(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】偏光板およびその用途
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241003BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241003BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20241003BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241003BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B5/30
H10K59/10
H10K50/86
G09F9/30 349E
C09J7/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520046
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 KR2022015767
(87)【国際公開番号】W WO2023063807
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0137842
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0080539
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ハ・ソン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・キョン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒョン・チェ
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4J004
5C094
【Fターム(参考)】
2H149AA18
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2H149AB13
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5C094AA03
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(57)【要約】
本出願は偏光板およびその用途に関する。本出願はOLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示し得る偏光板および前記偏光板を含むOLED表示装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子および前記偏光子の一面に存在する散乱粘着剤層を含む偏光板であって、
前記散乱粘着剤層の温度25℃および周波数1rad/secでの貯蔵弾性率は70,000Pa以上であり、
前記偏光板はヘイズが15%以上である、偏光板。
【請求項2】
散乱粘着剤層は粘着性樹脂およびビーズを含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
粘着性樹脂はアクリル系樹脂である、請求項2に記載の偏光板。
【請求項4】
粘着性樹脂の屈折率(A)とビーズの屈折率(B)との差(A-B)は0.04~0.1の範囲内である、請求項2に記載の偏光板。
【請求項5】
ビーズはシリコン樹脂を含む、請求項2に記載の偏光板。
【請求項6】
ビーズは粘着性樹脂100重量部に対して2重量部~10重量部の範囲内で含まれる、請求項2に記載の偏光板。
【請求項7】
散乱粘着剤層の厚さは15μm~25μmの範囲内である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
散乱粘着剤層は800gfで1000秒の間測定したガラス押され距離が150μm~250μmの範囲内である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項9】
偏光子の一面または両面に存在する偏光子の保護フィルムをさらに含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
偏光子と散乱粘着剤層との間に位相差層をさらに含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項11】
OLED表示パネルおよび前記OLED表示パネルの一面に配置された、請求項1に記載の偏光板を含む、OLED表示装置。
【請求項12】
偏光板はOLED表示パネルの光出射側に配置される、請求項11に記載のOLED表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は偏光板およびその用途に関する。
【0002】
本出願は2021年10月15日付韓国特許出願第10-2021-0137842号および2022年6月30日付韓国特許出願第10-2022-0080539号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
OLED(Organic light emitting diode,発光ダイオード)表示装置の輝度を改善するために、OLED表示パネルの性能を改善する多様な方法が試みられている。しかし、OLED表示パネルの輝度上昇時に既存には発生しない虹ムラ現象が深化して、前記ムラ現象によりOLED表示装置の外観の視感が劣る問題が発生し得る(特許文献1:大韓民国特許公開公報第10-2009-0122138号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願はOLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示し得る偏光板および前記偏光板を含むOLED表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は偏光板に関する。前記偏光板は偏光子および前記偏光子の一面に存在する散乱粘着剤層を含むことができる。
【0006】
本明細書で粘着剤層は、例えば、粘着剤組成物の層であり得る。本明細書で用語「粘着剤または接着剤組成物の層」は、粘着剤または接着剤組成物をコーティングまたは硬化させて形成された層を意味し得る。用語「粘着剤または接着剤組成物の硬化」は、粘着剤または接着剤組成物に含まれている成分の物理的または化学的作用乃至は反応を通じて粘着剤または接着剤組成物内に架橋構造を具現することを意味し得る。硬化は、例えば、常温での維持、湿気の印加、熱の印加、活性エネルギー線の照射または前記のうち2種以上の工程を共に進行させて誘導することができ、それぞれの場合によって硬化が誘導される類型の粘着剤または接着剤組成物は、例えば、常温硬化型粘着剤または接着剤組成物、湿気硬化型粘着剤または接着剤組成物、熱硬化型粘着剤または接着剤組成物、活性エネルギー線硬化型粘着剤または接着剤組成物または混成硬化型粘着剤または接着剤組成物と呼称され得る。
【0007】
本明細書で散乱粘着剤層は粘着剤層にヘイズを誘発できる散乱粒子を含む粘着剤層を意味し得る。前記散乱粒子は例えば後述するビーズであり得る。
【0008】
前記散乱粘着剤層を含む偏光板はヘイズが15%以上であり得る。前記ヘイズは散乱粘着剤層そのもののヘイズを意味するものではなく、散乱粘着剤層および偏光子を含む偏光板のヘイズを意味し得る。偏光板が後述するように保護フィルム、位相差層、ハード層などの機能層をさらに含む場合には、散乱粘着剤層、偏光子および前記機能層を含む偏光板のヘイズを意味し得る。前記ヘイズは具体的には、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上、30%以上、31%以上、32%以上、33%以上、34%以上、35%以上、36%以上、37%以上、38%以上、39%以上または40%以上であり得、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下または20%以下であり得る。前記偏光板のヘイズはD65光源を基準として測定された値であり得る。前記偏光板のヘイズは約380nm~780nm波長の光に対して測定された値であり得る。前記ヘイズは約380nm~780nm波長の光に対して測定された平均ヘイズ値であり得る。偏光板のヘイズが前記範囲内である場合、OLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示すのに有利であり得る。
【0009】
前記散乱粘着剤層は25℃温度および1rad/sec周波数で貯蔵弾性率が70,000Pa以上であり得る。前記貯蔵弾性率は具体的に72,000Pa以上、74,000Pa以上、76,000Pa以上、78,000Pa以上、80,000Pa以上、81,000Pa以上、82,000Pa以上、83,000Pa以上、84,000Pa以上、85,000Pa以上、86,000Pa以上、87,000Pa以上、88,000Pa以上または89,000Pa以上であり得る。前記保存弾性率の上限は例えば、100,000Pa以下、95,000Pa以下または90,000Pa以下であり得る。散乱粘着剤層の貯蔵弾性率が前記範囲内である場合、OLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善でき、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示すのに有利であり得る。
【0010】
前記散乱粘着剤層は粘着性樹脂を含むことができる。一つの例示で、粘着性樹脂はアクリル系樹脂であり得る。前記アクリル系樹脂はアクリル単量体を主成分で含みながら、架橋前または後に粘着性を示すことができる高分子であり得る。本明細書でアクリル単量体を主成分で含むとは、粘着性樹脂を構成する全体単量体の中でアクリル単量体を80wt%以上、85wt%以上、90wt%以上、95wt%以上または99wt%以上含むことを意味し得る。
【0011】
一つの例示で、粘着性樹脂は(メタ)アクリル酸エステル単量体から由来した重合単位を含むアクリル重合体であり得る。本明細書で用語「単量体」は重合反応を通じて重合体を形成できるすべての種類の化合物を意味し、或る単量体から誘導された重合された単位を含む重合体は前記或る単量体が重合されて形成された重合体を意味し得る。
【0012】
前記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使うことができる。前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数1~20、炭素数1~14、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使うことができる。前記でアルキル基は、例えば、直鎖状アルキル基、分枝鎖状アルキル基または環状アルキル基であり得る。このような単量体の例としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、2-メチルヘプシルアクリレート、ペンチルアクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートおよびラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、前記のうち一種または二種以上を適切に選択して使うことができる。
【0013】
アクリル重合体は架橋性官能基を有する共重合性単量体(以下、架橋性単量体と簡単に呼称し得る。)から由来した重合単位をさらに含むことができる。本明細書で架橋性官能基を有する共重合性単量体は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体のように重合体に含まれる他の単量体と共重合され得る部位を有し、また架橋性官能基を有して重合体に架橋性官能基を付与できる化合物を意味し得る。架橋性官能基は、例えば、カルボキシ基であり得る。一つの例示で、前記架橋性単量体はアクリル酸(acrylic acid)であり得る。アクリル重合体は架橋性単量体としてヒドロキシ基を有する(メト)アクリレートは含めないことがある。
【0014】
一つの例示で、アクリル重合体は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体80重量部~99重量部および前記架橋性単量体1重量部~20重量部から誘導された重合単位を含むことができる。他の一つの例示で、アクリル重合体は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体90重量部~99重量部および前記架橋性単量体1重量部~10重量部から誘導された重合単位を含むことができる。このような範囲で粘着剤層は適切な架橋構造を具現することができる。
【0015】
アクリル重合体は、必要な場合、例えば、適切な物性の調節などのために他の任意の共単量体をさらに含むことができる。前記共単量体としては、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルまたはフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルなどのようなアルキレンオキシド基含有単量体;スチレンまたはメチルスチレンのようなスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートのようなグリシジル基含有単量体;またはビニルアセテートのようなカルボキシ酸ビニルエステルなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。このような共単量体は必要に応じて適正な種類が一種または二種以上選択されて重合体に含まれ得る。このような共単量体は、例えば、重合体内で重合単位として使われる他の化合物の全体重量対比20重量部以下、または0.1重量部~15重量部の割合で重合体に含まれ得る。
【0016】
アクリル重合体は、前述した単量体の中で必要な単量体を選択し、選択された単量体を目的とする割合で配合した単量体の混合物を溶液重合(solution polymerization)、光重合(photo polymerization)、塊状重合(bulk polymerization)、懸濁重合(suspension polymerization)または乳化重合(emulsion polymerization)のような重合方式に適用して製造することができる。
【0017】
粘着剤層は多官能性架橋剤(硬化剤)をさらに含むことができる。前記多官能性架橋剤は前記アクリル重合体と反応して架橋構造を具現することができる。本明細書で多官能性架橋剤は架橋性官能基を二個以上含む架橋剤を意味し得る。
【0018】
本出願で使われ得る具体的な架橋剤の種類は特に限定されず、アクリル重合体に含まれる架橋性官能基の種類を考慮して選択され得る。架橋剤としては、例えばイソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤および金属キレート架橋剤のような一般的な架橋剤を使うことができる。例えば、イソシアネート架橋剤を使用できるが、これに制限されるものではない。イソシアネート架橋剤の具体的な例としてはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートおよび前記のうちいずれか一つのポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応物からなる群から選択された一つ以上が挙げられ;エポキシ架橋剤の具体的な例としてはエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’-テトラグリシジルエチレンジアミンおよびグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選択された一つ以上が挙げられ;アジリジン架橋剤の具体的な例としてはN,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル-1-(2-メチルアジリジン)およびトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドからなる群から選択された一つ以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。また、前記で金属キレート架橋剤の具体的な例としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウムおよび/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0019】
架橋剤はアクリル重合体100重量部に対して0.01重量部~10重量部または0.01重量部~5重量部の量で含まれ得る。架橋剤の含量が0.01重量部未満であれば、粘着剤層の凝集力が落ちる恐れがあり、10重量部を超過すると、層間剥離や浮き現象が発生するなど耐久信頼性が低下する恐れがある。
【0020】
前記散乱粘着剤層は前記アクリル重合体と多官能性架橋剤の架橋反応によって形成される架橋構造を有することができる。前記粘着剤層はラジカル重合性化合物の重合反応によって形成される架橋構造は有さなくてもよい。これに伴い、前記粘着剤層は重合開始剤は含めないことがある。
【0021】
前記散乱粘着剤層は、必要な場合に前述した成分に追加で公知の帯電防止剤、シランカップリング剤、粘着性付与樹脂、エポキシ樹脂、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤および可塑剤からなる群から選択された一つ以上の添加剤をさらに含むことができる
前記散乱粘着剤層はビーズをさらに含むことができる。前記散乱粘着剤層の貯蔵弾性率および偏光板のヘイズはビーズを含んだ状態の粘着剤層の貯蔵弾性率および偏光板のヘイズを意味し得る。前記ビーズの屈折率は前記粘着性樹脂の屈折率と異なり得る。前記粘着剤層はビーズを含むことによって粘着剤層にヘイズを付与してOLED表示装置の製造上発生し得る虹ムラ視認性を改善することができる。
【0022】
一つの例示で、粘着性樹脂の屈折率(A)とビーズの屈折率(B)の差(A-B)は0.04以上であり得る。粘着性樹脂とビーズの屈折率差が大きいほどヘイズを具現するのに相対的にさらに有利であるので、少ない量でも高いヘイズを具現することができる。前記屈折率の差(A-B)の上限は例えば0.1以下であり得る。前記屈折率はAbbe屈折計を使って、25℃温度で波長が350nm~1450nmである光源に対して測定された値である。前記屈折率の差が過度に小さい場合、目的とする水準のヘイズの発現が難しく、前記屈折率の差が過度に大きい場合、直進する光の損失で光学特性が低下し得るため、屈折率の差は前記範囲内であることが適切であり得る。一つの例示で、前記ビーズの屈折率は1.415~1.425範囲内であり得る。
【0023】
ビーズの含量は本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択され得る。一つの例示で、ビーズは、散乱粘着剤層の全体成分の重量を100重量部とする時、1重量部~3重量部範囲内で含まれ得る。本明細書で散乱粘着剤層の全体成分の重量は散乱粘着剤に含まれるすべての粘着性樹脂、架橋剤、添加剤およびビーズの重量合計を意味し得る。または本明細書で散乱粘着剤層の全体成分の重量は粘着剤組成物から溶媒を除いたすべての成分の重量の和を意味し得る。より具体的には、ビーズは散乱粘着剤層の全体成分100重量部対比1重量部以上、1.2重量部以上、1.4重量部以上、1.5重量部以上、1.6重量部以上または1.8重量部以上で含まれ得、3重量部以下、2.8重量部以下、2.6重量部以下、2.4重量部以下または2.2重量部以下で含まれ得る。他の一つの例示で、ビーズは、粘着性樹脂100重量部に対して、2重量部以上で含まれ得る。具体的には、ビーズは粘着性樹脂100重量部に対して2.2重量部以上、2.4重量部以上、2.6重量部以上、2.8重量部以上、3.0重量部以上、3.2重量部以上、3.4重量部以上、3.6重量部以上、3.8重量部以上、4.0重量部以上、4.2重量部以上、4.4重量部以上、4.6重量部以上、4.8重量部以上、5.0重量部以上、5.2重量部以上、5.4重量部以上、5.6重量部以上、5.8重量部以上、6.0重量部以上、6.5重量部以上、7.0重量部以上、7.5重量部以上または8.0重量部以上で含まれ得、10重量部以下、9.5重量部以下、9重量部以下、8.5重量部以下、8重量部以下、7.5重量部以下、7重量部以下、6.5重量部以下、6重量部以下、5.5重量部以下、5重量部以下、4.5重量部以下、4重量部以下、3.5重量部、3.0重量部以下、2.5重量部以下または2.0重量部以下で含まれ得る。ビーズの含量が前記範囲内である場合、OLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示すのに有利であり得る。一方、ビーズの含量が過度に多い場合、付着工程時にカメラがビーズを認識して基準ラインを間違えて付着エラーが発生する可能性があるので、ビーズの含量を前記範囲内にするのが有利であり得る。
【0024】
一つの例示で、前記ビーズは有機ビーズであり得る。前記有機ビーズは例えばシリコン樹脂を含むことができる。前記シリコン樹脂は例えばシルセスキオキサンを含むことができる。前記シルセスキオキサンは[RSiO3/2]nの化学式を有する化合物であり得、R=H、アルキル、アリールまたはアルコキシであり得る。一つの例示で、前記シリコン樹脂はポリメチルシルセスキオキサンであり得る。
【0025】
一つの例示で、前記ビーズは球状粒子であり得る。ビーズの大きさは本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択され得る。一つの例示で、ビーズの平均粒径(D50)は6μm以下であり得る。前記ビーズの平均粒径(D50)は具体的には、5.8μm以下、5.6μm以下、5.4μm以下、5.2μm以下、5.0μm以下、4.8μm以下、4.6μm以下、4.4μm以下、4.2μm以下、4.0μm以下、3.8μm以下、3.6μm以下、3.4μm以下、3.2μm以下、3.0μm以下、2.9μm以下、2.8μm以下、2.7μm以下、2.6μm以下または2.5μm以下であり得る。ビーズの平均粒径(D50)は例えば1μm以上、1.5μm以上、2.0μm以上または2.2μm以上であり得る。ビーズの平均粒径が前記範囲内である場合、OLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示すのに有利であり得る。一方、スパークリング現象および/または付着工程時にカメラの認識エラーを防止するという側面でビーズの平均粒径(D50)は3μm以下、2.5μm以下または2.0μm以下であり得る。
【0026】
前記散乱粘着剤層の厚さは15μm~25μm範囲内であり得る。前記散乱粘着剤層の厚さは具体的には、16μm以上、17μm以上または18μm以上であり得、24μm以下、23μm以下または22μm以下であり得る。散乱粘着剤層の厚さが前記範囲内である場合、OLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示すのに有利であり得る。
【0027】
一つの例示で、前記散乱粘着剤層は800gfで1000秒の間測定したガラス押され距離が250μm以下であり得る。本明細書でガラス押され距離はガラス板に対する散乱粘着剤層の押され距離を意味し得る。前記散乱粘着剤層の押され距離は偏光板を散乱粘着剤層がガラス板に接触するように付着された後に測定された値であり得る。前記ガラス押され距離は具体的には、240μm以下、230μm以下、220μm以下または210μm以下であり得る。ガラス押され距離が低いほどサンプルの硬度が高いことを意味する。ビーズは粘着剤自体と化学的反応をしないために粘着剤層の硬度に影響を及ぼす可能性があり、硬度の低下が発生するのであれば粘着剤層の信頼性に影響を与え得る。粘着剤層の硬度が高い時外部変形に対する抵抗が大きいので粘着剤層の変形が最小化する長所がある。前記ガラス押され距離の下限は例えば150μm以上、160μm以上、170μm以上、180μm以上、190μm以上または200μm以上であり得る。散乱粘着剤層のガラス押され距離が前記範囲内である場合、OLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示すのに有利であり得る。
【0028】
本明細書で用語「偏光子」は偏光機能を有するフィルム、シートまたは素子を意味する。偏光子は種々の方向に振動する入射光から一方向に振動する光を抽出できる機能性素子である。
【0029】
前記偏光子は吸収型偏光子であり得る。本明細書で吸収型偏光子は入射光に対して選択的透過および吸収特性を示す素子を意味する。前記吸収型偏光子は種々の方向に振動する入射光からいずれか一方向に振動する光は透過し、残りの方向に振動する光は吸収することができる。
【0030】
前記偏光子は線偏光子であり得る。本明細書で線偏光子は選択的に透過する光がいずれか一つの方向に振動する線偏光であり、選択的に吸収する光が前記線偏光の振動方向と直交する方向に振動する線偏光である偏光子を意味する。
【0031】
前記偏光子としては、例えば、PVA延伸フィルムなどのような高分子延伸フィルムにヨードを染着した偏光子または配向された状態で重合された液晶をホストとし、前記液晶の配向に沿って配列された異方性染料をゲストとするゲスト-ホスト型偏光子を使用できるがこれに制限されるものではない。
【0032】
前記PVA系偏光子を形成するためのポリビニルアルコール樹脂またはその誘導体の種類は特に制限されず、以前からPVA系偏光子を形成できるものとして知られている任意のPVA樹脂またはその誘導体を特に制限なくすべて使うことができる。ただし、前記PVA系樹脂誘導体の代表的な例としては、ポリビニルホルマール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。追加として、前記PVA系偏光子は当該技術分野において偏光子の製造に一般的に使われるPVA系市販フィルム、例えば、クラレ社のP30、PE30、PE60、日本合成社のM2000、M3000,M6000等を使って形成してもよい。
【0033】
前記PVA系偏光子に含まれる樹脂は、例えば、重合度が1,000~10,000程度または1,500~5,000範囲内であり得る。重合度が前記範囲内である場合、分子の動きが自由であり、ヨウ素または二色性染料などと柔軟に混合されるのに有利であり得る。
【0034】
本出願の一実施例によると、前記偏光子としてはPVA延伸フィルムを使うことができる。前記偏光子の透過率乃至偏光度は本出願の目的を考慮して適切に調節され得る。例えば前記偏光子の透過率は42.5%~55%であり得、偏光度は65%~99.9997%であり得る。前記透過率および偏光度は約550nm波長の光に対して測定された値であり得る。
【0035】
一つの例示で、前記偏光子の一面または両面に存在する偏光子の保護フィルムをさらに含むことができる。前記保護フィルムは接着剤層を媒介に偏光子に付着され得る。
【0036】
前記偏光子の保護フィルムとしてはトリアセチルセルロース(TAC)系フィルム、環状オレフィン系重合体(COP)フィルム、環状オレフィン系共重合体(COC)フィルムまたはアクリル系フィルムを使うことができる。このような偏光子の保護フィルムは表示装置の優秀な視認性および光学特性などを考慮して、光透過率が85%~100%となる高い透明性を示すことが好ましい。
【0037】
前記偏光板は表面処理層をさらに含むことができる。前記表面処理層は偏光子の保護フィルムの一面に形成され得る。具体的には、前記表面処理層は偏光子の散乱粘着剤層が形成された反対面に位置する偏光子の保護フィルムの一面に形成され得る。前記表面処理層としては例えばハードコーティング層、低反射層、眩しさ防止層、指紋防止層などを例示できるがこれに制限されるものではない。前記表面処理層は偏光板の最外郭に配置され得る。
【0038】
前記偏光子の保護フィルムの厚さは20μm~100μm範囲内であり得る。偏光子の保護フィルムの厚さが前記範囲を満足する場合、偏光子を保護できる機械的強度を確保するとともに、ロール(roll)工程作業性を確保できる効果がある。
【0039】
前記偏光子と保護フィルムを付着する接着剤層の造成や形成方法は特に制限されず、以前から偏光子と、保護フィルムを接着するために使われた任意の造成などを適用して接着剤層を形成することができる。一つの例示で前記接着剤層は紫外線(UV)接着剤であり得る。また、前記接着剤層の厚さは0.5μm~4.0μm範囲内であり得、前記接着剤層の厚さがこのような範囲を満足することによって良好なコーティング均一性を確保できる。
【0040】
前記偏光板は偏光子と散乱粘着剤層の間に位相差層をさらに含むことができる。前記位相差層は例えば液晶層または延伸高分子層であり得る。液晶層は重合性液晶化合物を重合された状態で含むことができる。本明細書で用語「重合性液晶化合物」は、液晶性を示すことができる部位、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、また、重合性官能基を一つ以上含む化合物を意味し得る。重合性官能基は例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であり得る。延伸高分子層としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリノルボルネンなどの環状オレフィンポリマー(COP:Cycloolefin polymer)、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアルコールまたはTAC(Triacetyl cellulose)等のセルロースエステル系ポリマーや前記ポリマーを形成する単量体の中で2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を使うことができる。
【0041】
前記位相差層は例えば1/4波長位相遅延特性を有することができる。本明細書で用語n波長位相遅延特性は、少なくとも一部の波長範囲内で、入射光をその入射光の波長のn倍だけ位相遅延させ得る特性を意味する。1/4波長位相遅延特性は、入射した線偏光を楕円偏光または円偏光に変換させ、その反対に入射した楕円偏光または円偏光を線偏光に変換させる特性であり得る。一つの例示で位相差層は、550nmの波長の光に対する面相位相差が90nm~300nmの範囲内であり得る。前記面相位相差は他の例示で100nm以上、105nm以上、110nm以上、115nm以上、120nm以上、125nm以上または130nm以上であり得る。また、前記面相位相差は290nm以下、280nm以下、270nm以下、260nm以下、250nm以下、240nm以下、230nm以下、220nm以下、210nm以下、200nm以下、190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下または145nm以下であり得る。
【0042】
前記偏光板は偏光子と散乱粘着剤層の間にハード層(Hard layer)をさらに含むことができる。前記ハード層としては接着剤層を例示することができる。前記接着剤層としては紫外線(UV)硬化型接着剤層を使うことができる。また、前記接着剤層の厚さは0.5μm~4.0μmとなり得、前記接着剤層の厚さがこのような範囲を満足することによって良好なコーティング均一性を確保できる。
【0043】
図1~
図3は、それぞれ本出願の偏光板の構造を例示的に示す。
図1に示した通り、偏光板は散乱粘着剤層100、位相差層200、偏光子の保護フィルム300、偏光子400、偏光子の保護フィルム500および表面処理層600を順に含むことができる。または
図2に示した通り、偏光板は散乱粘着剤層100、偏光子の保護フィルム300、偏光子400、偏光子の保護フィルム500および表面処理層600を順に含むことができる。または
図3に示した通り、散乱粘着剤層100、ハード層700、偏光子400、偏光子の保護フィルム500および表面処理層600を順に含むことができる。
【0044】
偏光板は散乱粘着剤層の一面に離型フィルムが付着された状態で提供され得、ディスプレイパネルに粘着される時にこのような離型フィルムが除去され得る。前記離型フィルムは偏光板がディスプレイパネルに接着される前まで散乱粘着剤層を保護する役割をすることができる。離型フィルムは当該技術分野に広く知られている離型フィルム、例えばアクリルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルムなどが使われ得るが、これにのみ限定されるものではない。
【0045】
本出願はまた、OLED表示装置に関する。前記OLED表示装置はOLED表示パネルおよび前記OLED表示パネルの一面に配置された前記偏光板を含むことができる。この時、偏光板の散乱粘着剤層の一面はOLED表示パネルに直接接していてもよい。前記偏光板はOLED表示パネルの視認側に配置され得る。本出願の偏光板をOLED表示装置に適用する場合、OLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示すのに有利であり得る。
【0046】
前記OLED表示パネルは基板、下部電極、有機発光層および上部電極を順に含むことができる。有機発光層は下部電極と上部電極に電圧が印加された時に光を発することができる有機物質を含むことができる。前記下部電極と上部電極のうちいずれか一つは正極(anode)であり他の一つは負極(cathode)であり得る。正極は正孔(hole)が注入される電極であって、仕事関数(work function)が高い導電物質で作られ得、負極は電子が注入される電極であって、仕事関数が低い導電物質で作られ得る。通常正極としては仕事関数が大きいITOまたはIZOのような透明金属酸化物層を使うことができ、負極としては仕事関数が低い金属電極を使うことができる。一般的に有機発光層は透明であるので、上部および下部電極を透明にする場合、透明ディスプレイを具現することができる。一つの例示で、前記金属電極の厚さを非常に薄くする場合、透明なディスプレイを具現することができる。
【0047】
前記OLED表示パネルは上部電極上に外部から水分および/または酸素が流入することを防止する機能をする封止基板をさらに含むことができる。下部電極と有機発光層間および上部電極と有機発光層間には付帯層をさらに含むことができる。付帯層は電子と正孔のバランスを取るための正孔伝達層(hole transporting layer)、正孔注入層(hole injecting layer)、電子注入層(electron injecting layer)および電子伝達層(electron transporting layer)を含むことができるがこれに限定されるものではない。
【0048】
前記偏光板はOLED表示パネルで光が出る側(光出射側)に配置され得る。例えばベース基板側に光が出る背面発光(bottom emission)構造である場合はベース基板の外側に配置され得、封止基板側に光が出る前面発光(top emission)構造である場合には封止基板の外側に配置され得る。偏光板が位相差層を含む場合、外光がOLEDパネルの電極および配線などのように金属で作られた反射層によって反射してOLEDパネルの外側に出ることを防止することによって視認性と表示装置の性能を改善することができる。
【発明の効果】
【0049】
本出願は偏光板およびその用途に関する。本出願はOLED表示装置の外観で虹ムラが発生する問題を改善し、優秀な視感、優秀な硬度、優秀な耐熱および耐湿熱耐久性を示し得る偏光板および前記偏光板を含むOLED表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本出願に係る実施例および本出願に従わない比較例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記に提示された実施例によって制限されるものではない。
【0052】
実施例1
アクリル重合体(LC-6BB、Soken)100重量部、硬化剤(T-743L、Soken)0.01重量部、硬化剤(T-706BB、Soken)0.45重量部、シランカップリング剤(T-789J、Soken)0.02重量部、帯電防止剤(FC4400、3M)0.29重量部およびビーズ(Tospearl 145、モメンティブ)4.0重量部を反応容器に投入した後、溶剤(Ethyl acetate)をアクリル重合体(LC-6BB)100重量部対比20重量部投入して粘着剤組成物を準備した。アクリル重合体はBA(butyl acrylate)94重量部およびAA(acrylic acid)4重量部の重合体である。ビーズはシリコン樹脂を含み、平均粒径(D50)が約4.5μmである球状粒子である。アクリル重合体の屈折率は1.46であり、ビーズの屈折率は1.42である。前記屈折率はAbbe屈折計を使って、25℃温度で波長が350nm~1450nmである光源に対して測定された値である。
【0053】
粘着剤組成物をミキサー(Stirrer)で50分の間配合した後、厚さが38μmである第1離型フィルム(MRP38、三菱プラスチック)に乾燥後厚さが約22μmとなるように塗工し、80℃温度で3分の間乾燥して散乱粘着剤層を形成した。第1離型フィルムに形成された散乱粘着剤層上に第1離型フィルムと剥離力が異なる厚さが38μmである第2離型フィルム(MRP38、三菱プラスチック)を積層して粘着フィルムを製造した。
【0054】
厚さが25μmである偏光子(ヨウ素染着されたPVA系延伸フィルム)の一面に厚さが65μmである第1保護フィルム(TACフィルム)を積層し、偏光子の他の一面に厚さが45μmである第2保護フィルム(TACフィルム)を積層した。第1保護フィルムの一面に380nm~780nm波長に対する平均反射率が約2%である低反射層を形成して表面処理した。第2保護フィルムの一面に1/4波長板(液晶層)を形成した。前記粘着フィルムから第2離型フィルムを除去した後、散乱粘着剤層が1/4波長板に付着されるように積層して偏光板を製造した。
【0055】
実施例2
ビーズの含量を2重量部に変更したことを除いては実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0056】
実施例3
ビーズの含量を7重量部に変更したことを除いては実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0057】
実施例4
アクリル重合体(LC-6BB、Soken)100重量部、硬化剤(T-743L、Soken)0.005重量部、硬化剤(T-706BB、Soken)2.02重量部、シランカップリング剤(T-789J、Soken)0.10重量部、帯電防止剤(FC4400、3M)2.00重量部およびビーズ(TSR、モメンティブ)4.5重量部を反応容器に投入した後、溶剤(Ethyl acetate)を投入して粘着剤組成物を準備した。アクリル重合体はBA(butyl acrylate)94重量部およびAA(acrylic acid)4重量部の重合体である。ビーズはシリコン樹脂を含み、平均粒径(D50)が2.2~2.5μmである球状粒子である。アクリル重合体の屈折率は1.46であり、ビーズの屈折率は1.42である。前記屈折率はAbbe屈折計を使って、25℃温度で波長が350nm~1450nmである光源に対して測定された値である。
【0058】
粘着剤組成物をミキサー(Stirrer)で50分の間配合した後、厚さが38μmである第1離型フィルム(MRP38、三菱プラスチック)に乾燥後厚さが約22μmとなるように塗工し、80℃温度で3分の間乾燥して散乱粘着剤層を形成した。第1離型フィルムに形成された散乱粘着剤層上に第1離型フィルムと剥離力が異なる厚さが38μmである第2離型フィルム(MRP38、三菱プラスチック)を積層して粘着フィルムを製造した。
【0059】
厚さが25μmである偏光子(ヨウ素染着されたPVA系延伸フィルム)の一面に厚さが65μmである第1保護フィルム(TACフィルム)を積層し、偏光子の他の一面に厚さが45μmである第2保護フィルム(TACフィルム)を積層した。第1保護フィルムの一面に380nm~780nm波長に対する平均反射率が約2%である低反射層を形成して表面処理した。第2保護フィルムの一面に1/4波長板(液晶層)を形成した。前記粘着フィルムから第2離型フィルムを除去した後、散乱粘着剤層が1/4波長板に付着されるように積層して偏光板を製造した。
【0060】
実施例5
ビーズの含量を6.0重量部に変更したことを除いては実施例4と同じ方法で偏光板を製造した。
【0061】
実施例6
ビーズの含量を7.0重量部に変更したことを除いては実施例4と同じ方法で偏光板を製造した。
【0062】
実施例7
ビーズを平均粒径(D50)が約4.5μmであり、屈折率が1.42である球状粒子(Tospearl 145、モメンティブ)に変更し、ビーズの含量を5.0重量部に変更したことを除いては実施例4と同じ方法で偏光板を製造した。
【0063】
実施例8
ビーズを平均粒径(D50)が約4.5μmであり、屈折率が1.42である球状粒子(Tospearl 145、モメンティブ)に変更し、ビーズの含量を8.0重量部に変更したことを除いては実施例4と同じ方法で偏光板を製造した。
【0064】
比較例1
ビーズを添加しないことを除いては実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0065】
比較例2
アクリル重合体(AD-701、LG化学)100重量部重量部、硬化剤(T-39、Soken)0.04重量部、シランカップリング剤(T-789J、Soken)0.06重量部および帯電防止剤(HQ115、3M)0.27重量部を反応容器に投入した後、溶剤(Ethyl acetate)をアクリル重合体(AD-701)100重量部対比20重量部投入して粘着剤組成物を準備した。アクリル重合体はBA(butyl acrylate)99重量部および4-HBA(4-hydroxybutyl acrylate)1重量部の重合体である。アクリル重合体の屈折率は1.468である。前記屈折率はAbbe屈折計を使って、25℃温度で波長が350nm~1450nmである光源に対して測定された値である。
【0066】
粘着剤組成物をミキサー(Stirrer)で50分の間配合した後、厚さが38μmである第1離型フィルム(MRP38、三菱プラスチック)に乾燥後厚さが約22μmとなるように塗工し、80℃温度で3分の間乾燥して散乱粘着剤層を形成した。第1離型フィルムに形成された散乱粘着剤層上に第1離型フィルムと剥離力が異なる厚さが38μmである第2離型フィルム(MRP38、三菱プラスチック)を積層して粘着フィルムを製造した。
【0067】
厚さが25μmである偏光子(ヨウ素染着されたPVA系延伸フィルム)の一面に厚さが65μmである第1保護フィルム(TACフィルム)を積層し、偏光子の他の一面に厚さが45μmである第2保護フィルム(TACフィルム)を積層した。第1保護フィルムの一面に380nm~780nm波長に対する平均反射率が約2%である低反射層を形成して表面処理した。第2保護フィルムの一面に1/4波長板(液晶層)を形成した。前記製造された粘着フィルムから第2離型フィルムを除去した後、散乱粘着剤層が1/4波長板に付着されるように積層して偏光板を製造した。
【0068】
比較例3
ビーズを4重量部さらに添加したことを除いては比較例2と同じ方法で偏光板を製造した。ビーズはシリコン樹脂を含み、平均粒径(D50)が約4.5μmである球状粒子である。また、ビーズの屈折率は1.42である。前記屈折率はAbbe屈折計を使って、25℃温度で波長が350nm~1450nmである光源に対して測定された値である。
【0069】
比較例4
ビーズを添加しないことを除いては実施例4と同じ方法で偏光板を製造した。
【0070】
比較例5
ビーズを平均粒径(D50)が約4.5μmである球状粒子(Tospearl 145、モメンティブ)に変更し、ビーズの含量を2.0重量部に変更したことを除いては実施例4と同じ方法で偏光板を製造した。前記ビーズ(Tospearl 145、モメンティブ)はシリコン樹脂を含み、屈折率が1.42である。
【0071】
比較例6
ビーズの含量を1.5重量部に変更したことを除いては実施例4と同じ方法で偏光板を製造した。
【0072】
実施例1~8および比較例1~6に対して貯蔵弾性率およびヘイズを測定した後、その結果を表1に記載した。
【0073】
測定例1.ヘイズ測定
偏光板を横×縦=5cm×5cmサイズに裁断してサンプルを製造した後、ヘイズメータ(HM-150、Murakami color research laboratory)を使って、25℃でヘイズを測定した。前記ヘイズは380nm~780nm波長の光に対して測定された値である。
【0074】
測定例2.貯蔵弾性率測定
散乱粘着剤層を折り畳んで16層に積層し、横×縦=15cm×20cmサイズとなるようにサンプルを製造した後、ARES-G2(TA Instruments)装備を利用して、25℃温度およびストレーン50%条件で保存弾性率を測定し、周波数1rad/secの値を抽出した。
【0075】
【0076】
実施例1~8および比較例1~6に対して、ガラス押され距離、ムラ発生の有無、耐熱信頼性および耐湿熱信頼性を評価し、その結果を表2に記載した。
【0077】
測定例3.ガラス押され距離(Creep)測定
偏光板を横x縦が10mm×100mmであるサイズに裁断した。偏光板から第1離型フィルムを剥離した後、横×縦×厚さが30mm×40mm×0.8mmであるガラス板(ソーダライムガラス)の中央の横×縦が10mm×10mmの領域に、前記偏光板の粘着剤層がガラス板に接触するように付着して試片を製造した。前記試片を50℃および5気圧で15分の間脱泡した後、押され距離を測定した。具体的には、Texture analyzer(Stable micro system、XT plus)に試片をローディングして偏光板部分とガラス板部分を固定した。800gfの力で1000秒の間一方向に偏光板を引っ張った時に偏光板がガラス基板から押される距離(単位:μm)を測定した。一般的に1000秒内でsaturation(押され距離がそれ以上増加せずに均一に出る状態)され、本実験では最終1000秒での押され距離を測定して下記の表2に記載した。ガラス押され距離が低いほどサンプルの硬度が高いことを意味する。
【0078】
評価例1.ムラ発生の有無
偏光板をA4サイズに裁断した後、偏光板から第1離型フィルムを除去した後、OLEDパネル(Micro lens array OLED、LGD)に付着し、OLEDパネルを作動させた後、ムラ発生の有無を目視で観察した。
【0079】
評価例2.耐熱信頼性および耐湿熱信頼性評価
偏光板を横×縦=160mm×90mmに裁断した後、A4サイズのガラス板(ソーダライムガラス)に付着し脱泡することによってサンプルを製造した。前記サンプルを耐熱信頼性(温度80℃)および耐湿熱信頼性(温度60℃、相対湿度90%)条件で維持されるチャンバに投入した後、500時間維持した。サンプルに気泡発生の有無を観察した後、下記の基準で信頼性を評価した。
【0080】
◎:気泡未発生
〇:気泡5個未満
△:気泡5個以上
×:偏光板浮き発生
【0081】
【0082】
実施例4~8および比較例4~6に対して、スパークリング現象およびカメラ認識評価をして評価し、その結果を表3に記載した。
【0083】
評価例3.スパークリング現象評価
偏光板をA4サイズに裁断した後、偏光板から第1離型フィルムを除去した後、緑色ベースのモニターに付着した後に常温の暗室環境でスパークリング(ギラツキ)現象があるかをか目視観察した。スパークリング現象の程度により等級を下記のように評価した。
【0084】
Lv0:スパークリング現象なし
Lv1:スパークリング現象微弱
Lv2:スパークリング現象弱
Lv3:スパークリング現象中
Lv4:スパークリング現象中強
Lv5:スパークリング現象強
評価例4.カメラ認識評価
偏光板をA4サイズに裁断した後、偏光板で離型フィルム面に赤い色の任意の線を引き、光学顕微鏡(×50倍率)で前記線を基準として周辺にビーズの分布を観察した。ビーズの分布が高い場合、付着工程時にカメラがビーズを認識して基準ラインを間違えて付着エラーが発生する可能性がある。
【0085】
【符号の説明】
【0086】
100:散乱粘着剤層
200:位相差層
300:偏光子の保護フィルム
400:偏光子
500:偏光子の保護フィルム
600:表面処理層
700:ハード層
【国際調査報告】