IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

特表2024-537895計測方法および関連する計測およびリソグラフィ装置における測定レシピを決定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】計測方法および関連する計測およびリソグラフィ装置における測定レシピを決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20241008BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241008BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
G01B11/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522622
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022076506
(87)【国際公開番号】W WO2023066600
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21203273.4
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン、セバスティアヌス、アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ハウスマン、シモン、ライナルト
(72)【発明者】
【氏名】マテイッセン、シモン、ガイスベルト、ヨセフス
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA02
2F065AA03
2F065AA17
2F065AA24
2F065BB27
2F065CC19
2F065FF16
2F065FF48
2F065FF49
2F065FF51
2F065JJ26
2F065LL12
2F065QQ25
2F065QQ42
2H197AA06
2H197CD12
2H197EA11
2H197EA15
2H197EA17
2H197EA18
2H197EA30
2H197EB02
2H197EB05
2H197EB16
2H197EB22
2H197EB23
2H197HA03
(57)【要約】
【解決手段】基板上のターゲット構造から興味のあるパラメータを測定するための測定セッティングを決定するための方法が開示される。方法は、第1代表ターゲット構造位置の位置および製品構造に関する一または複数の第1フィーチャの位置の間の差を記述する第1位置差データを取得することと、ターゲット構造の光学測定に関し、複数の異なる測定セッティングに更に関する光計測データを取得することと、決定される測定セッティングを使用してターゲット構造の光学測定から取得される測定されたフィーチャ位置値が、一または複数の第1フィーチャの位置とより良く相関するように、第1位置差データおよび光計測データから測定セッティングを決定することと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のターゲット構造から興味のあるパラメータを測定するための測定セッティングを決定するための方法であって、
第1代表ターゲット構造位置の位置および製品構造に関する一または複数の第1フィーチャの位置の間の差を記述する第1位置差データを取得することと、
前記ターゲット構造の光学測定に関し、複数の異なる測定セッティングに更に関する光計測データを取得することと、
決定される測定セッティングを使用して前記ターゲット構造の光学測定から取得される測定されたフィーチャ位置値が、前記一または複数の第1フィーチャの位置を表すことが期待されるように、前記第1位置差データおよび前記光計測データから前記測定セッティングを決定することと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第1位置差データは、前記第1代表ターゲット構造位置および前記一または複数の第1フィーチャの位置の直接測定から取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1位置差データは、走査電子顕微鏡データおよび/または透過電子顕微鏡データを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1位置差データを取得するために、前記ターゲット構造の複数のインスタンスを備える少なくとも一つの基板上の第1計測を実行することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1代表ターゲット構造位置は、前記ターゲット構造の重心位置、前記ターゲット構造の中心位置、前記ターゲット構造の他のフィーチャ位置、または前記ターゲット構造の二以上のフィーチャの平均位置を記述する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲット構造は、光計測ツールによって解像可能な程度に十分な大きさの周期性を有するサブセグメント化されたターゲット構造を備え、
サブセグメントは、前記一または複数の第1フィーチャを備える、および/または、前記一または複数の第1フィーチャを表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1位置差データは、前記一または複数の第1フィーチャを備える、および/または、前記一または複数の第1フィーチャを表す前記サブセグメントの位置および前記第1代表ターゲット構造位置の間の差の測定結果を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記測定セッティングを決定するステップは、前記光計測データから取得される第2位置差データおよび前記第1位置差データの間の差を最小化するための前記測定セッティングを決定することを備え、
前記第2位置差データは、前記決定された測定セッティングを使用して取得される測定された位置と第2代表ターゲット構造位置の間の差を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2代表ターゲット構造位置は、複数の異なる測定セッティングに亘る平均測定位置を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記平均測定位置は、信号強度で重み付けされた平均測定位置を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複数の異なる照明セッティングのそれぞれについて複数の強度非対称値を取得することと、
前記強度非対称値を、アライメント構造における非対称偏差に対応する位相オフセットに変換することと、
前記位相オフセットから、前記非対称偏差について補正された位置として前記第2代表ターゲット構造位置を決定することと、
によって前記第2代表ターゲット構造位置は取得され、
前記強度非対称値は、前記構造によって回折された放射の少なくとも二つの相補的な回折次数のそれぞれの強度または振幅の間の差またはアンバランスに関するメトリックを備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第2代表ターゲット構造位置は、前記ターゲット構造の重心または中心位置に対応する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
各測定セッティングは、
測定波長の一つまたは組合せおよび/または測定偏光の一つまたは組合せを記述する照明セッティング、
一または複数の測定波長および/または測定偏光についての重み、
および/または、測定イメージの特定の領域、ピクセルまたはピクセルのグループについての重み、
の一または複数を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1位置差データおよび前記光計測データは、いずれも露光ステップの前に実行される計測に関し、
前記方法は、オーバーレイ計測による後知恵を使用しない、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ターゲット構造の光学測定から測定されたフィーチャ位置値を備える、および/または、前記ターゲット構造の光学測定から測定されたフィーチャ位置値に関する興味のあるパラメータ値を決定するために、前記決定された測定セッティングを使用することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
適切な装置で実行された時に、請求項1から15のいずれかに記載の方法を実行可能なプログラム命令を備えるコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラムを備える非一時的なコンピュータプログラムキャリア。
【請求項18】
プロセッサおよび請求項16に記載のコンピュータプログラムを備えるストレージデバイスを備える処理システム。
【請求項19】
請求項18に記載の処理システムを備えるアライメントセンサ。
【請求項20】
パターニングデバイスを支持するためのパターニングデバイスサポートと、
基板を支持するための基板サポートと、
請求項19に記載のアライメントセンサと、
を備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年10月18日に出願された欧州出願21203273.4の優先権を主張し、その全体が参照によって本書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、例えば、リソグラフィ技術によるデバイスの製造において使用可能な方法および装置、およびリソグラフィ技術を使用するデバイスの製造方法に関する。本発明は、より具体的には、計測センサ、およびこのような計測センサを有するリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上(通常は、基板のターゲット部分上)に所望のパターンを適用する装置である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用されうる。この場合、マスクまたはレチクルとも表されるパターニングデバイスが、ICの個々の層上に形成されるべき回路パターンを生成するために使用されてもよい。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、一つのダイ、または複数のダイを含む)上に転写されうる。パターンの転写は、典型的には、基板上に設けられる放射感応性材料(レジスト)の層上へのイメージングを介する。一般的に、単一の基板は、連続的にパターン形成される、近接するターゲット部分のネットワークを含む。これらのターゲット部分は、一般的に「フィールド」と表される。
【0004】
複雑なデバイスの製造では、典型的に、多くのリソグラフィパターニングステップが実行され、基板上の連続する層において機能フィーチャを形成する。このため、リソグラフィ装置のパフォーマンスの重要な側面は、先の層において配置された(同じ装置または異なるリソグラフィ装置によって)フィーチャに対して、適用されるパターンを正確および精緻に配置する能力である。この目的のために、アライメントマークの一または複数のセットが基板に設けられる。各マークは、典型的には光学位置センサである位置センサを使用して、後で位置が測定されうる構造である。リソグラフィ装置は、基板上のマークの位置を正確に測定できる一または複数のアライメントセンサを含む。異なる製造者および同じ製造者の異なる製品からの、異なるタイプのマークおよび異なるタイプのアライメントセンサが知られている。
【0005】
他のアプリケーションでは、基板上の露光される構造(レジスト中および/またはエッチング後)を測定するために、計測センサが使用される。高速および非侵襲な形態の特別な検査ツールは、放射のビームが基板の表面上のターゲット上に向けられ、散乱または反射されたビームの特性が測定されるスキャトロメータである。既知のスキャトロメータの例は、US2006033921A1およびUS2010201963A1において記述されているタイプの角度分解スキャトロメータを含む。再構成によるフィーチャ形状の測定に加えて、公開された特許出願US2006066855A1において記述されているように、回折に基づくオーバーレイがこのような装置を使用して測定されうる。回折次数のダークフィールドイメージングを使用する回折に基づくオーバーレイ計測は、より小さいターゲットに対するオーバーレイ測定を可能にする。ダークフィールドイメージング計測の例は、国際特許出願WO2009/078708およびWO2009/106279において見つかり、これらの全体が参照によって本書に援用される。公開された特許公報US20110027704A、US20110043791A、US2011102753A1、US20120044470A、US20120123581A、US20130258310A、US20130271740A、およびWO2013178422A1において、更なる技術の開発が記述されている。これらのターゲットは、照明スポットより小さくてもよいし、ウェーハ上の製品構造によって囲まれていてもよい。複合格子ターゲットを使用すれば、複数の格子が一つのイメージにおいて測定されうる。これらの全ての出願の内容も、参照によって本書に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかのスキャトロメータまたはアライメントセンサ等におけるいくつかの計測アプリケーションでは、計測ターゲットにおける不完全性が、当該ターゲットから測定される値における波長/偏光に依存する変動をもたらしうる。このため、この変動についての緩和は、測定(例えば、特定のアプリケーションのためのキャリブレーションフェーズにおけるもの)のための「測定レシピ」の決定によってしばしば影響される。ここで、測定レシピは、アライメント精度が最適化される、特定の照明条件(例えば、波長および偏光の組合せ)および/または測定パラメータ重みを記述してもよい。
【0007】
このような測定レシピを決定するための方法を改良することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1側面における本発明は、基板上のターゲット構造から興味のあるパラメータを測定するための測定セッティングを決定するための方法を提供する。方法は、第1代表ターゲット構造位置の位置および製品構造に関する一または複数の第1フィーチャの位置の間の差を記述する第1位置差データを取得することと、ターゲット構造の光学測定に関し、複数の異なる測定セッティングに更に関する光計測データを取得することと、決定される測定セッティングを使用してターゲット構造の光学測定から取得される測定されたフィーチャ位置値が、一または複数の第1フィーチャの位置を表すことが期待されるように、第1位置差データおよび光計測データから測定セッティングを決定することと、を備える。
【0009】
第1側面の方法を実行可能なコンピュータプログラム、処理システム、アライメントセンサ、およびリソグラフィ装置も開示される。
【0010】
本発明の以上および他の側面は、後述される例の考慮から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下では、本発明の実施形態が、次の付随する図面を参照して、例示のみによって記述される。
図1は、リソグラフィ装置を示す。
図2は、図1の装置における測定および露光プロセスを模式的に例示する。
図3は、本発明の一実施形態に従って適応可能なアライメントセンサの模式図である。
図4は、製品構造にとっての代理として機能すると共に、図3に例示されるような光計測デバイスを使用して測定可能な、アライメントマークの異なる部分と相関する製品構造位置の問題を概念的に例示する。図4(a)は、アライメントマークの頂部と相関する製品構造位置を示し、図4(b)は、アライメントマークの底部と相関する製品構造位置を示す。
図5は、(a)第1フィーチャを表すサブセグメントフィーチャのシフトのための非対称性を伴わない方法において使用可能なサブセグメント化されたターゲットの第1例、(b)第1フィーチャを表すサブセグメントフィーチャのシフトのための非対称性を伴う方法において使用可能なサブセグメント化されたターゲットの第1例、(c)第1代表ターゲット構造位置および製品構造に関する一または複数の第1フィーチャの位置の間の第1差を有するマークについての第1スイングカーブ、および(d)第1代表ターゲット構造位置および製品構造に関する一または複数の第1フィーチャの位置の間の第2差を有するマークについての第2スイングカーブ、の模式図である。
図6は、(a)第1フィーチャを表すサブセグメントフィーチャのシフトのための非対称性を伴わない方法において使用可能なサブセグメント化されたターゲットの第2例、および(b)第1フィーチャを表すサブセグメントフィーチャのシフトのための非対称性を伴う方法において使用可能なサブセグメント化されたターゲットの第2例、の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を詳細に記述する前に、本発明の実施形態が実装されてもよい環境の一例を参考のために提示する。
【0013】
図1は、リソグラフィ装置LAを模式的に示す。装置は、放射ビームB(例えば、UV放射またはDUV放射)を調整するように構成される照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに応じてパターニングデバイスを正確に配置するように構成される第1ポジショナPMに接続される、パターニングデバイスサポートまたは支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、それぞれが基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成され、それぞれが特定のパラメータに応じて基板を正確に配置するように構成される第2ポジショナPWに接続される、二つの基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTaおよびWTbと、基板Wのターゲット部分C(例えば、一または複数のダイを含む)上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに形成されたパターンを投影するように構成される投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PRSと、を含む。リファレンスフレームRFは、様々なコンポーネントを接続し、パターニングデバイスおよび基板の位置、およびそれらの上のフィーチャの位置を設定および測定するためのリファレンスとして機能する。
【0014】
照明システムは、放射の方向付け、整形、または制御のために、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電気型または他のタイプの光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せ等の、様々なタイプの光学コンポーネントを含んでもよい。
【0015】
パターニングデバイスサポートMTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置のデザイン、およびパターニングデバイスが真空環境において保持されるか否か等の他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスを保持するために、機械型、真空型、静電気型または他のクランプ技術を使用できる。パターニングデバイスサポートMTは、例えば、必要に応じて固定されてもよいし移動可能でもよい、フレームまたはテーブルでもよい。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスが、投影システム等に対する所望の位置にあることを担保してもよい。
【0016】
ここで使用される用語「パターニングデバイス」は、例えば、基板のターゲット部分においてパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを形成するために使用されうる任意のデバイスを表すものと広義に解釈されるべきである。なお、放射ビームに形成されるパターンは、例えば、パターンが位相シフトフィーチャや、いわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンと正確に対応しなくてもよい。一般的に、放射ビームに形成されるパターンは、集積回路等のターゲット部分において生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0017】
ここで示されるように、装置は透過型(例えば、透過型パターニングデバイスを使用するもの)である。あるいは、装置は反射型(例えば、前述されたようなタイプのプログラマブルミラーアレイ、または反射型マスクを使用するもの)でもよい。パターニングデバイスの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルを含む。ここでの用語「レチクル」または「マスク」の使用は、より一般的な用語「パターニングデバイス」と同義と解釈されてもよい。用語「パターニングデバイス」は、このようなプログラマブルパターニングデバイスを制御する際の使用のために、パターン情報をデジタルの形態で保存しているデバイスを表すものとも解釈されうる。
【0018】
ここで使用される用語「投影システム」は、使用される露光放射、または液浸液の使用または真空の使用等の他のファクタにとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型および静電気型の光学システム、またはそれらの任意の組合せを含む、任意のタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈されるべきである。ここでの用語「投影レンズ」の使用は、より一般的な用語「投影システム」と同義と解釈されてもよい。
【0019】
リソグラフィ装置は、投影システムおよび基板の間の空間を満たすために、基板の少なくとも一部が水等の比較的高い屈折率を有する液体によって覆われてもよいタイプでもよい。液浸液は、リソグラフィ装置における他の空間(例えば、マスクおよび投影システムの間)に適用されてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるための周知技術である。
【0020】
稼働中のイルミネータILは、放射ソースSOから放射ビームを受け取る。例えばソースがエキシマレーザの場合、ソースおよびリソグラフィ装置は別体でもよい。このような場合、ソースはリソグラフィ装置の一部を構成するものと解釈されず、例えば、適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDによって、放射ビームはソースSOからイルミネータILに渡される。例えばソースが水銀ランプの他の場合では、ソースはリソグラフィ装置の一部でもよい。ソースSOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと表されてもよい。
【0021】
イルミネータILは、例えば、放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタAD、インテグレータINおよびコンデンサCOを含んでもよい。イルミネータは、放射ビームが断面における所望の均一性および強度分布を有するように調整するために使用されてもよい。
【0022】
放射ビームBは、パターニングデバイスサポートMT上に保持されているパターニングデバイスMA上に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを通過した放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集める投影システムPSを通過する。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、二次元エンコーダまたは容量センサ)によって、基板テーブルWTaまたはWTbは正確に駆動されうる(例えば、放射ビームBの経路上に異なるターゲット部分Cを配置するように)。同様に、第1ポジショナPMおよび他の位置センサ(図1においては明示されない)は、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に配置するために使用されうる(例えば、マスクライブラリからの機械的な取り出し後、またはスキャン中)。
【0023】
パターニングデバイス(例えば、マスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされてもよい。図示の例における基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間のスペースに配置されてもよい(スクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、複数のダイがパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に設けられている状況では、マスクアライメントマークがダイの間に配置されてもよい。ダイ内のデバイスフィーチャの中に小さいアライメントマークが含まれてもよい。この場合、マーカはできるだけ小さく、近接するフィーチャと異なるイメージングまたはプロセス条件を要求しないものであるのが望ましい。アライメントマーカを検出するアライメントシステムは、以下で更に記述される。
【0024】
示される装置は、様々なモードで使用されうる。スキャンモードでは、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTが、放射ビームに形成されたパターンがターゲット部分C上に投影されている間、同時にスキャンされる(すなわち、単一動的露光)。パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの倍率および像反転特性によって決定されてもよい。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一動的露光におけるターゲット部分の幅(非スキャン方向における)を制限する一方、スキャン動作の長さが、ターゲット部分の高さ(スキャン方向における)を決定する。周知のように、他のタイプのリソグラフィ装置および動作モードも可能である。例えば、ステップモードが知られている。いわゆる「マスクレス」リソグラフィでは、プログラマブルパターニングデバイスが静止状態で保持されるが、パターンが変化して基板テーブルWTが駆動またはスキャンされる。
【0025】
前述された使用モードに関する組合せおよび/または変形または全く異なる使用モードが利用されてもよい。
【0026】
リソグラフィ装置LAは、二つの基板テーブルWTa、WTbおよび二つのステーション(すなわち、その間で基板テーブルが交換されうる露光ステーションEXPおよび測定ステーションMEA)を有する、いわゆるデュアルステージタイプである。露光ステーションにおいて一の基板テーブル上の一の基板が露光されている間、測定ステーションにおいて他の基板が他の基板テーブル上に搭載され、様々な準備ステップが実行されうる。これは、装置のスループットの大幅な増加を可能にする。準備ステップは、レベルセンサLSを使用した基板の表面高さ形状のマッピングや、アライメントセンサASを使用した基板上のアライメントマーカの位置の測定を含んでもよい。測定ステーションや露光ステーションにいる間に基板テーブルの位置を位置センサIFが測定できない場合、両ステーションにおいてリファレンスフレームRFに対する基板テーブルの位置を追跡可能にするための第2位置センサが提供されてもよい。公知の他の配置も、図示のデュアルステージ配置の代わりに使用可能である。例えば、基板テーブルおよび測定テーブルが設けられる他のリソグラフィ装置が知られている。これらは、準備測定を実行する際に共にドッキングされ、基板テーブルが露光される際にドッキングが解除される。
【0027】
図2は、図1のデュアルステージ装置において、基板W上のターゲット部分(例えば、ダイ)を露光するためのステップを例示する。左側の点線のボックス内は、測定ステーションMEAで実行されるステップであり、右側は、露光ステーションEXPで実行されるステップを示す。前述されたように、稼働時には、基板テーブルWTa、WTbの一方が露光ステーションにあり、他方が測定ステーションにある。本記述の目的のために、基板Wは既に露光ステーション中に搭載されているものとする。ステップ200では、新しい基板W’が不図示の機構によって装置に搭載される。これらの二つの基板は、リソグラフィ装置のスループットを増加させるために、並列的に処理される。
【0028】
まず、新たに搭載される基板W’については、装置における第1回露光のために新しいフォトレジストと共に準備される、先に処理されていない基板でもよい。但し、一般的に、記述されるリソグラフィプロセスは、一連の露光および処理ステップにおける単に一つのステップであり、基板W’は、この装置および/または他のリソグラフィ装置を既に複数回に亘って経たものでもよいし、後続のプロセスを経るものでもよい。特に、オーバーレイ性能を向上させる課題についてのタスクは、パターン形成および処理の一または複数のサイクルを既に経た基板上における正確な位置に、新しいパターンが適用されることを担保することである。これらの処理ステップは、十分なオーバーレイ性能を実現するためには測定および補正されなくてはならない歪みを、累進的に基板に導入する。
【0029】
先および/または後続のパターン形成ステップは、前述されたように、他のリソグラフィ装置において実行されてもよく、異なるタイプのリソグラフィ装置において実行されてもよい。例えば、解像度およびオーバーレイ等のパラメータにおける要求が非常に高いデバイス製造プロセスにおけるいくつかの層は、要求が比較的低い他の層より高度なリソグラフィツールにおいて処理されてもよい。このため、いくつかの層は液浸タイプのリソグラフィツールにおいて露光され、他の層は「ドライ」ツールにおいて露光されてもよい。いくつかの層はDUV波長で動作するツールにおいて露光され、他の層はEUV波長放射を使用して露光されてもよい。
【0030】
202では、基板マークP1等および画像センサ(不図示)を使用したアライメント測定が、基板テーブルWTa/WTbに対する基板のアライメントを測定および記録するために使用される。加えて、基板W’に亘るいくつかのアライメントマークが、アライメントセンサASを使用して測定される。これらの測定は、基板に亘るマークの分布を、基準矩形グリッドに対する歪みを含めて非常に正確にマッピングする「ウェーハグリッド」を確立するために一実施形態において使用される。
【0031】
ステップ204では、XY位置に対するウェーハ高さ(Z)のマップが、レベルセンサLSも使用して測定される。一般的に、高さマップは、露光パターンの正確なフォーカシングを実現するためだけに使用される。それは、他の追加的な目的のために使用されてもよい。
【0032】
基板W’が搭載される時に、実行される露光だけでなく、ウェーハの特性、先に形成されたパターン、その上に形成されるパターンも定めるレシピデータ206が受け取られる。これらのレシピデータに、202、204で得られたウェーハ位置、ウェーハグリッドおよび高さマップの測定結果が加えられ、レシピおよび測定データの完全な組208が露光ステーションEXPに渡されうる。アライメントデータの測定結果は、例えば、リソグラフィプロセスの生成物である製品パターンに対する固定的または公称的に固定的な関係で形成されるアライメントターゲットのXおよびY位置を含む。露光直前に取得されるこれらのアライメントデータは、モデルをデータにフィッティングするパラメータを有するアライメントモデルを生成するために使用される。これらのパラメータおよびアライメントモデルは、現在のリソグラフィステップにおいて適用されるパターンの位置を補正するために露光動作中に使用される。使用中のモデルは、測定された位置の間の位置偏差を補間する。従来のアライメントモデルは、「理想的な」グリッドの並進、回転およびスケーリングを異なる次元において共に定める、四つ、五つまたは六つのパラメータを備えてもよい。より多くのパラメータを使用する高度なモデルも知られている。
【0033】
210では、ウェーハW’およびWが交換され、測定された基板W’が基板Wとなって露光ステーションEXPに入る。図1の装置例では、この交換がサポートWTaおよびWTbを装置内で交換することによって実行され、基板W、W’が各々のサポート上で正確な位置に保持されたままであるため、基板テーブルおよび基板自体の間の相対的なアライメントが維持される。このため、一旦テーブルが交換されると、投影システムPRSおよび基板テーブルWTb(前はWTa)の間の相対位置を決定するだけで、露光ステップの制御において基板W(前はW’)のために測定情報202、204を利用できる。ステップ212では、マスクアライメントマークM1、M2を使用してレチクルアライメントが実行される。ステップ214、216、218では、多数のパターンの露光を完了するために、スキャン動作および放射パルスが基板Wに亘る連続的なターゲット位置で適用される。
【0034】
露光ステップの実行時に測定ステーションで取得されたアライメントデータおよび高さマップを使用することによって、これらのパターンが、特に、同じ基板上に先に配置されたフィーチャに対する所望の位置に対して正確にアライメントされる。W”の符号が付される露光された基板は、ステップ220で装置から取り出され、露光パターンに応じてエッチングまたは他の処理が施される。
【0035】
当業者は、以上の記述が、実際の製造現場の一例において実施されうる多数の非常に詳細なステップの単純化されたオーバービューであると理解する。例えば、単一のパスにおいてアライメントを測定するのではなく、同じまたは異なるマークを使用して、しばしば粗いおよび細かい測定の別のフェーズが存在する。粗いおよび/または細かいアライメント測定ステップは、高さ測定の前または後、あるいはその間に実行されうる。
【0036】
複雑なデバイスの製造では、典型的に、多くのリソグラフィパターニングステップが実行され、基板上の連続する層において機能フィーチャを形成する。このため、リソグラフィ装置のパフォーマンスの重要な側面は、先の層において配置された(同じ装置または異なるリソグラフィ装置によって)フィーチャに対して、適用されるパターンを正確および精緻に配置する能力である。この目的のために、マークの一または複数のセットが基板に設けられる。各マークは、典型的には光学位置センサである位置センサを使用して、後で位置が測定されうる構造である。位置センサは「アライメントセンサ」と表されてもよく、マークは「アライメントマーク」と表されてもよい。
【0037】
リソグラフィ装置は、基板上に提供されるアライメントマークの位置を正確に測定できる一または複数(例えば、複数)のアライメントセンサを含んでもよい。アライメント(または、位置)センサは、基板上に形成されるアライメントマークから位置情報を取得するために、回折および干渉等の光学現象を使用してもよい。現在のリソグラフィ装置において使用されているアライメントセンサの一例は、US6961116において記述されているような自己参照干渉計に基づく。例えば、US2015261097A1において開示されているように、位置センサの様々な改良および改変が行われている。これらの公報の全ての内容は、参照によって本書に援用される。
【0038】
マーク、またはアライメントマークは、基板上に提供される層上または層内に形成される、または基板内に(直接的に)形成される一連のバーを備えてもよい。バーは、規則的な間隔で設けられて、格子線として機能してもよい。この場合のマークは、周知の空間的な周期(ピッチ)を有する回折格子と見なされうる。これらの格子線の方向に応じて、X軸またはY軸(X軸に対して実質的に直交する)に沿った位置の測定を許容するように、マークがデザインされてもよい。XおよびY軸の両方に対して+45度および/または-45度の角度で配置されるバーを備えるマークは、参照によって本書に援用されるUS2009/195768Aにおいて記述されているような技術を使用して、組み合わされたXおよびY測定を可能にする。
【0039】
アライメントセンサは、正弦波等の周期的に変動する信号を取得するために、放射のスポットで各マークを光学的にスキャンする。アライメントセンサに対するマークの位置、ひいては基板の位置は、この信号の位相の分析を通じて判定された後、リソグラフィ装置のリファレンスフレームに対して固定される。アライメントセンサが、周期信号の異なるサイクルの間、およびサイクル内の正確な位置(位相)を識別できるように、異なる(粗いおよび細かい)マーク寸法に関して、いわゆる粗いおよび細かいマークが提供されてもよい。異なるピッチのマークは、この目的のために使用されてもよい。
【0040】
マークの位置を測定することは、マークが提供される基板の変形についての情報を、例えば、ウェーハグリッドの形で提供してもよい。基板の変形は、例えば、基板テーブルへの基板の静電クランピングおよび/または基板が放射に曝されている際の基板の加熱によって発生しうる。
【0041】
図3は、公知のアライメントセンサASの一実施形態の模式的なブロック図である。放射ソースRSOは、基板W上に位置するマークAM等のマーク上に、方向付け光学素子によって照明スポットSPとして向けられる、一または複数の波長の放射のビームRBを提供する。この例では、方向付け光学素子が、スポットミラーSMおよび対物レンズOLを備える。マークAMを照明する照明スポットSPは、直径がマーク自体の幅より僅かに小さくてもよい。
【0042】
マークAMによって回折された放射は、情報伝達ビームIBにコリメートされる(この例では、対物レンズOLを介して)。用語「回折される」は、相補的なより高い回折次数を含む趣旨である。これは、例えば、+1および-1の回折次数(+1、-1のラベルが付される)およびオプションでマークからの零次回折(反射と表されてもよい)を含む。自己参照干渉計SRI(例えば、前述のUS6961116に開示されているタイプ)がビームIBを自身と干渉させた後に、ビームは光検出器PDによって受け取られる。放射ソースRSOによって複数の波長が生成される場合、追加的な光学素子(不図示)が別のビームを提供するために含まれてもよい。光検出器は単一のエレメントでもよいし、必要に応じて多数のピクセルを備えてもよい。光検出器は、センサアレイを備えてもよい。
【0043】
この例ではスポットミラーSMを備える方向付け光学素子は、情報伝達ビームIBがマークAMからのより高い次数の回折放射のみを含むように、マークから反射される零次放射をブロックする機能を果たしてもよい(これは測定にとって必須ではないが、信号対雑音比を向上させる)。
【0044】
SRI強度信号SSIは、処理ユニットPUに対して供給される。自己参照干渉計SRIにおける光学処理およびユニットPUにおける演算処理の組合せによって、リファレンスフレームに対する基板上のXおよびY位置についての値が出力される。
【0045】
例示されるタイプの単一の測定は、マークの一つのピッチに対応する特定の範囲内のマークの位置を特定するだけである。これと併せて、正弦波のいずれの周期がマークされた位置を含むかを特定するために、より粗い測定技術が使用される。より粗いおよび/またはより細かいレベルでの同じプロセスが、マークが作られる材料、およびマークの上および/または下に提供される材料によらない、精度の向上および/またはマークのロバストな検出のために、異なる波長(「色」)で繰り返される。このような複数の波長測定の実行および処理における改良は、以下で開示される。
【0046】
他のタイプのアライメントセンサは、アライメントマークによって散乱される照明からの干渉パターンの取得されたイメージからアライメントを決定する、イメージに基づくアライメントセンサを備えてもよい。アライメントおよび製品/プロセスモニタリング計測アプリケーションとしての特定のタイプのイメージに基づく計測センサは、参照によって本書に援用されるPCT特許出願WO2020/057900A1において記述されている。これは、最適化されたコヒーレンスを有する計測デバイスを記述する。より具体的には、計測デバイスは、測定照明の複数の空間的にインコヒーレントなビームを生成するように構成される。ここで、ビームのそれぞれ(または、ビームの測定ペアの両方のビーム、測定方向に対応する各測定ペア)は、それらの断面内においてビームの間の位相関係が既知の対応する領域(すなわち、対応する領域について相互の空間的なコヒーレンスが存在する)を有する。各ビームペアのこれらのビームは、干渉パターンが結像されるように、検出器(例えば、カメラ/CCDアレイ)上で干渉される。
【0047】
このような計測デバイスは、許容可能な(最小限の)干渉アーティファクト(スペックル)で、小さいピッチターゲットを測定可能であり、ダークフィールドモードでも動作可能である。このような計測デバイスは、基板位置を測定するための位置またはアライメントセンサとして使用されてもよい(例えば、固定されたリファレンス位置に対する干渉イメージの干渉縞位置を測定することによってアライメントマークの位置を測定する)。計測デバイスは、オーバーレイの測定(例えば、異なる層、またはマークをスティッチングする場合は同じ層における、周期的な構造の相対位置の測定)のためにも使用可能である。計測デバイスは、周期的な構造における非対称性も測定可能であり、ターゲット非対称測定に基づく任意のパラメータ(例えば、回折に基づくオーバーレイ(DBO)技術を使用するオーバーレイまたは回折に基づくフォーカス(DBF)技術を使用するフォーカス)を測定するために使用されうる。
【0048】
ウェーハアライメントの文脈では、測定レシピ(放射ソースRSOによって提供される放射の色および/または偏光モード等の、アライメント測定システムのセッティングを含む)を決定するために、マーク非対称性(アライメントマークにおける非対称性は、位置エラーまたはオフセットをもたらす)を緩和する以下のアプローチが使用または提案されている。
・放射ソースRSOによって提供される放射の「デフォルトの」色または色の組合せを選択すること
・先のノード、層または比較可能な層スタックおよび/またはマーク特性(マークフィーチャが、製品フィーチャの実際のピッチにより近い、より小さいピッチフィーチャに分割されたものを表す、そのサブセグメント等)との経験に基づいて、正確な位置値を提供することが期待される色または色の組合せを選択すること
・シミュレーション(例えば、スタックおよびスタックでの放射の相互作用の;必ずしも完全なセンサモデルを含まなくてもよい)に基づいて、正確な位置値を提供することが期待される色または色の組合せを選択すること
・信号強度が高いおよび/または(マークレベル)信号が期待される信号(例えば、正弦波状の信号)と良く相関する、色または色の組合せを選択すること
・アライメントされた結果の位置が他の色と整合するように、色または色の組合せを選択すること
・アライメント位置に対してモデル(ウェーハモデル)をフィッティングした後に、ウェーハレベルの残余が最小化されるように、色または色の組合せを選択すること(ウェーハモデルは、測定されるマークの数より少ない自由パラメータを含むことが想定されうる)
・色のより大きいセットに亘って信号強度で重み付けされた平均と結果が整合するように(色のより大きいセットは、低頻度またはレシピセットアップ中のみで測定されてもよい)、平均的な色、または多くの色に亘って信号強度で重み付けされた平均、または一つだけまたは少数の(重み付けされた)色の小さいサブセットを選択すること
【0049】
他のより包括的なアプローチは、OCW(参照によって本書に援用されるUS公報US2019/0094721A1においてより詳細に記述されている最適色重み付け)およびOCIW(PCT公報WO2017032534A2においてより詳細に記述されている最適色および強度重み付け)を含む。これらの場合のそれぞれでは、リファレンスデータに対するトレーニングが必要または望ましい。これは、これらの補正が、十分なトレーニングデータが利用可能であり、トレーニングデータにおけるプロセス変動が、補正される必要があるウェーハにおける変動(例えば、面内変形)を代表する場合に限って、正確に実行されうることを意味する。このリファレンスデータは、リファレンスセンサによって測定されてもよい(例えば、オーバーレイデータ(例えば、現像後またはエッチング前のオーバーレイデータ))。これらのアプローチの潜在的な欠点は:ウェーハの最初のセットが、非最適なレシピに基づいて露光されうること;新しい層Nにおける露光エラーが、先の層Mにおけるマークに対してアライメントするためのレシピに影響を及ぼしうること;レシピがリファレンスセンサの測定誤差の影響を受けて、潜在的に非最適な製品上オーバーレイ(OPO)に繋がり、結果的にリファレンスデータ(および、そこから得られる最適な色)の品質に影響を及ぼしうること;を含む。
【0050】
各場合では(および、本明細書を通じて)、色についての参照は、偏光(例えば、色/偏光の組合せ)を含む。
【0051】
これに対処するため、測定された強度非対称性情報(典型的に、限られた数の波長について測定される)をマーク非対称性についての位置補正に変換するように、Forouhi-Bloomer分散方程式/近似、ローレンツ振動子に基づく分散モデル、一または複数のクラマース・クローニッヒ分散関係および/または一または複数のPlemelj分散関係等の、分散モデルおよび/または分散方程式および/または分散近似を使用することが提案されている。このような方法は、参照によって本書に援用され、ここではクラマース・クローニッヒに基づく方法と表される、WO2021/122016において開示されている。このような方法は、強度非対称値を、マーク非対称性に対応する位相オフセット値に数学的に換算すること(例えば、物理的な原理を使用して強度非対称性から位相オフセットを演算すること)を備えてもよい。最近の論文「A fast Fourier transform implementation of the Kramers-Kronig relations: Application to anomalous and left handed propagation, Lucas et al AIP Advances 2, 032144 (2012)」(参照によって本書に援用される)では、クラマース・クローニッヒ関係が単純な因果関係の考察から得られている。この教示を利用し、アライメントマークから来る複雑なフィールドに対して適用することによって、アライメントマークの位相オフセットΔφおよび位置エラー(APD)Δxが、測定された強度のみとの関係において、次のように表現されうる。
【数1】
ここで、Hはヒルベルト変換であり、E、Eは捕捉された+1および-1の回折次数それぞれの電界であり、I+1、I-1は電界に対応する強度である(前述のLucas論文からのセクションII.AおよびII.Bを参照)。なお、Im()演算子は必須ではなく、数値的なノイズを抑圧するために加えられている。
【0052】
これに基づいて、計測ツール(例えば、アライメントセンサまたは他のオフライン計測ツール)を使用し、測定されたアライメント位置の照明条件に対するプロット(アライメントスイングカーブ)に基づく好ましい照明条件(例えば、低い測定されたアライメント位置エラーおよび小さい勾配(安定的な領域内における低いエラーを有する照明条件))を選択して、多くの異なる照明条件について当該特定のアライメントマーク上で測定される強度非対称性に基づいて、想定されるアライメント位置エラーを演算できる。
【0053】
WO2021/122016は、以下のステップを備える、位置補正および補正された位置を決定する方法を更に開示する。
1)アライメントマークの一または複数の測定結果(例えば、複数の波長について)から強度非対称データを取得すること。
2)強度非対称性を測定するための分散モデルおよび/または分散方程式および/または分散近似を取得すること。例えば、分散モデルは次の形を取る。
【数2】
そして、これらを次に従ってフィッティングする。
【数3】
この結果、強度非対称性が、ルート演算によって振幅非対称性(例えば、電界E(ω)、E(ω)の振幅における差)に変換される。ωは角周波数であり、εは誘電率定数であり、μは透磁率定数であり、εは分散モデルによって記述される複素実効誘電率分散関数であり、creは実オフセット定数であり、aはダイポール複素振幅であり、iは虚数単位(=√(-1))であり、b=-ζ・ω+ω・√(ζ -1)である。ここで、ωはダイポール自然固有周波数であり、ζはダイポールサンプリング定数である(0<ζ<1)(1/(ζ・ω)はダイポール時定数である)。
3)フィッティングされた分散モデルを使用して、強度非対称性についての等価的な位相オフセットΔφ(ω)および位置補正Δx(ω)を次のように演算すること。
【数4】
ここで、Pはマークピッチであり、n(1、2、3、…)は回折次数である。なお(記述されるような分散モデルを使用する際)、全てのポールは(共役な)ポール対(ダイポール)として現れる。ここで、Mはポール対の総数を表す。なお、正負の回折次数についての二つの分散モデルεr+(ω)およびεr-(ω)の一つは、一定に保たれてもよいおよび/または零に設定されてもよい。
【0054】
なお、実オフセット定数cre+、cre-は、モデルにおいて観測不能なパラメータである。しかし、(回折次数)振幅非対称性が全ての波長について零の時、位置補正が零であることが知られている。このため、パラメータcre+、cre-は等しい。これらの共通の等しい値(経時的に一定)は、典型的に零より大きく、この値は、全ての利用可能な波長の測定から取得される測定されたデータに対して、最も良く「フィッティングされうる」。
【0055】
アライメントセンサは、典型的に、実際の製品フィーチャ(構造)のフィーチャサイズ(例えば、臨界寸法)より大きい大きさのオーダーでもよい、十分に大きいピッチを有する周期的な構造(アライメントマークまたはアライメント格子)のみを解像できる。アライメント測定は、アライメントマークの位置を測定する。しかし、アライメントマーク位置は、必ずしも製品構造の位置と相関しない一方で、重要なのは製品構造の位置の方である。また、アライメントマークは、マーク毎に変動して測定されるアライメントエラーをもたらす、望ましくない非対称性の影響を受ける。特に、オーバーレイ計測では、metrology(計測)-to-device(デバイス)(MTD)オフセットのコンセプトが知られている。これは、アライメントセンサの、(より小さい)製品構造に対する反応と比較した、計測ターゲットに対する異なる反応を補正する、単一の定数としての補正を決定することを備える。しかし、このような従来のMTDオフセットは、格子非対称性等のマーク毎またはウェーハ毎の変動を認識および考慮できず、これらの変動が製品位置とどのように相関するかが分からない。このように、現在は、測定された位置が製品フィーチャ位置と相関してOPOを最小化するような測定レシピをセットアップすることは不可能である。
【0056】
図4は、製品構造にとっての代理として格子非対称性の影響を受ける、アライメントマークを使用することの問題を例示する。図4(a)および4(b)のそれぞれにおいて、線AMによって例示されるようなプロファイルを有するアライメントマークが、それが測定代理として機能する製品構造PSのプロファイルと重ねられて示されている。重要なのは製品構造の位置であり、これは、例えば、大量生産のセッティングにおいて、アライメントマークの測定から推論される。第1プロセスに対応する図4(a)では、製品構造PS(陰付き)の位置が、アライメントマークAMの頂部と相関している(マークの頂部の中央にはAMCのラベルが付されている)。第2プロセスに対応する図4(b)では、製品構造PSの位置が、アライメントマークAMの底部と相関している(マークの底部の中央にはAMCのラベルが付されている)。他のプロセスでは、製品構造の位置が、アライメントマークの中間レベルと相関していてもよい。各場合では、アライメントマークは同じであり、アライメントマーク上で測定される測定信号に対するアクセスのみを有し、いずれのプロセスが使用されるかについての情報を使用しない現在のアライメントセットアップ方法(例えば、現在の色重みまたはクラマース・クローニッヒに基づく方法)は、例えば、図4aおよび4bによって例示される場合のそれぞれについて、常に同じ測定位置を返す。しかし、返されるアライメント位置は、これらの場合のうちのせいぜい一つにおいて「正しい」(すなわち、製品位置と相関する)だけであることは明らかである。
【0057】
アライメント測定レシピを決定するための現在のアライメントセットアップ方法(例えば、現在の色重みまたはクラマース・クローニッヒに基づく方法)は、典型的に不正確な位置値をもたらす。これらの方法は、しばしば、アライメントマークの「重心」(例えば、アライメントマークの平均位置)に対して最適化されている(例えば、しばしば真の製品フィーチャ位置との相関が乏しい)ためである。格子非対称性が変動する時、測定されたアライメント位置および製品フィーチャ位置の間の差は変動し、OPOに悪影響を及ぼす。
【0058】
そこで、測定レシピセットアップフェーズにおいて、第1代表アライメントマーク位置および製品構造位置の間の差を記述する第1位置差データを使用することが提案される。このような第1位置差データは、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)または製品構造位置を測定するための十分な解像度を有する任意の計測ツールを使用して測定されてもよいし、プロセス知識を通じて取得されてもよい。製品構造位置は、任意の一または複数の第1フィーチャ(例えば、小さいプロセスウィンドウまたはポジショニングにおける余裕を有する重要なフィーチャ)と関連してもよい。第1代表アライメントマーク位置は、重心(例えば、アライメントマークの中心、アライメントマーク線)またはアライメントマークの二以上のフィーチャの平均位置と関連してもよい。第1位置差データは、同じイメージから取得された第1代表アライメントマーク位置および製品構造位置のそれぞれの位置から取得されてもよいし、少なくとも測定される構造の形成の間に処理ステップを介在させることなく取得されてもよい。製品構造位置は、製品または準製品の構造と共にサブセグメント化されている、アライメントマークの一部と関連してもよい。このように、第1位置差は、アライメントマークの代表位置に対する(製品または準製品の)第1フィーチャ(アライメントマークの部分またはその他)の位置の差でもよい。
【0059】
方法は、アライメントターゲットの光学測定からの第2位置差データおよび第1位置差データの間の差を最小化するレシピを決定することを備えてもよい。第2位置差データは、決定された測定レシピを使用して取得される測定された位置と第2代表アライメントマーク位置の間の差を含んでもよい。
【0060】
第2代表アライメントマーク位置は、多くの異なる照明条件についての平均測定位置またはクラマース・クローニッヒ方法を使用して取得される測定された位置(クラマース・クローニッヒ方法を使用して直接的に推論される位置またはクラマース・クローニッヒ方法を使用して最適化された測定レシピで測定された位置)を含んでもよい。第2代表アライメントマーク位置は、アライメントマークの重心に対応してもよい。第2代表アライメントマーク位置は、全ての利用可能な色および/または全ての利用可能な偏光を個別に使用する場合および/または色/偏光の多くの異なる組合せについての平均位置を含んでもよい。一実施形態では、当該スイングカーブの平均位置である第2代表アライメントマーク位置を有するスイングカーブ(波長に対して測定された位置)が構築されてもよい。このようなスイングカーブのそれぞれは、異なるスイングカーブからの平均位置の平均である第2代表アライメントマーク位置と共に、異なる偏光のそれぞれについて構築されてもよい。他の実施形態では、第2代表アライメントマーク位置が、利用可能な照明条件のサブセットのみで測定された平均位置を含んでもよい(例えば、いずれの照明条件が平均の適切な範囲を提供するかは既知でもよい)。強度チャネルが利用可能でない場合、重み付けされた平均位置は、信号強度で重み付けされた平均測定位置を含んでもよい。
【0061】
一実施形態では、照明条件についての重みを提供することおよび/または一または複数の波長/偏光のいずれを使用するかを決定することに加えてまたは代えて、測定レシピが強度重み(例えば、特定の領域または測定イメージのピクセルについての重み)を記述してもよい。このように、イメージに基づく計測ツールを使用する時、マーク内の強度変動(例えば、マークの中心に対するマークのエッジ)を明らかにする、マーク全体のイメージが取得されうる。そして、第2位置差データおよび第1位置差データの間の差が最小化され、そのアライメント位置が一または複数の第1フィーチャのイメージ位置とより良く相関するように、マークの異なる部分に重み付けするために、個々のピクセル、またはピクセルのグループについて重みが決定されうる。
【0062】
一実施形態では、アライメントマークが、製品または準製品のサブセグメントを備えるサブセグメント化されたマークでもよい。このように、アライメントマークの主フィーチャ(例えば、アライメントマーク線)は、このような製品または準製品フィーチャを備えてもよいおよび/またはこのような製品または準製品フィーチャによって構成されてもよい。準製品フィーチャは、同様の空間的なスケール(同様の寸法)のフィーチャを含んでもよく、測定および処理等される時に製品構造と同様に振る舞う。製品または準製品フィーチャは、アライメントセンサによって解像されるには小さすぎ、実質的に通常のアライメントマークのみが「見える」。しかし、製品または準製品フィーチャにおける変化は、典型的に、例えば、位置スイングカーブ(すなわち、色および偏光の関数としての測定されたアライメント位置)における変化をもたらす。他の実施形態は、第1位置差データを決定するために、従来のアライメントマークおよび近接する製品または準製品フィーチャを測定することを備えてもよい。
【0063】
第1具体例が、図5との組合せにおいて記述される。図5(a)は、単一のスペースSP(センサによって解像されるには小さすぎるCDを有する鉛直線フィーチャを備える)によって分離されている卵形の複合フィーチャによって形成される、二つの隣接するサブセグメント化された線LSSの詳細を示す、第1のサブセグメント化されたアライメントマーク構造を例示する。この具体例では、第1フィーチャFFが、中央の白い卵形のフィーチャである。この例における製品構造は、この第1フィーチャFFの位置と相関することが既知であるものとする。このアライメントマークは、アライメントの目的のためだけに形成されてもよいし、他の計測ターゲットのコンポーネント部分を備えてもよいし(例えば、オーバーレイターゲットの底部格子でもよい)、実際の機能的製品構造でもよい。
【0064】
図5(a)は、第1フィーチャFFが、アライメントマークの残りに対して中央にあるように、最適に位置している一例を示す。これは、アライメントマークが対称的であることを意味する(他の欠陥はないものとする)。現実世界の状況では、マーク非対称性においてウェーハ毎の変動が存在する。特に、第1フィーチャFFの位置は、アライメントマークの残りに対して変動しうる。これは、マーク非対称性の一形態である。これは、図5(b)において例示される。
【0065】
この具体例では、第1位置差データが、アライメントマークの残り(例えば、アライメントマークの一または複数の他のフィーチャ)の位置に対する、第1フィーチャの位置における差を含んでもよい。例えば、垂直偏光された放射の使用に基づくマークに対するアライメント測定が鉛直線の位置と相関する一方で、水平偏光された放射の使用に基づくマークに対するアライメント測定が第1フィーチャの位置と相関することが既知でもよい。このような一例では、第2代表アライメントマーク位置が、垂直偏光された放射および水平偏光された放射のそれぞれを使用して測定される場合に取得される位置の平均を含んでもよい。そして、レシピの最適化は、光学アライメント測定によってレポートされる位置が第1フィーチャFFの位置を表すように、記述される方法を使用して、垂直偏光された放射および水平偏光された放射(および/または色および/またはピクセル等)についての一または複数の重みを決定できる。
【0066】
代替的な実施形態として、偏光反応の代わりに、光学的な色反応における変動が使用されてもよい(例えば、いずれの偏光がいずれのフィーチャと相関するかという物理的な洞察が必要とされない)。例えば、第1位置差データ(例えば、SEMで測定される)は、第1フィーチャ(例えば、製品構造)および第1代表アライメントマーク位置(例えば、マークの重心)の間に、X nmの変位があることを示してもよい。同じ(または、同様の)マークの複数の色に亘る光学測定が、いくつかの色が他の色より強く第1フィーチャ位置と相関する、色反応における変動を示す測定されたスイングカーブ(色の関数としてのアライメント位置)を生成してもよい。第2代表アライメントマーク位置は、例えば、全ての色に亘って平均化することによって決定されてもよい。選ばれたレシピは、重心に対する一つまたは少数の重み付けされた色のアライメント位置が、第1位置差データから決定されたX nmの変位と等しくなるように選択される、当該一つまたは少数の重み付けされた色を含んでもよい。
【0067】
図5(c)は、波長λに対する位置POSのプロット上のスイングカーブSCおよび第2代表アライメントマーク位置POSAVの一例を示す、このような第1の例を示す。この例では、特定の単一の波長λでのアライメント位置POSλ1および第2代表アライメントマーク位置POSAVの間の差が、第1位置差X nmで偶然等しい。このため、このアライメントマークにとっての適切なレシピは、単純に色λのみ(すなわち、1の重みを有する)を使用するものでもよい。しかし、図5(d)では、同じプロットが示されているが、ここでは波長λでのアライメント位置POSλ1および第2代表アライメントマーク位置POSAVの間の差が0.5X nmである。このアプローチでは、適切なレシピが、この波長λについて2の重み(または、二以上の他の波長の適切に重み付けされた組合せ)を含んでもよい。
【0068】
第2の具体例が、図6との組合せにおいて記述される。ここで、第1フィーチャFFはコンタクトホールの頂部にあり、アライメントを実行する際に必要なのはこれらのフィーチャの位置である。図6(a)では、アライメントされたコンタクトホールの頂部が示されており、図6(b)では、傾き変動(例えば、製品およびアライメントマークを含む底部層スタックのエッチングに起因するエッチング傾きによってもたらされてもよい)の結果として、ミスアライメントされたコンタクトホールの頂部が示されている。これも、ウェーハ毎に変動するマーク非対称性の一形態である。なお、アライメント測定が実行される時、頂部層はエッチングされていない。いくつかの測定波長でのアライメント測定は、スタックの頂部と相関する傾向があり、他の波長は、スタックの底部と相関する傾向があることが知られている。様々な色および偏光が、マーク内の製品フィーチャおよびマークの残り(例えば、光学的な重心)と相関する態様は、一または複数のマーク上および一つまたは少数のウェーハ上でスイングカーブ(色および偏光の関数としてのアライメント位置)を測定することによって決定されうる。あるいは、これは、物理的な洞察、経験および/またはシミュレーションから理解されてもよい。一実施形態では、測定された位置がスタックの頂部、より具体的には、コンタクトホールの頂部と相関するように、二以上の波長を重み付けするために、色重みが最適化されてもよい。最適化は、単一の重み付けされていない最適化された波長が最適であると決定してもよい(例えば、単一の波長測定がコンタクトホール頂部位置と良く相関する場合)。
【0069】
このように、変動するアライメントマーク非対称性が存在する状況において、一または複数の製品の第1フィーチャに対するアライメント精度を向上させるように、測定レシピが決定されることを可能にする方法が記述される。提案される方法は、測定が露光後に実行されることを必要としない(例えば、オーバーレイ計測による後知恵は必要ない)。
【0070】
以上の記述はアライメント計測に集中していたが、ここで開示されるコンセプトはそのように限定されない。ここで開示される測定レシピ最適化方法は、ウェーハ毎に変動する望ましくないターゲット非対称性の影響を受ける他の計測アプリケーション(例えば、オーバーレイ等の他の興味のあるパラメータの測定)にも適用可能である。オーバーレイターゲットは、オーバーレイエラーおよび異なる照明条件(または、より一般的には測定レシピ)についての測定オーバーレイ位置における変動をもたらす、格子非対称性(例えば、底部格子非対称性)の影響を受けうる格子を備える。
【0071】
以下の番号が付された項目のリストにおいて、更なる実施形態が開示される。
項目1:
基板上のターゲット構造から興味のあるパラメータを測定するための測定セッティングを決定するための方法であって、
第1代表ターゲット構造位置の位置および製品構造に関する一または複数の第1フィーチャの位置の間の差を記述する第1位置差データを取得することと、
前記ターゲット構造の光学測定に関し、複数の異なる測定セッティングに更に関する光計測データを取得することと、
決定される測定セッティングを使用して前記ターゲット構造の光学測定から取得される測定されたフィーチャ位置値が、前記一または複数の第1フィーチャの位置を表すことが期待されるように、前記第1位置差データおよび前記光計測データから前記測定セッティングを決定することと、
を備える方法。
項目2:
前記第1位置差データは、前記第1代表ターゲット構造位置および前記一または複数の第1フィーチャの位置の直接測定から取得される、項目1に記載の方法。
項目3:
前記第1位置差データは、走査電子顕微鏡データおよび/または透過電子顕微鏡データを備える、項目2に記載の方法。
項目4:
前記第1位置差データを取得するために、前記ターゲット構造の複数のインスタンスを備える少なくとも一つの基板上の第1計測を実行することを備える、項目1から3のいずれかに記載の方法。
項目5:
前記第1代表ターゲット構造位置は、前記ターゲット構造の重心位置、前記ターゲット構造の中心位置、前記ターゲット構造の他のフィーチャ位置、または前記ターゲット構造の二以上のフィーチャの平均位置を記述する、項目1から4のいずれかに記載の方法。
項目6:
前記ターゲット構造は、光計測ツールによって解像可能な程度に十分な大きさの周期性を有するサブセグメント化されたターゲット構造を備え、
サブセグメントは、前記一または複数の第1フィーチャを備える、および/または、前記一または複数の第1フィーチャを表す、
項目1から5のいずれかに記載の方法。
項目7:
前記第1位置差データは、前記一または複数の第1フィーチャを備える、および/または、前記一または複数の第1フィーチャを表す前記サブセグメントの位置および前記第1代表ターゲット構造位置の間の差の測定結果を備える、項目6に記載の方法。
項目8:
前記測定セッティングを決定するステップは、前記光計測データから取得される第2位置差データおよび前記第1位置差データの間の差を最小化するための前記測定セッティングを決定することを備え、
前記第2位置差データは、前記決定された測定セッティングを使用して取得される測定された位置と第2代表ターゲット構造位置の間の差を備える、
項目1から7のいずれかに記載の方法。
項目9:
前記第2代表ターゲット構造位置は、複数の異なる測定セッティングに亘る平均測定位置を備える、項目8に記載の方法。
項目10:
前記平均測定位置は、信号強度で重み付けされた平均測定位置を備える、項目9に記載の方法。
項目11:
複数の異なる照明セッティングのそれぞれについて複数の強度非対称値を取得することと、
前記強度非対称値を、アライメント構造における非対称偏差に対応する位相オフセットに変換することと、
前記位相オフセットから、前記非対称偏差について補正された位置として前記第2代表ターゲット構造位置を決定することと、
によって前記第2代表ターゲット構造位置は取得され、
前記強度非対称値は、前記構造によって回折された放射の少なくとも二つの相補的な回折次数のそれぞれの強度または振幅の間の差またはアンバランスに関するメトリックを備える、
項目8に記載の方法。
項目12:
前記変換するステップは、
フィッティングされた分散モデルを取得するために、前記構造のモデルを伝達関数として備える少なくとも一つの分散モデルを、前記強度非対称測定結果に対してフィッティングすることと、
前記フィッティングされた分散モデルから前記位相オフセットを決定することと、
を備える項目11に記載の方法。
項目13:
前記第2代表ターゲット構造位置は、前記ターゲット構造の重心または中心位置に対応する、項目8から12のいずれかに記載の方法。
項目14:
各測定セッティングは、
測定波長の一つまたは組合せおよび/または測定偏光の一つまたは組合せを記述する照明セッティング、
一または複数の測定波長および/または測定偏光についての重み、
および/または、測定イメージの特定の領域、ピクセルまたはピクセルのグループについての重み、
の一または複数を備える、
項目1から13のいずれかに記載の方法。
項目15:
前記第1位置差データおよび前記光計測データは、いずれも露光ステップの前に実行される計測に関し、
前記方法は、オーバーレイ計測による後知恵を使用しない、
項目1から14のいずれかに記載の方法。
項目16:
前記ターゲット構造の光学測定から測定されたフィーチャ位置値を備える、および/または、前記ターゲット構造の光学測定から測定されたフィーチャ位置値に関する興味のあるパラメータ値を決定するために、前記決定された測定セッティングを使用することを備える、項目1から15のいずれかに記載の方法。
項目17:
前記ターゲット構造は、アライメントマークを備え、
前記興味のあるパラメータ値は、アライメント位置値である、
項目16に記載の方法。
項目18:
前記ターゲット構造は、オーバーレイターゲットを備え、
前記興味のあるパラメータ値は、オーバーレイ値である、
項目16に記載の方法。
項目19:
前記ターゲット構造の光学測定を実行することを備える、項目16から18のいずれかに記載の方法。
項目20:
適切な装置で実行された時に、項目1から18のいずれかに記載の方法を実行可能なプログラム命令を備えるコンピュータプログラム。
項目21:
項目20に記載のコンピュータプログラムを備える非一時的なコンピュータプログラムキャリア。
項目22:
プロセッサおよび項目20に記載のコンピュータプログラムを備えるストレージデバイスを備える処理システム。
項目23:
項目22に記載の処理システムを備えるアライメントセンサ。
項目24:
パターニングデバイスを支持するためのパターニングデバイスサポートと、
基板を支持するための基板サポートと、
項目23に記載のアライメントセンサと、
を備えるリソグラフィ装置。
【0072】
本発明の具体的な実施形態が前述されたが、本発明は記述されたものと異なる態様で実施されてもよいと理解される。
【0073】
本発明の実施形態の使用についての具体的な参照が光学リソグラフィの文脈においてなされたかもしれないが、本発明はインプリントリソグラフィ等の他の用途において使用されてもよく、文脈が許容する場合は光学リソグラフィに限定されないと理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスにおけるトポグラフィが、基板上に生成されるパターンを定める。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層中に押し付けられてもよく、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せを適用することによってレジストが硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化された後に、パターンが残されたレジストから外される。
【0074】
ここで使用される用語「放射」および「ビーム」は、紫外(UV)放射(例えば、約365、355、248、193、157、または126nmの波長を有するもの)、極端紫外(EUV)放射(例えば、1-100nmの範囲における波長を有するもの)、およびイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを含む、全てのタイプの電磁放射を包含する。
【0075】
文脈が許容する場合、用語「レンズ」は、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、および静電気型の光学コンポーネントを含む、様々のタイプの光学コンポーネントのそれぞれまたは組合せを表してもよい。UVおよび/またはEUV範囲で動作する装置では、反射型コンポーネントが使用される可能性が高い。
【0076】
本発明の幅および範囲は、前述された例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、以下の請求項およびそれらの均等物のみに従って定められるべきである。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6(a)】
図6(b)】
【国際調査報告】