(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20240927BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20240927BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240927BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240927BHJP
C09J 123/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
C09J11/06
C09J133/00
C09J123/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519087
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2021121180
(87)【国際公開番号】W WO2023050032
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シャオクァ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ドンメイ
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DA001
4J040DF001
4J040EF111
4J040EF131
4J040EF281
4J040EF282
4J040JB01
4J040JB04
4J040KA14
4J040KA29
4J040KA35
4J040LA06
4J040LA08
4J040MA02
4J040MA05
4J040MA10
(57)【要約】
本発明は、(A)以下を含む反応剤混合物を反応させることにより得られる少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー
(A1)(a)少なくとも1つのポリエステルポリオール、および(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含むポリオール混合物、および
(A2)1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、
(B)接着剤組成物の全重量に基づいて14重量%以下の量で存在する少なくとも1つの(メタ)アクリルポリマー、および
(C)接着剤組成物の全重量に基づき20重量%以下の量で存在する、100℃未満の軟化点を有する少なくとも1つの非晶質ポリアルファオレフィン
を含む湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)以下を含む反応剤混合物を反応させることにより得られる少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー
(A1)以下を含むポリオール混合物
(a)少なくとも1つのポリエステルポリオール、および
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、
および
(A2)1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、
(B)接着剤組成物の全重量に基づいて14重量%以下の量で存在する少なくとも1つの(メタ)アクリルポリマー、および
(C)接着剤組成物の全重量に基づき20重量%以下の量で存在する、100℃未満の軟化点を有する少なくとも1つの非晶質ポリアルファオレフィン
を含む湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
反応剤(a)は、固体ポリエステルポリオール、液体ポリエステルポリオール、およびそれらの組み合わせから選択され、好ましくは結晶性ポリエステルポリオール、非晶質ポリエステルポリオール、液体ポリエステルポリオール、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
反応剤(a)は、800~20,000g/mol、好ましくは1,000~10,000g/mol、より好ましくは1,000~5,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1または2に記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
反応剤(b)は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリエチレンオキシド、ポリブチレンオキシド、および前述のいずれかのエチレンオキシドエンドキャップ型、ならびにそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、エチレンオキシドエンドキャップ型ポリ(オキシプロピレン)グリコール、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
反応剤(A2)は、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDI(H12MDI)、部分水添MDI(H6MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサン-2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、およびダイマー脂肪酸ジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンまたは1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
成分(B)は、5,000~100,000g/mol、好ましくは5,000~80,000g/mol、より好ましくは8,000~50,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1~5のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
成分(C)は70℃~95℃の軟化点を有する、請求項1~6のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
成分(C)は、200,000g/mol未満、好ましくは100,000g/mol未満の分子量(Mn)を有する、請求項1~7のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
接着剤組成物は、強塩基性アミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-エチル-、N-メチル-、N-シクロ-ヘキシルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、2-(ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1-アザビシクロ[3,3,0]オクタン、N,N,N’.N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-ウレア、N,N’-ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、ジ-(4-N,N-ジメチルアミノシクロヘキシル)-メタン、有機金属化合物、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの触媒(D)をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
接着剤組成物は、(E)少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
成分(A)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは66重量%~99重量%、より好ましくは70重量%~90重量%の量で存在する、請求項1~10のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
反応物(a)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、30重量%~70重量%、より好ましくは35重量%~65重量%の量で存在する、請求項1~11のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
反応剤(b)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%、より好ましくは15重量%~36重量%の量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
反応物(A2)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、10重量%~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%の量で存在する、請求項1~13のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
成分(B)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.1重量%~12重量%、より好ましくは1重量%~10重量%の量で存在する、請求項1~14のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
成分(C)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、1重量%~15重量%、好ましくは1重量%~8重量%の量で存在する、請求項1~15のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項17】
成分(D)は、組成物の総重量に基づいて、0.05重量%~1重量%、好ましくは0.05重量%~0.5重量%の量で存在する、請求項9~16のいずれかに記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項18】
(i)反応剤(A1)、成分(B)および(C)ならびに任意成分(E)を120℃~140℃の温度で混合した後、真空引きする工程;
(ii)温度を80℃から100℃に低下させ、反応剤(A2)を添加し、反応温度を100℃~110℃に制御する工程;および
(iii)任意に、混合物に成分(D)を添加して均一に混合する工程
を含む、請求項1~17のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物を調製する方法。
【請求項19】
第1の基材と、第2の基材と、その間に挟まれた接着剤層とを含み、第1の基材及び第2の基材は、互いに独立して、ガラス、樹脂および金属から選択され、接着剤層は、請求項1~17のいずれかに記載の接着剤組成物を硬化させることにより形成されている、積層体。
【請求項20】
請求項19に記載の積層体を含むか、または請求項1~17のいずれかに記載の接着剤組成物を使用して製造される、電子デバイス。
【請求項21】
電子デバイスの製造における、請求項1~17のいずれかに記載の接着剤組成物または請求項19に記載の積層体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物、その硬化物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ポリウレタンホットメルト接着剤は長い歴史を持ち、広く普及している。工業用途の文脈では、ポリウレタンホットメルト接着剤は室温で固体であり、適度な温度に加熱されると粘性のある液体に溶融し、接着される基材に塗布される。その後、溶融した接着剤組成物は冷却固化し、基材との初期接着を形成する。さらに水分と反応して架橋構造を形成し、高い最終強度を達成できる。このような接着剤は、ポリオール成分と2官能以上のイソシアネート成分からなる。これらの接着剤は、接着強度、柔軟性、耐衝撃性、耐疲労性に優れているため、多くの用途で他の接着剤よりも好まれている。
【0003】
ポリウレタンホットメルト接着剤は、多くの分野での用途で優れた接着力を発揮するが、これまで知られているこの種の接着剤は、十分な衝撃靭性がないため、プラスチックや金属ワークピースの構造接着には不向きであり、特に、速硬化を必要とする電子アプリケーションの製造にとって、硬化した接着剤が高い初期引張クロス強度と優れた耐衝撃性を同時に達成することは困難である。これはおそらく、高い初期十字引張強さを作るためには多量の結晶性ポリエステルポリオールが必要だが、硬化したときの接着剤の耐衝撃性を低下させるためであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のことから、硬化時に高い初期十字引張強さと優れた耐衝撃性を示す湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の第一の側面によれば、本明細書に開示されるのは、以下を含む湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物である:
(A)以下を含む反応剤混合物を反応させることにより得られる少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー
(A1)以下を含むポリオール混合物
(a)少なくとも1つのポリエステルポリオール、および
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、および
(A2)1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、
(B)接着剤組成物の全重量に基づいて14重量%以下の量で存在する少なくとも1つの(メタ)アクリルポリマー、および
(C)接着剤組成物の全重量に基づき20重量%以下の量で存在する、100℃未満の軟化点を有する少なくとも1つの非晶質ポリアルファオレフィン。
【0006】
本発明の第2の側面によれば、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を調製する方法が提供される。
【0007】
本発明の第3の側面によれば、本明細書において提供されるのは、第1の基材、第2の基材、およびその間に挟まれた接着剤層を含む積層体であって、第1の基材および第2の基材は、互いに独立して、ガラス、樹脂、および金属から選択され、接着剤層は、本発明の接着剤組成物を硬化させることによって形成される、積層体である。
【0008】
本発明の第4の側面によれば、本明細書において提供されるのは、本発明の積層体を含むか、または本発明による接着剤組成物を使用して製造される、電子デバイスである。
【0009】
本発明の第5の側面によれば、本明細書において提供されるのは、電子デバイスの製造における、本発明による接着剤組成物または本発明による積層体の使用である。
【0010】
主題の他の特徴や側面については、以下でさらに詳しく述べる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
当業者であれば、本発明は例示的な実施形態のみを説明したものであり、本発明の広範な態様を限定することを意図したものではないことを理解するべきである。このように説明された各側面は、明確に反対の指示がない限り、他の側面と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の特徴または特徴と組み合わせることができる。
【0012】
別段の定めがない限り、本発明の文脈では、使用される用語は以下の定義に従って解釈されるものとする。
【0013】
別段の定めがない限り、本明細書において「a」、「an」および「the」という用語は、単数および複数の参照語を含む。
【0014】
本明細書で使用される「comprising」および「comprises」という用語は、「including」、「includes」または「containing」、「contains」と同義であり、包含的またはオープンエンドであり、追加の非記載メンバー、要素またはプロセスステップを除外するものではない。
【0015】
本明細書で成分を定義するために使用される「少なくとも1つ」または「1つ以上」という用語は、成分の種類を意味し、分子の絶対数を意味するものではない。例えば、「1以上のポリオール」とは、1種類のポリオール、または複数の異なるポリオールの混合物を意味する。
【0016】
本明細書で使用する「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定したときに溶融転移がないことを意味する。
【0017】
本明細書で使用する「結晶性」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定したときに溶融転移を有することを意味する。
【0018】
本明細書で使用される「室温」という用語は、約20℃から約25℃、好ましくは約25℃の温度を指す。
【0019】
特に指定のない限り、数値の端点の記載は、記載された端点と同様に、それぞれの範囲に含まれるすべての数値および分数を含む。
【0020】
本明細書中で引用されているすべての文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
分子量は、特に断りのない限り、数平均分子量(Mn)を示す。すべての分子量データは、特に、例えばDIN 55672などによる規定がない限り、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で得られた値を指す。
【0022】
この文脈において、特定のポリマーのガラス転移温度(Tg)または融点は、DIN 53 765に従ってDSCを用いて決定される。
【0023】
本明細書で言及する軟化点は、DIN ISO 4625に従ったリング・アンド・ボール法を用いて決定される。
【0024】
特に定義しない限り、技術用語および科学用語を含め、本発明で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0025】
一態様において、本開示は一般に、以下を含む湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を対象とする:
(A)以下を含む反応剤混合物を反応させることにより得られる少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー
(A1)以下を含むポリオール混合物:
(a)少なくとも1つのポリエステルポリオール、および
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、
および
(A2)1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート;
(B)接着剤組成物の全重量に基づいて14重量%以下の量で存在する少なくとも1つの(メタ)アクリルポリマー、および
(C)接着剤組成物の全重量に基づき20重量%以下の量で存在する、100℃未満の軟化点を有する少なくとも1つの非晶質ポリアルファオレフィン。
【0026】
(A)ポリウレタンプレポリマー
本発明によれば、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、
(A1)以下を含むポリオール混合物:(a)少なくとも1つのポリエステルポリオール、および(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、および(A2)1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート
を含む反応物混合物を反応させることによって得られる少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーを含んでなる。
【0027】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、5,000~30,000g/mol、好ましくは8,000~20,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、成分(A)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは66重量%~99重量%、より好ましくは70重量%~90重量%の量で存在する。
【0029】
(A1)ポリオール混合物
いくつかの実施形態において、本発明で使用されるポリオール混合物(A1)は、(a)少なくとも1種のポリエステルポリオール(a)を含んでなる。
【0030】
(a)ポリエステルポリオール
本発明で使用するポリエステルポリオールは、固体ポリエステルポリオール、液体ポリエステルポリオール、およびそれらの組み合わせから選択できる。前記固体ポリエステルポリオールは、結晶性ポリエステルポリオール、非晶質ポリエステルポリオール、またはそれらの組み合わせとできる。
【0031】
いくつかの実施形態において、結晶性ポリエステルポリオールは、接着剤組成物に対して良好な接着強度を提供できる本発明に使用できる。
【0032】
このような結晶性ポリエステルポリオールの例としては、ε-カプロラクトンなどのラクトンの開環重合によって得られるもの、および/またはジオールや二酸から得られるものがある。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用なジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用な二酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、ダイマー酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。有用な二酸の範囲に含まれるのは、カルボン酸エステル(特にメチルエステルおよびエチルエステル)、酸ハロゲン化物(酸塩化物など)、酸無水物などの様々な二酸誘導体、およびそれらの組み合わせである。
【0033】
適切な結晶性ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリ(ヘキサンジオールアジペート)ポリオール、ポリ(ブタンジオールアジペート)ポリオール、ポリ-イプシロン-カプロラクトンポリオール、ポリ(ドデカン二酸ヘキサンジオール)ポリオール、ポリ(ヘキサンジオールアジピン酸テレフタレート)ポリオール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
好適な市販の結晶性ポリエステルポリオールは、DYNACOLL 7360、7361、7362、7363、7380、7390などを含むEvonik Industries AGのDYNACOLL 7300シリーズ、およびCAPA 2201、2205、2209、2302、2304、2402などのカプロラクトンポリオールを含むPerstorp Polyols Inc.のCAPAシリーズで販売されている。
【0035】
いくつかの実施形態において、非晶質ポリエステルポリオールは、本発明のポリウレタンプレポリマーを調製する際にも使用できる。
【0036】
非晶質ポリエステルポリオールは、ポリ酸成分(例えば、ポリ酸、ポリ酸無水物、ポリ酸エステル、ポリ酸ハロゲン化物)と化学量論的過剰量のポリオールとの反応生成物を含む。ポリ酸成分とポリオールの少なくとも一方は芳香族基を含む。好適なポリ酸としては、例えば、二酸(例えば、ジカルボン酸)、三酸(例:トリカルボン酸)、および高次酸が挙げられ、その例としては、芳香族ジカルボン酸、その無水物およびエステル(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸、無水フタル酸、メチル-ヘキサヒドロフタル酸、メチル-ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル-テトラヒドロフタル酸、メチル-テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸などである)、脂肪族ジカルボン酸およびその無水物(例えばマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、ダイマー化脂肪酸、トリマー脂肪酸、フマル酸)、および脂環式ジカルボン酸(例えば、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などである)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好適なポリオールの例としては、脂肪族ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール(例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールなどである)、ブタンジオール(例えば、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオールなどである)、1,3-ブテンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、ペンタンジオール(例えば、1,5-ペンタンジオール)、ペンテンジオール、ペンチンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール)、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、グリセロール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
存在する場合、有用な非晶質ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリ(ヘキサンジオールフタレート)ポリオール、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)ポリオール、ポリ(フタル酸ネオペンチルグリコール)ポリオール、ポリ(フタル酸ネオペンチルグリコールヘキサンジオール)ポリオール、ポリ(フタル酸ジエチレングリコール)ポリオール、ポリ(エチレングリコールアジピン酸テレフタレート)ポリオール、ポリエチレンテレフタレートポリオール、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アジピン酸およびテレフタル酸のランダムコポリマージオール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
有用な非晶質ポリエステルポリオールは、例えば、Evonik Industries AGのDYNACOLL 7110、7130、7140および7150、および許川化工(蘇州)有限公司のFLP PA-1000Nを含む、さまざまな商品名で市販されている。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明で使用されるポリエステルポリオールは室温で液体であることができ、これにより接着剤組成物に湿潤性が付与され、硬化物に耐衝撃性が付与される。したがって、液状ポリエステルポリオールは、好ましくは0℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する。液状ポリエステルポリオールのTgが高すぎると、液状であることが難しくなる。
【0040】
適切な液体ポリエステルポリオールの例としては、ε-カプロラクトンなどのラクトンの開環重合によって得られるもの、および/またはジオールと二酸から得られるものがある。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用なジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用な二酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、ダイマー酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。有用な二酸の範囲に含まれるのは、カルボン酸エステル(特にメチルエステルおよびエチルエステル)、酸ハロゲン化物(酸塩化物など)、酸無水物などの様々な二酸誘導体、およびそれらの組み合わせである。
【0041】
適切な液体ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリ(ヘキサンジオールアジペート)ポリオール、ポリ(ブタンジオールアジペート)ポリオール、ポリ-イプシロン-カプロラクトンポリオール、ポリ(ドデカン二酸ヘキサンジオール)ポリオール、ポリ(ヘキサンジオールアジピン酸テレフタレート)ポリオール、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
好適な市販の液状ポリエステルポリオールは、Evonik Industries AGからDYNACOLL 7210、7230、7231、7250などのDYNACOLL 7200シリーズ、Stepan CorporationからStepan PDP 70などの商品名で販売されている。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つの結晶性ポリエステルポリオール、少なくとも1つの非晶質ポリエステルポリオールおよび少なくとも1つの液状ポリエステルポリオールの組み合わせを、本発明における反応剤(a)として使用できる。
【0044】
好ましい実施形態では、反応剤(a)は、800~20,000g/mol、好ましくは1,000~10,000g/mol、より好ましくは1,000~5,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0045】
特に好ましくは、反応剤(a)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、30重量%~70重量%、より好ましくは35重量%~65重量%の量で存在し得る。
【0046】
(b)ポリエーテルポリオール
いくつかの実施形態において、本発明で使用されるポリオール混合物(A1)は、(b)少なくとも1種のポリエーテルポリオールを含む。
【0047】
本発明で使用されるポリエーテルポリオールは、当業者によく知られている。これらのポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの少なくとも1つの化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、およびそれらの組み合わせを含む上記の多価アルコールなど、1分子中に平均して少なくとも2個の活性水素原子を有する少なくとも1つの化合物とを共重合することによって得られる。他の適切な多価化合物には、スクロース、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリエタノールアミン、1,2-プロパンジチオール、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0048】
好ましいポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリエチレンオキシド、ポリブチレンオキシド、および前述のいずれかのエチレンオキシドエンドキャップバージョン、ならびにそれらの組み合わせから選択できる。最も好ましいポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、エチレンオキシドエンドキャップポリ(オキシプロピレン)グリコール、およびそれらの組み合わせである。
【0049】
好ましい実施形態において、ポリエーテルポリオールは、200~8,000g/mol、好ましくは400~4,000g/mol、より好ましくは400~2,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0050】
本発明では、市販品を使用することも可能である。その例としては、ダウ・ケミカル社のVoranol 2104、2110、2120、2140が含まれる。
【0051】
特に好ましくは、反応剤(b)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%、より好ましくは15重量%~36重量%の量で存在し得る。
【0052】
(A2)ポリイソシアネート
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、(A1)以下を含むポリオール混合物:(a)少なくとも1つのポリエステルポリオール、および(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、および(A2)1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート
を含む反応剤混合物を反応させることによって得られる少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーを含んでなる。
【0053】
反応剤(A2)として有用なポリイソシアネートには、例えば脂肪族、シクロ脂肪族(cyclopaliphatic)、アラル脂肪族(araliphatic)、アリールアルキル、芳香族イソシアネート、およびそれらの組み合わせを含む、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する任意の適切なイソシアネートが含まれる。
【0054】
好ましい反応剤(A2)は、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDI(H12MDI)、部分水添MDI(H6MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5、5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサン-2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、およびダイマー脂肪酸ジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンまたは1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、およびそれらの組み合わせから選択できる。最も好ましいポリイソシアネートは、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその異性体、鎖延長MDI、およびそれらの組み合わせである。
【0055】
反応剤(A2)として使用される有用な市販のポリイソシアネートとしては、Bayer社のDESMODUR 44C FUSED、Covestro社のDesmodur 0118 IおよびDesmodur 44M、Wanhua Chemicals社のVannate MDI 100F、HUNTSMAN社のSupresec 1809が挙げられる。
【0056】
特に好ましくは、反応剤(A2)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、10重量%~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%の量で存在してよい。
【0057】
(B)(メタ)アクリルポリマー
本発明によれば、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、(B)少なくとも1つの(メタ)アクリルポリマーを、接着剤組成物の全重量に基づいて14重量%以下の量で含み、硬化したときに接着剤組成物に優れた初期十字引張強さを与える。
本発明において成分(B)として使用される(メタ)アクリルポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、共重合されたアルキル官能性(メタ)アクリルモノマー、酸官能性(メタ)アクリルモノマー、第三級アミン官能性(メタ)アクリルモノマーからなってよく、イソシアネート官能基と急速に反応しない他の官能基を含んでいてもよい。(メタ)アクリルポリマーの分岐は、多官能性コモノマーを共重合することによって、および/または多官能性連鎖移動剤および/または多官能性開始剤を使用することによって誘導できる。
【0058】
本発明の(メタ)アクリルポリマーを形成するために使用される好適なコモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル(ラウリル)または対応するアクリレートなどのメタクリル酸およびアクリル酸のC1~C12エステルが挙げられるが、これらに限定されない。相溶性のある(メタ)アクリレートモノマーの混合物も使用できる。メタクリル酸およびアクリル酸とポリ(エチレングリコール)および/またはポリ(プロピレングリコール)および/またはグリコールエーテルとのエステルに基づくメタクリル酸およびアクリル酸コモノマーも使用できる。使用できるその他のビニルコモノマーとしては、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ビニルエーテル;クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸のエステル;スチレン;アルキルスチレン;アクリロニトリル;ブタジエンなど、およびそれらのコモノマーが挙げられる。選択される特定のモノマーは、接着剤が意図する最終用途に大きく依存する。
【0059】
本発明の(メタ)アクリルポリマーを形成するために使用される適切な酸官能性コモノマーとしては、メタクリル酸およびアクリル酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
組み込むことができる本発明の(メタ)アクリルポリマーを形成するために使用される適切なヒドロキシル官能化コモノマーとしては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび2-ヒドロキシブチルメタクリレートまたは対応するアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の(メタ)アクリルポリマーを形成するために使用される適切なアミン官能化コモノマーとしては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、または対応するアクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
成分(B)はフリーラジカル重合によって調製でき、分子量(Mn)は連鎖移動剤、例えばドデシルメルカプタンのようなチオールまたは遷移金属錯体に基づく触媒連鎖移動剤を使用することによって制御される。分岐(メタ)アクリルポリマーは、多官能性モノマーを共重合したり、および/または、多官能性連鎖移動剤を使用したり、および/または、多官能性開始剤を使用したりして製造される。
【0063】
好ましい実施形態において、成分(B)は、5,000~100,000g/mol、好ましくは5,000~80,000g/mol、より好ましくは8,000~50,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0064】
有用な成分(B)は市販されており、例えばLucite International社のElvacite 2013がある。
【0065】
本発明によれば、(メタ)アクリルポリマーは、接着剤組成物の全重量に基づいて14重量%以下の量でなければならず、そうでなければ、(メタ)アクリルポリマーの含有量が高くなると、接着剤組成物に不溶となる。特に好ましくは、成分(B)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~12重量%、好ましくは1重量%~10重量%の量で存在できる。
【0066】
(C)非晶質ポリアルファオレフィン
本発明によれば、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、(C)100℃未満の軟化点を有する少なくとも1つの非晶質ポリアルファオレフィンを、接着剤組成物の全重量に基づいて、20重量%以下の量で含んでなり、硬化したときに、本発明の接着剤組成物に優れた初期十字引張強さを与える。
【0067】
本発明によれば、成分(C)は、軟化点が100℃未満であり、本発明の接着剤組成物を調製する際の反応温度以下である。非晶質ポリアルファオレフィンの軟化点が100℃以上である場合、反応中に非晶質ポリアルファオレフィンが析出し、接着剤組成物中で顆粒を形成する。好ましい実施形態において、本発明で使用される成分(C)は、70℃~95℃の軟化点を有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、成分(C)は、200,000g/mol未満、好ましくは100,000g/mol未満の分子量(Mn)を有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、成分(C)は、190℃で50,000mPa・s以下、好ましくは30,000mPa・s未満のブルックフィールド粘度を有する。
【0070】
本発明で成分(C)として使用される有用な非晶質ポリアルファオレフィンには、ポリアルファオレフィンのホモポリマー、コポリマー、ターポリマーおよびそれらの組み合わせが含まれる。成分(C)として使用される非晶質ポリアルファオレフィンは、ランダム共重合体またはブロック共重合体であってもよい。前記非晶質ポリアルファオレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセンおよびそれらの組み合わせを含む様々なモノマーから誘導できる。
【0071】
有用な成分(C)は、Evonik Industrials社からVestoplast 508およびVestoplast 520として市販されている。
【0072】
本発明によれば、成分(C)は、接着剤組成物の全重量に基づいて、20重量%以下の量で存在する。好ましい実施形態において、本発明で使用される成分(C)は、接着剤組成物の総重量に基づいて、1重量%~15重量%、好ましくは1重量%~8重量%の量で存在する。上記範囲の量を有する成分(C)を使用すると、そのような量の成分(C)は、接着剤組成物に優れた耐衝撃性能を付与できる一方で、硬化したときの接着剤組成物の初期十字引張強さを低下させないので有利である。
【0073】
(D)触媒
任意に、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、(A1)ポリオールと、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する(A2)ポリイソシアネートとの反応を促進するための触媒(D)を含むこともできる。
【0074】
好適な成分(D)としては、例えば、強塩基性アミド、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、トリス-(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、例えばトリス-(N.N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、または通常の第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-エチル-、N-メチル-、N-シクロヘキシルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、2-(ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1-アザビシクロ[3,3,0]オクタン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-ウレア、N,N’-ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、ジ-(4-N,N-ジメチルアミノシクロヘキシル)-メタンなど、および有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトナート、スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばジ酢酸スズ(II)、2-エチルヘキサン酸のスズ(II)塩(オクトエ酸スズ(II))、スズ(II)ジラウレート、または有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズ(IV)ジアセテート、ジブチルスズ(IV)ジラウレート、ジブチルスズ(IV)マレエートまたはジオクチルスズ(IV)ジアセテートなど、およびジブチルスズ(IV)ジメルカプタイド、または挙げた触媒の2種以上の混合物、および強塩基性アミンと有機金属化合物の相乗的な組み合わせが挙げられる。
【0075】
存在する場合、触媒は、接着剤組成物の全重量に基づいて、0.05重量%~1重量%、好ましくは0.05重量%~0.5重量%の量で接着剤組成物中に存在する。
【0076】
(E)添加剤
任意に、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、少なくとも1つの添加剤を含むことができる。そのような添加剤としては、着色料、酸化防止剤など、当該技術分野で一般的に使用されているものを挙げることができる。
【0077】
着色剤の例としては、金属酸化物顔料、二酸化チタン、任意に表面処理された酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄、赤)、酸化クロム、マンガン、およびそれらの組み合わせから選択されうる顔料が挙げられる。
【0078】
酸化防止剤の例としては、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、オクタデシル-3,5-ビス(1,1-ジメチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパノエート、ピロガロールのようなフェノール系;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)のような亜リン酸エステル類;またはチオジプロピオン酸ジラウリルのようなチオエステル類、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
存在する場合、添加剤は、接着剤組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~1重量%、好ましくは0.05重量%~0.5重量%の量で存在できる。
【0080】
接着剤組成物
特に好ましい実施形態において、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量に基づいて、以下を含む:
以下を含む反応剤混合物を反応させて得られる少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー66重量%~99重量%、好ましくは70重量%~90重量%、
(A1)以下を含むポリオール混合物:
(a)少なくとも1つのポリエステルポリオール、および
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール、
および
(A2)1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート;
14重量%以下、好ましくは0.1重量%~12重量%、より好ましくは1重量%~10重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリルポリマー、
20重量%以下、好ましくは1重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~8重量%の、100℃未満の軟化点を有する少なくとも1つの非晶質ポリアルファオレフィン、
0.05重量%~1重量%、好ましくは0.05重量%~0.5重量%の少なくとも1つの触媒、および
0.01重量%~1重量%、好ましくは0.05重量%~0.5重量%の少なくとも1つの添加剤。
【0081】
調製方法
本発明による湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、以下のような手順で調製して組成物を得ることができる:
(i)反応剤(A1)、成分(B)および(C)ならびに任意成分(E)を120℃~140℃の温度で混合した後、真空引きするステップ;
(ii)温度を80℃から100℃に低下させ、反応剤(A2)を添加し、反応温度を100℃~110℃に制御する工程;および
(iii)任意に、混合物に成分(D)を添加して均一に混合する工程。
【0082】
これらの混合、攪拌、分散等のための装置は特に限定されない。自動乳鉢、ヘンシェルミキサー、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミルなど、攪拌機とヒーターを備えたものが使用できる。また、これらの装置を適切に組み合わせて使用することもできる。湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の調製方法は、上記各成分が均一に混合された組成物である限り特に限定されない。
【0083】
ラミネートと電子機器
本発明の第3の態様によれば、本明細書において提供されるのは、第1の基材、第2の基材、およびその間に挟まれた接着剤層を含む積層体(ラミネート)であって、第1の基材および第2の基材は、互いに独立して、ガラス、樹脂、および金属から選択され、接着剤層は、本発明の接着剤組成物を硬化させることによって形成される、積層体である。
【0084】
第1の基材および/または第2の基材は、単一の材料および単一の層とすることもできるし、同じ材料または異なる材料の複数の層を含むこともできる。層は連続でも不連続でも構わない。
【0085】
本明細書で説明する物品の基材は、剛性(すなわち、両手を使っても曲げることができないか、両手で曲げようとすると折れてしまう)、柔軟性(例えば、フレキシブル基板、つまり、両手の力以下で基板を曲げることができる)、多孔性、導電性、導電性の欠如、及びそれらの組み合わせを含む様々な特性を有し得る。
【0086】
物品の基材は、例えば、繊維、糸、ヤーン、織布、不織布、フィルム(例えば、ポリマーフィルム、金属化ポリマーフィルム、連続フィルム、不連続フィルム、およびそれらの組み合わせなど)、ホイル(例えば、金属箔)、シート(例えば、金属シート、ポリマーシート、連続シート、不連続シート、およびそれらの組み合わせ)、及びそれらの組み合わせを含む様々な形態であり得る。
【0087】
好ましい実施形態では、基材の少なくとも1つは、金属焼成ペースト、アルミニウム、スズ、モリブデン、銀などの金属、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、インク入りガラス、裸ガラスなどのガラス、ポリカーボネート、ポリブチレン(polybutylece)テレフタレート、ポリアミドなどの樹脂から選択できる。さらに適切な金属としては、銅、金、パラジウム、白金、アルミニウム、インジウム、銀コート銅、銀コートアルミニウム、スズ、スズコート銅などがある。好ましくは、両方の基材が前述の材料のいずれかから選択される。
【0088】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、室温15℃~35℃の範囲、相対湿度50%で、1日~7日間硬化させることができる。
【0089】
理解されるように、各湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の時間と温度の硬化プロファイルは様々であり、特に工業的製造工程に適した硬化プロファイルを提供するために、異なる組成物を設計できる。
【0090】
本発明の第4の側面によれば、本明細書において提供されるのは、本発明の積層体を含むか、または本発明による接着剤組成物を使用して製造される、電子デバイスである。
【0091】
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、例えば、自動細線塗布、ジェット塗布、スロットダイ塗布、ロール塗布、グラビア塗布、転写塗布、パターン塗布、スクリーン印刷、スプレー塗布、フィラメント塗布、押し出しによる塗布、エアナイフ塗布、トレーリングブレード塗布、刷毛塗り塗布、浸漬塗布、ドクターブレード塗布、オフセットグラビア塗布、グラビア輪転塗布、およびこれらの組み合わせを含む任意の適切な塗布方法を用いて基材に塗布できる。湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、連続または不連続コーティングとして、単層または多層、およびそれらの組み合わせで塗布できる。
【0092】
使用
本発明の第5の側面によれば、本明細書において提供されるのは、電子デバイスの製造における、本発明による接着剤組成物または本発明による積層体の使用である。
【0093】
前記好適な電子機器としては、例えば、ウェアラブル電子機器(例:腕時計、眼鏡)、携帯型電子機器(例えば、電話(例:携帯電話、携帯スマートフォン)、カメラ、タブレット、電子リーダー、モニター(例:病院、医療従事者、スポーツ選手、個人が使用するモニター)、時計、電卓、マウス、タッチパッド、ジョイスティック)、コンピュータ(例:デスクトップ・コンピューターとラップトップ・コンピューター)、コンピュータモニター、テレビ、メディアプレーヤー、または他の電子部品が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0094】
実施例
以下の実施例は、当業者が本発明をより良く理解し、実施するのを助けることを意図している。本発明の範囲は実施例によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。特に断りのない限り、すべての部とパーセンテージは重量に基づく。
【0095】
原材料:
VORANOL2110は、数平均分子量(Mn)が1,000g/molのポリエーテルポリオールであり、DOW社から入手できる。
【0096】
Dynacoll 7360は、数平均分子量(Mn)3,500g/molの結晶性ポリエステルポリオールで、Evonik Industries AGから入手できる。
【0097】
Dynacoll 7250は、数平均分子量(Mn)5,500g/mol、ガラス転移温度-50℃の液状ポリエステルポリオールで、Evonik Industries AGから入手できる。
【0098】
Stepan PDP 70は、液状のジエチレングリコール-無水フタル酸ベースの変性ポリエステルポリオールで、数平均分子量(Mn)は1,600g/molであり、Stepan Corporationから入手できる。
【0099】
FLP PA-1000Nは、数平均分子量(Mn)が1,000g/molの非晶質ポリエステルポリオールであり、許川化工(蘇州)有限公司から入手できる。
【0100】
Vestoplast 708は軟化点106±4℃の非晶質ポリアルファオレフィンで、Evonik社から入手できる。
【0101】
Vestoplast 408は軟化点118±4℃の非晶質ポリアルファオレフィンで、Evonik社から入手できる。
【0102】
Vestoplast 520は軟化点87±4℃の非晶質ポリアルファオレフィンで、Evonik社から入手できる。
【0103】
Vestoplast 508は軟化点84±4℃の非晶質ポリアルファオレフィンで、Evonik社から入手できる。
【0104】
Elvacite 2013は、数平均分子量(Mn)が34,000g/molの(メタ)アクリルポリマーで、Lucite International社から入手できる。
【0105】
GRK 830はカーボンブラックペーストで、Spectrum Dispersions社から入手できる。
【0106】
DESMODUR 44C FUSEDはMDIで、Bayer社から入手できる。
【0107】
JEFFCAT DMDEEは2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテルの触媒で、HUNTSMAN社から入手できる。
【0108】
調製方法:
実施例1(Ex.1)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、10gのElvacite 2013、1gのVestoplast 508および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。均質な接着剤組成物が得られた。
【0109】
実施例2(Ex.2)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、10gのElvacite 2013、5gのVestoplast 508および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。均質な接着剤組成物が得られた。
【0110】
実施例3(Ex.3)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、10gのElvacite 2013、3gのVestoplast 508および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。均質な接着剤組成物が得られた。
【0111】
実施例4(Ex.4)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、10gのElvacite 2013、3gのVestoplast 520および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。均質な接着剤組成物が得られた。
【0112】
実施例5(Ex.5)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、8gのElvacite 2013、5gのVestoplast 508および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。均質な接着剤組成物が得られた。
【0113】
比較例1(CE.1)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、11gのElvacite 2013および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。均質な接着剤組成物が得られた。
【0114】
比較例2(CE.2)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、10gのElvacite 2013、25gのVestoplast 508および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。本発明の範囲外の重量%を有する非晶質ポリアルファオレフィンが接着剤組成物に不溶であったため、均質な接着剤組成物を得ることができなかった。
【0115】
比較例3(CE.3)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、10gのElvacite 2013、3gのVestoplast 408および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。本発明の範囲外の軟化点を有する非晶質ポリアルファオレフィンが反応中に析出し、接着剤組成物中で顆粒を形成したため、均質な接着剤組成物を得ることができなかった。
【0116】
比較例4(CE.4)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、10gのElvacite 2013、3gのVestoplast 708および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。本発明の範囲外の軟化点を有する非晶質ポリアルファオレフィンが反応中に析出し、接着剤組成物中で顆粒を形成したため、均質な接着剤組成物を得ることができなかった。
【0117】
比較例5(CE.5)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、3gのVestoplast 508および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。均質な接着剤組成物が得られた。
【0118】
比較例6(CE.6)
19gのVORANOL 2110、18.6gのDynacoll 7250、19.4gのDynacoll 7360、6gのStepan PDP 70、8gのFLP PA-1000N、15gのElvacite 2013、3gのVestoplast 508および1gのGRK 830を反応器に添加し、130から140℃で30分間混合した後、真空度を30mBar未満に下げて2.5時間行った。その後、混合物の温度を95℃に下げ、16.6gのMDIを加え、105℃から115℃の温度でさらに80分間混合した。最後に、0.4gのJEFFCAT DMDEEを反応器に加え、さらに10分間攪拌した。本発明の範囲外の重量%を有する(メタ)アクリルポリマーが接着剤組成物に不溶であったため、均質な接着剤組成物を得ることができなかった。
【0119】
試験方法:
初期十字引張強さ:
試料調製:
I. まず、101.6x25.4x1mmのガラス繊維を20重量%含むポリカーボネート基板と、101.6*25.4*3mmのインクガラスを用意した。基板はイソプロパノールで洗浄し、表面が完全に乾いていることを確認するため、周囲条件で数分間アイドリングした。ポリカーボネート基板とインキガラス基板を十字に配置し、重なり合う部分に接着剤層を挟んで形成した。
【0120】
II. 次に、直径0.127mmのスペーサーを2枚設置し、接着剤層の厚みをコントロールした。接着剤組成物を分散させる前に、前記スペーサーをインクガラスの端に、重なり部分の端から3mmの距離で配置した。
【0121】
III. その後、接着剤組成物をロックタイト400Dディスペンサーで110℃に30分間加熱した。接着剤組成物をインクガラスの表面に塗布するために、21#サイズの針を使用した。分注工程で、針から分注された接着剤ビーズによって2本のボンドラインが形成された。2本のボンドラインは平行に塗布され、それぞれのボンドラインは2枚の基板の重なり部分の端までの距離が1~1.5mmであった。さらに、各接着剤ビーズ間の距離は8mmに制御され、接着剤ビーズから2つの基板の重なり部分の端までの距離も8mmであった。
【0122】
IV. 分注後、ガラス繊維を20重量%添加したポリカーボネート基板を、各基板の2つの自由端を残しながら、重なり部分のサンドイッチ構造を形成するように押し付けた。その後、ラミネートを調製した。
【0123】
V. 2キログラムの重りを15秒間、重なり部分のサンドイッチ構造にかけた。その後、重りを取り除き、得られたサンプルを23℃、相対湿度50%に1時間置き、接着剤組成物を硬化させた。
【0124】
サンプルの試験:接着剤層の破断時の初期十字引張強さを測定するため、INSTRON引張試験機で試験速度10mm/分でサンプルの十字引張強さを測定した。初期十字引張強さが2.5MPa超であれば、接着剤組成物は電子機器への使用に適している。
【0125】
デュポン衝撃エネルギー試験:
硬化した接着剤組成物の耐衝撃性は、ラップ剪断アセンブリを用いたデュポン衝撃エネルギーによって評価した。
【0126】
試料調製:
I. まず、サイズ101.6×25.4×1mmのガラス繊維20重量%のポリカーボネート基板、幅1インチ*長さ4インチで中央に直径10mmの穴があいたマグネシウムアルミニウム合金基板、中央に直径12mmの穴があいた厚さ0.12mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。PETフィルムは、接着剤層の幅と厚みを制御するために、マグネシウムアルミニウム合金基板に接着するためのテープが片面にある。基板はイソプロパノールで洗浄し、表面が完全に乾いていることを確認するため、周囲条件で数分間アイドリングした。
【0127】
II. PETフィルムをマグネシウムアルミニウム合金基板に接着させ、PETフィルムの中心孔の位置とマグネシウムアルミニウム合金基板の中心孔の位置が一致するようにした。マグネシウムアルミニウム合金基板の直径はPETフィルムより2mm大きく、幅1mmの円形リング領域を形成している。
【0128】
III. 接着剤組成物をマグネシウムアルミニウム合金基板の前記円形リング領域内に吐出し、マグネシウムアルミニウム合金基板の中心孔を覆うようにポリカーボネート基板を横置きし、その重なり部分、すなわち円形リング領域に幅1mm、厚さ0.12mmの接着剤層を挟んで形成することとした。
【0129】
IV. 試験片を23℃、湿度60%の条件下で72時間硬化した。
【0130】
V. 試験片をデュポン試験機(BGD301)の底部にあるホルダーに固定し、試験に供した。
【0131】
サンプルテスト:
開始点として、50gの重りを2cmの高さから試験片上に落とした。マグネシウムアルミニウム合金基材がポリカーボネート基材から3回剥離しなかった場合は、重りを前回の高さより2cm高い高さまで持ち上げて落下させた。50cmの高さで50gの重りを用いてマグネシウムアルミニウム合金基材がポリカーボネート基材から剥がれなかった場合は、60gの重りを用いて試験を行った。デュポン衝撃エネルギーは、次の式を使用して計算した。
【0132】
E=m*g*h*0.01,
【0133】
ここで、Eは衝撃エネルギー(mJ)、mは基材同士を引き剥がす際の重量(g)、hは基材同士を引き剥がす際に緩んだ重さの高さ(cm)、gは9.8m/s2。350mJ未満のデュポン衝撃エネルギー値は、許容できない耐衝撃性とみなされる。
【0134】
試験結果を表1に示す。
【0135】
【0136】
表1からわかるように、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、硬化時に優れた耐衝撃性および初期十字引張強さを示したが、比較組成物は不満足な性能を示した。
【0137】
いくつかの好ましい実施形態を説明してきたが、上記の教示に照らして、多くの修正および変形をそれらに加えることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、具体的に説明した以外の方法でも実施できることが理解されるべきである。
【国際調査報告】