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特表2024-537568裏面損傷軽減のためのチャンバとコーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-11
(54)【発明の名称】裏面損傷軽減のためのチャンバとコーティング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20241004BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241004BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241004BHJP
   C23C 16/01 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/68 R
H01L21/302 101C
H01L21/302 101H
H01L21/302 101B
C23C16/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515847
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022042650
(87)【国際公開番号】W WO2023038903
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】17/473,821
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】テデスキ, レナード エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスワーミ, カーティク
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ, ベンジャミン シーイー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チャンコン
(72)【発明者】
【氏名】フィロズドル, ヴァヒド
(72)【発明者】
【氏名】バンダ, サマンス
(72)【発明者】
【氏名】コウ, テン-ファン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030AA10
4K030BA27
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA05
4K030DA06
4K030DA08
4K030EA04
4K030FA01
4K030GA02
4K030GA12
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA09
4K030LA15
5F004BA04
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5F004BB26
5F004BB29
5F004BC06
5F004BD01
5F004CA04
5F045AA08
5F045AB07
5F045AB32
5F045AC00
5F045AC01
5F045AC02
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC07
5F045AC11
5F045AD05
5F045AE01
5F045BB00
5F045BB11
5F045BB15
5F045DP05
5F045DQ10
5F045EF02
5F045EF15
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5F045EH11
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5F045EM05
5F045HA13
5F045HA14
5F131AA02
5F131CA09
5F131CA12
5F131EB11
(57)【要約】
半導体処理の方法は、半導体処理チャンバの処理領域内に炭素含有材料のプラズマを形成することを含み得る。この方法は、半導体処理チャンバの処理領域内に収容された基板の裏面に炭素含有材料を堆積させることを含み得る。基板の前面は、炭素含有材料が実質的にない状態に維持され得る。この方法は、基板の前面にエッチングプロセスを実行することを含み得る。この方法は、基板の裏面から炭素含有材料を除去することを含み得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理の方法であって、
半導体処理チャンバの処理領域内に炭素含有材料のプラズマを形成することと、
前記半導体処理チャンバの前記処理領域内に収容された基板の裏面に炭素含有材料を堆積させることであって、前記基板の前面は、炭素含有材料が実質的にない状態に維持される、炭素含有材料を堆積させることと、
前記基板の前記前面にエッチングプロセスを実行することと、
前記基板の前記裏面から前記炭素含有材料を除去することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記半導体処理チャンバが、第1のチャンバであり、前記方法は、
前記堆積の後に、前記基板を、前記エッチングプロセスが実行される第2のチャンバに移送すること、
を含む、請求項1に記載の半導体処理の方法。
【請求項3】
前記エッチングプロセスの後に、前記基板を、前記除去が実行される前記第1のチャンバに戻すこと、
をさらに含む、請求項2に記載の半導体処理の方法。
【請求項4】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバは、単一の処理プラットフォーム上に収容されている、請求項3に記載の半導体処理の方法。
【請求項5】
前記基板の前記裏面から前記炭素含有材料を除去することは、
酸素含有材料のプラズマを形成することと、
前記基板の前記裏面から前記炭素含有材料をエッチングすることと、
を含む、請求項1に記載の半導体処理の方法。
【請求項6】
前記基板は、ケイ素含有材料を含む第1の裏面コーティングを含み、前記炭素含有材料は、前記ケイ素含有材料の上に堆積される、請求項1に記載の半導体処理の方法。
【請求項7】
前記半導体処理チャンバは、
基板支持体であって、前記基板が、前記基板の外縁部の周りで前記基板支持体上に着座し、前記半導体処理チャンバが、前記基板支持体上に着座した前記基板の下に空間を画定する、基板支持体、
を備える、請求項1に記載の半導体処理の方法。
【請求項8】
前記炭素含有材料の前記プラズマは、前記基板支持体上に着座した前記基板の下の前記空間に形成される、請求項7に記載の半導体処理の方法。
【請求項9】
基板支持体を備える半導体処理チャンバであって、
前記基板支持体は、
半導体基板を前記半導体基板の周縁部で支持するように働くことができる環状シートを画定するプラットフォームであって、前記環状シート内に延びる内部凹部を画定するプラットフォーム、および
ウェハを着座させるように、または前記内部凹部内にプラズマを発生させるように働くことができる1つ以上の電極、
を備える、半導体処理チャンバ。
【請求項10】
前記プラットフォームは、前記内部凹部を画定する凹型ベースを備え、前記1つ以上の電極は、
誘導結合プラズマコイルとして働くことができるコイルとして前記凹型ベースの周りに延びる電極、
を含む、請求項9に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項11】
前記凹型ベースは、誘電体材料を含む、請求項10に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項12】
前記プラットフォームは、前記環状シート内に電極を備え、前記電極は、前記半導体基板のための静電チャックとして働くことができる、請求項9に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項13】
前記プラットフォームは、前記内部凹部を画定する凹型ベースを備え、前記凹型ベースは、前記環状シートに対して接地され、容量結合プラズマが、前記内部凹部内に形成可能である、請求項12に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項14】
前記半導体処理チャンバは、前記内部凹部内に延びるトロイダルプラズマループの一部を備え、プラズマ放出物を前記内部凹部内に供給するように働くことができる、請求項9に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項15】
前記トロイダルプラズマループの一部が、前記半導体処理チャンバの外側に延びている、請求項14に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項16】
前記半導体処理チャンバの外側に延びている前記トロイダルプラズマループの前記一部は、前駆体供給のためのアクセス口を画定する、請求項15に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項17】
前記基板支持体は、前記内部凹部に前駆体を供給するための1つ以上のアクセス口を画定する、請求項9に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項18】
前記基板支持体は、前記内部凹部から排気するための1つ以上のアクセス口を画定する、請求項9に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項19】
半導体処理の方法であって、前記方法は、
半導体処理チャンバの処理領域内に炭素含有材料のプラズマを形成することであって、前記半導体処理チャンバは、基板支持体を備え、前記基板支持体は、
半導体基板を前記半導体基板の周縁部で支持するように働くことができる環状シートを画定するプラットフォームであって、前記環状シート内に延びる内部凹部を画定するプラットフォーム、および
基板を着座させるように、または前記内部凹部内にプラズマを発生させるように働くことができる1つ以上の電極、
を備える、プラズマを形成することと、
前記半導体処理チャンバの前記処理領域内に収容された基板の裏面に炭素含有材料を堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記基板の前面は、前記堆積の間、炭素含有材料が実質的にない状態に維持され、前記方法は、
前記基板の前記前面にエッチングプロセスを実行することと、
前記基板の前記裏面から前記炭素含有材料を除去することと、
をさらに含む、請求項19に記載の半導体処理の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年9月13日に出願され、「CHAMBERS AND COATINGS FOR REDUCING BACKSIDE DAMAGE」と題された米国出願第17/473,821号の利益および優先権を主張するものであり、その内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
[0002] 本技術は、半導体システム、プロセス、および装置に関する。より具体的には、本技術は、支持アセンブリ上の基板を保護するプロセスとシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 多くの基板処理システムは、半導体基板処理中にウェハを保持するために、ベースと組み合わせた静電チャックなどの基板支持体を使用する。埋め込み電極が、ウェハまたは基板を基板支持体に静電チャックすることができる。電極には電圧を印加することができ、これによりクランプ力が得られる。しかし、このクランプ力は、基板に裏面損傷を与える可能性があり、また、その後の処理で問題となる裏面パーティクルを発生させる可能性もある。
【0004】
[0004] したがって、処理チャンバおよび構成部品の寿命および性能を改善するために使用できる、改善されたシステムおよび方法が必要とされている。これらおよびその他の要求が、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 半導体処理の方法は、半導体処理チャンバの処理領域内に炭素含有材料のプラズマを形成することを含み得る。この方法は、半導体処理チャンバの処理領域内に収容された基板の裏面に炭素含有材料を堆積させることを含み得る。基板の前面(表側)は、炭素含有材料が実質的にない状態に維持され得る。この方法は、基板の前面にエッチングプロセスを実行することを含み得る。この方法は、基板の裏面から炭素含有材料を除去することを含み得る。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、半導体処理チャンバは第1のチャンバであってもよく、この方法は、堆積に続いて、基板を、エッチングプロセスが実行され得る第2のチャンバに移送することを含み得る。この方法は、エッチングプロセスに続いて、基板を、除去が実行され得る第1のチャンバに戻すことを含み得る。第1のチャンバと第2のチャンバは、単一の処理プラットフォーム上に収容することができる。基板の裏面から炭素含有材料を除去することは、酸素含有材料のプラズマを形成することを含み得る。基板の裏面から炭素含有材料を除去することは、基板の裏面から炭素含有材料をエッチングすることを含み得る。基板は、ケイ素含有材料を含む第1の裏面コーティングを含むことができる。炭素含有材料は、ケイ素含有材料の上に堆積させることができる。半導体処理チャンバは、基板支持体を含むことができる。基板は、基板の外縁部の周りで基板支持体上に着座させることができる。半導体処理チャンバは、基板支持体上に着座した基板の下に空間を画定することができる。炭素含有材料のプラズマは、基板支持体上に着座した基板の下の空間に形成することができる。
【0007】
[0007] 本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理チャンバを包含し得る。チャンバは、基板支持体を含むことができる。基板支持体は、半導体基板の周縁部の周りで半導体基板を支持するように働くことができる環状シートを画定するプラットフォームを含むことができる。プラットフォームは、環状シート内に延びる内部凹部を画定することができる。基板支持体は、ウェハを着座させるか、または内部凹部内にプラズマを発生させるように働くことができる1つ以上の電極を含むことができる。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、プラットフォームは、内部凹部を画定する凹型ベースを含むことができる。1つ以上の電極は、誘導結合プラズマコイルとして働くことができるコイルとして凹型ベースの周りに延びる電極を含むことができる。凹型ベースは、誘電体材料であってもよいし、誘電体材料を含んでもよい。プラットフォームは、環状シート内に電極を含むことができる。電極は、半導体基板の静電チャックとして働くことができる。プラットフォームは、内部凹部を画定する凹型ベースを含むことができる。凹型ベースは、環状シートに対して接地していてもよい。容量結合プラズマが、内部凹部内に形成可能であり得る。半導体処理チャンバは、内部凹部内に延びるトロイダルプラズマループの一部を含むことができる。チャンバは、プラズマ放出物を内部凹部内に供給するように働くことができる。トロイダルプラズマループの一部が、半導体処理チャンバの外側に延びていてもよい。半導体処理チャンバの外側に延びるトロイダルプラズマループの一部は、前駆体供給のためのアクセス口を画定することができる。基板支持体は、内部凹部内に前駆体を供給するための1つ以上のアクセス口を画定することができる。基板支持体は、内部凹部から排気(排出)するための1つ以上のアクセス口を画定することができる。
【0009】
[0009] 本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理の方法を包含し得る。この方法は、半導体処理チャンバの処理領域内に炭素含有材料のプラズマを形成することを含み得る。半導体処理チャンバは、基板支持体を含むことができる。基板支持体は、半導体基板の周縁部の周りで半導体基板を支持するように働くことができる環状シートを画定するプラットフォームを含むことができる。プラットフォームは、環状シート内に延びる内部凹部を画定することができる。基板支持体は、基板を着座させるか、または内部凹部内にプラズマを発生させるように働くことができる1つ以上の電極を含むことができる。この方法は、半導体処理チャンバの処理領域内に収容された基板の裏面に炭素含有材料を堆積させることを含み得る。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、基板の前面は、堆積の間、炭素含有材料が実質的にない状態に維持され得る。この方法は、基板の前面にエッチングプロセスを実行することを含み得る。この方法は、基板の裏面から炭素含有材料を除去することを含み得る。
【0011】
[0011] このような技術は、従来のシステムや技術に比べて多くの利点を提供することができる。例えば、これらのプロセスは、裏面パーティクルを低減または制限することで、下流の処理を容易にすることができる。さらに、本技術のいくつかの実施形態による処理チャンバは、基板の裏面に保護膜を形成する一方で、ウェハの前面への形成を制限または防止することができる。これらの実施形態および他の実施形態が、それらの多くの利点および特徴とともに、以下の説明および添付の図と併せてより詳細に説明される。
【0012】
[0012] 開示された技術の性質および利点のさらなる理解が、明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの概略上面図を示す。
図2】本技術のいくつかの実施形態による半導体処理方法における選択された作業を示す。
図3】本技術のいくつかの実施形態による半導体処理方法における選択された作業を示す。
図4】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの概略断面図を示す。
図5】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの概略断面図を示す。
図6】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0019] いくつかの図は、概略図として含まれている。図は説明のためのものであり、特に記載がない限り、一定の縮尺と見なされるべきではない、ということを理解されたい。さらに、図は概略図として理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較して全ての特徴や情報が含まれていない場合があり、説明のために誇張された内容が含まれている場合がある。
【0015】
[0020] 添付の図において、類似の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有する場合がある。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、類似の構成要素を区別する文字が参照ラベルの後に続くことによって区別することができる。最初の参照ラベルのみが明細書で使用されている場合、その説明は、文字に関係なく、同じ最初の参照ラベルを持つ類似の構成要素のいずれにも適用される。
【0016】
[0021] プラズマエッチングプロセスは、基板からの材料除去を促進するために、1種以上の構成前駆体にエネルギーを与えることができる。適切にクランプされていないと、プロセスの条件によって、基板が外れたり、ずれたりすることがある。さらに、基板上に形成された膜が、基板に応力を引き起こす可能性がある。例えば、複雑な構造体を製造するために、より多くの膜を処理が含むにつれて、より厚い材料層が基板上に形成され得る。これらの形成された膜は、基板に作用する内部応力によって特徴付けられ得る。これにより、処理中に基板が反る可能性があり、制御されていない場合、除去の均一性が損なわれ、デバイスの損傷や誤動作につながる可能性もある。
【0017】
[0022] 静電チャックを使用して、基板に対するクランプ作用を生じさせ、反り応力に打ち勝ち、エッチングプロセス中に基板を維持することができる。しかし、これらのデバイス構造体が厚く複雑になるにつれ、基板に作用する応力は増大し、それに比例してチャック電圧の増加が必要となる場合がある。加えて、多くのエッチングプロセスは、チャンバの構成部品にさらに影響を与える比較的高い温度で行われることがある。例えば、いくつかのエッチング作用は、数百度以上の温度で行われ、これにより、基板が半径方向外側に熱膨張することがある。この膨張は、チャック電圧の増加と相まって、基板支持体と接触している半導体基板の裏面にスクラッチを形成したり、下にあるチャック本体からパーティクルを除去したりする原因となる可能性がある。
【0018】
[0023] 非限定的な一例として、多くのプロセスは、チャンバ内のコーティングを利用することができ、このコーティングは、半導体処理中にチャンバ部品を保護する働きをすることができる。しかし、このコーティングは、ウェハと相互作用する可能性がある。例えば、酸化物チャンバコーティングが、静電チャック全体に広がっていることがある。基板は、チャックとコーティングの上に配置することができる。酸化物層は、高い親水性によって特徴付けられ得るので、この物質と、この物質に対してクランプされ強制的に拘束され得る基板との間に、ある量のスティクションが発生し得る。クランプ後、基板がチャンバ温度に順応すると、熱膨張によって、ある量の酸化物層コーティングがコーティングの他の部分から分離し、デチャック後に粒子状物質として基板の裏面に付着することがある。
【0019】
[0024] このようなスクラッチやパーティクルは、複数の課題を引き起こす可能性がある。例えば、ある基板が処理から取り出され、前面開口一体型ポッド内で他の処理済み基板と交換されるとき、接触から発生したパーティクルが、下にある基板に落下することがあり、このパーティクルは、下にある基板の形成された膜における欠陥として作用することがある。加えて、この損傷により、その後の処理に影響が出る場合もある。例えば、その後の作業にはリソグラフィが含まれる。裏面の損傷は、基板を通る投影ビームの変位を引き起こす可能性があり、それがリソグラフィプロセスに影響を与える可能性があり、あるいはパーティクルが、センシティブなリソグラフィベースに衝撃を与えたり、損傷を与えたりする可能性がある。このような問題は、従来の技術に制限を与え、その後の処理への影響によるウェハの損失や、リソグラフィ部品の損傷を引き起こしてきた。本技術は、静電チャックコーティングからの裏面パーティクルを制限する洗浄作業を行うことで、これらの課題を克服している。さらに、本技術は、より疎水性のコーティングを基板の裏面に形成することを含むことができ、このコーティングは、ある量の潤滑性を熱膨張時に提供し、裏面の損傷やパーティクルの発生から基板を保護することができる。これにより、処理中、特に高温時において、基板保護が改善され得る。
【0020】
[0025] 残りの開示は、開示された技術を利用した特定のエッチングおよび洗浄プロセスをルーチン的に特定するが、システムおよび方法は、記載されたチャンバ内で起こり得る他の様々なプロセスにも同様に適用可能であることが容易に理解されるであろう。したがって、この技術は、記載されたエッチングまたは洗浄プロセスのみでの使用に限定されるものと考えられるべきではない。本開示では、本技術のいくつかの実施形態による例示的なプロセスシーケンスのシステム、チャンバ、および方法または作業について説明する前に、本技術で使用できる可能性のある1つのシステムについて説明する。この技術は、記載された装置に限定されるものではなく、論じられたプロセスは、任意の数の処理チャンバおよびシステムで実行され得ることを理解されたい。
【0021】
[0026] 図1は、実施形態による、堆積、エッチング、ベーキング、および/または硬化チャンバの処理システム10の一実施形態の上面図を示す。図1に描かれたツールまたは処理システム10は、複数のプロセスチャンバ24a~d、移送チャンバ20、サービスチャンバ26、統合計測チャンバ28、および一対のロードロックチャンバ16a~bを含むことができる。プロセスチャンバは、任意の数の構造体または構成要素、ならびに任意の数または組み合わせの処理チャンバを含むことができる。
【0022】
[0027] チャンバ間で基板を搬送するために、移送チャンバ20は、ロボット搬送機構22を含むことができる。搬送機構22は、伸縮可能アーム22bの遠位端にそれぞれ取り付けられた一対の基板搬送ブレード22aを有することができる。ブレード22aは、個々の基板をプロセスチャンバへ、またはプロセスチャンバから搬送するために使用することができる。動作中、搬送機構22のブレード22aなどの基板搬送ブレードの1つが、チャンバ16a~bなどのロードロックチャンバの1つから基板Wを取り出し、基板Wを処理の第1段階、例えばチャンバ24a~d内での後述するような処理プロセスに、搬送することができる。チャンバは、記載された技術の個々のまたは組み合わされた作業を実行するように含めることができる。例えば、1つ以上のチャンバが堆積またはエッチング作業を行うように構成される一方で、1つ以上の他のチャンバが、記載された前処理作業および/または1つ以上の後処理作業を行うように構成されてもよい。本技術には任意の数の構成が含まれており、それらもまた、半導体処理で一般的に実行される任意の数の追加の製造作業を実行することができる。
【0023】
[0028] チャンバが占有されている場合、ロボットは、処理が完了するまで待機し、その後、処理された基板を1つのブレード22aでチャンバから取り出し、第2のブレードで新しい基板を挿入することができる。基板が処理されると、基板を第2段階の処理に移動させることができる。各移動において、搬送機構22は、一般に、基板を搬送している1つのブレードと、基板交換を実行するための空の1つのブレードとを有することができる。搬送機構22は、交換が完了するまで各チャンバで待機することができる。
【0024】
[0029] プロセスチャンバ内で処理が完了すると、搬送機構22は、基板Wを最後のプロセスチャンバから移動させ、基板Wをロードロックチャンバ16a~b内のカセットに搬送することができる。ロードロックチャンバ16a~bから、基板は、ファクトリインターフェース12に移動することができる。ファクトリインターフェース12は、一般に、大気圧の清浄な環境にあるポッドローダ14a~dとロードロックチャンバ16a~bとの間で基板を移送するように動作することができる。ファクトリインターフェース12内の清浄な環境は、一般に、例えばHEPA濾過などの空気濾過プロセスを通じて提供され得る。ファクトリインターフェース12は、処理前に基板を適切に位置合わせするために使用される基板オリエンタ/アライナーも含むことができる。ロボット18a~bなどの少なくとも1つの基板ロボットが、ファクトリインターフェース12内の様々な位置/場所間で、およびそれと連通する他の場所に基板を搬送するために、ファクトリインターフェース12内に配置され得る。ロボット18a~bは、ファクトリインターフェース12内の軌道システムに沿って、ファクトリインターフェース12の第1の端部から第2の端部まで移動するように構成されていてもよい。
【0025】
[0030] 処理システム10は、制御信号を提供するための統合計測チャンバ28をさらに含むことができ、制御信号は、処理チャンバ内で実行されている任意のプロセスに対して適応制御を提供することができる。統合計測チャンバ28は、厚さ、粗さ、組成などの様々な膜特性を測定するための様々な計測装置のいずれかを含むことができ、計測装置は、さらに、自動化された方法で、真空下において、限界寸法、側壁角度、フィーチャ高さなどのグレーティングパラメータを特徴付けることができてもよい。
【0026】
[0031] 処理チャンバ24a~dの各々は、半導体構造体の製造において1つ以上のプロセスステップを実行するように構成されてもよく、任意の数の処理チャンバおよび処理チャンバの組み合わせが、マルチチャンバ処理システム10上で使用されてもよい。例えば、いずれの処理チャンバも、周期的層堆積、原子層堆積、化学気相堆積、物理気相堆積を含む任意の数の堆積プロセスを含む多数の基板処理作業、ならびにエッチング、前洗浄、前処理、後処理、アニール、プラズマ処理、脱ガス、配向、および他の基板プロセスを含む他の作業を実行するように構成され得る。任意のチャンバで、あるいはチャンバの任意の組み合わせで実行され得る具体的なプロセスとしては、シーズニング堆積、表面洗浄および準備、急速熱処理などの熱アニール、プラズマ処理などがある。当業者には容易に理解されるであろうが、マルチチャンバ処理システム10に組み込まれた特定のチャンバにおいて、以下に説明する任意のプロセスを含む他の任意のプロセスを同様に実行することができる。
【0027】
[0032] 上記で説明した処理システムは、本技術の実施形態による方法中に使用され得る。図2は、半導体基板を処理する方法200を示し、その作業は、例えば、先に説明したようなマルチチャンバ処理システム10に組み込まれた1つ以上のチャンバ内で実行され得る。任意の数のチャンバを利用することができ、これらのチャンバは、記載された方法またはプロセスの1つ以上の作業を実行することができる。方法200は、フロントエンド処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、または記載された作業の前に実行され得る任意の他の作業を含む、記載された方法作業の開始前の1つ以上の作業を含み得る。本方法は、図に示されるようないくつかの任意選択の作業を含むことができ、それらは、本技術にしたがって、本方法に特に関連する場合もあれば、関連しない場合もある。例えば、作業の多くは、半導体プロセスのより広い範囲を提供するために記載されているが、本技術にとって重要なものではないか、あるいは、さらに後述するような代替の方法によって実行されてもよい。
【0028】
[0033] 方法200は、異なる処理作業から開始することを含むなど、多数の変形で実行され得る多数の作業を含み得る。方法200は、一般に、エッチングプロセスが実行され得るチャンバで行われ得る一組のコーティングおよび洗浄の作業、ならびに同じツール上またはエッチングチャンバとは異なるツール上のチャンバで行われ得る基板洗浄作業を含み得る。多くの場合、コーティングは、半導体処理を実行するために基板を処理チャンバ内に配置する前に形成されることができ、一組の洗浄の作業は、処理の後に実行されることができ、基板が除去された後に行われることができる。したがって、方法200は特定の順序で説明されるが、本方法は、本技術の実施形態に従って、多くの異なる変形で実行され得ることを理解されたい。
【0029】
[0034] 作業205において、本方法は、基板処理チャンバの表面上に材料の層を形成することを含み得る。例えば、酸化ケイ素コーティングなどの酸化物コーティングをチャンバの表面上に形成することができる。任意の数のケイ素含有前駆体を処理で使用することができ、いくつかの実施形態では、ケイ素含有前駆体を処理チャンバに供給することができる。本技術のいくつかの実施形態による処理中に使用され得るケイ素含有前駆体としては、シラン、ジシラン、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素、ジクロロシラン、テトラエチルオルソシリケート、ならびにケイ素含有膜形成において使用され得る任意の他のケイ素含有前駆体を挙げることができる。ケイ素含有前駆体とともに、酸化性ガスを供給してもよく、この酸化性ガスは、酸素含有前駆体であってもよいし、酸素含有前駆体を含んでもよい。例えば、酸素含有前駆体は、二原子酸素、オゾン、水蒸気、アルコール、一酸化窒素、亜酸化窒素、または他の酸素含有材料のうちの1つ以上を含むことができる。
【0030】
[0035] 堆積の間、プロセス圧力は、約3mTから約300mTの間の任意の圧力に維持され得る。より高いプロセス圧力は、例えば、供給部品内に形成された開口部におけるコーティング材料の蓄積を減少させることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、形成または堆積作業の間に処理チャンバ内で維持されるプロセス圧力は、基板上で実行される処理作業の間に維持されるプロセス圧力より低くてもよい。例えば、処理中よりも低い圧力を維持することで、滞留時間が長くなるため、より広範囲の被覆が作製され得る。その結果、より高い圧力のエッチングプロセスが実行される場合に、エッチングプロセス中のフロープロファイルは、処理チャンバの被覆面を越えて広がり得ない。形成中、プロセスは、処理チャンバ内のプラズマを消滅させる前にケイ素含有前駆体の流れを停止させることを含むことができる。酸素含有前駆体の流量は、ケイ素含有前駆体の流量を停止させた後も維持されることができ、これにより、酸素プラズマ放出物が酸化ケイ素コーティングの表面上のダングリングボンドを終端させることができる。
【0031】
[0036] ケイ素含有層の形成に続いて、作業210での処理のために基板を送ることができる。先に説明したように、酸化ケイ素などのケイ素含有材料は、基板の裏面に付着しやすく、熱膨張時に、基板は、スティクションにより酸化物層の一部を除去する可能性がある。ケイ素含有パーティクルが、基板の裏面に保持され得るが、この層は、基板の裏面をスクラッチやその他の損傷から保護することができる。したがって、いくつかの実施形態では、処理後、後述するように、任意選択の作業215で基板が洗浄されてもよい。
【0032】
[0037] いくつかの実施形態において、本技術は、ケイ素含有層の代わりに、またはケイ素含有層に加えて、炭素含有層を形成してもよく、炭素含有層は、炭素含有前駆体を用いて形成することができる。この層は、炭素含有層、ハロゲン含有層、またはその両方であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、酸化物層の上に材料の層を生成するために、ハロゲンおよび炭素含有前駆体を提供することができる。例示的な前駆体は、任意の数の炭素含有前駆体または有機前駆体、ならびにハロゲン置換炭化水素前駆体であってもよいし、それらを含んでもよい。例えば、前駆体は、フルオロメタン、トリフルオロメタン、または炭素、ハロゲン、および/または水素を含む他の物質であってもよいし、それらを含んでもよい。さらに、炭素含有前駆体は、任意の炭化水素、または炭素と水素を含むか、あるいは炭素と水素からなる任意の物質であってもよいし、それらを含んでもよい。いくつかの実施形態において、炭素含有前駆体は、1つ以上の炭素-炭素二重結合および/または1つ以上の炭素-炭素三重結合によって特徴付けられ得る。
【0033】
[0038] したがって、いくつかの実施形態において、炭素含有前駆体は、アセチレン、エチレン、プロペン、または任意の他の炭素含有材料などのアルカン、アルケン、またはアルキンであってもよく、またはこれらを含んでもよい。前駆体は、炭素および水素含有前駆体を含んでもよく、これは、他の元素の結合とともに、任意の量の炭素と水素の結合を含むことができる。ケイ素含有材料および/または炭素含有材料のいずれか一方、ならびに2つの層の組み合わせは、厚さが20nm以上であることを特徴とすることができ、約30nm以上、約40nm以上、約50nm以上、約60nm以上、約70nm以上、約80nm以上、約90nm以上、約100nm以上、約110nm以上、約120nm以上、約130nm以上、約140nm以上、約150nm以上、またはそれ以上であってもよい。
【0034】
[0039] 上述のように、チャンバをコーティングした後、方法200は、作業210において基板を処理することを含むことができる。基板は、静電チャックまたは他の基板支持体の上など、処理チャンバ内に配置することができる。基板は、炭素含有材料と直接接触して着座し、着座および/または静電クランプされた状態で、開始温度から開始温度より約100℃以上高い処理温度まで加熱されることができる。基板は、マイクロエレクトロニクス、ナノテクノロジー、太陽光発電、その他の半導体プロセスの分野で従来採用されている層や材料を含むことができる。このプロセスは、処理チャンバ内で基板をプラズマエッチングすることを含むことができる。このプロセスは、ハロゲン含有前駆体、酸素含有前駆体、水素含有前駆体、および/または不活性前駆体のうちの1つ以上を用いるなどして、基板上の材料を選択的にエッチングすることを含むことができる。処理が完了したら、方法は、処理チャンバから基板を除去することを含むことができる。
【0035】
[0040] 基板が除去されると、1つ以上の洗浄作業でコーティングを除去することができる。例えば、作業220でプラズマ処理を行い、残存する炭素含有材料、ケイ素含有材料、または堆積された可能性のある他の材料を除去することができる。例えば、炭素含有材料を除去するために、先に述べた前駆体などの酸素含有前駆体のプラズマを形成することができる。さらに、ケイ素含有材料を除去するために、ハロゲン含有プラズマを適用することもできる。いくつかの実施形態では、洗浄作業が完了すると、その後の処理は、処理チャンバを追加の基板のために準備することを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、追加の基板を処理する前に、ケイ素含有材料および/または炭素含有材料を含む1つ以上のコーティング作業をチャンバの表面に行うなどの、先に説明した1つ以上の作業を繰り返すことを含むことができる。
【0036】
[0041] 上述したように、基板上に残っているケイ素含有パーティクルは、一連の洗浄作業を行うことによって除去することができ、この洗浄作業は、ウェットエッチングチャンバ内で基板の裏面に行うことができる。任意の数の化学物質がプロセスで使用され得るが、いくつかの実施形態では、化学物質は、裏面表面に残っている酸化ケイ素パーティクルを除去するために特別に調整されてもよい。例えば、化学物質は、水酸化アンモニウム、過酸化水素、フッ化水素酸、塩酸、またはこれらの材料の任意の数の組み合わせを含むことができ、これらは加熱および/または希釈されてもよい。これらの溶液は、任意の数の残留材料をエッチングするために使用され、基板の前面に露出した材料との相互作用を制限するために使用され得る。
【0037】
[0042] 任意の数の溶液を使用することができるが、いくつかの実施形態では、溶液は、エッチングおよびスクラビング作業中の完全な除去を容易にするために強度を増加させることを特徴とすることができ、ただし、特定の酸化物除去は、希釈エッチングプロセスで実行されることがあり、これは、ウェハの完全性を損なうことによって下流の処理で問題を引き起こす可能性のあるスクラッチおよびピッティング(くぼみ)からウェハの裏面を保護することができる。例えば、残存する有機材料を除去するために、より強度の高い材料で最初のエッチングを行うことができる。洗浄は、脱イオン水で希釈された水酸化アンモニウムと過酸化水素の組み合わせを含むことができ、除去の容易性を高めるために、1:2:10、1:1:5、またはそれ以下などの低い希釈度を特徴とすることができる。材料は、ウェット洗浄中に、約20℃以上、約30℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、またはそれ以上の温度に加熱されてもよい。
【0038】
[0043] その後の洗浄は、希釈ハロゲンエッチャントへの曝露を含むことができ、このハロゲンエッチャントは、チャンバコーティングから残留酸化物パーティクルを除去するために特別に調整されてもよい。例えば、脱イオン水で約1:50以上の割合に希釈されたフッ化水素を用いて洗浄が行われてもよく、酸と水の割合が、約1:60以上、約1:70以上、約1:80以上、約1:90以上、約1:100以上、約1:110以上、約1:120以上、約1:130以上、約1:140以上、約1:150以上、またはそれ以上となるまで希釈されてもよい。エッチャントは加熱されてもよいが、いくつかの実施形態では、ウェハの裏面の影響をさらに制限するために、洗浄は、ほぼ室温で実行されてもよい。次いで、脱イオン水で希釈された塩酸および過酸化水素を用いてイオン洗浄が行われてもよく、これは、約1:1:10以上などの高い希釈度を特徴とすることができ、酸と過酸化水素と水の割合が、約1:1:20以上、約1:1:30以上、約1:1:40以上、約1:1:50以上、またはそれ以上となるまで希釈されてもよい。洗浄は、上記のいずれの温度でも行われ得る。いくつかの実施形態では、スクラビングは実行されなくてもよく、これにより、基板の裏面との物理的相互作用を制限することができる。本技術のいくつかの実施形態による洗浄およびコーティングを利用することにより、スクラッチまたは他の損傷の原因となり得る裏面相互作用を制限しつつ、改善されたパーティクル除去を行うことができる。
【0039】
[0044] 本技術はまた、基板の裏面を損傷から保護し、下流の処理とのパーティクル相互作用を制限することができる基板コーティングを包含することができる。図3は、本技術のいくつかの実施形態による半導体処理方法300における選択された作業を示す。方法300に従ってコーティングされた基板は、方法200でコーティングされたチャンバ内に含まれてもよく、本技術のいくつかの実施形態では、2つの方法を一緒に行ってもよいことを理解されたい。記載されている任意の方法またはプロセスの1つ以上の作業を実行することができる任意の数のチャンバが利用されてよいが、いくつかの実施形態では、裏面コーティングは、さらに後述するチャンバのうちの1つで実行されてもよい。方法300は、フロントエンド処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、または記載された作業の前に実行され得る任意の他の作業を含む、記載された方法作業の開始前の1つ以上の作業を含み得る。本方法は、図に示されるようないくつかの任意選択の作業を含むことができ、それらは、本技術にしたがって、本方法に特に関連する場合もあれば、関連しない場合もある。例えば、作業の多くは、半導体プロセスのより広い範囲を提供するために記載されているが、本技術にとって重要なものではないか、あるいは、さらに後述するような代替の方法によって実行されてもよい。
【0040】
[0045] 半導体製造中に起こり得る任意の量の処理の後、基板は、裏面コーティング用に構成されたチャンバに送られることができる。基板が、基板裏面が露出した状態でチャンバ内に配置されると、作業305において、本方法は、チャンバの処理領域内に炭素含有材料のプラズマを形成することを含み得る。炭素含有材料は、上述した炭素含有前駆体のいずれであってもよく、またはそれを含んでもよい。作業310において、本方法は、基板の裏面に炭素含有材料を堆積させることを含み得る。炭素含有材料は、柔らかい非晶質炭素膜であってもよいし、ある実施形態では、ドープされた硬い材料であってもよい。任意のドーパントが、本技術の実施形態による炭素含有材料に含まれ得る。
【0041】
[0046] いくつかの実施形態では、堆積は、1つ以上の他の材料層が形成されている可能性がある基板の前面への堆積を制限または低減するように実行されてもよく、いくつかの実施形態では、基板の前面は、堆積中、炭素含有材料が実質的にない状態に維持されてもよい。例えば、実質的にとは、ウェハの前面の表面の約80%以上が炭素含有材料を含まないままであることを意味することができ、実質的にとは、ウェハの前面の表面の約85%以上が炭素含有材料を含まないままであること、ウェハの前面の表面の約90%以上が炭素含有材料を含まないままであること、ウェハの前面の表面の約95%以上が炭素含有材料を含まないままであること、ウェハの前面の表面の約99%以上が炭素含有材料を含まないままであること、または前面全体が炭素含有材料を本質的に含まないことを意味することができ、ただし、後続の作業でウェハの前面の処理に影響を与えることなく、微量が生じてもよい。
【0042】
[0047] 炭素含有材料は、ウェハ表面の裏面に直接堆積させることができるが、いくつかの実施形態では、炭素含有材料は、付加的な膜の上に堆積させることができる。例えば、窒化ケイ素膜、ケイ素含有膜、または他の何らかの膜を基板の裏面に堆積させることができ、それらは、例えば、ウェハの反りに対抗するため、または処理に対して他の何らかの利益を提供するために使用され得る。この膜は、比較的硬い膜または親水性の膜であってもよく、したがって、いくつかの実施形態では、炭素含有膜は、その後の処理の前に、他の膜の上に堆積されてもよい。基板の裏面または基板の裏面の上にある膜が炭素含有材料でコーティングされた後、任意選択の作業315で基板を別のチャンバに移すことができる。後続のチャンバでは、堆積、エッチング、その他の処理など、任意の数の作業を行うことができる。処理が行われ得る第2のチャンバは、いくつかの実施形態では、同じツール上にあってもよいし、異なるツール上にあってもよく、先に説明したようなコーティングを含んでもよい。例えば後述するようなチャンバであってもよい裏面コーティングチャンバと第2のチャンバとが同じプラットフォーム上にある場合、基板を大気に曝すことなく処理することができ、裏面コーティングとその後の処理との間で基板を真空状態から取り出さなくてもよい。
【0043】
[0048] 処理チャンバに入ると、基板は作業320で処理されることができ、この作業は、堆積作業、エッチング作業、または炭素コーティングされた裏面が基板支持体に対して配置されている間に基板の前面に実行され得る任意の数の処理作業の組み合わせを含む他の処理作業のうちの1つ以上を含むことができる。基板の裏面に炭素含有膜を維持することで、裏面をパーティクルや熱膨張によるスクラッチから保護することができる。炭素含有膜(上述の任意の厚さのコーティングに形成され得る)は、損傷を受けたり、パーティクルを保持したりする可能性があるが、その他の点では、基板は、コーティングによって保護された状態を維持することができる。
【0044】
[0049] 処理終了後、炭素含有膜を基板の裏面から除去することができる。除去は、酸素含有プラズマで行うことができ、これは、先に述べた任意の酸素含有前駆体を利用することを含むことができる。いくつかの実施形態では、除去はまた、プラズマ強化プロセスであってもよい。除去は、裏面コーティングの形成が行われたチャンバと同じチャンバで行ってもよいし、別のチャンバで行ってもよい。この場合も、いくつかの実施形態では、除去チャンバは、同じプラットフォーム上にあってもよく、これにより基板を真空状態に維持することができる。さらに、このようなツール構成により、基板を前面開口一体型ポッド(その中では、他の基板が、保持されたパーティクルに曝される可能性がある)に送る前にパーティクルを除去することが容易になり得る。例えば、上述したように、炭素含有膜は、処理中に損傷を受けたり、パーティクルを保持したりすることがある。しかし、同じツール上の別のチャンバで処理した直後に炭素含有膜を除去することにより、膜上に保持されている可能性のあるパーティクルも除去することができる。これにより、その後の処理において、基板裏面のパーティクルの量を制限することができる。例えば、後続のリソグラフィ作業が実行されてもよく、余分なパーティクルを除去することで、リソグラフィ装置内の基板支持体を損傷から保護することができる。さらに、ウェハの裏面に形成されるスクラッチが限定的であるか、全くないため、リソグラフィ処理を改善することができる。したがって、本技術の実施形態は、任意の数の従来技術よりも処理を改善することができる。
【0045】
[0050] 基板の裏面への膜の堆積は、本技術の実施形態に従って、任意の数のチャンバ内で行われ得る。いくつかの実施形態では、ロードロックまたは別の処理チャンバが、裏面堆積または除去用に構成され得る。図4は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システム400の概略断面図を示す。システム400は、当業者には容易に理解されるように、本技術の実施形態に依然として包含される任意の数の追加的または代替的構成要素を含み得る、チャンバの諸特徴を示す概略図であることを理解されたい。上述したように、本システムは、ロードロックの一部であってもよいし、本技術のいくつかの実施形態による独立した処理チャンバであってもよい。
【0046】
[0051] システム400は、チャンバ本体405を含むことができ、チャンバ本体405は、チャンバ内に内部空間または処理領域を画定することができる。処理領域内には、基板支持体410があってもよく、基板支持体410は、上面などに環状シートを画定するプラットフォーム412であってもよいし、プラットフォーム412を含んでもよく、基板支持体410の上には基板414が着座することができる。いくつかの実施形態では、基板は、基板の外側または周縁部の周りでのみ支持体上に着座してもよく、これは、ウェハの外縁部からの距離が約10mm以下であってもよく、約8mm以下、約6mm以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、またはそれ以下であってもよい。また、基板支持体は、図示のように、プラットフォームの上面から凹部411を画定することができ、凹部411は、基板414の裏面と支持体の凹型表面との間に内部空間または凹型空間を生じさせることができる。
【0047】
[0052] システム400は、内部空間への1つ以上のアクセス口を含むことができ、アクセス口は、支持体のプラットフォーム内に画定され、いくつかの実施形態では複数の構成要素を含み得る。例えば、基板支持体410は、支持体の周りに1つ以上の開口部418を画定することができ、開口部418は、内部空間へのアクセスおよび/または内部空間からのアクセスを提供することができる。例えば、1つ以上の開口部は、炭素含有前駆体および/または酸素含有前駆体などの1種以上の前駆体を基板の下の内部空間に供給するために使用され得る流体供給部品415aのためのアクセスを提供し得る。さらに、いくつかの実施形態では、前駆体を内部空間の底部に供給するために、流体供給部品415bが使用され得る。開口部418は、空間からのアクセスを提供するためにも、またはそのためだけに使用されてもよく、開口部418は、ポンプ420が排出機能を提供することを可能にし、堆積材料またはエッチャント副生成物が空間からおよびチャンバから排出され得る。これにより、基板の前面が前述のような堆積材料やエッチャント材料に曝されるのを制限することができる。
【0048】
[0053] 本技術の実施形態において、システムはまた、1つ以上の電極を含むことができる。例えば、電極が、ウェハに隣接するなど、基板支持体のプラットフォーム部に組み込まれ、静電チャックとして働き、処理中の移動を防止するために基板をクランプすることができる。さらに、処理チャンバ内にプラズマ機能を提供するために、1つ以上の電極を組み込むことができる。図4は、誘導結合プラズマが生成され得る電極構成の第1の例を示している。例えば、コイル状電極425が、支持体の一部の周りに延びることができ、堆積またはエッチャント前駆体が供給され得る支持体の内部空間内にプラズマを発生させるために電力が供給され得る。この例では、電極がコイル状に巻かれた凹型ベース部などの、支持体の一部が、誘電体材料であってもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム412は、同じ材料であっても異なる材料であってもよく、静電チャックとして働くように導電性材料を含むこともできる。プラズマが生成され得る制御された空間を形成することで、ウェハの裏面のみに堆積と除去を行うことができ、その間、排気(排出)と基板支持体は、ウェハの前面の曝露を制限または防止するように働くことができる。
【0049】
[0054] 図5は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システム500の概略断面図を示し、容量結合プラズマ生成システムなどの、本技術のいくつかの実施形態による追加のプラズマ生成システムを示すことができる。システム500は、上述した処理システム400の任意の特徴、構成要素、または特性を含むことができ、システム400の追加的および/または代替的な特徴を示すことができることを理解されたい。
【0050】
[0055] 図5に示されているように、第1の電極が、プラットフォーム部505に埋め込まれており、例えば静電チャックとして動作することができる。同じ電極または異なる電極をプラットフォーム部に組み込み、電源510と結合させることもできる。いくつかの実施形態では、凹型ベース515は誘電体材料であってもよく、チャンバベースは接地されていてもよく、これにより容量結合プラズマを形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、凹型ベースは導電性であってもよく、接地されていてもよい。短絡を防止するために、誘電体材料であり得るスペーサ520を、凹型ベースとプラットフォームとの間に配置することができる。スペーサはまた、上述したように副生成物が排出されることを可能にする開口部を画定することもできる。いくつかの実施形態において容量結合プラズマを利用することにより、ある量の衝撃(impact)または衝撃(bombardment)を堆積に加えることができ、これにより堆積膜を少なくとも部分的に緻密化することができ、またはより積極的な除去作業を促進することができる。
【0051】
[0056] 図6は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システム600の概略断面図を示し、部分的に遠隔のプラズマ生成システムなどの、本技術のいくつかの実施形態による追加のプラズマ生成システムを示し得る。システム600は、上述した処理システム400および/または500の任意の特徴、構成要素、または特性を含むことができ、システム400および/または500の追加的および/または代替的な特徴を示すことができることを理解されたい。
【0052】
[0057] 図6に示されているように、システム600は、チャンバ605およびトロイダルプラズマ源610を含むことができ、トロイダルプラズマ源610は、前駆体またはプラズマラジカルの制御された供給を提供するために、処理領域の内外に延びることができる。例えば、プラズマループの第1の半分612が、処理チャンバ605の外側に配置されていてもよく、堆積またはエッチングのための1種以上の前駆体を受け取るための入口を画定してもよい。プラズマループの第2の半分614が、チャンバ内に延びていてもよく、図示されているように、基板支持体の内部凹部内に延びていてもよい。第2の半分614は、そこからプラズマ放出物が堆積またはエッチングのために供給され得る出口を画定し得る。いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体を含む堆積前駆体などの追加の前駆体が、上述したように凹型空間に直接提供されて、提供されたプラズマ材料によって解離され、またはエネルギーを与えられてもよい。さらに、プラズマ材料は、いくつかの実施形態において、堆積および/またはエッチングのための全ての前駆体を含んでもよい。
【0053】
[0058] 電源トランス615は、供給された前駆体のプラズマを生成するために、電磁エネルギーをループ内に結合させることができる。例えば、電源トランスは磁気コア616を含むことができ、磁気コア616はループの周りに延びることができる。電源トランスはまた、プラズマを発生させるための電圧を印加することができる一次コイル618を含むことができる。プラズマ成分が処理チャンバの外側に維持され得るトロイダルプラズマ源を利用することにより、プラズマ源をチャンバ内で使用して、チャンバ内の所望の領域にプラズマ放出物を供給することができ、基板の裏面に影響を及ぼす可能性のある内部プラズマ生成なしに、基板の裏面に材料を堆積またはエッチングするためにプラズマ源を使用することができる。本技術は、半導体処理に適合するように1つ以上の保護膜を形成することで、半導体基板上のパーティクルやスクラッチを劇的に減少させることができる。
【0054】
[0059] 先の記述では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために、多数の詳細が記載された。しかしながら、特定の実施形態は、これらの詳細の一部を伴わずに、または追加の詳細を伴って実施され得ることが、当業者にとって明らかであろう。
【0055】
[0060] いくつかの実施形態を開示してきたが、実施形態の精神から逸脱することなく、様々な修正、代替構造、および等価物が使用され得ることが、当業者には認識されるであろう。加えて、本技術を不必要に曖昧にすることを避けるため、いくつかの周知のプロセスおよび要素については記述していない。したがって、上記の記述は、本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0056】
[0061] 値の範囲が提供されている場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、その範囲の上限と下限の間に位置する各中間値もまた、下限の単位の最小の端数まで、具体的に開示されているものと理解される。記載された範囲内の任意の記載された値または記載されていない中間値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または中間値との間の任意のより狭い範囲も、包含される。これらのより小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含めることも除外することもでき、上限と下限のどちらかが、これらのより小さい範囲に含まれる、どちらも含まれない、または両方が含まれる各範囲もまた、本技術内に包含されるが、記載された範囲内で明確に除外された上限または下限がある場合は、それに従う。記載された範囲が上限と下限の一方または両方を含む場合、それら含まれる上限や下限の一方または両方を除外した範囲もまた含まれる。
【0057】
[0062] 本明細書および添付の請求項で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の言及を含む。したがって、例えば、「層」への言及は、複数のそのような層を含み、「コーティング」への言及は、1つ以上のコーティングおよび当業者に知られているその等価物への言及を含む、等である。
【0058】
[0063] また、「備える(comprise(s))」、「備える(comprising)」、「含む(contain(s))」、「含む(containing)」、「含む(include(s))」、および「含む(including)」という語は、この明細書および以下の請求項で用いられる場合、記載された特徴、整数、構成要素、または作業の存在を明示することを意図するが、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、作業、行為、またはグループの存在または追加を排除するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】