(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】化合物、その製造方法、該化合物に由来する単分子、およびオリゴマー
(51)【国際特許分類】
C07D 251/34 20060101AFI20240927BHJP
C07D 251/30 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C07D251/34 D CSP
C07D251/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522386
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2023000790
(87)【国際公開番号】W WO2023136701
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0006316
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボムス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジヒェ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・チョル・キム
(57)【要約】
本明細書は、化学式1の化合物、その製造方法、該化合物に由来する単分子、およびオリゴマーに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物:
【化1】
前記化学式1において、
X1~X3のうち少なくとも1つは
【化2】
であり、残りはアリル基 (allyl group)であり、
nは1~20の整数であり、
【化3】
は、前記化学式1に結合する部位であり、
X4はハロゲン基である。
【請求項2】
前記X4はヨウ素基(-I)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記
【化4】
は、下記構造のいずれかである、請求項1に記載の化合物:
【化5】
。
【請求項4】
前記化学式1は、下記化合物から選択されるいずれかである、請求項1に記載の化合物:
【化6】
【化7】
。
【請求項5】
(s1)トリアリルイソシアヌレート(Triallyl isocyanurate)、C
nF
2n+1X4、塩基(Base)、および溶媒を投入し、窒素気体下で撹拌する段階;および
(s2)ラジカル開始剤(Radical initiator)を投入して攪拌する段階
を含む、下記化学式1の化合物の製造方法:
【化8】
前記(s1)段階および化学式1において、
X1~X3のうち少なくとも1つは
【化9】
であり、残りはアリル基(allyl group)であり、
nは1~20の整数であり、
【化10】
は、前記化学式1に結合する部位であり、
X4はハロゲン基である。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物に由来する、単分子。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物に由来する単量体単位を含む、オリゴマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月17日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0006316号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、化合物、その製造方法、該化合物に由来する単分子、およびオリゴマーに関する。
【背景技術】
【0003】
トリアリルイソシアヌレートは、耐熱性と耐薬品性に優れた架橋剤として有用であり、電子材料、液晶、半導体、太陽電池などの幅広い分野での使用が期待される。例えば、プリント配線基板、すなわち、集積回路、抵抗器、コンデンサなどの多数の電子部品を表面に固定し、その部品間を配線で接続することで電子回路を構成する板状またはフィルム状の部品において、液体や気体などの物質が部品の内部に入らないようにするための封止材として使用される。
【0004】
しかし、トリアリルイソシアヌレートは比誘電率および誘電正接が高く、これを下げるための研究は続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、化合物、その製造方法、該化合物に由来する単分子、およびオリゴマーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1の化合物を提供する。
【化1】
【0007】
前記化学式1において、
X1~X3のうち少なくとも1つは
【化2】
であり、残りはアリル基(allyl group)であり、
nは1~20の整数であり、
【化3】
は、前記化学式1に結合する部位であり、
X4はハロゲン基である。
【0008】
本明細書の一実施態様は、(s1)トリアリルイソシアヌレート(Triallylisocyanurate)、C
nF
2n+1X4、塩基(Base)、および溶媒を投入し、窒素気体下で撹拌する段階;および(s2)ラジカル開始剤(Radical initiator)を投入して撹拌する段階を含む、下記化学式1の化合物の製造方法を提供する。
【化4】
【0009】
前記(s1)段階および化学式1において、
X1~X3のうち少なくとも1つは
【化5】
であり、残りはアリル基(allyl group)であり、
nは1~20の整数であり、
【化6】
は、前記化学式1に結合する部位であり、
X4はハロゲン基である。
【0010】
本明細書の他の一実施態様は、前記化合物に由来する単分子を提供する。
【0011】
さらに、本明細書の他の一実施態様は、前記化合物に由来する単量体単位を含むオリゴマーを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書の一実施態様による化合物、それに由来する単分子、およびオリゴマーは、良好な脱離基を含んでおり、架橋が可能な構造を含み、様々な誘導体を製造することができる。
【0013】
本明細書の一実施態様による化合物は多官能単量体として使用され、低屈折率、低比誘電率化、低表面エネルギー化および低誘電正接の効果を示すことができる。
【0014】
本明細書の一実施態様による化合物の製造方法は、温和な条件で反応が進行して副反応が少なく、目的化合物である化学式1の化合物の収得率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】前記化学式1の化合物の製造方法の反応機構を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
本明細書の一実施態様は、下記化学式1の化合物を提供する。
【化7】
【0017】
前記化学式1において、
X1~X3のうち少なくとも1つは
【化8】
であり、残りはアリル基(allyl group)であり、
nは1~20の整数であり、
【化9】
は、前記化学式1に結合する部位であり、
X4はハロゲン基である。
【0018】
本明細書の一実施態様による化学式1の化合物は、低比誘電率化および低誘電正接効果を有するフッ素を含むパーフルオロアルキル基を含み、架橋剤の役割を果たすトリアリルイソシアヌレート誘導体であり、多官能単量体として使用され、低比誘電率化および低表面エネルギー化並びに低誘電正接の効果を示すことができる。
【0019】
本明細書の一実施態様によれば、前記X1~X3のいずれか1つは
【化10】
であり、残りはアリル基(allyl group)である。
【0020】
本明細書の一実施態様によれば、前記X1~X3のうちいずれか2つは
【化11】
であり、残りはアリル基(allyl group)である。
【0021】
本明細書の一実施態様によれば、前記X1~X3はそれぞれ
【化12】
である。
【0022】
本明細書の一実施態様によれば、前記nは4~12の整数である。
【0023】
本明細書の一実施態様によれば、前記nは4、6または8である。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、前記X4はヨウ素基(-I)である。
【0025】
本明細書の一実施態様によれば、前記
【化13】
は、下記の構造のいずれかである。
【化14】
【0026】
本明細書の一実施態様によれば、前記
【化15】
のnが前記範囲である場合、パーフルオロアルキル基の鎖長の調節が容易であり、様々な分子量の化合物を製造することができる。また、パーフルオロアルキル基を含む場合、低屈折率、低比誘電率化、低表面エネルギー化および低誘電正接の効果を示すことができる。
【0027】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、以下の化合物の中から選択されるいずれかである。
【化16】
【化17】
【0028】
本明細書の一実施態様は、(s1)トリアリルイソシアヌレート(Triallylisocyanurate)、C
nF
2n+1X4、塩基(Base)、および溶媒を投入し、窒素気体下で撹拌する段階;および(s2)ラジカル開始剤(Radical initiator)を投入して撹拌する段階を含む、下記化学式1の化合物の製造方法を提供する。
【化18】
【0029】
前記(s1)段階および化学式1において、
X1~X3のうち少なくとも1つは
【化19】
であり、残りはアリル基(allyl group)であり、
nは1~20の整数であり、
【化20】
は、前記化学式1に結合する部位であり、
X4はハロゲン基である。
【0030】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s1)段階の反応温度は0℃~常温である。前記反応を前記反応温度範囲内で進行する場合、反応条件が厳しくなく温和であり、温度が上昇するにつれて現れる副反応が抑制され、最終目的物である前記化学式1の化合物の収得率が高くなる。また、前記(s1)段階では、前記nの範囲および化学式1の化合物の分子量に応じて様々な温度範囲を設定することができる。
【0031】
本明細書において常温は、大気圧下で20±5℃を意味する。
【0032】
本明細書の一実施態様による塩基(Base)は、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)またはそれらの任意の混合物であってもよいが、これに限定されず、従来に使用される塩基を使用してもよい。
【0033】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶媒は有機溶媒である。
【0034】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム、ジクロロホルム、ニトロメタン、ジブロモメタン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、キシレン、メシチレン、エチルアセテートまたはそれらの任意の混合物の中から選択されるが、これらに限定されず、従来技術において使用されている有機溶媒を使用してもよい。
【0035】
本明細書の一実施態様によれば、前記ラジカル開始剤は、水溶性開始剤である。
【0036】
本明細書の一実施態様によれば、前記ラジカル開始剤は、ポタシウムパーサルフェート(過硫酸カリウム、potassium persulfate、KPS)、アンモニウムパーサルフェート(過硫酸アンモニウム、ammonium persulfate、APS)、ポタシウムヒドロサルファイト(次亜硫酸カリウム、Potassium hydrosulfite)、ソジウムヒドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム、Sodiumhydrosulfite)、過乳酸ナトリウム、または過酸化水素のいずれかである。
【0037】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s2)段階の反応温度は0℃である。前記(s2)段階が前記反応温度で進行される場合、副反応が抑制され、最終目的物である前記化学式1の収得率が高くなる。
【0038】
本明細書の一実施態様による前記製造方法のメカニズムは、以下の
図1に記載されている。(1)ラジカル開始剤が塩基条件下で解離し、(2)ラジカルが生成し、(3)原子移動反応が起こる。(3)で開始剤の水素が解離してパーフルオロアルキルに結合していたハロゲン基(ヨウ素基)と結合し、パーフルオロアルキルはラジカルとなる。その後、(4)および(5)のラジカル連鎖反応は、(4)ラジカル化したパーフルオロアルキル基と前記トリアリルイソシアヌレート(Triallyl isocyanurate)のアリル基が結合して、ラジカルを形成し、(5)前記ラジカルにパーフルオロアルキルに結合していたハロゲン基(ヨウ素基)が結合して化学式1の化合物が生成される。
【0039】
図1において、K
aは、ラジカルの基質R
fへの付加反応定数(addition rate constant)である。
【0040】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s2)段階後に前記化学式1の化合物を収得する段階をさらに含む。
【0041】
本明細書の一実施態様による前記収得する段階は、
(s31)クエンチ(Quench)および層分離段階;
(s32)乾燥段階;
(s33)濾過段階;
(s34)濃縮段階;および
(s35)収得段階を含む。
【0042】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s31)段階(クエンチ(Quench)および層分離段階)は、反応終了物質を添加して反応を終了し、層を分離する段階である。
【0043】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s31)段階の反応終了物質は、蒸留水、塩化アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、KF(飽和)水溶液、HCl水溶液、NaCl(飽和)水溶液、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルアセテートなどが用いられ得るが、これに限定されるものではない。好ましくは、前記反応終了物質としては、塩化アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、NaCl水溶液、エチルアセテートなどが用いられる。
【0044】
前記(s31)段階で前記反応終了および層分離が進行する手順は、特定の順序に制限されない。一実施態様として、反応終了および層分離が同時に進行されてもよく、他の例として、反応終了物質を添加して反応を終了し、その後層分離が進行されてもよい。しかし、進行順序は前述の例に限定されない。
【0045】
前記反応後に残ったラジカル開始剤は水溶性であるため、前記(s31)段階で水に溶けて除去することができる。
【0046】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s32)段階(乾燥段階)は、前記(s31)段階で層分離された物質のいずれかの層に乾燥剤を添加して進行される。例えば、反応終了物質として前記例示したクロロホルムを使用した場合、下層のクロロホルム層、すなわち有機層に乾燥剤を添加して進行される。
【0047】
前記乾燥剤としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい一実施態様によれば、前記乾燥剤は硫酸マグネシウムである。
【0048】
本明細書において、乾燥剤は当業界で通常乾燥のために必要な十分な量を添加する。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s33)段階(濾過段階)は、当分野で公知の方法によって行われてもよい。代表的な例として、吸入器を用いて空気を吸引し、目的生成物から分離された乾燥剤を含む不純物などをフィルターを通してろ過する方法、または特定溶媒に対する溶解度差を利用して目的生成物は溶解しないが、他の不純物は溶解する溶媒を使用して他の不純物を除去する方法が使用され得る。
【0050】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s34)段階(濃縮段階)は、当業界で公知の方法によって行われてもよい。代表的な例としては、真空回転式蒸発装置(vaccum rotary evaporator)を用いて溶媒を蒸発させて行うことができるが、これに限定されない。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s34)段階の後、さらに濾過および乾燥段階が追加されてもよい。
【0052】
前記(s35)収得する段階の前に乾燥段階を含んでもよく、前記乾燥段階は、前記化学式1を乾燥する段階である。前記乾燥段階は(s32)とは異なり、前記乾燥段階は当分野で公知の方法によって行うことができ、代表的な例として、真空オーブン乾燥、噴霧乾燥、フラッシュ乾燥などがあり、好ましくは真空オーブン乾燥にて乾燥させることができる。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記(s35)段階(収得段階)は、前記(s34)段階で濃縮(乾燥)された前記化学式1の化合物を収得する段階である。
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、前記収得する段階において、前記(s32)~(s33)を必要に応じて3回以上行ってもよい。
【0055】
本明細書の一実施態様によれば、前記化合物を2種以上含む混合物を提供する。
【0056】
本明細書の他の一実施態様によれば、前記混合物に含まれる2種以上の化合物は互いに同じまたは異なる。すなわち、前記化学式1の構造であり、かつ互いに同一であるかまたは異なることを意味する。
【0057】
本明細書の他の一実施態様によれば、前記混合物は前記化学式1と異なる化合物をさらに含んでもよい。
【0058】
本明細書の一実施態様によれば、前記化合物に由来する単分子を提供する。
【0059】
本明細書において、例えば、前記「化学式1の化合物に由来する単分子」は、前記化学式1の化合物のアリル基がラジカルを形成して追加の置換基が導入された単分子、前記化学式1のハロゲン基が電子ドナーの役割として使用され、追加の置換基が導入された単分子、または前記化学式1の化合物そのものを意味することができる。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、前記化合物に由来する単量体単位を含むオリゴマーを提供する。
【0061】
当技術分野の通常の知識を有する者は、本明細書に記載の用語「単量体単位」が、化合物が重合してオリゴマーの主鎖に連結されている構造部分であると理解できる。
【0062】
本明細書において、例えば、前記「化学式1の化合物に由来する単量体単位」とは、重合体内で主鎖を構成する繰り返し単位であり、前記化学式1の化合物のアリル基がラジカルを形成して単量体となることができ、ハロゲン基が電子ドナーの役割として使用され、他のオリゴマーの主鎖を構成する単量体単位または末端基が導入され得ることを意味する。
【0063】
また、前記構造内のハロゲン基の脱離によって生成されたラジカルも、他のアリル基を含むオリゴマーまたは前記単量体と反応することができる。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、前記オリゴマーは下記の構造であり得るが、これに限定されない。以下の構造は、前記化学式1のnが4、6または8の場合のみ例示したが、化学式1のnが1~20の範囲に応じて様々な構造のオリゴマーの形態を示すことができる。
【化21】
【化22】
【0065】
前記構造において、
n1~n3はそれぞれ2以上の整数である。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、前記n1~n3は、それぞれ2~10,000の整数であり、好ましくは2~5,000の整数であり、さらに好ましくは2~1000の整数であり、さらに好ましくは2~100の整数である。
【0067】
本明細書の一実施態様による化合物、それに由来する単分子、およびオリゴマーは、良好な脱離基を含み、架橋が可能な構造を含み、様々な誘導体を製造することができる。
【実施例】
【0068】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は様々な他の形態に変更することができ、本明細書の範囲が以下で詳述する実施例に限定されるものと解釈されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0069】
実施例1.
250mL 2口丸底フラスコに、トリアリルイソシアネート(Triallyl isocyanurate) 9.9g、NaHCO3 0.101gおよびノナフルオロ-1-ヨードブタン(Nonafluoro-1-iodobutane) 20.7mLを水100mLとアセトニトリル(Acetonitrile) 50mLに溶かし、常温でN2バブリングを30分間実施した後、Na2S2O4を粉末状態で投入した後、0℃で17時間撹拌した。その後、水層をクロロホルム200mLで3回抽出した後、有機層を水で洗浄し、この有機層をMgSO4 10gで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させて、ヨウ化パーフルオロブチル(Perfluorobutyl iodide)が導入された生成物44gを得、生成物の詳細な組成を1H-NMRで測定し、化合物1-2、化合物1-3およびオリゴマー1の重量比を下記の表1に示した。
【0070】
【0071】
【0072】
実施例2.
250mL 2口丸底フラスコに、トリアリルイソシアネート(Triallyl isocyanurate) 9.9g、NaHCO3 0.101gおよびノナフルオロ-1-ヨードブタン(Nonafluoro-1-iodobutane) 10.3mLを水100mLとアセトニトリル(Acetonitrile) 50mLに溶かし、常温でN2バブリングを30分間実施した後、Na2S2O4を粉末状態で投入した後、0℃で17時間撹拌した。その後、水層をクロロホルム200mLで3回抽出した後、有機層を水で洗浄し、この有機層をMgSO4 10gで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させて、ヨウ化パーフルオロブチル(Perfluorobutyl iodide)が導入された生成物22gを得、生成物の詳細な組成を1H-NMRで測定し、化合物1-1、化合物1-2およびオリゴマー1の重量比を下記の表2に示した。
【0073】
【0074】
前記実施例1および2のオリゴマー1は、化合物1-1~1-3のいずれか1つ以上に由来したもので、分子量が単分子として最大の単位である化合物1-3の分子量を超える生成物を意味する。
【0075】
実施例3.
250mL 2口丸底フラスコに、トリアリルイソシアネート(Triallyl isocyanurate) 9.97g、NaHCO3 0.101gおよびヨウ化ヘプタデカフルオロ-n-オクチル(Heptadecafluoro-n-octyl Iodide) 31.7mLを水100mLとAcetonitrile 40mLに溶かし、0℃でN2 バブリングを30分間実施した後、Na2S2O4を粉末状態で投入した後、0℃で17時間撹拌した。その後、水層をクロロホルム200mLで3回抽出した後、有機層を水で洗浄し、この有機層をMgSO4 10gで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させて、ヨウ化パーフルオロオクチル(Perfluorooctyl iodide)が導入された生成物53gを得、生成物の詳細な組成を1H-NMRで測定し、化合物2-2、化合物2-3およびオリゴマー2の重量比を下記の表3に示した。
【0076】
【0077】
【0078】
実施例4.
250mL 2口丸底フラスコに、トリアリルイソシアネート(Triallyl isocyanurate) 9.97g、NaHCO3 0.101gおよびヨウ化ヘプタデカフルオロ-n-オクチル(Heptadecafluoro-n-octyl Iodide) 15.8mLを水100mLとAcetonitrile 40mLに溶かし、0℃でN2バブリングを30分間実施した後、Na2S2O4を粉末状態で投入した後、0℃で17時間撹拌した。その後、水層をクロロホルム200mLで3回抽出した後、有機層を水で洗浄し、この有機層をMgSO4 10gで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させて、ヨウ化パーフルオロオクチル(Perfluorooctyl iodide)が導入された生成物36gを得、生成物の詳細な組成を1H-NMRで測定し、化合物2-1、化合物2-2およびオリゴマー2の重量比を下記の表4に示した。
【0079】
【0080】
前記実施例3および4のオリゴマー2は、化合物2-1~2-3のいずれか1つ以上に由来するものであり、分子量が単分子として最大の単位である化合物2-3の分子量を超える生成物を意味する。
【0081】
前記表1~4で製造された化学式1の化合物は、低比誘電率化および低誘電正接の効果を有するフッ素を含むパーフルオロアルキル基を含み、架橋剤の役割を果たすトリアリルイソシアヌレート誘導体であり、多官能単量体として使用され、低屈折率、低比誘電率化、低表面エネルギー化および低誘電正接の効果を示すことができる。様々な用途に使用することができる。
【0082】
前記化学式1の化合物は、回路基板の材料として使用することができ、比誘電率が特定の組成で約Dk=2.5と予測され(比較例=2.6以上)、前記の結果から、非誘電率低下の効果が得られることを予測することができる。
-比較例:トリアリルイソシアネート(Triallyl isocyanurate)
【国際調査報告】