(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】試料を測定するための方法および本方法を実施する顕微鏡
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522255
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2022076232
(87)【国際公開番号】W WO2023061712
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】フォカ オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】アヴィシャイ アミール
(72)【発明者】
【氏名】クロチコフ ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】コルブ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン イェンス ティモ
(72)【発明者】
【氏名】リー クムシル
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AA02
4M106BA02
4M106DB05
4M106DH24
4M106DH33
4M106DJ19
(57)【要約】
本発明は、顕微鏡を用いて試料(100)を測定するための方法(200)に関し、方法は、試料(100)の傾斜(131、132)を測定するステップ(S210)と、傾斜(131、132)に基づいて試料(100)の向きを補正するステップ(S220)と、試料を走査するステップ(S230)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡を用いて試料(100)を測定するための方法(200、300、500、1000)であって、
前記試料(100)の傾斜(131、132)を測定するステップ(S210、S710、S810)と、
前記傾斜(131、132)に基づいて前記試料(100)の向きを補正するステップ(S220)と、
前記試料を走査するステップ(S230、S930)と
を含む、方法(200、300、500、1000)。
【請求項2】
前記傾斜(131、132)が所定の間隔内に入るか否かをチェックするステップ(S340)をさらに含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
顕微鏡を用いて試料(100)を測定するための方法(400、500、1000)であって、
前記試料(100)の傾斜(131、132)を測定するステップ(S210、S710、S810)と、
前記試料を走査するステップ(S230、S930)と、
前記傾斜(131、132)に基づいて、走査像(S230、S930)からのボリューム再構築を補正するステップ(S450)と
を含む、方法(400、500、1000)。
【請求項4】
顕微鏡を用いて試料(100)を測定するための方法(200、300、500、1000)であって、
前記試料(100)の傾斜(131、132)を測定するステップ(S210、S710、S810)と、
前記傾斜(131、132)に基づいて走査面を補正するステップと、
前記試料を走査するステップ(S230、S930)と
を含む、方法(200、300、500、1000)。
【請求項5】
前記傾斜(131、132)は、前記試料(100)の所定の表面および所定の平面によって形成される角度を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項6】
前記所定の表面は、上面(101)、水平層(107A~107N)、側面(104、105)、底面(106)のいずれかであり、前記所定の平面は、前記顕微鏡の走査面である、請求項5に記載の方法(200、300、400、500)。
【請求項7】
前記所定の表面は、上面(101)、水平層(107A~107N)、側面(104、105)、底面(106)のいずれかであり、前記所定の平面は、水平面(XZ)である、請求項5に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項8】
前記測定ステップ(S210、S710、S810)は、ビームを前記試料(100)上に集束させ、結果もたらされる焦点距離を測定することによって実行される、請求項1~7のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項9】
前記ビームは、前記走査ステップ(S230、S930)にも使用される走査ビーム(120)である、請求項8に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項10】
焦点は、集束マーカ(240)へと方向付けられる、請求項8または9に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項11】
1つまたは複数の集束マーカ(240)を実現するステップ(S560)をさらに含む、請求項8~10のいずれかに記載の方法(500)。
【請求項12】
前記測定ステップ(S210、S710、S810)は、ビーム(651)を前記試料(100)上で反射させることによって実行される、請求項1~7のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項13】
前記測定ステップ(S210、S710、S810)は、前記試料(100)の少なくとも3つの点を測定することを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項14】
前記測定点を、前記傾斜(131、132)を識別する平面に適合させるステップ(S712)をさらに含む、請求項13に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項15】
前記測定ステップ(S710)は、
前記試料(100)の所定数の点を測定するステップ(S711)、
前記測定点を、平面に適合させるステップ(S712)
を含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項16】
前記測定ステップ(S810)は、
前記試料(100)の複数の点を測定するステップ(S711)、
所定の閾値に基づいて前記測定点のうちの1つまたは複数を除去するステップ(S812)、
前記測定点を、前記除去された点を除いて、平面に適合させるステップ(S712)
を含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項17】
前記走査ステップ(S930)は、
前記試料(100)の上面(101)の少なくとも一部分を除去するステップ(S931)と、
前記試料(100)を走査するステップ(S932)と
を含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項18】
前記試料(100)中の垂直構造(102A~102N)を測定するステップ(S1060)をさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法(1000)。
【請求項19】
前記試料(100)は、半導体ウェハまたは前記半導体ウェハの一部分である、請求項1~18のいずれかに記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項20】
顕微鏡(1100)であって、
プロセッサ(1170)と、
メモリ(1171)と
を備え、
前記メモリ(1171)は、前記プロセッサ(1170)に、請求項1~19のいずれかに記載の方法(200、300、400、400、500、1000)を実行するように前記顕微鏡(1100)を制御させるように構成されている命令を記憶している、顕微鏡(1100)。
【請求項21】
プロセッサ(1170)によって実行されると、前記プロセッサ(1170)に、請求項1~19のいずれかに記載の方法(200、400、400、500)を実行するように顕微鏡(1100)を制御させるように構成されている命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の本発明は、概して、顕微鏡を用いて試料を測定するための方法および上記方法を実施する顕微鏡に関する。より詳細には、本方法は、試料の位置付けの傾きが補償または補正されることを可能にする。
【0002】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願17/501,238号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
様々な技術分野において、試料を、その表面上だけでなく、その垂直深さ全体を通じても調査することが必要であることが多い。場合によっては、これは、試料を通して見ることを可能にする結像デバイスによって可能である。場合によっては、これは、例えば、試料の複雑度およびその材料に起因して可能でない。
【0004】
一例として、垂直構造が実施される半導体デバイスが知られている。構造は、例えば、いわゆる高アスペクト比(HAR)構造構成の垂直接続またはキャパシタアレイとすることができる。多くの場合、それらの構造がそれらの垂直方向に沿ってどのように展開するかを調査することに関心が寄せられる。
【0005】
図1Aは、そのような構造の一例を示す。特に、
図1Aは、例えば、半導体ウェハの一部分とすることができる、試料100Aの断面を概略的に示す。試料100Aには、通常は実質的に平坦である上面101が設けられている。1つまたは複数のチャネル102A~102Nが、試料内に実施される。チャネル102A~102Nは、図示のように、後続の測定のためにエッチングして空のままにするか、または、1つまたは複数の様々な層を充填することができる。そのような深く狭いチャネルを実現するとき、ウェハ全体にわたってそれらの垂直方向の向きを制御することは困難である。
【0006】
試料100Aの他の機能的要素は、表現を明確にするために図示されていないことが理解されよう。例えば、試料100Aは、トランジスタ、抵抗またはキャパシタなどの様々な電子構成要素を実施する複数の水平層107A~107Nを含むことができる。チャネル102A~102Nの1つの例示的な機能は、例えば、導電性材料を充填され、そのような層107A~107Nのうちの2つ以上の間の相互接続を提供することができる。したがって、チャネルの向きが、それに限定されないが通常はウェハ表面に垂直である、意図されている配向に十分な精度で一致することが重要である。そうでなければ、上記の例示的な機能を参照すると、上方または下方の機能ユニットへの必要とされる接触を正しく確立することができない。別の例として、チャネルは、キャパシタプレートを実施するために使用される場合があり、その結果、チャネルの不整合が、所望の値と異なる静電容量をもたらす可能性がある。
【0007】
したがって、チャネル102A~102Nの向きを制御することは、重要であり、製造されるデバイスの歩留まりに対する劇的な因果関係を有する。チャネル102A~102Nが長くなるほど、それらの特性を正確に制御することがより重要になる。
【0008】
例えば、
図1Bは、チャネル102A~102Nが垂直方向Yに対して角度103を成して存在している、試料100Bの断面を概略的に示す。製造プロセスをより正確に制御および/または補正するために、製造元は、
図1Aの状況または
図1Bの状況が、それらのプロセスから生じるか否かを知りたいと考えている。角度103は垂直方向Yに対して示されているが、試料100の上面101は、例えば、ウェハ表面である場合がある。場合によっては、この表面は基準面と考えることができ、それに対するチャネル傾斜を、以下に説明する方法を用いて測定することができる。
【0009】
したがって、そのようなチャネル102A~102Nの垂直展開を評価するための方法が開発されている。
図1Cに概略的に示すように、試料100Bの上面101の少なくとも一部分は、エッチングまたはフライス加工手段110を使用することによって除去することができる。エッチングまたはフライス加工手段110は、例えば、集束イオンビームFIBなどの、任意の既知のタイプのエッチングまたはフライス加工デバイスとすることができる。次いで、試料100Bの新たに露出した上面を、例えば、走査型電子顕微鏡SEM、ヘリウムイオン顕微鏡HIM、または一般的に荷電粒子顕微鏡の電子ビームなどの、走査手段120によって走査することができる。また代替的に、または加えて、原子間力顕微鏡AFMのチップ、または、より一般的に試料の表面を走査することが可能な任意の既知のタイプの走査手段を、走査手段に使用することができる。フライス加工は、
図1Cにおいて上面101に実質的に平行であるように示されているが、本発明はこれに限定されず、フライス加工がそれに沿って実行される平面は、上面101に対して斜めにすることができる。
【0010】
フライス加工および走査手順を繰り返すことによって、試料100Bの様々な垂直ロケーションにおける様々な像を段階的に得ることが可能である。それらの像に基づいてモデルを再構築することによって、チャネル102A~102Nの垂直展開を決定することが可能である。
【0011】
しかしながら、正しい測定を保証するためには、試料100が正確に位置付けられることが必要である。例えば、
図1Dに見られるように、チャネル102A~102Nが実質的に垂直方向に位置整合されている試料100Aを、例えば、塵芥粒子130の存在に起因して、その上面101が垂直面Xに対して角度132を呈した状態で位置付けることができる。
【0012】
これが考慮に入れられない場合に、上述したフライス加工および走査方法を実行すると、
図1Dの状況が生じ、走査およびフライス加工方法からの再構築モデルが、チャネル102A~102Nが垂直方向に対して角度131を呈することを示すことになる。
【発明の概要】
【0013】
したがって、顕微鏡が、像試料100の正しいボリューム再構築を可能にするために、
図1Dの状況を検出することを可能にするための方法を提供することが必要とされている。
【0014】
この必要は、独立請求項の特徴によって満たされる。従属請求項の特徴は、さらなる実施形態を規定する。
【0015】
本発明は、一般に、試料の向きの傾斜を検出することができ、必要に応じて、傾斜を補正することができるという概念に基づく。例えば、試料を走査する前に試料の位置に対する補正を行うことができ、または、試料を走査することができ、その後、傾斜を考慮に入れることによって、断面像からのボリューム再構築を補正することができる。また代替的に、傾斜を考慮に入れることによって補正された平面に沿って、試料をエッチングおよび/または走査することができる。
【0016】
一態様は、特に、顕微鏡を用いて試料を測定するための方法に関し、方法は、試料の傾斜131、132を測定するステップと、傾斜に基づいて試料の向きを補正するステップと、試料を走査するステップとを含む。
【0017】
この構成によって、有利には、試料の位置を補正して測定傾斜を補償することが可能である。
【0018】
いくつかの実施態様において、本方法は、傾斜が所定の間隔内に入るか否かをチェックするステップをさらに含むことができる。
【0019】
この構成によって、有利には、補正が必要ないときは試料の位置の補正を回避することが可能であり、ならびに/または、以前の補正が十分でなかった場合に、および/もしくは、段階的な補正方法を実施するために、試料の位置を補正し続けることが可能である。
【0020】
一態様は、さらに、顕微鏡を用いて試料を測定するための方法に関し、方法は、試料の傾斜を測定するステップと、試料を走査するステップと、傾斜に基づいて走査像からのボリューム再構築を補正するステップとを含む。
【0021】
この構成によって、有利には、傾斜を考慮に入れてボリューム再構築によって作成される試料のモデルを補正することが可能であり、その結果、例えば、3Dモデルなどの試料のボリュームモデルは、傾斜の影響を受けない。
【0022】
一態様は、さらに、顕微鏡を用いて試料を測定するための方法に関し、方法は、試料の傾斜を測定するステップと、傾斜に基づいて走査平面を補正するステップと、試料を走査するステップとを含む。
【0023】
この構成によって、有利には、例えば、傾斜に平行な平面など、傾斜に基づいて計算される平面に沿って試料を測定することが可能であり、その結果、走査からもたらされる像は、傾斜について補正されている。
【0024】
いくつかの実施態様において、傾斜は、少なくとも、試料の所定の表面および所定の平面によって形成される角度を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施態様において、所定の表面は、上面、水平層、側面、底面のいずれかとすることができ、所定の平面は、顕微鏡の走査面とすることができる。
【0026】
この構成によって、有利には、基準としての顕微鏡の走査面に対して、複数の表面に関する傾斜を測定することが可能である。これによって、後続の走査が、前述したように傾斜について補正しながら走査面に沿って実施されることが可能である。
【0027】
いくつかの実施態様において、所定の表面は、上面、水平層、側面、底面のいずれかとすることができ、所定の平面は、水平面XZとすることができる。
【0028】
この構成によって、有利には、基準としての水平面に対して、複数の表面に関する傾斜を測定することが可能である。これによって、水平面を、試料の位置付けに好都合に使用することが可能である。
【0029】
いくつかの実施態様において、測定ステップは、ビームを試料上に集束させ、結果もたらされる焦点距離を測定することによって実行することができる。
【0030】
この構成によって、有利には、測定ステップを容易かつ正確に実行することが可能である。
【0031】
いくつかの実施態様において、ビームは、走査ステップにも使用される走査ビームとすることができる。
【0032】
この構成によって、有利には、複数のステップのために顕微鏡内で同じビームを使用することが可能である。
【0033】
いくつかの実施態様において、焦点は、集束マーカへと方向付けることができる。
【0034】
この構成によって、有利には、マーカの特性を適切に選択することによって、集束を改善することが可能である。その上、マーカの位置は、試料の所定のロケーションにおいて測定ステップを達成するように選択することもできる。
【0035】
いくつかの実施態様において、本方法は、1つまたは複数の集束マーカを実現するステップをさらに含むことができる。
【0036】
この構成によって、有利には、試料上の選択されたロケーションにおいてマーカを実現することが可能である。それらのロケーションの位置の知識は、有利には、測定ステップにおいて使用することができる。
【0037】
いくつかの実施態様において、測定ステップは、ビームを試料上に反射させることによって実行することができる。
【0038】
この構成によって、有利には、試料の位置を容易かつ確実に測定することが可能である。その上、反射したビームを受信する検出器は、試料がいつ所定の位置にあるかを直接的に指示するように構成することができ、したがって、段階的な補正によって、試料を所定の位置へと位置付けることが可能であり、これには、試料の位置の値を正確に測定する必要はない。
【0039】
いくつかの実施態様において、測定ステップは、試料の少なくとも3つの点を測定することを含むことができる。
【0040】
この構成によって、有利には、傾斜に対応する平面を検出することが可能であり、平面は、3つの点によって識別される。
【0041】
いくつかの実施態様において、本方法は、測定点を、傾斜を識別する平面に適合させるステップをさらに含むことができる。
【0042】
この構成によって、傾斜面は、適合からもたらされる平面によって識別することができる。
【0043】
いくつかの実施態様において、測定ステップは、試料の所定数の点を測定するステップ、測定点を平面に適合させるステップを含むことができる。
【0044】
この構成によって、有利には、1つまたは複数の誤って測定点からもたらされる誤差を低減することが可能である。
【0045】
いくつかの実施態様において、測定ステップは、試料の複数の点を測定するステップと、所定の閾値に基づいて、測定点のうちの1つまたは複数を除去するステップと、測定点を、除去された点を除いて、平面に適合させるステップとを含むことができる。
【0046】
この構成によって、有利には、誤った測定からもたらされる点を除去し、したがって、傾斜の測定の精度を増大させることが可能である。
【0047】
いくつかの実施態様において、走査ステップは、試料の上面の少なくとも一部分を除去するステップと、試料を走査するステップとを含むことができる。
【0048】
この構成によって、有利には、試料を複数の異なる高さにおいて段階的に走査することが可能であり、したがって、試料のモデルの、その深さまたは垂直方向に沿った後続の再構築が可能になる。
【0049】
いくつかの実施態様において、本方法は、試料中の垂直構造を測定するステップをさらに含むことができる。
【0050】
この構成によって、有利には、試料中の垂直構造が、傾斜によって誤差が導入されることなく、期待される通りに向けられるか否かを判定することが可能である。
【0051】
いくつかの実施態様において、試料は、半導体ウェハ、またはその一部分とすることができる。
【0052】
この構成によって、有利には、好ましくは半導体ウェハ、またはクーポンなどのその部分などの、半導体ウェハ中の垂直構造の展開を測定することが可能である。
【0053】
一態様は、さらに、プロセッサと、メモリとを備える顕微鏡に関連することができ、メモリは、プロセッサに、任意の先行する項に記載の方法を実行するように顕微鏡を制御させるように構成されている命令を記憶する。
【0054】
この構成によって、有利には、上記の利点のいずれかを達成するように、顕微鏡を制御することが可能である。
【0055】
一態様は、さらに、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、任意の先行する項に記載の方法を実行するように顕微鏡を制御させるように構成されている命令を含むコンピュータプログラムに関連することができる。
【0056】
本明細書全体を通じて、理解を容易にするために図面が参照され、同様の参照符号は、同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1A】現行技術水準による、試料を測定するための方法の段階を説明するための試料100の概略斜視図である。
【
図1B】現行技術水準による、試料を測定するための方法の段階を説明するための試料100の概略斜視図である。
【
図1C】現行技術水準による、試料を測定するための方法の段階を説明するための試料100の概略斜視図である。
【
図1D】現行技術水準による、試料を測定するための方法の段階を説明するための試料100の概略斜視図である。
【
図6】試料100および試料の位置を測定するための構成要素の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本開示のいくつかの例は、一般に、複数の回路または他の電気デバイスを提供する。回路および他の電気デバイスならびに各々によって提供される機能に対するすべての参照は、本明細書において例示および説明されているもののみを包含するように限定されるようには意図されていない。特定のラベルが、開示されている様々な回路または他の電気デバイスに割り当てられている場合があるが、そのようなラベルは、回路および他の電気デバイスの動作の範囲を限定するようには意図されていない。そのような回路および他の電気デバイスは、所望される特定のタイプの電気的実施態様に基づいて、任意の様式で互いに組み合わせることができ、および/または、分離することができる。本明細書において開示されている任意の回路または他の電気デバイスは、任意の数のマイクロプロセッサ、グラフィックスプロセッサユニット(GPU)、集積回路、メモリデバイス(例えば、フラッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、またはそれらの他の適切な変形形態)、および、本明細書において開示されている動作を実施するために互いに協働するソフトウェアを含むことができることが認識される。加えて、電気デバイスのうちのいずれか1つまたは複数は、開示されているような任意の数の機能を実施するようにプログラムされている非一時的コンピュータ可読媒体内に具現化されているプログラムコードを実行するように構成することができる。
【0059】
以下において、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。実施形態の以下の説明は、限定する意味において解釈されるべきではないことは理解されたい。本発明の範囲は、例示としてのみ解釈されるべきである、以下にまたは図面によって説明される実施形態によって限定されるようには意図されていない。
【0060】
図面は、概略表現であるものとして考えられるべきであり、図面に示す要素は、必ずしも原寸に比例するようには示されていない。むしろ、様々な要素は、それらの機能および一般的な目的が当業者に明らかになるように表されている。機能ブロック、デバイス、構成要素、または図面に示すかもしくは本明細書において説明されている他の物理もしくは機能ユニット間の任意の接続または結合はまた、間接接続または結合によって実施することもできる。構成要素間の結合はまた、無線接続を介して確立することもできる。機能ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せにおいて実施することができる。
【0061】
図2Aは、測定方法200を概略的に示す。
図2Bおよび
図2Cは、方法200およびいくつかの任意選択の特徴をさらに説明するために、試料100のそれぞれ上面図および側面図を概略的に示す。
【0062】
方法200は、一般に、試料100の傾斜を測定し、試料を走査する前に、傾斜に基づいて試料の向きを補正するという概念に基づく。いくつかの実施態様において、試料100は、分析のためにウェハから切り出された半導体ウェハの一部分であるものと理解することができる。これは、クーポンとして参照することができる。
【0063】
特に、方法200は、試料100の傾斜132を測定するステップS210を含む。概して、傾斜は、試料の表面が所定の平面に対してどれだけ異なっているかを識別する任意の数値指標であると理解することができる。したがって、試料は、試料100の所定の表面および所定の平面によって形成される少なくとも1つの角度を含むことができる。例えば、
図1Dに見られるように、傾斜132は、水平面XZと、試料100の上面101または底面106との間の角度であると理解することができる。本出願の文脈において、上面101は、水平面と実質的に位置整合され、試料が顕微鏡内に位置付けられているときに、試料100の上にある表面であると理解することができる。好ましくは、上面101は、例えば、
図9のステップS932を参照して説明されるような、顕微鏡による走査を目的とした、エッチング、フライス加工、走査を目的とした処理をまだ受けていない上面の一部であると理解することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、
図1Dにも見られるように、傾斜131は、垂直面YZと、試料100の側面104、105との間の角度であると理解することができる。傾斜は、所与の向きを有する角度、または角度の組合せとして表現することができることは明らかである。例えば、傾斜132は、XZ平面内の所与の方向に沿った、水平XZ平面に対する角度として記述することができる。代替的に、または加えて、傾斜132は、X方向に沿ったXZ平面に対する第1の角度と、Z方向に沿った水平XZ平面に対する第2の角度との組合せとして記述することができる。また代替的に、または加えて、傾斜132は、平面として記述することができる。
【0064】
概して、傾斜は、顕微鏡の座標系における、所定の平面に対する試料100の所定の表面の不整合の指標であると理解することができる。いくつかの好ましい実施態様において、試料100の所定の表面は、上面101とすることができ、所定の平面は、顕微鏡の走査面とすることができる。走査面は、各走査動作において、走査手段120がそれに沿って顕微鏡によって集束される平面であると理解することができる。代替的に、または加えて、所定の表面は、上面101とすることができ、所定の平面は、水平面XZとすることができる。それらの実施態様には、上面101が試料100の基準面として使用されるという利点がある。試料100は、上面101を測定することができるように、概して顕微鏡内に位置付けられるため、これは特に有利である。しかしながら、本発明はそれに限定されず、側面104、105のいずれか、または底面106などの他の表面を、試料中の基準面として使用することができることが理解されよう。
【0065】
したがって、測定ステップS210によって、概して、所定の平面に対する試料100の所定の表面の傾斜131、132、すなわち不整合を測定することが可能である。そのような傾斜を測定するための様々な方法が、当業者に既知である。以下において、2つの特に有利な、可能性のある実施態様を、
図2B、
図2Cおよび
図6を参照して説明する。例示および説明を明確にするために、上面101に基づく傾斜測定に関して説明を行うが、当業者によれば、試料100の任意の他の表面に関する類似の実施態様を得ることができることが理解されよう。
【0066】
図2Cに見られるように、測定S210ステップは、例えば、走査手段120のビームなどのビームを試料100上に集束させ、例えば、上面100を測定面として使用したときの集束高さなどの、それぞれの集束位置または焦点距離を測定することによって、実行することができる。傾斜が存在する場合、ビームは、ビーム120A、120Bによって示されるように、試料100にわたる対応する異なるロケーションXZにおける、垂直方向Yに沿った異なる点において集束することになる。いくつかの実施態様において、傾斜を計算するために、集束高さの絶対値を測定することができる。代替的に、または加えて、いくつかの実施態様において、傾斜は、ΔHによって示されるような、少なくとも2つの集束点間の差によって導出することができる。この後者の手法には、ゼロとして選ばれる任意の値が様々な点間の高さの差を計算する際に補償されるため、集束の高さを正確な所与のゼロ値に対して較正する必要がないという利点がある。
【0067】
いくつかの好ましい実施態様において、集束および焦点の測定に使用されるビームは、後続の走査ステップS230にも使用される走査ビーム120とすることができる。これには、顕微鏡内の単一の機器を、測定ステップS210の計算と走査ステップS230.の実行の両方に使用することができるという利点がある。
【0068】
いくつかの好ましい実施態様において、
図2Bに見られるように、焦点、すなわち、集束ビームが集束される点は、集束マーカ240へと方向付けることができる。集束マーカ240は、一般に、自動集束手順を可能にするかまたは増進する、形状、および/または、材料、表面反射性、表面粗度などのいずれかなどの他の物理特性を有する構造体である。したがって、1つまたは複数の集束マーカ240を使用することによって、有利には、対応するロケーションにおける試料のより正確かつ/またはより迅速な読み取りを提供することが可能である。その上、
図5を参照してさらに以下に詳細に説明するように、マーカ240を所定のロケーションに位置付けることによって、所定のロケーションを所定の座標に配置することができる。それらの座標の知識は、有利には、後続の傾斜の決定に使用することができる。位置が正確に分かっているそれぞれのマーカ上にビーム120を自動集束させることによって、正確な位置決めを達成することができるため、これによって、特に、XZ平面に沿ったビーム120の横方向位置の正確な測定を回避することができる。
【0069】
上記の説明は、様々な試料点の高さを決定し、したがって、試料100の傾斜を決定するために使用される光ビーム120に関して与えられているが、本発明はそれに限定されないことは、当業者には明らかであろう。上記の説明は、走査型電子顕微鏡SEM、ヘリウムイオン顕微鏡HIM、または一般的に荷電粒子顕微鏡などの、ビーム120を走査手段として利用する顕微鏡にとって特に有利である。しかしながら、本発明はそれに限定されず、例えば、ビーム120を集束させる代わりに、原子間力顕微鏡AFMのチップとの接触を通じて試料100の高さを測定することによって、試料の傾斜を得ることができる。
【0070】
また代替的に、または加えて、いくつかの実施態様において、測定ステップS210は、ビーム651を試料100上に反射させることによって実行することができる。例えば、
図6に示すように、ビーム放出器650が、試料100に向かって測定ビーム651を放出することができる。例えば、上面101などの試料の表面は、検出器660に向かって測定ビーム651を反射させることができる。検出器660は、例えば、4象限位置センサなどの多象限位置センサ、または、より一般的に、反射測定ビーム651の入来方向および/もしくは位置を決定することを可能にする任意の検出器とすることができる。
【0071】
明白になるように、ビーム放出器650および検出器660を適切に制御することによって、上面101に沿った様々な点の高さをこのように測定することができる。代替的に、または加えて、上面101の向きは、有利には、ビーム放出器650および検出器660によって測定することができ、したがって、結果として、傾斜を直接的に決定することができる。
【0072】
このように、所定の向きに関して試料の傾斜を識別することができるようにする、測定ステップS210を実施するための様々な方法が説明されている。
【0073】
次いで、方法200は、測定された傾斜に基づいて試料100の向きを補正するステップS220をさらに含むことができる。特に、試料は、測定された傾斜を補償するように向きを制御することができる支持体上に配置することができる。
【0074】
図6に示す構造を使用するいくつかの実施態様において、測定ビーム651は、所定の波長を有するレーザまたは集束もしくはコリメートLEDビームを含むことができる。特に、波長は、チャネル102A~102Nのピッチの関数として設定することができる。より具体的には、波長は、例えば0.1μm未満とすることができるチャネルピッチよりも少なくとも0.2μm、好ましくは少なくとも0.5μm大きくすることができる。いくつかの実施態様において、測定ビームは、チャネルピッチよりも大きい、好ましくは少なくとも5倍大きい、さらにより好ましくは少なくとも10倍大きい直径を有することができる。チャネルピッチよりも大きい波長を有するビームを使用することによって、ビームは、微細構造をサンプリングしなくなるが、一種の有効屈折率として、表面を検知するようになる。主なシグナルは、検出器660へと方向付けられる鏡面反射である。多象限検出器660を使用するとき、すべての象限が実質的に同じ強度の反射光を測定するまで、試料を傾けることが可能である。これによって、ビームが反射される表面が、放出器650および/または検出器660と関連付けられる既知の座標系に対して所定の向きにあることが保証される。
【0075】
上記では、反射光がその時点で2つ以上の象限に衝突していることを可能にするように光信号を構成する方法に関して特定の説明が与えられているが、特に、試料100の構成に応じて、当業者は、いくつかの代替形態を実施することが可能であることは明らかである。概して、試料の反射面が所定の向きに位置付けられているときに、試料100から反射される光ビームが多象限検出器660の2つ以上の象限、好ましくは少なくとも3つの象限、さらにより好ましくは少なくとも4つの象限をカバーすることができるように、放出器650および/または660を構成すれば十分である。さらにより一般的には、検出器660が検出される信号から試料100の向きを決定することを可能にするように、試料100から反射される光ビームを検出器660によって検出することができるように、放出器650および/または検出器660を構成すれば十分である。
【0076】
反射面のこの所定の向きは、測定ステップS210の前または後に、水平面または顕微鏡の集束面などの、既知の基準の向きに対して較正することができる。したがって、その後、所定の向きを任意の基準の向きに対する傾斜の計算に使用することができることは明らかである。代替的に、または加えて、所定の向きが、選択された所定の向きに対する傾斜のない試料の位置に対応するように、放射器650および検出器660が配置構成される場合、これによって、単一のステップにおいて傾斜の測定と補正の両方が行われ、したがって、ステップS210とS230の両方が実施されることが可能になる。
【0077】
例えば、放出器650および検出器660は、検出器660上の複数の象限が象限当たり実質的に等量の光を受け取るときに、所定の平面に平行な試料上面の位置付けを保証することができるように、較正することができる。例えば、所定の平面またはそれに平行な平面を走査面として使用することによって、走査手段120もまた、同じ所定の平面に対して較正することができるため、所定の平面の向きを正確に知る必要はない。したがって、所定の平面を、放出器650および検出器660の組合せの座標系と走査手段との間の共通の基準として使用することによって、試料を、その向きに走査手段120の動作のために傾斜がないことを保証するように位置付けることができる。
【0078】
このように、試料を、所定の平面に対する傾斜を含まないようにどのように位置付けることができるかを説明した。これによって、塵芥130が存在する場合であっても、または、一般に試料100の任意の予期せぬ傾斜原因が存在する場合であっても、試料100を後続の走査ステップのために所定の平面に対して正しく位置付けることが可能である。
【0079】
したがって、方法200は、試料100を走査するステップS230をさらに含むことができる。走査ステップは、例えば、SEMを利用する走査手段120、ヘリウムイオン顕微鏡HIM、または一般に荷電粒子顕微鏡、またはAFMなどの任意の既知の技術を用いて実施することができる。所定平面に対して試料100が傾斜なしに位置付けられることによって、また、所定の平面を走査ステップS230の基準として使用することによって、チャネル102A~102Nなどの、試料100中の垂直構造の垂直位置を正しく再構築することが可能である。
【0080】
いくつかの実施態様において、例えば、
図3に示されているように、方法200は、傾斜値をチェックする追加のステップS340を含むように修正することができる。特に、ステップS210において傾斜を測定した後、ステップS340において、試料の傾斜の値が許容可能傾斜範囲などの所定の間隔内に入るか否かをチェックすることができる。判定が、試料の傾斜が所定の許容可能範囲内に入るということである場合、方法300は、走査ステップS230に進むことができる。
【0081】
他方、判定が、試料の傾斜が所定の許容可能範囲の外側にあるということである場合、方法は、測定された傾斜に基づいて試料の位置を補正するステップS220に進むことができる。いくつかの実施態様において、補正ステップS220の後、方法300は、次いで、走査ステップS230に進むことができる。代替的に、補正ステップS220の後、方法300は、測定ステップS210に戻ることができる。したがって、この後者の手法は、測定された傾斜が許容可能範囲内に入るまで、測定および補正ステップが繰り返されることを保証することができる。これによって、補正ステップS220における試料の再位置付け中の可能な誤差を補償することができるという追加の利点が提供される。これは、例えば、補正ステップS220において試料を再位置付けするために使用されるデバイスが、正常に機能しないか、または、規格外である場合に当てはまり得る。代替的に、または加えて、試料100は、再位置付け中にわずかに動く可能性があり、または、塵芥130がそうなる可能性があり、したがって、傾斜が予期せぬ様態で変化させられる。
【0082】
この実施態様はまた、測定ステップS210が、傾斜の正確な数値を出力するように構成されておらず、指標のみを出力する場合に、特に有利である。例えば、
図2Cを参照すると、測定ステップは、ビーム120Aに対応する点がビーム120Bに対応する点よりも高いことを指示することができ、差がどれだけであるかを正確に指示せず、差が許容可能範囲の外側にあることを指示するのみである。その後、これは、測定される傾斜が許容可能範囲内に入るまで、試料100の右部分を段階的に持ち上げ、再び傾斜を測定することによって、補正することができる。
【0083】
上記の記述においては、傾斜は、走査ステップS230の実行前に補正することができることが想定されている。
図4の方法400によって例示されるような、代替的な実施態様において、傾斜は、前述のようにステップS210において測定することができる。しかしながら、傾斜を補正するために試料を再位置付けする代わりに、方法400は、試料をその傾斜下向きにおいて走査する走査ステップS230に進むことができる。
【0084】
傾斜の値は、これらの実施態様において、その後、走査ステップS230からもたらされる像に基づいてボリューム再構築を補正するステップS450に使用することができる。すなわち、試料の位置を補正する代わりに、複数の走査からもたらされる像に基づく、ボリューム再構築、または、試料のモデルの再構築を、測定された傾斜を補償するために補正することができる。様々な像変換ならびに/または像および/もしくは像の合成の幾何学的走査を、測定された傾斜を補償するために実施することができることが、当業者には明らかであろう。これらの実施態様には、傾斜を補正するための試料の再位置付けが必要ないという利点がある。
【0085】
また代替的に、方法200を参照して、ステップS220において傾斜に基づいて試料の向きを補正する代わりに、走査面および/またはエッチングもしくはフライス加工面を、傾斜に基づいて補正することができる。
【0086】
特に、走査面を、傾斜を補償するように補正することができる。例えば、走査面は、傾斜によって規定される平面に平行になるように設定することができる。特定の実施態様において、走査面は、傾斜した上面101に平行になるように設定することができる。代替的に、走査面は、必ずしも上面101と平行でなくてもよく、上面101に対して斜めにすることができる、上面101がそれに沿ってフライス加工される平面に平行になるように設定することができる。走査面は、顕微鏡がそれに沿って試料100を走査する平面であると理解することができる。例えば、光学顕微鏡の場合、走査面は、試料が走査されるときに、顕微鏡の焦点位置に対応する平面とすることができる。代替的に、または加えて、原子間力顕微鏡の場合、走査面は、測定チップのゼロ基準位置に対応する平面とすることができる。
【0087】
いくつかの実施態様において、傾斜に基づく走査面の補正に対して代替的にまたはそれに加えて、傾斜に基づいて計算される平面に沿って試料をフライス加工することができる。例えば、フライス加工面は、傾斜によって規定される平面に平行になるように設定することができる。特定の実施態様において、フライス加工面を、傾斜を補償するように補正することができる。より具体的には、いくつかの実施態様において、フライス加工面は、傾斜した上面101に平行であるように設定することができるが、本発明はこの構成に限定されず、フライス加工面は、代わりに、傾斜した上面101に対して斜めにすることができる。フライス加工面は、このとき、試料100の上面の少なくとも一部分が、
図1Cを参照して論じられるように、異なる深さにおいて試料を走査することを目的として、それに沿ってエッチングされる平面であると理解することができる。
【0088】
したがって、試料の測定された傾斜に基づいて、複数の走査から試料の再構築モデルを得るように、様々な可能な実施態様を実行することができ、これによって、試料を再位置付けし、走査面またはモデル再構築を補正することによって傾斜が補償される。いくつかの事例において、部分的に第1の技法を用いて、および、部分的に第2の技法を用いて、または、より多くの技法を用いて傾斜を補正するように、それらの技法のうちの2つ以上をともに実施することができる。
【0089】
したがって、本発明は、試料100の垂直方向Yに沿ったチャネル102A~102Nなどの垂直構造の展開の確実な結像を提供することができる。例えば、
図10に示すように、方法1000は、試料100中の垂直構造102A~102Nを測定するさらなるステップS1060の存在に起因して、方法200から異なることができる。方法200に関連して実行されるものとして
図10に示されているステップS1060はまた、方法300に関連して、またはより一般的に、本出願全体を通じて説明されている任意の他の方法に関連して実行することもできることは明らかである。
【0090】
試料100の位置、集束および/もしくはフライス加工面、像、または像再構築のいずれの補正によるものであっても、傾斜が補正された後に、傾斜に基づいてステップS1060を実行することによって、従来技術に関して論じた問題を回避することが可能である。
【0091】
図5は、前述したように1つまたは複数の集束マーカ240を実現するステップS560が実施されることに起因して異なる方法200に基づくさらなる方法500を示す。測定ステップS210の前に集束マーカ240が実施されることを可能にすることによって、ビーム120のより効率的な自動集束またはビーム651の所望の反射を可能にする特性を有する集束マーカを実施することが可能である。この場合も、方法500は説明を容易にするために方法200に基づくものとして説明されているが、ステップS560を、本出願全体を通じて説明されている任意の他の方法と組み合わせることができることは明らかであろう。
【0092】
上記の説明において、測定ステップS210は、測定される試料100の点の数を一切具体的に限定することなく、場合によって様々な技術的実施態様に基づくものとして説明されている。
【0093】
いくつかの実施態様において、測定ステップS210は、試料100の少なくとも3つの点を測定することによって実施することができる。いくつかの実施態様において、本方法は、測定点を、傾斜131、132を識別する平面に適合させるステップをさらに含むことができる。これによって、少なくとも3つの点を通過する、傾斜によって規定される平面を決定することが可能になる。
【0094】
さらに、
図7に示すように、測定ステップS710は、試料100の所定数の点を測定するステップS711と、測定点を平面に適合させるステップS712とを含むことができる。好ましい実施態様において、適合ステップS712は、任意の既知の適合アルゴリズムに基づいて、測定点を、傾斜を識別する平面に適合させること、すなわち、測定点に最良に適合する平面を計算することを含むことができる。この手法によって、いくつかの測定値が正しくない場合であっても、適合によって規定される傾斜面を正しく測定することができる。
【0095】
一般に、点の所定数が増大すると、測定ステップS711の精度が増大する。確率的誤差ΔYを受けてN個の点のY座標を測定するとき、2つの点からの適合されている傾斜の誤差Δtlitは、概ねΔtilt/sqrt(N)の関数として降下する。したがって、いくつかの実施態様において、所望の誤差レベルが満たされるように、所定数の点Nを選択することができる。実際の実施形態において、複数の点Nは、好ましくは同一直線上にない、さらにより好ましくは最大包囲円直径の平面に及ぶ点の配列を含むことができる。いくつかの実施態様において、配列は、少なくとも3×3個の点を含むことができる。
【0096】
いくつかの実施態様において、適合ステップS712の結果はまた、適合されている平面に対する測定点の誤差の指標も提供することができる。例えば、誤差は、適合されている平面からの点の距離の平均とすることができるが、誤差の指標は、様々な方法で計算することができることは明らかであろう。誤差が所定数よりも高いことが判明した場合、測定されている表面は十分に平坦でないと結論づけることができる。この指標は、有利には、試料が測定に適していないか、または、測定問題が存在することの警告として使用することができる。
【0097】
またさらに、
図8に見られるように、ステップS810は、所定の閾値に基づいて複数の測定点のうちの1つまたは複数を除去するステップS813をさらに含むことができる。これは、所定範囲の外側にある点が、適合から除外されることを可能にする。これは、外れ値フィルタリングとして参照することができ、様々なアルゴリズムが、その実施のために知られている。そのような手法は、測定の誤りに起因し、したがって、残りの点から大幅な量だけ異なる点の除去を可能にするのに、特に有用であり得る。いずれの点が除去されるべきであるかを決定するために、多数の統計的手法を実施することができることは明らかであろう。例えば、適合面からの測定点の標準偏差を計算することができ、そのような平面から標準偏差の所定の倍数を超えて離れている点を除去することができる。代替形態として、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムが、ステップS813の実施に使用することができる。次いで、方法800は、除去された点を除いた測定点を適合させるステップS712によって進行することができる。
【0098】
上記の説明において、走査ステップS230は、SEM、HIM、またはAFMなどを通じた、様々な技術的実施態様に場合によって基づくものとして説明されている。
図9に見られるように、いくつかの実施態様において、走査ステップS930は、試料100の上面101の少なくとも一部分を除去するステップS931と、例えば、SEM、HIM、またはAFM測定を通じて試料100を走査するステップS932とを含むことができる。除去、またはエッチング、またはフライス加工ステップは、除去、またはエッチング、またはフライス加工面が図示のように上面と平行とすることができるか、または、斜めにすることができるように、例えば、
図1Cに示すように、結果として上面の少なくとも一部分が除去されるように、任意の既知のエッチングまたはフライス加工機器によって実行することができる。ステップS931およびS932を繰り返すことによって、走査ステップS930は、試料100の深さまたは垂直方向全体を通じた構造の垂直展開を評価することが可能になる。
【0099】
好ましい実施態様において、例えば
図1Cに示すようにステップS931において実行される表面除去は、試料の上面101の50%未満を形成する面積に限定することができる。これには、エッチングされた領域の周りに、試料の傾斜の後続のおよび/または定期的なチェックのために十分な、平坦な表面が残るという利点がある。
【0100】
したがって、いくつかの実施態様において、傾斜の補正について説明されている方法のいずれかを、方法900と組み合わせることが可能である。より具体的には、ステップS931、S932の所定のサイクル数ごとに、傾斜を補正するための方法を実行することが可能であり得る。
【0101】
本発明は、これまで方法として説明されてきたが、本発明の実施形態は、他の形態で実施することもできることは明らかであろう。
【0102】
特に、
図11に見られるように、顕微鏡1100は、プロセッサ1170と、メモリ1171とを備えることができる。メモリ1171は、プロセッサ1170に、上述した任意の方法の任意のステップを実行するように顕微鏡1100を制御させるように構成されている命令を記憶することができる。いくつかの実施態様において、顕微鏡は、図示のように、走査手段120、放出器650および検出器660のうちのいずれかをさらに備えることができる。
【0103】
さらに、本発明は、例えば、プロセッサ1170などのプロセッサによって実行されると、プロセッサに、請求項1~16のいずれかに記載の方法200、400、400、500を実行するように、例えば、顕微鏡1100などの顕微鏡を制御させるように構成されている命令を含むコンピュータプログラムによって具現化することができる。
【0104】
このように、試料の深さに沿って得られる複数の走査像に基づく試料のモデルの再構築を容易にするために、顕微鏡および/または顕微鏡を制御するための方法をどのように使用することができるかが説明されてきた。説明されている実施形態は、特に、信頼できる走査ワークフローをもたらすように、試料の位置付けにおいて傾斜を除去することを可能にする。
【0105】
本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して図示および説明されてきたが、本明細書の読解および理解を受けて、均等物および修正形態が当業者には想起される。本発明は、すべてのそのような均等物および修正形態を含み、添付の特許請求項の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0106】
100 試料
101 上面
102A~102N チャネル
103 角度
104、105 側面
106 底面
107A、107N 水平層
110 エッチング手段
120 走査手段
130 塵芥
131 角度
132 傾斜
200 試料を測定するための方法
S210 傾斜を測定する
S220 試料を補正する
S230 試料を走査する
240 集束マーカ
300 試料を測定するための方法
S340 傾斜値をチェックする
400 試料を測定するための方法
S450 ボリューム再構築を補正する
650 ビーム放出器
651 ビーム
660 検出器
S710 傾斜を測定する
S711 点を測定する
S712 適合させる
S810 傾斜を測定する
S811 点を測定する
S813 外れ値フィルタリング
S930 試料を走査する
S931 上面の一部分を除去する
S932 試料を走査する
1100 顕微鏡
1170 プロセッサ
1171 メモリ
1000 試料を測定するための方法
S1060 垂直構造を測定する
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡を用いて試料(100)を測定するための方法(200、300、500、1000)であって、
前記試料(100)の傾斜(131、132)を測定するステップ(S210、S710、S810)と、
前記傾斜(131、132)に基づいて前記試料(100)の向きを補正するステップ(S220)と、
前記試料を走査するステップ(S230、S930)と
を含む、方法(200、300、500、1000)。
【請求項2】
前記傾斜(131、132)が所定の間隔内に入るか否かをチェックするステップ(S340)をさらに含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
顕微鏡を用いて試料(100)を測定するための方法(400、500、1000)であって、
前記試料(100)の傾斜(131、132)を測定するステップ(S210、S710、S810)と、
前記試料を走査するステップ(S230、S930)と、
前記傾斜(131、132)に基づいて、走査像(S230、S930)からのボリューム再構築を補正するステップ(S450)と
を含む、方法(400、500、1000)。
【請求項4】
顕微鏡を用いて試料(100)を測定するための方法(200、300、500、1000)であって、
前記試料(100)の傾斜(131、132)を測定するステップ(S210、S710、S810)と、
前記傾斜(131、132)に基づいて走査面を補正するステップと、
前記試料を走査するステップ(S230、S930)と
を含む、方法(200、300、500、1000)。
【請求項5】
前記傾斜(131、132)は、前記試料(100)の所定の表面および所定の平面によって形成される角度を含む、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項6】
前記所定の表面は、上面(101)、水平層(107A~107N)、側面(104、105)、底面(106)のいずれかであり、前記所定の平面は、前記顕微鏡の走査面である、請求項5に記載の方法(200、300、400、500)。
【請求項7】
前記所定の表面は、上面(101)、水平層(107A~107N)、側面(104、105)、底面(106)のいずれかであり、前記所定の平面は、水平面(XZ)である、請求項5に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項8】
前記測定ステップ(S210、S710、S810)は、ビームを前記試料(100)上に集束させ、結果もたらされる焦点距離を測定することによって実行される、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項9】
前記ビームは、前記走査ステップ(S230、S930)にも使用される走査ビーム(120)である、請求項8に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項10】
焦点は、集束マーカ(240)へと方向付けられる、請求項8に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項11】
1つまたは複数の集束マーカ(240)を実現するステップ(S560)をさらに含む、請求項8に記載の方法(500)。
【請求項12】
前記測定ステップ(S210、S710、S810)は、ビーム(651)を前記試料(100)上で反射させることによって実行される、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項13】
前記測定ステップ(S210、S710、S810)は、前記試料(100)の少なくとも3つの点を測定することを含む、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項14】
前記測定点を、前記傾斜(131、132)を識別する平面に適合させるステップ(S712)をさらに含む、請求項13に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項15】
前記測定ステップ(S710)は、
前記試料(100)の所定数の点を測定するステップ(S711)、
前記測定点を、平面に適合させるステップ(S712)
を含む、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項16】
前記測定ステップ(S810)は、
前記試料(100)の複数の点を測定するステップ(S711)、
所定の閾値に基づいて前記測定点のうちの1つまたは複数を除去するステップ(S812)、
前記測定点を、前記除去された点を除いて、平面に適合させるステップ(S712)
を含む、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項17】
前記走査ステップ(S930)は、
前記試料(100)の上面(101)の少なくとも一部分を除去するステップ(S931)と、
前記試料(100)を走査するステップ(S932)と
を含む、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項18】
前記試料(100)中の垂直構造(102A~102N)を測定するステップ(S1060)をさらに含む、請求項1
または2に記載の方法(1000)。
【請求項19】
前記試料(100)は、半導体ウェハまたは前記半導体ウェハの一部分である、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、500、1000)。
【請求項20】
顕微鏡(1100)であって、
プロセッサ(1170)と、
メモリ(1171)と
を備え、
前記メモリ(1171)は、前記プロセッサ(1170)に、請求項1
または2に記載の方法(200、300、400、400、500、1000)を実行するように前記顕微鏡(1100)を制御させるように構成されている命令を記憶している、顕微鏡(1100)。
【請求項21】
プロセッサ(1170)によって実行されると、前記プロセッサ(1170)に、請求項1
または2に記載の方法(200、400、400、500)を実行するように顕微鏡(1100)を制御させるように構成されている命令を含むコンピュータプログラム。
【国際調査報告】