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特表2024-536339顔料懸濁液、及び該顔料懸濁液を用いて調製した化粧剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】顔料懸濁液、及び該顔料懸濁液を用いて調製した化粧剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/04 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240927BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K8/04
A61K8/26
A61K8/86
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520537
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022074626
(87)【国際公開番号】W WO2023057147
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021211138.6
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーザー,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】クリーナー,カロリーネ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB221
4C083AB222
4C083AC102
4C083AC691
4C083AC851
4C083AC902
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD131
4C083AD211
4C083AD321
4C083AD351
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB25
4C083BB26
4C083CC36
4C083DD23
4C083DD39
4C083EE07
4C083EE26
4C083FF01
(57)【要約】
本出願は、a)少なくとも1つのアルミニウム顔料及びb)200~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールを含む、顔料懸濁液を開示する。本出願はまた、i)顔料懸濁液及びii)洗浄及び/又はナーチャリング成分を含む化粧剤も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのアルミニウム顔料、及びb)200~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールを含む、顔料懸濁液。
【請求項2】
該顔料は小基材プレートを有することを特徴とする、請求項1に記載の顔料懸濁液。
【請求項3】
顔料懸濁液は、200~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも2つのポリエチレングリコールを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料懸濁液。
【請求項4】
顔料懸濁液は、200~600g/molの平均分子量を有する少なくとも1つの第1のポリエチレングリコール、および、1000~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つの第2のポリエチレングリコールを含むことを特徴とする、請求項3に記載の顔料懸濁液。
【請求項5】
小基材プレートは真空金属化顔料を含むことを特徴とする、請求項2に記載の顔料懸濁液。
【請求項6】
小基材プレートはレンチキュラー小基材プレートを含むことを特徴とする、請求項2に記載の顔料懸濁液。
【請求項7】
小基材プレートは層状小基材プレートを含むことを特徴とする、請求項2に記載の顔料懸濁液。
【請求項8】
i)請求項1~7のいずれかに記載の顔料懸濁液、および、
ii)洗浄成分及び/又はナーチャリング成分
を含む、化粧剤。
【請求項9】
洗浄成分が、アニオン性界面活性剤、両性/双性イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択される洗浄用界面活性剤であることを特徴とする、請求項8に記載の化粧剤。
【請求項10】
ナーチャリング成分は、以下:
i.モノアルキルクワット、
ii.エステルクワット、
iii.式(Tkat4):
【化1】
[式中、基Rは、互いに独立して、8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基をそれぞれ表し、Aは生理学的適合性のアニオンを表す]
の第四級イミダゾリン、
iv.アミン及び/又はカチオン化アミン、
v.ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム化合物)、
vi.四級化セルロース誘導体、特にポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、
vii.カチオン性アルキルポリグリコシド、
viii.カチオン化蜂蜜、
ix.カチオン化グアー誘導体、
x.キトサン、
xi.ポリマージメチルジアリルアンモニウム塩、ならびにこれらとアクリル酸及びメタクリル酸のエステル及びアミドとのコポリマー、特にポリクオタニウム-7、
xii.ビニルピロリドンと、ジアルキルアミノアルキルアクリレート及びメタクリレートの四級化誘導体とのコポリマー、特にポリクオタニウム-11、
xiii.ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特にポリクオタニウム-16、
xiv.四級化ポリビニルアルコール、
xv.ポリクオタニウム-74、
並びにそれらの混合物
からなる群から選択される少なくとも1つの第四級化合物であることを特徴とする、請求項8に記載の化粧剤。
【請求項11】
請求項1~7のいずれかに記載の顔料懸濁液の、又は、請求項8~10のいずれかに記載の化粧剤の、ケラチン性繊維のマット化のための使用。
【請求項12】
ケラチン性繊維は、ブロンドのケラチン性繊維であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、顔料および担体媒体を含む顔料懸濁液である。さらなる主題は、顔料懸濁液および洗浄及び/又はナーチャリング(nurturing)成分を含有する化粧剤である。
【背景技術】
【0002】
顔料は、ラッカー、塗料、印刷インキ、粉体塗料、化粧品、又は着色用プラスチックによく使用される。着色剤、ラッカー、印刷インキ、化粧品、および粉体塗料は、光学的特性および物理的特性の改善または変更の両方を得るために表面に塗布される、液体または粉体塗料である。
【0003】
ケラチン性物質、特に人毛の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、染色の要求に応じた様々なカラーリング系が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を伴った永続的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような染料は通常、酸化染料前駆体(いわゆる顕色成分)および発色成分を含み、これらは、例えば過酸化水素などの酸化剤の影響を受けて、互いに実際の染料を生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使う場合、既に形成された染料が染色剤から毛髪繊維に拡散する。酸化染毛と比べて、直接染料を用いて得られた着色は、耐久性が低く、より迅速な洗い流し性を有する。直接染料による着色は通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0005】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるため、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、一般的には、不溶性の染色物質と理解されている。これらは、小粒子として染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚の表面に付着するのみである。従って、着色顔料は通常、界面活性剤を含む洗剤で数回洗えば、残留することなく再び除去され得る。このタイプの製品は、「ヘアマスカラ」の名称で様々なものが市販されている。
【0006】
アッシュブロンドは今流行のヘアカラーである。このカラートーンは、ライトグレートーンのクールなマットブロンドである。該カラーは、ハイライトやバレイヤージュでアクセントを加えるのに適したカラーである。このような効果は主に長い髪に良い効果をもたらす。
【0007】
アッシュブロンドのスタートカラーとして最適なのはブロンドである。シルバーシャンプーを使用すると、そこに含まれる青および/または紫の顔料および/または直接染料によって、ブロンドの髪をクールなアッシュブロンドに変えることができる。
【0008】
青色の直接染料の場合、それらが不均一に毛髪に付着するだけであり、したがって、それに応じて不均一な色の結果がもたらされるという問題がしばしば生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ケラチン性繊維、特にブロンドのケラチン性繊維をマット化することができる、化粧品組成物を提供することが、本発明の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
少なくとも1つのアルミニウム顔料を含有する顔料懸濁液がブロンドヘアを均一にマット化し、明るいグレートーンを与えることが示されている。顔料懸濁液を適用することにより、暗い毛髪に絹のような輝きを与えることができる。
【0011】
したがって、本出願の第1の主題は、a)少なくとも1つのアルミニウム顔料及びb)200~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールを含む顔料懸濁液である。
【0012】
本発明に必須の第1成分として、該顔料懸濁液は、少なくとも1つのアルミニウム顔料を含有する。
【0013】
アルミニウム顔料は、ラッカー、インク、及びプラスチックにおいて使用されるが、装飾化粧品、例えばネイルポリッシュにおいても使用される。
【0014】
少なくとも1つのアルミニウム顔料は、好ましくは、小基材プレート(small substrate plate)を有する。
【0015】
アルミニウム製の小基材プレートは、特に、アルミニウム箔から打ち抜くことによって、又は通常の切削加工およびスプレー技術によって製造することができる。例えば、小さなアルミニウム板は、湿式粉砕法のホールプロセスを使用して得られる。
【0016】
アルミニウム製の小基材プレートは、好ましくは最大150nm、好ましくは50nm未満、より好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大25nm、例えば最大20nmの平均厚さを有する。小基材プレートの平均厚さは、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは少なくとも5nm、例えば少なくとも10nmである。小基材プレートの厚さの好ましい範囲は、2.5~50nm、5~50nm、10~50nm;2.5~30nm、5~30nm、10~30nm;2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nm、及び10~20nmである。好ましくは、各基材プレートは、可能な限り均一な厚さを有する。
【0017】
小さな基板プレートのサイズは、それぞれの用途目的、例えばケラチン性物質に対する所望の効果に合わせて調整することができる。一般に、アルミニウム製の小基材プレートは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大直径を有する。一般に、マイカ製の小基材プレートは、約1~200μm、特に約5~100μm、さらにより好ましくは約5~25μmの平均最大直径を有する。
【0018】
好ましい実施形態では、平均厚さに対する平均サイズの比で表される形状要因(アスペクト比)は、少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、特に好ましくは750を超える。この場合、コーティングされていない小基材プレートの平均サイズは、コーティングされていない小基材プレートのd50値を意味すると理解される。そうでないことが記載されない限り、d50値は、QUIXEL湿式分散液を有するSympatec Helosタイプの装置を用いて測定した。サンプルを準備するために、調査対象のサンプルをイソプロパノールに3分間の間、予備分散させた。
【0019】
小基材プレートは、異なる形状を有することができる。小基材プレートは、例えば、層状(lamellar)又はレンチキュラー金属プレート、又は他のいわゆる真空金属化(vacuum metalized)顔料(VMP)であり得る。層状小基材プレートは、不規則な構造のエッジを特徴とし、その外観から「コーンフレーク」とも称される。レンチキュラー小基材プレートは、実質的に規則的な丸いエッジを有し、その外観から「シルバーダラー」とも称される。
【0020】
アルミニウム製の小基材プレートは、例えば陽極酸化(酸化層)又はクロメート処理によって、不働態化することができる。
【0021】
コーティングによって、顔料の表面特性及び/又は光学特性を変えることができ、顔料の機械的及び化学的耐性を高めることができる。例えば、小基材プレートの上面及び/又は下面のみをコーティングし、側面を省略することができる。好ましくは、側面を含む、任意に不働態化された小基材プレートの表面全体が、層によって覆われる。小基材プレートは、コーティングによって完全に包まれることが好ましい。
【0022】
コーティングは1つまたは複数の層から構成され得る。好ましい実施形態では、コーティングは1つの層Aのみを有する。同様に好ましい実施形態では、コーティングは合計少なくとも2つ、好ましくは2つ又は3つの層を有する。コーティングが2つの層A及びBを有することが好ましくあり得、ここで、層Bは層Aとは異なる。層Aは、層Bと小基材プレートの表面との間に位置することが好ましい。さらに別の好ましい実施形態では、コーティングは3つの層A、B及びCを有する。この実施形態において、層Aは、層Bと小基材プレートの表面との間に位置し、下にある、層Bとは異なる層Cは、層Bの上に位置する。
【0023】
層A並びに場合によっては層B及びCに適切な材料は、小基材プレートに永続的に適用可能な全ての物質である。該材料は、好ましくはフィルム状で適用されるべきである。好ましくは、場合によっては側面を含む、不動態化された小基材プレートの表面全体が、層Aによって、又は、層A及びBもしくは層A、B及びCによって包まれる。
【0024】
各層は特に少なくとも1つの金属酸化物(水和物)を含有することができる。
【0025】
金属酸化物(水和物)は、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、二酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0026】
金属又は金属合金製の小基材プレートを有する顔料の場合、層Aは少なくとも1つの低屈折率金属酸化物及び/又は金属酸化物水和物を好ましくは有する。低屈折率材料は、最大1.8、好ましくは最大1.6の屈折率を有する。
【0027】
層Aに適する低屈折率金属酸化物(水和物)としては、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、及びそれらの混合物が挙げられ、二酸化ケイ素が好ましい。層Aは、好ましくは1~100nm、特に好ましくは5~50nm、特に好ましくは5~20nmの厚さを有する。
【0028】
層Bは、存在する場合、層Aとは異なり、金属又は金属合金からできた小基材プレートを有する顔料の場合、少なくとも1つの高屈折率金属酸化物(水和物)を含有し得る。高屈折率材料は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、特に好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。層Bは、好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%の、高屈折率金属酸化物を含む。
【0029】
層Bが(高屈折率)金属酸化物を含有する場合、層Bは少なくとも50nmの厚さを有することが好ましい。層Bの厚さは、好ましくは400nm以下、特に好ましくは最大300nmである。
【0030】
層Bに適した高屈折率金属酸化物は、例えば、酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe203、赤色)、酸化コバルト(II)(青色)、酸化クロム(III)(緑色)、酸化チタン(III)(青色、通常酸窒化チタンおよび窒化チタンとの混合物)及び酸化バナジウム(V)(オレンジ色)およびそれらの混合物などの、選択的に光を吸収する(すなわち着色された)金属酸化物である。
【0031】
好ましい実施形態によれば、アルミニウム製の小基材プレートを有する顔料は、下にある層Bとは異なる金属酸化物(水和物)を含むさらなる層Cを有する。適切な金属酸化物は、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)及び酸化クロム(III)である。二酸化ケイ素が好ましい。
【0032】
金属又は金属合金製の小基材プレートを有する顔料の場合、層Cは好ましくは10~500nm、特に好ましくは 50~300nmの厚さを有する。
【0033】
金属又は金属合金製の小基材プレートに基づく適切な顔料は、例えば、Schlenk Metallic pigments GmbH製の顔料 Alegrace(登録商標)Marvelous、Alegrace(登録商標)Gorgeous、又はAlegrace(登録商標)Aurousである。
【0034】
顔料懸濁液中のアルミニウム顔料の量は、特に顔料の性質及びその用途によって決まる。顔料の量は、顔料懸濁液の総重量に基づいて、好ましくは0.05~5重量%、より好ましくは0.1~4重量%、非常に特に好ましくは0.2~3重量%である。
【0035】
本発明の第2必須成分として、顔料懸濁液は、200~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールを含む。
【0036】
ポリエチレングリコール(PEG)は、一般分子式C2n4n+2n+1を有する、鎖長に応じて液状、ペースト状、又は個体状のポリマーである。
【0037】
200~400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールは液状であり、400超~600g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールはペースト状であり、≧1000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールは固体状である。
【0038】
顔料懸濁液中に少なくとも2つの異なるポリエチレングリコールが存在すると、ケラチン性繊維への顔料懸濁液の分散力が向上し、それによって、特に均一なマット化が得られることが分かった。
【0039】
したがって、顔料懸濁液は、200~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも2つのポリエチレングリコールを含むことが好ましい。顔料懸濁液が、少なくとも1つの液状又はペースト状のポリエチレングリコールと、少なくとも1つの固体状のポリエチレングリコールとを含有する場合、さらにより好ましい。
【0040】
特に好ましい実施形態では、顔料懸濁液は、200~600g/molの平均分子量を有する少なくとも1つの第1のポリエチレングリコール、及び、1000~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つの第2のポリエチレングリコールを含む。
【0041】
非常に特に好ましい実施形態では、顔料懸濁液は、200~600g/molの平均分子量を有する少なくとも1つの第1のポリエチレングリコールとして、400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0042】
さらなる非常に特に好ましい実施形態では、顔料懸濁液は、1000~35,000g/molの平均分子量を有する第2のポリエチレングリコールとして、6,000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0043】
特に好ましい実施形態では、顔料懸濁液中の第1のポリエチレングリコールの割合は、第2のポリエチレングリコールの割合よりも高い。
【0044】
好ましい実施形態では、顔料懸濁液は、200~600g/molの平均分子量を有する第1のポリエチレングリコール及び1000~35,000g/molの平均分子量を有する第2のポリエチレングリコールが、15:1~1:1、好ましくは 12:1~2:1、特に10:1~5:1の範囲の重量割合で存在することを特徴とする。非常に好ましい実施形態では、該方法は、剤中の第1のポリエチレングリコール及び第2のポリエチレングリコールの重量割合が、7:1~9:1の範囲、最も好ましくは8:1であることを特徴とする。
【0045】
顔料懸濁液が、200~35,000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールを、顔料懸濁液の総重量に基づいて、95~99.95重量%、好ましくは96~99.9重量%、非常に特に好ましくは97~99.8重量%の総量で含有する場合、特に良好な結果が得られた。
【0046】
顔料懸濁液は、それぞれの場合において顔料懸濁液の総重量に基づいて、少量の、好ましくは4.9重量%以下、より好ましくは2重量%以下のさらなる成分を含み得り、これは、さらなる溶媒、例えば水、イソプロピルアルコール及び/又は酢酸エチル、塩基及び/又は腐食防止剤を含み得る。
【0047】
顔料懸濁液は、塗布される際に、ケラチン性繊維、特にブロンドのケラチン性繊維をマット化するために使用することができる。
【0048】
あるいは、顔料懸濁液は、毛髪処理用の化粧剤、特にシャンプー、リンス又はヘアトリートメントの少なくとも1つの必須成分と組み合わせることができる。
【0049】
本発明の第2の主題は、化粧剤に関する。化粧剤は、i)本発明による顔料懸濁液、およびii)洗浄成分及び/又はナーチャリング成分を含む。
【0050】
化粧剤は、例えば、本発明による顔料懸濁液を、少なくとも1つの洗浄成分及び/又は以下からなる群から選択される少なくとも1つのナーチャリング成分と組み合わせることにより調製される:第四級化合物、シリコーン油、タンパク質加水分解物、植物油、ビタミン、ビタミン前駆体、植物抽出物、単糖類、オリゴ糖、アミノ酸、プリンアルカロイド、グリコール、および混合物。このようにして、所望のマット化に加えて、それにより処理されたケラチン性繊維にさらなる美容上の利点(洗浄および/またはナーチャリング)を与える化粧剤を提供することができる。
【0051】
この種の化粧剤は、例えば、ケラチン性繊維、特に人毛の洗浄および/またはナーチャリングに使用することができる。
【0052】
洗浄及びマット化用化粧剤は、少なくとも1つのクレンジング界面活性剤を含有することを特徴とする。本出願の文脈において、クレンジング界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性/双性イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤を意味すると理解される。
【0053】
洗浄及びマット化用化粧剤は、アニオン性界面活性剤と両性/双性イオン性界面活性剤との界面活性剤混合物を含むことが好ましい。
【0054】
適切なクレンジング界面活性剤は、化粧剤中に、その総重量に基づいて、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは1~20重量%、特に好ましくは2~17.5重量%、特に3~15重量%の量で使用される。
【0055】
洗浄およびマット化用化粧剤中の顔料懸濁液の量は、その総重量に基づいて、10~99重量%、好ましくは40~99重量%である。
【0056】
本発明によるクレンジング界面活性剤および顔料懸濁液に加えて、洗浄及びマット化用化粧剤は、水及び/又は水と少なくとも1種のC1~C4アルコールとの混合物を含有してもよい。
【0057】
化粧剤に使用できる適切なアニオン性界面活性剤には、以下が含まれる:
・8~24個のC原子を有する直鎖または分枝鎖の、飽和またはモノ不飽和またはポリ不飽和のアルキルスルホネート、
・8~24個のC原子を有する直鎖状アルファオレフィンスルホネート、
・式R-O-(CH-CHO)-SOXのアルキル硫酸塩およびアルキルポリグリコールエーテルスルホネート、式中、Rは好ましくは8~24個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和またはモノ不飽和またはポリ不飽和のアルキル基またはアルケニル基を表し、nは0または1~12を表し、Xはアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンを表し、
・8~24個のC原子と1~6個の二重結合を持つ不飽和脂肪酸のスルホネート。
【0058】
特に好ましいアニオン性界面活性剤は、8~18個、特に10~16個のC原子と1~6個、特に2~4個のエチレンオキシド単位を有するアルキル基を含有する、直鎖または分枝鎖アルキルエーテルスルフェートである。非常に特に好ましくは、アニオン性および両性/双性イオン性界面活性剤の界面活性剤混合物は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(INCI:ラウレス硫酸ナトリウム)を含有し、非常に特に好ましくは2個のエチレンオキシド単位を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する。
【0059】
さらに特に好ましいアニオン性界面活性剤は、8~18個、特に10~16個のC原子を有するアルキル基を含有する直鎖状または分枝鎖状のアルキルスルホネートである。
【0060】
特に好ましいのは、2~4のエトキシル化度を有する直鎖状又は分枝鎖状のラウリル、トリデシル及び/又はミリスチル硫酸のナトリウム、マグネシウム及び/又はトリエタノールアミン塩である。
【0061】
適切な両性/双性イオン性界面活性剤は、洗浄及びマット化用化粧剤中に、その総重量に基づいて、好ましくは0.1~25重量%、より好ましくは0.25~20重量%、特に好ましくは0.5~15.0重量%、特に1~10重量%の量で添加することができる。
【0062】
適切な両性/双性イオン性界面活性剤は、以下の式(i)~(v)の化合物から選択することができ、式中、基Rは、それぞれの場合において、直鎖状または分枝鎖状、飽和又はモノ不飽和もしくはポリ不飽和の、8~24個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である:
【化1】
【0063】
特に適切な両性/双性イオン性界面活性剤には、INCI名「コカミドプロピルベタイン」および「ココアンホ二酢酸二ナトリウム」で知られる界面活性剤が含まれる。
【0064】
洗浄及びマット化用化粧剤中の顔料懸濁液の量は、所望のマット化効果に依存し、その総重量に基づいて、10~99重量%であり得る。
【0065】
あるいは、化粧剤は、第四級化合物、シリコーン油、タンパク質加水分解物、植物油、ビタミン、ビタミン前駆体、植物抽出物、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、プリンアルカロイド、グリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのナーチャリング成分を含むことを特徴とすることができる。
【0066】
適切なタンパク質加水分解物としては、例えば、シルク、パシュミナ、カシミアウール、メリノウール、モヘア、小麦、トウモロコシ、米、ジャガイモ、大豆、アーモンド、エンドウ豆、藻類、コラーゲン及び/又は乳からのタンパク質加水分解物が挙げられる。
【0067】
適切な植物油としては、例えば、アマランサス種子油、アンズ核油、アルガン油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ種子油、カメリナ油、アザミ油、ピーナッツ油、ザクロ種子油、グレープフルーツ種子油、麻油、ヘーゼルナッツ油、ニワトコ種子油、ブラックカラント種子油、ホホバ油、ココナッツ油、亜麻仁油、マカダミアナッツ油、コーン油、アーモンド油、マルラ油、月見草油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、パラナッツ油、ピーカンナッツ油、ピーチカーネル油、菜種油、ヒマシ油、シーバックソーンパルプ油、シーバックソーン種子油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、グレープシード油、クルミ油、ワイルドローズ油及び/又は小麦胚芽油が挙げられる。
【0068】
適切なビタミンには、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB7及び/又は葉酸が含まれる。
【0069】
ビタミン前駆体は、例えばパンテノールを含み得る。
【0070】
適切な植物抽出物としては、例えば、ティーツリー油、ラベンダー、イラクサ、ローズマリー、カモミール、マリーゴールド、アロエベラ、高麗人参、大豆、樺及び/又は小麦の抽出物が挙げられる。
【0071】
適切な単糖は、例えば、エリスロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース及び/又はフルクトースである。
【0072】
例えば、ラクトース、スクロース、マルトース及び/又はラフィノースをオリゴ糖として使用することができる。
【0073】
アミノ酸の群は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及び/又はバリンを含む。
【0074】
適切なプリンアルカロイドとしては、例えば、カフェイン、テオフィリン及び/又はテオブロミンが挙げられる。
【0075】
適切なグリコールは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、cis-1,4-ジメチロールシクロヘキサン、トランス-1,4-ジメチロールシクロヘキサン、シス-およびトランス-1,4-ジメチロールシクロヘキサンの任意の異性体混合物、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、PPG-10ブタンジオール(INCI)、およびそれらの混合物から選択することができる。存在する場合、グリコールはポリエチレングリコールに加えて使用される。
【0076】
ケラチン性繊維をマット化およびナーチャリングするための好ましい化粧剤は、少なくとも1つの第四級化合物を含むことを特徴とする。
【0077】
第四級化合物は、単量体カチオン性又は両性のアンモニウム化合物、単量体アミン、アミノアミド、高分子カチオン性アンモニウム化合物及び高分子両性アンモニウム化合物である。マット化及びナーチャリング化粧剤中の少なくとも1つの第四級化合物の量は、その総重量に基づいて、0.1~10重量%である。この量は、第四級化合物の異なる化合物の混合物を使用する場合にも、それを下回ったり、超えたりすることはない。
【0078】
ケラチン性繊維のマット化及びナーチャリングのための非常に好ましい化粧剤は、以下の群の少なくとも1つから選ばれる少なくとも1つの第四級化合物を含有することを特徴とする:
i.モノアルキルクワット、及び/又は
ii.エステルクワット、及び/又は
iii.式(Tkat4):
【化2】
[式中、官能基Rは、互いに独立して、8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素官能基をそれぞれ表し、Aは生理学的適合性のアニオンを表す]
の第四級イミダゾリン、及び/又は
iv.アミン及び/又はカチオン化アミン、及び/又は
v.ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)化合物、及び/又は
vi.四級化セルロース誘導体、特にポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、及び/又は
vii.カチオン性アルキルポリグリコシド、及び/又は
viii.カチオン化蜂蜜、及び/又は
ix.カチオン化グアー誘導体、及び/又は
x.キトサン、及び/又は
xi.ポリマージメチルジアリルアンモニウム塩、ならびにこれらとアクリル酸及びメタクリル酸のエステル及びアミドとのコポリマー、特にポリクオタニウム-7、及び/又は
xii.ビニルピロリドンと、ジアルキルアミノアルキルアクリレート及びジアルキルアミノアルキルメタクリレートの四級化誘導体とのコポリマー、特にポリクオタニウム-11、及び/又は
xiii.ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特にポリクオタニウム-16、及び/又は
xiv.四級化ポリビニルアルコール、及び/又は
xv.ポリクオタニウム-74、
並びにそれらの混合物が含まれる。
【0079】
モノアルキルクワットは、式(Tkat1)のカチオン性アンモニウム化合物であり、適切な第四級化合物の第1のグループを形成する。
【化3】
【0080】
式(Tkat1)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ互いに独立して、水素、メチル基、フェニル基、ベンジル基、飽和、分枝状または非分枝状の、8~30個の炭素原子の鎖長を有するアルキル基を表し、これは、場合により1つまたは複数のヒドロキシル基で置換されていてもよい。Aは、生理学的許容性のアニオン、例えば、塩化物または臭化物などのハロゲン化物、ならびにメトサルフェートを表す。
【0081】
式(Tkat1)の化合物の例は、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムメトスルフェート、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトスルフェートである。
【0082】
エステルクワットは式(Tkat2)に従う第四級化合物であり、第四級化合物のさらに好ましい基を形成する。
【化4】
【0083】
ここで、基R1、R2、及びR3はそれぞれ互いに独立しており、同じであっても異なっていてもよい。基R1、R2、及びR3は以下を意味する:
-少なくとも1つのヒドロキシル基を含むことができる、1~4個の炭素原子を有する分枝または非分枝のアルキル基、又は
-少なくとも1つのヒドロキシル基を含むことができる、6~30個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和、分枝又は非分枝又は環状の、飽和又は不飽和のアルキル基、又は
-アリールまたはアルカアリール(alkaryl)基、例えばフェニルまたはベンゼン、
-基(-X-R4)、ただし、基R1、R2又はR3のうち最大2つがこの基を表してもよい。
【0084】
基(-X-R4)は少なくとも1~3回存在する。
【0085】
ここで、Xは以下を表す:
1)-(CH2)n-(n=1~20、好ましくはn=1~10、特に好ましくはn=1~5)、又は
2)-(CH2-CHR5-O)n-、ここで、n=1~200、好ましくは1~100、特に好ましくは1~50、特に好ましくは1~20であり、R5は、水素、メチル又はエチルを表す、
3)1~4個の炭素原子を有し、分枝又は非分枝であってよく、少なくとも1個で最大3個のヒドロキシル基を含むヒドロキシアルキル基。
例は以下である:-CHOH、-CHCHOH、-CHOHCHOH、-CHCHOHCH
-CH(CHOH)、-COH(CHOH)、-CHCHOHCHOH、-CHCHCHOH及びヒドロキシブチル基であり、
R4は以下を表す:
1)R6-O-CO-、ここでR6は、飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝又は環状の、飽和又は不飽和の6~30個の炭素原子を有するアルキル基であり、これは、少なくとも1つのヒドロキシ基を含有することができ、1~100のエチレンオキシド単位及び/又は1~100のプロピレンオキシド単位で任意にさらにオキシアルキル化されていることができる、又は
2)R7-O-CO-、ここでR7は、飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝又は環状の、飽和又は不飽和の6~30個の炭素原子を有するアルキル基であり、これは、少なくとも1つのヒドロキシ基を含有することができ、これは、1~100のエチレンオキシド単位及び/又は1~100のプロピレンオキシド単位で任意にさらにオキシアルキル化されていることができる、及び
Aは生理学的許容性の有機又は無機アニオンを表し、この時点では以下に記載するすべての構造を代表するものとして定義される。記載された全てのカチオン性化合物のアニオンは、ハロゲン化物イオン、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、一般式RSO の硫酸塩から選択され、式中、Rは、1~4個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のアルキル基、又は、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、又は酢酸などの有機酸のアニオン性基を意味する。
【0086】
このような製品は、例えば以下のような商品名で市販されている:Rewoquat(登録商標)、Stepantex(登録商標)、Dehyquart(登録商標)、Armocare(登録商標)、及びQuartamin(登録商標)。製品 Armocare(登録商標)VGH-70、Dehyquart(登録商標)F-75、Dehyquart(登録商標)C-4046、Dehyquart(登録商標)L80、Dehyquart(登録商標)F-30、Dehyquart(登録商標)AU-35、Rewoquat(登録商標)WE18、Rewoquat(登録商標)WE38DPG、Stepantex(登録商標)VS 90、及び Quartamin(登録商標)BTC 131がこれらのエステルクワットの例である。
【0087】
さらなる好ましい第四級化合物は、式(Tkat3)のカチオン性ベタインエステルである。
【化5】
【0088】
R8は、その意味においてR7に対応する。
【0089】
さらに適切な第四級化合物は、一般式(I):
【化6】

を有し、ここで、
n及びmは、互いに独立して、5~40の整数を表し、但し、n+m≧38;特に好ましくはn=m;最も好ましくはn=m=20であり、
a及びbは、互いに独立して、1~10の整数を表し;特に、互いに独立して、1、2、3、4又は5であり、好ましくは式a+2≧b≧a-2であり、最も好ましくはa=b=3であり、
R及びR’は、独立して-H及び-CHから選択され;好ましくはR=R’が当てはまり、その結果、好ましくはPEG又はPPGジエステルクワットのいずれかが用いられ;最も好ましくはR=R’ -CHが当てはまり、
は、生理学的許容性のアニオン、塩化物、臭化物、又はヨウ化物などのハロゲン化物、トルエンスルホン酸塩、メト硫酸塩などであり、特に好ましくはメト硫酸塩である。
【0090】
したがって、好ましい化粧剤は、式(II):
【化7】
[式中、xは18、19、20、21、22、23又は24を表す]
の化合物を含むことを特徴とする。
【0091】
n=20である式(II)の化合物が特に好ましい。非常に好ましい剤は、一般式(II)の化合物と共に式(I)の化合物を常に含むことを特徴とする。
【0092】
第四級イミダゾリン化合物はさらなる群である。以下に示す式(Tkat4)は、これらの化合物の構造を示す。
【化8】
【0093】
R基は、互いに独立して、それぞれ、8~30個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素基を表す。式(Tkat4)の好ましい化合物は、Rのそれぞれの例について、同じ炭化水素基を含む。R基の鎖長は、好ましくは12~21個の炭素原子である。Aは上記に述べたようにアニオンを表す。本発明の特定の例は、例えばのQuaternium-27、Quaternium-72、Quaternium-83、及びQuaternium-91のINCI名で入手可能である。Quaternium-91が最も好ましい。
【0094】
特に好ましい実施形態では、該剤は、少なくとも1つのアミン及び/又はカチオン化アミン、特に、以下の構造式を有するアミドアミン及び/又はカチオン化アミドアミンを含有する。
【化9】
【0095】
ここで、R1は、6~30個のC原子を有するアシル又はアルキル基を表し、これは分枝状または非分枝状、飽和または不飽和であってよく、ここで、アシル基及び/又はアルキル基は、少なくとも1つのOH基を含むことができ、そして、
【0096】
R2、R3、及びR4は、互いに独立して、それぞれ、
1)水素、又は
2)同じでも異なっていてもよく、飽和又は不飽和の、1~4個のC原子を有するアルキル基、及び
3)少なくとも1個であり最大3個のヒドロキシル基を有する、1~4個の炭素原子を有する、分枝状又は非分枝状のヒドロキシアルキル基、例えば、-CHOH、
-CHCHOH、-CHOHCHOH、-CHCHOHCH、-CH(CHOH)、-COH(CHOH)、-CHCHOHCHOH、-CHCHCHOH、及びヒドロキシブチル基であり、
【0097】
Aは、上述したようにアニオンであり、
nは1~10の整数である。
【0098】
一般式(Tkat5)によるアミン及び/又は第四級化アミンが、アミドアミン及び/又は第四級化アミドアミンであり、式中、R1が、6~30個のC原子を有する分枝状又は非分枝状、飽和又は不飽和のアシル基を表し、少なくとも1個のOH基を含んでいてもよい化粧剤が好ましい。ここでは、油及びワックス由来の、特に天然油及びワックス由来の脂肪酸基が好ましい。適切な例としては、ラノリン、蜜蝋、又はキャンデリラワックスが挙げられる。
【0099】
式(Tkat5)中のR2、R3及び/又はR4が、一般式CHCHOR5〔式中、R5は1~4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシエチル基、又は水素の意味を有し得る〕の基を表す、アミドアミン及び/又は第四級化アミドアミンも好ましい。一般式(Tkat5)中のnの好ましい値は、2~5の整数である。
【0100】
アルキルアミドアミンは、対応する酸性溶液中でのプロトン化により第四級化合物に変換される。カチオン性アルキルアミドアミンが好ましい。
【0101】
このような市販製品の例は以下である:Witcamine(登録商標)100、Incromine(登録商標)BB、Mackine(登録商標)401、及び他のMackine(登録商標)タイプ、Adogen(登録商標)S18V、及び、永久カチオン性アミノアミン:Rewoquat(登録商標)RTM 50、Empigen(登録商標)CSC、Swanol(登録商標)Lanoquat DES-50、Rewoquat(登録商標)UTM 50、Schercoquat(登録商標)BAS、Lexquat(登録商標)AMG-BEO、又は Incroquat(登録商標) Behenyl H。
【0102】
さらなる適切な脂肪酸アミドは、一般式(III)に対応する:
【化10】
【0103】
式中、R1、R2及びR3は独立して、直鎖状、分枝状、又は非分枝状のC6~C30、好ましくはC8~C24、より好ましくはC12からC22、最も好ましくはC12~C18のアルキル基又はアルケニル基である。R1~R3は、好ましくは、カプリル、カプリリル、オクチル、ノニル、デカニル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、ベヘニル、又はアラキジルである。さらに、R2は特に好ましくはR3と同じであり、最も好ましくは、R1はR2と同じであり、これはR3と同じである。文字nおよびmは、互いに独立して、1~10、好ましくは2~6、最も好ましくは2、3及び/又は4の整数を表し、ここで、最も好ましくはn=mである。最も好ましくは、R1はR2と同じであり、R2はR3と同じであり、カプリル、カプリリル、オクチル、ノニル、デカニル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、ベヘニル、又はアラキジルから選択され、n=m=2である。最も好ましくは、R1=R2=R3であり、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、ベヘニル又はアラキジルから選択され、特に好ましくはセチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル又はベヘニルであり、n=m=2である。最も好ましい式(I)の化合物は、ビス-エチル(イソステアロイルイミダゾリン)イソステアラミドのINCI名称を有するものである。後者の化合物は、商品名Keradyn(登録商標)HHとしてCrodaから市販されている。
【0104】
さらに好ましい第四級アンモニウム化合物はカチオン性ポリマーである。
【0105】
カチオン性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマー、又は天然ポリマーに基づくポリマーであり得、第四級窒素基はポリマー鎖内に、又は好ましくは1つ以上のモノマー上の置換基として存在する。適切なカチオン性モノマーは、少なくとも1つのカチオン性基を有する不飽和のラジカル重合性化合物であり、特に、例えば以下のようなアンモニウム置換ビニルモノマーである:ピリジニウム、イミダゾリウム又は第四級ピロリドンなどの環状カチオン性窒素含有基を有する、トリアルキルメタクリロキシアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム及び第四級ビニルアンモニウムモノマー、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、又はアルキルビニルピロリドン塩。 これらのモノマーのアルキル基は、C1~C7アルキル基などの低級アルキル基が好ましく、C1~C3アルキル基がより好ましい。
【0106】
アンモニウム基を含むモノマーは、非カチオン性モノマーと共重合することができる。適切なコモノマーは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド;アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、ビニルカプロラクトン、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、プロピレングリコール又はエチレングリコールであり、ここで、これらのモノマーのアルキル基は、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1~C3アルキル基である。
【0107】
これらの複数のポリマーのうち、以下のものが特に適していることが証明されている:
一般式-{CH-[CRCOO-(CH]}のホモポリマー、
式中、R=-H又は-CHであり、R、R及びRは、互いに独立して、C1-4-アルキル、-アルケニル又は-ヒドロキシアルキル基から選択され、m=1、2、3又は4であり、nは自然数であり、
は、生理学的許容性の有機または無機アニオンである。これらのポリマーに関して、以下の条件の少なくとも1つが当てはまるものが好ましい:Rがメチル基を表すか、R、R及びRがメチル基を表すか、又はmが値2を有する。
【0108】
生理学的許容性の対イオンXとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、メト硫酸イオン、並びに、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、及び酢酸イオンなどの有機イオンが考えられる。メト硫酸イオンおよびハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンが好ましい。
【0109】
適切なカチオン性ポリマーは、例えば、式(Copo)のコポリマーである:
【化11】
式中、
x+y+z=Q
Qは、3~55,000、好ましくは10~25,000、特に好ましくは50~15,000、より好ましくは100~10,000、さらにより好ましくは500~8000、特に1000~5000の値を表し、
xは、(0~0.5)Q、好ましくは(0~0.3)Q、特に0、1、2、3、4、5の値を表し、ここで、値0が好ましく、
yは、(0.1~0.95)Q、好ましくは(0.5~0.7)Q、特に1~24,000、好ましくは5~15,000、より好ましくは10~10,000、特に100~4800の値を表し、
zは、(0.001~0.5)Q、好ましくは(0.1~0.5)Q、特に1~12,500、好ましくは2~8000、より好ましくは3~4000、とりわけ5~2000の値を表す。
【0110】
式(Copo)の好ましいコポリマーが使用されるかにかかわらず、(y:z)の割合が4:1~1:2、好ましくは4:1~1:1であることを特徴とする剤が好ましい。
【0111】
剤においてどのコポリマーが使用されるかにかかわらず、コポリマーが、10,000~2000万gmol-1、好ましくは100,000~1000万gmol-1、より好ましくは500,000~500万gmol-1、特に110万~220万gmol-1のモル質量を有する毛髪処理剤(hair treatment agent)が好ましい。
【0112】
上記のように構築される非常に好ましいコポリマーは、ポリクオタニウム-74の名称で市販されている。
【0113】
特に適切なホモポリマーは、INCI名 ポリクオタニウム-37を有するポリ(メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム)クロリド(場合によっては架橋されている)である。このような製品は、例えば、Rheocare(登録商標)CTH(Cosmetic Rheologies)及びSynthalen(登録商標)CR(3V Sigma)の名称で市販されている。
【0114】
ホモポリマーは、非水性ポリマー分散液の形態で使用することが好ましい。このようなポリマー分散液は、Salcare(登録商標)SC 95及びSalcare(登録商標)SC 96の名称で市販されている。
【0115】
天然ポリマー由来の適切なカチオン性ポリマーは、多糖類のカチオン性誘導体、例えばセルロース、デンプンまたはグアーのカチオン性誘導体である。キトサンおよびキトサン誘導体も適している。カチオン性多糖類は、一般式:
G-O-B-N+R
を有する。
【0116】
Gはアンヒドログルコース基、例えばデンプンまたはセルロースアンヒドログルコースである。
Bは二価の連結基、例えばアルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり;
【0117】
、RおよびRは、互いに独立して、18個までのC原子を有する、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシアリールであり、R、RおよびRの炭素原子の総数は、好ましくは最大20であり;
は従来の対アニオンであり、好ましくは塩化物である。
【0118】
カチオン性セルロース、すなわち四級化セルロースは、異なる置換度、カチオン電荷密度、窒素含有量および分子量を有するものが市販されている。例えば、ポリクオタニウム-67は、SoftCat(登録商標)、Polymer SL or SoftCat(登録商標)、Polymer SK(Dow)の名前で市販されている。さらに非常に好ましいセルロースは、Crodaから商品名Mirustyle(登録商標)CPで提供されている。これは、INCI名ポリクオタニウム-72を有するトリモニウムおよびココジモニウムヒドロキシエチルセルロース誘導体化セルロースである。ポリクオタニウム-72は、固体形状でも、すでに水溶液に溶解した状態でも使用できる。
【0119】
さらなるカチオン性セルロースは、Ucare(登録商標)Polymer JR 400(Dow、INCI名 ポリクオタニウム-10)およびPolymer Quatrisoft(登録商標)LM-200(Dow、INCI名 ポリクオタニウム-24)である。さらなる市販製品は、化合物Celquat(登録商標)H 100およびCelquat(登録商標)L 200である。特に好ましいカチオン性セルロースは、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67およびポリクオタニウム-72である。
【0120】
適切なカチオン性グアー誘導体は、商品名Jaguar(登録商標)で市販されており、INCI名グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを有する。さらに、特に適切なカチオン性グアー誘導体も、N-Hance(登録商標)の銘作用で市販されている。さらなるカチオン性グアー誘導体は、BASF SEより、Cosmedia(登録商標)の名称で市販されている。好ましいカチオン性グアー誘導体は、Herculesの市販製品AquaCat(登録商標)である。この原料は、あらかじめ予備溶解されたカチオン性グアー誘導体である。カチオン性グアー誘導体が好ましい。
【0121】
適切なキトサンは、例えばKyowa Oil& Fat(日本)より、Flonac(登録商標)の商標名で市販されている。好ましいキトサン塩は、キトソニウムピロリドンカルボキシレートであり、例えば、Kytamer(登録商標)PCの名称で、Amerchol(USA)より市販されている。さらなるキトサン誘導体は、Hydagen(登録商標)CMF、Hydagen(登録商標)HCMF、及びChitolam(登録商標)NB/101の商標名で、自由に市販されている。
【0122】
優れた有用性を有する別のグループのポリマーは、グルコースに基づくポリマーである。次の図は、そのようなカチオン性アルキルオリゴグルコシドを示している。
【化12】
【0123】
上記の式において、基Rは、互いに独立して、直鎖状または分枝鎖状のC6~C30アルキル基、直鎖状または分枝鎖状のC6~C30アルケニル基を表し;好ましくは、基Rは、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、ベヘニルまたはアラキジルから選択される基Rを表す。
【0124】
基R1は、互いに独立して、直鎖状または分枝鎖状C6~C30アルキル基、直鎖状または分枝鎖状C6~C30アルケニル基を表し;好ましくは、基Rは以下から選択される基を表す:ブチル、カプリル、カプリリル、オクチル、ノニル、デカニルラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、ベヘニルまたはアラキジル。基R1は、特に好ましくは同一である。より好ましくは、基R1は、C6/C8-脂肪アルコール、C8/C10-脂肪アルコール、C10/C12-脂肪アルコール、C12/C14-脂肪アルコール、C12/C18-脂肪アルコールから選ばれる脂肪アルコール部分の工業的混合物から選択される。最も好ましいのは、植物由来の工業用脂肪アルコール部分である。 カチオン電荷に対する対イオンは、生理学的に適合性のアニオン、例えば、ハロゲン化物、メト硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩などである。好ましくは、対イオンは、フッ化物、塩化物、臭化物などのハロゲン化物またはメト硫酸塩である。アニオンは、最も好ましくは塩化物である。
【0125】
カチオン性アルキルオリゴグルコシドの特に好ましい例は、INCI名ポリクオタニウム-77、ポリクオタニウム-78、ポリクオタニウム-79、ポリクオタニウム-80、ポリクオタニウム-81、およびポリクオタニウム-82を有する化合物である。ポリクオタニウム-77、ポリクオタニウム-81、およびポリクオタニウム-82の名称のカチオン性アルキルオリゴグルコシドが最も好ましい。
【0126】
このような化合物は、例えばPoly Suga(登録商標)Quatの名称でColonial Chemical Inc.から購入可能である。
【0127】
さらなる好ましいカチオン性ポリマーは、式(IV)の少なくとも1つの構造単位、式(V)の少なくとも1つの構造単位、式(VI)の少なくとも1つの構造単位、および式(VII)の少なくとも1つの構造単位を含む。
【化13】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素原子又はメチル基を表し、
及びXは、互いに独立して、酸素原子又はNH基を表し、
及びAは、互いに独立して、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、又はブタン-1,4-ジイル基を表し、
、R、R及びRは、互いに独立して、(C-C)アルキル基を表し、
は(C-C30)アルキル基を表す。
【0128】
上記の式および以下の全ての基によれば、記号*で示される化学結合は、対応する構造フラグメントの自由原子価を表す。
【0129】
剤中のポリマー正電荷を補うために、塩化物、臭化物、硫酸水素、硫酸メチル、硫酸エチル、テトラフルオロボレート、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、またはp-トルエンスルホネートおよびトリフラートなどの、全ての考えられる生理学的に適合性のアニオンが有用である。
【0130】
本発明における(C-C)アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルである。
【0131】
本発明における(C-C30)アルキル基の例は、オクチル(カプリル)、デシル(カプリニル)、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシル(ステアリル)、エイコシル(アラキル)及びドコシル(ベヘニル)である。
【0132】
前述の式(IV)~(VII)に関して、カチオン性ポリマーが以下の特徴のうちの1つ以上を実行する場合、続くカチオン性ポリマーを化粧剤において使用することができる:
・RおよびRはそれぞれメチル基である、
・XはNH基を表す、
・XはNH基を表す、
・AおよびAは、互いに独立して、エタン-1,2-ジイルまたはプロパン-1,3-ジイルを表す、
・R、R、RおよびRは、互いに独立して、メチルまたはエチル(特に好ましくはメチル)を表す、
・Rは、(C10-C24)アルキル基、特にデシル(カプリニル)、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシル(ステアリル)、エイコシル(アラキル)またはドコシル(ベヘニル)を表す。
【0133】
式(VII)の構造単位を、式(VII-1)~(VII-8)の少なくとも1つの構造単位から選択することが好ましい。
【化14】
【0134】
また、式(VII)の構造単位として、式(VI-7)および/または式(VI-8)の構造単位を選択することが特に好ましいことが分かった。式(VI-8)の構造単位は、非常に特に好ましい構造単位である。
【0135】
さらに、式(VII)の構造単位が、式(VII-1)~(VII-8)の少なくとも1つの構造単位から選択される場合、好ましいことがわかった。
【化15】
[式中、Rはそれぞれの場合において(C~C30)アルキル基を表す。]
【0136】
式(VII-7)及び/又は式(VII-8)の構造単位は、今度は、式(VII)の特に好ましい構造単位であると考えられ、式中、Rはそれぞれオクチル(カプリル)、デシル(カプリニル)、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシル(ステアリル)、エイコシル(アラキル)又はドコシル(ベヘニル)を表す。式(VII-8)の構造単位は、式(VII)の非常に特に好ましい構造単位を表す。
【0137】
剤に含まれる非常に特に好ましいカチオン性ポリマーは、式(IV)の少なくとも1つの構造単位、式(V)の少なくとも1つの構造単位、式(VI-8)の少なくとも1つの構造単位、および式(VII-8)の少なくとも1つの構造単位を含む。
【化16】
[式中、Rは、オクチル(カプリル)、デシル(カプリニル)、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシル(ステアリル)、エイコシル(アラキル)又はドコシル(ベヘニル)を表す。]
【0138】
本発明による非常に特に好ましいカチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリルジメチルアンモニウムクロリド(INCI名:ポリクオタニウム-69)のコポリマーであり、これは、例えば、商標名Aquastyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中の活性物質28~32重量%、分子量350,000)でISP社から市販されている。
【0139】
これまで記載したポリマーは、使用可能なポリマーの一部にすぎない。それらの組成に加えて、すべての適切なカチオン性および/または両性ポリマーを記載しないように、好ましいポリマーのINCI名をまとめる。好ましいポリマーは以下のINCI名を有する:
ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-41、ポリクオタニウム-42、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-69、ポリクオタニウム-72、ポリクオタニウム-74、ポリクオタニウム-76、ポリクオタニウム-86、ポリクオタニウム-89、およびポリクオタニウム-95、並びにそれらの混合物。
【0140】
特に好ましいカチオン性ポリマーは以下のINCI名を有する:
ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-41、ポリクオタニウム-42、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-69、ポリクオタニウム-74、ポリクオタニウム-76、ポリクオタニウム-86、ポリクオタニウム-89、およびポリクオタニウム-95、並びにそれらの混合物。
【0141】
最も好ましいカチオン性ポリマーは以下のINCI名を有する:
ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-69、ポリクオタニウム-74、ポリクオタニウム-76、ポリクオタニウム-86、ポリクオタニウム-89、およびポリクオタニウム-95、並びにそれらの混合物。
【0142】
前述のカチオン性ポリマーは、個々に使用することも、互いに任意に組み合わせて使用することもできる。
【0143】
さらなる好ましいカチオン性ポリマーは、例えば以下である:
・カチオン化蜂蜜、例えば市販製品 Honeyquat(登録商標)50、
・ポリマージメチルジアリルアンモニウム塩、およびそれらと、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルおよびアミドとのコポリマー。Merquat(登録商標)100(ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド))およびMerquat(登録商標)550(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー)の名称で入手可能な製品は、INCI名ポリクオタニウム-7を有する、そのようなカチオン性ポリマーの例である、
・ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550、およびINCI名ポリクオタニウム-16、ならびにFC 905 および HM 552 の名称で提供されている、
・四級化ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル、例えば、Gaf Co.,( USA)から、商品名Gafquat(登録商標)755 NおよびGafquat(登録商標)734、およびINCI名ポリクオタニウム-11で市販されている、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートメトサルフェートコポリマー、
・四級化ポリビニルアルコール、
・ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、およびポリクオタニウム-27の名称で知られている、ポリマー主鎖に第四級窒素原子を有する、ポリマー、
・ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタムアクリレートターポリマー、例えばAquaflex(登録商標)SF40の名称で提供されており、第3のモノマー単位としてアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドを有する。
・-
【0144】
両性ポリマーは、カチオン性基が以下のモノマーの少なくとも1つに由来するポリマーである:
(i)一般式(Mono1)で表される第四級アンモニウム基を有するモノマー、
-CH=CR-CO-Z-(C2n)-N(+)(-)(Mono1)
[式中、RおよびRは、互いに独立して、水素またはメチル基を表し、R、RおよびRは、互いに独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、ZはNH基または酸素原子を表し、nは2~5の整数であり、A(-)は有機酸または無機酸のアニオンである、
(ii)一般式(Mono2)で表される第四級アンモニウム基を有するモノマー、
【化17】
[式中、RおよびRは、互いに独立して、(C-C)アルキル基、特にメチル基を表し、
は有機酸または無機酸のアニオンである、
(iii)一般式(Mono3)のモノマーカルボン酸、
-CH=CR-COOH (Mono3)
[式中、RおよびRは、互いに独立して、水素またはメチル基である。]
【0145】
特に好ましいのは、R、RおよびRがメチル基であり、ZがNH基であり、A(-)がハロゲン化物、メトキシサルフェートまたはエトキシサルフェートイオンであり;
アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、特に好ましいモノマー(i)であるタイプ(i)のモノマーが使用されるポリマーである。 硫酸イオン; アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、特に好ましいモノマー(i)である。上述のポリマーに使用されるモノマー(ii)は、好ましくはアクリル酸である。
【0146】
特に好ましい両性ポリマーは、少なくとも1つのモノマー(Mono1)または(Mono2)とモノマー(Mono3)とから作られるコポリマー、特にモノマー(Mono2)および(Mono3)から作られるコポリマーである。非常に特に好ましく使用される両性ポリマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリル酸から作られるコポリマーである。これらのコポリマーは、INCI名ポリクオタニウム-22で、特に商品名Merquat(登録商標)280(Nalco)で市販されている。
【0147】
さらに、両性ポリマーは、モノマー(Mono1)または(Mono2)およびモノマー(Mono3)に加えて、モノマー(Mono4)をさらに含むことができる、
(iv)一般式(Mono4)のモノマーカルボン酸アミド:
【化18】
[式中、R10およびR11は、互いに独立して、水素またはメチル基であり、R12は水素原子または(C1-~C)アルキル基を表す]。
【0148】
コモノマー(Mono4)に基づく非常に特に好ましく使用可能な両性ポリマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドおよびアクリル酸のターポリマーである。これらのコポリマーは、INCI名ポリクオタニウム-39で、特に商品名Merquat(登録商標)Plus 3330(Nalco)で市販されている。
【0149】
両性ポリマーは一般に、直接使用することも、例えば水酸化アルカリによるポリマーの中和によって得られる塩の形で使用することもできる。
【0150】
本発明の特に好ましい実施形態では、化粧剤は、第四級化合物としてモノアルキルクワットおよび/またはカチオン性グアー誘導体を含む。
【0151】
ケラチン性繊維のナーチャリングおよびマット化のための同様に好ましい化粧剤は、シリコーン油を含むことを特徴とする。
【0152】
本発明の文脈において、「油」という用語は、室温(25℃)で液体である物質を意味すると理解される。さらに、本発明に関して、油は、1g/l未満、好ましくは0.5g/l未満、特に好ましくは0.1g/l未満(25℃で測定)の水への溶解度を有する。
【0153】
シリコーン油の水溶性は、例えば以下の方法により測定することができる:1.0gのシリコーン油をビーカーに入れる。次いで、1000ml(1リットル)の水を添加する。撹拌子を加え、混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。混合物を60分間撹拌する。その後、水性混合物を視覚的に評価する。この期間を過ぎても第二相、すなわち水相に加えて別に存在する油相がまだ見える場合、該シリコーン油の溶解度は1g/l(1グラム/リットル)未満である。
【0154】
化粧剤に使用可能なシリコーン油は、分子量が少なくとも500g/モル、好ましくは少なくとも1000g/モル、より好ましくは少なくとも2500g/モル、特に好ましくは少なくとも5000g/モルである高分子化合物である。
【0155】
化粧剤に使用できるシリコーン油は、多くのSi-O繰り返し単位を含み、Si原子は、例えば、アルキル基または置換アルキル基などの有機基を有することができる。
【0156】
シリコーン油の高分子量に対応して、これらは、10を超えるSi-O繰り返し単位、好ましくは50を超えるSi-O繰り返し単位、特に好ましくは100を超えるSi-O繰り返し単位に基づく。
【0157】
5~3000mm/s、好ましくは10~2000mm/s、さらに好ましくは10~1000mm/s、さらにより好ましくは10~500mm/s、非常に特に好ましくは10~500mm/s(それぞれの場合において、ASTM規格 D-445に従い、25℃で測定)の粘度を有するシリコーン油を化粧剤に使用することが特に好ましいことが証明された。ASTM規格D-445に従って測定、25℃)。
【0158】
ASTM規格D-445は、透明および不透明な流体の動粘度を測定するための標準方法である。
【0159】
粘度は、特に、2006年6月に発行されたASTM規格D-446、バージョン06(D445-06)に従って測定された。この測定方法では、規定の体積の液体が、規定の条件下で、校正された粘度計の毛細管を流れるのに必要な時間が測定される。ASTMD-445の方法の詳細に関しては、特にASTM D445-06を参照されたい。測定温度は25℃である。適切な機器(粘度計、温度計、および対応する校正など)が該方法で指定されている。
【0160】
原理的には、化粧剤にはさまざまなシリコーン油を使用することができるが、ポリジメチルシロキサンの使用は、毛髪の感触の改善および油っぽい質感の軽減に関して特に有利であることが証明された。
【0161】
線状ポリジメチルシロキサンの群からの適切なシリコーンオイルは、一般構造(V):
【化19】
の化合物である。
【0162】
この場合、zは、ジメチコーンが液状であり、好ましくは前述の非常に特によく適した粘度範囲を有するように選択される。
【0163】
zは、好ましくは50~100,000、より好ましくは100~50,000、特に好ましくは500~50,000の整数であり得る。
【0164】
対応するジメチコーンは、様々なメーカーから市販されている。非常に特に適しているのは、例えば、Dow Chemicalsから商品名Xiameters PMX 200 Silicone Fluid 50 CSで市販されているジメチコーンであり、その粘度は50mm/s(25℃)である。 このジメチコーンが最も好ましい。
【0165】
別の特によく適したジメチコーンは、同じくDow Corning社から入手可能なXiameter PMX 200 Silicone Fluid 100 CSであり、その粘度は100mm/s(25℃で測定)である。
【0166】
別の特によく適したジメチコーンは、やはりDow Corning社から入手可能なXiameter PMX 200 Silicone Fluid 350 CSであり、その粘度は350mm/s(25℃)である。
【0167】
別の特によく適したジメチコーンは、Dow Corningから入手可能なDow Corning 200 fluid 500 cStであり、その粘度は500mm/s(25℃)である。
【0168】
ナーチャリング成分の量は、ナーチャリングおよびマット化のための化粧剤の総重量に基づいて、好ましくは0.01~15重量%である。
【0169】
ナーチャリングおよびマット化の化粧剤中の顔料懸濁液の量は、所望されるマット化効果に依存し、その総重量に基づいて、10~99重量%、好ましくは40~99重量%である。
【0170】
本発明による少なくとも1つのナーチャリング成分および顔料懸濁液に加えて、ナーチャリングおよびマット化の化粧剤は、水および/または水と少なくとも1つのC1-アルコールとの混合物を含有することができる。ナーチャリングおよびマット化の化粧剤の別の有利な成分は、脂肪アルコール、特にC16-18脂肪アルコールである。
【0171】
顔料懸濁液または化粧剤は、ケラチン性繊維、特にブロンドのケラチン性繊維、特に好ましくはブロンドの人毛をマット化するために使用することができる。
【0172】
したがって、本出願のさらなる主題は、ケラチン性繊維をマット化するための、本発明による顔料懸濁液または本発明による化粧剤の使用である。
【実施例
【0173】
以下の顔料懸濁液を製造した:
【0174】
顔料懸濁液を湿った毛髪束(Kerling、10-0)にもみこみ、1分間作用させた。次いで、顔料懸濁液を水ですすいだ。
【0175】
乾燥後、毛髪束は、クールな、マットなアッシュブロンドの色を有していた。
【国際調査報告】