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特表2024-537695フィンガープリントに基づく半導体製造プロセス欠陥検出を使用する方法及びプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】フィンガープリントに基づく半導体製造プロセス欠陥検出を使用する方法及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241008BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20241008BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L21/66 Z
H01L21/02 Z
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518197
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022044531
(87)【国際公開番号】W WO2023049341
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/484,204
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】イップ,ネーサン
(72)【発明者】
【氏名】ウーリー,メーガン
【テーマコード(参考)】
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2H197DA02
2H197DA03
2H197DA09
2H197DB05
2H197DB06
2H197DB10
2H197HA03
2H197JA17
2H197JA22
2H197JA23
4M106AA01
4M106CA39
4M106CA48
4M106DJ18
4M106DJ20
4M106DJ27
(57)【要約】
プロセス変数及び欠陥に対するモデルフィンガープリントの変化率を通したプロセスモデルの感度計算が提供される。フィンガープリント感度テーブルが生成され、プロセス変数がフィンガープリント感度のセットに関連付けられる。入力基板のフィンガープリントは、プロセスモデルで使用される同じフィンガープリント方法を適用することにより、生産プロセスを通して監視される。入力基板フィンガープリントとプロセスモデル予測フィンガープリントとの間の差分の計算が行われる。この差分フィンガープリントは、差分の原因である可能性が最も高いプロセス変数を見出すためにフィンガープリント感度のテーブルに対して比較される。プロセス変数と基板上の実測値との間の空間的関係が取得され得る。フィンガープリント感度を通した相関は、欠陥のあるプロセスツールを指摘する能力を向上させる。差分フィンガープリントは、基板上の欠陥の形成を識別することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法であって、前記作製プロセスは、少なくとも1つのプロセスステップを含み、前記少なくとも1つのプロセスステップは、複数のプロセス変数に関連付けられ、前記方法は、
前記少なくとも1つのプロセスステップに対して実験計画プロセスを行うことであって、前記複数のプロセス変数は、複数の実験計画半導体ウェーハに対して変更される、行うことと、
前記複数の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することであって、前記実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、前記実験計画ウェーハ測定値が取得される前記実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、
各実験計画半導体ウェーハについて、前記取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することと、
前記複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、前記少なくとも1つのプロセスステップのプロセスモデルを作成することと、
生産半導体ウェーハ上で前記少なくとも1つのプロセスステップを行うことと、
前記生産半導体ウェーハの前記第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することであって、前記生産ウェーハ測定値のそれぞれは、前記生産ウェーハ測定値が取得される前記生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、
前記取得された生産半導体ウェーハ測定値から生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリントを作成することと、
前記生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリント及び前記プロセスモデルを利用して、前記少なくとも1つのプロセスステップの欠陥のあるプロセス変数を検出することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセスステップの前記プロセスモデルを利用して、前記生産半導体ウェーハのモデル化フィンガープリントを計算することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モデル化フィンガープリントと前記生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリントとの間の差分を計算することと、
前記少なくとも1つのプロセスステップの前記欠陥のあるプロセス変数を検出するとき、前記計算された差分を利用することと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記欠陥のあるプロセス変数は、前記計算された差分をプロセスモデル感度に対して比較して、特定のプロセス変数に欠陥があるかどうかを判定することを促進することによって検出される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記特定のプロセス変数は、確率決定を利用して識別される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記特定のプロセス変数は、前記計算された差分を前記プロセスモデル感度に対して比較することによって取得された複数のプロセスモデル項を解析して、所定の欠陥確率レベルを超えるプロセス変数を識別することによって識別される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法であって、前記作製プロセスは、複数のプロセスステップを含み、前記複数のプロセスステップの少なくとも第1のものは、複数のプロセス変数に関連付けられ、前記方法は、
実験計画プロセスを行うことであって、前記実験計画プロセスは、
一連の実験計画半導体ウェーハについて、前記一連の実験計画半導体ウェーハ上で前記複数のプロセスステップの前記第1のものを行うことであって、前記複数のプロセス変数の値の少なくとも1つ又は複数は、前記一連の実験計画半導体ウェーハのそれぞれに対して変更される、行うことと、
前記一連の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することであって、前記実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、前記実験計画ウェーハ測定値が取得される前記実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、
各実験計画半導体ウェーハについて、前記取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することと、
前記複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、前記複数のプロセスステップの前記第1のもののプロセスモデルを作成することと
を含む、行うことと、
少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上で前記複数のプロセスステップの前記第1のものを行うことと、
前記生産半導体ウェーハの前記第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することであって、前記生産ウェーハ測定値のそれぞれは、前記生産ウェーハ測定値が取得される前記生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、
前記取得された生産ウェーハ測定値から生産ウェーハプロセスステップフィンガープリントを作成することと、
前記生産ウェーハプロセスステップフィンガープリント及び前記プロセスモデルを利用して、欠陥のあるプロセス変数を検出することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記複数のプロセスステップの前記第1のものの前記プロセスモデルを利用して、前記生産半導体ウェーハのモデル化フィンガープリントを計算することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モデル化フィンガープリントと前記生産ウェーハプロセスステップフィンガープリントとの間の差分を計算することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モデル化フィンガープリントと前記生産ウェーハプロセスステップフィンガープリントとの間の差分を計算することと、
前記複数のプロセスステップの前記第1のものの前記欠陥のあるプロセス変数を検出するとき、前記計算された差分を利用することと
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記欠陥のあるプロセス変数は、前記計算された差分を前記プロセスモデルの変数感度レベルに対して比較して、特定のプロセス変数が、前記欠陥のあるプロセス変数であると判定することを促進することによって検出される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記欠陥のあるプロセス変数は、確率決定を利用して識別される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記欠陥のあるプロセス変数は、前記計算された差分を前記変数感度レベルに対して比較することによって取得された複数のプロセスモデル項を解析して、所定の欠陥確率レベルを超えるプロセス変数を識別することによって識別される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記欠陥のあるプロセス変数は、確率決定を利用して識別される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記欠陥のあるプロセス変数は、前記計算された差分を変数感度レベルに対して比較することによって取得された複数のプロセスモデル項を解析して、所定の欠陥確率レベルを超えるプロセス変数を識別することによって識別される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法であって、前記作製プロセスは、複数のプロセスステップを含み、前記複数のプロセスステップの少なくとも第1のものは、複数のプロセス変数に関連付けられ、前記方法は、
実験計画プロセスを行うことであって、前記実験計画プロセスは、
一連の実験計画半導体ウェーハについて、前記一連の実験計画半導体ウェーハ上で前記複数のプロセスステップの前記第1のものを行うことであって、前記複数のプロセス変数の値の少なくとも1つ又は複数は、前記一連の実験計画半導体ウェーハのそれぞれに対して変更される、行うことと、
前記一連の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することであって、前記実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、前記実験計画ウェーハ測定値が取得される前記実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、
各実験計画半導体ウェーハについて、前記取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することと、
前記複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、前記複数のプロセスステップの前記第1のもののプロセスモデルを作成することと
を含む、行うことと、
少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上で前記複数のプロセスステップの前記第1のものを行うことと、
前記少なくとも1つの生産半導体ウェーハの前記第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することであって、前記生産ウェーハ測定値のそれぞれは、前記生産ウェーハ測定値が取得される前記少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、
前記複数のプロセスステップの第1のものの前記プロセスモデルを利用して、前記生産半導体ウェーハのモデル化フィンガープリントを計算することと、
前記少なくとも1つの生産半導体ウェーハの前記計算されたモデル化フィンガープリント及び前記プロセスモデルを利用して、前記少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の欠陥を検出することであって、前記プロセスモデルは、欠陥検出の正確性を改善するようにプロセス変数の変動を考慮するために利用される、検出することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の前記欠陥は、空間的に局所的な異常を識別し、且つプロセス変数の変動を考慮して欠陥の誤検出を除去することによって判定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記取得された生産ウェーハ測定値と、前記計算されたモデル化フィンガープリントとの間の差分を計算することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
取得された生産ウェーハ測定値と、前記計算されたモデル化フィンガープリントとの間の差分を計算することと、
前記少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の前記欠陥を検出するとき、前記計算された差分を利用することと
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の前記欠陥は、空間的に局所的な異常を識別し、且つプロセス変数の変動を考慮して欠陥の誤検出を除去することによって判定される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月24日に出願された「Method and Process Using Fingerprint Based Semiconductor Manufacturing Process Fault Detection」という名称の米国特許出願公開第17/484,204号明細書の利益及びそれに対する優先権を主張するものであり、その内容は、あらゆる目的のために全体として参照により援用される。
【0002】
本開示は、基板の処理に関する。一実施形態では、本開示は、マイクロ電子デバイスを形成するために使用される基板の処理のための新規な方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ電子デバイスは、マイクロメートル以下のスケールの個々の電子デバイス及び構成要素又はそれらの集合である。個々のマイクロ電子デバイスは、設計に従って接続されて組み合わせを形成し得るトランジスタ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、ダイオード等の電子部品を含み得る。接続は、絶縁体によって絶縁された垂直導体及び側方導体の多層相互接続回路網を集積することによって形成され得る。組み合わせは、データの記憶及び検索、計算、信号処理及び電子画像捕捉又はそれらの組み合わせ等の複雑な機能を集合的に実行する電子回路を形成し得る。集積回路(IC)は、マイクロチップと呼ばれることもあり、そのようなデバイスの一例である。ICは、産業、軍事及び民生用途のための多くの電子システムで使用されている。
【0004】
通常、マイクロ電子デバイスは、基板(例えば、半導体ウェーハ等)上に形成され、基板上の材料、例えば半導体、絶縁体及び導体のパターニングされた層のスタックの一部として生産される。通常、基板処理は、多様なプロセスツールを順番に使用することを通して各種のプロセス層を形成、注入、処理、パターニング、エッチング等するために、各種のプロセスツールを使用する一連のプロセスステップを伴う。処理技術の革新により、マイクロ電子デバイス内の構成要素のパッキング密度を高めるために、最小フィーチャサイズは、定期的に縮小されてきた。構成要素が多くなるにつれて、電子回路の機能が強化され、それによりマイクロ電子デバイスがより複雑なタスクを実行できるようになっている。
【0005】
各マイクロ電子デバイス内の電子部品の数の増加に伴って基板処理の複雑性が増大し、基板処理における幾何学的形状が縮小し続けるにつれて、基板上に構造を形成するための技術的課題が増大している。歩留まりの高い半導体作製方法によって生産される低コストの電気機械的に機能的なマイクロ電子デバイスを提供するために、半導体ウェーハ作製製造システム、製造方法及び製造ツールの革新が必要とされ得る。
【0006】
基板処理の複雑性の増大及び幾何学的形状の減少により、より精密な製造ツール及びそれらの製造ツールの制御も必要となる。欠陥のあるツール部品は、基板処理によって形成されるデバイスの性能不良につながることがある。欠陥のある部品を早期に検出することにより、コストを節約し、破局的故障を防ぐことができる。欠陥のある部品を検出する従来の方法は、均一な閾値を設定するか、又は機械に異常を検出するセンサを設置することにより、処理されたウェーハを検査することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板処理で利用される種々のプロセスステップ及びプロセスツールを監視及び制御するための改善された技法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プロセス変数に対するモデルフィンガープリントの変化率を通したプロセスモデルの感度計算が提供される。フィンガープリント感度のテーブルが生成され、プロセス変数がフィンガープリント感度のセットに関連付けられる。入力基板のフィンガープリントは、プロセスモデルで使用される同じフィンガープリント方法を適用することにより、生産プロセスを通して監視される。入力基板フィンガープリントと、プロセスモデルを使用して計算される予測フィンガープリントとの間の差分の計算が行われる。この差分フィンガープリントは、差分の原因である可能性が最も高いプロセス変数を見出すためにフィンガープリント感度のテーブルに対して比較される。次に、この可能性を順位付けするチャートが作成され、ユーザに報告され得る。プロセス変数と基板上の実測値との間の空間的関係が取得され得る。フィンガープリント感度を通した直接相関は、欠陥のあるプロセスツールを指摘する能力を向上させる。別の代替形態では、フィンガープリントプロセスは、基板上に形成された欠陥を検出するために利用され得る。例えば、特定のプロセスステップにおいて基板上に形成される可能性のある微粒子は、本明細書に説明されるフィンガープリント比較プロセスの使用を通して検出され得る。
【0009】
欠陥のあるプロセスツール(又はプロセスツールの部品)は、被処理基板のフィンガープリントに有意な影響を与える可能性がある。同様に、欠陥は、被処理基板のフィンガープリントに有意な影響を与える可能性がある。開示される方法は、プロセス変数関連のドリフトを検出して、欠陥のあるプロセスツール及び/若しくは部品を早期に識別し、且つ/又はプロセスステップにおける欠陥の形成を検出するためにフィンガープリントモデリングを使用する詳細を提示する。開示される技法は、欠陥のあるツール及び/又は欠陥を検出するためにセンサ入力を必要としない。そのため、寄与するフィンガープリント成分を有するプロセス変数を分離し、プロセス変数感度に基づいて検出することにより、基板処理プロセスの問題の根本原因又は欠陥のあるツール及び/若しくは部品を識別する代替方法が提供される。同様に、開示される方法は、プロセスステップにおける欠陥の形成を検出するためにフィンガープリントモデリングを使用する詳細を提示する。開示される技法は、欠陥へのセンサ入力を必要としない。そのため、フィンガープリント技法の使用により、欠陥を形成する基板処理問題を識別する代替方法が提供される。
【0010】
一実施形態では、半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法が提供され、作製プロセスは、少なくとも1つのプロセスステップを含み、少なくとも1つのプロセスステップは、複数のプロセス変数に関連付けられる。本方法は、少なくとも1つのプロセスステップに対して実験計画プロセスを行うことであって、複数のプロセス変数は、複数の実験計画半導体ウェーハに対して変更される、行うことと、複数の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することであって、実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、各実験計画半導体ウェーハについて、取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することと、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、少なくとも1つのプロセスステップのプロセスモデルを作成することと、生産半導体ウェーハ上で少なくとも1つのプロセスステップを行うことと、生産半導体ウェーハの第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することであって、生産ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、取得された生産半導体ウェーハ測定値から生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリントを作成することと、生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリント及びプロセスモデルを利用して、少なくとも1つのプロセスステップの欠陥のあるプロセス変数を検出することとを含む。
【0011】
本方法は、少なくとも1つのプロセスステップのプロセスモデルを利用して、生産半導体ウェーハのモデル化フィンガープリントを計算することを更に含み得る。
【0012】
本方法はまた、モデル化フィンガープリントと生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリントとの間の差分を計算することと、少なくとも1つのプロセスステップの欠陥のあるプロセス変数を検出するとき、計算された差分を利用することとを含み得る。一実施形態では、欠陥のあるプロセス変数は、計算された差分をプロセスモデル感度に対して比較して、特定のプロセス変数に欠陥があるかどうかを判定することを促進することによって検出される。一実施形態では、特定のプロセス変数は、確率決定を利用して識別される。一実施形態では、特定のプロセス変数は、計算された差分をプロセスモデル感度に対して比較することによって取得された複数のプロセスモデル項を解析して、所定の欠陥確率レベルを超えるプロセス変数を識別することによって識別される。
【0013】
別の方法は、半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法であって、作製プロセスは、複数のプロセスステップを含み、複数のプロセスステップの少なくとも第1のものは、複数のプロセス変数に関連付けられる。本方法は、実験計画プロセスを行うことを含み得る。実験計画プロセスは、一連の実験計画半導体ウェーハについて、一連の実験計画半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うことであって、複数のプロセス変数の値の少なくとも1つ又は複数は、一連の実験計画半導体ウェーハのそれぞれに対して変更される、行うことと、一連の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することであって、実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、実験計画ウェーハ測定値が取得される実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、各実験計画半導体ウェーハについて、取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することと、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、複数のプロセスステップの第1のもののプロセスモデルを作成することとを含み得る。本方法は、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うことと、生産半導体ウェーハの第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することであって、生産ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、取得された生産ウェーハ測定値から生産ウェーハプロセスステップフィンガープリントを作成することと、生産ウェーハプロセスステップフィンガープリント及びプロセスモデルを利用して、欠陥のあるプロセス変数を検出することとを更に含む。
【0014】
本方法は、複数のプロセスステップの第1のもののプロセスモデルを利用して、生産半導体ウェーハのモデル化フィンガープリントを計算することを更に含み得る。本方法は、モデル化フィンガープリントと生産ウェーハプロセスステップフィンガープリントとの間の差分を計算することも含み得る。本方法はまた、モデル化フィンガープリントと生産ウェーハプロセスステップフィンガープリントとの間の差分を計算することと、複数のプロセスステップの第1のものの欠陥のあるプロセス変数を検出するとき、計算された差分を利用することとを含み得る。幾つかの実施形態では、欠陥のあるプロセス変数は、計算された差分をプロセスモデルの変数感度レベルに対して比較して、特定のプロセス変数が、欠陥のあるプロセス変数であると判定することを促進することによって検出される。幾つかの実施形態では、欠陥のあるプロセス変数は、確率決定を利用して識別される。幾つかの実施形態では、欠陥のあるプロセス変数は、計算された差分を変数感度レベルに対して比較することによって取得された複数のプロセスモデル項を解析して、所定の欠陥確率レベルを超えるプロセス変数を識別することによって識別される。他の実施形態では、欠陥のあるプロセス変数は、確率決定を利用して識別される。
【0015】
別の実施形態では、半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法が提供され、作製プロセスは、複数のプロセスステップを含み、複数のプロセスステップの少なくとも第1のものは、複数のプロセス変数に関連付けられる。本方法は、実験計画プロセスを行うことを含み得、実験計画プロセスは、一連の実験計画半導体ウェーハについて、一連の実験計画半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うことであって、複数のプロセス変数の値の少なくとも1つ又は複数は、一連の実験計画半導体ウェーハのそれぞれに対して変更される、行うことと、一連の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することであって、実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、実験計画ウェーハ測定値が取得される実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、各実験計画半導体ウェーハについて、取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することと、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、複数のプロセスステップの第1のもののプロセスモデルを作成することとを含む。本方法はまた、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うことと、少なくとも1つの生産半導体ウェーハの第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することであって、生産ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる、取得することと、複数のプロセスステップの第1のもののプロセスモデルを利用して、生産半導体ウェーハのモデル化フィンガープリントを計算することと、少なくとも1つの生産半導体ウェーハの計算されたモデル化フィンガープリント及びプロセスモデルを利用して、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の欠陥を検出することであって、プロセスモデルは、欠陥検出の正確性を改善するようにプロセス変数の変動を考慮するために利用される、検出することとを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の欠陥は、空間的に局所的な異常を識別し、且つプロセス変数の変動を考慮して欠陥の誤検出を除去することによって判定される。本方法は、取得された生産ウェーハ測定値と、計算されたモデル化フィンガープリントとの間の差分を計算することを更に含み得る。本方法はまた、取得された生産ウェーハ測定値と、計算されたモデル化フィンガープリントとの間の差分を計算することと、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の欠陥を検出するとき、計算された差分を利用することとを含み得る。
【0017】
本発明及びその利点のより詳細な理解は、添付図面と併用される以下の説明を参照することによって得ることができ、図面では、同様の参照番号が同様の特徴を示す。しかしながら、添付図面は、開示される概念の例示的な実施形態のみを例示するものであり、したがって開示される概念が他の均等に有効な実施形態も許容し得るため、範囲を限定するものと見なすべきでないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】一実施形態による、ウェーハ作製製造システムのプロセスステップの測定可能な結果の一例を例示する。
図1B図1Aに例示される測定可能な結果の一例のフィンガープリントを例示する。
図1C図1Aに例示される測定可能な結果の一例のフィンガープリントを例示する。
図2】一実施形態による、ウェーハ作製計測のインライン測定値からフィンガープリントモデル、伝達関数及びプロセスステップのプロセスモデルを生成するために使用されるウェーハ作製製造システムにおける一例の方法の一部を例示するフローチャートである。
図3A】一実施形態による、インライン測定タイプの測定フィンガープリントが生成される一例の方法の一部を例示する。
図3B】一実施形態による、インライン測定タイプの測定フィンガープリントが生成される一例の方法の一部を例示する。
図3C】一実施形態による、インライン測定タイプの測定フィンガープリントが生成される一例の方法の一部を例示する。
図4A】一実施形態による、インライン測定タイプの測定フィンガープリントのプロセスモデルが生成される一例の方法の一部を例示する。
図4B】一実施形態による、インライン測定タイプの測定フィンガープリントのプロセスモデルが生成される一例の方法の一部を例示する。
図4C】一実施形態による、インライン測定タイプの測定フィンガープリントのプロセスモデルが生成される一例の方法の一部を例示する。
図4D】一実施形態による、インライン測定タイプの測定フィンガープリントのプロセスモデルが生成される一例の方法の一部を例示する。
図5】一実施形態による、ウェーハ作製計測のインライン測定値からフィンガープリントモデル、伝達関数及びプロセスモジュールのプロセスモデルを生成するために使用されるウェーハ作製製造システムにおける一例の方法の一部を例示するフローチャートである。
図6A】一実施形態による、測定フィンガープリントからフィンガープリントの階層を生成する一例の方法を例示する。
図6B】一実施形態による、測定フィンガープリントからフィンガープリントの階層を生成する一例の方法を例示する。
図6C】一実施形態による、測定フィンガープリントからフィンガープリントの階層を生成する一例の方法を例示する。
図7】一実施形態による、ベースラインプロセスフローのモデルを生成する一例の方法を例示する一般化されたフローチャートである。
図8】半導体ウェーハと共に使用するための、フィンガープリントに基づく欠陥検出技法を実施するための例示的なワークフロー図を例示する。
図9】薄膜形成プロセスに対する各種のプロセス変数を例示する例示的なテーブルを例示する。
図10】モニターウェーハのグリッド全体にわたって空間的に収集された膜厚生データ並びにフィンガープリントモデルによって提供される、対応する係数強度及び係数を例示する。
図11A】「良品」及び「不良」ウェーハの膜厚例に関して図8のワークフローステップの一部を例示する。
図11B】「良品」及び「不良」ウェーハの膜厚例に関して図8のワークフローステップの一部を例示する。
図12A】「良品」及び「不良」ウェーハの欠陥確率に対してプロセス変数(プロセスモデル項)をプロットしたチャートを例示する。
図12B】「良品」及び「不良」ウェーハの欠陥確率に対してプロセス変数(プロセスモデル項)をプロットしたチャートを例示する。
図13】半導体ウェーハと共に使用するための、フィンガープリントに基づく欠陥検出技法を実施するための例示的なワークフロー図を例示する。
図14A】本明細書で開示する技法を利用する例示的な方法を例示する。
図14B】本明細書で開示する技法を利用する例示的な方法を例示する。
図15A】本明細書で開示する技法を利用する例示的な方法を例示する。
図15B】本明細書で開示する技法を利用する例示的な方法を例示する。
図16A】本明細書で開示する技法を利用する例示的な方法を例示する。
図16B】本明細書で開示する技法を利用する例示的な方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
半導体ウェーハ等の基板を作製するための既存の手法は、基板全体に適用されるか、又は基板全体にわたって適用されると仮定される単一の値であるメトリックを使用する。これらのメトリックの従来の適用は、個々のウェーハ又はサンプルウェーハの測定値に基づく。
【0020】
これらの従来の手法は、各測定値に関連するか又は関連付けられた情報を破棄又は無視する。例えば、そのような情報は、空間的測定値又は測定値間の相関を含み得る。そのような情報は、潜在的に有価値である。エッジ配置誤差(EPE)は、歩留まりに相関付けることができるメトリックを形成する異なる測定値の組み合わせの一例である。
【0021】
Fonseca及びIPによるSystems and Methods for Manufacturing Microelectronic Devicesという名称の、2019年10月28日に出願された係属中の米国特許出願公開第16/666,087号明細書(その開示内容が全体として参照により明示的に援用される)では、製造歩留まりに相関するメトリックのフィンガープリント(FP)が、1つ又は複数の半導体ウェーハの複数の空間場所において行われた1つ又は複数のインライン測定から生成される方法を採用する製造システムについて説明している。
【0022】
参照により援用される米国特許出願公開第16/666,087号明細書で説明されている技術は、種々の実施形態において、はるかに多くの利用可能な情報を使用して構築されたプロセスモデルを生成することにより、空間情報を維持する。加えて、この技術は、種々の実施形態において、半導体製造に動的に適用することができ、フィードバック制御ループを使用して自動化されるのに適している。
【0023】
本明細書に説明された半導体ウェーハ作製製造システム製造方法及び製造ツールの実施形態は、半導体ウェーハ作製の技法によって生産されるマイクロ電子デバイスの製造歩留まり及び製造コストを改善し得る。半導体ウェーハ作製は、一連のプロセスモジュールの実行として説明され得、各プロセスモジュールは、一連のユニットプロセスステップを含む。一例のユニットプロセスステップは、順次プロセスフローに従って実行されて、層、例えば活性層、ダミーゲート層、ソース-ドレイン層、金属ゲート層、接点層等を作製する表面準備、イオン注入、熱ステップ(例えば、急速熱酸化(RTO)、急速熱アニール(RTA)及びレーザアニール)、フォトリソグラフィステップ(例えば、レジストコート、露光、現像及びストリッピング)、電気メッキ、プラズマ堆積、プラズマエッチング、ウェットエッチング、化学機械研磨(CMP)等を含む。それぞれのプロセスモジュールは、活性モジュール、ダミーゲートモジュール等と呼ばれ得る。半導体ウェーハ製造ラインの製造歩留まりは、仕様のセットに準拠する電気的にテスト可能なメトリック(例えば、トランジスタ漏出、抵抗器抵抗、回路機能性等)を有する、完成したマイクロ電子デバイスの割合であると見なされ得る。
【0024】
製造歩留まりに相関するメトリックのフィンガープリント(FP)は、1つ又は複数の半導体ウェーハの複数の空間場所において行われた1つ又は複数のインライン測定から生成される。各層について、層に適切なメトリックのFPは、以下に更に詳述されるように生成される。例えば、ダミーゲート層のエッジ配置誤差(EPE)のFPを生成し得る。幾つかの実施形態では、各FPは、測定値の空間情報を保持するそれぞれのメトリックの数学的モデルである。幾つかの実施形態では、数学的モデルは、インライン測定値が取得されたウェーハ上の場所の空間座標の数学的関数である。数学的関数は、基底関数と呼ばれる、数学的関数の有限級数で展開され得る。その場合、FPは、モデル関数の級数展開のそれぞれの項の係数の順序付き集合を含む係数ベクトルによって表され得る。以下に更に詳述するように、層メトリックのFPは、FPの階層の複合物であり得る。例えば、活性層EPEのFPは、マンドレル(側壁イメージ転写(SIT)に使用される)の高さ、ピッチウォーク(マルチパターニング技法の場合)、オーバーレイ(例えば、活性マスクとアラインメントマスクとの間のアラインメント誤差)等、幾つかのFPからの寄与を含む複合数学的モデルであり得る。次に、これらのFP(例えば、マンドレルの高さ、ピッチウォーク及びオーバーレイ)は、例えば、マンドレルの堆積薄膜厚、側壁ハードマスクのマルチパターンのピッチ、オーバーレイパターンにおけるフィーチャの寸法等のインライン測定値の1つ又は複数のFPから導出され得る。
【0025】
インライン測定値は、ウェーハ作製生産ラインの終わりに製造歩留まりに最終的に影響し得る先行プロセスステップの結果を識別するように設計される。当業者に既知のように、処理ステップの結果は、調整可能なプロセスパラメータのセットによって調節され得る。プロセスパラメータは、一般に、1つ又は複数のプロセスステップを実行するために選択される機器設定である。例えば、ダミーゲートプロセスモジュールにおけるレジスト現像プロセスステップ後のダミーゲートレジストEPE測定値は、レジストコートステップにおけるウェーハスピン速度、フォトレジスト露光ステップ中の露光時間及び焦点面の位置によって調節され得る。したがって、ダミーゲートレジストEPEのFPの各係数は、調整可能なプロセスパラメータ、この例ではスピン速度、露光及びフォーカスによって調節され得る。プロセスパラメータ(例えば、スピン速度、露光及びフォーカス)のセットに対するFP係数(例えば、ダミーゲートレジストEPE FP)の応答は、独立変数のセットの数学的関数としてモデリングされ得、各変数は、EPEの単位(例えば、ナノメートル)に適宜正規化されたプロセスパラメータの数値表現である。これらの数学的記述は、ダミーゲートレジストEPEのプロセスモデルを集合的に形成する。
【0026】
この例では、ダミーゲートレジストEPEは、直接測定値であるため、そのFPは、FPの階層中の最下位レベルFPの1つである。この実施形態では、プロセスモデルは、ダミーゲートレジストEPE FPを正確にモデリングすることにより、ダミーゲートレジストEPE測定値における空間情報を保持し得ることに更に留意され得る。一般に、2つ以上の測定値タイプがあり得る(例えば、EPE、ラインエッジラフネス(LER)、オーバーレイ、限界寸法(CD)、線幅ラフネス(LWR)等)。それぞれのプロセスモデルを有する最下位レベルFPは、プロセスステップの各測定値タイプについて生成され得る。現在又は前のプロセスステップにおいて取得された測定値のインライン測定値FPとの組み合わせ及び計算(例えば、2つの測定値間の差)を行い、そのプロセスステップの次の上位レベルのFPを作成し得る。
【0027】
プロセスステップの測定可能な結果は、多くの場合、入力ウェーハの状態に依存する。例えば、ダミーゲートレジストパターンのEPEは、フィンFETと呼ばれるフィン形トランジスタ構造の作製を含むプロセスフローにおける活性レベルでのシャロートレンチアイソレーション(STI)酸化物の上に突出して形成されたフィンの高さによって影響を受け得る。活性プロセスモジュールにおいて測定されるフィン高さは、活性フィン高さFPによって正確に再現され得る。入力ウェーハの状態は、一般に、前のプロセスモジュール及び現在のプロセスモジュールの完了したプロセスステップの両方によって決定される。したがって、前のプロセスモジュールの最上位レベルFP及び現在のプロセスモジュールにおける完了したステップの最上位レベルFPは、後続のプロセスステップにおける測定値に相関し得、したがって、それから生成されるFPに相関し得る。この例では、活性フィン高さFPは、EPE、CD、LER、LWR及びオーバーレイのダミーゲートレジストFP等のダミーゲート層におけるインライン測定値の1つ又は複数のFPに影響を及ぼし得る。FP対間(例えば、活性フィン高さFPとダミーゲートレジストEPE FPとの間)のそのような相関は、プロセスフローについて特性評価され、後続のプロセスステップの測定(最下位レベル)FPの生成での使用に適した伝達関数として前のプロセスステップからフィードフォワードされる。一実施形態では、伝達関数は、先のFP(例えば、活性フィン高さFP)の係数ベクトルを、後続のプロセスステップの最下位レベルFP(例えば、ダミーゲートレジストEPE FP)の係数ベクトルに組み込むことができる成分ベクトルにマッピングする変換行列として実施され得る。一般に、伝達関数は、後続のプロセスステップで行われた測定から導出されたメトリックのFPに対する、前のプロセスステップのウェーハ特性から計算されたメトリックの影響を含むように使用され得る変換行列、微分方程式のセット、ルックアプテーブル、統計的相関関数のセット又は反復アルゴリズム等の任意の数値モデルを使用して実施され得る。更に、前のプロセスステップにおける1つ又は複数のFPモデルを現下のプロセスステップにおける測定値FPの少なくとも一部にマッピングする伝達関数として、現下のプロセスステップにおけるウェーハ特性に対する前の処理の影響を公式化したが、他の公式も考えられる。例えば、伝達関数は、現下のプロセスステップにおける1つ又は複数のインラインウェーハ作製計測データの組み合わせ/計算から導出されるメトリックのFPモデルの少なくとも一部への前のステップにおけるプロセスパラメータのマッピングを記述するように公式化され得る。前の処理の影響が最下位レベルFPに組み込まれると、前のプロセスステップとの相関は、最下位レベルFPを使用してその後形成される任意の上位レベルFPに自然に含まれる。
【0028】
プロセスモジュールのプロセスステップのFPを生成した後、組み合わせ及び計算を適用して、次の上位レベルのFPを生成し得、これは、更に後述するように、プロセスモジュール又は層のFPであり得る。例えば、ダミーゲートレジストCD FP、ダミーゲートエッチングバイアスFP及びオーバーレイ等のダミーゲートプロセスモジュールにおけるプロセスステップの幾つかのFPを組み合わせて、ダミーゲート層のダミーゲートCD FPを生成し得る。
【0029】
FPを使用し、生の測定データの空間座標を保持し、再現するFP係数のプロセスモデルを生成する方法の実施形態は、半導体ウェーハ作製生産ラインの監視及び制御に有利である。空間情報を提供するFP係数ベクトルの監視を使う統計的プロセス制御(SPC)戦略は、ウェーハ作製生産ラインの歩留まりを低下させる可能性のあるプロセスエクスカーションの原因を識別することを容易にする。例えば、径方向依存性の増大が、その1つが径方向ガス流を表す幾つかのプロセスパラメータによって影響を受け得るメトリックのFPの係数の異常から観測される場合、それは、異常なガス流を示唆し得る。介入が製造歩留まりの回復を成功させ得る機器及び機器設定の高速識別を促進するために、異常値を示すFP係数のプロセスモデルを空間情報と併せて利用して、異常をシミュレートすることができる。
【0030】
伝達関数を使用して前のプロセスステップとの相関が組み込まれたFP係数ベクトルを生成することにより、ウェーハ作製製造システムに幾つかの独自の利点が提供される。伝達関数法は、測定値FPの係数ベクトルを2つの成分ベクトルに効果的に分割する。1つは前の処理と相関する成分ベクトルであり、もう1つは現下の完了したプロセスステップと相関する現下ステップベクトルと呼ばれる成分ベクトルである。先のステップのフィンガープリントと相関する成分は、処理履歴から予測可能であり、測定値FPの伝達ベクトル又は伝達成分と呼ばれる。FP係数ベクトルのそのような分解は、所与のプロセスステップで観測された逸脱を、入力ウェーハ状態に起因する部分と現下のプロセスステップに起因する部分とに分割するために使用され得る。更に、予測可能性は、是正動作をフィードフォワードするか、又は更なる処理を終える早期判断を行うために使用され得る。
【0031】
伝達関数法は、後続のプロセスステップにおけるメトリックのFPへの全ての先のプロセスステップの影響を保持することにより、作製プロセスフロー全体のプロセスモデルの正確性を上げる。この能力は、以下に更に後述するように、生産ラインの歩留まりを改善するようにプロセスパラメータを調整するコンピュータ支援解析で有利に使用され得る。プロセスモデルと共に、空間情報は、機器設定を最適化して製造歩留まりを高める、より的を絞った調整に役立ち得る。更に、解析は、製造歩留まりへの影響が大きいため、更なる投資に値する特定の機器を識別し得、製造歩留まりへの影響がごくわずかな状態でより安価な代替を使用し得る特定の機器を識別することもできる。
【0032】
先に概説した製造システム及び方法について、図1図8を参照して以下に更に詳細に例示する。
【0033】
図1Aのウェーハマップは、結果がウェーハ上の複数のダイ場所において繰り返される同じタイプの測定値の集合である、ウェーハ作製製造システムのプロセスステップの直接測定可能な結果100の一例(例えば、レジストパターニングステップのEPE測定値)を例示する。1つのサンプルウェーハ又はそのようなウェーハの集合上の空間場所(例えば、二次元(2D)矩形座標x及びy又は極座標r及びθ)に関連付けられたデータ値を含むデータセットは、ウェーハマップとして表示され得る。ウェーハマップでは、各データ点は、ウェーハの二次元画像において関連付けられた空間座標に従ってエリアを与えられる。図1Aの画像等の本明細書におけるウェーハマップでは、データ点は、グレースケールによって示された値を有するモザイク式矩形として描写される。
【0034】
生データ(例えば、直接測定されたEPE値及びそれらの関連座標)を処理して、フィンガープリント(FP)モデルを作成し得る。特に、回帰分析等の解析を行って、生データ値への最良フィッティング、例えばEPEの測定値と、最適化されたパラメータを使用してFPモデルによって計算された値との間の最小誤差を求めて、関数のパラメータを選択及び調整し得る。解析は、管理可能な有限数の調整可能パラメータを用いて、生データにおける空間パターンを再現し得る2D空間座標の適切な数学的関数を選択することを含む。例えば、例えば液体フォトレジストが回転中のウェーハの中央領域に導入され、径方向遠心力によってウェーハ表面にわたって分布するプロセスステップの影響を受けやすいことがあり得る測定では、モデル関数は、ゼルニケ多項式の有限級数(又はフーリエ級数及びベッセル関数等の他の関数)として数学的に表現される、極座標r及びθの関数であるように選択され得る。各多項式は、それぞれの数値係数によって加重される。これらの係数は、生データへの最良フィッティングを得るために解析中に値を最適化し得るモデルのフィッティングパラメータである。係数の順序付き集合は、係数ベクトルと呼ばれ、各係数は、係数ベクトルの一成分である。集合的に、成分(ゼルニケ多項式の順と同じ順に配置される)は、生データのFPモデルを構成する。図1Bに例示される係数ベクトルは、図1Aのウェーハマップによって描写される生データのFPモデルの一例である。図1BにおけるFPモデルに使用されるモデル関数は、図1Bにおいて順にプロットされた21個の係数によって加重された最初の21個のゼルニケ多項式の級数を含む。図1Cのウェーハマップ120は、図1Bに例示される最適化されたFPモデルを使用して計算される、モデリングされた値を描写する。2つのウェーハマップ(図1A及び図1C)から観測し得るように、図1BのFPモデルは、生データをかなり正確に再現することが可能である。
【0035】
場合により、初期FPモデル(例えば、図1Bの21次元係数ベクトル)は、支配的なモデルパラメータを識別することを含むように解析を展開することによって更に簡易化され得る。係数ベクトルの主成分が少数(例えば、計算されたデータ値に有意に影響する5つの係数)のみある場合、例えば、21個の係数を含む初期FPモデルは、識別された少数の主係数、例えば5つの主係数によって近似され得る。幾つかの実施形態では、更なる処理及び計算について、低次元(例えば、5次元)係数ベクトルが初期高次元(例えば、21次元)FPモデルを置換し得る(残りの係数は、無視される)。
【0036】
図2は、上述した技法を実施する一例のシステム200における1つのプロセスステップの実行フローを例示するフローチャートである。一例のシステム200は、半導体ウェーハの作製と協働して行われる。場合により、協働は、作製自体の一体部分である一例のシステム200を含み得る。以下に詳述するように、ベースライン(基準計画)ウェーハ作製プロセスに加えて、処理ステップを行い、測定値を取得し、高信頼度で正確なモデルパラメータを抽出し得る。
【0037】
一例のプロセスについて、本明細書では、いかなる限定でもなく簡潔性のために、システム200によって行われるものとして解説する。図3及び図4は、図2のフローチャートに付随して、システム200におけるステップの幾つかの解説に役立つ。図3は、ウェーハ上の測定場所の座標の関数としての測定値FPの生成を例示するために使用される。図4は、システム200が、プロセスパラメータの変更に対するフィンガープリントモデルの係数の応答を計算するプロセスモデルを生成するために使用する方法を解説するために使用される。
【0038】
プロセスステップの結果の予測数学的モデルを作成するためにシステム200において使用される方法のステップ毎の説明での最初のステップである、図2のシステム200のフローチャートにおけるブロック210によって示されるように、FP、伝達関数及びプロセスモデルを含むモデルは、ベースライン作製プロセスフローに従って処理された半導体ウェーハの1つ又は複数の特性(例えば、高密度ラインのパターンにおけるラインのレジストCD)のインライン測定値を取得することである。取得された各測定値は、測定値が取得されるウェーハ空間場所に関連付けられ、取得された各測定値は、図1Aを参照して説明したものと同様のウェーハマップによってグラフィカルに描写され得る。図3Aのグラフ300は、各ウェーハ上の同じ場所のセットにおけるベースライン処理済みウェーハの集合から収集された測定値、例えばCD測定値の生データのウェーハマップである。
【0039】
より一般的には、ブロック210の動作は、その収集データの空間情報を伴う半導体ウェーハのインライン作製計測データの収集として説明され得る。このインライン作製計測データは、ベースライン作製プロセスフローのあるプロセスステップから生じる特性のウェーハの、ウェーハについて、ウェーハ上、ウェーハ内及びウェーハに対して行われたインライン測定値から生成される。測定は、プロセスステップ中又はプロセスステップの完了後に行われ得る。すなわち、インライン作製計測データは、ベースライン半導体作製プロセスフローのプロセスステップにおいて形成されたウェーハの特性の測定値である。
【0040】
プロセスステップにおけるインライン作製計測データは、プロセスステップにおいて処理された材料の薄膜(例えば、堆積した薄膜の厚さ)、処理された薄膜におけるパターン(例えば、レジスト現像ステップにおけるレジスト線幅)、プロセスステップにおける処理によって完成したデバイス(例えば、相互接続レベルにおける金属CMPにより)、材料のエッチングによって露出した完成途中のデバイス(例えば、アラインメントマーク)等についての測定値から導出し得る。本明細書では、プロセスステップは、その瞬間に作製の焦点となっている材料薄膜の処理であり得る。多くの場合、薄膜は、上部又は最上部薄膜である。例えば、薄膜は、堆積、クリーニング若しくはエッチングされる薄膜又は堆積、クリーニング若しくはエッチングが行われたばかりの薄膜である。
【0041】
場合により、例えば、インライン作製計測データは、作製の現在の焦点となっている薄膜に直接隣接する薄膜、その隣接層におけるパターン、隣接層によって完成したデバイス、隣接層によって露出した完成途中のデバイス等についての測定値から導出され得る。多くの場合、現下の隣接層は、最上部薄膜の直下の層である。
【0042】
更に他の場合、例えば、インライン作製計測データは、ウェーハの複数の隣接層について又はウェーハ自体の測定値から導出され得る。例えば、ウェーハの複数の隣接層は、内部の電気的及び/又は機械的に相互作用するマイクロ電子デバイスを含み得る。
【0043】
通常、インライン作製計測データは、半導体作製中、材料のパターンの共通のスタックを使用する複数の半導体ウェーハからの測定値(半導体ウェーハからの測定値に基づく計算)を含む。異なるタイプのインライン作製計測データの例には、EPE、グリッドCD測定値、ブロックLWR測定値、グリッドLWR測定値、ブロックCD測定値、エッジプロファイル、選択的堆積及び/又は選択的エッチングの選択性、形成されたマイクロ電子デバイスの電気特性、コンタクトホールCD、コンタクトホールエッジラフネス(CER)及び楕円率、短い及び長いライン及びトレンチの先端間距離、2つのパターニングされた層間のオーバーレイ誤差測定値、薄膜厚及び厚さ均一性、単一ツールの動作後に行われる測定、単一プロセスモジュールの全てのツール後に行われる測定、複数のプロセスモジュール後に行われる測定及びそれらの組み合わせからなる群から選択される測定及び/又は計算インライン作製計測データ等の測定データ及び/又は計算データがある。
【0044】
ブロック220において、システムは、データのモデリングに適切な2D空間座標(x,y)又は(r,□)の数学的関数を選択する。一実施形態では、モデル関数は、基底関数の有限級数であり、先に解説したように、級数の各項を加重する数値係数は、データの係数ベクトル又はFPと呼ばれる。基底関数は、一般に、ゼルニケ多項式、ルジャンドル多項式又はベッセル関数等の直交関数であり、長い計算時間を要する非常に長い級数を使用する必要なく、関心のあるインライン測定値タイプを正確にモデリングし得るように選択され、モデルの特性は、インライン測定ステップの幾つかの物理的構成要素(例えば、スピンコーティングプロセスの径方向特性)に相当する。
【0045】
次のブロック230において、システム200は、最適化アルゴリズムに従い、測定値タイプの取得された空間測定値に最良フィッティングする係数の有限集合を最適化する計算を実行してそれぞれのFPモデルを取得する。プロセスステップにおいて取得されたインライン作製計測データの各測定値タイプについてFPモデルを生成し得る。これらの測定値FPは、最初の(最下位)レベルのFPである。
【0046】
インライン測定値及びそれぞれのFPの生成を図3A図3Cに例示する。図3Aは、ベースライン処理を使用して現下のプロセスステップにおいて処理された1つ又は複数のウェーハから取得された測定値タイプのインライン作製計測生データを示す。グラフは、各測定値タイプの空間座標に配置され、各データの数値を表すようにグレースケールを使用して陰影が付けられたモザイク式矩形のウェーハマップとしてデータを表示する。図3Aに描写されるデータは、次に、極座標(r,□)の関数であるゼルニケ多項式の有限(例えば、21項の)級数を使用してモデリングされる。
【0047】
21個の係数の最適化された集合は、図3Bにヒストグラムとして表示され、横軸は、ゼルニケ多項式の次数であり、縦軸は、それぞれの係数の強度である。幾つかの実施形態では、項数は、調整可能であり得、例えば最適化後の最小フィッティング誤差が許容可能な閾値よりも高い場合、より高次の多項式を級数に追加し得る。
【0048】
図3Bのヒストグラムに見られるように、係数の幾つかは、他のものと比較して相対的に小さく、各項の寄与はそれぞれの係数の強度に比例するため、過度のフィッティング誤差を導入せずにモデルを簡易化することが可能であり得ることを示す。しかしながら、基底関数が2D空間座標の関数であり、したがって項の相対的寄与がウェーハの表面上の場所にも依存することを考慮することも重要である。例えば、ウェーハの中心近くで支配的な項がウェーハのエッジの近くで弱くなる場合がある。
【0049】
図3Cでは、5つの最高係数強度を有する5つの項の寄与は、ウェーハ表面のx-y平面の上に3次元表面としてプロットされる。図3Bのヒストグラムから見られるように、上から5つの係数は、4次、12次、10次、21次及び14次のゼルニケ多項式の係数である。図3Cのもの等のグラフは、モデルの複雑性の低減に役立つ。更に後述するように、より複雑でないFPモデルは、プロセスモデルを生成し、後続の解析を行うための計算時間を短縮するという利点を提供する。
【0050】
次に、この実施形態では、ブロック240において、現在のプロセスステップにおいて取得されたウェーハ特性のインライン測定の結果に対する前のプロセスステップの影響をモデリングするために、現在のプロセスステップにおける測定値FPを分解するための伝達関数が取得される。別の実施形態では、伝達関数は、現在のプロセスステップの全ての測定値FP及び上位レベルFP(測定値FPと計算との組み合わせを使用する)の生成が完了した後に生成され得る。上述したように、伝達関数は、種々の技法、例えば変換行列、統計的相関関数等を使用して実施及び抽出され得る。
【0051】
図2のシステム200のフローチャートのブロック240に示されるように、この実施形態では、伝達関数を抽出する方法は、前の処理の記憶が入力ウェーハの状態に埋め込まれることを考慮する。現下のプロセスステップにおける測定値FPの係数ベクトルを分割するロバストな方法を有するために、幾つかの先のプロセスステップにおけるプロセス条件を意図的に変更することにより、入力ウェーハのセットを生成し得る。例えば、フォトレジスト現像ステップにおけるレジストCDの測定値FPは、レジストパターンが形成されているウェーハ表面の平坦度と相関すると予期される。したがって、前の平坦化プロセスステップのプロセスパラメータをベースラインプロセスフローから意図的に変更して、入力ウェーハを生成し得、各ウェーハは、平坦化ステップにおいて取得された異なる平坦度FPを有する。次に、非ベースライン入力ウェーハのこの特に準備されたセットの平坦度FPの変動に対するレジストCD測定値の係数ベクトルの応答を解析して、そのベースライン値からのレジストCD FPの各係数の逸脱の影響の受けやすさを識別する。この情報を使用して、全ての入力ウェーハの平坦度FPの係数ベクトルを、平坦化ステップでのウェーハの平坦度FPとの全ての相関を含むことが予期されるレジストCD係数ベクトルの部分であるそれぞれのレジストCD応答ベクトル(伝達ベクトルと呼ばれる)にマッピングし得る変換行列を定義し得る。この応答ベクトルは、平坦化プロセスの記憶を捕捉し、レジストCD測定値FPから減算されて、現下のプロセスステップでの処理条件とより強く相関することが予期されるレジストCD係数ベクトルの非相関成分(現下ステップベクトルと呼ばれる)を取得し得る。
【0052】
変換行列は、上述した一例の実施形態では、伝達関数の数学的な実装である。先述したように、他の数学的な実装も可能であることが理解される。
【0053】
特定のベースラインウェーハ作製プロセスフローの伝達関数は、ウェーハのバッチがウェーハ作製生産ラインによって処理されるたびに生成される必要がない。伝達関数は、一度生成され、将来の使用に利用できるように電子的に記憶され得る。ベースラインウェーハ作製プロセスフローに修正が行われるため、定期的に伝達関数を更新し得る。
【0054】
図2のフローチャートによって例示される一例の実施形態では、システム200は、プロセスステップの測定値FPの現下ステップベクトルの応答からそのステップのプロセスモデルを作成する。このプロセスモデルを作成するステップは、ブロック250、260及び270に概説され、図4を参照して説明される。
【0055】
ブロック250において、システム200は、ベースラインウェーハ作製プロセスフローに規定されたプロセスパラメータ値及びその周辺の幾つかのプロセスパラメータ値を使用して処理されたウェーハのセットからインライン作製測定値データを取得する。各プロセスパラメータは、プロセスモデルが作成されるプロセスステップにおける調整可能な異なる機器設定に関連付けられる。例えば、あるプロセスでは、プロセスの1つ又は複数のツールで利用可能な制御に基づいて条件(例えば、エッチング速度、エッチング時間、ガス濃度等)を調整することができる場合がある。その場合、それらのプロセス条件は、プロセスパラメータである。
【0056】
図4Aは、インライン測定値データのウェーハマップ400の4×4行列によってグラフィカルに描写された生データの一例を例示する。図4Aにおける一例の行列の各ウェーハマップは、2つのプロセスパラメータ、第1のプロセスパラメータpar1及び第2のパラメータpar2の値の対を含む特定のプロセスパラメータベクトルを使用して処理された1つ又は複数のウェーハに対して行われた同じ測定値タイプの測定値に対応する。例えば、par1は、エッチング速度であり得、par2は、エッチング時間であり得る。一般に、変更されるプロセスパラメータの数は、2つ以外であり得る。2つ以上の測定値タイプの測定も行われ得る。図4Aにおける生データは、4×4行列の行に沿ったウェーハマップがpar1の4つのパラメータ値に対応する一方、par2のパラメータ値が変わらないままであり、列に沿ったウェーハマップがpar2の4つのパラメータ値に対応する一方、par1のパラメータ値が変わらないままであるように表示される。
【0057】
同様にブロック250において、システム200は、図4Aを参照して上述したように、異なるプロセスパラメータベクトルを使用して処理されたウェーハのセットから取得された生データのFPモデルを生成する。各プロセスパラメータベクトルから取得される生データから1つのFPモデルが生成される。例えば、図4Bに描写される16個のヒストグラムは、図4Aに描写される16個のウェーハマップによって描写される生データのそれぞれのFPモデルである。モデル関数は、図1Bを参照して説明したものと同様の21項級数のゼルニケ関数である。各バーは、それぞれのプロセスパラメータベクトル(par1,par2)に対応する測定値タイプのFPモデルの21成分係数ベクトルの係数である。
【0058】
ブロック250を引き続き参照すると、システム200は、ベースラインプロセスフローの利用可能な伝達関数を利用して、図4Bにおける測定値FP係数ベクトルを分解して、係数ベクトルから伝達ベクトルを減算することにより、各測定値FPの現下ステップベクトルを取得し得る。上述したように、この実施形態では、係数ベクトルの各係数は、2つの部分に分割又は分解される。第1の部分は、伝達関数を使用して計算される伝達ベクトルのそれぞれの係数に等しい。第1の部分は、先のプロセスステップにおいて取得された1つ又は複数のFPとの相関を表す。次に、残りの第2の部分は、現下のプロセスステップのプロセス条件によって決定される部分を表す現下ステップベクトルのそれぞれの係数に等しい。現下のプロセスステップのプロセスモデルのパラメータが先のプロセスステップの1つ又は複数におけるプロセスパラメータによって影響を受けないようにするために、現下ステップベクトルを使用してプロセスモデルを生成することが望ましい。
【0059】
ブロック260において、システム200は、プロセスパラメータ(例えば、par1及びpar2)の変更に対するフィンガープリントの現下ステップベクトルの各係数の応答をモデリングするモデル関数を選択する。異なるモデル関数を使用して、現下ステップベクトルの各係数、例えば図4Cにおいてa1、a2、...ai、...a20、a21で示されるゼルニケ多項式の21項級数の21個の係数をモデリングし得る。図4に例示される例では、16枚のウェーハ及びそれぞれのFPを生成するためにプロセスステップにおいて使用される16個のプロセスベクトルに対応する、各係数aiに16個のインスタンスがある。
【0060】
ブロック260において選択されたモデル関数のモデルパラメータは、各係数aiの16個の値に最良フィッティングするようにブロック270において調整されて、プロセスステップの最適化されたプロセスモデルを生成し、プロセスモデルは、図4Cにおいてf1、f2、...fi、...f20、f21で示される21個のモデル関数を含む。各関数fiは、最適化アルゴリズムに従って最適化されている。最初の2つのプロセスモデルf1及びf2は、2つのプロセスパラメータpar1及びpar2の関数としてプロットされた3次元(3D)表面として図4Cにグラフィカルに描写されている。各3D表面に近い16個の点は、モデルf1及びf2の作成に使用された16個の値a1及びa2であり、プロセスモデルの予測と、FPモデルの現下ステップベクトルの係数との間の良好なフィッティングを例示する。
【0061】
図4Dは、FPモデル及び関連プロセスモデルから計算されたウェーハマップを例示する。図4Dのウェーハマップと図4Aの生データのウェーハマップとの比較は、良好なフィッティングを示し、それによりベースライン処理条件周辺のプロセスパラメータ空間にわたり、空間情報を含む、インライン作製計測データを再現する際の関連プロセスモデルと共にFPモデルの予測能力を例示する。
【0062】
ベースラインウェーハ作製プロセスフローにおけるプロセスステップのプロセスモデルも、ベースライン伝達関数と同様に、一度生成され、将来の使用に利用できるように電子的に記憶され得る。また、伝達関数と同様に、ベースラインプロセスに修正が行われるため、定期的にプロセスモデルを更新し得る。
【0063】
ベースラインインラインウェーハ作製計測データのフィンガープリントは、リアルタイム歩留まり解析及び高度プロセス制御(APC)の場合、特に製造歩留まりに強く影響するプロセスステップの場合、より頻繁に生成され得る。FPの基準セットをアーカイブして、稼働中の生産ラインから取得されたFPセットと比較して異常を検出、解析及び是正し得る。
【0064】
図2のフローチャートのブロック280において、最下位レベルFP(測定値FPである)を結合し、計算を使用して、プロセスステップの関連するメトリックを正確に予測することが可能な上位レベルFP及び関連プロセスモデルを作成し得る。異なる単位を有する複数のFPを結合するために、係数の値を正規化して、一貫した単位を取得することが必要であり得る。
【0065】
上述したように、測定場所の2D空間座標を含むインライン測定値を使用して生成されたFPモデル、伝達関数及び関連プロセスモデルは、ウェーハ作製製造システムにおいて有利に使用することができる。先述し、ブロック290に示されるように、システム200は、FPの支配的な係数及びプロセスモデルの支配的なパラメータを識別し得る。これは、モデルの有意性の低いパラメータを除去することによってモデルの簡易化に役立ち得るのみならず、プロセスパラメータ、機器設定及び機器選択の製造歩留まりに対する影響についての有用な洞察も提供し得る。モデルは、APCツールと併せて歩留まり損失を監視し、改良するのに使用することができ、更に後述するように、ベースラインウェーハ作製プロセスフローを改善して、より高い製造歩留まりを提供するために使用することさえできる。
【0066】
図5のフローチャートは、プロセスモジュール又は層500、例えば活性層、ゲート層、接点層、金属層等のメトリックのフィンガープリントを生成するために使用され得るフローの一部を例示し、各層は、1つ又は複数のプロセスステップを含む。各プロセスステップにおいて、それぞれのプロセスステップのFP、伝達関数及びプロセスモデルは、例えば、図2に例示されるフローチャートを参照して説明されたフローを使用して、システム200等の製造システムによって生成され得る。
【0067】
層(例えば、層500)のFP、伝達関数及びプロセスモデルは、各プロセスステップのFP、伝達関数及びプロセスモデルを使用した組み合わせ及び計算によって生成され得る。層FPを生成する一例の方法について、図6のフローチャートを参照して解説する。
【0068】
図5に例示される例では、層500は、レジストコート、露光、現像、レジストストリッピング等の4つの代表的なプロセスステップ(A、B、C、D)を含む。4つのプロセスステップが例示を目的として示されるが、層500は、任意の数のステップを含み得る。各プロセスステップに提供される入力は、先のプロセスステップにおいて生成されたFP及び伝達関数と共に入力ウェーハである。
【0069】
プロセスステップ(例えば、ステップA、B、C又はD)は、当業者に既知のように、塗工機、スキャナ、プラズマエッチング装置、テスト機器等のウェーハ作製の処理機器及び関連する化学物質、真空ポンプ、温度コントローラ等を含む。機器と共に、各プロセスステップは、プロセスパラメータ値、タイミング情報及び入力ウェーハを処理するための命令を含むプロセスレシピを含む。機器は、エッチング速度、ガス流、露光レベル、スピン速度等の調整可能なプロセスパラメータを制御するために使用し得る調整可能な設定を有する。各プロセスパラメータは、一意の大文字斜体下付き文字(J~U)によって図5で表されている。例えば、図5の最初の列に見られるように、プロセスステップAの調整可能なプロセスパラメータは、AJ、AK及びALである。
【0070】
1つ又は複数の入力ウェーハは、例えば、所望の材料及び厚さの薄膜を堆積させる等、所望の結果を取得するように選択される1つ又は複数のプロセスレシピを実行することにより、プロセスステップにおいて処理され得る。処理は、種々のセンサを使用して監視され得、処理機器は、プロセスパラメータがプロセスレシピによって意図されるような結果を達成することを保証するように、APCシステムによって制御され得る。デフォルトにより、ウェーハは、ベースラインウェーハ作製プロセスフローのベースラインプロセスレシピに従って処理される。
【0071】
上述したように、ウェーハ特性のインライン測定値は、図2のFPモデル生成フローチャートの最初のステップとして収集される。複数のタイプの測定を行うことができ(例えば、堆積した薄膜の厚さ、第1のラインのレジストCD、第2のラインのレジストCD、ステップ高さ、リーク電流等)、各測定値タイプは、下付き文字として一意の文字を有する。図5には、8つの下付き文字(a~h)で示される8つの測定値タイプがある。インラインウェーハ作製計測データは、複数のウェーハから収集され得るが、ウェーハ上の場所のセットは、所与のプロセスステップ(例えば、ステップA)及び固定の測定値タイプ(例えば、タイプa)で測定される全てのウェーハについて同じであり得る。空間情報は、各データ点を、データが得られたウェーハ上の場所の2D空間座標に関連付けることによって保持される。
【0072】
図5では、同じ測定値タイプの各データ点は、上付き文字(1、2、3、4等)として一意の斜体数値によって識別される。したがって、プロセスステップAにおけるタイプaのウェーハ測定値(空間情報を含む)のセットは、{Aa1,Aa2,Aa3,Aa4...}で示される。図5の例では、4つのプロセスステップのそれぞれで2つのタイプの測定が行われ、プロセスモジュール500で合計8つのタイプの測定が行われる。
【0073】
最下位レベルFPモデルは、各ステップにおけるインラインウェーハ作製計測データから生成され得、例えば、ステップAには、2つの測定値FPがあり得る。1つはデータセット{Aa1,Aa2,Aa3,Aa4...}のFPであり、もう1つはデータセット{Ab1,Ab2,Ab3,Ab4...}のFPである。測定値FPの組み合わせ及び計算を使用して作成されたプロセスステップのフィンガープリントは、図5において、各プロセスステップフィンガープリントを識別するために下付き文字FP及び数値の上付き文字が付いたプロセスステップ名で示される。例えば、図5では、ステップAにおける2つのプロセスステップFPは、AFP1及びAFP2として示される。2つのプロセスステップフィンガープリントに到達するために2つの測定値セットAan及びAbnの種々の組み合わせを使用することができる。例えば、ある事例では、プロセスステップフィンガープリントAFP1を作成するために測定値セットAanが使用され、プロセスステップフィンガープリントAFP2を作成するために測定値セットAbnが使用される。別の事例では、プロセスステップフィンガープリントAFP1を作成するために測定値セットAan及びAbnが一緒に使用され、プロセスステップフィンガープリントAFP2を作成するために測定値セットAan又はAbnのいずれかが単独で使用される。複数の他の組み合わせも可能であり、各プロセスステップフィンガープリントは、種々の加重、スケーリング、平均化、フィッティング及び/又は他の技法を使用して、ウェーハ測定値の1つ又は複数のセットから作成される。例示を目的として各プロセスステップについて2つのプロセスステップフィンガープリントが示されているが、各プロセスステップは、1つ又は複数のプロセスステップフィンガープリントを含み得る。
【0074】
各プロセスステップの伝達関数は、先のプロセスステップで生成されたFPモデルと、現下のプロセスステップの測定値FPとの間の相関から生成され得る。図2のフローチャートの説明で解説された相関を識別する一例の方法は、先のプロセスステップ(例えば、図5のステップB)においてプロセスパラメータを意図的に変更し、次にベースラインプロセスレシピを使用して現下のプロセスステップ(例えば、ステップC)において処理される入力ウェーハとしてそのウェーハを使用することにより、非ベースラインウェーハのセットを生成することを含む。前のステップBにおけるFPの意図的な変動に対する現下のステップCにおける測定値FPの応答は、プロセスステップBにおいて観測されたウェーハ特性からプロセスCの測定可能な結果の変化を予測する伝達関数として変換行列を生成するための情報を提供する。先述したように、あるプロセスステップ(例えば、ステップB)におけるウェーハ特性が後続のプロセスステップ(例えば、ステップC)における処理の結果に及ぼす影響をモデリングするために、変換行列以外の伝達関数を生成する他の方法を定義することが可能であり得る。
【0075】
プロセスステップ(例えば、具体的にはステップA)の全ての伝達関数が定義されると、それぞれの係数ベクトルによって表されるステップAの各測定値FPは、前の処理と相関する伝達ベクトルと、前のプロセスステップのプロセスパラメータから分離された現下ステップベクトルに分解され得る。この分離は、図2及び図4を参照して上述した方法を使用して、ステップAのプロセスパラメータベクトル(AJ,AK,AL)のみを変更することによって作製されたウェーハのセットから取得されたインラインウェーハ計測データのセットから、ステップAの正確なプロセスモデルを作成するという利点を提供する。
【0076】
プロセスステップ又はプロセスステップの集合を含む層のフィンガープリント、伝達関数及びプロセスモデルを生成できるようにする方法の説明及び解説は、本明細書では例として提供されており、限定するものと見なされるべきではないことが理解される。先述したように、説明された方法以外の方法も可能であり、これらの代替方法は、本開示に提供される説明及び解説から導出され得る。
【0077】
下位レベル測定値FPのプロセスモデルは、測定値FPから導出された上位レベルFPのプロセスモデルを作成するように拡張され得る。2つのプロセスステップFPのAFP1及びAFP2を生成するために使用される組み合わせ及び計算は、測定値FPのプロセスモデルのそれぞれの組み合わせ及び計算により、プロセスステップAのプロセスモデルを作成するために利用することができる。
【0078】
図6A図6Cは、下位レベルFPの組み合わせ及び計算によってFPの階層を生成できるようにする方法の一例を例示する。特に、図6では、図6Aに例示されるフローチャートを使用して、インライン測定値から取得された測定値FP(最下位レベル)から始まり、EPEの層レベルFP(EPEAと呼ばれる)が生成される。EPEAを計算するために使用され得る一例の式が図6Bに表示されている。図6Cは、測定値FPの取得に使用されるインラインウェーハ作製計測データを異なるプロセスステップで収集し得ることを解説するための、作製された構造の斜視図を例示する。この例では、プロセスステップは、金属-1層と呼ばれるプロセスモジュールに属する。生のインラインデータは、図6Cに例示される、金属-1層に形成された2つのパターニングされた薄膜、すなわち第1の薄膜A及び第2の薄膜Bに関わる測定値から収集される。
【0079】
集合的にFP670として示される5つのフィンガープリントは、測定値FP{612,622,623,632,642}のセットを形成し、それから、上位レベルFPが、図6Aに例示されるフローチャートにおいて取得される。上位レベルFP611、621、631及び641は、集合的に比較、計算等660として示される、種々の比較、計算又は他のプロセスを使用して測定値FP670から図6Aのフローにおいて生成される。これらのフィンガープリントは、更に比較及び処理されて、オーバーレイ(OL)AB610、ピッチウォーク(PwalkA)620、変数A(VarA)630(例えば、トレンチ限界寸法(CD))及び変数B(VarB)640(例えば、ブロックのCD)の集約、代表又は結果としてのフィンガープリントに到達し得る。下付き文字A及びBは、それぞれ薄膜A及びBに関するメトリックを指し、下付き文字ABは、薄膜A及びBの両方に関わるメトリックに使用される。
【0080】
図6Bに表示される式に次に例示されるように、FP610、620、630及び640を使用してフィンガープリントEPEAを計算し、これは、パターニングされた薄膜Aのエッジ配置誤差の層レベルフィンガープリントである。本明細書で解説した方法と同様の方法を適用して、ウェーハ作製製造システム及びベースラインプロセスフローの製造歩留まりに関連する他のフィンガープリントを生成することができる。
【0081】
図6Aの一例のフローチャートにおける測定値FPのセットの要素は、オーバーレイ612、ライン#4CD622、ライン#5CD623、トレンチ#4CD632及びブロック1T CD642である。これらの測定値FPの生のインラインウェーハ作製計測データは、図6Cに例示されるように、2つのパターニングされた薄膜、すなわち第1のパターニングされた薄膜A(自己整合型クアッドパターニング(SAQP)技法を使用して形成される)及び第2のパターニングされた薄膜Bに関わる。測定値FPオーバーレイ612は、これらの2つのパターン間のオーバーレイ誤差の測定値を使用する。フィンガープリントライン#4CD622及びライン#5CD623は、パターニングされた薄膜Aを形成するために行われたSAQPプロセスステップの1つ又は複数において収集されたライン及びスペース測定値から抽出され、その後、ピッチウォークと呼ばれるマルチパターニングメトリックを計算するために使用される。FPトレンチ#4CD632は、使い捨てマンドレルの両側における自己整合型スペーサの対の形成を含む処理技法によって作成された、図6Cのパターニングされた薄膜Aの隣接するラインの対間のスペースの測定値から生成され得る。フィンガープリントブロック1T CD642は、図6Cのパターニングされた薄膜Bのパターンにおける限界寸法に関わる幾何学的特徴の線幅測定値を使用する。本明細書に提供される測定値の説明から、結果として生じる層FP EPEAは、異なるプロセスステップにおいて収集されたインラインウェーハ作製計測データを組み込むことが明らかである。
【0082】
図6Aを引き続き参照すると、種々の比較、計算及び組み合わせ660を使用して生成された上位レベルFP611、621、631及び641は、パターニングされた薄膜Aのパターンにおけるフィーチャのエッジ配置誤差の計算に関連する幾つかのメトリックを表す。オーバーレイ612から導出されるyオーバーレイ誤差の大きさは、FP611によって表され、ライン#4CD622及びライン#5CD623から導出された薄膜Aのピッチウォークの大きさは、FP621によって表され、トレンチ#4CD632は、薄膜Aにおける幾何学的変数/CD631の大きさを決定し、ブロック1T CD642は、薄膜Bにおける幾何学的変数/CD641の大きさを決定する。比較、計算及び組み合わせは、種々のタイプであり得、例えば単純な代数演算、解析的線形及び非線形関数、ベクトル関数、幾何学的変換、統計解析、数値法のコンピュータアルゴリズム等、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0083】
先述したように、上位レベルFPは、更に処理されて、フィンガープリント(OL)AB610、PwalkA620、VarA630及びVarB640に到達し得、これらは、図6Bに表示される例示的な式680に使用される。この例示的な式は、金属-1層レベルFP、EPEAを定義するものであり、このFPを使用して、その層のエッジ配置誤差を計算することができる。この式では、(MP)Aは、最小ピッチラインの幾何学的ライン-スペース比率を指し、PregAは、パターンレジストレーション誤差(フォトマスクに起因するパターニング誤差であり、したがって同じ誤差があらゆる露光フィールドで繰り返される)を指し、LspecAは、パターン設計からの幾何学的ライン仕様を表す。式680では、VarA、VarB、PregA、(OL)AB及びPwalkAは、フィンガープリントであり、(MP)A及びLspecAは、定数である。項目PregA、(MP)A及びLspecAは、図6Aに示されていないが、例示として式680に使用される追加のフィンガープリント/定数である。式は、フォトマスクの仕様書、処理機器のメーカー仕様書等の独立した情報源から取得される種々の定数を含み得る。
【0084】
層レベルFP EPEA等の層レベルFPは、パレート分析を行って、層のメトリックに影響し、それにより製造歩留まりに影響する支配的な要因を識別するために使用され得る。例えば、図6Bの式を使用する計算は、層のEPEに対するオーバーレイ誤差、薄膜Aのパターンにおけるピッチウォーク、薄膜Aにおけるトレンチのトレンチ幅の可変性及び薄膜Bにおけるラインの線幅変動の寄与を順位付けすることができる。一例では、そのようなパレート分析は、最も支配的な要因が総エッジ配置誤差の約55%に寄与するオーバーレイ誤差であり、トレンチ幅変動の影響が約1%のみの寄与でごくわずかであることを明らかにする。この例では、EPEへの寄与は、ウェーハ上の全ての空間場所を組み合わせることによって取得される集合体である。ウェーハ上の特に脆弱な領域、例えばウェーハのエッジ近くの領域における歩留まり損失を更に解析し得るより的を絞った解析を行い得る。そのような解析は、ベースラインプロセスフロー及び製造歩留まりを改善するために使用することができる。
【0085】
図7に例示されるより一般的なフローチャートは、システム700が、プロセスステップの伝達関数及びプロセスモデルを作成して、ベースラインウェーハ作製プロセスフローの任意のステップにおけるメトリックのフィンガープリント、ひいてはウェーハ特性を予測する伝達関数及びプロセスモデルを作成するように、上述した方法及び技法を拡張し得るようにするフローの実施形態を説明している。
【0086】
図7のフローチャートのブロック710において、関連空間情報を有するインライン測定値が、ベースラインプロセスフローに従って処理されたウェーハから取得される。このインラインウェーハ作製計測データは、ブロック720に示されるように、測定値FP及びベースラインプロセスフロー全体を特性評価する上位レベルFPを生成するために使用され得る。次に、ブロック730において、ベースラインプロセスフローのプロセスステップにおけるプロセスパラメータを変更することにより、非ベースラインウェーハを生成し得る。高度プロセスフローは、複雑であり、数百ものプロセスステップを伴うため、例えば図6Bに表示される層レベルフィンガープリントEPEの式を利用して、上述したものと同様のパレート分析を使用して、製造歩留まりに影響する支配的なプロセスステップを最初に識別することが有利であり得る。ブロック740において、インライン測定値及びそれぞれのフィンガープリントは、ブロック730において生成された非ベースラインウェーハのウェーハ計測データ及び関連プロセスパラメータ値を使用して取得される。
【0087】
図7における後続ブロックは、関連空間座標及びプロセスパラメータ値と共にインライン測定値から捕捉された情報をどのように利用して、ベースラインプロセスフローの予測モデルを作成し得るかを例示する。
【0088】
ブロック750において、あるプロセスステップにおけるウェーハ特性の変動と後続プロセスステップにおけるウェーハ特性との間の相関をモデリングするために伝達関数が作成される。先のプロセスステップにおける変動は、処理条件の自然な逸脱によって生じ得るか、又は調整可能なプロセスパラメータを変更することによって意図的に生成され得る。ブロック760において、特定のプロセスステップにおいて意図的に変更されたプロセスパラメータに対するフィンガープリントの全ての係数又はパラメータの応答が取得される。
【0089】
ブロック770において、前のプロセスステップにおける処理と相関するフィンガープリント応答の成分が伝達関数から計算される。次に、先のプロセスステップに相関しない成分を区分けし得る。この成分を数学的モデルにフィッティングして、現下のプロセスステップのプロセスモデルを取得する。
【0090】
ブロック730において支配的なプロセスステップとして選択された可能性がある全てのプロセスステップのプロセスモデルは、ブロック780に示されるように、上述した方法を使用して生成され得る。ブロック780において、ベースラインフィンガープリント、伝達関数及びプロセスモデルを使用して、ベースラインプロセスフローの任意のステップにおける関連空間情報を有するウェーハ特性を予測し得る。
【0091】
フィンガープリント、伝達関数及びプロセスモデルは、集合的に、ウェーハ製造システムによって使用され得るウェーハ作製プロセスフローの数学的モデルを提供する。そのようなモデルが作成されると、ウェーハの生産における製造歩留まりの所望の改善を達成するために、製造システムは、そのようなモデルを使用して、プロセスステップの1つ又は複数を予測、最適化、調整及び/又は制御することができる。換言すれば、モデルを使用して、プロセス条件を修正/改変し得、それにより半導体ダイを含む複数のウェーハをより高い歩留まりで製造することができ、その結果として製造コストが低下する。
【0092】
例えば、ベースラインフィンガープリントを解析することによって識別された支配的なプロセスステップをより頻繁に監視することができる。生産ラインを監視するために収集されたインライン計測データから生成されたフィンガープリントは、仕様を満たすことができないウェーハ(不適合と呼ばれる)を検出することができるだけでなく、不適合性が高い領域又は不適合の密度が高い領域の空間座標を識別することもできる。そのような情報は、系統的不適合の検出及び判定に有利である。プロセスモデルは、製造歩留まり損失の原因となる可能性があり得るもう1つの機器を識別し、システムが単一ツール又はマルチツールのプロセス制御戦略を採用するための情報を提供するために使用され得る。更に、APCツールと併用されるとき、モデルは、製造システムが、不適合を改良して歩留まり損失を回復するために特定のプロセスパラメータへの調整を示唆又は推奨することを補助し得る。場合により、システムは、特定のプロセスパラメータを直接調整し得る。
【0093】
追加として、プロセスモデル及び伝達関数は、ベースラインプロセスフローを改善するために使用され得る。例えば、システムは、プロセスモデルを使用して、最適化されたフィンガープリントがEPE等のターゲットメトリックを改善するようにプロセスパラメータを最適化し得る。最適化されたプロセスパラメータは、新しい基準計画(POR)としてプロセスに供給され得、それによりベースラインプロセスフローの製造歩留まりを改善し得る。
【0094】
これについてこのように説明し得る。システムは、ターゲット半導体ウェーハの関連付けられた予測可能な特性の値のターゲット範囲を取得する。このターゲット範囲は、半導体ウェーハ作製プロセスによって生産される許容可能又は望ましい半導体ウェーハの許容可能又は望ましい値の範囲である。例えば、顧客がEPEの許容可能な値の範囲を指定し得る。
【0095】
プロセスモデルを使用して、システムは、半導体ウェーハ作製プロセスによって生産される半導体ウェーハの関連付けられた予測可能な特性の値が、取得されたターゲット範囲内にあるように、半導体ウェーハフィンガープリントのプロセスパラメータの1つ又は複数を最適化する。すなわち、プロセスモデルを使用して、システムは、取得されたターゲット範囲内に入ることになる関連付けられた予測可能な特性の値を効果的に生み出すプロセスパラメータの1つ又は複数の値を計算する。当然ながら、幾つかの実装形態では、範囲は、ターゲット値を中心としたプラス/マイナスの範囲であり得る。
【0096】
更に、このプロセスモデルは空間特性を維持するため、不適合性が高い特定の領域におけるEPEに影響するプロセスパラメータを識別し、製造歩留まりを改善するために調整することができる。
【0097】
図2及び図7並びに関連付けられた図1図3図6に例示された方法は、実行されたとき、計算デバイスのプロセッサに、半導体ウェーハ作製プロセスと連携して動作を行わせる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体において又はそれを使用して実施され得る。加えて、図2及び図7のステップを行うための命令の幾つかは、異なる非一時的コンピュータ可読記憶媒体の別個の場所に記憶され得、異なる計算デバイスの異なるプロセッサで行われるように構成され得る。非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例には、不揮発性固体メモリを含む種々のタイプのメモリ及び他の記憶媒体がある。例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、サムドライブ、スティック、キードライブ及びセキュアデジタル(SD)カード)並びに揮発性メモリ及び不揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM))を含み得るが、これらに限定されない。
【0098】
例えば、図2のステップ220~290は、プロセスモデルの開発をもたらす、1つ又は複数のプロセッサで実行されるように構成された命令であり得る。同様に、図7のステップ720~780は、プロセスモデルの開発をもたらす、1つ又は複数のプロセッサで実行されるように構成され得る命令であり得る。
【0099】
図1図7に関連して説明された技法は、フィンガープリントを生成し、フィンガープリントを使用してプロセスモードを作成する方法について説明する。フィンガープリントに基づくモデルの一応用例では、プロセス又はプロセスツールのあらゆる異常を検出する方法が提供され得る。フィンガープリントに基づくモデルの応用例の別の実施形態では、欠陥を検出する方法が提供される。
【0100】
プロセス変数に対するモデルフィンガープリントの変化率を通したプロセスモデルの感度計算が提供される。フィンガープリント感度のテーブルが生成され、プロセス変数がフィンガープリント感度のセットに関連付けられる。入力基板のフィンガープリントは、プロセスモデルで使用される同じフィンガープリント方法を適用することにより、生産プロセスを通して監視される。入力基板フィンガープリントと、プロセスモデルを使用して計算される予測フィンガープリントとの間の差分の計算が行われる。この差分フィンガープリントは、差分の原因である可能性が最も高いプロセス変数を見出すためにフィンガープリント感度のテーブルに対して比較される。次に、この可能性を順位付けするチャートが作成され、ユーザに報告され得る。プロセス変数と基板上の実測値との間の空間的関係が取得され得る。フィンガープリント感度を通した直接相関は、欠陥のあるプロセスツールを指摘する能力を向上させる。別の代替形態では、フィンガープリントプロセスは、基板上に形成された欠陥を検出するために利用され得る。例えば、特定のプロセスステップにおいて基板上に形成される可能性のある微粒子は、本明細書に説明されるフィンガープリント比較プロセスの使用を通して検出され得る。
【0101】
欠陥のあるプロセスツール(又はプロセスツールの部品)は、被処理基板のフィンガープリントに有意な影響を与える可能性がある。同様に、欠陥は、被処理基板のフィンガープリントに有意な影響を与える可能性がある。開示される方法は、プロセス変数関連のドリフトを検出して、欠陥のあるプロセスツール及び/若しくは部品を早期に識別し、且つ/又はプロセスステップにおける欠陥の形成を検出するためにフィンガープリントモデリングを使用する詳細を提示する。開示される技法は、欠陥のあるツール及び/又は欠陥を検出するためにセンサ入力を必要としない。そのため、寄与するフィンガープリント成分を有するプロセス変数を分離し、プロセス変数感度に基づいて検出することにより、基板処理プロセスの問題の根本原因又は欠陥のあるツール及び/若しくは部品を識別する代替方法が提供される。同様に、開示される方法は、プロセスステップにおける欠陥の形成を検出するためにフィンガープリントモデリングを使用する詳細を提示する。開示される技法は、欠陥へのセンサ入力を必要としない。そのため、フィンガープリント技法の使用により、欠陥を形成する基板処理問題を識別する代替方法が提供される。
【0102】
プロセス欠陥検出のための一実施形態では、プロセスモデルが(例えば、上述のように)作成された後、方法及びシステムは、各プロセス変数(又は「ノブ」)に対するフィンガープリントの変化率を通してプロセスモデルの感度を計算することを伴う。フィンガープリント感度のテーブルがこの方法を通して生成され、各プロセス変数はフィンガープリント感度のセットに関連付けられる。このテーブルは、後述するように監視ステップで使用するために記憶され得る。
【0103】
一実施形態では、システムは、プロセスモデルで使用される同じフィンガープリント方法を適用することにより、生産ラインを通して入力基板(例えば、入力半導体ウェーハ)のフィンガープリントを監視する。次に、システムは、入力ウェーハフィンガープリントと、プロセスモデルを使用して計算される予測フィンガープリントとの間の差分を計算する。この差分フィンガープリントは、差分の原因である可能性が最も高いプロセス変数を見出すためにフィンガープリント感度のテーブルに対して比較される。次に、この可能性を順位付けするチャートが作成され、ユーザに報告され得る。
【0104】
プロセス変数関連の欠陥相関を報告するこのようなチャートを生成する方法は、測定された計測以外のセンサに依拠しないという点でユニークである。センサを使用する従来の方法は、基板に間接的にのみ影響する他のタイプの測定に依存する。フィンガープリントに基づく方法は、プロセス変数と基板上の実測値との間の空間的関係を検出することが可能である。フィンガープリント感度を通した直接相関は、欠陥のあるプロセス部品を指摘し、且つウェーハ性能不良を早期検出する能力を向上させる。
【0105】
欠陥のあるプロセスツール(又はプロセスツールの部品)は、被処理ウェーハのフィンガープリントに有意な影響を与える可能性がある。開示される方法は、プロセス変数関連のドリフトを検出して、欠陥のあるプロセスツール及び/又は部品を早期に識別するために、フィンガープリントモデリングを使用する詳細を提示する。開示される技法は、欠陥のあるツール及び/又は部品を検出するためにセンサ入力を必要としない。そのため、寄与するフィンガープリント成分を有するプロセス変数を分離し、プロセス変数感度に基づいて検出することにより、基板処理プロセスの問題の根本原因又は欠陥のあるツール及び/若しくは部品を識別する代替方法が提供される。
【0106】
図8は、半導体ウェーハと共に使用するための、フィンガープリントに基づく欠陥検出技法を実施するための例示的なワークフロー図を例示する。図8に示すように、最初に、ステップ800において、半導体プロセスフローの1つ又は複数のプロセスステップについて実験計画が行われる。実験計画は、典型的なプロセス環境で潜在的な変化又は変動が生じることが予期され得る多様なプロセス条件及び変数を考慮し得る。実験プロセスは、多数の異なる実験ウェーハ上でそれらのプロセス条件及び変数を単独で且つ/又は種々の組み合わせで変更し得る。次に、ステップ805に示すように、実験における各ウェーハについてウェーハデータを収集し得る。ステップ810に示すように、フィンガープリントを作成し得る。実験データを使用して、ステップ815でプロセスモデルが作成される。プロセスモデルは、全てのプロセス条件の関数としてフィンガープリント成分を提供し得る。
【0107】
図8のステップ815でプロセスモデルが作成されるとき、そのプロセスモデルは、生産製造プロセスで利用されるウェーハに適用され得る。そのため、製造プロセスフローの特定点における生産製造プロセスの各ウェーハについて、ステップ820に示すようにウェーハデータを収集し得る。次に、ステップ825に示すように、フィンガープリントを作成し得る。ステップ815で作成されたプロセスモデルを利用して、ステップ825のフィンガープリントとステップ830で計算されたモデル化フィンガープリントとの間の差分をステップ835で作成し得る。図1図7に関して上述した技法は、ステップ835の計算された差分を作成するために利用され得る。
【0108】
次に、ステップ835の計算された差分は、ステップ815のプロセスモデルと併せて利用することができ、したがって、ステップ840において、プロセスモデル感度に対する計算された差分の比較が行われる。次に、ステップ840の比較をステップ845で使用して、予期されるモデル化フィンガープリントと比較してウェーハフィンガープリント上で検出された差分を引き起こした、欠陥のあるプロセス変数(「ノブ」)を検出することができる。このようにして、フィンガープリントプロセスを利用して、ウェーハフィンガープリントへの変化を引き起こしたプロセスフロー内の欠陥を検出することができる。
【0109】
図9図14は、本明細書に説明された技法の例示的な応用例を提供する。より具体的には、これらの図は、半導体ウェーハ上に薄膜が形成される一例のプロセスステップを例示する。この例は、薄膜形成プロセスの欠陥のあるプロセス変数を検出するためのフィンガープリントモデルの使用法を例示する。半導体処理技法には、各特定のプロセスステップ(表面準備、イオン注入、熱ステップ(例えば、急速熱酸化(RTO)、急速熱アニール(RTA)、レーザアニール等)、フォトリソグラフィステップ(例えば、レジストコート、露光、現像、レジストストリッピング等)、電気メッキ、プラズマ堆積、プラズマエッチング、ウェットエッチング、化学機械研磨(CMP)等のステップであるが、これらに限定されない)に対する広範囲のプロセス変数が含まれる。これらのプロセスステップのいずれかに対する特定のプロセス変数は、温度、圧力、ガス、ガス流量、電力設定、電圧設定、電流設定、スピン速度、分注量、液体、液体流量、液体密度、時間等を含むが、これらに限定されず、広範囲であり得る。更に、任意の特定のプロセスステップは、各サブステップに対する変数のセットをそれぞれ有する一連のサブステップで構成され得る(例えば、プラズマエッチングプロセス又はプラズマ堆積プロセスは、2つ、3つ、4つ又は更により多くのステップで構成され得る)。
【0110】
図9は、薄膜形成プロセスに対する各種のプロセス変数(この場合、Par1~Par19として示される19個のプロセスモデル項900)を例示する例示的なテーブルを例示する。図9に示すように、項は、感度ランク(ランクが小さいほど感度が高い)によって列挙される。図示の例では、Par4が最も小さいランクを有し、したがって最も感度が高い。対応するフィンガープリント項905も示されている。図10は、モニターウェーハのグリッド全体にわたって空間的に収集された膜厚生データを例示する。図10は、フィンガープリントモデル1040によって提供される、対応する係数強度1020及び係数1030も例示する。
【0111】
図8のワークフロー図を参照すると、図10の係数強度1020及び係数1030は、図8のステップ825のフィンガープリントを提供する。図11A及び図11Bは、膜厚例に関して図8のワークフローステップ825、830及び835を例示する。より具体的には、図11Aは、推定「良品」ウェーハ、この例ではプロセス欠陥なしに処理されたウェーハに適用されるステップを例示する。図11Bは、処理中にプロセス欠陥が生じた「不良」ウェーハに適用されるステップを例示する。図11Aに示すように、良品ウェーハの係数及び係数強度は、フィンガープリント1110を作成する(図8のステップ825等)。予測された係数及び係数強度は、プロセスモデルを使用して計算されて、モデル化フィンガープリント1120を作成する(図8のステップ830等)。次に、フィンガープリント1110とモデル化フィンガープリント1120との間の差分を計算することにより、差分フィンガープリント1130が取得される。図11Bは、この例で適用される、欠陥のある生産プロセスが施されたウェーハに対するワークフローステップを例示する。図11Bに示すように、不良ウェーハの係数及び係数強度は、フィンガープリント1140を作成する(図8のステップ825等)。予測された係数及び係数強度は、プロセスモデルを使用して計算されて、モデル化フィンガープリント1150を作成する(図8のステップ830等)。次に、フィンガープリント1140とモデル化フィンガープリント1150との間の差分を計算することにより、差分フィンガープリント1160が取得される。
【0112】
次に、差分フィンガープリント(例えば、図11Aの差分フィンガープリント1130及び図11Bの差分フィンガープリント1160)をプロセスモデル感度に対して比較して、特定のプロセス変数に欠陥があるかどうかの判定を促進することができる。図12A及び図12Bは、このような比較の例示的な結果を例示する。例えば、差分フィンガープリント1130を使用することは、予測フィンガープリントとのいかなる差分も、欠陥のあるプロセス変数のいずれか1つ(又はセット)によって引き起こされていないことを示し得る。図12Aに示すように、19個のプロセス変数(「プロセスモデル項」)は、欠陥のある高い確率を呈するプロセスモデルがないことを示す。より具体的には、図12Aは、特定のプロセス変数の欠陥確率1204に対してプロセス変数(プロセスモデル項1202)をプロットしたチャート1210を例示する。この例では、解析されたウェーハは「良品」ウェーハ、すなわち欠陥を示す特定の不良な空間膜厚プロファイルを呈さないウェーハであったため、特定のプロセス変数が顕著な高レベルの欠陥確率を呈することはない。解析に基づいて、実際のウェーハとモデル化された結果との間の差分は、特定の欠陥のあるプロセス変数を示していない。しかしながら、図12Bは、「不良」ウェーハの確率を示しており、検出された欠陥を明示する。より具体的には、図12Bは、特定のプロセス変数の欠陥確率1204に対してプロセス変数(プロセスモデル項1202)をプロットしたチャート1220を例示する。この例では、プロセス変数の1つに関する欠陥が検出されている。図示のように、プロセスモデル項10から、90%を超える高い欠陥可能性1230が示されている。解析に基づいて、実際のウェーハ(この場合には不良ウェーハ)とモデル化された結果との間の差分は、プロセス変数10に関する欠陥を示す。このようにして、ウェーハの処理における欠陥は、フィンガープリント技法を利用して検出及び識別され得る。いつプロセス変数に欠陥があると識別されるべきかを識別するために、各プロセス変数に対して所定の欠陥確率レベルを確立することができる。
【0113】
先述したように、本明細書に説明されたフィンガープリント解析技法は、例えば、生じた粒子、パターン崩壊、ボイド、ホットスポット等の、ウェーハ上の局所的欠陥を識別するために利用することもできる。より具体的には、本明細書に説明されたプロセスモデリング技法は、欠陥検出技法と組み合わせることができる。欠陥検出は、ウェーハから取得したデータ内の空間的に局所的な大きいスパイクを探すことによって識別され得るが、そのような技法は、欠陥の誤検出をもたらす場合がある。欠陥の誤検出を低減するために、潜在的なプロセス変数変動も解析と組み合わせることができる。そのため、実験計画プロセスを通して作成されるプロセスモデルは、欠陥解析プロセスで利用される。プロセス変数の変動を考慮することにより、誤検出の発生を低減する、よりロバストな欠陥検出プロセスが達成され得る。
【0114】
図13は、図8の欠陥検出技法と同様の半導体ウェーハと共に使用するための、フィンガープリントに基づく欠陥検出技法を実施するための例示的なワークフロー図を例示する。図13に示すように、図8と同様のステップ800、805、810及び815を使用してプロセスモデルを作成する。同様に、ステップ820、830及び835は、図8の同じステップ番号と同様に、図13に示すように利用され得る。欠陥は、局所的な高周波スパイクに関連付けられ、フィンガープリントは通常長距離の空間変動を捕捉するため、生産ウェーハの場合、フィンガープリント作成ステップは必要とされないことが留意される。そのため、ステップ835の計算された差分は、ステップ820で収集されたウェーハデータ及びステップ830で計算されたモデル化フィンガープリントから取得され得る。ステップ835で取得した計算された差分を用いて、次にステップ1310において、計算された差分の解析及びプロセスモデルから提供される潜在的なプロセス変数変化の影響の考察を通して欠陥が検出され得る。このようにして、解析により、潜在的なプロセス変数変化の影響が考慮されるため、データ内の空間的に局所的なスパイクをより確信的に欠陥として識別することができる。このようにして、フィンガープリントに基づく欠陥検出を利用して、欠陥の存在のより正確な評価を提供することができる。
【0115】
図14図16は、本明細書に説明された処理技法を使用するための例示的な方法を例示する。図14図16の実施形態は、単なる例示であり、追加の方法は、本明細書に説明された技法を利用し得ることを認識されたい。更に、説明されるステップは、排他的であることを意図しないため、図14図16に示す方法に追加の処理ステップを追加し得る。更に、ステップの順序は、異なる順序が生じる場合があり、且つ/又は種々のステップが組み合わされて若しくは同時に行われ得るため、図14図16に示す順序に限定されない。
【0116】
図14は、半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法を例示し、作製プロセスは、少なくとも1つのプロセスステップを含み、少なくとも1つのプロセスステップは、複数のプロセス変数に関連付けられる。図に示すように、ステップ1405は、少なくとも1つのプロセスステップに対して実験計画プロセスを行うことを含み、複数のプロセス変数は、複数の実験計画半導体ウェーハに対して変更される。ステップ1410は、複数の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することを含み、実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる。ステップ1415は、各実験計画半導体ウェーハについて、取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することを含む。ステップ1420は、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、少なくとも1つのプロセスステップのプロセスモデルを作成することを含む。ステップ1425は、生産半導体ウェーハ上で少なくとも1つのプロセスステップを行うことを含む。ステップ1430は、生産半導体ウェーハの第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することを含み、生産ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる。ステップ1435は、取得された生産半導体ウェーハ測定値から生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリントを作成することを含む。ステップ1440は、生産半導体ウェーハプロセスステップフィンガープリント及びプロセスモデルを利用して、少なくとも1つのプロセスステップの欠陥のあるプロセス変数を検出することを含む。
【0117】
図15は、半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価する方法を例示し、作製プロセスは、複数のプロセスステップを含み、複数のプロセスステップの少なくとも第1のものは、複数のプロセス変数に関連付けられる。本方法は、実験計画プロセスを行うことを含み、実験計画プロセスは、ステップ1505~1520を含む。ステップ1505は、一連の実験計画半導体ウェーハについて、一連の実験計画半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うことを含み、複数のプロセス変数の値の少なくとも1つ又は複数は、一連の実験計画半導体ウェーハのそれぞれに対して変更される。ステップ1510は、一連の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画ウェーハ測定値を取得することを含み、実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、実験計画ウェーハ測定値が取得される実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる。ステップ1515は、各実験計画半導体ウェーハについて、取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することを含む。ステップ1520は、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、複数のプロセスステップの第1のもののプロセスモデルを作成することを含む。次に、本方法は、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うステップ1525を含む。ステップ1530は、生産半導体ウェーハの第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することを含み、生産ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる。ステップ1535は、取得された生産ウェーハ測定値から生産ウェーハプロセスステップフィンガープリントを作成することを含む。ステップ1540は、生産ウェーハプロセスステップフィンガープリント及びプロセスモデルを利用して、欠陥のあるプロセス変数を検出することを含む。
【0118】
図16は、半導体ウェーハを製造するための作製プロセスを特性評価することを含む方法を例示し、作製プロセスは、複数のプロセスステップを含み、複数のプロセスステップの少なくとも第1のものは、複数のプロセス変数に関連付けられる。本方法は、実験計画プロセスを行うことを含み、実験計画プロセスは、ステップ1605~1620を含む。ステップ1605は、一連の実験計画半導体ウェーハについて、一連の実験計画半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うことを含み、複数のプロセス変数の値の少なくとも1つ又は複数は、一連の実験計画半導体ウェーハのそれぞれに対して変更される。ステップ1610は、一連の実験計画半導体ウェーハから第1の特性の実験計画測定値を取得することを含み、実験計画ウェーハ測定値のそれぞれは、実験計画ウェーハ測定値が取得される実験計画半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる。ステップ1615は、各実験計画半導体ウェーハについて、取得された実験計画ウェーハ測定値から実験計画プロセスステップフィンガープリントを作成して、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを提供することを含む。ステップ1620は、複数の実験計画プロセスステップフィンガープリントを利用して、複数のプロセスステップの第1のもののプロセスモデルを作成することを含む。ステップ1625は、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上で複数のプロセスステップの第1のものを行うことを含む。ステップ1630は、少なくとも1つの生産半導体ウェーハの第1の特性の生産ウェーハ測定値を取得することを含み、生産ウェーハ測定値のそれぞれは、測定値が取得される少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の空間場所に関連付けられる。ステップ1635は、複数のプロセスステップの第1のもののプロセスモデルを利用して、生産半導体ウェーハのモデル化フィンガープリントを計算することを含む。ステップ1640は、生産半導体ウェーハの計算されたモデル化フィンガープリント及びプロセスモデルを利用して、少なくとも1つの生産半導体ウェーハ上の欠陥を検出することを含み、プロセスモデルは、欠陥検出の正確性を改善するようにプロセス変数の変動を考慮するために利用される。
【0119】
本明細書に開示される技法で利用される基板は、材料のエッチング及びパターニングが望ましい任意の基板であり得る。例えば、一実施形態では、基板は、その上に1つ又は複数の半導体処理層(それらの全てが一緒に基板を構成し得る)が形成された半導体基板であり得る。一実施形態では、基板は、多様な構造及び層をもたらす複数の半導体処理ステップが施された基板であり得、それらの半導体処理ステップの全てが基板処理技術において既知である。一実施形態では、基板は、形成された種々の構造及び層を含む半導体ウェーハであり得る。一例では、マイクロ電子デバイスが基板上に形成される。
【0120】
本発明の更なる修正形態及び代替実施形態は、本明細書の記載を考慮して当業者に明らかになるであろう。したがって、本明細書は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を遂行する方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に図示し、説明した本発明の形態及び方法は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書に例示し、説明したものの代わりに均等な技法を使用することができ、本発明の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用することができ、これらは、全て本発明の本明細書の記載の利益を享受した後に当業者に明らかになるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
【国際調査報告】