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  • 特表-ネオペンチルグリコールの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ネオペンチルグリコールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/141 20060101AFI20240927BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20240927BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C07C29/141
C07C31/20 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520923
(86)(22)【出願日】2023-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 KR2023013048
(87)【国際公開番号】W WO2024053936
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0114485
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0111966
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン キュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ナ ロ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、セウン シク
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC41
4H006AD13
4H006BA05
4H006BA06
4H006BA21
4H006BA30
4H006BC10
4H006BC11
4H006BD33
4H006BD52
4H006FE11
4H006FG29
4H039CA60
4H039CB20
(57)【要約】
本発明は、アルドール縮合反応して、ヒドロキシピバルデヒドを含む第1反応生成物を得るステップと、前記第1反応生成物を抽出剤と接触し、蒸留して、抽出液および抽残液を得るステップと、前記抽残液を鹸化反応器に供給して触媒に還元させ、前記触媒を統合回収塔に供給するステップと、前記抽出液をアルドール精製塔に供給し、蒸留して、上部排出ストリームおよび下部排出ストリームを得るステップと、前記アルドール精製塔の上部排出ストリームを統合回収塔に供給し、下部排出ストリームは水添反応器に供給して、ネオペンチルグリコールを含む第2反応生成物を得るステップと、前記第2反応生成物からネオペンチルグリコールを取得するステップとを含むネオペンチルグリコールの製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液とイソブチルアルデヒドをアルドール反応器でアルドール縮合反応して、ヒドロキシピバルデヒドを含む第1反応生成物を得るステップと、
前記第1反応生成物をアルドール抽出塔に供給し、抽出剤と接触させて、ヒドロキシピバルデヒドを含む抽出液および触媒塩を含む抽残液を得るステップと、
前記抽残液を鹸化反応器に供給して、前記触媒塩を触媒に還元させ、前記触媒を含む鹸化反応器排出ストリームを統合回収塔に供給するステップと、
前記抽出液をアルドール精製塔に供給し、蒸留して、ヒドロキシピバルデヒドを含む前記アルドール精製塔の下部排出ストリームおよび未反応イソブチルアルデヒドを含む前記アルドール精製塔の上部排出ストリームを得るステップと、
前記アルドール精製塔の前記上部排出ストリームを前記統合回収塔に供給し、前記アルドール精製塔の前記下部排出ストリームを水添反応器に供給し、水添反応させて、ネオペンチルグリコールを含む第2反応生成物を得るステップと、
前記統合回収塔の上部から未反応イソブチルアルデヒドおよび触媒を回収するステップと、
前記第2反応生成物からネオペンチルグリコールを取得するステップとを含む、ネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項2】
前記統合回収塔の上部から回収された未反応イソブチルアルデヒドおよび触媒を前記アルドール反応器に循環させるステップをさらに含む、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項3】
前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム内の触媒含量に対する前記鹸化反応器排出ストリーム内の触媒含量の比は、0.60~1.20である、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項4】
前記統合回収塔の上部の運転圧力は、440torr~3600torrである、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項5】
前記統合回収塔の上部の温度は、50℃~150℃である、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項6】
前記第2反応生成物は、触媒、ネオペンチルグリコール、抽出剤およびヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル(HPNE)を含み、
前記第2反応生成物から前記ネオペンチルグリコールを取得するステップは、
前記第2反応生成物をネオペンチルグリコール精製塔に供給して、触媒および抽出剤を含むストリームを抽出剤精製塔に供給し、ヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステルを含むストリームをヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル精製塔に供給し、ネオペンチルグリコールを含むストリームからネオペンチルグリコールを取得するステップと、
前記ヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル精製塔の下部からヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステルを取得するステップとをさらに含んで行われる、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項7】
前記ネオペンチルグリコールは、前記ネオペンチルグリコール精製塔の最上部から下部側へ40%~80%の高さの側部から取得する、請求項6に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項8】
前記抽出剤精製塔の上部から触媒を回収し、前記統合回収塔に供給するステップと、
前記抽出剤精製塔の下部から抽出剤を回収するステップとを含む、請求項6に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項9】
前記触媒は、トリエチルアミン(Triethyl amine;TEA)を含む、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項10】
前記抽出剤は、2-エチルヘキサノール(2-Ethyl Hexanol;2-EH)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項11】
前記統合回収塔の上部は、前記統合回収塔の最上部から下部側へ70%~100%である、請求項4に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年9月8日付けの韓国特許出願第10-2022-0114485号および2023年8月25日付けの韓国特許出願第10-2023-0111966号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、ネオペンチルグリコールを製造する方法に関し、より詳細には、アルドール縮合反応の未反応原料および触媒を回収し、リサイクルするための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ネオペンチルグリコールは、一般的に、触媒の存在下で、イソブチルデヒドおよびホルムアルデヒドをアルドール縮合反応させてヒドロキシピバルデヒドを形成し、前記ヒドロキシピバルデヒド(hydroxypivaldehyde)に対して水添反応を行って製造することができる。
【0004】
しかし、アルドール縮合反応過程で発生するカニッツァーロ(Cannizzaro)副反応からギ酸が生成され、前記ギ酸によって触媒が触媒塩に変化し、前記触媒塩は、水相の形態で従来廃水処理されていた。
【0005】
すなわち、廃棄される触媒塩によって環境的汚染の問題を引き起こし、投入された触媒が触媒塩に生成されて廃棄されるだけ、新たな触媒を投入し続けなければならない過程で、生産コストが増加する問題があった。
【0006】
また、前記アルドール縮合反応工程において、未反応のイソブチルアルデヒドおよび副反応によって生成された触媒塩を、前記アルドール縮合反応工程の後に、それぞれ別の工程により回収を行ったときに、工程管理が非効率的であり、エネルギー使用量が過剰になる問題があった。したがって、このように、未反応イソブチルアルデヒドおよび廃棄される触媒塩を回収して再使用するに際し、環境にやさしいとともにエネルギー使用量をより減少させることができる工程が導入されなければならない状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、高純度のネオペンチルグリコールを高い回収率で取得することができ、且つ全体的な工程において環境にやさしく、エネルギー使用量をさらに節減することができるネオペンチルグリコールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、触媒の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液とイソブチルアルデヒドをアルドール反応器でアルドール縮合反応して、ヒドロキシピバルデヒドを含む第1反応生成物を得るステップと、前記第1反応生成物をアルドール抽出塔に供給し、抽出剤と接触させて、ヒドロキシピバルデヒドを含む抽出液および触媒塩を含む抽残液を得るステップと、前記抽残液を鹸化反応器に供給して、前記触媒塩を触媒に還元させ、前記触媒を含む鹸化反応器排出ストリームを統合回収塔に供給するステップと、前記抽出液をアルドール精製塔に供給し、蒸留して、ヒドロキシピバルデヒドを含む下部排出ストリームおよび未反応イソブチルアルデヒドを含む上部排出ストリームを得るステップと、前記アルドール精製塔の前記上部排出ストリームを前記統合回収塔に供給し、前記下部排出ストリームは水添反応器に供給し、水添反応させて、ネオペンチルグリコールを含む第2反応生成物を得るステップと、前記統合回収塔の上部から未反応イソブチルアルデヒドおよび触媒を回収するステップと、前記第2反応生成物からネオペンチルグリコールを取得するステップとを含むネオペンチルグリコールの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のネオペンチルグリコールの製造方法によると、アルドール縮合反応の後に生成された触媒塩を鹸化反応により触媒に還元し、前記還元された触媒を回収することにより、アルドール縮合反応の触媒を効率的に再使用することができる。これにより、ネオペンチルグリコールを経済的に製造することができ、且つ環境汚染を低減することができる。
【0010】
さらに、本発明は、アルドール縮合反応時に未反応のイソブチルアルデヒドを再使用するための統合回収塔で前記還元された触媒もともに回収することにより、還元された触媒の回収のために別の回収手段を備える場合に比べて、工程を単純化することができ、高効率的に工程を管理することができる。
【0011】
また、前記統合回収塔の上部廃熱を、例えば、スチーム生産に使用することにより、エネルギーをさらに効率的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるネオペンチルグリコールの製造方法を示す工程フローチャートである。
図2】本発明の比較例1によるネオペンチルグリコールの製造方法を示す工程フローチャートである。
図3】本発明の比較例2によるネオペンチルグリコールの製造方法を示す工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の説明および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0014】
本発明において、「ストリーム(stream)」は、工程内の流体(fluid)の流れを意味し得、また、配管内に流れる流体自体を意味し得る。具体的には、前記「ストリーム」は、各装置を連結する配管内に流れる流体自体および流体の流れを同時に意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)または液体(liquid)を意味し得、前記流体に固体成分(solid)が含まれている場合を排除するものではない。
【0015】
一方、本発明において、抽出塔、精製塔、蒸留塔または蒸留カラム、および回収塔等の装置において、前記装置の「下部」とは、特に断りのない限り、前記装置の最上部から下方へ95%~100%の高さの地点を意味し、具体的には、最下端(塔底)を意味し得る。同様に、前記装置の「上部」とは、特に断りのない限り、前記装置の最上部から下方へ0%~5%の高さの地点を意味し、具体的には、最上部(塔頂)を意味し得る。
【0016】
一方、本発明において、抽出塔、精製塔、蒸留塔、および回収塔などの装置において、前記装置の運転温度とは、特に断りのない限り、前記装置の下部温度を示すことができる。同様に、前記装置の運転圧力とは、特に断りのない限り、前記装置の上部圧力を示すことができる。
【0017】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、本発明を図1を参照してさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施形態によると、触媒の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液とイソブチルアルデヒドをアルドール反応器でアルドール縮合反応して、ヒドロキシピバルデヒドを含む第1反応生成物を得るステップと、前記第1反応生成物をアルドール抽出塔に供給し、抽出剤と接触させて、ヒドロキシピバルデヒドを含む抽出液および触媒塩を含む抽残液を得るステップと、前記抽残液を鹸化反応器に供給して、前記触媒塩を触媒に還元させ、前記触媒を含む鹸化反応器排出ストリームを統合回収塔に供給するステップと、前記抽出液をアルドール精製塔に供給し、蒸留して、ヒドロキシピバルデヒドを含む下部排出ストリームおよび未反応イソブチルアルデヒドを含む上部排出ストリームを得るステップと、前記アルドール精製塔の上部排出ストリームを前記統合回収塔に供給し、前記アルドール精製塔の下部排出ストリームは水添反応器に供給し、水添反応させて、ネオペンチルグリコール(NeoPentylGlycol;NPG)を含む第2反応生成物を得るステップと、前記統合回収塔の上部から未反応イソブチルアルデヒドおよび触媒を回収するステップと、前記第2反応生成物からネオペンチルグリコールを取得するステップとを含むネオペンチルグリコールの製造方法が提供される。
【0019】
まず、本発明の一実施形態によるネオペンチルグリコールの製造方法は、触媒の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液とイソブチルデヒドをアルドール反応器10でアルドール縮合反応して、ヒドロキシピバルデヒドを含む第1反応生成物を得るステップを含むことができる。
【0020】
前記アルドール縮合反応は、アルドール反応器10で、触媒の存在下で、ホルムアルデヒド(Formaldehyde;FA)水溶液とイソブチルデヒド(Isobutylaldehyde;IBAL)を反応させて行うことができる。具体的には、ホルムアルデヒド水溶液およびIBALを含む混合液をフィードストリーム1としてアルドール反応器10に供給し、前記アルドール反応器10内で、触媒の存在下で、アルドール縮合反応をさせて、ヒドロキシピバルデヒド(Hydroxypivaldehyde;HPA)を含む第1反応生成物を得ることができる。
【0021】
ここで、前記ホルムアルデヒド水溶液は、ホルマリンを使用することができ、ここで、前記ホルムアルデヒドは、濃度35~45重量%のものを使用することが、廃水低減の面で効果が良いことができる。このようなホルムアルデヒド水溶液は、全体のホルムアルデヒド水溶液重量に対して、40~64重量%、より具体的には45~55重量%の水を含むことができ、ホルムアルデヒドの重合を防止するために、メタノールを含むことができる。この場合、全体のホルムアルデヒド水溶液の重量に対して、前記メタノールの含量は、0.1~15重量%、より具体的には0.1~5重量%であることができる。前記メタノールの含量が0.1重量%未満である場合、ホルムアルデヒド水溶液内のメタノールの含量が足りず、アルドール縮合反応が繰り返される重縮合反応が発生する恐れがある。前記メタノールの含量が15重量%を超える場合、ホルムアルデヒド水溶液内のメタノールの含量が高くなってホルムアルデヒドの濃度が過剰に低くなり得る。
【0022】
ここで、前記触媒は、アミン系化合物であることができる。具体的には、トリアルキルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミンのような第三級アミン化合物が適することができる。より具体的には、前記触媒は、トリエチルアミン(Triethyl amine;TEA)を含むことができる。本発明では、TEAが、アルドール縮合反応において効率が最も優れることから、触媒として使用されることができる。
【0023】
前記アルドール反応器10において、アルドール縮合反応温度は、70℃~100℃であることができる。前記アルドール縮合反応温度が70℃未満である場合、温度が低くてアルドール縮合反応がスムーズでない可能性があるため、高い転化率でHPAを含む第1反応生成物を取得することが困難であり得る。前記アルドール縮合反応温度が100℃を超える場合、アルドール縮合反応中に副生成物の生成が加速化することができる。
【0024】
前記アルドール反応器10での滞留時間は、0.1時間~3時間であることができる。前記滞留時間が0.1時間未満である場合、アルドール縮合反応の進行に伴うHPA取得量が減少し得、前記滞留時間が3時間を超える場合、アルドール縮合反応が長時間行われることから、エネルギー効率が低下し、副生成物が過剰に生成され得る。
【0025】
本発明のアルドール反応器10で述べた条件下で、アルドール縮合反応が行われ、HPAが生成されることができる。ここで、前記アルドール縮合反応で発生するカニッツァーロ(Cannizzaro)副反応によってギ酸が生成され、前記ギ酸が触媒であるTEAと反応して、TEA塩、すなわち、触媒塩が生成され得る。
【0026】
また、前記アルドール縮合反応の他の副反応であるティシチェンコ(Tishchenko)反応により、ヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル(HydroxyPivalic acid-Neopentylglycol Ester;HPNE)が生成され得る。従来、前記HPNEを副生成物として取り扱って廃棄することが一般的であったが、本発明の一実施形態によると、HPNEを分離して、これを価値のある原料として活用することができる。
【0027】
結果、アルドール反応器から排出されるストリーム2には、HPA、HPNEおよび触媒塩が第1反応生成物として含まれることができる。
【0028】
次いで、本発明の一実施形態によるネオペンチルグリコールの製造方法は、前記第1反応生成物をアルドール抽出塔100に供給し、抽出剤と接触させて、ヒドロキシピバルデヒドを含む抽出液および触媒塩を含む抽残液を得るステップを含むことができる。
【0029】
より具体的には、アルドール反応器10で生成されたHPAを含む第1反応生成物は、アルドール反応器排出ストリーム2を介してアルドール抽出塔100に供給されることができる。前記アルドール抽出塔100では、アルドール反応器排出ストリーム2を介して供給された前記第1反応生成物を抽出剤と接触させて、HPNE、HPAと抽出剤を含む有機相の抽出液および触媒塩を含む液状の抽残液を得ることができる。ここで、前記触媒塩は、水に解離された状態で存在することができ、前記水は、ギ酸水溶液から由来することができる。
【0030】
ここで、前記抽出剤は、脂肪族アルコール(aliphatic alcohols)であることができ、好ましくは、2-エチルヘキサノール(2-EthylHexanol;2-EH)を含むことができる。第1反応生成物に含まれたHPAは、前記2-EHに対して可溶性であることから、後述する液-液接触方式による抽出装置である本発明のアルドール抽出塔100において好ましく使用されることができる。
【0031】
前記アルドール抽出塔100は、液-液接触方式による抽出装置が用いられることができる。例えば、前記抽出装置は、Karr typeの往復プレートカラム(Karr type reciprocating plate column)、回転-円板型カラム(rotary-disk contactor)、Scheibelカラム、噴霧抽出塔(spray extraction column)、充填抽出塔(packed extraction column)、パルス充填カラム(pulsed packed column)のような抽出装置であることができる。
【0032】
また、前記アルドール抽出塔100は、アルドール反応器排出ストリーム2に含まれた多量の水を抽残液として分離することにより、後述するアルドール精製塔200での蒸留において使用されるエネルギーを節減することができる。ここで、前記水は、ホルムアルデヒド水溶液に含まれた水であることができる。
【0033】
前記アルドール抽出塔100の運転温度は、40℃~90℃であることができる。前記運転温度が40℃未満である場合、第1反応生成物が蒸留されず、前記第1反応生成物に含まれたHPAが硬化し得る。前記運転温度が90℃を超える場合、アルドール抽出塔100に流入された第1反応生成物を有機相と液相とに相分離することが困難であり得る。
【0034】
一方、本発明の一実施形態によると、前記抽出液は、抽出液ストリーム110としてアルドール精製塔200に供給されることができる。前記抽出液は、HPAおよび抽出剤の他にも、未反応IBALおよび触媒をさらに含むことができる。ここで、前記未反応IBALは、アルドール反応器10で行われるアルドール縮合反応時に未反応のIBALであることができる。一方、前記抽残液は、抽残液ストリーム120として鹸化反応器20に供給されることができる。
【0035】
本発明の一実施形態によるネオペンチルグリコールの製造方法は、前記抽残液を鹸化反応器20に供給して、前記触媒塩を触媒に還元させ、前記触媒を含む鹸化反応器排出ストリームを統合回収塔に供給するステップを含むことができる。
【0036】
具体的には、前記抽残液に含まれた触媒塩は、鹸化反応器20において鹸化反応によって触媒に還元することができる。前記触媒塩は、上述のとおり、アルドール縮合反応による副反応によって形成されることができる。
【0037】
前記鹸化反応は、別に投入される水酸化ナトリウム(NaOH)のような無機強塩基と触媒塩の反応により行われることができ、これにより、還元された触媒を効率的に再使用することができる。例えば、アルドール縮合反応の触媒としてTEAを使用した場合、下記反応式1により、TEAの塩がTEAに還元することができる。
【0038】
[反応式1]
TEA-Salt+NaOH→TEA+Na-Salt
【0039】
一方、前記鹸化反応器20において鹸化反応の温度は、50℃以上、55℃以上または60℃以上および90℃以下、95℃以下または100℃以下であることができる。前記鹸化反応温度が50℃未満である場合、温度が低くて、鹸化反応がスムーズに行われないこともあるため、触媒への転化率が低くなり得る。前記鹸化反応温度が100℃を超える場合、鹸化反応中に副生成物が過剰に生成され得る。
【0040】
前記触媒塩が鹸化反応を経て触媒に還元されず、触媒塩の状態で後述する後段の水添反応器30に供給される場合、水添反応器で行われる水添反応に悪影響を及ぼし得る。そのため、その前に、触媒塩を還元させて除去し、前記還元された触媒を回収する必要がある。具体的には、水添反応器30内で、水添反応のための条件下で、前記触媒塩は、水添反応に必要な水添反応触媒の役割を妨害し、様々な副反応を引き起こすため、結局、水添反応の転化率を低下させる可能性がある。
【0041】
したがって、鹸化反応器20内で触媒塩を触媒に還元させ、前記還元された触媒を後述する統合回収塔600から回収することにより、触媒塩の水添反応器30への導入を防止し、上述の様々な副作用を最小化することができる。
【0042】
また、前記鹸化反応器20で触媒塩を触媒に還元させることで、後述する統合回収塔600での触媒の回収を容易に行うことができ、これにより、触媒を効率的に再使用することができる。さらに、触媒塩を再使用せず、廃棄する場合に発生し得る環境的汚染の問題を解決することができる。
【0043】
このように還元された触媒、例えば、TEAを含む鹸化反応器排出ストリーム21は、次いで、前記統合回収塔600に供給されることができる。
【0044】
一方、本発明の一実施形態によるネオペンチルグリコールの製造方法は、前記抽出液をアルドール精製塔に供給し、蒸留して、ヒドロキシピバルデヒドを含むアルドール精製塔の下部排出ストリームおよび未反応イソブチルアルデヒドを含むアルドール精製塔の上部排出ストリームを得るステップを含むことができる。
【0045】
上述の前記抽出液は、触媒、未反応イソブチルアルデヒド(IBAL)、HPNE、抽出剤、およびヒドロキシピバルデヒド(HPA)を含むことができる。また、前記抽出液は抽出液ストリーム110としてアルドール精製塔200に供給された後、蒸留され、HPAを含む下部分画と、触媒および未反応IBALを含む上部分画とに分離されることができる。ここで、前記下部分画は、抽出剤およびHPNEをさらに含むことができる。
【0046】
一方、前記アルドール精製塔200の運転温度は、40℃以上、45℃以上、50℃以上または55℃以上および85℃以下、90℃以下、95℃以下または100℃以下であることができる。
【0047】
また、前記アルドール精製塔200の運転圧力は、300torr以上、350torr以上、400torr以上または450torr以上および600torr以下、650torr以下、700torr以下または760torr以下であることができる。前記範囲内の温度および圧力でアルドール精製塔200を運転することにより、蒸留がスムーズに行われて、相対的に低沸点物質であるTEAと相対的に高沸点物質であるHPAとの分離が容易に行われることができる。
【0048】
したがって、未反応イソブチルアルデヒドを含むアルドール精製塔200の上部分画は、アルドール精製塔の上部排出ストリーム210を介して統合回収塔600に供給されることができる。一方、ヒドロキシピバルデヒドを含むアルドール精製塔200の下部分画は、アルドール精製塔の下部排出ストリーム220を介して水添反応器30に供給されることができる。
【0049】
本発明の一実施形態によるネオペンチルグリコールの製造方法は、前記統合回収塔の上部から未反応イソブチルアルデヒドおよび触媒を回収するステップを含むことができる。
【0050】
具体的には、前記統合回収塔600では、上述のアルドール精製塔の上部排出ストリーム210および鹸化反応器排出ストリーム21に対して蒸留を行うことができる。具体的には、前記蒸留により、未反応IBALおよび触媒を含む上部分画と、廃水、例えば、水およびその他の不純物(2-EH、未確認副生成物、MeOHなど)を含む下部分画を分離することができる。ここで、前記統合回収塔の上部分画は、統合回収塔の上部排出ストリーム610として前記アルドール反応器10に循環することができ、前記下部分画は、統合回収塔の下部排出ストリーム620として別の廃水処理工程に供給されることができる。
【0051】
一方、本発明によると、上述の前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム210および鹸化反応器排出ストリーム21に加え、前記統合回収塔600に、後述する抽出剤精製塔の上部排出ストリーム510がさらに供給されることができる。
【0052】
従来、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム210および鹸化反応器排出ストリーム21が、それぞれ別の回収塔に供給され、上部には未反応IBALおよび触媒を分離し、下部には水および副生成物を分離した。
【0053】
しかし、本発明によると、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム210および鹸化反応器排出ストリーム21を一つの統合回収塔に供給し、上部に未反応IBALおよび触媒(例えば、TEA)を分離して回収する回収工程を行うことができる。すなわち、それぞれ、ストリームに対して別の回収塔を適用するのではなく、一つの統合回収塔によって未反応IBALおよびTEAの蒸留が可能であることは、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム210および鹸化反応器排出ストリーム21に含まれたTEAの含量が類似し、一つの蒸留塔によってTEAおよびこれより沸点が低いIBALを同時に蒸留することができるためである。
【0054】
本発明の一実施形態によると、アルドール精製塔200の上部分画を含むアルドール精製塔の上部排出ストリーム210内の触媒含量に対する鹸化反応器排出ストリーム21内の触媒含量の比は、0.60以上、0.65以上または0.70以上および1.10以下、1.15以下または1.20以下であることができる。このように、ストリーム内の触媒の組成が類似しているストリームを統合回収塔600に供給することにより、従来、それぞれ別の回収塔で行われていた蒸留および分離を一つの回収塔で行うことができる。
【0055】
具体的には、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム210内の触媒含量に対する鹸化反応器排出ストリーム21内の触媒含量の比が0.60未満である場合には、鹸化反応器20に供給されるアルドール抽出塔の下部排出ストリーム(抽残液ストリーム120)の流量が減少しなければならないため、アルドール精製塔200に供給されるアルドール抽出塔の上部排出ストリーム(抽出液ストリーム110)の流量は、増加することができる。これにより、前記アルドール抽出塔の上部排出ストリーム(抽出液ストリーム110)の流量が増加するだけ、前記アルドール精製塔200で使用されるエネルギーの使用量が増加することができる。
【0056】
一方、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム210内の触媒含量に対する鹸化反応器排出ストリーム21内の触媒含量の比が1.20を超える場合には、鹸化反応器20に供給されるアルドール抽出塔の下部排出ストリーム(抽残液ストリーム120)の流量が増加しなければならないため、アルドール精製塔200に供給されるアルドール抽出塔の上部排出ストリーム(抽出液ストリーム110)の流量は減少することができる。したがって、前記アルドール抽出塔の上部排出ストリーム(抽出液ストリーム110)の流量が減少するだけ、アルドール精製塔200で使用されるエネルギーの量も減少することができるが、前記アルドール抽出塔の下部排出ストリーム(抽残液ストリーム120)の流量が増加するだけ、前記鹸化反応器20にHPAが多量流入されて、後述する水添反応器30で前記HPAの水添反応によるNPGの収率が減少することができる。また、前記HPAの他にも、NPGが前記鹸化反応器20に流入されて、NPGの損失が発生し得る。ここで、前記NPGは、後述するNPG精製塔300から取得することができず、抽出剤精製塔500および統合回収塔600を介してアルドール反応器10に還流したNPGであることができる。
【0057】
より具体的には、アルドール縮合反応時に未反応のIBALを再使用するための前記統合回収塔600で触媒もともに回収することにより、前記触媒の回収のために別の回収手段を備える場合に比べて、工程を単純化することができ、エネルギー使用量が節減され、高効率的に工程を管理することができる。
【0058】
さらに、統合回収塔の上部の高圧および高温の温度条件により、統合回収塔600の上部廃熱を回収して再使用する効果も得ることができる。前記上部廃熱は、別の熱交換器を介して冷却スチームを加熱した後、スチームを生産して活用するかまたはアルドール精製塔の下部のリボイラに供給されてアルドール精製塔の加熱に使用されることができる。
【0059】
上記のような効果を得るために、前記統合回収塔600の上部は、最上部(塔頂)を100%基準としたときに、前記統合回収塔の最上部から下部側へ70%~100%、具体的には75%~100%、85%~100%の高さであることができる。前記統合回収塔600の上部を前記範囲内の高さに設定することにより、後述する統合回収塔600の上部の運転圧力および温度条件の下で、統合回収塔600の上部廃熱の回収が容易であることができる。
【0060】
ここで、前記統合回収塔の上部の運転圧力は、440torr以上、735torr以上、1100torr以上または1450torr以上および2200torr以下、2500torr以下、2950torr以下または3600torr以下であることができる。統合回収塔600の上部を前記範囲内の運転圧力で運転することにより、上述のように、未反応IBALおよび触媒を不純物と分離して回収することができ、且つ、統合回収塔600の上部から除去される熱源を再使用してエネルギー効率を改善することができる。
【0061】
具体的には、前記統合回収塔600の上部の運転圧力が440torr未満である場合、未反応IBALおよび触媒を同時に回収することが困難になり、目的とする統合回収塔600の機能を果たすのに不都合があり得る。前記統合回収塔の上部の運転圧力が3600torrを超える場合、このための運転エネルギーが過剰に消費され得る。
【0062】
前記統合回収塔の上部の温度は、50℃以上、55℃以上、60℃以上または65℃以上および135℃以下、140℃以下、145℃以下または150℃以下であることができる。前記統合回収塔600の上部の運転温度が50℃未満である場合、未反応IBALおよび触媒を回収することが困難になり得るため、廃水として損失する未反応IBALおよび触媒の量が増加し、工程費用上、不都合があり得る。また、前記統合回収塔の上部の運転温度が150℃を超える場合、前記統合回収塔600の上部廃熱からのエネルギーの回収が困難であり得る。
【0063】
したがって、前記統合回収塔600の上部から同時に回収された未反応IBALおよび触媒を含む統合回収塔の上部排出ストリーム610を前記アルドール反応器10に循環させることができる。より具体的には、前記統合回収塔の上部排出ストリーム610は、コンデンサを経て、一部はアルドール反応器10に循環し、残りは統合回収塔600に還流することができる。触媒および未反応IBALを含む統合回収塔の上部排出ストリーム610をアルドール反応器10に循環させることにより、前記アルドール反応器10で使用される触媒およびIBALをリサイクルすることになり、新たに投入される量を低減することができ、工程中に使用される生産コストを節減することができる。
【0064】
本発明の一実施形態によるネオペンチルグリコールの製造方法は、アルドール精製塔の下部排出ストリームを水添反応器30に供給し、水添反応させて、ネオペンチルグリコールを含む第2反応生成物を得るステップを含むことができる。
【0065】
前記アルドール精製塔の下部排出ストリームは、HPA、抽出剤を含むことができ、これに加え、HPNEをさらに含むことができる。前記水添反応器30で水添反応が行われることができ、前記水添反応は、水添反応触媒の存在下で、前記水添反応器30にさらに投入された水素とHPAの反応により行われることができる。
【0066】
前記水添反応は、100~1500psig(pounds per square inch gauge Pressure)の水素圧力および反応温度100℃~200℃で行われることができる。また、前記水添反応の触媒としては、銅系触媒またはニッケル触媒が使用されることができる。前記銅系触媒としては、一例として、CuO/BaO/SiO触媒であることができ、前記CuO/BaO/SiO触媒は、(CuO)x(BaO)y(SiO)z(x、y、zは、重量%であり、x:y:z=10~50:0~10:40~90、10~50:1~10:40~89または29~50:1~10:40~70)である触媒であることができる。前記xとyの和は、好ましくは、x、yおよびzの総和(100重量%)に対して、20~50(重量%)、または30~50(重量%)であり、この範囲内で、水添反応触媒の性能に優れ、寿命が長い効果がある。一方、前記ニッケル触媒は、HPA重量に対して、2~10重量%であることができる。
【0067】
上述のように、アルドール縮合反応を介して形成される触媒塩、例えば、TEAの塩が前記水添反応に流入される場合、様々な副反応を引き起こして前記水添反応の転化率を低下させることができる。したがって、本発明の鹸化反応器20によって転換されたTEAを統合回収塔600で回収することにより、水添反応器30内の水添反応の転化率を向上させることができる。
【0068】
このように、水添反応器30内で水添反応が行われ、HPAが水素と反応すると、NPGが生成されることができる。したがって、前記水添反応の後、触媒、抽出剤、HPNEおよび前記NPGを含む第2反応生成物を取得することができる。次いで、前記第2反応生成物の精製工程により、所望の生成物であるネオペンチルグリコールを取得することができる。
【0069】
具体的には、前記第2反応生成物の精製工程は、前記第2反応生成物をネオペンチルグリコール精製塔300に供給して、触媒および抽出剤を含むストリームを抽出剤精製塔500に供給し、ヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステルを含むストリームをヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル精製塔400に供給し、ネオペンチルグリコールを含むストリームからネオペンチルグリコールを取得するステップと、前記ヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル精製塔の下部からヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステルを取得するステップとを含んで行われることができる。
【0070】
具体的には、前記第2反応生成物は、水添反応器排出ストリーム31として、ネオペンチルグリコール(NPG)精製塔300に供給されることができる。ここで、前記NPG精製塔300は、1機または2機以上の精製塔であることができる。
【0071】
先ず、前記NPG精製塔300が1期の精製塔である場合、前記1機の精製塔の上部から抽出剤と触媒が、下部からHPNEが、側部からNPGが、それぞれ分離されることができる。例えば、前記NPG精製塔300は、一つの分離壁型蒸留塔であることができる。ここで、前記NPGは、NPG精製塔300の最上部から下部側へ40%~80%の高さの側部から取得することができる。一方、前記NPG精製塔300が2機以上の精製塔である場合、触媒を上部に分離する1機以上のNPG精製塔と前記抽出剤を上部に分離する1機以上のNPG精製塔を介して行われることができる。前記2機以上のNPG精製塔の下部からはHPNEまたはNPGを含むストリームが分離されて排出されることができる。
【0072】
すなわち、前記1機または2機以上のNPG精製塔300により、第2反応生成物を触媒と抽出剤、HPNE、およびNPGに分離することができる。これにより、高純度のNPGを取得することができる。前記触媒および抽出剤を含むストリーム310を抽出剤精製塔500に供給することができ、前記HPNEを含むストリーム320をHPNE精製塔400に供給することができる。このための前記NPG精製塔300の運転温度は、80℃以上、100℃以上、120℃以上または140℃以上および185℃以下、190℃以下、195℃以下または200℃以下であることができる。また、前記NPG精製塔300の運転圧力は、40torr以上、90torr以上、120torr以上または140torr以上および300torr以下、400torr以下、500torr以下または600torr以下であることができる。前記温度および圧力範囲内でNPG精製塔300を運転することにより、上述のように、抽出剤と触媒、NPG、およびHPNEの分離が容易になることができる。したがって、本発明で取得しようとする前記NPGが含まれたNPG精製塔の側部排出ストリーム330内に存在する副生成物の含量を低下させることができ、高純度のNPGを取得することができる。
【0073】
一方、アルドール縮合反応の副反応によって生成された前記HPNEは、水添反応器30において、一部はNPGに還元し、残りはHPNEとして残ることになり、前記HPNEが前記NPG精製塔300に流入されてNPG収率を低下させることができる。したがって、前記HPNEを後述するHPNE精製塔400に供給することにより、NPG精製塔300で回収されていないNPGをさらに取得するだけでなく、それ自体で高付加価値製品である前記HPNEを回収して活用することができる。すなわち、他の重質の副生成物、例えば、水添反応の副生成物であるトリメチルペンタンジオール(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール;TMPD)とは区別して製品化することができる。
【0074】
一方、上述のHPNE精製塔の下部からHPNEを取得するステップは、具体的には、前記HPNE精製塔400で前記HPNEを含むストリーム320を蒸留してHPNEを含む下部分画およびNPGを含む上部分画を分離して行われることができる。
【0075】
すなわち、前記NPG精製塔300で回収されず排出されたNPGをHPNE精製塔400の上部分画から回収することができ(410)、HPNE精製塔400を備えていない従来のNPG製造方法に対し、NPG回収率をより高めることができる。なお、HPNE精製塔400の下部分画からはHPNEを回収することができ(420)、HPNEは、上述のように、他の工程において原料として、例えば、ポリエステルの合成およびコーティングの主原料として使用されることができ、本発明によるHPNE精製塔400により、原料活用の面で経済性が向上することができる。一方、本発明の一実施形態によると、ネオペンチルグリコールの製造方法は、前記抽出剤精製塔の上部から触媒を回収して、前記統合回収塔に供給するステップと、前記抽出剤精製塔の下部から抽出剤を回収するステップとを含むことができる。
【0076】
具体的には、前記抽出剤精製塔500で前記触媒および抽出剤を含むストリーム310を蒸留し、触媒を含む上部分画と、抽出剤を含む下部分画と、廃オイルを含む側部分画とにそれぞれ分離することができる。前記抽出剤精製塔500の側部分画に含まれた前記廃オイルは、廃オイル排出ストリーム530を介して系外に排出されることができる。
【0077】
ここで、前記抽出剤精製塔500の上部分画に含まれた前記触媒は、上述のアルドール抽出塔100およびアルドール精製塔200で分離されていない一部の少量の触媒であることができる。前記抽出剤精製塔500で前記触媒を分離して、抽出剤精製塔の上部排出ストリーム510を介して統合回収塔600に供給することにより、系内の触媒、例えば、TEAが回収されることができる。
【0078】
一方、抽出剤を含む抽出剤精製塔500の下部分画は、抽出剤精製塔の下部排出ストリーム520に排出され、これより、前記抽出剤、例えば、2-EHが分離および回収されて、前段の工程で再使用されることができる。
【0079】
以下、実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白なことであり、これらのみに本発明の範囲が限定されるものではない。
【0080】
実施例
実施例1
図1に図示されている工程の流れにしたがって、Aspen社製のAspen Plusシミューレータを用いて、ネオペンチルグリコール(NPG)の製造工程をシミュレーションした。
【0081】
具体的には、触媒(トリエチルアミン;TEA)の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液とイソブチルアルデヒドをアルドール反応器10でアルドール縮合反応させて、ヒドロキシピバルデヒド(HPA)を含む第1反応生成物2を得た。ここで、前記アルドール縮合反応は、85℃の温度下で行われた。
【0082】
前記第1反応生成物をアルドール抽出塔100に供給し、抽出剤(2-エチルヘキサノール;2-EH)と接触させて、HPAを含む抽出液および触媒塩を含む抽残液を得た。
【0083】
前記抽残液を含む抽残液ストリーム120を鹸化反応器20に供給し、触媒塩を水酸化ナトリウム(NaOH)と反応させて触媒に還元させ、前記触媒を含む鹸化反応器排出ストリーム21を統合回収塔600に供給した。ここで、前記鹸化反応器20で行われる鹸化反応は、83℃の温度で行われた。
【0084】
一方、前記抽出液を含む抽出液ストリーム110をアルドール精製塔200に供給し、蒸留して、HPAを含むアルドール精製塔の下部排出ストリーム220と未反応イソブチルアルデヒド(IBAL)および触媒を含むアルドール精製塔の上部排出ストリーム210を得た。前記アルドール精製塔200の運転圧力は207torrであり、運転温度は87℃であった。ここで、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム内の触媒含量に対する前記鹸化反応器排出ストリーム内の触媒含量の比は0.9であった。
【0085】
次いで、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム210を統合回収塔600に供給した。前記統合回収塔600では、前記統合回収塔に供給されたストリーム21、210および510を蒸留し、未反応IBALおよび触媒を含む上部分画と、廃水を含む下部分画とに分離した。
【0086】
前記統合回収塔600の上部分画は、統合回収塔の上部排出ストリーム610として前記アルドール反応器10に循環させた。前記統合回収塔の下部分画は、統合回収塔の下部排出ストリーム620として系外に排出した。
【0087】
一方、前記アルドール精製塔の下部排出ストリーム220を水添反応器30に供給し、水添反応させて、NPGを含む第2反応生成物を得た。ここで、前記水添反応は、160℃の温度で行われた。
【0088】
前記第2反応生成物をNPG精製塔300に供給して、触媒および抽出剤を含むNPG精製塔の上部排出ストリーム310を抽出剤回収塔500に供給し、HPNEを含むNPG精製塔の下部排出ストリーム320をHPNE精製塔400に供給し、NPG精製塔の側部排出ストリーム330からNPGを取得した。ここで、前記NPG精製塔300の運転圧力は154torrであり、運転温度は168℃であった。
【0089】
ここで、前記抽出剤回収塔500でNPG精製塔の上部排出ストリーム310を蒸留して、触媒を含む抽出剤回収塔の上部排出ストリーム510を統合回収塔600に供給し、抽出剤を含む抽出剤回収塔の下部排出ストリーム520から抽出剤を別に取得した。
【0090】
一方、前記HPNE精製塔400で前記NPG精製塔の下部排出ストリーム320を蒸留して、NPGを含むHPNE精製塔の上部排出ストリーム410からNPGを回収し、HPNEを含むHPNE精製塔の下部排出ストリーム420からHPNEを回収した。
【0091】
実施例2
実施例2は、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム内の触媒含量に対する前記鹸化反応器排出ストリーム内の触媒含量の比が0.5である以外は、実施例1と同じ工程の流れでNPGを製造した。
【0092】
実施例3
実施例3は、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム内の触媒含量に対する前記鹸化反応器排出ストリーム内の触媒含量の比が1.3である以外は、実施例1と同じ工程の流れでNPGを製造した。
【0093】
比較例
比較例1
図2に図示されている工程の流れにしたがって、Aspen社製のAspen Plusシミューレータを用いて、ネオペンチルグリコール(NPG)の製造工程をシミュレーションした。
【0094】
比較例1は、鹸化反応器排出ストリーム21、アルドール精製塔の上部排出ストリーム210および抽出剤精製塔の上部排出ストリーム510を統合回収塔ではなく、アルドール反応器10にすぐ供給した以外は、実施例1と同じ工程の流れでNPGを製造した。
【0095】
比較例2
図3に図示されている工程の流れにしたがって、Aspen社製のAspen Plusシミューレータを用いて、ネオペンチルグリコール(NPG)の製造工程をシミュレーションした。
【0096】
比較例1は、鹸化反応器排出ストリーム21を触媒回収塔40に供給し、蒸留して、触媒を含む上部分画と、水と副生成物を含む下部分画とに分離した。前記触媒を含む上部分画は、触媒回収塔の上部排出ストリーム41を介して原料回収塔50に供給した。前記水と副生成物を含む下部分画は、触媒回収塔の下部排出ストリーム42を介して系外に排出した。
【0097】
一方、抽出剤精製塔の上部排出ストリーム510およびアルドール精製塔の上部排出ストリーム210を原料回収塔50に供給した。前記原料回収塔50では、前記原料回収塔に供給されたストリーム41、210および510を蒸留し、未反応IBALおよび触媒を含む原料回収塔の上部排出ストリーム51および水および副生成物を含む原料回収塔の下部排出ストリーム52を得た。
【0098】
前記原料回収塔の上部排出ストリーム51は、アルドール反応器10に供給し、原料回収塔の下部排出ストリーム52は、系外に排出した以外は、実施例1と同じ工程の流れでNPGを製造した。
【0099】
下記表1において、前記実施例および比較例の触媒含量比、回収工程のカラムの個数、回収工程の熱交換器の個数、回収工程のエネルギー使用率およびNPG収率を示した。
【0100】
具体的には、前記回収工程は、実施例の場合、統合回収塔により行われることができ、比較例2の場合には、触媒回収塔および原料回収塔により行われることができる。これにより、前記回収工程のカラムの個数および熱交換器の個数を下記表1に示した。
【0101】
また、前記回収工程のエネルギー使用率は、比較例2の触媒回収塔および原料回収塔で使用された全エネルギーの量に対する各実施例の統合回収塔で使用されたエネルギーの量を百分率で示したものである。
【0102】
一方、前記NPG収率は、実施例1のNPG精製塔で取得されたNPGの量に対する各実施例および比較例のNPG精製塔で取得されたNPGの量を百分率で示したものである。
【0103】
【表1】
【0104】
表1を参照すると、実施例の回収工程のエネルギー使用率は、それぞれ、比較例2の回収工程(触媒回収塔および原料回収塔)での総エネルギー使用量を100%基準に換算して示したものである。前記実施例は、回収工程エネルギー使用率が、比較例に比べて良好であることを確認することができた。
【0105】
一方、比較例2は、実施例とは異なり、触媒回収塔および原料回収塔をそれぞれ備えた場合であり、回収工程のエネルギー使用率が最も高いことを確認することができる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液とイソブチルアルデヒドをアルドール反応器でアルドール縮合反応して、ヒドロキシピバルデヒドを含む第1反応生成物を得るステップと、
前記第1反応生成物をアルドール抽出塔に供給し、抽出剤と接触させて、ヒドロキシピバルデヒドを含む抽出液および触媒塩を含む抽残液を得るステップと、
前記抽残液を鹸化反応器に供給して、前記触媒塩を触媒に還元させ、前記触媒を含む鹸化反応器排出ストリームを統合回収塔に供給するステップと、
前記抽出液をアルドール精製塔に供給し、蒸留して、ヒドロキシピバルデヒドを含む前記アルドール精製塔の下部排出ストリームおよび未反応イソブチルアルデヒドを含む前記アルドール精製塔の上部排出ストリームを得るステップと、
前記アルドール精製塔の前記上部排出ストリームを前記統合回収塔に供給し、前記アルドール精製塔の前記下部排出ストリームを水添反応器に供給し、水添反応させて、ネオペンチルグリコールを含む第2反応生成物を得るステップと、
前記統合回収塔の上部から未反応イソブチルアルデヒドおよび触媒を回収するステップと、
前記第2反応生成物からネオペンチルグリコールを取得するステップとを含む、ネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項2】
前記統合回収塔の上部から回収された未反応イソブチルアルデヒドおよび触媒を前記アルドール反応器に循環させるステップをさらに含む、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項3】
前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム内の触媒含量に対する前記鹸化反応器排出ストリーム内の触媒含量の比は、0.60~1.20である、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項4】
前記統合回収塔の上部の運転圧力は、440torr(58.7kPa)~3600torr(480.0kPa)である、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項5】
前記統合回収塔の上部の温度は、50℃~150℃である、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項6】
前記第2反応生成物は、触媒、ネオペンチルグリコール、抽出剤およびヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル(HPNE)を含み、
前記第2反応生成物から前記ネオペンチルグリコールを取得するステップは、
前記第2反応生成物をネオペンチルグリコール精製塔に供給して、触媒および抽出剤を含むストリームを抽出剤精製塔に供給し、ヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステルを含むストリームをヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル精製塔に供給し、ネオペンチルグリコールを含むストリームからネオペンチルグリコールを取得するステップと、
前記ヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステル精製塔の下部からヒドロキシピバリン酸-ネオペンチルグリコールエステルを取得するステップとをさらに含んで行われる、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項7】
前記ネオペンチルグリコールは、前記ネオペンチルグリコール精製塔の最上部から下部側へ40%~80%の高さの側部から取得する、請求項6に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項8】
前記抽出剤精製塔の上部から触媒を回収し、前記統合回収塔に供給するステップと、
前記抽出剤精製塔の下部から抽出剤を回収するステップとを含む、請求項6に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項9】
前記触媒は、トリエチルアミン(Triethyl amine;TEA)を含む、請求項1に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項10】
前記抽出剤は、2-エチルヘキサノール(2-Ethyl Hexanol;2-EH)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【請求項11】
前記統合回収塔の上部は、前記統合回収塔の最上部から下部側へ70%~100%である、請求項4に記載のネオペンチルグリコールの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
また、前記アルドール精製塔200の運転圧力は、300torr(40.0kPa)以上、350torr(46.7kPa)以上、400torr(53.3kPa)以上または450torr(60.0kPa)以上および600torr(80.0kPa)以下、650torr(86.7kPa)以下、700torr(93.3kPa)以下または760torr(101.3kPa)以下であることができる。前記範囲内の温度および圧力でアルドール精製塔200を運転することにより、蒸留がスムーズに行われて、相対的に低沸点物質であるTEAと相対的に高沸点物質であるHPAとの分離が容易に行われることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
ここで、前記統合回収塔の上部の運転圧力は、440torr(58.7kPa)以上、735torr(97.9kPa)以上、1100torr(146.7kPa)以上または1450torr(193.3kPa)以上および2200torr(293.3kPa)以下、2500torr(333.3kPa)以下、2950torr(393.3kPa)以下または3600torr(480.0kPa)以下であることができる。統合回収塔600の上部を前記範囲内の運転圧力で運転することにより、上述のように、未反応IBALおよび触媒を不純物と分離して回収することができ、且つ、統合回収塔600の上部から除去される熱源を再使用してエネルギー効率を改善することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
具体的には、前記統合回収塔600の上部の運転圧力が440torr(58.7kPa)未満である場合、未反応IBALおよび触媒を同時に回収することが困難になり、目的とする統合回収塔600の機能を果たすのに不都合があり得る。前記統合回収塔の上部の運転圧力が3600torr(480.0kPa)を超える場合、このための運転エネルギーが過剰に消費され得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
前記水添反応は、100~1500psig(pounds per square inch gauge Pressure、689~10342kPa)の水素圧力および反応温度100℃~200℃で行われることができる。また、前記水添反応の触媒としては、銅系触媒またはニッケル触媒が使用されることができる。前記銅系触媒としては、一例として、CuO/BaO/SiO触媒であることができ、前記CuO/BaO/SiO触媒は、(CuO)x(BaO)y(SiO)z(x、y、zは、重量%であり、x:y:z=10~50:0~10:40~90、10~50:1~10:40~89 または29~50:1~10:40~70)である触媒であることができる。前記xとyの和は、好ましくは、x、yおよびzの総和(100重量%)に対して、20~50(重量%)、または30~50(重量%)であり、この範囲内で、水添反応触媒の性能に優れ、寿命が長い効果がある。一方、前記ニッケル触媒は、HPA重量に対して、2~10重量%であることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
すなわち、前記1機または2機以上のNPG精製塔300により、第2反応生成物を触媒と抽出剤、HPNE、およびNPGに分離することができる。これにより、高純度のNPGを取得することができる。前記触媒および抽出剤を含むストリーム310を抽出剤精製塔500に供給することができ、前記HPNEを含むストリーム320をHPNE精製塔400に供給することができる。このための前記NPG精製塔300の運転温度は、80℃以上、100℃以上、120℃以上または140℃以上および185℃以下、190℃以下、195℃以下または200℃以下であることができる。また、前記NPG精製塔300の運転圧力は、40torr(5.33kPa)以上、90torr(12.0kPa)以上、120torr(16.0kPa)以上または140torr(18.7kPa)以上および300torr(40.0kPa)以下、400torr(53.3kPa)以下、500torr(66.7kPa)以下または600torr(80.0kPa)以下であることができる。前記温度および圧力範囲内でNPG精製塔300を運転することにより、上述のように、抽出剤と触媒、NPG、およびHPNEの分離が容易になることができる。したがって、本発明で取得しようとする前記NPGが含まれたNPG精製塔の側部排出ストリーム330内に存在する副生成物の含量を低下させることができ、高純度のNPGを取得することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
一方、前記抽出液を含む抽出液ストリーム110をアルドール精製塔200に供給し、蒸留して、HPAを含むアルドール精製塔の下部排出ストリーム220と未反応イソブチルアルデヒド(IBAL)および触媒を含むアルドール精製塔の上部排出ストリーム210を得た。前記アルドール精製塔200の運転圧力は207torr(27.6kPa)であり、運転温度は87℃であった。ここで、前記アルドール精製塔の上部排出ストリーム内の触媒含量に対する前記鹸化反応器排出ストリーム内の触媒含量の比は0.9であった。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
前記第2反応生成物をNPG精製塔300に供給して、触媒および抽出剤を含むNPG精製塔の上部排出ストリーム310を抽出剤精製塔500に供給し、HPNEを含むNPG精製塔の下部排出ストリーム320をHPNE精製塔400に供給し、NPG精製塔の側部排出ストリーム330からNPGを取得した。ここで、前記NPG精製塔300の運転圧力は154torr(20.5kPa)であり、運転温度は168℃であった。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
ここで、前記抽出剤精製塔500でNPG精製塔の上部排出ストリーム310を蒸留して、触媒を含む抽出剤精製塔の上部排出ストリーム510を統合回収塔600に供給し、抽出剤を含む抽出剤精製塔の下部排出ストリーム520から抽出剤を別に取得した。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
比較例は、鹸化反応器排出ストリーム21を触媒回収塔40に供給し、蒸留して、触媒を含む上部分画と、水と副生成物を含む下部分画とに分離した。前記触媒を含む上部分画は、触媒回収塔の上部排出ストリーム41を介して原料回収塔50に供給した。前記水と副生成物を含む下部分画は、触媒回収塔の下部排出ストリーム42を介して系外に排出した。
【国際調査報告】