(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】代替案提供装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/04 20060101AFI20241003BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G5/04 A
G08G1/00 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525714
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2022038610
(87)【国際公開番号】W WO2023074443
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】P 2021178628
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中台 慎二
(72)【発明者】
【氏名】リゴ バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサルヴェス アルトゥル
(72)【発明者】
【氏名】プレンディンガー ヘルムト
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL04
5H181MB01
(57)【要約】
代替案提供装置(2000)は、オリジナルの占有計画及び1つ又は複数の代替占有計画の各々について走査計画を生成する。走査計画は、占有計画によって示される第二者によって占有された空間に進入することなく、割当空間を走査するための移動物体のスケジュールを示す。占有計画は、第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示す。一方の占有計画は、第二者によって提供されるオリジナルの占有計画であり、他方の占有計画は、オリジナルの占有計画に基づいて生成される代替占有計画である。代替占有計画のうちの1つに基づいて、最大の効用の走査計画が生成された場合、代替案提供装置(2000)は、最大の効用の走査計画の生成に利用された代替占有計画を第二者に提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
代替案提供装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を記憶するメモリとを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行して、
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画を生成し、前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されるオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供するように構成される、代替案提供装置。
【請求項2】
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、請求項1に記載の代替案提供装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第二者から交渉要求をさらに受信する前記命令を実行するように構成され、前記交渉要求は、オリジナルの走査計画の変更の要求であり、かつ、前記オリジナルの占有計画を含み、前記オリジナルの走査計画は、前記交渉要求の受信前に生成された前記走査計画であり、
前記代替占有計画の提供は、前記交渉要求に対する応答を前記第二者に送信することを含み、前記応答は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項2に記載の代替案提供装置。
【請求項4】
前記代替占有計画の提供は、交渉要求を前記第二者に送信することを含み、前記交渉要求は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項2に記載の代替案提供装置。
【請求項5】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に従って前記割当空間を走査するのに必要な時間が減少するにつれて増加する、請求項1から4のいずれか一項に記載の代替案提供装置。
【請求項6】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に基づいて前記移動物体によって走査される前記割当空間の割合が増加するにつれて増加する、請求項1から5のいずれか一項に記載の代替案提供装置。
【請求項7】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画することを含み、前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されたオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供することを含む、制御方法。
【請求項8】
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記第二者から交渉要求を受信することをさらに含み、前記交渉要求は、オリジナルの走査計画の変更の要求であり、かつ、前記オリジナルの占有計画を含み、前記オリジナルの走査計画は、前記交渉要求の受信前に生成された前記走査計画であり、
前記代替占有計画の提供は、前記交渉要求に対する応答を前記第二者に送信することを含み、前記応答は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記代替占有計画の提供は、交渉要求を前記第二者に送信することを含み、前記交渉要求は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項11】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に従って前記割当空間を走査するのに必要な時間が減少するにつれて増加する、請求項7から10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に基づいて前記移動物体によって走査される前記割当空間の割合が増加するにつれて増加する、請求項7から11のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画することを実行させ、前記走査計画は、占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されたオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供することとを実行させるプログラムが格納されている、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、請求項13に記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記プログラムが前記コンピュータに、前記第二者から交渉要求を受信することをさらに実行させ、前記交渉要求は、オリジナルの走査計画の変更の要求であり、かつ、前記オリジナルの占有計画を含み、前記オリジナルの走査計画は、前記交渉要求の受信前に生成された前記走査計画であり、
前記代替占有計画の提供は、前記交渉要求に対する応答を前記第二者に送信することを含み、前記応答は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記代替占有計画の提供は、交渉要求を前記第二者に送信することを含み、前記交渉要求は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に従って前記割当空間を走査するのに必要な時間が減少するにつれて増加する、請求項13から16のいずれか一項に記載の記憶媒体。
【請求項18】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に基づいて前記移動物体によって走査される前記割当空間の割合が増加するにつれて増加する、請求項13から17のいずれか一項に記載の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、空間占有を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動物体を動作させて空間を走査したり、移動物体を動作させて、空間内に又は空間を介して物品を配達したり、空間内で花火大会のようなイベントを開催したりするなど、何らかの理由で空間を占有する必要がある。空間占有の管理に関連して、特許文献1は、各々が定義された経路に沿って移動する複数の移動物体間の競合を検出して解決する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0380460号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、空間を走査する移動物体を扱わない。本開示の目的は、空間占有を管理するための新規な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の代替案提供装置は、少なくとも1つのプロセッサと、命令を記憶するメモリとを備る。前記少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行して、複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画を生成し、前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されるオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供するように構成される。
【0006】
本開示の制御方法は、コンピュータによって実行される。当該制御方法は、複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画することを含み、前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されたオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供することを含む。
【0007】
本開示の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、前述した本開示の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、空間占有を管理するための新規な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態の代替案提供装置の概要を示す図である。
【
図5】代替案提供装置の機能的構成の一例を示す図である。
【
図6】代替案提供装置を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】代替案提供装置によって行われる処理の例示的なフローを示すフローチャートである。
【
図8】第1の例の交渉を第二者と行うために代替案提供装置によって行われる処理の例示的なフローを示すフローチャートである。
【
図9】第2の例の交渉を第二者と開始するために代替案提供装置によって行われる処理の例示的なフローを示すフローチャートである。
【
図10】ボリュームの占有空間に加えられた修正動作の例を示す図である。
【
図11】ボリュームの期間に加えられた修正動作の例を示す図である。
【
図12】走査計画を生成する経路探索アルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図13】経路からボリュームの占有空間への変換の一例を示す図である。
【
図14】最小走査時間が算出されたボリュームの占有空間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示による実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図面全体を通して、同一の要素には同一の符号が付され、重複する説明は必要に応じて省略される。また、記憶部は、1つ又は複数の記憶装置で構成される。
【0011】
第1の実施の形態
<概要>
図1は、第1の実施の形態の代替案提供装置2000の概要を示す。なお、
図1に示す概要は、代替案提供装置2000を理解しやすくするために代替案提供装置2000の動作の一例を示したものであり、代替案提供装置2000の可能な動作の範囲を限定したり、狭めたりするものではない。
【0012】
代替案提供装置2000は、第一者の移動物体の走査計画を生成する。走査計画は、移動物体の走査動作のスケジュールを示す。換言すれば、移動物体が進行する予定の日時及び場所が、走査計画によって示される。
【0013】
移動物体は、制御可能な態様で、二次元(2D)空間又は三次元(3D)空間を進行することができる任意の物体であってもよい。例えば、移動物体は、床や道路などの二次元空間を進行するように予定された無人搬送車(AGV: Autonomous guided vehicle)である。別の例では、移動物体は、空などの3D空間を飛行するように予定されたドローンなどの制御可能な飛行体である。
【0014】
第一者は、移動物体の操作者や、移動物体を所有するか又は管理する会社など、第一者の移動物体に対して責任を負う任意の者でありうる。
【0015】
第一者の移動物体は、走査計画に従って割当空間を走査する。本開示では、「割当空間の走査」とは、割当空間内の全て又はほぼ全ての位置をカバー(訪問)するように、割当空間内を移動する動作である。割当空間とは、移動物体によってその全て又はほぼ全てが走査される空間である。
【0016】
図2は、割当空間の走査の一例を示している。
図2では、割当空間20は、2Dグリッドマップを用いて表現される2D空間の一部である。gid は、移動物体10が訪問することができる位置の単位を表している。移動物体10は、走査経路50に沿って、割当空間20を形成するグリッドの全て又はほぼ全てを訪問することによって、割当空間20を走査する。なお、本開示では、空間は、2D空間ではなく3D空間によって表されてもよい。この場合、割当空間20は3Dグリッドマップを使用して表されうる。
【0017】
移動物体10が割当空間20を走査している間、移動物体10又はそれに取り付けられた装置は任意の動作を行ってもよい。例えば、移動物体10に取り付けられたセンサは検出動作を行ってもよい(例えば、移動物体10に取り付けられたカメラが走査中に動画を生成してもよい)。
【0018】
走査計画は、移動物体10の走査動作を制御するために採用される。上述したように、走査計画は、移動物体10の走査動作のスケジュールを示している。例えば、走査計画は、移動物体10がそれに沿って進行する走査経路を示しうる。走査経路は、移動物体10が訪問した位置の時間ベースのデータによって表されてもよい。換言すれば、走査経路は、移動物体10が訪問した位置と、対応する位置に訪問した時刻とのペアによって表されてもよい。
【0019】
図3は、走査計画の例示的な構成を示している。
図3では、走査計画30は、物体識別子32及び走査経路テーブル34を含む。物体識別子32は、移動物体10の識別子を示す。走査経路テーブル34は、訪問時刻36及び位置38の二種類のデータのペアを含む。走査経路テーブル34の各行は、移動物体10が、対応する訪問時刻36に、対応する位置38を訪問する予定であることを示している。
図3では、移動物体10が2D空間を移動することを想定しているため、各位置は2D座標で表されている。
【0020】
他の実施態様では、走査計画は、以下で説明する占有計画と同様の形態で移動物体10の走査動作のスケジュールを表してもよい。
【0021】
移動物体10は、第二者によって占有された空間に進入することなく、割当空間20を走査するように予定されなければならない。本開示では、第二者は、個人又は会社など、一部の空間を占有する第一者以外の任意の者である。例えば第二者は、ドローン又は自動運転車両などの車両を使用して物品を配達するための空間を占有する。この場合、第二者は車両の進行中に車両が進行する空間を占有する。別の例では、第二者は、花火大会などのイベントを行うための空間を占有する。この場合、第二者はイベント中にイベントが開催される空間を占有する。例えば花火大会の間、花火に必要な1つ又は複数の空中空間が占有される。
【0022】
第二者による空間の占有は、占有計画によって表される。占有計画は、第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示す。この目的のために、占有計画は、各々が占有空間と期間とのペアを示す1つ又は複数のボリュームを含み、占有空間は、第二者によって占有された空間を表し、期間は、対応する占有空間が第二者によって占有されるときを表す。
【0023】
第二者によって占有された空間が経時的に変化する場合、占有計画は複数のボリューム(時間ベースのボリューム)を含む。
図4は、占有計画の一例を示す。
図4の上部には、占有計画40の例示的な構造が示されている。具体的には、占有計画40は、当事者識別子41及びボリュームテーブル42を含む。当事者識別子41は、第二者の識別子を示す。ボリュームテーブル42は、ボリュームを表す1つ又は複数の行を含む。ボリュームは、ボリューム識別子43、期間44及び占有空間45のタプルによって表される。ボリューム識別子43は、ボリュームの識別子を示す。期間44は、対応する占有空間45が占有されている期間を示す。占有空間45は、占有空間を示す。
【0024】
図4の下部では、グラフを使用した占有計画が示されている。X軸線は時刻を示し、Y軸線は空間を示す。このグラフに記載されているように、複数のボリュームは、空間的に(ボリュームV1及びV2を参照)、時間的に(ボリュームV2及びV3を参照)、又はその両方で互いに重なり合ってもよい(図示せず)。また、時間的に互いに隣接するボリュームは時間的に離れていてもよい(ボリュームV3及びV4を参照)。
【0025】
なお、上述したように、走査計画は、占有計画と同様の形態で移動物体10の走査動作のスケジュールを表しうる。具体的には、走査計画は、移動物体10の走査動作のスケジュールをボリュームのセットとして表しうる。以下では、移動物体10の走査動作のスケジュールを表すボリュームのセットを「走査ボリュームセット」と呼ぶ。また、走査ボリュームセット内の各ボリュームを「走査ボリューム」と呼ぶ。
【0026】
図1に戻って、適切な走査計画を決定するために、代替案提供装置2000は異なる占有計画に基づいて複数の走査計画を生成する。具体的には、代替案提供装置2000は、第二者によって最初に提供されたオリジナル占有計画を取得し、かつ、オリジナル占有計画に基づいて走査計画を生成し、これにより、移動物体10は、オリジナル占有計画によって示される占有空間に進入することなく割当空間20を走査するように予定される。さらに、代替案提供装置2000は、オリジナル占有計画を異なる方法で修正した1つ又は複数の代替占有計画を生成する。代替占有計画は、オリジナル占有計画を修正して生成された占有計画である。そして、各代替占有計画についても、代替案提供装置2000は走査計画を生成し、これにより、移動物体10は、対応する代替占有計画によって示される占有空間に進入することなく、割当空間20を走査するように予定される。
【0027】
以下では、走査計画が、移動物体10が占有計画によって示された占有空間に進入する移動物体10の走査動作のスケジュールを示す状況を、「走査計画は占有計画と競合する」として記載する。この表現を用いると、代替案提供装置2000は、対応する占有計画と競合しないように各走査計画を生成する、と言うことができる。
【0028】
複数の走査計画を生成した後、代替案提供装置2000は、必要に応じて第二者に代替走査計画を提供してもよい。具体的には、生成された走査計画のうち、最大の効用の走査計画が、代替占有計画に基づいて生成されたものである場合、代替案提供装置2000は、その代替占有計画(すなわち、最大の効用の走査計画の生成に利用された代替占有計画)を第二者に提供する。走査計画の効用については、後で詳細に説明する。
【0029】
代替占有計画に基づいて最大の効用の走査計画が生成される状況下では、第一者は、この代替占有計画が、走査計画のより高い効用を可能にするので、オリジナルのものよりもこの代替占有計画を好む場合がある。このため、第一者にとっては、第二者が、その占有計画を、最大の効用の走査計画に対応する代替占有計画に変更することが好ましい。そのため、代替案提供装置2000は、最大の効用の走査計画に対応する代替占有計画を第二者に提供する。
【0030】
オリジナル占有計画OP1と、3つの代替占有計画AP1,AP2,AP3とがあると仮定する。そして、占有計画OP1,AP1,AP2,AP3に基づいて、走査計画SP1~SP4がそれぞれ生成される。さらに、走査計画SP3は、生成された走査計画の中で、効用が最も高い。この場合、提供部2040は、走査計画SP3に対応する代替案AP2を第二者に提供する。
【0031】
<効果の例>
代替案提供装置2000によれば、移動物体10の走査動作を考慮して空間占有を管理する新規な技術が提供される。具体的には、代替案提供装置2000は、オリジナル占有計画及び1つ又は複数の代替占有計画の各々について、移動物体10の走査計画を生成する。そして、オリジナル占有計画に基づかず、代替占有計画に基づいて最大の効用の走査計画が生成された場合、最大の効用の走査計画に対応する代替占有計画が、第二者に提供される。これにより、第一者は、第一者の観点からオリジナル占有計画よりも好ましい代替占有計画を、第二者に提供することができる。後述するように、これにより、第一者は、第二者と空間占有について交渉することが可能になる。
【0032】
以下では、代替案提供装置2000について、より詳細に説明する。
【0033】
<機能的構成の例>
図5は、代替案提供装置2000の機能的構成の一例を示す。この例では、代替案提供装置2000は、走査計画生成部2020と提供部2040とを備える。走査計画生成部2020はオリジナル占有計画を取得する。走査計画生成部2020は、走査計画がオリジナル占有計画と競合しないように、オリジナル占有計画に基づいて走査計画を生成する。走査計画生成部2020は、1つ又は複数の代替占有計画を生成する。走査計画生成部2020は、代替占有計画ごとに、対応する代替占有計画と競合しないように走査計画を生成する。提供部2040は、最大の効用の走査計画が代替占有計画に基づいて生成されたものである場合、最大の効用の走査計画の生成に利用された代替占有計画を、第二者に提供する。
【0034】
<ハードウエア構成の例>
代替案提供装置2000は、1つ以上のコンピュータによって実現されうる。一つ以上の各コンピュータは、代替案提供装置を実現するために製造された専用のコンピュータであってもよいし、パーソナルコンピュータ(PC: personal computer)、サーバマシン、又はモバイルデバイスなどの汎用コンピュータであってもよい。いくつかの実施態様において、代替案提供装置2000を実現する1つ以上のコンピュータは、移動物体10に組み込まれうる。この場合、代替案提供装置2000は、移動物体10に組み込まれる SoC(System on Chip)などの集積回路で実現されうる。
【0035】
代替案提供装置2000は、コンピュータにアプリケーションをインストールすることで実現されうる。そのアプリケーションは、コンピュータを代替案提供装置2000として機能させるプログラムで実現される。言い換えれば、そのプログラムは、代替案提供装置2000の機能構成部を実装したものである。
【0036】
図6は、代替案提供装置2000を実現するコンピュータ1000のハードウエア構成の例を示すブロック図である。
図6において、コンピュータ1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。
【0037】
バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が相互にデータの送信及び受信をするためのデータ通信路である。プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などといったプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)又は ROM(Read Only Memory)などの主記憶要素である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、又はメモリカードなどの補助記憶要素である。入出力インタフェース1100は、コンピュータ1000と周辺デバイス(キーボード、マウス、又はディスプレイデバイスなど)との間のインタフェースである。ネットワークインタフェース1120は、コンピュータ1000とネットワークとの間のインタフェースである。ネットワークは、LAN(Local Area Network)でもよいし、WAN(Wide Area Network)でもよい。
【0038】
ストレージデバイス1080は、前述したプログラムを格納しうる。CPU1040は、代替案提供装置2000の各機能構成部を実現するためにそのプログラムを実行する。
【0039】
コンピュータ1000は、
図6に示される構成に限定されない。例えば、前述したように、代替案提供装置2000は複数のコンピュータで実現されうる。この場合、それらのコンピュータは、ネットワークを介して互いに接続されうる。
【0040】
<処理のフロー>
図7は、代替案提供装置2000によって行われる処理の例示的なフローを示すフローチャートである。走査計画生成部2020はオリジナル占有計画を取得する(S102)。走査計画生成部2020は、オリジナル占有計画に基づいて走査計画を生成する(S104)。走査計画生成部2020は、1つ又は複数の代替占有計画を生成する(S106)。走査計画生成部2020は、代替占有計画ごとに、対応する代替占有計画に基づいて、走査計画を生成する(S108)。最大の効用の走査計画が代替占有計画に基づいて生成された場合、提供部2040は、最大の効用の走査計画に対応する代替占有計画を、第二者に提供する(S110)。
【0041】
図7に示す処理のフローは単なる一例であり、一部の構成の入れ替え、追加又は変更が可能である。いくつかの実施態様では、代替案提供装置2000は、代替占有計画を生成する前に、代替占有計画を生成する必要があるか否かを決定してもよく、代替占有計画を生成する必要があると決定された場合にのみ、ステップ106及び後続のステップを実行する。例えば、代替案提供装置2000は、代替占有計画を生成する前に、オリジナル占有計画に基づいて生成された走査計画の効用が十分に高い(例えば、閾値以上)か否かを決定してもよい。次いで、代替案提供装置2000は、オリジナル占有計画に基づいて生成された走査計画の効用が十分に高くないと決定された場合にのみ、ステップS106及び後続のステップを行う。一方、オリジナル占有計画に基づいて生成された走査計画の効用が十分に高い場合、ステップS106及び後続のステップは行われず、オリジナル占有計画に基づく走査計画が移動物体10に適用されてもよい。
【0042】
代替案提供装置2000によって行われる処理のフローのより具体的な例を、以下に説明する使用事例を用いて例示する。
【0043】
<使用事例>
代替走査計画は、第一者と第二者との間の交渉のために第二者に提供されてもよい。以下では、使用事例の一例として、代替案提供装置2000を用いた第一者と第二者との交渉を例示する。
【0044】
<<交渉の第1の例>>
この例では、交渉は第二者によって開始される。移動物体10の走査計画は、オリジナル占有計画が代替案提供装置2000に提供される前に生成される。この走査計画は「オリジナル走査計画」と呼ばれる。オリジナル走査計画がオリジナル占有計画と競合する場合、第二者は、第一者に交渉要求を送信することによって交渉を開始する。この交渉要求は、第一者にオリジナル走査計画の変更を依頼する変更要求を含む。
【0045】
いくつかの実施態様では、交渉要求を代替案提供装置2000に送信するのは、第二者によって管理される移動物体である。このような移動物体の一例は、空中空間を飛行して物品を配達する配達ドローンである。この場合、占有計画は、配達ドローンの配達のスケジュールを示す。代替案提供装置2000が移動物体10に実装されている(例えば、代替案提供装置2000が、移動物体10に組み込まれた集積回路として実装されている)場合、第一者の移動物体10及び第二者の移動物体は、互いのスケジュールの競合を解消するように自動的に交渉を行うと表現することができる。
【0046】
図8は、第1の例の交渉を第二者と行うために代替案提供装置2000によって行われる処理の例示的なフローを示すフローチャートである。まず、走査計画生成部2020は、第二者から交渉要求を受信する(S202)。この要求は、オリジナル占有計画を含む。交渉要求を受信した後、走査計画生成部2020は、オリジナル占有計画と競合しない走査計画を生成する(S204)。
【0047】
次いで、走査計画生成部2020は、この走査計画の効用が十分に高い(例えば、所定の閾値以上)か否かを確認し(S206)、それによって交渉要求が受付可能であるか否かを決定する。この走査計画の効用が十分に高い場合(S206:YES)、代替案提供装置2000は、交渉要求を受け付ける応答を第二者に送信する(S208)。この応答は、オリジナル走査計画、及びオリジナル占有計画に基づいて生成された走査計画を変更する要求を受け付ける指示を含んでもよい。オリジナル占有計画と競合しない走査計画が第一者から提供されるので、第二者は第一者からの応答を受け付けてもよく、これにより、第二者によって開始された交渉の合意がもたらされる。
【0048】
オリジナル占有計画に対応する走査計画の効用が十分に高くない場合(S206:NO)、第一者は交渉要求を受け付けない。次いで、走査計画生成部2020は、第二者への対案の提供を試みてもよい。対案は、オリジナル占有計画を効用が十分に高い走査計画の生成に利用された代替占有計画に変更する要求を含んでもよい。
【0049】
具体的には、走査計画生成部2020は、代替占有計画を生成し(S210)、代替占有計画ごとに走査計画を生成する(S212)。次いで、提供部2040は、最大の効用の走査計画を選択する(S214)。次いで、提供部2040は、第二者からの交渉要求に対する応答として、対案を第二者に送信する(S216)。対案は、選択した走査計画の生成に利用された代替占有計画を含んでもよい。さらに、対案は、更新された走査計画を第二者に通知するために、対案に含まれる代替占有計画に対応する走査計画を含んでもよい。
【0050】
第二者が対案を受け付けた場合、交渉は合意に達する。この場合、第一者は、第二者に提供された代替占有計画に対応する走査計画に基づいて走査動作を行うように移動物体10を管理する一方で、第二者は、代替案提供装置2000によって提供された代替占有計画に基づいて空間を占有する。
【0051】
いくつかの実施態様では、オリジナル走査計画に対応する走査計画の効用が十分に高くないと決定された場合(S206:NO)、代替案提供装置2000は、対案を提供する代わりに交渉要求を拒否してもよい。したがって、交渉は、効用が十分に高い走査計画をオリジナル占有計画に基づいて生成することが可能な場合にのみ、合意に達することができる。
【0052】
いくつかの実施態様では、代替案提供装置2000は、代替占有計画に基づいて生成された走査計画のいずれも効用が十分に高くない場合、第二者からの交渉要求を拒否してもよい。この場合、代替案提供装置2000は、最大の効用の走査計画を選択した(S214)後、選択した走査計画の効用が十分に高いか否かを確認する。選択した走査計画の効用が十分にない場合、代替案提供装置2000は、第二者からの交渉要求を拒否する。これは、代替案提供装置2000が適切な対案を生成するのに失敗(すなわち、効用が十分に高い走査計画の生成できるような代替占有計画の生成に失敗)した場合は、交渉が合意に達しないことを意味する。
【0053】
<<交渉の第2の例>>
この例では、第一者(代替案提供装置2000)は、必要に応じて第二者との交渉を開始する。交渉の第1の例と同様に、代替案提供装置2000との交渉を行うのは、第二者によって管理される移動物体であってもよい。例えば、移動物体10に一体化された代替案提供装置2000が、第二者の配達ドローンに要求を送信してもよい。
【0054】
図9は、第2の例の交渉を第二者と開始するために代替案提供装置2000によって行われる処理の例示的なフローを示すフローチャートである。まず、走査計画生成部2020はオリジナル占有計画を取得する(S302)。オリジナル占有計画は、記憶装置から読み出すなど、任意の方法で取得されてもよい。取得したオリジナル占有計画に基づいて、走査計画生成部2020は、オリジナル占有計画と競合しない走査計画を生成する(S304)。
【0055】
次いで、走査計画生成部2020は、この走査計画の効用が十分に高いか否かを確認する(S306)。この走査計画の効用が十分に高い場合(S306:YES)、オリジナル占有計画を修正することなく、効用が十分に高い走査計画を生成することができるので、第二者との交渉を開始する必要がない。
【0056】
一方、オリジナル占有計画に対応する走査計画の効用が十分に高くない場合(S306:NO)、代替案提供装置2000は、第二者との交渉を開始する。具体的には、走査計画生成部2020は、代替占有計画を生成し(S308)、代替占有計画ごとに走査計画を生成する(S310)。次いで、提供部2040は、最大の効用の走査計画を選択する(S312)。次いで、提供部2040は、第二者に占有計画の変更の要求を送信する(S314)。この要求は、選択した走査計画に対応する代替占有計画を含む。提供された代替占有計画に対応する走査計画を第二者に知らせるために、要求は、提供された代替占有計画に対応する走査計画も含むことが好ましい。
【0057】
以下では、
図7のフローチャートを参照して、代替案提供装置2000の各機能についてより詳細に説明する。
【0058】
<オリジナル占有計画の取得:S102>
走査計画生成部2020は、オリジナル占有計画を取得する(
図7のS102)。オリジナル占有計画を取得するには様々な方法がある。いくつかの実施態様では、走査計画生成部2020は、オリジナル占有計画が事前に記憶された記憶装置から読み出すことによって、オリジナル占有計画を取得する。これは、上述の交渉の第2の例に例示したように、第一者によって交渉が開始される場合でありうる。
【0059】
他の実施態様では、オリジナル占有計画は、別のコンピュータから代替案提供装置2000へ送信される。この場合、走査計画生成部2020は、他のコンピュータによって送信されたオリジナル占有計画を受信する。これは、上述の交渉の第1の例に例示したように、第二者によって交渉が開始される場合でありうる。
【0060】
<走査計画の生成:S104~S108>
走査計画生成部2020は、オリジナル占有計画及び代替占有計画の各々について走査計画を生成する(
図7のS104~S108)。具体的には、走査計画生成部2020は、オリジナル占有計画及び代替占有計画の各々について、対応する占有計画と競合しないように(すなわち、移動物体10が、対応する占有計画によって示された占有空間に進入することなく、割当空間20を走査するように予定されるように)、対応する占有計画に基づいて走査計画を生成する。代替占有計画もまた、走査計画生成部2020によって生成される。
【0061】
以下では、代替占有計画の生成の方法及び走査計画の生成の方法について説明する。
【0062】
<<代替占有計画の生成>>
代替占有計画は、オリジナル占有計画の一部を修正することによって生成される。占有計画は、その中の1つ又は複数のボリュームを修正することによって修正されうる。ボリュームは、空間に関して修正されてもよいし(すなわち、占有空間が修正されてもよい)、時間に関して修正されてもよいし(すなわち、期間が修正されてもよい)、その両方に関して修正されてもよい。例えば、ボリュームは、所与の経路の開始時刻を無作為に修正し、かつ進行の安全のために時間、空間又はその両方のマージンを経路に追加することによって、所与の経路に基づいて生成されうる。別の例では、ボリュームは、所与の経路の任意の点で任意の方向の動きを追加し、かつ進行の安全のために時間、空間又はその両方のマージンを経路に追加することによって、所与の経路に基づいて生成されうる。無作為な方法で所与の経路に基づいて同様のボリュームを生成するために、様々な他の方法があってもよい。
【0063】
ボリュームの占有空間に加えられる修正操作は、ボリュームの占有空間の一部分を除去することと、ボリュームの占有空間の一部分を転置することと、ボリュームの占有空間全体をシフトさせることとを含んでもよい。占有空間の一部分の転置は、占有空間の一部分を除去し、それを別の位置に移動させることによって実現することができる。なお、占有空間の一部分の転置は、占有空間の一部分のシフトをもたらす場合がある。また、占有空間の一部分は、オリジナル占有空間から分離された位置に転置されてもよい。
【0064】
図10は、ボリュームの占有空間に加えられる修正操作の例を示している。
図10の除去操作によって、オリジナル占有空間90の左上のグリッドが除去される。
図10の転置操作によって、オリジナル占有空間90の左上のグリッドが別の位置に転置される。
図10のシフト操作によって、オリジナル占有空間90全体が右方向に1グリッドだけシフトされる。
【0065】
同様に、ボリュームの期間に加えられる修正操作は、ボリュームの期間の一部分を除去することと、ボリュームの期間の一部分を転置することと、ボリュームの期間をシフトさせることとを含んでもよい。
図11は、ボリュームの期間に加えられる修正操作の例を示している。
図11では、オリジナルの期間は時刻t1~t2である。
【0066】
図11の除去操作によって、ta から t2 の期間(t1<ta<t2)がオリジナルの期間から除去される。
図11の転置操作によって、ta から t2の期間が、t3 から t4 に転置される。ta から t2 の持続時間は、t3 から t4 の持続時間に等しい。
図11のシフト操作によって、t1 から t2の期間が +d だけシフトされる。その結果、ボリュームのオリジナルの期間は、t1+d から t2+d の期間に変更される。
【0067】
なお、上述した修正操作は単なる例であり、ボリュームを修正することができる他の種類の操作を採用することができる。
【0068】
いくつかの実施態様では、走査計画生成部2020は、1つ又は複数の修正操作を無作為に加えることによって代替占有計画を生成する。具体的には、走査計画生成部2020は、修正対象の1つ又は複数のボリュームを無作為に選択する。選択されるボリュームの数は、走査計画生成部2020によって予め定義されていてもよいし、無作為に決定されてもよい。次いで、走査計画生成部2020は、選択したボリュームごとに、上述の1つ又は複数の修正操作を無作為に選択し、選択した修正操作を選択したボリュームに加える。選択した修正が占有空間もしくは期間の一部分を扱う場合、それらの部分は無作為に決定されてもよい。選択される部分の数及び各部分のサイズは、走査計画生成部2020によって予め定義されてもよいし、無作為に決定されてもよい。また、選択された部分が転置される位置、及び選択された部分がシフトされる位置は、走査計画生成部2020によって予め定義されてもよいし、無作為に決定されてもよい。
【0069】
なお、オリジナル占有計画が複数のボリュームを含む場合、オリジナル占有計画に対する修正はまた、1つ又は複数のボリュームの除去を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施態様では、オリジナル占有計画の修正は、無作為な態様ではなく予め定義された態様で行われてもよい。この場合、オリジナル占有計画に対する1つ又は複数の修正のセットは予め設定されていてもよく、走査計画生成部2020は、修正の事前設定ごとに代替占有計画を生成する。
【0071】
<<走査計画の生成>>
走査計画生成部2020は、対応する占有計画と競合しないように、占有計画ごとに走査計画を生成する。換言すれば、対応する占有計画によって示される占有空間に進入することなく、移動物体10が割当空間20を走査するように予定されるように、走査計画が生成される。
【0072】
走査計画を生成するために、走査計画生成部2020は、走査経路の1つ又は複数の候補(以下、候補経路と呼ぶ)を生成し、そのうちの1つを走査経路として選択する。走査経路は、経路探索アルゴリズムを使用して生成されてもよい。以下では、経路探索アルゴリズムの一例について詳細に説明する。なお、以下に説明するアルゴリズムは単なる例であり、時間ベースの障害物を扱うことができる他の経路探索アルゴリズムを採用することが可能である。
【0073】
図12は、1つ又は複数の候補経路を生成するための経路探索アルゴリズムを示すフローチャートである。このアルゴリズムは、探索ツリー分岐点を修正し(ステップS408)、バックトラック機構を実装する(ステップS412)A*アルゴリズムからなる。
【0074】
まず、走査計画生成部2020は、経路探索に用いる時間ベースのグリッドマップを作成する(S402)。時間ベースのグリッドマップは、移動物体10が走査動作を開始する開始セルと、移動物体が走査動作を終了する目標セルと、障害物によって占有され、かつ走査計画が進入できない占有セルとを示す。このグリッドマップでは、占有計画によって示される占有空間は占有セルのセットとして表される。占有空間は占有計画において経時的に変化する場合があるので、グリッドマップは、経時的に変化する占有セルを示すことができるように、時間ベースとして形成される。
【0075】
走査計画生成部2020は、占有計画を用いて、占有セルを時間ベースのグリッドマップに設定する。具体的には、占有計画によって示される期間において、占有計画によって示される占有空間に対応するセルのセットが占有セルとして設定される。さらに、壁などの恒久的な障害物に対応するセルは、恒久的に、すなわち、走査の開始から走査の終了まで、占有セルとして設定される。走査計画生成部2020はまた、目標セルからの距離を表す値を各セルに設定する。
【0076】
グリッドマップの作成後、走査計画生成部2020は、修正A*アルゴリズムを実行する(S404)。このアルゴリズムでは、コスト関数は経路の総持続時間を最小化し、探索は、値が最も高い近隣セルに優先順位を付ける。
【0077】
条件C402~C406のいずれか1つが満たされた場合、アルゴリズムは、満たされた条件に対応するステップに進む。経路探索が探索している次のセルが現在時刻において占有されている場合(C402が満たされている場合)、アルゴリズムは、以下の2つの可能性、すなわち、
(S408)占有セルが空になるのを待機すること、又は
(S410)他の未探索セルを探索すること
を探る(経路探索を分岐する(S406))。
【0078】
探索すべき残りの近隣セルがないために経路探索がブロックされると(C404が満たされる)、アルゴリズムは、発見した経路を、訪問されていない近隣セルを含むセルに到達するまでバックトラックする(S412)。
【0079】
経路探索が目標セルに到達し、割当空間20の所定の割合がカバーされた(C406が満たされた)場合、アルゴリズムは、発見した経路を候補経路として出力する(S414)。所定の割合は、割当空間20のほぼ全てがカバーされる状況を検出するように定義される。換言すれば、割当空間20のうちの所定の割合又はそれ以上がカバーされる状況は、割当空間20のほぼ全てがカバーされる状況として解釈される。経路によってカバーされる割当空間20の割合は、少なくとも1回訪問されたセルの数を割当空間20内のセルの総数で除算することによって計算されてもよい。以下では、割当空間20がカバーされる割合を「カバー率」と呼ぶ。
【0080】
割当空間20の全体がカバーされている場合(C408:YES)、アルゴリズムの実行は終了する。一方、カバーされていないセルがある場合(C408:NO)、アルゴリズムはステップS404に進み、経路探索を継続する。
【0081】
経路探索はステップS406で分岐し、全てのセルがカバーされるまで継続するので、アルゴリズムは複数の経路を出力してもよい。したがって、走査計画生成部2020は、経路探索の結果として複数の候補経路を取得してもよい。なお、アルゴリズムを終了するために他の条件が採用されてもよい。例えば、所定の数の候補経路が出力された場合、所定の時間が満了した場合などに、アルゴリズムを終了してもよい。
【0082】
複数の候補経路が得られた場合、走査計画生成部2020は、候補経路のうちの1つを、走査計画に含める走査経路として選択しうる。そのために、走査計画生成部2020は、効用関数を使用して各候補経路の効用スコアを計算し、効用スコアが最大の(すなわち、最大の効用の)候補経路を走査計画に含める走査経路として選択しうる。効用関数は、経路の移動時間がより短くなるにつれて、経路についてより大きい効用スコアを算出するように構成されうる。この場合、移動時間が最も短い候補計画が、最大の効用の候補経路として選択される。
【0083】
経路の移動時間は、移動物体10が経路に沿って出発地から目的地まで移動するのに要する時間である。簡単な方法として、経路の全長を移動物体10の速度で割ることによって、移動時間が計算されてもよい。移動物体10の速度は、移動時間を計算するために予め定義されてもよい。より具体的には、移動物体10は、前進だけでなく旋回するために(すなわち、方向を変更するために)も時間がかかるため、旋回にかかる合計時間もまた、移動時間に含められてもよい。移動物体10の速度及び旋回ごとの時間は、移動時間の算出のために予め定義されうる。
【0084】
移動時間に加えて、候補経路のカバー率が考慮されてもよい。経路のカバー率が大きいほど、第一者にとって好ましいと考えられる。したがって、効用関数は、経路のカバー率が大きくなるにつれて、より大きい効用スコアを算出するように構成されてもよい。経路のカバー率は、割当空間20内の位置の総数に対して経路によってカバーされる位置の数として計算されうる。
【0085】
いくつかの実施態様では、上述したように、走査計画は、走査ボリュームセットによって移動物体10の走査動作のスケジュールを表しうる。この場合、走査計画生成部2020は、各候補経路を走査ボリュームセットに変換し、最大の効用の走査ボリュームセットを選択し、かつ選択した走査ボリュームセットを走査計画に含めうる。各ボリュームは、進行の安全性のために、時間、空間又はその両方のマージンを対応する候補経路に追加することによって生成されてもよい。
【0086】
基本的に、経路を単一のボリュームに変換する場合、走査計画生成部2020は、その経路に基づいてボリュームの占有空間及び期間を決定する。占有空間に関して、経路を、経路の全体を含む占有空間に変換することができる。
図13は、ボリュームの経路から占有空間への変換の一例を示している。
図13では、経路100は、経路100の全体を含む占有空間110に変換される。
【0087】
候補経路が2D経路である一方で移動物体10が三次元的に移動(例えば、空中飛行)しうる場合、2D走査経路を3D占有空間に変換することが好ましい。この場合、例えば、移動物体10の高度(例えば、移動物体10の飛行高度)は予め定義されており、3D占有空間の高度の領域は所定の高度に基づいて決定される。例えば、3D占有空間の上限高度は、所定の高度に所定の幅を加えたものに設定され、3D占有空間の下限高度は、所定の高度から所定の幅を引いたものに設定される。
【0088】
期間に関して、経路から生成されるボリュームは、経路に応じた走査動作の全期間を含む期間を示す。したがって、ボリュームの期間は、走査動作の開始時刻に開始し、走査動作の終了時刻に終了するように設定されうる。
【0089】
競合の回避をより確実にするために、空間、時間又はその両方のマージンをボリュームに追加することが好ましい。具体的には、経路の全体を含めるために、ボリュームの占有空間を最小のものよりも大きく設定しうる。同様に、経路に応じた走査動作の期間全体を含めるために、ボリュームの期間を最短のものよりも長く設定しうる。
【0090】
候補経路を単一の走査ボリュームに変換する場合、走査計画生成部2020は上記で説明したように動作する。一方、候補経路を複数の走査ボリュームのセットに変換する場合、走査計画生成部2020は、候補経路を複数の副経路に分割し、各副経路を上述したように走査ボリュームに変換し、副経路に対応する全ての走査ボリュームを含む走査ボリュームセットを生成する。
【0091】
各候補経路を走査ボリュームセットに変換した後、走査計画生成部2020は、各走査ボリュームセットについて効用スコアを計算する。走査ボリュームセットの効用スコアは、走査ボリュームセットの最小走査時間を使用して表されてもよく、これは、走査ボリュームセットによって示される占有空間を走査するのに必要な予想最小時間である。走査ボリュームセットの効用スコアは、最小走査時間が短くなるにつれて大きくなるように計算されてもよい。
【0092】
走査ボリュームセットの最小走査時間は、走査ボリュームセット内の各ボリュームの最小走査時間の合計として計算されうる。ボリュームの最小走査時間は、以下の式(1)を使用して計算されうる。
【数1】
式中、T_ms[V]はボリューム V の最小走査時間を表し、D_ms[V]はボリューム V の占有空間をカバーする最小距離を表し、S は移動物体10の速度を表し、N_t[V] は、移動物体10がボリューム V の占有空間を走査するために行う旋回の数を表し、T_t は、移動物体10が1回旋回するのに要する旋回時間を表す。
【0093】
最小距離 D_ms[V] を、以下の式(2)を使用して計算してもよい。
【数2】
式中、N_c[V]は、ボリューム V の占有空間内のセルの数を表し、L_sd[V] はセルの最小寸法を表す。
【0094】
占有空間は、サイズが30m×40mのセルによって表されると仮定する。この場合、セルの最小寸法は30mである。
【0095】
旋回数 N_t[V]を、以下の式(3)を使用して計算してもよい。
【数3】
式中、N_sgd[V]は、最小グリッド寸法におけるセルの数を表す。
【0096】
占有空間は、グリッド寸法が7×5のグリッドである長方形の形状を形成すると仮定する。この場合、最小グリッド寸法のセルの数は5である。
【0097】
旋回時間 T_tを、以下の式(4)を使用して計算してもよい。
【数4】
式中、S は移動物体10の速度を表し、式中、A は移動物体10の加速度を表す。旋回時間はボリュームに依存しないため、走査計画生成部2020が参照することができるように、経路探索に先立って計算し、記憶装置に記憶しておくことができる。
【0098】
最小走査時間の計算の一例を、
図14を参照して以下に説明する。
図14は、最小走査時間が算出されたボリュームの占有空間を示す。
図14の占有空間110のグリッド寸法は7×5である。各セルのサイズは30m×40mである。移動物体10の速度は17[m/s] であり、加速度は 6.2[m/s^2] である。この場合、最小走査時間は、
図14に示すように式(1)~(4)を使用して計算される。
【0099】
走査ボリュームセットの効用もまた、走査ボリュームセットのカバー率を考慮して計算されてもよい。走査ボリュームセットのカバー率は、走査ボリュームセットの占有空間内の位置の総数を、割当空間20内の位置の総数で除算することによって計算することができる。走査ボリュームセットの効用スコアは、走査ボリュームセットのカバー率が高くなるにつれて大きくなるように計算されてもよい。
【0100】
<代替占有計画の提供:S110>
最大の効用の走査計画が、オリジナル占有計画に基づかずに代替占有計画に基づいて生成された場合、この代替占有計画は、第一者にとってオリジナル占有計画よりも好ましい。したがって、提供部2040は、選択した走査計画(すなわち、最大の効用の走査計画の生成に利用された代替占有計画)に対応する代替占有計画を、第二者に提供する。
【0101】
代替占有計画を第二者に提供する方法は様々である。いくつかの実施態様では、提供部2040は、代替占有計画を含むメッセージを第二者に送信しうる。他の実施態様では、提供部2040は、代替占有計画を、第二者と共有される記憶装置に格納しうる。この場合、第二者は、代替占有計画を記憶装置から取得することができる。代替占有計画が記憶装置に記憶されていることを、第二者に通知することが好ましい。この通知は、提供部2040によって行われてもよいし、記憶装置によって行われてもよい。
【0102】
代替占有計画が第二者に提供される状況は様々である。例えば、交渉の第1の例において上記で例示したように、代替占有計画は対案として第二者に提供される。別の例では、交渉の第2の例において上記に例示したように、代替占有計画は、占有計画の変更の要求として第二者に提供される。
【0103】
上記に説明した実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は、上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲内で、当業者が理解することができる様々な変更を本開示の構成および詳細について行うことができる。
【0104】
本開示で言及されるプログラムは、コンピュータにロードされると、実施形態において説明した機能のうちの1つまたは複数をコンピュータに実行させる命令(またはソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体または有形の記憶媒体に記憶されてもよい。限定ではなく例として、非一時的なコンピュータ可読媒体または有形記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD)または他の種類のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスクまたは他の種類の光ディスク記憶装置、および磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の種類の磁気記憶装置を含むことができる。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体または通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体または通信媒体は、電気的、光学的、音響的または他の形態の伝搬信号を含むことができる。
【0105】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
<付記>
(付記1)
代替案提供装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を記憶するメモリとを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行して、
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画を生成し、前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されるオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供するように構成される、代替案提供装置。
(付記2)
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、付記1に記載の代替案提供装置。
(付記3)
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第二者から交渉要求をさらに受信する前記命令を実行するように構成され、前記交渉要求は、オリジナルの走査計画の変更の要求であり、かつ、前記オリジナルの占有計画を含み、前記オリジナルの走査計画は、前記交渉要求の受信前に生成された前記走査計画であり、
前記代替占有計画の提供は、前記交渉要求に対する応答を前記第二者に送信することを含み、前記応答は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、付記2に記載の代替案提供装置。
(付記4)
前記代替占有計画の提供は、交渉要求を前記第二者に送信することを含み、前記交渉要求は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、付記2に記載の代替案提供装置。
(付記5)
前記走査計画の効用は、前記走査計画に従って前記割当空間を走査するのに必要な時間が減少するにつれて増加する、付記1から4のいずれか一項に記載の代替案提供装置。
(付記6)
前記走査計画の効用は、前記走査計画に基づいて前記移動物体によって走査される前記割当空間の割合が増加するにつれて増加する、付記1から5のいずれか一項に記載の代替案提供装置。
(付記7)
コンピュータによって実行される制御方法であって、
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画することを含み、前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されたオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供することを含む、制御方法。
(付記8)
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、付記7に記載の制御方法。
(付記9)
前記第二者から交渉要求を受信することをさらに含み、前記交渉要求は、オリジナルの走査計画の変更の要求であり、かつ、前記オリジナルの占有計画を含み、前記オリジナルの走査計画は、前記交渉要求の受信前に生成された前記走査計画であり、
前記代替占有計画の提供は、前記交渉要求に対する応答を前記第二者に送信することを含み、前記応答は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、付記8に記載の制御方法。
(付記10)
前記代替占有計画の提供は、交渉要求を前記第二者に送信することを含み、前記交渉要求は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、付記8に記載の制御方法。
(付記11)
前記走査計画の効用は、前記走査計画に従って前記割当空間を走査するのに必要な時間が減少するにつれて増加する、付記7から10のいずれか一項に記載の制御方法。
(付記12)
前記走査計画の効用は、前記走査計画に基づいて前記移動物体によって走査される前記割当空間の割合が増加するにつれて増加する、付記7から11のいずれか一項に記載の制御方法。
(付記13)
コンピュータに、
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画することを実行させ、前記走査計画は、占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されたオリジナルの占有計画であり、前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供することとを実行させるプログラムが格納されている、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記14)
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、付記13に記載の記憶媒体。
(付記15)
前記プログラムが前記コンピュータに、前記第二者から交渉要求を受信することをさらに実行させ、前記交渉要求は、オリジナルの走査計画の変更の要求であり、かつ、前記オリジナルの占有計画を含み、前記オリジナルの走査計画は、前記交渉要求の受信前に生成された前記走査計画であり、
前記代替占有計画の提供は、前記交渉要求に対する応答を前記第二者に送信することを含み、前記応答は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、付記14に記載の記憶媒体。
(付記16)
前記代替占有計画の提供は、交渉要求を前記第二者に送信することを含み、前記交渉要求は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、付記14に記載の記憶媒体。
(付記17)
前記走査計画の効用は、前記走査計画に従って前記割当空間を走査するのに必要な時間が減少するにつれて増加する、付記13から16のいずれか一項に記載の記憶媒体。
(付記18)
前記走査計画の効用は、前記走査計画に基づいて前記移動物体によって走査される前記割当空間の割合が増加するにつれて増加する、付記13から17のいずれか一項に記載の記憶媒体。
【0106】
本出願は、2021年11月1日に出願された日本国特許出願第2021-178628号を基礎とする優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0107】
10 移動物体
20 割当空間
30 走査計画
32 物体識別子
34 走査経路テーブル
36 訪問時刻
38 位置
40 占有計画
41 当事者識別子
42 ボリュームテーブル
43 ボリューム識別子
44 期間
45 占有空間
50 走査経路
90 占有空間
100 経路
110 占有空間
1000 コンピュータ
1020 バス
1040 プロセッサ
1060 メモリ
1080 ストレージデバイス
1100 入出力インタフェース
1120 ネットワークインタフェース
2000 代替案提供装置
2020 走査計画生成部
2040 提供部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画を生成し、
前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、
前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、
前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されるオリジナルの占有計画であり、
前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供す
る、代替案提供装置。
【請求項2】
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、請求項1に記載の代替案提供装置。
【請求項3】
前記第二者から交渉要求をさらに受信
し、
前記交渉要求は、オリジナルの走査計画の変更の要求であり、かつ、前記オリジナルの占有計画を含み、
前記オリジナルの走査計画は、前記交渉要求の受信前に生成された前記走査計画であり、
前記代替占有計画の提供は、前記交渉要求に対する応答を前記第二者に送信することを含み、
前記応答は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項2に記載の代替案提供装置。
【請求項4】
前記代替占有計画の提供は、交渉要求を前記第二者に送信することを含み、
前記交渉要求は、前記オリジナルの占有計画を、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画に変更する要求を含む、請求項2に記載の代替案提供装置。
【請求項5】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に従って前記割当空間を走査するのに必要な時間が減少するにつれて増加する、請求項1から4のいずれか一項に記載の代替案提供装置。
【請求項6】
前記走査計画の効用は、前記走査計画に基づいて前記移動物体によって走査される前記割当空間の割合が増加するにつれて増加する、請求項1から5のいずれか一項に記載の代替案提供装置。
【請求項7】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画することを含み、
前記走査計画は、前記占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、
前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、
前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されたオリジナルの占有計画であり、
前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供することを含む、制御方法。
【請求項8】
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
複数の占有計画のそれぞれについて第一者の移動物体の走査計画することを
コンピュータに実行させ、
前記走査計画は、占有計画によって示される第二者によって占有される空間に進入することなく割当空間を走査するための前記移動物体のスケジュールを示し、
前記占有計画は、前記第二者がいつ及びどの空間を占有するかを示し、
前記占有計画のうちの1つは、前記第二者によって提供されたオリジナルの占有計画であり、
前記オリジナルの占有計画以外の前記占有計画は、前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された代替占有計画であり、
前記代替占有計画のうちの1つに基づいて最大の効用の前記走査計画が生成された場合に、最大の効用の前記走査計画の生成に利用された前記代替占有計画を前記第二者に提供することとを
前記コンピュータに実行させるプログラ
ム。
【請求項10】
前記走査計画の生成は、
前記オリジナルの占有計画に基づいて前記走査計画を生成することと、
前記オリジナルの占有計画に基づいて生成された前記走査計画の前記効用が閾値よりも低い場合に、さらに
前記オリジナルの占有計画を修正することによって1つ又は複数の代替占有計画を生成することと、
前記代替占有計画の各々について前記走査計画を生成することとを含む、請求項
9に記載の
プログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
図2は、割当空間の走査の一例を示している。
図2では、割当空間20は、2Dグリッドマップを用いて表現される2D空間の一部である。
グリッドは、移動物体10が訪問することができる位置の単位を表している。移動物体10は、走査経路50に沿って、割当空間20を形成するグリッドの全て又はほぼ全てを訪問することによって、割当空間20を走査する。なお、本開示では、空間は、2D空間ではなく3D空間によって表されてもよい。この場合、割当空間20は3Dグリッドマップを使用して表されうる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
ストレージデバイス1080は、前述したプログラムを格納しうる。プロセッサ1040は、代替案提供装置2000の各機能構成部を実現するためにそのプログラムを実行する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
いくつかの実施態様では、代替案提供装置2000は、代替占有計画に基づいて生成された走査計画のいずれも効用が十分に高くない場合、第二者からの交渉要求を拒否してもよい。この場合、代替案提供装置2000は、最大の効用の走査計画を選択した(S214)後、選択した走査計画の効用が十分に高いか否かを確認する。選択した走査計画の効用が十分に高くない場合、代替案提供装置2000は、第二者からの交渉要求を拒否する。これは、代替案提供装置2000が適切な対案を生成するのに失敗(すなわち、効用が十分に高い走査計画の生成できるような代替占有計画の生成に失敗)した場合は、交渉が合意に達しないことを意味する。
【国際調査報告】