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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】荷電粒子装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/153 20060101AFI20241001BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20241001BHJP
   H01J 37/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/28 B
H01J37/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517178
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2022074525
(87)【国際公開番号】W WO2023046440
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21199203.7
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オステルベルク,マンス,ヨハン,バーティル
(72)【発明者】
【氏名】シュールブリアーズ,コーエン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB02
5C101CC01
5C101EE03
5C101EE08
5C101EE22
5C101EE25
5C101EE44
5C101EE69
5C101FF15
(57)【要約】
サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームを投射するように構成された荷電粒子装置であって、サンプルに向けて荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームのサブビームを投射するように構成された荷電粒子光学系であって、荷電粒子のマルチビームのサブビームが荷電粒子ビームから得られる、荷電粒子光学系と、接地電位との間に第1の電位差がある状態で動作するように構成された、マルチビーム経路を取り囲むチューブと、接地電位との間に第2の電位差がある状態でサンプルを支持するように構成されたサポートであって、サンプルに向かう荷電粒子のマルチビームを加速させるために第1の電位差と第2の電位差には差がある、サポートと、を備え、第1の電位差が、第2の電位差より大きい、荷電粒子装置。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームを投射するように構成された荷電粒子装置であって、
サンプルに向けて荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、
前記サンプルに向けて前記マルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームのサブビームを投射するように構成された荷電粒子光学系であって、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームが、前記荷電粒子ビームから得られる、荷電粒子光学系と、
接地電位との間に第1の電位差がある状態で動作するように構成された、前記マルチビーム経路を取り囲むチューブと、
前記接地電位との間に第2の電位差がある状態で前記サンプルを支持するように構成されたサポートであって、前記サンプルに向かう荷電粒子の前記マルチビームを加速させるために前記第1の電位差と前記第2の電位差には差がある、サポートと、を備え、
前記第1の電位差が、前記第2の電位差より大きい、荷電粒子装置。
【請求項2】
前記チューブが、少なくとも1つのセクションを含み、
各セクションが、前記マルチビーム経路に沿って異なる位置に延在し、前記マルチビーム経路を取り囲む、請求項1に記載の荷電粒子装置。
【請求項3】
前記荷電粒子光学系の少なくとも一部が、前記チューブの最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側に位置し、
前記チューブの前記最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側に位置する前記荷電粒子光学系が、ダウンビーム側デバイスである、請求項2に記載の荷電粒子装置。
【請求項4】
前記チューブの前記最もダウンビーム側の端部と前記ダウンビーム側デバイスの最もアップビーム側の静電コンポーネントとの間の前記電位差が、前記第1の電位差より小さい、請求項3に記載の荷電粒子装置。
【請求項5】
前記ダウンビーム側デバイスの前記最もアップビーム側の静電コンポーネントが、前記チューブの前記最もダウンビーム側の端部と同じ電位を有する、請求項3又は4に記載の荷電粒子装置。
【請求項6】
前記ダウンビーム側デバイスが、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームの前記経路用のアパーチャのアレイが画定されるアップビーム側プレート(すなわち、前記デバイスの前記最もアップビーム側の静電コンポーネントである)を含む、請求項3~5の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項7】
前記ダウンビーム側デバイスが、多数のプレートを含み、その各々において、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームの前記経路用のアパーチャのアレイが画定され、
前記多数のプレートが、前記アップビーム側プレートを含む、請求項6に記載の荷電粒子装置。
【請求項8】
前記アップビーム側プレートが、サブビーム形成アレイであり、
前記アパーチャが、前記荷電粒子源からの前記荷電粒子ビームから荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームを形成するように構成される、請求項7に記載の荷電粒子装置。
【請求項9】
前記多数のプレートが、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームを整形するためのビーム整形アパーチャのアレイが画定されるビーム整形アパーチャアレイを含み、
前記ビーム整形アパーチャアレイが、前記アップビーム側プレートのダウンビーム側に位置する、請求項8に記載の荷電粒子装置。
【請求項10】
前記ダウンビーム側デバイスが、荷電粒子の前記マルチビームのそれぞれのサブビームを前記サンプル上に集束するように構成された多数の対物レンズを含む対物レンズアレイを含む、請求項3~9の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項11】
前記ダウンビーム側デバイスが、検出器を含み、
前記検出器アレイの少なくとも一部が、前記ダウンビーム側デバイスの最もダウンビーム側のプレートに含まれる、請求項3~10の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項12】
前記荷電粒子光学系が、前記サンプル全体にわたって荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームを走査させるために前記荷電粒子ビームのそれぞれの部分を偏向するように構成された走査偏向器を含む、請求項2~11の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項13】
前記荷電粒子光学系が、前記チューブの隣接するセクション間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントを含む、請求項2~12の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項14】
前記荷電粒子光学系の最もダウンビーム側のコンポーネントと前記接地電位との間の電位差が、前記第1の電位差より小さい、請求項1~13の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項15】
前記荷電粒子源が、前記荷電粒子ビームを放出するためにカソードとアノードとの間に電位差がある状態で動作するように構成された前記カソード及び前記アノードを含み、
前記チューブが、前記アノードと同じ電位を有し、前記サンプルが、前記接地電位を有する、請求項1~14の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される、2021年9月27日に出願された欧州特許第21199203.7号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、概して、サンプルに向けて荷電粒子のマルチビームを投射するための荷電粒子装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、例えば光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が製作プロセス中に基板(即ちウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それにより歩留まりが低下する。従って、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的には、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームによるパターン検査ツールは、物体を検査するために、例えばパターン欠陥を検出するために使用されている。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子との相互作用により、二次電子、後方散乱電子又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。生成された二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することにより、サンプルの表面にわたって二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出された二次電子を収集することにより、パターン検査ツールは、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。後方散乱電子及び二次電子を含む電子ビームの強度は、サンプルの内部及び外部構造の特性に基づいて異なり得、それにより、サンプルが欠陥を有するかどうかを示し得る。
【0005】
[0005] 電子の比較的高いエネルギービームは、ソースカソードから放出され得る。最終的な減速ステップは、ソースカソードの電圧に近い高い電圧になるようにサンプルにバイアスをかけることによって達成することができる。サンプルホルダは、サンプルにバイアスをかけるために高い電圧に維持され得る。これにより、あらゆる移動ステージの設計が複雑になり得る。また、放電によってサンプルやツールのコンポーネントが損傷するリスクも存在し、そのリスクは、サンプルを移動するホルダや、ホルダを移動するステージなど、相対移動コンポーネント間で大きくなり得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の目的は、移動ステージの複雑さを軽減し、サンプルを損傷するリスクを低減しながら、低い着地エネルギーでサンプル上に着地する荷電粒子のビームをサポートする実施形態を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様によれば、サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームを投射するように構成された荷電粒子装置であって、サンプルに向けて荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームのサブビームを投射するように構成された荷電粒子光学系であって、荷電粒子のマルチビームのサブビームが、荷電粒子ビームから得られる、荷電粒子光学系と、接地電位との間に第1の電位差がある状態で動作するように構成された、マルチビーム経路を取り囲むチューブと、接地電位との間に第2の電位差がある状態でサンプルを支持するように構成されたサポートであって、サンプルに向かう荷電粒子のマルチビームを加速させるために第1の電位差と第2の電位差には差がある、サポートと、を含む、荷電粒子装置であり、第1の電位差が、第2の電位差より大きい、荷電粒子装置が提供される。
【0008】
[0008] 本発明の第2の態様によれば、サンプルに向けて荷電粒子のマルチビームを投射するための方法であって、荷電粒子ビームを放出することと、荷電粒子光学系を使用して、荷電粒子ビームから得られた荷電粒子のマルチビームのサブビームをサンプルに向けてマルチビーム経路に沿って投射することと、マルチビーム経路を取り囲むチューブを使用して、サンプルに向かう荷電粒子ビームを加速させることであって、チューブが、接地電位との間に第1の電位差がある状態で動作することと、接地電位との間に第2の電位差がある状態でサンプルを保持することと、を含む、方法であり、第1の電位差が、第2の電位差より大きい、方法が提供される。
【0009】
[0009] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的な実施形態の説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]例示的な電子ビーム検査装置を示す概略図である。
図2】[0011]図1の例示的な電子ビーム検査装置の一部である例示的な電子マルチビーム装置を示す概略図である。
図3】[0012]例示的な電子マルチビーム装置の概略図である。
図4】[0013]マクロコリメータ及びマクロ走査偏向器を含む例示的な電子装置の概略図である。
図5】[0014]一実施形態による例示的なマルチビーム電子装置の概略図である。
図6】[0015]図5のマルチビーム電子装置の一部の概略図である。
図7】[0016]一実施形態による電子装置の対物レンズアレイの概略断面図である。
図8】[0017]一実施形態による電子装置の制御レンズアレイ及び対物レンズアレイの概略断面図である。
図9】[0018]図7又は図8の対物レンズアレイの変更形態の底面図である。
図10】[0019]図7又は図8の対物レンズアレイに組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
図11】[0020]検出器の検出器素子の底面図である。
図12】[0021]一実施形態による例示的な電子装置の概略図である。
図13】[0022]一実施形態による例示的な電子装置の概略図である。
図14】[0023]一実施形態による例示的な電子装置の概略図である。
図15】[0024]一実施形態による例示的な電子装置の概略図である。
図16】[0025]一実施形態による例示的な電子装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0026] これらの概略図は、以下で説明されるコンポーネントを示す。しかし、図に描写されるコンポーネントは、原寸に比例していない。
【0012】
[0027] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代替的に、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0013】
[0028] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、さらに小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。従って、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは、驚くべきことではない。1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与え得る。1つのみの「致命的欠陥」がデバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここで、ステップは、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るために、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有しなければならない。個々のそれぞれのステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0014】
[0029] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方、1時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(即ちウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。従って、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0015】
[0030] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置とを含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子光学系又は装置と呼ばれ得る。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子などの信号電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるとき、サンプルからの信号電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、即ちマルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれ得る。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。従って、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0016】
[0031] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0017】
[0032] 以下の図面の説明の中では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又は実体を指すものであり、個々の実施形態に関する違いのみを説明している。説明及び図面は、電子光学システムを対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。従って、本明細書全体を通して、電子への言及は、より一般的に荷電粒子への言及であると見なされ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。例えば、電子装置への言及は、より一般的には、荷電粒子装置への言及であると考えられ得る。
【0018】
[0033] ここで、例示的な電子ビーム検査装置100を示す概略図である図1を参照する。図1の電子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子装置40(電子評価装置又は電子ビームシステム若しくはツールと呼ばれることもある)、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30及びコントローラ50を含む。電子装置40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0019】
[0034] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加的な1つ又は複数の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料でできている基板)又は検査対象のサンプル(以降では、基板、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)を収容する基板前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取り得る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0020】
[0035] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され得、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが、大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後、サンプルは、電子装置40に運ばれ、サンプルは、電子装置40によって検査され得る。電子装置40は、電子光学系41を含む。電子光学系41は、サンプル208に向けて少なくとも1つの電子ビームを投射するように構成された電子光学コラム、及び/又は少なくとも1つの電子ビームをサンプル208上に集束するように構成された対物レンズモジュールであり得る。また、電子光学系は、サンプル208から放出された電子を検出するように構成された検出器モジュール、及び/又は少なくとも1つの電子ビームの電子光学パラメータを調節するように構成された制御レンズモジュールも含み得る。一実施形態では、電子光学コラムは、対物レンズモジュール及び検出器モジュールを含み得、任意選択的に、制御レンズモジュールを含み得る。一実施形態では、電子光学系は、電子光学コラムに含めることができる対物レンズアセンブリを含む。対物レンズアセンブリは、検出器アレイ及び任意選択的に制御レンズアレイなどの1つ又は複数の他の電子光学コンポーネントと関連付けられる(例えば、一体化される)対物レンズアレイを含む。電子光学系41は、サンプル208に向けたマルチビーム投射のためのマルチビーム電子光学系41であり得る。
【0021】
[0036] コントローラ50は、電子装置40の電子光学系41の電子光学コンポーネントに電子的に接続される。コントローラ50は、電子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)であり得る。また、コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20及びEFEM 30を含む構造の外部に位置するものとして示されているが、コントローラ50は構造の一部であり得ることが理解されている。コントローラ50は、電子ビーム検査装置100のコンポーネント要素の1つに位置付けても、少なくとも2つのコンポーネント要素にわたって分散させてもよい。コントローラは、電子光学系41の一部であると考えられ得る。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供しているが、本開示の態様は、広い意味で、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力の下で動作する他のツールや装置の他の構成にも適用できることが理解されている。
【0022】
[0037] ここで、図1の例示的な電子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム電子光学系41を含む例示的な電子装置40を示す概略図である図2を参照する。電子装置40は、電子源201及び投影装置230を含む。電子装置40は、電動ステージ209及びサポート207(サンプルホルダと呼ばれることもある)をさらに含む。投影装置230は、電子光学系41と呼ばれることがある。サポート207は、検査用のサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するために、電動ステージ209によって支持される。電子光学系41は、検出器240(例えば、電子検出デバイス)をさらに含み得る。
【0023】
[0038] 電子源201は、カソード121(図2には図示せず、但し図12~16に示す)及び抽出器又はアノード122(図2には図示せず、但し図12~16に示す)を含み得る。動作中、電子源201は、一次電子として電子をカソード121から放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノード122によって抽出又は加速されて、一次電子ビーム202を形成する。
【0024】
[0039] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、各サブビームをサンプル208上に導くように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されているが、何十、何百、又は何千ものサブビームが存在し得る。サブビームは、ビームレットと呼ばれ得る。
【0025】
[0040] コントローラ50は、電子放射源201、検出器240、投影装置230及び電動ステージ209など、図1の電子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、マルチビーム電子装置40を含む電子ビーム検査装置100の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0026】
[0041] 投影装置230は、検査のためにサブビーム211、212及び213をサンプル208上に集束するように構成され得、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット221、222及び223を形成し得る。投影装置230は、サンプル208の表面のセクション内の個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222及び223を走査するために、一次サブビーム211、212及び213を偏向させるように構成され得る。サンプル208上のプローブスポット221、222及び223上への一次サブビーム211、212及び213の入射に応答して、信号電子の例として二次電子及び後方散乱電子を含む電子がサンプル208から生成される。二次電子は、通常、50eV以下の電子エネルギーを有する。実際の二次電子は、5eV未満のエネルギーを有し得るが、50eV未満の任意のエネルギーは、通常、二次電子において取り扱われる。後方散乱電子は、通常、0eVと一次サブビーム211、212、213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。50eV未満のエネルギーを有する検出された電子は、通常、二次電子として取り扱われるため、実際の後方散乱電子のある割合が二次電子として計数される。
【0027】
[0042] 検出器240は、二次電子及び/又は後方散乱電子などの信号粒子を検出し、対応する信号を生成するように構成され、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、信号処理システム280に送られる。検出器240は、投影装置230に組み込まれ得る。
【0028】
[0043] 信号処理システム280は、画像を形成するために検出器240からの信号を処理するように構成された回路(図示せず)を含み得る。信号処理システム280は、他に画像処理システムと呼ばれ得る。信号処理システムは、マルチビーム電子装置40のコンポーネント、例えば検出器240内に組み込まれ得る(図2に示すように)。しかし、信号処理システム280は、電子ビーム検査装置100又はマルチビーム電子装置40の任意のコンポーネント内に例えば投影装置230又はコントローラ50の一部として組み込まれ得る。信号処理システム280は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含み得る。例えば、信号処理システムは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。従って、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はこれらの組み合わせなど、信号通信を可能にする検出器240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、検出器240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合され得、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存するか、又は後処理された画像を保存するために使用され得る。
【0029】
[0044] 信号処理システム280は、検出された信号粒子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。従って、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0030】
[0045] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中、好ましくは継続的に例えば一定の速度である方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラ50は、走査プロセスの検査ステップの特徴に応じてステージ速度(その方向を含む)を制御し得る。
【0031】
[0046] 上記で説明された電子装置40及び電子ビーム検査装置100などの既知のマルチビームシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2020118784号、米国特許出願公開第20200203116号、米国特許出願公開第2019/0259570号及び米国特許出願公開第2019/0259564号に開示されている。
【0032】
[0047] 図2に示されるように、一実施形態では、電子装置40は、投影アセンブリ60を含む。投影アセンブリ60は、光ビーム62が電子光学系41とサンプル208との間に入射するように光ビーム62を導くために配置される。投影アセンブリ60は、光伝導効果、光電効果又は熱効果などの効果によって蓄積する電荷を制御するようにサンプル208に光ビーム62を照射するために採用することができる。一実施形態では、投影系60は、光源61を含む。光源61は、光ビーム62を放出するように構成される。一実施形態では、光源61は、レーザ光源である。一実施形態では、投影アセンブリ60は、サンプル208の表面に垂直な方向の方がその表面に平行な方向よりも狭くなるように光ビーム62を集束するように構成された光学系63を含む。一実施形態では、光学系63は、ある方向の方が直交方向よりも光ビーム62の集束度が増すように構成されたシリンドリカルレンズ64を含む。一実施形態では、光学系63は、ミラーなどの反射面65、66を含む。例えば、2つの反射面65、66を提供することができる。
【0033】
[0048] 本発明で使用することができる電子装置40のコンポーネントについては、電子装置40の概略図である図3に関連して以下で説明する。図3の電子装置40は、本明細書で上述又は後述される電子装置40(システム又はツールと呼ばれることもある)に相当し得る。
【0034】
[0049] 電子源201は、電子を、集光レンズ231のアレイ(他に集光レンズアレイと呼ばれる)に向かって誘導する。電子源201は、望ましくは、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器である。何十、何百又は何千もの集光レンズ231が存在し得る。集光レンズ231は、多電極レンズを含み得、欧州特許出願公開第1602121A1号に基づく構造を有し得、この文献は、特に電子ビームを、例えば源から、複数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(このアレイは、サブビーム毎に1つのレンズを提供する)の開示に関して参照により本明細書に組み込まれる。集光レンズアレイの各集光レンズは、サブビームを操作するためのものであり得る。集光レンズ231のアレイは、電極として機能する少なくとも2つのプレートの形態を取り得、各プレートのアパーチャは、互いに位置合わせされ、サブビームの位置に対応する。プレートの少なくとも2つは、所望のレンズ効果を実現するために、動作中に異なる電位に維持される。
【0035】
[0050] ある構成では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートアレイから形成され、これらのプレートアレイでは、荷電粒子は、各レンズに入るときと、各レンズを出るときとで同じエネルギーを有し、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれ得る。従って、分散は、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ生じ、それによりオフアクシス色収差が制限される。集光レンズの厚さが薄い場合、例えば数mmである場合、そのような収差の影響は、小さいか又は無視できる。
【0036】
[0051] アレイの各集光レンズ231は、それぞれのサブビーム211、212、213に電子を導き、それぞれのサブビーム211、212、213は、集光レンズアレイのダウンビーム側のそれぞれの中間焦点で集束される。サブビームは、互いに発散している。一実施形態では、偏向器235は、中間焦点において提供される。偏向器235は、サブビーム経路にある対応する中間焦点の位置又は少なくともその周辺に位置決めされる。偏向器235は、サブビーム経路にある関連サブビームの中間像面又はその近くに位置決めされる。偏向器235は、それぞれのサブビーム211、212、213を操作するように構成される。偏向器235は、主光線(ビーム軸と呼ばれることもある)がサンプル208に実質的に垂直に(すなわち、サンプルの公称表面に対して実質的に90°で)入射することを保証するために効果的な量の分だけそれぞれのサブビーム211、212、213を曲げるように構成される。偏向器235は、コリメータ又はコリメータ偏向器と呼ばれることがある。偏向器235は、事実上、サブビームの経路をコリメートするものであり、偏向器の手前では、サブビームの経路は、互いに発散している。偏向器のダウンビーム側では、サブビーム経路は、互いに実質的に平行である(すなわち、実質的にコリメートされる)。適切なコリメータは、マルチビームアレイへの偏向器の適用に関して参照により本明細書に援用される、2020年2月7日に出願された欧州特許第20156253.5号で開示される偏向器である。コリメータは、偏向器235の代わりに又はそれに加えて、マクロコリメータ270(例えば、図4に示されるような)を含み得る。従って、図4に関連して以下で説明されるマクロコリメータ270には、図3の特徴が提供され得る。これは、一般に、コリメータアレイを偏向器235として提供するよりも好ましくない。
【0037】
[0052] 偏向器235の下方(すなわち、ダウンビーム側又は電子源201から遠い方)には、制御レンズアレイ250が存在する。偏向器235を通過したサブビーム211、212、213は、制御レンズアレイ250に入射すると同時に、実質的に平行になる。制御レンズは、サブビームを事前に集束する(例えば、サブビームが対物レンズアレイ241に到達する前に、集束動作をサブビームに適用する)。事前に集束することにより、サブビームの発散を低減するか又はサブビームの収束率を高めることができる。制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241は協働して、複合焦点距離を提供する。中間焦点を除いた動作の組合せにより、収差のリスクを低減することができる。
【0038】
[0053] さらに詳細には、着地エネルギーを決定するために制御レンズアレイ250を使用することが望ましい。しかし、着地エネルギーを制御するために、対物レンズアレイ241を追加で使用することも可能である。そのような事例では、対物レンズ上の電位差は、異なる着地エネルギーを選択する際に変更される。対物レンズ上の電位差を変更することによって着地エネルギーを部分的に変更することが望ましい状況の一例は、サブビームの焦点が対物レンズに近づきすぎるのを防ぐ場合である。そのような状況では、対物レンズアレイ241のコンポーネントが薄すぎて製造できないというリスクがある。この場所にある検出器についても同じことが言える。この状況は、例えば、着地エネルギーを低下させた場合に起こり得る。この理由は、対物レンズの焦点距離が、使用される着陸エネルギーにほぼ比例するためである。対物レンズ上の電位差を減らし、それにより、対物レンズ内部の電界を下げることにより、対物レンズの焦点距離が再び大きくなり、焦点位置が対物レンズのさらに下方になる。対物レンズのみを使用する場合は、倍率の制御に限界があることに留意されたい。そのような構成では、縮小率及び/又は開き角を制御することはできない。さらに、対物レンズを使用して着地エネルギーを制御するということは、対物レンズがその最適な電界強度から外れて動作する可能性があることを意味し得る。対物レンズの機械パラメータ(その電極間の間隔など)を調節できる(例えば、対物レンズを交換することによって)場合は、話は別である。
【0039】
[0054] 制御レンズアレイ250は、多数の制御レンズを含む。各制御レンズは、少なくとも1つの電極を含み、好ましくは、それぞれの電位源に接続された2つの電極(例えば、2つ又は3つの電極)を含む。制御レンズアレイ250は、それぞれの電位源に接続された1つ又は複数の(例えば、3つの)プレート電極アレイを含み得る。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241と関連付けられる(例えば、2つのアレイは、互いに近接して位置決めされる、互いに機械的に接続される、及び/又は1つのユニットとして一緒に制御される)。各制御レンズは、それぞれの対物レンズと関連付けることができる。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241のアップビーム側に位置決めされる。
【0040】
[0055] 制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241の電極に対するさらなる1つ又は複数の電極と見なされ得る。制御レンズアレイ250は、サブビームを制御するための自由度の増大を提供する。制御レンズアレイ250に含まれる電極の数が多いほど、自由度が増す。例えば、これらの追加の電極により、対物レンズアレイ241の電界強度とは無関係に着地エネルギー及び/又は倍率を制御することが可能になり得る。従って、一部の設計では、制御レンズは、対物レンズの一部であり得る。従って、そのような電極への言及は、制御レンズなどの別個のレンズというよりむしろ、対物レンズの一部としてのものであり得る。そのような構成における制御レンズへの言及は、機能的に等しい対物レンズの電極への言及であり得る。
【0041】
[0056] 制御レンズアレイ250は、各サブビーム211、212、213用の制御レンズを含む。制御レンズアレイ250の機能は、ビームの縮小率に関してビームの開き角を最適化すること、及び/又はサブビーム211、212、213をサンプル208に導く対物レンズアレイ241に伝達されるビームエネルギーを制御することである。開き角(又は縮小率)と制御レンズによって対物レンズに伝達されるビームエネルギーは、制御レンズが制御のために使用することができるサブビームの2自由度に相当すると見なされ得る。対物レンズアレイ241は、電子光学系41の基部又はその近くに位置決めすることができる。制御レンズアレイ250はオプションであるが、対物レンズアレイ241のアップビーム側のサブビームを最適化するために好ましいものである。
【0042】
[0057] 説明を簡単にするため、本明細書では、楕円形状のアレイ(図3に示されるような)によって、レンズアレイを概略的に描写する。各楕円形状は、レンズアレイの複数のレンズの1つを表す。楕円形状は、光学レンズで採用される場合が多い両凸形状の類推によってレンズを表すために慣例的に使用される。しかし、本明細書で論じられるものなどの荷電粒子構成の文脈では、レンズアレイは、典型的には、静電的に動作するため、両凸形状を採用した物理的要素は不要であり得ることが理解されよう。代わりに、レンズアレイは、アパーチャを有する複数のプレートを含み得る。
【0043】
[0058] 任意選択的に、走査偏向器260のアレイは、制御レンズアレイ250と、対物レンズ234のアレイとの間に設けられる。走査偏向器260のアレイは、サブビーム211、212、213毎に1つの走査偏向器を含む。各走査偏向器は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208全体にわたって一方向又は二方向に走査するように、サブビームを一方向又は二方向に偏向させるように構成される。
【0044】
[0059] 図4は、マクロコリメータ270及びマクロ走査偏向器265を含む例示的な電子装置40の概略図である。電子源201は、マクロコリメータ270の方に電子を導く。電子源201は、望ましくは、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器である。
【0045】
[0060] サブビームは、例えば、ビーム制限アパーチャのアレイを画定するサブビーム形成アレイ252(ビーム制限アパーチャアレイとしても知られている)を使用して、ビームから得ることができる。以下で説明されるように、ビームは、制御レンズアレイ250に当たると同時に、サブビームに分離し得る。サブビームは、制御レンズアレイ250に入射すると同時に、実質的に平行になる。
【0046】
[0061] マクロコリメータ270は、ビームがマルチビームに分割される前に電子源201からのビームに作用する。マクロコリメータ270は、ビームから導出されたサブビームの各サブビームのビーム軸がサンプル208にほぼ垂直に(即ちサンプル208の公称表面に対してほぼ90°で)入射することを確実にするために、効果的な量だけビームのそれぞれの部分を曲げる。従って、各サブビームの経路は、少なくともサンプル208の表面に直交することが意図される。マクロコリメータ270は、マクロコリメーションをビームに適用する。従って、マクロコリメータ270は、各々がビームの異なる個々の部分に作用するように構成されるコリメータ要素のアレイを含むというよりむしろ、すべてのビームに作用する。マクロコリメータ270は、多数の磁気レンズサブユニット(例えば、多極構成を形成する多数の電磁石)を含む磁気レンズ又は磁気レンズ構成を含み得る。その代替として又はそれに加えて、マクロコリメータは、少なくとも部分的に静電的に実装することができる。マクロコリメータは、多数の静電レンズサブユニットを含む静電レンズ又は静電レンズ構成を含み得る。マクロコリメータ270は、磁気レンズと静電レンズの組合せを使用することができる。
【0047】
[0062] 別の構成(図示せず)では、マクロコリメータ270は、サブビーム形成アレイのダウンビーム側に提供されるコリメータ要素アレイと部分的に又は全体的に置き換えることができる。各コリメータ要素は、それぞれのサブビームをコリメートする。コリメータ要素アレイは、空間的にコンパクトになるように、MEMS製造技法を使用して形成することができる。コリメータ要素アレイは、電子源201のダウンビーム側のビーム経路にある第1の偏向又は集束電子光学アレイ要素であり得る。コリメータ要素アレイは、制御レンズアレイ250のアップビーム側に位置し得る。コリメータ要素アレイは、制御レンズアレイ250と同じモジュール内に位置し得る。
【0048】
[0063] 図4に示されるように、一実施形態では、電子光学系41は、対物レンズアレイ241を含む。対物レンズアレイ241は、多数の対物レンズを含む。対物レンズアレイ241は、交換可能モジュールであり得る。交換可能モジュールは、検出器アレイ及び/又はレンズアレイなどの他の電子光学要素を備え得る。
【0049】
[0064] マクロコリメータ270の下方(すなわち、ダウンビーム側又は電子源201から遠い方)には、制御レンズアレイ250が存在する。制御レンズアレイ250は、サブビームが対物レンズアレイに到達する前に、集束動作をサブビームに適用するように構成される。事前に集束することにより、サブビームの発散を低減するか又はサブビームの収束率を高めることができる。制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241は協働して、複合焦点距離を提供する。中間焦点を除いた動作の組合せにより、収差のリスクを低減することができる。それに加えて又はその代替として、制御レンズアレイ250の制御レンズは、サブビームの開き角を制御するように、及び/又はサブビームの縮小率(すなわち、倍率)を制御するように及び/又は着地エネルギーを制御するように構成される。
【0050】
[0065] 制御レンズアレイ250については、図3に関連して上記で説明している。
【0051】
[0066] 図4の実施形態では、サンプル208全体にわたってサブビームを走査させるためのマクロ走査偏向器265が提供される。異なるサブビームは、サブビームの生成前のアップビーム側のマルチビーム経路(又は荷電粒子の経路)にわたるビームの異なる部分に相当する。荷電粒子ビーム(又は一次ビーム)は、サブビームの生成前のアップビーム側の荷電粒子の経路に沿ったものであり得る。マクロ走査偏向器265は、ビームのそれぞれの部分を偏向させる。ビームのそれぞれの部分の偏向により、それぞれの部分に相当するサブビームがサンプル208全体にわたって走査される。一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、例えば、8極以上を有するマクロマルチ極偏向器を含む。偏向は、ビームから導出されたサブビームに一方向(例えば、X軸などの単一軸と平行な)又は二方向(例えば、X軸及びY軸などの2つの非平行軸に対して)でサンプル208全体にわたって走査させるような偏向である。マクロ走査偏向器265は、ビームの異なる個々の部分に作用するようにそれぞれ構成された偏向器素子のアレイを含むのではなく、ビームのすべてに対してマクロ的に作用する。示された実施形態では、マクロ走査偏向器265は、マクロコリメータ270と制御レンズアレイ250との間に設けられる。
【0052】
[0067] 別の構成(図示せず)では、マクロ走査偏向器265は、走査偏向器アレイと部分的に又は全体的に置き換えることができる。走査偏向器アレイは、多数の走査偏向器を含む。走査偏向器アレイは、MEMS製造技法を使用して形成することができる。各走査偏向器は、サンプル208全体にわたってそれぞれのサブビームを走査する。従って、走査偏向器アレイは、各サブビーム用の走査偏向器を含み得る。走査偏向器は、一方向に(例えば、X軸などの単一軸に平行に)又は二方向に(例えば、X軸及びY軸などの2つの非平行軸に対して相対的に)サブビームを偏向させることができる。偏向は、サンプル208全体にわたってサブビームを一方向又は二方向に(すなわち、一次元的又は二次元的に)走査させるためのものである。走査偏向器アレイは、対物レンズアレイ241のアップビーム側に位置し得る。走査偏向器アレイは、制御レンズアレイ250のダウンビーム側に位置し得る。走査偏向器と関連付けられた単一のサブビームについて言及されているが、サブビームのグループを走査偏向器と関連付けることもできる。一実施形態では、走査偏向器アレイを実装するために、特に走査偏向器に関連して参照によりその全体が本明細書に援用される、欧州特許第2425444号において説明されている走査偏向器を使用することができる。走査偏向器アレイ(例えば、上述されるMEMS製造技法を使用して形成されたもの)は、マクロ走査偏向器より空間的にコンパクトであり得る。走査偏向器アレイは、対物レンズアレイ241と同じモジュール内に位置し得る。
【0053】
[0068] 他の実施形態では、マクロ走査偏向器265と走査偏向器アレイの両方が提供される。そのような構成では、サンプル表面全体にわたるサブビームの走査は、マクロ走査偏向器と走査偏向器アレイを一緒に、好ましくは同期させて、制御することによって達成することができる。
【0054】
[0069] いくつかの実施形態では、電子光学系41は、サブビーム形成アレイ252をさらに含む。サブビーム形成アレイ252は、ビーム制限アパーチャのアレイを画定する。サブビーム形成アレイ252は、上側ビーム制限アパーチャアレイ又はアップビーム側ビーム制限アパーチャアレイと呼ばれることがある。サブビーム形成アレイ252は、多数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。サブビーム形成アレイ252は、電子源201によって放出された電子のビームからサブビームを形成する。サブビームの形成に寄与するもの以外のビームの部分は、ダウンビーム側のサブビームと干渉しないように、サブビーム形成アレイ252によって阻止(例えば、吸収)され得る。サブビーム形成アレイ252は、サブビーム画定アパーチャアレイ又は上側ビーム制限器と呼ばれることがある。サブビーム形成アレイ252のアパーチャは、少なくとも10μm、任意選択的に少なくとも20μm、任意選択的に少なくとも50μm、任意選択的に少なくとも100μm、及び任意選択的に120μmの直径を有し得る。アパーチャは、ビームアパーチャ406のアパーチャのピッチに等しいピッチを有する。
【0055】
[0070] いくつかの実施形態では、図4に例示されるように、電子光学系41は、対物レンズアレイアセンブリ(対物レンズアレイ241を含むユニットである)であり、ビーム整形アパーチャアレイ262を含む。ビーム整形アパーチャアレイ262は、ビーム制限アパーチャのアレイを画定する。ビーム整形アパーチャアレイ262は、下側ビーム制限器、下側ビーム制限アパーチャアレイ又は最終ビーム制限アパーチャアレイと呼ばれることがある。ビーム整形アパーチャアレイ262は、上側ビーム制限器252によって画定されるビームを整形することができる。2つの整形アパーチャアレイの使用は、上側ビーム制限器252のみの使用によってビームに収差が生じるリスクがある状況において有益である。ビーム整形アパーチャアレイ262は、サンプル208の方に近い。ビーム整形アパーチャアレイ262の使用は、そのような収差を除去することはできないまでも、軽減するのに有益に役立つ。そのようなビーム整形アパーチャアレイ262の性能は、サンプル208に接近するほど向上し得る。ビーム整形アパーチャアレイ262は、多数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。ビーム整形アパーチャアレイ262は、制御レンズアレイ250の少なくとも1つの電極(任意選択的に、すべての電極)のダウンビーム側に位置し得る。いくつかの実施形態では、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241の少なくとも1つの電極(任意選択的に、すべての電極)のダウンビーム側に位置し得る。
【0056】
[0071] 一構成では、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241の電極と構造的に一体化されている。望ましくは、ビーム整形アパーチャアレイ262は、低静電界強度の領域に位置決めされる。ビーム制限アパーチャの各々は、対物レンズアレイ241の対応する対物レンズとアライメントされる。アライメントは、対応する対物レンズからのサブビームの一部が、ビーム制限アパーチャを通過し、サンプル208に衝突することができるように行われる。各ビーム制限アパーチャは、ビーム制限効果を有し、それにより、サブビームの選択された部分のみが、ビーム整形アパーチャアレイ262に入射し、ビーム制限アパーチャを通過することができる。選択された部分は、対物レンズアレイのそれぞれのアパーチャの中心部を通過するそれぞれのサブビームの一部分のみがサンプルに到達するというようなものである。中心部は、円形断面を有するもの及び/又はサブビームのビーム軸を中心とするものであり得る。
【0057】
[0072] 本明細書で説明される電子装置40はいずれも、検出器240をさらに含み得る。検出器240は、サンプル208から放出された電子を検出する。検出される電子は、SEMによって検出されるあらゆる電子を含み得、サンプル208から放出される二次及び/又は後方散乱電子(信号電子のタイプであり得る)が含まれる。検出器240の例示的な構造は、図7に示されており、図8~10を参照して以下でより詳細に説明される。
【0058】
[0073] 図5は、一実施形態による電子装置40を概略的に描写する。上記で説明されるものと同じフィーチャには、同じ参照番号が与えられている。簡潔にするため、そのようなフィーチャについては、図5を参照して詳細に説明することはない。例えば、電子源201、マクロコリメータ270、対物レンズアレイ241及びサンプル208は、上記で説明される通りであり得る。
【0059】
[0074] 一実施形態では、電子装置40は、集光レンズ231のアレイ又は少なくともビーム制限アパーチャアレイを含む。(一構成では、マクロコリメータは、集光レンズアレイ又は少なくともビーム制限アレイのアップビーム側に位置し得る。)集光レンズ231のアレイ(又は少なくともビーム制限アパーチャアレイ)は、電子源201からの入射ビームから、多数のサブビームを生成する。(アイテム231が、レンズ機能を持たないビーム制限アパーチャアレイである場合は、レンズ機能は、マクロコンデンサ270によって引き受けることができることに留意されたい)。何十、何百又は何千もの集光レンズ231が存在し得る。集光レンズ231は、多電極レンズを含み、特に、電子ビームを多数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(各サブビームに対してレンズを1つずつ提供するアレイ)の開示への参照により本明細書に援用される、欧州特許出願公開第1602121A1号に基づく構造を有し得る。集光レンズ231のアレイは、電極の働きをする少なくとも2つのプレートの形態を取ることができ、各プレートのアパーチャは、互いにアライメントされ、それぞれのサブビームの場所に対応する。少なくとも2つのプレートは、動作の間、所望のレンズ効果を達成するために、異なる電位で維持される。
【0060】
[0075] 一構成では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートのアレイから形成され、各レンズに出入りする際の電子のエネルギーは同じであり、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれることがある。従って、分散は、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ起こり、それにより、オフアクシス色収差が制限される。集光レンズの厚さが薄い(例えば、数mmである)場合、そのような収差の影響は、小さいか又は無視することができる。一実施形態では、対物レンズは、電極として機能し得る4つ以上のプレートを有し得る。
【0061】
[0076] 上記で説明したように、一実施形態では、検出器240は、対物レンズアレイ241とサンプル208との間にある。検出器240は、サンプル208に面し得る。代替的に、図5に示すように、一実施形態では、複数の対物レンズを含む対物レンズアレイ241は、検出器240とサンプル208との間にある。
【0062】
[0077] 一実施形態では、偏向器アレイ95は、検出器240と対物レンズアレイ241との間にある。一実施形態では、偏向器アレイ95は、ウィーンフィルタを含むため、ビーム分離器と呼ばれ得る。偏向器アレイ95は、サンプル208に投射された電子と、サンプル208からの二次電子などの信号粒子とを分離するための磁場を提供するように構成される。
【0063】
[0078] 一実施形態では、検出器240は、電子のエネルギーを参照することにより、即ちバンドギャップに依存して信号粒子を検出するように構成される。このような検出器240は、間接電流検出器と呼ばれ得る。サンプル208から放出された信号電子は、電極間の電場からエネルギーを得る。信号電子は、検出器240に到達すると、十分なエネルギーを有する。
【0064】
[0079] 図6は、図5に示される電子装置40の一部のクローズアップ図である。一実施形態では、検出器240は、電子/光子変換アレイ91を含む。電子/光子変換アレイ91は、蛍光ストリップ92のような多数のシンチレータ素子を含む。各蛍光ストリップ92は、電子/光子変換アレイ91の平面に位置する。少なくとも1つの蛍光ストリップ92は、サンプル208に向けて投射される2つの隣接する電子ビーム間に配置される。
【0065】
[0080] 一実施形態では、蛍光ストリップ92は、実質的に水平方向(又はサブビームの経路と直交する方向)に延びている。或いは、電子/光子変換アレイ91は、投射電子ビームのための開口部93を有する蛍光材料のプレートを含み得る。
【0066】
[0081] 投射電子ビーム(図6では、破線で示される)は、電子/光子変換アレイ91の平面を通じて、蛍光ストリップ92間の開口部93を介して、偏向器アレイ95に向けて投射される。
【0067】
[0082] 一実施形態では、偏向器アレイ95は、磁気偏向器96及び静電偏向器97を含む。静電偏向器97は、サンプル208に向けて伝送される投射電子ビームに対して、磁気偏向器96の偏向を打ち消すように構成される。それに従って、投射電子ビームは、水平面内で少しシフトし得る。偏向器アレイ95のダウンビーム側のビームは、偏向器アレイ95のアップビーム側のビームに実質的に平行である。
【0068】
[0083] 一実施形態では、対物レンズアレイ241は、サンプル208において生成された信号電子を偏向器アレイ95の方に導くための多数のプレートを含む。投射電子ビームとは反対方向に移動する信号電子の場合、静電偏向器97が磁気偏向器96の偏向を打ち消すことはない。代わりに、静電偏向器97及び磁気偏向器96による信号電子の偏向は積み重なる。それに従って、信号電子は、検出器240の蛍光ストリップ92に二次電子を伝送するために、光軸に対してある角度で移動するように偏向される。
【0069】
[0084] 蛍光ストリップ92では、二次電子などの信号電子が入射次第、光子が生成される。一実施形態では、光子は、光子輸送ユニットを介して、蛍光ストリップ92から光検出器(図示せず)に輸送される。一実施形態では、光子輸送ユニットは、光ファイバ98のアレイを含む。各光ファイバ98は、蛍光ストリップ92からの光子を光ファイバ98にカップリングするために、蛍光ストリップ92のうちの1つに隣接するように配置されるか又はそれに取り付けられる端部と、光ファイバ98から光検出器上に光子を投射するために配置される別の端部とを含む。
【0070】
[0085] 任意の実施形態の対物レンズアレイ241は、アパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み得る。換言すれば、対物レンズアレイは、複数の穴又はアパーチャを有する少なくとも2つの電極を含む。図7は、それぞれのアパーチャアレイ245、246を有する例示的な対物レンズアレイ241の一部である電極242、243を示す。電極内の各アパーチャの位置は、別の電極内の対応するアパーチャの位置に対応する。対応するアパーチャは、使用時、マルチビーム内の同じビーム、サブビーム又は一群のビーム対して作用する。換言すれば、少なくとも2つの電極内の対応するアパーチャは、サブビーム経路、即ちサブビーム経路220の1つと位置合わせされ、及びそれに沿って配置される。従って、電極は、それぞれのサブビーム211、212、213がその中を伝播するアパーチャをそれぞれ備える。
【0071】
[0086] 対物レンズアレイ241は、図7に示すように2つの電極若しくは3つの電極を含み得るか又はより多くの電極(図示せず)を有し得る。2つの電極のみを有する対物レンズアレイ241では、より多くの電極を有する対物レンズアレイ241よりも収差が小さくてよい。3電極対物レンズでは、電極間の電位差をより大きくすることができるため、より強力なレンズが可能になる。追加的な電極(即ち3つ以上の電極)により、例えば入射ビームに加えて二次電子も集束させるために、電子の軌道を制御する際のさらなる自由度がもたらされる。そのようなさらなる電極は、制御レンズアレイ250を形成すると考えられる。アインツェルレンズにわたる2電極レンズの利点は、入ってくるビームのエネルギーが、出ていくビームと必ずしも同じではないことである。そのような2電極レンズアレイに関する電位差は、それが加速又は減速レンズアレイの何れかとして機能することを有利に可能にする。
【0072】
[0087] 対物レンズアレイ241の隣接する電極は、サブビーム経路に沿って互いに離間される。絶縁構造が以下に述べるように配置され得る、隣接する電極間の距離は、対物レンズより大きい。
【0073】
[0088] 好ましくは、対物レンズアレイ241内に設けられる電極のそれぞれは、プレートである。電極は、他に平坦シートとして記述され得る。好ましくは、電極のそれぞれは、平坦である。換言すれば、電極のそれぞれは、好ましくは、プレートの形態の薄い平坦プレートとして提供される。当然のことながら、電極は、平坦である必要はない。例えば、電極は、高静電界に起因する力に起因して撓み得る。既知の製作方法が使用され得るため、平坦電極は、電極の製造をより容易にすることから、平坦電極を提供することが好ましい。平坦電極はまた、様々な電極間のアパーチャのより正確なアライメントを提供し得るため、好ましい場合がある。
【0074】
[0089] 対物レンズアレイ241は、10を超える倍率、望ましくは50~100以上の範囲の倍率だけ電子ビームを縮小するように構成され得る。
【0075】
[0090] 検出器240は、サンプル208から放出された信号電子、即ち二次及び/又は後方散乱電子を検出するために設けられる。検出器240は、対物レンズ234とサンプル208との間に位置決めされる。検出器240は、他に検出器アレイ又はセンサアレイと呼ばれ得、用語「検出器」及び「センサ」は、本出願全体にわたって交換可能に使用される。
【0076】
[0091] ある実施形態では、電子光学デバイス41は、電子ビームをサンプル208に向かって投射するように構成される。電子光学デバイス41は、対物レンズアレイ241を含み得る。電子光学デバイス41は、検出器240を含み得る。対物レンズのアレイ(即ち対物レンズアレイ241)は、検出器(即ち検出器240)のアレイに対応し得、及び/又はビーム(即ちサブビーム)の任意のビームに対応し得る。図9に関して説明されるように、検出器240は、検出器素子のアレイであり得、その各々は、対物レンズアレイ241のプレートのアパーチャと関連付けることができる。
【0077】
[0092] 図8は、断面で見られる、例えば図4の、電子光学系41の一部の概略図である。図8は、対物レンズアレイ241及び制御レンズアレイ250のクローズアップ図を示す。図8に示されるように、一実施形態では、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241と関連付けられる。ビーム整形アレイ262は、対物レンズアレイ241のダウンビーム側に位置し得る。例えば、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241の電極(好ましくは、対物レンズアレイ241のダウンビーム側の電極243)に取り付けられるプレートを含み得る。ビーム整形アパーチャアレイ262のプレートは、対物レンズアレイ241の電極(好ましくは、対物レンズアレイ241のダウンビーム側の電極243)と一体に形成することができる。或いは、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241から離間させることができる。ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241の電極242、243とは別のコンポーネントとして形成することができる。
【0078】
[0093] 図8に示されるように、一実施形態では、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241のダウンビーム側に位置する。代替の実施形態では、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241のアップビーム側など、アップビーム側にさらに位置する。例えば、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241のアップビーム側の電極242に接続するか又はそれと一体に形成することができる。一実施形態では、ビーム整形アパーチャアレイ262は、対物レンズアレイ241と制御レンズアレイ250との間に位置する。
【0079】
[0094] 図8に示されるように、制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241と関連付けられる。上記で説明されるように、制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241の電極242、243に対するさらなる電極を提供すると考えることができる。制御レンズアレイ250のさらなる電極は、サブビームの電子光学パラメータを制御する上でさらなる自由度を可能にする。一実施形態では、制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241のそれぞれの対物レンズの追加の機能性を可能にする対物レンズアレイ241のさらなる電極であると考えることができる。一構成では、そのような電極は、対物レンズアレイ241の対物レンズに追加の機能性を提供する対物レンズアレイの一部と見なすことができる。そのような構成では、制御レンズが対物レンズの一部であると言及されているだけであっても、制御レンズは、対応する対物レンズの一部と見なされる。
【0080】
[0095] 図8に示されるように、一実施形態では、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241は、共通の電極を共有する。図8に示される構成では、制御レンズアレイ250は、3つの電極253、254、255を含む。一実施形態では、制御レンズアレイ250のダウンビーム側の電極255と対物レンズアレイ241のアップビーム側の電極242は、共通の電極を形成する。制御レンズアレイ250のダウンビーム側の電極255と対物レンズアレイ241のアップビーム側の電極242の両方に対して、同じ導電プレートを使用することができる。共通の電極構成は、特にコンパクトな対物レンズアセンブリを可能にする。代替の実施形態では、制御レンズアレイ250のダウンビーム側の電極255は、対物レンズアレイ241のアップビーム側の電極242から離間される。制御レンズアレイ250の電極は、対物レンズアレイ241の電極とは別のものであり得る。
【0081】
[0096] 図8に示される構成では、制御レンズアレイ250は、3つの電極253、254、255を含む。代替の実施形態では、制御レンズアレイ250は、例えば、1つの電極又は2つの電極を含み得る。制御レンズのプレート又は電極の各々の追加により、制御レンズアレイ250にさらなる自由度を持たせることができる。
【0082】
[0097] 一実施形態では、コントローラ50は、入射サブビームの焦点を調節するために制御レンズアレイ250の中間電極254及びダウンビーム側の電極255に印加する電圧を制御するように構成される。
【0083】
[0098] 一実施形態では、コントローラ50は、減速レンズとして動作するように対物レンズアレイ241の対物レンズを制御するように構成される。コントローラ50は、サンプル208に向けて投射されるサブビームの電子を対物レンズが減速させるように、対物レンズアレイ241の電極242、243に印加される電圧を制御することができる。コントローラ50は、電子光学系41の使用の間に電極242、243に印加される電圧を調節するように構成される。
【0084】
[0099] 図8に示されるように、一実施形態では、電子光学系41は、サブビーム形成アレイ252を含む。サブビーム形成アレイ252は、サブビームを含む電子のマルチビームに電子ビームを分割するように構成される。従って、サブビーム形成アレイ252は、例えば、電子源201からの電子ビームから、電子のマルチビームのサブビームを生成する。代替の実施形態では、サブビーム形成アレイ252は、電子光学系41とは別に提供される。電子光学系41とサブビーム形成アレイ252は、電子装置40内で一緒に組み合わせることができる。
【0085】
[0100] 図8に示される構成では、サブビーム形成アレイ252は、制御レンズアレイ250と関連付けられる。例えば、サブビーム形成アレイ252は、制御レンズアレイ250のアップビーム側の電極253と関連付けることができる。一実施形態では、サブビーム形成アレイ252は、制御レンズアレイ250の最もアップビーム側の電極252を提供する。例えば、サブビーム形成アレイ252は、アップビーム側の電極253に接続されるか又はそれと一体に形成されるプレートを含み得る。代替の実施形態では、サブビーム形成アレイ252は、制御レンズアレイ250の電極253、254、255とは物理的に別個のコンポーネントとして提供される。
【0086】
[0101] 図8に示されるように、一実施形態では、サブビーム形成アレイ252は、制御レンズアレイ250のアップビーム側に位置する。図8に示されるように、一実施形態では、電子光学系41は、検出器240を含む。検出器240は、サンプル208から放出された信号粒子を検出するように構成された、ビーム経路に沿った位置にある、多数の検出器素子405を含む検出器アレイとして形成することができる。一実施形態では、検出器素子405は、電子のマルチビームのそれぞれのサブビームと関連付けられる。
【0087】
[0102] 図8に示されるように、一実施形態では、検出器240の少なくとも一部は、制御レンズアレイ250とサンプル208との間にある。すなわち、検出器240は、少なくとも2つのアレイを含み得、その各々は、サンプル208に向かう一次ビーム経路に沿って異なる位置に位置する。従って、そのような検出器240の検出器アレイは、例えば、異なる検出器アレイとして、電子光学コラムの異なる位置に分散させることができる。一実施形態では、検出器アレイはすべて、制御レンズアレイ250とサンプル208との間にある。すなわち、検出器240の検出器アレイは、制御レンズアレイ250のアップビーム側に位置しない。一実施形態では、検出器240の一部は、制御レンズアレイ250とサンプル208との間にあり、検出器240の一部は、制御レンズアレイ250のアップビーム側にある。例えば、図6はその例を示しており、検出器240は、制御レンズアレイ250のアップビーム側(サンプル208に向かう一次又はサブビームの方向に対して、すなわち、サンプル208に向けて投射される電子の方向に対して)に検出器アレイを有する。一実施形態では、検出器240はすべて、制御レンズアレイ250のアップビーム側に位置する。
【0088】
[0103] 図8に示されるように、一実施形態では、検出器240の少なくとも一部(例えば、検出器240の検出器アレイ)は、ビーム整形アパーチャアレイ262とサンプル208との間にある。例えば、図8に示されるように、一実施形態では、検出器240は、対物レンズアレイ241と関連付けられる。検出器240は、1つの検出器アレイの形態を取ることができる。異なる構成では、検出器240は、複数の検出器アレイを有し得る。検出器アレイの少なくとも1つは、図8で描写される検出器アレイ(すなわち、使用中のサンプルに直接面しているもの)のアップビーム側に位置する。使用中のサンプルに最も近いデバイス41の表面のアップビーム側に位置するそのような検出器アレイ(例えば、さらなる検出器アレイ)は、図8では描写していない。言及した通り、検出器240は、サンプル208のアップビーム側の電子光学系41の最終表面を形成し得る。検出器240は、サンプル208に面している。すなわち、検出器アレイの検出器素子は、サンプル208に面し得る。検出器240は、対物レンズアレイ241のダウンビーム側の電極243及び/又はビーム整形アパーチャアレイ262に対して固定されるプレートによって支持することができる。
【0089】
[0104] 一実施形態では、コントローラ50は、サンプル208によって放出された信号粒子を検出するように動作させるために、電子装置40を制御するように構成される。図8に示されるように、ビーム整形アレイ262のアパーチャは、制御レンズアレイ250のそれぞれのアパーチャより小さな寸法を有する。ビーム整形アレイ262が小さな寸法のアパーチャを有することにより、ビーム整形アレイ262は、サブビーム形成アレイ252によるビームの生成後のダウンビーム側においてビームを整形することができる。ビーム整形アパーチャアレイ262は、サンプル208に向けて投射されるサブビームの電子の電流に対する制限因子を提供する。検査(すなわち、検査モード)の間、ビーム整形アパーチャアレイ262は、好ましくは、サンプル208に近接し、サブビームを整形する(例えば、制限する)ように構成される。
【0090】
[0105] 以下では、例示的な検出器240について説明する。しかし、検出器240への言及は、必要に応じて適切に、単一の検出器(すなわち、少なくとも1つの検出器)を指すものでも、例えば、マルチビーム経路(又は例えばマルチビームの経路)に沿って位置決めされる、複数の検出器を指すものでもよい。検出器240は、検出器素子405(例えば、捕捉電極などのセンサ素子)を含み得る。検出器240は、任意の適切なタイプの検出器を含み得る。例えば、電子電荷を例えば直接検出するための捕捉用電極、シンチレータ又はPIN素子が使用され得る。検出器240は、直接電流検出器又は間接電流検出器であり得る。検出器240は、図9~11に関して以下に説明されるような検出器であり得る。
【0091】
[0106] 検出器240は、対物レンズアレイ241とサンプル208との間に位置決めされ得る。検出器240は、サンプル208に近接するように構成される。検出器240は、サンプル208に非常に近接し得る。代替的に、検出器240からサンプル208までに大きい間隙が存在し得る。検出器240は、サンプル208に面するようにデバイス内に位置決めされ得る。或いは、検出器240は、サンプル208に面している電子光学系の部分が検出器以外のものであるように(従って、検出器ではないように)、電子光学系41の他の場所に位置決めすることができる。例えば、検出器240は、少なくとも対物レンズアレイ241の電極と関連付けられる部分を有し得る。
【0092】
[0107] 図2~5に示されるタイプのマルチビームシステムの場合、好ましくは、電子光学コラムとサンプル208との間の距離は、およそ50μm以下である。距離は、電子光学コラムに面しているサンプル208の表面からサンプル208に面している電子光学コラムの表面までの距離として決定される。
【0093】
[0108] 図9は、それぞれビームアパーチャ406を取り囲む複数の検出器素子405が設けられる基板404を含む検出器240の底面図である。ビームアパーチャ406は、基板404をエッチングすることによって形成され得る。図9に示される配置では、ビームアパーチャ406は、六角形最密アレイで配置される。ビームアパーチャ406は、例えば、矩形アレイで異なって配置することもできる。図9の六角形配置のビーム装置は、正方形ビーム配置より密に詰め込まれ得る。検出器素子405は、長方形アレイ又は六角形アレイに配置することができる(ビーム構成は、マルチビーム構成と呼ばれることがあり、これらの構成は、マルチビームのグリッドと呼ばれることがあることに留意されたい)。
【0094】
[0109] 一実施形態では、ビームアパーチャ406は、少なくとも20μm、任意選択的に少なくとも50μm、任意選択的に少なくとも100μm、任意選択的に少なくとも200μm及び任意選択的に210μmのピッチPを有する。ピッチが大きいほど、ビームアパーチャ406の直径dを大きくすることができる。一実施形態では、ビームアパーチャ406は、最大で1000μm、任意選択的に最大で500μm及び任意選択的に最大で250μmのピッチPを有する。ビームアパーチャ406のピッチは、サンプル208に向けて投射されるサブビームのマルチビーム(又は電子のマルチビーム)のサブビームのピッチを画定する。一実施形態では、電子のマルチビームのサブビームは、少なくとも50μm、任意選択的に少なくとも100μm、任意選択的に少なくとも200μm及び任意選択的に210μmのピッチを有する。一実施形態では、ビームアパーチャ406は、ピッチPより小さい直径dを有する。一実施形態では、ビームアパーチャ406は、少なくとも10μm及び任意選択的に少なくとも20μmの直径dを有する。一実施形態では、ビームアパーチャ406は、最大で100μm、任意選択的に最大で50μm及び任意選択的に最大で30μmの直径dを有する。直径dをより小さくすることで、より小さな欠陥を検出できるほど分解能が向上する。
【0095】
[0110] 図10は、検出器240の一部の断面を拡大して描写している。検出器素子405は、検出器240の最下面(すなわち、サンプル208に最も近い面)を形成する。検出器素子405と基板404の本体との間には、論理層407を提供することができる。論理層407には、信号処理システムの少なくとも一部を組み込むことができる。
【0096】
[0111] 基板404の裏面又は基板404内には、配線層408が提供され、配線層408は、基板貫通ビア409によって論理層407に接続されている。基板貫通ビア409の数は、ビームアパーチャ406の数と同じでなくともよい。特に、電極信号が論理層407においてデジタル化される場合は、データバスを提供するためのシリコン貫通ビアは、ほんの少しでよい。配線層408は、制御線、データ線及び電力線を含み得る。ビームアパーチャ406があるにもかかわらず、必要なすべての接続のためのスペースが十分あることに留意されたい。検出モジュール402は、バイポーラ又は他の製造技法を使用して製作することもできる。検出器240の裏面には、プリント回路基板及び/又は他の半導体チップを提供することができる。
【0097】
[0112] 上記で説明される統合検出器アレイは、着地エネルギーが調整可能であるツールと共に使用される際に特に有利であるが、その理由は、様々な着地エネルギーに対して信号電子(例えば、二次電子)の捕捉を最適化できるためである。
【0098】
[0113] 検出器240は、対物レンズアレイ241の下部電極にCMOSチップ検出器を組み込むことによって実装することができる。対物レンズアレイ241又は電子光学系41の他のコンポーネントに検出器240を組み込むことにより、複数のそれぞれのサブビームに関連して放出された電子の検出が可能になる。CMOSチップは、好ましくは、サンプルに面するように方向付けられる(サンプルと電子光学コラムの底面との間の距離が小さい(例えば、50μm以下である)ことを理由に)。一実施形態では、信号電子を捕捉するための検出器素子405は、CMOSデバイスの表面の金属層に形成される。検出器素子405は、他の層に形成することもできる。CMOSの電力及び制御信号は、シリコン貫通ビアによってCMOSに接続することができる。ロバスト性のため、好ましくは、穴の開いた受動シリコン基板がCMOSチップを高電界から保護する。
【0099】
[0114] 検出効率を最大化するため、検出器素子405の表面をできる限り大きくし、その結果、対物レンズアレイ240の実質的にすべての面積(アパーチャを除く)を検出器素子405が占めることが望ましい。それに加えて又はその代替として、各検出器素子405は、アレイピッチ(すなわち、対物レンズアセンブリ241の電極に関連する上記で説明されるアパーチャアレイピッチ)と実質的に等しい直径を有し、好ましくは、電気絶縁材料が検出器素子を分離する。従って、各検出器素子の直径は、およそ600μm未満、好ましくは、およそ50μm~500μmであり得る。上記で説明されるように、ピッチは、サンプル208と検出器240との間の意図される距離に応じて選択することができる。一実施形態では、検出器素子405の外形は円形であるが、これを正方形にして検出面積を最大化することができる。また、基板貫通ビア409の直径を最小化することもできる。電子ビームの典型的なサイズは、5~15ミクロン程度である。
【0100】
[0115] 一実施形態では、単一の検出器素子405が各ビームアパーチャ406を取り囲む。別の実施形態では、多数の検出器素子405が各ビームアパーチャ406の周りに提供される。1つのビームアパーチャ406を取り囲む検出器素子405によって捕捉された電子は、単一の信号に組み合わせることも、独立した信号を生成するために使用することもできる。検出器素子405は、半径方向に分割することができる。検出器素子405は、多数の同心円アニュラス又はリングを形成することができる。検出器素子405は、角度方向に分割することができる。検出器素子405は、多数のセクタのような断片又はセグメントを形成することができる。セグメントは、同様の角度サイズ及び/又は同様の面積のものであり得る。電極要素は、半径方向と角度方向の両方に分離することも、他の任意の便利な方法で分離することもできる。
【0101】
[0116] しかし、検出器素子405の表面が大きいほど、寄生容量は大きくなり、帯域幅は狭くなる。この理由により、検出器素子405の外径を制限することが望ましい場合がある。特に、検出器素子405が大きい場合は、検出効率はわずかに大きくなるだけであるが、静電容量は大幅に大きくなる。円形の(環状の)検出器素子405は、収集効率と寄生容量との間の良好な妥協点を提供することができる。
【0102】
[0117] また、検出器素子405の外径が大きいほど、クロストーク(近隣の穴の信号に対する感度)も大きくなる。これもまた、検出器素子405の外径をより小さくする理由である。特に、検出器素子405が大きい場合は、検出効率はわずかに大きくなるだけであるが、クロストークは大幅に大きくなる。
【0103】
[0118] 検出器素子405によって収集された電子電流は、例えば、TIAなどの増幅器によって、増幅される。
【0104】
[0119] 検出器は、複数の部分、具体的には複数の検出部分を備え得る。複数の部分を含む検出器は、サブビーム211、212、213の1つに関連付けられ得る。従って、1つの検出器240の複数の部分は、一次ビーム(他にサブビーム211、212、213と呼ばれ得る)の1つに関連してサンプル208から放射された信号粒子を検出するように構成され得る。換言すれば、複数の部分を含む検出器は、対物レンズアセンブリの電極の少なくとも1つの電極内のアパーチャの1つに関連付けられ得る。より具体的には複数の部分を含む検出器405は、図11に示すように、単一のアパーチャ406の周囲に配置され得、これは、このような検出器の一例を提供する。
【0105】
[0120] 図11に示されるように、アパーチャ406が画定され、電子ビームが通過するように構成された検出器素子405は、内側検出部分405A及び外側検出部分405Bを含む。内側検出部分405Aは、検出器のアパーチャ406を取り囲む。外側検出部分405Bは、内側検出部分405Aの半径方向外側に位置する。検出器の形状は、一般に、円形であり得る。従って、内側検出部分と外側検出部分は、同心円リングであり得る。従って、各部分は、同心円リングである。
【0106】
[0121] 一実施形態では、対物レンズアレイ241は、単体でも、制御レンズアレイ250、検出器240、ビーム整形アパーチャアレイ262及び/又はサブビーム形成アレイ252などの他の要素との組合せでも、交換可能なモジュールである。一構成では、電子光学系41全体が交換可能であり得る。交換可能モジュールは、現場で交換可能なものであり得る。すなわち、モジュールは、フィールドエンジニアによって新しいモジュールに交換され得る。一実施形態では、複数の交換可能モジュールがツール内に収納されており、電子装置40を開けることなく、動作可能位置と動作不能位置との間で交換することができる。
【0107】
[0122] 一実施形態では、交換可能モジュールは、電子光学コンポーネントを含み、特に、コンポーネントの位置決めのための作動を可能にするステージ上にある電子光学系であり得る。一実施形態では、交換可能モジュールは、ステージを含む。一構成では、ステージ及び交換可能モジュールは、ツール40の一体部分であり得る。一構成では、交換可能モジュールは、ステージ及びそれが支持するデバイス(電子光学系など)に限られる。一構成では、ステージは、取り外し可能である。代替の設計では、ステージを含む交換可能モジュールは、取り外し可能である。電子装置40の交換可能モジュールの部分は、分離可能であり、すなわち、その電子装置の部分は、交換可能モジュールのアップビーム側のバルブとダウンビーム側のバルブによって画定される。バルブは、交換可能モジュールと関連付けられた電子装置40の部分のアップビーム側及びダウンビーム側の真空を維持しながら、バルブのアップビーム側及びダウンビーム側のそれぞれの真空からバルブ間の環境を分離するように操作し、交換モジュールを電子装置40から取り外すことができるようにすることができる。一実施形態では、交換可能モジュールは、ステージを含む。ステージは、ビーム経路に対して相対的にデバイス(電子光学系など)を支持するように構成される。一実施形態では、モジュールは、1つ又は複数のアクチュエータを含む。アクチュエータは、ステージと関連付けられる。アクチュエータは、ビーム経路に対して相対的にデバイスを移動するように構成される。そのような作動は、デバイスとビーム経路を互いにアライメントするために使用することができる。
【0108】
[0123] いくつかの実施形態では、サブビームの1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器が提供される。1つ又は複数の収差補正器は、複数の実施形態のいずれかにおいて、例えば、電子光学系の一部として、光学レンズアレイアセンブリの一部として及び/又は評価システムの一部として提供することができる。一実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットの各々は、中間焦点の各々に位置決めされるか又はそれに直接隣接する(例えば、中間像面に位置決めされるか又はそれに隣接する)。サブビームは、中間面などの焦点面又はその近くにおいて最小断面積を有する。これにより、収差補正器のためのスペースが、利用可能な他の場所、すなわち、中間面のアップビーム側又はダウンビーム側よりも広くなる(又は中間像面を有さない代替の構成で利用可能なものよりも広くなる)。
【0109】
[0124] 一実施形態では、中間焦点(又は中間像面)に位置決めされるか又はそれに直接隣接する収差補正器は、電子源201がビームによって異なる位置に位置するように見えるのを補正するための偏向器を含む。補正器は、各サブビームと対応する対物レンズとの良好なアライメントを妨げるような電子源から生じるマクロ収差を補正するために使用することができる。
【0110】
[0125] 収差補正器は、適切なコラムアライメントを妨げるような収差を補正することができる。また、そのような収差は、サブビームと補正器との間のミスアライメントにもつながり得る。この理由により、追加的に又は選択的に収差補正器を集光レンズ231又はその近くに位置決めする(例えば、そのような収差補正器の各々が1つ又は複数の集光レンズ231と一体化されるか又はそれに直接隣接する)ことが望ましい場合がある。これは、集光レンズ231又はその近くでは、集光レンズが垂直方向においてビームアパーチャに近いか又はそれと同じ場所に位置することを理由に、収差による対応するサブビームのシフトが未だ生じていないため、望ましいと言える。しかし、集光レンズ又はその近くに補正器を位置決めする上での課題は、さらなるダウンビーム側の場所と比べて、この場所では、各サブビームが比較的大きな断面積及び比較的小さなピッチを有することである。収差補正器は、欧州特許出願公開第2702595A1号で開示されるようなCMOSベースの個々のプログラム可能な偏向器、又は欧州特許出願公開第2715768A2号で開示されるような多極偏向器のアレイであり得、両文献におけるビームレットマニピュレータに関する説明は、参照により本明細書に援用される。
【0111】
[0126] いくつかの実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットの各々は、対物レンズアレイ241と一体化されるか又はそれに直接隣接する。一実施形態では、これらの収差補正器は、像面湾曲、焦点誤差及び非点収差の1つ又は複数を低減する。それに加えて又はその代替として、サンプル208に対して相対的に(例えば、サンプル208全体にわたって)サブビーム211、212、213を走査するために、1つ又は複数の走査偏向器(図示せず)を対物レンズアレイ241と一体化させるか又はそれに直接隣接させることができる。一実施形態では、参照によりその全体が本明細書に援用される、米国特許出願公開第2010/0276606号において説明される走査偏向器を使用することができる。
【0112】
[0127] 図12は、一実施形態による例示的な電子装置40の概略図である。電子装置40は、サンプル208に向けて電子マルチビーム経路に沿って電子のマルチビームを投射するように構成される。電子源からサンプルまで延びていると考えられるマルチビーム経路(すなわち、マルチビームの荷電粒子が進む経路(例えば、荷電粒子経路))は、電子源201から放出される一次電子ビームの経路に相当する一次マルチビーム経路(又は一次ビーム経路、一次ビームの経路、荷電粒子ビームの経路、荷電粒子ビーム経路)と、望ましくは、サンプル208に到達する電子のマルチビーム(又はサブビーム211、212、213)の経路とを含み得る。マルチビーム経路(具体的には、マルチビームの経路)は、一次電子ビームから得られるサブビームの経路に相当する電子サブビーム経路を含み得る。すなわち、電子源からサンプルまでの荷電粒子の経路は、荷電粒子ビーム(又は一次ビーム)の経路と、マルチビーム(又は多数のサブビーム)のマルチビーム経路とを含む。
【0113】
[0128] 説明の繰り返しを避けるため、上記で説明される電子装置40のフィーチャについて以下で再び説明することはない。一実施形態では、電子装置40は、図4を参照して上記で説明されるような、電子源201、マクロコリメータ270、マクロ偏向器265、サブビーム形成アレイ252、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241及びビーム整形アパーチャアレイ262を含む。マクロコリメータ270、マクロ偏向器265、サブビーム形成アレイ252、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241及びビーム整形アパーチャアレイ262は、電子光学系41に含めることができる。図8を参照して上記で説明されるように、サブビーム形成アレイ252、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241及びビーム整形アパーチャアレイ262は、例えば、電子光学系41において、まとめて統合することができる。マルチビーム(又は多数のサブビーム)の経路は、サブビーム形成アレイ252のダウンビーム側に位置し得る。一次ビーム経路は、サブビーム形成アレイ252のアップビーム側に位置し得る。電子装置40は、例えば、電子光学系41内に、検出器240を備え得る。
【0114】
[0129] 図12に示されるように、一実施形態では、電子装置40は、チューブ70(ライナーチューブ又はブースターチューブと呼ばれることもある)を含む。一実施形態では、チューブ70は、マルチビーム経路(望ましくは、電子源からサンプルまでの荷電粒子経路の、荷電粒子ビーム経路と呼ばれることもある)を取り囲むように配置される。チューブ70は、例えば、電子装置40の主軸(すなわち、電子ビームの方向)に沿って見た場合、マルチビーム経路(又は荷電粒子経路若しくは一次ビーム経路)を取り囲む。一実施形態では、チューブ70は、マルチビーム経路の一部(又は一次ビーム経路などの荷電粒子経路の一部)のみを取り囲むように、すなわち、マルチビーム経路の長さに沿ったマルチビーム経路の一部(すなわち、例えば、荷電粒子経路の一次ビーム経路部分)のみを取り囲むように構成される。例えば、図12に示されるように、一実施形態では、チューブ70は、電子源201からサブビーム形成アレイ252のそのすぐ上までのマルチビーム経路の部分(荷電粒子経路と呼ばれることがある)を取り囲む。図13~16に示されるように、チューブ70は、マルチビーム経路の異なる(例えば、代替の)部分(例えば、長さ)を取り囲み得る(マルチビーム経路、マルチビーム経路の異なる部分、又は荷電粒子経路に沿って異なる長さを有し得る一次ビーム経路の一部若しくは異なる部分など、荷電粒子経路の異なる部分と呼ばれることがあり、荷電粒子経路の異なる部分は、図12に示される及び図12を参照して説明される実施形態とは異なる荷電粒子光学系の部分間に延在し得る)。
【0115】
[0130] 一実施形態では、チューブ70は、第1の対地電位差(又はライナー電位差)で動作するように構成される。チューブ70は、チューブ70を第1の電位差に設定するために、電位源に接続することができる。チューブ70は、コントローラ50に電気的に接続することができる。一実施形態では、チューブ70は、サンプル208に向かう電子ビームを加速させるように構成される。一実施形態では、コントローラ50は、第1の電位差を制御するように構成される。第1の電位差は、サンプル208に向かう電子ビームの加速の制御を行うために制御することができる。実施形態では、電子装置40の様々な要素の電位が制御される。これらの制御要素の各々は、電位源に接続されるか又は接続可能である。コントローラ50(又は別のコントローラ)は、それぞれの要素に印加される電位を制御するように構成される。
【0116】
[0131] チューブ70は、高い電圧を有し得る。例えば、第1の電位差は、100Vを超える、任意選択的に少なくとも200V、任意選択的に少なくとも500V、任意選択的に少なくとも1kV、任意選択的に少なくとも2kV、任意選択的に少なくとも5kV、任意選択的に少なくとも10kV、任意選択的に少なくとも20kV、任意選択的に少なくとも30kV及び任意選択的に少なくとも60kVであり得る。荷電粒子が負に帯電している(例えば、電子である)際は、チューブ70は、高い正電圧を有し得る。或いは、荷電粒子が正に帯電している際は、チューブ70は、高い負電圧を有し得る。チューブ70は、電子装置40を通じて(すなわち、電子源201からサンプル208まで)高エネルギーで電子ビームの電子を移動させるように構成される。
【0117】
[0132] 一実施形態では、電子装置40は、例えば、図2を参照して上記で説明されるような、サポート207を含む。一実施形態では、サポート207は、第2の対地電位差(又はサンプル電位差)でサンプル208を支持するように構成される。第2の電位差は、第1の電位差とは異なる。一実施形態では、第1の電位差と第2の電位差には差があり、その差は、サンプル208に向かうマルチビームの電子を加速させるためのものある。一実施形態では、コントローラ50は、第1の電位差及び第2の電位差を制御するように構成される。第1の電位差及び第2の電位差は、サンプル208に向かう電子ビームの加速の制御を行うために制御することができる。従って、サンプル電位差とライナー電位差は異なる。サンプル電位差とライナー電位差との差により、サンプル208に向かう電子のマルチビームを加速させることができる。
【0118】
[0133] 一実施形態では、第1の電位差は、第2の電位差より大きい。すなわち、対地ライナー電位差は、対地サンプル電位差より大きい。第2の電位差は、第1の電位差の半分未満であり得る。一実施形態では、第2の電位差は、実質的にゼロである。サンプル208は、接地電位に保つことができる。或いは、サンプル208は、例えば、接地電位に近い(近接電位と呼ばれることがある)、低い電圧を有し得る。サンプルの電位に関し、接地電位は、サンプルが近接電位を有すること指すと考えられることに留意されたい。例えば、第2の電位差は、最大で100V、任意選択的に最大で50V、任意選択的に最大で20V、任意選択的に最大で10V及び任意選択的に最大で5Vであり得る。
【0119】
[0134] 本発明の実施形態は、サンプル208及び電子装置40(電子光学系41など)のフィーチャ(サンプル208のかなり近くに位置決めされた検出器240を含み得る)が損傷するリスクを低減することが期待される。サンプル208の電圧を下げることで、サンプル208の周辺環境による又は周辺環境内の電気絶縁破壊の可能性が低減される。これにより、サンプル208が損傷する可能性を低減することができる。検出器240(精巧な電子要素を備え得るもの)など、電子光学系41のコンポーネントが損傷するリスクも低減され得る。
【0120】
[0135] 一実施形態では、電子装置40は、例えば、図2を参照して上記で説明されるような、電動ステージ209を含む。電子装置40に対して相対的な、ステージ209及び例えばステージ209上のサンプル208(特に、検出器240など、サンプル208に近接するフィーチャ)の移動は、少なくともその環境内において、放電による損傷のリスクがある。そのような放電のリスクは、相対運動の間のステージ209及び電子装置40の要素の位置の変動と共に増加し得る。
【0121】
[0136] 本発明の実施形態は、電動ステージ209の設計を簡素化することが期待される。サンプル208に低電圧を提供することにより、電動ステージ209も同様に低電圧(例えば、接地電圧)を有し得る。電動ステージ209への及び電動ステージ209内の電気接続の設計が簡素化され得る。特に、電動ステージ209が低い電圧を有するため、電動ステージと地面の上のコンポーネントとの間の電気絶縁破壊の可能性が低減する。従って、望ましくは、ステージ209によって支持されるサンプル208、ステージ209及びステージ209近くの電子光学系41の要素への損傷のリスクが低減される。これにより、高電圧環境用に特別に接続を設計する必要性が低減される。
【0122】
[0137] 上記で説明されるように及び図12に示されるように、一実施形態では、電子源201は、カソード121及びアノード122(抽出器又は抽出器電極と呼ばれることもある)を含む。カソード121とアノード122は、それらの間に電位差がある状態で動作するように構成される。カソード121は、例えば、荷電粒子経路に沿って、電子ビームを放出するように構成される。アノード122は、サンプル208に向かう電子ビームを加速させるように構成される。この電子源構成は、簡素化された構成であることに留意されたい。電子源201が最もダウンビーム側のソース電極(ここでは、アノード122と呼ばれる)を有する限り、電子源201は、異なる構成や他の電極を有することができる。
【0123】
[0138] 一実施形態では、電子ビームは、高エネルギーに引き出される。特に、カソード121からの電子ビームは、電子源において(例えば、アノード122によって)加速され、従って、電子源201から、例えば、荷電粒子経路に沿って、高エネルギー電子ビームとして引き出され得る。電子装置40は、電子ビームの電子が電子装置40を通じて高エネルギーで移動するように構成される。本発明の実施形態は、サンプル208の検査の分解能を維持することが期待される。電子ビームを低エネルギーにしか引き出せないという代替の可能性も知られている。これは、サンプル208に向けて電子装置40を通じてマルチビーム経路(又は荷電粒子経路)に沿って電子ビームが低いエネルギーを有することを意味する。これにより、色収差や電子間相互作用の影響が大きくなり、分解能が低下し得る。本発明の実施形態は、そのような代替の構成と比べて、低い色収差及び/又は高い分解能を達成することが期待される。
【0124】
[0139] 一実施形態では、カソード121は、チューブ70よりも低い電圧で動作するように構成される。従って、カソード121は、カソード電位差よりも低い電圧で動作するように構成される。例えば、カソード121は、最大で15kV、任意選択的に最大で10kV、任意選択的に最大で5kV、任意選択的に最大で2kV及び任意選択的に最大で1kVの対地電位差を有し得る。カソード121は、負電圧で動作するように構成され得る。
【0125】
[0140] 一実施形態では、サンプル208とカソード121との間の電位差は、サンプル208とチューブ70との間の電位差より小さい。カソード121、チューブ70及びサンプル208の電位(例えば、サンプル電位差、カソード電位差及びライナー電位差)は、電子ビームの電子がサンプル208に到達する前に減速するように制御される。電子装置40は、電子が低い着地エネルギー(例えば、約1keV程度)でサンプル208に着地する(すなわち、サンプル208に入射する)ように構成される。
【0126】
[0141] 一実施形態では、チューブ70とカソード121との間の電位差は、少なくとも1kV、任意選択的に少なくとも2kV、任意選択的に少なくとも5kV、任意選択的に少なくとも10kV、任意選択的に少なくとも20kV、任意選択的に少なくとも30kV及び任意選択的に少なくとも60kVである。従って、チューブ70は、電子ビームの電子が電子装置40を通じて、すなわち、高エネルギーで、移動するように構成される。これは、色収差及び電子間相互作用を低減する上で役立ち、それにより、分解能が向上する。
【0127】
[0142] 一実施形態では、チューブ70は、アノード122と同じ電位を有する。或いは、アノード122とチューブ70との間には、ゼロ以外の電位差があり得る。チューブ70とアノード122との間の電位差は、最大で100V、任意選択的に最大で50V、任意選択的に最大で20V、任意選択的に最大で10V及び任意選択的に最大で5Vであり得る。チューブ70の最もアップビーム側の端部は、アノード122の最も近くに位置するチューブ70の部分である。チューブ70の最もアップビーム側の端部は、チューブ70の終端71と呼ばれることがある。チューブ70は、電界が小さいか又は電界がない領域にある、その最もアップビーム側の端部又は終端71で終端し得る。これは、そのような電界によって生じ得る電子ビームに対するレンズ効果を低減するか又は防ぐ上で役立てることができる。
【0128】
[0143] 図12に示されるように、一実施形態では、チューブ70は、アノード122に電気的に接続される。チューブ70をアノード122に電気的に接続することにより、電子源201とチューブ70との間に電界は形成されない。チューブ70のアップビーム側の不必要ないかなるレンズ効果も回避される。本発明の実施形態は、電子装置40の部品の数の過度な増加を避けることが期待される。チューブ70は、アノード122と共に形成することができる。チューブ70とアノード122は、一体型であってもよい。これにより、電子装置40の構造を簡素化することができる。
【0129】
[0144] 或いは、チューブ70を電子源201から分離することができる。チューブ70は、アノード122から軸方向に沿って離間させることができる。アノード122とチューブ70が同じ電位を有する際は、チューブ70とアノード122との間に電界は形成されない。或いは、チューブ70とアノード122との間に電位差がある際は、チューブ70とアノード122の間に電界が形成され得る。一実施形態では、アノード122とチューブ70との間の軸方向の隙間は、最大で1mmである。隙間を小さくすることで、チューブ70とアノード122との間に形成される電界は、特に小さな領域に限定される。好ましくは、小さな領域は、電子のマルチビームのマルチビーム経路(荷電粒子経路)から離れたところにある(すなわち、マルチビーム経路から外れたところにある)。すなわち、小さな領域は、マルチビームの経路(すなわち、サブビームの経路)から離れたところにある。これは、電子ビームに対する電界の望ましくない影響を低減する上で役立てることができる。
【0130】
[0145] 図12に示されるように、一実施形態では、電子光学系41の少なくとも一部は、チューブ70の最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側又はチューブ70の端部72に位置する。チューブ70の最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側の電子光学系41の一部又は複数の部分は、ダウンビーム側デバイス42(又は電子光学アセンブリ)を形成する。図12に示される構成では、サブビーム形成アレイ252、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241及びビーム整形アパーチャアレイ262が、チューブ70の端部72のダウンビーム側に位置する。ダウンビーム側デバイス42は、サブビーム形成アレイ252、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241及びビーム整形アパーチャアレイ262を含む。チューブ70とサンプル208との間には、大きな電位差があり得る。ダウンビーム側デバイス42は、チューブ70とサンプル208との間にある。一実施形態では、ダウンビーム側デバイス42は、電子ビームを減速するように構成される。
【0131】
[0146] 一実施形態では、端部72(すなわち、チューブ70の最もダウンビーム側の端部)とダウンビーム側デバイス42の最もアップビーム側の静電コンポーネントとの間の電位差は、ライナー電位差(例えば、第1の電位差)より小さい。例えば、図12に示される構成では、ダウンビーム側デバイス42の最もアップビーム側のコンポーネントは、サブビーム形成アレイ252である。代替の構成も存在するが、それについては本明細書で後述する。一般に、一実施形態では、ダウンビーム側デバイス42の最もアップビーム側のコンポーネントは、電子のマルチビームのサブビームの経路用のアパーチャのアレイが画定されるアップビーム側プレート又は関連プレートであり得る。アップビーム側プレート(又は関連プレート)は、チューブ70の端部72と関連付けることができる。
【0132】
[0147] 一実施形態では、チューブ70の端部72とダウンビーム側デバイス42のアップビーム側プレートとの間の電位差は、ライナー電位差(すなわち、第1の電位差)より小さい。チューブ70の端部72とダウンビーム側デバイス42の最もアップビーム側の静電コンポーネントとの間の電位差は、最大で100V、任意選択的に最大で50V、任意選択的に最大で20V、任意選択的に最大で10V、任意選択的に最大で5V及び任意選択的に実質的にゼロであり得る。一実施形態では、ダウンビーム側デバイス42の最もアップビーム側の静電コンポーネントは、チューブ70の端部72と同じ電位を有する。
【0133】
[0148] 本発明の実施形態は、電子ビームに対する望ましくないレンズ効果を過度に与えることなく、電子ビームが電子装置40を通過するように意図される。チューブ70の端部72は、電界が小さいか又は電界がない領域にあり得る。これは、チューブ70(例えば、端部72)とダウンビーム側デバイス42との間(例えば、端部72とアップビーム側プレートとの間)の電界によって生じ得る、電子ビームに対するいかなるレンズ効果の低減又は回避も行う上で役立てることができる。(ダウンビーム側デバイス42は、チューブ70とサンプル208との間に位置することに留意されたい。)
【0134】
[0149] 図12に示されるように、一実施形態では、ダウンビーム側デバイス42は、多数のプレートを含み、多数のプレートの各々では、マルチビームの電子のサブビームの経路用のアパーチャのアレイが画定される。多数のプレートは、アップビーム側プレート(又は関連プレート)を含む。例えば、ダウンビーム側デバイスは、サブビーム形成アレイ252、制御レンズアレイ250の電極、対物レンズアレイ241の電極及びビーム整形アパーチャアレイ262を形成するプレートを含み得る。一実施形態では、プレートのアパーチャは、互いにアライメントされる。一実施形態では、少なくとも1つのプレートのアパーチャは、スリットを形成する。スリットは、電子のマルチビームのサブビーム経路の構成において、サブビームのラインとアライメントすることができる。
【0135】
[0150] 図12に示されるように、一実施形態では、チューブ70(具体的には、端部72)は、ダウンビーム側デバイス42から離間している。端部72とダウンビーム側デバイス42との間の間隔により、電子光学系41の一部又は全体の交換が簡単になり得る。例えば、チューブ70の端部72は、サブビーム形成アレイ252から離間している。一実施形態では、端部72とそのすぐダウンビーム側の(サンプル208に向かうビーム経路に沿って)電子光学系41のコンポーネントとの間の隙間は、最大で1mmである。チューブ70のダウンビーム側の端部とダウンビーム側デバイス42との間の電界は、小さな距離(すなわち、チューブ70のそのすぐダウンビーム側の隙間の長さ)に限定され、好ましくは、デバイスを通じる荷電粒子のビームの経路から離れている。この構成は、端部72と電子光学系41との間の電界の影響を低減するか又は防ぐ上で役立てることができる。
【0136】
[0151] 代替の実施形態では、チューブ70は、チューブ70(例えば、端部72)のダウンビーム側に位置する電子光学系41に電気的に接続される。例えば、チューブ70は、関連プレート(例えば、サブビーム形成アレイ252)に構造的に接続することができる。チューブ70は、関連プレートと一体化することができる。
【0137】
[0152] 図12に示されるように、一実施形態では、マクロコリメータ270は、磁気コンポーネント(磁気要素、磁気部品又は磁気部分と呼ばれることもある)を含む。磁気コンポーネント(例えば、電子のマルチビームの経路上のその動作)は、チューブ70による影響を受けない。マクロコリメータ270は、チューブ70の外部に位置し得る。チューブ70は、例えば、チューブ70の端部72のダウンビーム側の、電子のマルチビームの経路である、例えば、荷電粒子の経路に対して、マクロコリメータ270の半径方向内側に位置する。本発明の実施形態は、電子装置40の幅を維持する(例えば、過度に増加しない)ことが期待される。或いは、チューブ70は、マクロコリメータ270の半径方向外側に位置することも可能であるが、磁気レンズ全体を真空中に置き、チューブ70の電位に設定する必要があることを理由に、そのような構成はあまり好ましくない。本発明人等は、そのような構成が不必要なエンジニアリング上の複雑さをもたらす可能性が高いことを指摘している。従って、マクロコリメータ270の半径方向内側にチューブ70を設けることが好ましい。
【0138】
[0153] 代替の実施形態では、マクロコリメータ270は、静電コンポーネントを含む。そのような静電コンポーネントは、チューブ70による影響を受け得る(例えば、電子のマルチビームの経路に対してチューブ70の外部にある静電場が遮蔽される)。一実施形態では、マクロコリメータ270の静電コンポーネントは、チューブ70内に位置する。マクロコリメータ270は、妨げられる(例えば、マクロコリメータ270によって生成される静電界がチューブ70によって遮蔽される)ことなく、電子ビームに作用するように構成される。
【0139】
[0154] 静電コリメータアレイが電子光学系41に組み込まれるという代替の実施形態が存在することに留意されたい。コリメータアレイ(描写せず)は、ビーム形成アレイ252及び/又は制御レンズアレイ250と関連付けることができる。一構成では、アレイの静電コリメータは、マルチビームのサブビームの経路と関連付けられる。
【0140】
[0155] 一実施形態では、チューブ70は、少なくとも1つのセクションを含み、各セクションは、マルチビーム経路に沿って異なる位置に延在し、マルチビーム経路を取り囲む。すなわち、各セクションは、一次ビーム経路及びマルチビームの経路の一方の少なくとも一部など、荷電粒子経路に沿って異なる位置に延在し、荷電粒子経路を取り囲み得る。一実施形態では、マクロコリメータ270は、チューブ70の少なくとも1つのセクションに隣接する。例えば、マクロコリメータ270は、チューブ70のセクションと電子光学系41の隣接するコンポーネントとの間に位置し得る。一実施形態では、マクロコリメータ270は、チューブ70の隣接するセクション間に位置する。チューブ70の隣接するセクションは、同様の又は共通の方向に延在し得る(例えば、電子源とサンプルとの間)。異なるセクションは、電子源からサンプルまでの荷電粒子の経路及び/又は電子源からサンプルまでの荷電粒子経路の幾何学軸に実質的に沿って及びその周りに延在し得る。
【0141】
[0156] 一実施形態では、電子装置40は、マクロ走査偏向器265を含む。マクロ走査偏向器265は、例えば、荷電粒子経路に沿って、電子ビームのそれぞれの部分を偏向するように構成される。ビームの異なる部分は、さらなるダウンビーム側(例えば、荷電粒子経路に沿ってダウンビーム側)の異なるサブビームに相当する。従って、マクロ走査偏向器265によるビームのそれぞれの部分の偏向により、マルチビームの電子のそれぞれのサブビームが偏向され、サンプル208に対して相対的に(例えば、サンプル208全体にわたって)走査される。図12に示されるように、一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、チューブ70の端部72のアップビーム側に位置する。
【0142】
[0157] 図12に示されるように、一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、磁気偏向器(磁気コンポーネント、磁気要素、磁気部品又は磁気部分と呼ばれることもある)を含む。磁気偏向器、又は少なくとも磁気偏向器によって生成される磁界は、チューブ70による影響を受けない。すなわち、磁気偏向器によって生成される磁界は、ビームの経路に沿って電子に影響を及ぼす。マクロ走査偏向器265は、チューブ70の外部に位置し得る。チューブ70は、マクロ走査偏向器265の半径方向内側に位置し得る。本発明の実施形態は、電子装置40の幅を維持する(例えば、過度に増加しない)ことが期待される。或いは、チューブ70は、マクロ走査偏向器265の半径方向外側に位置することも可能であるが、磁気走査偏向器全体を真空中に置き、チューブ70の電位に設定する必要があることを理由に、そのような構成はあまり好ましくない。本発明人等は、そのような構成が不必要なエンジニアリング上の複雑さをもたらす可能性が高いことを指摘している。従って、磁気走査偏向器265の半径方向内側にチューブ70を設けることが好ましい。
【0143】
[0158] 代替の実施形態では、マクロ走査偏向器の代わりに、偏向器のアレイを含む走査偏向器を提供することができる。そのような偏向器のアレイは、図3で描写されるような走査偏向器260のアレイとして、電子光学系41内に提供される。そのような走査偏向器のアレイは、対物レンズアレイと関連付けることができる(例えば、アレイの偏向器は、マルチビームの各ビームと関連付けられる)。
【0144】
[0159] 一実施形態では、電子光学系41の最もダウンビーム側のコンポーネントと地面との間の(例えば、接地電位に対する)電位差は、第1の電位差(すなわち、ライナー電位差)より小さい。チューブ70のダウンビーム側の電子光学系41のコンポーネントは、電子ビームを減速するように構成される。電子光学系41の最もダウンビーム側のコンポーネント、言い換えれば、サンプル208に面している使用中のコンポーネントは、サンプル208の電位に近い及び/又は接地電位に近い電位を有し得る。一実施形態では、最もダウンビーム側のコンポーネントは、ダウンビーム側デバイス42のプレートである。例えば、最もダウンビーム側のコンポーネントは、検出器240の少なくとも一部を含み得る。
【0145】
[0160] 上記で説明されるように、電子光学系41は、電子のマルチビームのそれぞれのサブビームをサンプル208上に集束するように構成された多数の対物レンズを含む対物レンズアレイ241を含む。対物レンズアレイ241は、チューブ70のダウンビーム側に位置する。ダウンビーム側デバイス42は、対物レンズアレイ241を含む。ダウンビーム側デバイス42は、対物レンズアセンブリと呼ばれることがある。
【0146】
[0161] チューブ70の端部72は、電界が小さいか又は電界がない領域にある。好ましくは、生成されるいかなる電界も、電子源からのビームの電子の経路から離れている(例えば、半径方向に離間している)。対物レンズは、サブビームをサンプル208上に集束する。チューブ70の使用は、サブビームをサンプル208上に集束する電界を形成するために必要であるわけではなく、むしろサブビームへの収差の導入を避けるために好ましい。
【0147】
[0162] 図13は、一実施形態による例示的な電子装置40の概略図である。電子装置40は、サンプル208に向けてマルチビーム経路(又は荷電粒子経路)に沿って電子のマルチビームを投射するように構成される。電子源からサンプルまで延びるマルチビーム経路は、荷電粒子ビームの一次ビーム経路と、マルチビーム(すなわち、電子のサブビーム)の経路とを含み得る。説明の繰り返しを避けるため、図12を参照して上記で説明される電子装置40のフィーチャについて以下で再び説明することはない。以下では、一般に、図12に示される構成とは異なるフィーチャについてのみ説明する。
【0148】
[0163] 一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、静電コンポーネント、望ましくは、マクロ静電コンポーネントを含む。本構成では、ビーム経路の位置において、ビームは、マクロ走査偏向器265による操作に適した電子の単一ビームである。そのような静電コンポーネントの性能は、チューブ70による影響を受け得るが、その理由は、例えば、静電コンポーネントによって生成される電界の一部又はすべてをチューブ70が遮蔽する可能性が高いためである。一実施形態では、チューブ70は、少なくとも1つのセクションを含み、各セクションは、荷電粒子経路に沿って異なる位置に延在し、一次ビーム経路及び/又はマルチビームの経路(又はマルチビーム経路及びマルチビーム経路の周辺)を取り囲む。図13に示されるように、一実施形態では、チューブ70は、マルチビーム経路に沿って異なる位置(具体的には、一次ビーム経路の異なる位置又は部分)に延在する多数のセクション70a、70bを含む。各セクション70a、70bは、例えば、一次ビーム経路又は荷電粒子経路のような、マルチビーム経路などの荷電粒子経路を取り囲む。チューブ70の各セクション70a、70bは、その上端の終端71及びその下端の端部72を有する。チューブ70の異なるセクションは、同様の又は共通の方向に延在し得る(例えば、電子源とサンプルとの間)。異なるセクションは、電子源からサンプルまでの荷電粒子の経路に実質的に沿って及びその周りに及び/又は共通軸(例えば、電子源とサンプルとの間の荷電粒子経路の幾何学軸)方向に延在し得る。
【0149】
[0164] 例えば、図13に示される構成では、チューブ70は、アップビーム側セクション70a及びダウンビーム側セクション70bなど、2つのセクション70a、70bを含む。アップビーム側セクション70aは、アップビーム側セクション70aの終端71から延びている。アップビーム側セクション70aの終端71は、電子源201からでも、電子源201のそのすぐダウンビーム側からでもよい。ダウンビーム側セクション70bは、ダウンビーム側セクション70bの端部72まで延びている。ダウンビーム側セクションの端部は、関連プレート(例えば、サブビーム形成アレイ252)若しくはその近くにあるか又は関連プレートのそのすぐアップビーム側にあり得る。一実施形態では、チューブ70のセクションの数は、図13に示されるような2つより多く、例えば、3つ、4つ又は4つを超える。図13に示されるように、一実施形態では、セクション70a、70bは、軸方向においてそれらの間(例えば、隣接するセクションの終端71と端部72との間)に隙間があるように位置決めされる。或いは、チューブ70の1対又は複数対の隣接するセクションは重なり得る。
【0150】
[0165] 図13に示されるように、一実施形態では、電子光学系41は、チューブ70の隣接するセクション70a、70b間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントを含む。例えば、図13に示される構成では、マクロ走査偏向器265は、静電コンポーネントを含み、チューブ70の隣接するセクション70a、70b間に位置する。すなわち、静電コンポーネントは、隣接するセクション70a、70bの終端71と端部72との間に位置する。マクロ走査偏向器265を取り囲むためにチューブ70の直径を増加する必要はない。本発明の実施形態は、電子装置40の幅を維持することが期待される。2つを超えるセクションを有する一構成では、異なるセクションの隣接する終端71と端部72との間には、電子装置40の静電電子光学コンポーネントが存在し得る。
【0151】
[0166] チューブ70の隣接するセクション70a、70b間に位置する静電コンポーネントは、チューブ70によって妨げられることなく(すなわち、チューブによって遮蔽されることなく又は少なくともコンポーネントによって生成された静電界と干渉して)、電子ビームに作用することができる。一実施形態では、静電コンポーネントは、静電コンポーネントがその間に位置するチューブ70のセクション70a、70bの少なくとも一方と同じ電位を有する。一実施形態では、静電コンポーネントは、例えば、図13で描写されるように、静電コンポーネントがその間に位置するチューブ70のセクション70a、70bの両方と同じ電位を有する。これは、静電コンポーネント近くにおける不必要な電界の形成の低減又は回避を行う上で役立てることができる。望ましくは、これは、電子のビームに対する不必要な収差又は歪みを低減するか又は防ぐ上で役立つ。代替の実施形態では、静電コンポーネントとチューブ70の隣接するセクション70a、70b(すなわち、静電コンポーネントが位置する隙間のいずれかの側の終端71)との間には、比較的小さな電位差(例えば、数百ボルト以下、例えば1kV、望ましくは100V以下)が存在し得る。
【0152】
[0167] 一実施形態では、静電コンポーネントは、軸方向において、セクション70a、70bの各々から1mm以下離間している。不必要な電界は、生成された電界が電子ビームに与える影響を防ぐことはできないまでも、軽減するために、軸方向の小さな距離(好ましくは、電子のビームの経路から半径方向に離れている)に限定することができる。
【0153】
[0168] 代替の実施形態では、マクロ走査偏向器265の静電コンポーネントは、チューブ70内に位置する。マクロ走査偏向器265は、チューブ70によって妨げられることなく、電子ビームに作用するように構成される。すなわち、静電マクロ走査偏向器265によって生成される静電界は、チューブ70によって遮蔽されることなく延いては妨げられることなく、電子のビームに影響を及ぼし得る。しかし、チューブ70のシールド内で電気接続が必要となることを理由に、この実施形態はあまり好ましくない。
【0154】
[0169] 一変形形態では、マクロ走査偏向器265は、磁気及び静電コンポーネントを有し得る。一実施形態では、その構成は、図12を参照して説明されるような及び図12で描写されるような、静電コンポーネントがチューブ70内にあるという形態を取ることができる。代替の実施形態では、その構成は、図13を参照して説明されるような及び図13で描写されるような、磁気コンポーネントが実質的にアップビーム側セクション70aとダウンビーム側セクション70bとの間の静電要素の周りにあるか又はそれを取り囲むという形態を取ることができる。
【0155】
[0170] 図14は、一実施形態による例示的な電子装置40の概略図である。電子装置40は、例えば、電子源121からサンプル208までの荷電粒子経路の一部として、サンプル208に向けてマルチビーム経路に沿って電子のマルチビームを投射するように構成される。荷電粒子経路は、荷電粒子ビーム経路と、マルチビームの経路とを含み得る。説明の繰り返しを避けるため、上記で説明される電子装置40のフィーチャについて本明細書で再び説明することはない。一実施形態では、電子装置40は、図3又は5及び6で説明される実施形態を参照して上記で説明されるような、電子源201、集光レンズ231のアレイ、偏向器235のアレイ、制御レンズアレイ250、走査偏向器260のアレイ及び対物レンズアレイ241を含む。図4、12、13に示される及び図4、12、13を参照して説明される構成と比較して、これらの実施形態を特徴付けるものは、電子のサブビーム(すなわち、電子のマルチビーム)がチューブ70の端部のアップビーム側(すなわち、チューブ70の最もダウンビーム側のセクション70nの端部のアップビーム側)で生成されるという点である。
【0156】
[0171] この構成では、制御レンズアレイ250、走査偏向器260のアレイ、対物レンズアレイ241及び検出器アレイ240は、電子光学系41に含めることができる。制御レンズアレイ250、走査偏向器260のアレイ、対物レンズアレイ241及び任意選択的に偏向器235のアレイはまとめて統合することができる。
【0157】
[0172] 図14に示されるように、一実施形態では、チューブ70は、少なくとも3つのセクション70a、70b、70cを含み、それらは、アップビーム側セクション70a、中間セクション70c及びダウンビーム側セクション70bと呼ばれることがある。それらのセクションは、図13を参照して上記で説明されるような特徴を有し得る。図13に示されるアップビーム側セクション70a及びダウンビーム側セクション70bに加えて、図14に示される構成は、中間セクション70cを含む。図14に示される構成は、荷電粒子経路の一次ビーム経路の異なる部分に沿って及びその周りにアップビーム側セクション70aを備えることに留意されたい。ダウンビーム側セクション70b及び中間セクション70cはそれぞれ、マルチビームの経路の異なる部分に沿って及びその周りにある。ダウンビーム側セクション70bは、マルチビームの実質的にコリメートされたサブビームと関連付けられる。中間セクション70cは、例えば、電子源からサンプル208までの荷電粒子の方向における、マルチビームの発散したサブビームと関連付けられる。サブビームは、アップビーム側セクション70aと中間セクション70cとの間で、荷電粒子ビームから生成することができる。
【0158】
[0173] 図13を参照して上記で説明されるように、一実施形態では、電子光学系41は、チューブ70の隣接するセクション70a、70b、70c間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントを含む。図14に示されるように、一実施形態では、チューブ70の隣接するセクション70a、70c間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントは、集光レンズ231のアレイを含む。集光レンズは、マルチビームの電子のそれぞれのサブビームの電子をそれぞれの中間焦点に導くように構成される。中間焦点は、本明細書で後述されるように、例えば、偏向器アレイ235と関連付けることができる。一実施形態では、各集光レンズは、電子のサブビーム経路に沿った異なるプレートの対応するアパーチャの数に対応する。
【0159】
[0174] 一実施形態では、マルチビームの電子のサブビームは、チューブ70の最もダウンビーム側の端部のアップビーム側で形成される。例えば、サブビームは、集光レンズ231のアレイにおいて、好ましくは、集光レンズアレイのプレートとは別であるか又は集光レンズアレイ231の最もアップビーム側のプレートに位置する(すなわち、集光レンズアレイと一体化されている)サブビーム形成アレイにおいて生成することができる。
【0160】
[0175] 一実施形態では、集光レンズ231のアレイの電極の少なくとも1つは、集光レンズ231のアレイがその間に位置するチューブ70のセクション70a、70cの少なくとも一方と実質的に同じ電位を有する。すなわち、集光レンズアレイの最もアップビーム側又は最もダウンビーム側の電極である集光レンズアレイの電極又はプレートは、チューブ70の隣接するセクション70a、70cと同じ電位を有し得る。上記で説明されるように、一実施形態では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートアレイ231a、231b、231cから形成され、それらの電位差は、サブビームの電子がそれぞれの集光レンズに入る際とそれぞれの集光レンズを出る際とで同じエネルギーを有するように制御される。このレンズ構成は、アインツェルレンズと呼ばれることがある。一実施形態では、最もアップビーム側のプレートアレイ231aは、チューブ70のアップビーム側セクション70aの端部72と実質的に同じ電位を有する。一変形形態では、最もアップビーム側のプレートアレイ231aとチューブ70のアップビーム側セクション70aとの間には、小さな電位差(例えば、100V以下)が存在し得る。一実施形態では、最もダウンビーム側のプレートアレイ231cは、チューブ70の中間セクション70cと実質的に同じ電位を有する。一変形形態では、最もダウンビーム側のプレートアレイ231cとチューブ70の中間セクション70cとの間には、小さな電位差(例えば、100V以下)が存在し得る。本発明の実施形態は、チューブ70のセクション70a、70b、70cの終端71及び端部72において、例えば、具体的には、電子のビーム及びサブビームの経路に影響を及ぼすか又は作用する、不必要な電界を最小限に抑えることが期待される。
【0161】
[0176] 図14に示されるように、一実施形態では、チューブ70の隣接するセクション70b、70c間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントは、偏向器235のアレイを含む。一実施形態では、偏向器は、サンプル208に対して相対的に(例えば、サンプル208全体にわたって)サブビームを走査するために、マルチビームの電子のそれぞれのサブビームを偏向するように構成される。一実施形態では、偏向器は、追加的に又は選択的に電子のマルチビームのそれぞれのサブビームをコリメートするように構成される。図14に示されるように、一実施形態では、偏向器は、中間焦点を含む中間焦点面又はその近くに位置する。
【0162】
[0177] 一実施形態では、偏向器235のアレイは、偏向器235のアレイがその間に位置するチューブ70の隣接するセクション70b、70cの少なくとも一方(任意選択的に両方)と実質的に同じ電位を有する。一実施形態では、偏向器235のアレイは、チューブ70の中間セクション70cと実質的に同じ電位を有する。一変形形態では、偏向器235のアレイとチューブ70の中間セクション70cとの間には、小さな電位差(例えば、100V以下)が存在し得る。一実施形態では、偏向器235のアレイは、チューブ70の最もダウンビーム側のセクション70bと実質的に同じ電位を有する。一変形形態では、偏向器235のアレイとチューブ70の最もダウンビーム側のセクション70bとの間には、小さな電位差(例えば、100V以下)が存在し得る。本発明の実施形態は、チューブ70のセクション70a、70b、70cの終端71及び端部72において、例えば、具体的には、電子のビーム及びサブビームの経路に影響を及ぼすか又は作用する、不必要な電界を最小限に抑えることが期待される。
【0163】
[0178] 一実施形態では、偏向器235のアレイは、静電コンポーネントを含む。チューブ70のセクション70b、70c間に偏向器235のアレイを提供することにより、偏向器235のアレイの動作がチューブ70によって妨げられることはない。偏向器アレイ235は、偏向器がマルチビームの電子のサブビームを操作するために偏向器235のアレイによって生成される静電界をチューブ70が遮蔽しないように、チューブ70に対して位置決めされる。
【0164】
[0179] 図15は、一実施形態による例示的な電子装置40の概略図である。電子装置40は、例えば、電子源121からサンプル208までの荷電粒子経路の一部として、サンプル208に向けてマルチビーム経路に沿って電子のマルチビームを投射するように構成される。荷電粒子経路は、荷電粒子ビーム経路と、マルチビームの経路とを含み得る。説明の繰り返しを避けるため、例えば、図14を参照して明示的に説明されるものや、図14の説明において言及される他の実施形態で説明されるものなど、図14を参照して上記で説明される電子装置40のフィーチャについて以下で再び説明することはない。すなわち、以下の説明は、図14に示される及び図14を参照して説明される構成に対する違いにのみ言及する。
【0165】
[0180] 図15に示されるように、一実施形態では、電子装置40は、マクロ走査偏向器236を含む。マクロ走査偏向器236は、例えば、サンプル表面全体にわたってサブビームを走査するために、電子のサブビームをコリメートする際の偏向器アレイ235の機能を置き換えることが意図され、サブビームの中間焦点又はその近くに位置決めされる。
【0166】
[0181] 一構成では、マクロ走査偏向器236は、サンプル208の表面に対して相対的に(例えば、サンプル208全体にわたって)サブビームを走査させるために、サブビームを偏向するように構成される。マクロ走査偏向器236は、チューブ70のダウンビーム側に位置し得る。或いは、マクロ走査偏向器236は、チューブ70の最もダウンビーム側の端部のアップビーム側に位置し得る。
【0167】
[0182] 図15に示されるように、一実施形態では、マクロ走査偏向器236は、磁気コンポーネント(それは、磁気要素、磁気部品又は磁気部分と呼ばれることもある)を含む。マクロ走査偏向器236の磁気コンポーネントは、好ましくは、チューブ70の外部に位置する。チューブ70は、電子装置40の主軸に沿って見た場合、例えば、マルチビームの経路に対して、マクロ走査偏向器236の半径方向内側に位置し得る。
【0168】
[0183] 一実施形態では、ダウンビーム側デバイス42の最もアップビーム側の静電コンポーネントは、チューブ70の端部72又はダウンビーム側セクション70bとは異なる電位を有する。例えば、図15に示される構成では、チューブ70のそのすぐダウンビーム側の静電コンポーネントは、制御レンズアレイ250のアップビーム側の電極253であり得る。チューブ70のダウンビーム側セクション70bは、制御レンズアレイ250のアップビーム側の電極253に対して電位差がある状態で動作するように構成することができる。例えば、コントローラ50によって、電位差を提供することにより、電子光学系41の最もアップビーム側の静電コンポーネントとチューブ70の端部72との間に電界が生成される。電界は、マルチビームの電子のサブビームをコリメートするように構成される。電界は、電子のマルチビームに作用する(すなわち、サブビームをコリメートすることによって)ように構成されたハーフレンズ237として(例えば、コリメート用の静電レンズとして)機能し得る。
【0169】
[0184] 図15に示されるように、また、図14を参照して説明されるように、一実施形態では、集光レンズ231のアレイは、サブビームの中間焦点がチューブ70の端部72とサンプル208との間に位置するように、サブビームを集束するように構成される。中間焦点は、チューブ70と制御レンズアレイ250との間に位置し得る。中間焦点の面は、チューブ70の端部と静電デバイス41の上側プレートとの間の隙間に対応し得る。チューブ70のダウンビーム側セクション70bの端部72は、ハーフレンズ237が中間焦点又はその近くでサブビームに作用するように構成されるように配置することができる。中間焦点の面は、サブビームの経路に沿った磁気マクロ走査偏向器236の位置に対応し得る。
【0170】
[0185] 図14に示される構成では、偏向器235のアレイは、走査機能とコリメート機能の両方を実行するように構成することができる。図15に示される構成では、マクロ走査偏向器236は、走査機能を実行することができる。チューブ70のそのすぐダウンビーム側の電界によって形成されるハーフレンズ237は、コリメート機能を実行することができる。そのような構成では、偏向器235のアレイの提供は不要であり得る。
【0171】
[0186] 一実施形態では、集光レンズ231のアレイの電極の少なくとも1つは、集光レンズ231のアレイがその間に位置するチューブ70のセクション70a、70bの少なくとも一方と実質的に同じ電位を有する。上記で説明されるように、一実施形態では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートアレイ231a、231b、231cから形成され、電子は、各レンズに入る際と各レンズを出る際とで同じエネルギーを有し、その構成は、アインツェルレンズと呼ばれることがある。一実施形態では、アップビーム側のプレートアレイ231aは、チューブ70のアップビーム側セクション70aと実質的に同じ電位を有する。一変形形態では、アップビーム側のプレートアレイ231aとチューブ70のアップビーム側セクション70aとの間には、小さな電位差(例えば、100V以下)が存在し得る。一実施形態では、ダウンビーム側のプレートアレイ231cは、チューブ70のダウンビーム側セクション70bと実質的に同じ電位を有する。一変形形態では、ダウンビーム側のプレートアレイ231cとチューブ70のダウンビーム側セクション70bとの間には、小さな電位差(例えば、100V以下)が存在し得る。本発明の実施形態は、集光レンズアレイ231に隣接するアップビーム側セクション70a端部72及びチューブ70のダウンビーム側セクション70bの終端71において、不必要な電界を最小限に抑えることが期待される。チューブ70のダウンビーム側セクション70bの端部72は、例えば、ダウンビーム側セクション70bの端部のダウンビーム側のダウンビーム側デバイス42に対して、ハーフレンズ237を形成するために、端部72に隣接する電界を提供するように制御される。
【0172】
[0187] 一実施形態では、チューブ70のそのすぐダウンビーム側の電子光学系41の静電コンポーネントは、アノード122及び/又はチューブ70のアップビーム側セクション70aと同様の(又は同じ)電位を有し得る。上記で説明されるように、チューブ70のダウンビーム側セクション70bとチューブ70のそのすぐダウンビーム側の電子光学系41の静電コンポーネントとの間の電位差を制御することができる。チューブ70のアップビーム側セクション70aとチューブ70のダウンビーム側セクション70bとの間には、電位差が存在し得る。電位差は、少なくとも1kV、任意選択的に少なくとも2kV及び任意選択的に少なくとも5kVであり得る。電位差は、最大で10kV及び任意選択的に最大で5kVであり得る。アップビーム側のプレートアレイ231aとダウンビーム側のプレートアレイ231cとの間には、電位差が存在し得る。電位差は、少なくとも1kV、任意選択的に少なくとも2kV及び任意選択的に少なくとも5kVであり得る。電位差は、最大で10kV及び任意選択的に最大で5kVであり得る。電子は、集光レンズ231のアレイの各レンズに出入りする際に、わずかに異なるエネルギーを有し得る。集光レンズ231のアレイは、アインツェルレンズのアレイとして実質的に機能する。
【0173】
[0188] 図16は、一実施形態による例示的な電子装置40の概略図である。電子装置40は、例えば、電子源121からサンプル208までの荷電粒子経路の一部として、サンプル208に向けてマルチビーム経路に沿って電子のマルチビームを投射するように構成される。荷電粒子経路は、荷電粒子ビーム経路と、マルチビームの経路とを含み得る。説明の繰り返しを避けるため、図14を参照して上記で直接説明される並びに先の実施形態及び図を参照することによって説明される電子装置40のフィーチャについて以下で再び説明することはない。以下で説明されるフィーチャは、一般に、図14に示される構成とは異なる。マルチビームのサブビームが発散している際及びコリメートされている際、ダウンビーム側セクション70bは、マルチビームのサブビームに沿って及びその周りにあることに留意されたい。
【0174】
[0189] 図16に示されるように、一実施形態では、電子装置40は、マクロコリメータ238を含む。マクロコリメータ238は、磁気コンポーネントを含み得る。例えば、マクロコリメータ238は、少なくとも1対の磁気コイルを含み得る。磁気コイルは、電子のサブビームがマクロコリメータ238を通じて投射される際に電子のサブビームがそれらの角度の向きを維持するように配置することができる。すなわち、マクロコリメータは、例えば、ビーム構成のグリッドに対して相対的にグリッド対称の角度回転特性(すなわち、ゼロ回転特性又は非回転特性)を有する磁気レンズ構成であり得る。従って、回転位置は、グリッドの回転対称の角度(例えば、正方形グリッドの場合は90度又は六角形グリッドの場合は60度)に対して相対的であり得る。ビーム構成の回転(又は少なくとも回転対称の角度に対して相対的な正味のグリッド回転)は、マクロコリメータのアップビーム側とダウンビーム側のグリッドの回転位置が一致するように制御しなければならない。マクロコリメータは、効果的に、2つの互いに逆回転する磁気レンズ又は2つを超える回転相殺磁気レンズを含み得る。各磁気レンズがサブビームの経路に及ぼす回転効果は、例えば正味に対して、他のレンズの回転効果を実質的に打ち消すように相殺し合う。従って、レンズ構成又はレンズ構成の少なくとも一部は、回転防止特性を有する。マクロコリメータ238は、チューブ70の外部に位置し得る。チューブ70は、マクロコリメータ238の半径方向内側に位置し得る。チューブ内にコリメート用の磁気レンズを設けることもできるが、そのような構成は、エンジニアリング上の課題をもたらすであろう。レンズ構成においてビーム構成にゼロ角回転を適用することも構想されるが、レンズ構成では、ビーム構成の経路に残留角度又はグリッド対称角度を適用できることに留意されたい。従って、レンズ構成では、グリッドの(すなわち、ビーム構成の)回転対称の角度に対する残留角変位を適用する。
【0175】
[0190] 図16に示されるように、一実施形態では、電子光学系41は、マクロ走査偏向器236を含む。マクロ走査偏向器236は、図15を参照して上記で説明されるようなものであり得る。
【0176】
[0191] 図14に示される構成では、偏向器235のアレイは、走査機能とコリメート機能の両方を実行するように構成することができる。図16に示される構成では、マクロ走査偏向器236は、走査機能を実行することができる。マクロコリメータ238は、コリメート機能を実行することができる。偏向器235のアレイの提供は不要であり得る。チューブ70のダウンビーム側セクション70bは、集光レンズアレイ231とダウンビーム側デバイス42との間に延在し得る。そのような構成では、アップビーム側セクション70a及びダウンビーム側セクション70bなど、チューブ70の2つのセクションが存在し得る。
【0177】
[0192] 上述されるように、いくつかの実施形態では、例えば、チューブ70又はチューブ70のセクション70a、70b、70cの端部72又は終端71と関連付けられる電界によって生成される、サブビームの1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器が提供される。一実施形態では、ダウンビーム側デバイス42は、1つ又は複数の収差補正器を含む。それに加えて又はその代替として、1つ又は複数の収差補正器は、チューブ70の最もダウンビーム側の端部のアップビーム側に提供することができる。例えば、1つ又は複数の収差補正器は、図14~16に示される集光レンズアレイ231と関連付けることができる。別の例として、1つ又は複数の収差補正器は、図13、14に示される偏向器アレイと関連付けることができる。各収差補正器は、静電コンポーネント及び/又は磁気コンポーネントを含み得る。静電コンポーネントは、チューブ70のダウンビーム側(例えば、ダウンビーム側デバイス42に含まれる)、チューブ70の内側又はチューブ70の隣接するセクション間に位置し得る。磁気コンポーネントは、チューブ70のダウンビーム側(例えば、ダウンビーム側デバイス42に含まれる)、好ましくは、チューブ70の外側又はチューブ70の隣接するセクション間に位置し得る。
【0178】
[0193] 本発明は、様々な異なるツールアーキテクチャに適用することができる。例えば、電子装置40は、マルチビームの多数の電子光学コラムを含み得る。電子光学コラムは、上記の実施形態又は態様のいずれかにおいて説明される電子光学系41を含み得る。多数の電子光学コラム(又はマルチコラムツール)として、デバイスをアレイ状に配置することができ、その数は、2~100個又はそれ以上の電子光学コラムまで及ぶ。電子装置40は、図4を参照して説明される及び図4で描写されるような、又は図5を参照して説明される及び図5で描写されるような実施形態の形態を取ることができる。電子光学コラムは、任意選択的に、電子源を含み得る。
【0179】
[0194] 一実施形態では、電子装置40は、マルチコラム装置として、例えば、少なくとも図3及び図4の図で描写されるような、多数の電子光学系を含むが、以下のコメントを条件とする。そのようなマルチコラム装置は、長方形又は六角形などのパターンでアレイ状に配置された多数の電子光学コラムを含み得る。マルチコラム装置の各コラムは、図3で描写される及び本明細書において図3を参照して開示される構成のフィーチャ及び機能性を備え得る。或いは、マルチコラム装置は、多数のコラムを含み得、多数のコラムは、例えば、規則的なパターンを有するアレイ状に配置され、図4で描写される及び図4を参照して説明される電子光学系41のフィーチャ及び機能性を含むが、以下のような違いがある。そのような違いは、例えば、サブビーム形成アレイ252のアパーチャと関連付けられる(好ましくは、サブビーム形成アレイ252のアパーチャのそのすぐダウンビーム側に位置する)、例えば、対物レンズアレイアセンブリに組み込まれる、コリメート用の偏向器などのコリメータのアレイを有することを含む。コリメート用の偏向器の各々は、マルチビームのそれぞれのサブビームに割り当てられる。違いは、例えば、対物レンズアレイ241と関連付けられる、対物レンズアレイアセンブリに組み込まれる走査偏向器のアレイを含み得る。走査偏向器アレイ及びコリメータアレイを設けることは、そのようなデバイスが磁気性の代わりに静電性であることを理由に、有益である。磁気デバイスを有する電子光学コラムアーキテクチャは、磁気デバイスがマルチコラム構成の周辺のコラムと干渉することを理由に、マルチコラム構成に組み込むことは可能ではあるが、難しい。
【0180】
[0195] 一実施形態では、サンプル208に向けて電子のマルチビームを投射するための方法が提供される。
【0181】
[0196] 一実施形態では、方法は、電子ビームを放出することを含む。一実施形態では、方法は、電子光学系41を使用して、電子ビームから得られた電子のマルチビームのサブビームをサンプル208に向けて投射することを含む。電子のマルチビームは、サンプル208の欠陥を検出するためのものであり得る。
【0182】
[0197] 一実施形態では、方法は、マルチビーム経路を取り囲むチューブ70を使用して、サンプル208に向かう電子ビームを加速させることを含み、マルチビーム経路は、荷電粒子経路の少なくとも一部と呼ばれることがあり、一次ビーム経路及び/又はマルチビームの経路であり得る。チューブは、第1の対地電位差で動作する。
【0183】
[0198] 一実施形態では、方法は、第2の対地電位差でサンプル208を保持することを含む。第1の電位差は、第2の電位差より大きい。第2の電位差は、実質的にゼロであり得る。
【0184】
[0199] ある方法で電子ビームを操作するように制御可能なコンポーネント、又はコンポーネント若しくは要素のシステムへの言及は、説明されている方法で電子ビームを操作するようにコンポーネントを制御するようにコントローラ、制御システム又は制御ユニットを構成することや、任意選択的に、この説明されている方法で電子ビームを操作するようにコンポーネントを制御するために他のコントローラ又はデバイス(例えば、電圧供給源及び/又は電流供給源)を使用することを含む。例えば、電圧供給源は、コントローラ、制御システム又は制御ユニットの制御下で、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241、集光レンズ231、補正器、コリメータ要素アレイ及び偏向器アレイ235、265などの非限定的なリスト内の1つ又は複数のコンポーネントに電位を印加するために、それらのコンポーネントに電気的に接続することができる。ステージなどの作動可能コンポーネントは、コンポーネントの作動を制御するために、1つ又は複数のコントローラ、制御システム又は制御ユニットを使用して、ビーム経路などの別のコンポーネントに対して相対的に作動する延いては移動するように制御可能であり得る。
【0185】
[0200] 本明細書で説明される実施形態は、ビーム又はマルチビーム経路に沿って、すなわち、電子源とサンプルとの間の荷電粒子経路に沿って(例えば、一次ビームの経路及び/又は多数のサブビームなどのマルチビームの経路に沿って)、アレイ状に配置された一連のアパーチャアレイ又は電子光学要素の形態を取ることができる。そのような電子光学要素は、静電性であり得る。一実施形態では、すべての電子光学要素(例えば、サブビーム形成アレイからサンプルの手前のサブビーム経路にある最後の電子光学要素まで)は、静電性であり得る、及び/又はアパーチャアレイ若しくはプレートアレイの形態であり得る。
【0186】
[0201] いくつかの構成では、電子光学要素の1つ又は複数は、微小電気機械システム(MEMS)として(すなわち、MEMS製造技法を使用して)製造される。MEMSは、微細加工技法を使用して製造される小型化された機械及び電気機械要素である。例えば、一実施形態では、交換可能モジュールは、MEMSモジュールである。
【0187】
[0202] 一実施形態では、交換可能モジュールは、電子装置40内で置き換え可能であるように構成される。一実施形態では、交換可能モジュールは、現場で交換可能であるように構成される。現場で交換可能であることは、電子光学ツール40が位置するところで真空を維持しながら、モジュールを取り外して同じ又は異なるモジュールと置き換えることができることを意味することが意図される。モジュールを取り外して戻すか又は置き換えるために通気されるモジュールに相当する電子装置40のセクションのみが通気される。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241と同じモジュール内に位置しても(すなわち、対物レンズアレイアセンブリ又は対物レンズ構成を形成する)、別個のモジュール内に位置してもよい。
【0188】
[0203] 上側及び下側、上及び下、上方及び下方への言及は、サンプル208に衝突する電子のビーム又はマルチビームのアップビーム側及びダウンビーム側方向(典型的には垂直方向であるが、常にそうであるとは限らない)に平行な方向を指すものとして理解すべきである。従って、アップビーム側及びダウンビーム側への言及は、存在する重力場とは無関係に、ビーム経路に対する方向を指すことが意図される。
【0189】
[0204] 本開示の実施形態による電子装置は、サンプルの質的評価(例えば、合否)を行うツール、サンプルの量的測定(例えば、フィーチャのサイズ)を行うツール、又はサンプルのマップの画像を生成するツールであり得る。評価システムの例は、検査ツール(例えば、欠陥を識別するためのもの)、レビューツール(例えば、欠陥を分類するためのもの)及びメトロロジツールであるか、又は検査ツール、レビューツール若しくはメトロロジツール(例えば、メトロ/検査ツール)と関連付けられる評価機能性の任意の組合せの実行が可能なツールである。電子光学コラムは、評価システムのコンポーネント(検査ツール若しくはメトロ/検査ツール、又は電子ビームリソグラフィツールの一部など)であり得る。本明細書では、ツールへのいかなる参照も、デバイス、装置又はシステムを包含することが意図され、ツールは、同じ場所に位置しても位置しなくともよく、別個の部屋に位置してもよい(特に、例えば、データ処理要素用に)、様々なコンポーネントを含む。
【0190】
[0205] 用語「サブビーム」及び「ビームレット」は、本明細書では互換的に使用され、両方とも親放射ビームを分割又は分離することによって親放射ビームから導出された任意の放射ビームを包含するものと理解される。用語「マニピュレータ」は、レンズ又は偏向器など、サブビーム又はビームレットの経路に影響を与える任意の素子を包含するように使用される。
【0191】
[0206] ビーム経路又はサブビーム経路に沿ってアライメントされる素子の参照は、それぞれの素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って位置決めされることを意味するものと理解される。
【0192】
[0207] 本発明を様々な実施形態に関連して説明してきたが、本明細書に開示される本発明の仕様及び実施を考慮することで本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。本明細書及び例は、例示的なものにすぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲及び条項によって示されることが意図される。
【0193】
[0208] 条項1:サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームを投射するように構成された荷電粒子装置であって、サンプルに向けて荷電粒子ビーム(又は一次ビーム経路)を放出するように構成された荷電粒子源(望ましくは、一次ビーム経路は、電子源からサンプルに向かう荷電粒子の経路の一部を含む)と、サンプルに向けてマルチビーム経路(望ましくは、サンプルに向かう荷電粒子の経路の一部を含む)に沿って荷電粒子のマルチビームのサブビームを投射するように構成された荷電粒子光学系であって、荷電粒子のマルチビームのサブビームが、荷電粒子ビームから得られる(望ましくは、荷電粒子ビームの経路は、サンプルに向かう荷電粒子の経路の一部を含む)、荷電粒子光学系と、接地電位との間に第1の電位差(又は望ましくは接地電位に近い少なくとも近接電位)がある状態で動作するように構成された、マルチビーム経路を取り囲むチューブと、接地電位との間に第2の電位差(望ましくは、近接電位より大きい)がある状態でサンプルを支持するように構成されたサポートであって、サンプルに向かう荷電粒子のマルチビームを加速させるために第1の電位差と第2の電位差には差がある、サポートとを含む、荷電粒子装置であり、第1の電位差が、第2の電位差より大きい、荷電粒子装置。サンプルに向かう荷電粒子の経路は、マルチビームの経路を含み得る。サンプルに向かう荷電粒子の経路は、一次ビーム(又は荷電粒子ビーム)の経路を含み得、望ましくは、一次ビームは、マルチビームの経路のアップビーム側である。チューブは、サンプルに向かう荷電粒子の経路の一部に沿って延在し、それを取り囲み得る。チューブは、シングルビームの経路及び/又はマルチビーム経路に沿って延在し、それを取り囲み得る。荷電粒子ビームの経路の異なる部分(例えば、マルチビームの経路及び一次ビームの経路)は、チューブの異なる又は別個のセクションに関連し得る。
【0194】
[0209] 条項2:サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームを投射するように構成された荷電粒子装置であって、サンプルに向けて荷電粒子経路に沿って荷電粒子ビーム(又は一次ビーム)を放出するように構成された荷電粒子源であって、荷電粒子経路が、一次ビーム経路(又は荷電粒子ビームの経路)を含む、荷電粒子源と、サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームのサブビームを投射するように構成された荷電粒子光学系であって、荷電粒子経路が、マルチビーム経路を含み、荷電粒子のマルチビームのサブビームが、荷電粒子ビームから得られ、望ましくは、荷電粒子のマルチビームが、一次ビーム経路のダウンビーム側のマルチビーム経路の一部に沿って存在する、荷電粒子光学系と、接地電位との間に第1の電位差がある状態で動作するように構成された、荷電粒子経路(例えば、一次ビーム経路)の少なくとも一部を取り囲むチューブと、接地電位との間に第2の電位差がある状態でサンプルを支持するように構成されたサポートであって、サンプルに向かう荷電粒子のマルチビームを加速させるために第1の電位差と第2の電位差には差がある、サポートとを含む、荷電粒子装置であり、第1の電位差が、第2の電位差より大きい、荷電粒子装置。
【0195】
[0210] 条項3:チューブが、少なくとも1つのセクションを含み、各セクションが、荷電粒子経路(例えば、マルチビーム経路)に沿って異なる位置に延在し、荷電粒子経路(例えば、マルチビーム経路)の少なくとも一部を取り囲み、望ましくは、チューブが、荷電粒子ビームの経路に沿って延在する少なくとも1つのセクション(望ましくは、共通の方向に延在する異なるセクション)を含み、望ましくは、共通の方向が、実質的には、電子源からサンプルまでの荷電粒子の経路及び/又は電子源からサンプルまでの荷電粒子経路の幾何学軸である、条項1又は2に記載の荷電粒子装置。
【0196】
[0211] 条項4:荷電粒子光学系の少なくとも一部が、チューブの最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側又はチューブの少なくとも1つのセクションに位置し、チューブの最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側又はチューブの少なくとも1つのセクションに位置する荷電粒子光学系が、ダウンビーム側デバイスであり、望ましくは、マルチビーム経路が、チューブの最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側又はチューブの少なくとも1つのセクション(望ましくは、荷電粒子光学系の少なくとも一部のダウンビーム側、望ましくは、ダウンビーム側デバイスの一部、望ましくは、ダウンビーム側デバイスの最もアップビーム側の部分)に位置する、条項3に記載の荷電粒子装置。
【0197】
[0212] 条項5:チューブの最もダウンビーム側の端部とダウンビーム側デバイスの最もアップビーム側の静電コンポーネントとの間の電位差が、第1の電位差(望ましくは、接地電位に対する)より小さい、条項4に記載の荷電粒子装置。
【0198】
[0213] 条項6:ダウンビーム側デバイスの最もアップビーム側の静電コンポーネントが、チューブの最もダウンビーム側の端部と同じ電位を有し、望ましくは、第1の電位差より小さい、条項4又は5に記載の荷電粒子装置。
【0199】
[0214] 条項7:ダウンビーム側デバイスの最もアップビーム側の静電コンポーネントとチューブのダウンビーム側の端部との間の電界が、荷電粒子のマルチビームのそれぞれのサブビームをコリメートするように、ダウンビーム側デバイスの最もアップビーム側の静電コンポーネントが、チューブの最もダウンビーム側の端部とは異なる電位を有する、条項5に記載の荷電粒子装置。
【0200】
[0215] 条項8:ダウンビーム側デバイスが、荷電粒子のマルチビームのサブビームの経路用のアパーチャのアレイが画定されるアップビーム側プレート(すなわち、デバイスの最もアップビーム側の静電コンポーネントである)を含む、条項4~7のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0201】
[0216] 条項9:ダウンビーム側デバイスが、多数のプレートを含み、その各々において、荷電粒子のマルチビームのサブビームの経路用のアパーチャのアレイが画定され、多数のプレートが、アップビーム側プレートを含む、条項8に記載の荷電粒子装置。
【0202】
[0217] 条項10:アップビーム側プレートが、サブビーム形成アレイであり、アパーチャが、荷電粒子源からの荷電粒子ビームから荷電粒子のマルチビームのサブビームを形成するように構成される、条項9に記載の荷電粒子装置。
【0203】
[0218] 条項11:多数のプレートが、荷電粒子のマルチビームのサブビームを整形するためのビーム整形アパーチャのアレイが画定されるビーム整形アパーチャアレイを含み、ビーム整形アパーチャアレイが、アップビーム側プレートのダウンビーム側に位置する、条項10に記載の荷電粒子装置。
【0204】
[0219] 条項12:ダウンビーム側デバイスが、荷電粒子のマルチビームのそれぞれのサブビームをサンプル上に集束するように構成された多数の対物レンズを含む対物レンズアレイを含む、条項4~11のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0205】
[0220] 条項13:ダウンビーム側デバイスが、検出器を含む、条項4~12のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0206】
[0221] 条項14:検出器が、ダウンビーム側デバイスの1つ又は複数のプレートに含まれる検出器アレイを含む、条項13に記載の荷電粒子装置。
【0207】
[0222] 条項15:検出器アレイが、荷電粒子のマルチビームのそれぞれのサブビームと関連付けられた検出器素子を含む、条項14に記載の荷電粒子装置。
【0208】
[0223] 条項16:検出器アレイの少なくとも一部が、サンプルに近接する、条項14又は15に記載の荷電粒子装置。
【0209】
[0224] 条項17:検出器アレイの少なくとも一部が、ダウンビーム側デバイスの最もダウンビーム側のプレートに含まれる、条項13~16のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0210】
[0225] 条項18:検出器アレイの少なくとも一部が、サンプルに面している、条項13~17のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0211】
[0226] 条項19:荷電粒子光学系が、サンプル全体にわたって荷電粒子のマルチビームのサブビームを走査させるために荷電粒子ビームのそれぞれの部分を偏向するように構成された走査偏向器を含む、条項3~18のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0212】
[0227] 条項20:走査偏向器が、マクロ走査偏向器を含む、条項19に記載の荷電粒子装置。
【0213】
[0228] 条項21:マクロ走査偏向器が、磁気偏向器を含む、条項20に記載の荷電粒子装置。
【0214】
[0229] 条項22:磁気偏向器が、チューブの外部に位置する、条項21に記載の荷電粒子装置。
【0215】
[0230] 条項23:走査偏向器が、静電偏向器を含む、条項19~22のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0216】
[0231] 条項24:走査偏向器が、サンプル全体にわたってサブビームを走査させるために荷電粒子のマルチビームのそれぞれのサブビームを偏向するように構成された偏向器のアレイを含む、条項19~23のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0217】
[0232] 条項25:偏向器が、荷電粒子のマルチビームのそれぞれのサブビームをコリメートするようにさらに構成される、条項24に記載の荷電粒子装置。
【0218】
[0233] 条項26:走査偏向器の少なくとも一部が、チューブの内部に位置する、条項19~25のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0219】
[0234] 条項27:走査偏向器の少なくとも一部が、チューブの隣接するセクション間に位置する、条項19~26のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0220】
[0235] 条項28:荷電粒子光学系が、チューブの隣接するセクション間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントを含む、条項3~27のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0221】
[0236] 条項29:静電コンポーネントが、静電コンポーネントがその間に位置するチューブのセクションの少なくとも一方と実質的に同じ電位を有する、条項28に記載の荷電粒子装置。
【0222】
[0237] 条項30:静電コンポーネントが、マルチビームの経路に沿って多数のプレートを含み、各プレートでは、荷電粒子のマルチビームのサブビームの経路用のアパーチャのアレイが画定され、アップビーム側プレート及びダウンビーム側プレートの少なくとも一方が、チューブのその隣接するセクションと同じ電位を有する、条項29に記載の荷電粒子装置。
【0223】
[0238] 条項31:アップビーム側プレートが、サブビーム形成アレイであり、アパーチャが、荷電粒子源からの荷電粒子ビームから荷電粒子のマルチビームのサブビームを形成するように構成される、条項30に記載の荷電粒子装置。
【0224】
[0239] 条項32:チューブの隣接するセクション間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントが、荷電粒子のマルチビームのそれぞれのサブビームの荷電粒子をそれぞれの中間焦点に導くように構成された集光レンズのアレイを含む、条項28~31のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0225】
[0240] 条項33:サブビームをコリメートするように構成されたコリメータをさらに含む、条項32に記載の荷電粒子装置。
【0226】
[0241] 条項34:コリメータが、中間焦点の面又はその周りに位置する、条項33に記載の荷電粒子装置。
【0227】
[0242] 条項35:チューブの隣接するセクション間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントが、コリメータの少なくとも一部を含む、条項33又は34に記載の荷電粒子装置。
【0228】
[0243] 条項36:コリメータが、荷電粒子のマルチビームのそれぞれのサブビームをコリメートするように構成されたマクロコリメータを含む、条項33~35のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0229】
[0244] 条項37:マクロコリメータが、磁気コンポーネントを含む、条項36に記載の荷電粒子装置。
【0230】
[0245] 条項38:マクロコリメータが、チューブの外部に位置する、条項36又は37に記載の荷電粒子装置。
【0231】
[0246] 条項39:マクロコリメータが、静電コンポーネントを含む、条項36~38のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0232】
[0247] 条項40:マクロコリメータが、中間焦点を含む中間焦点面又はその近くに位置する、条項36~39のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0233】
[0248] 条項41:荷電粒子光学系の最もダウンビーム側のコンポーネントと接地電位との間の電位差が、第1の電位差より小さい、先行する条項のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0234】
[0249] 条項42:最もダウンビーム側のコンポーネントが、第2の電位差に近い電位を有する、条項41に記載の荷電粒子装置。
【0235】
[0250] 条項43:荷電粒子源が、荷電粒子ビームを放出するためにカソードとアノードとの間に電位差がある状態で動作するように構成されたカソード及びアノードを含み、チューブが、アノードと同じ電位を有する、先行する条項のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0236】
[0251] 条項44:チューブが、アノードに電気的に接続される、条項43に記載の荷電粒子装置。
【0237】
[0252] 条項45:第2の電位差が、実質的にゼロである、先行する条項のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0238】
[0253] 条項46:サンプルが、接地電位を有する、先行する条項のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
【0239】
[0254] 条項47:サンプルに向けて荷電粒子のマルチビームを投射するための方法であって、荷電粒子ビームを放出することと、荷電粒子光学系を使用して、荷電粒子ビームから得られた荷電粒子のマルチビームのサブビームをサンプルに向けてマルチビーム経路に沿って投射することと、マルチビーム経路を取り囲むチューブを使用して、サンプルに向かう荷電粒子ビームを加速させることであって、チューブが、接地電位との間に第1の電位差がある状態で動作する、加速させることと、接地電位との間に第2の電位差がある状態でサンプルを保持することとを含む、方法であり、第1の電位差が、第2の電位差より大きい、方法であり、望ましくは、一次ビームからマルチビームのサブビームを生成することであって、荷電粒子の経路が、荷電粒子ビーム及びマルチビーム経路を含み、望ましくは、一次ビーム経路が、望ましくは荷電粒子ビームからの、サブビームの生成前のアップビーム側に位置する、生成することを含む、方法。
【0240】
[0255] 上記の説明は、限定ではなく、例示することが意図される。従って、以下の特許請求の範囲から逸脱しない範囲で、説明されるように変更できることが当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルに向けてマルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームを投射するように構成された荷電粒子装置であって、
サンプルに向けて荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、
前記サンプルに向けて前記マルチビーム経路に沿って荷電粒子のマルチビームのサブビームを投射するように構成された荷電粒子光学系であって、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームが、前記荷電粒子ビームから得られる、荷電粒子光学系と、
接地電位との間に第1の電位差がある状態で動作するように構成された、前記マルチビーム経路を取り囲むチューブと、
前記接地電位との間に第2の電位差がある状態で前記サンプルを支持するように構成されたサポートであって、前記サンプルに向かう荷電粒子の前記マルチビームを加速させるために前記第1の電位差と前記第2の電位差には差がある、サポートと、を備え、
前記第1の電位差が、前記第2の電位差より大きい、荷電粒子装置。
【請求項2】
前記チューブが、少なくとも1つのセクションを含み、
各セクションが、前記マルチビーム経路に沿って異なる位置に延在し、前記マルチビーム経路を取り囲む、請求項1に記載の荷電粒子装置。
【請求項3】
前記荷電粒子光学系の少なくとも一部が、前記チューブの最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側に位置し、
前記チューブの前記最もダウンビーム側の端部のダウンビーム側に位置する前記荷電粒子光学系が、ダウンビーム側デバイスである、請求項2に記載の荷電粒子装置。
【請求項4】
前記チューブの前記最もダウンビーム側の端部と前記ダウンビーム側デバイスの最もアップビーム側の静電コンポーネントとの間の前記電位差が、前記第1の電位差より小さい、請求項3に記載の荷電粒子装置。
【請求項5】
前記ダウンビーム側デバイスの前記最もアップビーム側の静電コンポーネントが、前記チューブの前記最もダウンビーム側の端部と同じ電位を有する、請求項3又は4に記載の荷電粒子装置。
【請求項6】
前記ダウンビーム側デバイスが、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームの前記経路用のアパーチャのアレイが画定されるアップビーム側プレート(すなわち、前記デバイスの前記最もアップビーム側の静電コンポーネントである)を含む、請求項3又は4に記載の荷電粒子装置。
【請求項7】
前記ダウンビーム側デバイスが、多数のプレートを含み、その各々において、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームの前記経路用のアパーチャのアレイが画定され、
前記多数のプレートが、前記アップビーム側プレートを含む、請求項6に記載の荷電粒子装置。
【請求項8】
前記アップビーム側プレートが、サブビーム形成アレイであり、
前記アパーチャが、前記荷電粒子源からの前記荷電粒子ビームから荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームを形成するように構成される、請求項7に記載の荷電粒子装置。
【請求項9】
前記多数のプレートが、荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームを整形するためのビーム整形アパーチャのアレイが画定されるビーム整形アパーチャアレイを含み、
前記ビーム整形アパーチャアレイが、前記アップビーム側プレートのダウンビーム側に位置する、請求項8に記載の荷電粒子装置。
【請求項10】
前記ダウンビーム側デバイスが、荷電粒子の前記マルチビームのそれぞれのサブビームを前記サンプル上に集束するように構成された多数の対物レンズを含む対物レンズアレイを含む、請求項3又は4に記載の荷電粒子装置。
【請求項11】
前記ダウンビーム側デバイスが、検出器を含み、
前記検出器アレイの少なくとも一部が、前記ダウンビーム側デバイスの最もダウンビーム側のプレートに含まれる、請求項3又は4に記載の荷電粒子装置。
【請求項12】
前記荷電粒子光学系が、前記サンプル全体にわたって荷電粒子の前記マルチビームの前記サブビームを走査させるために前記荷電粒子ビームのそれぞれの部分を偏向するように構成された走査偏向器を含む、請求項2~の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項13】
前記荷電粒子光学系が、前記チューブの隣接するセクション間に位置する少なくとも1つの静電コンポーネントを含む、請求項2~の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項14】
前記荷電粒子光学系の最もダウンビーム側のコンポーネントと前記接地電位との間の電位差が、前記第1の電位差より小さい、請求項1~の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項15】
前記荷電粒子源が、前記荷電粒子ビームを放出するためにカソードとアノードとの間に電位差がある状態で動作するように構成された前記カソード及び前記アノードを含み、
前記チューブが、前記アノードと同じ電位を有し、前記サンプルが、前記接地電位を有する、請求項1~の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【国際調査報告】