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特表2024-536874誘導結合プラズマ中のイオンのエネルギーを増大させ、イオンのエネルギーの広がりを減少させる方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】誘導結合プラズマ中のイオンのエネルギーを増大させ、イオンのエネルギーの広がりを減少させる方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241001BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241001BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L21/302 101C
H05H1/46 R
H01L21/68 R
H01L21/302 105A
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518967
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022076866
(87)【国際公開番号】W WO2023059990
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/252,040
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショエブ・ジュライン
(72)【発明者】
【氏名】チョウイ・メオン・ヨール
(72)【発明者】
【氏名】パターソン・アレキサンダー・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ユホウ
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084CC13
2G084DD38
2G084DD55
2G084HH02
2G084HH06
2G084HH15
2G084HH20
2G084HH30
5F004AA09
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB29
5F004CA03
5F004CA06
5F004DB01
5F004EB04
5F131AA02
5F131BA19
5F131CA33
5F131CA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB16
5F131EB17
(57)【要約】
【解決手段】エッチング操作中、イオンのエネルギーを増大させ、イオンの角度広がりを減少させるようにプラズマチャンバを動作させる方法が記載される。方法は、プラズマチャンバ内の静電チャック上に基板を配置することを含み、静電チャックはノードに電気的に結合されている。本方法は、プラズマチャンバ内でプラズマを形成することをさらに含み、プラズマは第1のシース電圧を有するシースを生成する。方法は、非正弦波電圧を静電チャックに印加し、正弦波電圧を静電チャックに印加することにより、第1のシース電圧を第2のシース電圧まで上昇させることをさらに含み、非正弦波電圧と正弦波電圧との和は、ウエハにおけるイオンのエネルギーの広がりを変化させる静電チャック上の電圧応答を引き起こす。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
フィルタと、
ノードにおいて前記フィルタに結合されているRF整合ネットワークと、
前記ノードにおいて前記フィルタおよび前記正弦波電圧波形整合ネットワークと結合されている静電チャックと、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記フィルタはノッチフィルタであり、前記ノッチフィルタは非正弦波電圧波形源に結合されている、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記ノッチフィルタは12MHzから100MHzの阻止帯域周波数を備える、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記フィルタはローパスフィルタであり、前記ローパスフィルタは直流電源に結合されている、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記ローパスフィルタは5MHz未満のカットオフ周波数を備える、装置。
【請求項6】
請求項2に記載の装置であって、前記非正弦波電圧波形源は400KHz~4000kHzの範囲の電圧信号を出力する、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記正弦波電圧波形整合ネットワークは正弦波電圧波形生成器に結合されている、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記RF整合ネットワークは最大100kVの電力供給を容易にする、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記RF整合ネットワークは13.56MHz~100MHzの範囲での電力供給を容易にする、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記静電チャックは導電性プレートと前記導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
【請求項11】
装置であって、
フィルタと、
ノードにおいて前記フィルタに結合されているRF整合ネットワークと、
前記ノードにおいて前記フィルタおよび前記正弦波電圧波形整合ネットワークと結合されている静電チャックと、
前記静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されている非正弦波電圧波形生成器と、前記フィルタは前記非正弦波電圧波形生成器と前記ノードとの間で直列であり、
前記静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器と、を備え、前記RF整合ネットワークは前記正弦波電圧波形生成器と前記ノードとの間で直列である、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記正弦波電圧波形生成器は、13.56MHz~100MHzにおいて電力を、電力範囲0~100kWで生成する、装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、前記非正弦波電圧波形生成器は、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている、装置。
【請求項14】
請求項11に記載の装置であって、前記静電チャックは、導電性プレートと前記導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
【請求項15】
システムであって、
プラズマを生成し含有するように構成されているプラズマエッチングチャンバと、
前記プラズマエッチングチャンバに結合されているRF生成器と、
前記プラズマエッチングチャンバの基部にある静電チャックと、前記静電チャックはノードに電気的に結合されており、前記静電チャックは基板を機械的に支持するように構成されており、
前記ノードに電気的に結合されている非正弦波電圧波形生成システムと、前記非正弦波電圧波形生成システムは、前記静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されており、
前記ノードに電気的に結合されている正弦波電圧波形生成システムと、を備え、前記RF生成器は、前記静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記非正弦波電圧波形生成システムは、さらに、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている非正弦波電圧波形生成器と、フィルタとを直列に含む、システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、前記正弦波電圧波形生成システムは、13.56MHz~100MHzにおいて電力を電力範囲0~100kWで生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器と、RF整合ネットワークと、をさらに備える、システム。
【請求項18】
エッチング操作中、イオンのエネルギーを増大させ、基板の表面へ向けられたイオンの角度広がりを減少させるようにプラズマチャンバを動作させる方法であって、
前記プラズマチャンバ内の静電チャック上に基板を配置し、前記静電チャックがノードに電気的に結合されており、
前記プラズマチャンバ内にプラズマを形成し、前記プラズマは、第1のシース電圧を有するシースを生成し、
第1の周期関数を含む非正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加し、第2の周期関数を含む正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加することにより、前記第1のシース電圧を第2のシース電圧まで上昇させること、を備え、前記非正弦波電圧波形と前記正弦波電圧波形との和は、前記ウエハにおけるイオンのエネルギーの広がりを変化させる前記静電チャック上の電圧応答を引き起こす、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、複数の高調波を備える非正弦波電圧波形を生成することを含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記複数の高調波は、400kHzの基本波を含み、第10高調波までを含む、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、正の期間と負の期間とをさらに含み、デューティサイクルは0~100である、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、第1の負電圧と、第2の負電圧へのランプとをさらに含み、前記第2の負電圧は前記第1の負電圧のx~yパーセントである、方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、前記第2の周期関数を印加することは、13.56MHz~100MHzの範囲で高周波パルスを生成することをさらに備える、方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法であって、前記第2の周期関数を印加することは、100kV未満の最大振幅を有する正弦波電圧波形を生成することをさらに備える、方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法であって、12MHz~100MHzの周波数を遮断することにより、前記ノードに到達する高周波信号が前記パルスに干渉するのを防ぐことを備える、方法。
【請求項26】
請求項18に記載の方法であって、
前記パルスと前記正弦波パルスとの組合せから合成電圧を生成し、
前記合成電圧を使用して、前記基板におけるイオンの角度分布を調節すること、
を備える方法。
【請求項27】
請求項18に記載の方法であって、前記正弦波電圧波形は第1の値を備え、前記非正弦波電圧波形は第2の値を備え、前記第1の値と前記第2の値との組合せは第1のイオンの角度分布をもたらす、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記第1のイオンの角度分布は、前記第1の値のみを含む前記非正弦波電圧波形により生成される第2のイオンの角度分布の30パーセント未満である、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記第1のイオンの角度分布は、前記第2の値のみを含む前記非正弦波電圧波形により生成される第3のイオンの角度分布の70パーセント未満である、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、前記第1のイオンの角度分布は、前記非正弦波電圧波形のみにより生成されるエッチング速度の2倍のエッチング速度を生成する、方法。
【請求項31】
機械実行可能命令を有する機械可読記憶媒体であって、実行されると、1つ以上の機械に、
パルス電圧を制御し、
周期的電圧を制御し、
前記パルス電圧と前記周期電圧とを組み合わせることによって、静電チャック上の基板に隣接しているプラズマのシース領域内のイオンのエネルギーの広がりを調節することと、
を備える方法を、実行させる機械可読記憶媒体。
【請求項32】
請求項31に記載の機械可読記憶媒体であって、前記パルス電圧は、前記周期的電圧の周波数よりも低い周波数を有する、機械可読記憶媒体。
【請求項33】
操作中、イオンのエネルギーを増大させ、基板の表面へ向けられたイオンの角度広がりを減少させるようにプラズマチャンバを動作させる方法であって、
前記プラズマチャンバ内の静電チャック上に基板を配置し、前記静電チャックはノードに電気的に結合されており、
前記プラズマチャンバ内にプラズマを形成し、前記プラズマは、第1のシース電圧を有するシースを生成し、
第1の周期関数を含む非正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加し、第2の周期関数を含む正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加することにより、前記第1のシース電圧を第2のシース電圧まで上昇させること、を備え、前記非正弦波電圧波形と前記正弦波電圧波形との和は、前記静電チャック上の電圧応答を引き起こし、前記ウエハにおけるイオンのエネルギーの広がりを変化させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年10月4日出願の米国特許出願第63/252,040(名称「METHOD AND APPARATUS FOR ENHANCING ION ENERGY AND REDUCING ION ENERGY SPREAD IN AN INDUCTIVELY COUPLED PLASMA」)の継続出願であるとともにその優先権の利益を主張するものであり、参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
エッチングおよび堆積のための基板処理は、半導体産業の根幹を形成している。様々なプラズマ処理技術が利用されることがあるが、誘導結合プラズマは、イオンのエネルギーおよびイオンの角度分布を制御するための複数の方法など、有利な特徴を提供する。イオンのエネルギーおよびイオンの角度分布の制御により、エッチングおよび堆積についての多くの利点を提供できる。イオンの挙動は、バルクプラズマの特性に影響を与えるパラメータの変更、および静電チャック上の電気的パラメータ(バイアス電圧など)の変更によって、制御できる。これら2つの制御手段のうち、静電チャック上の電気的パラメータを変更する方法が、イオンのエネルギーおよびイオンの角度分布を制御するために継続的に開発されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本開示の一実施形態による、共通のノードにおいてフィルタおよび無線周波数整合ネットワークと結合されている静電チャックを含む、装置の概略図である。
【0004】
図2】本開示の一実施形態による、共通のノードにおいて連続波電圧生成器システムおよび無線周波数電圧生成システムと結合されている静電チャックを含む、装置の概略図である。
【0005】
図3】本開示の一実施形態による、共通のノードにおいて連続波電圧生成器システムおよび無線周波数電圧生成システムと結合されている静電チャックを含むプラズマ処理ツールを含む、システムの概略図である。
【0006】
図4】本開示の一実施形態による、プラズマのシース領域における、イオンの温度、イオンに供給される電圧、および角度広がりの間の関係を示す図である。
【0007】
図5】本開示の一実施形態による、イオンのエネルギーを増加させ、かつイオンの角度広がりを減少させる方法を示す図である。
【0008】
図6A】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより生成された印加電圧のグラフである。
【0009】
図6B】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより生成された印加電圧と無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧との和のグラフである。
【0010】
図7A】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより生成された印加電圧と重ね合わせられた、基板の表面上に得られた誘導電圧のグラフである。
【0011】
図7B】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより生成された印加電圧および無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧と重ね合わせられた、基板の表面に得られた誘導電圧のグラフである。
【0012】
図8】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより生成された印加電圧、無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧、および連続波電圧生成器システムにより生成された印加電圧と無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧との組合せによって生じる、プラズマシース内のイオンエネルギー分布関数を含むグラフである。
【0013】
図9A】無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧から生じる、イオンのエネルギーの角度広がりのグラフである。
【0014】
図9B】連続波電圧生成器システムにより生成された印加電圧から生じる、プラズマシース内のイオンのエネルギーの角度広がりのグラフである。
【0015】
図9C】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより、および無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧から生じるプラズマシース内のイオンのエネルギーの角度広がりのグラフである。
【0016】
図9D】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより、および無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧から生じるプラズマシース内のイオンのエネルギーの角度広がりのグラフである。
【0017】
図10A】無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧から生じるイオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板内に形成された、トレンチのエッチングプロファイルの図解を示す。
【0018】
図10B】連続波数電圧生成器システムにより生成された印加電圧から生じるイオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板内に形成された、トレンチのエッチングプロファイルの図解を示す。
【0019】
図10C】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより、および無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧から生じるイオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板内に形成された、トレンチのエッチングプロファイルの図解を示す。
【0020】
図10D】本開示の一実施形態による、連続波電圧生成器システムにより、および無線周波数電圧生成システムにより生成された印加電圧から生じるイオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板内に形成された、トレンチのエッチングプロファイルの図解を示す。
【0021】
図11】様々な実施形態による、実行されるとプロセッサにイオンのエネルギーの広がりを制御させる命令を有する機械可読記憶媒体を有するプロセッサシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に記載の材料は、添付の図面において例示のために示されているが、限定されるものではない。図の簡略化および明瞭化のため、図中に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれている訳ではない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明瞭化のため、他の要素に対して誇張されている場合がある。また、議論の明瞭化のために、様々な物理的特徴はそれらの簡略化された「理想的な」形態および幾何学的形状で表される場合があるが、実際の実装は、図示された理想の近似に過ぎない場合があることを理解されたい。例えば、ナノ加工技術により形成された構造の特徴である、有限の粗さ、角の丸み、および不完全な角度の交線を無視して、滑らかな表面および直角をなす交線が描かれる場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、対応する要素または類似する要素を示すために、参照ラベルが図面間で繰り返し使用される。
【0023】
誘導結合プラズマにおいて、イオンのエネルギーを増大させ、かつイオンのエネルギーの広がりを減少させる方法および装置が説明される。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、構造的なスキームなどの多数の具体的な詳細が記載される。当業者であれば、これらの具体的な詳細が無くとも本開示の実施形態を実行できることは明らかであろう。他の例では、無線周波数源などの良く知られた特徴は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないよう、あまり詳細には記載されていない。さらに、図に示される様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれている訳ではないことを理解されたい。
【0024】
場合によっては、以下の説明において、良く知られた方法およびデバイスは、本開示を不明瞭にすることを避けるため、詳細ではなくブロック図の形で示される。本明細書を通じて、「一実施形態(an embodiment)」または「一実施形態(one embodiment)」または「いくつかの実施形態(some embodiments)」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、機能、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所で「一実施形態では(in an embodiment)」または「一実施形態では(in one embodiment)」または「いくつかの実施形態(some embodiments)」という表現が現れるが、必ずしも本開示の同一の実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、機能、または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。例えば、第1の実施形態と第2の実施形態とは、その2つの実施形態に関連する特定の特徴、構造、機能、または特性が相互に排他的ではない限り、組み合わせることができる。
【0025】
「結合されている(coupled)」および「接続されている(connected)」という用語は、その派生語と共に、本明細書では構成要素間の機能的関係または構造的関係を説明するために使用されることがある。これらの用語は、互いの同義語として意図されているものではない。むしろ、特定の実施形態では、「接続されている(connected)」は、2つ以上の要素が直接的に、物理的、光学的または電気的に互いに接触していることを示すために使用されることがある。「結合されている(coupled)」は、2つ以上の要素が直接的または間接的に(それらの間に他の要素が介在して)、物理的、電気的または磁気的に互いに接触していること、および/または2つ以上の要素が互いに協働または相互作用している(例えば因果関係にあるような)ことを示すために使用されることがある。
【0026】
本明細書で使用される「~の上(over)」、「~の下(under)」、「~の間(between)」、および「~の上(on)」という用語は、こうした位置関係が注目すべきものである場合に、1つの構成要素または材料の、他の構成要素または材料に対する相対的な位置を指す。これらの用語が「直接(direct)」または「直接的に(directly)」で修飾されていない限り、1つ以上の介在する構成要素または材料が存在してもよい。構成要素のアセンブリの文脈においても、同様の区別がなされるべきである。本明細書全体および請求項で使用される場合、「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」または「~のうちの1つ以上(one or more of)」という用語によって繋がれた項目のリストは、列挙された用語の任意の組合せを意味することができる。
【0027】
本明細書の「隣接する(adjacent)」という用語は、一般に、隣にある(例えば、すぐ隣、もしくは1つ以上のものが間にあるが近い)または別のものに隣接している(例えば、それに当接している)ものの位置を指す。
【0028】
その使用の明確な文脈で別段の指定がない限り、「実質的に等しい(substantially equal)」、「ほぼ等しい(about equal)」および「ほぼ等しい(approximately equal)」という用語は、そのように記載された2つのものの間に偶発的な変動しかないことを意味する。当技術分野では、そのような変動は通常、参照された値の+/-10%を超えない。
【0029】
誘導結合プラズマは、基板におけるイオンのエネルギーをプラズマ中のイオンの温度の上昇とは独立に制御できるという点で、他の形態のプラズマシステムに比べて明確な利点を持つ。イオンの温度は、エッチングチャンバ内に電界を誘導する、トランス結合によって制御できる。エッチングチャンバはプラズマを閉じ込める。誘導された電界は、プラズマを維持し、全体的なパラメータ、例えば電子およびイオンの温度、密度等を制御するのに役立つ。誘導結合プラズマに基づくプラズマエッチングおよび堆積システムは、処理のためにウエハまたは基板を支持する静電チャックを含む。ウエハは、プラズマ境界の縁でプラズマシース(シース領域)と接触する。イオンは通常、特徴的なイオンのエネルギーおよびイオンの角度分布を持ってシースから出る。イオンのエネルギーは通常、バルクプラズマ電位により制御されるが、静電チャックにバイアスをかけることにより制御することもできる。
【0030】
静電チャックは、導電性電極と、導電性電極上の絶縁体層とを含み、基板は通常、絶縁体層上に置かれる。静電チャックは通常、無線周波数(radio frequency:RF)電圧波形により電圧バイアスされて、基板にRF電圧バイアスを誘導する。基板に誘導されたRF電圧バイアスは、基板上のイオン電流だけでなく、絶縁体の容量効果にも打ち勝つ。RF電圧バイアスは、シース領域内の実効電圧を変化させるのに役立つことができる。
【0031】
シース領域内の実効電圧を変化させることにより、プラズマから出るイオンの角度広がりを減少させる経路を有利に提供できる。半導体デバイスの製造では、高アスペクト比の加工寸法のエッチングにおいて、イオンの角度広がりを減少させることは非常に重要な場合がある。20:1より大きなアスペクト比は、高アスペクト比と見なすことができる。イオンの角度広がりは、イオンの温度の平方根に比例し、シース電圧Vsの平方根に反比例する。イオンの角度広がりを減少させる一般的なアプローチは、静電チャックのバイアス電力を増大させることである。バイアス電力を増加させると、シース電圧Vsが上昇し、イオンの角度広がりが減少する。しかしながら、RF電圧波形を大幅に増加させると、プラズマを生成する場合があり、イオンの温度Tiも上昇する場合がある。このようなケースでは、イオンの角度広がりを効果的に減少させることが困難になる。一方、RF信号および直流的な信号が混合されると、シース電圧Vsは上昇する。しかしながら、直流的な信号ではRF信号ほどプラズマが生成されないため、イオンの温度Tiの上昇は見られなくなる。このように、RF信号と直流的な信号とを混合することは、イオンの角度広がりを減少させる実行可能な方法であり、フィーチャをより速くエッチングし、フィーチャのCDを改善できる。
【0032】
直流的な信号は高周波RF信号と重ね合わせられて、組み合わせられた電圧パルスを提供できる。様々な実施形態では、直流的な電圧信号は、400kHZ~4000KHzの範囲の周波数を有する非正弦波電圧波形を含む。低周波電圧波形は、静電チャック上に存在する絶縁体層の静電容量によって電圧が遮断されないことを保証する。直流的な電圧信号の振幅は、動作中のウエハ上の電流。RFを直流的なRFと対比するために、本明細書ではRF電圧を正弦波連続波電圧と呼び、直流的な電圧を非正弦波連続波電圧と呼ぶ。
【0033】
図1は、装置100の概略図を示す。装置100は、フィルタ102と、ノード106においてフィルタ102に結合されている無線周波数(RF)整合ネットワーク104とを含む。装置100は、ノード106においてフィルタ102およびRF整合ネットワーク104と結合されている静電チャック108をさらに含む。いくつかの実施形態では、RF整合ネットワーク104は、13.56MHz~100MHzの範囲での電力供給を容易にする。RF整合ネットワーク104は、ノード110においてRF生成器(図示せず)と結合されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィルタ102はノッチフィルタである。いくつかの実施形態では、ノッチフィルタは、12MHzから100MHzの阻止帯域周波数を有する。他の実施形態では、フィルタ102は、5MHzのカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。フィルタ102は、RF整合ネットワーク104からの信号がノード112において結合される任意の構成要素を損傷するのを防ぐことができる。例えば、フィルタ102は、ノード112においてRF生成器(図示せず)と結合されてもよい。
【0035】
最も単純な実施形態では、静電チャック108は、ノード106と結合されている電極板108Aと、電極板108Aの材料上にある絶縁体108Bとを含む。絶縁体108Bは、アルミナ(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、およびサファイアなどの合金およびセラミックを含む、誘電体材料を含み得る。
【0036】
図2は、装置200の概略図を示す。装置100の要素(例えば、フィルタ102、RF整合ネットワーク104、静電チャック108など)に加えて、装置200は、ノード112においてフィルタ102と直列に結合されている非正弦波連続波電圧生成器202をさらに含む。図示のように、フィルタ102は、非正弦波連続波電圧生成器202とノード106との間で直列である。非正弦波連続波電圧生成器202は、静電チャック108において電圧波形206を生成するように構成できる。電圧波形206は、概略図に示すようにパルス状であり得る。いくつかの実施形態では、非正弦波連続波電圧生成器202は、最大100kVのピーク電圧を生成できる。他の実施形態では、非正弦波連続波電圧生成器202は、2kV~10kVの範囲の電圧を生成するように構成される。非正弦波連続波電圧生成器202は、50kHz~500kHzの範囲の電圧パルスを生成できる。フィルタ102および非正弦波連続波電圧生成器202は、本開示の一実施形態による非正弦波連続波電圧生成器システム210の要素とすることができる。
【0037】
装置200は、ノード110においてRF整合ネットワーク104に直列に結合されている正弦波連続波電圧波形生成器204をさらに含む。図示のように、RF整合ネットワーク104は、正弦波連続波電圧波形生成器204とノード106との間で直列である。正弦波連続波電圧波形生成器204は、静電チャック108において電圧波形208を生成するように構成される。電圧波形208は、概略図に示すようにパルス状であり得る。いくつかの実施形態では、正弦波連続波電圧波形生成器204は、最大100kWのピーク電力を出力できる。正弦波連続波電圧波形生成器204は、13MHz~100MHzの範囲の電圧パルスを生成できる。RF整合ネットワーク104および正弦波連続波電圧波形生成器204は、本開示の一実施形態による正弦波連続波形生成器システム212の要素とすることができる。
【0038】
図3は、装置200(図2)の1つ以上の特徴を含むプラズマ処理ツール302を含むシステム300の概略図を示す。例示的な実施形態では、プラズマ処理ツール302は誘導結合エッチングツール302であり、プロセスチャンバ304内の静電チャック108と、プロセスチャンバ304上部のコイルに結合されているRF生成器310とを含む。動作中、プラズマ306がプロセスチャンバ304内で生成される。イオンがプラズマシースから放出される。プラズマシースは、絶縁体108Bの近傍にあるプラズマ306の最も外側の部分にある。プラズマシースは、電子およびイオンの損失をバランスさせて準中性を維持するようにプラズマ境界に形成される、非中性領域である。プラズマシースから出たイオンは、静電チャック108上に置かれた基板305に衝突し、基板305内の1つ以上の材料のエッチング(例えば、化学的、機械的など)を行う。
【0039】
上述したように、プラズマ306のシース領域内のイオンの特性(速度および角度分布)は、(a)プラズマ電位と、(b)静電チャック108に印加された電圧によって制御できる基板305の表面305Aの電位とに依存する。特に、(a)および(b)の両方の上昇がイオンを静電チャック108に向かって駆動する電界を強めるため、イオンの速度は(a)および(b)の両方から直接影響を受ける。
【0040】
様々な実施形態では、正弦波連続波電圧が正弦波連続波電圧波形生成器204により静電チャック108に印加されると、プラズマシースは印加された正弦波連続波電圧に応答して振動する。正弦波連続波電圧の印加により、シースの幅(および電位)が変化する。シースの幅またはシース境界の変化は、印加された正弦波連続波電圧に応答した、この境界での電子の急速な振動により定義される。イオンは電子と比べ移動性が大幅に低いため、イオンはゆっくりと、印加された正弦波連続波電圧の周波数で平均化された時間にわたって反応する。反応が遅いことによって、イオンのエネルギー分布に広がりが生じる。シース内の振動は、プラズマ振動を駆動する誘導電界から生じる振動、ならびに静電チャック108に印加されるパルス電圧波形208から生じる振動によるものであることを理解されたい。しかしながら、誘導結合プラズマシステムにおけるイオン分布に影響を与える目的では、パルス電圧波形208が振動において、より大きな役割を果たし得る。
【0041】
イオンの温度、イオンに供給される電圧、およびイオンの角度広がりの間の関係が、図4のダイアグラム400に示される。例示的な実施形態では、プラズマ306は、シース306Aと、シース306Aに隣接するプレシース306Bとを含む。シース306Aとプレシース306Bとの間の境界401でイオンに供給される電圧は、シース306A内の電界と、シース306Aの厚さDSとに関係する。電界ESは、境界401における電子の急速な移動によりシース領域内に生じ、静電チャック108の電位に対する境界401のシース電圧Vsに直接的に関係している。明瞭化のため、基板は図示されていない。電界ESは、プラズマ306を維持するエッチングチャンバに結合されている電力の関数である。例示的な実施形態では、電界ESは、静電チャック108の方へ向けられている。一実施形態では、イオンの速度の横方向成分(イオンの温度Tiによる)は、プラズマ中のイオンのランダムな運動から生じる。 イオン速度のベクトル和、およびシース電圧VSは、イオンの角度広がりの最大値、シグマシータを提供する。
【0042】
図4に示される、イオンの温度と、シース内のイオンに供給される電圧と、そのイオンの速度における角度広がりとの間の関係は、式1.1で表される。
【0043】
シグマシータ=Tan-1[平方根(Ti/eVs)] (1.1)
式中、シグマシータは角度広がりであり、Tiはイオンの温度であり、Vsはプロセスチャンバ304(図3)内のプラズマシース(プラズマ306の)のシース電圧である。
【0044】
静電チャック108に向かって加速するイオンの角度広がりシータは、イオンの温度Tiとシース電圧VSとの比に直接的に影響される。したがって、プラズマ電位を上昇させることなくシース電圧VSを上昇させる方法が、非常に望まれている。
【0045】
図5は、本開示の一実施形態による、イオンのエネルギーを増加させ、かつイオンの角度広がりを減少させる方法500を示す。方法500の一部またはすべての操作は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せにより実行または制御できる。方法500は、続いてプラズマチャンバ内の静電チャック上に基板を配置する操作510により開始され、ここでは静電チャックはノードに電気的に結合されている。方法500は、プラズマチャンバ内でプラズマを形成する操作520に進み、ここでプラズマは、第1のシース電圧を有するシースを生成する。方法500は、第1の周期関数を含む非正弦波電圧波形を静電チャックに印加し、引き続き第2の周期関数を含む連続波電圧を静電チャックに印加することにより、第1のシース電圧を第2のシース電圧まで増加させる操作530で終了し、ここで非正弦波電圧と正弦波電圧との和が、ウエハにおけるイオンのエネルギーの広がりの変化をもたらす。
【0046】
図6Aは、本開示の一実施形態による、非正弦波形生成器システムにより生成された電圧波形602のグラフ600を示す。一実施形態では、非正弦波連続波電圧生成器システム210(図2および図3に関連して説明した)を利用して電圧波形602を生成できる。一実施形態では、電圧波形602は1つ以上の高調波を含む。いくつかの実施形態では、各高調波は、400kHzなどの基本周波数の整数倍である。いくつかの実施形態では、電圧波形602は、第10高調波(例えば4000kHz)まで(第10高調波を含む)を含む。
【0047】
例示的な実施形態では、電圧波形602は、ゼロレベル606を超える正のパルス部分604と、ランプ期を含む負のパルス部分607とを含む。正のパルス部分は、負の基準電圧レベルVR1からランプした後、持続時間608の間印加される。持続時間608は、少なくとも20ナノ秒持続し得る。
【0048】
電圧波形602は、負の電圧レベルV1へのほぼ瞬間的なランプダウンと、それに続く第2の電圧レベルV2へのランプダウンとをさらに含み、ここでV2の絶対値はV1の絶対値よりも大きい。いくつかの実施形態では、V2は少なくともV1より10%大きい。例示的な実施形態では、V2はまた、基準電圧レベルVR1でもある。V1からV2へのランプダウンの持続時間610は、所望のパルス幅に依存する。例示的な実施形態では、V1からV2へのランプダウンは、上述した異なる高調波間の重ね合わせにより、400kHz~4000kHzの低周波振動を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、パルス幅は0~2マイクロ秒である。V2へのランプダウンにより、電圧波形602の単一の周期が完了する。例示的な実施形態では、電圧波形602はこの周期の繰り返しを含んでおり、4つのパルスが示されている。一実施形態では、電圧波形602のデューティサイクルは0~100である。
【0050】
図6Bは、本開示の一実施形態による、非正弦波形生成器システムにより生成された印加電圧と非正弦波連続波電圧波形生成器により生成された印加電圧との和により生成された電圧波形621のグラフ620を示す。一実施形態では、(図2および図3に関連して説明されている)非正弦波連続波電圧生成器202および正弦波連続波形生成器システム212を利用して、電圧波形621を生成できる。いくつかの実施形態では、電圧波形621は、電圧波形602の1つ以上の特徴と、正弦波連続波電圧波形生成器204(図2)により生成された正弦波電圧パルスの重ね合わせとを含む。いくつかの実施形態では、利用された正弦波連続波電圧波形生成器204は、最大100kWのピーク電力を出力し、10MHz~100MHzの範囲の電圧波形を生成できる。例示的な実施形態では、ピーク正弦波連続波電圧は、基板(またはウエハ)表面の負の非正弦波連続波電圧よりも小さい。非正弦波形電圧信号が負の電圧である期間中、瞬間的な電圧は正にはならず、すなわち、|V正弦波|<|V非正弦波|である。
【0051】
例示的な実施形態では、電圧波形621は、ゼロレベル606(破線)を超える正のパルス部分622と、負のパルス部分623とを含み、負のパルス部分623はランプ期を含む。負の基準電圧レベルVR2からランプした後、持続時間624の間、正のパルス部分622が印加される。持続時間624は、少なくとも100ns、ただし1ms未満、持続し得る。電圧波形602とは対照的に、電圧波形621は、RF生成器(図2の正弦波連続波電圧波形生成器204など)により生成された正弦波連続電圧波形からの振動を含む。振動および有限の電力が、電圧波形602の電圧レベルに加算される。
【0052】
電圧波形621は、負の電圧レベルV3へのほぼ瞬間的なランプダウンと、それに続く第2の電圧レベルV3へのランプダウンとをさらに含み、ここでV3の絶対値はV2の絶対値よりも大きい。一実施形態では、V3の絶対値は、V2の絶対値より少なくとも10%大きい。例示的な実施形態では、V3はまた、基準電圧レベルVR2でもある。V3からV4へのランプダウンの持続時間626は、所望のパルス幅に依存する。例示的な実施形態では、V3からV4へのランプダウンは、RF生成器(図2の正弦波連続波電圧波形生成器204など)により生成された正弦波連続電圧波形からの振動を含む。振動は、生じた電圧を、正のパルス位相(持続時間624)およびランプダウン期(持続時間626)の間、増幅する。持続時間626は、少なくとも100ns、ただし1ms未満、継続し得る。一実施形態では、電圧波形621のデューティサイクルは0~100である。
【0053】
図7Aは、基板(例えば、図3の基板305)の表面に誘導された電圧波形702のグラフ700を示す。電圧波形702は、電圧波形602と、イオンがシースを出て基板305(図4)の表面に衝突することにより誘導された電圧との重ね合わせの結果である。電圧波形702の振動は、低周波振動704を含む。低周波振動704は、上述した異なる高調波間の重ね合わせにより、400kHz~4000kHzの範囲であってもよい。比較のため、非正弦波連続波電圧生成器システムにより生成された電圧波形602が重ね合わせられている。
【0054】
図7Bは、基板(図3の基板305など)の表面上の誘導電圧波形722のグラフ720を示す。誘導電圧波形722は、電圧波形621(図6B)と、イオンがシース(図4)を出て基板の表面に衝突することにより誘導された電圧との重ね合わせの結果である。振動は、上述した低周波振動と、高周波RF振動724との和を含む。比較のため、正弦波連続波電圧生成器システムと、正弦波連続波電圧生成システムにより生成された印加電圧とにより生成された印加電圧波形602が重ね合わせられている。
【0055】
上述したように、図4および式1.1に関連して、静電チャックに印加された電圧を増加させることにより、Vsの増加をもたらすことができる。(図6Bに示すように)正弦波連続波形に非正弦波連続波形を重ね合わせることは、ウエハ表面の電位を変化させることによって、シース電圧Vsに付加的な電圧バイアスが加わる。プラズマシースの電圧VSが第1の電圧からより高い第2の電圧に上昇することにより、式(1.1)の分母を大きくし、シグマシータを小さくことができる。シグマシータが小さくなると、イオンのエネルギーの角度広がりを小さくことができる。
【0056】
図8は、本開示の一実施形態による、印加された非正弦波連続電圧波形と印加された正弦波連続電圧波形との組合せから生じる、シース(図4のシース306Aなど)内のイオンエネルギー分布関数(ion energy distribution function:IEDF)を含むグラフ800を示す。
【0057】
IEDF802は、非正弦波連続電圧波形が静電チャックに印加される実施形態に対応する、プラズマ内のイオンのエネルギーの分布を表す。例示的な実施形態では、620eVを中心とするイオンのエネルギー分布が静電チャック(図4の静電チャック108など)において生じる。
【0058】
IEDF804は、正弦波連続電圧波形が静電チャック(図4の静電チャック108など)に印加される実施形態に対応する、プラズマ内のイオンのエネルギーの分布を表す。例示的な実施形態では、280eVを中心とするイオンのエネルギー分布が静電チャック(図4の静電チャック108など)において生じる。シース電圧が低電圧から高電圧へ揺動するため、イオンのエネルギー分布は二峰性を示す。二峰性のエネルギー分布は、シース電圧の揺動の最大値および最小値に対するイオンの感度と、電圧レベルの最大値および最小値に関連した、対応するエネルギーレベルとを表す。
【0059】
IEDF806は、非正弦波連続電圧波形(IEDF802の生成に利用される)と正弦波連続電圧波形(IEDF804の生成に利用される)との組合せが同時に印加される実施形態に対応する、プラズマ内のイオンのエネルギーの分布を表す。例示的な実施形態では、760eVを中心とするイオンのエネルギー分布が静電チャックにおいて生じる。IEDF806は、RF信号がもはや純粋なRFではなく基準直流信号上で揺動する正弦波信号であるため、実質的に非二峰性の分布を表す。幅の狭いIEDFは、例えばフルオロカーボンガス混合物中の、酸化ケイ素または炭化ケイ素などのエッチングする誘電体と、シリコンとの間のエッチング選択比の大幅な改善をもたらすことができる。一実施形態では、合計のイオンのエネルギーは、IEDF802およびIEDF804のイオンのエネルギーの和と実質的に等しくあり得る。イオンのエネルギーを増大させイオンのエネルギーの角度分布の角度を減少させることで、エッチング速度を増加させ、CDを改善し、よりよいローディングを提供できる。
【0060】
図9A~9Dは、印加電圧の特定の値に対応するピークエネルギーの角度広がりの例示的な実施形態である。
【0061】
図9Aは、550eVのピークエネルギーを生成する、正弦波電圧生成器(図2の正弦波連続波電圧波形生成器204など)により生成された330Vの印加電圧から生じるイオンのエネルギーの角度広がりのグラフ900を示す。例示的な実施形態では、イオンのエネルギーの角度広がりは、550eVのピークイオンエネルギーの場合、約3.32度である。一般に、正弦波バイアス電圧Vbは、1.6~1.8×Vb eVのピークエネルギーを生成する。
【0062】
図9Bは、非正弦波連続波電圧生成器(例えば、図2の非正弦波連続波電圧生成器202)によって生成された360Vの印加電圧から生じるイオンのエネルギーの角度広がりのグラフ910を示す。例示的な実施形態では、イオンのエネルギーの角度広がりは、360Vのピーク印加電圧の場合、約8.1度である。一般に、非正弦波バイアス電圧Vb-nsは、約1Vb-nseVのピークエネルギーを生成する。
【0063】
図9Cは、本開示の一実施形態による、非正弦波連続波電圧生成器および正弦波連続波電圧生成器により生成された印加電圧の和から生じる、プラズマシース内のイオンのエネルギーの角度広がりのグラフ920を示す。例示的な実施形態では、イオンのエネルギーの角度広がりは、(図2の正弦波連続波電圧波形生成器204により生成されるような)550eVのピークエネルギーを生成する330Vの印加電圧と、360Vの印加電圧(図2の非正弦波連続波電圧生成器202により生成されるような)との和から得られる。例示的な実施形態では、イオンの角度広がりは、910Vのピーク印加電圧の場合、約2.34度である。例示的な実施形態では、イオンのエネルギーの広がりは、グラフ900(図9A)のイオンの角度広がりと比較して、ほぼ30%のイオンの角度広がりの減少となり、グラフ910(図9B)のイオンの角度広がりと比較して、ほぼ70パーセントのイオンの角度広がりの減少となる。
【0064】
図9Dは、本開示の一実施形態による、非正弦波連続波電圧生成器および正弦波連続波電圧生成器により生成された印加電圧の和から生じる、プラズマシース内のイオンのエネルギーの角度広がりのグラフ930を示す。例示的な実施形態では、イオンのエネルギーの角度広がりは、(図2の正弦波連続波電圧波形生成器204により生成されるような)550eVのピークエネルギーを生成する330Vの印加電圧と、1080Vの印加電圧(図2の非正弦波連続波電圧生成器202により生成されるような)との和から得られる。例示的な実施形態では、イオンの角度広がりは、1630Vのピーク印加電圧の場合、約1.66度である。例示的な実施形態では、イオンのエネルギーの角度広がりは、グラフ900(図9A)のイオンの角度広がりと比較して、ほぼ50%のイオンの角度広がりの減少となり、グラフ910(図9B)のイオンの角度広がりと比較して、ほぼ80パーセントのイオンの角度広がりの減少となる。
【0065】
図10Aは、図9Aに関連して説明されたイオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板1004内に形成された、トレンチ1002のエッチングプロファイルの図解1000を示す。一実施形態では、トレンチ1002の最初のマスク開口部は10nmである。トレンチ1002は、3.32度のピークイオンエネルギー分布から生じる22nmの最大幅を有する。
【0066】
図10Bは、図9Bに関連して説明されたイオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板1004内に形成された、トレンチ1012のエッチングプロファイルの図解1010を示す。一実施形態では、トレンチ1012の最初のマスク開口部は10nmである。トレンチ1002は、8.1度のピークイオンエネルギー分布から生じる22.2nmの最大幅を有する。トレンチ1012をパターニングするためのエッチング時間は、トレンチ1012(図10A)をパターニングするために必要なエッチング時間より約5%長い。
【0067】
図10Cは、図9Cに関連して説明されたイオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板1004内に形成された、トレンチ1022のエッチングプロファイルの図解1020を示す。一実施形態では、トレンチ1022の最初のマスク開口部は10nmである。トレンチ1022は、2.34度のピークイオンエネルギー分布から生じる22.0nmの最大幅を有する。トレンチ1022をパターニングするためのエッチング時間は、トレンチ1002(図10A)をパターニングするために必要なエッチング時間より25%超短く、すなわち、エッチング速度は34%超増加する。
【0068】
図10Dは、(図9Dに関連して説明された)イオンのエネルギーの角度広がりに起因してシリコン基板1004内に形成された、トレンチ1032のエッチングプロファイルの図解1030である。一実施形態では、トレンチ1032の最初のマスク開口部は10nmである。トレンチ1032は、1.66度のピークイオンエネルギー分布から生じる20.2nmの最大幅を有する。トレンチ1032をパターニングするためのエッチング時間は、トレンチ1002(図10A)をパターニングするために必要なエッチング時間より約50%超短く、すなわち、エッチング速度は90%超増加する。
【0069】
図11は、様々な実施形態による、実行されるとプロセッサに、誘導結合プラズマ内のイオンのエネルギーを増大させ、イオンのエネルギーの広がりを減少させる命令を有する機械可読記憶媒体を有するプロセッサシステム1100を示す。本開示の様々な実施形態で説明されるプロセスは、コンピュータ実行可能命令として機械可読媒体(例えば、1103)に記憶してもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサシステム1100は、図示のように一緒に結合されている、メモリ1101と、プロセッサ1102と、機械可読記憶媒体1103(有形の機械可読媒体とも呼ばれる)と、通信インタフェース1104(例えば、無線または有線インタフェース)と、ネットワークバス1105とを備える。
【0070】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1102は、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、汎用中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、または本明細書に記載の様々なプロセスを実行するための単純な有限状態機械を実装した低電力論理回路である。
【0071】
いくつかの実施形態では、プロセッサシステム1100の様々な論理ブロックは、ネットワークバス1105を介して相互に結合される。ネットワークバス1105を実装するために、任意の好適なプロトコルを使用してもよい。いくつかの実施形態では、機械可読記憶媒体1103は、様々な実施形態を参照して上述したように、誘導結合プラズマ中のイオンのエネルギーを増大させ、イオンのエネルギーの角度広がりを減少させるための命令(プログラムソフトウェアコード/命令とも呼ばれる)を含む。
【0072】
一実施例では、機械可読記憶媒体1103は、誘導結合プラズマ内のイオンのエネルギーを増大させ、イオンのエネルギーの角度広がりを減少させるための命令を有する機械可読記憶媒体である。機械可読媒体1103は、実行されると、プロセッサ1102に、様々な実施形態を参照して説明した測定および/または報告する方法を実行させる、機械可読命令を有する。
【0073】
様々な実施形態に関連するプログラムソフトウェアコード/命令は、オペレーティングシステムもしくは特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、ルーチン、または他の命令シーケンスもしくは命令シーケンスの構成(「プログラムソフトウェアコード/命令」、「オペレーティングシステムプログラムソフトウェアコード/命令」、「アプリケーションプログラムソフトウェアコード/命令」、もしくは単に「ソフトウェア」と呼ばれる)、またはプロセッサに埋め込まれたファームウェアの一部として実装され得る。いくつかの実施形態では、様々な実施形態のプロセスに関連するプログラムソフトウェアコード/命令は、プロセッサシステム1100によって実行される。
【0074】
いくつかの実施形態では、様々な実施形態に関連するプログラムソフトウェアコード/命令は、機械可読記憶媒体1103に記憶され、プロセッサ1102によって実行される。ここで、コンピュータ実行可能な機械可読記憶媒体1103は、コンピューティングデバイスにより実行されると、1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ1102)にプロセスを実行させるプログラムソフトウェアコード/命令およびデータを記憶するために使用できる有形の機械可読媒体である。いくつかの実施形態では、プロセスは、パルス電圧を制御することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセスは、周期的電圧を制御することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセスは、パルス電圧と周期電圧とを組み合わせることによって、プラズマのシース領域内のイオンのエネルギーの広がりを調節することを含んでもよい。様々な実施形態では、シース領域は、静電チャック上の基板に隣接している。いくつかの実施形態では、パルス電圧は、周期的電圧の周波数より低い周波数を有する。
【0075】
有形の機械可読記憶媒体1103は、本出願で言及されるように、例えばROM、揮発性のRAM、不揮発性メモリおよび/またはキャッシュおよび/または他の有形のメモリを含む様々な有形の場所に、実行可能なソフトウェアプログラムコード/命令およびデータの記憶装置を含み得る。このプログラムソフトウェアコード/命令および/またはデータの一部は、これらの記憶装置およびメモリデバイスのうちのいずれか1つに記憶され得る。いくつかの実施形態では、プログラムソフトウェアコード/命令は、その他の記憶装置から、例えば、集中型サーバまたはインターネットを含むピアツーピアネットワークなどを介して、取得できる。ソフトウェアプログラムコード/命令およびデータの異なる部分は、異なる時間に、異なる通信セッションまたは同じ通信セッションで取得されてもよい。
【0076】
様々な実施形態に関連するソフトウェアプログラムコード/命令は、それぞれのソフトウェアプログラムまたはアプリケーションの実行前に全体を取得できる。あるいは、ソフトウェアプログラムコード/命令およびデータの一部は、実行に必要な時に、例えば、ジャストインタイムで、動的に取得できる。あるいは、例えば、異なるアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、ルーチンまたは他の命令のシーケンスもしくは命令のシーケンスの構成などに対して、ソフトウェアプログラムコード/命令およびデータを取得するこれらの方法のいくつかの組合せが生じ得る。したがって、データおよび命令は、特定の時点において、全体が有形の機械可読媒体上にある必要はない。
【0077】
有形の機械可読記憶媒体1103の例としては、限定しないが、揮発性および不揮発性メモリデバイス、読み出し専用メモリ(read only memory:ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリデバイス、フロッピーおよび他のリムーバブルディスク、磁気記憶媒体、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(Compact Disk Read-Only Memory:CD ROM)、デジタル多用途ディスク(Digital Versatile Disk:DVD)など)などの記録可能および記録不可能なタイプの媒体が含まれる。ソフトウェアプログラムコード/命令は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形態の伝播信号、例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号をこのような有形の通信リンクを介して実装しながら、デジタル式の有形通信リンクに一次的に記憶され得る。
[適用例]
【0078】
[適用例1]
装置は、フィルタと、ノードにおいてフィルタと結合されているRF整合ネットワークと、ノードにおいてフィルタおよびRF整合ネットワークと結合されている静電チャックと、を備える。
【0079】
[適用例2]
請求項1に記載の装置であって、フィルタがノッチフィルタであり、ノッチフィルタが非正弦波電圧波形源に結合されている、装置。
【0080】
[適用例3]
請求項2に記載の装置であって、ノッチフィルタが12MHz~100MHzの阻止帯域周波数を含む、装置。
【0081】
[適用例4]
請求項1に記載の装置であって、フィルタがローパスフィルタであり、ローパスフィルタが直流電源に結合されている、装置。
【0082】
[適用例5]
請求項4に記載の装置であって、ローパスフィルタが5MHz未満のカットオフ周波数を備える、装置。
【0083】
[適用例6]
請求項2に記載の装置であって、非正弦波電圧波形源が400KHz~4000kHzの範囲の電圧信号を出力する、装置。
【0084】
[適用例7]
請求項1に記載の装置であって、RF整合ネットワークが正弦波電圧波形生成器に結合されている、装置。
【0085】
[適用例8]
請求項7に記載の装置であって、RF整合ネットワークが最大100kVの電力供給を容易にする、装置。
【0086】
[適用例9]
請求項1に記載の装置であって、RF整合ネットワークが13.56MHz~100MHzの範囲での電力供給を容易にする、装置。
【0087】
[適用例10]
請求項1に記載の装置であって、静電チャックが導電性プレートと導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
【0088】
[適用例11]
装置であって、フィルタと、ノードにおいてフィルタに結合されているRF整合ネットワークと、ノードにおいてフィルタおよびRF整合ネットワークと結合されている静電チャックと、静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されている非正弦波電圧波形生成器であって、フィルタが非正弦波電圧波形生成器とノードとの間で直列である、非正弦波電圧波形生成器と、静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器であって、RF整合ネットワークが正弦波電圧波形生成器とノードとの間で直列である、正弦波電圧波形生成器と、を備える、装置。
【0089】
[適用例12]
請求項11に記載の装置であって、正弦波電圧波形生成器が、13.56MHz~100MHzにおいて電力を、電力範囲0~100kWで生成する、装置。
【0090】
[適用例13]
請求項11に記載の装置であって、非正弦波電圧波形生成器が、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている、装置。
【0091】
[適用例14]
請求項11に記載の装置であって、静電チャックが導電性プレートと導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
【0092】
[適用例15]
システムであって、プラズマを生成し閉じ込めるように構成されているプラズマエッチングチャンバと、プラズマエッチングチャンバに結合されているRF生成器と、プラズマエッチングチャンバの基部にある静電チャックであって、静電チャックがノードに電気的に結合されており、静電チャックが基板を機械的に支持するように構成されている、静電チャックと、ノードに電気的に結合されている非正弦波電圧波形生成システムであって、非正弦波電圧波形生成システムが、静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されている、非正弦波電圧波形生成システムと、ノードに電気的に結合されている正弦波電圧波形生成システムであって、RF生成器が、静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている、正弦波電圧波形生成システムと、を備える、システム。
【0093】
[適用例16]
請求項15に記載のシステムであって、非正弦波電圧波形生成システムが、さらに、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている非正弦波電圧波形生成器と、フィルタとを直列に含む、システム。
【0094】
[適用例17]
請求項15に記載のシステムであって、正弦波電圧波形生成システムが、13.56MHz~100MHzにおいて電力を、電力範囲0~100kWで生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器と、RF整合ネットワークとをさらに備える、システム。
【0095】
[適用例18]
エッチング操作中、イオンのエネルギーを増大させ、基板の表面へ向けられたイオンの角度広がりを減少させるようにプラズマチャンバを動作させる方法であって、本方法が、プラズマチャンバ内の静電チャック上に基板を配置することであって、静電チャックがノードに電気的に結合されていることと、プラズマチャンバ内にプラズマを形成することであって、プラズマが、第1のシース電圧を有するシースを生成することと、第1の周期関数を含む非正弦波電圧波形を静電チャックに印加し、第2の周期関数を含む正弦波電圧波形を静電チャックに印加することにより、第1のシース電圧を第2のシース電圧まで上昇させることであって、非正弦波電圧波形と正弦波電圧波形との和が、静電チャック上の電圧応答を引き起こし、基板におけるイオンのエネルギーの広がりを変化させることと、を含む、方法。
【0096】
[適用例19]
請求項18に記載の方法であって、非正弦波電圧波形を印加することが、複数の高調波を含む非正弦波電圧波形を生成することを含む、方法。
【0097】
[適用例20]
請求項19に記載の方法であって、複数の高調波が400kHzの基本波を含み、第10高調波までを含む、方法。
【0098】
[適用例21]
請求項18に記載の方法であって、非正弦波電圧波形を印加することが、正の期間と負の期間とをさらに含み、デューティサイクルが0~100である、方法。
【0099】
[適用例22]
請求項18に記載の方法であって、非正弦波電圧波形を印加することが、第1の負電圧と、第2の負電圧へのランプとをさらに含み、第2の負電圧が第1の負電圧より少なくとも10%大きい、方法。
【0100】
[適用例23]
請求項18に記載の方法であって、第2の周期関数を印加することが、13.56MHz~100MHzの範囲で高周波パルスを生成することをさらに含む、方法。
【0101】
[適用例24]
請求項18に記載の方法であって、第2の周期関数を印加することが、100kV未満の最大振幅を有する正弦波電圧波形を生成することをさらに含む、方法。
【0102】
[適用例25]
請求項18に記載の方法であって、12MHz~100MHzの周波数を遮断することにより、ノードに到達する高周波信号を防ぐことを含む、方法。
【0103】
本明細書に記載されていることに加えて、開示された実施形態およびその実装形態に対して、その範囲を逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本明細書における実施形態の図示は単に例示として解釈されるべきであり、本開示の範囲を制限しない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ評価されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
フィルタと、
ノードにおいて前記フィルタに結合されているRF整合ネットワークと、
前記ノードにおいて前記フィルタおよび正弦波電圧波形整合ネットワークと結合されている静電チャックと、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記フィルタはノッチフィルタであり、前記ノッチフィルタは非正弦波電圧波形源に結合されている、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記ノッチフィルタは12MHzから100MHzの阻止帯域周波数を備える、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記フィルタはローパスフィルタであり、前記ローパスフィルタは直流電源に結合されている、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記ローパスフィルタは5MHz未満のカットオフ周波数を備える、装置。
【請求項6】
請求項2に記載の装置であって、前記非正弦波電圧波形源は400KHz~4000kHzの間の範囲の電圧信号を出力する、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記正弦波電圧波形整合ネットワークは正弦波電圧波形生成器に結合されている、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記RF整合ネットワークは最大100kVの電力供給を容易にする、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記RF整合ネットワークは13.56MHz~100MHzの範囲での電力供給を容易にする、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記静電チャックは導電性プレートと前記導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
【請求項11】
装置であって、
フィルタと、
ノードにおいて前記フィルタに結合されているRF整合ネットワークと、
前記ノードにおいて前記フィルタおよび正弦波電圧波形整合ネットワークと結合されている静電チャックと、
前記静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されている非正弦波電圧波形生成器と、前記フィルタは前記非正弦波電圧波形生成器と前記ノードとの間で直列であり、
前記静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器と、を備え、前記RF整合ネットワークは前記正弦波電圧波形生成器と前記ノードとの間で直列である、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記正弦波電圧波形生成器は、13.56MHz~100MHzにおいて電力を、電力範囲0~100kWで生成する、装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、前記非正弦波電圧波形生成器は、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている、装置。
【請求項14】
請求項11に記載の装置であって、前記静電チャックは、導電性プレートと前記導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
【請求項15】
システムであって、
プラズマを生成し含有するように構成されているプラズマエッチングチャンバと、
前記プラズマエッチングチャンバに結合されているRF生成器と、
前記プラズマエッチングチャンバの基部にある静電チャックと、前記静電チャックはノードに電気的に結合されており、前記静電チャックは基板を機械的に支持するように構成されており、
前記ノードに電気的に結合されている非正弦波電圧波形生成システムと、前記非正弦波電圧波形生成システムは、前記静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されており、
前記ノードに電気的に結合されている正弦波電圧波形生成システムと、を備え、前記RF生成器は、前記静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記非正弦波電圧波形生成システムは、さらに、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている非正弦波電圧波形生成器と、フィルタとを直列に含む、システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、前記正弦波電圧波形生成システムは、13.56MHz~100MHzにおいて電力を電力範囲0~100kWで生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器と、RF整合ネットワークと、をさらに備える、システム。
【請求項18】
エッチング操作中、イオンのエネルギーを増大させ、基板の表面へ向けられたイオンの角度広がりを減少させるようにプラズマチャンバを動作させる方法であって、
前記プラズマチャンバ内の静電チャック上に前記基板を配置し、前記静電チャックがノードに電気的に結合されており、
前記プラズマチャンバ内にプラズマを形成し、前記プラズマは、第1のシース電圧を有するシースを生成し、
第1の周期関数を含む非正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加し、第2の周期関数を含む正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加することにより、前記第1のシース電圧を第2のシース電圧まで上昇させること、を備え、前記非正弦波電圧波形と前記正弦波電圧波形との和は、ウエハにおけるイオンのエネルギーの広がりを変化させる前記静電チャック上の電圧応答を引き起こす、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、複数の正弦波高調波を備える電圧波形を生成することを含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記複数の正弦波高調波は、第10高調波までを含む400kHzの基本波を含、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、正の期間と負の期間とをさらに含み、デューティサイクルは0~100である、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、第1の負電圧と、第2の負電圧へのランプとをさらに含み、前記第2の負電圧は前記第1の負電圧のx~yパーセントである、方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、前記第2の周期関数を印加することは、13.56MHz~100MHzの範囲で高周波パルスを生成することをさらに備える、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、12MHz~100MHzの周波数を遮断することにより、前記ノードに到達する高周波信号が前記高周波パルスに干渉するのを防ぐことを備える、方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、
前記高周波パルスと前記正弦波電圧波形との組合せから合成電圧を生成し、
前記合成電圧を使用して、前記基板におけるイオンの角度分布を調節すること、
を備える方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
本明細書に記載されていることに加えて、開示された実施形態およびその実装形態に対して、その範囲を逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本明細書における実施形態の図示は単に例示として解釈されるべきであり、本開示の範囲を制限しない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ評価されるべきである。
[適用例1]装置であって、
フィルタと、
ノードにおいて前記フィルタに結合されているRF整合ネットワークと、
前記ノードにおいて前記フィルタおよび前記正弦波電圧波形整合ネットワークと結合されている静電チャックと、
を備える、装置。
[適用例2]適用例1に記載の装置であって、前記フィルタはノッチフィルタであり、前記ノッチフィルタは非正弦波電圧波形源に結合されている、装置。
[適用例3]適用例2に記載の装置であって、前記ノッチフィルタは12MHzから100MHzの阻止帯域周波数を備える、装置。
[適用例4]適用例1に記載の装置であって、前記フィルタはローパスフィルタであり、前記ローパスフィルタは直流電源に結合されている、装置。
[適用例5]適用例4に記載の装置であって、前記ローパスフィルタは5MHz未満のカットオフ周波数を備える、装置。
[適用例6]適用例2に記載の装置であって、前記非正弦波電圧波形源は400KHz~4000kHzの範囲の電圧信号を出力する、装置。
[適用例7]適用例1に記載の装置であって、前記正弦波電圧波形整合ネットワークは正弦波電圧波形生成器に結合されている、装置。
[適用例8]適用例7に記載の装置であって、前記RF整合ネットワークは最大100kVの電力供給を容易にする、装置。
[適用例9]適用例1に記載の装置であって、前記RF整合ネットワークは13.56MHz~100MHzの範囲での電力供給を容易にする、装置。
[適用例10]適用例1に記載の装置であって、前記静電チャックは導電性プレートと前記導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
[適用例11]装置であって、
フィルタと、
ノードにおいて前記フィルタに結合されているRF整合ネットワークと、
前記ノードにおいて前記フィルタおよび前記正弦波電圧波形整合ネットワークと結合されている静電チャックと、
前記静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されている非正弦波電圧波形生成器と、前記フィルタは前記非正弦波電圧波形生成器と前記ノードとの間で直列であり、
前記静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器と、を備え、前記RF整合ネットワークは前記正弦波電圧波形生成器と前記ノードとの間で直列である、装置。
[適用例12]適用例11に記載の装置であって、前記正弦波電圧波形生成器は、13.56MHz~100MHzにおいて電力を、電力範囲0~100kWで生成する、装置。
[適用例13]適用例11に記載の装置であって、前記非正弦波電圧波形生成器は、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている、装置。
[適用例14]適用例11に記載の装置であって、前記静電チャックは、導電性プレートと前記導電性プレート上の絶縁層とを備える、装置。
[適用例15]システムであって、
プラズマを生成し含有するように構成されているプラズマエッチングチャンバと、
前記プラズマエッチングチャンバに結合されているRF生成器と、
前記プラズマエッチングチャンバの基部にある静電チャックと、前記静電チャックはノードに電気的に結合されており、前記静電チャックは基板を機械的に支持するように構成されており、
前記ノードに電気的に結合されている非正弦波電圧波形生成システムと、前記非正弦波電圧波形生成システムは、前記静電チャックにおいて第1のパルス電圧波形を生成するように構成されており、
前記ノードに電気的に結合されている正弦波電圧波形生成システムと、を備え、前記RF生成器は、前記静電チャックにおいて第2のパルス電圧波形を生成するように構成されている、システム。
[適用例16]適用例15に記載のシステムであって、前記非正弦波電圧波形生成システムは、さらに、5~10kVの電圧出力を有し400KHz~4000kHzで動作するように構成されている非正弦波電圧波形生成器と、フィルタとを直列に含む、システム。
[適用例17]適用例15に記載のシステムであって、前記正弦波電圧波形生成システムは、13.56MHz~100MHzにおいて電力を電力範囲0~100kWで生成するように構成されている正弦波電圧波形生成器と、RF整合ネットワークと、をさらに備える、システム。
[適用例18]エッチング操作中、イオンのエネルギーを増大させ、基板の表面へ向けられたイオンの角度広がりを減少させるようにプラズマチャンバを動作させる方法であって、
前記プラズマチャンバ内の静電チャック上に基板を配置し、前記静電チャックがノードに電気的に結合されており、
前記プラズマチャンバ内にプラズマを形成し、前記プラズマは、第1のシース電圧を有するシースを生成し、
第1の周期関数を含む非正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加し、第2の周期関数を含む正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加することにより、前記第1のシース電圧を第2のシース電圧まで上昇させること、を備え、前記非正弦波電圧波形と前記正弦波電圧波形との和は、前記ウエハにおけるイオンのエネルギーの広がりを変化させる前記静電チャック上の電圧応答を引き起こす、方法。
[適用例19]適用例18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、複数の高調波を備える非正弦波電圧波形を生成することを含む、方法。
[適用例20]適用例19に記載の方法であって、前記複数の高調波は、400kHzの基本波を含み、第10高調波までを含む、方法。
[適用例21]適用例18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、正の期間と負の期間とをさらに含み、デューティサイクルは0~100である、方法。
[適用例22]適用例18に記載の方法であって、前記非正弦波電圧波形を印加することは、第1の負電圧と、第2の負電圧へのランプとをさらに含み、前記第2の負電圧は前記第1の負電圧のx~yパーセントである、方法。
[適用例23]適用例18に記載の方法であって、前記第2の周期関数を印加することは、13.56MHz~100MHzの範囲で高周波パルスを生成することをさらに備える、方法。
[適用例24]適用例18に記載の方法であって、前記第2の周期関数を印加することは、100kV未満の最大振幅を有する正弦波電圧波形を生成することをさらに備える、方法。
[適用例25]適用例18に記載の方法であって、12MHz~100MHzの周波数を遮断することにより、前記ノードに到達する高周波信号が前記パルスに干渉するのを防ぐことを備える、方法。
[適用例26]適用例18に記載の方法であって、
前記パルスと前記正弦波パルスとの組合せから合成電圧を生成し、
前記合成電圧を使用して、前記基板におけるイオンの角度分布を調節すること、
を備える方法。
[適用例27]適用例18に記載の方法であって、前記正弦波電圧波形は第1の値を備え、前記非正弦波電圧波形は第2の値を備え、前記第1の値と前記第2の値との組合せは第1のイオンの角度分布をもたらす、方法。
[適用例28]適用例27に記載の方法であって、前記第1のイオンの角度分布は、前記第1の値のみを含む前記非正弦波電圧波形により生成される第2のイオンの角度分布の30パーセント未満である、方法。
[適用例29]適用例27に記載の方法であって、前記第1のイオンの角度分布は、前記第2の値のみを含む前記非正弦波電圧波形により生成される第3のイオンの角度分布の70パーセント未満である、方法。
[適用例30]適用例27に記載の方法であって、前記第1のイオンの角度分布は、前記非正弦波電圧波形のみにより生成されるエッチング速度の2倍のエッチング速度を生成する、方法。
[適用例31]機械実行可能命令を有する機械可読記憶媒体であって、実行されると、1つ以上の機械に、
パルス電圧を制御し、
周期的電圧を制御し、
前記パルス電圧と前記周期電圧とを組み合わせることによって、静電チャック上の基板に隣接しているプラズマのシース領域内のイオンのエネルギーの広がりを調節することと、
を備える方法を、実行させる機械可読記憶媒体。
[適用例32]適用例31に記載の機械可読記憶媒体であって、前記パルス電圧は、前記周期的電圧の周波数よりも低い周波数を有する、機械可読記憶媒体。
[適用例33] 操作中、イオンのエネルギーを増大させ、基板の表面へ向けられたイオンの角度広がりを減少させるようにプラズマチャンバを動作させる方法であって、
前記プラズマチャンバ内の静電チャック上に基板を配置し、前記静電チャックはノードに電気的に結合されており、
前記プラズマチャンバ内にプラズマを形成し、前記プラズマは、第1のシース電圧を有するシースを生成し、
第1の周期関数を含む非正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加し、第2の周期関数を含む正弦波電圧波形を前記静電チャックに印加することにより、前記第1のシース電圧を第2のシース電圧まで上昇させること、を備え、前記非正弦波電圧波形と前記正弦波電圧波形との和は、前記静電チャック上の電圧応答を引き起こし、前記ウエハにおけるイオンのエネルギーの広がりを変化させる、方法。
【国際調査報告】