IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特表2024-536680熱可塑性ポリウレタン組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバー
<>
  • 特表-熱可塑性ポリウレタン組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバー 図1
  • 特表-熱可塑性ポリウレタン組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバー 図2
  • 特表-熱可塑性ポリウレタン組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバー 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリウレタン組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバー
(51)【国際特許分類】
   H01B 3/30 20060101AFI20241001BHJP
   C08L 75/08 20060101ALI20241001BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20241001BHJP
   C08K 3/40 20060101ALI20241001BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20241001BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20241001BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20241001BHJP
   H01R 4/58 20060101ALI20241001BHJP
   H01R 13/03 20060101ALI20241001BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01B3/30 B
C08L75/08
C08K3/013
C08K3/40
C08K3/016
B29C45/14
H05K7/06 C
H01R4/58 A
H01R13/03 D
H01B7/00 302
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506694
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2022071039
(87)【国際公開番号】W WO2023012002
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】21189432.4
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー シュテフェン ヘンツェ
(72)【発明者】
【氏名】デニス ブーヴィエ
【テーマコード(参考)】
4F206
4J002
5G305
5G309
【Fターム(参考)】
4F206AA31
4F206AD03
4F206JA07
4F206JB12
4F206JL02
4J002AB012
4J002AH002
4J002CK041
4J002CL062
4J002DA016
4J002DE186
4J002DE236
4J002DH057
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ026
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DK006
4J002DL006
4J002DM006
4J002EU107
4J002EU187
4J002EU197
4J002EW047
4J002FA042
4J002FA046
4J002FA086
4J002FD012
4J002FD016
4J002FD137
4J002GQ01
5G305AA02
5G305AB01
5G305AB25
5G305AB27
5G305BA18
5G305CA18
5G305CD01
5G305CD13
5G309BA06
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性ポリウレタンと、難燃剤と、充填剤とを含む組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバーに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタンと、難燃剤と、充填剤とを含む組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバーであって、前記熱可塑性ポリウレタンが、ジイソシアネートと、ポリオールと、連鎖延長剤との反応生成物である、前記バスバー。
【請求項2】
前記ポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記ポリオールがジオールである、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項4】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量が0.6×103g/モル~3×103g/モルである、請求項1から3までのいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項5】
ポリエーテルがポリテトラヒドロフラン(PTHF)である、請求項1から4までのいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項6】
DIN EN ISO 527に準拠して特定される前記組成物の弾性率が0.05×103MPa~15×103MPaである、請求項1から5までのいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項7】
前記充填剤がガラスである、請求項1から6までのいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項8】
前記難燃剤がハロゲン不含である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項9】
前記難燃剤が窒素またはリン、またはそれらの混合物を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載のバスバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン組成物で少なくとも部分的に被覆された、バスバーとも称されるオーバーモールドされた固体金属導体に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバーは一般に、絶縁されておらず、自立しており、且つ電気絶縁を確保するために互いから充分な距離を有する。
【0003】
バスバーは一般に絶縁されていないのだが、e-モビリティの組み立てにおいて、電圧がかかっている部品に人が触れないように保護しなければならない。従って、例えば米国特許出願公開第2018/334116号明細書(US2018/334116 A1)または米国特許第5579217号明細書(US5579217 A1)内で言及されるように、どのようにバスバーを被覆するかについての種々の取り組みが試験中である。
【0004】
主にケーブルにおける用途のための難燃性熱可塑性ポリウレタンは周知であり、例えば欧州特許出願公開第3110882号明細書(EP3110882 A1)または欧州特許出願公開第0617079号明細書(EP0617079 A2)が参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/334116号明細書
【特許文献2】米国特許第5579217号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3110882号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0617079号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のバスバー間の間隔を最小にするための高い絶縁能力が要件である。被覆領域は湿分および汚れが被覆領域とバスバーとの間に侵入するのを回避すべきであり、且つ難燃性であるべきである。同時に、そのカバーは他の素子へのバスバーの機械的な固着を可能にするために充分に安定であるという要件があり、安定性は、例えば氷のような冬の温度から、すぐに上昇する100度を遙かに超える温度までの極端な温度変化下であっても、高い電力がバスバーに印加される際に、クラックまたは収縮を示さずに持続すべきである。また、それらのストレス状況において、ポリマーの特性は変化すべきでなく、2つの材料間の腐食を避けるためにポリマーの伸びは導電体の伸びを大きく超えるべきではない。同時に、被覆領域はさらなる要件、例えば振動の減衰や切り離しを満たすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
意外なことに、それらの要件は、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバーによって満たされた。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は例において試験するために使用されたバスバー(1)を示す。
図2図2は例において試験するために使用されたバスバー(1)を示す。
図3図3は例において試験するために使用されたバスバー(1)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明による組成物(8)で部分的に外装された、鉛ピューター合金でコートされた銅導体を備えたバスバー(1)を上から見た3D図を示す。導体(3)は穴(4)を備えた接続のための2つの端部を有する。組成物(8)の外装は、2つの丸いノッチ(5)および上部の1つの角型のノッチ(6)を導体(3)まで有する。バスバーは、穴(7)を含む円筒形の取り付けボルト(2)を備えた2つのクロスバー(9)を含む。
【0010】
図2は導体を上から、図3は側方から示す。両方の図は寸法をmmで示す。
【0011】
詳細な説明
この発明の第1の態様および実施態様1は、熱可塑性ポリウレタンと、難燃剤と、充填剤とを含む組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバーであって、前記熱可塑性ポリウレタンが、ジイソシアネートと、ポリオール、好ましくはポリオールジオールと、連鎖延長剤との反応生成物である、前記バスバーである。
【0012】
バスバーは、通常は局所的な高電流配電のためのハウジング内の、金属片または棒である。バスバーの主な機能は、好ましくは電力貯蔵、エンジンおよび充電部品の間で、電気エネルギーを安全で短絡なく伝導することである。
【0013】
電源コードの代わりにバスバーを使用する利点は、ケーブルのもつれの回避、容易な設置、材料の使用の最小化、重量の低減、および誘導率の低下である。バスバーの被覆領域のために熱可塑性ポリウレタンを使用する大きな利点は、溶接線での破損傾向が低いことである。溶接線は、2つの溶融炉が合わさる点に関し、それはバスバーのために使用されるような複雑な射出成形金型を充填する際に生じる。さらに熱可塑性ポリウレタンは、摂氏0度を下回る広い温度で低いクラック形成傾向を示す。
【0014】
組成物との用語は、その組成物が熱可塑性ポリウレタンのみを含むのではなく、他のポリマー、並びに同様に添加剤および/または補助剤を含み得ることを示す。好ましい実施態様において、組成物は以下に説明されるような熱可塑性ポリウレタンを含み、さらなるポリマーは有さない。
【0015】
好ましくは、熱可塑性ポリウレタンは、ジイソシアネートと、ポリオール、好ましくはイソシアネートと反応性の2つのヒドロキシル基を有する、好ましくは数平均分子量0.5×103g/モル~10×103g/モルを有するポリオールと、および適宜、連鎖延長剤、好ましくは分子量0.05×103g/モル~0.499×103g/モルを有する連鎖延長剤とを、適宜、触媒および/または補助剤および/または添加剤の存在下で反応させることによって調製される。
【0016】
成分のジイソシアネート、ポリオール、および連鎖延長剤も、個々にまたは一緒に構造成分として取り扱われる。触媒および/または補助剤および/または添加剤を含む構造成分も投入材料と称される。
【0017】
熱可塑性ポリウレタン(TPU)の硬さおよびメルトインデックスを調整するために、構造成分および連鎖延長剤、および使用される場合は水の量のモル比を変化させることができ、それにより、連鎖延長剤の含有率の増加に伴って硬さおよび溶融粘度が増加する一方で、メルトフローインデックスが減少する。
【0018】
好ましい実施態様において、組成物のショア硬さは好ましくはDIN ISO 7619-1: 2016に準拠して測定して、65ショアD~100ショアD、より好ましくは65ショアD~85ショアDである。好ましくは、組成物中に含まれる熱可塑性ポリウレタンは、好ましくはDIN ISO 7619-1: 2016に準拠して測定して、75ショアA~85ショアD、好ましくは95ショアA~75ショアD、より好ましくは60ショアD~ショア70ショアDのショア硬さを有する。
【0019】
熱可塑性ポリウレタンを調製するために、構造成分のジイソシアネートとポリオールと連鎖延長剤とを、好ましくは触媒および任意に補助剤および/または添加剤の存在下での実施態様において、ジイソシアネートのNCO基の、ポリオールおよび連鎖延長剤のヒドロキシル基の合計に対する当量比が0.95~1.10:1、好ましくは0.98~1.08:1、および特に約1.0~1.05:1であるような量で反応させる。
【0020】
組成物からの顆粒における熱可塑性ポリウレタンは好ましくは質量平均分子量0.03×106g/モル~1.5×106g/モル、好ましくは0.04×106g/モル~1.2×106g/モル、より好ましくは0.05×106g/モル~0.08×106g/モルを有する。バスバーにおける熱可塑性ポリウレタンは好ましくは質量平均分子量0.03×106g/モル~1.2×106g/モル、好ましくは0.04×106g/モル~1.2×106g/モル、より好ましくは0.04×106g/モル~0.07×106g/モルを有する。質量平均分子量(Mw)は好ましくはDIN 55672-2 2016-03に準拠して測定される。
【0021】
分子量はこの発明に関して、別段示されない限り数平均分子量(Mn)に関し、且つゲル浸透クロマトグラフィーによって特定され、好ましくはそれはDIN 55672-1 2016-03に準拠して特定される。
【0022】
イソシアネート
ジイソシアネートは好ましくは脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および芳香族イソシアネートからなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。イソシアネートはより好ましくはトリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-および/またはオクタメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタメチレン 1,5-ジイソシアネート、2-エチル-ブチレン-1,4-ジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート (PDI)、1,4-ブチレン-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、2,4-パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、2,4-テトラメチレンキシレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’-、2,4’-および2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12 MDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI),1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-および/または-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-ジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネートおよび/またはフェニレンジイソシアネートを含む群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0023】
電磁波、例えば光に対する安定性が重要である場合、脂肪族イソシアネートが好ましい一方で、熱可塑性ポリウレタンの高い機械的強度が必要とされる場合は芳香族ポリイソシアネートが好ましい。脂肪族イソシアネートのさらなる利点は、それが生物に基づいて製造され得ることである。
【0024】
非常に好ましい芳香族イソシアネートは、2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、特に好ましくは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0025】
非常に好ましい脂肪族イソシアネートは1,5-ペンタメチレンジイソシアネートである。これは、生物に基づいて製造され得るというさらなる利点を有する。
【0026】
ポリオール
ポリオールは統計的平均で少なくとも1.8且つ最大3.0のツェレウィチノフ活性水素原子を有する。この数はイソシアネート反応性化合物(b)の官能価とも称され、物質の量から1分子まで理論的に計算された、分子のイソシアネート反応性基の量を示す。官能価は好ましくは1.8~2.6、さらに好ましくは1.9~2.2、および特に好ましくは2である。イソシアネートと反応性の化合物(b)は好ましくは分子量0.500g/モル~8×103g/モル、好ましくは0.7×103g/モル~6.0×103g/モル、特に0.8×103g/モル~4.0×103g/モルを有するものである。
【0027】
ポリオールは好ましくは本質的に直鎖、より好ましくは直鎖であり、且つ単独のポリオールであるか、または混合物が上記の要件を満たす場合には異なる物質の混合物である。
【0028】
それらの長鎖の化合物は、ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率に対して1モル%当量~80モル%当量の含有率で使用される。
【0029】
ポリオールはイソシアネートとの反応性基としてヒドロキシル基を有する。ポリオールはポリヒドロキシポリオールとも称される。ポリオール(b)は好ましくはポリエステルオール、ポリエーテルオールまたはポリカーボネートジオールからなる群から選択されるか、またはそれらの混合物であり、より好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0030】
実施態様1、またはその好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様2において、ポリオールはジオールである。
【0031】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様3において、ポリオールはポリエーテルポリオール、好ましくはポリエーテルジオールである。
【0032】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様4において、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は0.6×103g/モル~3×103g/モル、より好ましくは0.8×103g/モル~2.5×103g/モル、より好ましくは1.3×103g/モル~1.8×103g/モルであり、より好ましくは1.4×103または1.7×103g/モルであり、より好ましくはこのポリエーテルポリオールはポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。
【0033】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様5において、ポリテトラヒドロフランの数平均分子量は0.6×103g/モル~3×103g/モル、より好ましくは0.8×103g/モル~2.5×103g/モル、より好ましくは1.3×103g/モル~1.8×103g/モルであり、より好ましくは1.4×103または1.7×103g/モルである。
【0034】
ポリエーテルポリオール
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様6において、ポリエーテルポリオールはポリエーテルジオール、さらに好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシドに基づくもの、またはそれらの混合物を含む。最も好ましくは、ポリエーテルはポリテトラヒドロフランを含み、より好ましくはポリテトラヒドロフランである。
【0035】
この発明に関する数平均分子量Mnは、好ましくはDIN 55672-1に準拠して特定される。
【0036】
好ましいポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEGまたはPTHFとも称される)、ポリプロピレンオキシドグリコールおよびポリブチレンオキシドグリコールを含む。PTMEGまたはα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラ-メチレン)ジオールが特に好ましい。それらはポリTHF(登録商標)の商品名で市販されている。
【0037】
ポリエーテルポリオールは、それが加水分解に対してより安定であり、従ってこれが要件である用途に適用されるという利点を有する。
【0038】
連鎖延長剤
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンの合成において連鎖延長剤が使用される。先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様7において、連鎖延長剤は脂肪族、芳香脂肪族、芳香族および/または脂環式化合物、またはそれらの混合物であり、好ましくは分子量0.05×103g/モル~0.499×103g/モルを有し、好ましくはイソシアネートと反応性の2つの基(官能基とも称される)を有する。連鎖延長剤は単独の連鎖延長剤であるか、または少なくとも2つの連鎖延長剤の混合物であるかのいずれかである。
【0039】
連鎖延長剤は好ましくは二官能性化合物であり、好ましい例はアルキレン基内に2~10の炭素原子を有するジアミンまたはアルカンジオール、またはそれらの混合物である。
【0040】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様8において、連鎖延長剤は1,2-エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-および/またはデカアルキレングリコールジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメタノールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコールおよびヒドロキノンビス(β-ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)からなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0041】
より好ましくは、連鎖延長剤は1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、および1,6-ヘキサンジオール、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-および/またはデカアルキレングリコール、好ましくはそれぞれのオリゴ-および/またはポリプロピレングリコールからなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0042】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様9において、連鎖延長剤は1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオール、またはそれらの混合物を含み、好ましくはそれらである。
【0043】
連鎖延長剤の好ましい混合物は、1,4-ブタンジオール、および1,6-ヘキサンジオールまたは1,3-プロパンジオールのいずれかであり、1,4-ブタンジオールのモル%は、連鎖延長剤の総量が100モルであるとして、好ましくは80モル%~98モル%である。
【0044】
連鎖延長剤の他の好ましい混合物は、1,3-プロパンジオール、および1,6-ヘキサンジオールまたは1,4-ブタンジオールのいずれかであり、1,3-プロパンジオールのモル%は、連鎖延長剤の総量が100モルであるとして、好ましくは80モル%~98モル%である。
【0045】
先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様10において、連鎖延長剤は1,4-ブタンジオールを含み、好ましくは1,4-ブタンジオールである。
【0046】
触媒
先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様11において、熱可塑性ポリウレタンの合成において触媒が使用される。イソシアネート(a)のNCO基、および好ましい実施態様においてポリオールとも称されるイソシアネートと反応性である化合物のヒドロキシル基、および連鎖延長剤の間の反応を加速する触媒が好ましい。好ましい実施態様において、触媒は第三級アミンおよび有機金属化合物からなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0047】
好ましい第三級アミンは、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチル-ピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.オクタン]からなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0048】
好ましい有機金属化合物は、チタン酸エステル、鉄化合物、スズ化合物、およびビスマス塩からなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。好ましい鉄化合物は鉄(III)アセチルアセトネートである。好ましいスズ化合物は、二酢酸スズ、ジオクタン酸スズ、ジラウリン酸スズ、および脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、好ましくはジオクタン酸スズからなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。好ましいチタン酸エステルは、オルトチタン酸テトラブチルである。好ましいビスマス塩において、ビスマスは酸化状態2または3、特に3で存在し、好ましくはカルボン酸の塩、好ましくは6~14個の炭素原子、特に好ましくは8~12個の炭素原子を有するカルボン酸の塩である。非常に好ましいビスマス塩は、ネオデカン酸ビスマス(III)、2-エチルヘキサン酸ビスマス、またはオクタン酸ビスマスであるか、またはそれらの混合物である。
【0049】
触媒はポリオール100質量部あたり好ましくは0.0001~0.1質量部の量で使用される。スズ触媒、特にジオクタン酸スズを使用することが好ましい。
【0050】
非常に好ましい触媒はSDO(2-エチルヘキサン酸スズ(II))であり、好ましくは組成物に対して0.35~0.4質量部の量で使用される。
【0051】
ポリアミド
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーの好ましい実施態様12において、組成物はポリアミドまたはコポリアミドを含む。
【0052】
好ましいポリアミドまたはコポリアミドは、ジアミンおよびジカルボン酸から、またはアミノカルボン酸から、または相応のラクタムから誘導される。好ましいポリアミドは230℃未満の融点を有する。好ましいポリアミドの例は、ポリアミド5,10、ポリアミド12、ポリアミド11である。他の好ましい例は、非晶質ポリアミドであり、好ましくは非晶質ポリアミドは少なくとも1つのラクタム15質量%~84質量%とモノマー(B)を含むモノマーの混合物(M)16質量%~85質量%との反応生成物であり、16質量%~85質量%のモノマーの混合物(M)は2つのモノマーB1およびB2を含み、ここでモノマーB1は32~40個の炭素原子を有する少なくとも2つのダイマー酸(B1)であり、且つモノマーB2は4~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのジアミンであり、且つ成分(A)および(B)の質量のパーセンテージは各々成分(A)と(B)との質量のパーセンテージの合計に対する。
【0053】
最も好ましい非晶質ポリアミドはポリアミド6/6,36である。
【0054】
ラクタムは単独のラクタムであるか、または少なくとも2つのラクタムの混合物であり、1つのラクタムが好ましい。好ましいラクタムは4~12個の炭素原子を有し、非常に好ましいラクタムはε-カプロラクタムである。
【0055】
他の好ましいコポリマーは、上述のポリアミドと、ポリオレフィンとの、オレフィンコポリマーとの、イオノマーとの、または化学結合されたかまたはグラフトされたエラストマーとの、またはポリエーテルとの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーであるか、またはそれらの混合物である。他の好ましい例は、EPDMまたはABS変性ポリアミドまたはコポリアミド、およびさらに処理の間に縮合されたポリアミド(「IMポリアミド系」)である。
【0056】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様13において、組成物中の熱可塑性ポリウレタンとポリアミドまたはコポリアミドとの質量比は、1対100~100対1、好ましくは90対10、80対20、70対30または60対40、またはその間の任意の他の比である。
【0057】
補助剤
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様14において、補助剤または添加剤が構造成分に添加される。換言すれば、添加剤が組成物中に含まれる。補助剤の好ましい例は、界面活性物質、充填剤、難燃剤、核形成剤、酸化安定剤、酸化防止剤、潤滑および離型助剤、染料、静電防止剤、および顔料、必要な場合、好ましくは加水分解、光、熱または変色に対する安定剤、無機および/または有機充填剤、補強剤および/または可塑剤を含む。
【0058】
この発明の意味における安定剤は、プラスチックまたはプラスチック組成物を有害な環境の影響に対して保護する添加剤である。好ましい例は一次および二次酸化防止剤、立体障害フェノール、ヒンダードアミン光安定剤、UV吸収剤、加水分解防止剤、失活剤、および難燃剤である。市販の安定剤の例は、Plastics Additives Handbook、第5版、H.Zweifel編集、Hanser Publishers、ミュンヘン、2001([1])、98~136ページに記載されている。
【0059】
好ましくはUV吸収剤は0.3×103g/モルを上回る、特に0.39×103g/モルを上回る数平均分子量を有する。さらには、好ましいUV吸収剤は5×103g/モルを超えない分子量を有する。
【0060】
UV吸収剤は好ましくはシンナメート、オキサニリド、ベンゾフェノンおよびベンゾトリアゾールからなる群から選択されるか、またはそれらの混合物であり、UV吸収剤として特に適しているのはベンゾトリアゾールである。特に適したUV吸収剤の例は、Tinuvin(登録商標)213、Tinuvin(登録商標)234、Tinuvin(登録商標)312、Tinuvin(登録商標)571、Tinuvin(登録商標)384およびEversorb(登録商標)82である。
【0061】
好ましくは、UV吸収剤は組成物の総質量に対して0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~2.0質量%、特に0.2質量%~0.5質量%の量で添加される。
【0062】
上述のような酸化防止剤およびUV吸収剤に基づくUV安定化は、紫外線の有害な影響に対する組成物の良好な安定性を保証するためには不充分であることが多い。この場合、酸化防止剤および/またはUV吸収剤に加えて、または単独の安定剤として、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)が組成物に添加される。
【0063】
市販のHALS安定剤の例は、Plastics Additive Handbook、第5版、H.Zweifel編集、Hanser Publishers、ミュンヘン、2001、123~136ページ内で見つけることができる。
【0064】
特に好ましいヒンダードアミン光安定剤は、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバケート(Tinuvin(登録商標)765、Ciba Spezialitaetenchemie AG)、および1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物(Tinuvin(登録商標)622)である。最終製品のチタン含有率が、使用される成分に対して150ppm未満、好ましくは50ppm未満、特に10ppm未満である場合、特に1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物(Tinuvin(登録商標)622)が好ましい。
【0065】
HALS化合物は好ましくは組成物の総質量に対して0.01質量%~5質量%、特に好ましくは0.1質量%~1質量%、特に0.15質量%~0.3質量%の濃度で使用される。
【0066】
特に好ましいUV安定化は、フェノール系安定剤と、ベンゾトリアゾールとHALS化合物との混合物を上述の好ましい量で含有する。
【0067】
上述の補助剤および添加剤についてのさらなる情報は、技術文献、例えばPlastics Additives Handbook、第5版、H.Zweifel編集、Hanser Publishers、ミュンヘン、2001内で見つけることができる。
【0068】
弾性率
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様15において、DIN EN ISO 527に準拠して特定される組成物の弾性率は0.05×103MPa~15×103MPa、好ましくは0.1×103MPa~10×103MPa、好ましくは0.3×103MPa~8×103MPa、より好ましくは1×103~5×103MPa、さらにより好ましくは2×103MPa~3×103MPaである。
【0069】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様16において、組成物のショア硬さは65D~100D、より好ましくは65D~85Dである。ショアD硬さは好ましくはDIN ISO 7619-1、2016に準拠して測定される。
【0070】
充填剤
組成物は充填剤をさらに含む。充填剤の化学的性質および形状は、熱可塑性ポリウレタンとの充分な適合性があれば、広い範囲内で変化し得る。
【0071】
好ましい充填剤は、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラス微小球、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、液晶ポリマーの繊維、有機繊維状充填剤または無機強化材料である。好ましい有機繊維状充填剤は、例えばセルロース繊維、麻繊維、サイザル麻またはケナフである。好ましい無機強化材料は、例えばセラミック充填剤または鉱物充填剤である。好ましいセラミック充填剤はアルミニウムおよびホウ素窒化物である。好ましい鉱物充填剤は、アスベスト、タルク、ウォラストナイト、マイクロビット、ケイ酸塩、チョーク、焼成カオリン、マイカおよび石英粉、またはそれらの混合物である。
【0072】
本発明に関して、繊維状充填剤が好ましい。繊維は好ましくは直径3μm~30μm、好ましくは6μm~20μm、および特に好ましくは8μm~15μmを有する。化合物中の繊維の長さは好ましくは0.02mm~1mm、好ましくは0.18mm~0.5mm、および特に好ましくは0.2mm~0.4mmである。
【0073】
熱可塑性ポリウレタンとの適合性をより良好にするために、繊維状充填剤は好ましくはシラン化合物によって表面が前処理されている。
【0074】
無機繊維状充填剤が好ましい。無機繊維状充填剤が使用される場合、より大きな強化効果並びにより高い耐熱性が判明している。
【0075】
本発明について特に好ましい無機充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズまたはガラス微小球である。先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含むさらに好ましい実施態様17において、充填剤はガラス、好ましくはガラス繊維、ガラスビーズまたはガラス微小球、より好ましくはガラス繊維を含む。ガラスは好ましくは被覆されている。ガラスが繊維である場合、繊維の太さは好ましくは3μm~30μm、特に8μm~15μmであり、繊維長の分布の最大値は0.03mm~約15mm、特に1mm~10mmの範囲である。
【0076】
射出成形によって、繊維は組成物中で好ましい配向(流れ方向とも称される)を得る。
【0077】
ガラスビーズの直径は広い範囲で変化し得る。例えば、平均直径5μm~100μmの範囲、好ましくは10μm~75μmの範囲、より好ましくは20μm~50μmの範囲、より好ましくは20μm~40μmの範囲を有するビーズが適しており且つ好ましい。
【0078】
中空のガラス微小球の直径は広い範囲で変化し得る。例えば、平均直径5μm~100μmの範囲、好ましくは10μm~75μmの範囲、より好ましくは20μm~50μmの範囲、例えば20μm~40μmの範囲を有する微小球が適しており且つ好ましい。
【0079】
従って、先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによるさらなる実施態様18によれば、本発明は上記で開示された組成物を有するバスバーであって、微小球が5μm~100μmの範囲の平均直径を有する前記バスバーにも関する。
【0080】
本発明によれば、組成物は1つの充填剤または複数の充填剤を含む。
【0081】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様19において、組成物中の充填剤の割合は、組成物の総質量に対して好ましくは5質量%~40質量%、好ましくは、10質量%~30質量%、より好ましくは10質量%~20質量%、より好ましくは12質量%~18質量%、組成物の総質量を100質量%として、好ましくは30質量%~55質量%の範囲である。
【0082】
難燃剤
本発明の組成物は少なくとも1つの難燃剤も含む。
【0083】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様20において、充填剤および難燃剤は、100質量%である組成物の10質量%~60質量%、好ましくは30質量%~55質量%を構成する。
【0084】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つの全ての特徴を含む好ましい実施態様21において、組成物は難燃剤を、組成物全体を100質量%として、3質量%~35質量%、好ましくは20質量%~35質量%で含み、1つの好ましい実施態様においては22質量%~28質量%で含む。
【0085】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様22において、難燃剤はハロゲン不含である。
【0086】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによるさらなる実施態様23において、難燃剤は窒素、リン、またはそれらの混合物を含む。
【0087】
好ましい種類の窒素含有難燃剤は、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン、ジメラミンホスフェート、ピロリン酸メラミン、メラミンボレート、ポリリン酸アンモニウム、メラミンポリリン酸アンモニウム、メラミンピロリン酸アンモニウム、メラミンの縮合生成物であってメレム、メラム、メロンおよびより高い縮合化合物からなる群から選択されるもの、およびメラミンとリン酸との他の反応生成物、メラミン誘導体、またはそれらの混合物からなる群から選択される窒素系化合物である。
【0088】
より好ましくは、且つ先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる実施態様24において、難燃剤はメラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン、ジメラミンホスフェート、ピロリン酸メラミン、メラミンボレート、ポリリン酸アンモニウム、メラミンポリリン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウムおよびメラミン誘導体からなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0089】
先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる他の好ましい実施態様25において、組成物はメラミン、メラミンシアヌレート、メラミンボレート、ポリリン酸メラミン、およびメラミン誘導体からなる群から選択され難燃剤を含むか、またはそれらの混合物である。非常に好ましい実施態様において、難燃剤(B)はメラミンシアヌレートである。メラミンシアヌレートは1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンとも称される。
【0090】
先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様26において、組成物は難燃剤としてポリリン酸アンモニウムを含む。好ましいそのような難燃剤は、オルトリン酸アンモニウム、好ましくはNH42PO4、(NH42HPO4、またはそれらの混合物であり、二リン酸アンモニウム、好ましくはNH4327、(NH42227、(NH43HP27、(NH4427、またはそれらの混合物、ポリリン酸アンモニウム、特に、しかし排他的ではなくJ.Am.Chem.Soc.91,62(1969)内で見出されるものである。リン酸アンモニウム成分は被覆されていても、被覆されていなくてもよい。適した被覆されたリン酸アンモニウムは例えば、米国特許第4347334号明細書(US4,347,334)、米国特許第4467056号明細書(US4,467,056)、米国特許第4514328号明細書(US4,514,328)、および米国特許第4639331号明細書(US4,639,331)内に記載されている。
【0091】
先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様27において、難燃剤は無機の難燃剤であり、且つ好ましくは酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウムからなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0092】
先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様28において、難燃剤はリン含有難燃剤である。リン含有難燃剤は好ましくは21℃で液体である。
【0093】
リン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体、またはホスフィン酸の誘導体、または前記誘導体の2つ以上の混合物が好ましい。
【0094】
リン酸、ホスホン酸、またはホスフィン酸の誘導体が、有機または無機カチオンとの塩を含むか、または有機エステルを含むことが好ましい。1つの好ましい実施態様において、有機エステルはアルキルエステルを含み、他の好ましい実施態様において、それはアリールエステルを含む。相応のリン含有酸の全てのヒドロキシル基がエステル化されていることが特に好ましい。
【0095】
有機リン酸エステル、特にリン酸のトリエステルが好ましく、リン酸トリアルキルがより好ましい。他の好ましい実施態様はリン酸トリアリールであり、リン酸トリフェニル特に好ましい。
【0096】
他の実施態様において、リン酸エステルは一般式(I)を有する:
【化1】
【0097】
[式中、Rは置換されたアルキル、シクロアルキルまたはフェニル基を示し、nは1以上15以下の範囲の実数である]。
【0098】
一般式(I)中のRがアルキル部分である場合、好ましく使用されるアルキル部分は1~8個の炭素原子を有するものである。シクロアルキル基の好ましい例として、シクロヘキシル部分を挙げることができる。Rがフェニルまたはアルキル置換されたフェニルを示す、一般式(I)のリン酸エステルを使用することが好ましい。好ましくはnは1であるか、または3以上6以下の範囲である。一般式(I)の非常に好ましいリン酸エステルは、ビス(ジフェニル)1,3-フェニレンホスフェート、ビス(ジキシレニル)1,3-フェニレンホスフェート、およびさらに相応のオリゴマー生成物、好ましくは3以上6以下の範囲の平均オリゴマー化度nを有するオリゴマー生成物である。
【0099】
非常に好ましいリン酸エステルは、レソルシノール、より好ましくはレソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)である。RDPは好ましくはオリゴマー中に存在する。
【0100】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様29において、リン含有難燃剤はビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(BDP)、ジフェニルクレジルホスフェート(DPC)、またはそれらの混合物を含む。BPDは通常、オリゴマーの形態をとる。
【0101】
有機ホスフェートは、有機または無機カチオンとの塩を含むか、ホスホン酸のエステルを含む。好ましいホスホン酸のエステルは、アルキルまたはフェニルホスホン酸のジエステルである。
【0102】
ホスフィン酸エステル
他の好ましいリン含有難燃剤は、一般式R1R2(P=O)OR3 [式中、R3部分は有機基であり、且つR1、R2は有機基であるかまたは水素である]を有するホスフィン酸エステルである。
【0103】
1つの好ましい実施態様において、R1、R2およびR3部分は同一であり、他の好ましい実施態様において、R1、R2およびR3は互いに異なる。
【0104】
R3は好ましくは脂肪族基または芳香族基であり、且つ好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個の炭素原子を有する。好ましい実施態様において、脂肪族基は1~3個の炭素原子を有し、より好ましくはR3はエチル基であるか、またはメチル基である。
【0105】
R1、R2部分は好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個の炭素原子を有する。R1、R2またはR3部分の少なくとも1つが脂肪族であることが好ましく、且つこの脂肪族基が1~3個の炭素原子を有することがより好ましい。R1、R2およびR3部分の全てが、上記で概説したような選好を有する脂肪族基であることがより好ましい。
【0106】
1つの好ましい実施態様において、R1およびR2はエチル基であり、より好ましくはこの実施態様において、R3もエチル基であるか、またはメチル基である。1つの好ましい実施態様において、R1、R2およびR3は同時にエチル基またはメチル基のいずれかである。他の好ましい実施態様において、R1およびR2は水素原子である。
【0107】
ホスフィン酸塩
一般式M+[R1R2(P=O)O]-を有するホスフィン酸の金属(M+)塩である金属(M+)ホスフィン酸塩も好ましい。R1およびR2基は水素であるか、脂肪族または芳香族であるかのいずれかであり、且つ好ましくは1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する。前記部分の少なくとも1つが脂肪族であることが好ましく、且つ両方の部分が脂肪族であることがより好ましく、且つR1およびR2がメチル基またはエチル基、最も好ましくはエチル基であることが非常に特に好ましい。
【0108】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様30において、難燃剤はホスフィン酸塩を含む。
【0109】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる他の好ましい実施態様31において、難燃剤はホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸カルシウム、ホスフィン酸チタン、ホスフィン酸亜鉛からなる群から選択されるホスフィン酸塩を含むか、またはそれらの混合物である。より好ましくはホスフィン酸アルミニウムを含む。
【0110】
他の好ましい実施態様において、R1またはR2基は水素原子であり、且つ他の基は上記の選好を有する有機基である。さらに他の実施態様において、R1およびR2基は水素原子である。
【0111】
ホスフィン酸の好ましい塩は、アルミニウム、カルシウム、チタンまたは亜鉛塩であるか、またはそれらの混合物である。アルミニウムがより好ましい。
【0112】
より好ましい金属ホスフィン酸塩は、ジエチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸カルシウムから選択されるか、またはそれらの混合物である。ジエチルホスフィン酸アルミニウム、またはホスフィン酸アルミニウム、またはそれらの混合物がより好ましい。ジエチルホスフィン酸アルミニウムが最も好ましい。
【0113】
好ましくは、難燃剤はホスフィン酸の誘導体、有機または無機カチオンとの塩、または有機エステルから選択される。有機エステルは、リンに直接的に結合している少なくとも1つの酸素原子が有機残基でエステル化されているホスフィン酸の誘導体である。1つの好ましい形態において、有機エステルはアルキルエステルであり、他の好ましい形態において、アリールエステルである。ホスフィン酸の全てのヒドロキシル基が特に優先的にエステル化される。
【0114】
さらには、ピロリン酸ピペラジンおよびピロリン酸ポリピペラジンが好ましい実施態様において難燃剤として使用される。ピペラジン系難燃剤の使用は原則的に従来技術から公知であり、例えば国際公開第2012/174712号(WO2012/174712 A1)内に開示されている。
【0115】
難燃剤は単独の物質の形態で、または同種の難燃剤または異種の難燃剤のいずれかのいくつかの物質の混合物の形態で組成物中で使用される。
【0116】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様32において、難燃剤は、ポリリン酸メラミンからなる群から選択される第1のリン含有難燃剤(F1)と、上記で選好が示され、最も好ましくはホスフィン酸アルミニウムである、ホスフィン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F2)とを含む。
【0117】
先行する実施態様の1つ、またはそれらの好ましい実施態様の1つによる好ましい実施態様33において、難燃剤はメラミンシアヌレート[=(1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)]およびリン酸エステルを含み、より好ましくはリン酸エステルはレソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)である。
【0118】
ポリリン酸メラミンは好ましくは7質量%~20質量%、好ましくは10質量%~17質量%の範囲、より好ましくは12質量%~14質量%の範囲のリン含有率を有する。
【0119】
さらなる実施態様は好ましくは、各々の場合にISO 976に準拠して特定して、水溶液中で3~7の範囲、より好ましくは3.5~6.5の範囲、特に好ましくは4~6の範囲のpHを有するポリリン酸メラミンを用いる。
【0120】
難燃剤(F2)が上記の選好を有するホスフィン酸の誘導体から選択される場合が好ましい。
【0121】
吸水率
好ましい実施態様34において、先行する実施態様の1つまたはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーの組成物の吸水率は、DIN EN ISO 62、Method 1に準拠して測定して1%未満であり、且つDIN EN ISO 62、Method 4に準拠して測定して0.5%未満である。
【0122】
ガラス温度
好ましい実施態様35において、先行する実施態様の1つまたはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーの組成物は、-30℃未満、好ましくは-40℃未満、および最も好ましくは-50℃未満のガラス温度Tgを有する。ガラス温度Tgは好ましくは動的機械分析を用いて、ねじり周波数1Hz、損失弾性率(最大G’’)[℃](DIN 53 019 DIN EN 3219)を用いて測定される。
【0123】
UL94
好ましい実施態様36において、先行する実施態様の1つまたはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーの組成物は、UL 94V垂直2mm試験に合格する(ANSI、UL94、「Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances」、第6版、2013年3月28日)。好ましい実施態様において、バスバーはUL 24の等級V0、V1、V2、より好ましくは等級V0またはV1、および特に好ましくは等級V0を満たす。
【0124】
収縮率
好ましい実施態様37において、先行する実施態様のいずれかまたはそれらの好ましい実施態様の1つのバスバーの組成物は、好ましくはISO 294-4に準拠して特定される0.8%未満、好ましくは0.6%未満、より好ましくは0.4%未満の収縮率を有する。
【0125】
CLTE(線熱膨張係数)
先行する実施態様のいずれかまたはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーの組成物の好ましい実施態様38において、繊維の方向に対して長手方向での組成物のCLTE(線熱膨張係数)は、好ましくはISO 11359-2に準拠して特定して、150×10-6 1/K未満、好ましくは80×10-6 1/K未満である。さらに好ましい実施態様39において、先行する実施態様のいずれかまたはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーの組成物のCLTEは、適用可能な場合、繊維の方向に対して交差して、好ましくはISO 11359-2に準拠して特定して、150×10-6 1/K未満、好ましくは80×10-6 1/K未満である。
【0126】
バスバー
バスバーは一般に、絶縁されておらず、自立しており、且つ電気絶縁を確保するために互いから充分な距離を有する。バスバーの形態はその特定の要件、例えば設置スペース、電圧または電気の流れに適合されるべきプラグの数に依存する。バスバーのバスバー伝導部分の材料は金属、好ましくはアルミニウム、鋼、鉄、銅、鉛、スズ、亜鉛またはそれらの合金からなる群から選択される金属である。鉛およびスズの合金が、金属の、好ましくは銅の好ましい被覆である。
【0127】
好ましい実施態様40において、先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーは、例4に詳細が概説される気候変動試験を満たす。
【0128】
バスバーの製造方法
他の態様および好ましい実施態様41は、先行する実施態様のいずれか、またはそれらの好ましい実施態様の1つによるバスバーの製造である。バスバーの伝導部分を金型内に配置する。好ましい実施態様において、バスバーを固定するための手段を伝導部分と共に金型内で配置する。次の段階において、金型を組成物で充填し、組成物の硬化後に離型する。好ましくは、組成物の顆粒を、射出成形のために使用する前に好ましくは少なくとも3時間、好ましくは約90℃で乾燥させる。
【0129】
使用
この発明の他の態様および実施態様42は、素子、好ましくは電子素子、より好ましくはバスバーを被覆するための、上述の熱可塑性ポリウレタン組成物の使用である。
【0130】
好ましい実施態様43において、それぞれの熱可塑性ポリウレタン組成物はペレットまたは粉末の形態である。好ましい実施態様におけるペレットまたは粉末は圧密材料である。他の好ましい実施態様において、ペレットは発泡ビーズまたは粉末とも称される発泡材料である。
【実施例
【0131】
実験
例1: 原材料
Poly PTHF(登録商標) 1000: ポリテトラヒドロフラン 1000、CAS番号: 25190-06-1、BASF SE、ドイツ
Poly PTHF(登録商標) 2000: ポリテトラヒドロフラン 2000、CAS番号: 25190-06-1、BASF SE、ドイツ
1,4-ブタンジオール: ブタン-1,4-ジオール、CAS番号: 110-63-4、BASF SE、67056 Ludwigshafen、ドイツ
Lupranat MET: 4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、CAS番号: 101-68-8、BASF SE、ドイツ
Chopvantage HP3550 EC10-3,8: PPG Industries Fiber Glassのガラス繊維、Energieweg 3、オランダ、E-ガラス、フィラメントの直径10μm、長さ3.8mm
Melapur MC 15 ED:メラミンシアヌレート(1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミンとの化合物(1:1))、CAS #: 37640-57-6、BASF SE、ドイツ、粒子サイズD99% 50μm以下、D50% 4.5μm以下、含水率%(w/w) 0.2未満
Fyrolflex RDP: レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、CAS #: 125997-21-9、Supresta Netherlands B.V.、Office Park De Hoef、Hoefseweg 1,3821 AE Amersfoort、オランダ、リン含有率10.7%、25℃での粘度=700mPas、酸価 0.1mg KOH/g未満、含水率%(w/w) 0.1未満。
【0132】
例2: 熱可塑性ポリウレタンA~Fの製造
下記の表1は熱可塑性ポリウレタン(TPU)A~Fの配合を示し、ここで個々の出発材料の質量部(PW)が示される。ポリオールを80℃の容器内に入れ、反応容器内で強力に攪拌しながら表1に示される量に従って成分と混合した。イソシアネートは最後の成分で添加した。反応温度110℃に達したら、またはフォームのレベルが反応容器の体積の80%を超えたらすぐに、反応混合物を加熱プレート(120℃)上に注ぎ、スラブを形成した。スラブをプレート上で10分間硬化させ、その後、80℃で15時間、熱処理し、粉砕して顆粒へと押し出した。
【0133】
例3: 組成物1~12の製造
表2および3に示される成分の混合物を有する組成物1~12を、ZE 40(スクリュー長さ35 Dを有し、10のバレル部分に分割されるBerstorff製の二軸押出機)内で製造した(コンパウンディング)。顆粒はGalaの水中造粒ユニットを使用して得られた。使用された熱可塑性ポリウレタンの顆粒を90℃で3時間乾燥させた後、コンパウンドした。
【0134】
例4: 特性の特定
配合A~Fから誘導された熱可塑性ポリウレタン(TPU)の、および組成物1~12の機械的特性を、射出成形された試験体において特定した。TPUまたは組成物を、90℃で3時間乾燥させた後、試験体へと射出成形し、以下の仕様を用いて測定した。個々の材料についての試験体の特性を表1、2および3に要約する。
【0135】
密度 DIN EN ISO 1183-1 (A)を使用して特定
ショア硬さ DIN 53505
引っ張り強さ、破断伸び、および弾性率 DIN EN ISO 527
引裂強さ DIN ISO 34-1、B(b)
摩耗 DIN 53516
CLTE係数 ISO 11359-2
収縮率 ISO 294-4
UL94V UL94V垂直2mm試験(ANSI、UL94「Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances」、第6版、2013年3月28日)
g=ガラス温度 ねじり周波数1Hz、損失弾性率(最大G’’)[℃](DIN 53 019 DIN EN 3219)を用いた動的機械分析
気候変動試験 -40℃で30分、次いで125℃でさらに30分の温度変化1000サイクル。成形されたバスバーが可視のクラックを示さない場合に試験に合格する。
【0136】
【表1】
【0137】
配合D、EおよびFから誘導された熱可塑性ポリウレタンは300MPaを上回る所望の剛性を達成した。
【0138】
収縮率は全ての材料について高く、配合A~Fから誘導される熱可塑性ポリウレタンのいずれも、必要とされる難燃性を達成しなかった。
【0139】
【表2】
【0140】
組成物4~6は必要とされる剛性および難燃性を有し、気候変動試験にも合格した。
【0141】
しかしながら、組成物4~6は大きな収縮率を有する。
【0142】
【表3】
【0143】
難燃性および低い収縮率に加えて、全ての配合物は充分に高い弾性率を有する。
【0144】
さらに、平均分子量1.4×103g/モルおよび1.7×103g/モルを有するポリTHF混合物を含む配合での本発明による配合物は、気候変動試験に合格する。
【0145】
例5: バスバーのオーバーモールディング
図面により詳細に概説される試験用バスバーを製造するために、熱可塑性ポリウレタン(TPU)または組成物を90℃で3時間乾燥させた。標準的な射出成形機を使用した。金型をレールシステムに取り付けた。鉛/スズ合金製のコーティングを有する銅製のバスバーを射出成形金型内に配置した。熱可塑性ポリウレタンまたは組成物の射出成形を以下のパラメータを用いて行った:
溶融温度[T°] 220℃/230℃
円筒領域(ホッパへのノズル)の温度: 230℃/220℃/210℃/200℃
金型の温度Wg[T°]: 45℃
背圧: 5~10bar
周速度: 0.2m/秒
射出成形速度: 20~30mm/秒
射出時間: 0.9~1.5秒
切替点: 10mm
リプリント: 切替圧力の80%
リプリント時間: 2mm厚のコーティングについて15秒
残留物質のクッション(Residual mass cussion): 6mm
冷却時間: 15秒
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタンと、難燃剤と、充填剤とを含む組成物で少なくとも部分的に被覆されたバスバーであって、前記熱可塑性ポリウレタンが、ジイソシアネートと、ポリオールと、連鎖延長剤との反応生成物である、前記バスバー。
【請求項2】
前記ポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記ポリオールがジオールである、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項4】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量が0.6×103g/モル~3×103g/モルである、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項5】
ポリエーテルがポリテトラヒドロフラン(PTHF)である、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項6】
DIN EN ISO 527に準拠して特定される前記組成物の弾性率が0.05×103MPa~15×103MPaである、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項7】
前記充填剤がガラスである、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項8】
前記難燃剤がハロゲン不含である、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項9】
前記難燃剤が窒素またはリン、またはそれらの混合物を含む、請求項1または2に記載のバスバー。
【国際調査報告】