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特表2024-536549芳香族ポリエステルポリオールとエチレンオキシド系ポリエーテルポリオールとをベースとする改良された硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】芳香族ポリエステルポリオールとエチレンオキシド系ポリエーテルポリオールとをベースとする改良された硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20240927BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240927BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C08G18/40 018
C08G18/00 H
C08G18/00 L
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523148
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022078775
(87)【国際公開番号】W WO2023066838
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21203229.6
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トビアス カルシュケ
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン コッホ
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ ヤーコブマイヤー
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034AA04
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC43
4J034DC50
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4J034HC34
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4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034JA01
4J034JA32
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4J034KB03
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4J034KD25
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4J034QB17
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4J034RA10
4J034RA15
(57)【要約】
本発明は、硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する方法に関するものであって、(A)ポリイソシアネートを、(B)イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する化合物、(C)難燃剤、(D)発泡剤、(E)触媒と、少なくとも220のイソシアネート指数で混合して反応混合物とし、かつ硬化させて前記硬質ポリイソシアヌレートフォームとし、前記成分(B)は、少なくとも1種の芳香族ポリエステルポリオール(b1)及び少なくとも1種のポリエーテルポリオール(b2)を含有し、前記ポリエステルポリオール(b1)は、≦3.0及び≧1.7の平均全官能価を有し、かつ前記ポリエーテルポリオール(b2)は、160~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、かつ平均全官能価≦3.5及び≧1.5を有する開始剤又は開始剤混合物のアルコキシル化により製造され、ポリエーテルポリオール(b2)を製造するためのアルキレンオキシドとして、少なくとも80重量%のエチレンオキシドが使用され、かつポリエーテルポリオール(b2)は、少なくとも90%の第一級ヒドロキシル末端基を有し、かつ前記成分(b1)の、前記成分(b2)に対する質量比は≦3及び≧1であり、かつ前記発泡剤(D)は、化学発泡剤及び物理発泡剤を含有し、ここで、前記化学発泡剤は、ギ酸-水混合物及びギ酸からなる群から選択される。さらに、本発明は、本発明による方法により得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォームに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する方法であって、
(A)ポリイソシアネートを、
(B)イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する化合物
(C)難燃剤
(D)発泡剤
(E)触媒及び
(F)任意にさらなる助剤及び添加剤と、
少なくとも220のイソシアネート指数で混合して反応混合物とし、かつ硬化させて前記硬質ポリイソシアヌレートフォームとし、
ここで、前記成分(B)は、少なくとも1種の芳香族ポリエステルポリオール(b1)及び少なくとも1種のポリエーテルポリオール(b2)を含有し、ここで、前記ポリエステルポリオール(b1)は、以下:
(b1.1)10~50mol%の、芳香族ジカルボン酸を含有するジカルボン酸組成物、
(b1.2)0~20mol%の、1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、
(b1.3)10~80mol%の、1種以上の、炭素原子2~18個を有する脂肪族又は脂環式のジオール又はそれらのアルコキシレート、
(b1.4)0~50mol%の、グリセリン、アルコキシル化グリセリン、トリメチロールプロパン、アルコキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルコキシル化ペンタエリトリトールからなる群から選択される、より高官能性のポリオール
のエステル化により製造され、前記成分(b1.1)~(b1.4)の全量は、合計して100mol%であり、かつ前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)は、3.0以下かつ1.7以上の平均官能価を有し、
かつ前記ポリエーテルポリオール(b2)は、160~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、かつ3.5以下かつ1.5以上の平均官能価を有する開始剤又は開始剤混合物のアルコキシル化により製造され、
ポリエーテルポリオール(b2)を製造するためのアルキレンオキシドとして、少なくとも80重量%のエチレンオキシドが使用され、かつポリエーテルポリオール(b2)は、少なくとも90%の第一級ヒドロキシル末端基及び最大10%の第二級ヒドロキシル末端基を有し、
前記成分(b1)の、成分(b2)に対する質量比は3以下かつ1以上であり、かつ成分(B)を基準とした成分(b1)及び成分(b2)の質量割合の合計は、80重量%超であり、
かつ前記発泡剤(D)は、化学発泡剤及び物理発泡剤を含有し、ここで、前記化学発泡剤は、ギ酸-水混合物及びギ酸からなる群から選択される、前記方法。
【請求項2】
前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)が、190~250mgKOH/gのOH価及び1.7~2.5の官能価を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)が、5~15mol%の、1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を含有することを特徴とする、請求項1から2までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
もっぱらジエチレングリコールが、炭素原子2~18個を有するジオール(b1.3)として使用されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(b1.4)の含有率が、0mol%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
2~50mol%のグリセリン又はエトキシル化グリセリンが、成分(b1.4)として使用されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエーテルポリオール(b2)が、170~290mgKOH/gのヒドロキシル価を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエーテルポリオール(b2)が、3以下かつ2以上の平均全官能価を有する開始剤又は開始剤混合物のアルコキシル化により製造されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエーテルポリオール(b2)が、ジエチレングリコールのエトキシル化により得られることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記難燃剤(C)が、リン含有難燃剤を含み、かつリンの含有率が、前記成分(A)~(F)の全重量を基準として、0.4重量%未満であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒(E)が、ペンタメチルジエチレントリアミン及びビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルからなる群から選択される、第三級アミノ基を有する少なくとも1種のアミン触媒、及びギ酸カリウム、酢酸カリウム及びカリウム-2-エチルヘキサノエートからなる群から選択される、少なくとも1種のアルカリ金属カルボキシレート触媒を含有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応混合物を、サンドイッチエレメントを製造するためのダブルベルト設備中で、連続運動するカバー層上へ適用することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
成分(B)~(F)の全重量を基準としてそれぞれ、以下:
70~90重量%の、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも1.7個の水素原子を有する化合物(B)、
2~10重量%の、難燃剤(C)、
1~20重量%の、発泡剤(D)、
0.5~10重量%の、触媒(E)及び
0.0~20重量%の、さらなる助剤及び添加剤(F)
を含有する硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するためのポリオール成分であって、前記重量%は合わせて100重量%であり、かつ前記成分(B)~(F)は、請求項1から12までのいずれかに定義されているとおりである、前記ポリオール成分。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法により得ることができる、硬質ポリイソシアヌレートフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する方法に関するものであって、(A)ポリイソシアネートを、(B)イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する化合物、(C)難燃剤、(D)発泡剤、(E)触媒、及び(F)任意にさらなる助剤及び添加剤と、少なくとも220のイソシアネート指数で混合して反応混合物とし、かつ硬化させて前記硬質ポリイソシアヌレートフォームとし、前記成分(B)は、少なくとも1種の芳香族ポリエステルポリオール(b1)及び少なくとも1種のポリエーテルポリオール(b2)を含有し、前記ポリエステルポリオール(b1)は、以下:(b1.1)10~50mol%の、芳香族ジカルボン酸を含有するジカルボン酸組成物、(b1.2)0~20mol%の、1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、(b1.3)10~80mol%の、1種以上の、炭素原子2~18個を有する脂肪族又は脂環式のジオール又はそれらのアルコキシレート、(b1.4)0~50mol%の、グリセリン、アルコキシル化グリセリン、トリメチロールプロパン、アルコキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルコキシル化ペンタエリトリトールからなる群から選択される、より高官能性のポリオールのエステル化により製造され、前記成分(b1.1)~(b1.4)の全量は合計して100mol%であり、かつ前記ポリエステルポリオール(b1)は、≦3.0及び≧1.7の平均官能価を有し、かつ前記ポリエーテルポリオール(b2)は、160~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、かつ平均官能価≦3.5及び≧1.5を有する開始剤又は開始剤混合物のアルコキシル化により製造され、ポリエーテルポリオール(b2)を製造するためのアルキレンオキシドとして、少なくとも80重量%のエチレンオキシドが使用され、かつポリエーテルポリオール(b2)は、少なくとも90%の第一級ヒドロキシル末端基を有し、かつ前記成分(b1)の、前記成分(b2)に対する質量比は≦3及び≧1であり、かつ成分(B)を基準とした成分(b1)及び成分(b2)の質量割合の合計は、>80重量%であり、かつ前記発泡剤(D)は、化学発泡剤及び物理発泡剤を含有し、ここで、前記化学発泡剤は、ギ酸-水混合物及びギ酸からなる群から選択される。さらに、本発明は、本発明による方法により得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォーム、及び本発明による方法における使用のためのポリオール成分に関する。
【0002】
硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、久しい以前から公知である。重要な用途は、保温及び保冷であり、例えば冷却装置において、貯湯式温水器において、地域暖房配管において又は土木建築において、例えばカバー層と硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製のコアとからなり、サンドイッチエレメントとも呼ばれる複合エレメントにおいて、使用される。そのような複合エレメントの製造は、殊に少なくとも1つの金属カバー層を使用する場合には、現在、たいてい連続運転するダブルベルト設備上で、大規模に実施される。冷凍倉庫断熱用のサンドイッチエレメントに加えて、多種多様な建築物のファサードを構成するためのサンドイッチエレメントが、ますます重要になっている。
【0003】
硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム系サンドイッチエレメントを連続的に製造するための反応混合物の必須要件は、一方では、良好な機械的特性、例えば良好な圧縮強さを有するが、それにもかかわらず低い表面脆性及び良好な熱絶縁特性を達成する硬質フォームの製造を可能にすることにある。
【0004】
さらに、硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造するための反応混合物に、必要な硬化時間を著しく低下させることを可能にする触媒が、ほぼ常に添加される。これらはたいてい、しばしば毒性学的及び生態学的に懸念があり、かつ時間の経過につれて前記フォームから放出される第三級アミンである。
【0005】
そのため、硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造するための反応混合物が、できるだけ低い触媒含有率でも、それにもかかわらず少ない硬化時間を有し、かつこれらの反応混合物が付加的に硬質フォームへの迅速な硬化を可能にすることが望ましい。硬質フォームへのより迅速な硬化は、この硬質フォームを切断するのに必要とされる、必要な強さをはるかに早く達成することをもたらし、そのため、例えば連続運転するダブルベルト設備をより高い速度で運転することを可能にし、このことは、前記サンドイッチ製造の際の高められた生産性をもたらす。付加的に、より迅速な反応性及びフォーム硬化が、より微細なフォームセル直径が得られることを確実にし、このことが前記硬質フォームの遮断性能に有利に作用することは公知である。
【0006】
さらに、得られたフォームが、必要な難燃性要件を、同様にたいてい生態学的及び毒性学的に懸念がある難燃剤のできるだけ低い含有率で達成することが望ましい。
【0007】
難燃剤及び触媒は通例、ポリオールよりもはるかに高価であるので、経済的な理由からも、双方の成分の含有率をできるだけ低く保持することが熱望される。
【0008】
殊にサンドイッチエレメントを製造するための連続的な加工の際に、前記反応混合物は、カバー層と硬質フォームとの界面での良好な付着が保証されるように、低い表面フォーム脆性を有する硬質フォームをもたらすべきでもある。この際に、通常120~160のイソシアネート指数で製造される硬質ポリウレタンフォームが通例、180超のイソシアネート指数で製造される硬質ポリイソシアヌレートフォームよりもはるかに低いフォーム脆性を有することは公知である。この理由で、硬質ポリイソシアヌレートフォームの複合エレメントの連続製造の際に、通例、接着促進剤は、下側のカバー層と前記フォームとの間に適用されて、例えば硬質ポリウレタンフォーム複合エレメントの場合と同様のカバー層付着を達成する。硬質ポリイソシアヌレートフォームと比べた硬質ポリウレタンフォームの大きな欠点は、それらの反応混合物が、必要な難燃性要件を満たすために、はるかに大きな割合の、しばしば生態毒性学的に懸念がある難燃剤を有していなければならないことにある。
【0009】
ポリエステルとポリエーテルとをベースとするポリイソシアヌレートフォームは公知である。例えば、国際公開第2013/139781号(WO 2013139781)及び国際公開第2013/102540号(WO13102540)には、ポリイソシアヌレートフォームが記載されており、ここで、使用されるポリエステルオールの、ポリエーテルオールに対する質量比は、少なくとも7である。
【0010】
国際公開第2013/107573号(WO 2013107573)によれば、ポリイソシアヌレートフォームの製造に使用されるポリエステルオールの、ポリエーテルオールに対する重量比は、1.6未満である。好ましくは使用されるポリエーテルオールは、混合物からなり、ここで、該ポリエーテルポリオールの一部分は、開始剤分子のプロポキシル化により、かつ該ポリエーテルポリオールの残部は、エトキシル化により、得られる。その際に、前記のエチレンオキシド系ポリエーテルポリオールは、好ましくは、4超の官能価を有し、かつ前記のプロピレンオキシド系ポリエーテルオールは、5未満の官能価を有する。
【0011】
欧州特許出願公開第3097132号明細書(EP3097132)には、ポリイソシアヌレートフォームの製造が開示されており、ここで、そのポリオール成分は、50~400mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、多官能性開始剤と、最初にエチレンオキシドと、引き続きプロピレンオキシドとの反応により得られるポリエーテルポリオールを含み、該ポリエーテルポリオールのプロポキシル化度は、0.33~2である。
【0012】
国際公開第2021/008921号(WO 2021008921)、国際公開第2012/083038号(WO2012083038)及び欧州特許出願公開第2184306号明細書(EP2184306)には、イソシアネートに対して反応性の成分としてポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールの混合物から出発する、ポリイソシアヌレートフォームが開示されており、ここで、発泡剤として水が使用される。
【0013】
その際に、従来技術により得られた硬質ポリイソシアヌレートフォームの特性、殊に硬化挙動、燃焼挙動並びに前記フォーム表面の脆性をさらに改良する必要がある。
【0014】
それに応じて、本発明の課題は、前記硬質ポリイソシアヌレートフォームの特性プロファイルを改善し、殊に、優れた機械的特性、例えば優れた圧縮強さと同時に低下した表面脆性を有する硬質ポリイソシアヌレートフォームを提供することであった。さらに、それらの製造は、できるだけ少量の触媒を使用して、それにもかかわらず高い反応速度及び硬化で可能であるべきであり、かつ少ない難燃剤割合でも良好な耐火性が達成されるべきである。さらに、課題は、そのような硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する方法を開発することであって、前記方法は、サンドイッチエレメントの製造に、殊に連続製造方法において、好適である。
【0015】
この課題は、以下の方法により得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォームにより解決され、ここで、(A)ポリイソシアネートを、(B)イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する化合物、(C)難燃剤、(D)発泡剤、(E)触媒、及び(F)任意にさらなる助剤及び添加剤と、少なくとも220のイソシアネート指数で混合して反応混合物とし、かつ硬化させて前記硬質ポリイソシアヌレートフォームとし、前記成分(B)は、少なくとも1種の芳香族ポリエステルポリオール(b1)及び少なくとも1種のポリエーテルポリオール(b2)を含有し、前記ポリエステルポリオール(b1)は、以下:(b1.1)10~50mol%の、芳香族ジカルボン酸を含有するジカルボン酸組成物、(b1.2)0~20mol%の、1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、(b1.3)10~80mol%の、1種以上の、炭素原子2~18個を有する脂肪族又は脂環式のジオール又はそれらのアルコキシレート、(b1.4)0~50mol%の、グリセリン、アルコキシル化グリセリン、トリメチロールプロパン、アルコキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルコキシル化ペンタエリトリトールからなる群から選択される、より高官能性のポリオールのエステル化により製造され、前記成分(b1.1)~(b1.4)の全量は合計して100mol%であり、かつ前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)は、≦3.0及び≧1.7の平均官能価を有し、かつ前記ポリエーテルポリオール(b2)は、160~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、かつ平均官能価≦3.5及び≧1.5を有する開始剤又は開始剤混合物のアルコキシル化により製造され、ポリエーテルポリオール(b2)を製造するためのアルキレンオキシドとして、少なくとも80重量%のエチレンオキシドが使用され、かつポリエーテルポリオール(b2)は、少なくとも90%の第一級ヒドロキシル末端基を有し、かつ前記成分(b1)の、成分(b2)に対する質量比は、≦3及び≧1であり、かつ成分(B)を基準とした成分(b1)及び成分(b2)の質量割合の合計は、>80重量%であり、かつ前記発泡剤(D)は、化学発泡剤及び物理発泡剤を含有し、ここで、前記化学発泡剤は、ギ酸-水混合物及びギ酸からなる群から選択される。
【0016】
ポリイソシアヌレート硬質フォームは、通例、ウレタン基並びにイソシアヌレート基を含有するフォームであると理解される。本発明に関連して、硬質ポリウレタンフォームの用語は、硬質ポリイソシアヌレートフォームも含むものとし、ここで、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造は、少なくとも180のイソシアネート指数をベースとする。その際に、前記イソシアネート指数は、100で乗じた、イソシアネート基の、イソシアネートに対して反応性の基に対する比であると理解すべきである。100のイソシアネート指数は、その際に、前記成分(A)の使用されるイソシアネート基の、前記成分(B)~(F)のイソシアネートと反応性の基に対する等モル比に相当する。
【0017】
本発明による硬質ポリイソシアヌレートフォームは、80kPa以上、好ましくは120kPa以上、特に好ましくは140kPa以上の10%圧縮時の圧縮応力を有する。さらに、本発明によるイソシアネート系硬質フォームは、DIN ISO 4590によれば、80%超、好ましくは90%超の独立気泡率を有する。本発明による硬質ポリイソシアヌレートフォームのさらなる詳細は、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”, Carl Hanser Verlag, 第3版, 1993, 章6、殊に章6.2.2及び6.5.2.2に見出される。
【0018】
以下に成分(B)~(F)の枠で挙げられる実施態様は、本発明による方法及びこうして得ることができる硬質フォーム、並びに本発明によるポリオール成分に関する。
【0019】
成分(A)
前記ポリイソシアネート(A)は、従来技術において公知の芳香族多価イソシアネートである。そのような多官能性イソシアネートは、公知であり、かつそれ自体として公知の方法を用いて製造することができる。前記多官能性イソシアネートは、殊に混合物としても使用することができるので、前記成分(A)は、この場合に異なる多官能性イソシアネートを含有する。ポリイソシアネート(A)は、1分子当たり2個(以下にジイソシアネートとも呼ばれる)又は2個超のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートである。殊に、前記イソシアネート(A)は、芳香族ポリイソシアネート、例えば2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート及び対応する異性体混合物、4,4′-、2,4′-及び2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート及び対応する異性体混合物(モノメリックジフェニルメタン又はMMDIとも呼ばれる)、例えば4,4′-及び2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタンジイソシアネートの少なくとも1種の異性体と、少なくとも3個の芳香核及び少なくとも3の官能価を有し、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート又はポリメリックMDIとも呼ばれるジフェニルメタンジイソシアネートのより多核の同族体との混合物からなる群から選択される。通例、前記のMDIの異性体及び同族体は、粗製MDIの蒸留により取得される。ポリメリックMDIは、二核MDI(MMDI)に加えて、好ましくは、2超、殊に3又は4又は5の官能価を有するMDIの1種以上の多核の縮合生成物を含有する。ポリメリックMDIは、公知であり、かつしばしばポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートと呼ばれる。同様にイソシアネート(A)として使用できるのは、4,4′-、2,4′-及び2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリエチレンポリイソシアネートとの混合物(粗製MDI)及び粗製MDIとトルエンジイソシアネートとの混合物である。特に好適であるのは、2,2′-、2,4′-又は4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)並びにこれらの異性体のうち2種又は3種の混合物、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3′-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタン-ジイソシアネート及び/又はp-フェニレン-ジイソシアネート(PPDI)である。
【0020】
しばしば、変性ポリイソシアネート、すなわち有機ポリイソシアネートの化学反応により得られ、かつ1分子当たり少なくとも2個の反応性イソシアネート基を含有する生成物も使用される。特に挙げられるのは、エステル基、尿素基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基、カルバメート基及び/又はウレタン基を含有するポリイソシアネートであり、しばしば、未変換ポリイソシアネートを一緒に含む。
【0021】
前記成分(A)のポリイソシアネートは、特に好ましくは2,2′-MDI又は2,4′-MDI又は4,4′-MDI又はモノメリックジフェニルメタンジイソシアネートの混合物又はモノメリックジフェニルメタンジイソシアネートとMDIのより多核の同族体との混合物を含有する。ポリメリックMDIを含有するポリイソシアネートの平均官能価は、約2.2~約4、好ましくは2.4~3.8及び殊に2.6~3.0の範囲内にわたっていてよい。MDIベースの多官能性イソシアネート又は複数の多官能性イソシアネートの混合物は、公知であり、かつBASF Polyurethanes GmbHから、商品名Lupranat(登録商標)M20、Lupranat(登録商標)M50、又はLupranat(登録商標)M70で市販されている。
【0022】
前記成分(A)は、前記成分(A)の全重量を基準として、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%及び殊に100重量%の、2,2′-MDI、2,4′-MDI、4,4′-MDI及びMDIのより多核の同族体からなる群から選択される、1種以上のイソシアネートを含有する。MDIのより多核の同族体の含有率は、前記成分(A)の全重量を基準として、好ましくは少なくとも20重量パーセント、特に好ましくは30重量パーセント超~80重量パーセント未満である。
【0023】
使用される成分(A)の粘度は、幅広い範囲にわたっていてよい。前記成分(A)は、好ましくは、25℃で100~3000mPa・s、特に好ましくは100~1000mPa・s、特に好ましくは100~800mPa・s、特に好ましくは200~700mPa・s及び特に好ましくは400~650mPa・sの粘度を有し、かつ前記イソシアネート(A)及びそれらの混合物の選択によってもたらされる。
【0024】
成分(B)
イソシアネート基に対して反応性の化合物(B)として、ポリウレタン化学において公知の、イソシアネートに対して反応性の基を有するあらゆる化合物、好ましくは、平均して少なくとも1.5個の、イソシアネートに対して反応性の基、例えばヒドロキシル基、-NH基、NH基又はカルボン酸基、好ましくはNH基又はOH基及び殊に少なくとも1.5個のOH基を有する化合物を使用することができる。イソシアネート基に対する前記成分(B)の化合物の平均官能価は、その際に、少なくとも1.5、好ましくは1.6~8.0、特に好ましくは1.7~3.0及び殊に1.8~2.5の範囲内である。
【0025】
前記のイソシアネート基と反応性の少なくとも2個の水素原子を有する化合物(B)は、少なくとも1種の芳香族ポリエステルポリオール(b1)及び少なくとも1種のポリエーテルポリオール(b2)を含有し、ここで、前記成分(b1)の、成分(b2)に対する質量比は、≦3及び≧1であり、かつ成分(B)を基準とした成分(b1)及び成分(b2)の質量割合の合計は、80重量%超である。
【0026】
本開示の範囲内で、用語「ポリエステルポリオール」及び「ポリエステルオール」は同義であり、同じように用語「ポリエーテルポリオール」及び「ポリエーテルオール」は同義である。
【0027】
本発明によれば、前記成分(B)は、(b1.1)10~50mol%の、芳香族ジカルボン酸を含有するジカルボン酸組成物、(b1.2)0~20mol%の、1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、(b1.3)10~70mol%の、1種以上の、炭素原子2~18個を有する脂肪族又は脂環式のジオール又はそれらのアルコキシレート、(b1.4)0~50mol%の、グリセリン、アルコキシル化グリセリン、トリメチロールプロパン、アルコキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルコキシル化ペンタエリトリトールからなる群から選択される、より高官能性のポリオールのエステル化により製造できる、少なくとも1種の芳香族ポリエステルポリオール(b1)を含有する。
【0028】
前記ジカルボン酸組成物(b1.1)は、通常、エステルの製造に使用することができる、ジカルボン酸及び/又はそれらの誘導体を含有する。好ましくは、前記ジカルボン酸組成物(b1.1)は、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート(DMT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フタル酸、無水フタル酸(PSA)及びイソフタル酸からなる群から選択される、少なくとも1種の化合物を含有する。特に好ましくは、前記成分(b1.1)は、無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸又はポリエチレンテレフタレート(PET)及び殊に無水フタル酸又はテレフタル酸、殊に無水フタル酸を含有する。一般に、成分(b1.1)は、脂肪族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸誘導体も含有していてよい。脂肪族ジカルボン酸が使用される場合には、これらは一般に、0.5~30mol%、好ましくは0.5~10mol%が、それぞれ前記成分(b1.1)を基準として含まれている。脂肪族ジカルボン酸として、好ましくはアジピン酸又はコハク酸とグルタル酸とアジピン酸とのジカルボン酸混合物が使用される。好ましくは、前記ジカルボン酸組成物(b1.1)は、脂肪族ジカルボン酸又はそれらの誘導体を含有せず、そのため100mol%が1種以上の芳香族ジカルボン酸又はそれらの誘導体からなる。
【0029】
一般に、成分(b1.1)は、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造に使用される成分(b1.1)、(b1.2)、(b1.3)及び(b1.4)を基準として、10~50mol%の量で、好ましくは20~45mol%の量で、使用される。
【0030】
前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造には、1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(b1.2)も使用することができる。前記酸及び/又は脂肪酸誘導体は、その際に、生物学的起源並びに石油化学的起源を有していてよい。脂肪酸の例は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、イワシ酸、セルボン酸、リシノール酸及びそれらの混合物である。脂肪酸誘導体の例は、脂肪酸のグリセリンエステル、例えばヒマシ油、ブドウ種子油、ニゲラサチバ油、カボチャ種子油、ルリジサ種子油、大豆油、小麦胚芽油、ナタネ油、ヒマワリ種子油、落花生油、杏仁油、ピスタチオ油、扁桃油、オリーブ油、マカダミア油、アボカド油、シーバックソーン油、ゴマ油、麻実油、ヘーゼルナッツ油、月見草油、ノバラ油、サフラワー油、クルミ油である。
【0031】
脂肪酸誘導体のさらなる例は、ヒドロキシル変性脂肪又は脂肪酸、水素化脂肪又は脂肪酸、エポキシ化脂肪又は脂肪酸、アルキル分岐脂肪又は脂肪酸、脂肪酸アミド、獣脂、例えば牛脂、脂肪酸のアルキルエステル又は殊にメチルエステル、例えばバイオディーゼルである。
【0032】
一般に、成分(b1.2)は、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造に使用される全ての成分(b1.1)~(b1.4)を基準として、0~20mol%の量で、好ましくは5~15mol%の量で、特に好ましくは6~10mol%の量で、使用される。
【0033】
本発明の特に好ましい実施態様において、前記脂肪酸又は前記脂肪酸誘導体(b1.2)は、オレイン酸、バイオディーゼル、大豆油、ナタネ油又は獣脂、殊にオレイン酸又はバイオディーゼル、殊にオレイン酸であり、かつ5~15mol%の量で使用される。前記脂肪酸又は前記脂肪酸誘導体は、とりわけ、硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造する際の発泡剤の溶解性を改善する。極めて特に好ましくは、成分(b1.2)は、トリグリセリド、殊に油又は脂肪を含まない。そのエステル化もしくはエステル交換により前記トリグリセリドから遊離したグリセリンは、前記硬質フォームの寸法安定性を損なわせる。
【0034】
成分(b1.3)として、1種以上の、炭素原子2~18個を有する脂肪族又は脂環式のジオール又はそれらのアルコキシレートが使用される。好ましくは、成分(b1.3)は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール及びそれらのアルコキシレートからなる群からの、少なくとも1種の化合物を含有する。特に好ましくは、前記脂肪族ジオール(b1.3)は、モノエチレングリコール又はジエチレングリコール、殊にジエチレングリコールである。一般に、成分(b1.3)は、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造に使用される全ての成分を基準として、10~80mol%の量で、好ましくは20~75mol%の量で、特に好ましくは30~60mol%の量で、使用される。
【0035】
より高官能性のポリオール(b1.4)として、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造に、任意の、2超の官能価を有するポリオールを使用することができる。好ましくは、前記のより高官能性のポリオール(b1.4)は、グリセリン、アルコキシル化グリセリン、トリメチロールプロパン、アルコキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルコキシル化ペンタエリトリトール及びこれらのより高官能性のポリオールのうち2種以上の混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、前記のより高官能性のポリオール(b1.4)は、グリセリン、アルコキシル化グリセリン又はそれらの混合物である。
【0036】
前記のより高官能性のポリオール(b1.4)は、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造に使用される全ての成分を基準として、0~50mol%の量で、好ましくは5~40mol%の量で、特に好ましくは10~25mol%の量で、使用される。本発明の特に好ましい実施態様において、前記芳香族ポリエステルの製造に、より高官能性のポリオール(b1.4)は使用されない。
【0037】
本発明によれば、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)は、≧1.7~≦3.0、好ましくは≧1.7~≦2.5、特に好ましくは≧1.75~≦2.2の数の重み付き平均官能価を有する。
【0038】
好ましくは、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)は、190~250mgKOH/g、好ましくは200~240mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0039】
特に好ましい実施態様において、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)は、190~250mgKOH/gのOH価及び1.7~2.5の官能価を有する。
【0040】
前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造には、前記ジカルボン酸(b1.1)、脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(b1.2)、前記の炭素原子2~18個を有する脂肪族又は脂環式のジオール又はそれらのアルコキシレート(b1.3)及び前記のより高官能性のポリオール(b1.4)は、触媒不含又は好ましくはエステル化触媒の存在下で、合目的には不活性ガス、例えば窒素からなる雰囲気中で、溶融物中で150~280℃、好ましくは180~260℃の温度で、任意に減圧下で、有利には10未満及び特に好ましくは2未満である所望の酸価まで、重縮合させることができる。好ましい実施態様によれば、前記エステル化混合物は上記の温度で、80~20、好ましくは40~20の酸価まで、標準圧力下及び引き続き500mbar未満、好ましくは40~400mbarの圧力下で、重縮合される。エステル化触媒として、例えば、金属、金属酸化物又は金属塩の形の鉄触媒、カドミウム触媒、コバルト触媒、鉛触媒、亜鉛触媒、アンチモン触媒、マグネシウム触媒、チタン触媒及びスズ触媒が考慮に値する。しかしながら、前記重縮合は、希釈剤及び/又は共沸剤、例えば凝縮水の共沸蒸留による除去のためのベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンの存在下の液相中でも実施することができる。
【0041】
一般に、本発明によるポリエステルポリオール(b1)の割合は、前記成分(B)~(F)の合計を基準として、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%及び殊に少なくとも50重量%である。
【0042】
本発明によれば、成分(B)は、前記ポリエステルポリオール(b1)に加えて、少なくとも1種のポリエーテルポリオール(b2)を含有し、前記ポリエーテルポリオール(b2)は、160~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、かつ開始剤又は開始剤混合物のアルコキシル化により製造され、ここで、ポリエーテルポリオール(b2)を製造するためのアルキレンオキシドとして、好ましくは少なくとも80重量%のエチレンオキシドが使用され、かつポリエーテルポリオール(b2)は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも99%の、及び殊にもっぱら、第一級ヒドロキシル末端基を有する。
【0043】
前記ポリエーテルポリオール(b2)は、公知の方法により、例えば、エチレンオキシドを含めた炭素原子2~4個を有する1種以上のアルキレンオキシドのアニオン重合により、通常の触媒、例えば水酸化アルカリ、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラート、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート又はカリウムエチラート又はカリウムイソプロピラート、又はアミン系アルコキシル化触媒、例えばジメチルエタノールアミン(DMEOA)、イミダゾール及び/又はイミダゾール誘導体を用いて、平均して≦3.5及び≧1.5、好ましくは≦3.0及び≧2.0、及び特に好ましくは2個の反応性水素原子を結合して含有する少なくとも1種の開始剤分子又は開始剤分子混合物を使用して、製造される。前記開始剤分子のアニオン重合に加えて、前記製造はカチオン重合に基づいて行うこともでき、ここで、触媒として、ルイス酸、例えば五塩化アンチモン、フッ化ホウ素エーテラート又はフラー土が使用される。
【0044】
好ましいアルコキシル化触媒は、KOH及びアミン系アルコキシル化触媒である。アルコキシル化触媒としてのKOHの使用の際に前記ポリエーテルは最初に中和されなければならず、かつ生じるカリウム塩が分離されなければならないので、アミン系アルコキシル化触媒の使用が特に好ましい。好ましいアミン系アルコキシル化触媒は、ジメチルエタノールアミン(DMEOA)、イミダゾール及びイミダゾール誘導体並びにそれらの混合物、特に好ましくはイミダゾールを含有する群から選択されている。
【0045】
好適なアルキレンオキシドは、エチレンオキシドに加えて、例えばテトラヒドロフラン、1,3-もしくは1,2-プロピレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド及び好ましくは1,2-プロピレンオキシドである。特に好ましい実施態様において、アルキレンオキシドとしてもっぱらエチレンオキシドが使用される。前記アルキレンオキシドは、個々に、交互に連続して又は混合物として使用することができる。本発明によれば、ポリエーテルポリオール(b2)を製造するためのアルキレンオキシドとして、少なくとも80重量%のエチレンオキシド、好ましくは少なくとも90重量%のエチレンオキシド、特に好ましくは少なくとも95重量%及び殊に少なくとも98重量%のエチレンオキシドが使用される。本発明によるポリエーテルポリオール(b2)を製造するためのアルキレンオキシドとして、極めて特に好ましくはもっぱらエチレンオキシドが使用され、すなわち、成分(b2)中のアルキレンオキシドの全重量に対するエチレンオキシドの重量による量は、この実施態様において100重量%である。エチレンオキシドが他のアルキレンオキシドとの混合物で使用される場合には、本発明によれば、それから製造されたポリオールエーテルポリオールが、第一級ヒドロキシル末端基の本発明による含有率を有することが保証されるべきである。
【0046】
開始剤分子として、例えば以下のものが考慮に値する:水、有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸及びテレフタル酸、脂肪族及び芳香族の、任意にN-モノジアルキル置換、N、N-及びN、N′-ジアルキル置換された、アルキル基中に炭素原子1~4個を有するジアミン、例えば任意にモノアルキル置換及びジアルキル置換されたエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3-プロピレンジアミン、1,3-もしくは1,4-ブチレンジアミン、1,2-、1,3-、1,4-、1,5-及び1,6-ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン類、2,3-、2,4-及び2,6-トルイレンジアミン及び4,4′-、2,4′-及び2,2′-ジアミノ-ジフェニルメタン。特に好ましくは、挙げられたジ第一級アミン、好ましくはエチレンジアミンである。開始剤分子として、さらに以下のものが考慮に値する:アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン及びN-エチルエタノールアミン、ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン、N-メチル及びN-エチルジエタノールアミン、及びトリアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン、及びアンモニア。
【0047】
好ましくは使用されるのは、2価以上のアルコール、例えばエタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ペンタエリトリトール、ソルビトール及びサッカロース、特に好ましくは、ジエチレングリコール、モノエチレングリコール、1,2-プロパンジオール及びグリセリン、殊にジエチレングリコールである。
【0048】
好ましい実施態様において、前記開始剤分子は、脂肪酸を含有しない。
【0049】
本発明によれば、前記ポリエーテルポリオール(b2)は、160~350mgKOH/g、好ましくは170~290mgKOH/g、特に好ましくは175~225mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0050】
一般に、前記成分(b2)の割合は、成分(B)~(F)の重量による量の合計を基準として、20~45重量%、好ましくは25~40重量%、特に好ましくは30~38重量%である。
【0051】
本発明によれば、前記成分(b1)の、成分(b2)に対する質量比は、≦3及び≧1、好ましくは≦2.5及び≧1.15及び特に好ましくは≦2.0及び≧1.3である。
【0052】
本発明によれば、成分(B)を基準とした成分(b1)及び成分(b2)の質量割合の合計は、>80重量%、好ましくは>90重量%、特に好ましくは>95重量%である。極めて特に好ましくは、前記成分(B)を基準とした成分(b1)及び成分(b2)の質量割合の合計は、100重量%であり、すなわち、この実施態様において、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有するさらなる化合物は、成分(b1)及び成分(b2)として使用されない。
【0053】
成分(C)
難燃剤E)として、一般に、従来技術から公知の難燃剤を使用することができる。好適な難燃剤は、例えば臭素化エステル、臭素化エーテル(Ixol)又は臭素化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコール及びPHT-4-ジオール、並びに塩素化ホスフェート、例えばトリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、テトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、ジメチルメタンホスホネート、ジエタノールアミノメチルホスホン酸ジエチルエステル並びに市販のハロゲン含有難燃性ポリオールである。さらなるホスフェート又はホスホネートとして、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレジルホスフェート(DPK)が液状難燃剤として使用することができる。リン原子、塩素原子又は臭素原子を含有し、イソシアネートに対して反応性基も有する化合物は、その際に、本発明の範囲内で、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する化合物(B)とみなされず、かつ前記成分(B)の量比を計算する際に含まれるとみなされない。
【0054】
すでに挙げた難燃剤の他に、無機又は有機の難燃剤、例えば赤リン、赤リンを含有する製剤、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸カルシウム、膨張黒鉛又はシアヌル酸誘導体、例えばメラミン、又は少なくとも2種の難燃剤、例えばポリリン酸アンモニウム及びメラミンの混合物並びに任意にコーンスターチ又はポリリン酸アンモニウム、メラミン、膨張黒鉛及び任意に芳香族ポリエステルも、前記硬質ポリイソシアヌレートフォームに難燃性を付与するのに使用することができる。好ましい難燃剤は、イソシアネート基に対して反応性の基を有していない。好ましくは、前記難燃剤は、室温で液体である。好ましくは、TCPP、DEEP、TEP、DMPP及びDPK、特に好ましくはTCPP及びTEP、殊にTCPPである。
【0055】
一般に、前記難燃剤(C)の割合は、成分(B)~(F)の重量による量の合計を基準として、1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3~10重量%である。
【0056】
好ましくは、成分(C)は、リン含有難燃剤を含み、かつリンの含有率は、前記成分(A)~(F)の全重量を基準として、<0.4重量%、好ましくは<0.3重量%及び特に好ましくは<0.2重量%である。
【0057】
成分(D)
本発明による硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために使用される発泡剤(D)には、ギ酸及びギ酸-水混合物が含まれる。これらは、イソシアネート基と反応して、二酸化炭素及び及び一酸化炭素を形成する。これらの発泡剤は、前記ガスを、前記イソシアネート基との化学反応により遊離するので、化学発泡剤と呼ばれる。それに加えて、物理発泡剤、例えば低沸点炭化水素を使用することができる。物理発泡剤として好適であるのは、殊に、前記ポリイソシアネート(A)に対して不活性であり、かつ大気圧で100℃未満、好ましくは50℃未満の沸点を有する液体であるので、これらは、発熱性の重付加反応の影響下で蒸発する。
【0058】
物理発泡剤として使用することができるのは、例えばアルカン、例えばヘプタン、ヘキサン、n-ペンタン及びイソペンタン、好ましくはn-ペンタン及びイソペンタンの工業用混合物、n-ブタン及びイソブタン及びプロパン、シクロアルカン、例えばシクロペンタン及び/又はシクロヘキサン、エーテル、例えばフラン、ジメチルエーテル及びジエチルエーテル、ケトン、例えばアセトン及びメチルエチルケトン、カルボン酸アルキルエステル、例えばギ酸メチル、ジメチルオキサレート及び酢酸エチル及びハロゲン化飽和及び不飽和炭化水素、例えば塩化メチレン、ジクロロモノフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-2-フルオロエタン及びヘプタフルオロプロパン、及び不飽和炭化水素、例えばトリフルオロプロペン及びテトラフルオロプロペン、例えば(HFO-1234)、ペンタフルオロプロペン、例えば(HFO-1225)、クロロトリフルオロプロペン、例えば(HFO-1233)、クロロジフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン及びヘキサフルオロブテン、並びにこれらの成分のうち1種以上の混合物である。好ましくは、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン及びヘキサフルオロブテンであり、ここで、前記の不飽和の末端炭素原子は、少なくとも1個のクロロ置換基又はフルオロ置換基を持つ。例は、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze);1,1,3,3-テトラフルオロプロペン;1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye);1,1,1-トリフルオロプロペン;1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc);1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc);1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1224yd);1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yez);1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd);1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz)である。これらの低沸点液体と、これら同士との及び/又は他の置換又は非置換の炭化水素との混合物も使用することができる。
【0059】
好適であるのは、さらに、有機カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、リシノール酸及びカルボキシル基含有化合物である。
【0060】
好ましくは、ハロゲン化炭化水素は発泡剤として使用されない。化学発泡剤として、ギ酸-水混合物又はギ酸が使用される。好ましくは、物理発泡剤としてペンタン異性体、もしくはペンタン異性体の混合物が使用される。その際に、前記化学発泡剤は物理発泡剤と一緒に使用され、ここで、ペンタン異性体又はペンタン異性体の混合物と一緒のギ酸-水混合物又は純ギ酸の使用が好ましい。
【0061】
前記発泡剤もしくは前記発泡剤混合物の使用される量は、前記成分(B)~(F)の合計を基準としてそれぞれ、0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、特に好ましくは1~20重量%及び殊に1.5~20重量%である。
【0062】
ギ酸又はギ酸-水混合物は、その際に、前記成分(B)を基準として、好ましくは0.2~10重量%の量で、殊に0.5~4重量%の量で使用される。ギ酸-水混合物が使用される場合には、ギ酸の割合は、ギ酸及び水の全重量を基準として、好ましくは40重量%超、特に好ましくは50~98重量%、より好ましくは70~95重量%及び殊に80~90重量%である。特に好ましくは、ギ酸又はギ酸-水混合物は、ペンタンとの組合せでの化学発泡剤として使用される。
【0063】
成分(E)
本発明による硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するための触媒(E)として、殊に、反応性水素原子、殊にヒドロキシル基を含有する前記成分(B)~(F)の化合物と、前記ポリイソシアネート(A)との反応を著しく促進する化合物が使用される。
【0064】
合目的に使用されるのは、塩基性ポリウレタン触媒、例えば第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、N-メチルモルホリンもしくはN-エチルモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルピペラジン、N-ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ(2,2,0)オクタン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(Dabco)及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン及びN-エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2-(N,N-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N′,N″-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N′,N″-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、及びトリエチレンジアミンである。
【0065】
しかしながら、好適であるのは、金属塩、例えば塩化鉄(II)、塩化亜鉛、鉛オクトエート及びスズ塩、例えばスズジオクトエート、スズジエチルヘキサノエート及びジブチルスズジラウレート並びに第三級アミン及び金属塩、殊に有機スズ塩の混合物でもある。触媒として、さらに以下のものが考慮に値する:アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化アルカリ、例えば水酸化ナトリウム及びアルカリ金属アルコラート、例えばナトリウムメチラート及びカリウムイソプロピラート、アルカリ金属カルボキシレート、並びに炭素原子8~20個及び任意にペンダントOH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩。
【0066】
さらに、触媒として、組込み可能なアミン、すなわち好ましくは-OH、-NH又は-NH官能基を有するアミン、例えばエチレンジアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン及びジメチルエタノールアミンが考慮に値する。組込み可能な触媒は、前記成分(B)並びに前記成分(E)の化合物とみなすことができる。
【0067】
前記反応を触媒作用なしで進行させる可能性もある。この場合に、通常、アミン開始ポリオールの触媒活性が利用される。
【0068】
付加的に、過剰の-NCO基同士の三量化反応用の触媒として以下のものが考慮に値する:イソシアヌレート基を形成する触媒、例えばアンモニウム塩又はアルカリ金属塩、殊にアンモニウムカルボキシレート又はアルカリ金属カルボキシレート、単独又は第三級アミンとの組合せ。前記イソシアヌレート形成は、難燃性PIRフォームをもたらし、これらは、好ましくは工業用硬質フォームにおいて、例えば土木建築において遮断ボード又はサンドイッチエレメントとして、使用される。
【0069】
好ましい実施態様において、前記触媒(E)は、第三級アミノ基を有するアミン触媒及びアンモニウムカルボキシレート触媒又はアルカリ金属カルボキシレート触媒を含有する。特に好ましい実施態様において、前記触媒(E)は、ペンタメチルジエチレントリアミン及びビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルからなる群から選択される、少なくとも1種のアミン触媒と、ギ酸カリウム、酢酸カリウム及びカリウム-2-エチルヘキサノエートからなる群から選択される、少なくとも1種のアルカリ金属カルボキシレート触媒とを含有する。驚くべきことに、これらの触媒の使用は、サンドイッチエレメントの連続製造の際に、例えば前記ダブルベルト中で、カバー層側、殊に下側のカバー層側に、特に滑らかなフォーム表面を有するサンドイッチエレメントをもたらす。このことは、前記カバー層への前記フォームの優れた付着性を有するサンドイッチエレメント及び欠陥のない表面をもたらす。
【0070】
好ましくは使用されるのは、前記成分(B)の100重量部を基準として、0.001~10重量部の触媒もしくは触媒組合せ物である。
【0071】
成分(F)
本発明による硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するための反応混合物は、任意にさらなる助剤及び/又は添加剤(F)をさらに添加することができる。挙げられるのは、例えば、表面活性物質、フォーム安定剤、セル調整剤、充填剤、光安定剤、染料、顔料、加水分解保護剤、静真菌作用及び静菌作用のある物質である。
【0072】
表面活性物質として、例えば、前記出発物質の均質化を支持するのに役立ち、かつ任意に前記プラスチックのセル構造を制御することにも好適である化合物が考慮に値する。挙げられるのは、例えば乳化剤、例えばひまし油スルフェートのナトリウム塩又は脂肪酸のナトリウム塩並びに脂肪酸とアミンとの塩、例えばオレイン酸ジエチルアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミン、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸又はジナフチルメタンジスルホン酸及びリシノール酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、フォーム安定剤、例えばシロキサンオキシアルキレン混合ポリマー及び他のオルガノポリシロキサン及びジメチルポリシロキサンである。乳化作用、前記フォームのセル構造及び/又は安定化を改善するために、さらに、側基としてポリオキシアルキレン基及びフルオロアルカン基を有するオリゴメリックアクリレートが好適である。前記表面活性物質は、前記成分(B)の100重量部を基準として、通常、0.01~10重量部の量で、使用される。フォーム安定剤として、通常のフォーム安定剤、例えばシリコーンベースのもの、例えばシロキサンオキシアルキレン混合ポリマー及び他のオルガノポリシロキサンを使用することができる。
【0073】
充填剤、殊に強化作用のある充填剤として、それ自体として公知の、通常の有機及び無機の充填剤、補強剤、増量剤、ペイントやコーティング剤等における摩耗挙動を改善するための薬剤であると理解すべきである。詳細には、例示的に以下のものが挙げられる:無機充填剤、例えば珪酸塩鉱物、例えば層状ケイ酸塩、例えばアンチゴライト、蛇紋石、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル及びタルク、金属酸化物、例えばカオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化鉄、金属塩、例えば白亜、重晶石及び無機顔料、例えば硫化カドミウム及び硫化亜鉛、並びにガラス等。好ましくは使用されるのは、カオリン(チャイナクレー)、ケイ酸アルミニウム及び硫酸バリウムとケイ酸アルミニウムとの共沈物並びに天然及び合成の繊維状鉱物、例えばウォラストナイト、多様な長さの金属繊維及び殊にガラス繊維であり、これらは任意にサイジングされていてよい。有機充填剤として、例えば以下のものが考慮に値する:カーボン、メラミン、コロホニウム、シクロペンタジエニル樹脂及びグラフトポリマー並びにセルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン繊維、芳香族及び/又は脂肪族のジカルボン酸エステルをベースとするポリエステル繊維及び殊に炭素繊維。前記の無機及び有機充填剤は、個々に又は混合物として使用することができ、かつ前記反応混合物に、前記成分(A)~(F)の重量を基準として、有利には0.5~50重量%、~35重量%、好ましくは1~40重量%の量で、添加されるが、しかしながら、ここで、天然繊維及び合成繊維からなるマット、不織布及び織布の含有率は、前記成分(A)~(F)の重量を基準として、80重量%までの値に達していてよい。
【0074】
本発明によれば、前記硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造は、前記成分(A)~(E)及び存在している場合には(F)を混合して反応混合物とすることにより行われる。煩雑さを減らすために、プレミックスも製造することができる。これらは、ポリイソシアネートを含有する少なくとも1種のイソシアネート成分(A)、及びイソシアネートに対して反応性の化合物を含有するポリオール成分(B)を含む。前記イソシアネート成分及びポリオール成分に、さらなる成分(C)~(F)の全部又は一部を完全に又は部分的に添加することができ、ここで、前記イソシアネートの高い反応性に基づき、多くの場合に前記成分(C)~(F)は、副反応の回避のために、前記ポリオール成分に添加される。しかし、殊に物理発泡剤は、前記イソシアネート成分(A)に混合添加することもできる。たいてい、ギ酸-水混合物又はギ酸は、完全に又は部分的に前記ポリオール成分中に溶解されて存在し、かつ前記物理発泡剤(例えばペンタン)及び任意に前記化学発泡剤の残部は、製造中に「オンラインで」直接配量される。好ましくは、前記物理発泡剤は、別の流れで前記反応混合物にオンラインで供給され、かつ特に好ましくは、残りの成分(C)、(E)及び(F)は、前記ポリオール成分に添加される。たいてい、前記触媒はオンラインで配量されるが、この触媒はすでに部分的又は完全に前記ポリオール成分中に溶解されて存在していてもよい。
【0075】
好ましくは、本発明による硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するためのポリオール成分は、前記成分(B)~(F)の全重量を基準としてそれぞれ、70~90重量%の、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも1.5個の水素原子を有する化合物(B)、2~10重量%の難燃剤(C)、1~20重量%の発泡剤(D)、0.5~10重量%の触媒(E)及び0.0~20重量%の、さらなる助剤及び添加剤(F)を含有する。特に好ましい実施態様において、前記成分(B)~(F)の割合は合計して100重量%になる。
【0076】
引き続き、前記反応混合物の完全反応が行われて、硬質ポリイソシアヌレートフォームとなる。その際に、本発明の範囲内で、反応混合物とは、前記イソシアネート基を基準として90%未満の反応転化率で、前記ポリイソシアネート(A)と、前記のイソシアネートに対して反応性の化合物(B)及び全てのさらなる成分(C)、(D)、(E)及び任意に(F)との混合物をいう。
【0077】
その際に、前記反応混合物への前記成分の混合は、220~1000のイソシアネート指数で、好ましくは260~800で、好ましくは300~600で、特に好ましくは340~500で、行われる。その際に、それらの出発成分は、15~90℃、好ましくは20~60℃、殊に20~45℃の温度で、混合される。前記反応混合物は、高圧配量機又は低圧配量機中での混合により、混合することができる。
【0078】
前記反応混合物は、反応完了させるために、例えば、モールド中へ導入することができる。この技術によれば、例えば、不連続にサンドイッチエレメントが製造される。本発明による硬質フォームは、好ましくは連続運転するダブルベルト設備上で製造される。その際に、前記ポリオール成分及びイソシアネート成分は、高圧機を用いて配量され、かつミキシングヘッド中で混合される。触媒及び/又は発泡剤は、前もって別個のポンプを用いて前記ポリオール混合物中へ配量することができる。前記反応混合物は、連続運動する下側のカバー層上へ適用される。前記反応混合物を有する下側のカバー層及び前記の上側のカバー層は、前記ダブルベルト中へ入り、前記ダブルベルト内で前記反応混合物は発泡及び硬化する。前記ダブルベルトを出た後に、連続ストランドは所望の寸法へ切断される。このようにして、金属カバー層を有するか又は柔軟なカバー層を有するサンドイッチエレメントを製造することができる。同じか又は異なっていてよい下側及び上側のカバー層として、通常ダブルベルト法において使用される軟質又は硬質のカバー層を使用することができる。それらには、金属カバー層、例えばアルミニウム又は鋼、アスファルトカバー層、紙、不織布、プラスチックシート、例えばポリスチレン、プラスチックフィルム、例えばポリエチレンフィルム又は木材カバー層が含まれる。前記カバー層は、例えば従来のラッカー又は接着促進剤で、コーティングされていてもよい。特に好ましくは、前記硬質ポリイソシアヌレートフォームのセルガスに対して拡散防止性のカバー層が使用される。
【0079】
そのような方法は、公知であり、かつ例えば、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”, Carl Hanser Verlag, 第3版, 1993、章6.2.2又は欧州特許出願公開第2234732号明細書(EP 2234732)に記載されている。最後に、本発明の対象は、本発明による方法により得ることができるポリイソシアネートをベースとする硬質フォーム、及びそのような本発明によるポリイソシアネートをベースとする硬質フォームを含有するポリウレタンサンドイッチエレメントである。
【0080】
本発明によるポリイソシアネートをベースとする硬質フォームは、優れた機械的特性、殊に優れた圧縮強さと同時に低下した表面脆性の点で傑出しており、このことは、殊に連続ダブルベルト法におけるサンドイッチエレメントの製造の際に、改善されたカバー層付着性により認められる。付加的に、本発明によるポリイソシアネートをベースとする硬質フォームは、少量の生態学的及び毒性学的に懸念がある難燃剤の使用下でも、優れた耐火性を有する。そのうえ、本発明によるポリイソシアネートをベースとする硬質フォームの製造に使用される反応混合物は、より少量の生態学的及び毒性学的に懸念がある触媒を使用する際に、改善されたフォーム硬化の際に必要とされる反応性を達成することを可能にする。
【0081】
以下に、本発明は、実施例に基づいて説明される:
【実施例
【0082】
次の出発原料を使用した:
ポリエステルオール1:1.75の平均ヒドロキシル官能価、215mgKOH/gのヒドロキシル価及び15重量%のオレイン酸含有率を有する、無水フタル酸、オレイン酸及びジエチレングリコールのエステル化生成物。
ポリエステルオール2:2.3の平均ヒドロキシル官能価、245mgKOH/gのヒドロキシル価及び18重量%のオレイン酸含有率を有する、テレフタル酸、オレイン酸、グリセリン及びジエチレングリコールのエステル化生成物。
ポリエステルオール3:2.0のヒドロキシル官能価、及び240mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、無水フタル酸及びジエチレングリコールのエステル化生成物。
ポリエーテルオール1:エチレングリコールのエトキシル化により製造され、2のヒドロキシル官能価及び190mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
ポリエーテルオール2:エチレングリコールのエトキシル化により製造され、2のヒドロキシル官能価及び225mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
ポリエーテルオール3:エチレングリコールのエトキシル化により製造され、2のヒドロキシル官能価及び280mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
ポリエーテルオール4:エチレングリコールのエトキシル化により製造され、2のヒドロキシル官能価及び750mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
ポリエーテルオール5:グリセリンのエトキシル化により製造され、3のヒドロキシル官能価及び250mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
ポリエーテルオール6:プロピレングリコールのプロポキシル化により製造され、2のヒドロキシル官能価及び250mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
ポリエーテルオール7:サッカロース及びグリセリンの混合物のプロポキシル化により製造され、4.3のヒドロキシル官能価及び490mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール。
ポリエーテルオール8:サッカロース及びグリセリンの混合物のエトキシル化により製造され、4.8のヒドロキシル官能価及び480mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
ポリエーテルオール9:94重量%のエチレンオキシド及び6重量%のプロピレンオキシドからなり、もっぱら第一級ヒドロキシル末端基を有し、2の官能価及び190mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール。
ポリエーテルオール10:エチレングリコールのエトキシル化により製造され、2のヒドロキシル官能価及び115mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ポリエーテルポリオール
難燃剤:トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)
フォーム安定剤:Tegostab B 8467(Evonik社のシリコーン含有フォーム安定剤)
触媒A:16.8重量%のビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、76重量%のポリエーテルオール6及び7.2重量%のジプロピレングリコールからなる触媒。
触媒B:40重量%のギ酸カリウム、54重量%のモノエチレングリコール及び6重量%の水からなる触媒。
発泡剤A:85重量%のギ酸及び15重量%の水からなる発泡剤混合物。
発泡剤B:80mol%のn-ペンタン及び20mol%のイソペンタンからなる発泡剤混合物。
発泡剤C:水
PMDI:ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(BASF社のLupranat M50)。
【0083】
記載された出発原料を用いて、第1表及び第2表に記載され、ポリエステルオール1~3、ポリエーテルオール1~10、難燃剤及びフォーム安定剤からなるポリオール成分を製造した。
【0084】
前記ポリオール成分の相安定性及び流動性についての試験
こうして製造されたポリオール成分を、少量のポリオール成分を、その製造直後に透明な小瓶へ充填し、かつ数日間にわたって観察することによって、20℃での相安定性及び流動性について調べた。
【0085】
前記ポリオール成分の、比較できる指数、反応性及びフォーム密度を有する硬質フォームへの発泡
さらに、前記ポリオール成分を、PMDIを用いて、製造された 全てのフォームのイソシアネート指数が340±10であるような混合比で反応させた。この場合に、前記ポリオール成分中の難燃剤の量及びフォーム安定剤の量を、前記フォームを基準として、難燃剤及びフォーム安定剤の量が同一となるように選択した。さらに、可燃性の発泡剤B及び三量化触媒Bの量を、前記フォームを基準としたこれらの化合物の含有率も同一でとなるように選択した。発泡剤Aもしくは発泡剤C及び触媒Aを変えることにより、引き続き、全てのフォームを、55s±2sの比較できる硬化時間及び41kg/m±1kg/mのビーカーフォーム密度に調整した。そのためには、反応混合物80gを、紙コップ中で、実験室用撹拌機を用いて1400回転/minで強力混合した。
【0086】
こうして比較できる硬化時間及び密度に調整した反応混合物を引き続き使用して、表面硬化及びフォーム脆性を決定し、並びにさらなる調査用の硬質フォームブロックを製造した。
【0087】
表面硬化及びフォーム脆性測定
同一の反応時間及びフォーム密度に調整した実験室フォームの表面硬化を、ボルト試験により求めた。そのためには、1.15Lポリスチレンビーカー中で反応成分80gの(1500rpmでの)強力混合2.5;3;4;5;6及び7分後に、半径が10mmの半球状頭部を有する鋼製ボルトを、引張/圧縮試験機を用いて前記のキノコ形フォーム中へ深さ10mmで押し込んだ。そのために必要なNでの最大力は、それぞれの時点での前記フォームの硬化の尺度である。各硬化測定を、フォーム縁部に対して同じ距離の新鮮なフォーム部位で行った。
【0088】
前記硬質ポリイソシアヌレートフォームの脆性の尺度として、前記硬質フォームの表面が、前記ボルト試験の際に目に見える破壊帯域を示す時点を求めた(ボルト試験の際の破壊)。目に見える破壊を認識できるのが早ければ、前記フォームはより脆いことになる。前記硬化試験におけるフォーム破壊は、第1表及び第2表において、C(=Crack)で認識することができる。
【0089】
それに加えて、前記脆性を、前記反応成分の混合8分後に、前記フォームの側面上縁部で押すことにより、主観的に決定し(主観的な脆性)、かつ1~5の評点系に従い評価した。1は、前記フォームが脆くないことを意味し、5は、前記フォームが極めて高い脆性を有することを意味する。
【0090】
前記フォーム脆性を、以下の基準に相当する評点系に基づいて評価した:
1.脆性なし:前記フォームを押し込む際に、フォーム亀裂は目に見えず、かつ割れる音は知覚できない。
2.低い脆性:前記フォームを押し込む際に、フォーム亀裂は目に見えないが、わずかに割れる音が知覚できる。
3.中程度の脆性:前記フォームを押し込む際に、微細なフォーム亀裂が目に見え、かつ明らかに割れる音を知覚することができる。
4.高い脆性:前記フォームを押し込む際に、明らかなフォーム亀裂が目に見え、かつ明らかに割れる音を知覚することができる。
5.高い脆性:前記フォームを押し込む際に、材料剥離を含む明らかなフォーム亀裂が目に見え、かつ明らかに割れる音を知覚することができる。
【0091】
EN-ISO 11925-2に対応する小型バーナー試験
同一の反応時間及びフォーム密度に調整した反応混合物260gを、紙コップ中で、実験室用撹拌機を用いて、1500rpmで強力に10秒間撹拌し、かつ内部寸法25cm×15cm×22cm(長さ×幅×高さ)を有するボックスモールドへ移した。前記反応混合物の硬化24時間後に、生じた硬質フォームブロックを離型し、かつ全ての縁を3cmだけ切り詰めた。寸法:190×90×20mmを有する取り出した試験体を、引き続き、20℃及び大気湿度65%で24時間コンディショニングした。各硬質フォームブロックから、5個の試験体を取り出し、かつDIN EN-ISO 11925-2に相応して、90mmの側の縁での有炎燃焼によって試験した。その火炎の高さの平均値は、「平均火炎の高さ, EN-ISO 11925-2」として第1表及び第2表に記載されている。
【0092】
圧縮強さの決定:
同一の反応時間及びフォーム密度に調整した反応混合物350gを、フォームブロックを製造するために、21cmの直径及び20cmの高さを有するプラスチックバケツ中で、前記混合物を10秒間、実験室用撹拌機を用いて1500rpmで強力混合することによって反応させた。
【0093】
前記フォームブロックから、引き続き、50mm×50mm×50mmの寸法を有する9個の試験体を、DIN EN 826による圧縮強さを決定するために取り出した。前記の取り出しを、常に同じ部位で行った。前記の9個の試験体のうち、3個の試験体を、前記試験が、前記フォームの上昇方向に向かって行われるように回転させた(頂部)。前記の9個の試験体のうち、3個の試験体を、前記試験が前記フォームの上昇方向に対して垂直に行われるように回転させた(X方向)。前記の9個の試験体のうち、3個の試験体を、前記試験が前記フォームの上昇方向に対して垂直に行われるように回転させた(Y方向)。全ての測定結果から、引き続き、平均値が形成され、第1表及び第2表に「圧縮強さ平均」として記載されている。
【0094】
【表1-1】
【表1-2】
【0095】
【表2-1】
【表2-2】
【0096】
第1表及び第2表に基づきわかるように、ポリエステルポリオール(b1)及びポリエーテルポリオール(b2)の組合せは、前記成分(b1)の、成分(b2)に対する質量比が本発明による範囲内である場合に、特に有利なポリオール成分及び硬質ポリイソシアヌレートフォームをもたらす。そのため、例1~7の全てのポリオール成分は、20℃で相安定であり、かつ流動性がある。例1~7に対応するポリイソシアヌレート硬質フォームの硬化は、全ての比較例に比べて驚くべきことに有意に改善されており、このことは、製造設備上でのより迅速な加工を可能にし、ひいてはその生産性をかなり高める。驚くべきことに、例1~7からの全てのフォームはそのうえ、著しく減少されたフォーム脆性をその表面で有し、このことは経験上、カバー層材料上での改善されたフォーム付着性、及びこれを用いて製造したサンドイッチエレメントの改善された温度変化に耐える能力をもたらす。
【0097】
この際に、例1~7に対応する本発明による全ての硬質ポリイソシアヌレートフォームが、低下したフォーム脆性にもかかわらず、依然として極めて良好な圧縮強さを有することがさらにわかる。前記フォームを基準として少量の難燃剤を用いても、本発明による全てのポリイソシアヌレート硬質フォームが、火炎の高さ11.5cm未満を有する小型バーナー試験に合格する。
【0098】
しかしながら、本発明による配合からの逸脱は、前記ポリオール成分又は前記硬質フォームの特性での欠点をまねく。
【0099】
そのため、例えば、成分(b1)の、成分(b2)に対する質量比の増加は、前記フォーム硬化の明らかな悪化及びフォーム脆性の明らかな増加、並びに耐火性の軽度の悪化(比較例5)を引き起こす。
【0100】
本発明によるポリエーテルポリオール(b2)の、本発明によらないポリエーテルポリオールへの交換は同様に悪化をまねく。そのため、比較例1及び比較例6は、使用されたポリエチレングリコールに基づき、前記ポリエーテルポリオール(b2)について最適なエトキシル化度が得られることを示す。低すぎるエトキシル化度(比較例1)は、フォーム脆性の明らかな増加をまねく。高すぎるエトキシル化度(比較例6)は、室温での前記ポリオール成分の凝固をまねき、それにより発泡はもはや不可能である。
【0101】
本発明による主にエトキシル化されたポリエーテルポリオール(b2)の、プロポキシル化ポリエーテルポリオールへの交換(比較例2)は、前記フォーム硬化の著しい低下、EN-ISO 11925-2による火炎の高さの著しい増加及びフォーム脆性の著しい増加をまねく。
【0102】
より高官能性のプロポキシル化及びエトキシル化ポリエーテルポリオールの使用(比較例3及び4)も、本発明によるポリエーテルポリオール(b2)に比べて悪化したフォーム特性をまねく。
【0103】
比較例7及び8において、例1及び5のギ酸-水混合物(発泡剤A)の代わりに、水(化学発泡剤C)を唯一の化学発泡剤として使用した。このことはそれぞれ、フォーム硬化の有意な悪化、フォーム圧縮強さの悪化及び前記ビーカーフォームの上側でのより強い気泡形成をまねく。これに反して、成分(b1)の、成分(b2)に対する高められた質量比を有する本発明によらないポリオール成分(比較例9)の場合の発泡剤としての水への交換は、比較例5に比べて、フォーム硬化及び圧縮強さの有意な変化をもたらさない。
【0104】
例1~7に記載された出発原料の組合せによってのみ、全ての要件を満たす反応混合物を製造することができる。
【国際調査報告】