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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】六方晶窒化ホウ素堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20241001BHJP
   C23C 16/38 20060101ALI20241001BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20241001BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241001BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
H01L21/318 B
C23C16/38
C23C16/50
H05H1/46 M
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516878
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022043240
(87)【国際公開番号】W WO2023043699
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,508
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シェン, ツェシン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, サスミット シンハー
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB05
2G084CC33
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084FF04
2G084FF15
4K030AA07
4K030AA11
4K030AA13
4K030BA39
4K030BB02
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA04
4K030FA01
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA05
4K030JA06
4K030JA09
4K030JA16
4K030LA02
4K030LA15
5F045AA08
5F045AB31
5F045AC00
5F045AC01
5F045AC07
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045BB16
5F045DP03
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EF05
5F045EH06
5F045EH13
5F045EH20
5F045EK07
5F058BA20
5F058BC10
5F058BF07
5F058BF22
5F058BF27
5F058BF30
5F058BF39
(57)【要約】
例示的な半導体処理方法は、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に提供することを含んでもよい。基板は、半導体処理チャンバの処理領域内に配置されてもよい。方法は、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体のプラズマを処理領域内で形成することを含んでもよい。基板の温度は約500℃以下で維持されてもよい。方法は、材料の層を基板上に形成することを含んでもよい。材料の層は六方晶窒化ホウ素を含んでもよい。方法は、第1の期間の間、材料の層を基板上に続いて形成し、ホウ素含有前駆体の供給を停止することを含む。方法は、第2の期間の間、窒素含有前駆体のフローを維持することと、窒素含有前駆体のフローを維持しながらプラズマ出力を増加させることとを含んでもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体を、基板が中に配置された、半導体処理チャンバの処理領域に提供することと、
前記基板の温度を約500℃以下で維持して、前記ホウ素含有前駆体および前記窒素含有前駆体のプラズマを前記処理領域内で形成することと、
六方晶窒化ホウ素を含む材料の層を、前記基板上に形成することと
を含む、半導体処理方法。
【請求項2】
前記ホウ素含有前駆体が、ジボラン、パラジメチルアミノベンズアルデヒド、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、またはトリス(ジメチルアミノ)ボランのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項3】
前記窒素含有前駆体が二原子窒素を含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項4】
前記窒素含有前駆体と前記ホウ素含有前駆体の流量比が約100:1以上で維持される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項5】
水素含有前駆体を前記ホウ素含有前駆体および前記窒素含有前駆体とともに供給することであって、前記水素含有前駆体と前記ホウ素含有前駆体の流量比が約100:1以上で維持される、水素含有前駆体を供給すること
をさらに含む、請求項4に記載の半導体処理方法。
【請求項6】
前記半導体処理チャンバ内の圧力が、前記材料の層を前記基板上に形成している間、約10Torr以下で維持される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項7】
前記ホウ素含有前駆体および前記窒素含有前駆体の前記プラズマを形成することが、約500W以下のプラズマ出力で実行される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項8】
前記材料の層が約25.0原子%以上のホウ素濃度であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項9】
前記ホウ素含有前駆体が炭素を含み、前記材料の層が、約10.0原子%以下の炭素濃度であることをさらに特徴とする、請求項8に記載の半導体処理方法。
【請求項10】
第1の期間の間、前記材料の層を前記基板上に続いて形成し、前記ホウ素含有前駆体の供給を停止することと、
第2の期間の間、前記窒素含有前駆体のフローを維持することと
をさらに含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項11】
前記窒素含有前駆体の前記フローを維持しながら、プラズマ出力を増加させること
をさらに含む、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項12】
少なくとも1つの追加サイクルの間、前記半導体処理方法を繰り返すこと
をさらに含む、請求項11に記載の半導体処理方法。
【請求項13】
前記基板が誘電材料である、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項14】
ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体を、基板が中に配置された、半導体処理チャンバの処理領域に提供することと、
前記ホウ素含有前駆体および前記窒素含有前駆体のプラズマを前記処理領域内で形成することと、
六方晶窒化ホウ素を含む材料の層を、前記基板上に形成することと、
第1の期間の間、前記材料の層を前記基板上に続いて形成し、前記ホウ素含有前駆体の供給を停止することと、
第2の期間の間、前記窒素含有前駆体のフローを維持することと、
前記窒素含有前駆体の前記フローを維持しながら、プラズマ出力を増加させることと
を含む、半導体処理方法。
【請求項15】
前記ホウ素含有前駆体が、ジボラン、パラジメチルアミノベンズアルデヒド、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、またはトリス(ジメチルアミノ)ボランのうち少なくとも1つを含む、請求項14に記載の半導体処理方法。
【請求項16】
少なくとも1つの追加サイクルの間、前記半導体処理方法を繰り返すこと
をさらに含む、請求項14に記載の半導体処理方法。
【請求項17】
前記ホウ素含有前駆体の供給を停止した後に、前記半導体処理チャンバ内の前記プラズマ出力を増加させることが、前記プラズマ出力を約600W以上に増加させることを含む、請求項14に記載の半導体処理方法。
【請求項18】
前記窒素含有前駆体と前記ホウ素含有前駆体の流量比が約100:1以上で維持される、請求項14に記載の半導体処理方法。
【請求項19】
第1の表面および前記第1の表面とは反対側の第2の表面によって特徴付けられる基板と、
前記基板の前記第1の表面を覆う1つまたは複数の誘電材料であって、1つまたは複数の陥凹部が内部に形成された、1つまたは複数の誘電材料と、
前記1つまたは複数の陥凹部を規定する表面に沿って延在するライナ材料と、
前記1つまたは複数の陥凹部の各陥凹部に配置され、前記ライナ材料と接触している金属材料と、
前記金属材料を覆う、六方晶窒化ホウ素を含む材料の層と
を備える、半導体構造。
【請求項20】
前記材料の層が、約50オングストロームから100オングストロームの厚さであることを特徴とする、請求項19に記載の半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月17日に出願した米国特許出願第63/245,508号の利益を主張し、その開示全体をすべての目的のため参照により本明細書に援用する。
【0002】
本技術は、半導体処理の方法および構成要素に関する。より具体的には、本技術は、高い機械的強度を有する低k膜を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、入り組んだパターンの材料層を基板表面上に製造するプロセスによって可能になる。パターン化された材料を基板上に製造するには、材料を形成し除去するための制御された方法を要する。材料特性が、デバイスがどのように動作するかに影響することがあり、また膜が互いに対してどのように除去されるかに影響することもある。プラズマ強化堆積は、特定の特性を有する膜を製造することができる。膜における所望の特性はその用途に応じて異なることがある。
【0004】
したがって、高品質のデバイスおよび構造を製造するのに使用することができる、改善されたシステムおよび方法が必要とされている。これらおよび他の必要性は本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
半導体処理の例示的な方法は、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に提供することを含んでもよい。基板は、半導体処理チャンバの処理領域内に配置されてもよい。方法は、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体のプラズマを処理領域内で形成することを含んでもよい。基板の温度は約500℃以下で維持されてもよい。方法は、材料の層を基板上に形成することを含んでもよい。材料の層は、六方晶窒化ホウ素を含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、ホウ素含有前駆体は、ジボラン、パラジメチルアミノベンズアルデヒド、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、またはトリス(ジメチルアミノ)ボランのうち少なくとも1つを含んでもよい。窒素含有前駆体は、二原子窒素を含んでもよい。窒素含有前駆体とホウ素含有前駆体の流量比は、約100:1以上で維持されてもよい。方法は、水素含有前駆体をホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体とともに供給することを含んでもよい。水素含有前駆体とホウ素含有前駆体の流量比は、約100:1以上で維持されてもよい。半導体処理チャンバ内の圧力は、材料の層を基板上に形成している間、約10Torr以下で維持されてもよい。ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体のプラズマの形成は、約500W以下のプラズマ出力で実行されてもよい。材料の層は、約25.0原子%以上のホウ素濃度によって特徴付けられてもよい。ホウ素含有前駆体は炭素を含んでもよい。材料の層は、約10.0原子%以下の炭素濃度によって特徴付けられてもよい。方法は、第1の期間の間、材料の層を基板上に続いて形成し、ホウ素含有前駆体の供給を停止することと、第2の期間の間、窒素含有前駆体のフローを維持することとを含んでもよい。方法は、窒素含有前駆体のフローを維持しながら、プラズマ出力を増加させることを含んでもよい。方法は、少なくとも1つの追加サイクルの間、半導体処理方法を繰り返すことを含んでもよい。基板は誘電材料であってもよい。
【0007】
本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理方法を包含してもよい。方法は、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に提供することを含んでもよい。基板は、半導体処理チャンバの処理領域内に配置されてもよい。方法は、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体のプラズマを処理領域内で形成することを含んでもよい。方法は、材料の層を基板上に形成することを含んでもよい。材料の層は、六方晶窒化ホウ素を含んでもよい。方法は、第1の期間の間、材料の層を基板上に続いて形成し、ホウ素含有前駆体の供給を停止することを含んでもよい。方法は、第2の期間の間、窒素含有前駆体のフローを維持することと、窒素含有前駆体のフローを維持しながらプラズマ出力を増加させることとを含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、ホウ素含有前駆体は、ジボラン、パラジメチルアミノベンズアルデヒド、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、またはトリス(ジメチルアミノ)ボランのうち少なくとも1つを含んでもよい。方法は、少なくとも1つの追加サイクルの間、半導体処理方法を繰り返すことを含んでもよい。方法は、ホウ素含有前駆体の供給を停止した後に、半導体処理チャンバ内のプラズマ出力を増加させることが、プラズマ出力を約600W以上に増加させることを含むことを含んでもよい。窒素含有前駆体とホウ素含有前駆体の流量比は、約100:1以上で維持されてもよい。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、半導体構造を包含してもよい。半導体構造は、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面によって特徴付けられる、基板を含んでもよい。1つまたは複数の誘電材料が基板の第1の表面を覆ってもよい。1つまたは複数の陥凹部が、1つまたは複数の誘電材料内に形成されてもよい。ライナ材料が、1つまたは複数の陥凹部を規定する表面に沿って延在してもよい。金属材料が、1つまたは複数の陥凹部の各陥凹部に配置されてもよい。金属材料は、ライナ材料と接触していてもよい。材料の層が金属材料を覆ってもよい。材料の層は六方晶窒化ホウ素を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、材料の層は、約50オングストローム~100オングストロームの厚さによって特徴付けられる。
【0011】
かかる技術は、従来のシステムおよび技法を超える多数の利益を提供することができる。例えば、本開示の実施形態にしたがって、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体を利用することで、80nm未満など、所望の厚さを有する六方晶窒化ホウ素膜の層が可能にすることができるが、これは、六方晶窒化ホウ素層に隣接する層間の拡散を低減または防止するのに有効である。加えて、六方晶窒化ホウ素の層は、機械的強度を犠牲にすることなく、所望の低k膜を可能にすることができる。これらおよび他の実施形態を、それらの利点および特徴の多くとともに、以下の説明および添付図面と併せてさらに詳細に記載する。
【0012】
開示する技術の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステムを示す概略断面図である。
図2】本技術のいくつかの実施形態による半導体処理の例示的な方法の工程を示す図である。
図3】本技術のいくつかの実施形態による、材料層が含まれ製造される例示的な概略断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面のうちいくつかは概略図として含まれる。図面は例示目的のものであって、縮尺通りであると具体的に提示されていない限り、縮尺通りとみなすべきではないことが理解されるべきである。さらに、概略図として、図面は理解を助けるために提供されるものであり、実際の表現と比較してすべての態様または情報を含まないことがあり、例示目的のために誇張した材料を含むことがある。
【0015】
添付図面において、類似の構成要素および/または特徴は同じ参照記号を有することがある。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照記号の後に類似の構成要素同士を区別する文字を付すことによって、区別されることがある。明細書において最初の参照記号のみが使用される場合、その説明は、文字にかかわらず同じ最初の参照記号を有する類似の構成要素のいずれにも適用可能である。
【0016】
半導体構造の製造に使用される材料の層は、BLokと呼ばれることがある、従来の低誘電率化学蒸着バリア膜を含まれる。低誘電率化学蒸着バリア膜は、窒化ケイ素膜の代替として使用される。BLok膜は炭化ケイ素膜であり、窒化ケイ素膜と比較すると、より高速で強力なデバイスを達成するために、バリア膜がより低誘電率になることがある。BLok膜は、やはり窒化ケイ素膜と比較して、誘電率が5未満であり、窒化ケイ素膜よりも6~7桁小さいリークを示し、他の膜との接着性が良好である可能性がある。しかしながら、BLokは、約80nmを超えるなど、比較的厚くなる可能性がある。BLokの厚さなど、膜が厚すぎる場合、膜内におけるフィーチャーのサイズが小さくなると金属の間隔が小さくなる可能性がある。金属の間隔が狭くなると、線路抵抗が望ましくない増加を示すことがある。
【0017】
機械的強度があり、かつ線路抵抗の増加を回避するのに十分な薄さの、低誘電率特性を有する材料が、継続的に必要とされている。BLok膜の代わりに使用できる六方晶窒化ホウ素膜は、約50nmなど、約80nm以下の厚さを特徴とすることができる。しかしながら、六方晶窒化ホウ素膜を形成する従来の方法は、約1,000℃以上の温度を必要とする。本技術は、従来の低誘電率化学蒸着バリア膜の代わりに六方晶窒化ホウ素の層を形成することによって、これらの課題を克服することができる。従来の方法は、基板上に先に蒸着された他の層の熱履歴のため、低誘電率化学蒸着バリアとして六方晶窒化ホウ素の層を形成することができなかった。製造された六方晶窒化ホウ素材料は、有用なヤング率値を保持したまま、低誘電率値によって特徴とし、従来の低誘電率化学蒸着バリア膜よりも薄い可能性がある。さらに、製造された六方晶窒化ホウ素材料は、約500℃以下の温度で、触媒の助けを何ら借りずに形成することができる。
【0018】
残りの開示では、本開示の技術を利用した特定の蒸着プロセスを日常的に特定し、1つのタイプの半導体処理チャンバについて記載するが、記載するプロセスは他の蒸着チャンバに等しく適用可能であること、ならびにプロセスが任意の数の半導体処理チャンバで実行できることが容易に理解されるであろう。したがって、本技術は、これらの具体的な堆積プロセスまたはチャンバのみで使用することに限定されるものとみなされるべきではない。本開示では、本技術による半導体処理の方法を説明する前に、本技術の実施形態によるプロセスを実行するのに使用され得る1つの可能なチャンバについて説明する。
【0019】
図1は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な半導体処理チャンバ100の断面図を示している。この図は、本技術の1つまたは複数の態様を組み込んだ、および/または本技術の実施形態による1つまたは複数の処理を実行するように特別に構成されたシステムの概観を示している。チャンバ100または実行される方法のさらなる詳細は、さらに後述する。チャンバ100は、本技術のいくつかの実施形態による膜層を形成するのに利用され得るが、方法は同様に、膜形成が中で行われる可能性がある任意のチャンバで実行できることが理解されるべきである。半導体処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、チャンバ本体102内部に配置された基板支持体104と、チャンバ本体102と接続され、基板支持体104を処理容積120内に封入するリッドアセンブリ106とを含み得る。基板103は、スリット弁またはドアを使用して処理のために従来的に封止され得る開口部126を通して、処理容積120に提供され得る。基板103は、処理の間、基板支持体104の表面105上に載置され得る。基板支持体104は、基板支持体104の軸144が配置される軸147に沿って、矢印145によって示されるように回転可能である。あるいは、基板支持体104は、堆積プロセスの間、必要に応じて持ち上げられて回転してもよい。
【0020】
プラズマプロファイル変調器111は、基板支持体104上に配置された基板103にわたるプラズマ分布を制御するため、半導体処理チャンバ100内に配置されてもよい。プラズマプロファイル変調器111は、チャンバ本体102に隣接して配置されてもよく、チャンバ本体102をリッドアセンブリ106の他の構成要素から分離してもよい、第1の電極108を含んでもよい。第1の電極108は、リッドアセンブリ106の一部であってもよく、または別個の側壁電極であってもよい。第1の電極108は、環状またはリング状部材であってもよく、リング電極であってもよい。第1の電極108は、処理容積120を取り囲む半導体処理チャンバ100の円周を囲む連続ループであってもよく、または所望に応じて選択された場所において不連続であってもよい。第1の電極108はまた、有孔リングもしくはメッシュ電極などの有孔電極であってもよく、または例えば補助ガス分配器などのプレート電極であってもよい。
【0021】
1つまたは複数のアイソレータ110a、110bは、セラミックまたは酸化金属、例えば酸化アルミニウムおよび/もしくは窒化アルミニウムなどの誘電材料であり、第1の電極108に接触し、第1の電極108をガス分配器112から、またチャンバ本体102から、電気的および熱的に分離することができる。ガス分配器112は、プロセス前駆体を処理容積120内へと分配するためのアパーチャ118を画定することができる。ガス分配器112は、RF発生器、RF電源、DC電源、パルスDC電源、パルスRF電源、または半導体処理チャンバ100と接続されてもよい他の任意の電源など、第1の電力源142と接続できる。いくつかの実施形態では、第1の電力源142はRF電源であってもよい。
【0022】
ガス分配器112は、導電性ガス分配器であっても、非導電性ガス分配器であってもよい。ガス分配器112はまた、導電性部品および非導電性部品から形成され得る。例えば、ガス分配器112の本体は導電性であってもよく、ガス分配器112の面板は非導電性であってもよい。ガス分配器112は、図1に示されるような第1の電力源142などによって電力供給されてもよく、またはガス分配器112は、いくつかの実施形態では接地と接続されてもよい。
【0023】
第1の電極108は、半導体処理チャンバ100の接地経路を制御することができる第1の同調回路128と接続されてもよい。第1の同調回路128は、第1の電子センサ130および第1の電子コントローラ134を含み得る。第1の電子コントローラ134は、可変コンデンサや他の回路素子である、あるいは、可変コンデンサや他の回路素子を含んでもよい。第1の同調回路128は、1つもしくは複数のインダクタ132であるか、またはそれを含んでもよい。第1の同調回路128は、処理中に処理容積120内に存在するプラズマ状態を可変、または制御可能なインピーダンスを可能にする、任意の回路であり得る。図示されるようないくつかの実施形態では、第1の同調回路128は、接地と第1の電子センサ130との間に並列で接続される第1の回路脚および第2の回路脚を含んでもよい。第1の回路脚は第1のインダクタ132Aを含んでもよい。第2の回路脚は、第1の電子コントローラ134と直列で接続される第2のインダクタ132Bを含んでもよい。第2のインダクタ132Bは、第1の電子コントローラ134と、第1および第2の回路脚の両方を第1の電子センサ130に接続するノードとの間に配置されてもよい。第1の電子センサ130は、電圧または電流センサであってもよく、処理容積120内部のプラズマ状態の閉ループ制御をある程度することができる第1の電子コントローラ134と接続されてもよい。
【0024】
第2の電極122は基板支持体104と接続されてもよい。第2の電極122は、基板支持体104内に埋め込まれるか、または基板支持体104の表面105と接続されてもよい。第2の電極122は、プレート、有孔プレート、メッシュ、ワイヤスクリーン、または導電素子の他の任意の分配配置であってもよい。第2の電極122は、同調電極であってもよく、例えば基板支持体104の軸144内に配置された、導管146、例えば50Ωなどの選択された抵抗を有するケーブルによって、第2の同調回路136と接続されてもよい。第2の同調回路136は、第2の電子センサ138と、第2の可変コンデンサであってもよい第2の電子コントローラ140とを有してもよい。第2の電子センサ138は、電圧または電流センサであってもよく、第2の電子コントローラ140と接続されて、処理容積120内のプラズマ状態をさらに制御できる。
【0025】
第3の電極124は、バイアス電極および/または静電チャック電極であってもよく、基板支持体104と接続され得る。第3の電極は、インピーダンス整合回路であるフィルタ148を通して、第2の電力源150と接続されてもよい。第2の電力源150は、DC電力、パルスDC電力、RFバイアス電力、パルスRF源もしくはバイアス電力、またはそれらもしくは他の電源の組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の電力源150はRFバイアス電力であってもよい。基板支持体104はまた、約25℃~約800℃以上の処理温度に基板を加熱するように構成された、1つまたは複数の加熱素子を含み得る。
【0026】
図1のリッドアセンブリ106および基板支持体104は、プラズマ処理または熱処理用の任意の処理チャンバとともに使用されてもよい。処理中に、半導体処理チャンバ100は、処理容積120内のプラズマ状態のリアルタイム制御をすることができる。基板103は基板支持体104上に配置されてもよく、処理ガスは、任意の所望のフロー計画にしたがって、入口114を使用してリッドアセンブリ106を通して流され得る。ガスは、出口152を通って半導体処理チャンバ100から排出され得る。電力は、処理容積120内にプラズマを確立すべく、ガス分配器112と接続される。基板は、いくつかの実施形態では、第3の電極124を使用して電気バイアスを受けてもよい。
【0027】
処理容積120内のプラズマに電流を流すと、電位差が、プラズマと第1の電極108との間に生じる場合がある。電位差が、プラズマと第2の電極122との間に生じる場合もある。そこで、電子コントローラ134、140を使用して、2つの同調回路128および136によって表される接地経路のフロー特性を調整することができる。セットポイントを、第1の同調回路128および第2の同調回路136に伝達して、堆積速度と中心から縁部までのプラズマ密度の均一性との独立制御をもたらすことができる。電子コントローラが両方とも可変コンデンサである実施形態では、電子センサが可変コンデンサを調整して、堆積速度を最大限にすることと、厚さの不均一性を最小限にすることとを独立して行うことができる。
【0028】
各同調回路128、136は、それぞれの電子コントローラ134、140を使用して調整することができる、可変インピーダンスを有することができる。電子コントローラ134、140が可変コンデンサである場合、可変コンデンサそれぞれの容量範囲、ならびに第1のインダクタ132Aおよび第2のインダクタ132Bのインダクタンスは、インピーダンス範囲をもたらすように選ばれてもよい。この範囲は、プラズマの周波数および電圧特性に依存する場合があり、各可変コンデンサの容量範囲内に最小値を有することがある。したがって、第1の電子コントローラ134の容量が最小値または最大値の場合、第1の同調回路128のインピーダンスが高くなり、結果として、基板支持体104の上の空中または横方向のカバレッジが最小となるプラズマ形状がもたらされる可能性がある。第1の電子コントローラ134の容量が第1の同調回路128のインピーダンスを最小限にする値に近付くと、プラズマの空中カバレッジが最大値まで成長して、基板支持体104の作動エリア全体を有効に網羅することができる。第1の電子コントローラ134の容量が最小インピーダンス設定から逸脱するにつれて、プラズマ形状がチャンバ壁から収縮し、基板支持体104の空中カバレッジが減退することがある。第2の電子コントローラ140は類似の効果を有することができ、第2の電子コントローラ140の容量を変化させることができるように、基板支持体104の上のプラズマの空中カバレッジを増減させることができる。
【0029】
電子センサ130、138は、それぞれの回路128、136を閉ループで同調するのに使用することができる。電流または電圧のセットポイントは、使用されるセンサのタイプに応じて、各センサにインストールされ、センサは、セットポイントからの逸脱を最小限にするように、それぞれの電子コントローラ134、140に対する調整を決定する制御ソフトウェアが提供され得る。結果として、処理の間にプラズマ形状が選択され動的に制御されることが可能になる。上述の考察は、可変コンデンサである電子コントローラ134、140に基づくが、調整可能なインピーダンスを有する同調回路128および136を提供するのに、調整可能な特性を有する任意の電子構成要素が使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0030】
図2は、本技術のいくつかの実施形態による処理方法200の例示的処理を示している。方法200は、上述の半導体処理チャンバ100を含む様々な処理チャンバ、ならびに非プラズマチャンバを含む他の任意のチャンバを含む、様々な処理チャンバ内で実行され得る。方法200は、方法200の開始前に、フロントエンド処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、または説明した処理に先立って実行される可能性がある他の任意の処理などの、1つまたは複数の処理を含んでもよい。方法200は、本技術の実施形態による方法200のいくつかの実施形態と具体的に関連付けられても、または関連付けられなくてもよい、複数の任意の処理を含んでもよい。例えば、処理の多くは、実行されるプロセスのより広い範囲を提供するために説明されるが、本技術にとって重要ではなく、またはさらに後述するように代替の方法論によって実行される可能性がある。図面は部分的な概略図のみを示しており、基板は、図面に示されるような様々な特性および態様を有する任意の数の追加の材料およびフィーチャーを含んでもよいことが理解されるべきである。
【0031】
方法200は、材料膜または材料の層を基板上に形成する処理を含む、半導体処理方法を含む場合があり、その場合、材料の膜または層は、六方晶窒化ホウ素であるかまたは六方晶窒化ホウ素を含む。この方法は、方法200の開始前に任意の処理を含んでもよく、または方法は追加の処理を含んでもよい。例えば、方法200は、追加の堆積、除去、または措置の処理を含む、方法の開始前に実行される処理を含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法200は、工程205で、1つまたは複数の前駆体を処理チャンバ内に提供することを含んでもよく、それにより、1つまたは複数の前駆体を、基板が収容されてもよい半導体処理チャンバの処理領域内に供給してもよい。基板は、メタライゼーション処理中に、誘電体材料を含んでもよく、金属材料の1つまたは複数の層は、バックエンド・オブ・ライン処理において構造上に形成されてもよい。金属材料は、例えば、誘電体材料中に画定された領域に形成されてもよく、その上に、本技術のいくつかの実施形態による材料が堆積または形成されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、前駆体は、六方晶窒化ホウ素などの低k誘電層を製造する、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体であるかまたはそれらを含んでもよい。本技術のいくつかの実施形態によるホウ素含有前駆体は、ホウ素および炭素結合を有する前駆体を含んでもよく、直鎖分岐前駆体、環状前駆体、または任意の数の追加の前駆体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前駆体は、炭素および/または酸素対ホウ素の特定の比によって特徴付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、炭素または酸素のどちらかとホウ素との比は、約1以上であってもよく、約1.5以上であってもよく、約2以上であってもよく、約2.5以上であってもよく、約3以上であってもよく、約3.5以上であってもよく、約4以上、またはそれ以上であってもよい。
【0033】
任意の数の前駆体が利用されてもよいが、本技術のいくつかの実施形態では、例示的なホウ素含有前駆体は、ジボラン、パラジメチルアミノベンズアルデヒド、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、またはトリス(ジメチルアミノ)ボランを含まれる。ホウ素および窒素に結合された炭素を有するホウ素含有前駆体など、任意の数の他のホウ素含有前駆体が考えられる。例示的な窒素含有前駆体は、二原子窒素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、窒素含有前駆体はアンモニアフリーであってもよい。さらに説明されるように、二原子窒素のプラズマと比較して、アンモニアのプラズマを形成する方が簡単なことがあり、二原子窒素の窒素ラジカルへの分解が遅いため、材料の層の成長速度が遅くなることがあり、非晶質窒化ホウ素とは対照的に望ましい六方晶窒化ホウ素の形成に寄与することができる。いくつかの実施形態によれば、方法は、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体とともに水素含有前駆体を供給することを含み得る。
【0034】
ホウ素含有前駆体、窒素含有前駆体、および任意に水素含有前駆体の様々な流量を、用いられる特定の半導体処理チャンバに応じて使用することができる。本技術のいくつかの実施形態では、窒素含有前駆体とホウ素含有前駆体の流量比は、約100:1以上で維持されてもよく、約200:1以上、約300:1以上、約400:1以上、約500:1以上、約600:1以上、約700:1以上、約800:1以上、約900:1以上、約1000:1以上、またはそれ以上で維持されてもよい。窒素含有前駆体は、約500sccm以上の速度で半導体処理チャンバ100の処理領域に供給されてもよく、約750sccm以上、約1,000sccm以上、約1,250sccm以上、約1,500sccm以上、約1,750sccm以上、約2,000sccm以上、またはそれ以上の速度で供給されてもよい。
【0035】
同様に、本技術のいくつかの実施形態では、水素含有前駆体とホウ素含有前駆体の流量比は、約100:1以上で維持されてもよく、約200:1以上、約300:1以上、約400:1以上、約500:1以上、約600:1以上、約700:1以上、約800:1以上、約900:1以上、約1000:1以上、またはそれ以上で維持されてもよい。水素含有前駆体は、約500sccm以上の速度で半導体処理チャンバ100の処理領域に供給されてもよく、約750sccm以上、約1,000sccm以上、約1,250sccm以上、約1,500sccm以上、約1,750sccm以上、約2,000sccm以上、またはそれ以上の速度で供給されてもよい。いくつかの実施形態では、窒素含有前駆体および水素含有前駆体は、等しい流量で半導体処理チャンバ100に供給されてもよい。
【0036】
流量を制御することによって、材料の層は、層が望ましくは六方晶窒化ホウ素を含有するような速度で形成されてもよい。例えば、ホウ素含有前駆体の低流量により、より多くの窒素が層に組み込まれ、結果として得られる六方晶窒化ホウ素層が低速で成長される可能性がある。層における窒素とホウ素の比は、約1:3以上であってもよく、約1:2以上、約2:3以上、約1:1以上、またはそれ以上であってもよい。実施形態では、ホウ素含有前駆体の流量は、約20sccm以下であってもよく、約15sccm以下、約10sccm以下、約9sccm以下、約8sccm以下、約7sccm以下、約6sccm以下、約5sccm以下、約4sccm以下、約3sccm以下、約2sccm以下、またはそれ以下であってもよい。さらに、水素含有前駆体を供給することは六方晶窒化ホウ素の形成に必須ではないが、水素は、低い機械的強度または高い誘電特性を有することがある、六方晶窒化ホウ素の部分をエッチングし除去するのに役立つことがある。
【0037】
工程210で、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体のプラズマが処理領域内で形成され得る。1つまたは複数の前駆体がチャンバの処理領域に供給され、プラズマが形成され得る。プラズマは、RF出力を面板に提供して処理領域内でプラズマを発生させることなどによって発生させることができるが、プラズマを生成することができる他の任意の処理チャンバが同様に使用することができる。ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体のプラズマの形成は、約500W以下のプラズマ出力で実行でき、約450W以下、約400W以下、約350W以下、約300W以下、約250W以下、またはそれ以下のプラズマ出力で形成さ得る。約500W以下のプラズマ出力を使用することで、基板上における材料の層の堆積速度が遅くなり、それによって、材料の層内の欠陥がより少なく、より均一な構造がもたらされる可能性がある。つまり、堆積速度が遅い材料の層は、誘電特性を犠牲にすることなく、より硬質の材料となる可能性がある。材料の層の堆積速度は、非晶質または立方晶構造などの他の構造と比較して、六方晶構造であるため、また材料の層における窒素とホウ素の比によって、より低速となる可能性がある。本開示で指定される前駆体および流量を使用することによって、前駆体はゆっくりとプラズマ放出物に分解し、したがってゆっくり基板上に堆積し、材料の層を形成することができる。
【0038】
基板305は、半導体処理チャンバ100の処理領域内に配置されてもよい。基板305は前駆体のプラズマ放出物と接触することができ、好ましい終端を生成することができる。二原子窒素を窒素含有前駆体として使用することで、結果としてプラズマがより低速で形成される可能性がある。二原子窒素の個々の窒素原子は、3つの共有結合を介して結合しており、ゆっくり分解して個々の窒素ラジカルを形成する。窒素ラジカルに付着した3つの共有結合を有さない窒素含有前駆体と比較して、窒素プラズマが二原子窒素からゆっくり発生することで、材料の層を基板305上に形成することができる速度を遅くなる場合がある。材料の層の成長速度が速すぎる場合、望ましい六方晶窒化ホウ素の代わりに非晶質窒化ホウ素が形成されることがある。また、上述したように、約500W以下のプラズマ出力を使用することで、基板305上における材料の層の堆積速度を遅くなり、それによって、材料の層内の欠陥がより少なく、より均一な構造がもたらされる可能性がある。
【0039】
堆積は、例えば、ライン処理のバックエンドにおける熱履歴である、約500℃以下の基板またはペデスタル温度で実行できる。いくつかの実施形態では、堆積は、約200℃以上、約225℃以上、約250℃以上、約275℃以上、約300℃以上、約325℃以上、約350℃以上、約375℃以上、約400℃以上、約425℃以上、約450℃以上、約475℃以上、またはそれ以上の温度で行い得る。高周波プラズマ出力などのプラズマ出力の使用によって、約500℃以下の温度が可能である場合がある。従来の方法では、プラズマ出力は利用されないことがあり、六方晶窒化ホウ素膜を形成するのにより高い温度を必要とすることがある。堆積は、約10Torr以下の圧力で行われてもよく、約9Torr以下、約8Torr以下、約7Torr以下、約6Torr以下、約5Torr以下、約4Torr以下、約3Torr以下、約2Torr以下、またはそれ以下の圧力で行われてもよい。堆積は、約0.5Torr以上、約1Torr以上、約2Torr以上、約3Torr以上、約4Torr以上、約5Torr以上、またはそれ以上の圧力で行われてもよい。
【0040】
ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体のプラズマの放出物は、工程215で、基板上に堆積され、それによって、六方晶窒化ホウ素などのホウ素含有材料および窒素含有材料が生成される可能性がある。約500W以下のプラズマ出力で形成されるプラズマなどの低出力プラズマを利用することによって、ホウ素含有前駆体および窒素含有前駆体の分解に追加のエネルギーおよび時間を要することがあるので、前駆体の分解の量が低減することがある。これにより、材料の堆積速度が減少し、基板305上における材料の成長速度が遅くなる場合がある。材料の堆積速度の減少により、熱履歴未満の温度で六方晶窒化ホウ素を形成できる可能性がある。本技術の実施形態は、堆積に続く追加の処理を包含するが、堆積された膜の特性は、従来の技術を上回る範囲の改善が含まれる可能性がある。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、工程220で、ホウ素含有前駆体のフローが停止され、いくつかの実施形態では、窒素および/または水素前駆体のフローは継続される。ホウ素含有前駆体のフローを停止することによって、基板上に既に形成された材料の層をさらに処理することが可能になり得る。ホウ素含有前駆体が提供されていない場合、窒素含有前駆体および任意の水素含有前駆体は、より低品質である材料の層のいずれかを効果的に除去し得る。窒素含有前駆体および任意の水素含有前駆体によって除去され得るより低品質の材料は、良好に層状になった材料として形成されなかった材料である可能性がある。より低品質の材料は、構造的に無傷であり、窒素含有前駆体および任意の水素含有前駆体に対する抵抗性が高い、六方晶窒化ホウ素などの所望の高品質材料をエッチングまたは除去することなく、より容易に低出力で除去され得る。
【0042】
工程225で、半導体処理チャンバの処理領域におけるプラズマ出力を増加させることができる。プラズマ出力は、ホウ素含有前駆体のフローが低減された後、工程225で増加させ得る。いくつかの実施形態では、プラズマ出力は、ホウ素含有前駆体のフローを停止し、窒素含有前駆体のフローを維持した後、工程225で増加させてもよい。工程225の間、プラズマ出力は、約600W以上に増加させてもよく、約700W以上、約800W以上、約900W以上、約1000W以上、またはそれ以上に増加させてもよい。プラズマ出力の増加によって、膜を稠密化し再配置されて、基板上における材料の層の機械的強度が改善される可能性がある。工程225で、基板上の材料の層のいくつかの部分は、非晶質または立方晶構造から六方晶構造へと移行する可能性があり、それにより、材料の層は、六方晶窒化ホウ素の良好に配向された層状構造として特徴付けられる可能性がある。材料が再配置されると、材料は、より整列し、欠陥がより少なく、層を通る原子または分子の拡散が低減または排除され得る。
【0043】
本技術によれば、約4.00以下の誘電率によって特徴付けられてもよく、約3.95以下、約3.90以下、約3.85以下、約3.80以下、約3.75以下、約3.70以下、約3.65以下、約3.60以下、約3.55以下、約3.50以下、約3.45以下、約3.40以下、約3.35以下、約3.30以下、約3.25以下、約3.20以下、約3.15以下、約3.10以下、約3.05以下、約3.00以下、またはそれ以下であってもよい、六方晶窒化ホウ素材料が製造されてもよい。低誘電率化学蒸着バリア膜として使用される材料の層を形成する従来の方法は、低誘電率のために機械的強度の性質を犠牲にすることがある。さらに、膜を展開する従来の方法は半導体処理における熱履歴を上回ることがあるので、六方晶窒化ホウ素はバリア膜として適さないことがある。上述したように、六方晶窒化ホウ素を堆積させる従来の方法は、六方晶窒化ホウ素を堆積させるのに高周波プラズマ出力などのプラズマ出力を利用しないので、従来の方法は、熱履歴よりもはるかに高い、約1000℃以上の温度を必要とすることがある。対照的に、本発明者らは、高周波プラズマ出力などのプラズマ出力を使用することで、六方晶窒化ホウ素を形成するのに必要な温度をはるかに低く、熱履歴以内にするのを可能にできることを確認した。
【0044】
誘電率は、膜の材料特性に関連することがある。従来、誘電率が低いほど、製造される膜のヤング率は低くなる。しかしながら、本技術のいくつかの実施形態にしたがって膜を製造することによって、ヤング率は、対応する堆積されたままの誘電率値を有する膜を製造することができる従来の技術においてもたらされるであろうヤング率よりも高く維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本技術は、約55Gpa以上のヤング率を特徴とする材料を製造でき、約56Gpa以上、約57Gpa以上、約58Gpa以上、約59Gpa以上、約60Gpa以上、約61Gpa以上、約62Gpa以上、約63Gpa以上、約64Gpa以上、約65Gpa以上、約66Gpa以上、約67Gpa以上、約68Gpa以上、約69Gpa以上、約70Gpa以上、またはそれ以上のヤング率を特徴とすることができる。結果として、本技術は、材料のより高いヤング率を維持したまま、より低い誘電率の膜を製造できる可能性がある。より多量の炭素を有するホウ素含有前駆体を使用する実施形態では、ヤング率は、より少量の炭素を有するホウ素含有前駆体を使用する実施形態よりも低くなる可能性があることに留意されたい。用途や所望の特性に応じて、基板305上に形成される材料の層における炭素の量を制限するため、より少量の炭素を含むホウ素含有前駆体を選択するのが望ましいことがある。
【0045】
本技術の実施形態によって製造される材料特性は、層内に組み込まれるホウ素の量に関係している可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、本技術にしたがって製造される堆積されたままの材料は、膜内に組み込まれるかまたは保持されるホウ素の割合が、約25.0原子%以上であることを特徴とすることができ、約27.5原子%以上、約30.0原子%以上、約32.5原子%以上、約35.0原子%以上、約37.5原子%以上、約40.0原子%以上、約42.5原子%以上、約45.0原子%以上、約47.5原子%以上、またはそれ以上の膜内のホウ素組込みであることを特徴とすることができる。
【0046】
加えて、層内に組み込まれる炭素のパーセンテージは、堆積されたままの材料において約10.0原子%以下であってもよく、約9.0原子%以上、約8.0原子%以上、約7.0原子%以上、約6.0原子%以上、約5.0原子%以上、約4.0原子%以上、約3.0原子%以上、約2.0原子%以上、約1.0原子%以上、またはそれ以下であってもよい。材料の層におけるより少量の炭素は、材料の層のヤング率などの材料特性を強化する可能性がある。ホウ素含有前駆体、および前駆体中の炭素の量の選択は、材料の層における炭素の結果的な量に影響を及ぼすことがある。使用される特定の1つまたは複数のホウ素含有前駆体は、材料の層におけるすべての材料の性質に影響を及ぼすことがある。例えば、ホウ素含有前駆体が多量の炭素も含有すると、ヤング率が半分になるなど、ヤング率が低下する可能性がある。しかしながら、本技術の実施形態に従って、低出力プラズマを他の処理特性とともに利用することによって、他の材料の性質の中でも特に、ヤング率の増加を特徴とする低k誘電材料を製造することができる。
【0047】
図3は、本技術のいくつかの実施形態に従って材料層が含まれ製造される例示的な概略断面構造300を示している。構造300は、基板305上に堆積された複数層を含まれ得る。基板305は、第1の表面306および第1の表面306の反対側の第2の表面307を含み得る。基板は、例えばシリコンであってもよい。1つまたは複数の誘電材料が基板305の第1の表面306を覆ってもよい。1つまたは複数の誘電材料は、第1の低誘電バリア層310および第2の低誘電バリア層340などの層を含んでもよい。第1の低誘電バリア層310および第2の低誘電バリア層340などの、1つまたは複数の誘電材料は、酸化ケイ素などの酸化物材料、またはフッ素をドープした酸化物、炭素、または処理に使用されてもよい他の低k材料を含んでもよいがそれらに限定されない。1つまたは複数の陥凹部350は、1つまたは複数の誘電材料内に形成されてもよい。層はまた、低誘電材料315、ライナ材料320、金属材料325、およびバリア材料330を含んでもよい。低誘電材料315は、例えば、酸化ケイ素または窒化ケイ素などのシリコン含有材料であってもよい。
【0048】
ライナ材料320は、1つまたは複数の陥凹部350を規定する表面に沿って延在してもよい。ライナ材料320は開口部を規定してもよい。いくつかの実施形態では、ライナ材料320は窒化タンタルであってもよい。ライナ材料320は、堆積したときに誘電材料上で共形である材料であってもよい。ライナ材料320は、窒化タンタルおよび窒化チタンを含んでもよいがそれらに限定されない。金属材料325は、1つまたは複数の陥凹部350の各陥凹部に配置されてもよい。金属材料325は、ライナ材料320と接触していてもよく、銅、コバルト、タングステン、または他の金属材料など、任意の数の金属であってもよい。バリア材料330は、例えばコバルトであってもよい。バリア材料330は、堆積したときに金属材料上で選択的である材料であってもよい。
【0049】
本開示に記載される六方晶窒化ホウ素材料などの六方晶窒化ホウ素層335は、低誘電材料315、金属材料325、バリア材料330、またはそれらの組合せの上に形成されてもよい。したがって、六方晶窒化ホウ素層335は、すべての金属および誘電材料を覆うブランケットとして特徴付けられる可能性がある。実施形態では、六方晶窒化ホウ素層335は、約50オングストローム~約80オングストロームなど、約50オングストローム~約100オングストロームの厚さを有してもよい。上述したように、六方晶窒化ホウ素材料は、機械的強度を犠牲にすることなく、低誘電率などの所望の特性を有する可能性がある。加えて、六方晶窒化ホウ素材料は、第2の低誘電バリア層340ならびに低誘電材料315および/またはバリア材料330など、六方晶窒化ホウ素層によって分離された層間における、原子および分子の拡散を低減または排除する。
【0050】
上記の記載では、説明目的で、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために、多数の詳細について説明してきた。しかしながら、特定の実施形態はこれらの詳細の一部を含まずに、または追加の詳細を含んで実践されてもよいことが、当業者には明白となるであろう。
【0051】
いくつかの実施形態を開示してきたが、実施形態の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替の構成、および等価物が使用されてもよいことが、当業者には認識されるであろう。加えて、本技術を不必要に曖昧にすることを回避するために、多くの良く知られているプロセスおよび要素について記載してこなかった。したがって、上述の記載は技術の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0052】
値の範囲が提供される場合、文脈による別段の明示がない限り、その範囲の上限と下限との間の中間の各値も、下限の単位の最も小さい小数部まで、具体的に開示されているものと理解される。提示された範囲内の任意の提示された値または提示されていない中間値、およびその提示された範囲内の他の任意の提示された値または中間値の間の、いずれのより狭い範囲も包含される。それらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して範囲に含まれてもまたは範囲から除外されてもよく、より小さい範囲に上下限のどちらかが含まれる、どちらも含まれない、または両方が含まれる各範囲も技術に包含され、提示された範囲における任意の具体的に除外される限界の対象となる。提示された範囲が限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界のどちらかまたは両方を除外した範囲も含まれる。
【0053】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈による別段の明示がない限り、複数形を含む。したがって、例えば、「ホウ素含有前駆体」に対する言及は複数のかかる材料を含み、「前駆体」に対する言及は、1つまたは複数の前駆体、および当業者には知られているその等価物に対する言及を含み、その他も同様である。
【0054】
また、「備える」、「備えている」、「含有する」、「含有している」、「含む」、および「含んでいる」という単語は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用されるとき、提示される特徴、整数、構成要素、または処理が存在することを指定しようとするものであるが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、構成要素、処理、動作、または群の存在または追加を妨げるものではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】