(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20241010BHJP
C08F 22/02 20060101ALI20241010BHJP
C08F 6/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08F22/02
C08F6/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507930
(86)(22)【出願日】2023-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2023007518
(87)【国際公開番号】W WO2024071563
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0121702
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ヨン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ホ・ヨ
【テーマコード(参考)】
4F070
4J100
【Fターム(参考)】
4F070AA29
4F070AB13
4F070AE08
4F070DA48
4F070DA50
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4F070DB09
4F070DC07
4F070DC15
4J100AJ02P
4J100AK08P
4J100AL66Q
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4J100CA04
4J100CA05
4J100CA23
4J100DA37
4J100FA03
4J100FA19
4J100GC25
4J100GC32
4J100JA19
4J100JA60
4J100JA64
4J100JA67
(57)【要約】
本発明は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物を重合反応器に供給し、重合反応させて、含水ゲル重合体を得るステップと、前記含水ゲル重合体を熱風式乾燥機で一次乾燥して、一次乾燥体を得るステップと、前記一次乾燥体を熱伝導式乾燥機で二次乾燥して、二次乾燥体を得るステップと、前記二次乾燥体を粉砕して、高吸水性樹脂粒子を取得するステップとを含む高吸水性樹脂粒子の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物を重合反応器に供給し、重合反応させて、含水ゲル重合体を得るステップと、
前記含水ゲル重合体を熱風式乾燥機で一次乾燥して、一次乾燥体を得るステップと、
前記一次乾燥体を熱伝導式乾燥機で二次乾燥して、二次乾燥体を得るステップと、
前記二次乾燥体を粉砕して、高吸水性樹脂粒子を取得するステップとを含む、高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記含水ゲル重合体を一次乾燥する前に、
前記含水ゲル重合体をチョッピングするステップをさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記二次乾燥体を粉砕して、高吸水性樹脂粒子を取得するステップの後、表面架橋剤の存在下で表面架橋を行い、
表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記熱風式乾燥機および前記熱伝導式乾燥機は、直列に連結される、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
前記一次乾燥体の含水率は、20重量%~35重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前記二次乾燥体の含水率は、8重量%~20重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
前記熱風式乾燥機は、ロータリー乾燥機(Rotary Dryer)であり、前記熱伝導式乾燥機は、パドル乾燥機(Paddle Dryer)である、請求項1に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
前記ロータリー乾燥機は、内部に、中心管および前記中心管に付着された1以上の熱風供給管を備え、
前記1以上の熱風供給管から供給される熱風の温度は、100℃~200℃であり、前記熱風の風速は、20m/s~30m/sである、請求項7に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
前記パドル乾燥機は、攪拌機を備え、
前記攪拌機は、10rpm~50rpmで回転する、請求項7に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項10】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸またはその塩である、請求項1に記載の高吸水性樹脂粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年9月26日付けの韓国特許出願第10-2022-0121702号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂粒子の製造方法に関し、より詳細には、2種の乾燥機により乾燥均一度および物性が改善した高吸水性樹脂粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百~1千倍程度の水分を吸収することができる機能を有する合成高分子物質であり、開発会社ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)など、それぞれ異なる名称がつけられている。前記のような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化され始め、現在、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での新鮮度維持剤および蒸煮用などの材料として広く用いられており、おむつや生理用ナプキンなどの衛生材分野において主に用いられている。
【0004】
一方、高吸水性樹脂粒子は、一般的に、重合、乾燥、粉砕および表面架橋ステップを経て製造されることができる。しかし、前記乾燥ステップで乾燥均一度が低下する場合、過乾燥を行うことから、これによって物性が低下し、粉砕ステップで多量の微粉が発生していた。
【0005】
したがって、乾燥ステップで乾燥均一度が高く達成され、且つ最終的に製造される高吸水性樹脂粒子の物性を改善し、微粉の含量を低減することができる乾燥方法が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、高い乾燥均一度で乾燥ステップを行うことができ、且つ粉砕ステップで微粉発生量を減少させ、最終生成物である高吸水性樹脂粒子の物性を確保することができる高吸水性樹脂粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物を重合反応器に供給し、重合反応させて、含水ゲル重合体を得るステップと、前記含水ゲル重合体を熱風式乾燥機で一次乾燥して、一次乾燥体を得るステップと、前記一次乾燥体を熱伝導式乾燥機で二次乾燥して、二次乾燥体を得るステップと、前記二次乾燥体を粉砕して、高吸水性樹脂粒子を取得するステップとを含む高吸水性樹脂粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の高吸水性樹脂粒子の製造方法によると、前記乾燥ステップを一次乾燥および二次乾燥で行うことができる。前記一次乾燥を熱風式乾燥機で行うことで、乾燥体の気孔を維持し、前記二次乾燥を熱伝導式乾燥機で行うことで、乾燥均一度を向上させることができる。これにより、次の粉砕ステップに未乾燥体が導入される問題を解決することができ、粉砕が行われるに伴う微粉発生量が減少することができる。また、最終的な高吸水性樹脂粒子の物性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による高吸水性樹脂を製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の説明および特許請求の範囲にて用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0011】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、本発明について、
図1を参照してより詳細に説明する。
【0012】
本発明の一実施形態による高吸水性樹脂粒子の製造方法は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物を重合反応器に供給し、重合反応させて、含水ゲル重合体を得るステップと、前記含水ゲル重合体を熱風式乾燥機で一次乾燥して、一次乾燥体を得るステップと、前記一次乾燥体を熱伝導式乾燥機で二次乾燥して、二次乾燥体を得るステップと、前記二次乾燥体を粉砕して、高吸水性樹脂粒子を取得するステップとを含むことができる。
【0013】
まず、本発明の一実施形態による高吸水性樹脂粒子の製造方法は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物を重合反応器に供給し、重合反応させて、含水ゲル重合体を得るステップを行うことができる。前記組成物は、上述のように、水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤、および重合開始剤を含むことができ、その他にも、必要に応じて、さらに、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤の添加剤を含むことができる。
【0014】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸またはその塩であることができる。例えば、前記水溶性エチレン系不飽和単量体として、アクリル酸の少なくとも一部が中和したアクリル酸およびまたはそのナトリウム塩であるアルカリ金属塩を用いる場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができる。
【0015】
その他にも、前記水溶性エチレン系不飽和単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のアニオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのノニオン系親水性含有単量体;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体とその四級化物;が用いられることができ、前記アニオン性単量体の塩は、金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩または有機アミン塩であることができる。
【0016】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、少なくとも一部が中和した酸性基を含むことができる。前記少なくとも一部が中和した酸性基を含む水溶性エチレン系不飽和単量体は、水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基に中和剤を用いて中和反応させることで製造されることができる。ここで、前記中和剤としては、酸性基を中和することができる水酸化ナトリウム(または苛性ソーダ)、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が用いられることができる。
【0017】
一方、前記内部架橋剤は、上記の水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たすことができる。
【0018】
前記内部架橋剤としては、フリーラジカル重合(Free-Radical Polymerization;FRP)反応によって架橋反応が行われる(メタ)アクリレート系化合物であることができる。具体的には、前記内部架橋剤は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上の化合物であることができる。より具体的には、このうち、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートであることができる。
【0019】
一方、前記組成物において、前記重合開始剤としては、重合方法に応じて、熱重合開始剤またはUVの照射による光重合開始剤を用いることができる。ただし、光重合方法によっても、紫外線照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応が進むにつれて、ある程度の熱が発生するため、熱重合開始剤をさらに含むこともできる。
【0020】
前記光重合開始剤は、紫外線などの光によってラジカルを形成し得る化合物が用いられることができる。前記光重合開始剤は、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群から選択される一つ以上を用いることができる。一方、アシルホスフィンの具体例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートであることができる。
【0021】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤の群から選択される一つ以上を用いることができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)がある。
【0022】
具体的には、重合方法は、重合エネルギー源に応じて、熱重合および光重合に大別され、熱重合を行う場合、ニーダ(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行われることができ、光重合を行う場合、移動可能なコンベアベルトを備えた反応器で行われることができる。
【0023】
本発明の含水ゲル重合体は、水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物を重合反応器に供給して行われる重合反応から製造されることができ、ここで、前記組成物において、内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部であることができる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部または0.2重量部以上であり、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下または0.5重量部以下であることができる。前記内部架橋剤の含量が低すぎる場合、架橋が十分に行われず、適正水準以上の強度の実現が難しい可能性があり、上部の内部架橋剤の含量が高すぎる場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が難しい可能性がある。
【0024】
本発明の組成物は、溶媒に溶解された溶液の形態で準備されることができる。ここで、使用可能な溶媒としては、上述の原料物質を溶解させることができるものが用いられることができる。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物が用いられることができる。
【0025】
次に、前記重合反応により得られた含水ゲル重合体を乾燥、粉砕して、高吸水性樹脂粒子を得るステップが行われることができる。ここで、前記含水ゲル重合体を乾燥する際、効率を高めるために、チョッピング(粗粉砕)するステップをさらに行うことができる。前記「チョッピング」とは、後述する粉砕ステップで行われる粉砕とは区別され、乾燥ステップの前に含水ゲル重合体を粗粉砕することを意味し得る。
【0026】
前記チョッピングステップで用いられる粉砕機としては、具体的には、竪型カッター(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダ(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円盤粉砕機(Disc mill)、破片破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパ(chopper)および円盤式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器の群から選択されるいずれか一つを用いることができる。
【0027】
次いで、前記のようにチョッピングされた含水ゲル重合体に対して乾燥ステップを行うことができる。前記乾燥ステップは、一次乾燥および二次乾燥を含んで行われることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、前記含水ゲル重合体を熱風式乾燥機で一次乾燥して、一次乾燥体を得ることができる。前記熱風式乾燥機は、乾燥対象の水分を目標とする含水量まで高温の空気(熱風)を介して熱を加えて直接蒸発および排出させる装置であることができる。本明細書において、前記熱風式乾燥機は、被乾燥体を回転ドラムなどによって攪拌しながら熱風で直接乾燥することができる。ここで、前記熱風式乾燥機として、キルン乾燥機、チューブバンドル乾燥機、ロータリー乾燥機などを用いることができ、本発明では、ロータリー乾燥機(Rotary Dryer)を用いることができる。
【0029】
前記ロータリー乾燥機は、回転ドラム内の中心管を備え、前記中心管には、1以上の熱風供給管が付着している形態であることができる。前記ロータリー乾燥機の内部に導入された含水ゲル重合体は、前記回転ドラムの回転によって攪拌され、1以上の熱風供給管から供給される熱風によって加熱されることができる。前記熱風がロータリー乾燥機内に投入された含水ゲル重合体と直接当接して乾燥が効率的に行われることができ、乾燥時間を短縮することができる。
【0030】
ここで、前記ロータリー乾燥機内の熱風供給管からの熱風の温度は、100℃以上、110℃以上または120℃以上、および200℃以下、190℃以下または180℃以下であることができる。
【0031】
なお、前記熱風の風速は、20m/s以上、22m/s以上または24m/s以上、および30m/s以下、29m/s以下または27m/s以下であることができる。ロータリー乾燥機内の熱風の温度および風速を前記範囲内で運転して一次乾燥を行うことで、本発明において所望の一次乾燥体の含水率を得ることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、前記一次乾燥体の含水率は、20重量%以上、23重量%以上または25重量%以上、および35重量%以下、32重量%以下、または30重量%以下であることができる。一次乾燥体の含水率を前記範囲内で乾燥することで、前記一次乾燥体が熱風式乾燥機で過剰に乾燥されていない状態で、後述する熱伝導式乾燥機に投入されて二次乾燥されることができる。
【0033】
前記一次乾燥体の含水率が20重量%未満である場合、一次乾燥体の微粉の含量が過剰に増加し得る。前記一次乾燥体の含水率が35重量%超である場合、前記一次乾燥体の接着性が過剰に増加し、熱風式乾燥機での回収が困難になり得る。ここで、前記含水率は、水分測定器(AND MX_50)により測定されることができる。
【0034】
本発明の一実施形態によると、前記一次乾燥体を熱伝導式乾燥機で二次乾燥して、二次乾燥体を得ることができる。
【0035】
前記熱伝導式乾燥機は、内部に熱媒体(熱媒体油またはスチーム)が流れるジャケット(jacket)構造を有しており、被乾燥体が前記ジャケットの外部から伝導によって熱エネルギーの供給を受けて、間接的に加熱および乾燥される方式の乾燥機であることができる。本明細書において、前記熱伝導式乾燥機は、被乾燥体をジャケット構造のパドルまたはスクリューなどによって攪拌しながら間接乾燥を行うことができる。ここで、前記熱伝導式乾燥機としては、熱伝逹が行われる構造および形式に応じて、ディスク式乾燥機、スクリュー式乾燥機、パドル式乾燥機、ドラム式乾燥機、攪拌式乾燥機および薄膜式乾燥機などが用いられることができ、本発明では、パドル乾燥機(Paddle Dryer)が用いられることができる。
【0036】
前記パドル乾燥機は、水平方向に配置された攪拌機(agitator)を備え、前記攪拌機は、1以上のパドル(paddle)を含むことができる。前記パドル乾燥機内の攪拌機は、回転を伴い、熱媒体油やスチームを介する熱源がジャケット構造のパドルの内部に流れて、前記パドルおよび内部壁面との接触によって被乾燥物が間接乾燥されることができる。したがって、摩擦による熱伝導によってパドル乾燥機の熱効率が極大化することができる。
【0037】
一方、前記パドル乾燥機内に備えられた攪拌機および前記攪拌機に付着されたパドルの内部に流れる熱媒体(熱媒体油またはスチーム)の温度は、100℃以上、110℃以上、120℃以上または130℃以上、および200℃以下、190℃以下、180℃以下または170℃以下であることができる。前記範囲内に熱媒体を昇温させることで、パドル乾燥機で行われる二次乾燥の温度が前記範囲内で行われることができる。
【0038】
前記パドル乾燥機内の攪拌機は、10rpm以上、15rpm以上、20rpm以上または25rpm以上、および50rpm以下、45rpm以下、40rpm以下または35rpm以下で回転することができる。ここで、前記rpm(rotations per minute)は、攪拌機の1分当たり回転数の単位を示すことができる。パドル乾燥機の攪拌機を前記範囲内で回転させることで、二次乾燥がスムーズに行われ、後続する粉砕ステップに未乾燥体が導入される問題を防止することができる。
【0039】
本発明の一実施形態によると、前記二次乾燥体の含水率は、8重量%以上、10重量%以上または12重量%以上、および20重量%以下、18重量%以下、または16重量%以下であることができる。二次乾燥体の含水率が前記範囲内で乾燥される場合、最終製造された高吸水性樹脂粒子の所望の水準の吸水性能の実現が可能である。
【0040】
一方、例えば、前記一次乾燥または二次乾燥がバンド型乾燥機で行われる場合、被乾燥体の乾燥均一度が低くなり得る。前記バンド型乾燥機は、例えば、コンベアベルトであることができ、このような乾燥機は、コンベア(金網、多孔板など)上に被乾燥体を積載して移動させながらその上を熱風で通気させて乾燥することができる。しかし、被乾燥体が攪拌されることができず、コンベアの上に積載された形態(ブロックのような形態)のまま乾燥が行われるため、被乾燥体の一部(ブロック形態の内部)が未乾燥になり得るため、過乾燥を行うことができる。しかし、過乾燥を行うことで、高吸水性樹脂粒子の吸収速度(vortex)および吸水性能が低下し得、粉砕ステップで過剰な微粉が発生し得る。したがって、これを改善するために、本発明の一実施形態によって被乾燥体を攪拌して乾燥する熱風式乾燥機および熱伝導式乾燥機を用いることができる。
【0041】
前記熱風式乾燥機は、回転ドラムなどによる回転により被乾燥体の気孔を維持させることで、前記被乾燥体の吸収速度の改善において容易であるが、熱風式乾燥機の回転ドラム内の被乾燥体の充填レベル(filling level)が全容量の15%以内に投入されなければならないことから、設備サイズに対して乾燥容量が低い。さらに、前記熱風式乾燥機によって乾燥した被乾燥体の乾燥均一度は、相対的に低い可能性がある。
【0042】
一方、前記熱伝導式乾燥機は、高い乾燥容量を有しており、被乾燥体を高い乾燥均一度で乾燥することができるが、それだけに、被乾燥体に加えられる高い力(shear)によって被乾燥体の気孔を減少させ得る。そのため、被乾燥体の吸収速度(vortex)が低下し得る。
【0043】
上述の前記熱風式乾燥機および前記熱伝導式乾燥機の欠点を互いに補充するために、本発明において、前記熱風式乾燥機および前記熱伝導式乾燥機は、直列に連結されることができる。上記で記載したように、熱風式乾燥機を介して一次乾燥を行うことで、先ず含水ゲル重合体の気孔を維持し、熱伝導式乾燥機を介して二次乾燥を行うことで、二次乾燥体の乾燥均一度をより向上させることができる。このように、熱風式乾燥機および熱伝導式乾燥機を直列に連結して一次および二次乾燥を行うことで、後続する粉砕ステップに未乾燥体が流入されることを防止することができ、最終的に、完成された高吸水性樹脂粒子の物性の確保が容易になることができる。ここで、高吸水性樹脂粒子の物性とは、前記高吸水性樹脂粒子が最初目的とする吸収の性質を意味し得、具体的には、吸水性能および吸収速度などの吸収に関連する性質であることができる。
【0044】
次に、このように、一次および二次乾燥の乾燥ステップを経て得られた二次乾燥体を粉砕して、高吸水性樹脂粒子を取得するステップを行うことができる。前記粉砕ステップは、一次に行われることができるが、一例として、1以上の回次として行われることができる。本発明によると、前記粉砕ステップの後、分級するステップをさらに行うことができる。さらに、前記分級は、各回次の粉砕の後に行われることができる。
【0045】
例えば、先ず、前記二次乾燥体を粉砕する一次粉砕が行われることができる。この時に用いられる粉砕機としては、具体的には、ボールミル(ball mill)、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)を用いることができる。
【0046】
次に、一次粉砕が完了した一次粉砕物をASTM規格の標準網体を用いて、特定の粒度を基準に一次分級することができる。ここで、特定の粒度とは、後述する二次粉砕を行うために分級される粒子の基準粒度であることができる。このような分級により、前記特定の粒度未満に該当する粒子および前記特定の粒度以上に該当する粒子に分級することができる。一例として、前記一次粉砕物をメッシュ(網体)セットに投入し、#40のメッシュを基準に、#40上(425μm以上)に該当する粒子および#40下(425μm未満)に該当する粒子に分級することができる。
【0047】
次いで、前記一次分級によって分級された特定の粒度以上に該当する粒子を別に粉砕して二次粉砕物を得る二次粉砕を行うことができる。ここで、前記二次粉砕は、一次粉砕で用いられたものと同一の粉砕機で行われることができる。
【0048】
このような二次粉砕の後、最終製品化される高吸水性樹脂粒子の物性を管理するために、二次分級を行うことができる。前記二次分級は、一次分級で用いられていたASTM規格の標準網体を用いることができ、一次分級で分級された特定の粒度未満に該当する粒子と二次粉砕で粉砕された二次粉砕物の混合物を適切な粒度に応じて最終的に分級することができる。ここで、適切な粒度(D50)とは、150μm~850μmの粒度であることができ、このような粒度を有する粒子を正常粒子として区分することができる。一方、150μm未満の粒度を有する粒子は、微粉粒子として区分されることができる。このような粒度は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 220.3方法に準じて測定することができる。
【0049】
このような一連の粉砕ステップにより、正常粒子、すなわち、高吸水性樹脂粒子を製造することができる。
【0050】
次に、必要に応じて、製造された高吸水性樹脂粒子を表面架橋剤の存在下で表面架橋し、少なくとも一部に表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子を製造するステップをさらに含むことができる。ここで、前記表面架橋層は、表面架橋剤から生成されることができ、前記表面架橋剤は、多価エポキシ化合物を含み、前記多価エポキシ化合物は、多価アルコールのグリシジルエーテル化合物であることができる。
【0051】
具体的には、前記表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethyleneglycol diglycidyl ether)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethyleneglycol diglycidyl ether)、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル(triethyleneglycol diglycidyl ether)、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル(tetraethyleneglycol diglycidyl ether)、グリセリンポリグリシジルエーテル(glycerin polyglycidyl ether)、およびソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)からなる群から選択される1種以上の多価エポキシ化合物を含むことができる。
【0052】
前記表面架橋剤は、溶液状態、具体的には、溶媒に溶解された表面架橋溶液状態で前記高吸水性樹脂粒子に混合されることができる。前記表面架橋溶液には、表面架橋剤の他にも、水およびメタノールが含まれることができる。一般的に、前記表面架橋溶液は、高吸水性樹脂粒子の表面に塗布される。したがって、表面架橋結合反応は、高吸水性樹脂粒子の表面上で行われ、これは、粒子の内部には実質的に影響を及ぼすことなく、粒子の表面上での架橋結合性を改善する。したがって、表面架橋結合した高吸水性樹脂粒子は、内部でよりも表面付近でさらに高い架橋結合度を有する。表面架橋剤が添加された重合体を加熱させることで、表面架橋結合反応および乾燥が同時に行われることができる。
【0053】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは通常の技術者にとって明白であり、これにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0054】
実施例
実施例1
(1)含水ゲル重合体の製造
攪拌機、温度計を取り付けた3Lガラス容器にアクリル酸1000g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)1.6g、重合開始剤である光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド0.08g、熱重合開始剤として過硫酸ナトリウム1.2gおよび中和剤である苛性ソーダ(NaOH)溶液1235gを常温で固形分含量が45.0重量%になるように混合し、組成物を製造した。
【0055】
次に、前記組成物を、幅10cm、長さ2mのベルトが10cm/minの速度で移動するコンベアベルト上に、500~2000mL/minの速度で供給した。ここで、前記単量体組成物の供給と同時に、10mW/cm2の強度を有する紫外線を照射して、60秒間重合反応を行い、前記重合反応が終了した後、チョッパで粉砕して、含水率が65重量%である含水ゲル重合体を得た。
【0056】
(2)高吸水性樹脂粒子の製造
次に、前記含水ゲル重合体1kgをロータリー乾燥機に供給して、一次乾燥体の含水率が24.9重量%になるまで一次乾燥を行った。ここで、前記ロータリー乾燥機の熱風供給管から供給される熱風が100℃の温度および26m/sの風速で前記含水ゲル重合体を乾燥して、一次乾燥体を得た。ここで、前記含水率は、水分測定器(AND MX_50;加熱温度:180℃、加熱時間:40分)により測定された。
【0057】
次いで、前記一次乾燥体をパドル乾燥機に投入して、二次乾燥体の含水率が12.0重量%になるまで二次乾燥を行った。ここで、前記パドル乾燥機内に備えられた攪拌機(agitator)および前記攪拌機に付着されたパドルの内部に流れる105℃の熱媒体を介して二次乾燥温度も105℃で行われ、前記パドル乾燥機内の攪拌機は10rpmで回転させた。
【0058】
次に、前記二次乾燥体をロールミル(roll mill)で一次粉砕して、一次粉砕物を得た。前記一次粉砕物をメッシュセット(ASTM規格のメッシュ#6、#10、#20、#25、#30、#40、#50、#70および#100からなるメッシュセット)に投入した後、#40以上(425μm以上)の粒子と#40未満(425μm未満)の粒子に分級する一次分級を行った。前記一次分級で分級された#40以上(425μm以上)の粒子を前記ロールミルで二次粉砕して、二次粉砕物を得た。最後に、一次分級で分級された#40未満(425μm未満)の粒子と二次粉砕された二次粉砕物の混合物を二次分級し、150μm~850μmの粒度を有する高吸水性樹脂粒子を得た。ここで、前記二次分級は、一次分級と同じメッシュセットを用いて行った。
【0059】
実施例2
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が25.5重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が12.9重量%になるまで二次乾燥(攪拌機回転数:30rpm)した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0060】
実施例3
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が21.9重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が10.8重量%になるまで二次乾燥(攪拌機回転数:50rpm)した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0061】
実施例4
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が33.6重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が11.4重量%になるまで二次乾燥した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0062】
実施例5
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が29.1重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が11.8重量%になるまで二次乾燥(温度:200℃)した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0063】
実施例6
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が29.3重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が7.5重量%になるまで二次乾燥(温度:200℃、攪拌機回転数:50rpm)した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0064】
実施例7
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が31.4重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が21.3重量%になるまで二次乾燥した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0065】
実施例8
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が16.5重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が10.3重量%になるまで二次乾燥した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0066】
実施例9
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が37.5重量%になるまで一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が12.9重量%になるまで二次乾燥した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0067】
比較例
比較例1
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が10.2重量%になるまでロータリー乾燥機(熱風の温度:100℃、風速:26m/s)で一次乾燥し、二次乾燥は行っていない以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0068】
比較例2
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が11.0重量%になるまでロータリー乾燥機(熱風の温度:250℃、風速:8m/s)で一次乾燥し、二次乾燥は行っていない以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0069】
比較例3
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が12.6重量%になるまでパドル乾燥機(温度:105℃、攪拌機回転数:10rpm)で一次乾燥し、二次乾燥は行っていない以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0070】
比較例4
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が11.0重量%になるまでパドル乾燥機(温度:200℃、攪拌機回転数:50rpm)で一次乾燥し、二次乾燥は行っていない以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0071】
比較例5
前記実施例1で一次乾燥体の含水率が31.1重量%になるまでパドル乾燥機(温度:105℃、攪拌機回転数:10rpm)で一次乾燥し、二次乾燥体の含水率が12.6重量%になるまでロータリー乾燥機(温度:100℃、風速:26m/s)で二次乾燥した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0072】
実験例
前記実施例もしくは比較例で製造した高吸水性樹脂粒子に対して、以下のような方法で測定した結果を下記表1および表2に示した。
【0073】
1)含水率
含水率は、実施例もしくは比較例の高吸水性樹脂粒子の製造過程中に一次乾燥された一次乾燥体または二次乾燥された二次乾燥体を水分測定器(AND MX_50)内のハロゲンランプ(400W)で加熱して水分を蒸発させることで発生する重量の変化から測定されている。具体的には、前記含水率は、以下のような順序にしたがって測定した。
【0074】
(i)水分測定器の測定条件(加熱温度:180℃、加熱時間:40分)をセットする。
(ii)サンプルパン上に試料が存在していない状態で、ゼロ(0)に重量を安定化する。
(iii)測定する一次乾燥体または二次乾燥体のうち5g(誤差:0.02%)の試料をサンプリングし、前記サンプルパンの上に均一にローディングして測定を開始する。
(iv)測定が終了した後、含水率を確認する。
【0075】
2)乾燥均一度
乾燥均一度は、高吸水性樹脂粒子の粒度別に含水率の均一性を意味し得る。具体的には、実施例および比較例により製造された高吸水性樹脂粒子の乾燥均一度を数学式1にしたがって測定した。
【0076】
【0077】
ここで、前記乾燥均一度は、最終製造された高吸水性樹脂粒子のうち200gの試料をサンプリングして測定した。前記200gの二次乾燥体をメッシュ#6、#10、#20、#25、#30、#40、#50、#70および#100からなるメッシュセットに投入して振動篩機(Sieve shaker)に取り付けた。前記振動篩機(Sieve shaker)を10分間振幅(Amplitude)1.5で運転して、前記高吸水性樹脂粒子を分級した。
【0078】
各メッシュの粒度別に粒子を分離した後、前記のように分離された粒子の含水率を水分測定器(AND MX_50;加熱温度:180℃、加熱時間:40分)を用いて測定した。各粒度別粒子の含水率の標準偏差を数学式1において「Std」と示した。
【0079】
3)乾燥後の平均粒度および粉砕後の平均粒度
乾燥後の平均粒度を測定する方法を以下のように行った。
【0080】
先ず、上述の「乾燥均一度」を測定する方法と同じ方法で二次乾燥体を分級した。具体的には、実施例および比較例で二次乾燥が完了した前記二次乾燥体(200g)をメッシュ#6、#10、#20、#25、#30、#40、#50、#70および#100からなるメッシュセットに投入した後、振動篩機(時間:10分、振幅:1.5)に取り付けて分級した。このように、メッシュ(#6、#10、#20、#25、#30、#40、#50、#70および#100)別に分級された前記二次乾燥体の重量分率を分析し、各メッシュ別の重量分率を基準に各メッシュ別に粒度を算術平均計算した結果値が表1および表2の「乾燥後の平均粒度」である。
【0081】
一方、前記「粉砕後の平均粒度」は、前述の「乾燥後の平均粒度」を測定する方法と同じ方法で行われた。しかし、二次乾燥体を測定対象とした「乾燥後の平均粒度」とは異なり、「粉砕後の平均粒度」は、粉砕ステップをさらに経た混合物(一次分級で分級された#40未満の粒子と二次粉砕された二次粉砕物)を対象に分級して測定した。
【0082】
4)微粉の含量
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂粒子の製造方法のうち混合物(一次分級で分級された#40未満の粒子と二次粉砕された二次粉砕物)を二次分級する前に、前記混合物の重量を測定した。次に、前記二次分級を行った後、150μm以下の粒度を有する微粉粒子の重量を測定した。前記混合物の重量に対する微粉粒子の重量の百分率を「微粉の含量」と示した。すなわち、微粉の含量は、前記混合物に含まれた微粉粒子の含有量を意味し得る。
【0083】
5)吸収速度(Vortex)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂粒子の吸収速度を下記のような方法で測定した。
【0084】
磁気攪拌機(Magnetic Stirrer)上の100mlビーカーにメスシリンダーを用いて、24℃の温度に維持した0.9%塩水50mlを投入した。攪拌の際、前記100mlビーカー内に生成された渦の最も低い表面(中央の空間)がマグネチックバーに接するほどの速度で前記磁気攪拌機を作動させた。前記実施例および比較例の高吸水性樹脂粒子のうち#40~#50(300μm~425μm)の粒度に該当する高吸水性樹脂粒子(1.99g~2.01g)を前記渦に投入すると同時に時間を測定した。前記のように高吸水性樹脂粒子を前記塩水に投入することで粘度が生じ、前記渦が消滅して液面が水平になるまでの時間を秒単位で測定したものを本発明の「吸収速度」と定義した。
【0085】
【0086】
【0087】
前記表1および表2を参照すると、乾燥ステップでロータリー乾燥機を用いた一次乾燥およびパドル乾燥機を用いた二次乾燥を行って高吸水性樹脂粒子を製造した実施例の場合、前記ロータリー乾燥機により気孔を維持させて吸収速度を改善し、前記パドル乾燥機により乾燥均一度を向上させて高吸水性樹脂粒子の微粉の含量が減少したことを確認することができた。
【0088】
これに対し、比較例1は、ロータリー乾燥機のみを用いて、一次乾燥体の含水率、すなわち、最終含水率が10.2重量%になるまで乾燥した高吸水性樹脂粒子であり、二次乾燥を行っていないだけでなく、1種の乾燥機で乾燥ステップを行っている。比較例1は、実施例の二次乾燥体の含水率と類似する水準に一次乾燥を行っているが、前記ロータリー乾燥機によって乾燥均一度が減少し、微粉の含量が増加したことを確認することができた。比較例2は、比較例1のように、ロータリー乾燥機のみを用いた乾燥ステップを行っているが、前記ロータリー乾燥機の運転条件が変更されて乾燥が行われた。比較例2もロータリー乾燥機のみを用いることで、比較例1と類似する結果を確認することができた。
【0089】
一方、比較例3は、パドル乾燥機のみを用いて、一次乾燥体の含水率が12.6重量%になるまで乾燥した高吸水性樹脂粒子であり、二次乾燥を行っていないだけでなく、1種の乾燥機で乾燥ステップを行っている。2種の乾燥機を介して二次乾燥した実施例に比べて、吸収速度が低下したことを確認することができた。すなわち、パドル乾燥機のパドルにより加えられる高い力(shear)によって被乾燥体に応力が発生し、前記応力によって気孔が減少し、吸収速度が低下することを確認することができた。比較例4は、比較例3のように、パドル乾燥機のみを用いて乾燥ステップを行っているが、前記パドル乾燥機の運転条件が変更されて行われた。やはりパドル乾燥機のみを用いることで、比較例3と類似する結果を確認することができた。
【0090】
一方、比較例5は、乾燥ステップをパドル乾燥機を用いた一次乾燥およびロータリー乾燥機を用いた二次乾燥で行って製造した高吸水性樹脂粒子であり、実施例に比べて、一次および二次乾燥機の種類を変えて行った。上述のように、パドル乾燥機を用いる場合、乾燥体の気孔が減少し、吸収速度が低下し得る。比較例5では、一次乾燥機として前記パドル乾燥機を先に用いることで、気孔が減少した状態の一次乾燥体が、二次乾燥機であるロータリー乾燥機に投入されることができた。しかし、すでにパドル乾燥機で気孔が減少した一次乾燥体の気孔が前記ロータリー乾燥機の回転ドラムによって維持されたことを、低下した吸収速度から確認することができた。
【国際調査報告】