IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-536376低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法
<>
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図1A
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図1B
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図2A
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図2B
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図3
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図4
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図5
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図6A
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図6B
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図6C
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図7
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図8
  • 特表-低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】低抵抗率のタングステン特徴を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/285 20060101AFI20240927BHJP
   C23C 16/06 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/285 Z
C23C16/06
H01L21/28 301R
H01L21/28 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520809
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 US2022038211
(87)【国際公開番号】W WO2023059381
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/252,478
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/363,646
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン ペイチー
(72)【発明者】
【氏名】チェン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー カイ
(72)【発明者】
【氏名】ハー インス
(72)【発明者】
【氏名】リー サン ジン
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA07
4K030AA11
4K030AA12
4K030AA13
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA20
4K030BA38
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA06
4K030DA09
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA01
4K030GA02
4K030GA12
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA11
4K030KA17
4K030KA20
4K030KA23
4K030KA36
4K030KA39
4K030KA41
4K030KA45
4K030LA15
4M104BB30
4M104BB39
4M104DD33
4M104DD42
4M104DD45
4M104DD55
4M104DD75
4M104DD79
4M104DD80
4M104FF18
4M104FF22
4M104FF27
4M104HH16
4M104HH20
(57)【要約】
核生成層と充填層とを含むタングステン含有層を含む基板の構造が提供される。核生成層は、開口部の側壁に沿って配置される。核生成層は、ホウ素およびタングステンを含む。充填層は、開口部内の核生成層の上に配置される。タングステン含有層は、約16μΩ・cm以下の抵抗率を含む。タングステン含有層は、約200Å~約600Åの厚さを有する。タングステン含有層の厚さは、開口部の対向する側壁部分間の開口部内に配置されたタングステン含有層の幅の半分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の構造であって、
前記基板内の開口部と、
タングステン含有層であって、
前記開口部の側壁に沿って配置された核生成層であり、ホウ素およびタングステンを含む、核生成層、ならびに
前記開口部内の前記核生成層の上に配置された充填層であり、前記タングステン含有層が約16μΩ・cm以下の抵抗率を有し、前記タングステン含有層が約200Å~約600Åの厚さを有し、前記タングステン含有層の厚さが前記開口部の対向する側壁部分間の前記開口部内に配置された前記タングステン含有層の幅の半分である、充填層
を含む、タングステン含有層と
を含む、構造。
【請求項2】
前記核生成層が約1:4~約1:1のホウ素対タングステン比を含む、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記ホウ素対タングステン比が約1:3~1:2である、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記基板と前記核生成層との間に配置された接着層をさらに含む、請求項1に記載の構造。
【請求項5】
前記タングステン含有層が、窒素、酸素、フッ素、またはこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の構造。
【請求項6】
基板上の構造であって、
前記基板内の開口部と、
前記開口部の側壁上に配置された接着層と、
前記側壁内の前記接着層の上に配置されたタングステン含有層であり、前記タングステン含有層が約16μΩ・cm以下の抵抗率を有し、約200Å~約600Åの厚さを有し、前記タングステン含有層の前記厚さが前記開口部の対向する側壁部分間の前記開口部内に配置された前記タングステン含有層の幅の半分である、タングステン含有層と
を含む、構造。
【請求項7】
前記タングステン含有層の前記厚さが約300Å~約600Åであり、前記タングステン含有層の抵抗率が約14μΩ・cm以下である、請求項6に記載の構造。
【請求項8】
前記タングステン含有層がホウ素を含む核生成層を含む、請求項6に記載の構造。
【請求項9】
ホウ素対タングステン比が約1:3~1:1である、請求項6に記載の構造。
【請求項10】
前記タングステン含有層が約3.5nm以下の二乗平均平方根によって計算された表面粗さを含む、請求項6に記載の構造。
【請求項11】
前記タングステン含有層が約2nm~約3nmの二乗平均平方根によって計算された表面粗さを含む、請求項6に記載の構造。
【請求項12】
基板上に構造を形成する方法であって、
前記基板を前駆体ガス流量でタングステン含有前駆体ガスに曝露することと、
前記基板を還元剤流量でホウ素を含む還元剤に曝露することであり、前記タングステン含有前駆体ガスと前記還元剤とが周期的に交互に施されて、前記基板の少なくとも1つの開口部内の前記基板の上に核生成層を形成する、曝露することと、
前記少なくとも1つの開口部内の前記核生成層の上に充填層を堆積させることと、
前記基板を約600℃~約1000℃でアニールすることと
を含む、方法。
【請求項13】
前記基板をアニールする前に、前記基板を急速熱処理チャンバに移送することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板をアニールすることが、前記基板を水素ガスに曝露することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記還元剤の流量が約300sccm以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体ガス流量が約60sccm以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
リザーバを、前記リザーバの上流に配置されたリザーババルブを使用して前記還元剤で充填することと、前記リザーバから前記基板を含むプロセス容積に、前記プロセス容積と前記リザーバとの間に配置された質量流量制御バルブを開くことによって、前記還元剤を流すこととをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記リザーバを充填することが、前記リザーバの圧力が所定の圧力を下回るときに、前記リザーババルブを開くことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基板が約1秒~約10分間アニールされる、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記基板が約10秒~約60秒間アニールされる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、電子デバイス製造において使用される方法に関し、より詳細には、半導体デバイス内にタングステン特徴を形成するために使用される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タングステン(W)は、比較的低い電気抵抗およびエレクトロマイグレーションに対する比較的高い耐性が望まれる導電性特徴を形成するために集積回路(IC)デバイス製造において広く使用されている。例えば、タングステンは、ソースコンタクト、ドレインコンタクト、金属ゲート充填、ゲートコンタクト、相互接続(例えば、誘電体材料層の表面に形成された水平の特徴)、およびビア(例えば、誘電体材料層の上下に配置された他の相互接続特徴を接続するために誘電体材料層を貫通して形成された垂直の特徴)を形成するための金属充填材料として使用されることがある。タングステンは、その比較的低い抵抗率のために、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスのメモリセルアレイ内の個々のメモリセルをアドレス指定するために使用されるビット線およびワード線を形成するためにも一般に使用される。
【0003】
次世代の半導体デバイスの要求を満たすために回路密度が増加し、デバイスの特徴が縮小し続けるにつれて、タングステン特徴を確実に製造することがますます困難になってきている。従来のタングステン堆積プロセス中に形成されるボイドおよびシームなどの問題は、特徴サイズが小さくなるにつれて増幅され、デバイスの性能および信頼性に悪影響を及ぼし、またはデバイスを動作不能にすることさえあり得る。
【0004】
したがって、ボイドおよびシームがなく、または実質的になく、様々な膜厚に対して低い抵抗率を有するコンタクト特徴を充填するためのプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
核生成層および充填層を含むタングステン含有層を含む構造が提供される。核生成層は、開口部の側壁に沿って配置される。核生成層は、ホウ素およびタングステンを含む。充填層は、開口部内の核生成層の上に配置される。タングステン含有層は、約16μΩ・cm以下の抵抗率を含む。タングステン含有層は、約200Å~約600Åの厚さを有する。タングステン含有層の厚さは、開口部の対向する側壁部分間の開口部内に配置されたタングステン含有層の幅の半分である。
【0006】
基板内の開口部を含む基板上の構造が提供される。接着層が開口部の側壁に配置され、タングステン含有層が側壁内の接着層の上に配置される。タングステン含有層は、約16μΩ・cm以下の抵抗率を有し、タングステン含有層は、約200Å~約600Åの厚さを有する。タングステン含有層の厚さは、開口部の対向する側壁部分間の開口部内に配置されたタングステン含有層の幅の半分である。
【0007】
構造を形成する方法が提供される。本方法は、基板を前駆体ガス流量でタングステン含有前駆体ガスに曝露することを含む。基板は、ホウ素を含む還元剤に還元剤流量で曝露される。タングステン含有前駆体ガスと還元剤とは、周期的に交互に施されて、基板の少なくとも1つの開口部内の基板の上に核生成層を形成する。本方法は、少なくとも1つの開口部内の核生成層の上に充填層を堆積させることを含む。基板は、約600℃~約1000℃でアニールされる。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付の図面に示される実施形態を参照することによって上で要約された本開示のより具体的な説明を行うことができる。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、他の等しく有効な実施形態を認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】従来の方法で形成されたタングステン特徴における、望ましくないボイド形成またはシーム形成を示す基板の一部の概略断面図である。
図1B】従来の方法で形成されたタングステン特徴における、望ましくないボイド形成またはシーム形成を示す基板の一部の概略断面図である。
図2A】一実施形態による、本明細書に記載の方法を実施するために使用することができる処理システムの概略側面図である。
図2B】一実施形態による、図2Aに示す処理システムの一部の拡大断面図である。
図3】一実施形態による、図2Aに示す処理システムの一部の拡大断面図である。
図4】一実施形態による、本明細書に記載の方法を実施するために使用することができる急速熱処理システムの概略側面図である。
図5】一実施形態による、基板を処理する方法を示す図である。
図6A】一実施形態による、処理前の基板の概略断面側面図である。
図6B】一実施形態による、処理の一段階における基板の概略断面側面図である。
図6C】一実施形態による、処理の一段階における基板の概略断面側面図である。
図7】一部の実施形態による、様々な膜厚で本明細書に記載の方法および比較方法を使用して形成された膜層の抵抗率を示す比較曲線である。
図8】一部の実施形態による、様々な温度でのアニーリング前およびアニーリング後の、本明細書に記載の方法を使用して形成された膜層の抵抗率を示す比較曲線である。
図9】一部の実施形態による、様々な膜厚でのアニーリング前およびアニーリング後の、本明細書に記載の方法を使用して形成された膜層の抵抗率を示す比較曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【0011】
本明細書の実施形態は、一般に、電子デバイス製造を対象とし、より詳細には、半導体デバイス製造スキームにおいて低抵抗率タングステン特徴を形成するためのシステムおよび方法を対象とする。
【0012】
図1Aは、従来のタングステン堆積プロセス中に形成された望ましくないボイド20を示す基板10Aの概略断面図である。ここで、基板10Aは、内部に高アスペクト比の開口部(タングステン層15の一部で充填されて示されている)が形成された誘電体層12と、開口部を裏打ちするために誘電体層12上に堆積させたバリア材料層14と、バリア材料層14上に堆積させたタングステン層15と、を含むパターニングされた表面11を含む。タングステン層15は、従来の堆積プロセス、例えば、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)プロセスを使用して形成され、タングステンをパターニングされた表面11に共形に堆積(成長)させて開口部を充填する。タングステン層15は、開口部にタングステン特徴15Aを形成し、パターニングされた表面11のフィールド上に材料のオーバーバーデン(タングステンオーバーバーデン層15B)を形成する。
【0013】
図1Aでは、開口部は、基板10Aの表面でより狭く、開口部が表面から誘電体層12内に内向きに延びるにつれて広くなる(外向きに弓状になる)不均一なプロファイルを有する。図示するように、共形なタングステン層15のオーバーハング部分は、開口部が完全に充填される前に、開口部の入口をふさぐまたは「ピンチオフ(pinch off)」するように一緒に成長するため、タングステン特徴15Aに望ましくないボイド20、すなわちタングステン材料の欠損を引き起こす。その後のCMPプロセス中にボイド20が開く(露出する)と、研磨液がタングステン特徴15Aに侵入する可能性があり、研磨液の化学的に活性な成分が、タングステン材料のさらなる損失、例えば、タングステン材料の腐食および/または静的エッチングによる望ましくない特徴のコアリング(キーホーリング)を引き起こす可能性がある。この望ましくないタングステンの損失は、デバイスの性能および信頼性の問題、または最終的にはデバイスの完全な故障につながる可能性がある。ボイド形成がなくても、図1Bに示すような従来のタングステン堆積プロセスを使用すると、タングステン特徴における望ましくないシーム形成はほとんど回避不可能である。
【0014】
図1Bは、従来のタングステン堆積プロセス中に形成された望ましくないシーム24を示す基板10Bの概略断面図である。ここで、パターニングされた表面11は、開口部が基板10Bの表面から誘電体層12内に延びるにつれて実質的に均一なプロファイルを有する開口部(タングステン層15の一部で充填された)を含む。開口部はタングステンで充填され、ボイドは形成されていない。それにもかかわらず、タングステン層15が開口部の壁から外向きに共形に成長することにより、タングステン特徴15Aの中心を通って延びる望ましくないシーム24が開口部に形成されている。図1Aに示されるボイド20と同様に、シーム24は、タングステン研磨液の化学的に活性な成分による腐食に対して脆弱であり、CMPプロセス中にシーム24が露出した場合、特徴15Aからのタングステン材料の望ましくない損失を引き起こす可能性がある。
【0015】
したがって、本明細書の実施形態は、基板を処理チャンバ間で移送することなく、本方法の個々の態様の組合せを実行するように構成された処理システムを提供し、したがって、本明細書に記載されたタングステン間隙充填処理スキームの全体的な基板処理スループットおよび能力を向上させる。
【0016】
一般に、間隙充填処理スキームは、基板の表面に形成された特徴開口部に差分タングステン堆積阻害プロファイルを形成することと、阻害プロファイルに従って開口部をタングステン材料で充填することと、基板のフィールド表面にタングステンのオーバーバーデンを堆積させることとを含む。タングステン堆積阻害プロファイルを形成することは、典型的には、タングステン核生成層を形成することと、活性窒素核種、例えば処理ラジカルを用いてタングステン核生成層を処理することとを含む。窒素処理ラジカルは、例えば、窒素核種の吸着によって、および/または窒化タングステン(WN)を形成するための核生成層の金属タングステンとの反応によって、核生成層の一部に組み込まれる。タングステン核生成層の吸着された窒素および/または窒化された表面は、望ましくは、タングステン核生成を遅らせ(阻害し)、したがって、その後のタングステン堆積を遅らせる(阻害する)。
【0017】
一部の実施形態では、処理ラジカルは、基板処理チャンバに流体結合された遠隔プラズマ源を使用することによって、基板処理チャンバから遠隔で形成される。パターニングされた表面のフィールドに対する所望の阻害効果、およびパターニングされた表面に形成された開口部における所望の阻害プロファイルは、温度および圧力などの処理チャンバ内の処理条件を制御し、基板表面における処理ラジカルの濃度、フラックス、およびエネルギーを制御することによって達成される。典型的には、処理ラジカルは、N2、NH3、NH4、またはこれらの組合せなどの非ハロゲン窒素含有ガスから形成される。
【0018】
間隙充填処理スキームのタングステン核生成および堆積プロセスは、一般に、タングステン含有前駆体および還元剤を処理チャンバ内に流すことと、基板表面をこれらに曝露することとを含む。タングステン含有前駆体および還元剤は、化学気相堆積(CVD)プロセス、パルスCVDプロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、またはこれらの組合せのうちの1つにおいて基板の表面で反応して、基板の表面にタングステン材料を堆積させる。
【0019】
本明細書に記載される処理システムは、チャンバ洗浄動作を周期的に実行するように構成されており、望ましくないタングステン残留物は、処理チャンバから遠隔で形成された活性化ハロゲン核種、例えば、フッ素または塩素(洗浄)ラジカルを含む洗浄化学物質などの洗浄化学物質を使用して、処理チャンバの内面から除去される。
【0020】
チャンバ洗浄動作は、一般に、ハロゲン洗浄ラジカルを処理チャンバ内に流すことと、洗浄ラジカルをタングステン残留物と反応させて揮発性タングステン核種を形成することと、揮発性タングステン核種を処理チャンバから排気部を通して排出することとを含む。チャンバ洗浄動作は、典型的には、基板処理間に、すなわち、処理済み基板が処理チャンバから取り出された後であって、次の処理対象の処理済み基板が処理チャンバ内に受け入れられる前に実行される。
【0021】
図2A図2Bは、本明細書に記載されるボトムアップタングステン間隙充填基板処理方法を実行するために使用され得る処理システム200を概略的に示す。ここで、処理システムは、核生成プロセス、阻害処理プロセス、選択的間隙充填プロセス、およびオーバーバーデン堆積プロセスのそれぞれに望ましい異なる処理条件を、単一の処理チャンバ202内で、すなわち、基板を複数の処理チャンバ間で移送することなく提供するように構成される。
【0022】
図2Aに示すように、処理システム200は、処理チャンバ202と、処理チャンバ202に流体結合されたガス供給システム204と、システムコントローラ208とを含む。処理チャンバ202(図2Aに断面で示されている)は、チャンバリッドアセンブリ210、1つまたは複数の側壁212、およびチャンバベース214を含み、これらは全体として処理容積215を画定する。処理容積215は、処理容積215を大気圧以下の状態に維持し、そこから処理ガスおよび処理副生成物を排出するために使用される1つまたは複数の真空ポンプなどの排気部217に流体結合されている。
【0023】
チャンバリッドアセンブリ210は、リッドプレート216と、リッドプレート216に結合され、それと共にガス分配容積219を画定するシャワーヘッド218とを含む。ここで、リッドプレート216は、それに熱的に結合された1つまたは複数のヒータ229を使用して所望の温度に維持される。シャワーヘッド218は、処理容積215内に配置された基板支持アセンブリ220に面している。以下で説明するように、基板支持アセンブリ220は、基板支持体222を、したがって基板支持体222上に配置された基板230を、上昇した基板処理位置(図示)と下降した基板移送位置(図示せず)との間で移動させるように構成されている。基板支持アセンブリ220が上昇した基板処理位置にあるとき、シャワーヘッド218および基板支持体222は、処理領域221を画定する。
【0024】
ガス供給システム204は、リッドプレート216を貫通して配置されたガス入り口223(図2B)を介して処理チャンバ202に流体結合されている。ガス供給システム204の使用によって供給される処理ガスまたは洗浄ガスは、ガス入り口223を通ってガス分配容積219に流入し、シャワーヘッド218の複数の開口部232(図2B)を通って処理領域221に分配される。一部の実施形態では、チャンバリッドアセンブリ210は、ガス入り口223とシャワーヘッド218との間に配置された穴あき遮蔽板225をさらに含む。これらの実施形態では、ガス分配容積219に流入したガスは、最初に遮蔽板225によって拡散されて、シャワーヘッド218と共に、処理領域221へのガス流のより均一なまたは所望の分配を提供する。
【0025】
処理ガスおよび処理副生成物は、処理領域221を取り囲む環状チャネル226を通って処理領域221から半径方向外向きに排出される。環状チャネル226は、(図示されるように)1つまたは複数の側壁212の半径方向内側に配置された第1の環状ライナ227に形成されてもよく、または1つまたは複数の側壁212に形成されてもよい。一部の実施形態では、処理チャンバ202は、1つまたは複数の側壁212またはチャンバベース214の内面を腐食性ガスおよび/または望ましくない材料堆積から保護するために使用される1つまたは複数の第2のライナ228を含む。
【0026】
一部の実施形態では、処理容積215と流体連結するパージガス源237を使用して、アルゴン(Ar)などの化学的に不活性なパージガスを、例えば、支持シャフト262を取り囲むチャンバベース214の開口部を通して、基板支持体222の下に配置された領域内に流す。パージガスは、基板処理中に基板支持体222の下に(処理領域221の圧力と比較して)正圧の領域を生成するために使用することができる。典型的には、チャンバベース214を通って導入されたパージガスは、そこから上向きに流れ、基板支持体222の縁部の周りを流れて、環状チャネル226を通って処理容積215から排出される。パージガスは、基板支持体222内への材料前駆体ガスの流れを低減および/または防止することによって、基板支持体222の下の表面への望ましくない材料堆積を低減する。
【0027】
基板支持アセンブリ220は、チャンバベース214の下の領域でベローズ265によって取り囲まれるなど、密封されてチャンバベース214を通って延びる可動支持シャフト262と、可動支持シャフト262上に配置された基板支持体222とを含む。基板支持体222との間での基板の移送を容易にするために、基板支持アセンブリ220は、リフトピンフープ268に結合された、またはそれと係合して配置された複数のリフトピン267を備えるリフトピンアセンブリ266を含む。複数のリフトピン267は、基板支持体222を貫通して形成された開口部に移動可能に配置されている。基板支持体222が下降した基板移送位置(図示せず)に配置されると、複数のリフトピン267は、基板支持体222の基板受け面の上方に延びて、基板受け面から基板230を持ち上げ、基板ハンドラ(図示せず)による基板230の裏側(非活性)面へのアクセスを提供する。基板支持体222が(図示されるように)上昇位置または処理位置にあるとき、複数のリフトピン267は、基板支持体222の基板受け面の下に後退して、基板230が基板受け面上に載ることができるようにする。
【0028】
基板230は、ドア271、例えば、1つまたは複数の側壁212のうちの1つに配置されたスリットバルブを通って、基板支持体222との間で移送される。ここで、ドア271を取り囲む領域の1つまたは複数の開口部、例えばドアハウジングの開口部は、パージガス源237、例えばArガス源に流体結合されている。パージガスは、処理ガスおよび洗浄ガスがドアを取り囲むシールに接触すること、および/またはシールを劣化させることを防止し、したがって、その有効寿命を延ばすために使用される。
【0029】
基板支持体222は、基板230と基板受け面との間の界面に真空を印加することによって基板230が基板支持体222に固定される真空チャック用に構成されている。真空は、基板支持体222の基板受け面に形成された1つまたは複数のチャネルまたはポートに流体結合された真空源272を使用して印加される。他の実施形態では、例えば、処理チャンバ202が直接プラズマ処理用に構成されている場合、基板支持体222は、静電チャック用に構成されていてもよい。一部の実施形態では、基板支持体222は、バイアス電圧を供給する連続波(CW)RF電源またはパルスRF電源などのバイアス電圧電源(図示せず)に結合された1つまたは複数の電極(図示せず)を含む。
【0030】
図示されるように、基板支持アセンブリ220は、基板支持体222の異なる領域内で独立した温度制御を提供するためのデュアルゾーン温度制御システムを特徴とする。基板支持体222の異なる温度制御領域は、基板支持体222上に配置された基板230の異なる領域に対応する。ここで、温度制御システムは、第1のヒータ263および第2のヒータ264を含む。第1のヒータ263は、基板支持体222の中心領域に配置され、第2のヒータ264は、第1のヒータを取り囲むように中心領域から半径方向外側に配置されている。他の実施形態では、基板支持体222は、単一のヒータまたは3つ以上のヒータを有することができる。
【0031】
一部の実施形態では、基板支持アセンブリ220は、基板230の円周方向の斜角縁部への望ましくない材料堆積を防止するために使用される環状シャドウリング235をさらに含む。基板支持体222との間での基板移送中、すなわち、基板支持アセンブリ220が下降位置(図示せず)に配置されているとき、シャドウリング235は、処理容積215内の環状レッジ上に載置される。基板支持アセンブリ220が上昇位置または処理位置に配置されると、基板支持体222の半径方向外側表面は、シャドウリング235が基板支持体222上に配置された基板230に外接するように環状シャドウリング235と係合する。ここで、シャドウリング235は、基板支持アセンブリ220が上昇した基板処理位置にあるときに、シャドウリング235の半径方向内向きの部分が基板230の斜角縁部の上方に配置されるように成形されている。
【0032】
一部の実施形態では、基板支持アセンブリ220は、基板230に外接するように基板支持体222上に配置された環状パージリング236をさらに含む。これらの実施形態では、シャドウリング235は、基板支持アセンブリ220が上昇した基板処理位置にあるときに、パージリング236上に配置されてもよい。典型的には、パージリング236は、パージガス源237と流体連結する複数の半径方向内向きの開口部を特徴とする。基板処理中、パージガスは、シャドウリング235、パージリング236、基板支持体222、および基板230の斜角縁部によって画定された環状領域に流入して、処理ガスが環状領域に入り込んで、基板230の斜角縁部上に望ましくない材料堆積を引き起こすのを防止する。
【0033】
一部の実施形態では、処理チャンバ202は、直接プラズマ処理用に構成されている。これらの実施形態では、シャワーヘッド218は、RF電源などの第1の電源231に電気的に結合されてもよく、第1の電源231は、容量結合を介して、処理領域221に流入する処理ガスのプラズマを点火し維持するための電力を供給する。一部の実施形態では、処理チャンバ202は、誘導プラズマ発生器(図示せず)を備え、プラズマは、RF電力を処理ガスに誘導結合することによって形成される。
【0034】
処理システム200は、有利には、基板230を処理チャンバ202から取り出すことなく、ボイドがなくシームのないタングステン間隙充填プロセススキームのタングステン核生成プロセス、阻害処理プロセス、およびバルクタングステン堆積プロセスのそれぞれを実行するように構成されている。間隙充填プロセススキームの個々のプロセスを実行し、処理チャンバの内面から残留物を洗浄するために使用されるガスは、処理チャンバ202に流体結合されたガス供給システム204を使用して、処理チャンバ202に供給される。
【0035】
一般に、ガス供給システム204は、1つまたは複数の遠隔プラズマ源、ここでは第1および第2のラジカル発生器206A~206Bと、堆積ガス源240と、ラジカル発生器206A~206Bおよび堆積ガス源240をリッドアセンブリ210に流体結合する導管システム294(例えば、複数の導管294A~294F)とを含む。ガス供給システム204は、ラジカル発生器206A~206Bとリッドプレート216との間にそれぞれ配置された複数の分離バルブ、ここでは第1および第2のバルブ290A~290Bをさらに含み、これらは、ラジカル発生器206A~206Bのそれぞれを処理チャンバ202から、および互いに流体的に分離するために使用することができる。
【0036】
ラジカル発生器206A~206Bのそれぞれは、それぞれの第1および第2のプラズマチャンバ容積281A~281B(図2B)を画定するチャンバ本体280を特徴とする。ラジカル発生器206A~206Bのそれぞれは、それぞれの電源293A~293Bに結合されている。電源293A~293Bは、プラズマチャンバ容積281A~281Bに流体結合された対応する第1または第2のガス源287A~287Bからプラズマチャンバ容積281A~281Bに供給されるガスのプラズマ282A~282Bを点火し維持するために使用される。一部の実施形態では、第1のラジカル発生器206Aは、差分阻害プロセスで使用されるラジカルを生成する。例えば、第1のラジカル発生器206Aは、第1のガス源287Aから第1のプラズマチャンバ容積281Aに供給されたハロゲン非含有混合ガスから処理プラズマ282Aを点火し維持するために使用され得る。第2のラジカル発生器206Bは、第2のガス源287Bから第2のプラズマチャンバ容積281Bに供給されたハロゲン含有混合ガスから洗浄プラズマ282Bを点火し維持することによって、チャンバ洗浄プロセスで使用される洗浄ラジカルを生成するために使用されてもよい。
【0037】
典型的には、窒素処理ラジカルは、(ハロゲン洗浄ラジカルと比較した場合)相対的に寿命が短く、ガス供給システム204内の表面および/または処理プラズマ放出物の他の核種との衝突による再結合に対して比較的高い感受性を示すことがある。したがって、本明細書の実施形態では、第1のラジカル発生器206Aは、典型的には、例えば、第1のプラズマチャンバ容積281Aから処理領域221までの移動距離が比較的短くなるように、第2のラジカル発生器206Bよりもガス入り口223の近くに配置される。
【0038】
一部の実施形態では、第1のラジカル発生器206Aは、第2のガス源287Bにも流体結合され、第2のガス源287Bは、プラズマ源調整プロセスで使用されるハロゲン含有調整ガスを第1のプラズマチャンバ容積281Aに供給する。これらの実施形態では、ガス供給システム204は、第2のガス源287Bから第1のプラズマチャンバ容積281Aにハロゲン含有混合ガスを導くように動作可能な複数の分流バルブ291をさらに含むことができる。
【0039】
ラジカル発生器206A~206Bの一方または両方に使用することができる適切な遠隔プラズマ源としては、高周波(RF)または超高周波(VHRF)容量結合プラズマ(CCP)源、誘導結合プラズマ(ICP)源、マイクロ波誘導(MW)プラズマ源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)チャンバ、または高密度プラズマ(HDP)チャンバが挙げられる。
【0040】
図示されるように、第1のラジカル発生器206Aは、ガス入り口223から上方に延びて第1のプラズマチャンバ容積281Aの出口と接続する第1および第2の導管294A~294Bを使用することによって処理チャンバ202に流体結合されている。第1の導管294Aと第2の導管294Bとの間に配置された第1のバルブ290Aは、第1のラジカル発生器206Aを処理チャンバ202およびガス供給システム204の他の部分から選択的に流体的に分離するために使用される。典型的には、第1のバルブ290Aは、活性化された洗浄ガス、例えば、ハロゲンラジカルが第1のプラズマチャンバ容積281Aに流入してその表面を損傷するのを防止するためにチャンバ洗浄プロセス中は閉じられている。
【0041】
第2のラジカル発生器206Bは、第3および第4の導管294C~294Dを使用することによって、第2の導管294Bに、したがって処理チャンバ202に流体結合されている。第2のラジカル発生器206Bは、第3の導管294Cと第4の導管294Dとの間に配置された第2のバルブ290Bを使用することによって、処理チャンバ202およびガス供給システム204の他の部分から選択的に分離される。
【0042】
堆積ガス、例えば、タングステン含有前駆体および還元剤は、第5の導管294Eを使用して、堆積ガス源240から処理チャンバ202に供給される。図示されるように、第5の導管294Eは、第1および第2のバルブ290A~290Bを使用して処理チャンバ202に導入される堆積ガスから第1および第2のラジカル発生器206A~206Bをそれぞれ分離することができるように、ガス入り口223に近接した位置で第2の導管294Bに結合されている。一部の実施形態では、ガス供給システム204は、第2のバルブ290Bに近接した位置で第4の導管294Dに結合された第6の導管294Fをさらに含む。第6の導管294Fは、バイパスガス源238、例えば、アルゴン(Ar)ガス源に流体結合され、バイパスガス源238は、ガス供給システム204の一部から望ましくない残留洗浄ガス、残留阻害ガス、および/または残留堆積ガスを定期的にパージするために使用することができる。
【0043】
処理システム200の動作は、システムコントローラ208によって促進される。システムコントローラ208は、メモリ296(例えば、不揮発性メモリ)およびサポート回路297と共に動作可能なプログラマブル中央処理装置、ここではCPU295を含む。CPU295は、様々なチャンバ部品およびサブプロセッサを制御するための、プラグラム可能な論理制御装置(PLC)などの産業環境で使用される任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つである。CPU295に結合されたメモリ296は、処理チャンバの動作を容易にする。サポート回路297は、従来通り、CPU295に結合され、処理システム200の様々な構成要素に結合されたキャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源など、およびこれらの組合せを備え、これらによって、基板処理動作の制御を容易にする。
【0044】
命令メモリ296内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形態である。一例では、本開示は、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラム製品として実装されてもよい。プログラム製品のプログラムは、(本明細書に記載の方法を含む)実施形態の機能を定義する。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持する場合、本開示の実施形態である。
【0045】
上述した処理システム200は、核生成、阻害、間隙充填堆積のそれぞれを実行するために使用することができ、したがって、単一チャンバのシームのないタングステン間隙充填ソリューションを提供する。
【0046】
図3は、一実施形態による、図2Aに示される処理システムの堆積ガス源240の拡大断面図である。堆積ガス源240は、還元剤ガス源などの第1のガス源302と、タングステン含有前駆体などの第2のガス源314とを含む。還元剤ガス源302は、リザーバ306と流体連結している。リザーバ306は、還元ガス源302で連続的に充填され、または補充バルブ304を使用して補充される。リザーバ306の圧力は、圧力計308を使用してモニタされる。リザーバ306を使用することにより、大量のガスを処理チャンバ202内に迅速に放出することが可能になることが分かった。大量のガスは、パルシング中などの動作中に処理チャンバ202に流入する還元ガスの大きなガス流量(例えば、約300sccm以上などの約200sccm以上)で放出される。還元ガスは、導管294Eに沿って配置されたバルブ310を介してリザーバ306からチャンバ202に放出される。第2のガス源314は、導管294Eを介してチャンバ202と流体連結している。第2のガス源314は、バルブ312を介してチャンバ202にタングステン含有前駆体を流す。バルブ304、310、および312のうちの1つまたは複数は、システムコントローラ208などのコントローラを使用して制御される。一部の実施形態では、バルブのうちの1つまたは複数は、動作パラメータに応じて、所定の間隔で所定の時間、開状態と閉状態とが切り替えられる。
【0047】
処理チャンバ202で基板を処理した後、基板は、図4に示す基板処理システム400などの、基板をアニールするための第2の処理システムに移送される。基板処理システム400は、急速熱処理(RTP)装置であってもよい。基板処理システム400は、熱処理チャンバ402と、熱処理チャンバ402に結合し、熱処理チャンバ402の処理領域406にプロセスガスを供給するために使用されるプロセスガス源404とを含む。処理領域406は、1つまたは複数の側壁408(例えば、円形の処理領域406に対して4つの側壁または単一の側壁)およびベース410によって囲まれている。側壁408の上部は、(例えば、「O」リングを使用して)窓アセンブリ412に密封されてもよい。放射エネルギーアセンブリ414は、窓アセンブリ412の上に配置され、それに結合されている。放射エネルギーアセンブリ414は、タングステンハロゲンランプであってもよい複数のランプ416を有し、各ランプは、レセプタクル418に取り付けられ、処理領域406に電磁放射を放出するように配置されている。図4の窓アセンブリ412は、複数の光パイプ420を有するが、窓アセンブリ412は、光パイプのない平坦な中実の窓を有するだけであってもよい。窓アセンブリ412は、窓アセンブリ412をその外周で囲むリムを形成する外壁422(例えば、円筒形の外壁)を有する。窓アセンブリ412はまた、複数の光パイプ420の第1の端部を覆う第1の窓424と、第1の端部の反対側の、複数の光パイプ420の第2の端部を覆う第2の窓426とを有する。第1の窓424および第2の窓426は、窓アセンブリ412の外壁422まで延在し、それと係合し、複数の光パイプ420を含む窓アセンブリ412の内部を封入および密閉する。このように光パイプが使用されている場合、外壁422を貫通する導管428を介して複数の光パイプ420のうちの1つに真空を印加することによって、複数の光パイプ420内に真空を生成することができ、この光パイプ420が残りの光パイプに流体接続されている。
【0048】
基板Wは、処理領域406内の支持リング430によって熱処理チャンバ402内に支持されている。支持リング430は、回転可能なシリンダ432に取り付けられている。回転可能なシリンダ432を回転させることによって、処理中に支持リング430および基板Wが回転する。熱処理チャンバ402のベース410は、処理中に基板Wの裏側にエネルギーを反射するための反射面434を有する。あるいは、熱処理チャンバ402のベース410と支持リング430との間に別個のリフレクタ(図示せず)を配置することができる。熱処理チャンバ402は、基板Wの温度を検出するために熱処理チャンバ402のベース410を貫通して配置された複数の温度プローブ436を含むことができる。上述したように別個のリフレクタが使用される場合、温度プローブ436も、基板Wから来る電磁放射に光学的にアクセスするために、別個のリフレクタを貫通して配置される。
【0049】
回転可能なシリンダ432は、磁気回転子438によって支持され、この磁気回転子438は、両方の部材が熱処理チャンバ402内に設置されたときに回転可能なシリンダ432が載置されるレッジ440を有する円筒形部材である。磁気回転子438は、レッジ440の下の磁石領域442に複数の磁石を有する。磁気回転子438は、ベース410に沿って熱処理チャンバ402の周辺領域に位置する環状ウェル444内に配置されている。カバー446は、ベース410の周辺部分に載置され、回転可能なシリンダ432および支持リング430に向かって環状ウェル444の上に延在し、カバー446と回転可能シリンダ432および/または支持リング430との間に公差間隙を残す。カバー446は、一般に、磁気回転子438を処理領域406のプロセス条件に曝されることからを保護する。
【0050】
磁気回転子438は、ベース410の周囲に配置された磁気固定子448からの磁気エネルギーによって回転する。磁気固定子448は複数の電磁石450を有し、基板Wの処理中に、回転パターンに従って電力を供給されて、磁気回転子438を回転させるための磁気エネルギーを提供する回転磁界を形成する。磁気固定子448は、支持体454によってリニアアクチュエータ452に結合されている。リニアアクチュエータ452を動作させることにより、磁気固定子448が熱処理チャンバ402の軸456に沿って移動し、これにより磁気回転子438、回転可能なシリンダ432、支持リング430、および基板Wが軸456に沿って移動する。
【0051】
処理ガスは、チャンバ入り口458を通って熱処理チャンバ402に供給され、紙面から外に配向され、チャンバ入り口458および支持リング430(図4には図示せず)と略同一平面に沿って配向されたチャンバ出口を通って排気される。基板は、側壁408に形成され、図4の後方に示されているアクセスポート460を通って熱処理チャンバ402に出入りする。
【0052】
図4には単一のガス源404が示されているが、追加のガス源も考えられる。ガス源404は、プラズマイニシエータ(図示せず)に結合されて、プロセス容積(process volume)に遠隔からラジカルを提供することもできる。ガス源404は、窒素含有ガス、酸素含有ガス、シリコン含有ガス、水素含有ガス、またはアルゴンもしくはヘリウムなどのプラズマ形成ガスのうちの1つまたは複数であってもよく、またはこれらを含むことができる。
【0053】
図5は、処理システム200および処理システム400を使用して実行することができる、一実施形態による基板を処理する方法500を示す図である。図6A図6Cは、ボイドがなくシームのないタングステン間隙充填プロセススキームの異なる段階における方法500の態様を示す、基板600の一部の概略断面図である。
【0054】
基板600は、複数の開口部605(1つが示されている)が内部に形成された誘電体材料層602を含むパターニングされた表面601を特徴とする。一部の実施形態では、複数の開口部605は、幅が約1μm以下、例えば、約800nm以下または約500nm以下、および深さが約2μm以上、例えば、約3μm以上または約4μm以上の高アスペクト比のビアもしくはトレンチ開口部の1つまたは組合せを含む。一部の実施形態では、開口部605の個々の開口部は、約3:1以上、例えば約5:1以上、10:1以上のアスペクト比(深さと幅の比)を有することができる。一部の実施形態では、ビアまたはトレンチ開口部は、約20nm~約50nmであり、アスペクト比が約3:1~約10:1である。
【0055】
図示されるように、パターニングされた表面601は、開口部605を共形に裏打ちし、タングステン核生成層604のその後の堆積を容易にするために、誘電体材料層602上に堆積させたバリアまたは接着層603、例えば窒化チタン(TiN)層を含む。一部の実施形態では、接着層603を約20オングストローム(Å)~約150Å、例えば約30Å~約100Åの厚さに堆積させる。
【0056】
操作502において、方法500は、接着層603を有する基板を、前駆体ガス流量でタングステン含有前駆体ガスに曝露することを含む。操作504において、基板は、還元剤流量で還元剤に曝露される。操作502と504とは、502または504のいずれかから開始して、周期的に交互に行われる。一部の実施形態では、操作502と504とは、操作502から開始して、操作504で終わるように、周期的に交互に行われる。操作502および504は一緒になって、核生成プロセスを使用して、基板上に核生成層604を形成する。還元剤ガス流量対前駆体剤流量の比は、体積比で約5:1以上、例えば約6:1~約10:1である。核生成層604が上に形成された例示的な基板600の一部が、図6Aに概略的に示されている。
【0057】
一部の実施形態では、原子層堆積(ALD)プロセスを使用して核生成層604を堆積させる。ALDプロセスは、基板600をタングステン含有前駆体に曝露するサイクルと、基板600を還元剤に曝露するサイクルとを交互に繰り返すことを含む。一部の実施形態では、処理領域221は、交互の曝露間にパージされる。一部の実施形態では、プロセス領域221は、操作402および404中に連続的にパージされる。適切なタングステン含有前駆体の例には、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、またはこれらの組合せなどのハロゲン化タングステンが含まれる。一部の実施形態では、タングステン含有前駆体は、WF6を含み、還元剤は、B26などのホウ素含有剤を含む。一部の実施形態では、タングステン含有前駆体は、有機金属前駆体および/またはフッ素を含まない前駆体、例えば、MDNOW(メチルシクロペンタジエニル-ジカルボニルイニトロシル-タングステン)、EDNOW(メチルシクロペンタジエニル-ジカルボニルイニトロシル-タングステン)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、またはこれらの組合せを含む。
【0058】
核生成プロセス中、処理容積215は、約900mTorr~約120Torr、約1Torr~約100Torr、または例えば約1Torr~約50Torrなど、約120Torr未満の圧力に維持される。基板600をタングステン含有前駆体に曝露することは、堆積ガス源240から処理領域221にタングステン含有前駆体を約100sccm以下、例えば、約10sccm~約60sccm、または約20sccm~約80sccmの流量で流すことを含む。基板600を還元剤に曝露することは、堆積ガス源240から処理領域221に還元剤を約300sccm~約750sccmなど、約200sccm~約1000sccmの流量で流すことを含む。図3に記載された堆積ガス源240は、還元ガス源302からリザーバ306を介して約100sccm以上、例えば約300sccm以上のガス流量で流すのに特に有用であることが分かった。
【0059】
本明細書に記載の様々な堆積および処理プロセスの流量は、直径300mmの基板を処理するように構成された処理システム200の場合であることに留意されたい。異なるサイズの基板を処理するように構成された処理システムには、適切なスケーリングを使用することができる。
【0060】
タングステン含有前駆体および還元剤は、それぞれ、約0.1秒~約10秒、例えば、約0.5秒~約5秒の期間にわたって、処理領域221に流される。処理領域221は、約0.5秒~約5秒など、約0.1秒~約10秒の期間にわたってアルゴン(Ar)または水素ガスなどのパージガスを処理領域221に流すことによって、交互の曝露間にパージすることができる。パージガスは、堆積ガス源240またはバイパスガス源238から供給されてもよい。典型的には、核生成プロセスの繰り返しサイクルは、核生成層604が約10Å~約200Å、例えば、約10Å~約150Åまたは約20Å~約150Åの厚さになるまで継続する。核生成層604は、バリアまたは接着層603の上など、開口部605の側壁に沿って配置される。核生成層は、ホウ素対タングステンの原子比が約1:nであり、nは約5以下であり、例えば約1:4.5~約1:1、例えば約1:4~約1:2、または約1:3~3:4、例えば約1.1:1~約2:1である。
【0061】
操作506において、方法500は、核生成層604を処理して、基板600のフィールド表面上のタングステン堆積を阻害し、差分阻害プロセスの使用によって複数の開口部605に差分阻害プロファイルを形成することを含む。典型的には、差分阻害プロファイルを形成することは、核生成層604を処理ガスの活性核種、例えば、図6Bに示される処理ラジカル606に曝露することを含む。阻害プロセスに使用することができる適切な処理ガスには、N2、H2、NH3、NH4、O2、CH4、またはこれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、処理ガスは、窒素、例えばN2、H2、NH3、NH4、またはこれらの組合せなどを含み、活性核種は、窒素ラジカル、例えば原子窒素を含む。一部の実施形態では、処理ガスは、不活性キャリアガス、例えばAr、He、またはこれらの組合せなどと組み合わせられて、処理混合ガスを形成する。
【0062】
理論に束縛されるものではないが、活性窒素核種(処理ラジカル606)は、活性窒素核種の吸着によって、および/または核生成層604の金属タングステンとの反応によって、核生成層604の一部に取り込まれて、窒化タングステン(WN)表面を形成すると考えられる。タングステン核生成層604の吸着された窒素および/または窒化された表面は、望ましくは、さらなるタングステン核生成を遅らせ(阻害し)、したがってタングステン核生成層への後続のタングステン堆積を遅らせる。
【0063】
一部の実施形態では、核生成層604を処理ラジカル606に曝露することは、第1のラジカル発生器206Aを使用して実質的にハロゲンを含まない処理混合ガスの処理プラズマ282Aを形成することと、処理プラズマ282Aの放出物を処理領域221に流すこととを含む。一部の実施形態では、第1のラジカル発生器206Aへの処理混合ガスの流量、したがって処理領域221への処理プラズマ放出物の流量は、約1sccm~約3000sccm、例えば約1sccm~約2500sccm、約1sccm~約2000sccm、約1sccm~約1000sccm、約1sccm~約500sccm、約1sccm~約250sccm、約1sccm~約100sccm、または約1sccm~約75sccm、例えば約1sccm~約50sccmである。
【0064】
一部の実施形態では、阻害処理プロセスは、約4秒以上、約6秒以上、約8秒以上、約9秒以上、約10秒~約20秒など、約2秒以上の期間にわたって基板600を処理ラジカル606に曝露することを含む。
【0065】
一部の実施形態では、処理混合ガス中の実質的にハロゲンを含まない処理ガスの濃度は、約0.1体積%~約50体積%、例えば約0.2体積%~約40体積%、約0.2体積%~約30体積%、約0.2体積%~約20体積%、または例えば約0.2体積%~約10体積%、例えば約0.2体積%~約5体積%である。
【0066】
他の実施形態では、処理ラジカル606は、シャワーヘッド218とリッドプレート216との間など、シャワーヘッド218によって処理領域221から分離された処理容積215の一部において点火および維持される遠隔プラズマ(図示せず)を使用して形成することができる。これらの実施形態では、活性化された処理ガスは、処理ラジカル606が処理領域221および基板600の表面に到達する前に、実質的にすべてのイオンを処理ガスから除去するために、イオンフィルタを通して流されてもよい。一部の実施形態では、シャワーヘッド218をイオンフィルタとして使用することができる。他の実施形態では、処理ラジカルを形成するために使用されるプラズマは、シャワーヘッド218と基板600との間の処理領域221に形成されるインシトゥプラズマである。一部の実施形態では、例えば、インシトゥ処理プラズマを使用する場合、基板600は、処理ガスから形成されたイオン、例えば、帯電した処理ラジカルの指向性を制御するように、および/または基板表面に向かって加速させるようにバイアスされてもよい。
【0067】
一部の実施形態では、阻害処理プロセスは、処理容積215を約100Torr未満の圧力に維持しながら、処理容積215内に活性化処理ガスを流すことを含む。例えば、阻害処理プロセスの間、処理容積215は、約75Torr未満、例えば約50Torr未満、約25Torr未満、約15Torr未満、または約0.5Torr~約120Torr、例えば約0.5Torr~約100Torr、または約0.5Torr~約50Torr、または例えば約1Torr~約10Torrの圧力に維持されてもよい。
【0068】
操作508において、方法500は、操作206における阻害処理によって提供される差分阻害プロファイルに従って、複数の開口部605内にタングステン間隙充填材料608(図6C)を堆積させることを含む。一実施形態では、タングステン間隙充填材料608は、タングステン含有前駆体ガスと還元剤とを処理領域221内に同時に流し(並行して流し)、基板600をこれらに曝露することを含む化学気相堆積(CVD)プロセスを使用して形成される。タングステン間隙充填CVDプロセスに使用されるタングステン含有前駆体および還元剤は、操作502および504を参照して説明したタングステン含有前駆体と還元剤との任意の組合せを含むことができる。一部の実施形態では、タングステン含有前駆体はWF6を含み、還元剤は水素ガスを含む。
【0069】
タングステン含有前駆体は、約10sccm~約1000sccm、または約50sccm超、または約1000sccm未満、または約100sccm~約900sccmの流量で処理領域221に流される。還元剤は、約500sccm超、例えば約750sccm超、約1000sccm超、または約500sccm~約10000sccm、例えば約1000sccm~約9000sccm、または約1000sccm~約8000sccmの流量で処理領域221に流される。
【0070】
一部の実施形態では、タングステン間隙充填CVDプロセス条件は、従来のタングステンCVDプロセスと比較して残留膜応力が相対的に低いタングステン特徴を提供するように選択される。例えば、一部の実施形態では、タングステン間隙充填CVDプロセスは、基板を約250℃以上、例えば、約300℃以上、または約250℃~約600℃、または約300℃~約500℃の温度に加熱することを含む。CVDプロセス中、処理容積215は、典型的には、約500Torr未満、約600Torr未満、約500Torr未満、約400Torr未満、または約1Torr~約500Torr、例えば、約1Torr~約450Torr、または約1Torr~約400Torr、または例えば、約1Torr~約300Torrの圧力に維持される。
【0071】
別の実施形態では、原子層堆積(ALD)プロセスを使用して操作508でタングステン間隙充填材料608を堆積させる。タングステン間隙充填ALDプロセスは、基板600をタングステン含有前駆体ガスと還元剤とに交互に曝露し、交互の曝露間に処理領域221をパージするサイクルを繰り返すことを含む。
【0072】
タングステン含有前駆体および還元剤は、それぞれ、約0.1秒~約10秒、例えば、約0.5秒~約5秒の期間にわたって、処理領域221に流される。処理領域221は、典型的には、アルゴン(Ar)または水素などの不活性パージガスを、約0.5秒~約5秒などの約0.1秒~約10秒の期間にわたって、処理領域221に流すことによって、交互の曝露間にパージされる。パージガスは、堆積ガス源240またはバイパスガス源238から供給されてもよい。
【0073】
他の実施形態では、タングステン間隙充填材料608は、処理領域221をパージすることなく、基板600をタングステン含有前駆体ガスと還元剤とに交互に曝露するサイクルを繰り返すことを含むパルスCVD法を使用して堆積させる。タングステン間隙充填パルスCVD法の処理条件は、タングステン間隙充填ALDプロセスについて上述したものと同じ、実質的に同じ、または同じ範囲内であってもよい。
【0074】
タングステンに対して高濃度のホウ素を有する核生成層604を形成すると、膜抵抗率が低下し、タングステン含有層の表面粗さが低下する一方で、様々な厚さ620、例えば、約2000Å以下の厚さ、例えば、約600Å以下の膜厚、例えば、約200Å~約600Åの厚さでシームのない、または実質的にシームのない間隙充填が維持されることが発見された。膜厚620は、開口部605の対向する側壁部分間の開口部内に配置されたタングステン含有層(例えば、核生成層604およびタングステン間隙充填材料608)の幅の半分として測定される。あるいは、膜厚620は、開口部605の中心線と、接着層603と核生成層604との界面との間の距離である。一部の実施形態では、核生成層604および充填層608は一体構造であり、これらの間に界面はない。タングステン間隙充填材料608および核生成層604が一緒になって、タングステン含有層の厚さ620に応じて約25μΩ・cm以下の抵抗率を有するタングステン含有層を形成する。タングステン含有層604、608は、タングステン含有層の厚さが約200Å以上で、約20μΩ・cm以下の抵抗率を含む。一部の実施形態では、タングステン含有層604、608は、タングステン含有層の厚さが約200Å~約600Åで、約17.5μΩ・cm以下の抵抗率を含む。一部の実施形態では、タングステン含有層604、608は、タングステン含有層の厚さが約450Å以上、例えば約450Å~約600Åで、約15μΩ・cm以下の抵抗率を含む。一部の実施形態では、タングステン含有層は、約3.5nm以下、例えば約2nm~約3nmの二乗平均平方根によって計算される表面粗さを含む。
【0075】
理論に束縛されるものではないが、核生成層におけるホウ素の増加は、薄膜領域(例えば、約200Å~約500Åなどの約600Å以下の厚さ620)におけるバルクタングステン結晶粒の成長を可能にし、タングステン粒界における電子散乱を低減し、抵抗率の低減をもたらすと考えられる。処理操作506の間、バルクタングステンの成長が遅れることで、コンタクト充填におけるシームサイズの低減が可能になる。
【0076】
操作510において、基板600がアニールされる。基板600をアニールすることにより、基板の抵抗率がさらに低下する。一部の実施形態では、基板600は、約1秒~約10分間、例えば約5秒~約120秒間、例えば約10秒~約100秒間、例えば約30秒~約60秒間アニールされる。一部の実施形態では、基板600は、約600℃以上、例えば約700℃~約1200℃、例えば約800℃~約1000℃、例えば約850℃~約950℃の温度で、約30Torr~約70Torr、例えば約50Torrのチャンバ圧力でアニールされる。一部の実施形態では、基板600は、N2ガスなどの窒素含有ガス、Arガスなどのアルゴン含有ガス、H2ガスなどの水素含有ガス、またはこれらの組合せを含むガスの存在下でアニールされる。一部の実施形態では、ガスは、約5L/分、例えば15L/分、例えば10L/分の体積流量で流される。
【0077】
アニールされた基板は、アニーリングによって改質された核生成層604を含む。改質された核生成層は、ホウ素対タングステンの原子比が約1:nであり、nは約4以下、例えば約1:3~約1:1、例えば約1:2~約1:1である。一部の実施形態では、改質された核生成層は、アニーリング前の核生成層604と比較して、タングステンに対して約10%以上の原子ホウ素濃度、例えば、タングステンに対して約2~3倍のホウ素量を含む。例として、一実施形態では、アニーリング前の核生成層は、約1:4~1:5、例えば約1:4.5の原子ホウ素対タングステンの比を含み、アニーリング後、改質された核生成層は、約1:1~約1:3、例えば約1:2のホウ素対タングステンの比を含む。
【0078】
アニールされた基板は、アニーリングにより改質されたタングステン含有層604、608を含む。改質されたタングステン含有層は、改質されたタングステン含有層の厚さ620に応じて、約20μΩ・cm以下の抵抗率を含む。改質されたタングステン含有層は、タングステン含有層の厚さが約200Å以上で約17μΩ・cm以下の抵抗率を含む。一部の実施形態では、改質されたタングステン含有層は、改質されたタングステン含有層の厚さが約200Å~約600Åで、約10μΩ・cm~16μΩ・cmの抵抗率を含む。一部の実施形態では、改質されたタングステン含有層は、タングステン含有層の厚さが約450Å以上、例えば約450Å~約600Åで、約10μΩ・cm~14μΩ・cmの抵抗率を含む。一部の実施形態では、タングステン含有層は、約3.5nm以下、例えば約2nm~約3nmの二乗平均平方根によって計算される表面粗さを含む。一部の実施形態では、改質されたタングステン含有層の抵抗率は、アニーリング前のタングステン含有層に対して10%以上、例えば約20%~約40%低下する。
【0079】
理論に束縛されるものではないが、基板600をアニールすると、タングステン含有層の構造の粒径が増大し、抵抗率の低下に寄与すると考えられる。一部の実施形態では、タングステン含有層604、608の粒径は、X線回折(XRD)イメージングによって測定して、アニーリング後に約5%以上、例えば約10%~約30%、例えば約15%~約20%増加した。改質されたタングステン含有物は、アルファ相タングステンを含み、ベータ相タングステンを実質的に含まないことがさらに観察された。アルファ相タングステンは安定であり、良好な導電性を有する。本明細書に記載のプロセスは、約1150Å~約1250Åの従来のSSWと比較して、約70Å~約100Åなど、約50Å~約300Åのインキュベーション成長を含むことも発見された。
【0080】
典型的な半導体製造スキームでは、開口部605にタングステン間隙充填材料608を堆積させた後に、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用して、基板のフィールド表面からタングステン材料(およびその下に配置されたバリア層)のオーバーバーデンを除去することができる。
【実施例
【0081】
図7は、一部の実施形態による、本明細書に記載の方法および比較方法を使用して形成された膜層の抵抗率を示す比較曲線を示す。曲線702、704、706、708は、各膜試料の膜厚の関数として膜抵抗率の結果を示す。本明細書で使用される場合、膜抵抗率は、4点プローブでシート抵抗を測定するために、KLA Rs-200抵抗率マッピングシステムを使用したASTM B193-20(2020)を使用して測定されている。膜厚は、Rigaku MFM65インラインXRFウエハ検査システムを用いて測定されている。シート抵抗に膜厚を乗じることで、膜抵抗率が得られる。
【0082】
曲線702は、アニーリング前に本明細書に記載のプロセスと同様のプロセスを用いて形成され、ホウ素対タングステン原子比が約1:4.5以下、例えば約1:4.6~約1:6の核生成層を有する膜に対応する。曲線702の試料膜は、方法500の操作502~508を使用して形成することができる。曲線702の試料膜は、操作508で説明したように、試料を遠隔プラズマ源からの窒素プラズマに曝露することによって形成された。曲線704は、従来のCVDプロセスを用いて堆積させた膜に対応する。曲線704によって示される従来のCVDプロセスでは、すべての厚さ領域にわたって比較的低い抵抗率がもたらされたが、膜には、開口部内にボイドおよびシームが含まれ、良好な構造特性は得られなかった。曲線702の膜は、ボイドおよびシームを実質的に含まない良好な間隙充填特性を提供したが、500Å未満の膜厚では、抵抗率が約20μΩ・cm以上に増加した。曲線706は、核生成層が約1:3~約1:2など、約1:4以上のホウ素対タングステン原子比を有するなど、核生成層中のホウ素の濃度を増加させた従来のCVDプロセスを使用して形成された膜に対応する。図から分かるように、従来のCVDプロセスを使用して形成された膜の核生成においてホウ素濃度を増加させた後の抵抗率は、膜抵抗率の低下をもたらす。厚さが200Å~600Åの薄い膜の抵抗率は、約16μΩ・cm以下の抵抗率を達成しない。
【0083】
曲線708は、アニーリング前に本明細書に記載のプロセス(例えば、方法500、操作502~508)を使用して形成され、ホウ素対タングステン原子比が約1:3~約1:2などの約1:4以上の核生成層を有する膜に対応する。曲線708の膜は、曲線708の膜が核生成層中により高いホウ素濃度を含んでいた以外は、曲線702の膜と同様であった。曲線708の膜は、ボイドおよびシームがない、または実質的にない良好な間隙充填特性を提供し、また、500Å未満の厚さおよび500Åを超える厚さに対して低い抵抗率の結果となった。曲線702に対応するフィルムと比較して、曲線708に対応する膜では、約200Å~約2000Åの厚さに対して膜抵抗率が10~70%減少するのと同時に、核生成層後の処理プロセスで使用される間隙充填も抑制された。膜抵抗率の減少は、厚膜に比べて薄膜の方が大きい。従来のCVDプロセスによって形成された試料と比較して、核生成層中のホウ素濃度がより高い、方法500の操作502~508を使用して形成された試料では、驚くべきことに、はるかに低い粗さではるかに低い抵抗率の低減された抵抗率がもたらされた。
【0084】
図8は、厚さが約300Åのタングステン含有層を有する試料に対するアニーリング温度の影響を示し、各試料上のタングステン含有層は、対照として方法500の操作502~508を使用して形成することができ、対応する試料は、アニーリングを伴う操作502~510を使用して形成することができる。データ点の各ペアは、600℃~850℃の範囲のアニーリング温度で、50度間隔で、アニールされなかった対照試料と比較した抵抗率測定値に対応する。図から分かるように、一般に、より高いアニーリング温度は、抵抗率の低下量がより大きくなることに対応した。抵抗率の改善に加えて、アニーリング後の膜は低い表面粗さを維持した。理論に束縛されるものではないが、顕微鏡イメージングによって観察されるように、結晶粒の成長は、粗い垂直方向の成長ではなく、膜厚がいくらか増加しながら平面的に起こったと考えられる。
【0085】
図9は、様々な厚さのタングステン含有層を有する試料に対するアニーリングの影響を示す。曲線902は、対照として方法500の操作502~508を使用して形成された試料の膜厚の関数としての抵抗率測定値を含み、曲線904は、アニーリングを伴う操作502~510を使用して形成された対応する試料の抵抗率測定値を含む。図から分かるように、300Å未満などのより薄い膜では、アニーリングのより大きな影響が観察される。
【0086】
表1は、アニーリング前後の粒径の比較を示す。第1の試料(s1)は、方法500の操作502~508を使用して形成された。アニーリング前のs1の厚さは227.7Åであり、抵抗率は45.6μΩ・cmであった。粒径は225Åと測定された。第2の試料(s2)は、第1の試料s1と同じ方法で形成され、次いで、850℃で60秒間アニールされた。試料の膜厚は5%未満拡大し、粒径は252Åに拡大した。粗さは、第1の試料と第2の試料との間で実質的に同じままであった。理論に束縛されるものではないが、トポロジーイメージングによって証明されるように、粒子の拡大は、粗さが実質的に同じままで、膜厚の拡大が最小限に抑えられるように平面的に起こったと考えられる。結晶粒が成長した結果、第2の試料s2は、第1の試料に比べて抵抗率が低下した。
【0087】
第3の試料(s3)は、方法500の操作502~508を使用して形成された。アニーリング前のs3の厚さは324.4Åであり、抵抗率は16.3μΩ・cmであった。粒径は265Åと測定された。第4の試料(s4)は、第3の試料s3と同様に形成され、その後、850℃で60秒間アニールされた。試料の膜厚は6%未満拡大し、粒径は316Åに拡大した。粗さは、第1の試料と第2の試料とで実質的に同じままであった。結晶粒が成長した結果、第4の試料s4は、第3の試料に比べて抵抗率が低下した。第1の試料と比較して第2の試料によって実証されるように、抵抗率の減少は、膜が薄いほどはるかに大きくなることが観察された。
【0088】
【表1】

【0089】
追加態様
本開示は、以下の非限定的な態様および/または実施形態を含むことができる。
【0090】
条項1.基板上の構造であって、基板内の開口部と、タングステン含有層であって、開口部の側壁に沿って配置された核生成層であり、ホウ素およびタングステンを含む、核生成層、ならびに開口部内の核生成層の上に配置された充填層であり、タングステン含有層が約16μΩ・cm以下の抵抗率を有し、タングステン含有層が約200Å~約600Åの厚さを有し、タングステン含有層の厚さが開口部の対向する側壁部分間の開口部内に配置されたタングステン含有層の幅の半分である、充填層を含む、タングステン含有層とを含む、構造。
【0091】
条項2.核生成層が約1:4~約1:1のホウ素対タングステン比を含む、条項1に記載の構造。
【0092】
条項3.ホウ素対タングステン比が約1:3~1:2である、条項1または条項2に記載の構造。
【0093】
条項4.基板と核生成層との間に配置された接着層をさらに含む、条項1~3のいずれか1項に記載の構造。
【0094】
条項5.タングステン含有層が、窒素、酸素、フッ素、またはこれらの組合せをさらに含む、条項1~4のいずれか1項に記載の構造。
【0095】
条項6.基板上の構造であって、基板内の開口部と、開口部の側壁上に配置された接着層と、側壁内の接着層の上に配置されたタングステン含有層であり、タングステン含有層が約16μΩ・cm以下の抵抗率を有し、約200Å~約600Åの厚さを有し、タングステン含有層の厚さが開口部の対向する側壁部分間の開口部内に配置されたタングステン含有層の幅の半分である、タングステン含有層とを含む、構造。
【0096】
条項7.タングステン含有層の厚さが約300Å~約600Åであり、タングステン含有層の抵抗率が約14μΩ・cm以下である、条項6に記載の構造。
【0097】
条項8.タングステン含有層がホウ素を含む核生成層を含む、条項6または条項7に記載の構造。
【0098】
条項9.ホウ素対タングステン比が約1:3~1:1である、条項6~8のいずれか1項に記載の構造。
【0099】
条項10.タングステン含有層が約3.5nm以下の二乗平均平方根によって計算された表面粗さを含む、条項6~9までのいずれか1項に記載の構造。
【0100】
条項11.タングステン含有層が約2nm~約3nmの二乗平均平方根によって計算された表面粗さを含む、条項6~10までのいずれか1項に記載の構造。
【0101】
条項12.基板上に構造を形成する方法であって、基板を前駆体ガス流量でタングステン含有前駆体ガスに曝露することと、基板を還元剤流量でホウ素を含む還元剤に曝露することであり、タングステン含有前駆体ガスと還元剤とが周期的に交互に施されて、基板の少なくとも1つの開口部内の基板の上に核生成層を形成する、曝露することと、少なくとも1つの開口部内の核生成層の上に充填層を堆積させることと、基板を約600℃~約1000℃でアニールすることとを含む、方法。
【0102】
条項13.基板をアニールする前に、基板を急速熱処理チャンバに移送することをさらに含む、条項12に記載の方法。
【0103】
条項14.基板をアニールすることが、基板を水素ガスに曝露することを含む、条項12または条項13に記載の方法。
【0104】
条項15.還元剤流量が約300sccm以上である、条項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【0105】
条項16.前駆体ガス流量が約60sccm以下である、条項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【0106】
条項17.リザーバを、リザーバの上流に配置されたリザーババルブを使用して還元剤で充填することと、リザーバから基板を含むプロセス容積に、プロセス容積とリザーバとの間に配置された質量流量制御バルブを開くことによって還元剤を流すこととをさらに含む、条項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
条項18.リザーバを充填することが、リザーバの圧力が所定の圧力を下回るときにリザーババルブを開くことをさらに含む、条項12~17のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
条項19.基板が約1秒~約10分間アニールされる、条項12~18のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
条項20.基板が約10秒~約60秒間アニールされる、条項19に記載の方法。
【0110】
条項21.基板をアニールすることが、窒素含有ガス、アルゴン含有ガス、水素含有ガス、またはこれらの組合せからなる群から選択されるガスを基板の上に流すことを含む、条項12~20のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
条項22.基板が基板の上方に配置された複数の加熱ランプからアニールされる、条項12~21のいずれか1項に記載の方法。
【0112】
条項23.基板が約700℃~約900℃の温度でアニールされる、条項12~22のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
条項24.還元剤ガス流量対前駆体剤流量比がm:1であり、mが体積比で約5以上である、条項12~23のいずれか1項に記載の方法。
【0114】
条項25.基板上に構造を形成する方法であって、基板を前駆体ガス流量でタングステン含有前駆体ガスに曝露することと、基板を還元剤流量でホウ素を含む還元剤に曝露することであり、タングステン含有前駆体ガスと還元剤とが周期的に交互に施されて、基板の少なくとも1つの開口部内の基板の上に核生成層を形成する、曝露することと、少なくとも1つの開口部内の核生成層の上に充填層を堆積させることであり、充填層および核生成層が一緒になって、第1の抵抗率を含むタングステン含有層を形成する、堆積させることと、タングステン含有層を約600℃~約1000℃でアニールして、第1の抵抗率よりも低い第2の抵抗率を有する改質されたタングステン含有層を形成することとを含む、方法。
【0115】
条項26.第2の抵抗率が第1の抵抗率よりも約10%~50%低い、条項25に記載の方法。
【0116】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のおよびさらなる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
【国際調査報告】