(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】複合吸着剤含有体および関連する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20241001BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20241001BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20241001BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20241001BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B01J20/26 A
B01J20/20 C
B01J20/18 C
B01J20/30
B01D53/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516785
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022043655
(87)【国際公開番号】W WO2023043918
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ギプソン, ロッキー ディーン
(72)【発明者】
【氏名】スターム, エド エー.
(72)【発明者】
【氏名】グダティ, スバシュ
(72)【発明者】
【氏名】ペルマル, ティネス クマール
(72)【発明者】
【氏名】リービー, モントレー
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA20
4D012CB05
4D012CG01
4D012CG06
4G066AA04B
4G066AA22B
4G066AA61B
4G066AB24B
4G066AC02A
4G066AC07A
4G066AC08A
4G066AC11B
4G066BA20
4G066CA32
4G066CA38
4G066CA41
4G066CA46
4G066DA01
4G066FA02
4G066FA03
4G066FA21
4G066FA25
4G066FA31
(57)【要約】
バインダー中に2つ以上の異なる種類の吸着剤材料を含有し、好ましくは付加製造技術によって調製することができる複合吸着媒体、ならびに付加製造方法によって構造体を調製する方法が記載される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の吸着剤粒子と、
第2の吸着剤粒子と、
第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーと
を含む、複合吸着媒体。
【請求項2】
付加製造方法によって形成された複合材の複数の層を含む、請求項1に記載の複合吸着媒体。
【請求項3】
第1の吸着剤粒子が、金属有機構造体吸着剤、活性炭吸着剤、多孔性有機ポリマー吸着剤またはゼオライト吸着剤を含み、
第2の吸着剤粒子が、第1の吸着剤粒子とは異なる、金属有機構造体吸着剤、活性炭吸着剤、多孔性有機ポリマー吸着剤またはゼオライト吸着剤を含む、
請求項1または2に記載の複合吸着媒体。
【請求項4】
バインダーがポリマーバインダーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合吸着媒体。
【請求項5】
バインダーが無機粒子を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合吸着媒体。
【請求項6】
第1の吸着剤粒子が、第1のガスと第2のガスとを含むガス混合物に含まれる第1のガスを吸着することが可能であり、
第2の吸着剤粒子が、前記ガス混合物に含まれる第2のガスを吸着することが可能である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の複合吸着媒体。
【請求項7】
第1のガスは、第2の吸着剤からの第2のガスの実質的な脱着を伴わずに第1の吸着剤からの第1のガスの選択的脱着を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤に吸着させ、第1の吸着剤から選択的に脱着させることができる、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合吸着媒体。
【請求項8】
第1の吸着剤粒子が、GeF
4を吸着することが可能であり、
第2の吸着剤粒子が、HF、PF
3またはその両方を吸着することが可能であり、
GeF
4ガスは、第1の吸着剤粒子からのGeF
4の脱着および第2の吸着剤粒子からのHF、PF
3またはその両方の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子に吸着させ、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の複合吸着媒体。
【請求項9】
複合吸着媒体本体の形態が、幾何学的形状の粒子、繰り返し格子構造、マトリックス、ハニカム、およびモノリスから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合吸着媒体。
【請求項10】
内部の、請求項1に記載の複合吸着媒体と、
貯蔵容器の内外へのガスの流れを制御するための弁と
を備える、貯蔵容器。
【請求項11】
第1の吸着剤粒子に吸着されたGeF
4と、
第2の吸着剤粒子に吸着されたHF、PF
3またはその両方と
をさらに含み、
GeF
4は、第1の吸着剤粒子からのGeF
4の脱着および第2の吸着剤粒子からのHF、PF
3またはその両方の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項10に記載の貯蔵容器。
【請求項12】
第1の吸着剤粒子に吸着された水素化物(例えば、SiH
4、GeH
4、AsH
3)またはハロゲン化物と、
第2の吸着剤粒子に吸着されたH
2Oと
をさらに含み、
水素化物またはハロゲン化物は、第1の吸着剤粒子からの水素化物またはハロゲン化物の脱着および第2の吸着剤粒子からのH
2Oの低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項10に記載の貯蔵容器。
【請求項13】
第1の吸着剤粒子に吸着された水素化物(例えば、SiH
4、GeH
4、AsH
3)またはハロゲン化物と、
第2の吸着剤粒子に吸着された水素と
をさらに含み、
水素化物は、第1の吸着剤粒子からの水素化物の脱着および第2の吸着剤粒子からの水素の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項10に記載の貯蔵容器。
【請求項14】
第1の吸着剤粒子に吸着されたホスフィンと、
第2の吸着剤粒子に吸着されたジホスフェンと
をさらに含み、
ホスフィンは、第1の吸着剤粒子からのホスフィンの脱着および第2の吸着剤粒子からのジホスフェンの低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項10に記載の貯蔵容器。
【請求項15】
第1の吸着剤粒子に吸着されたゲルマンと、
第2の吸着剤粒子に吸着されたジゲルマンと
をさらに含み、
ゲルマンは、第1の吸着剤粒子からのゲルマンの脱着および第2の吸着剤粒子からのジゲルマンの低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項10に記載の貯蔵容器。
【請求項16】
第1の吸着剤粒子に吸着されたフッ化物(例えば、BF
3、GeF
4、SiF
4、PF
3)と、
第2の吸着剤粒子に吸着されたフッ化水素(HF)と
をさらに含み、
フッ化物は、第1の吸着剤粒子からのフッ化物の脱着および第2の吸着剤粒子からのフッ化水素の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項10に記載の貯蔵容器。
【請求項17】
ガス混合物に含まれる複数の異なるガスを複合吸着媒体に吸着する方法であって、
ガス混合物を複合吸着媒体と接触させることであって、複合吸着媒体が、
第1の吸着剤粒子と、
第2の吸着剤粒子と、
第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーと
を含む、ガス混合物を複合吸着媒体と接触させることと、
ガス混合物に含まれる第1のガスを第1の吸着剤粒子に吸着させることと、
ガス混合物に含まれる第2のガスを第2の吸着剤粒子に吸着させることと
を含む、方法。
【請求項18】
ガス混合物が、試薬ガスおよび2つ以上の不純物を含み、
第1の不純物が、第1の吸着剤粒子上に吸着し、
第2の不純物が、第2の吸着剤粒子上に吸着する、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
試薬ガスが、複合吸着媒体と接触して、吸着されず、
試薬ガスが、半導体製造ツール(例えば、イオン注入ツールまたは堆積ツール)に送達される、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ガス混合物が、試薬ガスと不純物とを含み、
試薬ガスが、第1の吸着剤粒子に吸着し、
不純物が、第2の吸着剤粒子に吸着し、
試薬ガスは、第1の吸着剤からの試薬ガスの脱着および第2の吸着剤からの不純物の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤から選択的に脱着させることができる、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
複合吸着媒体が、内部を有するシリンダと、貯蔵容器の内外へのガスの流れを制御するための弁とを備える貯蔵容器に収容される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第1の吸着剤粒子から試薬ガスを脱着することと、試薬ガスを貯蔵容器から半導体製造ツールに分注することとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
試薬ガスがGeF
4であり、不純物がHF、PF
3またはその両方を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ガス混合物が、試薬ガスと、安定化ガスと、不純物とを含み、
安定化ガスが、第1の吸着剤粒子に吸着し、
不純物が、第2の吸着剤粒子に吸着する、
請求項17に記載の方法。
【請求項25】
ガス混合物が、試薬ガスと不純物とを含む排気ガスを含み、
試薬ガスが、第1の吸着剤粒子に吸着し、
不純物が、第2の吸着剤粒子に吸着し、
試薬ガスは、第1の吸着剤粒子からの試薬ガスの脱着および第2の吸着剤粒子からの不純物の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着させることができる、
請求項17に記載の方法。
【請求項26】
排気ガスが半導体製造ツールからのものである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
不純物が、窒素、ヘリウム、キセノンまたはアルゴンなどの不純物不活性ガスである、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
複合吸着媒体を作製する方法であって、
表面上に第1の供給原料層を形成することであって、供給原料層が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの少なくとも1つを含む供給原料を含む、第1の供給原料層を形成することと、
第1の供給原料層から固化した供給原料を形成することと、
第1の供給原料層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の供給原料層が、吸着媒体粒子を含む供給原料を含む、第2の供給原料層を形成することと、
第2の供給原料層から第2の固化した供給原料を形成することと
を含み、
第1の供給原料層と第2の供給原料層の組合せが、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子を含有する多層複合材を形成する、方法。
【請求項29】
表面上に第1の供給原料層を形成することであって、第1の供給原料層が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの少なくとも1つを含有する供給原料を含む、第1の供給原料層を形成することと、
第1の供給原料層の一部において、固化した供給原料形態第1の供給原料層を生成するために、供給原料層に液体を選択的に適用することと、
固化した供給原料を含有する層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の層が、吸着媒体粒子を含有する供給原料を含む、第2の供給原料層を形成することと、
第2の供給原料層の一部において、第2の固化した供給原料を形成するために、第2の供給原料層に液体を選択的に適用することと
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
供給原料層が、バインダー成分として無機粒子を含み、
液体が蒸留水を含み、
液体を供給原料層に適用することにより、固化した供給原料が生成される、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
液体を凍結させるために、第1の固化供給原料層および第2の供給原料層の温度を摂氏0度未満の温度に低下させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
表面上に第1の供給原料層を形成することであって、第1の供給原料層が、バインダー組成物と、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの少なくとも1つとを含有する供給原料を含む、第1の供給原料層を形成することと、
第1の供給原料層の一部において、第1の供給原料層を含む固化した供給原料を生成するために、第1の供給原料層に選択的に放射線を適用することと、
第1の供給原料層の固化した供給原料を含有する層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の供給原料層が、吸着媒体粒子とバインダー組成物とを含有する供給原料を含む、第2の供給原料層を形成することと、
第2の供給原料層の一部において、第2の固化供給原料層を形成するために、第2の供給原料層に選択的に放射線を適用することと
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
第1の吸着媒体粒子と、第2の吸着媒体粒子と、バインダー組成物とを含有する供給原料を提供することと、
表面上に供給原料の経路を形成するために、表面に供給原料を選択的に適用することであって、経路が上側経路表面を有する、供給原料を選択的に適用することと、
経路の供給原料を固化させることと、次いで、
第2の表面上に供給原料の第2の経路を形成するために、上面に供給原料を適用することと
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
第1の供給原料層のための供給原料および第2の供給原料層のための供給原料の両方が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子を含む、請求項28から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
第1の供給原料層のための供給原料が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの一方を含み、第2の供給原料層のための供給原料が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの他方を含む、請求項28から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
ガス混合物を処理するための複合吸着媒体を調製する方法であって、
第1のガスと第2のガスとを含むガス混合物について、
第1のガスを吸着するための第1の吸着剤粒子を選択することと、
第2のガスを吸着するための第2の吸着剤粒子を選択することと、
複合吸着媒体を形成することであって、複合吸着媒体が、
第1の吸着剤粒子と、
第2の吸着剤粒子と、
第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーと
を含む、複合吸着媒体を形成することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載された発明は、2つ以上の異なる種類の吸着剤材料とバインダーとを含有し、好ましくは付加製造技術によって調製することができる複合吸着媒体、ならびに付加製造方法によって構造体を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料およびデバイスの製造、ならびに様々な他の産業プロセスおよび用途では、化学処理または製造工程に使用される高純度ガス状材料(「試薬ガス」)の信頼性の高い供給源が必要とされている。
【0003】
例示的な試薬ガスには、例えば、とりわけ、イオン注入、エピタキシャル成長、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、メタライゼーション、物理蒸着、化学蒸着、原子層堆積、プラズマ堆積、フォトリソグラフィ、洗浄、およびドーピングなどによる、半導体材料またはマイクロ電子デバイスの処理に使用されるガスが含まれ、これらの使用は、とりわけ、半導体、マイクロ電子、光起電力、およびフラットパネルディスプレイデバイスおよび製品を製造するための方法に含まれる。
【0004】
これらのプロセスのいくつかで使用される特定の試薬ガスの例には、シラン、ゲルマン、アンモニア、ホスフィン、アルシン、ジボラン、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、ジゲルマン、アセチレン、メタン、ならびに対応するおよび他のハロゲン化物(塩素、臭素、ヨウ素、およびフッ素)化合物が含まれる。ガス状水素化物のアルシン(AsH3)およびホスフィン(PH3)は、イオン注入におけるヒ素(As)およびリン(P)の供給源として一般的に使用されている。それらの極度の毒性および比較的高い蒸気圧のために、これらのガスの使用、輸送、または貯蔵は、重大な安全上の懸念を引き起こす。これらのガスは、高度な注意および多くの安全上の予防策を伴って貯蔵、輸送、取り扱い、および使用されなければならない。
【0005】
これらの種類の試薬ガスを貯蔵および送達するための1つの有用な態様は、吸着剤型貯蔵システムによるものである。吸着剤型貯蔵システムでは、固体吸着剤材料は、典型的には、ガス状形態の有用で価値の高い原料(「試薬ガス」)が添加される貯蔵コンテナに収容される。試薬ガスは、貯蔵コンテナからのその後の放出のために吸着剤材料の表面上に吸着される。
【0006】
特定の商業プロセスで使用される非常に高い純度の試薬ガスの必要性は、試薬ガスの純度レベルを改善するための継続的な研究を推進している。研究の多くは、試薬ガスの調製、貯蔵、輸送、および送達中に試薬ガス中に存在する不純物のレベルを低下させる方法に焦点を当てている。試薬ガスの純度レベルを高める具体的な態様としては、試薬ガスを濾過して不純物を除去することが挙げられる。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、第1の吸着剤粒子と、第2の吸着剤粒子と、第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーとを含む、複合吸着媒体に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、ガス混合物に含まれる複数の異なるガスを複合吸着媒体上に吸着する方法に関する。本方法は、ガス混合物を複合吸着媒体と接触させることであって、複合吸着媒体が、第1の吸着剤粒子と、第2の吸着剤粒子と、第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーとを含む、ガス混合物を複合吸着媒体と接触させることと、ガス混合物に含まれる第1のガスを第1の吸着剤粒子上に吸着させることと、ガス混合物に含まれる第2のガスを第2の吸着剤粒子上に吸着させることとを含む。
【0009】
別の態様において、本発明は、複合吸着媒体を作製する方法に関する。本方法は、表面上に第1の供給原料層を形成することであって、供給原料層が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子を含む供給原料を含む、第1の供給原料層を形成することと、第1の供給原料層から固化した供給原料を形成することと、第1の供給原料層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の供給原料層が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子を含む供給原料を含む、第2の供給原料層を形成することと、第2の供給原料層から第2の固化した供給原料を形成することとを含む。組合せ第1および第2の供給原料層は、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子を含有する多層複合材を形成する。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、ガス混合物を処理するための複合吸着媒体を調製する方法に関する。本方法は、第1のガスおよび第2のガスを含むガス混合物について、第1のガスを吸着するための第1の吸着剤粒子を選択することと、第2のガスを吸着するための第2の吸着剤粒子を選択することと、複合吸着媒体を形成することであって、複合吸着媒体が、第1の吸着剤粒子と、第2の吸着剤粒子と、第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーとを含む、複合吸着媒体を形成することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】記載するように、ガス混合物のガスを分離するために複合吸着媒体を使用するシステムおよび方法の例を示す図である。
【
図2A-B】記載するように、ガス混合物のガスを分離するために複合吸着媒体を使用するシステムおよび方法の例を示す図である。
【
図3】記載するように、ガス混合物のガスを分離するために複合吸着媒体を使用するシステムおよび方法の例を示す図である。
【
図4A】付加製造技術によって多層複合吸着媒体を形成する、記載するような方法の例示的な工程を示す図である。
【
図4B】付加製造技術によって多層複合吸着媒体を形成する、記載するような方法の例示的な工程を示す図である
【
図5A】付加製造技術によって多層複合吸着媒体を形成する、記載するような方法の例示的な工程を示す図である。
【
図5B】付加製造技術によって多層複合吸着媒体を形成する、記載するような方法の例示的な工程を示す図である。
【
図6A】付加製造技術によって多層複合吸着媒体を形成する、記載するような方法の例示的な工程を示す図である。
【
図6B】付加製造技術によって多層複合吸着媒体を形成する、記載するような方法の例示的な工程を示す図である。
【
図7A-C】付加製造技術によって多層複合吸着媒体を形成する、記載するような方法の例示的な工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
すべての図は概略図であり、縮尺通りではない。
【0013】
以下は、単一の固体吸着媒体に組み合わされ、バインダーによって一緒に保持された、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する吸着媒体を意味する、「複合吸着媒体」の説明である。2つの異なる種類の吸着剤粒子は、ガス混合物の少なくとも2つの異なるガス状成分を吸着するのに有効である。
【0014】
複合材は、第1の種類の吸着剤と、異なるガスを吸着する親和性に基づいて第1の種類の吸着剤とは機能的に異なる第2の種類の吸着剤と、バインダーとを含む材料で作製される。第1の吸着剤および第2の吸着剤は、バインダーによって一緒に保持され、複合吸着媒体を構成する多孔性マトリックスを形成する。
【0015】
好ましい複合材は、比較的「均一」であると見なすことができ、これは、第1の吸着剤粒子および第2の吸着剤粒子、ならびに任意の追加の吸着剤粒子が、複合体全体にわたって均等に分配され、同時にやはり複合体全体にわたって均等に分配されているバインダーによって一緒に保持されていることを意味する。
【0016】
顕微鏡スケールでは、例えば拡大して、均一な複合体の大部分またはすべての部分は、異なる吸着剤粒子およびバインダーの相対量に関して視覚的に実質的に同様に見え、また、異なる吸着剤粒子は、均一な複合体を通って実質的に均等かつ一様に分配され、第1の吸着剤粒子および第2の吸着剤粒子は、等しい濃度で存在し、同様に複合材全体に分配される。
【0017】
均一な複合材はまた、組成分析に基づいて実質的に一様な組成を示すことができる。複合材の部分の様々な試料を分析的に試験して、金属含有量(濃度)の試験などによって、複合材の化学的構成を識別することができる。均一な複合材の試料は、1%以内、または0.5もしくは0.1%以内の1つまたは複数の金属の濃度など、同様の化学的構成を有する。有用な分析技術の一例は、走査電子顕微鏡エネルギー分散型分光法(SEM/EDS)(エネルギー分散型X線分析(EDXA)またはエネルギー分散型X線微量分析(EDXMA)と呼ばれることもある)である。
【0018】
複合材は、それぞれがガス混合物の異なる種類のガス状成分を吸着するのに有効である、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する。異なる種類の吸着剤粒子は、サイズ選択性または熱力学的選択性に基づき得る吸着特性に基づいて選択することができる。サイズ選択性に基づいて、特定の種類の吸着剤はより小さなサイズの分子を吸着する一方で、他の吸着剤はより大きなサイズの分子を吸着する。ゼオライト吸着剤は、より小さい細孔サイズを有することができ、特定の種類の不純物(例えば、HF)などの比較的小さい粒子を吸着することができる。熱力学的選択性に基づいて、特定の種類の吸着剤は、異なる化学分子に対して異なる化学的親和性の分子を吸着する。
【0019】
特定の例では、第1および第2の吸着剤は、「試薬ガス」と呼ばれる高価値ガスと、高価値試薬ガス中に存在することが知られている不純物ガスとを含むガス混合物中に存在する、2つの異なるガスを吸着するように選択することができる。
【0020】
第1の吸着剤は、試薬ガスを効果的に吸着し、選択的に脱着するように選択される。例示的な試薬ガスには、商業的な製造プロセスに有用な原料が含まれる。例としては、シラン、ゲルマン、アンモニア、ホスフィン、アルシン、ジボラン、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、ジゲルマン、アセチレン、メタン、ならびに対応するおよび他のハロゲン化物(塩素、臭素、ヨウ素、およびフッ素)化合物が挙げられる。ガス状水素化物のアルシン(AsH3)およびホスフィン(PH3)は、イオン注入におけるヒ素(As)およびリン(P)の供給源として一般的に使用されている。
【0021】
これらの例では、第1の吸着剤が「高価値」試薬ガスである第1のガスを吸着するのに有効である場合、第2の吸着剤は、第1のガスとは異なり、試薬ガス中に存在する不要なガス、例えば不純物ガスである第2のガスを吸着するのに有効なものであり得る。第1のガスは、商業的な製造プロセスにおいて有用であるか、またはそうでなければ使用価値のために収集されることが望まれる「高価値」ガスであり得るが、第2のガスは、第1のガスと第2のガスとの混合物として、第1のガスと共に少量存在することが知られている不純物ガスであり得る。ガス混合物は、第2のガスとしての不純物ガスと組み合わせて、少なくとも90、95、99、または99.9%(体積基準)などの高濃度の高価値ガス(例えば、試薬ガス)を含有する混合物であってもよく、不純物ガスは、百万分率(ppm)または十億分率(ppm)の範囲の濃度などで、体積基準で0.1、0.01、または0.001%未満またはそれより低いなどの低い量で存在する。
【0022】
特定の例では、第1のガスはゲルマンであってもよく、不純物は、そうでなければ高純度のゲルマン中に不純物として非常に少量で存在するジゲルマンであってもよい。この特定の例では、ゲルマンを吸着するのに有効な第1の吸着剤は、ゼオライトまたは金属有機構造体吸着剤であってもよい。
【0023】
他の例として、ガス混合物は、不純物として水を含む、特殊水素化物またはハロゲン化物である試薬ガスと、水素化物(例えば、SiH4、GeH4、AsH3など)および不純物としての水素である試薬ガスと、不純物としてジホスフィンを含む、ホスフィンである試薬ガスとを含有してもよい。試薬ガスは、高価値特殊ガスの水和副生成物またはイオン化断片である不純物を含む、高価値特殊ガスであり得る。試薬ガスは、不純物としてフッ化水素(HF)を含む、高価値フッ化物(BF3、GeF4、SiF4、PF3など)であってもよい。他のガス混合物は、窒素、ヘリウム、キセノン、またはアルゴンなどの不活性ガスである不純物を含む高価値試薬ガスを含有する、製造または化学処理工程から流れる排気ガスであってもよい。
【0024】
望ましくは、第1および第2の吸着剤の組合せは、第1のガス(例えば、高価値試薬ガス)および第2のガス(不純物ガス)の両方を、ガス混合物中にそれらが存在するおおよその量で吸着するために、複合吸着媒体中に相対量で存在してもよい。
【0025】
複合吸着媒体の他の例では、吸着媒体は、第1および第2の吸着剤を含有することができ、各吸着剤は、試薬ガス内に存在することが知られている不純物を吸着するのに有効である。第1の吸着剤は第1の不純物を効果的に吸着し、第2の吸着剤は第2の不純物を効果的に吸着し、第1の吸着剤および第2の吸着剤の両方は試薬ガスを吸着するのに効果的ではない。
【0026】
望ましくは、これらの例示的な複合吸着媒体中の第1および第2の吸着剤の組合せはまた、両方が試薬ガス中の不純物である第1および第2のガスの両方を、ガス混合物中に第1および第2の不純物ガスが存在するおおよその量で吸着するために、複合吸着媒体中に相対量で存在してもよい。
【0027】
様々な異なる種類の吸着剤材料が知られており、本明細書に記載の使用のための粒子として利用可能である。一般的な種類の吸着剤粒子には、炭素系吸着粒子、多孔性有機ポリマー(POP)を含むポリマー吸着粒子、ポリマー構造体粒子(PF)、ゼオライト吸着粒子(「ゼオライト」)、シリカライト粒子、および金属有機構造体粒子(MOF)が含まれる。
【0028】
有用な金属有機構造体(MOF)吸着剤材料は、様々な物理的および分子的形態を示す。金属有機構造体は、有機「リンカー」分子に囲まれた正に帯電した金属イオンの規則的な繰り返し配列を含む分子構造を有する有機-無機ハイブリッド結晶性多孔性材料である。金属イオンは、有機リンカー分子の腕を互いに結合して、繰り返し中空ケージ様構造を形成するノードを形成する。この中空構造により、MOFは、吸着剤型貯蔵システムにおいて試薬ガスを吸着(および選択的に脱着)するための使用に適合させることができる非常に大きな内部表面積を有する。MOF分子のこれらの特徴は、多層複合吸着媒体を形成するための有用な付加製造プロセス中に、実質的に破壊または損傷されずに保持されなければならない。
【0029】
金属有機構造体(MOF)は、結晶構造中の金属イオンに配位した有機リンカーからなるナノ多孔性材料である。試薬ガス、試薬ガス貯蔵、およびガス分離の技術分野では、様々なMOF吸着剤材料が知られている。MOF材料の特定の例は、米国特許第9,138,720号明細書、および米国特許出願公開第2016/0130199号明細書にも記載されており、これらの文献のそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
ゼオライト吸着剤として知られているMOFのサブクラスには、イミダゾレートリンカーの窒素原子によって架橋された金属(主に四面体Zn2)からなるゼオライト型イミダゾレート構造体(「ZIF」)が含まれる。ゼオライト型イミダゾレート構造体は、イミダゾレートリンカーによって接続された、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、または亜鉛(Zn)などの四面体配位遷移金属を含むMOFの一種であり、これは特定のZIF組成物内で、またはZIF構造の単一遷移金属原子に対して同じであっても異なっていてもよい。ZIF構造は、四面体トポロジに基づく拡張された構造体を生成するためにイミダゾレート単位を介して連結された4配位遷移金属を含む。ZIFは、ゼオライトおよび他の無機微孔質酸化物材料に見られるものと同等の構造トポロジを形成すると言われている。
【0031】
ゼオライト型イミダゾレート構造体は、他の物理的および化学的特性の中でも、遷移金属の種類(例えば、鉄、コバルト、銅、または亜鉛)、リンカーの化学的性質(例えば、イミダゾレート単位の化学置換基)、ZIFの細孔サイズ、ZIFの表面積、ZIFの細孔容積を含む特徴によって特徴付けることができる。構造体を構成する遷移金属の種類およびリンカー(または複数のリンカー)の種類に基づいて異なる化学構造をそれぞれ有する、数十(少なくとも105)の固有のZIF種または構造が知られている。各トポロジは、固有のZIF名称、例えばZIF-1~ZIF-105を使用して識別される。多数の既知のZIF種の特定の化学組成および関連する特性を含むZIFの説明については、Phan et al.,「Synthesis,Structure,and Carbon Dioxide Capture Properties of Zeolitic Imidazolate Frameworks」、Accounts of Chemical Research、2010、43(1)、pp58-67(2009年4月6日受領)を参照されたい。
【0032】
炭素吸着材料のいくつかの例には、ポリアクリロニトリル、スルホン化ポリスチレン-ジビニルベンゼンなどの合成炭化水素樹脂の熱分解によって形成された炭素;セルロース炭化物;木炭;ヤシ殻、ピッチ、木材、石油、石炭などの天然源材料から形成された活性炭が含まれる。
【0033】
吸着剤粒子は、粒子サイズ、細孔サイズ、および細孔容積などの特性を有することができ、これらは吸着剤の種類に依存し得る。複合吸着媒体中の吸着剤粒子のこれらの特性は、吸着剤粒子によって吸着されるガス混合物の特定の種類のガスに基づいて選択することができる。
【0034】
一般に、本明細書に記載の付加製造技術を使用して複合吸着媒体を調製するための有用または好ましい粒子サイズは、2ミクロンから20ミクロンの範囲であり得るが、より大きいまたはより小さい吸着剤粒子も有用であり得る。吸着剤粒子の粒子サイズは、ふるい分け技術を含む既知の技術によって測定することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される複合吸着媒体は、複合吸着媒体中の吸着剤粒子の体積または重量基準で0%より大きく100%未満まで変化し得る第1の吸着剤粒子と、複合吸着媒体中の全吸着剤粒子の体積または重量基準で0%より大きく100%未満まで変化し得る第2の吸着剤粒子とを有する。したがって、複合吸着媒体は、同じまたは異なる重量または体積パーセントの第1の吸着粒子および第2の吸着粒子を有し得る。
【0036】
複合吸着媒体に有用なバインダーは、2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子と組み合わせて固化させて、記載のように複合体を形成することが可能である任意の材料であり得る。例としては、ポリマー(例えば、いずれも任意選択的に化学的に硬化可能であってもよい合成ポリマーまたは天然ポリマー)などの有機材料、粘土および他の無機粒子などの無機材料、逸散性材料などが挙げられる。
【0037】
複合吸着媒体は、ガス混合物に含まれるガスを分離するのに有用であり得る。ガス混合物は、典型的には、高価値試薬ガスと、試薬ガスとは異なる1つ、2つ、またはそれ以上の他のガスとを含み得る。
【0038】
いくつかの例示的な使用によれば、複合吸着媒体は、不純物に典型的な濃度の2つの異なる不純物と共に、精製された形態(任意選択的に不活性安定化ガスまたは希釈剤と組み合わせて)の試薬ガスを含有するガス混合物から複数の異なる不純物ガスを吸着することによって、ガス混合物中の試薬ガスを精製するのに有用であり得る。複合吸着媒体は、ガス混合物を複合吸着媒体に通すことによって事実上フィルタとして使用することができる。ガス混合物は複合吸着媒体と接触し、不純物は複合吸着媒体上に吸着されるが、試薬ガスは吸着されず、不純物の量が減少した状態で吸着媒体を通過する。使用時に、不純物を含む試薬ガスを収容する容器は、試薬ガスを原料として使用するプロセス設備に、例えば、半導体ウェハまたはマイクロ電子デバイスを処理または製造するためのツールに、ガス状原料として試薬ガスを送達し、非限定的な例には、例えば、化学蒸着(プラズマ支援化学蒸着などの変形例を含む)、物理蒸着(例えば、スパッタリング)、原子層堆積などのためのイオン注入ツールおよび堆積ツールが含まれる。
【0039】
本出願の具体例を
図1に示す。この例では、例えば、ガスが製造工程で使用するために貯蔵容器から送達されるとき、試薬ガスが製造工程に供給される直前に、またはその少し前に、使用時点で既に精製された貯蔵原料ガスをさらに精製するために複合吸着媒体を使用することができる。
【0040】
図示のように、貯蔵容器2は、高度に精製された、任意選択的に濃縮された形態の試薬ガス4を含む。試薬ガス4は高度に精製されており、例えば、99、99.9、または99.99%を超える純度を有し得る。いくつかのプロセスでは、試薬ガスは、ヘリウム、窒素、水素、アルゴンなどの不活性安定化ガスで希釈されてもよく、不活性ガスは、10、50、または70%を超える濃度で存在する。試薬ガスは、それぞれが試薬ガスとは異なり、また任意の安定化ガスとは異なる2つ以上の既知の不純物を含有する。2つの不純物の各々は、不純物に典型的な濃度で、例えば0.1、0.01、または0.001%未満の濃度で、または体積基準でそれより低い濃度で、例えばガス混合物の総体積に基づいて百万分率(ppm)または十億分率(ppm)の範囲の濃度で存在する。
【0041】
不純物のいずれかは、試薬ガス、貯蔵容器、または試薬ガスが貯蔵容器に添加された時点で貯蔵容器に収容されている吸着剤(例えば、窒素(N2)、酸素(O2)、メタン(CH4)、水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、または一酸化炭素(CO)などの大気不純物)に最初に存在する種類のものであってもよい。試薬ガスの貯蔵中、試薬ガスが貯蔵容器に充填された後の時間中に、他の種類の不純物が貯蔵容器内に生成され得る。これは、例えば、試薬ガスが、不純物である試薬ガスの誘導体に化学的に変性または分解することによって起こり得る。さらに別の不純物源として、試薬ガスと、不活性ガス、貯蔵容器側壁の材料、異なる不純物、または吸着剤の材料などの貯蔵容器にも収容される別の材料との間の化学的相互作用によって、試薬ガスの貯蔵中に不純物が生成され得る。
【0042】
容器2は、高圧、低圧、または準大気圧の貯蔵状態で試薬ガス4を収容、貯蔵、または輸送するために使用されるように適合された任意の有用な貯蔵容器であってもよい。容器2は、試薬ガスを収容する内部容積を有し、試薬ガスを貯蔵するための吸着剤を収容していてもよく、または吸着剤を収容していない高圧容器であってもよい。弁または他の分注機構が容器の開口部に配置されて、試薬ガスを内部容積に添加し、続いて内部容積から分注することを可能にする。容器は、最初の位置で満たされ、使用の座(例えば、クリーンルーム)に輸送され、使用場所で保持されて、半導体ウェハ12を含む処理ツール10、例えば半導体ウェハまたはマイクロ電子デバイスを処理または製造するためのツールに試薬ガスを供給することができる。
【0043】
これらのシステムおよび方法によれば、試薬ガス4は容器2から分注され、導管を通過して複合吸着媒体8を収容するハウジング6に至る。複合吸着媒体8は、2つの異なる種類の吸着剤を含む。1つの吸着剤は、2つの不純物のうちの第1の不純物のある量を吸着するのに有効であり、この量は、第1の不純物の少なくとも一部(例えば、少なくとも50%)、好ましくは第1の不純物の実質的な量または実質的にすべて(例えば、少なくとも75、90、または95%)である。第2の吸着剤は、2つの不純物のうちの第2の不純物のある量を吸着するのに有効であり、この量は、第2の不純物の少なくとも一部(例えば、少なくとも50%)、好ましくは第2の不純物の実質的な量または実質的にすべて(例えば、少なくとも75、90、または95%)である。複合吸着媒体8は、かなりの量の試薬ガスを吸着する吸着剤を含有せず、例えば、複合吸着媒体8は、試薬ガスの10、5、2、または1%未満を吸着する。
【0044】
試薬ガス4が複合吸着媒体8を通過するとき、第1および第2の不純物は大部分が複合吸着媒体8上に吸着される。ここで減少した量の不純物を含有する試薬ガスは、ハウジング6から通過し、例えば第2の導管を通って処理ツール10に送達される。流量計、圧力弁、圧力調整器、圧力および温度センサなどの他の流量制御デバイスをシステムに含めることができるが、図示はしない。
【0045】
異なる例示的な使用によれば、複合吸着媒体は、高純度試薬ガスを収容し、貯蔵し、製造プロセスに輸送し、分注するために使用される貯蔵容器内の吸着材料として有用であり得る。複合吸着媒体は、高純度試薬ガスの貯蔵、製造プロセスへの輸送および送達に使用される種類の貯蔵容器、典型的には金属シリンダに収容される。貯蔵容器は、容器内の吸着材料上に吸着試薬ガスを貯蔵し、試薬ガスを収容、貯蔵し、容器から輸送、または分注するように適合された任意の有用な貯蔵容器であってもよい。貯蔵容器は、ガスを輸送するための試薬ガスを収容するように適合されてもよく、または試薬ガスを受け取り、試薬ガスがそれと共に貯蔵および輸送された不純物または安定化ガスから試薬ガスを分離するために製造ツールに接続されてもよい。
【0046】
試薬ガスは、高圧、低圧、または準大気圧の貯蔵状態で容器に収容されてもよい。弁または他の分注デバイスが容器の開口部に配置されて、試薬ガスを容器内部に添加し、内部容積から選択的に分注することを可能にする。
【0047】
特定の方法によれば、容器は、第1の場所(例えば、試薬ガスの製造または試薬ガスの処理の現場)で試薬ガスで満たされ、使用地点(例えば、クリーンルーム内)に輸送される。使用時に、容器は、ガス状原料として試薬ガスを使用する処理システム、例えば半導体ウェハまたはマイクロ電子デバイスを処理または製造するためのツールに接続され、非限定的な例は、例えば、化学蒸着(プラズマ支援化学蒸着などの変形例を含む)、物理蒸着(例えば、スパッタリング)、原子層堆積などのためのイオン注入ツールおよび堆積ツールである。
【0048】
本出願では、複合吸着媒体は、「in-situ」貯蔵精製媒体として使用される。複合吸着媒体は、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤を含有する。第1の吸着剤は、高価値試薬ガスを吸着し、次いで選択的に脱着するのに有効である。第2の吸着剤は、不純物を吸着するのに有効であるが、試薬ガスを効果的に脱着させる条件では不純物を脱着させない。複合吸着媒体を貯蔵容器に収容するシステムは、複合吸着媒体が、試薬ガスが貯蔵容器に添加されるときに試薬ガスに含まれ得る不純物の量を吸着し保持することによって、貯蔵容器に収容され貯蔵された試薬ガスを精製するために使用することができる。
【0049】
より具体的には、試薬ガスは、高度に精製され、任意選択的に濃縮されている(例えば、安定化ガスを含有しない)が、少なくとも1つの不純物ガス(試薬ガスおよび任意の安定化ガスとは異なる)を含有することが知られている形態で容器に添加することができる。不純物または、不純物の量に典型的な量で、例えば0.1、0.01、または0.001%未満の濃度で、または体積基準でそれより低い濃度で、例えばガス混合物の総体積に基づいて百万分率(ppm)または十億分率(ppm)の範囲の濃度で存在し得る。
【0050】
試薬ガスを貯蔵および精製するために、不純物を含む試薬ガス(試薬ガスおよび不純物を含有するガス混合物と考えられる)が、複合吸着媒体を収容する容器に添加される。不純物を含む試薬ガスは複合吸着媒体と接触し、試薬ガスと不純物ガスとの両方が吸着媒体上に吸着され、それぞれが異なる吸着材料によって吸着される。試薬ガスおよび不純物ガスが吸着媒体上に効果的に吸着された後、試薬ガスは、不純物ガスの脱着を引き起こさない条件下で、例えば不純物ガスの脱着を引き起こさない条件下で、または不純物ガスの脱着を少量またはわずかに引き起こす条件下で、吸着媒体から脱着することができ、例えば、吸着された不純物ガスの総量の20、10、または5%未満が脱着され得る。これらの工程により、吸着および脱着された試薬ガスは、例えば、少なくとも大部分は、吸着され、試薬ガスの脱着によって脱着しない不純物ガスの除去によって、さらに精製することができる。脱着された試薬ガスは、ガス状原料として使用するために処理装置に送達することができる。
【0051】
本出願の具体例を
図2Aおよび
図2Bに示す。この例では、ガスが、複合吸着媒体を収容する貯蔵容器に添加され、その中に収容され、そこから分注されるとき、複合吸着媒体を使用して原料ガスから不純物を除去することができる。
【0052】
図2Aに示すように、試薬ガス24はコンテナ20内に貯蔵される。コンテナ20は、任意のコンテナ、例えば、試薬ガス製造または処理システムの一部として、大量の試薬ガスを貯蔵するために使用される種類の、例えばバルクコンテナであってもよい。試薬ガス24は、実質的に純粋な形態であってもよく、任意選択的に濃縮形態または希釈形態(例えば、安定化ガスで希釈)であってもよい。試薬ガス24は、例えば、90、95、99、99.9、または99.99%を超える純度を有し得る。いくつかのプロセスでは、試薬ガスは希釈されていなくてもよく(例えば、試薬ガス24は、試薬ガス種の体積基準で少なくとも98または99%を含有し)、他のプロセスでは、試薬ガスは、ヘリウム、窒素、水素、アルゴンなどの不活性安定化ガスとの混合物中にあってもよく、安定化ガスは、ガス混合物の総体積に基づいて、10、50、または70%を超える濃度でガス混合物(試薬ガスおよび安定化ガス)中に存在する。試薬ガス24は、試薬ガスおよび任意の安定化ガスとは異なる少なくとも1つの既知の不純物を含有する。不純物は、不純物に典型的な濃度で、例えば1、0.1、0.01、または0.001%未満の濃度で、または体積基準でそれより低い濃度で、例えばガス混合物の総体積に基づいて百万分率(ppm)または十億分率(ppm)の範囲の濃度で存在する。
【0053】
不純物は、試薬ガスを生成する工程(例えば、反応工程)、またはガスを生成した後に試薬ガスを処理する工程の生成物として試薬ガス中に存在する種類のもの(例えば、窒素(N2)、酸素(O2)、メタン(CH4)、水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、または一酸化炭素(CO)などの大気不純物)であってもよい。不純物は、コンテナまたは付属の流量制御設備からの夾雑物であり得る。または、不純物は、試薬ガスの貯蔵中、試薬ガスがコンテナに充填されたか、またはコンテナ内で処理された後の時間中に、コンテナ内で生成されていてもよい。これは、例えば、試薬ガスが、不純物である試薬ガスの誘導体に化学的に変性または分解することによって起こり得る。さらに別の不純物源として、試薬ガスと、不活性ガス、コンテナ側壁もしくは流量設備の材料、または異なる不純物などのコンテナにも収容される別の材料との間の化学的相互作用によって、コンテナ内中に不純物が生成され得る。
【0054】
コンテナ20は、高圧、低圧、または準大気圧の貯蔵状態で試薬ガス24を収容するために使用されるように適合された任意の有用なコンテナであってもよい。容器24は、試薬ガスを収容する内部容積を有し、試薬ガスを貯蔵する吸着剤(図示せず)を収容していてもよく、または吸着剤を収容していない高圧容器であってもよい。コンテナ24は、試薬ガスをバルク量で保持するように適合されてもよく、単一の貯蔵シリンダに試薬ガスを分注するための弁および流量制御部(具体的には図示せず)を含むことができる。任意選択的に、コンテナは、試薬ガスを複数の貯蔵シリンダに並列に分注するために、複数の流量制御導管および弁(例えば、複数の「注入口」)の構成に接続されてもよい。
【0055】
これらのシステムおよび方法によれば、試薬ガス24はコンテナ20から分注され、導管を通過して複合吸着媒体28を収容する貯蔵容器26に至る。容器26は、容器が試薬ガスを安全に収容し、貯蔵し、コンテナ20の位置から試薬ガスの使用地点まで輸送することを可能にするための容積および性能要件を有する。複合吸着媒体28は、容器26の内部に、2つの異なる種類の吸着剤を含む。1つの吸着剤は、ある量の試薬ガス種を吸着するのに有効である。第2の吸着剤は、ある量の既知の不純物を吸着するのに有効であり、この量は、不純物の少なくとも一部(例えば、少なくとも50%)、好ましくは不純物の実質的な量または実質的にすべて(例えば、少なくとも75、90、または95%)である。
【0056】
図2Aに示すように、試薬ガス24を容器26に添加して吸着媒体28と接触させ、これにより試薬ガス種と試薬ガスに含まれる不純物との両方を複合吸着媒体28上に吸着させる。次いで、容器26は、
図2Bに示すように、クリーンルームなどの使用場所に輸送される。
【0057】
容器26は処理ツール30に接続され、吸着された試薬ガス24は複合吸着媒体28から脱着させられる。脱着条件は、吸着された試薬ガス種のかなりの量の脱着を引き起こすのに有効であるが、不純物の大部分または実質的にすべては吸着されたままである(例えば、吸着された不純物の少なくとも50、70、または90%が吸着されたままである)。ここで減少した量の不純物を含有する脱着された試薬ガスは、容器26から通過し、基板(例えば、半導体ウェハまたはマイクロ電子デバイス)32の処理のために、例えば第2の導管を通って処理ツール30に送達される。流量計、圧力弁、圧力調整器、圧力および温度センサなどの他の流量制御デバイスをシステムに含めることができるが、図示はしない。
【0058】
この方法の変形例によれば、バルク容器は、試薬ガス、少なくとも1つの不純物、および輸送中に試薬ガスを安定化するための高レベル(例えば、少なくとも20、40、または60%)の不活性ガスを収容する貯蔵輸送容器であってもよい。バルク容器は、吸着剤を含んでも含まなくてもよい。バルク容器は、試薬ガスおよび安定化ガスを、安定化ガスおよび少なくとも1つの不純物を吸着し、試薬ガスを吸着せず、次いで試薬ガスを製造ツールに送達する、より小型の容器に送達する。より小型の容器、例えば、試薬ガスを製造ツールに送達する前に試薬ガスを短期間貯蔵するように適合されたバラストシリンダは、説明したように複合吸着媒体を含有する本明細書の吸着剤を収容する。バラストシリンダに含まれる2種類の吸着剤は、不活性ガスおよび少なくとも1つの不純物を吸着するのに有効である。吸着剤は、試薬ガスを実質的に吸着せず、試薬ガスは、吸着剤および容器を通過するか、または非試薬ガスが吸着されるにつれて容器内の上部空間に留まることができ、その後、バラストシリンダから試薬ガスを分注することができる。
【0059】
ガス混合物をバルク容器からバラストシリンダに流すことができる。バラストシリンダでは、安定化ガスおよび不純物が複合吸着媒体上に吸着される。試薬ガスは吸着されず、例えばバラストシリンダの上部空間内でガス状状態のままである。そのガス状状態では、試薬ガスは、低下した濃度の安定化ガス(例えば、20、40、または60%未満の安定化ガス)を含有する形態で、バラストシリンダから(吸着された安定化ガスおよび不純物を脱着することなく)製造ツールに送達することができる。
【0060】
さらに別の例示的な使用によれば、複合吸着媒体は、試薬ガスと、試薬ガスを含むガス混合物中にかなりの量(不純物の量よりも多い)で存在するか、または不純物の量で存在する1つまたは複数の非試薬ガス(例えば、第2のガス、第3のガス)とを含むガス混合物中に含まれるある量の試薬ガスを分離または濃縮するのに有用であり得る。
【0061】
ガス混合物は、かなりの量の試薬ガス種を含有するが、精製された量を含有しない任意のガス混合物であってもよい。ガス混合物は、任意の供給源からのガスの混合物であってもよく、一例は、試薬ガスを原料として使用するプロセスからの排気ガスである。プロセスは試薬ガスを100%効率的に使用せず、その結果、かなりの量の未使用の試薬ガスを含有する、プロセスからの排気ガスの流れが生じる。排気ガスは、排気ガスの総体積に基づいて、体積基準で少なくとも5、および最大50または60%の未使用の試薬ガス種、例えば10から40%の未使用の試薬ガスを含有し得る。排気ガスは、不純物の濃度で(例えば、0.1、0.01、もしくは0.01%未満、またはppmもしくはppbの範囲の濃度で)、または、例えば、排気ガスの総体積に基づいて体積基準で1から40、50、または60%より高い濃度で、他の非試薬ガスの混合物を含有する。不純物としてまたはより高い濃度で排気ガス混合物中に存在し得る非試薬ガスの例には、複合吸着材料上に吸着されることによって排気ガス流から選択的に除去され得る水素、窒素、ヘリウム、キセノン、アルゴンが含まれる。
【0062】
排気ガス混合物は、試薬ガスを原料として使用するプロセス設備から流れ、本明細書に記載の複合吸着媒体に接触させられる。複合吸着媒体は、排気ガス内の少なくとも2つの異なる種類のガスを吸着する。
【0063】
この方法の1つのバージョンでは、複合吸着媒体は、2つ以上の異なる種類の非試薬ガスを吸着することができる。複合吸着媒体は試薬ガスを吸着せず、試薬ガスは、非試薬ガスの濃度が低減され、試薬ガスの濃度がより高い状態で吸着媒体を通過するか、または容器の上部空間に留まり、その後除去することができる。吸着される非試薬ガスの量は、排気ガス中の試薬ガスの濃度を増加させるのに有用な任意の量とすることができる。例示的な方法では、複合吸着媒体によって吸着される非試薬ガスのいずれかまたは両方の量は、非試薬ガスの少なくとも一部(例えば、少なくとも50%)、好ましくは排気ガス混合物に含まれる非試薬ガスの実質的な量または実質的にすべて(例えば、少なくとも75、90、または95%)であり得る。複合吸着媒体をフロースルーフィルタとしてこのように効果的に使用することにより、排気ガス混合物の非試薬ガスを、複合吸着媒体上に吸着されずに複合吸着媒体を通過する試薬ガスから少なくとも大部分分離して除去することができる。
【0064】
本方法の異なるバージョンによれば、複合吸着媒体は、試薬ガスと非試薬ガスの1つまたは複数とを吸着することができ、それぞれが異なる吸着材料によって吸着される。他の非試薬ガスは吸着されなくてもよい。試薬ガスおよび1つまたは複数の非試薬ガスが吸着媒体上に効果的に吸着された後、試薬ガスは、1つまたは複数の非試薬ガスの脱着を引き起こさない条件下で、例えば非試薬ガスの脱着を引き起こさない条件下で、または非試薬ガスの脱着を少量またはわずかに引き起こす条件下で、吸着媒体から脱着することができ、例えば、吸着された非試薬ガスの20、10、または5%未満が脱着され得る。これらの工程により、吸着および脱離された試薬ガスを、排気ガス混合物の非試薬ガスから少なくとも大部分分離することができる。
【0065】
図3に示すように、基板(半導体ウェハまたはマイクロ電子デバイス)42を収容するツール40は、ガス状原料として試薬ガス46を使用する。ツール40によって実行されるプロセスの間、試薬ガスのすべてが使用されるわけではなく、例えば、プロセスに送達される試薬ガスの60、50、40、または30%未満の量がプロセスによって効果的に消費され得る。他のガスも存在してもよく、またはプロセスによって生成されてもよい。その結果、ツール40を出る排気ガス混合物44が生じる。排気ガス混合物は、かなりの量の高価値試薬ガス、例えば、排気ガスの総体積に基づいて、体積基準で少なくとも5、および最大50または60%の未使用の試薬ガス種、例えば10から40%の未使用の試薬ガスを含有する。試薬ガスのコストに応じて、再利用のために排気ガスから試薬ガスの一部でも回収することにより、廃棄物の削減と、高価値(高コストの)試薬ガスの再利用によるコストの削減とを両立させることができる。
【0066】
図3のシステムを使用する1つのバージョンは、試薬ガスが吸着しないが媒体を通過する間に、吸着によって排気流から非試薬ガスを除去するためのフロースルーフィルタとしての複合吸着媒体の使用によるものである。このバージョンにより、排気ガス混合物44は、排気ガス混合物44内の2つ以上の異なる種類の非試薬ガスを吸着するのに有効な複合吸着媒体52を収容するハウジング50に流入する。複合吸着媒体は試薬ガスを吸着せず、試薬ガスは、非試薬ガスがより少なく、試薬ガスの濃度がより高い濃縮試薬ガス48として吸着媒体を通過する。2つの異なる非試薬ガスの少なくとも一部の量、例えば、排気ガス混合物に含まれる2つの非試薬ガスの各々の少なくとも75、90、または95%など、2つの非試薬ガスの各々の少なくとも50%、好ましくは実質的な量または実質的にすべてが、複合吸着媒体52上に吸着される。吸着剤は、少量またはわずかな量以下の試薬ガス、例えば、排気ガス混合物44中の試薬ガスの総量の10、5、2、または1%未満を吸着する。
【0067】
図3のシステムを使用する異なるバージョンによれば、複合吸着媒体52は、排気ガス混合物44の一部である試薬ガス種を吸着する。第2の吸着剤は、非試薬ガスのうちの1つまたは複数のある量を吸着するのに有効である。複合吸着剤媒体によって吸着される試薬ガス種は、試薬ガスの少なくとも一部、例えば、排気ガス混合物44中に存在する試薬ガスの量の少なくとも50%であってもよい。好ましくは、複合吸着剤媒体は、排気ガス混合物44中に存在する試薬ガスの量の実質的な量または実質的にすべて、例えば排気ガス混合物44中に存在する試薬ガスの総量の少なくとも75、90、または95%を吸着することができる。
【0068】
試薬ガスおよび少なくとも1つの非試薬ガスが吸着媒体上に効果的に吸着された後、試薬ガスは、少なくとも1つの非試薬ガスの脱着を引き起こさない条件下で、例えば非試薬ガスの脱着を引き起こさない条件下で、または非試薬ガスの脱着を少量またはわずかに引き起こす条件下で、吸着媒体52から脱着することができ、例えば、吸着された非試薬ガスの総量の20、10、または5%未満が脱着され得る。
【0069】
流量計、圧力弁、圧力調整器、圧力および温度センサなどの他の流量制御デバイスを
図3のシステムに含めることができるが、図示はしない。
【0070】
記載されているような複合吸着媒体は、一般に「3D印刷」技術と呼ばれる方法を含む、付加製造の方法によって調製され得る。異なる様々な付加製造技術が知られている。具体的な例は、一般に「粉末床」付加製造方法と呼ばれるものであり、様々な「バインダージェット印刷」技術を含む。他の例には、ステレオリソグラフィ技術(SLS)および「供給原料分注方法」(FDM:feedstock dispensing method)が含まれる。複合吸着媒体ならびに関連する方法および材料は、これらの例示的な種類に関して本明細書に記載されているが、記載された複合吸着媒体の調製および使用は、他の方法でも達成することができる。
【0071】
記載された複合吸着媒体を調製する例示的な方法は、固化したバインダー組成物中に分散された少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する固化した供給原料組成物の複数の層(例えば、「経路」)を個別に順次形成する付加製造工程を含み、固化したバインダー組成物は、固化した供給原料組成物中に吸着剤粒子を一緒に保持する構造として作用する。一連の付加製造工程を使用して、固化した供給原料の複数の層は、固化した供給原料の層から作製された多層複合吸着媒体に順次形成される。
【0072】
多層複合吸着媒体(または「複合吸着媒体」または略して「複合材」)は、2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有し、各種類はガス混合物のガス成分を吸着するように適合されている。2つの異なる吸着剤の一方は、試薬ガスを吸着するのに有効であり得、他方は、不純物であり得る非試薬ガスを吸着するのに有効であり得る。あるいは、第1の吸着剤は不純物などの非試薬ガスを吸着するのに有効であり得、第2の吸着剤は異なる不純物などの異なる非試薬ガスを吸着するのに有効であり得、いずれの吸着剤も試薬ガスを効果的に吸着せず、例えば、複合吸着媒体は、吸着媒体と接触する試薬ガスの5、2、または1%未満を吸着する。
【0073】
原料として、吸着剤粒子は、粉末などの粒子形態であり、所望の吸着および脱着機能性を示す。しかしながら、複合吸着媒体の形態では、吸着剤粒子は他の材料と組み合わされている。付加製造工程から最初に生じる多層複合吸着媒体は、一般に「グリーン体」と呼ばれることがある構造である。グリーン体の形態の多層複合吸着媒体は、バインダー組成物の様々な成分などの付加製造工程に有用または必要とされる材料を含有する。複合吸着媒体を調製するために使用されたが、含有される吸着剤粒子の所望の機能のためには吸着剤材料として不必要である、複合吸着媒体のいくつかの材料は、グリーン体から除去されてもよく、あるいは、他の様態で処理されてさらに固められるかまたは硬化されてもよい。グリーン体のこれらの材料を除去または処理することにより、記載の方法およびシステムで使用するための吸着剤材料としての2つ以上の吸着剤粒子の機能が改善される。
【0074】
したがって、付加製造技術によって最初に形成された複合吸着媒体は、固化したバインダー組成物を除去するために、多層複合吸着媒体の機械的特性を改善するために、またはその両方のためにさらに処理することができる。多層複合吸着媒体を処理する例示的な工程では、複合材は、脱バインディング工程(固化したバインダーまたはその一部を除去するため)、溶媒との接触、ガス(例えば、ガスエッチング用)との接触、またはバインダーもしくは複合材を固める、硬化させる、もしくは焼結させるために複合材を高温に曝露することのいずれか1つまたは複数によって処理することができる。
【0075】
記載の多層複合吸着媒体を調製するために、特定の種類の付加製造方法が有用または有利であることが分かっている。一般に、付加製造プロセスは、広範囲の形状およびサイズを示す構造を調製するのに有用であることが知られている。付加製造はまた、制御された圧力降下でガス浸透を高めるための微細なチャネルを潜在的に有する複雑な微細構造の印刷を可能にすることができる。付加製造プロセスはまた、高度に自動化され、比較的効率的かつ費用効果的であり得る。
【0076】
さらに、特定の種類の付加製造方法は、MOF粒子などの温度感受性吸着剤の有用な機能性(例えば、吸着剤として)を保持する多層複合吸着媒体を生成するのに有効であり得る。例示的な付加製造方法により、MOF吸着剤は、付加製造工程中にMOFが物理的に変化または「変性」することなく、複合吸着剤媒体の吸着剤として含めることができ、好ましい方法により、存在する場合、MOF吸着剤は、MOFが試薬ガス、非試薬ガス、または不純物を可逆的に吸着および脱着することを可能にする元の物理的(化学、分子)形態を保持することが可能になる。
【0077】
MOF吸着剤粒子の変性を防止するために、すなわち、MOF吸着剤粒子に含まれるMOF分子の物理的、化学的、または分子的変質、およびMOF粒子の所望の機能性の喪失を防止するために、付加製造技術によって多層複合材を調製する好ましい工程は、MOF粒子を摂氏300度以上の温度に曝露することを回避する工程を含むことができ、好ましくは、MOF粒子を摂氏250度または200度を超える温度に曝露しないことができる。また、付加製造プロセス中のMOF吸着剤粒子の室内空気および湿気への曝露を防止または最小限に抑えることが望ましいことがある。
【0078】
多層複合吸着媒体を形成するための付加製造プロセスは、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含む成分と、組み合わされてバインダー組成物を形成する1つまたは複数の成分とを必要とする。バインダー組成物を吸着剤粒子と組み合わせてもよく、バインダー組成物を固化(固める、硬化するなど)して、吸着剤粒子の物理的支持構造体(マトリックス)として作用する固化したバインダー組成物を含有する固化した供給原料組成物を生成してもよい。2つ以上の吸着剤粒子をバインダー組成物と組み合わせ、複合吸着媒体の層としてバインダー組成物を固化させる工程は、異なる種類の付加製造技術によって異なり得、例えば、吸着剤粒子をバインダー組成物と組み合わせる工程は、ステレオリソグラフィおよび供給原料分注方法と比較して、粉末床技術に対して、および粉末床技術の異なるバージョンに対して異なり得る。バインダー組成物の成分はまた、異なる種類の付加製造技術に対して異なっていてもよい。
【0079】
一般に、有用なバインダーは、供給原料組成物の一部として、または供給原料層に添加することによって固化して、供給原料層の一部で固化した供給原料を選択的に形成することが可能である任意の材料を含み得る。例としては、一般に、ポリマー(例えば、いずれも任意選択的に化学的に硬化可能であってもよい合成ポリマーまたは天然ポリマー)などの有機材料、粘土および他の無機粒子などの無機材料、逸散性材料などが挙げられる。
【0080】
バインダー組成物(「バインダー」)またはその成分として有用であり得る材料の種類の一例は、液体に懸濁し、液体の除去によって乾燥させて固体材料を形成することができる粘土粒子などの非ポリマー無機粒子である。有用な粘土または他の無機粒子型バインダー成分は、無機粒子および吸着剤粒子が一緒になって液体(例えば、水、有機溶媒、または両方の組合せ)に懸濁され、その後、例えばエバポレーションによって液体を除去することができるように、2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子および任意のポリマーと組み合わせることができる。液体を除去すると、無機粒子は、固化した供給原料組成物の一部として吸着剤粒子を支持する固化したバインダー組成物の一部になる。
【0081】
他のバインダー組成物は、硬化性ポリマーバインダー材料を含む。液体の形態の硬化性ポリマーバインダーは、任意の様式で吸着剤粒子と組み合わせることができる。供給原料層は、液体ポリマーバインダーおよび吸着剤粒子から形成されてもよく、バインダーは、供給原料層を形成する前または供給原料層を形成している間に吸着剤粒子と組み合わされる。供給原料層に含まれる硬化性ポリマーバインダーは、固化され得る。液体バインダー材料の例には、可逆的に加熱されて液体を形成し、次いで冷却されて固体(例えば、可逆的に溶融および固化されてもよい)を形成し得る熱可塑性ポリマーが含まれる。代替的または追加的に、液体ポリマーバインダー材料は、例えば、高温への曝露(熱硬化性)によって、またはレーザ、例えばUVレーザなどからの電磁放射線への曝露によって、化学的に硬化可能であり得る。
【0082】
ポリマーバインダーの他の例は、液体溶媒を含有する液体の形態であってもよい。バインダーを吸着剤粒子と組み合わせ、所望に応じて適用して供給原料層を形成した後、溶媒をエバポレートさせて、吸着剤粒子を支持する構造体としてポリマーバインダーを残してもよい。ポリマーは、任意選択的に、その後、熱(高温)、放射線への曝露によって、または別の反応機構によって開始される化学反応によって硬化されてもよい。
【0083】
硬化性液体バインダー組成物は、化学モノマー、オリゴマー、ポリマー、架橋剤などを含有する硬化性材料を含んでもよく、硬化性バインダー組成物の流動または硬化を可能にするかまたは促進するわずかな量の機能性成分または添加剤をさらに含有してもよい。これらは、流動助剤、界面活性剤、乳化剤、粒子凝集を防止するための分散剤、および電磁(例えば、紫外線)放射線または高温に曝露されたときにポリマーの硬化を開始するための開始剤のいずれかを含み得る。
【0084】
「バインダー-ジェット印刷」技術と呼ばれる様々な技術を含む、「粉末床」技術と呼ばれる付加製造技術では、吸着剤粒子は、「供給原料層」として知られる一様な層に形成することができる「供給原料」の床に含まれる。供給原料または供給原料層は、1つもしくは複数または2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子を含有し、任意選択的に、バインダー組成物の1つまたは複数の成分などの1つまたは複数の追加の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、同じ供給原料が供給原料層の形成に使用され、第1の吸着媒体粒子と第2の吸着媒体粒子との両方を含有し得る。他の実施形態では、複数の供給原料が使用され、例えば、第1の供給原料は第1の吸着媒体を有してもよく、第2の供給原料は第1の吸着媒体とは異なる第2の吸着媒体を有してもよい。そのような場合、第1の供給原料層を第1の供給原料から表面上に形成することができ、第1の供給原料層を固化させ、次いで第2の供給原料層を第2の供給原料から第1の供給原料層上に形成し、次いで第2の供給原料層を固化させ、それによって異なる吸着媒体を有する交互の層を有する複合吸着媒体を作製する。そのような実施形態では、第1の供給原料層のための供給原料は、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの一方(両方ではない)を含むことができ、第2の供給原料層のための供給原料は、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの他方を含む。例示的なバインダーは、供給原料の一部としての第1のバインダー成分と、供給原料層上に選択的に分注される液体の一部である液体成分である第2のバインダー成分とを含むことができる。乾燥供給原料粉末の一部であるバインダー成分として、供給原料粉末に含まれるバインダーの量は、例えば、供給原料層(この体積パーセントは、空隙空間を含む供給原料材料の総体積に基づく「バルク」体積パーセントである;すなわち、空隙空間を含む供給原料層の総体積当たりのバインダーの体積)として形成される場合、例えば、供給原料の総体積の体積基準で少なくとも20%または少なくとも30%であり得る。
【0085】
これらの方法は、その1つまたは複数の成分が供給原料層に含まれるか、または供給原料層の一部に選択的に適用され得るバインダー組成物を固化させて、供給原料層の選択された部分(領域)に固化したバインダー組成物を形成させる。バインダー組成物(またはその別個の部分)が、それによって供給原料層の選択された部分に位置するようになる機構、および供給原料層の選択された部分のバインダー組成物がそれによって固化するようになる機構は、異なり得る。
【0086】
粉末床付加製造技術は、一般的に、複数の個々の層形成工程のシーケンスを含むことができ、各工程は、多層複合吸着媒体の単一の断面層を形成するために使用される。第1の(底部)層を形成した後、各後続層は先行層の上面に形成される。この一連の複数の個別の層形成工程は、固化した供給原料の複数の個別に形成された層の多層複合吸着媒体を形成するのに有効である。
【0087】
これらの技術は、他の付加製造技術と同様に、CAD(コンピュータ支援設計)ファイルなどのデジタルデータによって記述または定義される物体を生成する。固化した供給原料の多くの薄い断面層で作製された複合体(「多層複合吸着媒体」)を生成するために組み合わされる一連の個々の工程を使用して、三次元物体が層ごとに順次構築される。各層形成工程は、2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する供給原料を含む単一の供給原料層を表面上に形成することを含んでもよい。いくつかの例示的な方法では、供給原料層は、バインダー組成物またはその成分を含有してもよい。他の例示的な方法では、供給原料層は、バインダー組成物またはバインダー組成物の成分を含有せず、これらの方法では、バインダー組成物は、供給原料層の一部に選択的に添加される。
【0088】
一例では、ローラまたは他の散布デバイスは、単一のパスで単一量の粉末供給原料組成物を適用することによって、または複数のパスで複数の別個の量の粉末供給原料を表面の上に適用することによって、粉末の形態のある量の供給原料組成物を表面の上に一様に適用する。「供給原料層」は、粉末供給原料組成物を表面に適用し、ローラまたは他の適用方法を使用して所望の有用な深さを有する滑らかで一様な供給原料層を形成する1つまたは複数の工程によって、供給原料組成物から形成され得る。
【0089】
供給原料層の有用な深さ(厚さ)は、供給原料層内の吸着剤粒子の粒子サイズ、固化供給原料層の所望の特性(品質、例えば、表面仕上げ、層密度、寸法精度)、および供給原料層に液体材料を適用するために使用されるプリントヘッドまたは他のデバイスの分解能などの様々な要因に依存し得る。望ましくは、供給原料層の厚さは、供給原料中の最大吸着剤粒子の直径(D50)の少なくとも2倍または3倍であり得る。有用な供給原料層の典型的な厚さは、25ミクロンから200ミクロンの範囲であり得る。
【0090】
供給原料層を形成した後、供給原料層の一部を選択的に処理して固化供給原料層を形成する。固化した供給原料組成物を形成するためのこれらの工程に続いて、粉末供給原料組成物の追加の薄層が完成した層の上面の上に広がり、これはある量の固化していない(元の)供給原料組成物に囲まれた固化した供給原料を含有する。
【0091】
プロセスは、固化した供給原料を含有する複数の層を形成するために繰り返され、固化した供給原料の各新しい層(第1の層の後)は、固化した供給原料の以前の層上に形成され、固化した供給原料の以前の層に付着する。多層複合吸着媒体を形成するために、複数の供給原料層が堆積され、固化した供給原料の複数の層が、各完成した層の上に1つずつ連続して形成される。多層複合吸着媒体のすべての層が堆積された後、固化した供給原料を調製するために使用されなかった元の供給原料材料を含む供給原料層の部分は、多層複合吸着媒体から分離されてもよい。
【0092】
所望または有用であれば、粉末床付加製造技術で使用される供給原料層は、バインダー組成物の一部であるか、またはそうでなければ固化供給原料層の一部として有用な1つまたは複数の任意の成分を含有してもよい。これらは、例えば、プリンタベッド内の供給原料の流動を改善し、均等な(一様な、同程度の高さの、均一な)供給原料層を形成する供給原料の能力を改善するための流動助剤を含むことができる。代替的または追加的に、供給原料層は、任意選択的に、吸着剤粒子間のスペーサとして作用する、例えば「細孔形成」材料として作用する固体ポリマー材料を含有してもよい。そのような固体ポリマーは、熱可塑性(室温で固体形態)の細孔形成ポリマーであってもよく、任意の所望の量、例えば総重量供給原料に基づいて0.5から15重量%、例えば総重量供給原料に基づいて1から12または2から10重量%の量で供給原料層中に存在してもよい。
【0093】
より詳細には、粉末床技術の一具体例は「ジェットバインダー印刷」と呼ばれる。これらの方法では、供給原料層は、2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子を含有し、バインダー組成物またはバインダー組成物の成分を含んでも含まなくてもよい。
【0094】
固化供給原料層は、供給原料層の一部に液体材料(バインダーまたはバインダー成分と考えられる)を選択的に適用して、供給原料層のそれらの選択された部分に固化した供給原料組成物を選択的に形成することによって形成される。所望の量の液体を選択的に分注して供給原料層の部分に適用するのに有効なプリントヘッドまたは他のデバイスは、供給原料層の上面の上を移動する。プリントヘッドまたは他の有用なデバイスは、液体を排出し、供給材料層の上面の選択された部分に液体を適用する。液体は、供給原料層に流入し、液体が選択的に適用される供給原料層の位置で固化したバインダー組成物を形成するのに有用である。固化した供給原料組成物は、固化したバインダー組成物全体に分散した吸着剤粒子を含有する。液体と接触していない供給原料層の部分は、固化していない供給原料として残り、その後、固化した供給原料組成物から分離することができる。
【0095】
ジェットバインダー技術のこの一般的な説明内には、異なる変形も存在する。一変形例によれば、供給原料層は、吸着剤粒子およびバインダー組成物またはバインダー組成物の一部を含有する乾燥粉末供給原料組成物を含有し、供給原料層に選択的に適用される液体は、供給原料層内のバインダー組成物またはその成分を固化させる工程に有用な液体である。より例示的な詳細ではあるが、本明細書を限定することなく、この種類の方法は、吸着剤粒子と、排出された液体と接触したときに溶解、懸濁、または他の様態で活性化および固化するバインダー組成物の成分とを含有する乾燥(粉末)供給原料を使用することができ、その後、組み合わされたバインダー組成物は、吸着剤粒子を囲むマトリックスとして固化することができる。
【0096】
供給原料に含まれるバインダー組成物の成分は、ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)またはフェノール樹脂などの有機であってもよく、または粘土(例えば、ベントナイト粘土)などの無機粒子などの無機であってもよい。供給原料層に適用される液体は、供給原料層に最初に存在するバインダー組成物またはバインダー成分を溶解する、分散する、それらと化学的に反応する、またはそれらを他の様態で固化するのに有効な液体であり得る。いくつかの例では、液体または液体の一部をその後除去(例えば、エバポレート)して、吸着剤粒子を囲んで支持するマトリックス構造として固化したバインダー組成物を含む固化した供給原料組成物を残すことができる。
【0097】
特定のジェットバインダー印刷システムでは、供給原料は、2つの異なる種類の吸着剤粒子(例えば、ゼオライト、MOF、または炭素吸着剤粒子のうちの少なくとも2つの組合せ)と、粘土(例えば、ベントナイト粘土)などの無機粒子の形態のバインダーとを含有する乾燥粉末形態の供給原料であってもよい。粘土は、総重量供給原料に基づいて、3から20重量%の粘土、例えば5から15重量%の粘土などの有用な量で供給原料中に存在し得る。粘土バインダーは、3D印刷装置のプリントヘッドまたは他の分注デバイスを使用して供給原料層の一部に選択的に適用することができる、水、例えば脱イオン水に粘土バインダーを接触させることによって固化させることができる。このようにして、供給原料層を形成し、供給原料層を脱イオン水と接触させることによって供給原料層の選択された部分を固化させることによって、供給原料の複数の層が順次形成される。
【0098】
結果として得られる多層グリーン体が生成され、これは緩い(固化していない)供給原料に囲まれている。有利には、バインダーを固化させるために液体として水を使用することによって、グリーン体は、固化した供給原料の吸着剤粒子を一緒に保持するためにバインダーの一部として水を含有する。グリーン体を固化していない粉末供給原料から分離する工程のために、水を凍結させてグリーン体の強度を高めることができる。
【0099】
有用な工程の特定の例では、多層グリーン体は、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤、および粘土を含有する供給原料の複数の層から形成することができる。供給原料は、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤、および粘土を含有するか、含むか、またはそれらからなり得る。供給原料は、5から20重量%の粘土(例えば、ベントナイト粘土)、80から95重量%の吸着剤粒子(少なくとも2つの異なる種類)、および20、10、または5重量%未満の任意の他の材料を含有し得る。
【0100】
供給原料層は、供給原料粉末から形成され、水と選択的に接触して粘土を固化させ、固化していない供給原料層の一部は乾燥し、緩い供給原料の形態のままである。固化した供給原料の複数の層を形成して多層のグリーン体を生成した後、グリーン体および周囲の固化していない供給原料を低温(例えば、負の摂氏2(-2)度~負の摂氏10(-10)度)に配置して、グリーン体に含まれる水を凍結させることができる。水が凍結した後、任意選択的にブラシを使用して凍結したグリーン体の表面から粉末粒子を除去することによることを含んで、グリーン体を周囲の緩い力から機械的に分離することができる。未使用の(固化していない)供給原料を再利用することができる。
【0101】
次に、グリーン体を焼結してもよい。好ましくは、グリーン体を固化していない供給原料から分離した後、焼結工程を行う場所にグリーン体を移動させ、グリーン体を凍結させたまま、摂氏0度未満または負の摂氏2(-2)度未満の温度で、焼結する工程を直ちに開始する。
【0102】
粉末床付加製造技術の異なる変形例として、供給原料層は、バインダー組成物の一部である成分を含有しない(または必要としない)。この変形例では、供給原料層に選択的に適用される液体は、液体形態の熱可塑性または化学硬化性ポリマーの形態であり得るバインダー組成物のすべての必要な成分を含み得る。この変形例では、液体バインダー組成物は、供給原料層に選択的に適用され、固化供給原料層を生成するために所定の位置で固化できるようにされるかまたは固化させられる。
【0103】
この種のシステムの例によれば、供給原料層は吸着剤粒子を含有してもよく、他の材料を含有する必要はない。例えば、供給原料層は、重量基準で少なくとも70、80、90、または95%の2種類以上の吸着剤粒子を含有し得る。しかしながら、本明細書に記載されるように、細孔形成粒子、流動助剤などのような、供給原料層中の他の成分が有用であり得る。
【0104】
供給原料層に適用される液体バインダー組成物は、液体形態のバインダー組成物を供給原料層に選択的に分注して適用するために必要な、また、液体バインダー組成物が固化した供給原料組成物の一部として固化するようになるために必要なバインダー組成物のすべての成分を含むことができる。液体バインダーは、例えば、化学硬化機構(電磁放射線への曝露による)、温度の低下によって、またはエバポレーションによる溶媒の除去によって、のいずれかによって固化することができるポリマー材料を含有することができる。液体バインダー組成物は、有機溶媒、流動剤、または界面活性剤などの有用な量の添加剤と組み合わせて硬化性ポリマーを含むことができ、これにより液体バインダーは、液体バインダーが供給原料層の粒子と効果的に相互作用して所望の固化供給原料層を生成することを可能にする流動および表面張力特性を有する。有用な有機溶媒、流動剤または界面活性剤は、供給原料の粒子の親水性または疎水性に基づいて選択され得る。
【0105】
さらに別の様々な付加製造技術は、ステレオリソグラフィと呼ばれる。この方法は、粉末床技術と同様の工程および設備を使用する。これらの技術により、供給原料層は、硬化性液体バインダー組成物中に分散されたMOF粒子を含有する。液体供給原料層は、バインダージェット技術と同様に、浅い床に含まれ得る。固化した供給原料組成物の複数の層は、各層が紫外線(UV)放射線などの電磁放射線への曝露によって選択的に硬化(固化)されることによって連続的に形成される。(ジェットバインダー技術に関して上述したように)粉末供給原料層に液体を選択的に適用して供給原料層を固化させることと比較して、ステレオリソグラフィ技術は、供給原料層の一部を電磁放射線に曝露することによって液体供給原料層のそれらの部分を選択的に固化(硬化)させ、これにより化学硬化が誘導される。
【0106】
本明細書に記載されるように有用であり得るさらに別の付加製造技術は、「選択的レーザ照射」または「SLI」と呼ばれる。このプロセスは、ステレオリソグラフィに類似しているが、ステレオリソグラフィで使用される液体硬化性供給原料の代わりに、選択的レーザ照射方法は、吸着剤粒子と組み合わせて固体材料、例えば粉末の形態のバインダーを含有する供給原料を使用する。バインダーは、熱可塑性ポリマーまたは放射線硬化性ポリマーであってもよい。サーモポリマーの場合、バインダーは、レーザによって加熱されて溶融し、その後冷却されて固化した供給原料として再固化することができる。あるいは、供給原料に含まれる固体(粉末)バインダーは、レーザによって照射されると反応および重合して固化した供給原料を形成する放射線硬化性ポリマーを含んでもよい。
【0107】
粉末床およびステレオリソグラフィ付加製造技術に加えて、他の付加製造技術もまた、多層吸着剤組成物媒体を調製するのに有用であり得、非粉末床技術も含み得る。一例は、「供給原料分注方法」(FDM)と呼ばれる。この技術により、供給原料層は、床内で調製されず、液体との選択的接触(ジェットバインダー技術による)または選択的照射(ステレオリソグラフィ)によって後に選択的に固化される。代わりに、吸着剤粒子とバインダー組成物との両方を含有する流動性(液体)供給原料材料が、経路または層として表面に選択的に適用され、複数の連続した適用により、固化した供給原料組成物の一連の連続層が形成される。
【0108】
供給原料は、ポリマー(例えば、硬化性または熱可塑性)、無機(例えば、無機粒子)などであり得る本明細書に記載のバインダーを含有し得る。バインダーが放射線硬化性ポリマーを含有する場合、供給原料は、バインダーを電磁放射線に曝露することによって固化され得る。バインダーが無機である場合、供給原料は、例えば溶媒を除去するために、高温への曝露によって固化され得る。
【0109】
例えば、プリントヘッドまたは他の効果的なデバイスを介する排出によって表面に選択的に適用される供給原料は、固化供給原料層のすべての成分を含有する。液体供給原料材料のバインダー組成物は、例えば、光もしくは照射への曝露、高温への曝露によって、またはあるいは液体供給原料材料からの溶媒の除去によってなどの化学硬化機構によって固化することができるポリマー材料を含有してもよい。他の例では、液体供給原料材料のバインダー組成物は、供給原料の経路または層として形成される溶融温度を超えて加熱され、その後冷却されて固化した供給原料組成物を生成する熱可塑性材料であってもよい。例示的な供給原料組成物は、バインダー成分およびポリマーを含有することができ、半固体供給原料または粘性液体と考えることができる流動性材料である。
【0110】
多層複合吸着媒体の調製に使用するための本明細書に記載のこれらの異なる種類の付加製造技術のそれぞれは、バインダー組成物、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子(例えば、粉末または粒子の集合体の形態で)、および付加製造工程を実行するための有用な設備を必要とする。設備は、粉末床技術(一般的に)、ジェットバインダー印刷技術、ステレオリソグラフィ印刷技術、フィラメント堆積法、または別の有用な付加製造方法によって複合吸着媒体を形成することが可能である自動3Dプリンタであってもよい。有用な設備および関連する方法は、多層複合吸着媒体を形成するために、固化した供給原料の複数の層を先行する層の上に重ねて順次配置するのに有効である。重要なことに、供給原料がMOF吸着剤粒子を含有する場合、多層複合吸着媒体を調製する方法は、MOF吸着剤粒子を、例えば、高温への曝露などによる物理的または化学的変質によって、吸着剤材料として無効にするいかなる処理も回避するように選択することができる。
【0111】
多層複合吸着媒体を調製するのに有用なバインダージェット印刷付加製造技術(100)の例を
図4Aおよび
図4Bに示す。
【0112】
図4Aは、有用なバインダージェット印刷付加製造技術の一連の工程を示しており、付加製造システムのプリンタベッドに充填された異なる形態の供給原料102と、付加製造システムのプリントヘッドに充填された異なる液体104とによって、本方法を独立して使用できることを識別している。
【0113】
供給原料102は、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子と、任意の追加の成分とを含有する粉末である。例示的な方法では、供給原料102はバインダー組成物またはその成分を含有せず(例えば、バインダー組成物またはその成分を必要とせず)、液体104はバインダー組成物を含有する。他の例示的な方法では、供給原料102はバインダー組成物またはバインダー組成物の成分を含有し、液体104は、供給原料中のバインダー組成物を固化させるのに有効な液体成分を含有する。
【0114】
以下では、硬化性ポリマー材料または水などのバインダー成分を含有するバインダー組成物をプリントヘッドから供給原料層の選択的部分上に排出して、供給原料層の選択された部分の固化をもたらすシステムおよび方法について説明する。このプロセスは、市販のバインダージェット印刷装置と、本明細書に記載の2つ以上の吸着剤粒子の組合せとを使用して、装置のプリントヘッドから分注された液体ポリマーバインダーまたは水などのバインダー成分(104)を用いて実施することができる。
【0115】
方法(
図4A)の例示的な工程によれば、乾燥(粉末)供給原料(102)は、粉末床付加製造システムの床に充填され、装置のビルドプレートの上の所望の深さの均等な供給原料層として形成される(110)。後続の工程(112)において、プリントヘッドは、液体バインダーまたはバインダー系の成分(104)を第1の層の一部上に選択的に堆積する。液体バインダー(104)は、供給原料層上に配置された後に固化されてもよい。例えば、液体バインダー(104)は、ポリマーを固化させるために除去することができる液体溶媒に溶解または分散されたポリマーを含有し得る。あるいは、供給原料は粘土などのバインダー成分を含んでもよく、水(例えば、蒸留水)などの液体バインダー成分(104)は、供給原料のバインダー成分、例えば粘土を固化させてもよい。
【0116】
液体バインダー(104)が供給原料層に選択的に適用された後、液体バインダー(104)は、例えば、バインダーから溶媒を除去し、その部分に固化した原料を形成するために液体バインダーに熱を加えることによって固化させることができる。あるいは、液体バインダー(104)は、溶融され、供給原料層に適用され、次いで冷却されて固化することができる熱可塑性物質であってもよい。あるいは、液体バインダー(104)は、液体形態の供給原料層に適用され、次いで化学的に反応して固化することができる硬化性ポリマーであってもよい。あるいは、液体は、無機粒子などの第2のバインダー成分を含有する、供給原料層に適用することができる水などのバインダー成分(104)であってもよく、液体および無機粒子は固化して固化した供給原料を形成する。
【0117】
液体バインダーは、供給原料層の吸着剤粒子の位置を固定するのに有効な量で供給原料層に適用される。本方法は、供給原料の吸着剤粒子間の空間を満たす量または様式で液体バインダーを適用することを必要としないが、供給原料層の空隙空間を必ずしも満たすことなく、粉末供給原料層内の隣接または近くの粒子を接続または「架橋」して、粒子の位置を他の吸着剤粒子に対して固定する量で適用することができる。「固化した」供給原料は、吸着剤粒子の位置を支持し維持する構造として作用するのに十分に強化される、剛性である、または固められているという意味で「固体」であるが、接続された粒子間に開口部、空隙空間、または細孔を含んでもよい。固化した供給原料は、例えば、固化した供給原料構造内の吸着剤粒子の位置を接続および維持する乾燥し、硬化された、または他の様態で連続した(必ずしも固体であるとは限らないが、細孔または粒子間空間がないことを意味する)ポリマー材料によって接続された吸着剤粒子を含んでもよい。
【0118】
適用された供給原料層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の粉末供給原料として残る。
【0119】
ビルドプレートが下方に移動され(114)、供給原料の第2の層が、固化した供給原料の一部を含む第1の供給原料層の上に第2の均等な供給原料層として形成される(116)。次いで、プリントヘッドは、第2の量の液体ポリマーバインダーまたはバインダー成分(104)を第2の供給原料層の一部上に選択的に堆積し(118)、第2の量の液体バインダーまたはバインダー成分(104)およびバインダーは、例えば、熱を使用して溶媒を除去し、乾燥(固化した)ポリマーバインダーを形成することによって、またはバインダー組成物の種類に基づく別の関連機構によって、第2の層から固化した供給原料を形成する。
【0120】
第2の層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の粉末供給原料として残る。
【0121】
工程114、116、および118を繰り返して(120)、元の粉末供給原料(1024)に囲まれた完成した多層複合吸着媒体(グリーン体)を形成する。多層複合吸着媒体は、形成された各層の固化した供給原料を含有する多層体であり、固化した(固体)バインダー中に分散した供給原料の吸着剤粒子から構成される。ポリマーバインダーが熱硬化性である場合、任意選択的に、多層複合吸着媒体は、任意選択的に周囲の元の粉末供給原料の存在下で、加熱して、液体ポリマーバインダーを架橋および硬化させてもよい(122)。元の(緩い)粉末供給原料(102または104)を除去し、多層複合材から分離することができる(124)。あるいは、水を含有するバインダーの場合、任意選択的に周囲の元の粉末供給原料の存在下で、グリーン体多層複合吸着媒体を凍結させてグリーン体を強化することができる。
【0122】
多層複合材は、完成した完全に処理された複合吸着媒体のグリーン体形態を変換するために有用または所望され得る任意の後続の種類の処理のための場所に移動することができる。
【0123】
図4Bは、関連するプロセス設備および供給原料を有する技術100の工程を概略的に示す。
図4Bを参照すると、例示的なプロセスは、市販のバインダージェット印刷装置(130)と、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する本明細書に記載の供給原料(132)と、装置(130)のプリントヘッド(136)から分注された液体(133)とを使用して実施することができる。本方法の例示的な工程によれば、供給原料(132)は、装置(130)のビルドプレート(138)の上に均等な厚さおよび同程度の高さの供給原料層(134)として形成される。供給原料層(134)は、ローラまたは他のレベリングデバイスを使用して、所望の深さの供給原料(132)を一様に形成および分配するために一パスまたは複数パスを使用して形成することができる。プリントヘッド(136)は、第1の層(134)の一部上に液体(133)を選択的に堆積する。
【0124】
液体133は、例えば、(
図4Aに関して説明したような)液体バインダー組成物であってもよく、または本明細書に記載の別の液体、例えば水であってもよい。液体バインダー組成物の形態の液体(133)は、例えば熱で乾燥させてバインダーの溶媒をエバポレートさせ、その部分に固体ポリマーを含有する第1の固化した供給原料(140)を形成することによって固化させることができる。あるいは、液体133は、無機粒子などの第2のバインダー成分を含有する、供給原料層に適用することができる水などのバインダー成分(104)であってもよく、液体および無機粒子は固化して固化した供給原料を形成する。
【0125】
供給原料層134の、固化した供給原料(140)に形成されていない部分は、元の粉末供給原料(132)として残る。ビルドプレート(136)が下方に移動され(114)、第2のまたは後続の供給原料層(142)が第1の層(134)および第1の固化した供給原料(140)の上に形成される。次いで、プリントヘッド(136)は、第2の量の液体(133)を第2の層(142)の部分に選択的に堆積し、第2の量の液体ポリマーバインダー(133)は、第2の層から固化した供給原料を形成する。第2の層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の粉末供給原料として残る。
【0126】
以前の層の上に供給原料層を適用し、新しい供給原料層に液体133を適用して新しい供給原料層の固化した供給原料を生成するこの一連の工程は、元の粉末供給原料(132)に囲まれた完成した多層複合吸着媒体(例えば、グリーン体として)(152)を形成するために繰り返される(150)。多層複合吸着媒体(152)は、形成された各層の固化した供給原料を含有する本体であり、固化した(固体)ポリマーバインダー中に分散した供給原料からの少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子から構成される。必要に応じて、多層複合吸着媒体をさらに処理して、複合吸着媒体のグリーン体形態を、本明細書に記載の方法において複合吸着媒体として機能する有用な吸着材料に変換することができる。
【0127】
例示的な後続の処理工程では、図示するように、多層複合吸着媒体(152)は、任意選択的に周囲の元の粉末供給原料(132)の存在下で、加熱して、液体ポリマーバインダーを硬化させてもよい(122)。あるいは、水を含有する液体(133)の場合、任意選択的に周囲の元の粉末供給原料の存在下で、グリーン体多層複合吸着媒体を凍結させてグリーン体を強化することができる。
【0128】
元の(緩い)粉末供給原料(132)を除去し、多層複合吸着媒体(152)から分離することができる。多層複合材(152)は、固化したバインダーを多層複合材(152)から除去する(「脱バインダー」または「脱バインディング」工程)のに有効な温度に加熱するためにオーブンに移動させることができる。
【0129】
ステレオリソグラフィ(SLA)と呼ばれる付加製造技術は、ここで本出願人によって理解され、本明細書に記載されるように、光(電磁放射線)を使用して、液体供給原料層の化学モノマーおよびオリゴマー(一緒に「ポリマー」または「液体ポリマーバインダー」と呼ばれる)を選択的に重合、架橋、または他の様態で化学的に反応させて、供給原料層の固化した供給原料の硬化されたポリマー反応生成物(「固化したポリマー」)を形成する、光化学プロセスを使用して、多層複合吸着媒体を層ごとに形成するために使用することができる、付加製造技術のバージョンである。液体ポリマーバインダーは、紫外線(UV)光などの電磁放射線への曝露によって選択的に硬化可能である。供給原料は液体形態であり、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子と組み合わせて硬化性液体ポリマー(「液体ポリマーバインダー」)を含有する。
【0130】
多層複合吸着媒体は、より大きな三次元構造(複合吸着媒体)を一緒に形成する多くの薄い断面(本明細書における「層」の「固化した供給原料」)を生成する一連の工程によって構築される。電磁放射線源(例えば、レーザ)は、液体供給原料の層の一部にわたって電磁放射線を選択的に適用し、液体供給原料は、本発明によれば、電磁放射線への曝露時に化学的に硬化することによって固化させることができる液体ポリマーバインダーと共に少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する。レーザは、層の表面で液体供給原料の層の一部を選択的に照射する。電磁放射線は、液体ポリマーバインダーを化学反応(すなわち、硬化するための)によって固化させて、2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子および固化した(硬化された)ポリマーを含有する固化した供給原料を形成する。
【0131】
固化した供給原料の初期層が形成された後、固化した供給原料を含有する完成した層の上面の上に液体供給原料の追加の薄層が堆積され、プロセスは、以前の層の上面上に複数の層が形成されて付着した状態で繰り返される。固化した供給原料の個々に形成された層の各々の凝集アセンブリである多層複合吸着媒体を形成するために、複数の層が、各完成した層の上に1つずつ連続して堆積される。多層複合吸着媒体のすべての層が形成された後、固化した供給原料を調製するために使用されなかった元の液体供給原料を含有する層の部分は、多層複合吸着媒体から分離される。その後、多層複合吸着媒体を所望のように処理して、本明細書に記載の方法で有用な最終複合吸着媒体などの誘導体構造を形成し、ガス混合物のガスを分離することができる。後続の処理は、例えば、固化した(硬化された)ポリマーをMOF粒子から除去する工程(すなわち、「脱バインディング」)を含み得る。
【0132】
本明細書に記載の多層複合吸着媒体を調製するのに有用なステレオリソグラフィ付加製造技術(200)の一例を
図5Aに示す。供給原料202は、液体硬化性ポリマーバインダーと組み合わせて少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する液体である。
【0133】
このプロセスは、市販のステレオリソグラフィ付加製造設備、および2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子と組み合わせた液体ポリマーバインダーを含有する供給原料を使用して、実施することができる。例示的な方法の例示的な工程(
図5Aに示すように、括弧内に番号が付けられた工程)によれば、SLA付加製造装置に含まれる液体供給原料(202)は、装置のビルドプレート上に均等な層として形成される(204、206)。後続の工程(208)において、電磁放射線源(例えば、UV(紫外線)レーザ)は、供給原料の液体ポリマーバインダーを化学的に硬化させて固化させる波長の放射線をこの第1の層の一部に選択的に照射する。固化した液体ポリマーバインダーは、照射部分で固化した供給原料を形成する。
【0134】
層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の液体供給原料として残る。
【0135】
ビルドプレートが下方に移動され(210)、液体供給原料の第2の層が、第1の供給原料層の上、および第1の供給原料層の固化した供給原料の上に、第2の均等な層として形成される(212)。次いで、電磁放射線源は、第2の層の一部を選択的に照射して(214)、液体供給原料の第2の層の一部を固化(硬化)させて、第2の層の一部に固化した供給原料を形成する。第2の層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の液体供給原料として残る。工程212、214、および216を繰り返して(218)、元の液体供給原料(202)に囲まれた完成した多層固化供給原料複合材(「最終部品」)を形成する。
【0136】
多層固化供給原料複合材は、形成された各層の固化した供給原料を含有する本体であり、液体供給原料の固化した(固体)ポリマーバインダー中に分散した2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子から構成される。元の液体供給原料(202)を除去し、多層複合材から分離することができる(218)。次いで、多層複合吸着媒体をさらに処理して、MOF型吸着剤材料などの誘導体構造を形成することができる。
【0137】
図5Bを参照すると、例示的なプロセスは、市販のSLA装置(230)を使用し、本明細書による液体供給原料(232)を使用して実施することができる。例示的な工程によれば、液体供給原料(232)は、装置(230)のビルドプレート(238)の上に均等な供給原料層(234)として形成される。レーザ(236)は、第1の層(234)の一部に電磁放射線(233)を適用して、その部分に第1の固化した供給原料(240)を形成する。供給原料層(234)の、固化した供給原料(240)に形成されていない部分は、元の液体供給原料(232)として残る。ビルドプレート(238)が下方に移動され(214)、第2のまたは後続の液体供給原料層(242)が第1の層(234)および第1の固化した供給原料(240)の上に形成される。次いで、レーザ(236)は、第2の層(242)の一部に電磁放射線(233)を選択的に適用して、第2の層から固化した供給原料を形成する。第2の層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の液体供給原料として残る。このシーケンスを繰り返して(250)、元の液体供給原料(232)に囲まれた完成した多層固化供給原料複合材(252)を形成する。多層固化供給原料複合材(252)は、形成された各層の固化した供給原料を含有する本体であり、供給原料の固化した(固体)硬化ポリマー中に分散した供給原料からの2つの異なる種類の吸着剤粒子から構成される。
【0138】
元の液体供給原料(232)を除去し、多層複合材(252)から分離することができる。次いで、多層複合材(252)をさらに処理して、ガス混合物のガスを分離する本明細書に記載のプロセスで有用な複合吸着媒体などの誘導体構造を形成することができる。
【0139】
粉末床および同等の工程も使用する付加製造方法の一例として、本明細書で選択的レーザ照射(SLI)と呼ばれる技術を使用して、多層複合吸着媒体を層ごとに形成することができる。選択的レーザ照射は、レーザエネルギーを使用して、供給原料層の一部を選択的に固化させる。
【0140】
より具体的には、多層複合材は、より大きな三次元構造(複合体)の多くの薄い断面(本明細書における「層」の「固化した供給原料」)を生成する一連の工程によって構築することができる。固体(例えば、粉末)供給原料の層は、ポリマーバインダーと、例えば、組み合わせて粉末(液体ではない)を形成するこれらの成分と組み合わせて、記載されているような少なくとも2つの異なる種類の吸着剤粒子を含むように形成される。レーザエネルギーは、層の一部にわたって供給原料層に選択的に印加される。レーザエネルギーは、レーザエネルギーに曝される供給原料の部分でポリマーバインダーを固化させる。粒子は、レーザエネルギーによって加熱および溶融され、次いで再固化することによって、またはレーザエネルギーによって開始される化学反応によって固化することができる。
【0141】
このようにして固化した供給原料の初期層が形成された後、固化した供給原料を含有する完成した層の上面の上に供給原料の追加の薄層が堆積される。プロセスは、固化した供給原料の複数の層を形成するために繰り返され、各層は以前の層の上部に形成され、以前の層の上面に付着する。固化した供給原料の各層の複合材である多層複合材を形成するために、複数の層が、各完成した層の上に1つずつ連続して堆積される。複数の層は、同じ組成および厚さのものであってもよく、または異なる組成および異なる層厚のものであってもよい。
【0142】
記載されているような多層複合材を調製するのに有用な選択的レーザ照射付加製造技術(300)の一例を
図6Aに示す。このプロセスは、市販の付加製造設備、ならびに供給原料を形成するためのバインダーおよび粒子を使用して実施することができる。供給原料302は、少なくとも2つの異なる種類の吸着剤を含む吸着剤粒子の集合体と、放射線硬化性バインダーを含むバインダーとを含有する。
図5Aに示す例示的な工程によれば、付加製造装置に含まれる供給原料(302)は、装置のビルドプレートの上に均等な層として形成される(304、306)。後続の工程(308)において、電磁放射線源(例えば、レーザ)は、供給原料のバインダーを反応させて固める(「固化させる」)波長およびエネルギーの放射線を供給原料のこの第1の層の一部に選択的に照射する。固化したバインダーおよびMOF粒子は、照射部分で固化した供給原料を形成する。供給原料層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の液体供給原料として残る。
【0143】
ビルドプレートが下方に移動され(310)、供給原料の第2の層が、第1の供給原料層の上、および第1の供給原料層の固化した供給原料の上に、第2の均等な層として形成される(312)。次いで、電磁放射線源は、第2の層の一部を選択的に照射し(314)、これにより、その部分の供給原料のポリマーが固化して、第2の層の部分に固化した供給原料を形成する。第2の層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の粉末供給原料として残る。工程312、314、および316を繰り返して(318)、元の供給原料(302)に囲まれた完成した多層固化供給原料複合材を形成する。
【0144】
多層固化供給原料複合材は、形成された各層の固化した供給原料を含有する本体であり、反応したポリマーバインダーの材料および供給原料のMOF粒子から作製された複数の連続層から構成される。元の供給原料(302)を除去し、多層複合材(318)から分離することができる。
【0145】
図3Bを参照すると、例示的なプロセスは、市販の付加製造装置(330)と、本明細書による硬化性ポリマーバインダーおよび2つ以上の異なる種類の吸着剤粒子を含有する粉末の形態の供給原料(332)とを使用して実施することができる。本方法の例示的な工程によれば、供給原料(332)は、装置(330)のビルドプレート(338)の上に均等な供給原料層(334)として形成される。レーザ(336)は、電磁放射線(333)を第1の層(334)の一部に適用し、これにより、供給原料の放射線硬化性ポリマーが反応し、その部分で固化した供給原料(340)を形成する。供給原料層(334)の、固化した供給原料(340)に形成されていない部分は、元の供給原料(332)として残る。ビルドプレート(338)が下方に移動され(314)、第2のまたは後続の供給原料層(342)が第1の層(334)および第1の固化した供給原料(340)の上に形成される。次いで、レーザ(336)は、第2の層(342)の一部に電磁放射線(333)を選択的に適用して、供給原料の放射線硬化性ポリマーに第2の層から固化した供給原料を形成させる。第2の層の、固化した供給原料に形成されていない部分は、元の粉末供給原料として残る。このシーケンスを繰り返して(350)、元の供給原料(332)に囲まれた完成した多層固化供給原料複合材(352)を形成する。多層固化供給原料複合材(352)は、形成された各層の固化した供給原料を含有する本体であり、固化したポリマーの材料および供給原料の吸着剤粒子から構成される。元の供給原料(332)を除去し、多層複合材(352)から分離することができる。
【0146】
本明細書に記載の多層複合吸着媒体を調製するのに有用な「供給原料分注」付加製造技術(400)の一例を
図7A、
図7B、および
図7Cに示す。供給原料402は、液体硬化性ポリマーバインダーと組み合わせてMOF粒子を含有する流動性(例えば、液体、高粘度液体、または「半固体」流動性材料)である。
【0147】
このプロセスは、市販の付加製造設備、およびMOF粒子と組み合わせて半固体供給原料を形成する液体ポリマーバインダーを使用して実施することができる。例示的な方法の例示的な工程によれば、半固体供給原料(402)は、プリントヘッド(または他の有用なデバイス)(404)によって第1の供給原料層として適用され、固化して第1の固化供給原料層(410)を形成する。半固体供給原料は、2つの異なる種類の吸着剤粒子とバインダー組成物との組合せを含有する「スラリー」または「ペースト」の形態であってもよい。スラリーまたはペーストの形態の供給原料は、吸着剤粒子の微粒子または粉末を溶媒と混合して半液体形態にし、粉末の微細固体吸着剤粒子の流動性を高めることによって作製される。
【0148】
この種の方法に有用な例示的な供給原料材料では、供給原料は、ポリマーと組み合わせて2つの異なる種類の吸着剤粒子を含有する。例示的なポリマーは、サーモポリマーまたは放射線硬化性ポリマーであり得る。
【0149】
供給原料は、総重量供給原料に基づいて、40から90重量%の範囲の量の金属有機構造体吸着剤;0から30重量%の範囲の量の非金属有機構造体吸着剤;および10から30重量%の範囲の量のポリマーバインダーなどの、有用な量の吸着剤粒子およびポリマーを含有し得る。
【0150】
供給原料は、供給原料材料中の液体の種類に応じて、任意の有用な機構によって固化させることができる。液体が化学的に硬化可能なポリマーを含有する場合、硬化性ポリマーを硬化させる照射または熱にポリマーを曝すことによって供給原料層を固化させることができる。液体が、低温への曝露によって固化するサーモポリマーを含有する場合、液体は、低温への曝露によって固化し得る。
【0151】
第2の工程では、
図7Bに示すように、第2の固化供給原料層(412)が第1の固化供給原料層(410)上に形成される。後続の工程を使用して、最終固化供給原料層(450)を含む所望の数の付加層を形成し、多層複合吸着媒体460を形成する(
図7C参照)。
【0152】
多層複合材(452)を、所望に応じてさらに処理して、MOF型吸着剤材料などの誘導体構造を形成することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の吸着剤粒子と、
第2の吸着剤粒子と、
第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーと
を含む、複合吸着媒体。
【請求項2】
第1の吸着剤粒子が、金属有機構造体吸着剤、活性炭吸着剤、多孔性有機ポリマー吸着剤またはゼオライト吸着剤を含み、
第2の吸着剤粒子が、第1の吸着剤粒子とは異なる、金属有機構造体吸着剤、活性炭吸着剤、多孔性有機ポリマー吸着剤またはゼオライト吸着剤を含む、
請求項1に記載の複合吸着媒体。
【請求項3】
第1の吸着剤粒子が、第1のガスと第2のガスとを含むガス混合物に含まれる第1のガスを吸着することが可能であり、
第2の吸着剤粒子が、前記ガス混合物に含まれる第2のガスを吸着することが可能である、
請求項1に記載の複合吸着媒体。
【請求項4】
内部の、請求項1に記載の複合吸着媒体と、
貯蔵容器の内外へのガスの流れを制御するための弁と
を備える、貯蔵容器。
【請求項5】
第1の吸着剤粒子に吸着されたGeF
4と、
第2の吸着剤粒子に吸着されたHF、PF
3またはその両方と
をさらに含み、
GeF
4が、第1の吸着剤粒子からのGeF
4の脱着および第2の吸着剤粒子からのHF、PF
3またはその両方の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着され得る、
請求項4に記載の貯蔵容器。
【請求項6】
第1の吸着剤粒子に吸着された水素化物(例えば、SiH
4、GeH
4、AsH
3)またはハロゲン化物と、
第2の吸着剤粒子に吸着されたH
2Oと
をさらに含み、
水素化物またはハロゲン化物が、第1の吸着剤粒子からの水素化物またはハロゲン化物の脱着および第2の吸着剤粒子からのH
2Oの低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着され得る、
請求項4に記載の貯蔵容器。
【請求項7】
第1の吸着剤粒子に吸着された水素化物(例えば、SiH
4、GeH
4、AsH
3)またはハロゲン化物と、
第2の吸着剤粒子に吸着された水素と
をさらに含み、
水素化物が、第1の吸着剤粒子からの水素化物の脱着および第2の吸着剤粒子からの水素の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着され得る、
請求項4に記載の貯蔵容器。
【請求項8】
第1の吸着剤粒子に吸着されたホスフィンと、
第2の吸着剤粒子に吸着されたジホスフェンと
をさらに含み、
ホスフィンが、第1の吸着剤粒子からのホスフィンの脱着および第2の吸着剤粒子からのジホスフェンの低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着され得る、
請求項4に記載の貯蔵容器。
【請求項9】
第1の吸着剤粒子に吸着されたゲルマンと、
第2の吸着剤粒子に吸着されたジゲルマンと
をさらに含み、
ゲルマンが、第1の吸着剤粒子からのゲルマンの脱着および第2の吸着剤粒子からのジゲルマンの低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着され得る、
請求項4に記載の貯蔵容器。
【請求項10】
第1の吸着剤粒子に吸着されたフッ化物(例えば、BF
3、GeF
4、SiF
4、PF
3)と、
第2の吸着剤粒子に吸着されたフッ化水素(HF)と
をさらに含み、
フッ化物が、第1の吸着剤粒子からのフッ化物の脱着および第2の吸着剤粒子からのフッ化水素の低減された脱着量を引き起こす選択的脱着条件で、第1の吸着剤粒子から選択的に脱着され得る、
請求項4に記載の貯蔵容器。
【請求項11】
ガス混合物に含まれる複数の異なるガスを複合吸着媒体に吸着する方法であって、
ガス混合物を複合吸着媒体と接触させることであって、複合吸着媒体が、
第1の吸着剤粒子と、
第2の吸着剤粒子と、
第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーと
を含む、ガス混合物を複合吸着媒体と接触させることと、
ガス混合物に含まれる第1のガスを第1の吸着剤粒子に吸着させることと、
ガス混合物に含まれる第2のガスを第2の吸着剤粒子に吸着させることと
を含む、方法。
【請求項12】
複合吸着媒体を作製する方法であって、
表面上に第1の供給原料層を形成することであって、供給原料層が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの少なくとも1つを含む供給原料を含む、第1の供給原料層を形成することと、
第1の供給原料層から固化した供給原料を形成することと、
第1の供給原料層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の供給原料層が、吸着媒体粒子を含む供給原料を含む、第2の供給原料層を形成することと、
第2の供給原料層から第2の固化した供給原料を形成することと
を含み、
第1の供給原料層と第2の供給原料層の組合せが、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子を含有する多層複合材を形成する、方法。
【請求項13】
第1の供給原料層のための供給原料および第2の供給原料層のための供給原料の両方が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1の供給原料層のための供給原料が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの一方を含み、第2の供給原料層のための供給原料が、第1の吸着媒体粒子および第2の吸着媒体粒子のうちの他方を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ガス混合物を処理するための複合吸着媒体を調製する方法であって、
第1のガスと第2のガスとを含むガス混合物について、
第1のガスを吸着するための第1の吸着剤粒子を選択することと、
第2のガスを吸着するための第2の吸着剤粒子を選択することと、
複合吸着媒体を形成することであって、複合吸着媒体が、
第1の吸着剤粒子と、
第2の吸着剤粒子と、
第1の吸着剤粒子と第2の吸着剤粒子とを複合吸着媒体として一緒に保持するバインダーと
を含む、複合吸着媒体を形成することと
を含む、方法。
【国際調査報告】