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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】車輪ブレーキの差圧制御
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B60T8/17 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520908
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 DE2022200224
(87)【国際公開番号】W WO2023057016
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021211245.5
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェンバッハ・ヴィクトル
(72)【発明者】
【氏名】フランケ・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】シェーンボーム・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェル・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー・ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】レンツ・マルク
(72)【発明者】
【氏名】シュリニヴァサイア・グルラジ
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246BA02
3D246GA22
3D246GB37
3D246GC14
3D246HA03A
3D246HA04A
3D246HA43A
3D246HA45A
3D246HC02
3D246JB53
3D246LA42Z
3D246LA57Z
3D246LA63Z
3D246LA73Z
(57)【要約】
本発明は、液圧式自動車ブレーキシステムの少なくとも1つの車輪ブレーキにおける液圧を制御するための方法であって、システム圧力が電動圧力供給デバイスによって生成され、開電流特性を有する特に無電流状態で開く入口弁の制御によって、システム圧力よりも低い必要液圧が少なくとも1つの車輪ブレーキにおいて設定される方法に関する。圧力制御を向上させるために、本発明によれば、入口弁は、特に開電流特性より下の開電流の印加によって開き、開電流によって、開電流特性上の中間電流に切り換えられるよう備えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式自動車制動システムの少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)における液圧を制御するための方法であって、システム圧力が電動圧力供給デバイス(5)によって生成され、開電流特性曲線(56)を有する特に常開入口弁(6a、b、c、d)の制御によって、前記システム圧力よりも低い必要液圧が前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において設定される方法において、前記入口弁(6a、b、c、d)は、特に前記開電流特性曲線(56)より下の開電流の印加によって開き、前記開電流から、前記開電流特性曲線(56)上の中間電流に切り換えられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記中間電流は、前記システム圧力と前記必要液圧との間の圧力差に基づいて前記開電流特性曲線(56)から特定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開電流は、前記入口弁(6a、b、c、d)を介する現在の圧力差に基づいて、及び/又は前記入口弁(6a、b、c、d)を通る必要体積流量に基づいて設定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記入口弁(6a、b、c、d)を介する前記圧力差は、前記システム圧力及び実際の車輪圧から特定され、特に、前記実際の車輪圧は、モデル計算から特定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記実際の車輪圧が設定値車輪圧に達すると直ちに、前記開電流から前記中間電流への切り換えが行われることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記実際の車輪圧と前記設定値車輪圧との間の差が閾値よりも大きくなると直ちに、前記開電流が前記入口弁(6a、b、c、d)に印加されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記入口弁(6a、b、c、d)はパルス化されることなく制御され、従って、前記設定値車輪圧への前記実際の車輪圧の圧力均等化は連続的に行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記設定値車輪圧が一定のままであるフォローアップ段階において、電動弁電流は、フォローアップ期間の間、前記中間電流に維持されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
閾値よりも小さい圧力勾配において、安定化パルスが周期的に前記入口弁(6a、b、c、d)に印加されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
弁電流がパルス制御に基づいて計算され、前記弁電流は前記中間電流と比較され、前記2つの電流のうちの小さい方が前記入口弁に印加されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
電動圧力供給デバイス(5)と、少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)と、前記車輪ブレーキ(8a、b、c、d)に割り当てられる常開入口弁(6a、b、c、d)と、前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において液圧を制御するために、前記電動圧力供給デバイス(5)によってシステム圧力を発生させ、開電流特性曲線(56)を有する前記常開入口弁(6a、b、c、d)の制御によって、前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において前記システム圧力よりも低い液圧を設定するよう設計される制御ユニット(12)とを有する、自動車のための液圧式制動システムにおいて、前記入口弁(6a、b、c、d)は、前記開電流特性曲線(56)より下の開電流の印加によって開き、前記開電流から、前記開電流特性曲線(56)上の中間電流に切り換えられることを特徴とする、液圧式制動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧式自動車制動システムの少なくとも1つの車輪ブレーキにおける液圧を制御するための方法であって、システム圧力が電動圧力供給デバイスによって生成され、開電流特性曲線を有する入口弁の制御によって、システム圧力よりも低い必要液圧が少なくとも1つの車輪ブレーキにおいて設定される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の現代的な制動システムは、多くの場合、ブレーキバイワイヤ方式に従って作動し、これらでは、運転者は個々の車輪ブレーキへの直接的な液圧接続を有していない。代わりに、個々の車輪ブレーキのためのブレーキ圧を提供する圧力供給デバイスが設けられている。しかし、この種の制動システムは、一般に、圧力供給デバイスよりも多くの個々の車輪ブレーキを有している。通常、ただ1つの圧力供給デバイスがかかる制動システムのために設けられている。異なる車輪圧を個々の車輪ブレーキにおいて設定するよう意図した場合、前記車輪圧は、車輪弁の使用によって実現される。従来の制動システムにおいても、アシスト機能の実装のために、電動圧力供給デバイスは、車輪弁によって分配される必要があるブレーキ圧を発生させる。
【0003】
この目的のために、先行技術において、変更が開電流特性曲線より下の電流と開電流特性曲線より上の電流との間で行われ、従って、入口弁はパルス状に開弁される。開口時間は、容積要件に基づいて特定される。
【0004】
独国特許出願公開第10 2012 222 897A1号明細書から、車輪固有のブレーキ圧を発生させるために、車輪ブレーキの入口弁を同様に個別に制御することが公知である。これは、圧力及び容積制御ユニットによって提供される圧力媒体体積流量が、圧力変更要件を有するそれぞれの車輪ブレーキに割り当てられることを意味する。選択された車輪ブレーキの入口弁の作動電流は、電流低減の継続時間が増圧容積における選択された車輪ブレーキの割合を規定するように、互いに関連して周期的に低減される。
【0005】
パラメータ及びモデルの不正確さに起因して、かかる制御は必然的に圧力制御誤差につながり、これは特に開ループ制御機能にとって問題となる可能性がある。更に、入口弁のかかる作動は、高い騒音負荷につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、個々の車輪ブレーキにおける向上した圧力設定を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
目的は、本発明によれば、まず入口弁に、特に常開入口弁の場合には開電流特性曲線より下の開電流が印加され、その結果、入口弁が開くことによって達成される。入口弁は、ここで、特に圧力供給デバイスと車輪ブレーキとの間に配置される。開電流特性曲線は、入口弁の上方の様々な差圧に対して規定しており、どの電流から入口弁がもはや開かなくなるかを示している。従って、弁は、特性曲線より下で開き、特性曲線より上で閉じる。
【0008】
前記開電流から、開電流特性曲線上の中間電流に、その後、切り換えが行われる。短い開時間の後、入口弁は、次いで、完全に閉じられるのではなく、むしろ中間状態に移行する。前記中間状態において、圧力要件が急激すぎる変化を伴わない限り、車輪圧が圧力要件に追従することができるような容積が入口弁を通って流れる。車輪圧は、従って、極めて正確に設定され、ノイズ放射は大幅に低減される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、中間電流は、システム圧力と必要液圧との間の圧力差に基づいて開電流特性曲線から特定される。従って、一般に、適切なセンサがないために直接測定することができず、代わりに圧力モデルから計算される現在の実際の車輪圧は、必要とされない。
【0010】
本発明の別の好ましい実施形態において、開電流は、入口弁を介する現在の圧力差に基づいて、及び/又は入口弁を通る必要体積流量に基づいて設定される。開電流は、入口弁が明確に開く電流である。従って、弁を開くための電流が単純にゼロに低減されるわけではないため、体積流量は調整可能であり、騒音負荷が最小限に抑えられる。
【0011】
本発明の特に好ましい実施形態において、入口弁を介する圧力差は、システム圧力及び実際の車輪圧から特定され、特に、実際の車輪圧は、モデル計算から特定され、車輪固有の圧力センサから特定されない。システム圧力とは、一般に、車輪入口圧力を意味するものと理解されてもよい。
【0012】
本発明の別の有利な実施形態において、実際の車輪圧が許容偏差内の設定値車輪圧に達すると直ちに、開電流から中間電流への切り換えが行われる。入口弁の全開は、従って、設定値圧力と実際の圧力との間の差をできるだけ迅速に克服するために、最初に大きな体積流量を可能にし、次いで、正確で静かな差圧制御を可能にするよう中間流量への切り換えが行われる。
【0013】
本発明の別の好ましい実施態様において、実際の車輪圧と設定値車輪圧との間の差が閾値よりも大きくなると直ちに、開電流が入口弁に印加される。例えば、0.5~3バールの間、特に約1バールの値を閾値として選択することができる。従って、設定値の急激な変化の場合において、車輪圧の設定値と実際値との間の大きな不一致が再び生じた場合には、設定値圧力への迅速な調整を可能にするために、開電流を再度印加することによって入口弁が全開する。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態において、入口弁はパルス化されることなく制御され、従って、設定値車輪圧への実際の車輪圧の圧力均等化は連続的に行われる。これにより、車輪圧の制御によるノイズ放射が大幅に低減される。
【0015】
本発明の更なる好ましい実施形態において、フォローアップ段階が一定の設定値車輪圧において開始される。電動弁電流は、フォローアップ期間の間、中間電流に維持される。100ms~500msの間の値をフォローアップ期間として選択することができる。実際の車輪圧は、これにより、以前にエラーがあった場合でも、設定値車輪圧に正確に設定される。
【0016】
本発明の更なる好ましい実施形態において、閾値よりも小さい圧力勾配、即ち設定値車輪圧の時間導関数において、安定化パルスが周期的に入口弁に印加される。既に説明したように、中間電流が印加されている場合、入口弁は安定状態にない。従って、流量の変化により、弁が完全に押し開かれる可能性がある。これを防止するために、計算された中間電流とより大きな安定化電流との間で交互に切り換えが行われる。しかし、安定化電流を有する安定化パルスは、弁プランジャが感知できるほど移動しないような短時間だけ印加される。特に、1msの持続時間を有するパルスを10ms~20ms毎に印加することができる。中間電流よりも50~500mA、特に100mA高い電流を、安定化電流として選択することができる。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態において、弁電流がパルス制御に基づいて計算され、弁電流は中間電流と比較され、2つの電流のうちの小さい方が入口弁に印加される。これにより、圧力設定が、公知のパルス制御又は容積制御によるよりも、差圧制御によってより緩慢に行われないことを確実にする。
【0018】
目的はまた、電動圧力供給デバイスと、少なくとも1つの車輪ブレーキと、車輪ブレーキに割り当てられる常開入口弁と、少なくとも1つの車輪ブレーキにおいて液圧を制御するために、電動圧力供給デバイスによってシステム圧力を発生させ、開電流特性曲線を有する常開入口弁の制御によって、少なくとも1つの車輪ブレーキにおいてシステム圧力よりも低い液圧を設定するよう設計される制御ユニットとを有する、自動車のための液圧式制動システムであって、入口弁は、開電流特性曲線より下の開電流の印加によって開き、開電流から、開電流特性曲線上の中間電流に切り換えられる液圧式制動システムによっても達成される。
【0019】
本発明の更なる特徴、利点、及び可能な用途は、以下の例示的な実施形態の説明及び図面からも得られる。説明及び/又は図示する全ての特徴は、個々にも、任意の組み合わせにおいても、特許請求の範囲又はその引用におけるそれらの要約とは無関係に、本発明の主題に属する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による制動システムを略図で示す。
図2】容積圧力制御の線図を示す。
図3】容積圧力制御の圧力曲線を有する線図を示す。
図4】開電流特性曲線を有する線図を示す。
図5】本発明による差圧制御の線図を示す。
図6】本発明による差圧制御の圧力曲線を有する線図を示す。
図7】圧力制御中のノイズ放射の線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示す自動車制動システムは、4つの液圧作動可能な車輪ブレーキ8a~8dを備える。制動システムは、作動ペダル即ちブレーキペダル1によって作動されるマスターブレーキシリンダ2と、マスターブレーキシリンダ2と相互作用する移動シミュレータ即ちシミュレーションデバイス3と、大気圧下にある圧力媒体リザーバ4と、電気的に制御可能な圧力供給デバイス5と、本実施例に従って入口弁6a~6d及び出口弁7a~7dとして構成される車輪別ブレーキ圧力調整弁を備える弁配置とを備える。更に、制動システムは、制動システムの電気的に作動可能なコンポーネントを制御するための少なくとも1つの電子的な開ループ及び閉ループ制御ユニット12を備える。
【0022】
実施例によれば、車輪ブレーキ8aは、左前輪(FL)に割り当てられ、車輪ブレーキ8bは、右前輪(FR)に割り当てられ、車輪ブレーキ8cは、左後輪(RL)に割り当てられ、車輪ブレーキ8dは、右後輪(RR)に割り当てられている。
【0023】
マスターブレーキシリンダ2は、ハウジング16内に、液圧チャンバ17を画成するマスターブレーキシリンダピストン15を有し、単回路マスターブレーキシリンダ2を構成する。圧力チャンバ17は、マスターブレーキシリンダ2が作動していない状態で、ピストン15を始動位置に位置決めする復元ばね9を収容している。圧力チャンバ17は、一端において、ピストン15内に形成された径方向ボア及び対応する圧力等化ライン41を介して圧力媒体リザーバ4に接続されており、前記ボア及びラインは、ハウジング16内におけるピストン15の相対運動によって遮断することができる。
【0024】
圧力チャンバ17は、他端において、液圧ラインセクション(第1のフィードラインとも称する)22によって、入口弁6a~6dの入力接続部が接続されるブレーキ供給ライン13に接続されている。マスターブレーキシリンダ2の圧力チャンバ17は、従って、全ての入口弁6a~6dに接続されている。
【0025】
実施例によれば、何の電気的に又は液圧で作動可能な弁も、圧力等化ライン41内に、又は圧力チャンバ17と圧力媒体リザーバ4との間の接続部に配置されていない。
【0026】
代替として、特に常時開の診断弁、好ましくは、常時開の診断弁と圧力媒体リザーバ4の方向に閉じる逆止弁との間の並列接続部は、圧力等化ライン41内に、又はマスターブレーキシリンダ2と圧力媒体リザーバ4との間に収容することができる。
【0027】
弁配置はまた、他の油圧弁を含んでもよい。遮断弁23が、圧力チャンバ17に接続されたフィードライン22とブレーキ供給ライン13との間に配置されている、又は圧力チャンバ17は、遮断弁23を有する第1のフィードライン22を介してブレーキ供給ライン13に接続されている。遮断弁23は、電気的に作動可能な、好ましくは常時開(NO)の2/2方向弁として設計されている。圧力チャンバ17とブレーキ供給ライン13との間の液圧接続は、遮断弁23によって遮断され得る。
【0028】
ピストンロッド24は、ペダル作動の結果としてのブレーキペダル1の枢動運動をマスターブレーキシリンダピストン15の並進運動に結合し、その作動移動は、好ましくは冗長設計の移動センサ25によって検出される。このように、対応するピストン移動信号は、ブレーキペダル作動角度の指標である。これは、車両運転者の制動要求を表す。
【0029】
第1のフィードライン22に接続された圧力センサ20は、ピストン15の変位の結果として圧力チャンバ17内で増加した圧力を検出する。この圧力値はまた、車両運転者の制動要求を特徴付ける又は特定するために評価され得る。圧力センサ20の代替として、車両運転者の制動要求を特定するために、力センサ20も用いることができる。
【0030】
本実施例によれば、シミュレーションデバイス3は、液圧式構成のものであり、マスターブレーキシリンダ2に液圧的に結合されている。シミュレーションデバイス3は、例えば、シミュレータチャンバ29と、シミュレータ後部チャンバ30と、2つのチャンバ29、30を互いに切り離すシミュレータピストン31とを実質的に有する。
【0031】
シミュレータピストン31は、シミュレータ後部チャンバ30(本例によればドライ)内に配置された弾性要素33(例えば、シミュレータばね)によってハウジング上に支持されている。本実施例によれば、液圧式シミュレータチャンバ29は、好ましくは電気的に作動可能な、好ましくは常時閉のシミュレータイネーブル弁32によって、マスターブレーキシリンダ2の圧力チャンバ17に接続されている。
【0032】
制動システムは、各液圧的に作動可能な車輪ブレーキ8a~8dのための入口弁6a~6d及び出口弁7a~7dを備え、入口弁と出口弁は、中央接続部を介して対で液圧的に相互接続されており、車輪ブレーキ8a~8dに接続されている。ブレーキ供給ライン13の方向に開く逆止弁(具体的には図示しない)が、入口弁6a~6dのそれぞれに並列で接続されている。出口弁7a~7dの出力接続は、共通の戻りライン14を介して圧力媒体リザーバ4に接続されている。弁、特に入口弁は、特にシート弁であってもよい。かかるシート弁は、流れがない場合、全開又は全閉の2つの安定した状態しか持たない。流れがシート弁を通過した場合、ばね力、磁力、及び圧縮力に加えて、流れの結果としての圧力変化から生じる流れ力も存在する。適切なばねの選択及び更に電磁特性(残留エアギャップ、コイル)によって、弁は、複数の安定した位置が流れ力によって生じるように設計することができる。しかし、これは、比例弁の品質に匹敵するものではなく、通常、かかる弁において、プランジャが中間位置で振動する傾向があるという問題があり、ひいては、ノイズ及び振動(NVH)につながる。
【0033】
電気的に制御可能な圧力供給デバイス5は、油圧シリンダピストン配置(若しくは単一回路の電気油圧アクチュエータ)又はリニアアクチュエータの形態であり、そのピストン36は、同様に略図で示す回転並進トランスミッション39の中間接続を有する、略図で示す電気モータ35によって作動可能である。ピストン36は、圧力供給デバイス5の単一の圧力チャンバ37を画成する。単に略図で示す、電動機35のロータ位置を検出する役割を果たすロータ位置センサを参照符号44によって示す。
【0034】
ラインセクション(第2のフィードラインとも称する)38が、電気的に制御可能な圧力供給デバイス5の圧力チャンバ37に接続されている。供給ライン38は、弁配置の一部として電気的に作動可能な、好ましくは常閉型のシーケンス弁26を介してブレーキ供給ライン13に接続されている。シーケンス弁26は、電気的に制御可能な圧力供給デバイス5の圧力チャンバ37とブレーキ供給ライン13(従って、入口弁6a~6dの入力接続部)との間の液圧接続部を制御された手法で開閉することを可能にする。
【0035】
圧力チャンバ37内に収容される圧力媒体に対するピストン36の力の作用によって生成されるアクチュエータ圧力は、第2のフィードライン38に供給される。「ブレーキバイワイヤ」動作モードにおいて、特に、制動システムの障害のない状態において、フィードライン38は、シーケンス弁26を介してブレーキ供給ライン13に接続されている。このようにして、通常の制動時に、ピストン36の前方及び後方への運動により、全ての車輪ブレーキ8a~8dの車輪ブレーキ圧力の増加及び減少がある。
【0036】
ピストン36の後方への移動による圧力減少の場合、圧力供給デバイス5の圧力チャンバ37から車輪ブレーキ8a~8dへと以前に移動した圧力媒体は、同様に、圧力チャンバ37に再び流入する。
【0037】
代替として、車輪別に異なる車輪ブレーキ圧力は、入口弁6a~6d及び出口弁7a~7dによって容易に調整することができる。対応する圧力の減少の場合、出口弁7a~7dを介して排出される圧力媒体の一部は、戻りライン14を介して圧力媒体リザーバ4に流入する。
【0038】
更なる圧力媒体は、シーケンス弁26が閉じた状態でのピストン36の後方への移動によって、圧力媒体が、アクチュエータ5への流れ方向に開く逆止弁53を有するライン42を介してリザーバ4からアクチュエータ圧力チャンバ即ち圧力チャンバ37へと流出することができることにより、圧力チャンバ37に引き込まれ得る。実施例によれば、圧力チャンバ37は、加えて、ピストン36の非作動状態において、1つ以上のブリーザ孔を介して圧力媒体リザーバ4に接続されている。圧力チャンバ37と圧力媒体リザーバ4との間のこの接続は、ピストン36が作動方向27に(十分に)作動すると切り離される。
【0039】
ブレーキ供給ライン13には、電気的に作動可能な、常開回路遮断弁40が配置されており、これを介して制動システムは2つの液圧部分回路に分割されている。ブレーキ供給ライン13は、ブレーキマスタシリンダ2に(遮断弁23を介して)接続される第1のラインセクション13aと、圧力供給デバイス5に(シーケンス弁26を介して)接続される第2の液圧部分回路内の第2のラインセクション13bとに分割されている。第1のラインセクション13aは、車輪ブレーキ8a、8bの入口弁6a、6bに接続されており、第2のラインセクション13bは、車輪ブレーキ8c、8dの入口弁6c、6dに接続されている。
【0040】
回路遮断弁40が開いた状態では、制動システムは単回路設計である。回路遮断弁40を閉じることによって、特に状況に応じて制御される制動システムは、2つの液圧部分回路、ブレーキ回路I及びIIに分離又は分割することができる。ここで、第1のブレーキ回路Iにおいては、マスターブレーキシリンダ2が、(遮断弁23を介して)フロントアクスルVAの車輪ブレーキ8a、8bの入口弁6a、6bのみに接続されており、第2のブレーキ回路IIにおいては、圧力供給デバイス5が、(シーケンス弁26が開かれた状態で)リヤアクスルHAの車輪ブレーキ8c及び8dのみに接続されている。
【0041】
回路遮断弁40が開いた状態で、全ての入口弁6a~6dの入力接続部に、ブレーキ供給ライン13によって、第1の動作モード(例えば「ブレーキバイワイヤ」動作モード)において圧力供給デバイス5により提供されるブレーキ圧力に対応する圧力が供給され得る。第2の動作モード(例えば、非通電フォールバック動作モード)において、マスターブレーキシリンダ2の圧力チャンバ17の圧力は、ブレーキ供給ライン13に印加され得る。この圧力はまた、回路遮断弁40が開いている場合に入口弁6a~6dの全てに印加されるため、システム圧力とも称する。
【0042】
制動システムは、有利には、圧力媒体リザーバ4内の圧力媒体レベル/充填レベルを特定するためのレベル測定デバイス50を備える。
【0043】
本実施例によれば、液圧コンポーネント、即ちマスターブレーキシリンダ2、シミュレーションデバイス3、圧力供給デバイス5、液圧弁6a~6d、7a~7d、23、26、40、及び32を有する弁配置、並びにまた、ブレーキ供給ライン13を含む液圧接続部は、液圧式開ループ及び閉ループ制御ユニット60(HCU)内に一緒に配置されている。電子的な開ループ及び閉ループ制御ユニット(ECU)12は、液圧式開ループ及び閉ループ制御ユニット60に割り当てられている。液圧式及び電子的な開ループ及び閉ループ制御ユニット60、12は、好ましくは、1つのユニット(HECU)として構成されている。
【0044】
制動システムは、圧力供給デバイス5によって提供される圧力を検出するための圧力センサ19又はシステム圧力センサを備える。ここで、圧力センサ19は、圧力供給デバイス5の圧力チャンバ37から見た場合に、シーケンス弁26の下流に配置されている。
【0045】
液圧作動に加えて、2つの後輪ブレーキ8c、8dはそれぞれ、電気機械式パーキングブレーキとして設計される一体型パーキングブレーキ48c、48dを備えている。
【0046】
通常動作モードにおいて、遮断弁23は閉じられ、シーケンス弁26及び回路遮断弁40は開かれ、従って、全ての車輪ブレーキ8a~8d内の液圧がリニアアクチュエータ5によって設定される。個々の車輪ブレーキ8a~8dにおける異なるブレーキ圧を制御するため、それぞれの入口弁6a~6dは状況に応じて制御されなければならない。
【0047】
先行技術から公知であるような入口弁のかかる制御を、図2に示している。前車軸の設定値圧力51は、後車軸の設定点圧力52よりも高い。従って、前車軸の設定値圧力51は、前車軸の車輪ブレーキ8a、8bの入口弁6a、6bが全開である場合、リニアアクチュエータ5によって直接設定することができる。後車軸の設定値圧力52は、これに対して、入口弁6c、6dのパルス制御によって制御される。図2に示すように、当初は、前車軸の設定点圧力51のみが増加し、後車軸の設定点圧力はゼロのままである。それに対応して、後車軸の入口弁6c、6dには、入口弁を確実に閉じる閉電流53aが供給される。短時間の後、この閉電流は、入口弁を確実に閉状態に保つのに十分な保持電流53bまで低減される。
【0048】
後車軸の設定値圧力(preq)52が上昇すると直ちに、前記「容積制御」において、第1のステップで、圧力要求preqと実際に推定された車輪圧pmodとから、差分体積dVが特定される。制動システム内に格納される圧力容積特性曲線(pV特性曲線)が、この目的のために用いられる。
dV=pV(preq)-pV(pmod
【0049】
更に、所望の体積流量qが、設定値圧力勾配pgrad及びpV特性曲線の導関数から特定される。
【数1】
【0050】
第2のステップにおいて、入口弁のための電流が次いで特定され、これにより、弁を介して現在優勢な差圧のための体積流量qを可能にする。体積流量qによって弁を介して差分体積dVを搬送するために、弁は、弁作動時間Tau=dV/qの間、開放されたままにされる。弁作動時間Tauの後、閉電流が入口弁に印加され、これにより、入口弁は再び全閉にされる。図2に示す実施例のように、設定値圧力が更に増加すると、今度は、新しい設定値圧力52(preq)と現在の実際の車輪圧との間に差が生じる。したがって、上記のステップが繰り返され、別の開パルスが入口弁に印加される。後車軸の設定値52が一定のままであれば、保持電流が、最後の閉パルスの後に設定され、入口弁を閉状態に保持する。
【0051】
容積制御から得られる圧力曲線を図3に示している。当初、前車軸の実際の車輪圧54は、リニアアクチュエータ5によって直接設定されるため、設定値車輪圧51に極めて正確に追従する。後車軸の設定値圧力52も増加し、容積制御が入口弁をパルス状に開くと直ちに、車輪における後車軸の圧力55と車輪における前車軸の圧力54との両方が、結果として多数の小さい圧力ピークを生じる。
【0052】
図4は、典型的な入口弁6の開電流特性曲線を示している。開電流特性曲線56は、入口弁を介する様々な差圧DPと、入口弁が閉じられる電流範囲(開電流特性曲線より上)と、入口弁が閉じられる電流(開電流特性曲線より下)との傾向を示す。
【0053】
図5は、図2と同等のものとして、本発明による差圧制御を示している。前車軸及び後車軸の設定値圧力曲線51及び52は、図2と同一である。従って、電流曲線53は再びパルス53aも有し、その後に、後車軸の入口弁6c、6bを全閉状態に保持する保持電流53bが続く一方で、後車軸の設定値圧力52の圧力要件は依然としてゼロのままである。後車軸の設定値圧力52が増加すると直ちに、第1の開パルス53cが接続される。この目的のために、弁電流及び弁作動時間Tauは、上で説明したように計算することができる。しかし、この開電流から閉電流への切換えは行われず、開電流特性曲線56上の弁電流が選択される。入口弁6は、これに対応して、所定の閉状態にも所定の開状態にもなく、むしろ、入口弁6は中間状態にある。弁電流は、システム圧力と設定値52との間で計算される差圧に対する開電流特性曲線56から選択される。したがって、これは、圧力差の実際の値ではなく、圧力差の設定値を直接伴う。しかし、設定値と実際値は互いに近いため、その差は小さい。設定値52の変化が極めて緩慢である場合には、実際の車輪圧60が設定値車輪圧52に正確に追従することができるように、正確に同じ量の体積が入口弁6を通って流れる。後車軸の設定値52と前車軸の設定値51との間の差圧は徐々に減少する。図4に示すように、弁電流57は、したがって、開電流特性曲線56上で左に移動する。
【0054】
図6から推測することができるように、前車軸及び後車軸の実際の車輪圧54、55は、設定値51、52による規定にはるかに正確に従う。特に、開電流特性曲線上の弁電流の制御は、システム圧力とそれぞれの車輪ブレーキのための設定値52preqとの間の圧力差のみに依存することに留意されたい。特に、一般に直接測定することができない実際の車輪圧は、圧力制御には含まれないが、代わりにモデル計算に由来する。大きな不正確さを示す可能性があるpV特性曲線は、この領域における圧力制御にも含まれない。これは、圧力制御の精度及びロバスト性を大幅に向上する。
【0055】
図7は、補足的に、容積制御による圧力設定中のノイズ放射61と、差圧制御による圧力設定中のノイズ放射62とを示している。ノイズ放射は、最初は依然として同等である一方で、容積制御において、入口弁の急速な開閉が、多数のノイズピークを生じさせ、これらが高いノイズレベルになることが判明している。差圧制御では、これらのピークは存在せず、はるかに静かなノイズレベルが達成される。
【符号の説明】
【0056】
1 ブレーキペダル
2 マスターブレーキシリンダ
3 シミュレーションデバイス
4 圧力媒体リザーバ
5 圧力供給デバイス
6a~d 入口弁
7a~d 出口弁
8a~d 車輪ブレーキ
9 復元ばね
12 制御システム
13 ブレーキ供給ライン
14 戻りライン
16 ハウジング
17 圧力チャンバ
19 システム圧力センサ
20 マスタシリンダ圧力センサ
22 第1のフィードライン
23 遮断弁
24 ピストンロッド
25 移動センサ
26 シーケンス弁
29 シミュレータチャンバ
30 シミュレータ後部チャンバ
31 シミュレータピストン
32 シミュレータイネーブル弁
33 弾性要素
35 ピストン
36 電動機
37 圧力チャンバ
38 フィードライン
39 回転並進機構
40 回路遮断弁
41 圧力等化ライン
42 ライン
44 ロータ位置センサ
45 逆止弁
50 レベルセンサ
51 前車軸の設定値圧力
52 後車軸の設定値圧力
53 パルス化された入口弁の弁電流
54 前車軸の圧力曲線
55 後車軸の圧力曲線
56 開電流特性曲線
57 電流曲線上の圧力上昇
58 電流値のフォローアップ期間
59 フォローアップ期間
60 モデル圧力
61 ノイズ放射の容積制御
62 ノイズ放射の圧力差制御
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
図7は、補足的に、容積制御による圧力設定中のノイズ放射61と、差圧制御による圧力設定中のノイズ放射62とを示している。ノイズ放射は、最初は依然として同等である一方で、容積制御において、入口弁の急速な開閉が、多数のノイズピークを生じさせ、これらが高いノイズレベルになることが判明している。差圧制御では、これらのピークは存在せず、はるかに静かなノイズレベルが達成される。
本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.液圧式自動車制動システムの少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)における液圧を制御するための方法であって、システム圧力が電動圧力供給デバイス(5)によって生成され、開電流特性曲線(56)を有する特に常開入口弁(6a、b、c、d)の制御によって、前記システム圧力よりも低い必要液圧が前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において設定される方法において、前記入口弁(6a、b、c、d)は、特に前記開電流特性曲線(56)より下の開電流の印加によって開き、前記開電流から、前記開電流特性曲線(56)上の中間電流に切り換えられることを特徴とする、方法。
2.前記中間電流は、前記システム圧力と前記必要液圧との間の圧力差に基づいて前記開電流特性曲線(56)から特定されることを特徴とする、上記1.に記載の方法。
3.前記開電流は、前記入口弁(6a、b、c、d)を介する現在の圧力差に基づいて、及び/又は前記入口弁(6a、b、c、d)を通る必要体積流量に基づいて設定されることを特徴とする、上記1.又は2.に記載の方法。
4.前記入口弁(6a、b、c、d)を介する前記圧力差は、前記システム圧力及び実際の車輪圧から特定され、特に、前記実際の車輪圧は、モデル計算から特定されることを特徴とする、上記3.に記載の方法。
5.前記実際の車輪圧が設定値車輪圧に達すると直ちに、前記開電流から前記中間電流への切り換えが行われることを特徴とする、上記1.~4.のいずれか一つに記載の方法。
6.前記実際の車輪圧と前記設定値車輪圧との間の差が閾値よりも大きくなると直ちに、前記開電流が前記入口弁(6a、b、c、d)に印加されることを特徴とする、上記1.~5.のいずれか一つに記載の方法。
7.前記入口弁(6a、b、c、d)はパルス化されることなく制御され、従って、前記設定値車輪圧への前記実際の車輪圧の圧力均等化は連続的に行われることを特徴とする、上記1.~6.のいずれか一つに記載の方法。
8.前記設定値車輪圧が一定のままであるフォローアップ段階において、電動弁電流は、フォローアップ期間の間、前記中間電流に維持されることを特徴とする、上記1.~7.のいずれか一つに記載の方法。
9.閾値よりも小さい圧力勾配において、安定化パルスが周期的に前記入口弁(6a、b、c、d)に印加されることを特徴とする、上記1.~8.のいずれか一つに記載の方法。
10.弁電流がパルス制御に基づいて計算され、前記弁電流は前記中間電流と比較され、前記2つの電流のうちの小さい方が前記入口弁に印加されることを特徴とする、上記1.~9.のいずれか一つに記載の方法。
11.電動圧力供給デバイス(5)と、少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)と、前記車輪ブレーキ(8a、b、c、d)に割り当てられる常開入口弁(6a、b、c、d)と、前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において液圧を制御するために、前記電動圧力供給デバイス(5)によってシステム圧力を発生させ、開電流特性曲線(56)を有する前記常開入口弁(6a、b、c、d)の制御によって、前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において前記システム圧力よりも低い液圧を設定するよう設計される制御ユニット(12)とを有する、自動車のための液圧式制動システムにおいて、前記入口弁(6a、b、c、d)は、前記開電流特性曲線(56)より下の開電流の印加によって開き、前記開電流から、前記開電流特性曲線(56)上の中間電流に切り換えられることを特徴とする、液圧式制動システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式自動車制動システムの少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)における液圧を制御するための方法であって、システム圧力が電動圧力供給デバイス(5)によって生成され、開電流特性曲線(56)を有する特に常開入口弁(6a、b、c、d)の制御によって、前記システム圧力よりも低い必要液圧が前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において設定される方法において、前記入口弁(6a、b、c、d)は、特に前記開電流特性曲線(56)より下の開電流の印加によって開き、前記開電流から、前記開電流特性曲線(56)上の中間電流に切り換えられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記中間電流は、前記システム圧力と前記必要液圧との間の圧力差に基づいて前記開電流特性曲線(56)から特定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開電流は、前記入口弁(6a、b、c、d)を介する現在の圧力差に基づいて、及び/又は前記入口弁(6a、b、c、d)を通る必要体積流量に基づいて設定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記入口弁(6a、b、c、d)を介する前記圧力差は、前記システム圧力及び実際の車輪圧から特定され、特に、前記実際の車輪圧は、モデル計算から特定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記実際の車輪圧が設定値車輪圧に達すると直ちに、前記開電流から前記中間電流への切り換えが行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記実際の車輪圧と前記設定値車輪圧との間の差が閾値よりも大きくなると直ちに、前記開電流が前記入口弁(6a、b、c、d)に印加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記入口弁(6a、b、c、d)はパルス化されることなく制御され、従って、前記設定値車輪圧への前記実際の車輪圧の圧力均等化は連続的に行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記設定値車輪圧が一定のままであるフォローアップ段階において、電動弁電流は、フォローアップ期間の間、前記中間電流に維持されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
閾値よりも小さい圧力勾配において、安定化パルスが周期的に前記入口弁(6a、b、c、d)に印加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
弁電流がパルス制御に基づいて計算され、前記弁電流は前記中間電流と比較され、前記2つの電流のうちの小さい方が前記入口弁に印加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
電動圧力供給デバイス(5)と、少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)と、前記車輪ブレーキ(8a、b、c、d)に割り当てられる常開入口弁(6a、b、c、d)と、前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において液圧を制御するために、前記電動圧力供給デバイス(5)によってシステム圧力を発生させ、開電流特性曲線(56)を有する前記常開入口弁(6a、b、c、d)の制御によって、前記少なくとも1つの車輪ブレーキ(8a、b、c、d)において前記システム圧力よりも低い液圧を設定するよう設計される制御ユニット(12)とを有する、自動車のための液圧式制動システムにおいて、前記入口弁(6a、b、c、d)は、前記開電流特性曲線(56)より下の開電流の印加によって開き、前記開電流から、前記開電流特性曲線(56)上の中間電流に切り換えられることを特徴とする、液圧式制動システム。
【国際調査報告】