、ペント-1-エニル、ペント-2-エニル、ペント-3-エニル、ペント-4-エニル、ヘキサ-1-エニル、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル、ヘキサ-5-エニル、ヘプト-1-エニル、ヘプト-2-エニル、ヘプト-3-エニル、ヘプト-4-エニル、ヘプト-5-エニル、ヘプト-6-エニル、オクト-1-エニル、オクト-2-エニル、オクト-3-エニル、オクト-4-エニル、オクト-5-エニル、オクト-6-エニル、オクト-7-エニル、ノン-1-エニル、ノン-2-エニル、ノン-3-エニル、ノン-4-エニル、ノン-5-エニル、ノン-6-エニル、ノン-7-エニル、又はノン-8-エニルから選択される。
【0035】
分枝状の「C2~C9アルケニル」という用語は、2~9個の炭素原子を有する分枝鎖不飽和炭化水素を指す。
【0036】
「C4~C8シクロアルキル」という用語は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの環状脂肪族化合物を指す。シクロアルキル化合物をC1~C3アルキルで置換してもよい。
【0037】
「アリール」という用語には、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどの芳香族ラジカルが含まれる。必要に応じて、任意選択によりアリールをC1~C6アルキルで置換してもよい。
【0038】
本明細書で特に指示がない限り、本明細書に記載される「化合物(I)」は、式(I)で定義される化合物又はその塩若しくは立体異性体に関する。
【0039】
「立体異性体」という用語は、原子の結合性ではなく、空間内の原子の配向のみが異なる個々の化合物の全ての異性体に使用される一般的な用語である。したがって、立体異性体という用語は、鏡像異性体(エナンチオマー)、幾何異性体(シス/トランス又はE/Z)異性体、及びジアステレオ異性体を含む。用語の正確な定義については、G.Helmchen:“Vocabulary and Nomenclature of Organic Stereochemistry”,in Houben-Weyl E21a,Stereoselective Synthesis G.Helmchen,R.W.Hoffmann,J.Mulzer,E.Schaumann(Hrsg.),1995,1-74を参照されたい。可能な異性体は、混合物(即ち、ラセミ体、シス/トランス混合物、又はジアステレオ異性体の混合物)として存在し得る。
【0040】
使用:
一実施形態では、本明細書で特許請求される発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物
【化2】
又はその立体異性体
(式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
1~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである)
の、組成物に芳香の印象を付与するための使用に関する。
【0041】
一実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、1-メチルヘプチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、1-メチルオクチル、2-メチルオクチル、3-メチルオクチル、4-メチルオクチル、5-メチルオクチル、6-メチルオクチル及び7-メチルオクチル、1-エチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、1-エチルヘプチル、2-エチルヘプチル、3-エチルヘプチル、4-エチルヘプチル及び5-エチルヘプチル、1-プロピルブチル、1-プロピルペンチル、2-プロピルペンチル、1-プロピルヘキシル、2-プロピルヘキシル、3-プロピルヘキシル、エテニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニル、ブト-1-エニル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニル、ペント-1-エニル、ペント-2-エニル、ペント-3-エニル、ペント-4-エニル、ヘキサ-1-エニル、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル、ヘキサ-5-エニル、ヘプト-1-エニル、ヘプト-2-エニル、ヘプト-3-エニル、ヘプト-4-エニル、ヘプト-5-エニル、ヘプト-6-エニル、オクト-1-エニル、オクト-2-エニル、オクト-3-エニル、オクト-4-エニル、オクト-5-エニル、オクト-6-エニル、オクト-7-エニル、ノン-1-エニル、ノン-2-エニル、ノン-3-エニル、ノン-4-エニル、ノン-5-エニル、ノン-6-エニル、ノン-7-エニル、又はノン-8-エニル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニル、4-メチルフェニルから選択される。
【0042】
好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニル、又は4-メチルフェニルである。より好ましくは、Rはメチルである。
【0043】
一実施形態では、式(I)の化合物は、単一の立体異性体である、シス異性体Ia
【化3】
及び
トランス異性体Ib
【化4】
を、0.01~99.99から99.99~0.01の範囲の比率で含み、
式中、Rはメチルである。
【0044】
一実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib’)の化合物である。
【0045】
一実施形態では、式(Ib’)の化合物
【化5】
は、式(IIa)の化合物
【化6】
を、1.0重量%~0.01重量%の範囲、好ましくは0.8重量%~0.01重量%の範囲、好ましくは0.6重量%~0.01重量%の範囲で含む。
【0046】
当業者であれば、式(Ia)及び(Ib)の化合物を単離することができる。これらの化合物を使用して、式(Ia)の化合物と式(Ib)の化合物の任意の所望の比率の混合物を作製することができる。この比率は、任意の好適な組成物における組み合わせの最終用途に応じて、当業者によって決定することができる。
【0047】
本明細書で特許請求される発明の好ましい実施形態は、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノート、又は2つ以上のノートの組み合わせから選択される芳香の印象を付与するための、芳香化学物質としての式(I)の少なくとも1つの化合物の使用を対象とする。
【0048】
更なる実施形態では、本明細書で特許請求される発明は、組成物の芳香を増強するための、式(I)の少なくとも1つの化合物の使用を対象とする。
【0049】
本明細書で特許請求される発明の一実施形態では、式(I)の少なくとも1つの化合物は、香料又は香料組成物の構成成分として使用される。
【0050】
特に、式(I)の少なくとも1つの化合物は、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノート、又は2つ以上のノートの組み合わせから選択されるノートを組成物に付与するために使用される。
【0051】
好ましくは、式(Ib’)の化合物は、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノートから選択される印象の2つ以上の組み合わせを組成物に付与するために使用される。
【0052】
式(IIa)の化合物の存在は、式(Ib’)の化合物の芳香の印象に影響しない。
【0053】
好適な組成物は、例えば、パーソナルケア、ホームケア、産業用途で使用される組成物だけでなく、医薬組成物又は作物保護組成物などの他の用途でも使用される組成物である。
【0054】
好ましくは、本明細書で特許請求される発明による式(I)の化合物は、香水組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物並びに口腔及び歯科衛生用製品を含む)、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い組成物を含む)、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物から選択される組成物に使用される。
【0055】
下記のパラグラフにおいて組成物をより詳細に記載する。
【0056】
化合物:
本発明の一実施形態は、式(I)の化合物
【化7】
又はその立体異性体
(式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである)を対象とする。
【0057】
本発明の別の実施形態は、式(Ib)の化合物
【化8】
、(式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである)を対象とする。
【0058】
本発明の一実施形態では、Rは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、1-メチルヘプチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、1-メチルオクチル、2-メチルオクチル、3-メチルオクチル、4-メチルオクチル、5-メチルオクチル、6-メチルオクチル及び7-メチルオクチル、1-エチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、1-エチルヘプチル、2-エチルヘプチル、3-エチルヘプチル、4-エチルヘプチル、5-エチルヘプチル、1-プロピルブチル、1-プロピルペンチル、2-プロピルペンチル、1-プロピルヘキシル、2-プロピルヘキシル及び3-プロピルヘキシル、エテニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニル、ブト-1-エニル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニル、ペント-1-エニル、ペント-2-エニル、ペント-3-エニル、ペント-4-エニル、ヘキサ-1-エニル、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル、ヘキサ-5-エニル、ヘプト-1-エニル、ヘプト-2-エニル、ヘプト-3-エニル、ヘプト-4-エニル、ヘプト-5-エニル、ヘプト-6-エニル、オクト-1-エニル、オクト-2-エニル、オクト-3-エニル、オクト-4-エニル、オクト-5-エニル、オクト-6-エニル、オクト-7-エニル、ノン-1-エニル、ノン-2-エニル、ノン-3-エニル、ノン-4-エニル、ノン-5-エニル、ノン-6-エニル、ノン-7-エニル、ノン-8-エニル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニル、又は4-メチルフェニルから選択される。
【0059】
好ましくは、Rは、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルフェニル、又は4-メチルフェニルである。
【0060】
好ましくは、Rは、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、シクロヘキシル、フェニル、又は4-メチルフェニルである。
【0061】
組成物:
一実施形態では、本明細書で特許請求される発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(i)式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの芳香化学物質(X)、又は
(ii)少なくとも1つの非芳香化学物質担体、又は
(iii)(i)と(ii)の両方を含む組成物に関する。
【0062】
好ましくは、本実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%以上から70.0重量%以下の範囲の総量で、式(I)の化合物を含む。
【0063】
好ましくは、組成物は、芳香組成物、より好ましくは、香料組成物である。
【0064】
一実施形態では、式(I)の化合物は式(Ib)の化合物であり、組成物は、前述のパラグラフに示される通りに作製される。
【0065】
一実施形態では、式(I)の化合物は式(Ib’)の化合物であり、組成物は、前述のパラグラフに示される通りに作製される。
【0066】
芳香化学物質は、式(I)の化合物とは異なる。
【0067】
1つの好ましい実施形態では、組成物は、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの芳香化学物質を含む。式(I)の化合物とは異なる芳香化学物質は、芳香化学物質(X)とも称される。
【0068】
それらの物理的特性により、式(I)の化合物は、芳香組成物、特に香料組成物中で、式(I)の化合物とは異なる芳香化学物質及び他の通常の成分とうまく組み合わせることができる。これにより、例えば、新規で有利な感覚プロファイルを有する芳香組成物(好ましくは、香料組成物)の生成が可能になる。特に、既に上記で説明したように、この化合物は、他の芳香化学物質(香料など)に増強効果を提供することができる。
【0069】
芳香化学物質(X)は、好ましくは以下から選択される:
ゲラニルアセテート、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-フェノキシエチルイソブチレート、ジヒドロミルセノール、メチルジヒドロジャスモネート、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、ベンジルサリチレート、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナミルアルコール、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニルアセテート及び/又は4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニルアセテート、シトロネロール、シトロネリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、リナリルアセテート、スチロリルアセテート、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン、ヘキシルサリチレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、α-イオノン、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、テルピニルアセテート、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-カルボキシアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシレート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エノン、15-ペンタデカ-11-エノリド及び/又は15-ペンタデカ-12-エノリド、15-シクロペンタデカノリド、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、シス-3-ヘキセニルアセテート、トランス-3-ヘキセニルアセテート、トランス-2/シス-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2,4,4,7-テトラメチルオクタ-6-エン-3-オン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール、ボルネオール、3(3イソプロピルフェニル)ブタナール、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-プロパナール、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、2,5,5トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、エチル2-メチルペンタノエート、エトキシメトキシシクロドデカン、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート、又は3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル]シクロヘキサン-1-オール。
【0070】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの芳香化学物質(X)は、メチルベンゾエート、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、リナロール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、又はメチルベンゾエートから選択される。
【0071】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの芳香化学物質(X)は、エチルバニリン、バニリン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン(フラネオール)、又は3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン(マルトール)から選択される。
【0072】
本明細書で特許請求される発明による組成物を得るために式(I)の化合物を組み合わることができる更なる芳香化学物質は、例えば、S.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,Vol.I and II,Montclair,N.J.,1969,self-published or H.Surburg and J.Panten,Common Fragrance and Flavor Materials,4th Ed.,Wiley- VCH,Weinheim 2016に見出すことができる。具体的には、以下のものを挙げることができる:
天然原料からの抽出物、例えば、精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、
アンバーグリスチンキ、アミリスオイル、アンゼリカ種子オイル、アンゼリカ根オイル、アニスオイル、バレリアンオイル、バジルオイル、ツリーモスアブソリュート、ベイオイル、よもぎオイル、ベンゾイン樹脂、ベルガモットオイル、蜜蝋アブソリュート、バーチタールオイル、ビターアーモンドオイル、セイバリーオイル、ブチュリーフオイル、カブレバオイル、ケードオイル、カルマスオイル、カンフルオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カスカリーラオイル、カシアオイル、カシアアブソリュート、カストリウムアブソリュート、シダーリーフオイル、セダーウッドオイル、シスタスオイル、シトロネラオイル、レモンオイル、コパイババルサム、コパイババルサムオイル、コリアンダーオイル、コスタス根オイル、クミンオイル、ヒノキオイル、ダバナオイル、ディルウィードオイル、ディルシードオイル、Eau de broutsアブソリュート、オークモスアブソリュート、エレミオイル、タラゴンオイル、ユーカリシトリオドラオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、松葉オイル、ガルバナムオイル、ガルバナム樹脂、ゼラニウムオイル、グレープフルーツオイル、グアイアックウッドオイル、グルジャンバルサム、グルジャンバルサムオイル、ヘリクリサムアブソリュート、ヘリクリサムオイル、ジンジャーオイル、イリス根アブソリュート、イリス根オイル、ジャスミンアブソリュート、カルマスオイル、カモミールオイルブルー、ローマンカモミールオイル、ニンジンシードオイル、カスカリーラオイル、松葉オイル、スペアミントオイル、キャラウェイオイル、ラブダナムオイル、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジンオイル、ラベンダーアブソリュート、ラベンダーオイル、レモングラスオイル、ラベージオイル、蒸留ライムオイル、圧搾ライムオイル、リナロールオイル、リツェアクベバオイル、月桂樹葉オイル、メイスオイル、マジョラムオイル、マンダリンオイル、マソイア樹皮オイル、ミモザアブソリュート、ムスクシードオイル、ムスクチンキ、クラリセージオイル、ナツメグオイル、ミルラアブソリュート、ミルラオイル、ギンバイカオイル、クローブリーフオイル、クローブフラワーオイル、ネロリオイル、オリバナムアブソリュート、オリバナムオイル、オポパナックスオイル、オレンジブロッサムアブソリュート、オレンジオイル、オリガナムオイル、パルマローザオイル、パチョリオイル、パリラオイル、ペルーバルサムオイル、パセリリーフオイル、パセリシードオイル、プチグレンオイル、ペパーミントオイル、ペッパーオイル、ピメントオイル、パインオイル、ペニーロイヤルオイル、ローズアブソリュート、ローズウッドオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、ダルメシアンセージオイル、スパニッシュセージオイル、サンダルウッドオイル、セロリシードオイル、スパイクラベンダーオイル、スターアニスオイル、スチラックスオイル、マンジュギクオイル、ファーニードルオイル、ティーツリーオイル、テレピンオイル、タイムオイル、トルバルサム、トンカアブソリュート、チューベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、バーベナオイル、ベチバーオイル、ジュニパーベリーオイル、ワインリースオイル、アブサンオイル、ウィンターグリーンオイル、ヒソップオイル、シベットアブソリュート、シナモンリーフオイル、シナモン樹皮オイル及びその画分又はそこから単離された成分など;
炭化水素の群に由来する個々の香料、例えば、3カレン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギフォレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタンなど、
脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オールなど、
脂肪族アルデヒド及びそのアセタール、例えば、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-ヘキサ-3-エンなど、脂肪族ケトン及びそのオキシム、例えば、2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オンなど、
含硫黄脂肪族化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオールなど、
脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6オクテンニトリルなど、
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、(E)及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキシアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネートなど、
非環式テルペンアルコール、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、並びにそれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2ブテノエートなど、
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、ゲラニアル、ネラール、シトロネラール、7ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアル、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタールなど、環状テルペンアルコール、例えば、メントール、イソプレゴール、α-テルピネオール、テルピン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロール酸化物、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアジョール、並びにそれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエートなど、
環状テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、メントン、イソメントン、8メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、カンフル、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、α-n-メチルイオノン、β-n-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマセノン、δ-ダマスコン、γ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノ-ナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、α-シネンサル、β-シネンサル、アセチル化シダーウッドオイル(メチルセドリルケトン)など、
環状アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールなど、
脂環式アルコール、例えば、α-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ペンタン-2オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールなど、
環状及び脂環式エーテル、例えば、シネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロ-ドデカン、(エトキシメトキシ)シクロ-ドデカン、α-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロ-ナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズ酸化物、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンなど、
環状及び大環状ケトン、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5トリメチル-5-ペンチルシクロ-ペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロ-ペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-シス-2-ペンテン-1-イル-2シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタ-デセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロ-ヘキサデセン-1-オン、7-シクロ-ヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロ-ヘキサデセン-1-オン、9シクロ-ヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノンなど、
脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、2メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3シクロヘキセンカルボアルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドなど、
脂環式ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロ-ヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1シクロ-ヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンなど、
環状アルコールのエステル、例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチレート、4,7メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテートなど、
脂環式アルコールのエステル、例えば、1-シクロヘキシルエチルクロトネートなど、
脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、シス及びトランス-メチルジヒドロジャスモネート、シス及びトランス-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセン-カルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテートなど、
芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシ-ベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールなど、
芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2フェニルエチルイソバレレート、1フェニルエチルアセテート、α-トリクロロメチルベンジルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテートなど、
芳香脂肪族エーテル、例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル、2フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドラトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-mジオキシンなど、
芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドラトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、α-ブチルシンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、3メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3メトキシ-ベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールなど、
芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えば、アセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセト-フェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)-エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1ジメチル-4インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5インデニル]エタノン、5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2’-アセトナフトンなど、
芳香族及び脂肪族カルボン酸及びそれらのエステル、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデートなど、
含窒素芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シナモニトリル、3メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、メチルアントラニレート、メチル-N-メチルアントラニレート、7ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドとのメチルアントラニレートのシッフ塩基、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3イソプロピル-ピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジンなど、
フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えば、エストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、β-ナフチルメチルエーテル、β-ナフチルエチルエーテル、β-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテートなど、
複素環式化合物、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンなど、
ラクトン、例えば、1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、シス及びトランス-11-ペンタデセン-1,15-オリド、シス及びトランス-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリンなど。
【0073】
組成物に使用される芳香化学物質(X)は、既知の民間の供給元から入手され、Germanyから調達される。
【0074】
好ましい実施形態では、組成物は、式(I)の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの芳香化学物質(X)と、を含む。
【0075】
非芳香化学物質担体:
本発明の組成物中の非芳香化学物質担体は、好ましくは、界面活性剤、オイル成分、酸化防止剤、消臭活性剤、及び溶媒から選択される。
【0076】
好ましくは、少なくとも1つの非芳香化学物質担体は、感覚特性を有さないか、又は目立った感覚特性を有さない化合物、化合物の混合物、又はその他の添加剤である。非芳香化学物質担体は、組成物中に含まれる場合、式(I)の化合物と、任意選択により上記で定義した少なくとも1つの芳香化学物質(X)とを希釈及び/又は固定する役割を果たし得る。
【0077】
本発明の組成物中の非芳香化学物質担体は、好ましくは、界面活性剤、オイル成分、溶媒、又は前述の2つ以上の任意の混合物から選択される。
【0078】
溶媒
本明細書で特許請求される発明の文脈において、「溶媒」は、それ自体に芳香がなく、本発明に従って使用される式(I)の化合物を希釈する役割を果たす。
【0079】
溶媒の量は組成物に応じて調整され、当業者の日常的な作業を示す。
【0080】
好ましくは、溶媒は、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~99.0重量%の総量で、より好ましくは0.05重量%~95.0重量%の総量で、更により好ましくは0.1重量%~80.0重量%の総量で、最も好ましくは0.1重量%~70.0重量%、特に0.1重量%~60.0重量%の総量で、組成物中に存在する。
【0081】
好ましい実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.05重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、更により好ましくは0.2重量%~3重量%の総溶媒を含む。本発明の更に別の好ましい実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%~70重量%、より好ましくは25重量%~50重量%の総溶媒を含む。
【0082】
好ましい溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、イソプロピルミリステート、又は前述の2つ以上の任意の混合物から選択される。
【0083】
好ましい実施形態では、組成物は、式(I)の化合物と、少なくとも1つの溶媒と、任意選択により少なくとも1つの芳香化学物質(X)と、を含む。
【0084】
オイル成分
好ましくは、総オイル成分は、組成物の総重量に基づいて、0.1~80重量%、より好ましくは0.5~70重量%、更により好ましくは1~60重量%、更により好ましくは1~50重量%、特に1~40重量%、より詳細には5~25重量%、具体的には5~15重量%の量で存在する。
【0085】
好ましくは、オイル成分は、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含む脂肪族アルコールをベースとしたゲルベアルコール、及び他の更なるエステル、例えば、ミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート及びエルシルエルケートから選択される。また、C18~C38アルキル-ヒドロキシカルボン酸と直鎖状又は分枝状C6~C22脂肪アルコールとのエステル、より具体的にはジオクチルマレート、直鎖状及び/又は分枝状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、二量体ジオール又は三量体トリオール)とのエステル、C6~C10脂肪酸をベースとしたトリグリセリド、C6~C18脂肪酸をベースとした液体モノ-、ジ-及びトリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸とのエステル、より詳細には安息香酸、2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのジカルボン酸のエステル、植物オイル、分枝状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)などの直鎖状及び分枝状C6~C22脂肪アルコールカーボネート、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含む脂肪アルコールをベースとしたゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖状及び/又は分枝状C6~C22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標)TN)、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)などのアルキル基当たり6~22個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の対称又は非対称のジアルキルエーテル、ポリオール及び炭化水素によるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、或いはそれらの混合物が好適である。
【0086】
好ましい実施形態では、組成物は、式(I)の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つのオイル成分と、任意選択により少なくとも1つの芳香化学物質(X)と、を含む。
【0087】
酸化防止剤
酸化防止剤は、酸素効果及び他の酸化プロセスによって引き起こされる、保護されるべき組成物における望ましくない変化を阻害又は防止できるものであることが理解されよう。酸化防止剤の効果は、ほとんどの場合、自動酸化中に発生するフリーラジカルに対するフリーラジカルスカベンジャーとして作用することにある。
【0088】
好ましい実施形態では、酸化防止剤は以下から選択される:
・アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、セリン、スレオニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、
・イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、
・D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン(=β-アラニル-L-ヒスチジン)などのペプチド及びその誘導体、
・カロテノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン)若しくはその誘導体、
・クロロゲン酸及びその誘導体、
・リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、
・アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、並びにそのグリコシルエステル、N-アセチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、アミルエステル、ブチルエステル及びラウリルエステル、パルミトイルエステル、オレイルエステル、γ-リノレイルエステル、コレステリルエステル及びグリセリルエステル)並びにその塩、
・チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、
・スルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、
・(金属)キレート剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、
・α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、
・フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、ボルジン(=ペウムス・ボルドゥス(Peumus boldus)という植物由来のアルカロイド、ボルド抽出物、
・EDTA、EGTA及びその誘導体、
・不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、
・葉酸及びその誘導体、
・ユビキノン及びユビキノール並びにその誘導体、
・ビタミンC及び誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート、リン酸アスコルビルMg、アスコルビルアセテート)、
・トコフェロール及び誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、
・ビタミンA及び誘導体(例えば、ビタミンAパルミテート)、
・ベンゾインガムの安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、
・ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、
・ノルジヒドログアイヤック酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、
・スーパーオキシドジスムターゼ、
・亜鉛及びその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、
・セレン及びその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、
・スチルベン及びその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランススチルベンオキシド)、
又は前述の2つ以上の混合物。
【0089】
好ましい実施形態では、酸化防止剤は、ペンタエリスリチル、テトラ-ジ-t-ブチル-ヒドロキシヒドロシンナメート、ノルジヒドログアイアレチン酸、フェルラ酸、レスベラトロール、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビルパルミテート、トコフェロール、又は前述の2つ以上の混合物から選択される。
【0090】
好ましくは、本明細書で特許請求される発明による組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.001~25重量%、好ましくは0.005~10重量%、より好ましくは0.01~8重量%、更により好ましくは0.025~7重量%、更により好ましくは0.05~5重量%の総量で酸化防止剤を含む。
【0091】
好ましい実施形態では、組成物は、式(I)の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの酸化防止剤と、任意選択により少なくとも1つの芳香化学物質(X)と、を含む。
【0092】
消臭活性剤
消臭組成物(消臭剤及び制汗剤)は、体臭を中和、マスキング又は除去する。体臭は、皮膚細菌がアポクリン汗に作用し、その結果として不快な臭いの分解生成物が形成されることによって発生する。
【0093】
好ましくは、消臭活性剤は、制汗剤、エステラーゼ阻害剤、抗菌剤、又は前述の2つ以上の混合物から選択される。
【0094】
好適な制汗剤は、アルミニウム、ジルコニウム又は亜鉛の塩から選択される。例としては、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、及び、例えば1,2-プロピレングリコールとのそれらの複合化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタータレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、及び、例えばグリシンなどのアミノ酸とのそれらの複合化合物である。アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、又はそれらの複合化合物が使用されることが好ましい。
【0095】
好ましくは、制汗剤は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタータレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、又は前述の2つ以上の混合物から選択される。
【0096】
汗が脇の下の領域に存在する場合、細胞外酵素であるエステラーゼ、主にプロテアーゼ及び/又はリパーゼが細菌によって形成され、汗に存在するエステルを分解し、その過程で匂いが放出される。好適なエステラーゼ阻害剤は、例えば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル及び特にクエン酸トリエチルなどのクエン酸トリアルキルである。エステラーゼ阻害剤は、酵素活性を阻害し、これによって匂いの発生を低減する。クエン酸エステルが切断されることで、おそらく遊離酸が放出され、アシル化によって酵素が不活性化する程度まで皮膚のpH値が低下する。他のエステラーゼ阻害剤は、例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール及びシトステロールスルフェート又はホスフェートなどのステロールスルフェート又はホスフェート、ジカルボン酸及びそのエステル、例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸及びマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸又は酒石酸ジエチルエステル、亜鉛グリシネート、並びに前述の2つ以上の混合物である。
【0097】
好ましくは、エステラーゼ阻害剤は、トリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロールスルフェート、シトステロールホスフェート、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸、マロン酸ジエチルエステル、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ジエチルエステル、亜鉛グリシネート、又は前述の2つ以上の混合物が選択される。
【0098】
好ましくは、本明細書で特許請求される発明による組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.01~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、より詳細には0.5~5重量%の範囲の総量でエステラーゼ阻害剤を含む。
【0099】
本明細書で使用される「抗菌剤」という用語は、殺菌及び/又は静菌特性を有する物質を包含する。典型的には、これらの物質、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、クロルヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)など、例えば、サリチル酸-n-オクチルアミド又はサリチル酸-n-デシルアミドなどのサリチル酸-N-アルキルアミドなどが、グラム陽性菌に対して作用する。
【0100】
好ましくは、抗菌剤は、キトサン、フェノキシエタノール、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノール、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、クロルヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、又は前述の2つ以上の混合物から選択される。
【0101】
好ましくは、本明細書で特許請求される発明による組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%の範囲の総量で抗菌剤を含む。
【0102】
好ましい実施形態では、組成物は、式(I)の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの消臭活性剤と、任意選択により少なくとも1つの芳香化学物質(X)と、を含む。
【0103】
界面活性剤
好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性界面活性剤、又は前述の2つ以上の混合物から選択される。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。
【0104】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総重量に基づいて、0~40重量%、より好ましくは0~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の総量で界面活性剤を含む。
【0105】
好ましい非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、任意選択により部分酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド又はグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に小麦を主原料とする野菜製品)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート及びアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、これらは従来の同族体分布を有し得るが、狭い範囲の同族体分布を有することが好ましい。
【0106】
双性イオン性界面活性剤は、分子内に少なくとも1つの第四級アンモニウム基と少なくとも1つのCOO(-)又はSO3(-)基とを含む界面活性化合物である。
【0107】
特に好適な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、及びアルキル又はアシル基に8~18個の炭素原子を含む2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、及びココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で知られている脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。
【0108】
両性界面活性剤は、特に界面活性助剤としても好適である。両性界面活性剤は、C8~C18アルキル基又はアシル基に加えて、分子内に少なくとも1つの遊離アミノ基と少なくとも1つの-COOH又はSO3H基とを含み、分子内塩を形成することができる界面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、アルキル基に約8~18個の炭素原子を含む、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート及びアシルサルコシンである。
【0109】
アニオン性界面活性剤は、水溶性アニオン性基、例えば、カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基又はホスフェート基及び親油性基を特徴とする。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、関連する教本から多くの実践者に知られており、市販されている。それらは、特に、それらのアルカリ金属、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、直鎖状C12~C18アルキル又はアシル基を含むアルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、並びにそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩の形態のスルホスクシネート及びアシルグルタメートである。
【0110】
特に好適なカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、好ましくはアンモニウムハライド、より具体的には、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリドなどのクロリド及びブロミド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。加えて、容易に生分解される第四級エステル化合物、例えば、Stepantexeの名称で市販されているジアルキルアンモニウムメトスルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルキルオキシアルキルアンモニウムメトスルフェート、並びにDehyquart(登録商標)シリーズの対応する製品などを、カチオン性界面活性剤として使用してもよい。「エステルクワット」は、一般に、四級化された脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解されている。それらは、組成物に特定の柔らかさを付与することができる。それらは、有機化学の関連する方法によって調製される既知の物質である。本発明による使用に好適な他のカチオン性界面活性剤は、四級化タンパク質加水分解物である。
【0111】
式(I)の化合物の特徴的な感覚特性及びその持続性、粘り強さ、並びに安定性により、具体的には、例えば洗浄剤(特にランドリーケア製品及び多目的洗浄剤)などの界面活性剤含有組成物に匂い、好ましくは香料の印象を付与するために、式(I)の化合物を使用することができる。好ましくは、組成物を含む界面活性剤に、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノートから選択される長く持続するノートを付与するために使用することができる。
【0112】
好ましい実施形態では、組成物は、式(I)の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの界面活性剤と、任意選択により少なくとも1つの芳香化学物質(X)と、を含む。
【0113】
好適な組成物は、例えば、香水組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物並びに口腔及び歯科衛生用製品を含む)、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い組成物を含む)、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物である。
【0114】
香水組成物は、ファインフレグランス、液体形態、ゲル状形態又は固体担体に塗布された形態のエアフレッシュナー、エアゾールスプレー、香料入り洗浄剤、香水キャンドル及びランプオイル又はマッサージ用オイルなどのオイルから選択することができる。
【0115】
ファインフレグランスの例は、香水抽出物、オーデパルファム、オードトワレ、オーデコロン、オードソリッド(Eau de Solide)及びエクストラパルファム(Extrait Parfum)である。
【0116】
ボディケア組成物は、化粧品組成物並びに口腔及び歯科衛生用製品を含み、アフターシェーブ製品、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、固形及び液体ソープ、シャワージェル、シャンプー、シェービングソープ、シェービングフォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧品エマルジョン、例えば、スキンクリーム及びローション、フェイスクリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、アフターサンクリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、フットクリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、アフターシェーブクリーム及びローション、日焼けクリーム及びローションなど、ヘアケア製品、例えば、ヘアスプレー、ヘアジェル、セットヘアローション、ヘアコンディショナー、ヘアシャンプー、パーマネント及びセミパーマネントヘアカラー剤、コールドウェーブ及びヘアスムージング組成物などのヘアシェイピング組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローションなど、消臭剤及び制汗剤、例えば、脇の下用スプレー、ロールオン、デオドラントスティック及びデオドラントクリームなど、装飾化粧品の製品、例えば、アイライナー、アイシャドウ、マニキュア、メイク用品、口紅及びマスカラなど、並びに口腔及び歯科衛生用製品、例えば、歯磨き粉、デンタルフロス、マウスウォッシュ、ブレスフレッシュナー、デンタルフォーム、デンタルジェル、及びデンタルストリップなどから選択することができる。
【0117】
衛生用品は、線香、殺虫剤、忌避剤、噴霧剤、さび取り剤、香り付きリフレッシュシート(freshening wipe)、脇の下用パッド、乳児用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧用拭き取りシート、ポケットティッシュ、食器洗い器及び消臭剤から選択することができる。
【0118】
洗浄組成物、例えば、固体表面用の洗浄剤などは、香り付きの酸性、アルカリ性、及び中性洗浄剤、例えば、床用洗浄剤、窓用洗浄剤、手洗い用途と機械洗い用途の両方の食器洗い組成物、バス用及び衛生用洗浄剤、研磨乳剤(scouring milk)、固体及び液体のトイレ用洗浄剤、粉末及び泡状のカーペット用洗浄剤、家具用つや出し剤などのワックス及びつや出し剤、床用ワックス、靴用クリーム、消毒剤、表面消毒剤及びサニタリー用洗浄剤、ブレーキ用洗浄剤、パイプ用洗浄剤、水あか除去剤、グリル及びオーブン用洗浄剤、藻類及びコケ除去剤、カビ除去剤、外壁用クリーナーから選択することができる。
【0119】
繊維製品洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤、漂白剤、浸漬剤及びしみ除去剤などの洗濯前処理剤、柔軟剤、洗濯用石鹸、洗濯用タブレットから選択することができる。
【0120】
食品とは、未加工、調理済み、若しくは加工済みの食用の物質、氷、飲料、又は人間が消費するためにその全て若しくは一部が使用されるか、若しくは使用が意図されている成分、又はチューインガム、グミ、ゼリー、及び菓子を意味する。
【0121】
栄養補助食品は、食事に更なる栄養価を追加することが意図される食事成分を含む、摂取することが意図された製品である。食事成分は、以下の物質の1種又は任意の組み合わせであり得る:ビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物、アミノ酸、総食事摂取量を増やすことによって食事を補うためにヒトが使用する食事物質、濃縮物、代謝産物、構成物又は抽出物。栄養補助食品は、錠剤、カプセル、ソフトジェル、ジェルキャップ、液体、又は粉末などの多くの形態で見出され得る。
【0122】
医薬組成物は、病気の診断、治癒、軽減、治療、又は予防に使用することが意図される組成物、並びに人又は他の動物の体の構造又は任意の機能に影響を与えることが意図される物品(食品以外)を含む。
【0123】
作物保護組成物は、農作物及び森林に損害を与える植物病害、雑草及び他の害虫(脊椎動物及び無脊椎動物の両方)の管理が意図される組成物を含む。
【0124】
好ましくは、本発明による組成物は、防腐剤、研磨剤、抗ニキビ剤、皮膚の老化に対処するための薬剤、抗セルライト剤、抗フケ剤、抗炎症剤、炎症抑制剤、刺激緩和剤、収斂剤、制汗剤、防腐剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝剤、担体材料、キレート剤、細胞刺激剤、ケア剤、脱毛剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、皮膜形成剤、固定剤、発泡剤、整泡剤、発泡防止剤、発泡促進剤、殺菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアシェイピング剤、ヘアスムージング剤、水分供与剤、保湿剤、湿潤剤、漂白剤、強化剤、染み抜き剤、蛍光増白剤、含浸剤、防汚剤、摩擦低減剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、つや出し剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、再脂肪化剤、角質除去剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤、皮膚加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、紫外線フィルター、柔軟剤、懸濁剤、皮膚日焼け剤、増粘剤、ビタミン、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、一価又は多価不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、色保護剤、顔料、防食剤、ポリオール、電解質、及びシリコーン誘導体から選択される少なくとも1つの補助剤を更に含む。
【0125】
組成物に芳香の印象を付与するための組成物の調製及び方法。
本発明の一実施形態は、
(i)本発明による化合物以外の少なくとも1つの芳香化学物質(X)、又は
(ii)少なくとも1つの非芳香化学物質担体、又は
(i)と(ii)の両方を含む、式(I)の少なくとも1つの化合物の組成物を調製するための方法を対象とする。
【0126】
本発明はまた、組成物の芳香の印象を増強するための方法であって、式(I)の少なくとも1つの化合物を組成物に組み込むことを含む方法を対象とする。
【0127】
特に、本発明は、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物を調製する方法であって、式(I)の少なくとも1つの化合物を、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含むことを含む方法を対象とする。
【0128】
一実施形態では、本発明は、スウィートノート、テクニカルノート、タバコノート、バルサミックノート、ハーバルノート、フルーティーノート、ウッディノートの要素を想起させるノートを、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与するための方法であって、式(I)の少なくとも1つの化合物を、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含むことを含む方法を対象とする。
【0129】
量
一般に、本発明による組成物、方法及び使用における式(I)の化合物の総量は、典型的には、特定の意図された使用又は意図された用途に適合され、したがって広範囲にわたって変化し得る。原則として、芳香化学物質、好ましくは香りの通常の標準的な商業的量が使用される。
【0130】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.001~99.9重量%の総量で、式(I)の化合物を含む。
【0131】
特に、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.001~99.5重量%、好ましくは50~99重量%、より好ましくは80~95重量%、特に90~95重量%の総量で、式(I)の化合物を含む。
【0132】
特に、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.005~80重量%、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは1~20重量%、特に5~15重量%の総量で、式(I)の化合物を含む。
【0133】
特に、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.001~20重量%、好ましくは0.005~6重量%、より好ましくは0.05~4重量%、特に0.1~3重量%の総量で、式(I)の化合物を含む。
【0134】
化合物(I)及び式(I)の化合物という用語は、本明細書全体にわたって交換可能に使用される。また、化合物(I)及び式(I)の化合物という用語も、本明細書全体にわたって交換可能に使用される。
【0135】
プロセス:
本明細書で特許請求される発明の一実施形態は、式(Ib)の化合物を調製するためのプロセスであって、少なくとも、
a)式(II)の化合物
【化9】
のアリル転位を、有機金属触媒の存在下で実施する工程と、
b)任意選択により、工程(a)で得られた式(Ib)の粗化合物を精製する工程と、を含み、
式中、Rは、直鎖若しくは分枝状のC
1~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールであるプロセスに関する。
【0136】
一実施形態では、有機金属触媒は、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセタト)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(アセトニトリル)パラジウムジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリド、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル-イミダゾール-2-イリデン)金(I)クロリド、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)テトラフルオロボラート、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)ヘキサフルオロホスフェート、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)フルオロアンチモン酸、又は(アセトニトリル)1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾール-2-イリデン金(I)ヘキサフルオロホスフェートから選択される。
【0137】
好ましい実施形態では、有機金属触媒は、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセタト)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(アセトニトリル)パラジウムジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリドから選択される、その場形成される触媒複合体から選択される。
【0138】
好ましくは、有機金属触媒は、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)である。
【0139】
好ましい実施形態では、有機金属触媒は、式(II)の化合物に対して0.001重量当量~0.3重量当量の量で使用され、好ましくは、式(II)の化合物に対して0.001重量当量~0.2重量当量の量で使用され、より好ましくは、式(II)の化合物に対して0.001重量当量~0.1重量当量の量で使用され、更により好ましくは、式(II)の化合物に対して0.001重量当量~0.01重量当量の量で使用される。
【0140】
好ましい実施形態では、このプロセスは、3~30時間の時間周期で、好ましくは3~24時間の時間周期で、より好ましくは3~21時間の時間周期で実施される。
【0141】
好ましい実施形態では、反応は、室温で実施される。
【0142】
好ましくは、プロセスは、溶媒の存在下で実施される。溶媒は、好ましくは、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、イソプロピルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、又はエチルベンゼンから選択される。
【0143】
反応が完了した後、生成物は、通常の手段、及び/又は触媒を除去することによって、例えば、蒸留法、抽出法又はクロマトグラフ法によって単離することができる。所望により、単離生成物を続いて更に精製することができる。
【0144】
実施形態
以下において、本開示を更に例示するために実施形態のリストを提供するが、下記に挙げる特定の実施形態に本開示を限定することを意図するものではない。
【0145】
1.式(I)の少なくとも1つの化合物
【化10】
又はその立体異性体
(式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
1~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである)
の、組成物に芳香の印象を付与するための使用。
【0146】
2.Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニル及び4-メチルフェニルから選択される、実施形態1に記載の式(I)の化合物の使用。
【0147】
3.Rがメチルである、実施形態1に記載の式(I)の化合物の使用。
【0148】
4.式(I)の化合物が、単一の立体異性体、シス異性体I(a)
【化11】
及び
トランス異性体I(b)
【化12】
を、0.01~99.99から99.99~0.01の範囲の比率で含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の式(I)の化合物の使用。
【0149】
5.実施形態1~4のいずれか1つに記載の式(I)の少なくとも1つの化合物を組成物に添加する工程を少なくとも含む、組成物に芳香のノートを付与する方法。
【0150】
6.組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の使用又は方法。
【0151】
7.芳香の印象が、フルーティーノート、グリーンペアノート、アップルノート、ジューシーフルーティーノート、スチラックスノート、パイナップルノート、ダスティノート、ウォータリーノート、又は2つ以上のノートの組み合わせから選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の使用又は方法。
【0152】
8.式(I)の化合物が、組成物の総重量に基づいて、0.001重量%以上から70.0重量%以下の範囲の総量で存在する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の使用又は方法。
【0153】
9.実施形態1~4に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(i)式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの芳香化学物質(X)、又は
(ii)少なくとも1つの非芳香化学物質担体、又は
(i)と(ii)の両方を含む組成物。
【0154】
10.式(I)の化合物が、組成物の総重量に基づいて、0.001重量%以上から70.0重量%以下の範囲の総量で存在する、実施形態9に記載の組成物。
【0155】
11.少なくとも1つの非芳香化学物質担体(ii)が、界面活性剤、オイル成分、酸化防止剤、消臭活性剤、又は溶媒から選択される、実施形態9に記載の組成物。
【0156】
12.組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維製品洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物から選択される、実施形態9~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0157】
13.式(I)の化合物
【化13】
又はその立体異性体であって、
式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである化合物。
【0158】
14.式(Ib)の化合物
【化14】
であって、
式中、
Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである化合物。
【0159】
15.Rが、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニル及び4-メチルフェニルから選択される、実施形態13~14に記載の化合物。
【0160】
16.式(Ib)の化合物を調製するためのプロセスであって、
a)式(II)の化合物
【化15】
のアリル転位を、有機金属触媒の存在下で実施する工程と、
b)任意選択により、工程(a)で得られた式(I)の粗化合物を精製する工程と、を含み、
式中、Rは、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルキル、直鎖若しくは分枝状のC
2~C
9アルケニル、C
1~C
3アルキルで置換された置換若しくは非置換のC
4~C
8シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールであるプロセス。
【0161】
17.工程a)のアリル転位が、3時間~21時間の時間周期で反応混合物を撹拌することによって実施される、実施形態16に記載のプロセス。
【0162】
18.プロセスが、任意選択により溶媒の存在下で実施され得る、実施形態16に記載のプロセス。
【0163】
19.溶媒が、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、イソプロピルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、クロロベンゼン又はエチルベンゼンから選択される、実施形態18に記載のプロセス。
【0164】
20.有機金属触媒が、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセタト)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(アセトニトリル)パラジウムジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリド、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル-イミダゾール-2-イリデン)金(I)クロリド、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)テトラフルオロボラート、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)ヘキサフルオロホスフェート、(アセトニトリル)1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン金(I)フルオロアンチモン酸、及び(アセトニトリル)1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾール-2-イリデン金(I)ヘキサフルオロホスフェートから選択される、実施形態16に記載のプロセス。
【0165】
21.有機金属触媒が、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)である、実施形態20に記載のプロセス。
【0166】
22.有機金属触媒が、式(II)の化合物に対して0.001重量当量~0.3重量当量の量で使用される、実施形態16~21のいずれか1つに記載のプロセス。
【0167】
23.式(Ib’)の化合物であって、
【化16】
式(IIa)の化合物
【化17】
を、1.0重量%~0.01重量%の範囲で含む化合物。
【0168】
24.実施形態23に記載の式(Ib’)の少なくとも1つの化合物、及び
(i)式(I)の化合物とは異なる少なくとも1つの芳香化学物質(X)、又は
(ii)少なくとも1つの非芳香化学物質担体、又は
(i)と(ii)の両方を含む組成物。
【実施例】
【0169】
以下の非限定的な実施例により、本発明を詳細に説明する。より具体的には、以下に明記される試験方法は本出願の一般的な開示の一部であり、特定の実施例に限定されるものではない。
【0170】
1.分析方法:
一般的なGC方法:
カラム:HP-5;30m、0.32ID、0.25μmFD;
温度プログラム:40℃、5分-8℃/分-280℃
流量:1.0ml/分
注入:スプリット比:100:1;注入量:2.0μl;注入温度:250℃
検出器:FID、温度:280℃;
NMR:1H-NMR及び13C-NMRで特性決定を行う。NMRスペクトルは、Bruker DPX-500分光計で測定した。
【0171】
2.合成
実施例I:(E)-5-メチルヘキサ-2-エニルアセテートの合成
工程1:5-メチルヘキサ-1-エン-3-オールの合成
【化18】
THF(1.21mol)中のビニルマグネシウムブロミドの1モル溶液1553gを反応器に入れた。溶液を0℃に冷却し、264mlのTHF中の86.5g(1.00mol)のイソバレルデヒドの溶液を、温度を0℃に保持しながら、2.00時間~2時間20分の範囲内で添加した。反応混合物を1時間以内に25℃まで温め、650mlの飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。混合物に500mlの水を添加し、水層を分離して、それぞれ500mlのトルエンで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥、濾過及び濃縮し、トルエン中の5-メチルヘキサ-1-エン-3-オール約6.9%溶液(GC-a-%)1118gを得た。
【0172】
工程2:(3-メチル-1-ビニル-ブチル)アセテートの合成
【化19】
トルエン中5-メチルヘキサ-1-エン-3-オール6.9%溶液1117.8g、トルエン1.59l及びDMAP12.27gを反応器に入れ、トリエチルアミン162.6g(1.60mol)で処理した。114.3g(1.46mol)の塩化アセチルを1時間以内で25~30℃で添加した。混合物を25℃で更に1.5時間撹拌し、950mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチした。水層を分離し、有機層を重炭酸ナトリウム溶液で更に2回洗浄した。混合物を20%硫酸及び水で洗浄し、濃縮してトルエン中60.4%溶液178gを得た。
【0173】
工程3:[(E)-5-メチルヘキサ-2-エニル]アセテートの合成
【化20】
トルエン中の粗(3-メチル-1-ビニル-ブチル)アセテート60.4%溶液177.8gに、THF1.5l及びビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)6.7gを添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮した。残渣をシクロヘキサンに溶解し、シリカゲルカラム上で再度濾過した。カラムをシクロヘキサン及びシクロヘキサン/酢酸エチルですすいだ。濾液画分を合わせて濃縮し、出発物質と生成物を1対5.6の割合で含む粗生成物130gを得た。濾液を再度濃縮してVigreuxカラム上で蒸留し、それぞれGC純度95.0%及び99.0%の生成物45.7g及び16.1gを得た。
NMR:13C-NMR(CDCl3,125MHz):169.9 ppm(s);134,3 ppm(d);123.8 ppm(d);64.3 ppm(t);40.5 ppm(t);27.1 ppm(d);21.2 ppm(q);21.2 ppm(q);20.0 ppm(q)
1H-NMR(CDCl3,500MHz):δ 5.75(dtr,1H),5.55(dtr,1H);4.52(d,2H);2.06(s,3H);1.95(tr,2H);1.59-1.71(m,1H);1.89(s,6H).
【0174】
3.嗅覚的評価
本発明の化合物及び混合物の品質と強度を試験するために、香りストリップ試験を行った。
【0175】
この目的のために、トリエチルシトレート中に1~10重量%の試験対象化合物を含有する溶液に、吸収紙のストリップを浸漬した。溶媒を蒸発させた後(約30秒)、訓練された調香師が香りの印象を嗅覚で評価した。
【0176】
本発明の化合物の芳香の印象を下記の表1に示す。本発明の化合物を化合物Aと表記し、表2及び表3に従って香水組成物に配合した。
【0177】
【0178】
4.有利な組成物
表1に示される化合物を、表2及び3に従って組成物として配合した。表2及び表3において、表1の化合物は「化合物A」と表記される。
【0179】
【0180】
【0181】
表2及び表3による組成物、即ち、1A、1B、2A、2Bは、デオポンプスプレー、クリーンヘアコンディショナー、フェイスウォッシュジェル、フォームバス濃縮液、ヘアジェル、セルフフォーミングボディウォッシュ、スプレー式サンケアエマルジョン、スプレー式サンプロテクションエマルジョン、エモリエントフェイシャルジェル、2相オイルフォームバス、シャンプー、シャワーバス、含水アルコールAP/デオポンプスプレー、エアゾール、水性/アルコールAP/デオロールオン、スタイリングジェルタイプ「アウトオブベッド(Out of Bed)」、シェービングフォーム、敏感肌用ベビーシャンプー、敏感肌用ボディウォッシュ、敏感頭皮用グロスエンハンシングシャンプー、デオスティック、乳児用拭き取りシート、アフターシェーブバーム、フェイスジェル、フェイスデイケアクリーム、フェイスクレンザー、ボディローション、サンケアSPF50+、スプレー式ローション、ハンドディッシュクリーナー(レギュラー)、ハンドディッシュクリーナー(濃縮液)、サニタリー用洗剤(濃縮液)、汎用洗浄剤、抗菌柔軟剤、洗剤組成物、粉末洗剤組成物及び液体洗剤組成物からなる群から選択される様々な組成物に含まれ得る。
【0182】
当業者は、上述の製品における様々な一般的な配合に精通しているであろう。
【0183】
組成物1A、1B、2A及び2Bは、例えば、IP.com番号:IPCOM000258614D、表題New Aroma Chemicals、6~46ページ、表1~表D13に開示されているような特定の配合で配合することができ、この場合、「香料組成物1A」は、同一量の組成物1A、1B、2A、又は2Bで置き換えられる。
【国際調査報告】