IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローバルウェーハズ カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2024-536498半導体ウエハ処理用エピタキシャルリアクタ内の冷却流体フローの動的制御のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体ウエハ処理用エピタキシャルリアクタ内の冷却流体フローの動的制御のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240927BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522231
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022078636
(87)【国際公開番号】W WO2023062186
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/262,574
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ガマッラ,シルヴァーノ
(72)【発明者】
【氏名】ポイ,ピエル ジュリオ
(72)【発明者】
【氏名】フィノッティ,ジュゼッペ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA17
4K030BA29
4K030BB02
4K030CA04
4K030DA06
4K030FA10
4K030HA12
4K030JA10
4K030KA26
4K030KA39
4K030KA41
5F045AA03
5F045AB02
5F045AC01
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC13
5F045EB03
5F045EB06
5F045EC05
5F045EJ04
5F045EJ10
5F045EK02
5F045EK07
5F045EK11
5F045EM09
5F045GB05
5F045GB06
5F045GB15
(57)【要約】
エピタキシャルリアクタシステムは、リアクタ、冷却回路、及びコントローラを含んでいる。リアクタは、上壁と下壁を有する反応チャンバ、上壁の上方に位置する上部モジュール、及び下壁の下方に位置する下部モジュールを含んでいる。冷却回路は、上部モジュール及び下部モジュール内に流体を循環させるブロワと、上部モジュールと下部モジュールのそれぞれに供給される流体フローの量を制御するために選択可能に位置決めされるダンパとを含んでいる。ダンパは、ダンパの位置を調整するダンパアクチュエータに連結されている。システムはさらに、リアクタに関連するエピタキシャルプロセス情報を受信し、エピタキシャルプロセス情報に基づいてブロワ出力及びダンパ位置出力を生成し、ブロワ出力をブロワに送信し、ダンパ位置出力をダンパアクチュエータに送信するように構成されたコントローラを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハプロセス用のエピタキシャルリアクタシステムであって、
リアクタと、冷却回路と、コントローラとを備えており、
前記リアクタは、
上壁と下壁とを有する反応チャンバであって、前記上壁と前記下壁とがエピタキシー用半導体ウエハを受け入れる内部容積を画定する、反応チャンバと、
前記反応チャンバの前記上壁の上方に位置する上部モジュールと、
前記反応チャンバの前記下壁の下方に位置する下部モジュールと
を有しており、
前記冷却回路は、
前記上部モジュール及び前記下部モジュール内で流体を循環させるブロワと、
前記ブロワの下流に配置されており、前記上部モジュール及び前記下部モジュールのそれぞれに供給される流体フローの量を制御するように選択可能に位置決めされる、ダンパと、
前記ダンパに連結されており、前記ダンパの位置を調整する、ダンパアクチュエータと
を有しており、
前記コントローラは、前記ブロワ及び前記ダンパアクチュエータに通信しており、プロセッサと、命令を格納する非一時的メモリとを含んでおり、前記命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記リアクタに関連付けられたエピタキシャルプロセス情報を受信させ、
ブロワ出力及びダンパ位置出力を生成させ、ここで各出力は前記エピタキシャルプロセス情報に基づいて生成され、
前記ブロワ出力を前記ブロワに送信させ、
前記ダンパ位置出力を前記ダンパアクチュエータに送信させる、
システム。
【請求項2】
前記コントローラによって受信された前記エピタキシャルプロセス情報は、前記リアクタにおいて実行されている特定のプロセス工程を示す、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記特定のプロセス工程は、ウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の一方である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラによって受信された前記エピタキシャルプロセス情報は、前記特定のプロセス工程の間に使用されている特定のガスレシピを示す、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラに接続された温度センサをさらに有しており、前記温度センサが前記反応チャンバの前記上壁の温度を測定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記エピタキシャルプロセス情報は、前記上壁の目標温度に関連する情報を含んでおり、前記コントローラの前記非一時的メモリは、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに
前記温度センサから前記上壁の測定温度を受信させ、
前記上壁の前記測定温度と前記目標温度とを比較することによって、更新されたブロワ出力を生成させる、
命令を格納している、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記更新されたブロワ出力は、比例-積分-微分(PID)制御を使用して生成される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ダンパ位置出力は、前記アクチュエータに、前記ダンパを前記エピタキシャルプロセス情報に関連する予め決められた位置に位置決めさせる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
半導体ウエハリアクタ用の冷却システムであって、該リアクタが、反応チャンバ、上部モジュール、及び下部モジュールを有しており、前記冷却システムは、冷却回路とコントローラとを備えており、
前記冷却回路は、
前記上部モジュール及び前記下部モジュール内に冷却流体を循環させる、ブロワと、
前記ブロワの下流に配置されており、前記上部モジュール及び前記下部モジュールのそれぞれに供給される流体フローの量を制御するように選択可能に位置決めされる、ダンパと、
前記ダンパに結合されており、前記ダンパの位置を調整する、ダンパアクチュエータと
を有しており、
前記コントローラは、前記ブロワ及び前記ダンパアクチュエータに通信しており、プロセッサと、命令を格納する非一時的メモリとを含んでおり、前記命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記リアクタ内で実行されている特定のプロセス工程を示すエピタキシャルプロセス情報を受信させ、
ブロワ出力とダンパ位置出力とを生成させ、ここで各出力は前記エピタキシャルプロセス情報に基づいて生成され、
前記ブロワ出力を前記ブロワに送信させ、
前記ダンパ位置出力を前記ダンパアクチュエータに送信させる、
システム。
【請求項10】
前記特定のプロセス工程は、ウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の一方である、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラによって受信された前記エピタキシャルプロセス情報は、前記特定のプロセス工程の間に使用されている特定のガスレシピを示す、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ダンパ位置出力は、前記アクチュエータに、前記ダンパを前記エピタキシャルプロセス情報に関連する予め決められた位置に位置決めさせる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラに接続された温度センサをさらに有しており、前記温度センサが前記反応チャンバの上壁の温度を測定する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラの前記非一時的メモリは、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記エピタキシャルプロセス情報に基づいて、前記反応チャンバの前記上壁の目標温度を決定させ、
前記温度センサから前記上壁の測定温度を受信させ、
前記上壁の前記測定温度と前記目標温度とを比較することによって、更新されたブロワ出力を生成させる、
命令を格納している、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記更新されたブロワ出力は、比例-積分-微分(PID)制御を使用して生成される、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラの非一時的メモリは、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記ダンパアクチュエータからダンパ位置フィードバック信号を受信させ、
前記ブロワからブロワ出力フィードバック信号を受信させ、
前記上壁の前記測定温度と前記目標温度との差、前記ダンパ位置フィードバック信号、及び前記ブロワ出力フィードバック信号の各々に基づくフィードバック制御を使用して、前記更新されたブロワ出力を生成させる、
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記更新されたブロワ出力は、比例-積分-微分(PID)制御を使用して生成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
半導体ウエハリアクタを冷却する方法であって、該リアクタは、反応チャンバ、上部モジュール、及び下部モジュールを有しており、
前記リアクタの前記上部モジュール及び前記下部モジュールのそれぞれに冷却流体の入口流を供給するブロワを設けること、
前記上部モジュール及び前記下部モジュールのそれぞれに供給される前記入口流の流体フローの量を制御するように、前記ブロワの下流に配置されるダンパを設けること、
コントローラによって、前記リアクタに関連するエピタキシャルプロセス情報を受信すること、
前記コントローラによって、ブロワ出力とダンパ位置出力とを生成すること、ここで各出力は前記エピタキシャルプロセス情報に基づいて生成され、
前記ブロワ出力を前記ブロワに送信すること、
前記ダンパに連結されたダンパアクチュエータに、前記ダンパ位置出力を送信すること、を含む方法。
【請求項19】
前記コントローラに接続された温度センサから、前記反応チャンバの上壁の温度測定値を前記コントローラによって受信することをさらに含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エピタキシャルプロセス情報に基づいて、前記反応チャンバの前記上壁の目標温度を決定すること、
比例-積分-微分(PID)制御を使用して、前記上壁の前記温度測定値と前記目標温度との差に基づいて、更新されたブロワ出力を生成すること
をさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年10月15日に出願された米国仮特許出願第63/262,574号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本分野は、一般的に、半導体ウエハプロセスのためのシステム及び方法に関するものであり、より具体的には、エピタキシャルリアクタ内の冷却流体フローの動的制御のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エピタキシャル化学気相成長(CVD)は、格子構造をウエハの格子構造と同じにするように、半導体ウエハ上に材料の薄層を成長させるプロセスである。エピタキシャルCVDは、エピタキシャル層上に直接にデバイスを作製できるようにエピタキシャル層を構築するために、半導体ウエハ製造において広く使用されている。エピタキシャル成膜プロセスは、水素又は水素と塩化水素の混合ガスなどのクリーニングガスをウエハの前面(すなわち、サセプタから離れる方向に面する面)に導入し、ウエハの前面を予熱及びクリーニングすることから始まる。クリーニングガスは、前面から生来の酸化物を除去し、エピタキシャルシリコン層がその後の成膜プロセスの間に表面上に連続的且つ均一に成長することを可能にする。エピタキシャル成膜プロセスは、シラン又は塩素化シランなどの気化性シリコンソースガスをウエハの前面に導入し、前面にシリコンのエピタキシャル層を堆積及び成長させることによって継続する。サセプタの前面とは反対側の裏面は、同時に水素ガスにさらされることがある。サセプタは、エピタキシャル成膜の間、半導体ウエハを成膜チャンバ内で支持するが、エピタキシャル層が均一に成長するようにプロセスの間、回転させられる。
【0004】
エピタキシャルCVDは半導体ウエハリアクタにおいて実行される。従来のリアクタは、ウエハがサセプタ上に配置されるリアクタチャンバを含んでいる。リアクタチャンバは、ウエハ及びサセプタが配置される内部容積を確定する、適切な材料(例えば、石英)製である上壁及び下壁を備えたチャンバ本体を有している。リアクタは、プロセス間の温度を監視するための1つ又は複数の温度センサ(例えば、光高温計)を含んでおり、温度センサは、プロセスの間に到達する高温に起因して、好適にはリアクタチャンバの外部に配置される。上壁と下壁は、光高温計がリアクタチャンバ内の構成要素(例えば、ウェハ又はサセプタ)の非接触での温度測定値を取得できるように、好適には透明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エピタキシャル成膜プロセスの間、ウエハ及びサセプタは、典型的には、リアクタチャンバの外部に配置された加熱要素を使用して加熱され、この加熱要素は、上壁及び下壁を通してリアクタチャンバに熱を供給し、これにより上壁及び下壁も温度上昇する。壁面をエピタキシャル成膜プロセスガスにさらすと、加熱された壁面に堆積膜の形成との結果になる可能性がある。リアクタによっては、下壁がプロセスガスにさらされないように企図されているものもあるが、前部ウエハの表面に近い上壁は露出したままである。そのため、成膜プロセスの間に、上壁の温度が高くなると、その上に堆積膜が形成され、上壁の透明性が悪化し、透明な上壁を通して温度測定値を取得する光高温計からの温度測定値が不正確になる可能性がある。エピタキシャル成膜プロセスの後、エピタキシャル処理されたウエハはチャンバ本体から取り出され、チャンバクリーニングプロセスが実行され、チャンバ本体内の上壁及び他の構成要素(例えば、サセプタ)から、先行するエピタキシャル成膜プロセスからの堆積物をクリーニング(又はエッチング)する。チャンバクリーニングプロセスは、チャンバ本体(及びチャンバ内の壁及び構成要素)を適切な温度に加熱すること、及びチャンバ本体内にチャンバクリーニングガス(例えば、塩化水素)を導入することを、伴う。
【0006】
エピタキシャル成膜プロセスのためのチャンバ本体の上壁の所望の温度は、チャンバクリーニングプロセスの間の所望の温度とは異なる。より具体的には、エピタキシャル成膜プロセスの間、上壁への堆積物の形成を防止するように、上壁の温度を低くすることが望まれる。しかしながら、チャンバクリーニング工程の間、上壁に形成された堆積膜のエッチングを可能にするため、上壁の温度を高くすることが望まれる。したがって、上壁の温度は、少なくとも部分的には、リアクタ内で実行される特定のプロセスに基づいて動的に制御されるべきである。従来のリアクタでは、冷却流体(例えば、空気)がブロワから供給され、このブロワは、処理中の壁の温度を調節するために、冷却流体をチャンバ本体の上壁の上方に位置する上部モジュールと下壁の下方に位置する下部モジュールの両方に向ける。典型的には、冷却流体フロー全体の流量供給レート(割合、速度、量)は、上壁温度に基づいて制御され、例えば、エピタキシャル成膜プロセス工程の間はモジュールへの冷却流体フローを多く供給し、チャンバクリーニングプロセス工程の間はモジュールへの冷却流体フローを少なく供給するように調整できる。しかしながら、単に冷却流体全体の流量供給レートを調整するだけでは、離散的なプロセス工程のそれぞれの間、上壁を安定した温度に維持するのに十分な制御を提供しない。さらに、エピタキシャル成膜プロセスの間、保護された下壁よりも露出した上壁に堆積膜が形成されやすいので、処理の間(例えば、チャンバクリーニング工程の間)に上部モジュールと下部モジュールとで異なる冷却条件が望まれる場合がある。しかしながら、モジュールに供給される冷却流体全体の流量を調整しても、これらの異なる冷却条件を十分に考慮しない。
【0007】
したがって、処理の間に上壁及び下壁の各々に対して所望の冷却条件を満たすように半導体ウエハリアクタに供給される冷却流体フローをより動的に制御することを可能にするリアクタ冷却制御システムに対する必要性が存在する。
【0008】
この「背景」のセクションは、以下に説明及び/又は特許請求される、本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な側面を読者に紹介することを意図している。この説明は、本開示の様々な側面をよりよい理解を容易にするための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。したがって、これらの記述はこのような観点において読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないと理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面は、半導体ウエハ処理用のエピタキシャルリアクタシステムに向けられている。このシステムは、上壁及び下壁を有する反応チャンバと、上壁の上方に位置する上部モジュールと、下壁の下方に位置する下部モジュールとを含む、リアクタを含んでいる。システムはまた、上部モジュールと下部モジュール内に流体を循環させるブロワと、上部モジュールと下部モジュールのそれぞれに供給される流体流の量を制御するために選択可能に位置するダンパとを含む冷却回路を含んでいる。ダンパは、ダンパの位置を調整するダンパアクチュエータに連結されている。システムはさらに、リアクタに関連付けられたエピタキシャルプロセス情報を受信し、エピタキシャルプロセス情報に基づいてブロワ出力及びダンパ位置出力を生成し、ブロワ出力をブロワに送信し、ダンパ位置出力をダンパアクチュエータに送信するように構成されたコントローラを含んでいる。
【0010】
別の側面は、リアクタの上部モジュール及び下部モジュール内に冷却流体を循環させるブロワと、上部モジュール及び下部モジュールのそれぞれに供給される流体流の量を制御するように選択可能に位置するダンパとを含む冷却回路を含む、半導体ウエハリアクタ用の冷却システムに向けられている。ダンパは、ダンパの位置を調整するダンパアクチュエータに連結されている。システムはさらに、リアクタ内で実行されている特定のプロセス工程を示すエピタキシャルプロセス情報を受信し、エピタキシャルプロセス情報に基づいてブロワ出力及びダンパ位置出力を生成し、ブロワ出力をブロワに送信し、ダンパ位置出力をダンパアクチュエータに送信するように構成されたコントローラを含んでいる。
【0011】
さらなる側面は、半導体ウエハリアクタを冷却する方法に向けられている。この方法は、リアクタの上部モジュール及び下部モジュールのそれぞれに冷却流体の入口流を供給するブロワを設けることを含んでいる。本方法はまた、入口流の流体流の量を制御するダンパを設けることも含んでいる。本方法はさらに、コントローラによって、リアクタに関連付けられたエピタキシャルプロセス情報を受信することを含んでいる。この方法はまた、エピタキシャルプロセス情報に基づいてブロワ出力及びダンパ位置出力を生成し、ブロワにブロワ出力を送信し、ダンパに連結されたダンパアクチュエータにダンパ位置出力を送信することを含んでいる。
【0012】
本開示の上述された側面に関連して言及される特徴の、様々な改良が存在する。本開示の上述された側面には、さらなる特徴も同様に組み込むことができる。これらの改良点および追加の特徴は、個々に存在してもよいし、任意の組み合わせで存在してもよい。例えば、本開示の図示された実施形態の何れかに関連して後述される様々な特徴は、単独で又は任意の組み合わせで、本開示の上述の態様のいずれかに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示に係る動的な冷却流体フロー制御を有する例示的な半導体ウエハリアクタシステムの概略図である。
【0014】
図2図2は、図1のシステムに含まれるリアクタ及び作動ダンパに結合された冷却流体の供給ダクトの概略図である。
【0015】
図3図3は、図2に示される冷却流体供給ダクト及び作動ダンパの分解図である。
【0016】
図4図4は、図1の半導体ウエハリアクタシステムに供給される冷却流体フローを制御するための例示的な制御ループの図である。
【0017】
図5図5は、ウエハ化処理工程の間の冷却流体フロー条件を制御するための例示的なプロセスフローである。
【0018】
図6図6は、チャンバクリーニング工程中の冷却流体フロー条件を制御するためのプロセスフロー例である。
【0019】
図7図7は、本開示に係る動的な冷却流体フロー制御を有する他の例の半導体ウエハリアクタシステムの概略図である。
【0020】
図8図8は、図7の半導体ウエハリアクタシステムで使用されるリアクタ、コントローラ、及びブロワインバータ間の例示的な通信スキームである。
【0021】
図9図9は、本開示に係る半導体ウエハリアクタシステムで使用される追加冷却ループの概略図である。
【0022】
図10a図10a-10fは、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間の石英上壁温度プロファイルのグラフを示している。
図10b図10a-10fは、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間の石英上壁温度プロファイルのグラフを示している。
図10c図10a-10fは、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間の石英上壁温度プロファイルのグラフを示している。
図10d図10a-10fは、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間の石英上壁温度プロファイルのグラフを示している。
図10e図10a-10fは、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間の石英上壁温度プロファイルのグラフを示している。
図10f図10a-10fは、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間の石英上壁温度プロファイルのグラフを示している。
【0023】
図11図11は、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間の、複数のリアクタからの正規化された石英上壁温度のボックスプロットを示している。
【0024】
図12図12は、エピタキシャルプロセスのウエハ化プロセス工程の間の、複数のリアクタからの正規化された石英上壁温度の散布図を示している。
【0025】
図13図13は、エピタキシャルプロセスのチャンバクリーニング工程の間の、複数のリアクタからの正規化された石英上壁温度の散布図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部品を示している。
【0027】
図1は、本開示に係る例示的な半導体ウエハリアクタシステム100を示している。システム100は、リアクタ102と、冷却回路120と、コントローラ148とを含んでいる。リアクタ102は、反応チャンバ104と、上部モジュール106と、下部モジュール108とを含んでいる。図示されるリアクタ102は単一枚葉式リアクタであるが、本明細書に開示されるシステム及び方法は、例えば複数枚葉式リアクタを含む他のリアクタデザインでの使用に適している。ガスマニホールド(不図示)は、プロセスガスをチャンバ104に導くために使用され、プロセスガスは半導体ウエハ(不図示)に接触する。半導体ウエハは、サセプタ(不図示)によってチャンバ104の内部で支持されている。サセプタは、好適には炭化ケイ素でコーティングされた不透明グラファイトで構成されているが、他の材料も考えられる。
【0028】
本開示と共に使用するのに適したリアクタの例は、例えば、「処理の間の反応チャンバの壁の温度を制御するための方法」と題された米国特許第6,083,323号、及び「上部ドーム温度クローズドループ制御」と題された米国公開特許出願第2016/0282886号に開示されたものを含み、本明細書においてその開示が参照によりその全体が組み込まれる。
【0029】
リアクタ102は、好適には、半導体ウエハ化プロセス工程でウエハを処理するために使用される。本明細書で使用される「ウエハ化(ウエハリング)プロセス工程」という用語には、ウエハをクリーニング(又はエッチング)すること、ウエハをベーキング(又はアニール)すること、及びエピタキシャルCVD又は多結晶CVD等の化学気相成長(CVD)プロセスによってウエハ上に任意の種類の材料を堆積させることが含まれるが、これらに限定されない。ウエハ化プロセスの後、又は複数回のウエハ化プロセスの後、チャンバクリーニング工程が実行されて、リアクタ102のチャンバ104内に形成された堆積物をエッチングする。本明細書で使用される「処理」及び「エピタキシャルプロセス」という用語には、ウエハ化処理工程(又はエピタキシャル成膜プロセス工程)とチャンバクリーニング工程との両方が含まれる。しかしながら、本明細書における「処理」及び「エピタキシャルプロセス」への参照は、単一のウエハ化プロセス工程と単一のチャンバクリーニング工程のみを含むプロセスに限定することを意図しない。幾つかの例では、チャンバクリーニング工程は、2つ以上のウエハ化プロセス工程の後、例えば5つのウエハ化プロセス工程の後に実行される。換言すれば、チャンバクリーニング工程が実行される前に、複数のウエハがリアクタ102で処理されてもよい。
【0030】
ウエハ化プロセス工程は、チャンバ104に、ウエハの前面に接触する、1つ又は複数のプロセスガス(例えば、シラン又は塩素化シラン)のプロセスガスレシピを導入することによって実行される。また、ウエハの前面にエピタキシャル層を堆積させるように、ウエハが適切な温度まで加熱される。ウエハ化プロセスの間にウエハが加熱される温度は、ウエハ上に堆積させるべきエピタキシャル層によって決定されるプロセスガスレシピに依存する。さらに、ウエハ化プロセスの間にウエハが加熱される温度は必ずしも一定ではなく、ウエハ化プロセス工程全体を通じて変化してもよい。例えば、ウエハ化プロセス工程は、表面調整(コンディショニング)のため、及び堆積直前のウエハのバルク酸素の析出を制御するために、ウエハを「ベーキングすること」(又はアニールすること)を含んでもよい。ウエハ化プロセス工程のベーキング部分は、堆積の間に要求される温度よりも高い温度にウエハを加熱することを伴う。ウエハの温度は、その後、ベーキング後の堆積に要求される範囲にもたらされる。
【0031】
チャンバクリーニング工程は、1つ又は複数のクリーニングガス(例えば、塩化水素)のクリーニングガスレシピをチャンバ104に導入することによって実行され、このクリーニングガスレシピは、ウエハ化プロセス工程の間に導入されるプロセスガスレシピに暴露されるチャンバ104の構成要素(例えば、以下でさらに詳細に説明されるチャンバ104の上壁110)に接触する。また、暴露される構想要素上の堆積物がチャンバクリーニング工程の間にエッチングされ得るように、暴露される構成要素は適切な温度に加熱される。堆積物の総量がエッチングされることを確実にするように、チャンバクリーニング工程の条件は、チャンバクリーニング工程が実行される前に実行されたウエハ化プロセスの数に基づいて調整されてもよい。これは、チャンバ104内の暴露される構成要素上の堆積物の量が、中間チャンバクリーニング工程なしで実行されるウエハ化プロセス工程の数に依存して変化するためである。例えば、チャンバクリーニング工程の前にウエハ化プロセス工程が1つのみ実施される場合、暴露される要素上に形成される堆積物の量は、2つ以上のウエハ化プロセス工程がチャンバクリーニング工程の前に実行される場合に形成される量よりも少なくなる可能性がある。チャンバクリーニング工程の条件を調整することは、チャンバクリーニング工程の、期間、クリーニングガスレシピ(又は導入されるクリーニングガスの流量)、及び/又は温度を、調整することを含んでもよい。
【0032】
熱は、例えば高輝度ランプ、抵抗ヒータ、及び/又は誘導ヒータ等の加熱要素(不図示)を用いてチャンバ104に供給される。加熱要素は、好適には、上部モジュール106の内部及び/又は下部モジュール108の内部に配置される。チャンバ104の内部は、それぞれ上壁110と下壁112とによって上部モジュール106及び下部モジュール108の内部から隔離されている。上壁110及び下壁112は、典型的には、放射加熱光が反応チャンバ104内及びウエハ(及び/又はウエハを支持するサセプタ)上に通過することを可能とするように透明材料製である。上壁110及び下壁112は、透明な石英で構成されてもよい。石英は一般に赤外線及び可視光線に対して透明であり、堆積反応の反応条件下では化学的に安定的である。
【0033】
システム100はまた、処理の間にリアクタ102内の温度を測定する温度センサを含んでいる。温度センサは、プロセスの間に到達する高温に起因して、チャンバ104の外側に好適には配置されている。温度センサは、例えば、非接触での高温の測定値を取得するように、光高温計であってもよい。
【0034】
図1及び図2に示されるように、図示の実施形態では、3つの高温計がリアクタ102に結合されている。基板高温計142は、チャンバ104の内部に配置され、プロセスガスに暴露されるウエハ(不図示)の前面の温度を測定するのに使用される。サセプタ高温計144は、チャンバ104の内部でウエハを支持するサセプタの前面とは反対側のサセプタの裏面(不図示)の温度を測定するのに使用される。上壁高温計146は、リアクタ102の上壁110の温度を測定するのに使用される。図示される実施形態では、基板高温計142及び上壁高温計146はリアクタ102の頂部の外縁に配置されており、サセプタ高温計144はリアクタ102の底部の外縁に配置されている。しかしながら、高温計142、144、146の他の構成もまた、各高温計が本明細書で説明されるように機能することを可能にするように使用されてもよい。
【0035】
図1に示されるように、上壁高温計146はコントローラ148に接続されており、上壁110の温度測定値を示す信号をコントローラ148に送信する。上壁高温計146として使用するのに適した光高温計の一例としては、100~800℃の範囲内の温度と1.6~6μmの範囲内の波長とを検出できる、Ircon社から供給されるIrcon(登録商標)Modline(登録商標)4がある。信号はアナログ信号、例えば4~20mAのアナログ信号であってもよい。上壁高温計146からの信号に加えて、又はそれに代えて、他の温度測定値がコントローラ148に送信されてもよい。例えば、コントローラ148は、基板高温計142に接続されており基板高温計142からウエハ表面の温度測定値を受信してもよく、及び/又は、サセプタ高温計144に接続されておりサセプタ高温計144からサセプタの裏面の温度測定値を受信してもよい。
【0036】
処理の間に、上壁110及び下壁112は好適には透明であるが、チャンバ104に供給される熱により、上壁110及び下壁112の温度が上昇する。ウエハ化プロセス工程の間に加熱されるとき、ウエハ化プロセス工程の間に導入されるプロセスガスに壁110、112が暴露され、その結果、その上に堆積膜の形成に至る。リアクタ102は、下壁112を暴露から保護するように構成されてもよいが、上壁110は、ウエハの前面に近接しているため、暴露したままである。その結果、ウエハ化プロセス工程の間に加熱されるときに、チャンバ104の上壁110の暴露面に堆積膜が形成される可能性がある。堆積膜は、上壁110の透明性を悪化させ、それによって、堆積中のウエハ表面の温度を制御するために使用される基板高温計142によって取得される温度測定値に悪影響を及ぼす。上壁110の透明性は、ウエハ化プロセス工程の間に(すなわち、ウエハ化プロセス工程の間にプロセスガスが導入されるときに上壁110の温度を下げることによって)その上に堆積膜が形成されるのを防止するように、且つ、チャンバクリーニング工程の間に(すなわち、クリーニングプロセス工程の間にクリーニングガスが導入されたときに上壁110の温度を上昇させることによって)堆積膜のエッチングを容易にするように、上壁110の温度を制御することによって維持され得る。
【0037】
システム100は、処理の間に上壁110及び下壁112の温度を調節するために冷却回路120を含んでいる。冷却回路120は、リアクタ102の上部モジュール106及び下部モジュール108に冷却流体(例えば、空気)を供給するブロワ122を含んでいる。冷却流体は、上部モジュール106及び下部モジュール108内をそれぞれ循環し、上壁110及び下壁112にそれぞれ接触し、それによって、加熱要素によって生じる上壁110及び下壁112の温度上昇を緩和する。冷却流体は、本明細書で説明される加熱要素等、上部モジュール106及び下部モジュール108内又は上部モジュール106及び下部モジュール108上に配置される他の構成要素の温度上昇を緩和するという付加的な効果を有する。
【0038】
冷却回路120はまた、ダクト124、130(図1~3に示される)を含んでおり、このダクトを通って冷却流体がブロワ122と上部モジュール106及び下部モジュール108との間を流れる。ダクト124は、上部モジュール106と流体連通する第1出口126と、下部モジュール108と流体連通する第2出口128とを有している。ダクト130は、上部モジュール106と流体連通する第1入口132と、下部モジュール108と流体連通する第2入口134とを有している。ブロワ122の吐出側は、ダクト124と流体連通しており、ダクト124を介して冷却流体を上部モジュール106及び下部モジュール108に供給する。ブロワ122の吸引側はダクト130と流体連通している。冷却流体は上部モジュール106及び下部モジュール108のそれぞれを通って循環し、ダクト130を通ってブロワ122に引き戻される。
【0039】
ブロワ122からダクト124に供給される冷却流体の量は、ブロワ122に接続されたコントローラ148によって制御される。コントローラ148は、ブロワ122に信号を送信し、ブロワ122にダクト124への冷却流体の出力レートを調整させるように構成されている。例えば、ブロワ122は、外部又は内蔵のインバータを有する可変速ブロワであってもよい。コントローラ148は、可変速ブロワ122のインバータに信号を送信し、可変速ブロワ122にその速度を調整させ、その結果、上部モジュール106及び下部モジュール108に供給される冷却流体の総レートを調整させることができる。ブロワ122のインバータはまた、ブロワ122によって供給される冷却流体の出力レートを示すフィードバック信号をコントローラ148に送信するように構成されている。例えば、可変速ブロワ122のインバータは、ブロワ122の速度を示す信号をコントローラ148に送信してもよい。ブロワ122のインバータとコントローラ148との間で交換される信号は、例えば0~10ボルトのアナログ信号などのアナログ信号であってもよく、デジタル信号であってもよい。本明細書でより詳細に説明されるように、コントローラ148は、リアクタ102の1つ又は複数の処理条件に基づいて、ブロワ122に送信される信号を生成する。
【0040】
図1~3、特に図3に示されるように、冷却回路120はまた、ダクト124内に配置されたダンパ138を含んでおり、ダンパ138は、各出口126、128、ひいては上部モジュール106及び下部モジュール108に供給される冷却流体の量を調節する。ダンパ138は、好適には、ダクト124内において、ダクト124に供給される流体が2つの部分に分離され、一方が出口126(したがって上部モジュール106)に供給され、他方が出口128(従って、モジュール108)に供給される箇所に配置されてもよい。この接合点において、ダンパ138は、各部分の冷却流体の量を制御するように、選択的に配置され得る。上述したように、ウエハ化プロセス工程の間に導入されるプロセスガスにチャンバ104内で表面が曝される上壁110の透明性は、ウエハ化プロセス工程の間及びチャンバクリーニング工程の間に上壁110の温度を制御することによって維持され得る。コントローラ148は、ブロワ122を制御することによって冷却流体の総出力レートを調整できるが、冷却回路120の構成は、ブロワ122が上部モジュール106及び下部モジュール108にバランスのとれた量の冷却流体を供給するようになっている。下壁112は保護されてもよい(すなわち、プロセスガスに曝されていないか、曝される量が著しく少ない)ので、下壁112の表面に堆積膜が形成される可能性は少ない。したがって、上部モジュール106及び下部モジュール108にバランスの取れた量の冷却流体を供給することが常に望ましいとは限らない(例えば、チャンバクリーニング工程の間など)。この点で、ダンパ138の選択的な位置決めによって、処理の間に上部モジュール106及び下部モジュール108のそれぞれで望まれる冷却条件のより多くの制御を可能とする。例えば、ダンパ138が出口126に供給される冷却流体の量を増加させるように位置決めされている場合、出口128に供給される冷却流体の量は減少し、ダンパ138が出口126に供給される冷却流体の量を減少させるように位置決めされている場合、出口128に供給される冷却流体の量は増加する。
【0041】
ダンパ138は、ダンパ138の位置を調整するように構成されたアクチュエータ140に連結されている。アクチュエータ140として使用される適切なアクチュエータには、例えば、BELIMO(登録商標)によって供給されるダンパアクチュエータが含まれる。アクチュエータ140はダンパ位置フィードバックを備えており、コントローラ148に接続されている。これにより、アクチュエータ140は、ダンパ138の位置に関連するフィードバック信号をコントローラ148に送信できる。コントローラ148は、アクチュエータ140にダンパ138の位置を調整させる信号をアクチュエータ140に送信するように構成されている。したがって、アクチュエータ140は、ダンパ138の位置を手動で調整するために装置を停止させることを要求することなく、ダンパ138の位置を遠隔制御することを容易にする。アクチュエータ140とコントローラ148との間で交換される信号は、アナログ信号、例えば、0~10ボルトのアナログ信号であってもよい。本明細書でより詳細に説明されるように、コントローラ148は、リアクタ102の1つ又は複数の処理条件に基づいて、アクチュエータ140に送信される信号を生成する。
【0042】
上述したように、コントローラ148は上壁高温計146に接続されており、ブロワ122及びアクチュエータ140に接続されている。コントローラ148は、ブロワ122とダンパ138に連結されたアクチュエータ140との両方を動的に制御することによって、冷却回路120から上部モジュール106及び下部モジュール108のそれぞれへの冷却流体の供給を調整するように構成されている。コントローラ148は、一般に、任意の適切なコンピュータ及び/又は他の処理ユニットを含み得、互いに接続され得るコンピュータ、処理ユニット及び/又は同様のものの任意の適切な組み合わせを含む(例えば、コントローラ148は、コントローラネットワークの全て又は一部を形成し得る)。したがって、コントローラ148は、様々なコンピュータ実装機能を実行する(例えば、本明細書に開示される方法、工程、計算、及び/又は同様のものを実行する)ように構成された、1つ又は複数のプロセッサ及び関連するメモリ装置を含み得る。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、コンピュータに含まれるものとして当該技術分野で言及される集積回路を指すだけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び他のプログラマブル回路も指す。さらに、コントローラ148のメモリ装置(複数可)は、一般に、非一過性のコンピュータ可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、コンピュータ可読不揮発性媒体(例えば、フラッシュメモリ)、フロッピーディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、及び/又は他の適切なメモリ要素を含むが、これらに限定されないメモリ要素を含んでもよい。このようなメモリ装置(複数可)は、一般に、プロセッサ(複数可)によって実行されるとき、本明細書で説明されるように、ブロワ122及びアクチュエータ140の制御機能を含むがこれらに限定されない様々な機能を実行するようにコントローラ148を構成する適切なコンピュータ読み取り可能命令を記憶するように構成され得る。
【0043】
図4は、処理の間に上部モジュール106及び下部モジュール108への冷却流体フローの供給を制御するように、コントローラ148(図4ではコントローラ420として概略的に表されている)によって使用される例示的な制御ループ400を示している。ライン402において、コントローラ420は、コントローラ420が制御出力を生成することを可能とする情報をコントローラ420に提供するプロセスパラメータ入力430を受信する。コントローラ420は、プロセスパラメータ入力430をコントローラ420に送信するホストサーバ(例えば、図8に示されるホストサーバ808)に接続されている。ホストサーバは、リアクタ102の処理ユニット(例えば、図2に示されるリアクタメインフレーム802)にも接続されており、そこからプロセスパラメータ入力430としてコントローラ420に送信される情報を受信する。コントローラ420とリアクタ102の処理ユニットとはそれぞれ、例えばSECS/GEM(SEMI Equipment Communications Standard/Generic Equipment Model)標準通信インターフェースプロトコル又はOPC標準プロトコルなどの通信プロトコルを介してホストサーバと通信する。
【0044】
入力430は、特定のエピタキシャルプロセス工程に関連付けられた処理情報を含んでいる。例えば、コントローラ420は、ウエハ化プロセス工程又はチャンバクリーニング工程がリアクタ102によって実行されているかどうか、又はリアクタ102がアイドルモード又は「クールダウン」モードにあるかどうか、を示す入力430を受信する。コントローラ420は、ウエハ化プロセス工程の間に使用されるプロセスガスレシピ又はチャンバクリーニング工程の間に使用されるクリーニングガスレシピ等、ウエハ化プロセス工程又はチャンバクリーニング工程の特定のパラメータを示す入力430を受信してもよい。コントローラ420はまた、入力430で上壁110の目標温度を受信し、又は入力430に基づいて上壁110の目標温度を決定する。
【0045】
コントローラ420は、入力430に基づいてブロワ出力404とダンパ位置出力406とを生成する。出力404、406は、冷却回路120から上部モジュール106及び下部モジュール108に供給される冷却流体フローの目標条件を達成するために生成される。目標冷却流体フロー条件は、ブロワ122から供給される冷却流体の目標総出力レート、上部モジュール106に供給される冷却流体の目標量、及び下部モジュール108に供給される冷却流体の目標量を含んでいる。目標冷却流体フロー条件は、予め決定されてもよく、又はコントローラ420によってリアルタイムで決定されてもよい。予め決定された目標冷却流体フロー条件は、ユーザの経験又はリアクタ102の過去の処理データに基づいてもよく、又は、そうでなければ入力430で受信した処理情報に関連付けられた特定のエピタキシャルプロセス工程に望ましい冷却流体フロー条件であってもよい。コントローラ420によってなされる目標冷却流体フロー条件のリアルタイム決定は、例えば、上壁高温計146からコントローラ420によって受信される温度測定値、及び任意で、圧力センサ(図7に示される圧力センサ756、758等)からコントローラ420によって受信される上部モジュール106及び下部モジュール108内の冷却流体フローの圧力測定値のような、リアクタ102の測定された処理パラメータに基づいてもよい。
【0046】
出力404、406は、コントローラ420によって生成され、それぞれブロワ122(図4ではブロワ440として模式的に表されている)及びアクチュエータ140(図4ではアクチュエータ450として模式的に表されている)に送信される。出力404はブロワ440に伝達され、ブロワ440に、ブロワ440によって供給される冷却流体の総出力レートを調整させる(図4ではライン408によって模式的に表されている)。出力406はアクチュエータ450に送信され、上部モジュール106及び下部モジュール108のそれぞれへの冷却流体フローの流量を調整するダンパ138の位置を調整する(図4にライン410で模式的に表されている)。これにより、出力404、406は、コントローラ420が、上部モジュール106及び下部モジュール108にまとめて供給される冷却流体の総レートと、上部モジュール106及び下部モジュール108に個別に供給される冷却流体の量との両方を制御することを可能にする。
【0047】
コントローラ420は、新しい入力430が受信されると、出力404、406を更新し、処理全体を通して、上部モジュール106及び下部モジュール108のそれぞれにおける冷却流体フロー条件を動的に制御する。これにより、コントローラ420が、処理の間に常に変化する所望の条件に冷却流体フロー条件を調整することを可能とする。例えば、ウエハ化プロセス工程の間に、上部モジュール106及び下部モジュール108におけるバランスの取れた冷却流体フロー条件が望まれることがある。コントローラ420は、ウエハ化プロセス工程が実行されていることを示す入力430を受信して、ブロワ440に冷却流体の適切な出力レートを供給させるように出力404を生成し、アクチュエータ450にダンパ138を位置決めさせてバランスのとれた量の冷却流体を上部モジュール106及び下部モジュール108に導くように出力406を生成する。処理はチャンバクリーニング工程で継続し、この間に、減少した冷却流体フローが、上壁110が温度上昇を可能とするように上部モジュール106に所望されてもよく、一方で増加した冷却流体フローが依然として下部モジュール108に所望されてもよい。コントローラ420は、チャンバクリーニング工程が実行されていることを示す新たな入力430を受信し、更新された出力406を生成して、アクチュエータ450にダンパ138を位置決めさせて増加した量の冷却流体を下部モジュール108に導く(これは、上部モジュール106に供給される冷却流体の量を減少させる)。コントローラ420はまた、上部モジュールに供給される冷却流体の減少した量を補正もする新たな入力430に基づいて、更新されたブロワ出力404を生成する。すなわち、上部モジュール106及び下部モジュール108にバランスの取れた量の冷却流体が供給された場合に達成されるであろう同じ冷却条件を上部モジュール106で達成するため、ブロワ122によって供給される冷却流体の適切な出力レートが、バランスの取れた流量条件下でなされたであろう出力速度よりも大きくするべきである。これにより、下部モジュール108により多くの冷却流体が供給され、ブロワ122が最小出力レベルより高く作動し、より良好なフィードバック制御が可能になる。
【0048】
例示的な制御ループ400では、上壁110の温度(図4では上壁温度460として概略的に表されている)は、処理の間にループ400によって使用される制御パラメータである。上述したように、上壁温度460は上壁高温計146によって測定される。コントローラ420は上壁高温計146に接続されており、上壁高温計146は上壁温度460をライン412でコントローラ420に送信する。この例では、コントローラ420はまた、特定のエピタキシャルプロセス工程の間の上壁110の目標温度を入力430から受信する(又は入力430に基づいて決定する)。
【0049】
ウエハ化プロセス工程又はチャンバクリーニング工程の間、プロセスガス又はクリーニングガスがチャンバ104に導入されるとき、上壁110の目標温度は通常一定に保たれている。コントローラ420は、比例-積分-微分(PID)制御等のフィードバック制御を使用して、処理工程の間に安定した上壁温度460を目標温度又はその近傍に維持する。例えば、コントローラ420は、PID制御を使用して、上壁温度460と目標温度との差に基づいて、ブロワ出力404を連続的に更新する。フィードバック制御を容易にするために、コントローラ420は、ライン414でブロワ440からのフィードバック信号を受信する。さらに、コントローラ420は、ライン416で、アクチュエータ450からのフィードバック信号を受信する。ダンパ138の位置は、上部モジュール106内の冷却流体フロー条件に影響を与える(したがって上壁温度460の変化)。したがって、コントローラ420は、フィードバック制御を使用して更新されたブロワ出力404を生成する際に、ブロワ440、アクチュエータ450、及び上壁温度460のそれぞれからのフィードバック信号を使用する。特定の処理工程のフィードバック制御の間に生成される更新された出力404の範囲は既知であってもよく、ブロワ制御範囲を増加/拡張するように特定の処理工程の間にダンパ138の位置を設定するために使用されてもよい。
【0050】
図5は、ウエハ化処理工程の間の冷却流体フロー条件を制御するための例示的なプロセスフロー500を示している。ステップ502で、コントローラ420は、リアクタ102でウエハ化プロセス工程が実行されていることを示すエピタキシャルプロセス情報を、入力430を介して受信する。また、エピタキシャルプロセス情報には、ウエハ化プロセス工程に関与する特定のプロセスガスレシピが含まれてもよい。
【0051】
ステップ504で、例示的なプロセスフロー500において、コントローラ420は、ウエハ化プロセス工程に対するステップ504での目標上壁温度を決定する。コントローラ420は、目標温度をウエハ化プロセス工程(及び、この情報がまた受信される場合には、任意で、特定のプロセスガスレシピ)に関連付ける、記憶されたメモリ内のデータにアクセスすることによって、この決定を行ってもよい。他の例では、ステップ502でウエハ化プロセス工程情報の一部として目標上壁温度が受信される場合、ステップ504は実行されなくてもよい。
【0052】
ステップ506で、コントローラ420は、ステップ502で受信した、リアクタ102内でウエハ化プロセス工程が実行されていることを示す、情報に基づいて、ダンパ138の適切な位置を決定する。この例では、コントローラ420は、バランスのとれた量の冷却流体フローが上部モジュール106及び下部モジュール108に供給されるように、ダンパ138が位置決めされるべきと決定する。他の例では、コントローラ420は、異なる量の冷却流体フローが上部モジュール106及び下部モジュール108に供給されるように、ダンパ138が位置決めされるべきであると決定してもよい。ダンパ138の適切な位置は、ユーザ経験又はウエハ化プロセス工程(及び、任意で、この情報も受信される場合には特定のプロセスガスレシピ)に関連付けられたリアクタ102の履歴データに基づいてもよい。コントローラ420は、この決定に基づいてステップ508でダンパ位置出力信号を生成する。ステップ510で、コントローラ420は、アクチュエータ140にダンパ138を適切な位置に位置決めさせる、生成されたダンパ位置出力信号を送信する。幾つかの場合では、ステップ508及び510は、コントローラ420が、アクチュエータ140から受信したフィードバック情報を使用して、ダンパ138がステップ506で決定された適切な位置に既に位置していると判断する場合には、実行されなくてもよい。
【0053】
また、ステップ502で受信された、リアクタ102内でウエハ化プロセス工程が実行されていることを示す、情報に基づいて、コントローラ420は、ステップ512でブロワ122によって供給される冷却流体フローの適切な出力レートを決定する。適切な出力レートは、ウエハ化プロセス工程の間の特定の目標冷却条件に基づいて決定され、これは、ウエハ化プロセス工程に関連付けられたリアクタ102のユーザ経験又は履歴データ(及び、任意で、この情報も受信される場合には特定のプロセスガスレシピ)に基づいてもよい。コントローラ420は、この決定に基づいて、ステップ514でブロワ出力信号を生成する。ステップ516で、コントローラ420は、アクチュエータ140に、ブロワ122によって供給される冷却流体フローの出力レートを適切なレートに調整させる、生成されたブロワ出力信号を送信する。
【0054】
図6は、チャンバクリーニング工程の間の冷却流体フロー条件を制御するための例示的なプロセスフロー600を示している。ステップ602で、コントローラ420は、チャンバクリーニング工程がリアクタ102で実行されていることを示すエピタキシャルプロセス情報を、入力430を介して受信する。チャンバクリーニング工程は、工程500にしたがって1つ又は複数のウエハ化プロセスが実施された後に実施されてもよい。エピタキシャルプロセス情報は、チャンバクリーニング工程に関与する特定のクリーニングガスレシピも含んでもよい。
【0055】
ステップ604において、例示的なプロセスフロー600では、コントローラ420は、チャンバクリーニング工程のためのステップ604における目標上壁温度を決定する。コントローラ420は、目標温度をチャンバクリーニング工程(及び、任意で、この情報も受信される場合には特定のクリーニングガスレシピ)に関連付ける、記憶されたメモリ内のデータにアクセスすることによって、この決定を行ってもよい。他の例では、ステップ602でチャンバクリーニング工程の情報の一部として目標上壁温度が受信された場合、ステップ604は実行されなくてもよい。
【0056】
ステップ602で受信された、リアクタ102内でチャンバクリーニング工程が実行されていることを示す、情報に基づいて、コントローラ420は、ステップ606でダンパ138の適切な位置を決定する。この例では、コントローラ420は、より多量の冷却流体フローが下部モジュール108に供給されるように(したがって、より少量が上部モジュール106に供給されるように)、ダンパ138が位置決めされるべきであると決定する。他の例では、コントローラ420は、異なる量の冷却流体が上部モジュール106及び下部モジュール108に供給されるように、ダンパ138が位置決めされるべきであると決定してもよい。ステップ602で示されるチャンバクリーニング工程の間のダンパ138の適切な位置は、チャンバクリーニング工程に関連付けられたリアクタ102のユーザ経験又は履歴データ(及び、任意で、この情報も受信される場合には特定のクリーニングガスレシピ)に基づいてもよい。コントローラ420は、この決定に基づいてステップ608でダンパ位置出力信号を生成する。ステップ610で、コントローラ420は、アクチュエータ140にダンパ138を適切な位置に位置決めさせる、生成されたダンパ位置出力信号を送信する。幾つかの実施例では、ステップ608及び610は、コントローラ420が、アクチュエータ140から受信されたフィードバック情報を使用して、ダンパ138がステップ606で決定された適切な位置に既に位置していると判断する場合には、実行されなくてもよい。
【0057】
また、リアクタ102内でチャンバクリーニング工程が実行されていることを示す、ステップ602で受信された、情報に基づいて、コントローラ420は、ステップ612でブロワ122によって供給される冷却流体フローの適切な出力レートを決定する。適切な出力レートは、チャンバクリーニング工程の間の特定の目標冷却条件に基づいて決定され、これは、チャンバクリーニング工程に関連付けられたリアクタ102のユーザ経験又は履歴データ(及び、任意で、この情報も受信される場合には特定のクリーニングガスレシピ)に基づいてもよい。コントローラ420は、この決定に基づいて、ステップ614でブロワ出力信号を生成する。ステップ616において、コントローラ420は、アクチュエータ140に、ブロワ122によって供給される冷却流体フローの出力レートを適切な速度に調整させる、生成されたブロワ出力信号を送信する。
【0058】
例示的なプロセスフロー500、600は、エピタキシャルプロセス(すなわち、ウエハ化プロセス工程とチャンバクリーニング工程を含むプロセス)全体の間の冷却流体フロー条件を制御するための例示的なプロセスフローを共に表している。例示的なプロセスフロー500、600は、エピタキシャルプロセスの間の冷却流体フロー条件を、プロセスの個別の工程の間の所望の冷却条件に基づいて、動的に制御するコントローラ420の能力を示している。より具体的には、コントローラ420は、ブロワ122及びアクチュエータ140を動的に制御して、ウエハ化プロセス工程とチャンバクリーニング工程との間(及び、任意で、それぞれの工程の間に所望の条件が変化した場合には、ウエハ化プロセス工程及びチャンバクリーニング工程の間)に、冷却流体フローの全体的な出力レートならびに上部モジュール106及び下部モジュール108のそれぞれに供給される冷却流体フローの量を調整するように構成されている。
【0059】
図7は、他の実施形態に係る半導体ウエハリアクタシステム700を示している。システム700は、図1に関して上述したものと同様の特徴を含んでおり、追加又は変更される特徴については以下でさらに詳細に説明される。図1における参照符号は、図7における同様の特徴に使用されている。システム100の特徴に関して上述した追加の詳細は、明示的に別段の記載がない限り、システム700の同様の特徴にも適用される。
【0060】
システム700は、ブロワ122とコントローラ148とに接続されたインバータ736を含んでいる。図7に示される実施形態例では、ブロワ122は可変速ブロワである。インバータ736は、コントローラ148から受信したブロワ速度設定値に基づいて可変速ブロワ122の速度を管理するように構成されている。
【0061】
図8は、リアクタ102、コントローラ148、及びインバータ736の例示的な通信スキームを示している(図8ではリアクタ803、PLC804、及びインバータ806として概略的に表されている)。リアクタメインフレーム802は、リアクタ803に結合されており、リアクタ803の動作を制御するための様々なコンピュータ実装機能を実行するように構成された、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)(又はプロセッサ)及び関連付けられたメモリ装置(複数可)を含んでいる。CPU(複数可)は、標準的なコンピュータプロセッサ又はコントローラであってもよい。リアクタメインフレーム802のメモリ装置(複数可)は、一般に、非一過性コンピュータ可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、コンピュータ可読不揮発性媒体(例えば、フラッシュメモリ)、フロッピーディスク、コンパクトディスク-読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、及び/又は他の適切なメモリ要素を含むが、これらに限定されない、メモリ要素を含んでもよい。リアクタ803に関連付けられたプロセス情報は、リアクタメインフレーム802のメモリ装置(複数可)にソフトウェアルーチンとして格納されてもよい。リアクタメインフレーム802はホストサーバ808に接続され、ホストサーバ808と通信する。例えば、リアクタメインフレーム802は、SECS伝送プロトコルを使用して、SECS/GEM(SEMI Equipment Communications Standard/Generic Equipment Model)標準通信インタフェースを介してホストサーバ808と通信するように構成されてもよい。エピタキシャルプロセス工程、特定のプロセス、及びクリーニングガスレシピ等のプロセスデータ通信は、ホストサーバ808からリアクタメインフレーム802へ、リアクタ803に適切な処理工程を開始又は停止させるSECSプロトコルを介して送信されてもよい。ホストサーバ808がリアルタイムでリアクタ803を監視することを可能とするように、リアクタ機器の状態及び処理工程の状態等のデータ通信が、SECSプロトコルを介してリアクタメインフレーム802からホストサーバ808に送信されてもよい。
【0062】
リアクタメインフレーム802はまた、PLC804及びインバータ806と通信している。リアクタメインフレーム802は、プロセス工程情報、特定のプロセス、及びクリーニングガスレシピ情報等、エピタキシャルプロセス情報をPLC804に送信するように構成されてもよい。リアクタメインフレーム802は、インバータにブロワ122(図8ではブロワ809として概略的に表されている)を始動/停止させるブロワ始動/停止信号をインバータ806に送信するように構成されてもよい。リアクタメインフレーム802がホストサーバ808からリアクタ803を始動/停止するためのリアクタ始動/停止信号を受信すると、スタート/ストップ信号がリアクタメインフレーム802からインバータ806に送信されてもよい。一部の実施形態では、ブロワ始動/停止信号はブロワ速度設定値を含んでもよく、ブロワ速度設定値がインバータ806及びPLC804の両方に送信されてもよい。
【0063】
PLC804は、インバータ806と通信しており、ブロワ速度設定値信号をインバータ806に送信することによって、ブロワ809の速度を制御するように構成されている。上述したように、PLC804はまた、更新されたブロワ速度設定値信号を生成するためのフィードバック制御機能(例えば、PID制御機能)を備えてもよい。PLC804は、ブロワ速度設定値信号をインバータ806にデジタル通信してもよい。例えば、PLC804とインバータ806は、デジタルデータ通信用のEtherCATフィールドバスを介して通信してもよい。PLC804は、好適には、EtherCAT通信を内蔵したプログラマブルロジックコントローラ、例えば、OMRON(登録商標)が供給するNX1シリーズコントローラ(例えば、NX102コントローラ)であってもよい。インバータ806は、好適には、EtherCAT通信を内蔵したインバータ、オムロン(登録商標)が供給しているもの等である。インバータ806として使用するのに適したこのようなインバータはまた、電流、電力、電圧等のブロワ809のモータパラメータのフィードバック信号を(例えば、EtherCATを使用して)デジタル通信してもよい。
【0064】
この実施形態では、PLC804はまたホストサーバ808と通信している。例えば、PLC804として使用するのに適したコントローラは、SECS伝送プロトコルを使用するSECS/GEM標準通信インタフェースを介して、又は例えばOPCユニファイドアーキテクチャ(UA)標準プロトコルを使用する等OPC標準にしたがって、ホストサーバ808と通信するように構成されてもよい。リアルタイムのプロセスデータ通信が、ホストサーバ808とPLC804の間にSECS又はOPC UAプロトコルを介して交換されてもよい。より具体的には、リアクタ803に関連付けられたリアルタイムのプロセス情報がサーバ808からPLC804に送信され、PLC804は、リアクタメインフレーム802によって監視されていない1つ又は複数の追加プロセス構成要素から受信したフィードバック情報をサーバ808に送信する。例えば、PLC804は、インバータ806から受信したフィードバック信号を、SECS又はOPC UAプロトコルを介してサーバ808に送信する。PLC804はまた、リアクタメインフレーム802によって監視されていない他のプロセス構成要素(追加の温度及び/又は圧力センサ等)に接続されてもよく、これらの構成要素からのフィードバック情報をサーバ808に送信して、プロセスの監視と構成要素の故障及び操作上の問題の検出とを改善してもよい。
【0065】
図7に戻って、システム700は、ダクト130の出口とブロワ122の吸込側との間に配置された熱交換器750を含んでいる。熱交換器750は、上部モジュール106及び下部モジュール108からダクト130を通ってブロワ122に引き戻される戻り冷却流体(すなわち、加温流体)を冷却するように構成されている。この実施形態では、加温流体温度センサ752が熱交換器750の入口又は入口近傍に配置されており、冷却流体(すなわち、熱交換器750によって冷却された流体)温度センサ754が熱交換器750の出口又は出口近傍に配置されている。両温度センサ752、754は、熱交換器750の入口における加温流体及び出口における冷却流体の測定温度を受信するコントローラ148に接続されている。コントローラ148は、温度センサ752、754から受信した測定値に基づいて様々な判断を下してもよい。例えば、コントローラ148は、温度センサ752、754から受信した測定温度間の差が許容限界を下まわる場合、システム700の故障又は動作上の問題を判定してもよい。コントローラ148はまた、冷却流体温度センサ754から受信した測定温度が許容限度を超えている場合、システム700の故障又は動作上の問題を判定してもよい。コントローラ148はまた、冷却流体温度センサ754からの測定値に部分的に基づいて、上記で詳細に説明したブロワ122及びアクチュエータ140に送信される出力信号を生成してもよい。幾つかの実施形態では、温度センサ752、754の一方のみが使用されてもよい。
【0066】
システム700はまた、上部モジュール106及び下部モジュール108にそれぞれ連結された圧力センサ756、758を含んでいる。圧力センサ756、758は、それぞれの上部モジュール106及び下部モジュール108内の冷却流体フローの圧力を測定する。図示の実施形態では、両方の圧力センサ756、758がコントローラ148に接続されている。コントローラ148は、圧力センサ756、758から受信した測定値に基づいて様々な判定を行ってもよい。例えば、コントローラ148は、センサ756、758から受信した測定圧力が、ブロワ122からの現在の設定出力レート及び/又はダンパ138の設定位置と整合できない、上部モジュール106及び下部モジュール108への不十分なフローを示す場合、システム700の故障又は動作上の問題を判定してもよい。幾つかの実施形態では、圧力センサ756、758の一方のみが使用されてもよい。
【0067】
図9は、半導体ウエハリアクタシステム(例えば、図1に示されるシステム100、図7に示されるシステム700)と共に使用するための例示的な冷却ループ900を示している。冷却ループ900は、(すなわち、冷却回路120に加えて)リアクタ102の構成要素に追加の冷却を提供する。図示の実施形態では、冷却ループ900は、リアクタ102の構成要素に冷却を供給するために冷水(例えば、約18℃の温度)を使用する。しかしながら、他の実施形態では、他の冷却液が使用されてもよい。
【0068】
冷却ループ900は、冷却液(例えば、図9に示されるように水)を有する冷却メインループ902を含んでいる。冷却液はメインループ902から下部モジュール冷却ループ904、チャンバ冷却ループ906、上部モジュール冷却ループ908のそれぞれに供給される。下部モジュール冷却ループ904は、下部モジュール108とサセプタ高温計144とに冷却液を供給する。下部モジュール冷却ループ904内の冷却液はまた、下部クランプリング及び金反射板等、下部モジュール108の内部に配置された構成要素に接触してもよい。チャンバ冷却ループ906は反応チャンバ104に冷却液を供給する。上部モジュール冷却ループ908は、上部モジュール106と基板高温計142とに冷却液を供給する。上部モジュール冷却ループ908内の冷却液はまた、上部クランプリング及び金反射板等、上部モジュール106の内部に配置された構成要素に接触してもよい。ドレインコレクタループ910は、下部モジュール冷却ループ904、チャンバ冷却ループ906、及び上部モジュール冷却ループ908のそれぞれの出口で冷却液を受ける。
【0069】
冷却ループ900はまた、下部モジュール冷却ループ904、チャンバ冷却ループ906、及び上部モジュール冷却ループ908のそれぞれに結合されたセンサ912、914、916を含んでいる。各センサ912、914、916は、それぞれのループ904、906、908内の冷却液の1つ又は複数のパラメータを測定する。例えば、センサ912、914、916はそれぞれ、温度センサ、流量センサ(例えば、体積流量センサ又は質量流量センサ)、圧力センサ、又はそれらの組み合わせであってもよい。この例では、センサ912、914、916はそれぞれ、温度と流量を組み合わせたセンサである。センサ912、914、916はそれぞれ、それぞれのループにおいて冷却液によって接触される構成要素から下流側のそれぞれのループ上に適切に配置されている。すなわち、センサ912、914、916は、好適には、構成要素と接触した後の冷却液の1つ又は複数のパラメータを測定する。
【0070】
センサ912、914、916はそれぞれ、各ループ904、906、908の測定されたパラメータをそれぞれのセンサから受信するコントローラ(すなわち、コントローラ148)に接続されてもよい。コントローラはまた、メインループ902内の冷却液の同じパラメータの測定値を受信してもよい。コントローラは、各ループ904、906、908内の冷却流体の測定パラメータ(複数可)を、メインループ902内の冷却流体の測定パラメータ(複数可)と比較することによって、判定を行ってもよい。例えば、温度差、圧力差、又は流量差が許容値を上回り又は下回る場合、コントローラは、ループ904、906、908の1つに関連する故障又は動作上の問題を検出してもよい。
【実施例
【0071】
本開示のプロセスは、以下の実施例によってさらに説明される。本実施例は限定的な意味で捉えられるべきではない。実施例1:エピタキシャル反応チャンバの上壁の温度プロファイル上のブロワ速度及びダンパ位置の動的制御の効果の判定
【0072】
本明細書に記載の反応チャンバの上部モジュール及び下部モジュールにおける冷却流体フロー条件を制御する方法が、エピタキシャルプロセスの間の上壁の温度プロファイルへの影響を判定するために試験された。使用されたリアクタはアプライドマテリアルズ(登録商標)のCENTURA(登録商標)EPI200mmであった。石英上壁温度プロファイルデータが、標準的な可変速ブロワを使用する従来のリアクタと、本明細書で説明される、作動ダンパと、処理工程に基づいて作動ダンパを制御しPID制御を用いて可変速ブロワを制御するように構成されたコントローラと、を備えたリアクタから収集した。
【0073】
図10a~10fは、ウエハ化プロセス(図10a~10d)及びチャンバクリーニングプロセス(図10e~10f)の間の石英上壁の温度プロファイルを示している。石英上壁温度プロファイルは、標準的な可変速ブロワを使用するリアクタにおける温度プロファイル(図10a、図10b、及び図10e)と比較して、本開示に係る装備されたリアクタにおいて、より安定した温度制御(図10c、図10d、及び図10f)を示す。特筆すべきは、図10c及び10dにおいて、石英上壁温度の安定した温度制御が、初期ウエハベーキング(ウエハ温度プロファイル上の初期のより高い温度により示される)による変化する温度条件を含むウエハ化プロセスの間に維持されたことである。図10fのチャンバクリーニング工程の間の温度プロファイルが図10eよりもより安定していることは特に重要である。なぜなら、石英上壁温度が設定値又は設定値に近い状態を十分な期間維持しなければならない一方で、クリーニングガスはチャンバに導入されてチャンバクリーニング工程の間に堆積物の十分なエッチングを可能とするためである。
【0074】
図11は、チャンバクリーニング工程(プロットの左側セット)及びウエハ処理(すなわち、堆積)工程(プロットの右側セット)の間に、複数のリアクタから収集された、設定点温度(T/Tsp)に対して正規化された上部ドーム温度のボックスプロット(箱ひげ図)を示している。本開示に係る作動ダンパ及びブロワ速度制御を使用したリアクタからの正規化温度のボックスプロット(各プロットの左プロット)は、標準的な可変ブロワ速度制御を使用したリアクタからの正規化された温度のボックスプロット(各プロットの右プロット)よりも、堆積工程及びチャンバクリーニング工程の両方の間の変動が少ないことを示している。図12及び図13は、堆積工程(図12)とチャンバクリーニング工程(図13)の間の、同じリアクタからの正規化された温度の散布図を示している。図11と同様に、図12及び図13は、本開示に係る作動ダンパ及びブロワ速度制御を使用するリアクタ(右散布図)において、標準的な可変ブロワ速度制御を使用するリアクタ(左散布図)よりも、堆積工程及びチャンバクリーニング工程の両方の間の石英上壁温度の制御が良好であることを示している。
【0075】
したがって、半導体リアクタチャンバを冷却するための従来のシステム及び方法と比較して、本開示のシステム及び方法は、エピタキシャルプロセス全体の間に上壁の温度制御の改善を促進する。有利なことに、作動ダンパとブロワの両方が、特定のプロセス工程に基づいて(任意で、特定のプロセス又はクリーニングガスレシピに基づいて)制御されてもよい。これらの構成要素の組み合わせが、これらの構成要素の一方だけを制御するシステム又は方法よりも、冷却流体フローを微調整して、より広い範囲の所望の冷却条件を満たすことを可能とする。
【0076】
本開示のシステム及び方法は、それぞれ異なる冷却条件が所望される半導体ウエハリアクタの上部モジュール及び下部モジュールに個別に供給される冷却流体フローを選択可能に制御するという追加の利点も提供する。例えば、チャンバクリーニング工程の間に上部モジュールでは冷却状態の低下が望まれるが、下部モジュールでは冷却状態の低下が望まれない場合、本開示に係るシステム及び方法を使用して、それぞれに供給される冷却流体フローを微調整してもよい(例えば、過剰な冷却流体フローを下部モジュールに分流させることによって)。これには、下部モジュールの構成要素の寿命を向上させるという利点があり、そうでなければ下部モジュールの構成要素は不必要に増大した温度に曝される可能性がある。
【0077】
さらに、本開示のシステム及び方法は、半導体ウエハ反応システム内の監視及び故障検出を改善するために、よりリアルタイムの処理情報を収集する。例えば、ダンパアクチュエータ又はブロワから(ブロワインバータから等)のフィードバックを使用して、コントローラは、処理を停止し、及び/又は所望の温度設定値に到達できないことをユーザに示すように構成されてもよい。コントローラと通信する追加のセンサ(例えば、圧力センサ、温度センサ、流量センサ)はまた、上記のようにリアルタイムの監視及び故障検出を改善する。従来のリアクタは、リアクタに接続された安全回路に、空気圧(例えば、圧力スイッチ)と外部チャンバ温度(例えば、サーマルスイッチ)のための特定のスイッチを含んでいる。これらの受動的な構成要素は、問題が検出された場合にリアクタを停止させるように安全回路によって使用される。追加コントローラ及びホストサーバに接続された、例えば気圧及び気温を測定するセンサを含めることによって、信号は、継続的に監視され、受動的センサの故障又は誤動作を予測するために使用され得る。
【0078】
本発明の構成要素又はその実施形態を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、1つ又は複数の構成要素があることを意味することを意図している。「comprising」、「including」、「containing」、及び「having」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された構成要素以外の追加的な構成要素が存在してもよいことを意味している。特定の方向を示す用語の使用(例えば、「トップ」、「ボトム」、「サイド」など)は、は説明の便宜のためであり、説明されたアイテムの特定の方向を必要とするものではない。
【0079】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成及び方法において様々な変更がなされ得るので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味において解釈されないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図11
図12
図13
【国際調査報告】