(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】プロセスチャンバ部品のための高度バリア酸化ニッケル(BNiO)コーティング開発
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20241003BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20241003BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20241003BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241003BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/455
C23C28/00 B
C23C28/00 D
H01L21/31 C
H01L21/302 101H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504178
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022045268
(87)【国際公開番号】W WO2023059502
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カリタ, ラクシェスワル
(72)【発明者】
【氏名】ベーンケ, ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4K030
4K044
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
ニッケルを含む金属層と、金属層上の酸化ニッケルのバリア層とを含むチャンバ部品を本明細書で説明する。酸化ニッケルのバリア層は、フッ化水素酸および/または硝酸を含む酸化剤でチャンバ部品を処理することによって形成され得る。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバのためのチャンバ部品であって、
本体と、
前記本体の少なくとも1つの表面上の金属めっきであって、前記金属めっきがニッケルを含む、金属めっきと、
前記金属めっき上のバリア層であって、前記バリア層が酸化ニッケルを含む、バリア層と
を備える、処理チャンバのためのチャンバ部品。
【請求項2】
前記金属めっきがニッケルとリンとを含む、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項3】
前記金属めっきがニッケルを含み、リンを含まない、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項4】
前記本体が、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、アルミナ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項5】
前記金属めっきが約20ミクロンから約75ミクロンの厚さを有し、前記バリア層が約2nmから約50nmの厚さを有する、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項6】
前記バリア層が約2マイクロインチから約60マイクロインチの平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項7】
前記チャンバ部品がプロセスチャンバのためのシャワーヘッドを備える、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項8】
チャンバ部品を保護する方法であって、
前記チャンバ部品の本体上に金属めっきを形成することであって、前記金属めっきがニッケルを含む、金属めっきを形成することと、
前記金属めっき上にバリア層を形成するために前記金属めっきを酸化剤と接触させることであって、前記バリア層が酸化ニッケルを含む、前記金属めっきを酸化剤と接触させることと
を含む、チャンバ部品を保護する方法。
【請求項9】
前記酸化剤が、フッ化水素酸、シュウ酸、または硝酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バリア層が約2μmから約60μmの厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属めっきを形成することが、無電解金属めっきを実行することを含み、前記金属めっきがリンをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記本体が、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、アルミナ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記バリア層を形成することの前に、前記金属めっきから自然酸化物を除去すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記金属めっきを前記形成することの後に、前記金属めっきをフッ化アンモニウムと接触させることによって前記金属めっき上にフッ化ニッケル(NiF2)またはオキシフッ化ニッケル層を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記金属めっきを前記酸化剤と接触させるために、前記チャンバ部品を、5から25%フッ化水素酸および75から95%水を含む酸浴中に配置することと、
その後、前記チャンバ部品を脱イオン化水浴中に配置することと、
その後、前記チャンバ部品を前記酸浴中に配置することと、
その後、前記チャンバを前記脱イオン化水浴中に配置することと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
使用済みチャンバ部品を修復する方法であって、
第1の酸性溶液を使用して前記使用済みチャンバ部品上の金属めっきから汚染層を除去することであって、前記金属めっきがニッケルを含む、汚染層を除去することと、
その後、前記金属めっき上にバリア層を形成するために前記金属めっきを酸化剤と接触させることであって、前記バリア層が酸化ニッケルを含む、前記金属めっきを酸化剤と接触させることと
を含む、方法。
【請求項17】
汚染層がフッ化ニッケルを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記汚染層を除去することが、
使用済みチャンバ部品を第1の酸浴中に配置することと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を脱イオン水ですすぐことと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を乾燥させることと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を第2の酸浴中に配置することと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を脱イオン水ですすぐことと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を乾燥させることと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化剤がフッ化水素酸または硝酸のうちの少なくとも一方を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記バリア層が約2μmから約60μmの厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、腐食耐性の金属酸化物コーティングされたチャンバ部品、ならびに、そのようなコーティングされたチャンバ部品を形成する方法および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業において、デバイスは、サイズが縮小し続ける構造を生産するいくつかの製造プロセスによって作製される。デバイスの幾何形状が縮小するにつれて、デバイスのプロセス均一性および再現性を制御することははるかに難しくなる。
【0003】
様々な半導体製造プロセスは、高温、(NF3、CF4など、遠隔および直接フッ素プラズマなど)高エネルギープラズマ、腐食性ガスの混合物、腐食性の洗浄化学物質(たとえば、フッ化水素酸)およびそれらの組み合わせを使用する。これらの極限状態では、プロセスチャンバ内の構成要素の材料とプラズマガスまたは腐食性ガスとの間の反応が生じて、金属フッ化物、粒子、他の微量の金属汚染物および高蒸気圧ガス(たとえば、AlFx)が形成され得る。そのようなガスは、容易に昇華し、チャンバ内の他の構成要素上に堆積し得る。後続のプロセスステップ中に、堆積した材料は粒子などの他の成分から離れ、ウエハ上に落下し、欠陥が生じ得る。そのような反応によって生じる追加の問題は、堆積速度ドリフト、エッチング速度ドリフト、損なわれる膜均一性、および損なわれるエッチング均一性を含む。昇華および/またはチャンバ内のチャンバ部品上での粒子および金属汚染物質の形成を制限するために、チャンバ部品上の安定した非反応性コーティングでこれらの欠陥を低減することが有益である。
【0004】
したがって、これらの欠陥を低減するために、いくつかの半導体処理チャンバ部品(たとえば、ライナ、ドア、リッド、シャワーヘッドなど)は無電解ニッケルめっき(electroless nickel plated)(ENP)表面を含む。しかしながら、ENP表面は、フッ素ベース雰囲気中でのおよび約150℃以上のより高い温度での使用後にフッ素含有層を発生することが分かっている。理論に限定されることなしに、フッ素含有層は使用中の汚染のために発生し、したがってフッ素含有層は汚染層と考えることができる。さらに、数百個のウエハを処理した後に、フッ素含有層は、プロセスチャンバの1つまたは複数の構成要素の寿命と、平均洗浄間ウエハ(mean wafers between cleaning)(MWBC)メトリックとを縮めることが分かっている。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態では、処理チャンバのためのチャンバ部品は、本体と、本体の少なくとも1つの表面上の金属めっきであって、金属めっきがニッケルを含む、金属めっきと、金属めっき上のバリア層とを含み得る。いくつかの実施形態では、バリア層は酸化ニッケルを含み得る。いくつかの実施形態では、金属めっきはニッケルおよびリンを含み得る。いくつかの実施形態では、金属めっきは、ニッケルを含み得、リンを含まない。いくつかの実施形態では、本体は、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、アルミナ、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、金属めっきは約20ミクロン~約75ミクロンの厚さを有し、バリア層は約2nm~約50nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、バリア層は約2マイクロインチ~約60マイクロインチの平均表面粗さ(Ra)を有する。いくつかの実施形態では、チャンバ部品はプロセスチャンバのためのシャワーヘッドであり得る。
【0006】
本開示の他の実施形態では、チャンバ部品を保護する方法は、チャンバ部品の本体上に金属めっきを形成することであって、金属めっきがニッケルを含み得る、金属めっきを形成することと、金属めっき上にバリア層を形成するために金属めっきを酸化剤と接触させることであって、バリア層が酸化ニッケルを含み得る、金属めっきを酸化剤と接触させることとを含む。いくつかの実施形態では、酸化剤は、フッ化水素酸、シュウ酸、または硝酸のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、バリア層は約2μm~約60μmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、金属めっきを形成することは、無電解金属めっきを実行することを含み得、金属めっきはリンをさらに含む。いくつかの実施形態では、本体は、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、アルミナ、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、バリア層を形成することの前に、金属めっきから自然酸化物を除去することを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、金属めっきを形成することの後に、金属めっきをフッ化アンモニウムと接触させることによって金属めっき上にフッ化ニッケル(NiF2)またはオキシフッ化ニッケル層を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法はまた、金属めっきを酸化剤と接触させるために、チャンバ部品を、5~25%フッ化水素酸および75~95%水を含む酸浴中に配置することと、その後、チャンバ部品を脱イオン化水浴中に配置することと、その後、チャンバ部品を酸浴中に配置することと、その後、チャンバを脱イオン化水浴中に配置することとを含み得る。
【0007】
本開示の別の実施形態では、使用済みチャンバ部品を修復する方法は、第1の酸性溶液を使用して使用済みチャンバ部品上の金属めっきから汚染層を除去することであって、金属めっきがニッケルを含む、汚染層を除去することと、その後、金属めっき上にバリア層を形成するために金属めっきを酸化剤と接触させることであって、バリア層が酸化ニッケルを含む、金属めっきを酸化剤と接触させることとを含み得る。いくつかの実施形態では、汚染層はフッ化ニッケルを含み得る。いくつかの実施形態では、汚染層を除去することは、使用済みチャンバ部品を第1の酸浴中に配置することと、その後、使用済みチャンバ部品を脱イオン水ですすぐことと、その後、使用済みチャンバ部品を乾燥させることと、その後、使用済みチャンバ部品を第2の酸浴中に配置することと、その後、使用済みチャンバ部品を脱イオン水ですすぐことと、その後、使用済みチャンバ部品を乾燥させることとを含み得る。いくつかの実施形態では、酸化剤はフッ化水素酸または硝酸のうちの少なくとも一方を含み得る。いくつかの実施形態では、バリア層は約2μm~約60μmの厚さを有し得る。
【0008】
本発明は、同様の参照番号が同様の要素を示す添付の図面の図に、限定ではなく例として示されている。本開示では、「実施形態」または「一実施形態」への異なる言及は必ずしも同じ実施形態への言及であるとは限らず、そのような言及は少なくとも1つを意味することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】処理チャンバの一実施形態の断面図を示す図である。
【
図1B】処理チャンバのためのシャワーヘッドの一実施形態の断面図を示す図である。
【
図2】一実施形態による、シャワーヘッドの底面図の一実施形態を示す図である。
【
図3A】一実施形態による、高度バリア酸化物層を形成する方法を示す図である。
【
図3B】別の実施形態による、高度バリア酸化物層を修復および形成する別の方法を示す図である。
【
図4】製造システムの例示的なアーキテクチャを示す図である。
【
図5】一実施形態による、高度バリア酸化物層を形成する方法を表すフローチャートである。
【
図6】別の実施形態による、高度バリア層を修復および形成する方法を表すフローチャートである。
【
図7】一実施形態による、金属めっきされたまたは金属コーティングされたチャンバ部品上に、フッ化ニッケル(NiF
2)またはオキシフッ化ニッケル(NiOF)層を有する高度バリア層を形成する方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示する実施形態では、コーティングされた物品と、コーティングされたチャンバ部品と、物品およびチャンバ部品をコーティングする方法と、半導体処理チャンバから粒子を低減する方法またはなくす方法と、コーティングされた物品およびチャンバ部品、およびコーティングされたチャンバ部品を含んでいる処理チャンバを使用する方法とについて説明する。構成要素材料と、金属フッ化物、粒子、他の微量の金属汚染物および/または高蒸気圧ガスを形成する反応性化学物質および/またはプラズマとの間の反応を低減するために、バリア層をもつ(たとえば、金属コーティングまたは金属めっきであり得る)金属層が含まれる。金属層は、ニッケル含有層(たとえば、純粋なニッケル層、または主成分としてニッケルを有し、さらにリンおよび/またはバナジウムなど他の材料を含む層)であり得る。バリア層は、制御された条件の下で形成された酸化ニッケル層であり得る。バリア層は、チャンバ部品の耐用年数を改善するために、および/またはチャンバ部品上の汚染層の蓄積を低減するまたはなくすために、新しいチャンバ部品に追加され得る。さらに、コーティングされた物品、または(新しいチャンバ部品または使用済みチャンバ部品であり得る)コーティングされたチャンバ部品の寿命を改善するために、それらは、汚染層を除去するために、およびチャンバ部品上の金属層の上にバリア層を追加するために処理され得る。
【0011】
金属層に酸化物および/またはフッ化物を追加する、フッ素と、チャンバ部品上の金属層(たとえば、ニッケルを含むENP)との間に相互作用があることが分かっている。自然酸化物は、空気への暴露により金属層上に自然に生じる。しかしながら、自然酸化物は望ましくない性質を有する。特に、自然酸化物は、プロセスガス(たとえば、フッ素)と相互作用して汚染層を形成する。自然酸化物のフッ素との相互作用は変色を生じ、処理された基板を汚染し得る粒子を生じる黒い膜(汚染層)を金属コーティングの上に形成する。黒い膜/汚染層がシャワーヘッドなどチャンバ部品上に存在する場合、汚染層を有するシャワーヘッドを含むプロセスチャンバによって処理された基板について歩留まりの低下があり得る。
【0012】
さらに、チャンバ部品が使用されている間に形成される黒い膜/汚染層がある場合、チャンバ部品は除去され、交換される。
【0013】
したがって、実施形態は、チャンバ部品の金属層の上への黒い膜/汚染層の形成を防ぐために、シャワーヘッドなどチャンバ部品の表面を改善する。表面金属層の化学分解および黒い膜/汚染層の形成を防ぐために保護バリア層を有することが有利であろう。保護バリア層を有するそのようなチャンバ部品はまた、バリア層がないチャンバ部品よりもゆっくり劣化しおよび/または汚染され得、それにより、金属層の上にバリア層をもつチャンバ部品は、金属層をもち、バリア層がないチャンバ部品よりも高い平均洗浄間ウエハを有することになり得る。平均洗浄間ウエハは、チャンバ部品の各洗浄間に処理されるウエハの平均数を表す。そのような増加した平均洗浄間ウエハは、約200℃以上のより高い温度でプロセスを実行するチャンバ中で使用されるチャンバ部品について特に顕著であり得る。
【0014】
本明細書で開示する実施形態には、処理チャンバのためのチャンバ部品および/またはそのようなチャンバ部品を含んでいる処理チャンバ(たとえば、半導体処理チャンバ)があり、チャンバ部品は、チャンバ部品と、チャンバ部品の少なくとも1つの表面上の金属層(たとえば、金属めっきまたは金属コーティング)とを含む。金属層は、実施形態において高度バリア層を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、チャンバ部品は基板の表面上に金属層を含み得る。チャンバ部品またはそれの部分は、限定はしないが、金属、たとえば、アルミニウム、ステンレス鋼および/またはチタン、セラミック、たとえば、アルミナ、シリカおよび/または窒化アルミニウムのうちの1つまたは複数、および/またはそれらの組み合わせから構成され得る。金属層は、ニッケルを含む無電解金属めっきであるか、またはニッケルを含む電解金属めっきであり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、チャンバ部品は、チャンバ部品の1つまたは複数の表面上に無電解金属めっきを形成するために無電解めっきプロセスを使用してめっきされ得る。実施形態では、無電解金属めっきはニッケルリンめっきであり得る。無電解めっきプロセスはチャンバ部品の表面上に金属めっきを直接形成することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ部品は、電解金属めっきプロセスを使用してめっきされ得る。たとえば、電解めっきプロセスは、ニッケル、銀および/または金を含んでいる層を形成し得る。いくつかの実施形態では、チャンバ部品の1つまたは複数の表面が、チャンバ部品の1つまたは複数の表面上にニッケル含有コーティングをスパッタリングするスパッタリングプロセスなど、スパッタリングプロセスを使用してコーティングされ得る。ニッケル含有コーティングは、たとえば、98~99原子%のニッケルと1~2原子%のバナジウムとを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、チャンバ部品が無電解めっきプロセスによりコーティングされるとき、チャンバ部品は、ニッケルとリンとを含んでいる浴中に配置される。浴は、約84%のニッケルおよび約16%のリン、約86%のニッケルおよび14%のリン、約88%のニッケルおよび約12%のリン、約90%のニッケルおよび約10%のリン、約92%のニッケルおよび約8%のリン、約94%のニッケルおよび約6%のリン、ならびに約96%のニッケルおよび約4%のリンを含み得る。たとえば、浴は約84~96%のニッケルと約4~16%のリンとを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、チャンバ部品が電解金属めっきプロセスによりめっきされるとき、コーティングはリンを含まない。たとえば、めっきは100%のニッケルであり得る。いくつかの実施形態では、チャンバ部品は、スパッタリングされたニッケルでコーティングされる。スパッタリングされたニッケルは、当業者によって理解されるように、ニッケルとバナジウムとを含み得る。バナジウムは、スパッタリングされたニッケル中に約1%~約2%で存在し得る。
【0019】
実施形態では、チャンバ部品が、無電解ニッケルめっきまたは電解Niめっきである金属層を含むとき、層は、厚さが、約20ミクロン~約75ミクロン、約25ミクロン~約70ミクロン、約30ミクロン~60ミクロン、または約35ミクロン~約50ミクロンであり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、金属層は約450HV~約500HVの硬さを有し得る。金属層の粗さは、実施形態において50μインチ未満であり得る。
【0021】
無電解めっきによって形成される金属層の厚さは、チャンバ部品が浴中にある時間の量に基づいてターゲットにされ得る。チャンバ部品は、ターゲット厚さを有する金属層を形成するために約1分~約3分間浴中にあり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、金属層上に汚染層が見つけられ得る。汚染層はニッケル、フッ素および/または酸素の組み合わせを含み得る。実施形態では、金属層は、フッ素リッチな化学物質への暴露により、時間とともにゆっくりフッ化されるニッケル層である。たとえば、ニッケルフッ素および/またはニッケルオキシフッ素の汚染層が金属層の表面上に形成され得る。汚染層は、金属層とは異なってプロセスガスに反応し得、プロセス化学物質にわずかな変化を引き起こし得る。さらに、または代替的に、汚染層はチャンバ部品からはげ落ち得、および/または、チャンバ部品がそれの中に設置されているプロセスチャンバ中で処理される基板上に粒子汚染を生じ得る。結果として、汚染層を含むそれらのチャンバ部品を除去し、除去されたチャンバ部品を、汚染層がない新しいチャンバ部品と交換するために、チャンバ部品に対して定期的な保守が実行され得る。
【0023】
実施形態では、チャンバ部品は、金属層(たとえば、ニッケル層)の上に酸化ニッケルを含むバリア層を含む。実施形態では、金属層上のバリア層(たとえば、酸化ニッケルバリア層)の形成は、プロセスガスによる攻撃から、特に、フッ素含有プラズマと他のフッ素含有化学物質とによる攻撃に対して金属層を保護する。したがって、バリア層は保護層と呼ばれることがある。酸化ニッケルバリア層は、酸化プロセスを使用して形成され得、酸化プロセスは、酸化剤を含んでいる浴(たとえば、水とともにフッ化水素酸および/または硝酸を含んでいる浴)中に、チャンバ部品(または酸化ニッケルバリア層を有するべきチャンバ部品の部分)を浸漬することを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、チャンバ部品は、汚染層を除去した後、およびバリア層を形成する前に、フッ素化ニッケル(NiF2)またはオキシフッ素化ニッケル(NiOF)層を生成することを含む。フッ素化ニッケルまたはオキシフッ素化ニッケル層は、金属めっきされたチャンバ部品を、フッ化アンモニウム(NH4F)溶液をもつ浴中に配置することによって生成され得る。フッ化アンモニウム溶液は約0.5M~約3Mの濃度を有し得る。金属めっきされたチャンバ部品は、約35~約45℃の温度で約5分~約60分間浴中にとどまってフッ化ニッケル層またはオキシフッ化ニッケル層を形成する。フッ化ニッケル層が形成される場合、Niは約60重量%の量で存在し、Fは約40重量%の量で存在する。オキシフッ化ニッケル層が形成される場合、Niは約62重量%の量で存在し、Fは約20重量%の量で存在し、Oは約17重量%の量で存在する。このフッ素化ニッケル(NiF2)またはオキシフッ素化ニッケル(NiOF)層が形成された後に、次いで、本明細書で説明する酸化プロセスを使用して酸化ニッケルバリア層が形成され得る。
【0025】
実験により、チャンバ部品上のニッケル層の上の酸化ニッケルバリア層の使用がチャンバ部品の耐用年数を10倍だけ増加させることが示されている。したがって、暴露されたニッケル層を有するチャンバ部品を点検および/または交換するために実行される予防保守の回数および/または頻度と比較して、予防保守が実施形態において2倍から10倍まで低減され得る。
【0026】
いくつかの実施形態は、シャワーヘッドに関して本明細書で説明され、高アスペクト比特徴と、プラズマによる衝撃に直接さらされる領域との両方を有するチャンバ部品をコーティングするために特に有用である。しかしながら、本明細書で説明するバリア層は、壁、ライナ、ベース、リング、ビューポート、リッド、ノズル、基板保持フレーム、静電チャック(ESC)、フェースプレート、選択性調節装置(SMD)、プラズマ源、ペデスタルなどを含む、(プラズマエッチリアクタとしても知られる)プラズマエッチャーまたは他の処理チャンバのためのチャンバ部品など、プラズマにさらされる金属層を有する多くの他のチャンバ部品上でも有益に使用され得る。
【0027】
さらに、プラズマリッチプロセスのためのプロセスチャンバ中で使用されたときに粒子汚染の低減を生じ得る、めっきまたはコーティングされたチャンバ部品と他の物品とに関して、実施形態について本明細書で説明する。しかしながら、本明細書で説明するめっきまたはコーティングされた物品は、非プラズマエッチャー、非プラズマ清浄器、化学気相堆積(CVD)チャンバ、物理的気相堆積(PVD)チャンバなど、他のプロセスのためのプロセスチャンバ中で使用されたときも粒子汚染の低減を与え得ることを理解されたい。
【0028】
次に図面を参照すると、
図1Aは、本開示の実施形態による、金属層と、金属層の上の酸化ニッケル含有バリア層とを含む1つまたは複数のチャンバ部品を有する処理チャンバ100(たとえば、半導体処理チャンバ)の断面図である。処理チャンバ100は、腐食性プラズマ環境および/または腐食性化学物質がその中で与えられるプロセスのために使用され得る。たとえば、処理チャンバ100は、(プラズマエッチャーとしても知られる)プラズマエッチリアクタ、プラズマ清浄器、プラズマ強化原子層堆積(ALD)を実行するALDチャンバ、他の堆積チャンバなどのためのチャンバであり得る。金属層と金属層の上のバリア層とを含み得るチャンバ部品の例としては、基板支持アセンブリ148、静電チャック(ESC)、リング(たとえば、プロセスキットリングまたは単一のリング)、チャンバ壁、ベース、シャワーヘッド130、ガス分配プレート、ライナ、ライナキット、シールド、プラズマスクリーン、流れ等化器、冷却ベース、チャンバビューポート、チャンバリッド、ノズル、プロセスキットリングなどがある。
【0029】
一実施形態では、金属層はニッケル含有層(たとえば、100%のニッケル、または、リンおよび/またはバナジウムなど1つまたは複数の追加の材料と組み合わせたニッケル)である。一実施形態では、バリア層は酸化ニッケル含有層(たとえば、100%の酸化ニッケル、または、リンおよび/またはバナジウムなど1つまたは複数の追加の材料との酸化ニッケル)である。金属層およびバリア層は共形薄膜であり得る。
【0030】
一実施形態では、処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、内部ボリューム106を囲むシャワーヘッド130とを含む。シャワーヘッド130は、ガス分配プレートを含むこともあり、含まないこともある。たとえば、シャワーヘッドは、シャワーヘッドベースと、シャワーヘッドベースに接合されたシャワーヘッドガス分配プレートとを含む、マルチピースシャワーヘッドであり得る。代替的に、シャワーヘッド130は、いくつかの実施形態では、リッドとノズルとによって置き換えられ得るか、または他の実施形態では複数のパイ形のシャワーヘッド区画とプラズマ発生ユニットとによって置き換えられ得る。チャンバ本体102は、アルミニウム、ステンレス鋼または他の好適な材料から作製され得る。チャンバ本体102は、一般に、側壁108と底部110とを含む。シャワーヘッド130(またはリッドおよび/またはノズル)、側壁108および/または底部110のいずれも多層耐プラズマコーティングを含み得る。
【0031】
チャンバ本体102を保護するために、側壁108に隣接して外側ライナ116が配設され得る。外側ライナ116は、Al2O3またはY2O3など、ハロゲン含有ガスレジスト材料であり得る。外側ライナ116は、いくつかの実施形態では多層耐プラズマセラミックコーティングでコーティングされ得る。
【0032】
排気口126がチャンバ本体102中に画定され得、内部ボリューム106をポンプシステム128に結合し得る。ポンプシステム128は、処理チャンバ100の内部ボリューム106を真空にし、それの圧力を調節するために利用される、1つまたは複数のポンプとスロットルバルブとを含み得る。
【0033】
シャワーヘッド130はチャンバ本体102の側壁108上におよび/またはチャンバ本体の上部部分上に支持され得る。シャワーヘッド130(またはリッド)は、処理チャンバ100の内部ボリューム106へのアクセスを可能にするために開き得、閉じられている間に処理チャンバ100のためのシールを与え得る。シャワーヘッド130を通してまたはリッドとノズルとを通して内部ボリューム106にプロセスガスおよび/または洗浄ガスを与えるために、ガスパネル158が処理チャンバ100に結合され得る。シャワーヘッド130はシャワーヘッド130全体にわたって複数のガス供給穴132を含む。シャワーヘッド130は、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、アルミニウム合金(たとえば、Al6061)、または陽極処理アルミニウム合金であり得るか、あるいはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドは、シャワーヘッドに接合されたガス分配プレート(GDP)を含む。GDPは、たとえば、SiまたはSiCであり得る。GDPは、シャワーヘッド中の穴と一致する複数の穴をさらに含み得る。
【0034】
図1Bは
図1Aのシャワーヘッド130の一部分の拡大図を示す。
図1Bを参照すると、実施形態では、シャワーヘッド130は金属層150とバリア層152とによってコーティングされる。特に、いくつかの実施形態では、シャワーヘッドの表面とシャワーヘッド中の穴132の壁とが薄い共形金属層150によってコーティングされる。さらに、シャワーヘッド130の裏面およびシャワーヘッドの外側壁も共形金属層150によってコーティングされ得る。シャワーヘッド130の表面上とシャワーヘッド130中の穴132の壁上とに金属層150を堆積または形成するために、ALDまたはめっき(たとえば、電気めっきまたは無電解めっき)などの非見通し線(non-line of sight)堆積技法が使用され得る。代替的に、金属層を形成するために、スパッタリングなどの見通し線堆積技法が使用され得る。金属層150は、実施形態では、ニッケル、リンでドープされたニッケル、またはバナジウムでドープされたニッケルであり得る。
【0035】
バリア層152は、シャワーヘッド130の表面のいくつかのまたはすべての領域において金属層150をカバーする。バリア層152は、酸化プロセスを使用して形成され得、酸化プロセスは、乾式酸化プロセスであるか、または(たとえば、シャワーヘッド130を、フッ化水素酸または硝酸など、酸化剤を含んでいる浴中に浸漬することによる)湿式酸化プロセスであり得る。バリア層152は、シャワーヘッド130中の穴の内壁上を含む、チャンバ部品のすべての表面上の金属層をカバーし得る。バリア層は、成長させられた層であり得、実施形態では共形で一様であり得る。一様なバリア層は、実施形態では、シャワーヘッドの表面にわたって約10%未満の厚さにおける差を有し得る。
【0036】
処理チャンバ100中の基板を処理するために使用され得る処理ガスの例としては、とりわけ、C2F6、SF6、SiCl4、HBr、NF3、CF4、CHF3、CH2F3、F、Cl2、CCl4、BCl3およびSiF4など、ハロゲン含有ガス、ならびにO2、またはN2Oなど、他のガスがある。キャリアガスの例としては、プロセスガスに対して不活性な、N2、He、Ar、および他のガス(たとえば、非反応性ガス)がある。フッ素ベースガスは、標準的なシャワーヘッドの穴上にフッ化堆積物を蓄積させ得、および/またはシャワーヘッドの穴上に汚染層を形成させ得る。しかしながら、シャワーヘッド130の穴132は、バリア層152により、そのようなフッ化物蓄積に対して耐性があり得る。
【0037】
再び
図1Aを参照すると、処理チャンバ100の内部ボリューム106中の、シャワーヘッド130の下方に基板支持アセンブリ148が配設されている。基板支持アセンブリ148は処理中に基板144(たとえば、ウエハ)を保持する。基板支持アセンブリ148は、処理中に基板144を固定する静電チャック、静電チャックに接合された金属冷却板、および/または1つまたは複数の追加の構成要素を含み得る。内側ライナは基板支持アセンブリ148の周囲をカバーし得る。内側ライナはAl
2O
3またはY
2O
3などのハロゲン含有ガスレジスト材料であり得る。基板支持アセンブリ、基板支持アセンブリの部分、および/または内側ライナは、いくつかの実施形態では金属層とバリア層とでコーティングされ得る。
【0038】
図2はシャワーヘッド200の底面図の一実施形態を示す。シャワーヘッド200は、エッチングまたは処理されるべき基板またはウエハの上に直接プラズマガスを均等に分配する、同心状に配置された(穴とも呼ばれる)一連のガス導管204を有し得る。シャワーヘッドは、ここでは、ガスの均等な分配のための均等に分配された同心リング中に配置された約1100個のガス導管204を有するとして示されている。別の実施形態では、ガス導管204はシャワーヘッドの下面205上に(またはシャワーヘッドに結合されたGDPの下面上に)代替の幾何学的構成において構成され得る。たとえば、シャワーヘッドは、ガス導管204の行と列とを有する方形構成または矩形構成を有し得る。他の形状(たとえば、三角形、五角形など)が実施され得、上記で説明したようにセラミックコーティング(たとえば、HPMコーティング)でコーティングされ得ることを理解されたい。シャワーヘッド200は、利用されるリアクタおよび/またはプロセスのタイプに応じて、図示のように、多数のガス導管を204有するか、または適切なだけの少数のガス導管を有することができる。
【0039】
一実施形態では、いくつかのまたはすべてのガス導管204が分岐を含まない(たとえば、各ガス導管が単一の入口点と単一の出口点とを有し得る)。さらに、ガス導管は様々な長さと配向角とを有し得る。ガスは1つまたは複数のガス供給ノズルを介してガス導管204に供給され得る。いくつかのガス導管204は(たとえば、ガス供給ノズルに近いことにより)他のガス導管204よりも前にガスを受け取り得る。しかしながら、ガス導管204は、ガス導管204の配向角、直径および/または長さを変えることに基づいて、または追加の流れ等化器を使用することによって、ほぼ同時にシャワーヘッドの下にある基板にガスを供給するように構成され得る。たとえば、最初にガスを受け取るガス導管204は、後でガスを受け取る導管よりも長いことがあり、および/またはより大きい角度(たとえば、90度よりもさらに大きい角度)を有し得る。
【0040】
図3Aに見られ得るように、金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品を酸化させることの概略
図300が示されている。
図3Aにおいて、金属めっきされたチャンバ部品は、ニッケル層301と、チャンバ部品のむき出しのアルミニウム本体302とを含み、ニッケル層301はむき出しのアルミニウム本体302の表面上にある。金属めっきされたチャンバ部品は本開示による酸化プロセス305を受ける。酸化された後に、金属めっきされたチャンバ部品はニッケル層301の表面上に酸化ニッケルの高密度のバリア層303を含む。NiOのバリア層303は金属層の変色を防ぎ得る。バリア層303はまた、チャンバ部品が、処理される基板上の粒子の発生源になることを防ぎ得る。NiOのバリア層303はまた、変色した/汚染された層の形成を防ぐためにニッケル層301中のニッケルとのフッ素の反応を抑制し得る。
【0041】
さらに、バリア層303は、ニッケル層1上に自然酸化物が形成されることを防ぎ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、チャンバ部品は、基板上で1つまたは複数のプロセスを実行するために使用された使用済みのチャンバ部品であり得、そのプロセスは基板をフッ素リッチな環境にさらした。チャンバ部品は、使用の前にバリア層でコーティングされていないことがある。したがって、チャンバ部品は金属層302の上に汚染層を含み得る。いくつかの実施形態では、チャンバ部品は、汚染層を除去して金属層を露出させ、次いで金属層上にバリア層を形成することによって修復され得る。そのような実施形態の概略が
図3Bの概略
図350に示されている。
【0043】
図3Bにおいて、チャンバ部品は、それの上に配設された金属層301を有するアルミニウム本体302と、金属層301の上の汚染層310とを含む。チャンバ部品は、金属層301から汚染層310を剥離するために洗浄プロセス315を受け得る。洗浄された金属層301を有するチャンバ部品は、次いで、本開示でより詳細に説明するように、バリア層303を形成するために酸化プロセス305を使用して処理され得る。洗浄および酸化の後に、汚染層310は除去され、高密度の酸化ニッケルのバリア層303が金属層301の上に存在する。
【0044】
図4は製造システム400の例示的なアーキテクチャを示す。製造システム400は、チャンバ部品など、物品にめっきおよび/またはコーティングを適用するための製造システムであり得る。一実施形態では、製造システム400は、機器自動化層415に接続された製造機械401(たとえば、処理機器)を含む。製造機械は、ポリッシャー402、1つまたは複数の湿式清浄器403、めっきシステム404、スパッタリングシステム405、酸化システム406、および/または他の機械を含み得る。製造システム400は、機器自動化層415に接続された1つまたは複数の計算デバイス420をさらに含み得る。代替実施形態では、製造システム400はより多数のまたはより少数の構成要素を含み得る。たとえば、製造システム400は、機器自動化層415または計算デバイス420なしに手動で動作させられる(たとえば、オフライン)製造機械401を含み得る。
【0045】
ポリッシャー402は、処理チャンバのためのチャンバ部品など、物品の表面を研磨または平滑化するように構成された機械である。ポリッシャー402は、たとえば、化学機械平坦化(CMP)デバイスまたは研磨ポリッシャーであり得る。たとえば、物品の表面を平滑化するために電動研磨パッドが使用され得る。サンダー(sander)は、研磨パッドが物品の表面に押し付けられている間に研磨パッドを回転または振動させ得る。研磨パッドによって達成される粗さは、加えられる圧力、振動もしくは回転率および/または研磨パッドの粗さに依存し得る。
【0046】
湿式清浄器403は、湿式洗浄プロセスを使用して物品(たとえば、物品)を洗浄する洗浄装置である。湿式清浄器403は、液体で充填された湿式浴を含み、基板を洗浄するために基板が湿式浴中に浸漬される。湿式清浄器403は、洗浄効果を改善するために、洗浄中に超音波を使用して湿式浴を攪拌し得る。これを、本明細書では湿式浴を超音波分解(sonicate)することと呼ぶ。
【0047】
いくつかの実施形態では、湿式清浄器403は、脱イオン化(DI)水を含んでいる第1の湿式清浄器と、酸性溶液を含んでいる第2の湿式清浄器とを含む。酸性溶液は、実施形態では、フッ化水素酸(HF)溶液、塩酸(HCl)溶液、硝酸(HNO3)溶液、またはそれらの組み合わせであり得る。酸性溶液は、物品から表面汚染物質を除去し得、および/または物品の表面から酸化物を除去し得る。金属層の上にバリア層を形成する前に、金属層を有する物品を酸性溶液で洗浄することは、金属層の上に形成されるバリア層の品質を改善し得る。一実施形態では、ニッケル層を有するチャンバ部品を洗浄するために、約5~15容量%のHFを含有する酸性溶液が使用される。一実施形態では、ニッケル層を有する物品を洗浄するために、約5~15容量%のHNO3を含有する酸性溶液が使用される。
【0048】
湿式清浄器403は、処理中に複数の段階において物品を洗浄し得る。たとえば、湿式清浄器403は、基板が研磨された後や、めっき(たとえば、電気めっき)を実行する前や、金属めっきの上にバリア層を形成する前などに物品を洗浄し得る。
【0049】
他の実施形態では、物品を洗浄するために、乾式清浄器など、清浄器の代替タイプが使用され得る。乾式清浄器は、熱を印加すること、ガスを印加すること、プラズマを印加することなどによって物品を洗浄し得る。
【0050】
めっきシステム404は、(たとえば、Niの)電気めっきまたは(たとえば、Niの)無電解めっきを実行するシステムである。めっきシステム404は、物品上に(たとえば、アルミニウムチャンバ部品など、チャンバ部品の表面上に)溶解した金属カチオンが薄い密着する金属コーティングを形成するように、それらの溶解した金属カチオンを低減するために電流を印加する、電気めっきシステムであり得る。特に、めっきされるべき物品は回路のカソードであり得、金属ドナーは回路のアノードであり得る。物品および金属ドナーは、電解質の導電率を高める1つまたは複数の溶解した金属塩および/または他のイオンを含んでいる電解質中に浸漬され得る。金属ドナーからの金属は、そのとき、物品の表面をめっきする。
【0051】
使用され得る別のタイプのめっきシステムは、無電解めっきを実行する無電解めっきシステムである。化学めっきまたは自己触媒めっきとしても知られる無電解めっきは、水溶液中でのいくつかの同時反応を伴う非ガルバニックめっき法であり、それらの反応は外部電力の使用なしで起こる。反応は、還元剤、通常は次亜リン酸塩ナトリウムまたはチオ尿素によって水素が放出され、酸化され、それにより部分の表面上に負電荷が生じるときに達成される。
【0052】
機器自動化層415は、製造機械401のいくつかまたはすべてを、計算デバイス420と、他の製造機械と、計測ツールおよび/または他のデバイスと相互接続し得る。機器自動化層415は、ネットワーク(たとえば、ロケーションエリアネットワーク(LAN))、ルータ、ゲートウェイ、サーバ、データストアなどを含み得る。製造機械401は、半導体製造装置通信スタンダード/包括的製造装置インターフェースを介して、イーサネットインターフェースを介して、および/または他のインターフェースを介して、機器自動化層415に接続し得る。一実施形態では、機器自動化層415は、プロセスデータ(たとえば、プロセス実行中に製造機械401によって収集されたデータ)がデータストア(図示せず)に記憶されることを可能にする。代替実施形態では、計算デバイス420は製造機械401のうちの1つまたは複数に直接接続する。
【0053】
一実施形態では、いくつかのまたはすべての製造機械401は、プロセスレシピをロード、記憶および実行することができるプログラマブルコントローラを含む。プログラマブルコントローラは、製造機械401の温度設定、ガスおよび/または真空設定、時間設定などを制御し得る。プログラマブルコントローラは、メインメモリ(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、および/または2次メモリ(たとえば、ディスクドライブなど、データストレージデバイス)を含み得る。メインメモリおよび/または2次メモリは、本明細書で説明する熱処理プロセスを実行するための命令を記憶し得る。
【0054】
プログラマブルコントローラは、命令を実行するために(たとえば、バスを介して)メインメモリおよび/または2次メモリに結合された処理デバイスをも含み得る。処理デバイスは、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなど、汎用処理デバイスであり得る。処理デバイスは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなど、専用処理デバイスでもあり得る。一実施形態では、プログラマブルコントローラはプラグラム可能な論理制御装置(PLC)である。
【0055】
一実施形態では、製造機械401は、物品を研磨すること、物品を洗浄すること、物品をめっきすること、物品上にバリア層を形成することなどを製造機械に行わせるレシピを実行するためにプログラムされる。一実施形態では、製造機械401は、
図5~
図6を参照しながら説明するように、金属層とバリア層とを有する物品を製造するための多段階プロセスの動作を行うレシピを実行するためにプログラムされる。計算デバイス420は、本開示の実施形態に従って製造機械401に物品を製造させるために製造機械401にダウンロードされ得る、1つまたは複数のめっきレシピ、酸化レシピ、洗浄レシピおよび/または研磨レシピ425を記憶し得る。
【0056】
図5は、一実施形態による、高度バリア酸化物層を修復し、チャンバ部品上に高度バリア酸化物層を形成する方法500を表すフローチャートである。方法500は、金属層上に汚染層を形成させる化学物質にチャンバ部品をさらす1つまたは複数の製造プロセスの1つまたは複数のサイクルを実行するために使用された金属層(たとえば、金属めっき)を有するチャンバ部品に対して実行され得る。汚染層は、酸素、フッ素および/または1つまたは複数のプロセス要素を含み得る。汚染層は、粒子汚染を引き起こし、および/または実施形態においてプロセスチャンバ中で実行される将来のプロセスに悪影響を及ぼし得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、金属めっきされたチャンバ部品上に汚染層が存在するとき、チャンバ部品は第1の浴中に配置される502。第1の浴は、水と、第1の酸(たとえば、フッ化水素酸、硝酸(HNO
3)、硫酸(H
2SO
4)、シュウ酸(HC
2O
4)、またはフッ化アンモニウム(NH
4F))とを含み得る。フッ化水素酸は、第1の浴の全組成に基づいて、浴中に約5重量%~約15重量%の量で含まれ得る。水は、浴の全組成に基づいて、浴中に約85重量%~約95重量%の量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、第1の浴は、約5重量%のフッ化水素酸と、約95重量%の水とを含む。第1の浴は約25℃~約35℃の温度であり得る。使用済みの金属めっきされたチャンバ部品は、汚染層をはがすために第1の浴中に約1分~約30分間配置され得る。第1の浴中に浸漬した後に、金属めっきされたチャンバははがされた汚染層を含み得る。金属めっきされたチャンバ部品は、次いで、ブロック504において、はがされた汚染層を除去するために(たとえば、脱イオン水で)すすがれ、乾燥され得る。
【0057】
その後、金属めっきされたチャンバ部品は、ブロック506において第1の浴または第2の浴中に配置される。第2の浴は水と酸(たとえば、フッ化水素酸)とを含む。酸は、第1の浴または第2の浴の全組成に基づいて、浴中に約5重量%~約15重量%の量で含まれ得る。水は、第1の浴または第2の浴の全組成に基づいて、浴中に約85重量%~約95重量%の量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、第2の浴は、約5重量%のフッ化水素酸と、約95%の水とを含む。第2の浴は約25℃~約35℃の温度であり得る。使用済みの金属めっきされたチャンバ部品は第2の浴中に約1分~約30分間配置され得、残っている汚染層は除去され得る。第2の浴の後に、金属めっきされたチャンバ部品は(たとえば、脱イオン水で)すすがれ、乾燥され得る508。
【0058】
金属めっきされたチャンバ部品は、次いで、汚染層を除去した後に研磨され得る510。金属めっきされたチャンバ部品は、表面を均一に研磨するために、Scotch-Brite(登録商標)シートなど、異なる研磨シートをもつ自動ポリッシャー、または別の高度の方法を使用して研磨され得る。金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品は、一実施形態では、表面粗さが約10μin~約20μinになるまで研磨され得る。研磨後に、金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品は酸化処理を受け得る512。酸化処理は、金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品を第3の浴中に配置することによって実行され得る。第3の浴は、水と、酸(たとえば、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、シュウ酸(HC2O4)、またはフッ化アンモニウム(NH4F))とを含む。酸は、第3の浴の全組成に基づいて、浴中に約5重量%~約25重量%の量で含まれ得る。水は、第3の浴の全組成に基づいて、浴中に約75重量%~約95重量%の量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、第3の浴は、約5重量%のフッ化水素酸と、約95重量%の水とを含み得る。第3の浴は約25℃~約35℃の温度であり得る。金属めっきされたチャンバ部品は、第3の浴中に約1分~約30分間配置され得る。酸化された金属めっきされたチャンバ部品は(たとえば、脱イオン水で)すすがれ得、金属めっき層の表面上に酸化ニッケル層が形成され得る。酸化ニッケル層は、一実施形態では約5ナノメートルと約35ナノメートルとの間であり得る。
【0059】
別の実施形態では、金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品は新しい構成要素であり得、新しい構成要素は第2の方法600によって酸化され得る。
図6は、一実施形態による、金属めっきまたは金属コーティングされたチャンバ部品上に高度バリア層を形成する方法を表すフローチャートである。第2の方法600において、金属めっきされたチャンバ部品が第1の浴中に配置される602。第1の浴は水と酸(たとえば、フッ化水素酸)とを含み得る。フッ化水素酸は、第1の浴の全組成に基づいて、浴中に約5重量%~約25重量%の量で含まれ得る。水は、浴の全組成に基づいて、浴中に約75重量%~約95重量%の量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、第1の浴は、約5重量%のフッ化水素酸と、約95重量%の水とを含む。第1の浴は約25℃~約35℃の温度であり得る。金属めっきされたチャンバ部品は、第1の浴中に約1分~約30分間配置され得る。第1の浴604の後に、金属めっきされたチャンバ部品は(たとえば、脱イオン水で)すすがれ、乾燥され得る606。
【0060】
乾燥されると、金属めっきされたチャンバ部品は、金属めっき層を酸化させ、酸化ニッケル層を形成するために、酸(たとえば、フッ化水素酸または硝酸(HNO3))で処理され得る608。金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品は、酸化ニッケル層のターゲット厚さが達成されるまで、約1分~約30分間の時間処理され得る。酸化ニッケル層は、実施形態では、約15ナノメートルなど、約5ナノメートルと約30ナノメートルとの間であり得る。金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品は、次いで、ブロック610において脱イオン水ですすがれ、乾燥される。
【0061】
別の実施形態では、金属めっきされたコーティングされたチャンバ部品は、フッ化ニッケル層またはオキシフッ化ニッケル層を有し、チャンバ部品を酸化する新しい構成要素であり得る。
図7は、一実施形態による、フッ化ニッケル(NiF
2)層またはオキシフッ化ニッケル(NiOF)層を有する、金属めっきされたまたは金属コーティングされたチャンバ部品上に高度バリア層を形成する方法を表すフローチャートである。チャンバ部品は、
図6のステップ602~606で説明したように、ステップ702~706において第1の浴中に配置され、すすがれる。チャンバ部品をすすぎ、乾燥させた後に、チャンバ部品は、次いで、ニッケルフッ素層またはニッケルオキシフッ素層を形成するために、フッ化アンモニウム溶液を含む第2の浴中に配置される708。フッ化アンモニウム溶液は約0.5M~約3Mの濃度を有する。チャンバ部品は第2の浴中に約5分~約60分間とどまり、第2の浴は、NiF
2またはNiOF層を形成するために約35~45℃の温度である。チャンバ部品は、次いで、浴から除去される710。チャンバ部品は、次いで、
図6のステップ606について上記で説明したように、ステップ712においてすすがれ、乾燥される。NiF
2層またはNiOF層の形成の後に、チャンバ部品は、それぞれ
図5および
図6のステップ512および608において上記で説明したように、金属めっき層を酸化させ718、酸化ニッケル層を形成するために、酸(たとえば、フッ化水素酸または硝酸(HNO
3))で処理され得る。
【0062】
別の実施形態では、金属めっきされたチャンバ部品はインシトゥ方法によって酸化され得る。この方法は、チャンバ部品がニッケルめっきされたコーティングでコーティングされている同じチャンバ中で、または部分がそれの中で使用されるチャンバ中で行われ得る。インシトゥ方法の第1のステップにおいて、金属めっきされたチャンバ部品は、チャンバ部品がチャンバ中にある間に、ガスと水分とで処理され得る。ガスは、NH3、NF3、HFまたはH2、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択され得る。いくつかの実施形態では、ガスは、NH3とNF3との組み合わせであるか、またはNH3とNF3とHFとの組み合わせであり得る。ガスは全ガスの約5sccm~約2000sccmの濃度であり得る。ガスはチャンバ内で周囲水分と反応する。チャンバの温度は約150℃~約220℃であり得る。酸化ニッケルコーティング層は約4nm~約50nmの厚さを有し得る。
【0063】
本明細書で説明するように、バリア層を形成するために部分を酸化処理で処理することによって、発明者らは、部分の寿命が、バリア層がない元のコーティングの寿命よりも10倍超になり得ることを発見した。ENPコーティングされた層のチャンバ部品が使用されるとき、標準寿命は約3000サイクルである。ENPコーティングされた層上にバリア酸化ニッケル層が存在するとき、部分の寿命は部分の標準寿命のほぼ10倍を超えて延び、寿命は10,000サイクルを超える。
【0064】
さらに、発明者らは、新しい部分をコーティングするために、および汚染層がそこで形成された既存の部分を修復するために、酸化方法を使用することができることを発見した。
【実施例】
【0065】
例示的な例
以下の例は、本開示を理解するのを助けるために記載されており、本明細書で説明し、特許請求する本開示を明確に限定すると解釈されるべきではない。当業者の権限内であろう、現在知られているか、または後に開発される、すべての等価物の代用を含む、本開示の変形形態、および処方の変更、または実験計画の軽微な変更は、本明細書に組み込まれる本開示の範囲内に入ると見なされるべきである。
【0066】
実施例1-ENPコーティングされるシャワーヘッドの前処理
ニッケルめっきと、ニッケルめっき上の酸化ニッケルバリア層とを有するシャワーヘッドを本明細書で例示する。最初に、シャワーヘッドを、金属めっきプロセスを使用してニッケル層でコーティングした。意図的な酸化ニッケル層の形成の前に、ニッケルめっき上に自然酸化物層を形成した。自然酸化ニッケル層は、劣った性質を有し、また、粒子汚染を低減し、チャンバ部品の寿命を改善するターゲット酸化ニッケル層の形成を妨げる。自然酸化ニッケル層は約2~3nmの厚さを有し得る。次いで、シャワーヘッドを酸化処理し、シャワーヘッドを25℃と35℃との間の温度の5%(5%~25%)のフッ化水素酸と95%の水との浴中に配置した。40分後に、シャワーヘッドを浴から除去し、脱イオン水ですすいだ。ニッケル層の上にバリア酸化ニッケル層を形成した。金属層上のバリア酸化ニッケル(NiO)層は約6nm~約22nmの厚さを有した。
【0067】
実施例2-ENPコーティングされたシャワーヘッドの洗浄および酸化
使用されたニッケルめっき(ニッケルENP)を備えるシャワーヘッドを本明細書で例示し、使用の結果としてシャワーヘッド上に汚染層が形成された。汚染層(すなわち、フッ化層またはオキシフッ化層)の全厚さは5~200nmを超えた。
【0068】
汚染層を除去するために、5%(5%~25%)のフッ化水素酸と95%の水との第1の浴中に、25~40℃で40分間シャワーヘッドを配置することによってシャワーヘッドを洗浄した。次いで、シャワーヘッドを第1の浴から除去し、脱イオン水ですすぎ、乾燥した。シャワーヘッドを乾燥した後に、次いで、シャワーヘッドを25%のフッ化水素酸と75%の水との第2の浴中に、25~40℃で40分間配置した。次いで、シャワーヘッドを第2の浴から除去し、再び脱イオン水ですすぎ、乾燥した。
【0069】
洗浄の結果として、シャワーヘッドから汚染層が除去された。次いで、ENP層の上にバリア層を形成するために、シャワーヘッドを5%フッ化水素酸の浴中に配置することによってシャワーヘッドを処理し、酸化した。処理および酸化の結果として、ENP層上にバリア酸化ニッケル層が形成された。ENPコーティング層上のバリア酸化ニッケル(NiO)層は約22nmの合成厚さを有した。ENP層上のバリアNiO層のEDSラインプロファイルは、バリアNiO層中にニッケルが存在し、そのような層中にリンがなかったことを示した。また、シャワーヘッドの小さい穴の内側のTEM画像とEDSラインプロファイルとを撮影し、バリア層が6.3nmと31.2nmとの間の厚さを有していたことが示された。
【0070】
また、シャワーヘッドの裏面上のバリア層が約19~30nmの厚さを有することを測定した。このことはEDSラインプロファイル中にも示された。このことは、バリア酸化ニッケル層がシャワーヘッド全体に沿って形成され、シャワーヘッドの前面のみに限定されなかったことを裏付ける。
【0071】
実施例3-ENPコーティングされたシャワーヘッドのフッ素化および酸化
約6nm~約50nmの厚さを有するフッ化(NiF2)層またはオキシフッ化(NiOF)層を変換するために、0.5M~3Mの濃度を有するフッ化アンモニウム(NH4F)溶液で処理されたニッケルめっき(ニッケルENP)コーティングを備えるシャワーヘッドを本明細書で例示する。シャワーヘッドを酸化処理し、酸化処理では、約6nm~約50nmのNiO厚さを有するために、シャワーヘッドを25~35℃の間の温度の5%(5%~25%)のフッ化水素酸と95%の水との浴中に配置した。
【0072】
また、ENPコーティングされたシャワーヘッド上のバリア層のSEM画像を撮影した。SEM画像から、C、O、PおよびNiの重量パーセントを計算し、表1に提示する。PはENP層に由来することに留意されたい。
【0073】
前述の説明は、本発明のいくつかの実施形態の良好な理解が得られるように、特定のシステム、構成要素、方法の例など、多数の具体的な詳細を記載している。しかしながら、本発明の少なくともいくつかの実施形態はこれらの具体的な詳細なしに実施し得ることが、当業者には明らかであろう。他の事例では、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構成要素または方法については、詳細に説明しないか、または簡単なブロック図形式で提示する。したがって、記載されている具体的な詳細は例にすぎない。特定の実装形態は、これらの例示的な詳細とは異なり得るが、依然として本発明の範囲内にあることが企図される。
【0074】
本明細書全体にわたる「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関して説明した特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態中に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所における「一実施形態では」または「実施形態では」というフレーズの出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包含的な「または」を意味するものとする。本明細書で「約」または「ほぼ」という用語が使用されるとき、これは、提示された公称値が±10%以内で正確であることを意味するものとする。
【0075】
本明細書での方法の動作を特定の順序で図示し、説明したが、いくつかの動作が逆の順序で実行され得るように、または、ある動作が少なくとも部分的に他の動作と同時に実行され得るように、各方法の動作の順序は変えられ得る。別の実施形態では、命令、または別個の動作のサブ動作は断続的におよび/または交互に行われ得る。
【0076】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記の説明を読み、理解すると、多くの他の実施形態が当業者には明らかであろう。本発明の範囲は、したがって、添付の特許請求の範囲を参照しながら、また、そのような特許請求の範囲が付与される等価物の十分な範囲とともに決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバのためのチャンバ部品であって、
本体と、
前記本体の少なくとも1つの表面上の金属めっきであって、前記金属めっきがニッケルを含む、金属めっきと、
前記金属めっき上のバリア層であって、前記バリア層が酸化ニッケルを含む、バリア層と
を備える、処理チャンバのためのチャンバ部品。
【請求項2】
前記金属めっきがニッケルとリンとを含む、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項3】
前記金属めっきがニッケルを含み、リンを含まない、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項4】
前記本体が、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、アルミナ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項5】
前記金属めっきが約20ミクロンから約75ミクロンの厚さを有し、前記バリア層が約2nmから約50nmの厚さを有する、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項6】
前記バリア層が約2マイクロインチから約60マイクロインチの平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項7】
前記チャンバ部品がプロセスチャンバのためのシャワーヘッドを備える、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項8】
チャンバ部品を保護する方法であって、
前記チャンバ部品の本体上に金属めっきを形成することであって、前記金属めっきがニッケルを含む、金属めっきを形成することと、
前記金属めっき上にバリア層を形成するために前記金属めっきを酸化剤と接触させることであって、前記バリア層が酸化ニッケルを含む、前記金属めっきを酸化剤と接触させることと
を含む、チャンバ部品を保護する方法。
【請求項9】
前記酸化剤が、フッ化水素酸、シュウ酸、または硝酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バリア層が約2μmから約60μmの厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属めっきを形成することが、無電解金属めっきを実行することを含み、前記金属めっきがリンをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記本体が、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、アルミナ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記バリア層を形成することの前に、前記金属めっきから自然酸化物を除去すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記金属めっきを前記形成することの後に、前記金属めっきをフッ化アンモニウムと接触させることによって前記金属めっき上にフッ化ニッケル(NiF2)またはオキシフッ化ニッケル層を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記金属めっきを前記酸化剤と接触させるために、前記チャンバ部品を、5から25%フッ化水素酸および75から95%水を含む酸浴中に配置することと、
その後、前記チャンバ部品を脱イオン化水浴中に配置することと、
その後、前記チャンバ部品を前記酸浴中に配置することと、
その後、前記チャンバを前記脱イオン化水浴中に配置することと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
使用済みチャンバ部品を修復する方法であって、
第1の酸性溶液を使用して前記使用済みチャンバ部品上の金属めっきから汚染層を除去することであって、前記金属めっきがニッケルを含む、汚染層を除去することと、
その後、前記金属めっき上にバリア層を形成するために前記金属めっきを酸化剤と接触させることであって、前記バリア層が酸化ニッケルを含む、前記金属めっきを酸化剤と接触させることと
を含む、方法。
【請求項17】
汚染層がフッ化ニッケルを含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記汚染層を除去することが、
使用済みチャンバ部品を第1の酸浴中に配置することと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を脱イオン水ですすぐことと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を乾燥させることと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を第2の酸浴中に配置することと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を脱イオン水ですすぐことと、
その後、前記使用済みチャンバ部品を乾燥させることと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化剤がフッ化水素酸または硝酸のうちの少なくとも一方を含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項20】
前記バリア層が約2μmから約60μmの厚さを有する、請求項
16に記載の方法。
【国際調査報告】