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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】霧化器ノズル
(51)【国際特許分類】
   F23G 7/04 20060101AFI20240927BHJP
   B05B 7/06 20060101ALI20240927BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20240927BHJP
   B05B 1/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
F23G7/04 602J
B05B7/06
F23G5/44 B
B05B1/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522074
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022077536
(87)【国際公開番号】W WO2023061799
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】21201968.1
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】トゥルグート,オヌール
(72)【発明者】
【氏名】シュリヒャー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】グロス,マルコ
【テーマコード(参考)】
3K065
4F033
【Fターム(参考)】
3K065AA24
3K065AB01
3K065AC05
3K065BA01
3K065EA09
3K065EA31
3K065EA42
4F033AA13
4F033BA01
4F033BA02
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033FA01
4F033KA02
4F033KA03
4F033MA00
4F033NA01
4F033QA07
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB13Y
4F033QB14X
4F033QC07
4F033QD02
4F033QD09
4F033QD10
4F033QD21
4F033QD25
4F033QE14
4F033QE23
(57)【要約】
本発明は、ノズル本体(1)とノズルヘッド(2)とを備え、第2流体によって第1流体を霧化するための霧化器ノズルであって、前記霧化器ノズルは、霧化される前記第1流体の入口(4)と出口(5)を備える前記ノズル本体(1)内に配置される内流路(3)と、前記第2流体の入口(7)と出口(8)を備える前記内流路(3)の周囲に配置される外流路(6)を有し、前記内流路の出口(5)は、流れ方向において前記外流路の前記出口(8)の手前で終わっており、前記外流路(6)の出口(8)は前記内流路(3)に向かって傾斜しており、前記ノズルヘッド(2)は、霧化された流体のためのノズル出口(9)を有し、前記ノズル本体(1)の出口側端部に配置され、半径方向及び軸方向において部分的にノズル本体を取り囲んでおり、前記内流路の前記出口(5)の断面積は、ノズル出口(9)の断面積よりも小さい、霧化器ノズルに関する。前記ノズルヘッド(2)は、前記ノズル本体(1)の外周面の一部に取り付けられたスリーブ状のキャップとして設計されており、前記外流路(6)は、前記ノズル本体(1)を完全に延びる第1セクションと、前記ノズル本体(1)の外周面と前記ノズルヘッド(2)の内周面とによって形成される第2セクション(10)との2つのセクションを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル本体(1)とノズルヘッド(2)とを備え、第2流体によって第1流体を霧化する霧化器ノズルであって、
前記霧化器ノズルは、霧化される前記第1流体用の入口(4)と出口(5)を備える前記ノズル本体(1)内に配置される内流路(3)と、前記第2流体用の入口(7)と出口(8)を備える前記内流路(3)の周囲に配置される外流路(6)とを有し、前記内流路の出口(5)は、流れ方向において前記外流路の前記出口(8)の前で終わっており、前記外流路(6)は前記出口(8)において前記内流路(3)に向かって傾斜しており、前記ノズルヘッド(2)は、霧化された流体用のノズル出口(9)を有しかつ前記ノズル本体(1)の出口側端部に配置され、前記ノズル本体(1)の出口側端部を半径方向及び軸方向において部分的に取り囲んでおり、前記内流路の前記出口(5)の断面積は、前記ノズル出口(9)の断面積よりも小さいものであり、
前記ノズルヘッド(2)は、前記ノズル本体(1)の外表面の一部に取り付けられたスリーブ状のキャップとして設計されており、前記外流路(6)は2つのセクションを有し、第1セクションは前記ノズル本体(1)に完全に延び、第2セクション(10)は前記ノズル本体(1)の外表面と前記ノズルヘッド(2)の内表面とによって形成されることを特徴とする、霧化器ノズル。
【請求項2】
前記外流路(6)は、軸方向に前記外流路の少なくとも一部の領域にわたって延び、半径方向に前記外流路の内壁から外壁に向かって延びるバッフル(11)を備える、請求項1に記載の霧化器ノズル。
【請求項3】
前記バッフル(11)は、前記外流路(6)に旋回領域を形成するように流れの方向にらせん状に形成される、請求項2に記載の霧化器ノズル。
【請求項4】
前記バッフル(11)の傾斜は、入口から出口に向かって流れ方向に対して減少する、請求項2又は3に記載の霧化器ノズル。
【請求項5】
前記バッフル(11)は前記外流路(6)の内壁及び外壁に一体的に接続されている、請求項2~4のいずれか1項に記載の霧化器ノズル。
【請求項6】
少なくとも4つのバッフル(11)が円周方向に均一に分布して存在する、請求項2~5のいずれか1項に記載の霧化器ノズル。
【請求項7】
前記ノズルヘッド(2)の内表面に対する接線と前記ノズル出口(9)の平面とが100°~180°の出口角度(12)を形成する、請求項1~6のいずれか1項に記載の霧化器ノズル。
【請求項8】
前記外流路(6)の断面積は流れ方向に減少する、請求項1~7のいずれか1項に記載の霧化器ノズル。
【請求項9】
前記内流路(3)と前記外流路(6)の断面積は回転対称である、請求項1~8のいずれか1項に記載の霧化器ノズル。
【請求項10】
前記内流路(3)の断面積は円形であり、前記外流路(6)の断面積は円環状である、請求項9に記載の霧化器ノズル。
【請求項11】
前記内流路(3)は末端に向かって円錐状に広がっており、円錐角度(13)は5°から25°の範囲である、請求項1~10のいずれか1項に記載の霧化器ノズル。
【請求項12】
前記ノズル本体(1)と前記ノズルヘッド(2)は、軸方向に互いに対して調整可能である、請求項1~11のいずれか1項に記載の霧化器ノズル。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つの霧化器ノズルを備える、廃棄物の焼却のための廃棄物焼却プラント。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の霧化器ノズルにおいて第2流体によって第1流体を霧化する方法であって、前記第1流体は液体であり、前記第2流体は気体である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル本体とノズルヘッドとを備え、第2流体によって第1流体を霧化(atomizing)するための霧化器ノズルであって、前記霧化器ノズルは、前記ノズル本体内に配置され霧化される前記第1流体の入口と出口を有する内流路と、前記内流路の周囲に配置され前記第2流体の入口と出口とを有する外流路と、を有する霧化器ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
霧化器ノズルは「スプレーノズル」とも呼ばれ、例えば液体をスプレーに分散させるなど、様々な目的で当技術分野において知られている。液体の運動エネルギーを利用して液体を液滴に分解する単一流体ノズルの他に、二流体ノズルが、第2の流れを介して液体流を霧化するための手段として確立されている。通常、気体又は蒸気の高速流を液体流と接触させる。気体又は蒸気の流れの運動エネルギーにより、液体流は粒子に霧化される。
【0003】
設計は様々であるが、二流体ノズルは内部混合ノズルと外部混合ノズルの2つのグループに分けられることができる。内部混合ノズルは、霧化された粒子のジェットがノズルの出口から噴出する(leave)ように、ノズルの内部で流体と接触する。外部混合ノズルは、流体がノズル出口から噴出した後に霧化が行われるように、ノズルの外部で流体と接触する。どちらのタイプのノズルにも利点と欠点がある。
【0004】
二流体ノズルは様々な用途に使用され得る。ノズルの設計が最も重要な用途の1つは、廃棄物焼却、特に有害廃棄物焼却である。通常、このような廃棄物焼却施設は、高い焼却温度に耐えるために、内部が耐火レンガで覆われているロータリーキルン及び二次燃焼室を備えている。焼却プラントでは、粘度の異なる気体、固体、及び流体の廃棄物が焼却される。有害な低粘度流体廃棄物は、パイプラインを通して回転キルンとポストバーニングチャンバに搬入され(brought into)、焼却のためにランスに挿入されたノズルによって霧化される。特に二次燃焼室での廃棄物の処理量が高い(通常1時間あたり750リットル以上の廃棄物)場合、火炎長が著しく長くなり、噴霧された(sprayed)廃棄物と火炎の混合物がランスの反対側の耐火レンガに当たり始める。このような場合、耐火レンガは、表面への直火と、耐火レンガの表面での廃棄物の燃焼により、過剰な歪みが生じる。これは耐火レンガの早期損傷を引き起こし、計画していない停止、ひいては稼働率ロスにつながる。したがって、廃棄物焼却プラントで使用するためには、短い火炎長と広い火炎幅を容易にする霧化器ノズルが有益である。さらに、ノズルは、異なるタイプの廃棄物に、特に組成及び粘度などの流動特性の点で、適応可能であるべきである。
【0005】
文献US2017/0348721A1は、高温処理環境での使用に適した外部混合タイプの多相噴射ノズルを開示している。該ノズルは、一次通路と少なくとも1つの二次通路とを有するノズル内の複数の通路を備える。該通路は、それぞれの処理媒体を互いに対して異なる角度で反応器に同時に噴射するように作動可能である。ノズルは、ノズル先端、すなわち出口から火炎をオフセットするように設計されている。異なるプロダクト特性に対するスプレーパターンの調整は、供給されるストリームの量と速度によって限られた範囲でのみ可能である。
【0006】
文献DE10045320A1は、例えば硫黄含有残留物の再生用のバーナーノズルとしての使用のための同様の外部混合ノズルを開示している。強力な硫黄によるノズル先端の腐食を防止するため、ノズルは、燃焼される残留物のための内流路と、酸素リッチガス流のための外流路と、シールドガスを供給するための内流路と外流路との間の中間流路とを備える。ノズル出口での硫黄と酸素の接触が防止されるため、ノズルの寿命が長くなる。このノズルは特別な燃料組成用に開発されたもので、異なるプロダクト特性に対応するスプレーパターンの調整は、供給される流れの量と速度によって限られた範囲でのみ可能である。
【0007】
文献US2005/0026099A1は、概ね同心の内側ピースと外側ピースから形成される外部混合タイプのバーナーノズルを開示している。内側ピースは、燃料導管を画定し、外側ピースは、ノズルの出口端に向かって先細りし、出口端の近くで丸みを帯びた縁を有する環状ガス導管を画定する。内側ピースは、外側ピースに対して、限られた移動範囲内で、長手方向に並進可能であり、所望の位置にロックすることができる。本開示によれば、ノズルは、バーナーの外側で燃料と空気の効率的な混合を促進する。空気の流れは、出口端の近傍に部分的な真空を作り出し、燃料導管から燃料を引き出す役割を果たす。火炎の長さは、外側ピースに対する内側ピースの長手方向の並進によって調節可能であるが、火炎の幅は調節できない。
【0008】
外部混合タイプノズルは、バーナー以外の用途でも知られている。例えば、文献WO2007/006861A1は、空気と水が供給されるフレームを備える紙ウェブの加湿ノズルを開示している。フレーム内には、水が加湿ノズルの出口に導かれる水ノズルが配置され、それに対応して空気が出口に導かれる空気ノズルが配置されている。空気ノズルと水ノズルは、空気と水が加湿ノズルから噴霧される水ミストを形成するように、一方が他方の中に配置される。
【0009】
US3844484Aは、例えばボイラー、ガスタービンなどの使用のための、非常に微細な燃料粒径を生成する内部混合タイプの燃料霧化器ノズルを開示している。内側の液体燃料流がノズル出口の手前で、約90°の角度で外側のガス流に衝突する。燃料は、霧化器から離れる軸方向に旋回運動をしながら噴射され、ガスは、その旋回軸に対して直角に内側に旋回するか、又は燃料の軸方向の移動方向と同じ方向もしくは反対方向に軸方向に内側に旋回する。その結果、霧化(atomization)が細かくなり、スプレーパターンが広くなる。しかし、このノズルは、異なるプロダクトに対しては調整することはできない。ノズルは非常に純粋な燃料用に設計されている。燃料流の内部チャネルの小さい通路と長方形の偏向のため、燃料に固体粒子が含まれていると、小さなチャネルが詰まる可能性がある。したがって、その設計のノズルは、霧化される液体流中に固体粒子又は高粘度の粒子が存在する可能性のある有害廃棄物焼却には使用できない。
【0010】
いくつかの種類の用途に適した霧化器ノズルがあるとしても、霧化される様々な物質を考慮して、また、スプレーパターンとその結果として生じる火炎の形状を考慮して、調整可能な多目的ノズルが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US2017/0348721A1
【特許文献2】DE10045320A1
【特許文献3】US2005/0026099A1
【特許文献4】WO2007/006861A1
【特許文献5】US3844484A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、廃棄物焼却プラントに適用可能で、短いが幅広い火炎を容易にし、焼却される廃棄物による目詰まりに強い霧化器ノズルを提供することであった。本発明のさらなる目的は、焼却される廃棄物の様々な種類、特に組成及び粘度などの流動特性の点で焼却される様々な種類の廃棄物に適応可能な霧化器ノズルを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の霧化器ノズル、請求項13に記載の廃棄物焼却プラント、及び請求項14に記載の方法によって達成される。霧化器ノズルの有利な変形例は、請求項2から12に示されている。
【0014】
本発明の第1の主題は、ノズル本体とノズルヘッドを備える、第2流体によって第1流体を霧化するための噴霧器ノズルである。霧化器ノズルは、ノズル本体内に配置された内流路を有し、霧化される第1流体のための入口及び出口を有する。外流路は、内流路の周囲に配置され、第2流体の入口と出口を有する。内流路の出口は、流れ方向において外流路の出口の手前で終わっており、外流路の出口は内流路に向かって傾斜している。ノズルヘッドは、霧化された流体のためのノズル出口を有し、ノズル本体の出口側端部に配置され、半径方向及び軸方向において部分的にノズル本体を取り囲んでおり、内流路の出口の断面積は、ノズル出口の断面積よりも小さい。ノズルヘッドは、ノズル本体の外表面の一部に取り付けられたスリーブ状のキャップとして設計されており、外流路は、ノズル本体内を完全に延びる第1セクションと、ノズル本体の外表面とノズルヘッドの内表面とによって形成される第2セクションとの2つのセクションを備える。
【0015】
本発明の第2の主題は、廃棄物を焼却するための、本発明による少なくとも1つの霧化器ノズルを備える廃棄物焼却プラントである。
【0016】
ノズルヘッドは、半径方向及び軸方向でノズル本体を部分的に取り囲んでいる。外流路の傾斜した端部との組み合わせにより、外部混合型と内部混合型の間で混合動作がもたらされる。外流路から流出した第2流体は内流路に向かい、ノズル出口直前で第1流体に衝突する。特に、第1流体が様々な粘度又は重合特性を有し得、小さな固体粒子を含むこともある、廃棄物焼却の用途では、ノズル出口の直前で2つの流体を混合することで、ノズル内部部品の汚れ又は目詰まりが防止されるという利点がある。
【0017】
さらに重要なことは、ノズルのスプレーパターンが短く幅広いため、廃棄物焼却プロセスに有用であるということである。利点は、火炎と廃棄物飛沫が燃焼室の耐火レンガに衝突することにより引き起こされる耐火レンガの早期損傷を排除することによる設備の稼働率の向上、形状に統合された外殻全体にわたる振動力の減衰と分散を改善することによるノズルの使用時間の延長、及びモノリシック設計によるノズルの組み立て作業の軽減である。
【0018】
本発明による霧化器ノズルのさらなる利点は、ノズル本体とノズルヘッドが2つの別個の部品として設計されているため、ノズル出口直前の外流路の出口におけるチャネル幅を、それぞれの用途の必要性に応じて選択及び調整できることである。
【0019】
霧化器ノズルの好ましい実施形態では、外流路は、外流路の少なくとも一部の領域にわたって軸方向に延び、外流路の内壁から外壁に向かって半径方向に延びるバッフルを備える。この実施形態の利点は、半径方向の圧力に対するノズル本体の安定化であり、したがって、霧化器ノズルのより高い堅牢性とより長い寿命である。
【0020】
バッフルは、外流路における第2流体の開放された流面積がそれぞれの目的に対して十分に大きい限り、任意の適切な形状又は形態を有することができる。好ましくは、バッフルは、外流路に旋回領域(swirl region)を形成するように、流れの方向にらせん状に形成される。この実施形態によるバッフルは、外流路における第2流体の旋回又は渦(swirl or vortex)を誘発し、特定の用途に有益な混合挙動をもたらすことができる。
【0021】
好ましくは、バッフルの傾斜は、入口から出口に向かって流れ方向に対して減少する。
【0022】
バッフルは、ノズル本体とは別に製造することも、ノズル本体に接続して製造することもできる。別個に製造する場合、バッフルは、例えば、外流路に挿入され、そこに固定されるインサートとして事前に製造されることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、バッフルは外流路の内壁及び外壁に一体的に接続されている。より好ましくは、バッフルはノズル本体と共に、例えば付加製造法によって製造される。一体的に接続されたバッフルは、チャネル壁への安定した接続を提供し、特定の方法でノズル本体を安定させるため、有利である。
【0024】
多数のバッフルが外流路に設けられ、周方向に均一に分布していることが好ましい。これにより、円周方向における均等な負荷分布と安定化が保証される。好ましくは、円周方向に均一に分布する少なくとも4つのバッフルが存在する。
【0025】
本発明によれば、その出口における外流路は、内流路に対して傾斜している。好ましい実施形態では、その傾斜は、ノズルヘッドの内表面に対する接線とノズル出口の平面とが100°~180°の出口角度、より好ましくは145°~175°の出口角度を形成するようなものである。ノズル出口の幾何学的設計、例えば内流路の出口から外流路の出口までの距離及びノズル出口までの距離に応じて、ノズル出口の直前で2つの流れが最適な方法で混合するように傾斜を調整することができる。
【0026】
霧化器ノズルの好ましい実施形態では、外流路の断面積は流れ方向に減少する。
【0027】
内流路の断面積と外流路の断面積とが回転対称であることがさらに好ましい。本実施形態による霧化器ノズルは、その設置位置に注意を払うことなく、装置内の任意の位置、例えば焼却プラントのチャンバ内で容易に使用することができる。
【0028】
特に好ましい実施形態では、内流路の断面積は円形であり、外流路の断面積は円環状である。
【0029】
内流路は、第1流体を内流路を通して流すのに適した任意の形状及び寸法を有することができる。好ましくは、内流路は円柱の形状を有し、より好ましくは円形断面を有する。内流路の直径は、好ましくは8mm~15mm、より好ましくは10mm~12mmである。好ましい実施形態では、内流路は末端に向かって円錐状に広がっており、円錐角度は5°から25°の範囲である。
【0030】
霧化器ノズルの好ましい実施形態では、ノズル本体とノズルヘッドは、軸方向において互いに対して調整可能である。外流路の出口は、ノズル本体の外表面とノズルヘッドの内表面とによって形成されるため、ノズル本体に対してノズルヘッドを相対的に移動させると、外流路の出口の形状又は寸法が変化する。したがって、ノズルヘッドをノズル本体に対して調整することにより、第2流体の量と流速を、例えば粘度又は表面張力のような第1又は第2流体の物理的性質に応じて、それぞれの用途の必要性に適合させることができる。さらに、ノズルヘッドとノズル本体の相対位置の調整により、内流路内の第1流体と外流路内の第2流体の量の比率を変えることができる。
【0031】
霧化器ノズルは、特に、第1及び第2流体の温度、圧力、及び物理化学的特性に起因して、ノズルが動作中にさらされる応力及び力に耐えるのに適した任意の材料で作製することができる。好ましい実施形態では、霧化器ノズルの材料は、金属材料、セラミック材料、又は金属とセラミックを組み合わせた材料の群から選択される。より好ましくは、金属材料、セラミック材料又は金属-セラミック複合材料は、付加製造プロセスで加工されるのに適している。
【0032】
好ましい実施形態では、霧化器ノズルを製造するための材料は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケル基合金、鋼、ステンレス鋼又は工具鋼の群から選択される金属材料である。軽量構造が要求される場合は、アルミニウム合金又はマグネシウム合金が好ましい。機械的強度と安定性が要求される場合は、工具鋼が好ましい。第1材料の耐薬品性が重要な場合は、ステンレス鋼又はニッケル基合金が好ましい。
【0033】
特に、幾何学的に複雑なノズル本体の場合、付加製造プロセスを用いた製造が有利である。付加製造プロセスは、生成製造プロセス又は3Dプリンティングとも呼ばれ、従来技術から知られている。付加製造プロセスでは、材料を層ごとに追加してコンポーネントを製造する。例えば、金属粉末又はセラミック粉末を材料とする場合、金属粉末粒子又はセラミック粉末粒子が繰り返し塗布され、エネルギー投入によって溶融されるため、コンポーネントが層ごとに構築される。適切な生成製造プロセスの例としては、選択的レーザー溶融(SLM)、選択的レーザー焼結(SLS)、バインダージェッティング、レーザー金属蒸着(LMD)及び電子ビーム溶融(EBM)などの直接エネルギー堆積プロセス、コールドスプレー、ワイヤーアーク付加製造(WAAM)などがある。
【0034】
ノズル本体とノズルヘッドは、様々な方法で製造されることができる。第1の好ましい変形例では、これらは完全に付加製造プロセスで製造される。この変形例では、それぞれのコンポーネントは、好ましくは長手方向軸に対して同軸に製造される。層状構造は、好ましくはノズル本体の入口側から始まる。
【0035】
ノズル本体及びノズルヘッドの製造後、機械的特性又は物理化学的特性をさらに向上させるために、熱処理及び/又は化学処理を施すことができる。熱処理には均質化又は応力除去アニーリングが含まれ得る。応力除去アニーリングは、完成コンポーネントの残留応力を緩和し、その後の運転中のコンポーネントの歪みを最小限に抑える。化学処理には、コンポーネントの硬度を高める窒化処理が含まれ得る。
【0036】
本発明の第3の主題は、本発明による霧化器ノズルにおいて、第2流体によって第1流体を霧化する方法である。好ましくは、第1流体は液体であり、第2流体は気体である。
【0037】
より好ましくは、第1流体は、プロセスプラント、例えば化学又は製薬プロセスプラントから廃棄物として生成される液体である。第1流体は、異なる密度及び粘度を有する異なる有機成分及び/又は無機成分を含んでよい。第1流体は、固形物、例えば懸濁固形物を含んでよい。
【0038】
第2流体は、窒素、空気、蒸気又はそれらの混合物を含むガス流であることがさらに好ましい。
【0039】
好ましい実施形態では、霧化器ノズルは、200リットル/時間から1500リットル/時間の流量で第1流体を霧化できるように設計されている。ガス状の第2流体の量は、好ましくは150から300Nm3/h(ノルマル立方メートル/時)である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明による霧化器ノズルの第1の実施形態の縦断面を示す。
図2図1による霧化器ノズルの出口付近の詳細図を示す。
図3図1による霧化器ノズルの底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図面は原理的な表現として理解されるべきである。これらは、例えば特定の実施形態に関する本発明の限定を表すものではない。
【0042】
図1は、本発明による霧化器ノズルの第1の実施形態の縦断面図を示す。図2は、図1による霧化器ノズルの出口領域の詳細図を示す。図3は、図1による霧化器ノズルの底面図を示す。
【0043】
本実施形態の霧化器ノズルは、ノズル本体1とノズルヘッド2とを備える。霧化器ノズルは、ノズル本体1内に配置された内流路3を有し、内流路は、霧化される第1流体のための入口4及び出口5を有する。外流路6は内流路3の周囲に配置され、第2流体用の入口7と出口8を有する。内流路の出口5は、流れ方向において外流路の出口8の前で終わっており、外流路6はその出口8において内流路3に向かって傾斜している。ノズルヘッド2は、霧化された流体のためのノズル出口9を有し、ノズル本体1の出口側端部に配置される。それは半径方向および軸方向にそれを部分的に取り囲んでいる。ノズルヘッド2は、ノズル本体1の外表面の一部に取り付けられたスリーブ状のキャップとして設計されている。ノズルヘッド2の内表面に対する接線とノズル出口9の平面とは、約165°の出口角度12を形成している。内流路の出口5の断面積は、ノズル出口9の断面積よりも小さい。内流路3は、その端部に向かって広がっている。図示の例では、内流路は入口4から外流路6が終わる直前まで一定の直径を持つ円筒形である。そこから出口5に向かって、内流路は約15°の円錐角度13で広がっている。
【0044】
外流路6は2つのセクションを備え、第1セクションはノズル本体1の内部に完全に延在し、第2セクション10はノズル本体1の外表面とノズルヘッド2の内表面とによって形成される。外流路6の断面積は流れ方向に減少する。ノズルの外流路6は、軸方向に入口7から第1セクションの端部まで延びる10個のバッフル11を備え、すなわち、ノズル本体1内の外流路全体にバッフルが設けられている。半径方向には、バッフル11は外流路6の内壁から外壁まで延びている。図3から分かるように、バッフルは円周方向に均一に分布している。バッフル11は、外流路6に旋回領域を形成するように、流れ方向にらせん状になっている。それらの傾斜は、流入口7から出口に向かって流れ方向に対して小さくなっている。バッフル11は、外流路6の内壁と外壁に一体的に接続されている。
【0045】
内流路3と外流路6の断面積は、バッフル11を除いて回転対称である。内流路3の断面積は円形であり、外流路6の断面積は円環状である。
【0046】
図1乃至図3に示す霧化器ノズルの実施形態は、付加製造技術によって製造されることができる。ノズルを1つの部品として製造することができ、又は2つの部品、すなわちノズル本体1とノズルヘッド2とを別々の部品として製造することができる。後者の場合、ノズル本体1とノズルヘッド2は、例えばノズル本体の外側とノズルヘッド2の内側にスレットを設けることによって、軸方向に互いに対して調整可能にすることができる。
実施例と比較例
従来のノズルと本発明によるノズルの性能を比較するため、テストベンチで実験を行った。比較のために、第1液体流体として水を、第2気体流体として空気を使用した。粘度と密度の点で、水は多くの低粘度流体廃棄物と同等である。
【0047】
従来のノズルは、文献US2017/0348721A1に開示されたものと同様の外部混合型であった。液体流体用の円形断面を有する直線状の内流路は、気体流体用の直線状の環状流チャネルによって囲まれていた。環状流チャネルは、旋回生成のためにその出口にいくつかのフィンを備えていた。内流路の円形出口と外流路の環状出口は、チャネルの軸に垂直な同一平面上に位置していた。
【0048】
本発明によるノズルは、図1から図3に示した例のように設計された。
【0049】
2つのノズルの比較のため、空気流の体積流量を、焼却プロセスで一般的に使用される噴霧空気流量である200Nm3/h(ノルマル立方メートル/時)に設定した。水の体積流量(リットル/時)は、流動性廃棄物の低処理量(350リットル/時)、中処理量(500リットル/時)、高処理量(1000リットル/時)を表す3つの異なる値に設定した。
【0050】
実験中の目視検査と写真から、本発明によるノズルのスプレーパターンは、3つのケースすべてにおいて、従来のノズルのスプレースプレーパターンよりも短く広いことが示された。
【0051】
本発明によるノズルの霧化特性は、霧化プロセス中に形成される液滴が3つのケースすべてにおいてより小さいという点で、より良好優れていた。
【0052】
最高水流量1000 l/hでは、どちらのノズルでも液滴サイズが著しく増大した。しかし、従来のノズルでは、粗い液滴はほとんど連続した流れを形成し、焼却プロセスでは使用できなかった。対照的に、本発明によるノズルは、このような極端な処理速度であっても、焼却プロセスに許容可能なサイズの液滴を生成した。
【符号の説明】
【0053】
1...ノズル本体
2...ノズルヘッド
3...内流路
4...内流路の入口
5...内流路の出口
6...外流路
7...外流路の入口
8...外流路の出口
9...ノズル出口
10...外流路の第2セクション
11...バッフル
12...出口角度
13...円錐角度
図1
図2
図3
【国際調査報告】