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特表2024-536319高吸水性樹脂組成物およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/02 20060101AFI20240927BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20240927BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20240927BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20240927BHJP
   C08F 8/42 20060101ALI20240927BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240927BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240927BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240927BHJP
   B01J 2/20 20060101ALI20240927BHJP
   F26B 11/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C08L33/02
C08J3/12 A CEY
C08F220/06
C08K5/053
C08F8/42
B01J20/26 D
B01J20/28 Z
B01J20/30
B01J2/20
F26B11/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520044
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 KR2022016642
(87)【国際公開番号】W WO2023075482
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0147025
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0140642
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェムン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キユル・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウイ・ソク・チュン
(72)【発明者】
【氏名】サンウォン・ハン
【テーマコード(参考)】
3L113
4F070
4G004
4G066
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB02
3L113AC01
3L113AC47
3L113AC58
3L113AC67
3L113BA02
3L113DA10
4F070AA29
4F070AB13
4F070AC12
4F070AC13
4F070AC20
4F070AC43
4F070AE28
4F070AE30
4F070DA48
4F070DA49
4F070DB06
4F070DC08
4F070DC15
4G004LA01
4G004LA09
4G066AB05D
4G066AB06D
4G066AB07A
4G066AB07D
4G066AC17B
4G066AC35B
4G066BA09
4G066BA36
4G066CA43
4G066DA11
4G066DA12
4G066DA13
4G066FA03
4G066FA07
4G066FA21
4G066FA27
4G066FA37
4G066FA39
4J002BG011
4J002EC046
4J002EC056
4J002EH046
4J002EH086
4J002FD146
4J002GD03
4J002HA09
4J100AE71Q
4J100AJ02P
4J100CA04
4J100CA23
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA28
4J100DA37
4J100EA05
4J100FA08
4J100FA20
4J100HA31
4J100HA53
4J100HB39
4J100HB52
4J100JA19
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂組成物およびその製造方法に関する。より具体的には、特定の構造の添加剤を含み、粉砕工程で含水ゲル重合体の凝集抑制および粉砕工程性を改善できる高吸水性樹脂組成物の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子;および
下記の化学式1で表される添加剤を含む、高吸水性樹脂組成物:
【化1】
前記化学式1中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【化2】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【化3】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【化4】
は、それぞれ隣接した酸素原子に連結され、
【化5】
は、隣接したR、RおよびRにそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【請求項2】
前記添加剤は、下記の化学式1-1~化学式1-14で表される化合物から選択される1種以上である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂組成物:
【化6】
【化7】
【化8】
【請求項3】
前記添加剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~10重量部含まれる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項4】
前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に、表面架橋剤を介して前記架橋重合体が追加架橋されて形成された表面架橋層をさらに含む、
請求項1に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項5】
前記高吸水性樹脂組成物は、
ボルテックス法による24.0℃での吸水速度(vortex time)が30秒以下である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項6】
前記高吸水性樹脂組成物は、
EDANA WSP241.3による遠心分離保水能(CRC)が39.0g/g以上である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項7】
前記高吸水性樹脂組成物は、
EDANA法WSP242.3による0.7psiの加圧吸水能(AUP)が24.0g/g以上である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項8】
内部架橋剤および重合開始剤の存在下、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して重合体を形成する段階(段階1);
前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2);
下記の化学式1で表される添加剤の存在下、前記重合体を微粒化してベース樹脂粒子を製造する段階(段階3);および
前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)を含む、
高吸水性樹脂組成物の製造方法:
【化9】
前記化学式1中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【化10】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【化11】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【化12】
は、それぞれ隣接した酸素原子に連結され、
【化13】
は、隣接したR、RおよびRにそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【請求項9】
前記重合体を形成する段階(段階1)は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われる、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記段階2および段階3は、順次に、同時に、または交互に行われる、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記添加剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~10重量部含まれる、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
前記ベース樹脂粒子を製造する段階(段階3)は、微粒化装置を用いて行われ、
前記微粒化装置は、
内部に重合体と添加剤との混合物が移送される移送空間を含むボディ部と、
前記移送空間の内部に回転可能に設けられて混合物を移動させるスクリュー部材と、
前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、
前記ボディ部に設けられ、多数のホール(hole)が形成された多孔板を含み、前記混合物をボディ部の外部に排出しながら粉砕するカッター部材と、を含む、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
前記段階2および段階3は、順次に、同時に、または交互に行われ、
前記段階2および段階3は、微粒化装置を用いて行われ、
前記微粒化装置は、
内部に重合体と添加剤との混合物が移送される移送空間を含むボディ部と、
前記移送空間の内部に回転可能に設けられて混合物を移動させるスクリュー部材と、
前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、
前記ボディ部に設けられ、多数のホール(hole)が形成された多孔板を含み、前記混合物をボディ部の外部に排出しながら粉砕するカッター部材と、
前記ボディ部の内部に設けられる中和剤噴射ノズルとをさらに含む、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
前記微粒化装置において、
前記中和剤噴射ノズルを通して中和剤がボディ部の内部に投入されて、混合物中の酸性基を有する重合体の少なくとも一部の酸性基を中和する、
請求項13に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項15】
前記多孔板に形成されたホールサイズは、0.1mm~30mmである、
請求項12に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項16】
前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)は、流動式(moving type)で行われる、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項17】
前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)は、
横型ミキサ(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤ(Paddle Dryer)、またはスチームチューブドライヤ(Steam tube dryer)の流動式(moving type)乾燥機を用いて行われる、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項18】
前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)で得られる、高吸水性樹脂粒子の含水率は、10重量%~20重量%である、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項19】
表面架橋剤の存在下、前記段階4で製造された高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含む、
請求項8に記載の高吸水性樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月29日付の韓国特許出願第10-2021-0147025号および2022年10月27日付の韓国特許出願第10-2022-0140642号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂組成物およびその製造方法に関する。より具体的には、特定の構造の添加剤を含み、粉砕工程で含水ゲル重合体の凝集抑制および粉砕工程性を改善できる高吸水性樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百から1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名前で名付けている。このような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始め、現在は、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
このような高吸水性樹脂は主におむつや生理用ナプキンなどの衛生材分野で幅広く使用されている。前記衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に拡散した状態で含まれることが一般的である。しかし、最近では、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いており、その一環としてパルプの含有量が減少したり、一歩進んでパルプが全く使用されない、いわゆるパルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進められている。
【0005】
このように、パルプの含有量が減少したり、パルプが使用されない衛生材の場合、相対的に高吸水性樹脂が高い比率で含まれ、高吸水性樹脂粒子が衛生材内に多層含まれることが必至である。このように多層含まれる全体的な高吸水性樹脂粒子がより効率的に多量の尿などの液体を吸収するためには、前記高吸水性樹脂が基本的に高い吸水性能だけでなく速い吸水速度を示す必要がある。
【0006】
一方、このような高吸水性樹脂は一般に、単量体を重合して多量の水分を含む含水ゲル重合体を製造する段階、およびこのような含水ゲル重合体を粗粉砕および乾燥後に所望の粒径を有する樹脂粒子に粉砕する段階を経て製造される。特に、含水ゲル重合体を粗粉砕する過程で、粗粉砕された含水ゲル重合体が互いに凝集したりかたまる現象が発生して粉砕が容易に行われないという問題があった。
【0007】
これによって、高吸水性樹脂の基本的な吸水力および保水力を示す物性である保水能(CRC)と外部の圧力にも吸収された液体をよく保持する特性を示す加圧吸水能(AUP)の改善以外にも、高吸水性樹脂の吸水速度を向上させることができる技術および工程中の粉砕工程性を改善できる技術の開発が継続して要請されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、特定の構造を有する添加剤を含み、粉砕工程で含水ゲル重合体の凝集抑制および粉砕工程性を改善できる高吸水性樹脂組成物の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子;および
下記の化学式1で表される添加剤を含む、高吸水性樹脂組成物を提供する:
【0010】
【化1】
【0011】
前記化学式1中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0012】
【化2】
【0013】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【0014】
【化3】
【0015】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0016】
【化4】
【0017】
は、それぞれ隣接した酸素原子に連結され、
【0018】
【化5】
【0019】
は、隣接したR、RおよびRにそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【0020】
また、本発明は、
内部架橋剤および重合開始剤の存在下、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して重合体を形成する段階(段階1);
前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2);
下記の化学式1で表される添加剤の存在下、前記重合体を微粒化してベース樹脂粒子を製造する段階(段階3);および
前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)を含む、
高吸水性樹脂組成物の製造方法を提供する:
【0021】
【化6】
【0022】
前記化学式1中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0023】
【化7】
【0024】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【0025】
【化8】
【0026】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0027】
【化9】
【0028】
は、それぞれ隣接した酸素原子に連結され、
【0029】
【化10】
【0030】
は、隣接したR、RおよびRにそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の高吸水性樹脂組成物およびその製造方法によれば、特定の構造を有する添加剤を含水ゲル重合体の粉砕工程中に投入して含水ゲル重合体粒子の凝集を抑制することによって、粉砕工程性が改善可能であり、これによって高吸水性樹脂の吸水性能および吸水速度が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】従来の高吸水性樹脂の製造方法に関するフローチャートである。
図2】粒子の凝集特性評価において評価項目の例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0034】
本発明は多様な変更が加えられて様々な形態を有することができるが、特定の実施例を例示して下記に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0035】
以下、発明の具体的な実施形態により高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂についてより詳しく説明する。
【0036】
それに先立ち、本明細書に使用される専門用語は単に特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0037】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態のものを意味し、すべての水分含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。前記重合体のうち、重合後乾燥前の状態のもので含水率(水分含有量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル重合体と称することができ、このような含水ゲル重合体が粉砕および乾燥した粒子を架橋重合体と称することができる。
【0038】
また、用語「高吸水性樹脂粒子」は、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体が重合され、内部架橋剤によって架橋された架橋重合体を含む、粒子状の物質を称する。
【0039】
さらに、用語「高吸水性樹脂」は、文脈により、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された架橋重合体、または前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)状のベース樹脂を意味したり、または前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば、表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て、製品化に適した状態にしたものをすべて包括するものとして使用される。したがって、用語「高吸水性樹脂組成物」は、高吸水性樹脂を含む組成物、つまり、複数の高吸水性樹脂粒子を含むと解釈される。
【0040】
また、用語「微粉」は、高吸水性樹脂粒子のうち150μm未満の粒径を有する粒子を意味する。このような樹脂粒子の粒径は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP220.3方法により測定できる。
【0041】
また、用語「チョッピング(chopping)」は、乾燥効率を高めるために、含水ゲル重合体をミリメートル単位の小片に切断することで、マイクロメートルまたは正常粒子水準まで粉砕することとは区別されて使用される。
【0042】
さらに、用語「微粒化(micronizing、micronization)」は、含水ゲル重合体を数十~数百マイクロメートルの粒径に粉砕することで、「チョッピング」とは区別されて使用される。
【0043】
一方、従来の高吸水性樹脂は、内部架橋剤および重合開始剤の存在下、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成し、このように形成された含水ゲル重合体を乾燥した後、所望の粒度まで粉砕して製造されるが、この時、通常、含水ゲル重合体の乾燥を容易にし、粉砕工程の効率性を高めるために、乾燥工程前に含水ゲル重合体を数ミリメートルサイズの粒子に切断するチョッピング(chopping)工程が行われる。しかし、このようなチョッピング工程で含水ゲル重合体の粘着性によって、含水ゲル重合体はマイクロサイズの粒子水準まで粉砕されずに凝集されたゲル状になる。このような凝集されたゲル状の含水ゲル重合体を乾燥すれば、板状の乾燥体が形成され、これをマイクロサイズの粒子水準まで粉砕するためには多段の粉砕工程を経なければならないので、この過程で多くの微粉が発生するという問題があった。
【0044】
具体的には、図1には、従来の高吸水性樹脂の製造方法に関するフローチャートが示されている。図1を参照すれば、従来の高吸水性樹脂は、下記のような段階を含んで製造されてきた。
【0045】
(中和)水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基の少なくとも一部を中和させる段階;
(重合)内部架橋剤および重合開始剤の存在下、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階;
(チョッピング)前記含水ゲル重合体をチョッピング(chopping)する段階;
(乾燥)チョッピングされた含水ゲル重合体を乾燥する段階;および
(粉砕/分級)前記乾燥した重合体を粉砕後、正常粒子および微粉に分級する段階;
【0046】
上述のように、前記チョッピングされた含水ゲル重合体は、約1cm~10cmサイズの凝集されたゲル状を有し、このようなチョッピングされた含水ゲル重合体は、底が穴あき板からなるベルト上に積層され、下部または上部から供給された熱風によって乾燥される。前記乾燥方式で乾燥した重合体は粒子状ではない板状を示すので、粉砕後分級する段階は、製造される粒子が正常粒子となるように、つまり、150μm~850μmの粒径を有する粒子となるように粗粉砕後分級した後、再び微粉砕後分級する段階で行われてきた。このような製造方法により最終分級段階で分離される微粉の量は、最終製造された高吸水性樹脂の総重量に対して約10重量%~約20重量%程度と多量であるため、分離された微粉を適当量の水と混合して微粉再造粒後、チョッピング段階または乾燥前段階に投入する方法で再使用した。
【0047】
しかし、このような微粉の再使用のために、水と混合した微粉再造粒体を粉砕または乾燥工程に再投入時、装置負荷および/またはエネルギー使用量の増加をもたらすなどの問題が発生しており、分級されずに残っている微粉によって高吸水性樹脂の物性の低下がもたらされた。
【0048】
そこで、本発明者らは、従来の製造方法において、微粉の発生量は粉砕工程での影響が大きいという点を把握し、これをチョッピングする工程(微粒化工程)で界面活性剤を投入して従来より微細に粉砕しながら、同時に凝集を制御して微細粒子が凝集された形態の粒子を製造することによって、製造工程中の微粉発生量を顕著に低減させることができることに着目した。
【0049】
一方、中和された含水ゲル重合体に界面活性剤を投入する場合、中和された含水ゲル重合体の高い含水性によって界面活性剤が含水ゲル重合体の界面に存在するよりは、含水ゲル重合体の内部に浸透して、界面活性剤がその役割をまともに果たせない問題がある。
【0050】
これを解決するために研究を重ねた結果、通常の高吸水性樹脂の製造方法のように、水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基を中和した状態で重合を行わず、酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成し、界面活性剤の存在下、前記含水ゲル重合体を微粒化した後、前記重合体の酸性基を中和させるか、または前記重合体の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を形成した後、界面活性剤の存在下、前記含水ゲル重合体を微粒化するか、または微粒化と同時に前記重合体に存在する酸性基を中和させると、界面活性剤が前記重合体の表面に多量に存在し、重合体の高い粘着性を低下させて重合体が過度に凝集しないことを防止し、所望の水準に凝集状態を調節する役割を十分に果たせることを確認した。
【0051】
これによって、重合体を一次粒子が凝集された形態の二次粒子に製造して、以後、よりマイルドな条件で粉砕および乾燥工程が進められることによって、工程中に発生する微粉発生量が顕著に低減できる。
【0052】
また、重合体を前記のように化学式1の特定の構造を有する添加剤の存在下で粉砕する場合、添加剤に含まれている疎水性官能基部分が粉砕された高吸水性樹脂粒子の表面に疎水性を付与して粒子間摩擦力を緩和させて高吸水性樹脂の見かけ密度を増加させながらも、添加剤に含まれている親水性官能基部分も高吸水性樹脂粒子に結合して樹脂の表面張力が低下しないようにすることができる。これによって、上述した製造方法により製造された高吸水性樹脂は、このような添加剤を使用しない樹脂に比べて、同等水準の表面張力を示しながらも見かけ密度値は高い。
【0053】
また、未中和状態で重合を先に行って重合体を形成した後、前記重合体に存在する酸性基を中和させると、より長い鎖の重合体形成が可能で、架橋化が不完全で架橋化されない状態で存在する水可溶成分の含有量が減少する効果を達成することができる。
【0054】
前記水可溶成分は、高吸水性樹脂が液体と接触時に溶出しやすい性質があるので、水可溶成分の含有量が高い場合、溶出した水可溶成分がほとんどの高吸水性樹脂の表面に残留し、高吸水性樹脂をべたべたにして通液性が減少する原因になる。したがって、通液性の面で水可溶成分の含有量を低く維持することが重要である。
【0055】
まとめると、本発明者らは、下記の化学式1で表される特定の構造を有する添加剤を混合して重合体を粉砕する場合、粉砕された含水ゲル重合体粒子同士で凝集が抑制されて粉砕工程性が改善されることを確認して、本発明を完成した。特に、前記製造方法により製造された高吸水性樹脂組成物に含まれている粒子は、前記添加剤を使用しない場合に比べて向上した吸水速度を示すという特徴がある。
【0056】
【化11】
【0057】
前記化学式1中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0058】
【化12】
【0059】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【0060】
【化13】
【0061】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0062】
【化14】
【0063】
は、それぞれ隣接した酸素原子に連結され、
【0064】
【化15】
【0065】
は、隣接したR、RおよびRにそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【0066】
具体的には、下記の化学式1で表される添加剤は、疎水性官能基(hydrophobic functional group)および親水性官能基(hydrophilic functional group)を同時に有する。一方、水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基(-COOH)および/または中和された酸性基(-COO)を含むので、重合によって製造された重合体の表面には重合に参加せずに残っている酸性基(-COOH)および/または中和された酸性基(-COO)による親水性部分が多量に存在する。したがって、前記重合体に前記添加剤を混合する場合、前記重合体の表面に存在する親水性部分の少なくとも一部に前記添加剤の親水性官能基が吸着され、前記添加剤が吸着された重合体の表面は、添加剤の他の末端に位置した疎水性官能基によって疎水性を示す。これによって、粉砕された含水ゲル重合体粒子間の凝集が抑制できる。
【0067】
以下、一実施形態の高吸水性樹脂組成物について、各成分別により具体的に説明する。
【0068】
(高吸水性樹脂組成物)
発明の一実施形態によれば、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子;および下記の化学式1で表される添加剤を含む、高吸水性樹脂組成物が提供される:
【0069】
【化16】
【0070】
前記化学式1中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0071】
【化17】
【0072】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【0073】
【化18】
【0074】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0075】
【化19】
【0076】
は、それぞれ隣接した酸素原子に連結され、
【0077】
【化20】
【0078】
は、隣接したR、RおよびRにそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【0079】
一実施形態の高吸水性樹脂組成物は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子を含む。この時、前記架橋重合体は、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体が内部架橋剤の存在下で架橋重合されたもので、前記単量体が重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の三次元網状構造を有する。
【0080】
言い換えれば、一実施形態の高吸水性樹脂組成物は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤間の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子を含む。このように、前記架橋重合体が前記単量体が重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の三次元網状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加架橋されない二次元線状構造を有する場合に比べて、高吸水性樹脂の諸物性である保水能および加圧吸水能が顕著に向上できる。
【0081】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記の化学式2で表される化合物であってもよい:
【0082】
[化学式2]
R-COOM’
【0083】
前記化学式2中、
Rは、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
M’は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0084】
好ましくは、前記単量体は、(メタ)アクリル酸、およびこれらの酸の1価(アルカリ)金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0085】
このように水溶性エチレン系不飽和単量体として(メタ)アクリル酸および/またはその塩を用いる場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができて有利である。その他にも、前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが使用できる。
【0086】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部は、後述する中和段階で中和剤によって中和される。この時、中和剤としては、酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が使用され、これについては、後述する製造方法の部分においてより詳しく説明する。
【0087】
また、本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語で、上述した水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たす。前記段階での架橋は、表面または内部の区別なしに行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終製造された高吸水性樹脂の粒子表面は表面架橋剤によって架橋された構造からなり、内部は前記内部架橋剤によって架橋された構造からなる。
【0088】
前記内部架橋剤としては、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合時に架橋結合の導入を可能にするものであれば、いかなる化合物も使用可能である。非制限的な例として、前記内部架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリアリールアミン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、またはエチレンカーボネートなどの多官能性架橋剤が単独使用または2以上併用可能であり、これに制限されるわけではない。好ましくは、このうち、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが使用できる。
【0089】
このような内部架橋剤の存在下での前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合は、重合開始剤、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの存在下、熱重合、光重合または混成重合で行われるが、具体的な内容は後述する。
【0090】
このような前記高吸水性樹脂粒子は、約150~約850μmの粒径を有することができ、このような粒径は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP220.3方法により測定できる。
【0091】
また、前記高吸水性樹脂組成物は、化学式1で表される添加剤を含む。前記添加剤は、上述のように、重合体と混合されて微粒化(チョッピング)段階が凝集現象なしに容易に行われるように添加される。
【0092】
前記化学式1で表される添加剤は、非イオン性の界面活性剤で未中和重合体とも水素結合力による表面吸着性能に優れ、これによって、目的とする凝集制御効果を実現するのに適する。これに対し、非イオン性界面活性剤ではない陰イオン性界面活性剤の場合、NaOH、NaSOなどの中和剤で中和された重合体と混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基にイオン化されているNa+イオンを介して吸着され、未中和重合体に混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基の陰イオンとの競争によって重合体に対する吸着効率が相対的に低下する問題がある。
【0093】
具体的には、前記化学式1で表される添加剤において、疎水性官能基は、末端官能基であるR、R、R部分(水素でない場合)であり、親水性官能基は、鎖中のグリセロール由来の部分と、末端の水酸基(Aが単結合であり、同時にRが水素である場合、n=1~3)をさらに含むが、前記グリセロール由来の部分と、末端の水酸基は、親水性官能基で重合体の表面に対する吸着性能を向上させる役割を果たす。これによって、高吸水性樹脂粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
【0094】
前記化学式1中、疎水性官能基であるR、R、R部分(水素でない場合)は、それぞれ独立して、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルである。この時、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数6未満のアルキルまたはアルケニルの場合、鎖長が短くて粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われないという問題があり、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数18超のアルキルまたはアルケニルの場合、前記添加剤の移動性(mobility)が減少して重合体と効果的に混合されず、添加剤の費用上昇によって組成物の単価が高くなる問題がありうる。
【0095】
好ましくは、R、R、Rは、水素であるか、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルである場合、2-メチルヘキシル、n-ヘプチル、2-メチルヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドデカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、またはn-オクタデカニルであってもよいし、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルの場合、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル、2-ノネニル、n-デケニル、2-ウンデケニル、2-ドデケニル、2-トリデケニル、2-テトラデケニル、2-ペンタデケニル、2-ヘキサデケニル、2-ヘプタデケニル、または2-オクタデケニルであってもよい。
【0096】
前記添加剤は、下記の化学式1-1~化学式1-14で表される化合物から選択されてもよい:
【0097】
【化21】
【化22】
【化23】
【0098】
前記添加剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~10重量部含まれる。前記組成物中で単量体に対する前記添加剤の総含有量が過度に低い場合、前記添加剤による凝集制御効果が少なくて所望の粒径まで粉砕されない高吸水性樹脂粒子を含むことができ、前記添加剤の総含有量が過度に高い場合、高吸水性樹脂の諸物性である保水能および加圧吸水能のバランスが低下することがある。
【0099】
前記高吸水性樹脂組成物における添加剤の含有量は、まず、高吸水性樹脂組成物1gを蒸留水1mlに投入した後、スウェリングされるまで1時間十分に混合し、以後、フィルタして溶液部分だけを抽出した後、HPLC分析を実施して、溶液部分に溶解している添加剤の含有量を分析して測定することができる。
【0100】
より具体的には、前記添加剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部以上または0.5重量部以上かつ、10重量部以下、8重量部以下、5重量部以下、3重量部以下、または2重量部以下で含まれる。
【0101】
一方、このような前記添加剤の少なくとも一部は、前記高吸水性樹脂粒子の表面に存在することができる。ここで、「前記添加剤の少なくとも一部が高吸水性樹脂粒子の表面に存在する」という意味は、前記添加剤の少なくとも一部が前記高吸水性樹脂粒子の表面に吸着または結合していることを意味する。具体的には、前記添加剤は、それぞれ前記高吸水性樹脂の表面に物理的にまたは化学的に吸着されていてもよい。より具体的には、前記添加剤それぞれの親水性官能基は、前記高吸水性樹脂表面の親水性部分に双極子-双極子引力(Dipole-dipole interaction)のような分子間力によって物理的に吸着されていてもよい。このように、前記添加剤それぞれの親水性部分は前記高吸水性樹脂粒子の表面に物理的に吸着されて表面を囲み、添加剤それぞれの疎水性部分は樹脂粒子の表面に吸着されず、一種のミセル(micelle)構造の形態としてそれぞれの添加剤は樹脂粒子の表面にコーティングされていてもよい。
【0102】
したがって、前記添加剤の少なくとも一部が前記高吸水性樹脂粒子の表面に存在する場合、前記化学式1の添加剤全部が高吸水性樹脂粒子の内部、具体的には、架橋重合体の内部に存在する場合に比べて、前記高吸水性樹脂組成物の製造工程中に粉砕された粒子間のかたまる凝集現象がより効果的に抑制できる。
【0103】
また、前記添加剤の少なくとも一部が前記高吸水性樹脂粒子の表面に存在することによって、前記添加剤を含む高吸水性樹脂組成物は、このような添加剤を含まない組成物に比べて、吸水速度が向上できる。
【0104】
一方、前記高吸水性樹脂組成物は、後述する表面架橋層をさらに含まない場合、複数の前記高吸水性樹脂粒子、前記添加剤および前記添加剤が高吸水性樹脂の製造過程中に加水分解されて生成される前記添加剤の加水分解物以外の他の親水性添加剤は含まない。
【0105】
具体的には、一実施形態の高吸水性樹脂組成物は、微細結晶質セルロース(Microcrystalline Cellulose)のような分子内の多数のヒドロキシ基含有グルコースユニット(glucose unit)を有する化合物は含まない。例えば、前記高吸水性樹脂組成物がFMC社から入手可能な下記の化学式3で表されるアビセル(AVICEL)(登録商標) PH-101のような平均粒径1~10μmの微細結晶質セルロースを含む場合、多数のヒドロキシ基によって高吸水性樹脂粒子間の凝集が抑制されず、上述した添加剤による効果が効果的に発現しないことがある。
【0106】
【化24】
【0107】
また、一実施形態の高吸水性樹脂組成物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)-ポリ(プロピレングリコール)共重合体、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボキシレート、ラウリルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェートなどの親水性添加剤を含まない。このような添加剤は、架橋重合体の表面に十分に吸着されず、高吸水性樹脂粒子間の凝集が効果的に抑制されない問題がある。これによって、前記高吸水性樹脂組成物が前記化学式1の添加剤の代わりにこのような親水性添加剤を含む場合、架橋重合体の粉砕後に粒子間の凝集が抑制されず、前記高吸水性樹脂組成物は多量の微粉を含みかつ、低い保水能および低い見かけ密度を示す。
【0108】
一方、前記高吸水性樹脂組成物は、前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に、表面架橋剤を介して前記架橋重合体が追加架橋されて形成された表面架橋層をさらに含むことができる。これは高吸水性樹脂粒子の表面架橋密度を高めるためのもので、前記のように高吸水性樹脂粒子が表面架橋層をさらに含む場合、内部より外部の架橋密度が高い構造を有する。
【0109】
前記表面架橋剤としては、既存から高吸水性樹脂の製造に使用されていた表面架橋剤を特別な制限なくすべて使用可能である。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびグリセロールカーボネートからなる群より選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物;などを含むことができる。
【0110】
具体的には、前記表面架橋剤として、上述した表面架橋剤の1種以上、または2種以上、または3種以上が使用できるが、例えば、プロピレングリコール、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートが使用できる。
【0111】
また、前記高吸水性樹脂組成物は、24.0℃でのボルテックス法による24.0℃での吸水速度(vortex time)が30秒以下、27秒以下、25秒以下、20秒以下、15秒以下、または12秒以下であってもよい。さらに、前記吸水速度はその値が小さいほど優れていて、前記吸水速度の下限は理論上0秒であるが、一例として、5秒以上、または8秒以上、または10秒以上であってもよい。この時、前記高吸水性樹脂の吸水速度を測定する方法は、後述する実験例においてより具体的に説明する。
【0112】
また、前記高吸水性樹脂組成物は、EDANA法WSP241.3により測定した遠心分離保水能(CRC)が39g/g以上または40g/g以上かつ、または50g/g以下、または48g/g以下、または45g/g以下の範囲を有することができる。前記保水能を測定する方法は、後述する実験例においてより具体的に説明する。
【0113】
さらに、前記高吸水性樹脂組成物は、EDANA法WSP242.3により測定した0.7psiでの加圧吸水能(AUP)が24.0g/g以上、25.0g/g以上、26.0g/g以上または24.3g/g以上であり、30g/g以下、28.0g/g以下、または26.0g/g以下であってもよい。前記加圧吸水能を測定する方法は、後述する実験例においてより具体的に説明する。
【0114】
(高吸水性樹脂組成物の製造方法)
一方、前記高吸水性樹脂組成物は、
内部架橋剤および重合開始剤の存在下、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して重合体を形成する段階(段階1);
前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2);
下記の化学式1で表される添加剤の存在下、前記重合体を微粒化してベース樹脂粒子を製造する段階(段階3);および
前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)を含んで製造される:
【0115】
【化25】
【0116】
前記化学式1中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0117】
【化26】
【0118】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【0119】
【化27】
【0120】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0121】
【化28】
【0122】
は、それぞれ隣接した酸素原子に連結され、
【0123】
【化29】
【0124】
は、隣接したR、RおよびRにそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【0125】
以下、一実施形態の高吸水性樹脂の製造方法について、各段階別により具体的に説明する。
【0126】
(段階1)
一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法において、まず、内部架橋剤および重合開始剤の存在下、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階を行う。
【0127】
前記段階は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を混合して単量体組成物を準備する段階、および前記単量体組成物を熱重合または光重合して重合体を形成する段階からなる。この時、前記水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤に関する説明は、上述したものを参照する。
【0128】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基を有する。先に説明したように、従来の高吸水性樹脂の製造においては、前記酸性基の少なくとも一部が中和剤によって中和された単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成した。具体的には、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、重合開始剤および中和剤を混合する段階で前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基の少なくとも一部が中和された。
【0129】
しかし、本発明の一実施形態によれば、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成する。
【0130】
酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体(例、アクリル酸)は、常温で液体状態であり、溶媒(水)と混和性(miscibility)が高くて単量体組成物において混合溶液の状態で存在する。しかし、酸性基が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体は、常温で固体状態であり、溶媒(水)の温度に応じて異なる溶解度を有し、低温であるほど溶解度が低くなる。
【0131】
このように酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基が中和された単量体より溶媒(水)に対する溶解度または混和度が高くて低い温度でも析出せず、よって、低温で長時間重合をするのに有利である。これによって、前記酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体を用いて長時間重合を行って、より高分子量を有し、分子量分布が均一な重合体を安定的に形成することができる。
【0132】
また、より長い鎖の重合体形成が可能で、重合や架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含有量が減少する効果を達成することができる。
【0133】
さらに、このように単量体の酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成し、中和後、前記化学式1の添加剤の存在下で微粒化するか、または化学式1の添加剤の存在下で微粒化後に中和するか、または微粒化と同時に前記重合体に存在する酸性基を中和させると、前記化学式1の添加剤が前記重合体の表面に多量に存在して重合体の粘着性を低下させる役割を十分に果たすことができる。
【0134】
前記単量体組成物のうち前記水溶性エチレン系不飽和単量体の種類は、前述した高吸水性樹脂組成物において説明した内容が同一に適用される。また、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節可能であり、約20~約60重量%、または約20~約40重量%にしてもよい。
【0135】
前記単量体組成物のうち前記内部架橋剤の種類は、前述した高吸水性樹脂組成物において説明した内容が同一に適用される。また、前記内部架橋剤の含有量は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部使用できる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.05重量部以上、または0.1重量部以上かつ、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、または0.7重量部以下で使用できる。前記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起こらず適正水準以上の強度の実現が困難になり、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が困難になりうる。
【0136】
また、前記重合開始剤は、重合方法により適切に選択可能であり、熱重合方法を用いる場合には熱重合開始剤を使用し、光重合方法を用いる場合には光重合開始剤を使用し、混成重合方法(熱および光をすべて用いる方法)を用いる場合には熱重合開始剤と光重合開始剤をすべて使用することができる。ただし、光重合方法によっても、紫外線照射などの光照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によってある程度の熱が発生するので、追加的に熱重合開始剤を使用してもよい。
【0137】
前記光重合開始剤は、紫外線などの光によってラジカルを形成できる化合物であれば、その構成の限定なく使用可能である。
【0138】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される1つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートなどが挙げられる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalm著「UV Coatings:Basics,Recent Developments and New Application(Elsevier2007年)」p115によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0139】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤の群より選択される1つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例には、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例には、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitrile)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノバレリン酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤については、Odian著「Principle of Polymerization(Wiley,1981)」、p203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0140】
このような重合開始剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して2重量部以下で使用できる。つまり、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなり、最終製品に残存単量体が多量に抽出されうるので、好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が前記範囲より高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸水能が低くなるなど樹脂の物性が低下しうるので、好ましくない。
【0141】
前記単量体組成物は、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0142】
そして、前記単量体を含む単量体組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であってもよく、このような溶液状態の単量体組成物中の固形分含有量、つまり、単量体、内部架橋剤および重合開始剤の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節可能である。例えば、前記単量体組成物中の固形分含有量は、10~80重量%、または15~60重量%、または30~50重量%であってもよい。
【0143】
前記単量体組成物がこのような範囲の固形分含有量を有する場合、高濃度水溶液の重合反応に現れるゲル効果現象を利用して、重合後に未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述する重合体の粉砕時の粉砕効率を調節するために有利であり得る。
【0144】
この時使用可能な溶媒は、上述した成分を溶解できれば、その構成の限定なく使用可能であり、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択された1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0145】
本発明の一実施形態によれば、前記単量体組成物に対して重合を行って重合体を形成する段階は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われる。
【0146】
通常の高吸水性樹脂組成物の製造方法において、重合方法は、重合エネルギー源により、大きく、熱重合および光重合に分けられ、通常、熱重合を進行させる場合、ニーダー(kneader)などの撹拌軸を有する反応器で行われ、光重合を進行させる場合、移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器で行われるか、底の平らな容器で行われる。
【0147】
一方、このような重合方法は、概して短い重合反応時間(例えば、1時間以下)により重合体の分子量が大きくなく、広い分子量分布を有する重合体が形成される。
【0148】
一方、移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器または底の平らな容器で光重合を進行させる場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態は、ベルトの幅を有するシート状の含水ゲル状の重合体が得られ、重合体シートの厚さは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度または注入量に応じて異なるが、通常、約0.5~約5cmの厚さで得られる。
【0149】
しかし、シート状の重合体の厚さが過度に薄いほど、単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて好ましくなく、生産性のためにシート状の重合体の厚さを厚くする場合には、重合反応が全厚さにわたって均等に起こらず高品質の重合体形成が困難になる。
【0150】
また、前記コンベヤベルトを備えた反応器撹拌軸を有する反応器での重合は、重合結果物が移動しながら新たな単量体組成物が反応器に供給されて連続式で重合が行われるので、重合率が互いに異なる重合体が混ざり、これによって単量体組成物全体で均一な重合が行われにくくて全体的な物性の低下が起こりうる。
【0151】
しかし、本発明の一実施形態によれば、バッチ式反応器で定置式で重合を進行させることによって、重合率の異なる重合体が混ざる恐れが少なく、これによって均一な品質を有する重合体が得られる。
【0152】
また、前記重合段階は、所定の体積を有するバッチ式反応器で行われ、コンベヤベルトを備えた反応器で連続式で重合を行う場合より、長時間、例えば、3時間以上の時間重合反応を行う。このような長時間の重合反応時間にもかかわらず、未中和状態の水溶性エチレン系不飽和単量体に対して重合を行うため、長時間重合を行っても単量体がよく析出せず、よって、長時間重合をするのに有利である。
【0153】
一方、本発明のバッチ式反応器での重合は、熱重合方法を用いることによって、前記重合開始剤は、前述した開始剤のうち熱重合開始剤を使用することができる。
【0154】
一方、本発明の一実施形態では、前記開始剤とレドックス(Redox)カップルをなす還元剤を共に投入して重合を開始することができる。
【0155】
具体的には、前記開始剤と還元剤は、重合体溶液に投入された時、互いに反応してラジカルを形成する。
【0156】
形成されたラジカルは単量体と反応し、前記開始剤と還元剤との間の酸化-還元反応は反応性が非常に高いので、微量の開始剤および還元剤だけが投入されても重合が開始され、工程温度を高める必要がなくて低温重合が可能であり、重合体溶液の物性の変化を最小化させることができる。
【0157】
前記酸化-還元反応を利用した重合反応は、常温(25℃)付近またはそれ以下の温度でも円滑に起こることができる。一例として、前記重合反応は、5℃以上25℃以下、または5℃以上20℃以下の温度で行われる。
【0158】
本発明の一実施形態において、前記開始剤として過硫酸塩系開始剤を使用する場合、還元剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium2-hydroxy-2-sulfinoacetate)からなる群より選択された1種以上が使用できる。
【0159】
一例として、開始剤として過硫酸カリウムを使用し、還元剤としてジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートを使用するか;開始剤として過硫酸アンモニウムを使用し、還元剤としてテトラメチルエチレンジアミンを使用するか;開始剤として過硫酸ナトリウムを使用し、還元剤としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを使用することができる。
【0160】
本発明の他の実施形態において、前記開始剤として過酸化水素系開始剤を使用する場合、還元剤は、アスコルビン酸(Ascorbic acid);スクロース(Sucrose);亜硫酸ナトリウム(NaSO)、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);ジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium2-hydroxy-2-sulfinoacetate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルホアセテート(Disodium2-hydroxy-2-sulfoacetate)からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0161】
このような方法で得られた重合体は、未中和状態のエチレン系不飽和単量体を用いて重合することによって、先に説明したように、高分子量を有し、分子量分布が均一な重合体を形成することができ、水可溶成分の含有量が低減可能である。
【0162】
このような方法で得られた重合体は含水ゲル重合体の状態で、含水率が30~80重量%であってもよい。例えば、前記重合体の含水率は、30重量%以上、または45重量%以上、または50重量%以上であり、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下であってもよい。
【0163】
前記重合体の含水率が過度に低い場合、後の粉砕段階で適切な表面積を確保しにくくて効果的に粉砕されず、前記重合体の含水率が過度に高い場合、後の粉砕段階で受ける圧力が増加して所望の粒度まで粉砕させにくいことがある。
【0164】
一方、本明細書全体において、「含水率」は、重合体の全体重量に対して占める水分の含有量で、重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱によりクラム状態の重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義する。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階の5分を含む40分に設定して、含水率を測定する。
【0165】
(段階2および段階3)
次に、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2);および化学式1で表される添加剤の存在下、前記重合体を微粒化してベース樹脂粒子を製造する段階(段階3);を行う。
【0166】
まず、前記段階2で使用される中和剤としては、酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が使用可能である。
【0167】
また、前記重合体に含まれている酸性基中の前記中和剤によって中和された程度を称する中和度は、50~90モル%、または、60~85モル%、または65~85モル%、または65~75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は、最終物性に応じて異なるが、中和度が過度に高ければ、高吸水性樹脂の吸水能が減少し、粒子表面のカルボキシル基の濃度が過度に低くて後続工程での表面架橋がまともに行われにくくて加圧下吸水特性または通液性が減少することがある。逆に、中和度が過度に低ければ、高分子の吸水力が大きく低下するだけでなく、取扱が困難な弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0168】
次に、化学式1で表される添加剤の存在下、前記重合体を微粒化してベース樹脂粒子を製造する段階(段階3);を行う。
【0169】
ここで、前記段階2および段階3は、順次に、同時に、または交互に行われる。つまり、前記段階2と同時に、または前記段階2の実施前にまたは実施後に、界面活性剤の存在下、前記重合体を微粒化する段階が行われる(段階3)。
【0170】
前記段階は、前記化学式1の添加剤の存在下、前記重合体を微粒化する段階で、前記重合体をミリメートルサイズにチョッピングするのではない、数十~数百マイクロメートルサイズへの細切と凝集が同時に行われる段階である。つまり、重合体に適切な粘着性を付与することによって、数十~数百マイクロメートルサイズに細切された一次粒子が凝集された形状の二次凝集粒子を製造する段階である。このような段階で製造された二次凝集粒子であるベース樹脂粒子は、正常粒度分布を有しかつ、表面積が大きく増加して吸水速度が顕著に改善できる。
【0171】
このように、前記重合体と化学式1の添加剤とを混合した後に、前記化学式1の添加剤の存在下、前記重合体を微粒化して高吸水性樹脂粒子および界面活性剤が混合された状態で、細切および凝集された二次凝集粒子形態であるベース樹脂粒子を製造することができる。
【0172】
前記化学式1で表される添加剤に関する説明は、前述した高吸水性樹脂組成物において説明した内容が同一に適用可能である。
【0173】
ここで、「ベース樹脂粒子」は、水分含有量(含水率)が約30重量%以上の粒子で、重合体が乾燥工程なしに粒子状に細切および凝集されたものであるので、前記重合体と同様に、30~80重量%の含水率、好ましくは70~80重量%の含水率を有することができる。
【0174】
一方、前記化学式1の添加剤は、前記重合体を製造する架橋重合に使用される水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~10重量部使用できる。前記化学式1の添加剤が過度に少なく使用される場合、前記重合体の表面に均等に吸着されず、粉砕後に粒子の再凝集現象が発生することがあり、前記界面活性剤が過度に多く使用される場合、最終製造された高吸水性樹脂の諸物性が低下することがある。例えば、前記化学式1の添加剤が、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.015重量部以上、または0.1重量部以上かつ、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、または1重量部以下で使用できる。
【0175】
前記化学式1の添加剤を重合体に混合する方法は、前記重合体にこれらを均等に混合できる方法であれば特に限定されず、適切に採用して使用可能である。具体的には、前記化学式1の添加剤を乾式で混合するか、溶媒に溶解した後に溶液状態で混合するか、または前記化学式1の添加剤を溶融させた後に混合することができる。
【0176】
このうち、例えば、前記化学式1の添加剤は、溶媒に溶解した溶液状態で混合される。この時、溶媒としては、無機溶媒または有機溶媒に制限なくすべての種類を用いることができるが、乾燥過程の容易性と溶媒回収システムの費用を考えた時、水が最も適切である。また、前記溶液は、前記化学式1の添加剤と重合体とを反応槽に入れて混合したり、ミキサに重合体を入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転するミキサに重合体と溶液とを連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0177】
一方、本発明の一実施形態によれば、前記段階2および段階3は、順次に、同時に、または交互に行われる。
【0178】
つまり、重合体に中和剤を投入して酸性基を先に中和させた後、中和された重合体に化学式1の添加剤を投入して添加剤が混合された重合体を微粒化するか、重合体に中和剤と添加剤とを同時に投入して重合体に対して中和および微粒化を行ってもよい。あるいは、添加剤を先に投入し、中和剤を後に投入してもよい。あるいは、中和剤と添加剤とを交差して交互に投入してもよい。あるいは、添加剤を先に投入して微粒化した後、中和剤を投入して中和し、中和された含水ゲル重合体に追加的に添加剤をさらに投入して微粒化工程を追加的に行ってもよい。
【0179】
一方、重合体全体に対する均一な中和のために、中和剤の投入と微粒化工程との間には一定の時間差をおくことが好ましい。
【0180】
前記化学式1の添加剤の少なくとも一部または相当量は、前記ベース樹脂粒子の表面に存在することができる。
【0181】
ここで、前記化学式1の添加剤がベース樹脂粒子の表面に存在するという意味は、前記化学式1の添加剤の少なくとも一部または相当量が前記ベース樹脂粒子の表面に吸着または結合していることを意味する。具体的には、前記化学式1の添加剤は、前記ベース樹脂粒子の表面に物理的にまたは化学的に吸着されていてもよい。より具体的には、前記化学式1の添加剤の親水性官能基は、前記ベース樹脂粒子表面の親水性部分に双極子-双極子引力(Dipole-dipole interaction)のような分子間力によって物理的に吸着されていてもよい。このように、前記化学式1の添加剤の親水性部分は前記ベース樹脂粒子の表面に物理的に吸着されて表面を囲み、化学式1の添加剤の疎水性部分はベース樹脂粒子の表面に吸着されず、ベース樹脂粒子は一種のミセル(micelle)構造の形態として化学式1の添加剤がコーティングされていてもよい。これは、前記化学式1の添加剤が前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合工程中に投入されるのではなく重合体形成後の微粒化段階で投入されるからであり、前記化学式1の添加剤が重合工程中に投入されて重合体の内部に前記化学式1の添加剤が存在する場合に比べて界面活性剤としての役割を忠実に果たすことができ、粉砕と凝集が同時に起きて微細粒子が凝集された形態で表面積の大きい粒子が得られる。
【0182】
一実施形態によれば、前記ベース樹脂粒子を製造する段階(段階3)は、微粒化装置を用いて行われる。
【0183】
前記微粒化装置は、内部に重合体と添加剤との混合物が移送される移送空間を含むボディ部と、前記移送空間の内部に回転可能に設けられて混合物を移動させるスクリュー部材と、前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、前記ボディ部に設けられ、多数のホール(hole)が形成された多孔板を含み、前記混合物をボディ部の外部に排出しながら粉砕するカッター部材と、を含む。
【0184】
一実施形態によれば、前記段階2および段階3は、順次に、同時に、または交差して行われ、これは微粒化装置を用いて行われる。
【0185】
この場合、前記微粒化装置は、前記ボディ部の内部に設けられる中和剤噴射ノズルをさらに含み、前記中和剤噴射ノズルを通して中和剤が噴射されることによって、段階2および段階3が順次に、同時に、または交差して行われるようになる。
【0186】
具体的には、前記中和剤噴射ノズルを通して中和剤がボディ部の内部に投入されて、混合物中の酸性基を有する重合体の少なくとも一部の酸性基を中和する。具体的には、前記微粒化装置において、前記中和剤噴射ノズルを通して中和剤がボディ部の内部に投入されて、混合物中の酸性基を有する重合体の少なくとも一部の酸性基を中和すると同時に、前記混合物が多孔板を通してボディ部の外部に排出されながら粉砕(微粒化)される。
【0187】
好ましくは、前記中和剤噴射ノズルで粉砕される中和剤は、多孔板に隣接して噴射され、この場合、中和工程を行うと同時に、混合物が多孔板のホールを通して排出される時、混合物中でスリップ剤の役割を果たしてホールの負荷を低減できるので、好ましい。
【0188】
好ましくは、前記微粒化装置のカッター部材は、多孔板と、多孔板に隣接してボディ部の出口側に配置されるカッティングナイフとを含み、前記混合物が多孔板を通過した後、カッティングナイフによってより効果的に粉砕されて微粒化される。
【0189】
前記微粒化装置において、前記カッター部材は、複数の多孔板と、複数のカッティングナイフとを含むことができる。前記複数の多孔板および複数のカッティングナイフの配置順序は特に限定されず、それぞれ順次に配置されるか、互いに交差して配置されるか、複数の多孔板が連続して配置されるか、または複数のカッティングナイフが連続して配置される。
【0190】
前記のように複数の多孔板およびカッティングナイフを含むことによって、単一の微粒化装置内で複数回の微粒化が行われる。一方、前記複数の多孔板およびカッティングナイフのいずれか1つ以上に隣接して複数の中和剤噴射ノズルが配置されてもよいし、スリップ性向上の面で多孔板に隣接して中和剤噴射ノズルが配置されることが好ましい。
【0191】
前記微粒化装置において、前記多孔板に形成されたホールサイズは、0.1mm~30mmであってもよい。好ましくは、0.5mm~25mm、1mm~20mm、1mm~10mmであってもよい。前記ホールサイズを有する多孔板を用いることによって、目的とする程度の粒径を有するベース樹脂粒子を製造することができる。前記のようにカッター部材が複数の多孔板を含む場合、それぞれの多孔板に形成されたホールのサイズは前述した範囲を満足し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0192】
発明の一実施形態によれば、前記段階3は、複数回行われてもよいし、これは複数の微粒化装置を用いて行われるか、複数の多孔板および/または複数のカッティングナイフを含む単一の微粒化装置を用いて行われるか、または複数の微粒化装置のうち一部の装置が複数の多孔板および/または複数のカッティングナイフを含むものであってもよい。前記微粒化段階は、好ましくは、1回~6回または1回~4回行われる。前記段階3が複数回行われる場合、添加剤は追加的に、複数回投入可能である。
【0193】
前記重合体を微粒化してベース樹脂粒子を製造する段階(段階3)は、ベース樹脂粒子の平均粒径が50μm~600μmとなるように微粒化することができ、好ましくは、100μm~500μm、150μm~450μm、または200μm~400μmとなるように微粒化することができる。前記粒径範囲を満足することによって、重合体を一次粒子が凝集された形態の二次粒子に製造して、以後、よりマイルドな条件で粉砕および乾燥工程が行われることによって、工程中に発生する微粉発生量が顕著に低減できる。
【0194】
本発明において、平均粒径「Dn」は、粒子サイズによる粒子個数累積分布のn%地点での粒子サイズまたは粒子径を意味する。つまり、D50は、粒子サイズによる粒子個数累積分布の50%地点での粒子サイズを示し、D90は、粒子サイズによる粒子個数累積分布の90%地点での粒子サイズを示し、D10は、粒子サイズによる粒子個数累積分布の10%地点での粒子サイズを示す。前記Dnは、レーザ回折法(laser diffraction method)などを用いて測定することができる。具体的には、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザ回折粒子サイズ測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して、粒子がレーザビームを通過する時、粒子サイズによる回折パターンの差を測定して粒子サイズ分布を算出する。測定装置における粒子サイズによる粒子個数累積分布の10%、50%および90%になる地点での粒子サイズを算出することによって、D10、D50およびD90を測定することができる。
【0195】
(段階4)
次に、前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)を含む。これにより、高吸水性樹脂粒子および化学式1で表される添加剤が含まれている高吸水性樹脂組成物が製造される。
【0196】
前記乾燥は、製造された高吸水性樹脂組成物に含まれている複数の高吸水性樹脂粒子それぞれの含水率が約10重量%以下、具体的には、約0.1~約10重量%となるように行われる。
【0197】
この時、粉砕物の乾燥は、流動式(moving type)で行われる。このような流動式(moving type)乾燥は、定置式(fixed-bed type)乾燥とは乾燥する間の物質の流動の有/無で区分される。
【0198】
通常の高吸水性樹脂の製造方法において、前記乾燥段階は、高吸水性樹脂粒子の含水率が10重量%未満になるまで行うことが一般的である。しかし、本発明は、化学式1の添加剤の存在下、微粒化段階を行うことによって凝集が制御されて、乾燥する高吸水性樹脂粒子の含水率が10重量%~20重量%、好ましくは、10重量%~25重量%となるように乾燥して行われる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。これによって、高含水率を示して微粉の発生を根本的に防止できるというメリットがある。また、最終高吸水性樹脂組成物の吸水速度を向上させることができるので、好ましい。
【0199】
このために、前記乾燥段階は、比較的低温で流動式(moving type)で乾燥する方式で行われる。このような流動式(moving type)乾燥は、定置式(fixed-bed type)乾燥とは乾燥する間の物質の流動の有/無で区分され、乾燥させようとする粉砕物内の細切された含水高吸水性樹脂粒子間の凝集現象を防止し、短時間内の乾燥を完了できるので、好ましい。
【0200】
このために、前記乾燥段階は、比較的低温で流動式(moving type)で乾燥する方式で行われる。このような流動式(moving type)乾燥は、定置式(fixed-bed type)乾燥とは乾燥する間の物質の流動の有/無で区分され、乾燥させようとする粉砕物内の細切されたベース樹脂粒子間の凝集現象を防止し、短時間内の乾燥を完了できるので、好ましい。
【0201】
具体的には、前記流動式(moving type)乾燥は、乾燥体を機械的に撹拌しながら乾燥させる方式をいう。この時、熱風が物質を通過する方向は、物質の循環方向と同一でもよく、異なっていてもよい。あるいは、物質は、乾燥機の内部で循環し、乾燥機外部の別のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させて物質を乾燥させることもできる。一方、定置式(fixed-bed type)乾燥は、空気の通ることが可能な多孔鉄板のような底に乾燥させようとする物質を停止させた状態で、下から上へ熱風が物質を通過して乾燥させる方式をいう。
【0202】
前記ベース樹脂粒子を乾燥する段階(段階4)は、一般に用いられる流動式乾燥機が特別な制限なく使用可能であり、例えば、横型ミキサ(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤ(Paddle Dryer)またはスチームチューブドライヤ(Steam tube dryer)の流動式乾燥機を用いて行われる。
【0203】
前記乾燥段階(段階4)は、150℃以下の比較的低温の温度で行われ、好ましくは、100℃~150℃、100℃~130℃、105℃~115℃で行われ、前記のように低温で行われても目的とする凝集なしに目的とする程度の粒径および物性を有する高吸水性樹脂粒子を製造することができる。
【0204】
一方、前記乾燥温度は、使用される流動式乾燥装置の乾燥物が投入される内部駆動温度であってもよいし、これは、乾燥機外部の別のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させて調節可能であるが、これに限定されるものではない。
【0205】
前記乾燥段階(段階4)は、30分~80分間行われ、30分~60分または40分~50分間行われ、乾燥させようとする粉砕物内の細切された重合体樹脂粒子間の凝集現象が少なくて相対的に低い温度で短時間乾燥段階が行われても、目的とする程度の粒径および物性を有する高吸水性樹脂粒子を製造することができる。
【0206】
(追加段階)
以後、発明の一実施形態による高吸水性樹脂組成物の製造方法は、必要に応じて、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕および分級する段階をさらに含むことができる。
【0207】
具体的には、前記粉砕段階は、乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して正常粒子水準の粒度、つまり、150μm~850μmの粒径を有するように行われる。
【0208】
このために、使用される粉砕機は、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッド破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、細切機(chopper)または円板式切断機(Disc cutter)などであってもよいし、上述した例に限定されない。
【0209】
あるいは、粉砕機として、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを用いてもよいが、上述した例に限定されるものではない。
【0210】
一方、本発明の製造方法では、微粒化段階において従来のチョッピング段階でより小さい粒度分布の高吸水性樹脂粒子を実現することができ、流動式(moving type)乾燥を行う場合、乾燥後の含水率が10重量%以上で比較的高く維持されるため、より少ない粉砕力でマイルドな条件で粉砕を行っても150μm~850μmの正常粒度の含有量が非常に高い高吸水性樹脂を形成することができ、微粉の生成比率が大きく低減できる。
【0211】
前記のように製造された高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm~850μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子、つまり、正常粒子を80重量%以上、85重量%以上、89重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、または95重量%以上含むことができる。このような樹脂粒子の粒径は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP220.3方法により測定できる。
【0212】
また、前記高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm未満の粒径を有する微粉を約20重量%未満、約18重量%未満、約15重量%未満、約13重量%未満、約10重量%未満、具体的には約5重量%未満、より具体的には約3%未満で含むことができる。これは、従来の製造方法により高吸水性樹脂を製造する場合、約20重量%超~約30重量%の微粉を有するものとは対照的である。
【0213】
次に、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、表面架橋の存在下、前記ベース樹脂粉末の表面を熱架橋して高吸水性樹脂粒子を製造する段階を含むことができる。
【0214】
前記表面架橋段階は、表面架橋剤の存在下、前記ベース樹脂粉末の表面に架橋反応を誘導するもので、架橋されずに表面に残っていた水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合が前記表面架橋剤によって架橋されて、表面架橋密度が高くなった高吸水性樹脂が形成される。
【0215】
具体的には、表面架橋剤が存在して熱処理工程で表面架橋層が形成され、前記熱処理工程は、表面架橋密度、つまり、外部架橋密度は増加するのに対し、内部架橋密度は変化がなくて、製造された表面架橋層が形成された高吸水性樹脂は、内部より外部の架橋密度が高い構造を有する。
【0216】
前記表面架橋工程は、約80℃~約250℃の温度で行われる。より具体的には、前記表面架橋工程は、約100℃~約220℃、または約120℃~約200℃の温度で、約20分~約2時間、または約40分~約80分間行われる。上述した表面架橋工程条件の満足時、高吸水性樹脂粒子の表面が十分に架橋されて加圧吸水能が増加できる。
【0217】
このような表面架橋工程条件(特に、昇温条件および反応最高温度での反応条件)の満足によってより優れた吸水速度などの物性を適切に満足する高吸水性樹脂が製造できる。
【0218】
表面架橋反応のための昇温手段は特に限定されない。熱媒体を供給したり、熱源を直接供給して加熱することができる。この時、使用可能な熱媒体の種類としては、スチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを使用することができるが、これらに限定されるものではなく、また、供給される熱媒体の温度は、熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適切に選択可能である。一方、直接供給される熱源には、電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、上述した例に限定されるものではない。
【0219】
一方、前記表面架橋剤組成物に含まれる表面架橋剤としては、既存から高吸水性樹脂の製造に用いられていた表面架橋剤を特別な制限なくすべて使用可能である。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートからなる群より選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物;などを含むことができる。好ましくは、上述した内部架橋剤と同一のものが使用可能であり、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのアルキレングリコールのジグリシジルエーテル系化合物が使用できる。
【0220】
前記表面架橋段階で、表面架橋剤のほか、アルコール系溶媒および水を含む表面架橋剤組成物を使用することができる。
【0221】
このような表面架橋剤は、高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.001~2重量部使用できる。好ましくは、0.005重量部以上、0.01重量部以上、または0.02重量部以上で、0.5重量部以下、0.3重量部以下の含有量で使用できる。表面架橋剤の含有量範囲を上述した範囲に調節して、優れた吸水性能および通液性など諸物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0222】
一方、前記表面架橋剤は、これを含む表面架橋剤組成物の状態で高吸水性樹脂粒子に添加されるが、このような表面架橋剤組成物の添加方法についてはその構成の特別な限定はない。例えば、表面架橋剤組成物と、高吸水性樹脂粒子とを反応槽に入れて混合したり、高吸水性樹脂粒子に表面架橋剤組成物を噴射する方法、連続的に運転するミキサに高吸水性樹脂粒子と表面架橋剤組成物とを連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0223】
そして、前記表面架橋剤組成物は、媒質として水および/または親水性有機溶媒をさらに含むことができる。これによって、表面架橋剤などがベース樹脂粉末上に均等に分散できるという利点がある。この時、水および親水性有機溶媒の含有量は、表面架橋剤の均一な溶解/分散を誘導し、ベース樹脂粉末のかたまり現象を防止すると同時に、表面架橋剤の表面浸透深さを最適化するための目的で高吸水性樹脂粒子100重量部に対する添加比率を調節して適用することができる。
【0224】
一方、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、通液性などの追加的な向上のために、表面架橋時、硫酸アルミニウム塩などのアルミニウム塩その他の多様な多価金属塩をさらに使用することができる。このような多価金属塩は、最終製造された高吸水性樹脂の表面架橋層上に含まれる。
【0225】
本発明の一実施形態によれば、前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階の後に、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子を冷却する冷却段階、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に水を投入する加水段階、および前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に添加剤を投入する後処理段階のいずれか1段階以上をさらに含んで行われる。この時、前記冷却段階、加水段階、および後処理段階は、順次に行われるか、または同時に行われる。
【0226】
前記後処理段階で投入する添加剤は、通液性向上剤、アンチ-ケーキング(anti-caking)剤、流動性向上剤、および酸化防止剤などになってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0227】
前記冷却段階、加水段階、および後処理段階を選択的に行うことによって、最終高吸水性樹脂の含水率を向上させ、より高品質の高吸水性樹脂製品を製造することができる。
【0228】
本発明の他の実施形態によれば、前記製造方法で製造された高吸水性樹脂組成物を提供する。
【0229】
前記製造方法で製造された高吸水性樹脂組成物は、別の追加加水工程や添加剤投入工程がなくても高含水率を実現することによって、微粉含有量が低く、従来の方法で製造した高吸水性樹脂に対して諸吸水物性である保水能(CRC)と加圧吸水能(AUP)が同等水準以上であり、同時に水可溶成分(EC)の含有量が低くなることによって、吸水速度などにすべて優れた高吸水性樹脂を提供することができる。
【0230】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより上述する。ただし、このような実施例は発明の例として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が定められない。
【0231】
実施例-高吸水性樹脂組成物の製造
実施例1
(段階1)撹拌機、温度計を装着した5Lガラス容器に、アクリル酸1,000g、内部架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル3.5g、水2,260gを混合し、5℃に維持しながら撹拌した。前記混合物が含まれているガラス容器に、窒素1,000cc/minを1時間流入して窒素条件に置き換えた。次に、重合開始剤として0.3%過酸化水素水溶液13g、1%アスコルビン酸水溶液15g、2%の2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸水溶液30gを投入し、同時に還元剤として0.01%の硫酸鉄水溶液15gを添加して重合を開始した。前記混合物の温度が85℃に到達した後、90±2℃で約3時間重合することによって重合体を得た。重合体の含水率は約70重量%であった。
【0232】
(段階2および段階3)化学式1の添加剤として表1のA-1化合物1.19gを水52.27gに水分散させた後(2wt%の水分散液製造)、これを段階1で得た重合体1,000gと混合した。
【0233】
前記混合物をホールサイズ(hole size)が6mmの多数のホールを含む多孔板が備えられた第1微粒化装置に1回通過して一次微粒化工程を行った。
【0234】
次に、ホールサイズ(hole size)4mmの多数のホールを含む多孔板が備えられた第2微粒化装置に計3回繰り返し投入して、二次、三次、四次微粒化工程を行った。
【0235】
前記二次微粒化工程で、多孔板に隣接して配置された中和剤ノズルを通して32%NaOH水溶液を400g投入して、微粒化とともに中和工程を行った。
【0236】
前記三次微粒化工程で、多孔板に隣接して配置された中和剤ノズルを通して15%のNaSO水溶液を37.5g投入し、微粒化とともに中和工程を行った。
【0237】
最後に、四次微粒化工程では、中和剤や界面活性剤の添加なしに微粒化工程を行って、ベース樹脂粒子を得た。
【0238】
前記ベース樹脂粒子の中和度は70mol%であった。
【0239】
(段階4)以後、前記ベース樹脂粒子1,000gを、100rpmで回転するロータリーミキサ(mixer)流動式乾燥機に投入した。前記乾燥機の内部温度は105℃に維持しながら60分間乾燥を行って、高吸水性樹脂粒子を得た。前記高吸水性樹脂粒子の含水率は11wt%であった。
【0240】
実施例2
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-2化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0241】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は11wt%であった。
【0242】
実施例3
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-3化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0243】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は11wt%であった。
【0244】
実施例4
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-4化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0245】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は11wt%であった。
【0246】
実施例5
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-5化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0247】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は14wt%であった。
【0248】
実施例6
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-6化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0249】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は14wt%であった。
【0250】
実施例7
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-7化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0251】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は11wt%であった。
【0252】
実施例8
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-8化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0253】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は12wt%であった。
【0254】
実施例9
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-9化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0255】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は13wt%であった。
【0256】
実施例10
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-10化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0257】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は11wt%であった。
【0258】
実施例11
(段階1)撹拌機、温度計を装着した5Lガラス容器に、アクリル酸1,000g、内部架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル3.5g、水2,260gを混合し、5℃に維持しながら撹拌した。前記混合物が含まれているガラス容器に、窒素1,000cc/minを1時間流入して窒素条件に置き換えた。次に、重合開始剤として0.3%過酸化水素水溶液13g、1%アスコルビン酸水溶液15g、2%の2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸水溶液30gを投入し、同時に還元剤として0.01%の硫酸鉄水溶液15gを添加して重合を開始した。前記混合物の温度が85℃に到達した後、90±2℃で約3時間重合することによって重合体を得た。重合体の含水率は約70重量%であった。
【0259】
(段階2および段階3)化学式1の添加剤として表1のA-1化合物0.595gを水52.27gに水分散させた後(2wt%の水分散液製造)、これを段階1で得た重合体1,000gと混合した。
【0260】
前記混合物をホールサイズ(hole size)が6mmの多数のホールを含む多孔板が備えられた第1微粒化装置に1回通過して、一次微粒化工程を行った。
【0261】
次に、ホールサイズ(hole size)4mmの多数のホールを含む多孔板が備えられた第2微粒化装置に計3回繰り返し投入して、二次、三次、四次微粒化工程を行った。
【0262】
前記二次微粒化工程で、多孔板に隣接して配置された中和剤ノズルを通して32%NaOH水溶液を400g投入して、微粒化とともに中和工程を行った。
【0263】
前記三次微粒化工程で、多孔板に隣接して配置された中和剤ノズルを通して15%のNaSO水溶液を37.5g投入し、微粒化とともに中和工程を行った。
【0264】
最後に、四次微粒化工程では、化学式1の添加として表1のA-11化合物0.595gを水52.27gに水分散させた後(2wt%の水分散液製造)、これを三次微粒化を経た混合物を含む第2微粒化装置に投入して、四次微粒化工程を行って、ベース樹脂粒子を製造した。前記ベース樹脂粒子の中和度は70mol%であった。
【0265】
(段階4)以後、前記ベース樹脂粒子1,000gを、100rpmで回転するロータリーミキサ(mixer)流動式乾燥機に投入した。前記乾燥機の内部温度は105℃に維持しながら60分間乾燥を行って、高吸水性樹脂粒子を得た。
【0266】
前記段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は12wt%であった。
【0267】
実施例12
実施例11において、一次微粒化段階で化学式1の添加剤としてA-1化合物を同一に使用し、四次微粒化段階で化学式1の添加剤としてA-11化合物の代わりに表1のA-2化合物を用いたことを除けば、実施例11と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0268】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は10wt%であった。
【0269】
実施例13
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-12化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0270】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は14wt%であった。
【0271】
実施例14
実施例1において、化学式1の添加剤としてA-1化合物の代わりに表1のA-13化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0272】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は14wt%であった。
【0273】
実施例15
化学式1の添加剤として実施例13で使用したA-12化合物0.595gと実施例14で使用したA-13化合物0.595gとを混合して計1.19gの添加剤を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0274】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は13wt%であった。
【0275】
実施例16
実施例13において、化学式1の添加剤としてA-12の含有量を2.38gに増量して用いたことを除けば、実施例13と同様の方法を用いて高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0276】
段階4の乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率は12wt%であった。
【0277】
比較例1
実施例1において、化学式1の添加剤を用いないことを除けば、同様の方法で高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0278】
比較例2~6、8および9
実施例1において、化学式1の添加剤を下記表1に記載の添加剤を用いたことを除けば、同様の方法で高吸水性樹脂組成物を製造した。
【0279】
比較例7
撹拌機、温度計を装着した3Lのガラス容器に、アクリル酸100g(1.388mol)、内部架橋剤ポリエチレングリコールジアクリレート(Mn=508)0.16g、光重合開始剤ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド0.008g、熱重合開始剤過硫酸ナトリウム0.12g、32%の苛性ソーダ溶液123.5gを常温で混合して、単量体組成物を製造した(アクリル酸の中和度:70モル%、固形分含有量:45重量%)。
【0280】
以後、前記単量体組成物を幅10cm、長さ2mのベルトが50cm/minの速度で回転するコンベヤベルト上に500~2000mL/minの速度で供給した。そして、前記単量体組成物の供給と同時に、10mW/cmの強度を有する紫外線を照射して60秒間重合反応を進行させて、含水率が約55重量%の含水ゲル重合体を得た。
【0281】
次に、前記重合反応により得られた含水ゲル重合体を添加剤なしにミートチョッパ(meat chopper)を用いて粉砕した。この時、最終粉砕された粉砕物に含まれている含水高吸水性樹脂粒子の含水率は55wt%であった。
【0282】
以後、前記粉砕物を上下に風量転移が可能なコンベクションオーブンを用いて185℃のホットエア(hot air)を20分間下方から上方に流れるようにし、再び20分間上方から下方に流れるようにして乾燥させて、乾燥後の最終高吸水性樹脂粒子の含水率が25wt%の高吸水性樹脂を製造した。
【0283】
【表1A】
【表1B】
【0284】
試験例
前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂組成物に対して、以下のような方法で粒子の凝集特性評価、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(AUP)、吸水速度および有効吸水能をそれぞれ測定し、その結果を下記表3および表4に示した。他に表記しない限り、下記の物性評価はすべての過程を恒温恒湿室(23±2℃、相対湿度45±10%)で進行させ、測定誤差を防止するために、3回の測定平均値を測定データにした。また、下記の物性評価において生理食塩水または塩水は、0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0285】
(1)粒子の凝集特性評価
(i)各実施例および比較例で製造した段階1の未中和重合体(含水率70wt%)1,000gを準備した。
(ii)次に、化学式1の添加剤またはこれに対応する比較化合物0.36gを80℃の水17.54gに水分散させた後(2.04wt%の水分散液製造)、これを段階1で得た重合体300gと混合した。
【0286】
前記段階2の添加剤またはこれに対応する比較化合物を各実施例および比較例で使用した種類および含有量に合わせて水溶液形態で混合した。
【0287】
(iii)前記混合物300gを3mmΨhole、厚さ5Tの多孔板を含むミンサー(Mincer)に投入して粉砕した。
【0288】
(iv)前記粉砕物に対して、吐出時間、吐出量および下記表2の評価基準による肉眼凝集評価を進行させ、その結果を表3に記載した。
【0289】
この時、吐出時間はミンサーで粉砕物200gが吐出されるのにかかる時間(秒)を意味し、凝集が緩和されるほど吐出時間は短縮される。
【0290】
吐出量は、前記(iii)段階が終了した後、投入された300gの混合物に対して取出口を通して吐出された含有量の比率(wt%)を意味し、凝集が緩和されるほど粉砕機の内部に塊の残存する量が減少して吐出量が増加する。
【0291】
また、肉眼凝集評価の評価項目○およびXの例示になる写真を、それぞれ図2の(a)および(b)に示した。
【0292】
【表2】
【0293】
【表3】
【0294】
前記表3および図2を参照すれば、未中和重合体と本願の化学式1の添加剤とを投入して粉砕を進行させる場合、このような添加剤を使用しなかったり、構造に符合しない化合物を使用する場合に比べて、粉砕後の粒子間の凝集が抑制されて、吐出時間が短く、吐出量に優れていることを確認することができた。また、本願の化学式1の添加剤によってミキサに投入される混合物の付着力および凝集力が緩和されて、肉眼評価時に吐出物の80%以上が1cmの粒子形状に吐出されることを確認することができた。
【0295】
(2)遠心分離保水能(CRC、Centrifuge Retention Capacity)
各樹脂組成物の無荷重下吸水倍率による保水能を欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP241.3により測定した。
【0296】
具体的には、実施例および比較例によりそれぞれ得られた高吸水性樹脂組成物において、#30-50の篩で分級した樹脂を得た。このような樹脂W(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸した。30分経過後、遠心分離機を用いて、250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を切り、封筒の質量W(g)を測定した。また、樹脂を用いずに同一の操作をした後に、その時の質量W(g)を測定した。
【0297】
得られた各質量を用いて、下記の数式1によりCRC(g/g)を算出し、その結果を表4に記載した。
【0298】
[数式1]
CRC(g/g)={[W(g)-W(g)]/W(g)}-1
【0299】
(3)加圧吸水能(AUP:Absorbency under Pressure)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂組成物の0.7psiの加圧吸水能を、EDANA法WSP242.3により測定した。
【0300】
まず、加圧吸水能の測定時には、前記CRC測定時の樹脂分級粉を使用した。
【0301】
具体的には、内径25mmのプラスチックの円筒底にステンレス製400meshの金網を装着させた。常温および湿度50%の条件下、金網上に吸水性樹脂組成物W(g)(0.16g)を均一に散布し、その上に0.7psiの荷重を均一にさらに付与できるピストンは外径25mmより若干小さく、円筒の内壁と隙間がなく、上下の動きが妨げられないようにした。この時、前記装置の重量W(g)を測定した。
【0302】
直径150mmのペトロ皿の内側に直径90mmおよび厚さ5mmのガラスフィルタをおき、0.9重量%塩化ナトリウムからなる生理食塩水をガラスフィルタの上面と同一レベルとなるようにした。その上に、直径90mmの濾過紙1枚を載せた。濾過紙上に前記測定装置を載せ、液を荷重下で1時間吸収させた。1時間後に測定装置を持ち上げて、その重量W(g)を測定した。
【0303】
得られた各質量を用いて、下記の数式2により加圧吸水能(g/g)を算出し、その結果を表4に記載した。
【0304】
[数式2]
AUP(g/g)=[W(g)-W(g)]/W(g)
【0305】
(4)表面張力(Surface tension:S/T)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂組成物の表面張力を測定するために、それぞれの高吸水性樹脂組成物0.5gを0.9%塩水40mLに入れて、350rpmの速度で3分間撹拌した後、撹拌を止めた後、膨潤した高吸水性樹脂が含まれている塩水を得た。前記塩水を測定試料にして、表面張力測定器(製品名:Force Tensiometer-K100、KRUSS社製造)を用いて、各高吸水性樹脂組成物の表面張力を測定し、その結果を表4に記載した。
【0306】
(5)見かけ密度(Bulk density:BD)
標準流動度測定装置オリフィスにより、前記実施例および比較例の高吸水性樹脂組成物100gを流して体積100mlの容器に受け、前記高吸水性樹脂組成物が水平となるように削り出して、前記高吸水性樹脂組成物の体積を100mlに調節した後、容器を除いた高吸水性樹脂組成物のみの重量を測定した。そして、前記高吸水性樹脂組成物のみの重量を高吸水性樹脂組成物の体積である100mlで割って、単位体積あたりの高吸水性樹脂組成物の重量に相当する見かけ密度を求めた。
【0307】
(6)微粉発生量
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂組成物の微粉発生量は、製造された高吸水性樹脂組成物を粗粉砕機(2800rpm、0.4mm clearance、1mm下meshの条件)に1回通過させた後、総重量に対して150μm未満の粒径を有する樹脂の重量の比率で計算し、その結果を表4に記載した。
【0308】
(7)吸水速度(Vortex time)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂組成物の吸水速度(vortex time)を下記のような方法で測定し、その結果を表4に記載した。
【0309】
(i)まず、底の平らな100mLのビーカーに100mLのMass Cylinderを用いて50mLの0.9%塩水を入れた。
(ii)次に、前記ビーカーがマグネチック撹拌機の中央にくるようにおいた後、前記ビーカー内にマグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を入れた。
(iii)以後、前記マグネチックバーが600rpmで撹拌するように撹拌機を作動させ、撹拌によって生じた渦流(vortex)の最下部分が前記マグネチックバーの上に当たるようにした。
(iv)ビーカー内の塩水の温度が24.0℃になったことを確認した後、2±0.01gの高吸水性樹脂組成物試料を投入しながら、同時にストップウォッチを作動させ、渦流が消えて液表面が完全水平になるまでの時間を秒単位で測定し、これを吸水速度とした。
【0310】
【表4】
【0311】
前記表4を参照すれば、未中和重合体と本発明の化学式1の添加剤とを投入して高吸水性樹脂組成物を製造する場合、このような添加剤を使用しなかったり、構造に符合しない化合物を使用する場合、または中和された含水ゲル重合体と混合して使用する場合に比べて、粉砕後の粒子間の凝集が抑制されて、乾燥後の追加的な粉砕工程なくても所望の粒度の高吸水性樹脂粒子を含む組成物の製造が可能であり、これによって微粉発生量が低減されることが分かる。これによって、本実施例の高吸水性樹脂組成物は、比較例に比べて顕著に速い吸水速度を有し、同等水準以上の保水能および加圧吸水能を有しながらも、同時に表面張力の低下なしに高い見かけ密度(bulk density)を示すことを確認することができる。
図1
図2(a)】
図2(b)】
【国際調査報告】