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  • 特表-金属窒化物膜の形成方法 図1A-D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】金属窒化物膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20241008BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241008BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L21/318 B
H01L21/318 C
H01L21/31 B
H01L21/31 C
C23C16/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522216
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022046638
(87)【国際公開番号】W WO2023069305
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】17/503,599
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オーブション, ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA18
4K030BA40
4K030BA44
4K030FA03
4K030JA01
4K030JA11
4K030JA18
4K030JA20
5F045AA03
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB31
5F045AB33
5F045AB34
5F045AC00
5F045AC01
5F045AC05
5F045AC07
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045DC68
5F045DP28
5F045DQ14
5F045EH14
5F045EJ03
5F045EK07
5F045EN04
5F045HA11
5F045HA14
5F058BC08
5F058BC09
5F058BC11
5F058BC12
5F058BF02
5F058BF07
5F058BF22
5F058BF23
5F058BF24
5F058BF30
5F058BF36
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG04
5F058BH11
5F058BH16
5F058BJ06
(57)【要約】
本開示の実施形態は、基板に第1の膜をコンフォーマルに堆積させることと、第1の膜を第1のプラズマで処理し、第2の膜を形成することと、第2の膜を第2のプラズマで処理し、第3の膜を形成することと、第1の膜、第2の膜の一部、及び第3の膜を選択的に除去することとを含む、膜の形成方法を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜の形成方法であって、
基板に第1の膜をコンフォーマルに堆積させることであって、前記基板は、上面、底面、及び側壁を有する少なくとも1つのフィーチャを含み、前記第1の膜は、水平面及び垂直面を有する、基板に第1の膜をコンフォーマルに堆積させることと、
前記第1の膜の前記水平面を第1のプラズマで処理し、前記水平面上に、前記第1の膜よりも低い湿式エッチング速度を有する第2の膜を形成することと、
前記水平面上の前記第2の膜を第2のプラズマで処理し、前記水平面上に、前記第2の膜よりも高い湿式エッチング速度を有する第3の膜を形成することと、
前記第1の膜、前記第2の膜の一部、及び前記第3の膜を選択的に除去することと
を含む方法。
【請求項2】
前記方法を繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の膜、前記第2の膜、及び前記第3の膜は、独立して、金属窒化物、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、及び酸炭窒化ケイ素(SiOCN)のうちの1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の膜をコンフォーマルに堆積させることは、前記基板をシリコン含有前駆体及び窒素反応剤に暴露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の膜をコンフォーマルに堆積させることは、前記基板を金属含有前駆体及び窒素反応剤に暴露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の膜の湿式エッチング速度は、2Å/分から5Å/分の範囲である前記第2の膜の湿式エッチング速度と比較して、10Å/分から15Å/分の範囲又はそれ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の膜は、20Åから100Åの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の膜の処理は、13.56MHzから60MHzの範囲の第1のRF周波数に前記膜を暴露し、指向性プラズマを生成することと、350kHzから13.56MHzの範囲の第2のRF周波数に前記膜を暴露し、前記指向性プラズマのエネルギー及び指向性を調整することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記指向性プラズマは、水素、アルゴン、窒素、アンモニア、酸素、及びヘリウムのうちの1又は複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記指向性プラズマは、容量結合プラズマである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の膜は、0.5秒から60秒の範囲の時間にわたって前記指向性プラズマに暴露される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のプラズマと前記第2のプラズマとは同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記上面上の前記第3の膜の湿式エッチング速度は、前記第2の膜の処理中に、前記底面上の前記第2の膜の湿式エッチング速度よりも速い速度で増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第3の膜及び前記第1の膜を除去することは、希フッ化水素酸(HF)を用いてエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
処理方法であって、
少なくとも1つの堆積サイクルを含む堆積環境に基板を暴露することであって、前記堆積サイクルは、前記基板に第1の窒化ケイ素膜を形成するために、シリコン前駆体及び窒素含有反応剤に前記基板を順次暴露することを含み、前記基板は、上面、底面、及び側壁を含む少なくとも1つのフィーチャを有する、少なくとも1つの堆積サイクルを含む堆積環境に基板を暴露することと、
前記第1の窒化ケイ素膜を第1の指向性プラズマで処理し、前記第1の窒化ケイ素膜よりも低い湿式エッチング速度を有する第2の窒化ケイ素膜を形成することと、
前記第2の窒化ケイ素膜を第2の指向性プラズマで処理し、前記第2の窒化ケイ素膜よりも高い湿式エッチング速度を有する第3の窒化ケイ素膜を形成することと、
前記第3の窒化ケイ素膜、前記第2の窒化ケイ素膜の一部、及び前記第1の窒化ケイ素膜を除去することと
を含む方法。
【請求項16】
前記堆積サイクルを繰り返し、20Åから100Åの範囲の厚さを有する第1の窒化ケイ素膜を形成することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の指向性プラズマ及び前記第2の指向性プラズマは、独立して、水素、アルゴン、窒素、アンモニア、酸素、及びヘリウムのうちの1又は複数を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の指向性プラズマ及び前記第2の指向性プラズマは、容量結合プラズマである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の窒化ケイ素膜は、0.5秒から60秒の範囲の時間にわたって前記第1の指向性プラズマに暴露される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記除去することは、希フッ化水素酸(HF)を用いてエッチングすることを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、膜を堆積させる方法に関する。特に、本開示は、ALD膜の選択的堆積のためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]基板への膜の堆積は、半導体処理、拡散バリアコーティング、磁気読み書きヘッド用誘電体を含む、様々な産業において重要なプロセスである。特に半導体産業では、小型化により、高アスペクト構造へのコンフォーマルなコーティングを製造するために、原子レベルの膜堆積の制御が必要となる。制御された膜の堆積及びコンフォーマルな堆積の方法のひとつが原子層堆積(ALD)であり、連続的な表面反応を用いて構造のすべての部分に同じ正確な厚さの層を形成する。ほとんどのALDプロセスは、二元化合物膜を堆積させる二元反応シーケンスに基づいている。表面反応が連続的であるため、2つの気相反応剤は接触せず、粒子を形成し堆積させる可能性のある気相反応は限定される。
【0003】
[0003]ほとんどの膜特性は、連続性の欠如、コンフォーマルの欠如、膜厚制御不良、及び水素汚染及び/又は膜中の炭素の異なる結合状態等の膜組成制御不良のために、実用的な要件を満たすことができない。従来、化学気相堆積(CVD)及び物理的気相堆積(PVD)プロセスによって形成された膜は、しばしば非連続的であり、コンフォーマルではない。更に、CVDプロセスは一般に、ALDプロセスよりも厚さの制御が困難であり、気相粒子が発生する場合があり、結果としてデバイスに欠陥が生じる可能性がある。
【0004】
[0004]材料の選択的堆積は、様々な方法で達成することができる。例えば、幾つかのプロセスは、それらの表面化学物質に基づく表面に対する固有の選択性を有し得る。このようなプロセスはまれであり、典型的には、使用される反応剤、形成される材料、及び基板表面に対して特異的である。しかし、選択的堆積プロセスは、実用的な要件を満たすという同じ課題に直面している。
【0005】
[0005]したがって、ALD膜を選択的に堆積させるためのプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の1又は複数の実施形態は、膜の形成方法を対象とする。本方法は、水平面及び垂直面を有する第1の膜を基板にコンフォーマルに堆積させることを含む。基板は、上面、底面、及び側壁を有する少なくとも1つのフィーチャを含む。水平面に第2の膜を形成するために、第1の膜の水平面を第1のプラズマで処理する。第2の膜は、第1のプラズマで処理された後、第1の膜よりも低い湿式エッチング速度を有する。水平面に第3の膜を形成するために、水平面上の第2の膜を第2のプラズマで処理する。第3の膜は、第2のプラズマで処理された後、第2の膜よりも高い湿式エッチング速度を有する。本方法は更に、第1の膜、第2の膜の一部、及び第3の膜を選択的に除去することを含む。
【0007】
[0007]本開示の追加の実施形態は、少なくとも1つの堆積サイクルを含む堆積環境に基板を暴露することを含む処理方法を対象とする。少なくとも1つの堆積サイクルは、基板に第1の窒化ケイ素膜を形成するために、シリコン前駆体及び窒素含有反応剤に基板を順次暴露することを含む。基板は、上面、底面、及び側壁を含む少なくとも1つのフィーチャを有する。第2の窒化ケイ素膜を形成するために、第1の窒化ケイ素膜を第1の指向性プラズマで処理する。第2の窒化ケイ素膜は、第1の指向性プラズマで処理された後、第1の窒化ケイ素膜よりも低い湿式エッチング速度を有する。第3の窒化ケイ素膜を形成するために、第2の窒化ケイ素膜を第2の指向性プラズマで処理する。第3の窒化ケイ素膜は、第2の指向性プラズマで処理された後、第2の窒化ケイ素膜よりも高い湿式エッチング速度を有する。処理方法は更に、第3の窒化ケイ素膜、第2の窒化ケイ素膜の一部、及び第1の窒化ケイ素膜を除去することを含む。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を示すものに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A-D】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板を示す図である。
図1E】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板を示す図である
図2】本開示の1又は複数の実施形態に係る膜の形成方法を示すプロセスフロー図である。
図3】本開示の1又は複数の実施形態に係る容量結合プラズマ(CCP)チャンバを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載の構造又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、また、様々な方法で実施、あるいは実行される。
【0011】
[0017]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「基板」は、プロセスが作用する表面、又は表面の一部を指す。また、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、当業者には、基板への言及は基板の一部分のみを指しうることが理解されよう。更に、基板への堆積への言及は、ベア基板と、その上に1又は複数の膜又はフィーチャが堆積又は形成された基板の両方を意味し得る。
【0012】
[0018]ここで使用する「基板」とは、製造プロセスで膜処理が実行される任意の基板又は基板に形成された材料表面を指す。例えば、処理が実行され得る基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア等の材料、並びに金属、金属窒化物、金属合金、及び他の導電性材料等のその他任意の材料が含まれる。基板には、半導体ウエハが含まれるが、これに限定されない。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール及び/又はベークする前処理プロセスに暴露され得る。本開示では、基板自体の表面への直接の膜処理に加えて、開示される膜処理ステップのいずれかが、以下により詳細に開示するように、基板に形成された下層にも実行され得、用語「基板表面」は、文脈が示すように、そのような下層を含むものである。したがって、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出面が基板表面となる。
【0013】
[0019]ここで使用する「水平」という用語は、その配向にかかわらず、平面又は基板の表面に平行な面として定義される。1又は複数の実施形態では、水平面は、基板の一方の側から他方の側まで延在する。添付の図に示すように、水平面は、デバイスの左側(ページ左)からデバイスの右側(ページ右)まで延在する。用語「垂直」は、先ほど定義した水平面に垂直な方向を指す。垂直面は、基板の近くから基板から離れた点又は面まで延在する。添付の図に示すように、垂直面は、デバイスの上部(ページの上部)から基板(ページの底部)まで、垂直面がフィーチャの側壁に平行になるように延在する。「上方(above)」、「下方(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、「側面(side)」(「側壁」のように)、「より上の(higher)」、「より下の(lower)」、「より上方の(upper)」、「上の(over)」、「より下方の(under)」等の用語は、図に示すように、水平面に対して定義される。当業者は、方向説明はデバイスの配向に対するものであり、いかなる特定の基板の配向にも限定されないことを認識するであろう。
【0014】
[0020]用語「上に(on)」は、要素間に直接的な接触があることを示す。用語「直接上に(directly on)」は、介在する要素がなく、要素間に直接的な接触があることを示す。
【0015】
[0021]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する「反応性ガス」、「前駆体」、「反応剤」等の用語は、基板表面と反応する種を含むガスを指すために互換的に使用される。例えば、第1の「反応性ガス」は、単に基板の表面上に吸着し、第2の反応性ガスとの更なる化学反応に利用可能である。
【0016】
[0022]ここで使用する「約」という用語は、およそ又はほぼを意味し、記載の数値又は範囲の文脈では、数値の±15%以下のばらつきを意味する。例えば、±14%、±10%、±5%、±2%、又は±1%だけ異なる値は、約の定義を満たすであろう。
【0017】
[0023]ここに記載の方法は、原子層堆積(ALD)プロセスを使用する。ここで使用する「原子層堆積」又は「周期的堆積」は、基板表面に材料の層を堆積させるために2種類以上の反応性化合物を順次暴露することを指す。基板又は基板の一部は、処理チャンバの反応ゾーン内に導入される2種類以上の反応性化合物に別々に暴露される。時間領域ALDプロセスでは、各反応性化合物への暴露は、各化合物が基板表面に付着及び/又は反応し、その後処理チャンバからパージされるように、時間遅延によって分離される。これらの反応性化合物は、基板に順次暴露されると言われる。空間ALDプロセスでは、基板表面の異なる部分、又は基板表面上の材料が、2種類以上の反応性化合物に同時に暴露されるため、基板上の任意の点が同時に複数の反応性化合物に暴露されることは実質的にない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するように、この点で使用する「実質的に」という用語は、当業者には理解されるように、拡散により基板の小部分が複数の反応性ガスに同時に暴露される可能性があり、同時暴露が意図されないことを意味する。
【0018】
[0024]時間領域ALDプロセスの一態様では、第1の反応性ガス(すなわち、第1の前駆体又は化合物A)が、第1の時間遅延に続いて反応ゾーン内にパルスされる。次に、第2の前駆体又は化合物Bが反応ゾーン内にパルスされ、第2の遅延が続く。各時間遅延の間に、アルゴン等のパージガスが処理チャンバ内に導入され、反応ゾーンをパージする、又は反応ゾーンから全ての残留反応性化合物又は反応副生成物を除去する。あるいは、反応性化合物のパルス間の時間遅延の間だけパージガスが流れるように、パージガスを堆積プロセスの間中連続的に流すことができる。反応性化合物は、所望の膜又は膜厚が基板表面に形成されるまで交互にパルスされる。いずれのシナリオにおいても、化合物A、パージガス、化合物B、パージガスをパルスするALDプロセスは1サイクルである。サイクルは、化合物A又は化合物Bのいずれかから開始し、所定の厚さの膜が得られるまで、サイクルのそれぞれの順序で継続することができる。
【0019】
[0025]空間ALDプロセスの実施形態では、第1の反応性ガス及び第2の反応性ガス(例えば、窒素ガス)は、反応ゾーンに同時に供給されるが、不活性ガスカーテン及び/又は真空カーテンによって分離される。基板をガス供給装置に対して相対的に移動させることにより、基板上の任意の点が第1の反応性ガスと第2の反応性ガスに暴露される。
【0020】
[0026]本開示の幾つかの実施形態は、3D構造上の堆積位置に基づく異なる膜特性を可能にする選択的堆積方法を対象とする。例えば、構造の上部及び底部に堆積された膜は、構造の側壁に堆積された膜とは異なる膜特性を有するように処理することができる。本開示の幾つかの実施形態は、湿式エッチングによって、他の部分(例えば、第2の膜の少なくとも一部)を残しながら第1の膜及び第3の膜を選択的に除去することができる膜の形成方法を有利に提供する。
【0021】
[0027]図1A図1Eを参照すると、膜の選択的堆積の段階における基板102が図示されている。図1Aに、上面110、底面130、及び側壁120を有する少なくとも1つのフィーチャ100を含む基板102を示す。図では、説明のために単一のフィーチャ100を有する基板102を示したが、当業者であれば、複数のフィーチャが存在し得ることを理解するであろう。フィーチャ102の形状は、トレンチ、例えば金属で充填されたときに膜間で電流を伝達する円筒形ビア、及び同じ膜内でエネルギーを伝達する電極を含むがこれらに限定されない任意の適切な形状であってよい。ここで使用する「フィーチャ」という用語は、任意の意図的な表面の凹凸を意味する。フィーチャは、任意の適切なアスペクト比(フィーチャの幅に対するフィーチャの深さの比)を有していてよい。幾つかの実施形態では、アスペクト比は、約5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、又は40:1以上である。
【0022】
[0028]図1Bに、基板102にコンフォーマルに堆積された水平面及び垂直面を有する第1の膜140を示す。ここで使用する用語「コンフォーマル(conformal)」又は「コンフォーマルに(conformally)」は、膜の平均厚さに対して1%未満のばらつきを有する厚さで、露出した表面に付着し、均一に覆う膜を指す。例えば、厚さ1000Åの膜であれば、厚さのばらつきは10Å未満となる。この厚みとばらつきには、少なくとも凹部のエッジ、角部、側面、底面が含まれる。例えば、本開示の様々な実施形態においてALDによって堆積されたコンフォーマルな膜は、複雑な表面上に本質的に均一な厚さの堆積領域にわたる被覆を提供するであろう。1又は複数の実施形態では、コンフォーマルに堆積された第1の膜140は、20Åから100Åの範囲の厚さを有する。1又は複数の実施形態では、コンフォーマルに堆積された第1の膜140は、30Åから80Åの範囲の厚さを有する。
【0023】
[0029]本開示の幾つかの実施形態は、他の膜特性の中でも、膜の湿式エッチング速度を対象とする。理論に拘束されることは意図しないが、膜の湿式エッチング速度は、特定の化学プロセス及び膜がエッチング溶液中にある時間量に基づいて決定され得る。1又は複数の実施形態では、第1の膜140は、第1の膜140に自然酸化物の薄い層が形成されるように、空気に暴露される。1又は複数の実施形態では、希HF100:1エッチング溶液中の第1の膜140は、高い湿式エッチング速度を有する。1又は複数の実施形態では、上面110及び底面130上の第1の膜140の湿式エッチング速度は、側壁120上の第1の膜140の湿式エッチング速度の少なくとも2倍である。1又は複数の実施形態では、希HF100:1エッチング溶液における上面110及び底面130上の第1の膜140の湿式エッチング速度は、5Å/分から50Å/分の範囲である。
【0024】
[0030]図1Cに、第2の膜150を形成するための、図1Bで形成された第1の膜140の処理を示す。1又は複数の実施形態では、第1の膜140の水平面(又は上面)152は、フィーチャ100の上面110及び底面130に第2の膜150を形成するために、高いイオン濃度を有する第1のプラズマ160で処理される。1又は複数の実施形態では、高いイオン濃度を有するプラズマは、約1010/cm以上のイオン濃度を有する。1又は複数の実施形態では、高いイオン濃度を有するプラズマは、約10/cm、1011/cm、1012/cm、1013/cm、又は1014/cm以上のイオン濃度を有する。処理に使用されるプラズマは、膜特性を改変することができる任意の適切なプラズマ(例えば、直接又は遠隔)であってよい。
【0025】
[0031]1又は複数の実施形態では、第1のプラズマ160は指向性プラズマである。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する「指向性プラズマ」という用語は、プラズマ中に存在するエネルギー種(イオン及びラジカル)が特定の方向に移動することを意味する。例えば、図1Cにおいては、下方に移動している第1のプラズマ160が図示されており、これにより、エネルギー種が上面110及び底面130上の第1の膜140に接触することができるが、側壁120上の膜140との接触は最小限になる。別の言い方をすれば、第1のプラズマ160は側壁120上の膜140には、実質的に影響を与えない。
【0026】
[0032]指向性プラズマは、他の多くの方法で形成することができる。1又は複数の実施形態では、第1の膜140の水平面は、少なくとも1つのRF周波数に暴露される。1又は複数の実施形態では、第1の膜140の水平面は、指向性プラズマを生成するために13.56MHzから60MHzの範囲の第1のRF周波数に暴露され、第1のプラズマ160のエネルギー及び指向性を調整するために350kHzから13.56MHzの範囲の第2のRF周波数に暴露される。指向性プラズマは、プラズマ種が基板表面から遠隔で励起されて基板表面に向かって流れる遠隔プラズマとして形成することができる。基板は、プラズマを生成するために使用される電気経路の一部ではない場合がある。指向性プラズマは、基板又は基板支持体がプラズマ形成の電極として機能する直接プラズマとして形成することもできる。遠隔プラズマは、一般に拡散プラズマであり、イオンが基板に引き付けられて基板に向かって移動するように基板にバイアスを印加することによって、指向性を持たせることができる。1又は複数の実施形態では、指向性プラズマは、水素、アルゴン、窒素、アンモニア、酸素、及びヘリウムのうちの1又は複数を含む。1又は複数の実施形態では、指向性プラズマは容量結合プラズマである。
【0027】
[0033]処理に使用される時間量は、フィーチャの上部及び底部の膜に引き起こされる損傷の量に影響する可能性がある。プラズマ種及び出力は、膜に引き起こされる損傷の深さに影響する可能性がある。膜により深い損傷を引き起こす処理プロセスは、膜により浅い損傷を引き起こす処理プロセスよりも、繰り返す回数を少なくすることができる。例えば、He/NHプラズマは、Ar/NHプラズマよりも深い損傷を引き起こすため、He/NHプラズマで処理する前に堆積される膜を厚くすることができる。
【0028】
[0034]幾つかの実施形態では、第1の膜140は、ALDサイクルのコンフォーマルな堆積ステップの一部として、0.5秒から5秒の範囲の時間にわたって第1のプラズマ160に暴露される。他の実施形態では、第1の膜140は、所定回数のALDサイクルの後に、1秒から10秒の範囲の時間にわたって第1のプラズマ160に暴露される。他の実施形態では、第1の膜140は、所定の厚さの第1の膜140が堆積された後、1秒から10秒の範囲の時間にわたって第1のプラズマ160に暴露される。更なる実施形態では、第1の膜140は、後処理プロセスの一部として第1のプラズマ160に暴露される。更なる実施形態では、後処理プロセスは、2秒から60秒の範囲の時間にわたって第1の膜140を第1のプラズマ160に暴露することを含む。
【0029】
[0035]1又は複数の実施形態では、第2の膜150は、上面110上の水平面及び底面130上の水平面に形成される。1又は複数の実施形態では、第2の膜150は、第1の膜140よりも低い湿式エッチング速度を有する。1又は複数の実施形態では、希HF100:1エッチング溶液中の第2の膜150の湿式エッチング速度は、2Å/分から5Å/分の範囲である。1又は複数の実施形態では、希HF100:1エッチング溶液中の第2の膜150の湿式エッチング速度は、2Å/分から3Å/分の範囲である。
【0030】
[0036]図1Dに、第3の膜170を形成するための、図1Cで形成された第2の膜150の処理を示す。1又は複数の実施形態では、第2の膜150の水平面172は、第2のプラズマ165で処理されて、上面110に第3の膜170が形成される。図1Dにおいて、第2の膜150は底面130上にある。1又は複数の実施形態では、第1のプラズマ160と第2のプラズマ165とは同じである。図1Dにおいて、下方に移動している第2のプラズマ165が図示されており、これにより、エネルギー種が上面110及び底面130上の第2の膜150に接触することができるが、側壁120上の第1の膜140との接触は最小限になる。別の言い方をすれば、第2のプラズマ165は側壁120上の膜140には実質的に影響を与えない。
【0031】
[0037]1又は複数の実施形態では、第3の膜170は、第2の膜150よりも高い湿式エッチング速度を有する。幾つかの実施形態では、上面110上の第3の膜170の湿式エッチング速度は、第2の膜150の処理中に、底面130上の第2の膜150の湿式エッチング速度よりも速い速度で増加する。1又は複数の実施形態では、希HF100:1エッチング溶液中の第3の膜170は、10Å/分から15Å/分の範囲以上の湿式エッチング速度を有する。
【0032】
[0038]図1Eに、フィーチャ100の垂直面及び側壁120、第2の膜150の一部、及び第3の膜170からの第1の膜140の選択的除去を示す。1又は複数の実施形態では、第1の膜140及び第3の膜170は、希フッ酸(HF)を用いたエッチングによって選択的に除去される。1又は複数の実施形態では、第2の膜150は、第2の膜150の一部を選択的に除去した後、20Åから60Åの範囲の厚さを有する。選択的除去後の第2の膜150の厚さは、図1Cで形成された第2の膜150の厚さよりも薄い。
【0033】
[0039]再び図1Eを参照すると、第2の膜150の残りの部分は、ゲートスペーサ等のフロントエンドオブザライン(FEOL)誘電体用途に使用され得る。1又は複数の実施形態では、第2の膜150の残りの部分は、バリア層として使用される。
【0034】
[0040]図1B図1Eは、選択的に堆積されたALD膜を示している。1又は複数の実施形態では、第1の膜140、第2の膜150、及び第3の膜170は、独立して、金属窒化物、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、及び酸炭窒化ケイ素(SiOCN)のうちの1又は複数を含む。
【0035】
[0041]第1の膜140、第2の膜150、及び第3の膜170の各々の形成は、原子層堆積(ALD)、プラズマ原子層堆積(PEALD)、化学気相堆積(CVD)、及びプラズマ化学気相堆積(PECVD)を含むが、これらに限定されない任意の適切な方法によって行うことができる。幾つかの実施形態では、第1の膜140、第2の膜150、及び第3の膜170の各々は、基板102が金属含有前駆体及び窒素反応剤に順次暴露されるALDプロセスによって形成される。1又は複数の実施形態では、第1の膜140、第2の膜150、及び第3の膜170は各々、窒化ケイ素(SiN)を含む。幾つかの実施形態では、シリコン含有前駆体及び窒素反応剤を使用して、窒化ケイ素(SiN)を含む膜を形成する。この点で使用する「シリコン前駆体」は、基板の表面と反応し、これによりシリコン分子が基板102上に残る。この点で使用する「窒素反応剤」は、基板102上のシリコン分子と反応する。
【0036】
[0042]本開示の以下の実施形態を、窒化ケイ素(SiN)膜の堆積に関して記載したが、当業者であれば、本開示がそれに限定されないことを理解するであろう。他の膜(例えば、金属窒化物、酸窒化ケイ素(SiON)、及び酸炭窒化ケイ素(SiOCN)を含む膜)を堆積させ、処理し、エッチングすることができる。
【0037】
[0043]幾つかの実施形態では、窒化ケイ素(SiN)膜は、シリコン前駆体への暴露と窒素反応剤への暴露との間に窒素前駆体への暴露を伴って基板102に形成される。この点で使用する「窒素前駆体」は、基板表面と反応し、基板102上に既に存在するシリコン種とは最小限しか反応しない。別の言い方をすれば、窒素前駆体は、基板102上のシリコン前駆体分子と反応しない種を含む。窒素前駆体への暴露は、窒素前駆体種とシリコン前駆体種の両方が基板102と反応性であり、互いとの反応性は最低限であるため、シリコン前駆体への暴露の前、暴露中、又は暴露後に行うことができる。
【0038】
[0044]好適なシリコン前駆体としては、シラン、ジシラン、ジクロロシラン(DCS)、ビス(ジエチルアミノ)シラン(BDEAS)、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン(TDMAS)、及び/又はビス(t-ブチルアミノ)シラン(BTBAS)が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、シリコン前駆体は、ジクロロシランを含む。1又は複数の実施形態では、シリコン前駆体は、本質的にジクロロシランで構成され、これは、ジクロロシラン以外のシリコン種が原子基準で1%未満であることを意味する。
【0039】
[0045]好適な窒素前駆体としては、分子窒素及びアンモニアが挙げられるが、これらに限定されない。窒素前駆体の暴露中に採用されるプロセス条件は、窒素種の表面上のシリコン種との反応性に影響を与え得る。幾つかの実施形態では、プロセス条件は、窒素前駆体が基板表面とのみ実質的に反応するように構成される。この点で使用する「とのみ実質的に(substantially only)」という用語は、窒素前駆体が表面のシリコン種の約10%未満と反応することを意味する。
【0040】
[0046]窒素反応剤は、基板102上に金属窒化物膜を形成する種である。幾つかの実施形態では、窒素反応剤は、金属窒化物膜(例えば、SiN)の形成のために窒素原子を提供する。1又は複数の実施形態では、窒素反応剤は窒素含有種を含まず、表面種間の反応を促進することによって窒化物膜を形成する。好適な窒素反応剤としては、窒素プラズマ、アンモニアプラズマ、水素、窒素、アンモニア、ヘリウム、アルゴン、又は酸素のうちの2つ以上の混合物を含むプラズマが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、窒素反応剤は、アルゴンとアンモニアのプラズマ、アルゴンと窒素のプラズマ、アルゴンと酸素のプラズマ、又はヘリウムとアンモニアのプラズマを含む。幾つかの実施形態では、窒素反応剤は、表面上の窒素種と反応する窒素を含まないプラズマを含む。幾つかの実施形態では、窒素反応剤は、水素とアルゴンのプラズマ、又は水素と窒素のプラズマ、又は水素とヘリウムのプラズマ、又は水素とアンモニアのプラズマ、又は水素と酸素のプラズマを含む。
【0041】
[0047]幾つかの実施形態では、窒化ケイ素(SiN)膜を形成することは、ジクロロシランを含むシリコン前駆体、アンモニアを含む窒素前駆体、及びN/Arプラズマ又はH/Arプラズマを含む窒素反応剤に基板表面を順次暴露することを含む。
【0042】
[0048]図2は、膜の形成方法を示すプロセスフロー図である。図2に、図1A図1Eに示す1又は複数の実施形態の膜のいずれかを形成する方法を示す。幾つかの実施形態では、本方法は、膜の堆積及びプラズマ処理の2つのプロセスを含む。ここに記載の方法は、所望の厚さの膜を形成するために繰り返すことができる。膜形成プロセスの各ステップを順次繰り返して、処理用の膜を形成することができる。その後、コンフォーマルに堆積された膜を処理し、プロセスを繰り返すことができる。
【0043】
[0049]本開示の幾つかの実施形態は、単一の処理チャンバにおいて有利に実行される。幾つかの実施形態では、選択的堆積は、単一の処理チャンバ内の2つのプロセス、すなわち、膜の堆積及びプラズマ処理を含む。これら2つのプロセスは、単一のALDサイクルを構成する。金属前駆体と窒素反応剤は、コンフォーマルに堆積された金属窒化物膜を形成し、プラズマ処理は、フィーチャの上部と底部の膜を改質する。プラズマ処理プロセスは、膜表面にN-H結合又は金属-酸化物結合を形成し、処理時間とプラズマ出力に基づく深さまで膜に浸透し得る。これにより、フィーチャ100の上面110及び底面130でより高い湿式エッチング速度が得られることが判明している。湿式エッチング速度の選択性を高めるために、堆積膜厚及びプラズマ処理レベルを調整することができる。幾つかの実施形態における選択的堆積は、約200℃から約550℃の範囲の基板温度で行われる。
【0044】
[0050]図2を参照すると、方法200は、工程210において、基板に第1の膜をコンフォーマルに堆積させることを含む。基板は、上面、底面、及び側壁を有する少なくとも1つのフィーチャを備える。第1の膜は、水平面と垂直面とを有する。1又は複数の実施形態では、第1の膜をコンフォーマルに堆積させることは、基板を金属含有前駆体及び窒素反応剤に暴露することを含む。1又は複数の実施形態では、第1の膜をコンフォーマルに堆積させることは、基板をシリコン含有前駆体及び窒素反応剤に暴露することを含む。
【0045】
[0051]工程220において、方法200は、水平面に第2の膜を形成するために第1の膜の水平面を第1のプラズマで処理することを含む。1又は複数の実施形態では、第1の膜の水平面を処理することは、少なくとも1つのRF周波数に膜を暴露することを含む。1又は複数の実施形態では、第1の膜を処理することは、指向性プラズマを生成するために13.56MHzから60MHzの範囲の第1のRF周波数に膜を暴露することと、指向性プラズマのエネルギー及び指向性を調整するために350kHzから13.56MHzの範囲の第2のRF周波数に膜を暴露することとを含む。
【0046】
[0052]幾つかの実施形態では、第1の膜は、単一のALDサイクルのコンフォーマルな堆積ステップの一部として、0.5秒から5秒の範囲の時間にわたって第1のプラズマに暴露される。他の実施形態では、第1の膜は、所定数のALDサイクルを実行した後、1秒から10秒の範囲の時間にわたって第1のプラズマに暴露される。他の実施形態では、第1の膜は、第1の膜の所定の厚さが堆積された後、1秒から10秒の範囲の時間にわたって第1のプラズマに暴露される。更なる実施形態では、第1の膜は、後処理プロセスの一部として第1のプラズマに暴露される。更なる実施形態では、後処理プロセスは、2秒から60秒の範囲の時間にわたって第1の膜140を第1のプラズマ160に暴露することを含む。
【0047】
[0053]工程230において、方法200は、水平面に第3の膜を形成するために、水平面上の第2の膜を第2のプラズマで処理することを含む。1又は複数の実施形態では、第3の膜は、第2の膜よりも高い湿式エッチング速度を有する。工程240において、方法200は、第1の膜、第2の膜の一部、及び第3の膜を選択的に除去することを含む。1又は複数の実施形態では、第3の膜及び第1の膜を除去することは、希フッ化水素酸(HF)を用いてエッチングすることを含む。1又は複数の実施形態では、第2の膜は、選択的除去後に20Åから60Åの範囲の厚さを有する。
【0048】
[0054]本開示の実施形態は、窒化ケイ素膜を形成する処理方法を提供する。処理方法は、図1A図1Eに示す1又は複数の実施形態の膜のいずれかを形成するために使用され得る。処理方法は、別段の指示がない限り、図2を参照して上述した方法と同じ又は類似のプロセス条件下で実施することができる。1又は複数の実施形態では、処理方法は、少なくとも1つの堆積サイクルを含む堆積環境に基板を暴露することを含む。1又は複数の実施形態では、堆積サイクルは、基板に第1の窒化ケイ素膜を形成するために、シリコン前駆体及び窒素含有反応剤に基板を順次暴露することを含む。基板は、上面、底面、及び側壁を含む少なくとも1つのフィーチャを有する。処理方法は、第2の窒化ケイ素膜を形成するために、第1の窒化ケイ素膜を第1の指向性プラズマで処理することと、第3の窒化ケイ素膜を形成するために、第2の窒化ケイ素膜を第2の指向性プラズマで処理することとを含む。処理方法は更に、第3の窒化ケイ素膜、第2の窒化ケイ素膜の一部、及び第1の窒化ケイ素膜を除去することを含む。本開示の実施形態は、20Åから100Åの範囲の厚さを有する第1の窒化ケイ素膜を形成するために、堆積サイクルを繰り返すことを提供する。
【0049】
[0055]図3は、容量結合プラズマ(CCP)チャンバ300を示す概略図である。CCPチャンバ300は、処理チャンバの構成要素として使用することができる。CCPチャンバ300は、処理チャンバ内にプラズマを生成するように機能し得る。1又は複数の実施形態では、CCPチャンバ300は、上部電極310及び底部電極320を備える。1又は複数の実施形態では、RFプラズマ350は、第1のRF電源360及び第2のRF電源370のうちの1又は複数によって生成され、それらを通して供給され得る。1又は複数の実施形態では、上部電極310は、シャワーヘッドである。1又は複数の実施形態では、底部電極320はペデスタルである。1又は複数の実施形態では、ウエハ330が底部電極320上に提供される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するように、この態様で使用する用語「提供される」は、ウエハ330が処理のための環境内に配置又は位置決めされることを意味する。1又は複数の実施形態では、図1A図1Eに示す実施形態の膜のうちの1又は複数が、ウエハ330に堆積される。
【0050】
[0056]1又は複数の実施形態では、RFプラズマ350は、第1の電極310と底部電極320との間に形成される。1又は複数の実施形態では、シース340は、電界の流れの方向を表す。図3に示す実施形態では、シース340は、底部電極320に向かって下方に流れる電界を示す。1又は複数の実施形態では、電界は上部電極310(図示せず)に向かって上方に流れる。
【0051】
[0057]1又は複数の実施形態によれば、基板は、膜を形成する前及び/又は後に処理に供される。この処理は、単一の処理チャンバにおいて、又は1又は複数の別の処理チャンバにおいて行うことができる。幾つかの実施形態では、基板は、更なる処理のために、第1のチャンバから別の第2のチャンバに移動される。基板は、第1のチャンバから別の処理チャンバに直接移動させることができる、又は第1のチャンバから1又は複数の移送チャンバに移動させ、その後、別の処理チャンバに移動させることができる。従って、処理装置は、移送ステーションに連結された複数のチャンバを含み得る。この種の装置は、「クラスタツール」又は「クラスタシステム」等と呼ぶことができる。
【0052】
[0058]一般に、クラスタツールは、基板の中心探し及び配向、アニール、堆積及び/又はエッチングを含む様々な機能を実行する複数のチャンバを含むモジュール式システムである。1又は複数の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバと中央移送チャンバとを含む。中央移送チャンバは、処理チャンバとロードロックチャンバとの間、並びに処理チャンバ間及びロードロックチャンバ間で基板をシャトル移動させることができるロボットを収納し得る。移送チャンバは、通常真空状態に維持され、1つのチャンバから別のチャンバへ、及び/又はクラスタツールの前端に位置決めされたロードロックチャンバへ基板をシャトル移動させるための中間ステージを提供する。本開示に適合可能な2つの周知のクラスタツールは、Centura(登録商標)及びEndura(登録商標)であり、いずれもカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能である。しかしながら、チャンバの正確な配置及び組み合わせは、ここに記載のプロセスの特定のステップを実行する目的で変更することができる。使用可能な他の処理チャンバとしては、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、化学洗浄、RTP等の熱処理、プラズマ窒化、アニール、配向、ヒドロキシル化、及び他の基板プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。クラスタツール上のチャンバ内でプロセスを行うことで、後続の膜を堆積させる前に酸化させることなく、大気中の不純物による基板表面の汚染を回避することができる。
【0053】
[0059]1又は複数の実施形態によれば、基板は、連続的に真空又は「ロードロック」条件下にあり、1つのチャンバから次のチャンバに移動されるときに周囲空気に暴露されない。従って、移送チャンバは真空下にあり、真空圧力下で「ポンプダウン」される。不活性ガスが、処理チャンバ又は移送チャンバ内に存在していてよい。幾つかの実施形態では、不活性ガスは、反応剤の一部又は全部を除去するためのパージガスとして使用される。1又は複数の実施形態によれば、パージガスは、反応剤が堆積チャンバから移送チャンバ及び/又は追加の処理チャンバに移動するのを防止するために、堆積チャンバの出口で注入される。従って、不活性ガスの流れはチャンバの出口でカーテンを形成する。
【0054】
[0060]基板は、単一の基板がロードされ、処理され、別の基板が処理される前にアンロードされる、単一の基板堆積チャンバで処理することができる。基板はまた、複数の基板が個別にチャンバの第1の部分にロードされ、チャンバ内を移動し、チャンバの第2の部分からアンロードされる、コンベアシステムに類似した連続的な方法で処理することもできる。チャンバ及び関連するコンベアシステムの形状は、直線経路又は曲線経路を形成し得る。更に、処理チャンバは、複数の基板が中心軸を中心に移動し、カルーセル経路全体を通して堆積、エッチング、アニール、洗浄等のプロセスに暴露されるカルーセルであってよい。
【0055】
[0061]処理中、基板を加熱又は冷却することができる。このような加熱又は冷却は、基板支持体の温度を変化させること、及び加熱又は冷却されたガスを基板表面に流すことを含むが、これらに限定されない任意の適切な手段によって達成することができる。幾つかの実施形態では、基板支持体は、基板温度を伝導的に変化させるように制御可能なヒータ/クーラを含む。1又は複数の実施形態では、採用されるガス(反応性ガス又は不活性ガスのいずれか)は、基板温度を局所的に変化させるために加熱又は冷却される。幾つかの実施形態では、ヒータ/クーラがチャンバ内で基板表面に隣接して位置決めされ、基板温度を対流的に変化させる。
【0056】
[0062]基板は、処理中に静止していてもよい、又は回転させることもできる。回転基板は、連続的に回転させることができる、又は少しずつ段階的に回転させることができる。例えば、基板は、プロセス全体を通して回転させることができる、又は基板は、異なる反応性ガス又はパージガスへの暴露の間に少量だけ回転させることができる。処理中(連続的又は段階的)に基板を回転させることで、例えばガス流形状の局所的なばらつきの影響を最小限に抑えて、より均一な堆積又はエッチングを行うことができる。
【0057】
[0063]本明細書全体で言及する、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」、又は「実施形態」は、その実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所における「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、又は「実施形態では」等の句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1又は複数の実施形態では任意の適切な方法で組み合わせることが可能である。
【0058】
[0064]本開示を、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、これらの実施形態は、本開示の原理及び適用の単なる例示であることを理解されたい。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な修正及び変更を加えることができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある修正及び変更を含むことが意図される。
図1A-D】
図1E
図2
図3
【国際調査報告】