(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コーティングされた表面を有する付加製造物品および関連方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/40 20060101AFI20240927BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C23C16/40
C23C26/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519780
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022044446
(87)【国際公開番号】W WO2023055656
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォルドフリード, カルロ
【テーマコード(参考)】
4K030
4K044
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030BA02
4K030BA17
4K030BA18
4K030BA22
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA46
4K030EA03
4K030EA04
4K030FA10
4K030HA01
4K030KA45
4K044AA01
4K044AB10
4K044BA12
4K044BA13
4K044BB01
4K044CA22
4K044CA24
4K044CA44
(57)【要約】
いくつかの実施形態は、コーティングされた表面を有する付加製造物品および関連方法に関する。方法は、付加製造によって三次元(3D)物品を形成して、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有する付加製造3D物品を得ることと、付加製造3D物品を、1つまたは複数の前駆体気体に曝露して、付加製造3D物品の表面にコーティング層を形成することとを含み得る。付加製造物品は、付加製造三次元(3D)本体を含み得る。付加製造3D本体は、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有してもよい。付加製造3D本体は、付加製造3D本体の表面にコーティング層を有することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を形成するための方法であって、
付加製造3D物品を得るために、付加製造によって三次元(3D)物品を形成することであり、
付加製造3D物品は、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有する、付加製造によって三次元(3D)物品を形成することと;
付加製造3D物品の表面にコーティング層を形成するために、付加製造3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露することであり、
コーティング層は、非プラズマ系堆積プロセスによって形成される、付加製造3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露することと
を含む、方法。
【請求項2】
付加製造3D物品が、5:1~1000:1のアスペクト比を有し、アスペクト比が、幅、深さ、高さ、または直径のうちの2つの比である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
形成することが、3Dプリンターから3D印刷可能材料を分配して、付加製造3D物品を形成することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
3D印刷可能材料が、金属粉末、金属合金粉末、セラミック粉末、熱可塑性ポリマー、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
付加製造3D物品が一体構築の物品である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
付加製造3D物品が、プレナム、溝、穴を画定する構造、チャネルを画定する構造、キャビティを画定する構造、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
付加製造3D物品が継ぎ目を含まない、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
付加製造3D物品がろう付け接合部を含まない、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
付加製造3D物品が溶接接合部を含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コーティング層が、熱原子層堆積(ALD)プロセス、化学気相成長(CVD)プロセス、または溶液堆積プロセスによって形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コーティング層が、アルミナ、イットリア、チタニア、ジルコニア、酸化タンタル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コーティング層をフッ素化して、YOF、YF
3、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むコーティング層を形成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コーティング層が、式MOの酸化物[式中、MはCa、Mg、もしくはBeである];式M’O
2の酸化物[式中、M’は化学量論的に許容される金属である];式Re
2O
3の酸化物[式中、Reは希土類元素である];または式Ta
xO
yの酸化物[式中、xは0より大きく、yは0より大きい]を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コーティング層が、酸窒化アルミニウム;イットリア-アルミナ;酸化ケイ素;酸窒化ケイ素;遷移金属酸化物;遷移金属酸窒化物;希土類金属酸化物;希土類金属酸窒化物;またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって形成された物品を含む、半導体製造工具の部品。
【請求項16】
物品であって、
付加製造三次元(3D)本体であり、
付加製造3D本体が、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有する、付加製造3D本体;および
付加製造3D本体の表面のコーティング層であり、
コーティング層が非プラズマコーティング層である、コーティング層
を含む、物品。
【請求項17】
付加製造3D本体が、2:1~1000:1のアスペクト比を有し、アスペクト比が、幅、深さ、高さ、または直径のうちの2つの比である、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
非プラズマコーティング層が熱原子層堆積(ALD)コーティング層である、請求項16または17に記載の物品。
【請求項19】
付加製造3D本体が一体構築の本体である、請求項16から18のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
付加製造3D物品が、プレナム、溝、穴を画定する構造、チャネルを画定する構造、キャビティを画定する構造、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
モノリシック構造を有する付加製造三次元(3D)本体;および
付加製造3D本体の表面の少なくとも一部分上の非プラズマコーティング層
を含む医療装置。
【請求項22】
哺乳動物に移植されるように構成された、請求項21に記載の医療装置。
【請求項23】
哺乳動物に一時的に挿入されるように構成された、請求項21に記載の医療装置。
【請求項24】
哺乳動物で外用されるように構成された、請求項21に記載の医療装置。
【請求項25】
付加製造3D本体が生体適合性である、請求項21から24のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項26】
付加製造3D本体が医療装置の本体である、請求項21から25のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項27】
付加製造3D本体が医療装置の部品である、請求項21から25のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項28】
付加製造3D本体が、バルーン、グラフト、ステント、カテーテル、シャント、塞栓剤、ペースメーカー、除細動器、人工インプラント、補綴物、刺激器、センサー、ワイヤー、リード線、弁、プラグ、ポンプ、フィルター、メカニカルコネクター、チューブ、プレート、手術器具、筐体、それらの任意の部品、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つである、請求項21から27のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項29】
付加製造3D本体が、血管形成術用バルーン、弁形成術用バルーン、配置バルーン、ペースメーカーリード線、補綴心臓弁、血管フィルター、血管プラグ、人工心臓弁、人工心臓、カテーテルチップ、縫合糸、外科用ステープラー、ネジ、釘、ブラケット、ピン、ロッド、固定具、ガイドワイヤー、薬物ポンプ、合成血管グラフト、血管グラフト、非血管グラフト、ステントグラフト、血管ステント、冠状動脈ステント、末梢ステント、腔内舗装ステント、動静脈シャント、動脈瘤充填物、移植可能パルス発生器、移植可能心臓除細動器、電気除細動器、脊髄刺激器、脳刺激器、仙骨神経刺激器、骨補綴物、関節補綴物、プラスチックチューブ、金属チューブ、歯科矯正具、補聴器、包帯、それらの任意の部品、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つである、請求項21から28のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項30】
付加製造3D本体が、2:1~1000:1のアスペクト比を有する構造部品を含み、アスペクト比が、幅、深さ、高さ、または直径のうちの2つの比である、請求項21から29のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項31】
付加製造3D本体が一体構築の物品である、請求項21から30のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項32】
付加製造3D本体が継ぎ目を含まない、請求項21から31のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項33】
付加製造3D本体がろう付け接合部を含まない、請求項21から32のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項34】
付加製造3D本体が溶接接合部を含まない、請求項21から33のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項35】
非プラズマコーティング層が、熱原子層堆積(ALD)コーティング層、化学気相成長(CVD)コーティング層、または溶液堆積コーティング層である、請求項21から34のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項36】
非プラズマコーティング層が、アルミナ、イットリア、チタニア、ジルコニア、酸化タンタル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項21から35のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項37】
非プラズマコーティング層が、YOF、YF
3、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項21から36のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項38】
非プラズマコーティング層が、
式MOの酸化物[式中、MはCa、Mg、またはBeである];
式M’O
2の酸化物[式中、M’は金属である];
式Re
2O
3の酸化物[式中、Reは希土類元素である];
式Ta
xO
yの酸化物[式中、xは0より大きく、yは0より大きい];または
それらの任意の組合せ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項21から37のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項39】
非プラズマコーティング層が、酸窒化アルミニウム;イットリア-アルミナ;酸化ケイ素;酸窒化ケイ素;遷移金属酸化物;遷移金属酸窒化物;希土類金属酸化物;希土類金属酸窒化物;またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項21から38のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項40】
モノリシック構造が、機械加工による構築が可能でないものである、請求項21から39のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、コーティングされた表面を有する付加製造物品および関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工プロセスでは、一体構築の装置または装置部品を製造することが可能ではない。例えば、複雑な形状を有する装置部品は、複数の部品を組み立てることによってのみ製造することができる。複数の部品を組み立てることにより、2つ以上の部品の接触面に形成された継ぎ目または溶接部が生じることが多い。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様において、物品を形成するための方法であって、付加製造3D物品を得るために、付加製造によって三次元(3D)物品を形成することであり、付加製造3D物品は、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有する、付加製造によって三次元(3D)物品を形成することと;付加製造3D物品の表面にコーティング層を形成するために、付加製造3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露することであり、コーティング層は、非プラズマ系堆積プロセスによって形成される、付加製造3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露することとを含む、方法が開示される。
【0004】
付加製造3D物品が、5:1~1000:1のアスペクト比を有し、アスペクト比が、幅、深さ、高さ、または直径のうちの2つの比である、第1の態様に従う第2の態様。
【0005】
形成することが、3Dプリンターから3D印刷可能材料を計量分配して、付加製造3D物品を形成することを含む、第1または第2の態様に従う第3の態様。
【0006】
3D印刷可能材料が、金属粉末、金属合金粉末、セラミック粉末、熱可塑性ポリマー、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第1から第3の態様のいずれか1つに従う第4の態様。
【0007】
付加製造3D物品が一体構築(unitary construction)の物品である、第1から第4の態様のいずれか1つに従う第5の態様。
【0008】
付加製造3D物品が、プレナム、溝、穴を画定する構造、チャネルを画定する構造、キャビティを画定する構造、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第1から第5の態様のいずれか1つに従う第6の態様。
【0009】
付加製造3D物品が、継ぎ目を含まない、第1から第6の態様のいずれか1つに従う第7の態様。
【0010】
付加製造3D物品がろう付け接合部を含まない、第1から第7の態様のいずれか1つに従う第8の態様。
【0011】
付加製造3D物品が溶接接合部を含まない、第1から第8の態様のいずれか1つに従う第9の態様。
【0012】
コーティング層が、熱原子層堆積(ALD)プロセス、化学気相成長(CVD)プロセス、または溶液堆積プロセスによって形成される、第1から第9の態様のいずれか1つに従う第10の態様。
【0013】
コーティング層が、アルミナ、イットリア、チタニア、ジルコニア、酸化タンタル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第1から第10の態様のいずれか1つに従う第11の態様。
【0014】
方法が、コーティング層をフッ素化して、YOF、YF3、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むコーティング層を形成することをさらに含む、第1から第11の態様のいずれか1つに従う第12の態様。
【0015】
コーティング層が、式MOの酸化物[式中、MはCa、Mg、もしくはBeである];式M’O2の酸化物[式中、M’は化学量論的に許容される金属である];式Re2O3の酸化物[式中、Reは希土類元素である];または式TaxOyの酸化物[式中、xは0より大きく、yは0より大きい]を含む、第1から第12の態様のいずれか1つに従う第13の態様。
【0016】
本明細書に記載の技術が方法に関し、コーティング層が、酸窒化アルミニウム;イットリア-アルミナ;酸化ケイ素;酸窒化ケイ素;遷移金属酸化物;遷移金属酸窒化物;希土類金属酸化物;希土類金属酸窒化物;またはそれらの任意の組合せを含む、第1から第13の態様のいずれか1つに従う第14の態様。
【0017】
第15の態様において、本明細書に開示される方法に従って形成された物品を含む半導体製造工具の部品が本明細書に開示される。
【0018】
第16の態様において、物品であって、付加製造三次元(3D)本体であり、付加製造3D本体が、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有する、付加製造3D本体;および付加製造3D本体の表面のコーティング層であり、コーティング層が非プラズマコーティング層である、コーティング層を含む、物品が本明細書に開示される。
【0019】
付加製造3D本体が、2:1~1000:1のアスペクト比を有し、アスペクト比が、幅、深さ、高さ、または直径のうちの2つの比である、第16の態様に従う第17の態様。
【0020】
非プラズマコーティング層が熱原子層堆積(ALD)コーティング層である、第16または第17の態様に従う第18の態様。
【0021】
付加製造3D本体が一体構築の本体である、第16から第18の態様のいずれか1つに従う第19の態様。
【0022】
付加製造3D物品が、プレナム、溝、穴を画定する構造、チャネルを画定する構造、キャビティを画定する構造、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第16から第19の態様のいずれか1つに従う第20の態様。
【0023】
第21の態様において、モノリシック構造を有する付加製造三次元(3D)本体;および付加製造3D本体の表面の少なくとも一部分上の非プラズマコーティング層を含む医療装置が開示される。
【0024】
医療装置が哺乳動物に移植されるように構成された、第21の態様に従う第22の態様。
【0025】
医療装置が哺乳動物に一時的に挿入されるように構成された、第21の態様に従う第23の態様。
【0026】
医療装置が哺乳動物で外用されるように構成された、第21の態様に従う第24の態様。
【0027】
付加製造3D本体が生体適合性である、第21から第24の態様のいずれか1つに従う第25の態様。
【0028】
付加製造3D本体が医療装置の本体である、第21から第25の態様のいずれか1つに従う第26の態様。
【0029】
付加製造3D本体が医療装置の部品である、第21から第25の態様のいずれか1つに従う第27の態様。
【0030】
付加製造3D本体が、バルーン、グラフト、ステント、カテーテル、シャント、塞栓剤、ペースメーカー、除細動器、人工インプラント、補綴物、刺激器、センサー、ワイヤー、リード線、弁、プラグ、ポンプ、フィルター、メカニカルコネクター、チューブ、プレート、手術器具、筐体、それらの任意の部品、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つである、第21から第27の態様のいずれか1つに従う第28の態様。
【0031】
付加製造3D本体が、血管形成術用バルーン、弁形成術用バルーン、配置バルーン、ペースメーカーリード線、補綴心臓弁、血管フィルター、血管プラグ、人工心臓弁、人工心臓、カテーテルチップ、縫合糸、外科用ステープラー、ネジ、釘、ブラケット、ピン、ロッド、固定具、ガイドワイヤー、薬物ポンプ、合成血管グラフト、血管グラフト、非血管グラフト、ステントグラフト、血管ステント、冠状動脈ステント、末梢ステント、腔内舗装ステント(intraluminal paving stent)、動静脈シャント、動脈瘤充填物、移植可能パルス発生器、移植可能心臓除細動器、電気除細動器、脊髄刺激器、脳刺激器、仙骨神経刺激器、骨補綴物、関節補綴物、プラスチックチューブ、金属チューブ、歯科矯正具、補聴器、包帯、それらの任意の部品、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つである、第21から第28の態様のいずれか1つに従う第29の態様。
【0032】
付加製造3D本体が、2:1~1000:1のアスペクト比を有する構造を含み、アスペクト比が、幅、深さ、高さ、または直径のうちの2つの比である、第21から第29の態様のいずれか1つに従う第30の態様。
【0033】
付加製造3D本体が一体構築の物品である、第21から第30の態様のいずれか1つに従う第31の態様。
【0034】
付加製造3D本体が継ぎ目を含まない、第21から第31の態様のいずれか1つに従う第32の態様。
【0035】
付加製造3D本体がろう付け接合部を含まない、第21から第32の態様のいずれか1つに従う第33の態様。
【0036】
付加製造3D本体が溶接接合部を含まない、第21から第33の態様のいずれか1つに従う第34の態様。
【0037】
非プラズマコーティング層が、熱原子層堆積(ALD)コーティング層、化学気相成長(CVD)コーティング層、または溶液堆積コーティング層である、第21から第34の態様のいずれか1つに従う第35の態様。
【0038】
非プラズマコーティング層が、アルミナ、イットリア、チタニア、ジルコニア、酸化タンタル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第21から第35の態様のいずれか1つに従う第36の態様。
【0039】
非プラズマコーティング層が、YOF、YF3、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第21から第36の態様のいずれか1つに従う第37の態様。
【0040】
非プラズマコーティング層が、式MOの酸化物[式中、MはCa、Mg、もしくはBeである];式M’O2の酸化物[式中、M’は金属である];式Re2O3の酸化物[式中、Reは希土類元素である];式TaxOyの酸化物[式中、xは0より大きく、yは0より大きい];またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第21から第37の態様のいずれか1つに従う第38の態様。
【0041】
非プラズマコーティング層が、酸窒化アルミニウム;イットリア-アルミナ;酸化ケイ素;酸窒化ケイ素;遷移金属酸化物;遷移金属酸窒化物;希土類金属酸化物;希土類金属酸窒化物;またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、第21から第38の態様のいずれか1つに従う第39の態様。
【0042】
モノリシック構造が、機械加工による構築が可能でないものである、第21から第39の態様のいずれか1つに従う第40の態様。
【0043】
本開示の一部を形成し、本明細書に記載の材料および方法を実施することができる実施形態を例示する図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本開示の一部の実施形態による、物品を形成するための方法のフロー図である。
【
図2】本開示の一部の実施形態による、物品の断面の概略図である。
【
図3】本開示の一部の実施形態による、物品の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示の実施形態は、特に、付加製造によって形成された物品、付加製造によって物品を形成する方法、付加製造によって形成された物品を含む用途、および関連実施形態に関する。本開示の一部の実施形態は、1つまたは複数のコーティングされた表面を有する付加製造物品に関する。一部の実施形態において、付加製造によって形成された物品は、モノリシック構造、1つまたは複数の高アスペクト比フィーチャ、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを有してもよい。一部の実施形態において、付加製造による物品の製作後、物品を堆積プロセス、例えば原子層堆積(ALD)プロセスまたは熱ALDプロセスに供してもよく、これにより付加製造物品の1つまたは複数の表面が1層または複数の層でコーティングされる。一部の実施形態において、堆積プロセスは、付加製造物品の全曝露表面をコーティングするのに十分である。一部の実施形態において、付加製造物品のコーティングされた表面は、耐腐食性層、耐エッチング性層、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを提供する。
【0046】
図1は、本開示の一部の実施形態による、物品を形成するための方法のフロー図である。
図1に示すように、物品を形成するための方法100は、以下の工程:付加製造によって三次元(3D)物品を形成する工程102;および3D物品を1つまたは複数の前駆体ガスに曝露してコーティング層を形成する工程104のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0047】
工程102において、一部の実施形態では、方法100は、付加製造によって3D物品を形成することを含んでもよい。一部の実施形態において、付加製造は、3D印刷を含んでもよい。一部の実施形態において、3D物品は、3Dプリンターから3D印刷可能材料を計量分配して3D物品を形成することによって形成される。一部の実施形態において、3D印刷は、対象物を段階的に作ることによって3Dモデルから固体対象物を作成することを含んでもよい。一部の実施形態において、例えば、3D印刷は、選択的に共に接合または融合される層で3D印刷可能材料を適用して、モノリシック構造、一体構築、機械加工による構築が可能でない構造、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを有する3D物品を作成することを含んでもよい。3D印刷は、以下のもの:選択的レーザー溶融(SLM)、選択的レーザー焼結(SLS)、熱溶解積層(FDM)、電子ビーム溶融(EBM)、直接金属レーザー焼結(DMLS)、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つにより行ってもよい。
【0048】
一部の実施形態において、3D物品は、前駆体材料から形成してもよい。一部の実施形態において、前駆体材料は、3D印刷可能材料を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になってもよい。一部の実施形態において、前駆体材料は、原材料、例えば粒状原材料を含む。例えば、一部の実施形態において、前駆体材料は、金属粉末、金属合金粉末、セラミック粉末、ポリマー(例えば、フォトポリマー樹脂、熱可塑性ポリマー、もしくはそれらの任意の組合せ)、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一部の実施形態において、前駆体材料は、熱(例えば、走査レーザーまたは走査電子ビーム)によって融合可能な材料を含んでもよい。一部の実施形態において、前駆体材料は、金属成分を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になってもよい。一部の実施形態において、金属成分は、1つもしくは複数の金属、1つもしくは複数の金属化合物、1つもしくは複数の金属酸化物、1つもしくは複数の金属合金、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になってもよい。一部の実施形態において、前駆体材料は、以下:Al、Mg、Ni、Ti、V、Fe、Cr、Zn、Mo、Li、Cu、Mn、In、Sn、P、Sb、As、Bi、Pb、Te、Se、W、Ge、Cd、Co、Ag、Pt、Hg、Ir、Os、S、K、Ga、Na、Nb、Ta、Si、La2O3、NiO、Fe2O3、Al2O3、BaO、MgO、CaO、HfO2、ZrO2、SnO2、In2O3、K2O、CeO2、Ce2O3、Sc2O3、Y2O3、Ga2O3、Na2O、B2O3、SrO、BeO、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、炭化ケイ素、ステンレス鋼、希土類酸化物、それらの成分、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になるか、あるいはそれからなる群から選択されてもよい。一部の実施形態において、前駆体材料は1つまたは複数の溶媒を含んでもよい。
【0049】
一部の実施形態において、3D物品は、付加製造3D物品を含んでもよい。一部の実施形態において、3D物品は、付加製造3D本体を含んでもよい。一部の実施形態において、3D物品は、モノリシック構造を有してもよい。一部の実施形態において、モノリシック構造は、機械加工による構築が可能でない構造としてもよい。一部の実施形態において、「機械加工」という用語は、例えば、限定するものではないが、特に、フライス加工、研削、切断、彫刻、チッピング、または形成によって材料を成形するプロセスを指しうる。一部の実施形態において、モノリシック構造は、一体構築の構造としてもよい。一部の実施形態において、3D物品は、一体構築のものとしてもよい。一部の実施形態において、「一体構築」という用語は、製作後に共に接合された2つ以上の構造を含まない構造を指しうる。例えば、一部の実施形態において、3D物品は、別個に製作されてその後共に接合されたあらゆる構造を含まないことがある。一部の実施形態において、一体構築のモノリシック構造は、継ぎ目を含まない構造としてもよい。一部の実施形態において、一体構築のモノリシック構造は、ろう付け接合部を含まない構造としてもよい。一部の実施形態において、一体構築のモノリシック構造は、溶接接合部を含まない構造としてもよい。
【0050】
一部の実施形態において、3D物品は、少なくとも1つのフィーチャを有してもよい。一部の実施形態において、少なくとも1つのフィーチャは、プレナム、溝、穴を画定する構造、開口部を画定する構造、チャネルを画定する構造、キャビティを画定する構造(例えば、キャビティを画定する部分的に囲まれた領域)、平面表面、非平面表面、またはそれらの任意の組合せを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になるか、あるいはそれからなる群から選択されてもよい。一部の実施形態において、少なくとも1つのフィーチャはアスペクト比を有してもよい。例えば、一部の実施形態において、フィーチャのアスペクト比は、深さの幅に対する比を指しうる。一部の実施形態において、フィーチャのアスペクト比は、幅の深さに対する比を指しうる。一部の実施形態において、フィーチャのアスペクト比は、長さ、幅、または高さのうちの2つの比を指しうる。一部の実施形態において、フィーチャのアスペクト比は、深さの直径に対する比を指しうる。一部の実施形態において、フィーチャのアスペクト比は、直径の深さに対する比を指しうる。一部の実施形態において、フィーチャのアスペクト比は、幅、深さ、高さ、直径、および円周のうちの少なくとも2つの比を指しうる。
【0051】
一部の実施形態において、少なくとも1つのフィーチャは、2:1~1000:1、またはその間の任意の範囲もしくは部分的範囲のアスペクト比を有してもよい。例えば、少なくとも1つのフィーチャは、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1、少なくとも40:1、少なくとも45:1、少なくとも50:1、少なくとも55:1、少なくとも60:1、少なくとも65:1、少なくとも70:1、少なくとも75:1、少なくとも80:1、少なくとも85:1、少なくとも90:1、少なくとも95:1、少なくとも100:1、少なくとも200:1、少なくとも300:1、少なくとも400:1、少なくとも500:1、少なくとも600:1、少なくとも700:1、少なくとも800:1、少なくとも900:1~1000:1、および/またはその間の任意の範囲もしくは部分的範囲のアスペクト比を有してもよい。
【0052】
一部の実施形態において、3D物品は、半導体製造工具の部品、例えば、限定するものではないが、プロセスチャンバ、側壁、フローヘッド(例えば、シャワーヘッド)、シールド、トレイ、支持体、ノズル、弁、導管、対象物を取り扱うまたは保持するためのステージ、ウェーハ取扱い固定具、セラミックウェーハキャリアー、ウェーハホルダー、サセプター、スピンドル、チャック、リング、バッフル、締結具(例えば、(ねじ込み)ネジ、(ねじ込み)ナット、ボルト、クランプ、リベットなど)、膜、フィルター、三次元ネットワーク、導管(例えば、気体ライン)、マニホールド(例えば、気体マニホールド)、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つとしてもよい。
【0053】
工程104において、一部の実施形態においては、方法100は、3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露して、コーティング層を形成することを含んでもよい。一部の実施形態において、方法100は、付加製造3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露して、付加製造3D物品の表面にコーティング層を形成することを含んでもよい。一部の実施形態において、コーティング層は堆積プロセスによって形成してもよい。一部の実施形態において、堆積プロセスは、非プラズマ堆積プロセスを含んでもよい。一部の実施形態において、堆積プロセスは、プラズマを用いない堆積プロセスを含んでもよい。一部の実施形態において、堆積プロセスは、原子層堆積プロセスを含んでもよい。一部の実施形態において、原子層堆積プロセスは、熱原子層堆積プロセスを含んでもよい。したがって、一部の実施形態において、コーティング層は、原子層堆積コーティング層、すなわちALDコーティング層を含んでもよい。一部の実施形態において、コーティング層は、非プラズマコーティング層(例えば、プラズマ堆積プロセスによって形成されていないコーティング層)を含んでもよい。一部の実施形態において、コーティング層は、熱原子層堆積コーティング層、すなわち熱ALDコーティング層を含んでもよい。一部の実施形態において、堆積プロセスは、化学気相成長(CVD)、溶液堆積(例えば、ゾル-ゲル堆積、ディップコーティングなど)、電解系コーティング法、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0054】
一部の実施形態において、曝露することは、原子層堆積のためのプロセスシーケンスを含んでもよい。一部の実施形態において、プロセスシーケンスは、1つまたは複数の前駆体を繰返しの原子層堆積(ALD)プロセスで利用してALDコーティング層または熱ALDコーティング層を形成するプロセスシーケンスとしてもよい。一部の実施形態において、曝露することは、3D物品を反応チャンバ内で少なくとも第1の前駆体と接触させ、反応チャンバをパージし、3D物品を反応チャンバ内で少なくとも第2の前駆体と接触させ、反応チャンバをパージしてサイクルを完了するプロセスシーケンスを含んでもよい。一部の実施形態において、曝露することは、1~5000サイクルを含んでもよい。一部の実施形態において、曝露することは、100~5000サイクルを含んでもよい。一部の実施形態において、曝露することは、50~1500サイクルを含んでもよい。一部の実施形態において、曝露することは、所望の厚さ、所望の特性、または他の特徴を達成するのに十分な回数のサイクルを含んでもよい。
【0055】
一部の実施形態において、1つまたは複数の前駆体気体は、形成される特定のALDコーティング層に基づいて選択してもよい。一部の実施形態において、トリメチルアルミニウムおよびオゾンを含む1つまたは複数の前駆体が、Al2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。一部の実施形態において、トリメチルアルミニウムおよび水を含む1つまたは複数の前駆体が、Al2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。一部の実施形態において、金属MまたはLnのシクロペンタジエニル化合物を含む1つまたは複数の前駆体が、オゾン(O3)または水蒸気(H2O)を利用する繰返しのALDプロセスでMOまたはLn2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。一部の実施形態において、MまたはLnのベータ-ジケトネートを含む1つまたは複数の前駆体が、ベータ-ジケトネート金属前駆体の反応性パルスがO3のパルスと交互になった繰返しのALDプロセスでMOまたはLn2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。
【0056】
例えば、一部の実施形態において、原子層堆積は、トリメチルアルミニウムおよびオゾンを繰返しのALDプロセスで利用してALDコーティング層を形成するプロセスシーケンスを含んでもよい。一部の実施形態において、原子層堆積は、トリメチルアルミニウムおよび水を繰返しのALDプロセスで利用してALDコーティング層を形成するプロセスシーケンスを含んでもよい。一部の実施形態において、原子層堆積は、シクロペンタジエニルM化合物およびオゾンを繰返しのALDプロセスで利用してALDコーティング層を形成するプロセスシーケンスを含んでもよい。一部の実施形態において、原子層堆積は、シクロペンタジエニルM化合物および水を繰返しのALDプロセスで利用してALDコーティング層を形成するプロセスシーケンスを含んでもよい。一部の実施形態において、原子層堆積は、Mベータ-ジケトネート化合物およびオゾンを繰返しのALDプロセスで利用してALDコーティング層を形成するプロセスシーケンスを含んでもよい。一部の実施形態において、他の金属酸化物前駆体化合物を使用してもよい。
【0057】
一部の実施形態において、トリメチルアルミニウムおよびオゾンを含む1つまたは複数の前駆体が、Al2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。一部の実施形態において、トリメチルアルミニウムおよび水を含む1つまたは複数の前駆体が、Al2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。一部の実施形態において、金属MまたはLnのシクロペンタジエニル化合物を含む1つまたは複数の前駆体が、オゾン(O3)または水蒸気(H2O)を利用する繰返しのALDプロセスでMOまたはLn2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。一部の実施形態において、MまたはLnのベータ-ジケトネートを含む1つまたは複数の前駆体が、ベータ-ジケトネート金属前駆体の反応性パルスがO3のパルスと交互になった繰返しのALDプロセスでMOまたはLn2O3を堆積させるのに有用な前駆体組成物でありうる。
【0058】
一部の実施形態において、コーティング層の堆積のために、1つまたは複数の前駆体配位子を使用してもよい。一部の実施形態において、1つまたは複数の前駆体配位子は、水素、直鎖状または分枝状、環式または非環式、飽和または不飽和であってもよいC1~C10アルキル;アリール、複素環、アルコキシ、シクロアルキル、シリル、シリルアルキル、シリルアミド、トリメチルシリルシリル置換アルキル、トリアルキルシリル置換アルキン、トリアルキルシリルアミド置換アルキン、ジアルキルアミド、エチレン、アセチレン、アルキン、置換アルケン、置換アルキン、ジエン、シクロペンタジエニルアレン、アミン、アルキルアミン、二座アミン、アンモニア、RNH2(Rは、有機置換基、例えばヒドロカルビル置換基である)、アミジネート、グアニジネート、ジアザジエンシクロペンタジエニル、オキシム、ヒドロキシアミン、アセテート、ベータ-ジケトネート、ベータ-ケトイミネート、ニトリル、ニトレート、スルフェート、ホスフェート、ハロゲン、ヒドロキシル、置換ヒドロキシル、それらの任意の誘導体、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0059】
一部の実施形態において、形成することは、20℃~400℃、またはその間の任意の範囲もしくは部分的範囲の温度で行ってもよい。例えば、一部の実施形態において、形成することは、25℃~400℃、50℃~400℃、75℃~400℃、100℃~400℃、125℃~400℃、150℃~400℃、175℃~400℃、200℃~400℃、225℃~400℃、250℃~400℃、275℃~400℃、300℃~400℃、325℃~400℃、350℃~400℃、375℃~400℃、20℃~375℃、20℃~350℃、20℃~325℃、20℃~300℃、20℃~275℃、20℃~250℃、20℃~225℃、20℃~200℃、20℃~175℃、20℃~150℃、20℃~125℃、20℃~100℃、20℃~75℃、20℃~50℃、125℃~375℃、150℃~350℃、175℃~350℃、175℃~325℃、200℃~350℃、200℃~325℃、225℃~350℃、225℃~325℃、250℃~350℃、250℃~325℃、275℃~350℃、275℃~325℃、300℃~350℃、300℃~325℃、および/またはその間の任意の範囲もしくは部分的範囲の温度で行ってもよい。
【0060】
一部の実施形態において、堆積プロセスは、コンフォーマルコーティング層を形成するプロセスである。一部の実施形態において、コンフォーマルコーティング層は、均一または実質的に均一な厚さを有するコーティング層を含んでもよい。
【0061】
一部の実施形態において、コーティング層は、1nm~50nm、またはその間の任意の範囲もしくは部分的範囲の厚さを有してもよい。例えば、一部の実施形態において、コーティング層は、5μm未満、1μm未満、または250nm未満の厚さを有してもよい。一部の実施形態において、コーティング層は、100nm~250nm、1nm~4μm、1nm~3μm、1nm~2μm、1nm~1μm、1nm~900nm、1nm~850nm、1nm~800nm、1nm~750nm、1nm~700nm、1nm~650nm、1nm~600nm、1nm~550nm、1nm~450nm、1nm~400nm、1nm~350nm、1nm~300nm、1nm~250nm、1nm~200nm、1nm~150nm、1nm~100nm、1nm~50nm、50nm~5μm、100nm~5μm、200nm~5μm、300nm~5μm、400nm~5μm、500nm~5μm、600nm~5μm、700nm~5μm、800nm~5μm、900nm~5μm、1μm~5μm、2μm~5μm、3μm~5μm、4μm~5μm、1nm~750nm、1nm~500nm、2nm~500nm、1nm~250nm、20nm~125nm、20nm~250nm、20nm~500nm、50nm~500nm、50nm~400nm、50nm~300nm、50nm~200nm、15nm~200nm、20nm~50nm、10nm~40nm、30nm~50nm、1nm~5μm、1μm~5μm、1μm~4μm、1μm~3μm、1μm~2μm、5nm~5μm、1nm~1μm、および/またはその間の任意の範囲もしくは部分的範囲の厚さを有してもよい。
【0062】
一部の実施形態において、コーティング層は、少なくとも1つの第2の金属成分を含んでもよい。一部の実施形態において、少なくとも1つの第2の金属成分は、元素金属、金属合金、金属化合物(例えば、金属酸化物化合物)、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になってもよい。一部の実施形態において、少なくとも1つの第2の金属成分は、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、鉄、ニッケル、クロム、亜鉛、モリブデン、チタン、リチウム、銅、マンガン、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になってもよい。一部の実施形態において、少なくとも1つの第2の金属成分は、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、鉄、ニッケル、クロム、亜鉛、モリブデン、チタン、リチウム、銅、マンガン、ケイ素、銅、マンガン、酸化マグネシウム、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つからなる群から選択されてもよい。一部の実施形態において、少なくとも1つの第2の金属成分は、基材の第1の金属成分に含まれる金属と同じである少なくとも1つの金属を含んでもよい。一部の実施形態において、例えば、一部の実施形態において、第1の金属成分および第2の金属成分は、アルミニウム、または他の金属のいずれか1つもしくは複数を含む。
【0063】
一部の実施形態において、コーティング層は、チタニア、イットリア、アルミナ、ジルコニア、酸化タンタル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になるか、あるいはそれからなる群から選択されてもよい。一部の実施形態において、コーティング層は、Al2O3;式MOの酸化物[式中、MはCa、Mg、もしくはBeである];式M’O2の酸化物[式中、M’は化学量論的に許容される金属である];および式Re2O3の酸化物[式中、Reは希土類元素、例えばランタニド元素である];および式TaxOyの酸化物[式中、xは0より大きく、yは0より大きい]のうちの1つまたは複数を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になるか、あるいはそれからなる群から選択されてもよい。一部の実施形態において、ランタニド元素は、La、Sc、またはYを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になってもよい。一部の実施形態において、コーティング層は、アルミナ、酸窒化アルミニウム、イットリア、イットリア-アルミナ、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、遷移金属酸化物、遷移金属酸窒化物、希土類金属酸化物、希土類金属酸窒化物、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になるか、あるいはそれからなる群から選択されてもよい。一部の実施形態において、方法は、コーティング層をフッ素化して、YOF、YF3、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むコーティング層を形成することをさらに含む。
【0064】
一部の実施形態において、コーティング層はコンフォーマル層である。一部の実施形態において、コーティング層は、実質的に均一な厚さまたは均一な厚さを有する層である。一部の実施形態において、コーティング層は耐腐食性層としてもよく、または耐腐食性基材表面を形成してもよい。一部の実施形態において、コーティング層は耐エッチング性層としてもよく、または耐エッチング性基材表面を形成してもよい。一部の実施形態において、コーティング層は、基材の表面を不動態化してもよい。一部の実施形態において、コーティング層は保護層としてもよい。一部の実施形態において、コーティング層は、少なくとも1つの改善された表面特性を付与してもよい。
【0065】
一部の実施形態は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って形成された物品に関する。例えば、一部の実施形態において、物品は、付加製造三次元(3D)本体、および付加製造3D本体の表面のコーティング層を含んでもよい。物品は、本明細書に開示される特徴のいずれかを含んでもよいことが理解されよう。
【0066】
図2は、本開示の一部の実施形態による、物品の断面の概略図である。
図2に示すように、物品200は、付加製造3D本体202およびコーティング層204を含んでもよい。一部の実施形態において、コーティング層204はALDコーティング層を含んでもよい。一部の実施形態において、コーティング層204は熱ALDコーティング層を含んでもよい。一部の実施形態において、コーティング層204は、付加製造3D本体202の表面に形成してもよい。
【0067】
物品200は、生体適合性であるという特徴を有してもよい。すなわち、例えば、一部の実施形態において、物品200は生体適合性である。本明細書において使用する場合、「生体適合性」という用語は、生存在物への悪影響を有することなく、生体液、生存在物の組織、またはそれらの任意の組合せと接触して機能または存在することが可能な材料を指しうる。一部の実施形態において、「生体適合性」という用語は、生存在物への正味の有益な効果を有しながら、生体液、生存在物の組織、またはそれらの任意の組合せと接触して機能または存在することが可能な材料を指す。いくつかの実施形態において生体適合性であることにより、物品200は、特に、医療装置または医療装置の一部として有用でありうる。
【0068】
したがって、一部の実施形態において、物品200は医療装置である。医療装置は、付加製造三次元(3D)本体、および付加製造3D本体の表面の少なくとも一部分上の非プラズマコーティング層を含んでもよい。本開示の付加製造3D本体および非プラズマコーティング層のいずれも、本明細書で使用されうる。例えば、一部の実施形態において、付加製造3D本体はモノリシック構造を有する。一部の実施形態において、モノリシック構造は、機械加工による構築が不可能である。
【0069】
一部の実施形態において、医療装置は、哺乳動物に移植されるように構成されている。一部の実施形態において、医療装置は、哺乳動物に一時的に挿入されるように構成されている。一部の実施形態において、医療装置は、哺乳動物で外用されるように構成されている。一部の実施形態において、付加製造3D本体は生体適合性である。一部の実施形態において、付加製造3D本体は医療装置の本体である。一部の実施形態において、付加製造3D本体は医療装置の部品である。
【0070】
一部の実施形態において、付加製造3D本体は、バルーン、グラフト、ステント、カテーテル、シャント、塞栓剤、ペースメーカー、除細動器、人工インプラント、補綴物、刺激器、センサー、ワイヤー、リード線、弁、プラグ、ポンプ、フィルター、メカニカルコネクター、チューブ、プレート、手術器具、筐体、それらの任意の部品、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、付加製造3D本体は、血管形成術用バルーン、弁形成術用バルーン、配置バルーン、ペースメーカーリード線、補綴心臓弁、血管フィルター、血管プラグ、人工心臓弁、人工心臓、カテーテルチップ、縫合糸、外科用ステープラー、ネジ、釘、ブラケット、ピン、ロッド、固定具、ガイドワイヤー、薬物ポンプ、合成血管グラフト、血管グラフト、非血管グラフト、ステントグラフト、血管ステント、冠状動脈ステント、末梢ステント、腔内舗装ステント、動静脈シャント、動脈瘤充填物、移植可能パルス発生器、移植可能心臓除細動器、電気除細動器、脊髄刺激器、脳刺激器、仙骨神経刺激器、骨補綴物、関節補綴物、プラスチックチューブ、金属チューブ、歯科矯正具、補聴器、包帯、それらの任意の部品、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つである。
【0071】
一部の実施形態において、付加製造3D本体は、2:1~1000:1のアスペクト比を有する構造部品を含み、アスペクト比は、幅、深さ、高さ、または直径のうちの2つの比である。
【0072】
一部の実施形態において、付加製造3D本体は、一体構築の物品である。一部の実施形態において、付加製造3D本体は継ぎ目を含まない。一部の実施形態において、付加製造3D本体はろう付け接合部を含まない。一部の実施形態において、付加製造3D本体は溶接接合部を含まない。
【0073】
一部の実施形態において、非プラズマコーティング層は、熱原子層堆積(ALD)コーティング層、化学気相成長(CVD)コーティング層、または溶液堆積コーティング層である。
【0074】
一部の実施形態において、非プラズマコーティング層は、アルミナ、イットリア、チタニア、ジルコニア、酸化タンタル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
一部の実施形態において、非プラズマコーティング層は、YOF、YF3、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0076】
一部の実施形態において、非プラズマコーティング層は、式MOの酸化物[式中、MはCa、Mg、もしくはBeである];式M’O2の酸化物[式中、M’は金属である];式Re2O3の酸化物[式中、Reは希土類元素である];式TaxOyの酸化物[式中、xは0より大きく、yは0より大きい];またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0077】
一部の実施形態において、非プラズマコーティング層は、酸窒化アルミニウム;イットリア-アルミナ;酸化ケイ素;酸窒化ケイ素;遷移金属酸化物;遷移金属酸窒化物;希土類金属酸化物;希土類金属酸窒化物;またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0078】
図3は、本開示の一部の実施形態による、物品の概略図である。一部の実施形態において、物品300は、半導体または超小型電子製作器械、システム、部品、部分、設備、またはプロセスにおいて使用される部品(例えば、構造、材料、器械、設備など)としてもよい。一部の実施形態において、物品300は、プロセスチャンバ内の半導体ウェーハに処理ガスを供給するように使用されるシャワーヘッドである。
図3に示すように、物品300は、キャビティ304を形成する付加製造3D支持構造体302を含んでもよい。一部の実施形態において、開口部306がキャビティ304に形成される。一部の実施形態において、1つまたは複数のプロセスガスが開口部306を通ってキャビティ304に流れてもよい。一部の実施形態において、付加製造3D支持構造体302は、1つまたは複数のプロセスガスが流れる複数の穴308をさらに含む。
図3に示すように、シャワーヘッド部品は、コーティング層310、例えばALDコーティング層または熱ALDコーティング層を含んでもよい。一部の実施形態において、コーティング層310は、シャワーヘッド部品の全曝露表面に形成される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を形成するための方法であって、
付加製造3D物品を得るために、付加製造によって三次元(3D)物品を形成することであり、
付加製造3D物品は、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有する、付加製造によって三次元(3D)物品を形成することと;
付加製造3D物品の表面にコーティング層を形成するために、付加製造3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露することであり、
コーティング層は、非プラズマ系堆積プロセスによって形成される、付加製造3D物品を1つまたは複数の前駆体気体に曝露することと
を含む、方法。
【請求項2】
付加製造3D物品が一体構築の物品である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
付加製造3D物品が、プレナム、溝、穴を画定する構造、チャネルを画定する構造、キャビティを画定する構造、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コーティング層が、アルミナ、イットリア、チタニア、ジルコニア、酸化タンタル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
物品であって、
付加製造三次元(3D)本体であり、
付加製造3D本体が、機械加工による構築が可能でないモノリシック構造を有する、付加製造3D本体;および
付加製造3D本体の表面のコーティング層であり、
コーティング層が非プラズマコーティング層である、コーティング層
を含む、物品。
【国際調査報告】