(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プラズマ環境のためのエタロン温度計
(51)【国際特許分類】
G01K 1/02 20210101AFI20240927BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01K1/02 L
H01L21/66 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518846
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022042598
(87)【国際公開番号】W WO2023055537
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アダムス, ブルース イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウエルズ, サミュエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア, アルヴァロ
(72)【発明者】
【氏名】クレバー, バリー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】グナナプラカサ, トニー ジェファーソン
(72)【発明者】
【氏名】リアン, レイ
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA04
4M106CA22
4M106CA31
4M106DH12
4M106DH14
4M106DH44
4M106DH46
(57)【要約】
本明細書では、処理チャンバ内の基板の温度を決定する方法と装置について説明する。本明細書で説明する方法と装置は、エタロンアセンブリとヘテロダイン効果を利用して、基板の第1の温度を決定する。基板の第1の温度は、基板に物理的に接触することなく決定される。別個の温度センサもまた、類似の場所で基板及び/又は基板支持体の第2の温度を測定する。基板支持体内に配置された温度センサ、処理チャンバ内で実行されるプロセスのモデルの1つを較正するため、又は処理チャンバ内で実行されるプロセスのプロセスパラメータを調整するために、第1の温度及び第2の温度が利用される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバ内での使用に適した温度を検知する方法であって、前記方法が、
第1のエタロンに第1の光線を通すことと、
第2のエタロンを提供する、前記処理チャンバ内に配置された基板に、前記第1の光線を通すことと、
前記第1の光線から、反射された第2のビームと透過された第2のビームとを生成することであって、前記反射された第2のビームを前記第1のエタロンと前記第2のエタロンの両方に通した後に実行される、反射された第2のビームと透過された第2のビームとを生成することと、
前記反射された第2のビーム又は前記透過された第2のビームの一方の干渉縞からフリンジ間隔を決定することと、
前記フリンジ間隔に基づいて前記基板の温度を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記フリンジ間隔が、前記第1のエタロン又は前記第2のエタロンの一方の経験的に導出された熱光学係数値に相関する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の光線を、前記第1のエタロン及び前記処理チャンバ内に配置された前記基板を通して方向付けることが、更に、前記第1の光線を、前記処理チャンバのリッドと反対側を向く前記基板の表面に、かつ前記リッドに向かう方向に方向付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の光線を、前記第1のエタロン及び前記処理チャンバ内に配置された前記基板を通して方向付けることが、更に、前記第1の光線を、前記処理チャンバのリッドに面する前記基板の表面に、かつ前記リッドと反対方向に方向付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、
前記干渉縞の前記フリンジ間隔を使用して決定された前記温度を使用して、前記処理チャンバの基板温度センサを較正すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の光線を前記第1のエタロンから前記基板に方向付けることが、更に、前記処理チャンバ内に配置された前記基板上でプラズマプロセスが実行される間に、前記第1の光線をプラズマを通して方向付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリンジ間隔を決定することの前に、前記処理チャンバ及び前記基板が定常状態の温度にされ、初期基板温度測定値を使用して前記基板の厚さが計算され、前記第1の光線の経路から前記第1のエタロンを外し、かつ前記第1の光線の前記経路内に代替の第1のエタロンを載置することによって、前記第1のエタロンの第1の厚さが前記基板の第2の厚さの10μmの範囲内になるように調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の光線の前記経路内に前記代替の第1のエタロンを載置することが、更に、
前記基板の前記厚さに基づいて、前記第1の光線と、複数の基準エタロンのうちの第1の基準エタロンと、の少なくとも1つを自動的に移動させて位置合わせすること
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
更に、
少なくとも前記第1の光線と第3の光線とを、前記処理チャンバ内に配置された前記基板の異なる場所に方向付けること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の光線と前記第3の光線とを方向付けることが、更に、
前記第1の光線を前記基板の中心領域に方向付けること、及び前記第3の光線を前記基板のエッジ領域に方向付けること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
方向付けることが、更に、
少なくとも1つの光線を、前記処理チャンバ内で前記基板を支持する基板支持体の温度制御ゾーンに関連する前記基板の各領域に方向付けること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
更に、
前記温度を使用して、前記処理チャンバ内の温度センサを較正すること、
前記温度センサの1つ以上の測定値に温度オフセットを適用すること、
前記処理チャンバ内で実行されるプロセスのモデルを調整すること、及び
前記処理チャンバ内で実行される前記プロセスのプロセスパラメータを調整すること
のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
半導体処理チャンバ内での使用に適した温度を検知する方法であって、前記方法が、
第1のエタロンに第1の光線を通すことと、
第2のエタロンを提供する、前記処理チャンバ内に配置された基板に、前記第1の光線を通すことであって、前記第1のエタロンと前記第2のエタロンとがエタロンアセンブリを形成し、かつ前記第1のエタロン又は前記第2のエタロンの一方が、前記第1の光線から、反射された第2のビームと透過された第2のビームとを生成する、前記第1の光線を通すことと、
前記エタロンアセンブリの前記反射された第2のビーム又は前記透過された第2のビームの一方の内部に生成された干渉縞からフリンジ間隔を決定することと、
前記フリンジ間隔に基づいて前記基板の温度を決定することと、
前記処理チャンバのコントローラに前記温度を提供することであって、
前記温度を使用して、前記処理チャンバ内の温度センサを較正すること、
前記温度センサの1つ以上の測定値に温度オフセットを適用すること、
前記処理チャンバ内で実行されるプロセスのモデルを調整すること、及び
前記処理チャンバ内で実行される前記プロセスのプロセスパラメータを調整すること
のうちの1つ以上を実行する前に実行される、前記処理チャンバのコントローラに前記温度を提供することと
を含む、方法。
【請求項14】
更に、
少なくとも前記第1の光線と第3の光線とを、前記処理チャンバ内に配置された前記基板の異なる場所に方向付けること
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の光線を前記第1のエタロンから前記基板に方向付けることが、更に、前記処理チャンバ内に配置された前記基板上でプラズマプロセスが実行される間に、前記第1の光線をプラズマに通して方向付けることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記温度を決定することの前に、前記処理チャンバ及び前記基板が定常状態の温度にされ、初期基板温度測定値を使用して前記基板の厚さが計算され、前記第1の光線の経路から前記第1のエタロンを外し、かつ前記第1の光線の前記経路内に代替の第1のエタロンを載置することによって、前記第1のエタロンの第1の厚さが前記基板の第2の厚さの10μmの範囲内になるように調整される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
処理チャンバ内の温度測定を較正する方法であって、
前記処理チャンバ内で基準基板に対してプロセス工程を実行することと、
前記プロセス工程を実行しつつ、第1のエタロンアセンブリを使用して、前記処理チャンバ内に配置された基板の第1の温度を測定することであって、
第1のエタロン及び基板に第1の光線を通すこと、
第2のエタロンを提供する前記基板を前記第1の光線と交差させること、
前記第1のエタロン又は前記第2のエタロンの一方を使用して、前記第1の光線を、反射された第2のビームと透過された第2のビームとに分割すること、
放射線測定デバイスを使用して、前記反射された第2のビーム又は前記透過された第2のビームの一方を収集すること、及び
前記基板の前記第1の温度を決定するために、前記反射された第2のビーム又は前記透過された第2のビームを分析すること
を含む、基板の第1の温度を測定することと、
第1の温度センサを使用して、前記基板、又は前記基板が配置される基板支持体の一方の第2の温度を測定することと、
前記第1の温度と前記第2の温度とをコントローラに送信することと、
前記第1の温度と前記第2の温度とを使用して、前記コントローラ内のモデルを較正することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記プロセス工程がプラズマエッチングプロセスである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基板の屈折率が約2~約6である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の温度と前記第2の温度とが、前記基板の第1の環状部分に沿って測定され、更に、前記基板の第2の環状部分において第2のエタロンアセンブリを使用して第3の温度を測定することを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、半導体処理チャンバ内の温度測定に関し、特に、処理チャンバ内又は処理チャンバに関連する2つのエタロン対象物(etalon-object)間のコヒーレント放射にヘテロダイン効果を生み出すこと(heterodyning)による非接触温度測定に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体の処理にとって、温度は重要なパラメータである。処理チャンバ内の様々な場所、様々な処理段階における選択された対象物の温度測定は、困難な場合がある。例えば、インシトゥ(その場)半導体基板の温度測定は、従来の測定技術に大きな課題となっている。
【0003】
[0003]現在の高温計は、熱放射を検出することによって温度を推定している。しかし、現在の高温計は表面接触のリスクを回避しうるが、高温計は高温(例えば380℃以上)に制限されうる。現在の高温計の精度は、放射率のばらつき(例えば、表面パターンの放射率のばらつき)のために制限されうる。複雑な膜積層体による多くの新しい低温プロセスは、正確で再現性のある放射高温計の限界を凌駕する。
【0004】
[0004]プラズマエッチング又はプラズマ堆積のようなプラズマを含むプロセスで利用される場合、高温計は更に制限される。プラズマは、ノイズ、及び高温計測定値から容易にフィルタリングされない追加的な光を導入することによって、高温計の温度測定に干渉する。コンタクト温度センサ(Contact temperature sensor)は、処理チャンバ内の放射源からの放射率やノイズによるばらつきのない、より直接的な温度測定を得るために利用される。しかし、コンタクト温度センサは応答時間と精度に限界があり、基板そのものではなく、基板に隣接する基板支持体の温度を測定することが多い。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野では、温度測定のための改良された方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示は、概して、処理チャンバ内の温度を測定するための装置及び方法に関する。1つの実施形態では、半導体処理チャンバ内での使用に適した温度を検知する方法が記載される。この方法は、第1のエタロンに第1の光線を通すことと、処理チャンバ内に配置された基板に第1の光線を通すこととを含む。基板は、第2のエタロンを提供する。第1の光線から、反射された第2のビームと透過された第2のビームとが生成され、このことは、反射された第2のビームを、第1のエタロンと第2のエタロンとの両方に通した後に実行される。反射された第2のビーム又は透過された第2のビームの一方の干渉縞から、フリンジ間隔が決定される。フリンジ間隔に基づいて、基板の温度が決定される。
【0007】
[0007]別の実施形態では、半導体処理チャンバ内での使用に適した温度を検知する方法が記載される。この方法は、第1のエタロンに第1の光線を通すことと、処理チャンバ内に配置された基板に第1の光線を通すこととを含む。基板は、第2のエタロンを提供する。第1のエタロン又は第2のエタロンの一方は、第1の光線から、反射された第2のビームと透過された第2のビームとを生成する。第1のエタロンと第2のエタロンは、エタロンアセンブリを形成する。エタロンアセンブリの反射された第2のビーム又は透過された第2のビームの一方の内部に生成される干渉縞から、フリンジ間隔が決定される。フリンジ間隔に基づいて、基板の温度が決定される。温度を使用して、処理チャンバ内の温度センサを較正すること、温度センサの1つ以上の測定値に温度オフセットを適用すること、処理チャンバ内で実行されるプロセスのモデルを調整すること、及び処理チャンバ内で実行されるプロセスのプロセスパラメータを調整することのうちの1つ以上を実行する前に、温度が処理チャンバのコントローラに提供される。
【0008】
[0008]更に別の実施形態では、処理チャンバ内の温度測定値を較正する方法が記載される。この方法は、処理チャンバ内で基準基板に対してプロセス工程を実行することを含む。プロセス工程を実行しつつ、第1のエタロンアセンブリを使用して、処理チャンバ内に配置された基板の第1の温度が測定される。基板の第1の温度を測定することは、第1のエタロン、及び第2のエタロンを形成する基板に、第1の光線を通すことと、基板を第1の光線と交差させることと、第1のエタロン又は第2のエタロンの一方を使用して、第1の光線を反射された第2のビームと透過された第2のビームとに分割することと、放射線測定デバイスを使用して、反射された第2のビーム又は透過された第2のビームの一方を収集することと、基板の第1の温度を決定するために、反射された第2のビーム又は透過された第2のビームを分析することとを含む。この方法は更に、第1の温度センサを使用して、基板、又は基板が配置される基板支持体の第2の温度を測定することと、第1の温度と第2の温度とをコントローラに送信することと、第1の温度と第2の温度とを使用して、コントローラ内のモデルを較正することとを含む。
【0009】
[0009]本開示の上述の特徴が詳細に理解できるように、上記で概説した本開示のより具体的な説明が実施形態を参照することにより得られ、それら実施形態のいくつかが添付図面に示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]エタロンとエタロンに関連する概念を示す。
【
図2】[0011]標準的な厚さのシリコン半導体基板の透過率対波長のグラフを示す。
【
図3】[0012]光軸に沿って位置合わせされた一対のエタロン対象物(etalon-object)を示す。
【
図4】[0013]一対の標準的な厚さのシリコン半導体基板の透過率対波長の別のグラフを示す。
【
図5】[0014]一対の標準的な厚さのシリコン半導体基板の透過率対波長の別のグラフを示す。
【
図6】[0015]室温から約300℃までのシリコン半導体基板の熱光学係数対温度のグラフを示す。
【
図7】[0016]本開示の実施形態による、第1の処理チャンバの概略図を示す。
【
図8A】[0017]本開示の実施形態による、第2の処理チャンバの概略図を示す。
【
図8B】[0018]本開示の実施形態による、第3の処理チャンバの概略図を示す。
【
図9A】[0019]本開示の実施形態による、第4の処理チャンバの概略図を示す。
【
図9B】[0020]本開示の実施形態による、第5の処理チャンバの概略図を示す。
【
図9C】[0021]本開示の実施形態による、第6の処理チャンバの概略図を示す。
【
図10】[0022]本開示の実施形態による、基板の温度を決定する方法を示す。
【
図11】[0023]本開示の実施形態による、基板の厚さを決定する方法を示す。
【
図12】[0024]本開示の実施形態による、処理チャンバ内の温度を較正する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0025]理解を容易にするため、可能な場合、図に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号が使用された。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられる。
【0012】
[0026]本発明の実施形態は、概して、半導体処理チャンバにおける温度測定及び較正に関し、特に、処理チャンバ内又は処理チャンバに関連する2つのエタロン対象物間の放射にヘテロダイン効果を生み出すことによる(by heterodyning radiation)非接触温度測定に関する。いくつかの実施形態では、2つのエタロン対象物の一方又は両方が半導体基板(例えば、シリコン基板)である。他の例では、基板の一方又は両方が他の材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、2つのエタロン対象物は、基準基板とサンプル基板とを含む。いくつかの実施形態では、2つのエタロン対象物は、約400nmと約2000nmとの間、例えば約1000nm~約1700nmなどの波長を有する放射線を少なくとも部分的に透過する。いくつかの実施形態では、2つのエタロン対象物の各々は、実質的に均一な物理的厚さ(すなわち、約10%以下の偏差)を有している。いくつかの実施形態では、2つのエタロン対象物は、物理的厚さ、光学的厚さ、屈折率、及び/又は相対的配向においてほぼ一致している(約1%と約10%との間の差)。
【0013】
[0027]本開示の実施形態の多くの潜在的利点の1つは、インシトゥ(その場)エタロン対象物(例えば、半導体ウエハなどの基板)の温度測定が、高い分解能で広い温度範囲(例えば、約-200℃から約700℃まで)にわたって実行されうることである。別の利点は、基板近接法から発生しうる放射率又は熱伝導の問題に依存することなく、直接温度測定が可能になることである。本明細書に開示される温度測定は、バックグラウンド又は迷光放射による影響が最小限に抑えられうるか、又は影響されえない。別の利点は、チャンバの設計、試験、及び/又はメンテナンスのためのより正確な温度データを許容することを含む。より正確な試験は、高いバックグラウンド放射を有するシステム、及びその内部でプラズマを生成するために備えられたシステムにおいて、特に顕著になりうる。別の利点は、処理中の基板にわたって温度均一性を高めることができることを含む。例えば、本明細書で開示される温度測定は、サンプル基板の放射率のばらつきによる影響を最小限又は完全に抑えることができ、迅速かつ正確な局所温度フィードバックを提供することで、プロセスノブを回転させ、温度とプロセスの均一性を向上させることができる。もう1つの利点は、チャンバマッチング(chamber matching)の改善、及び/又は処理中の温度制御の改善である。これにより、本開示の実施形態は、プロセス温度の制御を厳しくすることで、高度な(すなわち、より小さなノードの)デバイスの製造及び/又は大量生産を可能にする材料処理の分野で有用でありうる。
【0014】
[0028]本明細書に記載の技法に関連して、半導体処理に使用されるウエハのような基板は、一般的にシリコン製である。上述したように、他の材料から製造された基板が利用されてもよい。基板は、概して、平らなディスクの形状でありうる。ディスクの2つの平ら面(「表」と「裏」、「上部」と「底部」、又は「第1」と「第2」と時には称される)は、実質的に平行でありうる。言い換えれば、基板の2つの表面は、エタロンを形成しうる。
図1に示されるように、エタロン100は、入射放射線I(例えば、赤外線)が2つの表面S1とS2との間を往復する光学素子である。入射放射線Iは、入射角αで第1の表面S1に当たりうる。放射線は、透過放射線T及び/又は反射放射線Rとしてエタロン100を退出しうる。シリコン半導体基板の屈折率が高いため、2つの表面の間で大きな反射が発生する。反射のたびに、透過(transmission)によるわずかなエネルギー損失が発生する。特定の波長におけるコヒーレント放射の場合、透過放射の総透過パワーTと反射放射の総反射パワーRは、エタロン100の光学的厚さ(屈折率と物理的厚さとの積)の敏感な関数である。例えば、透過パワーは、入射波長の整数倍に相当する光学的厚さでは高く、入射波長の半整数倍では低くなりうる。
【0015】
[0029]ヘテロダイニング技法は、様々なエタロン対象物及び材料を用いた半導体処理において使用できることを理解されたい。エタロン対象物がシリコン半導体基板である場合、放射線源は、約400nmから約2000nm、例えば約1100nmから約1700nmの広い波長スペクトルにわたってコヒーレント放射線を生成するように選択されうる。ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、サファイアなどの他の材料も、半導体処理環境内のエタロン対象物として使用されうる。このような場合、波長範囲は特定の対象物及び材料の透明な窓(transparency window)に応じて調整可能であろう。
【0016】
[0030]
図2は、吸収のない室温での標準的な厚さ(すなわち、0.775mm)のシリコン基板の透過率対波長のグラフ110を示す。反射と透過は、波長と基板の光学的厚さに応じて、互いに建設的又は破壊的に干渉することがわかる。図示されているように、0.27nmのフリンジ間隔115(例えば、ピーク又はトラフなどの隣接する干渉縞間の距離)は、一般的に半導体ツールに組み込まれる分光計で分解するには狭すぎる傾向がある。例えば、ある一般的な分光計の分解能はわずか1.9nmである。
【0017】
[0031]
図3は、光軸206に沿って位置合わせされた一対のエタロン対象物202及び204を示している。エタロン対象物202、204は、シリコン又は他の適切な基板でありうる。図示されているように、入射放射線I(例えば、赤外放射線)は、エタロン対象物202に当たり、その2つの表面間で跳ね返り、透過放射線tとして出現する。透過放射線tは、第2のエタロン対象物204の入射放射線となり、その2つの表面間で跳ね返り、透過放射線T又は反射放射線rとして出現する。エタロンがほぼ一致している場合(約1%と約10%との間の差)、放射線は2つのエタロン間でヘテロダイン効果を生み出す(共に鼓動する)。2つのエタロンは、屈折率、物理的な厚さ、光学的な厚さ、相対的な配向、及び/又は入射角のうちの1つ以上を制御することにより、ほぼ一致するようになる。本明細書で説明するように、両方のエタロンの光学的厚さが互いに約10%の範囲内にあるように、2つのエタロンは一致するようになる。光学的厚さT
Opticは、屈折率RI、物理的厚さT
physical、エタロン内の伝搬角度θの組み合わせから、T
Optic=RI
*T
physical
*cos(θ)のように導かれる。したがって、屈折率、物理的厚さ、及び/又は伝搬角のうちの任意の1つを変化させて、各エタロンの光学的厚さを約10%の範囲内の差で一致させることができる。
【0018】
[0032]
図4は、
図3に示したような一対の標準的な厚さ(すなわち、0.775mm)のシリコン基板の透過率対波長のグラフ210を示す。
図4では、基準基板が25℃に維持される一方で、サンプルは100℃である。基準基板は、
図3の第2のエタロン対象物204でありうる。グラフ210は、透過放射線Tのヘテロダイン効果が生じたスペクトル(heterodyned spectrum)を示している。ヘテロダイン効果が生じたスペクトルは、グラフ110のフリンジ間隔よりも概して幅広いフリンジ間隔を有している。例えば、選択された隣接干渉ピーク(近接波長=1500nm)間のフリンジ間隔215は、約80nmである。グラフ110とは異なり、グラフ210のフリンジ間隔は波長によって変化することに注意されたい。透過放射線Tを使用して、同様のヘテロダイン効果が生じたスペクトルが得られうる。ヘテロダイン効果が生じたクスペクトルは、モアレパターン(Moire pattern)に類似しうる。ヘテロダイン効果が生じた2つのエタロン対象物は、モアレ干渉計によって生成される強度パターンに似た、重なり合った強度パターンを形成する。モアレ干渉計の強度パターンと同様に、エタロンアセンブリを使用して生成される強度パターンは、エタロンアセンブリ内のエタロンの一方又は両方の屈折率などの1つ以上の特性が変化するにつれて、変化する。
【0019】
[0033]
図5は、一対の基準厚さシリコン基板の透過率対波長の別のグラフ310を示す。
図5では、基準基板が25℃に維持される一方で、サンプルは240℃である。グラフ310は、概してグラフ110のフリンジ間隔よりはるかに広いが、グラフ210のフリンジ間隔より明らかに狭いフリンジ間隔を有しているヘテロダイン効果が生じたスペクトルを示している。例えば、選択された隣接する干渉谷(近接波長=1500nm)間のフリンジ間隔315は約20nmである。
図5のヘテロダイン効果が生じたスペクトルは同様に、透過放射線T又は反射放射線rの一方を使用して決定されうる。
【0020】
[0034]フリンジ間隔に関する概念及び技法は、干渉縞周期のカウントにも同様に適用可能でありうることを理解されたい。例えば、
図4では、1300nmと1500nmとの間の波長範囲において、干渉縞は約3.25周期を示す。
図5ではフリンジ間隔が狭いため、同じ波長範囲では干渉縞は約10周期を示す。そのため、周期カウントがフリンジ間隔の代わりに使用されうる。周期カウントは、様々な動作条件(例えば、高いサンプル温度)で有益でありうる。
【0021】
[0035]同様に、フリンジ間隔に関する概念及び技法は、干渉縞の位相変化にも同様に適用可能でありうることを理解されたい。例えば、
図4では、干渉縞は約1400nmの波長で約π/2(pi/2)の位相を示す。
図5では、同じ波長で干渉縞は約-π/2の位相を示す。基準基板の温度を、
図4のように100℃から、
図5のように240℃まで徐々に変化させることにより、選択された波長における干渉縞の位相が漸進的に変化することが確認されうる。したがって、温度変化に対する位相変化は、フリンジ間隔の代わりに使用されうる。位相変化をモニタすることは、様々な動作条件(例えば、サンプル温度の高低)において有益でありうる。例えば、基板温度は、フリンジパターンの位相に実質的に直線的に関連しうる。この関係は、熱光学係数を通して確立されうる。多くの場合、位相変化は、フリンジ間隔よりも正確かつ/又は効率的に測定されうる。
【0022】
[0036]いくつかの実施形態では、干渉縞の位相は、選択された波長でモニタされうる。選択される波長は、基板の材料に対して透過性のある波長である。例えば、シリコン基板に対して選択される波長の1つは、1400nmでありうる。選択された波長における位相の変化は、温度の変化を推測するために使用されうる。温度が急激に変化する条件では、位相変化をモニタすることで、温度測定の精度が向上しうる。位相変化のモニタリングは、フリンジ間隔及び/又は位相変化の測定に加えて又は測定に代えて、実行されうる。
【0023】
[0037]前述のように、ヘテロダイン効果は、エタロンがほぼ一致している場合に発生する。実質的に平行なエタロンが実質的に同じ物理的厚さ(約10%未満の差)を有している場合、エタロンの屈折率がほぼ一致する(約10%未満の差)ときにヘテロダイン効果が発生する。処理チャンバに関連する典型的なエタロン対象物(シリコン基板など)の屈折率は、温度とともに変化する。その結果、実質的に平行なエタロン対象物が実質的に同じ物理的厚さを有する場合、ヘテロダイン効果の程度(フリンジ間隔によって示される)は、温度とともに変化する。「基準」エタロン対象物と称されるエタロン対象物の1つは、基準温度に維持されうる。他のエタロン対象物は、「サンプル」エタロン対象物と称されうる。したがって、基準エタロン対象物とサンプルエタロン対象物との間の屈折率の差を計算するために、フリンジ間隔を使用することができる。次に、サンプルエタロン対象物の温度を推測するために、屈折率を使用することができる。基準エタロン対象物とサンプルエタロン対象物との間の相対入射角及び/又は物理的厚さの既知のばらつきは、サンプルエタロン対象物の屈折率及び/又は推定温度の計算に組み込まれうることを理解されたい。
【0024】
[0038]いくつかの実施形態では、基準エタロンは、サンプルエタロン対象物とは異なる材料で作られうる。いくつかの実施形態では、基準エタロン対象物は、温度によって大きく変化しない屈折率を有する材料で作られうる。このような実施形態では、基準エタロン対象物の屈折率は、特に基準温度を維持することなく、知られうる及び/又は推定されうる。
【0025】
[0039]いくつかの実施形態では、屈折率と温度との間の関係は、推定又はモデル化されうる。いくつかの実施形態では、屈折率と温度との間の関係は、較正を通して得られうる。いくつかの実施形態では、所与の温度範囲についての屈折率を推定するために、熱光学係数(すなわち、屈折率対温度の変化、dn/dT)のグラフが使用されうる。
図6は、熱光学係数対室温から約300℃までのシリコン半導体基板の温度のグラフを示す。
図6の垂直軸の屈折率は、水平軸に沿った大きな温度変化に伴って徐々に変化することに注意されたい。熱光学係数の同様のグラフが、極低温から約600℃まで(例えば約-200℃から約600℃まで)のような他の温度範囲についても作成されうる。
【0026】
[0040]熱光学係数は、シリコン半導体基板の熱膨張も考慮しうる。シリコン半導体基板の熱膨張は、光学的厚さ値が熱膨張係数と熱光学係数の両方に依存するように、単一の光学的厚さ値に組み込まれうる。特定の温度値に相関する光学的厚さ値は、材料の屈折率の変化と熱膨張により引き起こされた基板の厚さの変化を考慮するように決定される。基板/エタロンの温度が変化すると、屈折率と基板/エタロンの物理的厚さの両方が変化する。これは相関温度に対するフリンジ間隔に影響する。しかしながら、本明細書に記載される実施形態では、本明細書に記載される光学的厚さ値の変化は、物理的厚さの変化よりも屈折率の変化により大きな影響を受ける。材料の屈折率は、基板材料の熱光学係数と相関している。熱光学係数は、材料の屈折率の変化を温度変化に関連付ける。熱光学係数は、所望の温度範囲について経験的に決定されうる。
【0027】
[0041]
図7は、第1の処理チャンバ700の概略図を示す。第1の処理チャンバ700は、半導体基板などの基板を処理するように構成されている。第1の処理チャンバ700は、チャンバ本体702と、チャンバ本体702の上部に配置されたチャンバリッド704と、チャンバリッド704の上部に配置されたエタロンアセンブリ708と、チャンバ本体702内に配置された基板支持体710とを含む。チャンバ本体702とチャンバリッド704は、その内部に処理空間728を形成する。半導体基板などの基板725は、処理空間728内の基板支持体710の上部に配置され、エタロンアセンブリ708は、基板725の温度を測定するように構成される。
【0028】
[0042]第1の処理チャンバ700は、処理空間728内に配置された基板725上で、プラズマエッチング、イオン注入、プラズマ堆積プロセス又は他のプラズマプロセスなどのプラズマプロセスを実行するように構成される。プラズマ726は、基板支持体710とチャンバリッド704との間の処理空間728内に形成されうる。チャンバリッド704の上方に、1つ以上の誘導コイル706が配置されうる。1つ以上の誘導コイル706は、電源752に接続される。電源752は、交流(AC)電源であってもよいし、高周波(RF)電源であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の処理チャンバ700は、誘導結合プラズマ源(ICP)、容量結合プラズマ源(CCP)、及び/又は1つ以上の他の遠隔プラズマ源を含む。
【0029】
[0043]1つ以上のガス入口736によって、1つ以上のプロセスガス源734が処理空間728に流体連通される。プロセスガス源734は、1つ以上のプロセスガスを処理空間728に供給しうる。プロセスガスは、堆積前駆体、不活性ガス、キャリアガス、洗浄ガス、エッチャントガス、又はこれらの組み合わせを含みうる。プロセスガス源734によって導入される1つ以上のプロセスガスは、排気ポンプ740を使用して除去されうる。排気ポンプ740は、排気口738を介して、処理空間728と流体連結している。排気口738は、チャンバ本体702の一部を通って形成される。
【0030】
[0044]1つの実施例では、基板支持体710は、基板ペデスタル712、シャフト716、アクチュエータ718、及び電源720を含む。基板ペデスタル712は、支持面714を含む。支持面714は、基板725を支持体するように構成される。オプションでは、1つ以上の温度センサ722、724が、第1の温度センサ722及び第2の温度センサ724のように、基板ペデスタル712内に配置される。第1の温度センサ722は、基板725の中心部分及び/又は基板725に隣接する基板支持体710の中心部分の温度を測定するために、支持面714の中心部分に配置される。第2の温度センサ724は、支持面714上で、第1の温度センサ722から半径方向外側に配置される。第2の温度センサ724は、基板725のエッジ温度及び/又は基板725のエッジに隣接する基板支持体710の温度を測定するように構成される。
【0031】
[0045]シャフト716は、基板ペデスタル712に結合され、チャンバ本体702を通って延びる。シャフト716は、1つ以上のアクチュエータ718に結合される。アクチュエータ718は、基板支持体710を回転させる及び/又は基板支持体710を上昇/下降させるように構成される。電源720は、基板ペデスタル712内に配置された1つ以上の抵抗加熱器(図示せず)に接続される。抵抗加熱器は、基板ペデスタル712及びその上に配置された基板725の温度を制御するために利用される。電源720はまた、支持面714に電圧差を印加しうる。温度センサ722、724は、電源720又はマルチメータ(図示せず)に接続されうる。
【0032】
[0046]エタロンアセンブリ708は、基準エタロン762、光源744、光源744と基準エタロン762との間に配置されたコリメータ756、放射線測定デバイス746、及びスペクトルアナライザ748を含む。基準エタロン762とコリメータ756は、アセンブリ本体758内に配置される。アセンブリ本体758は、外光や放射線がエタロンアセンブリ708に進入するのを防ぎ、エタロンアセンブリ708のためのケーシングである。アセンブリ本体758は更に、エタロンアセンブリ708の使用中、基準エタロン762及びコリメータ756を所定の位置に保持する役割を果たす。
【0033】
[0047]第1の光線732が光源744によって生成され、1つ以上の導波管750を通過する。導波管750は、光ファイバ又はライトパイプでありうる。第1の光線732が次に基準エタロン762に伝送される前に、導波管750は、第1の光線732を光源744からコリメータ756に伝送するように構成される。第1の光線732は広帯域光線であり、約400nm~約2000nm、例えば約400nm~約1400nm、例えば約400nm~約800nmの波長範囲など、大きな波長範囲にわたる光スペクトルを生成しうる。広帯域スペクトル光線は白色光線であり、広帯域波長スペクトルからの光を含むように構成される。第1の光線732は、コリメータ756及び基準エタロン762を通過するように構成される。基準エタロン762を通過した後に、第1の光線732は分割導波管751に進入する。分割導波管751は、基準エタロン762からの第1の光線732を、チャンバリッド704又はチャンバ本体702内の開口部730を通して処理空間728に伝達するように構成される。第2のコリメータ757のような第2のコリメータは、開口部730内に配置され、分割導波管751に光学的に接続されうる。第2のコリメータ757は、光が処理空間728内を通過する際に光をコリメートするように構成される。開口部730は、プロセスガスが処理空間728に導入されうるよう更に構成されうる。プロセスガスは、第2のプロセスガス源742によってエタロンアセンブリ708の内部空間に導入されうる。第2のプロセスガス源742は、1つ以上のプロセスガス又は不活性ガスをエタロンアセンブリ708のアセンブリ本体758に導入しうる。次いで、1つ以上のプロセスガスは、開口部730を介して処理空間728に流入されうる。
【0034】
[0048]いくつかの実施形態では、開口部730の少なくとも一部は、第2のコリメータ757で覆われている。いくつかの実施形態では、開口部730は、窓又は第2のコリメータ757を使用して完全にブロックされる。窓は、処理空間728をアセンブリ本体758の内部の空間から分離し、基準エタロン762の一定温度を維持するのを支援しうる。
【0035】
[0049]基準エタロン762は、エタロンハウジング760を使用して所定の位置に保持される。エタロンハウジング760は、1つ以上の基準エタロンを所定の位置に保持するように構成される。
図7の例では、基準エタロン762、第2の基準エタロン764、及び第3の基準エタロン766が示される。この実施形態では、基準エタロン762は、第1の基準エタロンと称されうる。基準エタロン762、第2の基準エタロン764、及び第3の基準エタロン766の各々は、エタロンハウジング760内に配置される。エタロンハウジング760は、基準エタロン762、764、766のうちの選択された1つが第1の光線732の経路内に移動されうるように、ビームに対してエタロンを再配置するように構成される。
図7に示すように、基準エタロン762は、第1の光線732の経路内に配置される。いくつかの実施形態では、第2の基準エタロン764及び第3の基準エタロン766は、代替の基準エタロン又は代替の第1のエタロンでありうる。エタロンハウジング760は、基準エタロン762、764、766のどれに第1の光線732が入射するかを切り替えるために、軸を中心に回転するように構成されうる。例えば、エタロンハウジング760は、ハウジング760を回転させてエタロンの1つをビーム経路に選択的に移動させるステッピングモータ又はサーボモータに接続されうる。エタロンハウジング760は、代替的には、第1の基準エタロン762のみ、又は第1の基準エタロン762及び第2の基準エタロン764のみ、又は4つ以上の基準エタロンなど、より多くの又はより少ない基準エタロンを含みうる。
【0036】
[0050]基準エタロン762、764、766の各々は、異なる厚さ及び/又は異なる屈折率を有している。異なる厚さ及び/又は異なる屈折率により、基準エタロン762、764、766を、屈折率及び/又は基板725の厚さの少なくとも一方に一致するように選択することができる。第1の光線732が入射する基準エタロンの厚さは、所望の厚さを有する基準エタロン762、764、766のうちの1つを選択することによって変更される。いくつかの実施形態では、第1の光線732内の基準エタロン762、764、766の厚さは、基板725の厚さが互いに約10%の範囲内の差(例えば約15μm未満の差、例えば約10μm未満の差)で一致するように選択される。基準エタロン762、764、766の厚さ及び/又は屈折率を基板725の厚さにほぼ一致させることにより、第1の光線732のヘテロダイン効果が生じうる。いくつかの実施形態では、基準エタロン762、764、766は、エタロンハウジング760からの1つの基準エタロンを、基板725と厚さ及び/又は屈折率が一致する別の基準エタロンと交換することによって、手動で選択されうる。
【0037】
[0051]各基準エタロン762、764、766は、温度制御ユニット761を使用して予め決定された温度に維持される。温度制御ユニット761は、アセンブリ本体758の周囲に配置されるなどして、エタロンアセンブリ708に接続される。温度制御ユニット761は、少なくとも光線が入射するエタロンに対して予め決定された温度を維持するように構成される。例えば、温度制御ユニット761は、基準エタロンを冷却及び/又は加熱する。温度制御ユニット761は、1つ以上の冷却剤通路、ファン、1つ以上の抵抗加熱器、又はこれらの組み合わせを使用して、基準エタロンの温度を制御しうる。基準エタロン762、764、766の制御された温度を維持することにより、エタロンアセンブリ708は、基準エタロン762、764、766の温度を一定に保持できるようになり、誤差をもたらす可能性のある変数としての基準エタロン温度を除去することによって、基板725の温度を正確に測定することができる。
【0038】
[0052]第1の光線732をアセンブリ本体758に導入するように構成されている導波管750の端部は、導波管ジャケット754によって所定の位置に保持される。導波管ジャケット754は、導波管750の端部をコリメータ756及び基準エタロン762に隣接する所定の位置に保持するように構成された金属又は熱可塑性ジャケットなどの硬いジャケットである。導波管ジャケット754は、導波管750の曲げ半径を約15mm以上、例えば約18mm以上、例えば約20mm以上に制限する剛性を有している。剛性の高い導波管ジャケット754を使用することで、エタロンアセンブリ708の光学測定の一貫性が向上することが示されている。
【0039】
[0053]放射線測定デバイス746は、1つ以上の第2の光線731を測定するように構成される。第2の光線731は、反射された第2のビームであってもよく、透過された第2のビームであってもよい。第1の光線732が基板725を通過し/基板725から反射された後に、第2の光線731が第1の光線732から生成される。基板725は、第2のエタロンとして機能する。いくつかの実施形態では、基板725は、サンプルエタロン又はサンプル基板と称されうる。第1の光線732が基板725と交差すると、第1の光線732は、透過された第2のビームと反射された第2のビームとに分割される。第1の光線732は、温度センサ722、724のうちの1つの半径方向位置に類似する半径方向位置で基板725と交差しうる。
図7に示すように、第1の光線732は、第1の温度センサ722に類似する半径方向位置で基板725と交差する。
【0040】
[0054]
図7で説明した第2の光線731は、反射された第2のビームであり、処理空間728を通過してアセンブリ本体758に戻る。次に、第2の光線731は、分割導波管751内に集められ、放射線測定デバイス746に供給される。分割導波管751は、少なくとも3つの開口部を含む。分割導波管751の第1の開口部は、基準エタロン762を通過した後の第1の光線732を集光する。分割導波管751の第2の開口部は、第2のコリメータを通過して戻った後の第2の光線731を集光する。分割導波管751の第3の開口部は、放射線測定デバイス746に光学的に接続される。分割導波管751の第3の開口部は、第1の光線732及び第2の光線731の一方又は組み合わせを放射線測定デバイス746に供給するように構成される。
【0041】
[0055]放射線測定デバイス746に供給される第2の光線731は、放射線測定デバイス746に供給される光の強度及び波長が決定されるように、測定及び分析される。放射線測定デバイス746は、分光計又は分光計のアレイでありうる。放射線測定デバイス746は、放射線のヘテロダイン効果が生じた周期を測定可能である。本明細書に記載の方法により、より大きな解像度を有する放射線測定デバイス746を利用することが可能になる。より大きな解像度を有する放射線測定デバイス746を使用することにより、本明細書に記載するようなフリンジ間隔の測定コストが削減されうる。放射線測定デバイス746は、1つ以上の光導波管750からの放射線を個別に検出、識別、及び/又は測定可能でありうる。例えば、放射線測定デバイス746は、光導波管750間で選択可能な1つ以上の選択デバイス(例えば、スイッチ、光チッパ、又はマルチビームスプリッタ)を含みうる。放射線測定デバイス746は、測定のために光導波管750の1つ以上を順次選択しうる。
【0042】
[0056]放射線測定デバイス746によって収集されたデータは、スペクトルアナライザ748に供給される。スペクトルアナライザ748は、放射線測定デバイス746からデータを受信可能でありうる。いくつかの実施形態では、スペクトルアナライザ748は、1つ以上の光導波管750からのスペクトルデータを個別に識別及び/又は分析可能でありうる。スペクトルアナライザ748は、
図4のフリンジ間隔215及び/又は
図5のフリンジ間隔315などのスペクトル干渉フリンジ間隔を識別するため、基板725の1つ以上の光学的厚さを算出するため、及び/又は基板725の1つ以上の温度測定値を推測するために、エタロンアセンブリ708の1つ以上の要素からデータを受信、処理、記憶、及び/又は分析しうる。
【0043】
[0057]本開示の利点から理解されるように、上記の構成は、送信モードで動作するように再構成することができよう。送信モードには、反射された第2のビームの代わりに送信された第2のビームを使用することが含まれよう。この実施形態は、反射しないか、又は反射された放射線へのアクセスが困難になるように配向されている基板の温度を測定するのに有利でありうる。例示的な送信モードが、
図9B及び
図9Cに提供される。
【0044】
[0058]また、基板725が第1のエタロンとして機能し、基準エタロン762が第2のエタロンとして機能するように、光線が逆の順序でエタロンを通過してもよい。この実施形態では、第1の光線732は、基準エタロン762を通過する前に、まず基板725を通過する。基板725を透過する透過光又は反射光のいずれか一方は、基準エタロン762に透過されうる。
【0045】
[0059]コントローラ770が第1の処理チャンバ700に接続される。コントローラ770は、本明細書に記載の方法の制御及び自動化を容易にするように構成される。コントローラ770は、光源744、放射線測定デバイス746、スペクトルアナライザ748、プロセスガス源734、742、排気ポンプ740、電源752、720、及びアクチュエータ718に接続されうるか、又はこれらと通信されうる。コントローラ770は、CPU772(すなわち、コンピされうるステム)と通信されうるか、又はCPU772に接続されうる。CPU772は、ソフトウェアアプリケーションを実行し、データを処理することができるハードウェアユニット又はハードウェアユニットの組み合わせでありうる。いくつかの構成では、CPU772は、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィック処理ユニット(GPU)、及び/又はそのようなユニットの組み合わせを含む。CPU772は、概して、1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行し、記憶されたメディアデータを処理するように構成される。コントローラ770は、メモリ774を含みうる。メモリは、本明細書に記載の基板の温度を決定する命令を記憶するための非一時的コンピュータ可読媒体である。CPU772は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために、プログラム可能な論理制御装置(PLC)などの産業用設定で使用することができる汎用コンピュータープロセッサの任意の形態の1つでありうる。メモリ774は、CPU772に接続されており、メモリ774は、非一時的であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又は任意の他の形態のローカル若しくは遠隔のデジタルストレージなど、容易に利用可能なメモリのうちの1つ又は複数でありうる。支持回路776は、従来の態様でプロセッサを支持するためにCPU772に接続される。温度測定及びその他のプロセスは、概して、典型的にはソフトウェアルーチンとして、メモリ774に格納される。また、ソフトウェアルーチンは、CPU772によって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶及び/又は実行されてもよい。
【0046】
[0060]メモリ774は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態をとっており、CPU772によって実行されると、第1の処理チャンバ700の動作を容易にする。メモリ774内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形態をとっている。プログラムコードは、数々の異なるプログラミング言語のうちの任意の1つに適合しうる。1つの例として、本開示は、コンピュータシステムで使用するためにコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実装されうる。プログラム製品の1つ以上のプログラムは、実施形態の機能(本明細書に記載の方法を含む)を規定する。
【0047】
[0061]特定の実施形態では、1つ以上のプログラムは、機械学習機能を具現化する。様々なデータ特徴は、処理時間、温度、圧力、電圧、極性、電力、ガス種、前駆体流量などのプロセスパラメータを含む。特徴間の関係は、機械学習アルゴリズムによる分析を可能にするために識別及び定義され、データを取り込み、第1の処理チャンバ700によって実行されているプロセスを適応させる。機械学習アルゴリズムは、教師あり学習技法又は教師なし学習技法を採用しうる。プログラムによって具体化される機械学習アルゴリズムの例は、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、状態ベクトルマシン、ニューラルネットワーク、ナイーブベイズ、k最近傍法、K-Means、ランダムフォレスト、次元削減アルゴリズム、及び勾配ブースティングアルゴリズムなどを含むが、これらに限定されない。1つの例では、機械学習アルゴリズムは、基板の温度測定値を調整するために利用される。
【0048】
[0062]例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、(i)情報が永続的に記憶される書込み不能な記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブ、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意の種類のソリッドステート不揮発性半導体メモリによって読み出し可能なCD-ROMディスクなどのコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ若しくはハードディスクドライブ内のフロッピーディスク又は任意の種類のソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)を含むが、これらに限定されない。このようなコンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を搬送する場合、本開示の実施形態である。
【0049】
[0063]エタロンアセンブリ708は、第1の処理チャンバ700の上面に機械的に接続されるものとして示されているが、エタロンアセンブリ708は、分割導波管751及び第2のコリメータ757のみが第1の処理チャンバ700の上部に/第1の処理チャンバ700を貫通して配置されるような、遠隔エタロンアセンブリであってもよい。
【0050】
[0064]
図8Aは、第2の処理チャンバ800の概略図を示す。第2の処理チャンバ800は、第1の処理チャンバ700に類似しているが、追加の第2のエタロンアセンブリ802を含む。第2のエタロンアセンブリ802は、第1のエタロンアセンブリと称されるエタロンアセンブリ708に類似している。第2のエタロンアセンブリ802は、基板725のエッジ付近の温度を測定するように構成され、一方、第1のエタロンアセンブリ708は、基板725の中心付近の温度を測定する。
【0051】
[0065]第2のエタロンアセンブリ802は、第2のアセンブリ基準エタロン820、第2の光源808、第2の光源808と第2のアセンブリ基準エタロン820との間に配置された第3のコリメータ816、第2の放射線測定デバイス810、及びスペクトルアナライザ748を含む。第2のアセンブリ基準エタロン820及び第3コリメータ816は、第2のアセンブリ本体806内に配置される。第2のアセンブリ本体806は、外光及び放射線が第2のエタロンアセンブリ802に進入するのを防ぎ、第2のエタロンアセンブリ802のためのケーシングとなる。第2のアセンブリ本体806は更に、第2のエタロンアセンブリ802の使用中、第2のアセンブリ基準エタロン820及び第3のコリメータ816を所定の位置に保持する役割を果たす。
【0052】
[0066]第3の光線824は、第2の光源808によって生成され、1つ以上の導波管812を通過する。導波管812は、光ファイバ又はライトパイプでありうる。次いで第3の光線824が第2のアセンブリ基準エタロン820に伝送される前に、導波管812は、第3の光線824を第2の光源808から第3のコリメータ816に伝送するように構成される。第3の光線824は、第1の光線732に類似する。
【0053】
[0067]第3の光線824は、分割導波管813内を通過するように構成される。分割導波管813は、分割導波管751に類似し、第3の光線824を第2のアセンブリ基準エタロン820から第3のコリメータ816に伝送するように構成される。第2のアセンブリ基準エタロン820を通過した後、第3の光線824は、チャンバリッド704又はチャンバ本体702内の開口部804を通って処理空間728内に進入する。開口部804は、第4のコリメータ821を更に含みうる。第4のコリメータ821は、光が処理空間728内を通過する際にその光をコリメートするように構成される。第3の光線824が第2のアセンブリ基準エタロン820から分割導波管813内に進入し、第4のコリメータ821に到達するように、第4のコリメータ821が分割導波管813に接続される。開口部804は、プロセスガスが処理空間728に導入されうるよう更に構成されうる。プロセスガスは、第2のプロセスガス源742又は第3のプロセスガス源(図示せず)によって、第2のエタロンアセンブリ802の内部空間に導入されうる。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガス源は、第2のプロセスガス源742と同一である。
【0054】
[0068]いくつかの実施形態では、開口部804の少なくとも一部が、第4のコリメータ821で覆われている。いくつかの実施形態では、開口部804は、窓又は第4のコリメータ821を使用して完全にブロックされる。窓は、処理空間728を第2のアセンブリ本体806の内部の空間から分離し、第2のアセンブリ基準エタロン820の温度を一定に維持するのを支援しうる。
【0055】
[0069]第2のアセンブリ基準エタロン820は、第2のエタロンハウジング818を使用して所定の位置に保持される。第1の光線824は、第2のアセンブリ基準エタロン820を通過するように構成される。第2のエタロンハウジング818は、第2のアセンブリ基準エタロン820及び代替の第2のアセンブリ基準エタロン822などの1つ以上の基準エタロンを所定の位置に保持するように構成される。第2のアセンブリ基準エタロン820及び代替の第2のアセンブリ基準エタロンの各々は、第2のエタロンハウジング818内に配置される。第2のアセンブリ基準エタロン820、822のうちの選択された1つが第3の光線824の経路内に移動されうるように、第2のエタロンハウジング818は、第3の光線824に対して第2のアセンブリ基準エタロン820、822の各々を再配置するように構成される。
図8Aに示すように、第2のアセンブリ基準エタロン820は、第3の光線824の経路内に配置される。第2のエタロンハウジング818は、第2のアセンブリ基準エタロン820、822のどちらに第3の光線824が入射するかを切り替えるために、軸を中心に回転するように構成されうる。例えば、第2のエタロンハウジング818は、第2のエタロンハウジング818を回転させて、第2のアセンブリ基準エタロン820、822のうちの1つを選択的にビーム経路内に移動させるステッピングモータ又はサーボモータに接続されうる。第2のエタロンハウジング818は、代替的には、第2のアセンブリ基準エタロン820のみ、又は3つ以上の基準エタロンなど、より多くの又はより少ない基準エタロンを含みうる。
【0056】
[0070]基準エタロン762、764、766と同様に、第2のアセンブリ基準エタロン820、822の各々は、異なる厚さ及び/又は異なる屈折率を有している。異なる厚さ又は異なる屈折率により、第2のアセンブリ基準エタロン820、822を、屈折率及び/又は基板725の厚さの少なくとも一方に一致するように選択することができるようになる。いくつかの実施形態では、第3の光線824の経路内の第2のアセンブリ基準エタロン820、822の厚さは、基板725の厚さが互いに約10%の範囲内の差、例えば約15μm未満の差、例えば約10μm未満の差になるよう一致するように選択される。第2のアセンブリ基準エタロン820、822の厚さ及び/又は屈折率を基板725の厚さにほぼ一致させることにより、第3の光線824のヘテロダイン効果が発生可能になる。いくつかの実施形態では、エタロンハウジング818からの1つの基準エタロンを、基板725と厚さ及び/又は屈折率が一致する別の基準エタロンと交換することによって、第2のアセンブリ基準エタロン820、822は手動で選択されうる。本明細書に記載の実施形態では、第3の光線824は、第2の温度センサ724の半径方向位置に類似する半径方向位置で基板725と交差する。
【0057】
[0071]第2のアセンブリ基準エタロン820、822の各々は、1つ以上の第2の温度制御ユニット819を使用して、予め決定された温度に維持される。第2の温度制御ユニット819は、温度制御ユニット761に類似しており、第2のエタロンアセンブリ802の第2のアセンブリ基準エタロン820、822の加熱/冷却を制御するように構成される。
【0058】
[0072]第3の光線824を第2のアセンブリ本体806に導入するように構成されている導波管812の端部は、導波管ジャケット814によって所定の位置に保持される。導波管ジャケット814は、導波管ジャケット754に類似しており、導波管812の端部を第2のコリメータ816に隣接する所定の位置に保持するように構成される。
【0059】
[0073]第2の放射線測定デバイス810は、1つ以上の第4の光線825を測定するように構成される。第4の光線825は、反射された第4のビームであっても、透過された第4のビームであってもよい。第3の光線824が基板725を通過した後に、第4の光線825が、第3の光線824から生成される。基板725は、第2のエタロンとして機能する。いくつかの実施形態では、基板725は、サンプルエタロンと称されうる。第3の光線824が基板725と交差すると、第3の光線824は、透過された第4のビームと反射された第4のビームとに分割される。
図8Aで説明した第4の光線825は反射された第4のビームであり、処理空間728を通過して第2のアセンブリ本体806内に戻る。次いで、第4の光線825は、1つ以上の導波管812に集められ、第2の放射線測定デバイス810に送られる。
【0060】
[0074]第2の放射線測定デバイス810に送られる光の強度及び波長が決定されるように、第2の放射線測定デバイス810に送られる第4の光線825が測定及び分析される。第2の放射線測定デバイス810は、放射線測定デバイス746に類似している。
【0061】
[0075]第2の放射線測定デバイス810によって収集されたデータは、スペクトルアナライザ748に送られる。スペクトルアナライザ748は、第2の放射線測定デバイス810からデータを受信可能でありうる。
【0062】
[0076]分割導波管813は、少なくとも3つの開口部を含む。分割導波管813の第1の開口部は、基準エタロン813を通過した後の第3の光線824を集光する。分割導波管813の第2の開口部は、第4のコリメータ821を通過して戻った後の第4の光線825を集光する。分割導波管813の第3の開口部は、第2の放射線測定デバイス810に光学的に接続される。分割導波管813の第3の開口部は、第3の光線824及び第4の光線825の一方又は組み合わせを第2の放射線測定デバイス810に供給するように構成される。
【0063】
[0077]いくつかの実施形態では、追加のエタロンアセンブリが、基板725の半径に沿って追加の温度測定値を収集するために利用される。いくつかの実施形態では、第1のエタロンアセンブリ708は、追加の基準エタロンを含みうるが、光源744は1つだけである。光源744が1つしかない実施形態では、第1の光線732は、基準エタロン762を通過する前又は通過した後のいずれかで、複数の光線に分割されうる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光線は、基板を支持する基板支持体の加熱ゾーン又は冷却ゾーンなどの温度制御ゾーンに関連する基板の各領域に方向付けられる。温度制御ゾーンの各々は、1つ以上の加熱素子又は冷却素子を使用して個別に制御される。1つ以上の加熱素子は、ランプ、抵抗加熱器、又は加熱された導管を含みうる。1つ以上の冷却素子は、冷却導管を含みうる。複数の光線は、複数のエタロンアセンブリ、又は処理空間に進入する前に光線が分割される単一のエタロンアセンブリのいずれかから方向付けられる。
【0064】
[0078]
図8Bは、第3の処理チャンバ850の概略図を示す。第3の処理チャンバ850は第2の処理チャンバ800と類似しているが、単一の光源744と単一の放射線測定デバイス746がある。第3の処理チャンバ850内では、光スプリッタ852が、光源744と、第1のエタロンアセンブリ708及び第2のエタロンアセンブリ802につながる導波管750、812の各々との間に接続されている。光スプリッタ852は、1つ以上の光学装置を含み、光源744からの一次光線を第1の光線732と第2の光線824とに分割するように構成される。一次光線は、光源744から導波管854に沿って光スプリッタ852に送られる。同様に、分割導波管751、811の両方が、放射線測定デバイス746に接続されている。第3の光線731及び第4の光線825は、放射線測定デバイス746に向かって方向付けられるように構成される。したがって、放射線測定デバイス746は、光線731、825を同時に分析しうる。
【0065】
[0079]いくつかの実施形態では、第1のエタロンアセンブリ708のように、1つのエタロンアセンブリのみが利用されるが、第1の光線は、処理空間に進入する前に、第1の出射光線と第2の出射光線とに分割される。第1の出射光線が基板の中心と交差する一方で、第2の出射光線が基板のエッジと交差するように、第1の出射光線と第2の出射光線は、異なる角度で方向付けられうる。
【0066】
[0080]
図9Aは、第4の処理チャンバ900の概略図を示す。第4の処理チャンバ900は、
図7の第1の処理チャンバ700に類似する。第1の光線912が基準エタロン762、764、又は766の前に基板725に入射するように構成されている点で、第4の処理チャンバ900は第1の処理チャンバ700とは異なる。
図9Aの実施形態では、光源904は、エタロンアセンブリ902とは別々に配置されている。エタロンアセンブリ902は、
図7のエタロンアセンブリ708と類似しているが、光源744を含まない。光源744は、別々に配置された光源904に置き換えられる。
【0067】
[0081]光源904は、光源744に類似する。光源904は、導波管906、導波管ジャケット908、及び第1の光線コリメータ910に別々に結合される。導波管906は、導波管750に類似している。導波管ジャケット908は、導波管ジャケット754に類似している。第1の光線910は、コリメータ756に類似している。導波管906は、光源904からの第1の光線912をコリメータ756に送るように構成される。チャンバリッド704及び/又はチャンバ本体702と交差する導波管906の遠位端は、導波管ジャケット908によって所定の位置に保持される。処理空間728に進入する前に、第1の光線912は、第1の光線910を透過する。第1の光線912は、処理空間728を透過し、基板725と交差する。本明細書に示す第1の光線912は、基板725と斜めに交差する。
【0068】
[0082]第1の光線912が基板725と交差すると、第1の光線912は、第2の光線914に変換される。第2の光線914は、第2の光線731に類似する。第2の光線914は、透過された第2のビーム又は反射された第2のビームのいずれかである。
図9Aの実施形態では、第2の光線914は、反射された第2のビームである。第2の光線914は、第2の光線914が基準エタロン762、764、766のうちの1つと交差する前に、反射されて開口部730を通ってエタロンアセンブリ902に戻る。次に、第2の光線914には、基準エタロン762などの基準エタロンでヘテロダイン効果が生じる。基準エタロン762を通過した後に、第2の光線914は、コリメータ756を通過し、放射線測定デバイス746に進入する。
【0069】
[0083]
図9Bは、第5の処理チャンバ925の概略図を示す。第5の処理チャンバ925は、第4の処理チャンバ900に類似するが、光源904は、第1の光線912を、基板ペデスタル712を通って上方に、基板725を通り、エタロンアセンブリ902内に方向付けるように構成される。第5の処理チャンバ925において、第2の光線914は、基板725を通る透過光である。導波管ジャケット908及び光線コリメータ910が、基板ペデスタル712及び基板725の下方に配置されるように、少なくとも導波管ジャケット908及び光線コリメータ910は、基板ペデスタル712及び/又はシャフト716の下方又は内部に配置される。
【0070】
[0084]第1の光線912は、基板ペデスタル712及びシャフト716内の開口部926を通過するように構成される。開口部926は、オプションで、光学的に透明な材料、光ファイバ、又は導波管で充填されうる。第1の温度センサ722は、第1の光線912が基板725を通過する位置に類似する半径方向の位置に位置決めされうる。第1の光線912と基板725との交点の半径方向の位置と、第1の温度センサ722の半径方向の位置とは、第5の処理チャンバ925の中心からずれている。開口部926は、基板ペデスタル712を貫通する正孔又はスリットであってもよく、そこを光が通過できるようにする。
【0071】
[0085]
図9Cは、第6の処理チャンバ950の概略図を示す。第6の処理チャンバ950は、第5の処理チャンバ925と類似しているが、エタロンアセンブリ902が、エタロンアセンブリ960に置き換えられている。エタロンアセンブリ960は、第2の光線914が基板ペデスタル712及び/又はシャフト714の少なくとも一部を通過した後に、第2の光線914を受光するように構成される。光源904は、第1の光線912をチャンバリッド704から基板725に向かって方向付けるように構成される。第1の光線912は、エタロンアセンブリ960の基準エタロン762、764、766のうちの1つを通過する前に、基板725を透過し、基板ペデスタル712及びシャフト714内の開口部926を通過する。エタロンアセンブリ960は、導波管962を介してチャンバ本体702の底部に光学的に接続され、一方で、導波管ジャケット908及び/又は光ビームコリメータ910は、チャンバリッド704を通して配置される。第2のコリメータ757は、第2のコリメータ764に置き換えられる。第2のコリメータ764は、開口部926から最も遠い導波管962の遠位端に結合接続され、導波管962を通過した光/放射線がエタロンアセンブリ960に進入できるようにサイズ決定される。第6の処理チャンバ950は、第2の光線914が基板725を透過する点で、第5の処理チャンバ925に類似している。
【0072】
[0086]
図10は、基板の温度を決定する方法1000を示している。方法1000は、第1の処理チャンバ700、第2の処理チャンバ800、第3の処理チャンバ850、第4の処理チャンバ900、第5の処理チャンバ925、第6の処理チャンバ950、又は正確な温度制御が望まれる別の処理チャンバ又は他の場所のいずれか1つに利用されうる。1つの例では、方法1000は、コントローラ770のメモリにソフトウェアルーチンとして記憶される。方法1000がコントローラ770によって実行されると、コントローラ770は、本明細書に開示される装置を使用して基板725の温度を決定させる。方法1000は、第1のエタロンと第2のエタロンを使用して、第2のエタロンの1つの温度を決定する。第1のエタロンが基準エタロンでありうる一方、第2のエタロンは、サンプルエタロン(すなわち基板)である。干渉縞を形成するために、第1のエタロンと第2のエタロンにはヘテロダイン効果を発生させる。基板の温度を決定するために、干渉縞からフリンジ間隔が測定されうる。
【0073】
[0087]方法1000の工程1002において、第1のエタロン及び基板に第1の光線を通し、基板が第2のエタロンを提供する(the substrate forms a second etalon)。1つの例では、第1のエタロンは基準エタロンであり、基板はサンプルエタロンである。基板は、
図7、
図8A~8B、及び9A~9Cの基板725のような半導体基板でありうる。本明細書に記載の基板は、サンプル基板であり、あらかじめ決められた材料で形成されている。サンプル基板は、較正プロセスのために処理チャンバに投入される追加基板である。サンプル基板は、光学的に透明なであるなど、所望の光学的フィーチャを有するように構成される。サンプル基板は、約1000nmから約1800nm、例えば約1100nmから約1700nmの波長の間で光学的に透明でありうる。本明細書で説明するサンプル基板は、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンゲルマニウム材料のうちの1つでありうる。いくつかの実施形態では、サンプル基板の屈折率は、波長約1000nm~約1800nmで約2~約6、例えば約3~約5である。
【0074】
[0088]第1のエタロンは、
図7、
図8A~8B、及び
図9A~9Cの基準エタロン762、764、766、820、822の任意の1つでありうる。第1のエタロンと基板は、類似する厚さ及び屈折率を有しており、第1のエタロンと基板の各々の厚さは、約10%の範囲内の差で一致している。第1の光線は、
図7、
図8A~8B、及び
図9A~9Cの光線732、824、912に類似しうる。第1の光線は、広帯域スペクトル光線である。第1の光線は、第1のエタロン又は基板のいずれかを最初に通過しうる。
図7、
図8A、及び
図8Bに類似する装置を使用する実施形態では、第1の光線は、まず第1のエタロンを通過する。
図9A~9Cに類似する装置を使用する実施形態では、第1の光線は、まず基板を通過する。
【0075】
[0089]第1の光線が第1のエタロンと最初に交差する実施形態では、第1の光線は、その後、処理空間内を通過し、基板と交差して、工程1004の間に、第1の光線から、反射された第2のビーム及び透過された第2のビームを形成する。反射された第2のビームは、基板によって反射される第1の光線の一部である。透過された第2のビームは、基板を透過する第1の光線の一部である。反射された第2のビームと透過された第2のビームのいずれか一方又は両方が、第2の光線を形成する。
図7、
図8A、
図8Bの実施形態では、第2の光線は反射された第2のビームである。
【0076】
[0090]別の実施形態では、第1の光線は、最初に基板と交差する前に処理空間内を通過する。基板と交差した後に、第1の光線は、工程1004の間、反射された第2のビームと透過された第2のビームとに分割される。反射された第2のビームは、基板によって反射される第1の光線の一部である。透過された第2のビームは、基板を透過する第1の光線の一部である。反射された第2のビームと透過された第2のビームのいずれか一方又は両方が、第2の光線を形成する。
図9Aの実施形態では、第2の光線は、反射された第2のビームである。次いで、第2の光線は第1のエタロンと交差するように構成され、ここで、第2の光線は第1のエタロンによって透過されるか反射されるかのどちらかである。
図9Aの実施形態では、第1のエタロンを通過する第2の光線の一部は、放射線測定デバイス746などの放射線測定デバイスに伝送される。
図9A及び
図9Bの実施形態では、第2の光線は透過される第2のビームである。次に、第2の光線は、第1のエタロンと交差するように構成され、第2の光線は、
図9Aと同様に、第1のエタロンによって透過されるか反射されるかのどちらかである。
【0077】
[0091]工程1004中の第2の光線の形成後、第2の光線は、工程1006中に導波管750、812などの1つ以上の導波管を使用して放射線測定デバイスによって収集される。第2の光線が第1のエタロンと基板によってヘテロダイン効果を受けているため、第2の光線は、第1のエタロンと基板との両方に交差した後に、放射線測定デバイスによって収集される。第2の光線を収集することにより、第2の光線は、放射線測定デバイスとスペクトルアナライザによって分析可能となる。本明細書で説明するように、放射線測定デバイスは、1つの分光計であっても又は複数の分光計であってもよい。
【0078】
[0092]工程1006の間に第2の光線が放射線測定デバイスに送信された後、工程1008の間に、第2の光線のフリンジ間隔が干渉縞から決定される。干渉縞は、収集され反射された第2のビーム又は透過された第2のビームによって生成され、
図4及び
図5の干渉縞に類似しうる。フリンジ間隔は、スペクトルアナライザ748のようなスペクトルアナライザを使用して決定されうる。スペクトルアナライザは、放射線測定デバイスにより提供されたデータを受信、処理、保存、及び分析する。スペクトルアナライザは、
図4のフリンジ間隔215及び/又は
図5のフリンジ間隔315のようなスペクトル干渉フリンジ間隔を識別し、基板の1つ以上の温度測定値を推測する。
【0079】
[0093]工程1008の間に決定されたフリンジ間隔は、基板の温度に相関する。したがって、基板の温度は、工程1010中のフリンジ間隔に基づいて決定される。温度は、測定されたフリンジ間隔を、特定の温度で類似の材料に予想されるフリンジ間隔と一致させることによって、決定される。本明細書で説明する実施形態では、スペクトルアナライザ及び/又はコントローラは、特定の材料及び厚さについて温度に相関するフリンジ間隔を有する参照テーブルを含む。いくつかの実施形態では、データは、フリンジ間隔、第1のエタロン(基準エタロン)の温度、基板の材料、及び基板の物理的厚さを知ることによって、第1の光線が基板と交差する点における基板の温度が決定されうるように、グラフ、方程式、又はスクリプトに関連付けられる。
【0080】
[0094]方法1000の工程1010の間に基板の温度を決定する場合、第1のエタロンの温度、基板の材料、及び基板の物理的厚さが定数として利用される一方で、フリンジ間隔は基板の温度とともに変化する。したがって、第1のエタロンの温度、基板の材料、基板の物理的厚さ、及び基板のフリンジ間隔の各々が既知になると、スペクトルアナライザ及び/又はコントローラによって温度が決定される。フリンジ間隔を温度に相関させるために利用されるルックアップテーブル、参照テーブル、又はグラフは、所望の温度範囲にわたって経験的に決定されうる。経験的に導き出されたデータは、特定の厚さと温度範囲における特定の材料について得られうる。いくつかの実施形態では、経験的データは、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及びシリコンゲルマニウムについて得られる。サンプル基板の屈折率は、波長約1000nm~約1800nmで約2~約6、例えば約3~約5である。経験的データは、極低温及び/又は約-200℃から約700℃、例えば約-196℃から約700℃、例えば約-196℃から約500℃の温度に相関している。フリンジ間隔と温度との相関を示す経験的データは、基板の熱光学係数と、基板の昇温又は降温に伴う基板の任意の熱膨張の両方を考慮している。熱膨張は、温度範囲にわたって基板の全光学厚さを決定する実験を行うことによって、経験的データに受動的に考慮されうる。全光学的厚さには、基板の屈折率と基板の厚さの両方が含まれる。
【0081】
[0095]基板の1つ以上の温度測定値が決定される
図10の方法1000では、方法1000を実行する前に、基板の物理的厚さが既知である。基板の物理的厚さは、別の厚さ較正プロセスを使用して決定されうる。厚さ較正プロセスは、キャリパ(caliper)、マイクロメータ、又はデジタル測定ツールを使用して基板の温度を手動で測定することを含みうる。厚さ較正プロセスは、代替的には、
図11の方法1100のようなエタロン厚さ較正方法を含みうる。
図11の方法1100は、
図10の方法1000と類似の原理と装置を利用しうる。
【0082】
[0096]
図11は、
図7、
図8A~8B、
図9A~9Cのエタロンアセンブリ708、802、902、960、又は他の適切なエタロンアセンブリなどのエタロンアセンブリを使用して、基板の厚さを決定する方法1100を示す。方法1100は、基板の厚さを決定するために、既知の温度で第1のエタロンと基板を利用する。方法1100の間、基板と処理チャンバは、工程1102の間に第1の温度にされる。第1の温度は、任意の適切なプロセス温度でありうる。いくつかの実施形態では、第1の温度は室温程度である。基板と処理チャンバが定常状態になりうる期間、基板と処理チャンバは、第1の温度に維持される。温度センサ722、724などの1つ以上の温度センサは、基板の温度を測定するために利用される。温度センサの温度測定値があらかじめ決められた期間、定常であった場合、基板全体、基板支持体、及び処理チャンバは、定常状態であると決定されうる。温度センサの温度測定値は、基板の温度として利用されうる。
【0083】
[0097]第1の温度である間に、
図10の方法1000の工程1002、1004、1006、1008が実行される。方法1000の工程1002、1004、1006、1008は、基板により生じるフリンジ間隔を決定するために、エタロンアセンブリを利用する。フリンジ間隔を決定することは、
図10のフリンジ間隔を決定する方法1000と同様の方法で行われる。工程1002、1004、1006、及び1008の後、工程1112の間に基板の厚さが決定される。決定されたフリンジ間隔と、基板/処理チャンバの温度とを利用して、基板の厚さが決定される。
【0084】
[0098]方法1100で説明した基板は、サンプル基板であり、予め決められた材料で形成されている。サンプル基板は、光学的に透明なであるなど、所望の光学的フィーチャを有するように構成される。サンプル基板は、約1000nmから約1800nm、例えば約1100nmから約1700nmの波長の間で光学的に透明でありうる。本明細書で説明するサンプル基板は、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンゲルマニウム材料のうちの1つでありうる。サンプル基板の屈折率は、波長約1000nm~約1800nmで約2~約6、例えば約3~約5である。
【0085】
[0099]方法1000に関して説明したものと類似の関係を使用して、フリンジ間隔、第1のエタロン(基準エタロン)の温度、基板の材料、及び基板の温度を知ることによって、第1の光線が基板と交差する点において基板の厚さが決定されうるように、ルックアップテーブル及び/又はグラフを使用して、基板の厚さが決定されうる。方法1100の工程1112の間に基板の厚さを決定する際、第1のエタロンの温度、基板の材料、及び基板の温度が定数として利用される一方で、フリンジ間隔は基板の厚さとともに変化する。したがって、第1のエタロンの温度、基板の材料、基板の温度、及び基板のフリンジ間隔の各々が既知になると、基板の厚さがスペクトルアナライザ及び/又はコントローラによって決定される。
【0086】
[0100]
図12は、
図7、
図8A~8B、
図9A~9Cの処理チャンバ700、800、850、900、925、950の1つ、又は他の適切な処理チャンバなどの処理チャンバ内の温度を較正する方法1200を示す。方法1200の間、温度又は設定温度は、エタロンアセンブリ708、802、902、960のうちの1つなど、1つ以上のエタロンアセンブリを使用して決定される。温度を較正することは、決定された温度を使用して処理チャンバ内の温度センサを較正すること、温度センサの1つ以上の測定値に温度オフセットを適用すること、処理チャンバ内で実行されるプロセスのモデルを調整すること、及び/又は処理チャンバ内で実行されるプロセスのプロセスパラメータを調整することのいずれか1つ又は組み合わせを含みうる。
【0087】
[0101]方法1200の間、エタロンアセンブリは、オプションで、工程1202の間に、処理チャンバ内の特定の基板に対して較正される。エタロンアセンブリの較正は、処理チャンバ内に配置された基板の厚さを決定し、処理チャンバ内の基板の厚さを、後のプロセス工程に利用される第1のエタロンの厚さに一致させるために実行される。工程1202は、方法1100と、工程1102、1002、1004、1006、1008、1112のすべてを含む。方法1100を使用して基板の厚さが決定されると、第1のエタロン(すなわち基準エタロン)は、基板の厚さにほぼ一致するように調整又は交換されうる。本明細書に記載の実施形態では、基板の厚さと第1のエタロンの厚さは、約10%の差の範囲内にある。
【0088】
[0102]本明細書に記載される実施形態を使用する場合、第1の基準エタロン762のような第1の基準エタロンは、第1の光線の経路から除去され、第2の基準エタロン764及び第3の基準エタロン766のような、第2の基準エタロン又は第3の基準エタロンにより置換されうる。基準エタロンは、元の基準エタロンの厚さが、基板に対してあらかじめ決められた割合差(例えば10%を上回る)の範囲外である場合にのみ変更される。例えば、基板のバッチ内又は基板のバッチ間にある基板は、厚さが異なることがあり、そのため、適切な異なる基準エタロンがエタロンアセンブリの位置に切り替えられるだろう。いくつかの実施形態では、基準エタロンは、基板に対して8%未満、例えば基板に対して5%未満の割合差を有する基準エタロンに変更される。基準エタロンは、複数の基準エタロンを含むカルーセル(例えば、エタロンハウジング760)を作動させることにより、又は前の基準エタロンを除去した後に新しい基準エタロンを手動で挿入することにより、変更されうる。
【0089】
[0103]いくつかの実施形態では、方法1100は、方法1200内で複数回実行され、方法1100が最初に実行され、基板の厚さが基準エタロンに対して所定の閾値よりも大きい割合差を有するように決定される。基準エタロンが第2の基準エタロンに変更され、方法1100が2回繰り返される。基板の厚さが基準エタロンに対して所定の閾値より小さい割合差を有すると決定される場合、工程1202は終了する。基板の厚さが依然として第2のエタロンに対して閾値の範囲外の割合差を有すると決定される場合、第2の基準エタロンは第3の基準エタロンと交換され、方法1100が3回繰り返される。これは、基板と基準エタロンとの間の割合差が閾値を下回るまで行われる。
【0090】
[0104]工程1202の後、プラズマ含有プロセスが、工程1205の間に、処理チャンバ内及び基板上で実行されうる。プラズマ含有プロセスは、プラズマエッチングプロセス又はプラズマ堆積プロセスのいずれか1つでありうる。プラズマエッチングは、導体エッチング及び/又は誘電体エッチングの両方を含む。堆積プロセスは、化学気相堆積、スパッタリング堆積、原子層堆積のうちの1つ以上を含む。本明細書に記載のプロセスは、処理チャンバ内に、プラズマ726のようなプラズマを含むプロセスに特に適している。プロセスは、プラズマが処理空間内に形成される間、処理チャンバ内の基板温度を正確に測定することができる。
【0091】
[0105]工程1205が実行されている間、工程1204の間にエタロンアセンブリを使用して基板の第1の温度が決定され、工程1206の間に第1の温度センサ722又は第2の温度センサ724などの1つ以上の温度センサを使用して、基板の第2の温度、及び/又は基板に隣接する基板支持体の第2の温度が決定される。方法1000の工程1010の間にフリンジ間隔に基づいて決定された温度が第1の温度となるように、基板の第1の温度は、
図10の方法1000を使用して決定される。方法1000の工程1010の間、基板の厚さは、工程1202を使用して決定された厚さとして入力されうる。第1の温度は、単一の第1の温度値、又は、単一の温度値のアレイなどの第1の温度データセットでありうる。
【0092】
[0106]工程1206の間、1つ以上の温度センサは、基板の底面に隣接して配置される。1つ以上の温度センサは、基板の底面の温度を測定し、単一の第2の温度値、又は単一の温度値のアレイなどの第2の温度データセットを生成する。第1の温度測定値と第2の温度測定値が後で比較できるように、第1の温度測定値と第2の温度測定値は同時に取得される。
【0093】
[0107]工程1204と工程1206の両方の間に、処理チャンバ内の基板上でプロセスが実行される。本明細書に記載の実施形態では、基板上で実行されるプロセスは、半導体形成プロセスであり、処理空間内に形成されるプラズマを含む。工程1205の間に実行されるプロセスは、通常の工程中に処理空間内で実行されることになるプロセスに類似する。通常の工程の間と類似するプロセスを使用することで、工程1204及び1206の間に、エタロンアセンブリと1つ以上の温度センサとの両方によって測定された温度間の直接的な比較が可能になる。両方法でプロセス工程を比較できることで、温度センサ、プロセスモデル、及び/又はプロセスパラメータのうちの1つをより正確に較正又は補正することができる。
【0094】
[0108]第1の温度及び第2の温度が工程1204及び1206の間に決定された後、工程1208の間に第1の温度及び第2の温度がコントローラに送信される。いくつかの実施形態では、第1の温度及び/又は第2の温度は、コントローラ内で既に決定されており、第1の温度及び/又は第2の温度を決定するために利用されるデータは、工程1204及び1206の間にコントローラに送られる。コントローラは、温度測定値間の比較ができるように、第1の温度測定値と第2の温度測定値の両方を収集する。
【0095】
[0109]工程1210の間、第1の温度と第2の温度は、処理チャンバを較正するために利用される。処理チャンバを較正することは、決定された温度を使用して処理チャンバ内の温度センサ722、724などの温度センサを較正すること、温度センサの1つ以上の測定値に温度オフセットを適用すること、処理チャンバ内で実行されるプロセスのモデルを調整すること、及び/又は処理チャンバ内で実行されるプロセスのプロセスパラメータを調整することのいずれか1つ又は組み合わせを含みうる。
【0096】
[0110]温度センサを較正することは、エタロンアセンブリの第1の温度測定値と整合するように温度センサを調整することを含む。いくつかの実施形態では、第1の温度とより密接に相関させるために、単一の温度オフセットが、測定された第2の温度に適用されうる。いくつかの実施形態では、処理チャンバ内で実行されるプロセスのモデルは、不正確又はドリフトする第2の温度測定値を考慮して調整される。いくつかの実施形態では,プロセスの結果が改善されるように、プロセスチャンバ内で実行されるプロセスのプロセスパラメータの1つ以上が変更される。プロセスのパラメータ調整は、反復間で類似の結果及び入力が予想される反復プロセスに利用されうる。
【0097】
[0111]工程1210の間、処理チャンバを較正するために第1の温度及び第2の温度が利用されると、基板が処理空間から除去され、エタロンアセンブリがオプションで処理チャンバから除去されうる。その後、処理チャンバは、その中に配置されたプロセス基板に対して正常に運転されうる。本明細書に記載される装置及び方法は、保守手順の間、定期的にシステムを再較正するために利用されうる。本明細書に記載されるエタロンを利用する温度測定方法は、放射線測定デバイスによって測定されるフリンジ間隔がプラズマにより著しく影響を受けないため、プラズマを含むプロセスにおいて有用であることが示されている。いくつかの実施形態では、追加のコリメータ及び/又はフィルタが、本明細書に記載されるシステム内で利用される。
【0098】
[0112]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】