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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】計測データを変換する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241001BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241001BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20241001BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G03F7/20 521
H01J37/22 502H
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509395
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022073343
(87)【国際公開番号】W WO2023036593
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/117420
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ユンボ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チュー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,キアン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ムー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジェン-シアン
【テーマコード(参考)】
2H197
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
2H197DA02
2H197HA03
2H197JA22
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA39
4M106DB05
4M106DJ14
4M106DJ17
4M106DJ18
4M106DJ19
5C101AA03
5C101FF02
5C101HH25
5C101HH36
5C101HH40
5C101JJ04
(57)【要約】
トレーニング済み機械学習モデルを介して計測データを変換するための計測システム及び方法が開示される。本方法は、第1の走査電子計測(SEM)システムによって取得された第1のSEMデータセット(例えば像やコンター)及び第2のSEMシステムによって取得された第2のSEMデータセットにアクセスすることであって、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットがパターン付き基板に関連することを含む。第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットをトレーニングデータとして使用し、トレーニング済みの機械学習モデルが、第2のSEMシステムによって取得された計測データセットを、第1のSEMシステムによって取得される計測データと同等の特性を有する変換データセットに変換するように構成されるように、MLモデルがトレーニングされる。また、変換されたSEMデータに基づいて測定値を決定することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令がコンピュータによって実行されると計測システムに関連するデータを変換するための方法を実施し、前記方法が、
第1の走査電子計測(SEM)システムによって取得された第1のSEMデータセット及び第2のSEMシステムによって取得された第2のSEMデータセットにアクセスすることであって、前記第1のSEMデータセット及び前記第2のSEMデータセットがパターン付き基板に関連することと、
前記第1のSEMデータセット及び前記第2のSEMデータセットをトレーニングデータとして使用して、トレーニングされた機械学習(ML)モデルが、前記第2のSEMシステムによって取得された計測データセットを前記第1のSEMシステムによって取得される計測データと同等の特性を有する変換データセットに変換するように構成されるように、前記MLモデルをトレーニングすることと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記第1のSEMデータセット及び前記第2のSEMデータセットが、前記パターン付き基板のSEM像を含み、
前記MLモデルをトレーニングすることが、
前記第1のSEMシステムによって取得された第1の像セットと、前記第2のSEMシステムによって取得された第2の像セットと、を比較することと、
前記比較に基づいて、前記MLモデルへの入力として前記第2の像セットを使用して、前記第1の像セットと前記ML生成像との間のマッチングを向上させるように前記MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、前記MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、請求項1に記載の媒体。
【請求項3】
前記第1のSEMデータセット及び前記第2のSEMデータセットが、
前記パターン付き基板上のフィーチャのコンター、及び/又は、
前記パターン付き基板上のパターンに関連する物理的特性
を含む、請求項1に記載の媒体。
【請求項4】
前記物理的特性が、前記パターン付き基板上の前記パターンのクリティカルディメンジョン(CD)を含む、請求項1に記載の媒体。
【請求項5】
前記MLモデルをトレーニングすることが、
前記第1のSEMデータセットの第1のCD値と前記第2のSEMデータセットの第2のCD値とを比較することと、
前記比較に基づいて、前記第1のSEMデータセットと前記第2のSEMデータセットとの間のCDマッチングを向上させるように前記MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように前記MLモデルのパラメータを調節することであって、前記コスト関数が前記第1のCD値及び前記第2のCD値の関数であることと、
を含む、請求項1に記載の媒体。
【請求項6】
前記MLモデルをトレーニングすることが、
前記第1のSEMデータセットの第1の像セット又は第1のコンターを、デザインレイアウトのデザインレイアウト像又はデザインコンターとアライメントすることと、
前記第2のSEMデータセットの第2の像セット又は第2のコンターを、前記デザインレイアウトの前記デザインレイアウト像又は前記デザインコンターとアライメントすることと、
前記機械学習モデルをトレーニングするために使用されるトレーニングデータとして、前記アライメントされた第1の像セット及び前記アライメントされた第2の像セットを使用することと、
を含む、請求項1に記載の媒体。
【請求項7】
前記MLモデルをトレーニングすることが、
前記第1の像セットからのピクセル強度値と前記第2の像セットからのピクセル強度値とを比較することと、
前記比較に基づいて、前記MLモデルをトレーニングするために使用される前記コスト関数に影響を与えるように、前記MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、請求項2に記載の媒体。
【請求項8】
前記MLモデルを前記トレーニングすることが、
前記第1のSEMシステムに関連する第1のコンター抽出アルゴリズムを前記第1のSEMデータセットに適用することと、
前記第2のSEMシステムに関連する第2のコンター抽出アルゴリズムを前記第2のSEMデータセットに適用することと、
を行うことによって、前記第1の像セットからの強度値と、前記第2の像セットからの強度値と、を決定することをさらに含む、請求項7に記載の媒体。
【請求項9】
前記第2のSEMシステムを介して、他のパターン付き基板の計測データを捕捉することと、
前記トレーニング済みMLモデルを介して、前記捕捉された計測データを変換計測データに変換することであって、前記他のパターン付き基板の前記変換計測データが、前記第1のSEMシステムによって捕捉されたかのような特性を有することと、
をさらに含む、請求項1に記載の媒体。
【請求項10】
前記第1のSEMシステムからの前記第1のSEMデータセット及び前記パターン付き基板の物理的特性測定値に基づいて、前記第2のSEMシステムの計測測定レシピを決定することと、
前記第2のSEMシステムを使用して、前記パターン付き基板の計測データを捕捉することと、
前記トレーニング済み機械学習モデルを使用して、前記捕捉された計測データを変換することと、
別の物理的特性測定値を決定するために、前記変換された計測データに前記計測測定レシピを適用することと、
をさらに含む、請求項1に記載の媒体。
【請求項11】
前記物理的特性測定値が、クリティカルディメンジョン(CD)測定値、オーバーレイ測定値、及びエッジ配置誤差のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の媒体。
【請求項12】
前記計測測定レシピが、CD測定が行われる前記捕捉された計測データ上の位置を示すCD閾値を含む、請求項10に記載の媒体。
【請求項13】
前記計測測定レシピを決定することが、
第1のコンター抽出アルゴリズムにより、前記第1のSEMデータセットの像からコンターを抽出することと、
CDを測定するために前記コンターを横切る位置に切断線を引くことと、
前記切断線に沿った信号に基づいて、前記測定されたCDに対応するCD閾値を決定することと、
を含む、請求項10に記載の媒体。
【請求項14】
前記第1のSEMシステムが第1の製造業者によって製造され、前記第2の計測システムが第2の製造業者によって製造される、請求項1に記載の媒体。
【請求項15】
前記MLモデルが、敵対的生成ネットワークアーキテクチャを使用してトレーニングされ、
前記MLモデルが、ジェネレータモデル及びディスクリミネータモデルを含む、請求項1に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年9月9日に出願された国際出願PCT/CN第2021/117420号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書の説明は、概して、計測システムによって取得された計測データの処理に関し、より詳細には、機械学習モデルを使用した計測データの処理に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ投影装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用され得る。このような場合、パターニングデバイス(例えば、マスク)は、ICの個々の層に対応するパターン(「デザインレイアウト」)を含むこと、又は提供することができ、及びこのパターンは、パターニングデバイス上のパターンを通してターゲット部分を照射するなどの方法により、放射感応性材料(「レジスト」)の層でコートされた基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に転写され得る。一般に、単一の基板は、パターンがリソグラフィ投影装置によって連続して転写される複数の隣接するターゲット部分(一度に1つのターゲット部分)を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置においては、パターニングデバイス全体上のパターンが、一度に1つのターゲット部分上に転写され、このような装置は、一般にステッパと呼ばれる。一般にステップアンドスキャン装置と呼ばれる代替装置では、投影ビームが、所与の基準方向(「スキャン」方向)にパターニングデバイスをスキャンすることに同期して、この基準方向に平行又は逆平行に基板を移動させる。パターニングデバイス上のパターンの異なる部分が、1つのターゲット部分に漸進的に転写される。一般に、リソグラフィ投影装置は、縮小率M(例えば、4)を有するので、基板を移動させる速度Fは、投影ビームがパターニングデバイスをスキャンする速度×1/Mとなる。本明細書に記載するようなリソグラフィデバイスに関するさらなる情報は、例えば、本明細書に援用される米国特許第6,046,792号から学ぶことができる。
【0004】
[0004] パターニングデバイスから基板にパターンを転写する前に、基板は、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの様々なプロシージャを経てもよい。露光後に、基板は、ポストベーク(PEB)、現像、ハードベーク、及び転写されたパターンの測定/インスペクションなどの他のプロシージャ(「露光後プロシージャ」)を受けてもよい。この多数のプロシージャは、デバイス、例えばICの個々の層を作るための基礎として使用される。基板は、次に、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械研磨など(全て、デバイスの個々の層を仕上げることを意図したもの)の様々なプロセスを経てもよい。デバイスに幾つかの層が必要とされる場合、プロシージャ全体又はそれの異形が、各層に対して繰り返される。最終的に、基板上の各ターゲット部分にデバイスが存在する。これらのデバイスは、次に、ダイシング又はソーイングなどの技術によって互いに分離され、その結果、個々のデバイスがキャリア上に取り付けられること、ピンに接続されることなどが可能である。
【0005】
[0005] したがって、半導体デバイスなどの製造デバイスは、一般的に、デバイスの様々なフィーチャ及び複数の層を形成するための多数の製作プロセスを用いて、基板(例えば半導体ウェーハ)を処理することを含む。このような層及びフィーチャは、一般的に、例えば、堆積、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨、及びイオン注入を用いて、製造及び処理される。複数のデバイスが、基板上の複数のダイ上で製作され、その後、個々のデバイスに分離されてもよい。このデバイス製造プロセスは、パターニングプロセスとみなすことができる。パターニングプロセスは、パターニングデバイス上のパターンを基板に転写するために、リソグラフィ装置においてパターニングデバイスを用いる光及び/又はナノインプリントリソグラフィなどのパターニングステップを含み、及び一般的に(但し任意選択的に)、現像装置によるレジスト現像、ベークツールを用いた基板のベーク、エッチング装置を用いたパターンを使用するエッチングなどの1つ又は複数の関連のパターン処理ステップを含む。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 半導体製造では、パターン付き基板からの類似の測定原理又は類似の信号発生機構に基づいて動作する複数の計測ツールが用いられることがある。例えば、パターン付き基板との電子ビームの相互作用に基づいて測定値を決定する複数の走査電子顕微鏡(SEM)が、半導体製造中に使用されることがある。複数の計測システムは、計測スループット、測定精度、コスト効率を向上させるため、又はその他の理由で使用されることがある。例えば、測定値がパターニングプロセスを改善するために用いられることがある。動作は類似しているが、ある計測システムは、機械的サブシステム、電気的サブシステム、電子機器、信号検出、画像取得アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、コンター抽出アルゴリズム、又は他の構造及びソフトウェアなどの様々な態様で別の計測システムと異なる場合がある。そのため、複数の計測システムの使用により、同じ基板上の同じパターンの測定結果に一貫性がなくなることがある。本開示は、トレーニング済みの機械学習モデルを使用して、特定の計測ツールから得られた計測データ(例えば、SEM像又はコンター)を変換するための機構を提供する。この変換された計測データは、別の計測ツール(例えば、基準計測システム)とマッチするか、又は同等であり、それにより、異なる計測ツール間の測定値の一貫性が可能となる。例えば、変換されたものは、別の計測ツールによって取得された信号及び/又はCDとマッチする、パターン付き基板のフィーチャに関連する信号及び/又はCDを有する。つまり、変換された計測データ又は変換された計測データから導出された測定値は、別の計測ツールを使用して計測データ又は測定値を取得することと同等である。
【0007】
[0007] 計測システムは、例えば、複数の走査電子顕微鏡(SEM)であってもよい。一実施形態では、本明細書の機構は、あるSEMシステムによって取得されたSEM像を、別のSEMシステムによって取得されたかのような像に変換するために、機械加工学習(ML)モデルをトレーニングすることを含む。したがって、変換された像に対して実行されるパターン付きフィーチャの物理的特性の測定は、他のSEMシステムによって取得された像に対して測定を行うのと同様になる。一実施形態では、異なるツールからの測定データ間の差(例えば、CDのミスマッチ及び/又はSEM像のミスマッチ)は、MLモデルをトレーニングするコスト関数に組み込むことができる。一例として、SEM信号を含む測定データは、像変換をガイドするために使用され得る。さらに、この機構は、トレーニングデータを使用して測定設定(例えば、CD測定設定)を取得することと、それを変換された像に適用して、パターン付き基板に関連する測定値(例えば、CD)を取得することとを含む。これらの測定値は、別のSEMシステム(例えば、基準SEMシステム)によって取得されたかのようになる。
【0008】
[0008] 一実施形態では、機械学習モデルをトレーニングし、トレーニング済みの機械学習モデルを使用して計測データを変換するための方法が提供される。本方法は、第1の走査電子計測(SEM)システムによって取得された第1のSEMデータセット及び第2のSEMシステムによって取得された第2のSEMデータセットにアクセスすることであって、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、パターン付き基板に関連することを含む。第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットをトレーニングデータとして使用して、トレーニング済みのMLモデルが、第2のSEMシステムによって取得された計測データセットを、第1のSEMシステムによって取得される計測データと同等の特性を有する変換データセットに変換するように構成されるように、機械学習(ML)モデルがトレーニングされる。
【0009】
[0009] 一実施形態では、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットは、パターン付き基板の像セット、パターン付き基板上のフィーチャのコンター、パターン付き基板上のパターンに関連する物理的特性、又はそれらの組み合わせであってもよい。一実施形態では、物理的特性が、パターン付き基板上のパターンのクリティカルディメンジョン(CD)を含む。
【0010】
[0010] 一実施形態では、MLモデルをトレーニングすることが、第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとを比較することと、比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、を含む。
【0011】
[0011] 一実施形態では、MLモデルをトレーニングすることが、信号対信号マッチング又はCD対CDマッチングを含む。例えば、MLモデルをトレーニングすることは、第1のSEMデータセットの第1のCD値と第2のSEMデータセットの第2のCD値とを比較することと、比較に基づいて、第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとの間のCDマッチングを向上させるようにMLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、を含み、コスト関数は、第1のCD値及び第2のCD値の関数である。
【0012】
[0012] 一実施形態では、本方法は、第1のSEMシステムからの第1のSEMデータセット及び基板の物理的特性測定値に基づいて、計測システムの計測測定レシピを受信することと、別の物理的特性測定値を決定するために、変換計測データに計測測定レシピを適用することと、をさらに含み得る。一実施形態では、計測測定レシピは、CD測定が行われる捕捉された計測データ上の位置を示すCD閾値を含む。
【0013】
[0013] 一実施形態では、計測測定レシピを決定することが、第1のコンター抽出アルゴリズムにより、第1のSEMデータセットの像からコンターを抽出することと、CDを測定するためにコンターを横切る位置に切断線を引くことと、切断線に沿った信号に基づいて、測定されたCDに対応するCD閾値を決定することと、を含む。
【0014】
[0014] 一実施形態では、計測システムが提供される。計測システムは、トレーニング済み機械学習(ML)モデルが記憶され、実行されるとコンピュータシステムに、パターン付き基板の計測データを捕捉することと、トレーニング済みMLモデルを介して、捕捉された計測データを変換計測データに変換することであって、変換計測データが、別の計測システムによって捕捉されたかのような特性を有することと、を行わせるコンピュータプログラム命令でプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むプロセス又はコンピュータシステムを含む。
【0015】
[0015] 一実施形態では、命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータシステムが提供される。命令は、コンピュータによって実行されると、上記の方法ステップを実施する。
【0016】
[0016] 上記の態様並びに他の態様及び特徴は、添付の図面と併せて特定の実施形態の以下の説明を検討することで、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[0017]一実施形態による、リソグラフィシステムの様々なサブシステムのブロック図を示す。
図2】[0018]一実施形態による、特定の計測システムによって取得された像を、別の計測システムによって取得されたかのような像に変換するための方法の例示的なフローチャートである。
図3】[0019]一実施形態による、第1の計測システム及び第2の計測システムによって取得された例示的な測定データを示す。
図4】[0020]一実施形態による、図3で取得された像の一部内の信号を示す。
図5】[0021]一実施形態による、敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いたMLモデルの例示的なトレーニングを示す。
図6A】[0022]一実施形態による、変換像を生成するために、第2の計測システムによって取得された第2の像を、図2のトレーニング済みモデルに入力することを示す。
図6B】[0023]一実施形態による、第1の計測システムによって取得された例示的な第1の像を示し、例示的な像は、比較のために図6Aの変換像に隣接して配置されている。
図7】[0024]一実施形態による、第1の像、第2の像、並びに図6A及び図6Bの変換像の一部内の信号を示し、第1の像の信号及び変換像の信号は、互いにオーバーラップし、変換像が第1の像と類似の特性を有することを示している。
図8】[0025]一実施形態による、第2の計測システムによって取得された像を、第1の計測システムによって取得されたかのような像に変換するように構成された機械学習(ML)モデルの例示的トレーニング、及び測定値を決定するためのトレーニング済みMLモデルの適用のブロック図である。
図9】[0026]一実施形態による、走査電子顕微鏡(SEM)の実施形態を模式的に描く。
図10】[0027]一実施形態による、電子ビーム検査装置の実施形態を概略的に示す。
図11】[0028]一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0029] 実施形態を詳細に説明する前に、実施形態が実施され得る環境例を示すことは有益である。
【0019】
[0030] 本文書では、ICの製造について具体的に言及する場合があるが、本明細書の説明は、多くの他の可能な適用例を有することが明示的に理解されるべきである。例えば、本明細書の説明は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造に用いられ得る。当業者であれば、そのような代替の用途という文脈において、本書での「レチクル」、「ウェーハ」、又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれ、「マスク」、「基板」、及び「ターゲット部分」というより一般的な用語と交換可能であるとみなされるべきであることを理解するであろう。
【0020】
[0031] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲内の波長を有する)を含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用され得る。
【0021】
[0032] パターニングデバイスは、1つ又は複数のデザインレイアウトを含むか、又は形成することができる。デザインレイアウトは、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムを利用して生成することができ、このプロセスは、しばしばEDA(電子設計自動化)と呼ばれる。ほとんどのCADプログラムは、機能的なデザインレイアウト/パターニングデバイスを作成するために、一連の所定のデザインルールに従う。これらのルールは、処理及びデザインの制約によって設定される。例えば、デザインルールは、デバイス又は線が望ましくない方法で互いに相互作用しないことを確実にするために、デバイス(ゲート、キャパシタなど)又は相互接続線間のスペース公差を定義する。デザインルールの制約の1つ又は複数を「クリティカルディメンジョン」(CD)と呼ぶことがある。デバイスのクリティカルディメンジョンは、線若しくは穴の最小幅、又は2つの線若しくは2つの穴の間の最小スペースとして定義することができる。したがって、CDは、デザインされたデバイスの全体的なサイズ及び密度を決定する。当然ながら、デバイス製造の目標の1つは、(パターニングデバイスを介して)基板上に元のデザイン意図を忠実に再現することである。
【0022】
[0033] パターンレイアウトデザインは、一例として、光近接効果補正(OPC)などの解像度向上技術の適用を含み得る。OPCは、基板上に投影されたデザインレイアウトの像の最終的なサイズ及び配置が、パターニングデバイス上のデザインレイアウトのサイズ及び配置と同一でない、又は単にそれらのみに依存しないという事実に対処する。「マスク」、「レチクル」、「パターニングデバイス」という用語は、本明細書では同義で使用されることに留意されたい。また、当業者であれば、「マスク」、「パターニングデバイス」、及び「デザインレイアウト」という用語は、同義で使用することができ、RETの文脈の場合のように、必ずしも物理的なパターニングデバイスが使用されるわけではなく、物理的なパターニングデバイスを表すためにデザインレイアウトが使用され得ることを認識するであろう。あるデザインレイアウトに存在する小さなフィーチャサイズ及び高いフィーチャ密度の場合、所与のフィーチャの特定のエッジの位置は、隣接する他のフィーチャの有無によってある程度影響を受ける。このような近接効果は、あるフィーチャから別のフィーチャに結合される微量の放射、又は回折及び干渉などの非幾何学的光学効果から生じる。同様に、近接効果は、一般的にリソグラフィの後に行われるポストベーク(PEB)、レジスト現像、及びエッチング中の拡散及び他の化学効果から生じる場合もある。
【0023】
[0034] デザインレイアウトの投影像が所与のターゲット回路デザインの要件に適合する可能性を高めるために、デザインレイアウトの高度な数値モデル、補正、又は予歪を使用して、近接効果を予測し、補償することができる。論文“Full-Chip Lithography Simulation and Design Analysis - How OPC Is Changing IC Design”, C. Spence, Proc. SPIE, Vol. 5751, pp 1-14 (2005)は、現在の「モデルベースの」光近接効果補正プロセスの概要を提供している。一般的なハイエンドデザインでは、ターゲットデザインに対する投影像の高い忠実性を達成するために、デザインレイアウトのほとんど全てのフィーチャに何らかの修正が加えられている。これらの修正には、エッジ位置又は線幅のシフト又はバイアス、及び他のフィーチャの投影をアシストすることを意図した「アシスト」フィーチャの適用が含まれ得る。
【0024】
[0035] アシストフィーチャは、パターニングデバイス上のフィーチャとデザインレイアウトにおけるフィーチャとの差とみなすことができる。「メインフィーチャ」及び「アシストフィーチャ」という用語は、パターニングデバイス上の特定のフィーチャが、どちらか一方とラベル付けされなければならないことを暗示するものではない。
【0025】
[0036] 本明細書で用いられる「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、入ってくる放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応したパターン付き断面を付与するために使用することができる一般的なパターニングデバイスを指すものと広く解釈することができ、「ライトバルブ」という用語も、この文脈で使用されることがある。従来のマスク(透過型又は反射型、バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例としては、以下が挙げられる:
- プログラマブルミラーアレイ。このようなデバイスの一例は、粘弾性制御層及び反射面を有するマトリックスアドレス可能面である。このような装置の背後にある基本原理は、(例えば)反射面のアドレスエリアが、入射放射を回折放射として反射し、一方、非アドレスエリアが、入射放射を非回折放射として反射する、ということである。適切なフィルタを使用して、前述の非回折放射を反射ビームから除去し、回折放射のみを後に残すことができ、このようにして、ビームが、マトリックスアドレス可能面のアドレッシングパターンに従ってパターン付与される。必要とされるマトリックスアドレッシングは、適切な電子手段を使用して実施することができる。
- プログラマブルLCDアレイ。このような構造の一例が、本明細書に組み込まれる米国特許第5,229,872号によって与えられる。
【0026】
[0037] 簡単な前置きとして、図1は例示的なリソグラフィ投影装置10Aを示す。主なコンポーネントは、深紫外線エキシマレーザ源、又は極端紫外線(EUV)源を含む他のタイプのソースであり得る、放射源12A(本明細書で考察するように、リソグラフィ投影装置自体は、放射源を有する必要がない)と、部分コヒーレンス(シグマとして表す)を例えば定義する照明光学系であって、ソース12Aからの放射を整形する光学系14A、16Aa、及び16Abを含み得る照明光学系と、パターニングデバイス18Aと、パターニングデバイスパターンの像を基板面22A上に投影する透過光学系16Acと、である。投影光学系の瞳面における調節可能フィルタ又はアパーチャ20Aは、基板面22Aに衝突するビーム角の範囲を制限することがあり、ここで、可能な最大角は、投影光学系の開口数NA=n sin(Θmax)を定義し、式中、nは、基板と投影光学系の最後の素子との間の媒体の屈折率であり、及びΘmaxは、まだ基板面22Aに衝突し得る投影光学系から出るビームの最大角である。
【0027】
[0038] リソグラフィ投影装置では、ソースは、照明(すなわち、放射)をパターニングデバイスに提供し、並びに投影光学系は、パターニングデバイスを介して、基板上へと照明の誘導及び整形を行う。投影光学系は、コンポーネント14A、16Aa、16Ab、及び16Acの少なくとも幾つかを含み得る。空間像(AI)は、基板レベルにおける放射強度分布である。基板上のレジスト層は、露光され、空間像は、潜在的な「レジスト像」(RI)としてレジスト層に転写される。レジスト像(RI)は、レジスト層中のレジストの溶解度の空間分布として定義することができる。レジストモデルを使用して空間像からレジスト像を計算することができ、その例は、米国特許出願公開第2009/0157360号に見ることができ、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。レジストモデルは、レジスト層の特性(例えば、露光、PEB、及び現像中に生じる化学プロセスの影響)のみに関係する。リソグラフィ投影装置の光学特性(例えば、ソース、パターニングデバイス、及び投影光学系の特性)は、空間像を決定付ける。リソグラフィ投影装置で使用されるパターニングデバイスを変更できるので、パターニングデバイスの光学特性を、少なくともソース及び投影光学系を含む、リソグラフィ投影装置の残りの部分の光学特性から切り離すことが望ましい場合がある。
【0028】
[0039] 本文書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及する場合があるが、本明細書に記載されるリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造などの他の適用例を有し得ることが理解されるべきである。当業者であれば、そのような代替の用途という文脈において、本明細書での「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」というより一般的な用語と同意語であると見なされ得ることを理解するであろう。本明細書において言及される基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、露光済みレジストを現像するツール)において、又は計測若しくは検査ツールにおいて処理され得る。適用可能な場合には、本明細書の開示は、そのような基板処理ツール及び他の基板処理ツールに適用され得る。さらに、基板は、例えば多層ICを作製するために、複数回処理されることがあり、本明細書で使用される基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことがある。
【0029】
[0040] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5~20nmの範囲の波長を有する)、及びイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含する。
【0030】
[0041] 半導体製造では、パターン付き基板の1つ又は複数の物理的特性(例えば、CD、EPE、オーバーレイなど)を測定するために、類似の原理で動作する複数の計測システムが用いられ得る。動作原理は類似し得るが、複数の計測システムは、機械的サブシステム、電気的サブシステム、電子機器、画像処理アルゴリズム、コンター抽出アルゴリズム、又は測定値のばらつきに至る可能性のある他の構造的及びソフトウェアコンポーネントなど、様々な態様において互いに異なる。しかしながら、同じパターン付き基板上のパターン、又は異なるツールを使用して行われた異なるパターン付き基板上のパターンの測定値がマッチすることが望ましい。異なる計測システム間で一貫した測定値を得るために、基準(又は基準)計測システムによって取得されたデータとマッチする計測データが望まれる場合がある。例えば、第1のツール(例えば、基準計測システム)を使用して得られたパターン付き基板の計測データは、第2のツールを使用して得られた同じパターン付き基板の計測データとマッチすべきである。このようにして、ツール間のばらつきに起因するばらつきは、測定結果のばらつきから大幅に低減又は除去され、測定結果のばらつきは、有利に、正確に基板のばらつきを示す。一実施形態では、基準計測システムは、第2の計測システムと同じサプライヤのものであってもよいし、又は異なるサプライヤのものであってもよい。例えば、ツールは、異なる製造業者又は同じ製造業者によって供給される異なるプロセスモデル又はデザインを含み得る。場合によっては、ツールが同じプロセスモデルを含むが、挙動が異なる、すなわちツール間にばらつきがある場合がある。
【0031】
[0042] 既存の手法では、計測データ(例えば、パターン付きフィーチャのSEM像又はコンター)を取得した後、計測データから測定値(例えば、CD)を抽出するために、計測システム設定(例えば、第2の計測ツールの調整可能なパラメータ)を決定することができる。例えば、計測システム設定は、基準計測システムを使用して得られたCDと最良のCDマッチ結果を得るように決定され得る。多くの場合、複数又は全ての利用可能なパラメータを調整したとしても、仕様にマッチする測定値(例えばCD)がかなえられない場合がある。一実施形態において、計測設定は、ドーズ量、視野(FOV)、又は第2の計測ツールの他のパラメータなどの調整可能なパラメータを含み得る。一実施形態では、ドーズ量、FOVなどの調整可能なパラメータは、第1のツールからの測定値と第2のツールからの測定値との間のCD対CDマッチングを得るために修正されない場合がある。例えば、第2の計測ツールは、第1の計測ツールと比較して、より高いドーズ量を使用し、より速い像取得速度を有し、又はより大きなFOVを有し得る。これらの調整可能なパラメータは、より高速な計測測定に有利である。また、このようなパラメータを変更することにより、測定値にさらなる差を生じさせる異なる帯電効果を有する場合がある。そのため、一実施形態では、速度及びFOVなどの有利な調整可能パラメータが修正されない場合があり、一方、SEM像からのCD測定中に適用されるCD閾値などの他のパラメータは修正される場合がある。したがって、第2の計測システムの有利な設定を維持しながら、第1の計測ツールからの測定結果のマッチングを達成することができる。
【0032】
[0043] 本開示は、機械学習モデルを使用して、第2の計測ツールから得られた計測データ(例えば、SEM像又はコンター)を変換する機構を提供する。変換された計測データは、別の計測ツール(例えば、基準計測システム)とマッチするか、又は別の計測ツールから計測データを取得することと同等である。例えば、本明細書の機構は、あるSEMシステムによって取得された像を、別のSEMシステムによって取得されるような像に変換するために、機械学習(ML)モデルをトレーニングすることを含む。一実施形態では、MLモデルは、信号、CD値、又はSEMシステムによって決定された他の特性を、別のSEMシステムによって取得されるように変換することができる。したがって、変換された像に対して行われるパターン付きフィーチャの物理的特性の測定は、他のSEMシステムによって取得された像に対して測定を行うことと同等となる(例えば、マッチする)。一実施形態では、異なるツールからの計測データ間の差(例えば、CDのミスマッチ及び/又はSEM像のミスマッチ)は、MLモデルをトレーニングするためのコスト関数に組み込むことができる。一例として、SEM像信号(例えば、強度値)を含む計測データは、変換をガイドするために使用されてもよい。
【0033】
[0044] さらに、この機構は、(例えば、基準計測システムからの)基準計測データを使用して、測定設定(例えば、CD測定値を取得するために使用されるCD閾値などの計測システム設定)を取得することを含む。これらの設定は、変換された像に適用して、パターン付き基板に関連する測定値(例えば、CD)を得ることができ、測定値は、例えば、基準計測システムによって取得されたかのようになる。一実施形態では、計測システムは、異なるSEMシステム、例えば、基準SEMシステム及び別の異なるSEMシステムであってもよい。計測システム例は、図9及び図10に関して図示及び説明されている。一実施形態では、本明細書の機構は、このような計測システムによって捕捉された像(例えば、SEM像)を用いて使用することができる。
【0034】
[0045] 本開示の機構にはいくつかの利点がある。例えば、類似のパターンに関連する一貫した測定値を、異なる計測ツールを使用して得ることができる。計測ツールが、測定値の取得、像からのコンターの抽出、フィーチャ又はコンターを識別するための画像強調、像又はコンターのセグメンテーション、基準との像又はコンターのアライメント、測定値の導出などに異なるアルゴリズムを使用する場合でも、本明細書の機構を適用した後に得られる最終的な測定値は、基準計測システムからの測定値に近いマッチングを提供する。一実施形態では、第1の計測データと第2の計測データとの間のマッチングは、第1の計測データと第2の計測データとの間の差、計測データに関連する統計、計測データ内の検出の強度値、又は他のマッチングパラメータによって特徴付けることができる。一例として、近いマッチングとは、差分閾値、基準統計、基準強度値、又はマッチング基準データを特徴付けるために使用される他の方法に関するマッチングを指す。
【0035】
[0046] 本明細書における機構は、パターン付き基板の測定値に実質的なばらつきを生じさせることなく、半導体チップのより高速な生産のために異なる計測システムを用いることも可能にし得る。したがって、基準計測システムからの測定値に基づいて行われるパターニングプロセスの調節は実質的に同じままであり、それによって、所望のスループットを得るためにパターニングプロセスの類似の生産設定を維持することができる。
【0036】
[0047] 図2は、一実施形態による、特定の計測システムによって取得された計測データを、別の計測システムによって取得されたかのような特性を有する計測データに変換するための方法300の例示的なフローチャートである。一実施形態では、方法300は、計測データを変換するためにMLモデルをトレーニングすることを含む。MLモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、深層畳み込みニューラルネットワーク(DNN)、敵対的生成ネットワーク(GAN)、又は他のタイプのニューラルネットワークであってもよい。トレーニングは、同じパターン付き基板の計測データセットに基づいてもよいが、異なる計測システムによって取得され得る。MLモデルは、未知のアルゴリズム、異なる測定レシピ、異なる計測ツール構成又は作用原理などに起因し得る、異なるシステムからの計測データの差を学習する。トレーニングにより、トレーニング済みMLモデルは、異なるシステム(例えば、基準計測システム)を使用して測定された計測データを予測することができる。したがって、トレーニング済みMLモデルは、異なる計測システムが使用される場合に、パターン付き基板の測定における一貫性を向上させるために有利に使用することができる。方法300の例示的な実施態様は、MLモデルをトレーニングするためのプロセスP301及びP303を含む。さらに、プロセスP305、P307、P309、及びP311は、計測データを変換し、及びパターン付き基板の測定値を予測するためのトレーニング済みMLモデルを適用するために含まれ得る。これらのプロセスは、以下でより詳細に説明する。
【0037】
[0048] プロセスP301は、同じパターン付き基板(例えば、パターン付きトレーニング基板)について、異なる計測ツールからトレーニングデータを取得することを含む。一実施形態では、プロセスP301は、第1の計測システムTS1によって取得された第1の計測データセットMD1及び第2の計測システムTS2によって取得された第2の計測データセットMD2にアクセスすることを含む。例えば、第1の走査電子計測(SEM)システムによって取得された第1のSEMデータセットと、第2のSEMシステムによって取得された第2のSEMデータセットと、にアクセスする。第1の計測データセットMD1(例えば、第1のSEMデータセット)及び第2の計測データセットMD2(例えば、第2のSEMデータセット)は、同じパターン付き基板に関連する。一実施形態では、MLモデルのトレーニングに使用される計測データセットをトレーニングデータと呼び、パターン付き基板をトレーニング基板と呼ぶことがある。
【0038】
[0049] 一実施形態では、第1の計測データセットMD1及び第2の計測データセットMD2は、それぞれ、第1の計測システムTS1(例えば、SEMなどの基準計測システム)及び第2の計測システムTS2(例えば、別のSEM)から取得されたパターン付き基板(又はトレーニング基板)の像(例えば、SEM像)の一セットを含み得る。したがって、第1の計測データセットMD1は、第1のSEM像セットと呼ばれることがあり、第2の計測データセットMD2は、第2のSEM像セットと呼ばれることがある。一実施形態において、第1の計測データセットMD1及び第2の計測データセットMD2は、パターン付き基板上のフィーチャのコンターを含み得る。一実施形態において、コンターは、パターン付き基板の像(例えば、SEM像)から抽出され得る。一実施形態において、第1の計測システムTS1によって抽出された第1のコンターは、第1の抽出アルゴリズム(例えば、固定又は調整不可能なパラメータを有する未知のアルゴリズム)を用いることができ、第2の計測システムTS2によって抽出された第2のコンターは、第1のアルゴリズムとは異なる第2の抽出アルゴリズム(例えば、調整可能なパラメータを有する既知のアルゴリズム)を用いることができる。一実施形態では、第1の計測データセットMD1及び第2の計測データセットMD2は、パターン付き基板上のパターンに関連する物理的特性(例えば、CD、オーバーレイなど)を含み得る。
【0039】
[0050] 一実施形態では、第1の計測システムは、CD測定値を出力することができるが、CD測定値を決定するために使用される実施の詳細(例えば、アルゴリズム、画像処理など)は不明であることがある。本開示は、第1の計測システムからのCD測定値にマッチするように第2の計測システムの1つ又は複数のパラメータを調節する(例えば、トレーニング済みMLモデルによって変換像を生成する)機構を提供する。例えば、第2の計測システムを用いて捕捉されたSEM像が第1の計測システムと異なる場合、第2の計測システムのパラメータを調整するだけでは、満足のいくCD対CDマッチング結果が得られない場合がある。しかしながら、本明細書のトレーニング済みMLモデルを使用して第2の計測システムの捕捉像を変換し、そのような変換像に基づいてパラメータ(例えば、CD閾値)を調整することにより、所望のCD対CDマッチング、又は他の測定マッチング結果を有利に達成することができる。
【0040】
[0051] 図3は、一実施形態による、第1の計測システムTS1及び第2の計測システムTS2によって取得されたパターン付き基板Wの例示的な計測データを示す。本例では、第1の計測システムTS1は、基準計測システム、例えば第1のSEMであってもよい。第1の計測システムTS1は、パターン付き基板W又はパターン付き基板Wの一部の第1の像IMG1(例えば、SEM像)を捕捉することができる。一例として、SEM像IMG1は、基板W上にパターニングされたフィーチャ(例えばF、基板W上にはマークが付けられていない)に対応するフィーチャF1(像IMG1内の明るい色の楕円形状部分によって表される)を含む。一実施形態では、フィーチャF1を横切って切断線CL1を引き、切断線CL1に沿ったピクセルの強度値を測定してもよい。これらの強度値は、第1の信号S1として表される(図5を参照)。
【0041】
[0052] 同様に、第2の計測システムTS2は、第1のSEMとは異なる別の計測システム、例えば第2のSEMであってもよい。第2の計測システムTS2は、パターン付き基板W又はパターン付き基板Wの一部の第2の像IMG2(例えば、別のSEM像)を捕捉することができる。例えば、SEM像IMG2は、基板W上にパターニングされた同じフィーチャ(例えばF、基板W上にはマークが付けられていない)に対応するフィーチャF1’(像IMG2内の明るい色の楕円形状部分によって表される)を含む。一実施形態では、フィーチャF1’を横切って切断線CL1を引いて、切断線CL1に沿ったピクセルの強度値を測定してもよい。これらの強度値は、第2の信号S2として表される(図5を参照)。
【0042】
[0053] 図5において、基板W上にパターニングされた同じフィーチャについて第1の信号S1と第2の信号S2とを比較すると、第1の計測システムTS1及び第2の計測システムTS2が、同じフィーチャについて異なる測定値を生成し得ることが分かる。例えば、CDが第1の信号S1に基づいて切断線CL1に沿って測定される場合、測定されたCDは、第2の信号S2に基づいて測定されたCDとは異なる。一例として、CDは、信号の隣接するピーク間の距離の関数として定義されるCD閾値に基づいて測定されてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、同一又は異なる製造業者によって供給される異なるデザイン構成(例えば、異なる製品モデル)を有する場合がある。同じフィーチャに対する信号の差は、ツールの構造的な差(機械的、電気的、及び電子的構成などにおいてデザインされたシステムの差など)、システムTS1及びTS2によって用いられるアルゴリズムの差(信号取得機構、信号処理アルゴリズム、画像強調機構など)、各システムTS1及びTS2の測定中に用いられるレシピの差(コンター抽出アルゴリズム、切断線配置アルゴリズムなど)、又はシステムTS1とシステムTS2との間の他の既知若しくは未知の差に関連し得る。いくつかの実施形態では、システムは、同じデザイン構成(例えば、同じ製品モデル)を有する場合があり、測定値の差は、製造、アセンブリ、及び/又はシステムドリフトなどのばらつきによって生じる意図しないシステムのばらつきに起因し得る。
【0043】
[0054] 図3に戻り、像IMG1内のフィーチャF1に対応するコンターC1を抽出することができる。一実施形態では、コンターC1は、第1の計測システムTS1に実装された第1のアルゴリズムを使用して抽出されてもよい。一実施形態では、第1のコンター抽出アルゴリズムの実装詳細は、コンターC1を抽出する際にアルゴリズム内のそのようなパラメータが調節可能でない場合があるため、未知であるか、又は固定である場合がある。一実施形態では、計測システム構成は、基準として扱われるため固定であってもよく、特定の差又は差の原因に関する知識は必要とされない場合がある。一実施形態では、このようなコンターC1を第1の計測データとして使用することができる。同様に、像IMG2内のフィーチャF1’に対応する別のコンターC2が抽出されてもよい。一実施形態では、コンターC2は、第2の計測システムTS2に実装された第2のアルゴリズムを使用して抽出されてもよい。一実施形態では、抽出アルゴリズムの実装詳細は、既知であってもよく、コンターを調節する間に、第2のアルゴリズムの1つ又は複数のパラメータ(例えば、フィーチャのエッジを特徴付ける強度閾値、ガウスシグマなどの抽出モデルパラメータなど)が調節可能であってもよい。
【0044】
[0055] 一実施形態では、抽出されたコンターC1に基づいて、フィーチャF1のCDなどの特性の値が決定され得る。一実施形態において、CDは、フィーチャF1の長さに沿った2つの端部間の距離の平均に基づいて決定されてもよい。同様に、抽出されたコンターC2に基づいて、フィーチャF1’のCDなどの物理的特性の値が決定されてもよい。一実施形態において、フィーチャF1及びF1’のCD値を決定するために同じアルゴリズムが使用されてもよい。本開示は、特定の測定方法に限定されない。例えば、CDは、計測システムの線形モード又は閾値モードで測定され得る。別の例では、CD値を決定するために、フィーチャのいくつかの隣接する位置の最大値、最小値、又は平均値を使用してもよい。さらに別の例では、コンターC1及びC2の形状フィッティングが行われ得る。さらに別の例では、強度閾値、信号平滑化ウィンドウサイズ、フィーチャのエッジ位置を求めるための開始点、又は他の調整可能なパラメータなどのパラメータは、所望のCD対CDマッチ結果のために行われてもよい。
【0045】
[0056] 本開示は、特定の技術を用いて測定値を抽出することに限定されない。コンター抽出及び調節アルゴリズムに基づいて決定されたCD測定値は例示的なものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではない。一実施形態では、計測システムは、画像処理アルゴリズム及び/又はCD測定アルゴリズムを用いて、像から、基板上にパターニングされたフィーチャのコンターを抽出することなく、フィーチャのCDを決定することができる。
【0046】
[0057] しかしながら、コンターC1及びC2がそれぞれ導出される像IMG1及びIMG2の固有の差により、基板W上にパターニングされた同じフィーチャの測定CDは異なるものとなる。
【0047】
[0058] 本開示において、トレーニング済みMLモデルは、第2の計測データ(例えば、第2の信号S2)が第1の計測データ(例えば、第1の信号S1)と極めてマッチするように第2の計測データを変換するように構成される。したがって、変換された計測データ(例えば、第2の信号S2の変換されたバージョン)を使用して行われた測定は、類似の測定値を有し得る。
【0048】
[0059] 図2に戻り、プロセスP303は、第1の計測データセットMD1及び第2の計測データセットMD2に基づいてMLモデルをトレーニングすることを含む。トレーニングプロセスの完了後、トレーニング済みMLモデルTMLは、第2の計測システムによって取得された計測データセットを、第1の計測システムTS1(例えば、基準計測システム)によって取得されたかのような特性を有する変換データセットに変換するように構成される。
【0049】
[0060] 一実施形態では、MLモデルのトレーニングは、パターニングされたトレーニング基板の第1の計測データセットMD1と第2の計測データセットMD2とを比較することを含む。比較に基づいて、MLモデルのパラメータは、MLモデルのトレーニングに使用されるコスト関数に影響を与えるように調節され得る。例えば、コスト関数は、第1の計測データセットMD1と第2の計測データセットMD2との間の差の関数であってもよい。MLモデルのパラメータ(例えば、重み)が調節されるにつれて、コスト関数値(例えば、差分値)は徐々に減少する。一実施形態では、コスト関数は最小化される。一実施形態では、MLモデルパラメータの調節は、所与の反復回数に達したとき、コスト関数値が所望の閾値内にあるとき、コスト関数値がその後の反復で有意に減少しないとき、又は他の停止基準に達したときに停止される。
【0050】
[0061] 一実施形態では、MLモデルのトレーニングは、第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとの間のCD対CD又は信号対信号のマッチングを得るために行われる。例えば、MLモデルのトレーニングは、第1のSEMデータセットの第1のCD値と第2のSEMデータセットの第2のCD値とを比較することと、比較に基づいて、第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとの間のCDマッチングを向上させるようにMLモデルのトレーニングに使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することとを含み、コスト関数は、第1のCD値及び第2のCD値の関数である。
【0051】
[0062] 一実施形態では、MLモデルのトレーニングは、同じデザインレイアウトとアライメントされた計測データを含むトレーニングデータセットを使用することを含む。例えば、第1の計測データセットMD1の第1の像セット(例えば、第1のSEM像)は、デザインレイアウト像とアライメントされてもよい。別の例として、第1のコンターは、デザインレイアウトのデザインコンターとアライメントされてもよい。同様に、第2の計測データセットMD2の第2の像セット(例えば、別のSEM像)は、デザインレイアウト像と一緒であってもよく、又は第2のコンターは、デザインレイアウトのデザインコンターとアライメントされてもよい。一実施形態において、アライメントされた第1の像セット(又はアライメントされた第1のコンター)及びアライメントされた第2の像セット(又はアライメントされた第2のコンター)は、MLモデルをトレーニングするためのトレーニングデータとして使用されてもよい。
【0052】
[0063] 一例として、MLモデルのトレーニングは、第1の像セットからの強度値と第2の像セットからの強度値とを比較することと、比較に基づいて、MLモデルのトレーニングに使用されるコスト関数に影響を与えるようにMLモデルのパラメータを調節することとを含む。一実施形態では、第1の像セットの各ピクセルの強度値は、第2の像セットの対応するピクセルの強度値と比較され得る。
【0053】
[0064] 一実施形態では、MLモデルのトレーニングは、反復プロセスである。各反復は、(i)調節されたパラメータを有するMLモデルを使用して、第2の計測データセットMD2を、変換計測データセットMD2’に変換することと、(ii)第1の計測データセットMD1からの強度値と、変換計測データセットMD2’からの強度値とを比較することと、(iii)比較に基づいて、(例えば、所望の閾値内にあるように、又は最小化されるように)コスト関数に影響を与えるようにMLモデルのパラメータをさらに調節することと、(iv)コスト関数が所望の閾値内にあるか(又は最小化されるか)否かを判定することと、(v)コスト関数が所望の閾値内にない(又は最小化されない)ことに応答して、ステップ(i)~(iv)を繰り返すことと、を含む。
【0054】
[0065] 一実施形態では、コスト関数は、計測データセットMD1と計測データセットMD2との間の差を含み得る。例えば、コスト関数は、第1の計測データセットMD1からの第1の強度値と、第2の計測データセットMD2又は変換されたデータセットMD2’からの対応する第2の強度値と、の間の差を含み得る。一実施形態において、強度値は、第1の計測データセットMD1及び第2の計測データセットMD2からフィーチャを横切って引かれた切断線に沿って決定されてもよい。一実施形態では、強度値を決定することは、第1の計測データセットMD1及び第2の計測データセットMD2から切断線に沿ってピクセル強度値を決定することを含む。
【0055】
[0066] 一実施形態では、強度値を決定することは、第1の計測データセットMD1に対して第1の計測システムTS1に関連する第1のコンター抽出アルゴリズムを適用することと、第2の計測データセットMD2に対して第2の計測システムTS2に関連する第2のコンター抽出アルゴリズムを適用することと、を含む。
【0056】
[0067] 一実施形態では、MLモデルをトレーニングするプロセスP303は、敵対的生成ネットワークを用いる。この例では、トレーニングプロセスは、ディスクリミネータモデルと共に、ジェネレータモデルをトレーニングすることを含む。ジェネレータモデルは、第2の計測データセットMD2を入力として使用して、第1の計測データセットMD1に類似するデータを生成するようにトレーニングすることができ、生成されたデータを第1の計測データセットMD1から区別するようにディスクリミネータモデルをトレーニングすること。ジェネレータモデル及びディスクリミネータモデルは、ジェネレータモデルが現実的なデータ(例えば、基準データにマッチする)を生成する一方で、ディスクリミネータモデルがそのようなジェネレータモデルデータをおそらく非現実的なものとして分類するように、互いに連携してトレーニングされ得る。
【0057】
[0068] GANの例示的なトレーニングプロセスは、反復プロセスである。各トレーニング反復は、トレーニングデータ(例えば、MD2及びMD1)からトレーニングサンプル(例えば、図4のいくつかのアライメントされた像IMG1及びIMG2)をランダムに選択するステップ(i)と、MD2からの選択された入力データを変換データMD2’に変換するようにジェネレータモデルをトレーニングし、変換データMD2’及び基準データMD1を使用してディスクリミネータモデルをトレーニングするステップ(ii)と、を含み得る。ディスクリミネータモデルをトレーニングするためのコスト関数は、ディスクリミネータモデルが変換データMD2’を偽(又は偽物)として分類し、基準データMD1を真(又は本物)として分類するように、ディスクリミネータモデルの重みを調節するように構成することができる。例えば、ディスクリミネータ関連のコスト関数は、本物及び偽物の像に割り当てられる確率を最大化することができる。ジェネレータモデルのコスト関数は、例えば、ジェネレータ出力がディスクリミネータによって偽と分類される確率を最小化するように構成された2つの部分を含み得る。第1の部分は、ディスクリミネータモデルに変換データMD2’を真(又は本物)とラベル付けさせるように構成された項を含み得る。第2の部分は、像MD2’と像MD1との間のピクセルごとの強度差などの項を含み得る。第2の部分は、ジェネレータモデルが現実的な変換データMD2’を生成するように低減(例えば、最小化)されてもよい。上記のトレーニングプロセス(例えば、ステップ(i)及び(ii))は、所望の結果が得られるまで繰り返される。
【0058】
[0069] 図5は、一実施形態による、敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いたMLモデルの例示的なトレーニングを示す。一例として、MLモデルは、ジェネレータモデルGM及びディスクリミネータモデルDMを含む。ジェネレータモデルGMは、入力として計測データを受信し、基準データに類似するデータを生成するように構成されてもよい。例えば、ジェネレータモデルGMは、第2の計測システム(例えば、図3のTS2)によって取得された計測データ(例えば、SEM像IMG2又はコンター)を受信し、計測データ(例えば、PIMG2又はコンター)を生成するように構成される。一実施形態では、生成された計測データは、生成された計測データが第1の計測システム(例えば、図3のTS1)によって取得されたかのような特性(例えば、強度、フィーチャの形状、フィーチャのサイズなど)を有する。ディスクリミネータモデルDMは、ジェネレータモデルGMによって出力された生成データを受信し、ジェネレータデータが基準データと類似しているか否かを判定するように構成される。例えば、ディスクリミネータモデルDMは、生成された計測データ(例えば、PIMG2)を受信し、生成された計測データ(例えば、PIMG2)が基準データ(例えば、SEM像IMG1)に類似しているか否かを判定するように構成される。トレーニングプロセス中に、ジェネレータモデルGM及びディスクリミネータモデルDMは、ジェネレータモデルGMが現実的な像を漸進的に生成し、ディスクリミネータモデルがこれらの生成された像を偽(偽物)として分類しようとするように、互いに競合する。
【0059】
[0070] 図5(A)に示す例では、ディスクリミネータモデルDMは、生成された第2の像PIMG2を入力として、及び基板(例えば、図3のW)の第1の像IMG1を基準データとして用いてトレーニングされ得る。一実施形態では、ディスクリミネータモデルDMは、入力像を第1のカテゴリ(例えば、REALとラベル付けされる)又は第2のカテゴリ(例えば、FAKEとラベル付けされる)に分類する。例えば、第1のカテゴリは、基準データを指し、第2のカテゴリは、モデル(例えば、GM)によって生成されたデータを指す。一実施形態において、ディスクリミネータモデルDMの重みWTSは、DMモデルが生成像PIMG2をREALと判定するまで調節されてもよい。一実施形態では、REALは、ディスクリミネータモデルDMが生成像PIMG2に割り当てるラベルを指し、REALは、生成像PIMG2が第1の像IMG1に類似していることを示す。一実施形態では、ディスクリミネータモデルDMの重みWTSの調節は、コスト関数CFによってガイドされる。一実施形態では、コスト関数CFは、第1の像IMG1と生成像PIMG2との間の差の関数であってもよい。一実施形態において、差は、ラベル(例えば、本物対偽物、像の強度差など)によって特徴付けられてもよい。
【0060】
[0071] 図5(B)に示す例では、ジェネレータモデルGMは、基板(例えば、図3のW)の第2の像IMG2を入力として用い、基板(例えば、図3のW)の第1の像IMG1を基準データとして用いてトレーニングされてもよい。一実施形態では、ジェネレータモデルGMは、入力像(例えば、IMG2)を、基準データ(例えば、IMG1)に類似した特性(例えば、像の強度、強度勾配、又は他の像特性)を有する像PIMG2に変換する。
【0061】
[0072] 一実施形態において、ジェネレータモデルGMの重みWTS’は、コスト関数CFに基づいて調節されてもよい。一実施形態では、コスト関数CFは、第1の像IMG1と生成像PIMG2との間の差の関数であってもよく、ディスクリミネータモデルDMが生成像PIMG2を第2のカテゴリに分類するか第1のカテゴリに分類するかの関数であってもよい。一実施形態では、コスト関数は、像PIMG2と像IMG1との間の差が低減され(一実施形態では、最小化され)、生成像PIMG2がディスクリミネータモデルDMによって第1のカテゴリ(例えば、REAL)に分類されるように、ジェネレータモデルGMの重みWTS’の調節をガイドする。
【0062】
[0073] 一実施形態では、トレーニング済みMLモデルTMLは、MLモデルがトレーニングされる、計測ツールによって捕捉された計測データを変換するために適用され得る。一例として、方法300は、プロセスP305及びP307をさらに含み得る。プロセスP305は、第2の計測システムTS2を介して、(例えば、MLモデルのトレーニングに使用される基板とは異なる)パターン付き基板の計測データ310を捕捉することを含む。プロセスP307は、トレーニング済みMLモデルTMLを介して、捕捉された計測データ310を変換計測データ311に変換することを含む。パターン付き基板の変換計測データ311は、第1の計測システムTS1によって捕捉されたかのような特性を有する。
【0063】
[0074] 図6Aは、一実施形態による、変換像605を生成するために、第2の計測システム(例えば、TS2)によって取得された第2の像601を、(例えば、方法300に従ってトレーニングされた)トレーニング済みMLモデルTMLに入力することを示す。図6Bは、第1の計測システムによって取得された例示的な第1の像610を示す。第1の像610及び第2の像601は、同じ基板に関連する。変換像605と第1の像610との比較は、これらの像が互いに極めてマッチしていることを示す。例えば、図7は、像601、605、及び610の各々におけるフィーチャを横切って引かれた切断線に沿った信号(例えば、強度値)を示す。(図6Aの)第2の像601から得られた信号S10と、第1の像610から得られた信号S30との比較は、強度値にかなりの差があることを示す。一方、変換像605から得られた信号S20と信号S30とは、互いに極めてマッチする。例えば、信号が極めてマッチするか否かは、信号間の差をとることによって判定することができる。したがって、変換像605は、像605内のフィーチャの物理的特性に関連する測定を行うために有利に使用することができる。
【0064】
[0075] 一実施形態では、計測レシピは、第1の計測システムTS1から取得された第1の計測データに基づいて決定されてもよい。計測レシピは、パターン付き基板上のパターンの物理的特性(例えば、CD、オーバーレイなど)の測定値を決定するために、トレーニング済みMLモデルTMLから得られた変換計測データに対してさらに使用されてもよい。一例として、方法300は、プロセスP307及びP311をさらに含み得る。プロセスP309は、第1の計測システムTS1からの第1の計測データセットMD1及びパターン付き基板の物理的特性測定値PC1に基づいて、第2の計測システムTS2のための計測測定レシピ315を決定することを含む。例えば、計測測定レシピ315は、CD測定が行われる、捕捉された計測データ311上の位置を示すCD閾値を含む。一実施形態では、計測測定レシピ315を決定することは、第1のコンター抽出アルゴリズムを介して、第1の計測データセットMD1の像からコンターを抽出すること、コンターを横切る位置で切断線(例えば、図3の線CL1)を横切るCDを測定すること、及び切断線に沿った信号(例えば、図4の第1の信号S1)に基づいて、測定されたCDに対応するCD閾値を決定することを含む。
【0065】
[0076] 一実施形態において、パターン付き基板の計測データ(例えば、310)は、第2の計測システムTS2を使用して捕捉されてもよく、捕捉された計測データ(例えば、311)は、トレーニング済みMLモデルTMLを使用して変換されてもよい。プロセスP311は、変換計測データ311に対して行われてもよい。プロセスP311は、パターン付き基板の物理的特性測定値PC2を決定するために、変換計測データ311に計測測定レシピ315を適用することを含む。例えば、物理的特性測定値PC2は、クリティカルディメンジョン(CD)測定値、オーバーレイ測定値、エッジ配置誤差、又はパターン付き基板に関連する他の特性であってもよい。
【0066】
[0077] 図8は、一実施形態による、計測データを変換し、変換計測データを使用して測定値を決定するために行われる例示的動作のブロック図である。例えば、計測システム(例えば、SEM)によって取得された計測データは、基準計測システムの測定挙動にマッチするように変換される。一実施形態では、動作801は、MLモデルをトレーニングするためのトレーニングデータを取得することを含み、MLモデルは、基準計測ツールによって取得される計測データと同等となるように計測データを変換する。一実施形態では、トレーニングデータは、(図3の)プロセスP301に関して説明したように得られたパターン付き基板(例えば、トレーニング基板)の計測データセットを含む。例えば、計測データセットは、第1の計測システムTS1及び第2の計測システムTS2からそれぞれ取得された像IMG1及びIMG2を含む。一実施形態では、像IMG1及びIMG2をデザインレイアウトにアライメントさせて、トレーニングデータとして使用されるアライメントされた像AIMG1及びAIMG2を生成することができる。
【0067】
[0078] 動作803において、トレーニングデータは、MLモデルのトレーニングに使用される。MLモデルは、(図3の)プロセスP303に従ってトレーニングされてもよい。トレーニング後、トレーニング済みMLモデルTMLが得られる。
【0068】
[0079] 動作805において、測定されるパターン付き基板の計測データ810(例えば、SEM像又はコンター)が得られてもよい。例えば、計測データ810は、基準計測システム以外の計測システムから取得される。さらに、計測データ810をトレーニング済みMLモデルTMLに入力して、計測データ810を変換データ820に変換してもよい。
【0069】
[0080] 動作811において、基準計測データ(例えば、IMG1)及び基準測定値(例えば、IMG1に関連するCD値)が、基準計測システムから得られ得る。このデータに基づいて、計測レシピR1が決定されてもよい。例えば、計測レシピは、フィーチャのCD値を決定するために、像IMG1におけるフィーチャを横切る切断線に沿った信号に適用されるCD閾値を含む。
【0070】
[0081] 動作813において、計測レシピR1は、パターン付き基板の物理的特性(例えば、CD)の測定値830を決定するために、変換計測データ820に適用され得る。変換計測データは、基準計測システムによって取得されたものと同等であり、測定レシピR1も基準計測システムに対応しているため、測定値830は、基準計測ツールによって取得されたものと同等となる。したがって、変換計測データ820と計測レシピR1との組み合わせは、基準計測システムと一致した測定値を有利に提供する。
【0071】
[0082] 幾つかの実施形態では、検査装置又は計測装置は、基板上に露光又は転写された構造(例えば、デバイスの一部又は全ての構造)の像を得る走査電子顕微鏡(SEM)であり得る。図13は、SEMツールの実施形態を描く。電子源ESOから放出された一次電子ビームEBPは、コンデンサレンズCLによって集束され、次いで、ビーム偏向器EBD1、E×B偏向器EBD2、及び対物レンズOLを通過し、基板テーブルST上の基板PSubを焦点において照射する。
【0072】
[0083] 基板PSubに電子ビームEBPを照射すると、基板PSubから二次電子が発生する。二次電子は、E×B偏向器EBD2によって偏向され、二次電子検出器SEDによって検出される。例えば、ビーム偏向器EBD1による電子ビームの二次元スキャンと、又はX若しくはY方向での基板テーブルSTによる基板PSubの連続移動と一緒のX若しくはY方向の他方でのビーム偏向器EBD1による電子ビームEBPの反復スキャンと同期して、サンプルから発生した電子を検出することによって、二次元電子ビーム像を得ることができる。
【0073】
[0084] 二次電子検出器SEDによって検出された信号は、アナログ/デジタル(A/D)変換器ADCによってデジタル信号に変換され、デジタル信号は、画像処理システムIPUに送信される。一実施形態では、画像処理システムIPUは、処理ユニットPUによる処理のためにデジタル像の全て又は一部を記憶するためのメモリMEMを有し得る。処理ユニットPU(例えば、特別に設計されたハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ)は、デジタル像を変換又は処理して、デジタル像を表すデータセットにするように構成される。さらに、画像処理システムIPUは、デジタル像及び対応するデータセットを参照データベースに記憶するように構成された記憶媒体STORを有し得る。ディスプレイデバイスDISは、画像処理システムIPUと接続されることがあり、その結果、オペレータは、機器の必要な操作を、グラフィカルユーザインターフェースの助けを借りて行うことができる。
【0074】
[0085] 上述のように、SEM像は、像内の、デバイス構造を表す、オブジェクトのエッジを描くコンターを抽出するために処理され得る。これらのコンターは、CDなどの測定基準を用いて定量化される。したがって、通常、デバイス構造の像は、エッジ間距離(CD)又は像間の単純なピクセル差などの、単純な測定基準を用いて比較され定量化される。CDを測定するために像内のオブジェクトのエッジを検出する典型的なコンターモデルは、像勾配を使用する。確かに、これらのモデルは、強い像勾配に依存している。しかし、実際には、像は通常、ノイズが多く、不連続な境界を有する。平滑化、適応的閾値処理、エッジ検出、侵食、及び拡張などの技術が、像勾配コンターモデルの結果を処理して、ノイズが多く不連続な像に対処するために使用され得るが、これらの技術は、最終的には、高解像度像の低解像度定量化につながる。したがって、大抵の場合、ノイズを低減しエッジ検出を自動化するためのデバイス構造の像の数学的操作は、像の解像度の損失につながり、それにより、情報の損失につながる。それゆえ、その結果は、複雑で高解像度の構造の単純な表現になる、低解像度の定量化である。
【0075】
[0086] そのため、例えば、構造が、潜在的なレジスト像内にあるか、現像されたレジスト像内にあるか、又は例えばエッチングにより、基板上の層であって、解像度を維持しながらさらには構造の一般的な形状を表すことができる基板上の層に転写されているかどうかにかかわらず、パターニングプロセスを使用して生成されるか又は生成されることが期待される構造(例えば、回路フィーチャ、アライメントマーク又は計測ターゲット部分(例えば、格子フィーチャ)など)の数学的な表現を有することが望ましい。リソグラフィ又は他のパターニングプロセスの文脈において、構造は、製造中のデバイス又はその一部であり得、像は、構造のSEM像であり得る。場合により、構造は、半導体デバイス、例えば集積回路のフィーチャであり得る。この場合、構造は、半導体デバイスの複数のフィーチャを含むパターン又は所望のパターンと称されることがある。場合により、構造は、オブジェクト(例えば、基板)と別のオブジェクト(例えば、パターニングデバイス)とのアライメントを決定するためにアライメント測定プロセスで使用される、アライメントマーク、若しくはその一部(例えば、アライメントマークの格子)であり得るか、又は、パターニングプロセスのパラメータ(例えば、オーバーレイ、焦点、ドーズ量など)を測定するために使用される、計測ターゲット、若しくはその一部(例えば、計測ターゲットの格子)であり得る。一実施形態では、計測ターゲットは、例えばオーバーレイを測定するために使用される回折格子である。
【0076】
[0087] 図10は、検査装置のさらなる実施形態を模式的に示す。システムは、サンプルステージ88上のサンプル90(基板など)を検査するために使用され、荷電粒子ビームジェネレータ81と、コンデンサレンズモジュール82と、プローブ形成対物レンズモジュール83と、荷電粒子ビーム偏向モジュール84と、二次荷電粒子検出器モジュール85と、画像形成モジュール86と、を含む。
【0077】
[0088] 荷電粒子ビームジェネレータ81は、一次荷電粒子ビーム91を発生させる。コンデンサレンズモジュール82は、生成された一次荷電粒子ビーム91を集光する。対物レンズモジュール83を形成するプローブは、集光された一次荷電粒子ビームを荷電粒子ビームプローブ92に集束させる。荷電粒子ビーム偏向モジュール84は、形成された荷電粒子ビームプローブ92を、サンプルステージ88上に固定されたサンプル90上の関心対象エリアの表面にわたってスキャンする。一実施形態では、荷電粒子ビームジェネレータ81、コンデンサレンズモジュール82、及びプローブ形成対物レンズモジュール83、又はそれらの同等のデザイン、代替物、若しくはそれらの任意の組み合わせは、スキャン用の荷電粒子ビームプローブ92を発生させる荷電粒子ビームプローブジェネレータを一緒になって形成する。
【0078】
[0089] 二次荷電粒子検出器モジュール85は、サンプル表面から放出された二次荷電粒子93(サンプル表面から反射又は散乱された他の荷電粒子も伴う可能性がある)を検出して、荷電粒子ビームプローブ92によって衝突された時点で、二次荷電粒子検出信号94を生成する。画像形成モジュール86(例えば、コンピュータデバイス)は、二次荷電粒子検出器モジュール85と結合されて、二次荷電粒子検出器モジュール85から、二次荷電粒子検出信号94を受け取り、それに応じて、少なくとも1つのスキャン像を形成する。一実施形態では、二次荷電粒子検出器モジュール85及び画像形成モジュール86、又はそれらの同等のデザイン、代替物、若しくはそれらの任意の組み合わせは、荷電粒子ビームプローブ92によって衝突されたサンプル90から放出された、検出された二次荷電粒子からスキャン像を形成する画像形成装置を一緒になって形成する。
【0079】
[0090] 一実施形態では、モニタリングモジュール87は、画像形成モジュール86から受け取ったサンプル90のスキャン像を使用して、パターニングプロセスをモニタリングして制御するために及び/又はパターニングプロセスのデザイン、制御、モニタリングなどのためのパラメータを導出するために、画像形成装置の画像形成モジュール86に結合される。そのため、一実施形態では、モニタリングモジュール87は、本明細書で説明する方法を実行させるように構成又はプログラムされる。一実施形態では、モニタリングモジュール87は、コンピュータデバイスを含む。一実施形態では、モニタリングモジュール87は、本明細書における機能を提供するためのコンピュータプログラムであって、モニタリングモジュール87を形成する又はその中に配置されたコンピュータ可読媒体上にエンコードされたコンピュータプログラムを含む。
【0080】
[0091] 一実施形態では、プローブを使用して基板を検査する図9の電子ビーム検査ツールと同じように、図10のシステム内の電子電流が、例えば図9に描かれているようなCD-SEMに比べて著しく大きいので、プローブスポットが十分に大きく、その結果、検査速度が速い可能性がある。しかしながら、分解能は、大きなプローブスポットのため、CD-SEMに比べて高くない場合がある。一実施形態では、上記で考察した検査装置は、本開示の範囲を限定することなく、単一ビーム又はマルチビーム装置であり得る。
【0081】
[0092] 例えば図9及び/又は図10のシステムからのSEM像は、像内の、デバイス構造を表す、オブジェクトのエッジを描くコンターを抽出するために処理され得る。次いで、これらのコンターは通常、ユーザ定義の切断線において、CDなどの測定基準を用いて定量化される。したがって、通常、デバイス構造の像は、抽出されたコンター上で測定されたエッジ間距離(CD)又は像間の単純なピクセル差などの、測定基準を用いて比較され定量化される。
【0082】
[0093] 一実施形態では、プロセス300の1つ若しくは複数の手順は、コンピュータシステムのプロセッサ(例えば、コンピュータシステム100のプロセス104)における命令(例えば、プログラムコード)として実施することができる。一実施形態では、計算効率を高めるために、手順が複数のプロセッサに分散され得る(例えば、並列計算)。一実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読媒体上に記憶された命令を有し、命令は、コンピュータハードウェアシステムによって実行されたときに、本明細書で説明する方法を実施する。
【0083】
[0094] 図11は、本明細書で開示する方法、フロー、又は装置の実装を支援することができるコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、バス102又は情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバス102と結合されたプロセッサ104(又は複数のプロセッサ104及び105)と、を含む。コンピュータシステム100は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイスなどの、プロセッサ104によって実行される情報及び命令を保存するためにバス102に結合されたメインメモリ106も含む。メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を保存するためにも使用されてもよい。コンピュータシステム100は、リードオンリーメモリ(ROM)108、又はプロセッサ104のための静的情報及び命令を保存するためにバス102に結合された他の静的ストレージデバイスをさらに含む。情報及び命令を保存するための磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が設けられると共に、バス102に結合される。
【0084】
[0095] コンピュータシステム100は、バス102を介して、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)、フラットパネル、又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合されてもよい。英数字及び他のキーを含む入力デバイス114が、情報及びコマンド選択をプロセッサ104に通信するためにバス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ104に方向情報及びコマンド選択を通信するため、及びディスプレイ112上でカーソルの移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部116である。この入力デバイスは、一般的に、2つの軸(第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy))において、デバイスがある面内で位置を特定することを可能にする2つの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイが、入力デバイスとして使用されてもよい。
【0085】
[0096] ある実施形態によれば、本明細書における1つ又は複数の方法の部分は、メインメモリ106に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ104に応答して、コンピュータシステム100によって行われてもよい。このような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込まれてもよい。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に本明細書に記載のプロセスステップを行わせる。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の1つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。ある代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と一緒に、ハードワイヤード回路が用いられてもよい。したがって、本明細書の記載は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0086】
[0097] 本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。このような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バス102を含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有したその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体を含む。
【0087】
[0098] コンピュータ可読媒体の様々な形態が、実行のためにプロセッサ104に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運ぶことに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスクにある場合がある。リモートコンピュータは、命令をそれの動的メモリにロードし、及びモデムを使用して電話回線上で命令を送ることができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、及び赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、及びそのデータをバス102にのせることができる。バス102は、データをメインメモリ106に搬送し、そこからプロセッサ104が、命令の読み出し及び実行を行う。メインメモリ106によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ104による実行の前又は後に、ストレージデバイス110に保存されてもよい。
【0088】
[0099] コンピュータシステム100は、バス102に結合された通信インターフェース118も含み得る。通信インターフェース118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120に結合する双方向データ通信も提供する。例えば、通信インターフェース118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するデジタル総合サービス網(ISDN)カード又はモデムでもよい。別の例として、通信インターフェース118は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードでもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施において、通信インターフェース118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号の送信及び受信を行う。
【0089】
[00100] ネットワークリンク120は、一般的に、1つ又は複数のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通して、ホストコンピュータ124又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)126によって操作されるデータ機器への接続を提供することができる。ISP126は、次に、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般に「インターネット」128と呼ばれる)によるデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122及びインターネット128は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号を使用する。コンピュータシステム100に対して、及びコンピュータシステム100からデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、及びネットワークリンク120上の、及び通信インターフェース118を通る信号は、情報を運ぶ搬送波の形態例である。
【0090】
[00101] コンピュータシステム100は、1つ又は複数のネットワーク、ネットワークリンク120、及び通信インターフェース118を通して、メッセージを送信すること、及びプログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネット例では、サーバ130は、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122、及び通信インターフェース118を通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。そのようなダウンロードされたあるアプリケーションは、本明細書における方法の全て又は一部を提供することができる。受信されたコードは、受信された際にプロセッサ104によって実行されてもよく、及び/又は後で実行するためにストレージデバイス110又は他の不揮発性ストレージに保存されてもよい。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形態のアプリケーションコードを取得してもよい。
【0091】
[00102] 以下の条項によって、本開示の実施形態をさらに説明することができる。
1.命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令がコンピュータによって実行されると計測システムに関連するデータを変換するための方法を実施し、方法が、
第1の走査電子計測(SEM)システムによって取得された第1のSEMデータセット及び第2のSEMシステムによって取得された第2のSEMデータセットにアクセスすることであって、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットがパターン付き基板に関連することと、
第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットをトレーニングデータとして使用して、トレーニングされた機械学習(ML)モデルが、第2のSEMシステムによって取得された計測データセットを第1のSEMシステムによって取得される計測データと同等の特性を有する変換データセットに変換するように構成されるように、MLモデルをトレーニングすることと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
2.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項1に記載の媒体。
3.第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、パターン付き基板の像セットを含む、条項2に記載の媒体。
4.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMシステムによって取得された第1の像セットと、第2のSEMシステムによって取得された第2の像セットと、を比較することと、
比較に基づいて、MLモデルへの入力として第2の像セットを使用して、第1の像セットとML生成像との間のマッチングを向上させるようにMLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項3に記載の媒体。
5.第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、
パターン付き基板上のフィーチャのコンター、及び/又は、
パターン付き基板上のパターンに関連する物理的特性
を含む、条項2に記載の媒体。
6.物理的特性が、パターン付き基板上のパターンのクリティカルディメンジョン(CD)を含む、条項4に記載の媒体。
7.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットの第1のCD値と第2のSEMデータセットの第2のCD値とを比較することと、
比較に基づいて、第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとの間のCDマッチングを向上させるようにMLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるようにMLモデルのパラメータを調節することであって、コスト関数が、第1のCD値及び第2のCD値の関数であることと、
を含む、条項5に記載の媒体。
8.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットの第1の像セット又は第1のコンターを、デザインレイアウトのデザインレイアウト像又はデザインコンターとアライメントすることと、
第2のSEMデータセットの第2の像セット又は第2のコンターを、デザインレイアウトのデザインレイアウト像又はデザインコンターとアライメントすることと、
機械学習モデルをトレーニングするために使用されるトレーニングデータとして、アライメントされた第1の像セット及びアライメントされた第2の像セットを使用することと、
を含む、条項3に記載の媒体。
9.MLモデルをトレーニングすることが、
第1の像セットからの強度値と第2の像セットからの強度値とを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項6に記載の媒体。
10.MLモデルをトレーニングすることが、反復プロセスであり、各反復が、
(i)調節されたパラメータを有するMLモデルを介して、及び第1のSEMデータセットを使用して、第2のSEMデータセットを変換することと、
(ii)第1のSEMデータセットからの強度値と、変換されたデータセットからの強度値とを比較することと、
(iii)比較に基づいて、所望の閾値内にあるようにコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータをさらに調節することと、
(iv)コスト関数が所望の閾値内にあるか否かを判定することと、
(v)コスト関数が所望の閾値内にないことに応答して、ステップ(i)~(iv)を繰り返すことと、
を含む、条項7に記載の媒体。
11.コスト関数が、第1のSEMデータセットからの第1の強度値と、第2のSEMデータセット又は変換されたデータセットからの対応する第2の強度値と、の間の差である、条項8に記載の媒体。
12.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットから、フィーチャを横切って引かれた切断線に沿って強度値を決定することを含む、条項7に記載の媒体。
13.強度値を決定することが、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットから切断線に沿ってピクセル強度値を決定することを含む、条項10に記載の媒体。
14.強度値を決定することが、
第1のSEMシステムに関連する第1のコンター抽出アルゴリズムを第1のSEMデータセットに適用することと、
第2のSEMシステムに関連する第2のコンター抽出アルゴリズムを第2のSEMデータセットに適用することと、
を含む、条項11に記載の媒体。
15.第2のSEMシステムを介して、他のパターン付き基板の計測データを捕捉することと、
トレーニング済みMLモデルを介して、捕捉された計測データを変換計測データに変換することであって、他のパターン付き基板の変換計測データが、第1のSEMシステムによって捕捉されたかのような特性を有することと、
をさらに含む、条項1に記載の媒体。
16.第1のSEMシステムからの第1のSEMデータセット及びパターン付き基板の物理的特性測定値に基づいて、第2のSEMシステムの計測測定レシピを決定することと、
第2のSEMシステムを使用して、パターン付き基板の計測データを捕捉することと、
トレーニング済み機械学習モデルを使用して、捕捉された計測データを変換することと、
別の物理的特性測定値を決定するために、変換された計測データに計測測定レシピを適用することと、
をさらに含む、条項1に記載の媒体。
17.物理的特性測定値が、クリティカルディメンジョン(CD)測定値、オーバーレイ測定値、及びエッジ配置誤差のうちの少なくとも1つを含む、条項14に記載の媒体。
18.計測測定レシピが、CD測定が行われる捕捉された計測データ上の位置を示すCD閾値を含む、条項15に記載の媒体。
19.計測測定レシピを決定することが、
第1のコンター抽出アルゴリズムにより、第1のSEMデータセットの像からコンターを抽出することと、
CDを測定するためにコンターを横切る位置に切断線を引くことと、
切断線に沿った信号に基づいて、測定されたCDに対応するCD閾値を決定することと、
を含む、条項16に記載の媒体。
20.第1のSEMシステムが第1の製造業者によって製造され、第2の計測システムが第2の製造業者によって製造される、条項1に記載の媒体。
21.MLモデルが、畳み込みニューラルネットワークである、条項1に記載の媒体。
22.MLモデルが、敵対的生成ネットワークアーキテクチャを使用してトレーニングされ、MLモデルが、ジェネレータモデル及びディスクリミネータモデルを含む、条項1に記載の媒体。
23.MLモデルのトレーニングが、
第1のSEMデータセットに類似したデータを生成するために、第2のSEMデータセットを入力として使用して、ディスクリミネータモデルと共にジェネレータモデルをトレーニングすることと、
生成されたデータを第1のSEMデータセットから区別するようにディスクリミネータモデルをトレーニングすることと、
を含む、条項20に記載の媒体。
24.トレーニング済み機械学習(ML)モデルが記憶され、実行されるとコンピュータシステムに、
パターン付き基板の計測データを捕捉することと、
トレーニング済みMLモデルを介して、捕捉された計測データを変換計測データに変換することであって、変換計測データが、別の計測システムによって捕捉されたかのような特性を有することと、
を行わせるコンピュータプログラム命令でプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータシステムを備えた、計測システム。
25.コンピュータシステムが、MLモデルをトレーニングさせられ、トレーニングが、
第1のSEMシステムによって取得された第1のSEMデータセット及び計測システムによって取得された第2のSEMデータセットにアクセスすることであって、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、トレーニング基板に関連することと、
第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットをトレーニングデータとして使用して、トレーニング済みの機械学習(ML)モデルが、計測システムによって取得された計測データセットを、第1のSEMシステムによる計測データと同等の特性を有する変換データセットに変換するように構成されるように、MLモデルをトレーニングすることと、
を含む、条項22に記載の計測システム。
26.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項23に記載の計測システム。
27.第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、トレーニング基板の像セットを含む、条項24に記載の計測システム。
28.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMシステムによって取得された第1の像セットと、第2のSEMシステムによって取得された第2の像セットと、を比較することと、
比較に基づいて、MLモデルへの入力として第2の像セットを使用して、第1の像セットとML生成像との間のマッチングを向上させるようにMLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項27に記載の計測システム。
29.第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、
トレーニング基板上のフィーチャのコンター、及び/又は、
トレーニング基板上のパターンに関連する物理的特性
を含む、条項25に記載の計測システム。
30.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットの第1の像セット又は第1のコンターを、デザインレイアウトのデザインレイアウト像又はデザインコンターとアライメントすることと、
第2のSEMデータセットの第2の像セット又は第2のコンターを、デザインレイアウトのデザインレイアウト像又はデザインコンターとアライメントすることと、
機械学習モデルをトレーニングするために使用されるトレーニングデータとして、アライメントされた第1の像セット及びアライメントされた第2の像セットを使用することと、
を含む、条項27に記載の計測システム。
31.MLモデルをトレーニングすることが、
第1の像セットからの強度値と第2の像セットからの強度値とを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項30に記載の計測システム。
32.MLモデルをトレーニングすることが、反復プロセスであり、各反復が、
(i)調節されたパラメータを有するMLモデルを介して、及び第1のSEMデータセットを使用して、第2のSEMデータセットを変換することと、
(ii)第1のSEMデータセットからの強度値と、変換されたデータセットからの強度値とを比較することと、
(iii)比較に基づいて、所望の閾値内にあるようにコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータをさらに調節することと、
(iv)コスト関数が所望の閾値内にあるか否かを判定することと、
(v)コスト関数が所望の閾値内にないことに応答して、ステップ(i)~(iv)を繰り返すことと、
を含む、条項31に記載の計測システム。
33.コスト関数が、第1のSEMデータセットからの第1の強度値と、第2のSEMデータセット又は変換されたデータセットからの対応する第2の強度値と、の間の差である、条項32に記載の計測システム。
34.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットから、フィーチャを横切って引かれた切断線に沿って強度値を決定することを含む、条項31に記載の計測システム。
35.強度値を決定することが、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットから切断線に沿ってピクセル強度値を決定することを含む、条項34に記載の計測システム。
36.強度値を決定することが、
第1のSEMシステムに関連する第1のコンター抽出アルゴリズムを第1のSEMデータセットに適用することと、
計測システムに関連する第2のコンター抽出アルゴリズムを第2のSEMデータセットに適用することと、
を含む、条項35に記載の計測システム。
37.第1のSEMシステムからの第1のSEMデータセット及び基板の物理的特性測定値に基づいて、計測システムの計測測定レシピを受信することと、
別の物理的特性測定値を決定するために、変換計測データに計測測定レシピを適用することと、
をさらに含む、条項36に記載の計測システム。
38.物理的特性測定値が、クリティカルディメンジョン(CD)測定値、オーバーレイ測定値、及びエッジ配置誤差のうちの少なくとも1つを含む、条項37に記載の計測システム。
39.計測測定レシピが、CD測定が行われる捕捉された計測データ上の位置を示すCD閾値を含む、条項38に記載の計測システム。
40.計測測定レシピを決定することが、
第1のコンター抽出アルゴリズムにより、第1のSEMデータセットの像からコンターを抽出することと、
CDを測定するためにコンターを横切る位置に切断線を引くことと、
切断線に沿った信号に基づいて、測定されたCDに対応するCD閾値を決定することと、
を含む、条項39に記載の計測システム。
41.計測システムが、走査電子顕微鏡である、条項24に記載の計測システム。
42.トレーニング済みMLモデルが、畳み込みニューラルネットワークである、条項24に記載の計測システム。
43.MLモデルが、敵対的生成ネットワークアーキテクチャを使用してトレーニングされ、MLモデルが、ジェネレータモデル及びディスクリミネータモデルを含む、条項24に記載の計測システム。
44.MLモデルのトレーニングが、
第1のSEMデータセットに類似したデータを生成するために、第2のSEMデータセットを入力として使用して、ディスクリミネータモデルと共にジェネレータモデルをトレーニングすることと、
生成されたデータを第1のSEMデータセットから区別するようにディスクリミネータモデルをトレーニングすることと、
を含む、条項43に記載の計測システム。
45.計測システムに関連するデータを変換する方法であって、方法が、
第1の走査電子計測(SEM)システムによって取得された第1のSEMデータセット及び第2のSEMシステムによって取得された第2のSEMデータセットにアクセスすることであって、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、パターン付き基板に関連することと、
第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットをトレーニングデータとして使用して、トレーニング済みの機械学習(ML)モデルが、第2のSEMシステムによって取得された計測データセットを、第1のSEMシステムによって取得される計測データと同等の特性を有する変換データセットに変換するように構成されるように、MLモデルをトレーニングすることと、
を含む、方法。
46.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項45に記載の方法。
47.第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、パターン付き基板の像セットを含む、条項46に記載の方法。
48.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMシステムによって取得された第1の像セットと、第2のSEMシステムによって取得された第2の像セットと、を比較することと、
比較に基づいて、MLモデルへの入力として第2の像セットを使用して、第1の像セットとML生成像との間のマッチングを向上させるようにMLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項47に記載の方法。
49.第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットが、
パターン付き基板上のフィーチャのコンター、及び/又は、
パターン付き基板上のパターンに関連する物理的特性
を含む、条項42に記載の方法。
50.物理的特性が、パターン付き基板上のパターンのクリティカルディメンジョン(CD)を含む、条項47に記載の方法。
51.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットの第1のCD値と第2のSEMデータセットの第2のCD値とを比較することと、
比較に基づいて、第1のSEMデータセットと第2のSEMデータセットとの間のCDマッチングを向上させるようにMLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することであって、コスト関数が、第1のCD値及び第2のCD値の関数であることと、
を含む、条項50に記載の方法。
52.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセットの第1の像セット又は第1のコンターを、デザインレイアウトのデザインレイアウト像又はデザインコンターとアライメントすることと、
第2のSEMデータセットの第2の像セット又は第2のコンターを、デザインレイアウトのデザインレイアウト像又はデザインコンターとアライメントすることと、
機械学習モデルをトレーニングするために使用されるトレーニングデータとして、アライメントされた第1の像セット及びアライメントされた第2の像セットを使用することと、
を含む、条項49に記載の方法。
53.MLモデルをトレーニングすることが、
第1の像セットからの強度値と第2の像セットからの強度値とを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項52に記載の方法。
54.MLモデルをトレーニングすることが、反復プロセスであり、各反復が、
(i)調節されたパラメータを有するMLモデルを介して、及び第1のSEMデータセットを使用して、第2のSEMデータセットを変換することと、
(ii)第1のSEMデータセットからの強度値と、変換されたデータセットからの強度値とを比較することと、
(iii)比較に基づいて、所望の閾値内にあるようにコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータをさらに調節することと、
(iv)コスト関数が所望の閾値内にあるか否かを判定することと、
(v)コスト関数が所望の閾値内にないことに応答して、ステップ(i)~(iv)を繰り返すことと、
を含む、条項53に記載の方法。
55.コスト関数が、第1のSEMデータセットからの第1の強度値と、第2のSEMデータセット又は変換されたデータセットからの対応する第2の強度値と、の間の差である、条項54に記載の方法。
56.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットから、フィーチャを横切って引かれた切断線に沿って強度値を決定することを含む、条項53に記載の方法。
57.強度値を決定することが、第1のSEMデータセット及び第2のSEMデータセットから切断線に沿ってピクセル強度値を決定することを含む、条項56に記載の方法。
58.強度値を決定することが、
第1のSEMシステムに関連する第1のコンター抽出アルゴリズムを第1のSEMデータセットに適用することと、
第2のSEMシステムに関連する第2のコンター抽出アルゴリズムを第2のSEMデータセットに適用することと、
を含む、条項57に記載の方法。
59.第2のSEMシステムを介して、他のパターン付き基板の計測データを捕捉することと、
トレーニング済みMLモデルを介して、捕捉された計測データを変換計測データに変換することであって、他のパターン付き基板の変換計測データが、第1のSEMシステムによって捕捉されたかのような特性を有することと、
をさらに含む、条項45に記載の方法。
60.第1のSEMシステムからの第1のSEMデータセット及びパターン付き基板の物理的特性測定値に基づいて、第2のSEMシステムの計測測定レシピを決定することと、
第2のSEMシステムを使用して、パターン付き基板の計測データを捕捉することと、
トレーニング済み機械学習モデルを使用して、捕捉された計測データを変換することと、
別の物理的特性測定値を決定するために、変換された計測データに計測測定レシピを適用することと、
をさらに含む、条項45に記載の方法。
61.物理的特性測定値が、クリティカルディメンジョン(CD)測定値、オーバーレイ測定値、及びエッジ配置誤差のうちの少なくとも1つを含む、条項60に記載の方法。
62.計測測定レシピが、CD測定が行われる捕捉された計測データ上の位置を示すCD閾値を含む、条項61に記載の方法。
63.計測測定レシピを決定することが、
第1のコンター抽出アルゴリズムにより、第1のSEMデータセットの像からコンターを抽出することと、
CDを測定するためにコンターを横切る位置に切断線を引くことと、
切断線に沿った信号に基づいて、測定されたCDに対応するCD閾値を決定することと、
を含む、条項62に記載の方法。
64.第1のSEMシステムが第1の製造業者によって製造され、第2の計測システムが第2の製造業者によって製造される、条項45に記載の方法。
65.MLモデルが、畳み込みニューラルネットワークである、条項45に記載の方法。
66.MLモデルが、敵対的生成ネットワークアーキテクチャを使用してトレーニングされ、MLモデルが、ジェネレータモデル及びディスクリミネータモデルを含む、条項45に記載の方法。
67.MLモデルのトレーニングが、
第1のSEMデータセットに類似したデータを生成するために、第2のSEMデータセットを入力として使用して、ディスクリミネータモデルと共にジェネレータモデルをトレーニングすることと、
生成されたデータを第1のSEMデータセットから区別するようにディスクリミネータモデルをトレーニングすることと、
を含む、条項66に記載の方法。
68.走査電子顕微鏡(SEM)システムによって取得されたSEM像を変換する方法であって、方法が、
第1のEMシステムによって取得された第1のSEM像セット及び第2のSEMシステムによって取得された第2のSEM像セットにアクセスすることであって、第1のSEM像セット及び第2のSEM像セットが、パターン付き基板に関連することと、
第1のSEM像セット及び第2のSEM像セットをトレーニングデータとして使用して、トレーニング済みの機械学習(ML)モデルが、第2のSEMシステムによって取得されたSEM像セットを、第1のSEMシステムによって取得されるSEM像と同等の特性を有する変換像セットに変換するように構成されるように、MLモデルをトレーニングすることと、
を含む、方法。
69.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEM像セットと第2のSEM像セットとを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルをトレーニングするために使用されるコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項68に記載の方法。
70.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEM像セットをデザインレイアウト像とアライメントすることと、
第2のSEM像セットをデザインレイアウト像とアライメントすることと、
機械学習モデルをトレーニングするために使用されるトレーニングデータとして、アライメントされた第1のSEM像セット及びアライメントされた第2のSEM像セットを使用することと、
を含む、条項68に記載の方法。
71.MLモデルをトレーニングすることが、
第1のSEM像セットからの強度値と第2のSEM像セットからの強度値とを比較することと、
比較に基づいて、MLモデルへの入力として第2のSEM像セットを使用して、第1の像セットとML生成像との間の強度値の差を低減するようにコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータを調節することと、
を含む、条項69に記載の方法。
72.MLモデルをトレーニングすることが、反復プロセスであり、各反復が、
(i)調節されたパラメータを有するMLモデルを介して、及び第1のSEM像セットを使用して、第2のSEM像セットを変換することと、
(ii)第1のSEM像セットからの強度値と、変換された像セットからの強度値とを比較することと、
(iii)比較に基づいて、所望の閾値内にあるようにコスト関数に影響を与えるように、MLモデルのパラメータをさらに調節することと、
(iv)コスト関数が所望の閾値内にあるか否かを判定することと、
(v)コスト関数が所望の閾値内にないことに応答して、ステップ(i)~(iv)を繰り返すことと、
を含む、条項71に記載の方法。
73.コスト関数が、第1のSEM像セットからの第1の強度値と、第2のSEM像セット又は変換された像セットからの対応する第2の強度値と、の間の差である、条項72に記載の方法。
74.第2のSEMシステムを介して、他のパターン付き基板のSEM像を捕捉することと、
トレーニング済みMLモデルを介して、捕捉されたSEM像を変換SEM像に変換することであって、他のパターン付き基板の変換SEM像が、第1のSEMシステムによって捕捉された像と同等の特性を有する、変換することと、
をさらに含む、条項68に記載の方法。
75.第1のSEMシステムからの第1のSEM像セット及びパターン付き基板のCD測定値に基づいて、第2のSEMシステムの計測測定レシピを決定することと、
第2のSEMシステムを使用して、パターン付き基板のSEM像を捕捉することと、
トレーニング済みMLモデルを使用して、捕捉されたSEM像を変換することと、
別のCD測定値を決定するために、変換されたSEM像に計測測定レシピを適用することと、
をさらに含む、条項68に記載の方法。
76.計測測定レシピが、CD測定が行われる捕捉されたSEM像上の位置を示すCD閾値を含む、条項75に記載の方法。
77.MLモデルが畳み込みニューラルネットワークである、条項68に記載の方法。
78.MLモデルが、敵対的生成ネットワークアーキテクチャを使用してトレーニングされ、MLモデルが、ジェネレータモデル及びディスクリミネータモデルを含む、条項68に記載の方法。
【0092】
[00103] 本明細書に開示した概念は、シリコンウェーハなどの基板上での結像のために使用され得るが、開示した概念は、任意のタイプのリソグラフィ結像システム、例えばシリコンウェーハ以外の基板上での結像のために使用されるものと共に使用され得ることが理解されよう。
【0093】
[00104] 上記の説明は、限定的ではなく、例示であるように意図されている。したがって、以下に提示する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明したように修正が加えられ得ることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5(A)】
図5(B)】
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】