(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】固体化学的気化室用の圧縮性トレイ
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/205
H01L21/31 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521074
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 US2022045936
(87)【国際公開番号】W WO2023059824
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バトル, スコット エル.
(72)【発明者】
【氏名】ナイトー, ドン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ, ジョン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】パーカー, チェース
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリックス, ブライアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ベンジャミン エイチ.
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA01
4K030HA01
4K030KA45
5F045AA03
5F045AA15
5F045EB03
5F045EE02
(57)【要約】
原子層堆積(ALD)プロセス、化学気相成長(CVD)プロセス、またはその両方に使用される固体前駆体物質の送達システムのアンプル用のトレイである。本トレイは、圧縮時にプロファイルサイズが縮小することで、トレイをアンプルに挿入できる容易さを向上させることができるように構成され、かつ、サイズが拡大することで、アンプルの内壁面との接触が改善して内壁面からトレイおよび最終的にトレイ上に設けられた固体前駆体物質への熱伝達の改善をもたらすように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプル用のトレイであって、
圧縮状態および緩和状態を呈する圧縮性部分を備え、
圧縮性部分のばね位置エネルギーが、緩和状態よりも高い、トレイ。
【請求項2】
伝熱部品であって、
圧縮性部分と熱接触状態にある伝熱部品
をさらに備える、請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
第2の伝熱部品であって、
圧縮性部分と熱接触状態にある第2の伝熱部品
をさらに備える、請求項2に記載のトレイ。
【請求項4】
伝熱部品から第2の伝熱部品までの距離が、圧縮性部分が圧縮されると減少する、
請求項3に記載のトレイ。
【請求項5】
伝熱部品および第2の伝熱部品が、アンプルの内壁面と熱接触するように構成され、
伝熱部品および第2の伝熱部品が、アンプルの内壁面から圧縮性部分に熱エネルギーを伝達するように構成される、
請求項3に記載のトレイ。
【請求項6】
表面であって、
固体前駆体物質を保持するように構成され、かつ
圧縮性部分と熱接触状態にある、表面
をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のトレイ。
【請求項7】
圧縮性部分が、表面の径方向、表面の周方向部分、またはその両方に沿って圧縮可能である、
請求項6に記載のトレイ。
【請求項8】
表面が、非平面部分、平面部分、またはその両方を備える、請求項6に記載のトレイ。
【請求項9】
圧縮性部分が、ばねを備える、
請求項1から8のいずれか一項に記載のトレイ。
【請求項10】
圧縮性部分が、隆起方向および折畳み方向を有する蛇腹状表面を備える、
請求項1から9のいずれか一項に記載のトレイ。
【請求項11】
蛇腹状表面が、固体前駆体物質を保持するように構成される、
請求項10に記載のトレイ。
【請求項12】
圧縮性部分が、開放環を備える、
請求項1に記載のトレイ。
【請求項13】
表面であって、
固体前駆体物質を保持するように構成され、かつ
開放環と熱接触状態にある、表面
をさらに備える、請求項12に記載のトレイ。
【請求項14】
開放環が表面の外周に設けられている、請求項13に記載のトレイ。
【請求項15】
開放環が表面の上方に設けられている、
請求項13に記載のトレイ。
【請求項16】
開放環が表面の下方に設けられている、
請求項13に記載のトレイ。
【請求項17】
第2の表面であって、
固体前駆体物質を保持するように構成され、かつ
開放環と熱接触状態にある、第2の表面
をさらに備える、請求項13に記載のトレイ。
【請求項18】
表面から第2の表面までの距離が、圧縮性部分が圧縮されると減少する、
請求項17に記載のトレイ。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のトレイ
を備える、アンプル。
【請求項20】
トレイをアンプルに挿入する方法であって、
請求項1から19のいずれか一項に記載のトレイを得ること、
トレイの圧縮性部分を圧縮すること、および
トレイをアンプルの内容積に挿入することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本開示は、2021年10月8日出願の米国仮特許出願第63/253,800号に基づく優先権を主張する。本優先権書類は、すべての目的のために本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、原子層堆積(ALD)プロセス、化学気相成長(CVD)プロセス、またはその両方に使用される固体前駆体物質の送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ALDおよびCVDプロセスに使用される固体前駆体物質の輸送用に設計された送達システムは、ウエハの製造プロセスに使用される。そのようなシステムは、固体前駆体物質を収容するように構成されたアンプルを備えることができる。
【発明の概要】
【0004】
送達システムの一部の実施形態は、内面を有する内部室を画定する本体を有するアンプルを含む。送達システムのこれら実施形態の少なくとも一部は、ALD、CVD、またはその両方のプロセスに使用される。固体前駆体物質は、マイクロ電子デバイスの制作に使用することができる。一部の実施形態では、固体前駆体物質は、様々な有機前駆体、無機前駆体、金属有機前駆体、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、固体前駆体物質を使用するのに熱が必要とされる。
【0005】
一部の実施形態では、アンプルは、その内部室内に、固体前駆体物質を保持するための少なくとも1つのトレイを備える。一部の実施形態では、トレイは、ガスなどの流体を内部室の下部から内部室の上部に、内部室の上部から内部室の下部に、またはその両方に流すための通路とともに構成される。
【0006】
一部の実施形態では、トレイは、内部室の内面から固体前駆体物質に熱を伝導するように構成される。一部の実施形態では、トレイは、内部室の内面との接触を増加または最大限にするためにトレイの一部を押圧するための少なくとも一部分とともに構成される。一部の実施形態では、トレイは、内部室の内面からトレイの別の部分、固体前駆体物質、またはその両方への熱伝達を増加または最大限にする部分とともに構成される。
【0007】
一部の実施形態では、トレイは、トレイが容易にまたは比較的容易に内部室内に配置され得るようにその構造を変化させるのを可能にする構造を有するように構成され、トレイは、内部室内に配置されると、内部室内に付着するようにその構造を変化させるよう構成される。一部の実施形態によれば、トレイは、機械的に、摩擦的に、またはその両方で内部室の内面または他の部分に係合するか、接触するか、接続するか、またはそれらのいずれかの組合せを行う部分を有することができる。
【0008】
一部の実施形態では、アンプル用のトレイは、圧縮状態および緩和状態を呈する圧縮性部分を備え、圧縮性部分のばね位置エネルギーは、緩和状態よりも高い。
【0009】
トレイの一部の実施形態では、トレイは伝熱部品を備え、伝熱部品は圧縮性部分と熱接触状態にある。
【0010】
トレイの一部の実施形態では、トレイは第2の伝熱部品を備え、第2の伝熱部品は圧縮性部分と熱接触状態にある。
【0011】
トレイの一部の実施形態では、伝熱部品から第2の伝熱部品までの距離は、圧縮性部分が圧縮されると減少する。
【0012】
トレイの一部の実施形態では、伝熱部品および第2の伝熱部品は、アンプルの内壁面と熱接触するように構成され、伝熱部品および第2の伝熱部品は、アンプルの内壁面から圧縮性部分に熱エネルギーを伝達するように構成される。
【0013】
トレイの一部の実施形態では、トレイは表面を備え、表面は固体前駆体物質を保持するように構成され、かつ圧縮性部分と熱接触状態にある。
【0014】
トレイの一部の実施形態では、圧縮性部分は、表面の径方向、表面の周方向部分、またはその両方に沿って圧縮可能である。
【0015】
トレイの一部の実施形態では、表面は、非平面部分、平面部分、またはその両方を備える。
【0016】
トレイの一部の実施形態では、圧縮性部分は、ばねを備える。
【0017】
トレイの一部の実施形態では、圧縮性部分は、隆起方向および折畳み方向を有する蛇腹状表面を備える。
【0018】
トレイの一部の実施形態では、蛇腹状表面は、固体前駆体物質を保持するように構成される。
【0019】
トレイの一部の実施形態では、圧縮性部分は、開放環を備える。
【0020】
トレイの一部の実施形態では、トレイは表面を備え、表面は固体前駆体物質を保持するように構成され、かつ開放環と熱接触状態にある。
【0021】
トレイの一部の実施形態では、開放環は表面の外周に設けられている。
【0022】
トレイの一部の実施形態では、開放環は表面の上方に設けられている。
【0023】
トレイの一部の実施形態では、開放環は表面の下方に設けられている。
【0024】
トレイの一部の実施形態では、トライは第2の表面を備え、第2の表面は固体前駆体物質を保持するように構成され、かつ開放環と熱接触状態にある。
【0025】
トレイの一部の実施形態では、表面から第2の表面までの距離は、圧縮性部分が圧縮されると減少する。
【0026】
一部の実施形態では、アンプルは、本明細書中のトレイの実施形態のうちいずれかによるトレイを備える。
【0027】
一部の実施形態では、トレイをアンプルに挿入する方法は、本明細書に記載のトレイの実施形態のうちいずれかによるトレイを得ること、トレイの圧縮性部分を圧縮すること、およびトレイをアンプルの内容積に挿入することを含む。
【0028】
一部の実施形態では、上記方法は、トレイの圧縮性部分を解放することをさらに含み、このとき圧縮性部分は拡張し、トレイはアンプルの内壁面と熱接触するように構成される。
【0029】
本開示の一部を形成するとともに、本明細書に記載のシステムおよび方法が実施され得る実施形態を例示する、添付図面を参照する。同様の参照符号は、全体を通して同一または類似の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施形態の一部によるトレイを収容するアンプルの概略断面図を示す。
【
図2】実施形態の一部によるトレイを示す図である。
【
図3B】実施形態の一部によるトレイの別の図を示す。
【
図3C】実施形態の一部によるトレイのまた別の図を示す。
【
図3D】実施形態の一部によるトレイのさらに別の図を示す。
【
図4B】実施形態の一部によるトレイの別の図を示す。
【
図4C】実施形態の一部によるトレイのまた別の図を示す。
【
図4D】実施形態の一部によるトレイのさらに別の図を示す。
【
図5B】実施形態の一部によるトレイの別の図を示す。
【
図6】実施形態の一部によるトレイの分解図を示す。
【
図7】実施形態の一部によるトレイ用のスナップリングを示す図である。
【
図8】実施形態の一部によるトレイを示す図である。
【
図9】圧縮性トレイをシステムのアンプルに挿入するための方法の実施形態の一部によるフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、一部の実施形態による例示的なアンプル100の概略断面図を示す。アンプル100は、本明細書に記載の実施形態のうちいずれかによるトレイ102をあらゆる組合せで収容する。アンプル100は、トレイ102の積層体を保持するのに十分な内容積を画定するとともに内容積内の流体(例えば、ガス)の流れを可能にする、内部室104を有する。
図1に示されるように、内部室104およびその容積は、全体的に円筒形状である。
【0032】
トレイ102は、ステンレス鋼、アルミニウム、グラファイト、または当業者に公知の他の材料であってもよい。一部の実施形態では、トレイ102はコーティングを含む。コーティングは、有用な特性をトレイ102に与え得る。例えば、コーティングは、トレイ102から前駆体を受容する関連ツールに提供される金属粒子の量を減少させ得る。一実施形態では、コーティングは、セラミック(例えば、酸化アルミニウム)またはポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)である。
【0033】
内部室104は、内壁面106を有する。トレイ102のそれぞれは、積層可能に構成されるとともに、内部室104の内容積内に収容されるようにサイズ調整される。内部室104は、流体(例えば、ガス)を内部室104の上部110に向かって上方に、内部室104の下部112に向かって下方に、またはその両方に流すための流路108を備える。トレイ102はまた、上向き、下向き、またはその両方の流体の流れを可能にするようにそれぞれ構成される。例えば、トレイ102のそれぞれは、トレイ102の本体を貫通する貫通孔または穴部を有することができる。
【0034】
各トレイ102は、内壁面106と収縮するように構成された部分114を有する。部分114と内壁面106との表面間接触の面積が増加すると、内壁面106からトレイ102への熱伝達が向上するため、固体前駆体物質への熱伝達が向上する。
【0035】
内部室104の直径は全体的に変化しないため、内部室104の直径と比較してプロファイルサイズが小さいトレイ102は、トレイを挿入してそれらを内部室104内で積層するプロセスを比較的容易にすることができる。しかし、固定され一定のより小さなプロファイルサイズを有するトレイは、内壁面106からトレイおよび/またはトレイ上に設けられた固体前駆体物質への良好な熱伝達をもたらすためにアンプル100の内壁面106と十分に接触することができない。
【0036】
本明細書に開示されるトレイ102の実施形態は、圧縮時にプロファイルサイズが縮小することで、トレイ102を内部室104に挿入できる容易さを向上させ、次いで、サイズが拡大することで、アンプル100の内壁面106との接触が改善して内壁面106からトレイ102および/またはトレイ102上に設けられた固体前駆体物質への良好な熱伝達をもたらすことができるという、両方の利点を達成することができる。トレイ102の種々の例示的実施形態を以下に記載する。
【0037】
本明細書中で使用される「圧縮可能な(compressible)」という用語は、構造、材料、またはその両方の構成であって、装置、または装置の直線長さ、径方向長さ、直径方向長さ、周方向長さ、もしくはそれらのあらゆる組合せの一部を改変するか、変更するか、短縮するか、延長するか、またはそれらのいずれかの組合せを行うことが可能になるように設計された構成を意味する。圧縮可能な構造の例には、ばね、蛇腹状構造、開放環、ロック機構を備えるまたは備えない機械接合部、可鍛性材料、多孔性材料などのうち1つまたは複数が上げられる。
【0038】
図2は、実施形態の一部によるトレイ200を示す。トレイ200は、他の同一または同様のトレイと積層されるように構成される。トレイ200は、軸方向に沿って長さを短縮できるように構成されたばね202を備えた圧縮性部分202を備える。圧縮されると、トレイ200は、軸方向204に沿ってその長さが短縮することから、比較的容易にアンプルの内部室に挿入することができる。圧縮性部分202、この場合ばね202は、アンプルからトレイ200上に設けられた固体前駆体物質への熱伝達を向上させる材料で作製される。ばね202は、伝熱部品である翼部206、208と熱接触状態にある。翼部206、208のそれぞれは、対応の湾曲面210、212を備える。ばね202は、ばね202がアンプルの内壁面との接触を向上させるように、これらの湾曲面210、212を互いに遠ざけるように構成される。一部の実施形態では、湾曲面210、212のすべてが、アンプルの内壁面の少なくとも一部に接触する。一部の実施形態によれば、圧縮性部分202は、蛇腹状構造ではない。トレイ200は、固体前駆体物質を保持するための構成部品(例えば、プレート、ボウル、桶部など)214を備える。この構成部品214は、上面216を有する。一部の実施形態では、上面216は湾曲している。湾曲した上面216は、凹状のトポロジー、ボウル形状、または桶形状を呈することができる。構成部品214は、単一の区画または複数の区画を有することができる。
【0039】
特定の例では、トレイ200は、4つのモジュール式構成部品、すなわち、ばね202、第1の翼部206、第2の翼部208、固体前駆体物質を保持するように構成された上面216を有する桶部214を備える。ばね202は、翼部206、208に機械的および摩擦的に係合かつ接続される。翼部206、208は、それぞればね202と接続するための保持具218、220を有する。この接続により、翼部206、208からばね202に熱を伝達するのに十分な接触が得られる。翼部206、208のそれぞれは、桶部214と接続する水平構成部品222、224を有し、水平構成部品222、224は、桶部214に対して摺動可能であり、桶部214との摩擦的係合、機械的係合、またはその両方を有する。ばね202は、圧縮されて解放されると、2つの翼部206、208を互いに遠ざける。ばね202が圧縮されると、ばね位置エネルギーが増加する。すなわち、圧縮状態のばね202のばね位置エネルギーは、その緩和状態よりも高い。
【0040】
図3A~
図3Dは、実施形態の一部によるトレイ300の様々な図を示す。
図3Aはトレイ300の斜視図を示し、
図3Bは正面図を示し、
図3Cは平面図を示し、
図3Dは側面図を示す。トレイ300は、蛇腹状構造302を有する単一体構造であり、蛇腹状構造302は、隆起方向304および折畳み方向306を有する。蛇腹状構造302は、蛇腹状表面302-aを備える。一部の実施形態では、表面302-aは、平面である。一部の実施形態では、表面302-aは、平面ではない。一部の実施形態では、表面302-aは、平面部分および非平面部分を備える。蛇腹状構造302は、隆起方向304ではなく、折畳み方向306に沿って圧縮可能である。蛇腹状構造302の最大部および最小部は、固体前駆体物質を保持するための少なくとも1つの表面を有するように構成される。さらに、蛇腹状構造302は、トレイからトレイ300の表面上にある固体前駆体物質への熱伝達を増加させるために、より高い表面積を呈する。トレイ300はまた、トレイ300がアンプル内に設置されたときに流体が流れる(例えば、ガスが流れる)ための少なくとも1つの通路308を有する。トレイ300はまた、同一または同様の構造の他のトレイと積層可能に構成される。これらのトレイ300を複数積層する場合、1つのトレイ300の最大部は、他のトレイの最小部に接触かつ/または接続することができる。端部において折畳み方向306に沿った外面310、312は湾曲しており、アンプルの内部室の内壁面に接触するように構成される。蛇腹状構造302は、トレイ300が、アンプルに挿入されるために折畳み方向306に沿ってより短い長さを呈し、次いで折畳み方向306に沿って拡張して、外面310、312とアンプルの内部室の内壁面との表面接触を向上かつ改善するのを可能にする。すなわち、蛇腹状構造302は、圧縮されたトレイ300が解放されると、2つの外面310、312を互いに遠ざける。蛇腹状構造302が圧縮されると、ばね位置エネルギーが増加する。すなわち、圧縮状態の蛇腹状構造302のばね位置エネルギーは、その緩和状態よりも高い。
【0041】
図4A~
図4Dは、実施形態の一部による別のトレイ400の様々な図を示す。
図4Aはトレイ400の斜視図を示し、
図4Bは正面図を示し、
図4Cは平面図を示し、
図4Dは側面図を示す。トレイ400は、
図3A~
図3Dに示されるトレイ300に類似しているが、
図3A~
図3Dに示される外面310、312と比較するとより大きな表面積の構成部品402、404を2つの外部領域に備えている。
【0042】
図5Aおよび
図5Bは、実施形態の一部によるトレイ500の様々な図を示す。
図5Aはトレイ500の斜視図を示し、
図5Bは同じトレイ500の平面図を示す。トレイ500は、その外周または最外周において開放環504構成部品とともに構成された平面プレート502を備える。開放環504は、トレイ500上に設けられた固体前駆体物質に熱エネルギーを与えることのできる材料で作製される。開放環504は、所望のばね不変特性を達成するために様々な厚さのリングバンドとともに構成される。開放環504は、開放端部506、508において圧縮することができるため、全体のサイズを縮小することができる。開放端部506、508は、開放環504を圧縮するのに十分な力を与えるために、機械的、摩擦的、またはその両方の係合のための追加の構造(例えば、穴部506-a、508-a)とともに構成することができる。すなわち、開放環504は、開放環504の径方向に沿って縮小するように圧縮させることができる。これにより、トレイ500は、アンプルに挿入されるためのより小さな平面プロファイルを呈することが可能になる。この圧縮状態が解放されると、開放環504は径方向に沿って外側に拡張して、トレイ500の外面510とアンプルの内部室の内壁面との表面接触を向上かつ改善する。開放環504が圧縮されると、ばね位置エネルギーが増加する。すなわち、圧縮状態の開放環504のばね位置エネルギーは、その緩和状態よりも高い。トレイ500はまた、ガスなどの流体を内部室の下部から内部室の上部に、内部室の上部から内部室の下部に、またはその両方に流すための通路である流路512、514、516を備える。
【0043】
図6は、実施形態の一部によるトレイ600の分解図を示す。トレイ600は、固体前駆体物質を保持するように構成されたプレート602を備える。プレート602は、ガスなどの流体を内部室の下部から内部室の上部に、内部室の上部から内部室の下部に、またはその両方に流すための通路である流路604を備える。トレイ600は、圧縮可能な開放環606(圧縮状態から解放されると、環は「跳ね」返って元の形状に戻るため、「スナップリング」とも呼ばれ得る)をさらに備える。開放環606は、プレート602の上方または下方に配置することができる。開放環606は、トレイ600上に設けられた固体前駆体物質に熱エネルギーを与えることのできる材料で作製される。開放環606は開放端部608、610を有し、これらは、開放環606を圧縮するのに十分な力を与えるために、機械的、摩擦的、またはその両方の係合のための追加の構造(例えば、穴部608-a、610-a)とともに構成することができる。すなわち、開放環606は、開放環606の径方向に沿って縮小するように圧縮させることができる。これにより、トレイ600は、アンプルに挿入されるためのより小さな平面プロファイルを呈することが可能になる。この圧縮状態が解放されると、開放環606は径方向に沿って外側に拡張して、開放環606の外面612とアンプルの内部室の内壁面との表面接触を向上かつ改善する。これにより、アンプルの内壁面から開放環606への熱伝達を改善することが可能になる。開放環606は、プレート602と熱接触状態にある。このため、アンプルの内壁面とプレート602との熱接触の改善は、開放環606によって達成される。これはまた、プレート602上に設けられた固体前駆体物質への熱エネルギー送達も向上させる。開放環606が圧縮されると、ばね位置エネルギーが増加する。すなわち、圧縮状態の開放環606のばね位置エネルギーは、その緩和状態よりも高い。
【0044】
図7は、
図5A、
図5B、および
図6に示されるトレイのうちいずれかとともに使用できるスナップリング700の一実施形態を示す。スナップリング700は圧縮可能であり、圧縮状態から解放されると、開放環は「跳ね」返って元の形状に戻る。スナップリング700は、トレイ用のプレートの上方または下方に配置することができる。スナップリング700は、トレイ上に設けられた固体前駆体物質に熱エネルギーを与えることのできる材料で作製される。スナップリング700は開放端部702、704を有し、これらは、スナップリング700を圧縮するのに十分な力を与えるために、機械的、摩擦的、またはその両方の係合のための、穴部706、708、710、712などの追加の構造とともに構成することができる。内部穴部706、708などの一組の穴部は、プライヤまたは別の機械装置などのツールを用いてスナップリング700を圧縮するために使用することができる。外部の対となる穴部710、712などの別の組の穴部は、圧縮されたスナップリングを別のツール、例えばワイヤを使用して固定するために使用されるように構成される。ワイヤが配置されると、スナップリング700は、その圧縮構成を維持し、スナップリング700をアンプルの内部室深部に容易に挿入できるような状態にすることができる。すなわち、スナップリング700は、スナップリング700の径方向に沿って縮小するように圧縮させることができる。これにより、トレイは、アンプルに挿入されるためのより小さな平面プロファイルを呈することが可能になる。スナップリング700(例えば、および関連するトレイ)が所望の場所および位置に設けられた後、圧縮状態を保持するワイヤを切断して、アンプルの内部室の内部寸法に対してスナップリング700を解放することができる。この圧縮状態がワイヤの係合解除によって解放されると、スナップリング700は径方向に沿って外側に拡張して、スナップリング700の外面とアンプルの内部室の内壁面との表面接触を向上かつ改善する。これにより、アンプルの内壁面からスナップリング700への熱伝達を改善することが可能になる。スナップリング700は、プレートと熱接触状態にある。このため、アンプルの内壁面とプレートとの熱接触の改善は、スナップリング700によって達成される。これはまた、プレート上に設けられた固体前駆体物質への熱エネルギー送達も向上させる。スナップリング700が圧縮されると、ばね位置エネルギーが増加する。すなわち、圧縮状態のスナップリング700のばね位置エネルギーは、その緩和状態よりも高い。
【0045】
図8は、実施形態の一部によるトレイ800の平面図を示す。トレイ800は、固体前駆体物質を保持するように構成された複数のプレート802、804を備える。すなわち、プレート802、804のそれぞれは、固体プロキュレータを保持するように構成された対応の第1および第2の表面を有する。
図8は、2枚のプレート802、804を示しているが、2枚より多くのプレート(および表面)をこのトレイ800の他の改変実施形態に組み込むことができる。プレート802、804は、ガスなどの流体を内部室の下部から内部室の上部に、内部室の上部から内部室の下部に、またはその両方に流すための通路である流路806を画定するように隔てられる。トレイ800は、圧縮可能な開放環808(圧縮状態から解放されると、環は「跳ね」返って元の形状に戻るため、「スナップリング」とも呼ばれ得る)をさらに備える。開放環808は、プレート802、804の上方または下方に配置することができる。開放環808は、トレイ800上に設けられた固体前駆体物質に熱エネルギーを与えることのできる材料で作製される。開放環808は開放端部810、812を有し、これらは、開放環808を圧縮するのに十分な力を与えるために、機械的、摩擦的、またはその両方の係合のための追加の構造(例えば、穴部810-a、812-a)とともに構成することができる。すなわち、開放環808は、開放環808の径方向、周方向部分、またはその両方に沿って縮小するように圧縮させることができる。これにより、プレート802、804が互いに近づくことが可能になり、トレイ800は、アンプルに挿入されるためのより小さな平面プロファイルを達成する。この圧縮状態が解放されると、開放環808は「跳ね」返り、径方向に沿って外側に拡がる。これにより、プレート802、804の外面814、816とアンプルの内部室の内壁面との表面接触が向上かつ改善される。これにより、アンプルの内壁面からプレート802、804への熱伝達を改善することが可能になる。これはまた、プレート802、804上に設けられた固体前駆体物質への熱エネルギー送達も向上させる。開放環808が圧縮されると、ばね位置エネルギーが増加する。すなわち、圧縮状態の開放環808のばね位置エネルギーは、その緩和状態よりも高い。
【0046】
図9は、圧縮性トレイをシステムのアンプルに挿入するための方法900の実施形態の一部による例示的なフローチャートを示す。トレイは、本明細書に記載される圧縮性部分を有するトレイのうちいずれかとすることができる。方法900は、本明細書に記載の実施形態のうちいずれかによるトレイを得ること902を含む。次いで、トレイを圧縮し904、アンプルの内容積を画定する内部室にトレイ(圧縮されたもの)を挿入する904。一部の実施形態では、方法900は、トレイの圧縮性部分を解放すること908をさらに含み、このとき圧縮性部分は拡張し、トレイはアンプルの内壁面と熱接触するように構成される。これにより、圧縮されたトレイを拡張させ、内部室の内壁面にぴったりと堅く適合させることができる。解放すること908のプロセスは、例えば、スナップリングを圧縮状態で保持するワイヤを切断または解放することを含み得る(例えば、
図7および上記の関連する記述を参照)。
【0047】
本明細書で使用される用語は、実施形態を説明することを意図しており、限定することは意図していない。「a」、「an」、および「the」という用語は、別段の定めのない限り、同様に複数形も含む。「含む(comprises)」および/または「含むこと(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、明記された特徴、整数、工程、動作、要素、および/または構成部品の存在を特定するが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、および/または構成部品の存在も追加も除外するものではない。
【0048】
実施形態のうちいずれか、またはそのあらゆる部分は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実施形態のうちいずれかと組み合わされてもよいことを理解されたい。また、特に利用される構築材料、ならびに部品の形状、サイズ、および配置に対して細部にわたる変更が、本開示の範囲から逸脱することなく行われてもよいことを理解されたい。本明細書および記載の実施形態は例示的なものであり、本開示の真正な範囲と趣旨は、後述の特許請求の範囲によって示されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプル用のトレイであって、
圧縮状態および緩和状態を呈する圧縮性部分を備え、
圧縮性部分のばね位置エネルギーが、緩和状態よりも高い、トレイ。
【請求項2】
伝熱部品であって、
圧縮性部分と熱接触状態にある伝熱部品
をさらに備える、請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
圧縮性部分が、隆起方向および折畳み方向を有する蛇腹状表面を備える、
請求項1に記載のトレイ。
【請求項4】
圧縮性部分が、開放環を備える、
請求項1に記載のトレイ。
【請求項5】
表面であって、
固体前駆体物質を保持するように構成され、かつ
開放環と熱接触状態にある、表面
をさらに備える、請求項4に記載のトレイ。
【国際調査報告】