(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】帯域外漏れ補正方法及びメトロロジ装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20241010BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241010BHJP
G03F 7/20 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
G01B11/00 C
H01L21/66 J
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515640
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022076754
(87)【国際公開番号】W WO2023066617
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クズク,オクタイ,オヌル
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA21
2F065AA24
2F065BB27
2F065CC17
2F065DD06
2F065FF04
2F065FF48
2F065FF51
2F065GG21
2F065GG24
2F065HH04
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL12
2F065LL21
2F065LL30
2F065LL41
2F065LL46
2F065MM16
2F065PP12
2F065QQ14
2F065RR08
2H197DB12
2H197HA03
2H197JA17
2H197JA23
4M106AA01
4M106BA04
4M106DB04
4M106DB15
4M106DB16
4M106DB20
4M106DJ19
(57)【要約】
抑制された波長の測定放射の漏れに起因する帯域外漏れ信号寄与に対してメトロロジ像を補正する方法を開示する。この方法は、少なくとも1つの補正像を得ることであって、前記補正像は、放射変調デバイスによって最大限に抑制された全波長又は波長帯域を有する測定放射を使用して得られることと、構成されたスペクトルを得るために前記放射変調デバイスによって変調された変調後の広帯域放射を含む測定放射を使用してメトロロジ像を得ることと、前記少なくとも1つの補正像を使用して前記メトロロジ像を補正することと、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抑制された波長の測定放射の漏れに起因する帯域外漏れ信号寄与に対してメトロロジ像を補正する方法であって、
少なくとも1つの補正像を得ることであって、前記補正像は、放射変調デバイスによって最大限に抑制された全波長又は波長帯域を有する測定放射を使用して得られることと、
構成されたスペクトルを得るために前記放射変調デバイスによって変調された変調後の広帯域放射を含む測定放射を使用してメトロロジ像を得ることと、
前記少なくとも1つの補正像を使用して前記メトロロジ像を補正することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記補正像及び前記メトロロジ像は、それぞれ、同一の構造又は類似の構造の像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補正工程は、前記メトロロジ像が検出される検出面で、又は前記検出面の後で実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
較正段階において最大限に抑制された全波長又は波長帯域で少なくとも1つの較正構造を測定して、前記補正像を得ることと、
前記補正像を使用して、製造段階で測定された1つ以上のメトロロジ像を補正することと、
を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
第1の取得及び第2の取得において同一の構造を測定して、前記補正像及び前記メトロロジ像をそれぞれ得ることを含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項6】
測定される前記構造のサブセットについて前記第1の取得及び前記第2の取得を実行することと、
前記第1の取得及び前記第2の取得で得られた前記補正像及び前記メトロロジ像を使用して、後続のメトロロジ像内で測定された特定の構造について補正像をスケーリングする、及び/又は後続のメトロロジ像内で測定された特定の構造にとって適切な前記第1の取得において得られた補正像を選択することと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記メトロロジ像のパラメータと前記帯域外漏れ信号寄与との関係を決定することと、
前記関係を使用して、前記スケーリングを決定する、及び/又は特定の構造にとって適切な前記補正像を選択することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記メトロロジ像のパラメータは、前記メトロロジ像の強度パラメータを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記放射変調デバイスは、前記測定放射のスペクトル分散したビームを空間的に変調するように動作可能な空間光変調デバイス、デジタルマイクロミラーデバイス、又はグレーティングライトバルブモジュールを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記補正像を使用して関心対象のパラメータを決定することを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記関心対象のパラメータは、オーバーレイ、フォーカス、又は位置の値のうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記補正像及び/又は前記メトロロジ像をスケーリングして、前記補正像と前記メトロロジ像との間のあらゆるドーズ又は積分時間の変動を軽減することを含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記補正工程は、前記メトロロジ像から前記補正像を減算することを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の方法を実行するように動作可能である、メトロロジデバイス。
【請求項15】
ソースモジュールを含み、前記ソースモジュールは、
広帯域照明ビームを生成するための放射源と、
前記広帯域照明ビームを分散させるためのビーム分散要素と、
分散した後の前記広帯域照明ビームを、空間的に変調するための空間変調デバイスと、
前記空間的に変調された広帯域照明ビームを再結合して出力ソースビームを得るためのビーム結合要素と、を含む、
請求項14に記載のメトロロジデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2021年10月19日出願の欧州出願21203532.3の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、例えば、リソグラフィ技術によるデバイスの製造において使用可能な方法及び装置と、リソグラフィ技術を使用してデバイスを製造する方法とに関する。より詳細には、本発明は、メトロロジセンサ及び当該メトロロジセンサを有するリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。このような場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、1つのダイ、又はいくつかのダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。これらのターゲット部分は、一般に「フィールド」と呼ばれる。
【0004】
[0004] 複雑なデバイスの製造では、通常、多くのリソグラフィパターニング工程が実施され、それによって基板上の連続する層に機能的フィーチャが形成される。したがって、リソグラフィ装置の性能の重要な一面は、付与されるパターンを、(同一の装置又は異なるリソグラフィ装置によって)前の層に定められたフィーチャに対して、正確に、かつ精度よく配置する能力である。この目的のために、基板には、1セット以上のアライメントマークが設けられる。各マークは、位置センサ、典型的には光学位置センサを用いて後で位置を測定することのできる構造である。リソグラフィ装置は1つ以上のアライメントセンサを含み、そのアライメントセンサによって基板上のマークの位置を精度よく測定することができる。異なる製造業者及び同一の製造業者の異なる製品による様々なタイプのマーク及び様々なタイプのアライメントセンサが知られている。
【0005】
[0005] 他の用途では、メトロロジセンサは、(レジスト内及び/又はエッチング後の)基板上の露光された構造を測定するために使用される。高速で非侵襲性の形態の専用インスペクションツールがスキャトロメータである。スキャトロメータでは、放射ビームが基板の表面上のターゲットに誘導され、散乱又は反射したビームの特性が測定される。既知のスキャトロメータの例は、米国特許出願公開第2006033921A1号明細書及び米国特許出願公開第2010201963A1号明細書に記載されているタイプの角度分解スキャトロメータを含む。再構築によるフィーチャ形状の測定に加え、米国特許出願公開第2006066855A1号明細書に記載されているような装置を用いて、回折ベースのオーバーレイを測定することができる。回折次数の暗視野結像を用いた回折ベースのオーバーレイメトロロジは、より小さなターゲットについてのオーバーレイ測定を可能にする。暗視野結像メトロロジの例は、国際特許出願公開第2009/078708号及び第2009/106279号に見つけることができる。両文献はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。技術の更なる発展が、米国特許出願公開第20110027704A号明細書、米国特許出願公開第20110043791A号明細書、米国特許出願公開第2011102753A1号明細書、米国特許出願公開第20120044470A号明細書、米国特許出願公開第20120123581A号明細書、米国特許出願公開第20130258310A号明細書、米国特許出願公開第20130271740A号明細書、及び国際公開第2013178422A1号に記載されている。これらのターゲットは照明スポットよりも小さくすることができ、ウェーハ上の製品構造に囲まれ得る。複合格子ターゲットを用いて、1つの像内で複数の格子を測定することができる。これらの全ての出願の内容もまた、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
[0006] 測定放射のスペクトルは、特定の付与用途向けに構成することがしばしば望ましい。これを行うための1つの方法は、スペクトル分散されたビームを空間的に変調することである。しかし、他の場合においては好適な多くの空間変調デバイスを使用した不要な波長又は波長帯域の抑制(つまり、それらのスイッチ「オフ」)は、許容可能なレベルを下回っている。このように構成されたスペクトルを有する測定放射を使用して測定性能を向上することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本発明は、第1の態様において、抑制された波長の測定放射の漏れに起因する帯域外漏れ信号寄与に対してメトロロジ像を補正する方法を提供し、この方法は、少なくとも1つの補正像を得ることであって、この補正像は、放射変調デバイスによって最大限に抑制された全波長又は波長帯域を有する測定放射を使用して得られることと、構成されたスペクトルを得るために放射変調デバイスによって変調された変調後の広帯域放射を含む測定放射を使用してメトロロジ像を得ることと、少なくとも1つの補正像を使用してメトロロジ像を補正することと、を含む。
【0008】
[0008] また、第1の態様の方法を実行するように動作可能なメトロロジ装置、及びメトロロジ装置を含むリソグラフィ装置も開示される。
【0009】
[0009] 本発明の上述の態様及び他の態様は、以下に記載する複数の例を考察することにより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[0010] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図を参照して以下に説明する。
【
図2】
図2は、
図1の装置における測定プロセス及び露光プロセスを概略的に図示する。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に適合可能なアライメントセンサの概略図である。
【
図4】
図4は、(a)第1の照明開口対を使用してターゲットを測定する際に使用するための暗視野スキャトロメータの概略図と、(b)所与の照明方向についてのターゲット格子の回折スペクトルの詳細図と、を含む。
【
図5】
図5は、グレーティングライトバルブの概略図であって、(a)上面図、(b)第1の構成における正面図(end-on view)、(c)第2の構成における正面図によりその基本動作を図示する。
【
図6】
図6は、グレーティングライトバルブを含む照明構成の概略図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に従い、抑制された波長の測定放射の漏れに起因する帯域外漏れ信号寄与についてメトロロジ像を補正するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0011] 本発明の実施形態について詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実施され得る環境の例を提示するのが有益である。
【0012】
[0012]
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば紫外線又はDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されているパターニングデバイスサポート又はサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するようにそれぞれ構築され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWにそれぞれ連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT及びWTbと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。基準フレームRFは、様々なコンポーネントを接続し、パターニングデバイス及びに基板の位置、並びにパターニングデバイス及び基板上のフィーチャの位置を設定及び測定するための基準として機能する。
【0013】
[0013] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0014】
[0014] パターニングデバイスサポートMTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び、例えばパターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。パターニングデバイスサポートMTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にすることができるフレーム又はテーブルであってもよい。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0015】
[0015] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0016】
[0016] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型パターニングデバイスを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述したタイプのプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、又は反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。本明細書において使用される「レチクル」又は「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。「パターニングデバイス」という用語は、そのようなプログラマブルパターニングデバイスを制御する際に使用するためのパターン情報をデジタル形式で記憶するデバイスを指していると解釈することもできる。
【0017】
[0017] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用又は真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、及び静電型光学系、又はそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0018】
[0018] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。
【0019】
[0019] 動作中、イルミネータILは、放射源SOから放射を受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射は、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0020】
[0020] イルミネータILは、例えば、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタAD、インテグレータIN及びコンデンサCOを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0021】
[0021] 放射ビームBは、パターニングデバイスサポートMT上に保持されているパターニングデバイスMA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTa又はWTbを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイス(マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。
【0022】
[0022] パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。また、デバイスフィーチャの中で、ダイ内には小さいアライメントマークも含まれてよく、この場合、マークは可能な限り小さく、かつ隣接するフィーチャと異なる結像条件又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。以下、アライメントマークを検出するアライメントシステムについて説明する。
【0023】
[0023] 例示の装置は、多様なモードで使用することができる。スキャンモードにおいては、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。本技術分野で公知のもののような、他のタイプのリソグラフィ装置及び動作モードが可能である。例えば、ステップモードが知られている。いわゆる「マスクレス」リソグラフィでは、プログラマブルパターニングデバイスは静止状態に保たれる一方で変化するパターンを有し、基板テーブルWTは移動又はスキャンされる。
【0024】
[0024] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0025】
[0025] リソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa及びWTbと、2つのステーション、つまり、露光ステーションEXP及び測定ステーションMEAとを有する、いわゆるデュアルステージタイプであり、2つのステーション間では、基板テーブルが交換され得る。一方の基板テーブル上の1つの基板が露光ステーションにおいて露光されている間に、測定ステーションにおて他方の基板テーブル上に別の基板をロードすることができ、多様な準備工程を実行することができる。これにより、リソグラフィ装置のスループットの大幅な増加が可能になる。準備工程は、レベルセンサLSを使用して基板の表面高さコンターをマッピングすること、及びアライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマーカの位置を測定することを含み得る。位置センサIFが、測定ステーション及び露光ステーションにある間に、基板テーブルの位置を測定することができない場合、第2の位置センサを提供して、両ステーションにおいて基準フレームRFに対する基板テーブルの位置を追跡することができるようにしてもよい。図示されるデュアルステージ構成の代わりとして、他の構成が公知であり、かつ使用可能である。例えば、基板テーブル及び測定テーブルが提供される他のリソグラフィ装置が公知である。これらは、予備測定を実行するときにドッキングされ、その後基板テーブルが露光される間に切り離される。
【0026】
[0026]
図2は、
図1のデュアルステージ装置において、基板W上のターゲット部分(例えば、ダイ)を露光するための工程を図示する。左側の点線ボックス内には、測定ステーションMEAで実行される工程が示される一方、右側の点線ボックス内には、露光ステーションEXPで実行される工程が示される。上述したように、その時々で、基板テーブルWTa及びWTbの一方が露光ステーションにある間に、他方が測定ステーションにあることになる。本説明の便宜上、基板Wは既に露光ステーション内にロードされているものとする。工程200において、図示されない機構によって新しい基板W’が装置にロードされる。これらの2つの基板は、リソグラフィ装置のスループットを向上させるために、並行して処理される。
【0027】
[0027] まず新しくロードされた基板W’を参照すると、この基板は事前に処理されていない基板であり、装置内での最初の露光のために新しいフォトレジストを用いて準備されたものであってよい。ただし、ここで説明されるリソグラフィプロセスは一連の露光工程及び処理工程における単なる一工程であるため、一般的には、基板W’は本装置及び/又は他のリソグラフィ装置を既に数回通過しており、更に複数の後続のプロセスを経ることもある。特にオーバーレイ精度を改善する問題のためには、パターニング及び処理の1つ以上のサイクルを既に経た基板上の正しい位置に、確実に新しいパターンを正確に付与することが課題となる。これらの処理工程は、徐々に、基板内に歪みをもたらすが、十分なオーバーレイ精度を達成するためには、このような歪みは測定及び補正されなくてはならない。
【0028】
[0028] 直前に言及したように、先行する及び/又は後続のパターニング工程は、他のリソグラフィ装置において実行されることもあり、異なるタイプのリソグラフィ装置において実行されることすらある。例えば、デバイス製造プロセスにおいて、解像度及びオーバーレイといったパラメータにおいて非常に要求の厳しい一部の層は、要求がそれほど厳しくない他の層と比べて、より高度なリソグラフィツールにおいて実行され得る。したがって、一部の層は液浸タイプのリソグラフィツールで露光されることもある一方、他の層は「ドライ」ツールで露光される。一部の層は、DUV波長で動作するツールで露光されることもある一方、他の層はEUV波長放射を使用して露光される。
【0029】
[0029] 202において、基板マークP1等及びイメージセンサ(図示なし)を使用したアライメント測定を使用して、基板テーブルWTa/WTbに対する基板のアライメントを測定及び記録する。加えて、基板W’全体に亘るいくつかのアライメントマークは、アライメントセンサASを使用して測定されることになる。一実施形態において、これらの測定は「ウェーハグリッド」を確立するために使用され、この「ウェーハグリッド」は、公称矩形グリッドに対するあらゆる歪みを含む、基板上のマークの分布を非常に正確にマッピングする。
【0030】
[0030] 工程204において、レベルセンサLSも使用して、X-Y位置に対するウェーハ高さ(Z)のマップが測定される。従来、高さマップは、露光されたパターンの正確な合焦を達成するためだけに使用される。高さマップは、更に他の目的のために使用してもよい。
【0031】
[0031] 基板W’がロードされたとき、レシピデータ206が受信され、このレシピデータ206は、実行される予定の露光と、ウェーハの特性並びに既に形成されたパターン及びこれから形成されるパターンの特性とを定義する。これらのレシピデータには、ウェーハ位置の測定値、202、204において作成されたウェーハグリッド及び高さマップが追加され、レシピ一式及び測定データ208を露光ステーションEXPに受け渡すことができる。アライメントデータの測定値は、例えば、リソグラフィプロセスの製品である製品パターンと固定の関係又は名目上固定の関係で形成されるアライメントターゲットのX位置及びY位置を含む。露光の直前に取得されるこれらのアライメントデータを使用して、アライメントモデルと、このモデルをデータに適合させるパラメータとを生成する。これらのパラメータ及びアライメントモデルを露光動作中に使用して、現在のリソグラフィ工程で付与されるパターンの位置を補正することになる。使用において、モデルは、測定された位置間の位置ずれを補間する。従来のアライメントモデルは、4つ、5つ、又は6つのパラメータを含むことができ、これらのパラメータが全体で、「理想的な」グリッドの並進、回転、及びスケーリングを様々な寸法で定義する。高度なモデルでは、より多くのモデルが使用されることが知られている。
【0032】
[0032] 210において、ウェーハW’及びWが取り換えられされ、測定された基板W’が基板Wとなり露光ステーションEXPに入っていく。
図1に示される一例の装置において、この取り換えは、装置内でサポートWTa及びWTbを交換することにより実行されるため、基板W、W’はこれらのサポート上に正確にクランプ及び位置決めされたままの状態となり、基板テーブルと基板自体との間の相対的なアライメントが維持される。したがって、ひとたびテーブルが取り換えられると、露光工程の制御において基板W(以前のW’)について測定情報202、204を利用するために必要なことは、投影システムPSと基板テーブルWTb(以前のWTa)との間の相対位置を決定することのみである。工程212において、アライメントマークM1、M2を使用してレチクルアライメントが実行される。工程214、216、218において、多数のパターンの露光を完了するために、基板W全体に亘る連続したターゲット位置において、スキャン動作及び放射パルスが適用される。
【0033】
[0033] 露光工程の実行時に測定ステーションにて取得されたアライメントデータ及び高さマップを使用して、これらのパターンは所望の位置、特に、同一の基板上に先行して配置されたフィーチャに対して正確に位置合わせされる。この時点でW’’と表示される露光済みの基板は、工程220において装置から取り出されて、露光パターンに応じて、エッチングプロセス又は他のプロセスを受ける。
【0034】
[0034] 当業者であれば、上記の説明が、実際の製造場面の一例に関わる多数の非常に詳細な工程の簡素化された概要であることを理解するであろう。例えば、単一パスでアライメントを測定するのではなく、同一のマーク又は異なるマークを使用した粗測定及び微細測定の別個の段階があることも多い。粗アライメント工程及び/又は微細アライメント工程は、高さ測定の前又は後に実行されてもよく、あるいは交互に実行されてもよい。
【0035】
[0035] 複雑なデバイスの製造においては、通常、多くのリソグラフィパターニング工程が実行され、これにより基板上の連続的な層内に機能的なフィーチャが形成される。したがって、リソグラフィ装置の性能の重要な側面は、(同一の装置又は異なるリソグラフィ装置により)先行する層内に配置されたフィーチャに対して、付与されたパターンを正確かつ精密に配置する能力である。この目的で、基板には、1セット以上のマークが設けられている。各マークは、後のタイミングで位置センサ、典型的には、光位置センサを使用して位置を測定することができる構造である。位置センサは、「アライメントセンサ」と呼ばれてもよく、マークは「アライメントマーク」と呼ばれてもよい。
【0036】
[0036] リソグラフィ装置は、1つ以上(例えば、複数)のアライメントセンサを含むことができ、それにより基板上に設けられたアライメントマークの位置を正確に測定することができる。アライメント(位置)センサは、回折及び干渉といった光学現象を使用して、基板上に形成されたアライメントマークから位置情報を取得する。現在のリソグラフィ装置において使用されるアライメントセンサの一例は、米国特許第6961116号に記載されるような自己参照干渉計に基づいている。例えば、米国特許出願公開第2015261097A1号に開示されるように、位置センサについて多様な高度化及び改良が展開されてきた。これらの全ての公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
[0037] マーク、あるいはアライメントマークは、基板上に設けられた層上若しくは層内に形成されるか、又は基板内に(直接)形成される一連のバーを含み得る。これらのバーは、規則的な間隔で配置され、マークが周知の空間的周期(ピッチ)を有する回折格子とみなされ得るように、格子線として機能する。これらの格子線の向きに応じて、マークは、X軸に沿って、又は(X軸に実質的に垂直に配向される)Y軸に沿って、位置の測定が可能になるように設計することができる。X軸及びY軸の両方に対して+45度及び/又は-45度で配置されたバーを含むマークにより、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/195768A号に記載されるような技術を使用したXY複合測定が可能である。
【0038】
[0038] アライメントセンサは、放射のスポットを使用して光学的に各マークをスキャンして、正弦波のような周期的に変動する信号を取得する。この信号の位相が分析され、リソグラフィ装置の基準フレームに対して固定されるアライメントセンサに対するマークの位置、ひいては基板の位置が決定される。異なる(粗い及び微細な)マーク寸法に関連した、いわゆる粗マーク及び微細マークが提供され得るため、アライメントセンサは、周期的な信号の異なるサイクル、及びサイクル内の正確な位置(位相)を区別することができる。この目的で、異なるピッチのマークも使用することができる。
【0039】
[0039] マークの位置を測定することにより、例えばウェーハグリッドの形式で、当該マークが設けられた基板の変形に関する情報も提供することができる。基板の変形は、例えば、基板テーブルに対する基板の静電クランプ、及び/又は、基板が放射に露光される際の基板の加熱により発生し得る。
【0040】
[0040]
図3は、公知のアライメントセンサASの一実施形態を示す概略的なブロック図である。放射源RSOは1つ以上の波長を有する放射ビームRBを提供し、この放射ビームRBは、照明スポットSPとして、基板W上に位置付けられたマークAMなどのマーク上に誘導光学部品により誘導される。本例では、この誘導光学部品は、スポットミラーSM及び対物レンズOLを備える。マークAMを照明する照明スポットSPは、マーク自体の直径よりもわずかに小さい直径を有し得る。
【0041】
[0041] マークAMによって回折された放射は、(本例では、対物レンズOLを介して)平行化され、情報搬送ビームBになる。「回折」という用語は、マークからの0次回折(反射と呼ばれ得る)を含むことが意図される。例えば、上述した米国特許第6961116号に開示されるようなタイプの自己参照干渉計SRIは、ビームIBを当該干渉計自体に干渉させ、その後、このビームが光検出器PDにより受光される。放射源RSOにより複数の波長が生成される場合には、別個のビームを提供するために(図示されない)追加の光学部品を含んでもよい。光検出器は、単一の要素であってもよく、あるいは、必要に応じて多数の画素を含んでもよい。光検出器は、センサアレイを含み得る。
【0042】
[0042] 本例ではスポットミラーSMを含む誘導光学部品は、マークから反射した0次放射をブロックするように機能することもでき、それにより情報搬送ビームIBは、マークAMからのより高次の回折放射のみを含むようになる(これは、測定に不可欠ではないものの、信号対雑音比を向上させる)。
【0043】
[0043] 強度信号SIは、処理ユニットPUに供給される。ブロックSRIにおける光学処理とユニットPUにおける演算処理の組み合わせにより、基準フレームに対する基板上のX位置及びY位置に関する値が出力される。
【0044】
[0044] 図示されるタイプの単一の測定では、マークの1ピッチに対応する特定の範囲内のマークの位置のみが確定される。これと併用して、より粗い測定技術を使用して、正弦波のいずれの周期がマークされた位置を含む周期であるかを識別する。マークを構成する材料や、提供されたマークの上下にある材料を問わない精度の向上のため、及び/又は堅実なマークの検出のために、より粗いレベル及び/又はより微細なレベルでの同一プロセスを異なる波長で繰り返す。このような複数の波長測定の実行及び処理における改善について、以下に開示する。
【0045】
[0045]
図4(a)はメトロロジ装置を示す。
図4(b)には、ターゲットTと、このターゲットを照明するために使用される測定放射の回折光線がより詳細に図示されている。図示されるメトロロジ装置は、暗視野メトロロジ装置として知られるタイプの装置である。本明細書において図示されるメトロロジ装置は、暗視野メトロロジの説明を提供するための単なる例示にすぎない。メトロロジ装置は、スタンドアロン型デバイスであってもよく、あるいは、例えば測定ステーションにおけるリソグラフィ装置LA又はリソグラフィセルLCのいずれかに組み込まれてもよい。装置を通していくつかの分岐を有する光軸が、点線Oで示されている。本装置において、ソース11(例えば、キセノンランプ)により放出された光は、レンズ12、14及び対物レンズ16を含む光学系により、ビームスプリッタ15を介して基板W上に誘導される。これらのレンズは、4F配置のダブルシーケンスで配置される。基板像が検出器上に提供され、同時に空間周波数フィルタリングのために中間瞳面のアクセスが可能であれば、別のレンズ構成を使用することもできる。したがって、放射が基板に入射する角度範囲は、本明細書において(共役)瞳面と呼ばれる、基板面の空間スペクトルを示す平面内の空間強度分布を定義することにより選択することができる。特に、これは、対物レンズ瞳面の後方投影像である平面においてレンズ12と14の間に好適な形態の開口プレート13を挿入することにより行うことができる。図示される例において、開口プレート13は、13N及び13Sと表示される異なる形態を有し、異なる照明モードの選択を可能とする。本例における照明システムは、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードにおいて、開口プレート13Nは、単に説明の便宜上「北」と指定される方向からのオフアクシスを提供する。第2の照明モードでは、開口プレート13Sは、「南」と表示される反対方向から同様の照明を提供するために使用される。異なる開口を使用することにより、他の照明モードも可能である。所望の照明モードの外側の不要な光は、所望の測定信号と干渉することになるため、瞳面の残部は暗いことが望ましい。
【0046】
[0046]
図4(b)に示されるように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ16の光軸Oに対して垂直の状態で配置される。基板Wは、(図示されない)サポートにより支持され得る。軸Oから外れた角度からターゲットTに衝突する測定放射光線Iは、0次光線(実線0)と2つの1次光線(一点鎖線による+1次及び二点鎖線による-1次)とを生じさせる。なお、留意すべき点として、過充填の小さいターゲットにより、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板のエリアをカバーする多くの平行光線のうちの1つに過ぎない。プレート13内の開口は(有用な量の光を通過させるのに必要な)有限の幅を有するため、入射光線Iは、実際に、一定範囲の角度を占め、回折光線0及び+1/-1は、ある程度広がることになる。小さいターゲットの点像分布関数によると、各次数+1及び-1は、図示されるような単一の理想的な光線ではなく一定範囲の角度で更に広がることになる。なお、ターゲットの格子ピッチ及び照明角度は、対物レンズに入射する1次光線が中心光軸に対して厳密に位置合わせされるように設計又は調整され得る。
図4(a)及び3(b)に図示される光線は、図面内でより容易に見分けられるようにするためだけの目的で、ある程度オフアクシスで示されている。
【0047】
[0047] 基板W上のターゲットTから回折された少なくとも0次及び1次は、対物レンズ16により集光され、ビームスプリッタ15を介して後方に誘導される。
図4(a)を参照すると、第1及び第2の照明モードの両方が、北(N)及び南(S)として表示される直径方向に反対側の開口を示すことによって図示されている。測定放射の入射光線Iは、光軸の北側からである時、つまり、開口プレート13Nを使用して第1の照明モードが適用されている時、「+1(N)」と表示される+1回折光線が対物レンズ16に入射する。反対に、開口プレート13Sを使用して第2の照明モードが適用されている時にレンズ16に入射するのは(1(S)と表示される)-1回折光線である。
【0048】
[0048] 第2のビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐へと分割する。第1の測定分岐では、光学系18は、0次及び1次回折ビームを使用して、第1のセンサ19(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。各回折次数は、センサ上の異なる点に当たるため、像処理は、次数どうしを比較及び対比することができる。センサ19により捕捉された瞳面像は、メトロロジ装置を合焦するため及び/又は1次ビームの強度測定を基準化するために使用することができる。瞳面像は、再構築などの多くの測定用途のためにも使用することができる。
【0049】
[0049] 第2の測定分岐では、光学系20、22は、センサ23(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットTの像を形成する。第2の測定分岐において、瞳面に共役な平面には開口絞り21が設けられる。開口絞り21は、センサ23上に形成されたターゲットの像が-1次ビーム及び+1次ビームからのみから形成されるように、0次回折ビームをブロックするように機能する。センサ19及び23によって捕捉された像は、像を処理するプロセッサPUに出力されるが、ここで、プロセッサPUの機能は、実行されている測定の特定のタイプに依存することになる。なお、本明細書において、「像」という用語は広い意味で使用される。そのため、-1次及び+1次の一方のみが存在する場合は、格子線の像は形成されないことになる。
【0050】
[0050]
図4に示される開口プレート13及び視野絞り21の特定の形態は、単なる例である。本発明の別の実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明が使用され、オフアクシス開口を有する開口絞りを使用して、実質的に1つの1次回折光のみをセンサへと通過させる。他の例では、2つのクアドラント開口を使用してもよい。これにより、上述した米国特許出願公開第2010201963A1号に記載されるように、プラス次数及びマイナス次数の同時検出が可能となり得る。上述した米国特許出願公開第2011102753A1号に記載されるように、検出分岐において光学くさび(セグメント化プリズム又は他の好適な要素)を使用した実施形態を使用して、単一の像内に空間的に結像するために次数を分離することができる。更に他の実施形態では、1次ビームの代わりに、あるいは1次ビームに加えて、(
図4に示されない)2次、3次、及び更に高次のビームを測定に使用してもよい。更に他の実施形態では、開口絞り21の代わりにセグメント化プリズムを使用して、+1次及び-1次の両方が像センサ23上の空間的に分離した位置において同時に捕捉されることができるようすることもできる。
【0051】
[0051] これらの異なるタイプの測定に測定放射が適合させるために、開口プレート13は、所望のパターンを適所に運ぶために回転するディスクの周りに形成された多数の開口パターンを含み得る。なお、開口プレート13N又は13Sは、1つの方向(セットアップに応じて、X方向又はY方向)に配向された格子を測定するためだけに使用することができる。直交する格子を測定するには、ターゲットの90°及び270°の回転が実施され得る。
【0052】
[0052] 本明細書に開示される構想のために使用可能なメトロロジ用途向けの光源は、中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)などの中空コアファイバに基づき得る。このファイバの中空コアには、入力放射を広帯域化するための広帯域化媒体として作用するガスが充填され得る。このようなファイバ及びガス構成を使用して、スーパーコンティニウム放射源を作ることができる。ファイバに入力された放射は電磁放射、例えば、赤外線スペクトル、可視スペクトル、UVスペクトル、及び極端UVスペクトルのうちの1つ以上の放射であってよい。出力放射は、本明細書では白色光と呼ばれることもある広帯域放射から成り得る、あるいは広帯域放射を含み得る。これは、本明細書において開示される方法及び装置において使用可能な広帯域光源技術の一例に過ぎず、代わりに他の好適な技術を採用することもできる。
【0053】
[0053] メトロロジセンサには、
図3に図示されるようにアライメントセンサのように、主として露光前メトロロジ又はアライメントのために設計されたものと、
図4に図示されるメトロロジ装置のように、主として露光後メトロロジ(例えば、オーバーレイ、CD及び/又は焦点モニタリング)のために設計されたものとが含まれる。いずれの場合も、照明スペクトルを制御して、例えば、異なる波長(色)間及び/又は波面プロファイル間で照明を切り替えることが望ましい場合が多い。
【0054】
[0054] 通常、色の選択は、カラーフィルタ構成(例えば、必要に応じて、異なるカラーフィルタをビームパス内へと回転させる1つ以上のカラーホイール)又はリニア可変フィルタ構成を使用して実施され得る。これらのカラーフィルタベースの構成は、ブロックされる色の許容可能な抑制から優れた抑制まで(例えば、およそOD4以上の抑制性能(不要な波長について<10-4の減衰;ここで、ODは光学濃度である))を提供する。しかし、切り替えフィルタ構成は、要求されるよりも速度が遅いことがあり、また、例えば、色帯の調整可能な透過率、色帯の調整可能な帯域幅、及び/又は複数の色帯のON/OFFの同時切り替えを提供することなどの照明スペクトル制御の多くの態様において柔軟性を全く示さないか、あるいはほとんど示さない。
【0055】
[0055] したがって、より速い切り替え速度及び/又はより良いスペクトル特徴制御を提供するために、色選択は、例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)/グレーティングライトバルブ(GLV)モジュール等の空間光変調デバイス(SLM)といった放射変調デバイスを介して実施され得る。そのような変調デバイスを使用して、放射源放射のスペクトル分散された広帯域ビームを空間的に変調することができる。このようなデバイスにおいて、不要な波長抑制の程度は、光源のスペクトル強度の振幅を変調するアクティブなデバイス(変調デバイス)の性能に依存する。
【0056】
[0056] 具体例として、ソース選択モジュールは、シリコン・ライト・マシーンズにより販売されているようなグレーティングライトバルブ(GLV)技術を使用し得る。GLVは、微小電子機械システム(MEMS)技術である。
図5は、その原理を説明する。
図5は、GLV画素又はコンポーネント500を、(a)は上方から、(b)及び(c)は正面から見た概略図である。GLVコンポーネントは、二種類の交互配置されるGLV反射型リボンを含み、この二種類のリボンは、共通電極と共に通常は接地される静止又はバイアスリボン510と、電子ドライバチャネルにより駆動される駆動又はアクティブリボン520である。GLVモジュールは、任意の数のこのようなGLVコンポーネント500をアレイの形態で含み得る。アクティブリボン及びバイアスリボンは、どのように駆動されるかといった点以外は、基本的には同一であってよい。アクティブリボン520に電圧が印加されていない時、アクティブリボン250はバイアスリボンと同一平面上にあり、
図5(b)に図示される構成にある。この構成において、GLVは、基本的にはミラーとして作用し、入射光は鏡面反射される。アクティブリボン520に電圧が印加されると、
図5(c)に図示されるように、これらのリボンは、バイアスリボン510に対して偏向し、井戸型回折格子を構築する。この状態において、入射光は固定の回折角度に回折される。回折光に対する反射光の比率は、アクティブリボン520に印加する電圧を制御することにより連続的に変動させることができ、それにより、アクティブリボン520の偏向が制御される。このようにして、GLVによって回折される光の量を0(完全鏡面反射)から全入射光(ゼロ鏡面反射)へとアナログ形式でコントロールすることができる。なお、これは、GLVの一実施に過ぎず、他の実施もまた可能であり、本明細書に開示される構想において使用することができる。例えば、1セットのリボンを基板上に固定し、他のセットのリボンを可動としてもよい。
【0057】
[0057] このようなGLVモジュールは、色帯毎に調整可能な透過率を提供することができるため、より優れたスペクトルの整形及び制御が可能になる。GLVモジュールは、回折放射がブロック/除去され、0次放射がメトロロジツールに提供されるように、0次モードで使用することができる。これには、エタンデュを維持する利点がある。
【0058】
[0058]
図6は、そのようなGLVベースのソース選択モジュールの概略図である。広帯域又は多色放射源SOは、広帯域又は多色放射を提供する。分散要素DE(任意の好適な分散要素であってよく、例えば、プリズム又は格子)は、広帯域放射を分散させるために使用される。グレーティングライトバルブモジュールGLVは、分散した放射のスペクトルを変調するために使用される。変調された放射は、その後、ビームコンバイナCO(任意の好適なビーム結合要素であってよく、例えば、プリズム又は格子)を使用して再結合される。結合されたビームは、ソース照明としてメトロロジツールMETにより使用され得る。
【0059】
[0059] 能動型スイッチング要素に依拠する光変調技術は、カラーフィルタリングベースの方法と比較して不要波長の抑制性能が低い。GLVベースの方法では、例えば、この性能はOD2~OD2.5であり得る。これは、アプリケーション側(ターゲットの検出器側)で不要な信号の検出を引き起こし、メトロロジツールの整合性、精度、及びロバスト性能に影響するおそれがある。この抑制性能を、ハードウェア内の改善のみで、その設計を大幅に複雑化することなく、また全体のシステムコストを増加させることなく向上させることは非常に難しい。
【0060】
[0060] そのため、較正ベースの方法は、不十分な波長抑制の問題に対処するために提示されたものであり、この方法は、帯域外漏れ信号寄与(選択されていない波長のサンプル(例えば、基板/ターゲット)上、ひいては検出器上への漏れ)に対して較正を行うことができる。
【0061】
[0061] 提案された方法では、帯域外漏れ信号寄与は、カメラの暗電流ノイズ等の他の不要信号アーティファクトと同様に扱われ得る。しかし、この場合、帯域外漏れ信号寄与は、ターゲット応答を介して変調されるため、ターゲットのスペクトル反射率と共に、又は、存在する場合はサンプル/ターゲットの非対称性と共に変動する。そのため、ターゲットがオーバレイターゲット又はフォーカスターゲットである場合、この帯域外漏れ信号寄与は、測定される実際のオーバレイパラメータ又はフォーカスパラメータと共に変動する。アライメント設定において、帯域外漏れ信号寄与は、存在するあらゆるアライメントマーク非対称性と共に変動する。
【0062】
[0062] このため、上記のような較正によって決定された補正は、変調位置(例えば、照明分岐内)ではなく、検出面(つまり、像が捕捉される場所)上/検出面よりも後に適用される。この較正は一度のみ実行されてもよく、ターゲットごとに実行されてもよく、あるいは、(例えば、関心対象のターゲットの期待される変動を表す)ターゲットの代表的なサンプル(適切なサブセット)に対して実行されてもよい。
【0063】
[0063]
図7は、本明細書に開示される構想に係る第1の方法を示すフローチャートである。この方法は、インライン較正又はオフライン較正を含むことができ、帯域外漏れ信号寄与に対するターゲットの応答が低い場合(つまり、漏れ信号とターゲットの関心対象のパラメ―タの応答との間のクロストークが低いか、又は無視できる程度の場合)に適切であり得る。そして、このような方法は、ウェーハからの1つのターゲット又は少数のターゲットのみの測定に基づく較正を含み得る。
【0064】
[0064] 工程700において、1つのターゲット又は少数のターゲットのそれぞれからの測定値の取得は、ソース照明の全波長範囲に亘って最大の抑制レベルに設定された(例えば、全色がオフに切り替えられた)変調要素(例えば、SLM/GLV)を用いて得ることができる。変調された(抑制された)照明分岐の出力スペクトル710が示されており、これは、波長λに対するソース強度SIを示す。結果として得られた像(又は、組み合わせ(例えば、複数のターゲットからの像の平均)は、補正像として記憶され得る(工程720)。工程730において、(例えば、製造設定における)ターゲットのメトロロジ像が、出力スペクトル740に例示されるようなターゲットの所望の照明設定(例えば、通常の取得設定)で取得される。当然のことながら、これは単なる出力スペクトルの例に過ぎず、変調と、ひいては出力スペクトルは、例えば、測定レシピのセットアップステージにおいて決定された、ターゲット/スタックに適切なアプリケーションとなる。工程750において、工程720で得られた補正像を使用して、工程730で得られたメトロロジ像を補正することができる。例えば、補正像は、工程730で得られたメトロロジ像のためのオフセット補正として使用され得る(つまり、補正像は、メトロロジ像から減算され得る)。その後、ウェーハ(又はウェーハのロット/グループ)上のすべてのターゲットについて工程730~750が繰り返され得る。
【0065】
[0065] 任意で、補正像及び/又はメトロロジ像は、メトロロジ像を補正するために使用される前に(例えば、工程750の前に)、まず処理されてもよい。この処理は、任意のドーズ(つまり、測定に使用される測定放射の光子の数又は全パワーの大きさ)又は積分時間の変動に応じて補正像及び/又はメトロロジ像をスケーリングすることを含むことができる。各像は、関連したドーズ及び積分時間を有することになり、これらは、ソース輝度が経時的に減少する場合、経時的に変化し得る(例えば、ドーズは測定ごとに変化して積分時間を一定に保ち得る(逆もまた同様である))。補正像及び/又はメトロロジ像のスケーリングは、これらの像が同一の有効積分時間及び/又はドーズを有するべくスケーリングされるように、像の捕捉間の積分時間及び/又はドーズの変化を補償することができる。
【0066】
[0066] このような較正は、帯域外漏れ信号寄与が経時的に大きく変動することが見込まれない場合にはオフラインで実行されてもよい。このようなオフライン較正は、較正出力(補正像)によって補正されることになるターゲット及びスタックの測定値として、類似のターゲット及びスタックに対して実行することができる。このため、較正は、アプリケーションに依存する。その代わりに、あるいはそれに加えて、較正は、製造段階中のインライン較正を含み得る。例えば、較正を周期的に繰り返して、更新された補正像を取得し、帯域外漏れ信号寄与の経時的なずれ又は変動を補償又は軽減することができる。
【0067】
[0067] 漏れ信号と関心対象のパラメータとの間のクロストークが無視できるレベルではないことが見込まれる場合、そのような補正像は、ターゲットごとに取得され得る。この方法は、製造段階において各ターゲットの二度の取得を行うことを含むことができ(例えば、較正段階で捕捉される最初の補正像が無くてよい)、一度目の取得では、出力スペクトル710によって図示されるように、全色がオフに切り替えられた状態(最大抑制)で行われ、二度目の取得では、そのターゲットにとって望ましい照明設定で行われる。このアプローチは、最も優れた補正精度を提供するが、全てのターゲットについて像の二重取得をするためにスループットを犠牲にする。この二重取得アプローチは、例えば、ロット内の全てのウェーハ、又はロット内のウェーハの適切なサブセットについて実行され得る。
【0068】
[0068] より均衡のとれたアプローチは、上述の二重取得方法を使用して各ウェーハ又は各ロット上のターゲットの適切なサブセットのみを測定することと、クロストークを特徴付けること(例えば、メトロロジ像の(例えば、強度)パラメータと帯域外漏れ信号寄与との間の関係を決定すること)とを含み得る。その後、この関係を使用して、単一の取得において捕捉された特定のメトロロジ像を補正するためにどの補正像を使用すべきかを決定すること、及び/又はクロストークを軽減するための補正像のスケーリングを決定することができる。適切なサブセットは、ウェーハ上のターゲットの25%未満、20%未満、15%未満、又は10%未満を含み得る。適切なサブセットは、ウェーハ上のターゲットの1%超、3%超、5%超、又は8%超を含み得る。測定されるターゲットの割合は、固定されていてもよく(予め決められていてもよく)、又は、例えばそれまでの測定から決定されたクロストークの影響の評価に基づいて、ロットによって可変であってもよい。
【0069】
[0069] このアプローチでは、二重取得されたターゲットの適切なサブセットが、関心対象のパラメータの(例えば、ウェーハ及び/又はロットごとの)予想されるばらつきを(十分に)カバーする個体数を含むことが想定される。そのため、適切なサブセットは、ウェーハ及び/又はロット上に適切に分布し得る。
【0070】
[0070] 一実施形態において、メトロロジ像のパラメータと帯域外漏れ信号寄与との間の関係が確立されると、メトロロジ像ごとに検出されたメトロロジ像のパラメータの値に応じて、(最大の波長抑制で捕捉された)補正像の適切にスケーリングされたバージョンを決定及び適用することができる。このアプローチは、完全な二重取得方法と比較して、精度性能を犠牲にしていくらかのスループット性能を確保する。
【0071】
[0071] 取得像のパラメータは、メトロロジ像の強度パラメータ、例えば、関心対象のパラメータに依存しない(又は、依存度が低い)強度パラメータを含み得る。この強度パラメータには多くのオプションが存在し得るが、これらのオプションは、採用されるメトロロジ方法によって異なり得る。例えば、マイクロ回折ベースオーバーレイ(μDBO)像又は回折ベースフォーカス(DBF)像は、1つ以上(μDBOでは、典型的に4つ)の関心対象の領域を含み得て、各関心対象の領域は、それぞれのサブターゲット又はパッドの主格子エリアに対応する。これらの関心対象の領域の外側には、(像内の関心対象の領域よりも高い強度に見えることが多い)エッジ領域が含まれ得る。このような実施形態では、メトロロジ像の強度パラメータは、これらのエッジ領域の強度を含み得る。その代わりに、あるいはそれに加えて、メトロロジ像の強度パラメータは、関心対象の主要なパラメータの信号を決定するのに使用された関心対象の領域の外側にある、取得したメトロロジ像の任意の他の部分の強度を含み得る。
【0072】
[0072] いくつかの実施形態において、例えばインデバイスメトロロジ(in-device metrology;IDM)技術を使用する場合、像は瞳面像であってよい。IDMでは、ウェーハは、(例えば、エッチング後に)例えば、
図4(a)に図示されるようなメトロロジツールを使用して(瞳結像分岐を使用して)測定される。結果として得られる、通常「瞳」と呼ばれる複数の光信号は、それぞれ、測定値又は信号パラメータ値(例えば、強度、回折効率、又は任意の他の好適なパラメータ)の角度分解スペクトルを含む。これらの瞳は、基板上の「ターゲット」から散乱した放射から得られ、任意の1つ以上の回折次数の放射含み得るが、本文脈において、回折次数は、0次(鏡面反射放射)を含む。このため、瞳は、0次のみから、又は単一のより高次から、又は複数の次数の組み合わせから得ることができる。測定された瞳は、その後、例えばトレーニングされたモデルを使用して、関心対象のパラメータの値に対してマッピングされ得る。
【0073】
[0073] このような瞳像は、(使用されるメトロロジ方法に関わらず)関心対象のパラメータの情報をほとんど搬送しない、あるいは全く搬送しない瞳の周辺部の領域も含み、この周辺領域内の1つ以上の測定された強度は、メトロロジ像の強度パラメータとして使用することができる。
【0074】
[0074] 他の瞳ベースの実施形態では、「二重瞳」方法が知られており、この方法では、重み付けがウェーハ/ターゲット/スタックから得られた共偏光された瞳から決定され、その後、対応する直交偏光された瞳に適用される。ここで、重み付けは、各ターゲットが同一のオーバーレイを有しているものの、異なるプロセス影響を受けている場合に、推量されるオーバーレイが(少なくともほぼ)同一になるように、対称的なプロセス影響を補償するために最適化されている。このようなアプローチでは、測定放射は偏光され、散乱放射に対して、この散乱放射を2つの測定チャネルに分割するために直交偏光器が使用され、この2つの測定チャネルは、照明ビームの偏光状態が検出分岐偏光状態とは異なる(直交偏光瞳を提供する)直交偏光チャネルと、照明ビームの偏光状態が検出分岐偏光状態と一致する(共偏光瞳を提供する)共偏光チャネルである。共偏光瞳は、関心対象のパラメータの信号を搬送しない(関心対象のパラメータは、オーバーレイ又はDBFフォーカス等の対称性に基づくものとする)ため、これらの共偏光瞳の強度又は強度パターンは、メトロロジ像の強度パラメータとして使用することができる。
【0075】
[0075] 実際のメトロロジターゲットのサブセットのインライン測定に基づいてこの関係を決定することの代わりに、あるいはそれに加えて、メトロロジ像のパラメータと帯域外漏れ信号寄与との間の関係は、最初の較正段階において決定することができる。そのような実施形態では、この関係は、関心対象のパラメータが意図的に変えられる複数の較正ターゲットを含む1つ以上の較正ウェーハ(又は、標準ウェーハ)に対して決定され得る。オーバーレイを推量するためのIDMメトロロジにおいて、ターゲット間で変動するオーバーレイを有する好適なターゲットのアレイは、既に瞳の推量のトレーニングのために(瞳測定値からオーバーレイを推量するために)使用されている。これらのターゲットは、このような実施形態では較正ターゲットとして使用することができる。
【0076】
[0076] 一実施形態において、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク)等の好適なモデルをトレーニングして、メトロロジ像のパラメータに基づいて、あるいは単にメトロロジ像に基づいて、補正像のスケーリングを決定することができる。このようなモデルは、上述したような較正ターゲット又は十分な関心対象のパラメータの変動を有する実際のターゲットからのデータについてトレーニングされ得る。
【0077】
[0077] 方法、メトロロジデバイス、及びリソグラフィ装置の更なる実施形態は、以下に示す番号付きの条項のリストに開示される。
1.抑制された波長の測定放射の漏れに起因する帯域外漏れ信号寄与に対してメトロロジ像を補正する方法であって、
少なくとも1つの補正像を得ることであって、前記補正像は、放射変調デバイスによって最大限に抑制された全波長又は波長帯域を有する測定放射を使用して得られることと、
構成されたスペクトルを得るために前記放射変調デバイスによって変調された変調後の広帯域放射を含む測定放射を使用してメトロロジ像を得ることと、
前記少なくとも1つの補正像を使用して前記メトロロジ像を補正することと、
を含む、方法。
2.前記補正像及び前記メトロロジ像は、それぞれ、同一の構造又は類似の構造の像を含む、条項1に記載の方法。
3.前記補正工程は、前記メトロロジ像が検出される検出面で、又は当該検出面の後で実行される、条項1又は2に記載の方法。
4.較正段階において最大限に抑制された全波長又は波長帯域で少なくとも1つの較正構造を測定して、前記補正像を得ることと、
前記補正像を使用して、製造段階で測定された1つ以上のメトロロジ像を補正することと、
を含む、条項1~3のいずれかに記載の方法。
5.前記1つ以上のメトロロジ像は、それぞれ、前記少なくとも1つの較正構造と類似の構造の像を含む、条項4に記載の方法。
6.製造段階において最大限に抑制された全波長で構造を周期的に測定して、更新された補正像を得ることと、
後続のメトロロジ像の補正のために前記更新された補正像を使用することと、
を含む、条項1~5のいずれかに記載の方法。
7.第1の取得及び第2の取得において同一の構造を測定して、前記補正像及びメトロロジ像をそれぞれ得ることを含む、条項1、2又は3に記載の方法。
8.製造段階において測定された各構造のために前記第1の取得及び前記第2の取得を実行することを含む、条項7に記載の方法。
9.測定される前記構造の適切なサブセットについて前記第1の取得及び前記第2の取得を実行することと、
前記第1の取得及び前記第2の取得で得られた前記補正像及びメトロロジ像を使用して、後続のメトロロジ像内で測定された特定の構造について補正像をスケーリングする、及び/又は後続のメトロロジ像内で測定された特定の構造にとって適切な、前記第1の取得において得られた補正像を選択することと、
を含む、条項8に記載の方法。
10.前記構造の適切なサブセットは、関心対象のパラメータにおける予想される変動を含む、条項9に記載の方法。
11.前記メトロロジ像のパラメータと前記帯域外漏れ信号寄与との関係を決定することと、
前記関係を使用して、前記スケーリングを決定する、及び/又は特定の構造にとって適切な前記補正像を選択することと、
を含む、条項9又は10に記載の方法。
12.モデルをトレーニングして、前記メトロロジ像の前記パラメータを前記補正像の前記スケーリングに対してマッピングすることを含む、条項9又は10に記載の方法。
13.最初の較正段階において、前記関係を決定すること、又は前記モデルをトレーニングすることを含む、条項11又は12に記載の方法。
14.関心対象のパラメータが意図的に変えられた較正構造を使用して、前記関係を決定すること、又は前記モデルをトレーニングすることを含む、条項13に記載の方法。
15.製造段階において構造を測定して、前記後続のメトロロジ像を得ることと、
前記スケーリングを使用して、前記補正像をスケーリングし、前記後続のメトロロジ像を補正することと、
を含む、条項9~14のいずれかに記載の方法。
16.前記メトロロジ像の前記パラメータは、前記メトロロジ像の強度パラメータを含む、条項9~15のいずれかに記載の方法。
17.前記メトロロジ像の前記パラメータは、関心対象のパラメータに対する最小依存度を有するパラメータを含む、条項9~16のいずれかに記載の方法。
18.前記メトロロジ像の前記パラメータは、前記関心対象のパラメータが推量される関心対象の領域の外側にある、前記メトロロジ像の1つ以上の部分の強度値を含む、条項16又は17に記載の方法。
19.前記メトロロジ像の前記パラメータは、共偏光瞳面から1つ以上の強度値を含む、条項16又は17に記載の方法。
20.前記構成されたスペクトルは、スペクトル構成工程において決定される、前記構造の測定用に構成されたスペクトルを含む、条項1~19のいずれかに記載の方法。
21.前記放射変調デバイスは、前記測定放射のスペクトル分散したビームを空間的に変調するように動作可能な空間光変調デバイス、デジタルマイクロミラーデバイス、又はグレーティングライトバルブモジュールを含む、条項1~20のいずれかに記載の方法。
22.前記補正像を使用して関心対象のパラメータを決定することを含む、条項1~21のいずれかに記載の方法。
23.前記関心対象のパラメータは、オーバーレイ、フォーカス、又は位置の値のうちの1つである、条項22に記載の方法。
24.前記補正像及び/又は前記メトロロジ像をスケーリングして、前記補正像と前記メトロロジ像との間のあらゆるドーズ又は積分時間の変動を軽減することを含む、条項1~23のいずれかに記載の方法。
25.前記補正工程は、前記メトロロジ像から前記補正像を減算することを含む、条項1~24のいずれかに記載の方法。
26.条項1~25のいずれかに記載の方法を実行するように動作可能である、メトロロジデバイス。
27.ソースモジュールを含み、前記ソースモジュールは、
広帯域照明ビームを生成するための放射源と、
前記広帯域照明ビームを分散させるためのビーム分散要素と、
分散した後の前記広帯域照明ビームを、空間的に変調するための空間変調デバイスと、
前記空間的に変調された広帯域照明ビームを再結合して出力ソースビームを得るためのビーム結合要素と、を含む、
条項26に記載のメトロロジデバイス。
28.前記空間変調デバイスは、グレーティングライトバルブモジュール又はデジタルマイクロミラーデバイスのうちの一方を含む、条項27に記載のメトロロジデバイス。
29.前記メトロロジデバイスはスキャトロメータを含む、条項26~28のいずれかに記載のメトロロジデバイス。
30.基板用のサポートと、
前記測定放射を前記基板上の構造に誘導するための光学系と、
前記基板上の前記構造によって散乱させられた前記測定放射を検出するための検出器と、
を含む、条項29に記載のメトロロジデバイス。
31.前記メトロロジデバイスは、アライメントセンサを含む、条項26~28のいずれかに記載のメトロロジデバイス。
32.パターニングデバイスを支持するためのパターニングデバイスサポートと、
基板を支持するための基板サポートと、
前記パターニングデバイス及び/又は前記基板サポートのアライメントを実行するように動作可能な、条項31に記載のメトロロジデバイスと、
を含む、リソグラフィ装置。
【0078】
[0078] 本明細書に開示される構想は、主に露光後メトロロジの関連で開示したが、この構想は、アライメント、又は測定放射がSLM又はGLVデバイスといった変調デバイスによって変調されるような任意のメトロロジ方法などの露光前メトロロジに対しても同様に適用することができる。
【0079】
[0079] 本明細書に開示する構想では、SLM又はGLMデバイスなどの変調デバイスに固有の漏れの影響を、費用のかさむハードウェア上の再設計を必要としたり、光子を損失させたりすることなく、減少させる。補正は、オンライン補正であってもよく、及び/又は、検出分岐におけるオフライン補正であってもよい。
【0080】
[0080] 色という用語は、本明細書を通して波長又はスペクトル成分と同義に使用され、色には、可視帯以外のもの(例えば、赤外線波長又は紫外線波長)も含み得ることを理解されたい。
【0081】
[0081] 以上、本発明の特定の実施形態について記載したが、本発明は、上述した以外の態様で実施されてもよいことが理解されよう。
【0082】
[0082] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0083】
[0083] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)放射(例えば、1~100nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0084】
[0084] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。反射型コンポーネントは、UV及び/又はEUV範囲で動作する装置で使用されることが見込まれる
【0085】
[0085] 本発明の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求の範囲及びその均等物のみに従って定義されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抑制された波長の測定放射の漏れに起因する帯域外漏れ信号寄与に対してメトロロジ像を補正する方法であって、
少なくとも1つの補正像を得ることであって、前記補正像は、放射変調デバイスによって最大限に抑制された全波長又は波長帯域を有する測定放射を使用して得られることと、
構成されたスペクトルを得るために前記放射変調デバイスによって変調された変調後の広帯域放射を含む測定放射を使用してメトロロジ像を得ることと、
前記少なくとも1つの補正像を使用して前記メトロロジ像を補正することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記補正像及び前記メトロロジ像は、それぞれ、同一の構造又は類似の構造の像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補正工程は、前記メトロロジ像が検出される検出面で、又は前記検出面の後で実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
較正段階において最大限に抑制された全波長又は波長帯域で少なくとも1つの較正構造を測定して、前記補正像を得ることと、
前記補正像を使用して、製造段階で測定された1つ以上のメトロロジ像を補正することと、
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
第1の取得及び第2の取得において同一の構造を測定して、前記補正像及び前記メトロロジ像をそれぞれ得ることを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
測定される前記構造のサブセットについて前記第1の取得及び前記第2の取得を実行することと、
前記第1の取得及び前記第2の取得で得られた前記補正像及び前記メトロロジ像を使用して、後続のメトロロジ像内で測定された特定の構造について補正像をスケーリングする、及び/又は後続のメトロロジ像内で測定された特定の構造にとって適切な前記第1の取得において得られた補正像を選択することと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記メトロロジ像のパラメータと前記帯域外漏れ信号寄与との関係を決定することと、
前記関係を使用して、前記スケーリングを決定する、及び/又は特定の構造にとって適切な前記補正像を選択することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記メトロロジ像のパラメータは、前記メトロロジ像の強度パラメータを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記放射変調デバイスは、前記測定放射のスペクトル分散したビームを空間的に変調するように動作可能な空間光変調デバイス、デジタルマイクロミラーデバイス、又はグレーティングライトバルブモジュールを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記補正像を使用して関心対象のパラメータを決定することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
前記関心対象のパラメータは、オーバーレイ、フォーカス、又は位置の値のうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記補正像及び/又は前記メトロロジ像をスケーリングして、前記補正像と前記メトロロジ像との間のあらゆるドーズ又は積分時間の変動を軽減することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
前記補正工程は、前記メトロロジ像から前記補正像を減算することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
請求項
1に記載の方法を実行するように動作可能である、メトロロジデバイス。
【請求項15】
ソースモジュールを含み、前記ソースモジュールは、
広帯域照明ビームを生成するための放射源と、
前記広帯域照明ビームを分散させるためのビーム分散要素と、
分散した後の前記広帯域照明ビームを、空間的に変調するための空間変調デバイスと、
前記空間的に変調された広帯域照明ビームを再結合して出力ソースビームを得るためのビーム結合要素と、を含む、
請求項14に記載のメトロロジデバイス。
【国際調査報告】