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特表2024-537685センサレスRFインピーダンス整合ネットワーク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】センサレスRFインピーダンス整合ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241008BHJP
   H01J 37/305 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01J37/305 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517156
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022047973
(87)【国際公開番号】W WO2023081052
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】17/521,185
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】グオ ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミ カルティク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヤン
【テーマコード(参考)】
2G084
5C101
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB06
2G084CC12
2G084CC13
2G084DD38
2G084DD51
2G084DD55
2G084FF04
2G084FF38
2G084HH07
2G084HH19
2G084HH24
2G084HH26
2G084HH28
2G084HH32
5C101AA31
5C101CC01
5C101CC17
5C101DD03
5C101DD17
5C101DD18
5C101DD20
5C101DD23
5C101DD30
5C101FF02
(57)【要約】
基板をプラズマ処理するための方法及び装置が提供される。方法は、RF電源からRF電力を供給し、RF電源で第1の電力レベルで反射電力を測定し、測定された反射電力を第1の閾値と比較し、比較結果をコントローラに送信し、第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定し、基板をプラズマ処理するためにRF電源から第2の電力レベルでRF電力を供給し、RF電源で第2の電力レベルで反射電力を測定し、第2の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値とは異なる第2の閾値とを比較し、比較結果を送信し、整合ネットワークで少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をプラズマ処理する方法であって、
プラズマ処理チャンバの処理容積内でプラズマを点火し、維持するのに適した第1の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程と、
RF電源において第1の電力レベルで反射電力を測定する工程と、
測定された反射電力を第1の閾値と比較する工程と、
第1の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、
第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定する工程と、
第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程であって、第2の電力レベルは、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板をプラズマ処理するためのものである工程と、
RF電源において第2の電力レベルで反射電力を測定する工程と、
第2の電力レベルで測定された反射電力を、第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較する工程と、
第2の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、
第2の電力レベルで測定された反射電力と第2の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定する工程と、
基板をプラズマ処理するために第2の電力レベルでRF電力を供給し続ける工程とを含む方法。
【請求項2】
少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置及び第2の位置に設定することは、勾配ベースの方法、微分を含まない方法、モデルベースの方法、又は学習ベースの調整アルゴリズムの少なくとも1つを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の閾値は、第1の電力レベルにおける反射電力の約10%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2の閾値は第1の電力レベルよりも小さい、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2の電力レベルでRF電力を供給することは、RF電力をパルスモードで供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
パルスモードは単一レベルパルスモードである、請求項1~3又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
パルスモードはマルチレベルパルスモードである、請求項1~3又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
測定された反射電力を第1の閾値と比較すること、又は測定された反射電力を第2の閾値と比較することの少なくとも一方は、周波数調整を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置及び第2の位置に設定することは、直列可変コンデンサ又は分路可変コンデンサのうちの少なくとも1つを設定することを含む、請求項1~3、5、又は8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プロセッサにより実行されると基板をプラズマ処理する方法を実行する命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、方法は、
プラズマ処理チャンバの処理容積内でプラズマを点火し、維持するのに適した第1の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程と、
RF電源において第1の電力レベルで反射電力を測定する工程と、
測定された反射電力を第1の閾値と比較する工程と、
第1の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、
第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定する工程と、
第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程であって、第2の電力レベルは、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板をプラズマ処理するためのものである工程と、
RF電源において第2の電力レベルで反射電力を測定する工程と、
第2の電力レベルで測定された反射電力を、第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較する工程と、
第2の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、
第2の電力レベルで測定された反射電力と第2の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定する工程と、
基板をプラズマ処理するために第2の電力レベルでRF電力を供給し続ける工程とを含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置及び第2の位置に設定することは、勾配ベースの方法、微分を含まない方法、モデルベースの方法、又は学習ベースの調整アルゴリズムの少なくとも1つを使用することを含む、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
第1の閾値は、第1の電力レベルにおける反射電力の約10%である、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
第2の閾値は第1の電力レベルよりも小さい、請求項10~12のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
第2の電力レベルでRF電力を供給することは、RF電力をパルスモードで供給することを含む、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
パルスモードは単一レベルパルスモードである、請求項10~12又は14のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
パルスモードはマルチレベルパルスモードである、請求項10~12又は14のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
測定された反射電力を第1の閾値と比較すること、又は測定された反射電力を第2の閾値と比較することの少なくとも一方は、周波数調整を実行することを含む、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置及び第2の位置に設定することは、直列可変コンデンサ又は分路可変コンデンサのうちの少なくとも1つを設定することを含む、請求項10~12、14、又は17のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
基板を処理するためのシステムであって、
RF電力を供給するように構成されたRF電源と、
処理ガスをプラズマ処理チャンバの処理容積に供給するように構成されたガス源と、
RF電源から受信した比較結果に基づいて、少なくとも1つの可変コンデンサを設定するように構成された整合ネットワークと、
コントローラであって、
プラズマ処理チャンバの処理容積内でプラズマを点火し、維持するのに適した第1の電力レベルでRF電源からRF電力を供給し、
RF電源において第1の電力レベルで反射電力を測定し、
測定された反射電力を第1の閾値と比較し、
第1の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送り、
第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定し、
第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルでRF電源からRF電力を供給し、第2の電力レベルは、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板をプラズマ処理するためのものであり、
RF電源において第2の電力レベルで反射電力を測定し、
第2の電力レベルで測定された反射電力を、第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較し、
第2の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送り、
第2の電力レベルで測定された反射電力と第2の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定し、
基板をプラズマ処理するために第2の電力レベルでRF電力を供給し続けように構成されたコントローラを含むシステム
【請求項20】
RF電源と整合回路網との間に接続されたサーキュレータと、
コントローラに接続されたパワーメータと、
サーキュレータに接続されるダミー負荷を含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板を処理するための方法及び装置に関し、例えば、センサレス高周波(RF)インピーダンス整合ネットワークを使用する方法及び装置に関する。
【背景】
【0002】
プラズマ基板(ウエハ)処理中に使用されるインピーダンス整合ネットワークが知られている。例えば、従来のRFインピーダンス整合ネットワークは、電力効率を最適化するためにRF源とプラズマリアクタ(チャンバ)の間に配置される電気回路を備える。例えば、調整された整合ポイントでは、最大のRF電力(順方向電力)がプラズマ負荷に供給され、ほぼゼロの電力がRF源に反射されて戻る(反射電力)。従来のインピーダンス整合ネットワークは、インピーダンスの測定と監視のために1つ以上のセンサを必要とする。インピーダンス測定は、通常、インピーダンス整合ネットワークの入力及び出力で、電圧及び電流プローブ及び/又は振幅及び位相検出器を使用して行われる。幾つかの例では、RF整合ネットワークの入力ポートでセンサを使用することができる。収集されたインピーダンスの大きさと位相情報は、インピーダンス整合ネットワークの1つ以上の監視されるモータ化(電動)可変コンデンサを制御するために使用される。従来のインピーダンス整合ネットワークはプラズマに最大の電力伝達を供給するのに適しているが、このようなネットワークは複雑で比較的高価なハードウェアを使用し、使用前にセンサの校正を必要とする。
【概要】
【0003】
基板をプラズマ処理するための方法及び装置が本明細書で提供される。幾つかの実施形態では、例えば、基板をプラズマ処理する方法は、プラズマ処理チャンバの処理容積内でプラズマを点火し、維持するのに適した第1の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程と、RF電源において第1の電力レベルで反射電力を測定する工程と、測定された反射電力を第1の閾値と比較する工程と、第1の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定する工程と、第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程であって、第2の電力レベルは、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板をプラズマ処理するためのものである工程と、RF電源において第2の電力レベルで反射電力を測定する工程と、第2の電力レベルで測定された反射電力を、第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較する工程と、第2の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、第2の電力レベルで測定された反射電力と第2の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定する工程と、基板をプラズマ処理するために第2の電力レベルでRF電力を供給し続ける工程とを含む。
【0004】
少なくとも幾つかの実施形態によれば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサにより実行されると基板をプラズマ処理する方法を実行する命令を記憶している。この方法は、プラズマ処理チャンバの処理容積内でプラズマを点火し、維持するのに適した第1の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程と、RF電源において第1の電力レベルで反射電力を測定する工程と、測定された反射電力を第1の閾値と比較する工程と、第1の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定する工程と、第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルでRF電源からRF電力を供給する工程であって、第2の電力レベルは、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板をプラズマ処理するためのものである工程と、RF電源において第2の電力レベルで反射電力を測定する工程と、第2の電力レベルで測定された反射電力を、第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較する工程と、第2の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送る工程と、第2の電力レベルで測定された反射電力と第2の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定する工程と、基板をプラズマ処理するために第2の電力レベルでRF電力を供給し続ける工程とを含む。
【0005】
少なくとも幾つかの実施形態によれば、基板を処理するためのシステムは、RF電力を供給するように構成されたRF電源と、処理ガスをプラズマ処理チャンバの処理容積に供給するように構成されたガス源と、RF電源から受信した比較結果に基づいて、少なくとも1つの可変コンデンサを設定するように構成された整合ネットワークと、コントローラであって、プラズマ処理チャンバの処理容積内でプラズマを点火し、維持するのに適した第1の電力レベルでRF電源からRF電力を供給し、RF電源において第1の電力レベルで反射電力を測定し、測定された反射電力を第1の閾値と比較し、第1の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送り、第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定し、第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルでRF電源からRF電力を供給し、第2の電力レベルは、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板をプラズマ処理するためのものであり、RF電源において第2の電力レベルで反射電力を測定し、第2の電力レベルで測定された反射電力を、第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較し、第2の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送り、第2の電力レベルで測定された反射電力と第2の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定し、基板をプラズマ処理するために第2の電力レベルでRF電力を供給し続けように構成されたコントローラを含む。
【0006】
本開示の他の更なる実施形態について以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の実施形態は、上で簡単に要約され、以下でより詳細に論じられるが、添付図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することにより理解することができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、従って、本開示は他の同様に効果的な実施形態を含み得るため、その範囲を限定するもの解釈されるべきではない。
図1】本開示の1つ以上の実施形態による装置の概略図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、図1の装置と共に使用するために構成されたセンサレスインピーダンス整合ネットワークのブロック図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、図1の装置と共に使用するために構成されたセンサレスインピーダンス整合ネットワークのブロック図である。
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、基板を処理する方法のフローチャートである。
【0008】
理解を容易にするために、可能な限り、各図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用される。図は一定の縮尺で描かれておらず、明確化のために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素及びフィーチャは、更に詳述することなく、他の実施形態に有益に組み込まれてもよい。
【詳細な説明】
【0009】
基板を処理するための方法及び装置の実施形態が本明細書で提供される。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、装置はプラズマ処理チャンバで使用するためのセンサレスRFインピーダンス整合ネットワークシステムと、プラズマ処理チャンバのプラズマ負荷インピーダンスを整合させるための方法を含む。本明細書で説明されるセンサレスRF整合ネットワークと自動マッチングアルゴリズムは、センサの校正を必要としないシンプルでコスト効率の高いハードウェアを使用する。
【0010】
図1は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態による装置の概略図である。この装置は、電子ビーム(ebeam)を使用して1つ以上の基板(ウエハ)をエッチングするのに適している。従って、少なくとも幾つかの実施形態では、装置は、電子ビーム誘起エッチング(EBIE)を実行するように構成された処理チャンバ100(例えば、電子ビーム処理チャンバ等のプラズマ処理チャンバ)である。処理チャンバ100は、処理容積101を画定するチャンバ本体102を有する。一実施形態では、チャンバ本体102は実質的に円筒形の形状を有し、内部の真空圧環境を維持するのに適した材料(例えば、アルミニウムやステンレス鋼等の金属材料)で形成することができる。
【0011】
天井106がチャンバ本体102に結合され、処理容積101を形成する。天井106は、チャンバ本体102を製造するために利用される材料等の導電性材料から形成される。天井106は電極108(例えば、上部電極)に結合され、電極を支持する。幾つかの実施形態では、電極108は天井106に結合され、これにより、電極108は処理容積101に隣接し、又は処理容積101内に配置される。電極108は、高い二次電子放出係数(例えば、約5~約10の二次電子放出係数)を有するプロセス適合性材料で形成される。比較的高い二次電子放出係数を有する材料としては、珪素、炭素、炭化珪素材料、又は酸化珪素材料が挙げられるが、これらに限定されない。代替的に、電極108は、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、又は酸化ジルコニウム(ZrO)等の金属酸化物材料から形成することができる。電気絶縁材料から形成される誘電体リング109がチャンバ本体102に結合され、電極108を取り囲む。図示されるように、誘電体リング109は、チャンバ本体102と天井106との間に配置され、電極108を支持する。
【0012】
天井106は、電極108に対向するチャッキング電極152を含む絶縁層150を含むことができる。少なくとも幾つかの実施形態では、電極を静電的に天井106にクランプするために、DC電圧電源154を給電導体155を介してチャッキング電極152に結合し、DC電力(例えば電圧電位)を印加するための電極108に接続することができる。このような実施形態では、DCブロッキングコンデンサ156を、インピーダンス整合ネットワーク124の出力と直列に接続することができる。コントローラ126は、DC電圧電源154を制御するように作用する。
【0013】
電極108と天井106との間の機械的接触は、電極108と天井106の間の高い熱コンダクタンスを維持するのに十分である。更に、機械的接触の力は、DC電圧電源154により提供される静電クランプ力により調整することができる。
【0014】
1つ以上の実施形態では、天井106は導電性であり、電極108と電気的に接触している。インピーダンス整合ネットワーク124からの電力は、天井106を介して電極108に伝導される。1つ以上の実施形態では、チャンバ本体102は接地電位に維持することができる。1つ以上の実施形態では、処理チャンバ100内の接地された内面(即ち、チャンバ本体102)は、プロセス適合性材料(例えば、珪素(Si)、炭素(C)、炭化珪素(SiC)材料、酸化珪素(SiO)材料、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、又は酸化ジルコニウム(ZrO)等)でコーティングすることができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、天井106の内部に熱伝導性の液体又は媒体を導くための内部通路(図示せず)が、熱媒体循環供給源に接続される。熱媒体循環供給源はヒートシンク又は熱源として作用する。
【0016】
ペデスタル110が処理容積101内に配置される。ペデスタル110は、その上に基板111(例えば、シリコンウエハ等の半導体ウエハ、又はガラスパネル、又は太陽電池、ディスプレイ、又は他の用途のための他の基板)を支持し、電極108に平行に配向された基板支持面110aを有する。一実施形態では、ペデスタル110は、リフトサーボ112により軸方向に移動可能である。オペレーション中、上部電極(例えば、電極108等)は、基板支持面110aから1つ以上の距離(例えば、プロセス位置)に維持される。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、電極108は、基板を処理するための処理位置から約1インチから約20インチの距離に維持される。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、距離は約6インチから約10インチであってもよい。
【0017】
コントローラ126が提供され、処理チャンバ100の様々なコンポーネントと結合され、基板を処理するための処理チャンバ100のオペレーションを制御する。コントローラ126は、中央処理装置127、サポート回路129及びメモリ131を含み、メモリ131は、本明細書に記載の方法を実行するための命令を有する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コントローラ126は、直接的に、又は処理チャンバ100及び/又はサポートシステムコンポーネントに関連付けられたコンピュータ(又はコントローラ)を介して、1つ以上のエネルギー源に動作可能に結合し、制御する。コントローラ126は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために工業環境で使用できる任意の形式の汎用コンピュータプロセッサであってもよい。コントローラ126のメモリ131又は非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光記憶装置(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク等)、フラッシュドライブ、又はローカル又はリモートのその他の形式のデジタルストレージ等の容易に入手可能なメモリの1つ以上であってもよい。サポート回路129は、従来の方法で中央処理装置127をサポートするために中央処理装置127に結合される。サポート回路129は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路及びサブシステム等を含む。基板処理方法(例えば、基板のEBIE)等の本明細書に記載の本発明の方法は、本明細書に記載される方法で1つ以上のエネルギー源のオペレーションを制御するために実行又は呼び出すことができるソフトウェアルーチン133としてメモリ131に格納することができる。また、ソフトウェアルーチン133は、中央処理装置127により制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2の中央処理装置(図示せず)により記憶及び/又は実行することができる。
【0018】
1つ以上の実施形態では、ペデスタル110は、基板支持面110aを形成する絶縁パック142と、絶縁パック142の内部に配置された下部電極144と、電極144に接続されたチャッキング電圧源148を含むことができる。更に、少なくとも幾つかの実施形態では、絶縁パック142の下にあるベース層146は、循環供給源からの熱伝達媒体(例えば、液体)を循環させるための1つ以上の内部通路(図示せず)を含むことができる。このような実施形態では、循環供給源はヒートシンク又は熱源として作用することができる。
【0019】
1つ以上のRF電力発生器を処理チャンバ100に結合することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、約20MHzから約200MHzまでの周波数を有する高周波RF電源120と、約100kHzから約20MHzまでの周波数を有する低周波RF電源122が、例えば、RF給電導体123(RF伝送線路)を介し、インピーダンス整合ネットワーク124を介して電極108に結合される。少なくとも幾つかの実施形態では、1つ以上のRF発生器は、約100kHzから約200MHzの周波数を有する単一のRF源を備えることができる。インピーダンス整合ネットワーク124からのRF給電導体123は、電極108に直接接続するのではなく、電極支持体又は天井106に接続することができる。このような実施形態では、RF給電導体123からのRF電力は、電極支持体から電極に容量結合することができる。インピーダンス整合ネットワーク124は、高周波RF電源120と低周波RF電源122の異なる周波数でインピーダンス整合を提供すると共に、高周波RF電源120と低周波RF電源122を互いに分離するフィルタリングを提供するように適合される。高周波RF電源120及び低周波RF電源122の出力電力レベルは、コントローラ126により独立して制御することができる。
【0020】
高周波RF電源120及び低周波RF電源122を用いると、電極108とペデスタル110との間の距離(例えば、約6インチから約10インチ)を選択することにより、処理容積101内の半径方向のプラズマ均一性を制御することができる。例えば、幾つかの実施形態では、より低いVHF周波数は、処理容積101内のプラズマイオン密度の端部の高い半径方向分布を生成し、より高いVHF周波数は、プラズマイオン密度の中央の高い半径方向分布を生成する。このような選択により、高周波RF電源120及び低周波RF電源122の電力レベルは、実質的に均一な半径方向のプラズマイオン密度を有するプラズマを生成することができる。
【0021】
上部ガスインジェクタ130は、第1のバルブ132を介して処理容積101に処理ガスを提供し、下部ガスインジェクタ134は第2のバルブ136を介して処理容積101に処理ガスを提供する。上部ガスインジェクタ130及び下部ガスインジェクタ134はチャンバ本体102の側壁に配置することができる。処理ガスは、ガス供給源(例えば、ガス源)138等の処理ガス供給源のアレイから、第1のバルブ132及び第2のバルブ136に結合されたバルブ140のアレイを介して供給される。処理容積101内に供給される処理ガス種及びガス流量は、独立して制御可能とすることができる。例えば、上部ガスインジェクタ130を介するガス流は、下部ガスインジェクタ134を介するガス流と異なっていてもよい。コントローラ126は、バルブ140のアレイを制御する。
【0022】
実施形態では、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)(又は他の不活性ガス)等の1つ以上の不活性ガス、及び/又はメタン(CH)、アセチレン(C)、水素(H)、臭化水素(HBr)、アンモニア(NH)、ジシラン(Si)、三フッ化窒素(NF)、テトラフルオロメタン(CF)、六フッ化硫黄(SF)、一酸化炭素(CO)、硫化カルボニル(COS)、トリフルオロメタン(CHF)、ヘキサフルオロブタジエン(C)、塩素(Cl)、窒素(N)、酸素(O)、これら組み合わせ等の1つ以上の反応性ガスを、上部ガスインジェクタ130及び下部ガスインジェクタ134のいずれか又は両方を介して処理容積101に供給することができる。幾つかの実施形態では、電極108に隣接する処理容積101に送られる処理ガスは、以下でより詳細に説明されるように、二次電子を基板111に向けて加速することができ、及び/又は処理容積101内に形成される反応性プラズマから電極108を緩衝し、これにより電極108の寿命を延ばすことができる。
【0023】
本開示によれば、プラズマは、様々なバルク及び表面プロセスにより、例えば、容量結合170(例えば、容量結合プラズマ(CCP))及び/又は誘導結合172(例えば、誘導結合プラズマ(ICP))により、処理容積101内に生成される。イオンエネルギーを制御するバイアス電力とは別に、誘導結合電力又は高周波容量結合電力を使用して、プラズマ密度の独立した制御を達成することができる。従って、処理チャンバ100が容量結合170と共に使用するように構成されてる場合(例えば、CCPリアクタとして構成されている)、電源は、基板を支持するバイアス電極(例えば、電源144等)又は上部電極(例えば、電極108等)のいずれかに供給される高周波(バイアスと比較して)電源を意味する。代替的又は選択的に、処理チャンバ100が誘導結合172と共に使用するように構成されている場合(例えば、ICPリアクタとして構成されている場合)、電源は、コイル173(図1に仮想線で示す)に印加される電力を意味する。処理チャンバ100がICPリアクタとして構成される場合、誘電体窓175(仮想線で示す)が処理チャンバ100のチャンバ本体102の側面に設けられる。誘電体窓175は、真空境界と、プラズマを励起する電磁波の窓を提供するように構成される。
【0024】
CCP又はICPにより生成されるイオンは、以下でより詳細に説明されるように、プラズマから生成されるイオンによる電極108のイオン衝撃を促進する電場の影響を受ける。更に、処理チャンバ100の動作モードに応じて、電極108のイオン衝撃エネルギーは、電極108に供給される電力、例えば、DC電圧電源154、低周波RF電源122、高周波RF電源120の1つ以上により供給される電力の関数である場合がある。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、電極108のイオン衝撃エネルギーは、DC電圧電源154及びDC電圧電源154の一方又は両方からの電圧の印加により提供することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、DC電圧電源154及び低周波RF電源122の一方又は両方を使用することに加えて、高周波RF電源120を使用して、プラズマ密度及び電子ビーム束を増加することができる。
【0025】
DC電圧電源154が電極108に電力(例えば、バイアス)を供給するために使用される場合、DC電圧電源154により供給される電力は、約1W~約30kW(例えば、約‐1560V~約‐1440V)であってもよい。同様に、低周波RF電源122が電極108に電力(例えば、バイアス)を供給するために使用される場合、低周波RF電源122により供給される電力は、約100kHzから約20MHzの周波数で約1Wから約30kWであってもよい。同様に、高周波RF電源120がDC電圧電源154及び低周波RF電源122のいずれか又は両方と併せて使用される場合、高周波RF電源120により供給される電力は、周波数は約20MHzから約200MHzで約1Wから約30kWであってもよい
【0026】
幾つかの実施形態では、RFバイアス電源162は、インピーダンス整合ネットワーク164を介してペデスタル110の電極144に結合することができる。RFバイアス電源162が使用される場合、基板111上でイオンを加速するように構成される。RFバイアス電源162は、低周波RF電力及び/又は高周波RF電力を供給するように構成することができる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、RFバイアス電源162は、例えば約100kHz~約200MHzの1つ以上の周波数で電極144に1W~30kWの電力を供給するように構成することができる。幾つかの実施形態では、例えば、RFバイアス電源162は、約100kHz~約100MHzの周波数で1W~30kWの電力を電極144に供給するように構成することができる。
【0027】
波形調整プロセッサ147は、インピーダンス整合ネットワーク164の出力と電極144との間、及び/又はインピーダンス整合ネットワーク124の出力と電極108との間に接続することができる。波形調整プロセッサ147コントローラは、RFバイアス電源162及び/又は高周波RF電源120及び低周波RF電源122により生成された波形を所望の波形に変更するように構成することができる。基板111及び/又は電極108の近傍のプラズマのイオンエネルギーは、波形調整プロセッサ147により制御することができる。例えば、幾つかの実施形態では、波形調整プロセッサ247は、所望のイオンエネルギーレベルに対応するレベルでの各RFサイクルの所定の部分の間の振幅が保持される波形を生成する。コントローラ126は波形調整プロセッサ147を制御する。
【0028】
また、基板111のエッチングは1つ以上の要因により影響を受けることがある。例えば、圧力(使用する場合には電子ビームエネルギー、電子ビームプラズマ電略、及びバイアス電力に加えて)は、基板111のエッチングに影響を与える場合がある。従って、一実施形態では、基板111のEBIE中に処理容積101内に維持される圧力は、約0.1mTorrから約300mTorrの間である。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、電子ビーム中性化及びエッチングプロファイル制御が必要な場合等、基板111のEBIE中に処理容積101内に維持される圧力は、約0.1mTorrから約30mTorrの間であってもよい。同様に、少なくとも幾つかの実施形態では、電子ビーム中性化及びエッチングプロファイル制御が必要なく、バイアス電力も必要ない場合等、基板111のEBIE中に処理容積101内に維持される圧力は、約0.1mTorrから約100mTorrの間であってもよい。圧力は、処理容積101と流体連通する真空ポンプ168により生成される。圧力は、処理容積101と真空ポンプ168の間に配置されるゲートバルブ166により調整される。コントローラ126は、真空ポンプ168及び/又はゲートバルブ166を制御する。
【0029】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態による、図1の装置と共に使用するために構成されたセンサレスインピーダンス整合ネットワーク200(例えば、インピーダンス整合ネットワーク124又はインピーダンス整合ネットワーク164)のブロック図である。センサレスインピーダンス整合ネットワーク200は、1つ以上のコンデンサ及びインダクタを備えることができる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200は、分路可変コンデンサ202及び直列可変コンデンサ204を備えることができる。センサレスインピーダンス整合ネットワーク200は、50Ωの伝送ライン206を介して、RF電源(例えば、高周波RF電源120及び低周波RF電源122)の構成要素であるか、又はRF電源に接続することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200は、RFバイアス電源162の構成要素であるか、又はRFバイアス電源162に接続することができ、Vrfは容量性結合170に接続され、及び/又はVrfは誘導性結合172に接続され、これも50Ωの伝送ラインを介して行われる。また、少なくとも幾つかの実施形態では、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200は、L型センサレスインピーダンス整合ネットワーク108を備えることができる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、調整範囲の最適化のために、1つ以上の固定インダクタを分路可変コンデンサ202及び直列可変コンデンサ204と直列に接続することができる。
【0030】
前述の従来の整合ネットワークとは異なり、センサレスインピーダンス整合ネットワークは入力側又は出力にセンサを使用しないため、センサの校正データをコントローラのメモリに保存する必要がない。オペレーション中、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200は、RF発生器から直接、順方向電力信号及び反射電力信号を受信する。例えば、RF源から受信した順方向電力信号及び反射電力信号を、(例えば、有線又は無線通信を介して)センサレスインピーダンス整合ネットワーク200の整合コントローラ208に送信することができる。代替的又は追加的に、整合コントローラ208は、順方向電力信号及び反射電力信号をコントローラ126から受信することができる。整合コントローラ208は、順方向電力信号及び反射電力信号を使用して、分路可変コンデンサ202及び直列可変コンデンサ204を調整する。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、整合コントローラ208は、電圧定在波比(VSWR)、反射係数等の1つ以上のパラメータを含むメモリ(例えば、メモリ131)に格納でき、事前にプログラムされた学習ベースのアルゴリズムを使用し、分路可変コンデンサ202及び直列可変コンデンサ204の静電容量値を計算する。
【0031】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態による、図1の装置と共に使用するために構成されたセンサレスインピーダンス整合ネットワーク300(例えば、インピーダンス整合ネットワーク124又はインピーダンス整合ネットワーク164)のブロック図である。センサレスインピーダンス整合ネットワーク300はセンサレスインピーダンス整合ネットワーク200と実質的に同一である。従って、本明細書では、センサレスインピーダンス整合ネットワーク300に特有のフィーチャのみを説明する。
【0032】
センサレスインピーダンス整合ネットワーク300は、1つ以上の端子を有するRFサーキュレータ302を備える。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、RFサーキュレータ302は3つの端子を備えることができ、50Ω伝送ライン206を介してRF電源とセンサレスインピーダンス整合ネットワーク300との間に接続される。RFサーキュレータ302は、RF電力が一方向に流れること可能にするように構成される。例えば、順方向電力信号及び反射電力信号は、RFサーキュレータ302を通過し、50Ωのダミー負荷304で終端する。少なくとも幾つかの実施形態では、電力メータ306を使用して、所望の周波数でRF反射電力を測定することができる。反射された電力信号は、整合コントローラ208に通信可能に接続されたツールコントローラ(例えば、コントローラ126)に送信することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、RF電源及びセンサレスインピーダンス整合ネットワーク300は、ツールコントローラにより同期及び制御することができる。代替的に、上述したように、コントローラ126を使用する必要はなく、電力メータ306及びダミー負荷304を整合コントローラ208に直接接続することができる。
【0033】
電力メータデータ、RF電力、及び分路可変コンデンサ202及び直列可変コンデンサ204のコンデンサ位置はツールコントローラに送信され、温度、化学的性質及び流量等の1つ以上の他のシステム処理データと組み合わせることができ、これにより、オペレーション中に協調的なインテリジェントなリアルタイム制御が作成される。少なくとも幾つかの実施形態では、結合されたデータを使用して、学習ベースのモデルを教示することができる。
【0034】
図4は、本開示の1つ以上の実施形態による、基板を処理するための方法400のフローチャートである。方法400は、例えば、基板のEBIEを実行するように構成された処理チャンバ、例えば、処理チャンバ100を使用して実行することができる。説明のため、処理チャンバは、基板のEBIE用に構成されたCCPリアクタとして構成されているとする。基板(例えば、基板111)は、例えば150mm、200mm、300mm、450mm基板等であってもよい。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、基板は、半導体ウエハ等の300mm基板であってもよい。理解されるように、本明細書に記載の電力/電圧、及び/又は、パルス/デューティサイクルは、例えば300mmより大きい又は小さい直径を有する基板に対して、それに応じて調整することができる。最初に、上述の処理ガスのうちの1つ以上を、処理チャンバの処理容積、例えば処理容積101に導入することができる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、処理ガスは、He、Ar等(又は他の不活性ガス)、及び/又はH、HBr、NH、Si、CH、C、NF、CF、SF、CO、COS、CHF3、、Cl、N、O等(又は他の反応性ガス)の1つ以上であってもよい。更に、プロセス容積は、約0.1mTorrから約300mTorrまでの1つ以上のオペレーション圧力に維持することができる。
【0035】
少なくとも幾つかの実施形態では、方法400は、2つの主なステップ、即ち、比較的低い電力を使用してプラズマを点火し、維持する第1の事前学習フェーズと、比較的高い電力を使用して基板をプラズマ処理する第2の調整フェーズを含む。
【0036】
第1の事前学習段階中、402において、方法400は、プラズマ処理チャンバの処理容積内でプラズマを点火し、維持するのに適した第1の電力レベルでRF電力を供給するように構成されたRF電源から電力を供給することを含む。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、RF電源は、処理チャンバ100にRF電力(例えば、約20kHzから約20MHzの周波数で1Wから約30kW)を供給し、処理チャンバ100の処理溶液101内でプラズマを点火し、維持することができる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、第1の電力レベルは、約1W~約30kWであってもよく、約100kHz~約20MHzの周波数で供給することができる。
【0037】
RF発生器から測定された反射電力信号に基づいて、コントローラ(例えば、コントローラ126)は、1つ以上の直列可変コンデンサ130及び1つ以上の分路可変コンデンサ130の位置を決定する。例えば、404では、方法400は、RF電源において第1の電力レベルでの反射電力を測定することを含む。例えば、RF電源のコントローラ(例えば、コントローラ126)は、高周波RF電源120(及び/又は低周波RF電源122)における反射電力を測定することができる。
【0038】
次に、406では、方法400は、測定された反射電力を第1の閾値と比較することを含む。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、第1の閾値は、第1の電力レベルでの反射電力の約10%であってもよい。更に、測定された反射電力を第1の閾値と比較することは、例えばRF電力発生器において周波数調整を実行することを含むことができる。
【0039】
次に、408では、方法400は、第1の閾値との比較結果を整合ネットワークのコントローラに送信することを含む。例えば、RF電源のコントローラは、第1の閾値との比較結果をセンサレスインピーダンス整合ネットワーク200の整合コントローラ208に送信する。次に、410では、方法400は、第1の電力レベルで測定された反射電力と第1の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークにおいて少なくとも1つの可変コンデンサを第1の位置に設定することを含む。例えば、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200の整合コントローラ208は、分路可変コンデンサ202及び直列可変コンデンサ204の一方又は両方を1つ以上の位置に設定することができ、これは整合コントローラ208のメモリに記憶することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、整合コントローラ208は、1つ以上の最適化アルゴリズム(例えば、勾配ベースの方法、微分を含まない方法、及び/又はモデルベースの方法)を使用して、分路可変コンデンサ202と直列可変コンデンサ204を設定する1つ以上の位置を決定することができる。
【0040】
第2の調整段階(例えば、微調整段階)では、比較的小さな閾値を使用してアルゴリズムを実行することができる。例えば、412では、方法400は、RF電源から第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルでRF電力を供給することを含む。第2の調整段階中に使用される第2の電力レベルは、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板をプラズマ処理するために使用される。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、RF電源は、基板をプラズマ処理するために処理チャンバ100にRF電力(例えば、約20MHz~約200MHzの周波数で1W~約10kW)を供給することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、RF電力は、単一レベルパルスモード又はマルチレベルパルスモードを含むパルスモードで供給することができる。更に、少なくとも幾つかの実施形態では、RFプラズマ源における周波数調整技術も、第2の調整段階中に使用することができる。
【0041】
次に、414において、方法400は、RF電源において第2の電力レベルでの反射電力を測定することを含む。例えば、上述のように、RF電源のコントローラ(例えば、コントローラ126)は、高周波RF電源120(及び/又は低周波RF電源122)における反射電力を測定することができる。
【0042】
次に、416で、方法400は、第2の電力レベルで測定された反射電力を第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較することを含む(例えば、第2の閾値は第1の電力レベルより小さい)。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、第2の閾値は、第1の電力レベルでの反射電力の約1%~約9%とすることができる。更に、406と同様に、測定された反射電力を第2の閾値と比較することは、例えばRF電力発生器において周波数調整を実行することを含むことができる。
【0043】
次に、418で、方法400は、第2の閾値の比較結果を整合ネットワークのコントローラに送信することを含む。例えば、RF電源のコントローラは、第2の閾値との比較結果をセンサレスインピーダンス整合ネットワーク200の整合コントローラ208に送信する。次に、420で、方法400は、第2の電力レベルで測定された反射電力と第2の閾値との比較に基づいて、整合ネットワークで、少なくとも1つの可変コンデンサを第2の位置に設定することを含む。例えば、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200の整合コントローラ208は、分路可変コンデンサ202及び直列可変コンデンサ204の一方又は両方を1つ以上の位置に設定することができ、これは整合コントローラ208のメモリに記憶することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、整合コントローラ208は1つ以上の最適化アルゴリズム(例えば、勾配ベースの方法、微分を含まない方法、及び/又はモデルベースの方法)を使用して、分路可変コンデンサ202と直列可変コンデンサ204を設定する1つ以上の位置を決定することができる。次に、422において、方法400は、基板をプラズマ処理するために第2の電力レベルでRF電力を供給し続けることを含む。
【0044】
センサレスインピーダンス整合ネットワーク300を使用した方法400のオペレーションは、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200を使用した方法400のオペレーションと実質的に同一である。例えば、上述したようにRF電源での反射電力を使用する代わりに、コントローラ126は、方法400を実行するときに、RFサーキュレータ302に接続されたパワーメータ306から測定値を受信するように構成することができる。
【0045】
更に、方法400は、オペレーション中にRFバイアス電源と併せて使用することができる。例えば、方法400は、RFバイアス電源162と共に使用することができる。
【0046】
モータの位置、順方向電力/反射電力、圧力、化学的性質等を含むすべてのデータは、メモリ(例えば、メモリ131、又はセンサレスインピーダンス整合ネットワーク200及びセンサレスインピーダンス整合ネットワーク300(図2及び図3に図示せず)のローカルメモリ)に格納することができ、方法400のコントローラ126又は整合コントローラ208によりアクセスすることができる。このようなデータは、学習ベースの調整アルゴリズム(履歴結果、経験的データに基づくことができる)及び軌道の最適化の調整に使用することができる。幾つかの実施形態では、センサレスインピーダンス整合ネットワーク200及びセンサレスインピーダンス整合ネットワーク300は、全ての履歴実行の結果に基づいて新しい位置に調整することができる。
【0047】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の更なる実施形態を創作することができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】