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特表2024-538225基板を処理する際の均一性を制御するためのフェーズドアレイアンテナおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】基板を処理する際の均一性を制御するためのフェーズドアレイアンテナおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241010BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524369
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022047057
(87)【国際公開番号】W WO2023076078
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/273,680
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバレデ・ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ドリューリー・ジョン・スティーブン
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB14
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084DD04
2G084DD25
2G084DD32
2G084DD34
2G084DD38
2G084DD61
2G084HH27
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB23
5F004CA03
5F004CA06
5F045AA08
5F045BB02
5F045DP03
5F045EH02
5F045EH11
5F045EH12
5F045EH19
(57)【要約】
【解決手段】プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを方向付けるためのシステムが提供されている。システムは、エッジリングと、エッジリングに結合されている複数のアンテナ素子と、を備える。複数のアンテナ素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を含む。第1アンテナ素子は、或る位相を有する高周波(RF)信号を受信し、第2アンテナ素子は、位相シフト信号を受信する。位相シフト信号は、プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを出力するためにRF信号の位相に対してシフトされた位相を有する。
【選択図】図1A-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを方向付けるためのシステムであって、
第1高周波(RF)信号を生成するよう構成されている第1電源と、
接続点を介して前記第1電源に接続されている複数の位相シフト回路であって、前記複数の位相シフト回路は、第1位相シフト回路および第2位相シフト回路を含み、前記接続点は、前記第1RF信号を複数の入力信号に分割するよう構成され、前記複数の入力信号は、第1入力信号および第2入力信号を含み、前記第1位相シフト回路は、前記第1入力信号を受信して前記第1入力信号を出力するよう構成され、前記第2位相シフト回路は、前記第2入力信号を受信して前記第2入力信号の位相を変調し、位相シフト信号を出力するよう構成されている、複数の位相シフト回路と、
前記複数の位相シフト回路に接続されている複数のアンテナ素子であって、前記複数のアンテナ素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を含み、前記プラズマチャンバ内の前記ギャップに向かって或る角度に方法付けられる前記主ビームを形成するために、前記第1アンテナ素子は、前記第1位相シフト回路から前記第1入力信号を受信するよう構成され、前記第2アンテナ素子は、前記第2位相シフト回路から前記位相シフト信号を受信するよう構成されている、複数のアンテナ素子と、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記複数のアンテナ素子は、前記プラズマチャンバのエッジリングの底面に結合されている、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記複数のアンテナ素子は、前記プラズマチャンバのピナクルの外面に結合されている、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記複数のアンテナ素子は、前記プラズマチャンバのC-シュラウドの外面に結合されている、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1電源は、ギガヘルツ電源である、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
前記第1電源および前記複数の位相シフト回路に接続されているコントローラを備え、
前記コントローラは、前記第1RF信号の電力レベルおよび周波数レベルを前記第1電源に提供するよう構成され、前記コントローラは、前記第1入力信号の位相に対して前記第2入力信号の前記位相をシフトさせるように前記第2位相シフト回路を制御するよう構成されている、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
エッジリングであって、前記複数のアンテナ素子は、前記エッジリングに結合されている、エッジリングと、
前記エッジリングに隣接して配置されている基板支持体と、
整合器を介して前記基板支持体に接続されている第2電源であって、前記第2電源は、第2RF信号を生成して、前記第2RF信号を前記整合器に送信するよう構成され、前記整合器は、前記第2RF信号のインピーダンスを変調して変調信号を出力し、前記変調信号を前記基板支持体に提供するよう構成されている、第2電源と、
を備える、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1アンテナ素子は、第1環状リングであり、前記第2アンテナ素子は、第2環状リングである、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、マトリクスの一部である、システム。
【請求項10】
プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを方向付けるためのシステムであって、
第1高周波(RF)信号を生成するよう構成されている第1電源と、
接続点を介して前記第1電源に接続されている複数の減衰素子であって、前記複数の減衰素子は、第1減衰素子および第2減衰素子を含み、前記接続点は、前記第1RF信号を複数の入力信号に分割するよう構成され、前記複数の入力信号は、第1入力信号および第2入力信号を含み、前記第1減衰素子は、前記第1入力信号を受信して第1減衰信号を出力するよう構成され、前記第2減衰素子は、前記第2入力信号を受信して第2減衰信号を出力するよう構成されている、複数の減衰素子と、
前記複数の減衰素子に接続されている複数の位相シフト回路であって、前記複数の位相シフト回路は、第1位相シフト回路および第2位相シフト回路を含み、前記第1位相シフト回路は、前記第1減衰信号を受信して前記第1減衰信号を出力するよう構成され、前記第2位相シフト回路は、前記第2減衰信号を受信して前記第2減衰信号の位相を変調し、位相シフト信号を出力するよう構成されている、複数の位相シフト回路と、
前記複数の位相シフト回路に接続されている複数のアンテナ素子であって、前記複数のアンテナ素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を含み、前記プラズマチャンバ内の前記ギャップに向かって或る角度に方法付けられる前記主ビームを形成するために、前記第1アンテナ素子は、前記第1位相シフト回路から前記第1減衰信号を受信するよう構成され、前記第2アンテナ素子は、前記第2位相シフト回路から前記位相シフト信号を受信するよう構成されている、複数のアンテナ素子と、
を備える、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記複数のアンテナ素子は、前記プラズマチャンバのエッジリングの底面に結合されている、システム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムであって、前記複数のアンテナ素子は、前記プラズマチャンバのピナクルの外面に結合されている、システム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムであって、前記複数のアンテナ素子は、前記プラズマチャンバのC-シュラウドの外面に結合されている、システム。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムであって、前記第1電源は、ギガヘルツ電源である、システム。
【請求項15】
請求項10に記載のシステムであって、さらに、
前記第1電源、前記複数の位相シフト回路、および、前記複数の減衰素子に接続されているコントローラを備え、
前記コントローラは、前記第1RF信号の電力レベルおよび周波数レベルを前記第1電源に提供するよう構成され、前記コントローラは、前記第1入力信号に適用される減衰量を変更するように前記第1減衰素子を制御するよう構成され、前記コントローラは、前記第2入力信号に適用される減衰量を変更するように、前記第2減衰素子を制御するよう構成され、前記コントローラは、前記第1減衰信号の位相に対して前記第2減衰信号の前記位相をシフトさせるように前記第2位相シフト回路を制御するよう構成されている、システム。
【請求項16】
請求項10に記載のシステムであって、さらに、
エッジリングであって、前記複数のアンテナ素子は、前記エッジリングに結合されている、エッジリングと、
前記エッジリングに隣接して配置されている基板支持体と、
前記基板支持体に接続されている第2電源であって、前記第2電源は、第2RF信号を生成して、前記第2RF信号を前記第2電源に送信するよう構成されている、第2電源と、
を備える、システム。
【請求項17】
請求項10に記載のシステムであって、前記第1アンテナ素子は、第1環状リングであり、前記第2アンテナ素子は、第2環状リングである、システム。
【請求項18】
請求項10に記載のシステムであって、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、マトリクスの一部である、システム。
【請求項19】
プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを方向付けるためのシステムであって、
エッジリングと、
前記エッジリングに結合されている複数のアンテナ素子であって、前記複数のアンテナ素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を含み、前記第1アンテナ素子は、或る位相を有する高周波(RF)信号を受信するよう構成され、前記第2アンテナ素子は、位相シフト信号を受信するよう構成され、前記位相シフト信号は、前記プラズマチャンバ内の前記ギャップに向かって前記主ビームを出力するために前記RF信号の前記位相に対してシフトされた位相を有する、複数のアンテナ素子と、
を備える、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記エッジリングは、底面を有し、前記複数のアンテナ素子は、前記エッジリングの前記底面に結合されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に記載されている実施形態は、基板を処理する際の均一性を制御するためのフェーズドアレイアンテナおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0003】
1または複数の高周波(RF)発生器が、1または複数のRF信号を生成し、RF信号をプラズマリアクタへ供給する。プラズマリアクタは、1または複数のRF信号が供給されてエッチャントガスがプラズマリアクタに供給された時にエッチングされる半導体ウエハを有する。しかしながら、半導体ウエハを処理する際の均一性の限界に達している。また、1または複数のRF信号が供給された時、半導体ウエハのエッジで傾斜が見られる。傾斜は、半導体ウエハのエッジでのプラズマシースの屈曲、または、半導体ウエハと半導体ウエハの周りのプラズマリアクタの部品との間の不連続性によって生成される。プラズマシースは、プラズマリアクタ内の1または複数の構成要素の腐食の結果として時間と共に屈曲する。屈曲は、1または複数の構成要素の腐食の結果として生じるので、屈曲および傾斜は、或る期間にわたって連続的にドリフトする。
【0004】
本開示に記載の実施形態は、このような文脈で生まれたものである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、基板を処理する際の均一性を制御するためのフェーズドアレイシステム、方法、および、コンピュータプログラムを提供している。本実施形態は、処理、装置、システム、ハードウェア、または、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録された方法など、種々の形態で実施できることを理解されたい。以下に、いくつかの実施形態を記載する。
【0006】
いくつかの実施形態において、プラズマチャンバ(誘電体エッチング(DE)チャンバまたは導体エッチング(CE)チャンバなど)の複数の部品に取り付けられたフェーズドアレイシステムが記載されている。例えば、エッジリングの下にあるまたはエッジリング内に埋め込まれているフェーズドアレイアンテナ素子のための高周波数(HF)高周波(RF)搬送路と、エッジリングの変形例が記載されている。その例において、フェーズドアレイアンテナ素子がエッジリング内に埋め込まれている場合、フェーズドアレイアンテナ素子への電気接続は、エッジリングの底面に提供される。別の例として、壁(ピナクル(登録商標)またはC-シュラウドなど)に結合されたフェーズドアレイアンテナのためのHF RF搬送路が記載されている。また、さらに別の例として、HF電源およびそのコントローラが、電力レベルと、アンテナ素子の間の位相または遅延とを調整するために提供される。
【0007】
一実施形態において、フェーズドアレイアンテナは、アンテナ素子の各々から出力された放射パターンがアンテナ素子の内の近くの素子から出力された放射パターンと建設的に組み合わさることでHF電力ビームまたは主ビームと呼ばれる効果的な放射パターンを形成するように組み立てられた一群のアンテナ素子である。HF電力ビームは、所望の位置に放射エネルギを伝送し、一方、フェーズドアレイアンテナは、望ましくない方向にナルおよびサイドローブを形成する信号と相殺的に干渉する。
【0008】
一実施形態において、フェーズドアンテナアレイは、HF電力ビームで放射されるエネルギを最大化しつつ、サイドローブで放射されるエネルギを許容可能なレベルまで低減する。HF電力ビームの方向は、アンテナ素子の各々に供給される信号の位相を変えることによって操作されうる。また、フェーズドアンテナアレイのパラメータ(フェーズドアンテナアレイの長さ、アンテナ素子の間のギャップ、アンテナ素子の配列、HF電力ビームの特性を規定するために用いられる周波数、および、アンテナ素子によって受信される信号の間の位相差、など)が、ステアリング特性を規定するために制御される。ステアリング特性の例は、HF電力ビームの幅および角度を含む。HF電力ビームのステアリング特性を制御することにより、プラズマチャンバ内のプラズマのインピーダンスが、局所的に調整される。プラズマ体積全体が照射されるのではなく、プラズマチャンバ内の特定の領域または体積が調整される。ビームは、プラズマチャンバ内の特定の領域または体積に結合して、特定の領域または体積の中でプラズマを点火する。
【0009】
一実施形態において、アンテナ素子から出力されるRF波形の間の位相は、スイッチを備えたバトラーマトリクスを用いて、アナログに制御される。スイッチを有するバトラーマトリクスは、アンテナ素子に印加される信号の位相を変調するための異なる経路を規定する。
【0010】
一実施形態において、アンテナ素子アンテナ素子に印加される信号の間の位相が、電子コントローラ(フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAなど)と、高速制御RF位相シフタおよび増幅器とによってデジタル制御される。
【0011】
一実施形態において、アンテナ素子は、プラズマチャンバ内のエッジ領域におけるプラズマを調整するために、エッジリングに接続されている。
【0012】
一実施形態において、アンテナ素子は、壁に結合されている。
【0013】
一実施形態において、プラズマチャンバ内のプラズマおよびエッジ領域をより良好に制御するために、アンテナ素子の第1セットがエッジリングに接続され、アンテナ素子の第2セットが壁に接続されている。
【0014】
一実施形態において、フェーズドアレイアンテナは、プリント回路基板(PCB)上に加工され、したがって、反復可能である。また、フェーズドアンテナアレイは反復可能であるため、2つの別個のフェーズドアンテナアレイの間の任意の差異が、デジタル減衰器および位相シフタを用いて電子的に調整されうる。
【0015】
一実施形態において、アンテナ素子およびアンテナ素子への接続(導電線など)が真性遅延を持たないことを確認するために、基板を処理する前に較正が実行される。真性遅延が存在する場合、適用される位相が実際の位相であることを確実にするために補償される。
【0016】
一実施形態において、デジタル減衰器または別の減衰器(アナログ減衰器)は、狭く集束されたHF電力ビームを生成するために、アンテナ素子の各々がアンテナ素子の内の別の素子と実質的に同じ量の電力を放射することを確実にするように較正される。狭いHF電力ビームは、HF電力ビームにおける所望の建設的干渉とHF電力ビームの外の所望の相殺的パターンとを有することによって生成される。
【0017】
一実施形態において、プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを方向付けるためのシステムが記載されている。システムは、第1RF信号を生成する第1電源を備える。システムは、さらに、接続点を介して第1電源に接続されている複数の位相シフト回路を備える。複数の位相シフト回路は、第1位相シフト回路および第2位相シフト回路を含む。接続点は、第1RF信号を複数の入力信号に分割する。複数の入力信号は、第1入力信号および第2入力信号を含む。第1位相シフト回路は、第1入力信号を受信して第1入力信号を出力する。第2位相シフト回路は、第2入力信号を受信して第2入力信号の位相を変調し、位相シフト信号を出力する。システムは、複数の位相シフト回路に接続されている複数のアンテナ素子を備える。複数のアンテナ素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を含む。プラズマチャンバ内のギャップに向かって或る角度に方法付けられる主ビームを形成するために、第1アンテナ素子は、第1位相シフト回路から第1入力信号を受信し、第2アンテナ素子は、第2位相シフト回路から位相シフト信号を受信する。
【0018】
一実施形態において、プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを方向付けるためのシステムが記載されている。システムは、第1RF信号を生成する第1電源を備える。システムは、さらに、接続点を介して第1電源に接続されている複数の減衰素子を備える。複数の減衰素子は、第1減衰素子および第2減衰素子を含む。接続点は、第1RF信号を複数の入力信号に分割する。複数の入力信号は、第1入力信号および第2入力信号を含む。第1減衰素子は、第1入力信号を受信して第1減衰信号を出力し、第2減衰素子は、第2入力信号を受信して第2減衰信号を出力する。システムは、さらに、複数の減衰素子に接続されている複数の位相シフト回路を備える。複数の位相シフト回路は、第1位相シフト回路および第2位相シフト回路を含む。第1位相シフト回路は、第1減衰信号を受信して第1減衰信号を出力する。第2位相シフト回路は、第2減衰信号を受信して第2減衰信号の位相を変調し、位相シフト信号を出力する。システムは、複数の位相シフト回路に接続されている複数のアンテナ素子を備える。複数のアンテナ素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を含む。プラズマチャンバ内のギャップに向かって或る角度に方法付けられる主ビームを形成するために、第1アンテナ素子は、第1位相シフト回路から第1減衰信号を受信し、第2アンテナ素子は、第2位相シフト回路から位相シフト信号を受信する。
【0019】
一実施形態において、プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを方向付けるためのシステムが提供されている。システムは、エッジリングと、エッジリングに結合されている複数のアンテナ素子と、を備える。複数のアンテナ素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を含む。第1アンテナ素子は、或る位相を有する高周波(RF)信号を受信し、第2アンテナ素子は、位相シフト信号を受信する。位相シフト信号は、プラズマチャンバ内のギャップに向かって主ビームを出力するためにRF信号の位相に対してシフトされた位相を有する。
【0020】
基板を処理する際の均一性を制御するための本明細書に記載のフェーズドアレイアンテナおよび方法のいくつかの利点は、基板のエッジにおけるプラズマ均一性またはシース屈曲を調整、補償、または、増大させるためのフェーズドアレイシステムを提供することである。プラズマ均一性は、プラズマチャンバ内のプラズマの特性を修正するための方向に操作できるHF電力ビームを用いて調整される。コントローラは、HF電力ビームを特定の位置のプラズマと結合させるためのHF電力ビームの角度を達成するように電力または位相またはそれらの組み合わせを適用するために設定点を提供する。
【0021】
本明細書に記載のシステムおよび方法のさらなる利点は、多くのレシピおよび応用例(専用レシピなど)に対して調整または修正を行うことを含む。HF電力ビームの方向性は、プラズマチャンバ内ですべての方向にRF電力を放射する別のエッジリングと比べて、レシピおよび応用例を達成することを容易にする。別のエッジリングは、フェーズドアンテナアレイに接続されていない。さらなる利点は、すべての方向に放射するために別のエッジリングに供給される電力量よりも、HF電力ビームを生成するために用いられる電力量が少ないことを含む。全方向に散逸される代わりに、すべての電力が集束されて方向付けられるため、利用される電力量が少なくなる。HF電力ビームのさらなる利点は、プラズマチャンバのエッジ領域におけるプラズマシースを基板の中央外径まで曲げることを含む。本明細書に記載のHF電力ビームのさらなる利点は、基板の中央外径におけるプラズマシースを曲げずに、プラズマチャンバのエッジ領域のみでプラズマシースを曲げることを含む。
【0022】
添付の図面を参照して行う以下の詳細な説明から、いくつかの別の態様が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
実施形態は、添付の図面に関連して行う以下の説明を参照することによって理解される。
【0024】
図1A-1】主ビームの生成を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0025】
図1A-2】コントローラ、高周波数電源(HFPS)、位相シフタ、および、アンテナアレイの動作を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0026】
図1B】プラズマチャンバ内の主ビームおよびエッジリングを説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0027】
図1C】垂直軸に対して負の角度-θを形成する主ビームの形成を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0028】
図1D】主ローブがプラズマシースに印加される前のプラズマシースの一実施形態を示す図。
【0029】
図1E】主ビームがプラズマシースに印加された後のプラズマシースの一実施形態を示す図。
【0030】
図1F】主ローブがプラズマシースに印加される前のプラズマシースの一実施形態を示す図。
【0031】
図1G】主ビームがプラズマシースに印加された後のプラズマシースの一実施形態を示す図。
【0032】
図2】基板支持体と共にアンテナアレイの利用を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0033】
図3A-1】減衰器アレイを説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0034】
図3A-2】図3A-1の減衰器アレイの動作の詳細を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0035】
図3B】制御信号によって示されるゲイン量に基づいた減衰器の抵抗の変化を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0036】
図4A】位相シフト回路の一実施形態を示す回路図。
【0037】
図4B】別の位相シフト回路の一実施形態を示す回路図。
【0038】
図4C】さらに別の位相シフト回路の一実施形態を示す回路図。
【0039】
図4D】別の位相シフト回路の一実施形態を示す回路図。
【0040】
図4E】さらに別の位相シフト回路の一実施形態を示す回路図。
【0041】
図5A】2つの隣接する位相シフト回路の間のスイッチを用いた複数の位相シフト回路の制御を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0042】
図5B】2つの隣接する位相シフト回路の間の接続を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0043】
図6A】主ビームおよび別の主ビームの生成を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0044】
図6B】誘導結合プラズマ(ICP)チャンバのピナクルと共にアンテナアレイの利用を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0045】
図7A】主ビームのオンおよびオフならびに別の主ビームの同時オンおよびオフを説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0046】
図7B】主ビームのオンおよびオフならびに別の主ビームの同時オンおよびオフを説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0047】
図8A】複数のアンテナ素子がエッジリングに埋め込まれている様子を説明するためにエッジリングの一実施形態を示す図。
【0048】
図8B】別のエッジリングと、アンテナアレイを有するサブエッジリングとを備えたエッジリングの一実施形態を示す図。
【0049】
図8C】エッジリング内に埋め込まれたアンテナアレイを説明するためにエッジリングの一実施形態を示す図。
【0050】
図9】アンテナアレイの一実施形態を示す等角図。
【0051】
図10】アンテナ素子のマトリクスを説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0052】
図11】セグメント化されたアンテナアレイとアンテナアレイの制御とを説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の実施形態は、基板を処理する際の均一性を制御するためのフェーズドアレイアンテナおよび方法を記載するものである。本実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能であることが明らかである。また、本実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。
【0054】
図1A-1は、主ビームMB1の生成を説明するためにシステム100の一実施形態を示す図である。システム100は、高周波電源(HFPS)102、エッジリング(ER)104、コントローラ106、位相シフタ108、および、アンテナアレイ110を備える。コントローラ106の一例は、プロセッサおよびメモリデバイスを備える。プロセッサは、メモリデバイスに接続されている。コントローラ106の他の例は、特定用途向け集積回路(ASIC)およびプログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。高周波電源102の一例は、ギガヘルツの周波数を有する高周波(RF)信号を生成するギガヘルツ(GHz)RF電源(オシレータなど)を含む。具体例として、HFPS102は、15GHz~50GHzの間の範囲の動作周波数を有する。さらなる具体例として、HFPS102は、25GHz~30GHzの間の範囲の動作周波数を有する。別のさらなる具体例として、HFPS102は、28GHzの動作周波数を有する。別の具体例として、HFPS102の動作周波数は、プラズマチャンバ(誘導結合プラズマ(ICP)チャンバまたは容量結合プラズマ(CCP)チャンバなど)内で形成されるプラズマの周波数より大きい。これは、主ビームMB1が、プラズマからエッジリング104に向かって反射されるのではなく、プラズマを貫通することを可能にする。
【0055】
位相シフタ108は、複数の位相シフト回路PS1~PS5(図1A-2)を備える。一例として、各位相シフト回路PS1~PS5は、デジタル回路またはアナログ回路である。具体例として、デジタル回路は、プリント回路基板(PCB)内に実装される。さらなる具体例として、デジタル回路は、PLDまたはASICである。
【0056】
アンテナアレイ110は、複数のアンテナ素子AE1~AE5(図1A-2)を含む。一例として、本明細書に記載されている各アンテナ素子は、ICPチャンバのRFコイルを製造するために用いられるのと同じ材料から製造されている。具体例として、各アンテナ素子は、ワイヤのケーブルから製造され、各ワイヤは、導電性金属(銅など)から製造される。その例において、各ワイヤは、導電性であり、電気絶縁材料のシースによって取り囲まれる。別の例として、各アンテナ素子は、フェライト磁心から製造される。
【0057】
エッジリング104は、シリコン、または、ホウ素ドープ単結晶シリコン、または、アルミナ、または、炭化シリコン、または、アルミナ層の上の炭化シリコン、または、シリコンの合金、もしくは、それらの組み合わせ、などの導電性材料から製造されている。別の例として、エッジリング104は、石英から製造される。一例として、エッジリング104は、環状形状を有する。エッジリング104は、底面BS1、側面SS1、上面TS1、および、別の側面SS2を有する。側面SS2は、内側面であり、側面SS1は外側面である。エッジリング104は、内側面から外側面まで、および、上面TS1から底面BS1まで伸びている。上面TS1は、プラズマチャンバ内で形成されるプラズマに対向し、底面BS1は、プラズマから離れる方向に向いている。例えば、底面BS1は、支持リングに隣接して配置され、支持リングは、エッジリング104の下に配置されている。
【0058】
コントローラ106は、HFPS102と、位相シフタ108とに接続されている。HFPS102は、接続点CP1を介して位相シフタ108に接続されている。本明細書で用いられる接続点の例は、導電性ビアまたは導電性コネクタまたは導電性はんだもしくは2以上のそれらの組み合わせである。位相シフタ108の各位相シフト回路PS1~PS5は、アンテナ素子AE1~AE5の内の対応する1つに接続されている。例えば、位相シフト回路PS1は、アンテナ素子PS1に接続され、位相シフト回路PS2は、アンテナ素子AE2に接続され、以下同様に続いて、位相シフト回路PS5は、アンテナ素子AE5に接続されている。
【0059】
アンテナアレイ110は、エッジリング104に結合されている。例えば、各アンテナ素子AE1~AE5は、エッジリング104の底面BS1に結合されている。例として、各アンテナ素子AE1~AE5は、底面BS1に取り付けられている(例えば、固定されている)。さらなる例として、各アンテナ素子AE1~AE5は、底面BS1にネジ止めおよび/またははんだ付けおよび/または接着されている。
【0060】
一実施形態において、位相シフタ108は、任意の他の数(例えば、4または6または10など)の位相シフト回路を備える。また、その実施形態において、アンテナアレイ110は、位相シフト回路の数と同じ数のアンテナ素子を備える。
【0061】
一実施形態において、エッジリング104は、HFPS102以外の任意の他の電源(キロヘルツ(kHz)RF発生器またはメガヘルツ(MHz)RF発生器など)には接続されていない。これは、プラズマチャンバ内での全方向へのRF波形またはRF波面の生成を回避する。
【0062】
図1A-2は、コントローラ106、HFPS102、位相シフタ108、および、アンテナアレイ110の動作を説明するためにシステム122の一実施形態を示す図である。コントローラ106は、別個の接続を介して位相シフト回路PS1~PS5のそれぞれに接続されている。例えば、コントローラ106は、接続126Aを介して位相シフト回路PS1に、接続126Bを介して位相シフト回路PS2に、接続126Cを介して位相シフト回路PS3に、接続126Dを介して位相シフト回路PS4に、接続126Eを介して位相シフト回路PS5に、接続されている。本明細書に記載されている接続の例は、ワイヤまたは配線またはビアまたは導電線もしくはそれらの2以上の組み合わせなどの導体を含む。
【0063】
HFPS102は、接続128を介して接続点CP1に接続されている。接続点CP1は、別個の接続を介して位相シフト回路PS1~PS5のそれぞれに接続されている。例えば、接続点CP1は、接続130Aを介して位相シフト回路PS1に、接続130Bを介して位相シフト回路PS2に、接続130Cを介して位相シフト回路PS3に、接続130Dを介して位相シフト回路PS4に、接続130Eを介して位相シフト回路PS5に、接続されている。
【0064】
また、各位相シフト回路PS1~PS5は、それぞれの接続を介してアンテナ素子AE1~AE5の内のそれぞれ対応する1つに接続されている。例えば、位相シフト回路132Aは、接続132Aを介してアンテナ素子AE1へ接続され、位相シフト回路132Bは、接続132Bを介してアンテナ素子AE2へ接続され、位相シフト回路132Cは、接続132Cを介してアンテナ素子AE3へ接続され、位相シフト回路132Dは、接続132Dを介してアンテナ素子AE4へ接続され、位相シフト回路132Eは、接続132Eを介してアンテナ素子AE5へ接続されている。
【0065】
コントローラ106は、周波数レベル(動作周波数など)および電力レベルをHFPS102へ提供する。一例として、周波数レベルは、HFPS102によって生成されるRF信号120の周波数の統計値(平均値または中央値など)である。例として、周波数レベルは、HFPS102の動作周波数である。別の例として、電力レベルは、HFPS102によって生成されるRF信号120の電力値の振幅(ピークツーピーク値またはゼロツーピーク値など)である。周波数レベルおよび電力レベルがコントローラ106によって受信された後、HFPS102は、その周波数レベルおよび電力レベルを有するRF信号120を生成し、接続128を介して接続点CP1へRF信号120を送信する。
【0066】
接続点CP1において、RF信号120は、複数の入力信号122A、122B、122C、122D、および、122Eに分割される。各入力信号122A、122B、122C、122D、および、122Eは、RF信号であり、所定の量から所定の範囲内にある電力量を有する。例えば、各入力信号122A~122Eは、等しいまたは同じ電力量を有する。
【0067】
コントローラ106は、接続126A~126Eのそれぞれを介して、適用されるそれぞれの位相シフト量を位相シフト回路PS1~PS5の内のそれぞれ対応する1つへ提供する。それぞれの位相シフト量が、入力信号122A~122Eのそれぞれに適用される。例えば、コントローラ106は、入力信号122Aの位相Φ1をシフトさせないよう、接続126Aを介して位相シフト回路PS1へ制御信号を送信する。この例において、コントローラ106は、入力信号122Aの位相に対して第1所定量ΔΦだけ入力信号122Bの位相をシフトさせるように、接続126Bを介して位相シフト回路PS2に制御信号を送信し、入力信号122Aの位相に対して第2所定量だけ入力信号122Cの位相をシフトさせるように、接続126Cを介して位相シフト回路PS3に制御信号を送信し、入力信号122Aの位相に対して第3所定量だけ入力信号122Dの位相をシフトさせるように、接続126Dを介して位相シフト回路PS4に制御信号を送信し、入力信号122Aの位相に対して第4所定量だけ入力信号122Eの位相をシフトさせるように、接続126Eを介して位相シフト回路PS5に制御信号を送信する。例として、第2所定量は、第1所定量の2倍であり、第3所定量は、第1所定量の3倍であり、第4所定量は、第1所定量の4倍である。
【0068】
一例として、第1信号の位相は、第1信号が第2信号に対して遅延され、または、第2信号が第1信号に対して遅延された場合、第2信号の位相に対してシフトする。例として、第1信号は、時刻t1に電力振幅P1aおよび時刻t2に電力振幅P1bを有し、第2信号は、時刻t1に電力振幅P2aおよび時刻t2に電力振幅P2bを有する。時刻t2は、時刻t1の後の時刻である。この例において、第2信号に対して第1信号の位相をシフトさせた後、第1信号の電力振幅P1aは、時刻t1ではなく時刻t2に発生し、または、第2信号の電力振幅P2aは、時刻t1ではなく時刻t2に発生する。
【0069】
位相シフト回路PS1~PS5の各々は、コントローラ106から受信された位相シフト量の内のそれぞれ対応する量だけ入力信号122A~122Eの内のそれぞれ対応する信号の位相をシフトさせて、位相シフト信号124A、124B、124C、124D、および、124Eの内のそれぞれ対応する信号を出力する。例えば、位相シフト回路PS1は、入力信号122Aの位相をシフトさせずに位相シフト信号124Aを出力し、位相シフト回路PS2は、入力信号122Aの位相に対して第1所定量だけ入力信号122Bの位相をシフトさせて位相シフト信号124Bを出力し、位相シフト回路PS3は、入力信号122Aの位相に対して第2所定量だけ入力信号122Cの位相をシフトさせて位相シフト信号124Cを出力する。また、この例において、位相シフト信号124Aは、入力信号122Aと同じ位相を有する。この例において、位相シフト回路PS4は、入力信号122Aの位相に対して第3所定量だけ入力信号122Dの位相をシフトさせて位相シフト信号124Eを出力し、位相シフト回路PS5は、入力信号122Aの位相に対して第4所定量だけ入力信号122Eの位相をシフトさせて位相シフト信号124Eを出力する。
【0070】
位相シフト回路PS1~PS5の各々は、位相シフト信号124A~124Eの内のそれぞれ対応する1つをアンテナ素子AE1~AE5の内のそれぞれ対応する1つに提供する。例えば、位相シフト回路PS1は、位相シフト信号124Aをアンテナ素子AE1に提供し、位相シフト回路PS2は、位相シフト信号124Bをアンテナ素子AE2に提供し、位相シフト回路PS3は、位相シフト信号124Cをアンテナ素子AE3に提供し、位相シフト回路PS4は、位相シフト信号124Dをアンテナ素子AE4に提供し、位相シフト回路PS5は、位相シフト信号124Eをアンテナ素子AE5に提供する。
【0071】
位相シフト信号124A~124Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、エッジリング104を介してRF波形を出力する。例えば、位相シフト信号124Aを受信すると、アンテナ素子AE1は、エッジリング104に向かって第1RF波形を出力する。また、この例において、位相シフト信号124Bを受信すると、アンテナ素子AE2は、エッジリング104に向かって第2RF波形を出力し、位相シフト信号124Cを受信すると、アンテナ素子AE3は、エッジリング104に向かって第3RF波形を出力する。この例において、位相シフト信号124Dを受信すると、アンテナ素子AE4は、エッジリング104に向かって第4RF波形を出力し、位相シフト信号124Eを受信すると、アンテナ素子AE5は、エッジリング104に向かって第5RF波形を出力する。
【0072】
エッジリング104は、第1~第5RF波形のRF電力を組み合わせて(例えば、重ね合わせて)、プラズマチャンバで形成されるプラズマに向かって垂直方向に主ビームMB1(図1A-1)を出力する。主ビームMB1は、ローブである。主ビームMB1は、アンテナ素子AE3の重心を通過する垂直軸134に対して角度+θ(図1A-1)に方向付けられる。
【0073】
位相シフト回路PS1~PS5によって入力信号122A~122Eの内のそれぞれ対応する1つへ適用される位相シフトの量を制御することにより、垂直軸134に対する主ビームMB1の角度+θが制御(増大または減少など)される。例えば、位相シフトの第3所定量が、入力信号122Aの位相の2倍ではなく入力信号122Aの位相の3倍である場合、主ビームMB1の角度+θは、図1A-1に示すよりもさらに左に移動することによって垂直軸134に対して増大する。別の例として、位相シフトの第3所定量が、入力信号122Aの位相の2倍ではなく入力信号122Aの位相の1.5倍である場合、主ビームMB1の角度+θは、図1A-1に示すよりもさらに右に移動することによって垂直軸134に対して減少する。
【0074】
一実施形態において、所定量から所定の範囲内の量の電力が位相シフト回路PS1~PS5の内のそれぞれ対応する1つによって接続点CP1から受信されることを可能にするために、接続130A~130Eの各々の長さが較正動作中に較正される。例えば、接続130Aは第1長さを有し、接続130Bは第2長さを有し、第1長さおよび第2長さは、接続点CP1から接続130Aを介して位相シフト回路PS1へ入力信号122Aの第1量の電力を伝送し、接続点CP2から接続130Bを介して位相シフト回路PS2へ入力信号122Bの第2量の電力を伝送することを可能にするように、較正される。第1量は、第2量と等しい。接続130A~130Eの長さは、プラズマチャンバ内で基板Sを処理する前に較正される。
【0075】
一実施形態において、接続130A~130Eの長さは、電力センサから受信された測定値に基づいて較正および決定される。例えば、較正動作中、各位相シフト回路PS1~PS5の入力が、それぞれ対応する電力センサに接続される。例として、第1電力センサが、位相シフト回路PS1の第1入力に接続され、第2電力センサが位相シフト回路PS2の第2入力に接続される。その例において、第1入力は、接続130Aに接続され、第2入力は、接続130Bに接続されている。また、その例において、接続点CP1は、第1長さの接続130Aを介して位相シフト回路PS1の第1入力に接続され、接続点CP2は、第2長さの接続130Bを介して位相シフト回路PS2の第2入力に接続されている。その例において、コントローラ106は、第1および第2電力センサに接続される。さらに、その例において、コントローラ106は、電力センサの内のそれぞれから受信した電力量が所定の量から所定の範囲内にあるか否かを判定する。さらなる例として、コントローラ106は、第1電力センサから受信した第1電力量が第2電力センサから受信した第2電力量と等しいか否かを判定する。さらなる例において、第1電力量が第2電力量と等しいと判定すると、コントローラ106は、接続130Aが第1長さを有し、接続130Bが第2長さを有することを決定する。
【0076】
一実施形態において、主ビームに加えて、複数の二次ビームが生成される。二次ビームは、主ビームのローブと比べて小さいローブを有する。
【0077】
図1Bは、プラズマチャンバ内の主ビームMB1およびエッジリング104を説明するためにシステム140の一実施形態を示す図である。システム140は、エッジリング104、HFPS102、位相シフタ108、および、アンテナアレイ110を備える。エッジリング104は形状が環状であり、したがって、エッジリング104の断面図を見ると、エッジリング104の2つの部分104Aおよび104Bが見えることに注意されたい。部分104Aは、図1Bにおいて左エッジリング104として示され、第2部分104Bは、図1Bにおいて右エッジリング104として示されている。例えば、エッジリング104は、中心軸142に関して対称である。この例において、中心軸142は、エッジリング104の側面SS1によって形成された円の中心またはエッジリング104の側面SS2によって形成された円の中心に位置する。また、各アンテナ素子AE1~AE5は、形状が環状である。一例として、各アンテナ素子AE1~AE5は、貫通孔を備えたリングの形状を有する。
【0078】
RF信号120が生成されて供給されると、主ビームMB1が生成される。主ビームMB1は、エッジリング104全体にわたって垂直軸に対して角度+θを形成する。例えば、主ビームMB1は、形状が環状である。さらなる例として、主ビームMB1は、y軸の垂直方向に伸び、エッジリング104の外周に沿って水平に広がる。この例において、複数の垂直軸(垂直軸134など)が、エッジリング104の外周に沿って伸びることで、エッジリング104の外周に沿って垂直平面を形成する。さらに、この例において、垂直軸134は、部分104A上の点144Aを通過し、垂直軸134は、部分104B上の点144Bを通過している。この例において、点144Aおよび144Bの各々は、垂直軸142から半分の距離に位置する。また、この例において、半分の距離は、エッジリング104の外径とエッジリング104の内径との間の距離の半分の距離である。さらに、この例において、内径は、垂直軸142から測定した側面SS2の半径の2倍であり、外径は、垂直軸142から測定した側面SS1の半径の2倍である。この例において、各点144Aおよび144Bにおいて、主ビームMB1は、垂直軸134に対して角度+θを形成する。
【0079】
図1Cは、垂直軸134に対して負の角度-θを形成する主ビームMB2の形成を説明するためにシステム140の一実施形態を示す図である。コントローラ106は、接続126A~126Eのそれぞれを介して(図1A-2)、入力信号122A~122Eの内のそれぞれ対応する1つに適用される位相シフト量を位相シフト回路PS1~PS5の内のそれぞれ対応する1つへ提供する。例えば、コントローラ106は、入力信号122Eの位相Φ2をシフトさせないよう、接続126Eを介して位相シフト回路PS5へ制御信号を送信する。この例において、コントローラ106は、入力信号122Eの位相に対して第1所定量ΔΦだけ入力信号122Dの位相をシフトさせるように、接続126Dを介して位相シフト回路PS4に制御信号を送信し、入力信号122Eの位相に対して第2所定量だけ入力信号122Cの位相をシフトさせるように、接続126Cを介して位相シフト回路PS3に制御信号を送信し、入力信号122Eの位相に対して第3所定量だけ入力信号122Bの位相をシフトさせるように、接続126Bを介して位相シフト回路PS2に制御信号を送信し、入力信号122Eの位相に対して第4所定量だけ入力信号122Aの位相をシフトさせるように、接続126Aを介して位相シフト回路PS1に制御信号を送信する。例として、第2所定量は、第1所定量の2倍であり、第3所定量は、第1所定量の3倍であり、第4所定量は、第1所定量の4倍である。
【0080】
位相シフト回路PS1~PS5の各々は、コントローラ106から受信された位相シフト量の内のそれぞれ対応する量だけ入力信号122A~122Eの内のそれぞれ対応する信号の位相をシフトさせて、位相シフト信号152A、152B、152C、152D、および、152Eの内のそれぞれ対応する信号を出力する。例えば、位相シフト回路PS5は、入力信号122Eの位相をシフトさせずに位相シフト信号152Eを出力し、位相シフト回路PS4は、入力信号122Aの位相に対して第1所定量だけ入力信号122Dの位相をシフトさせて位相シフト信号152Dを出力し、位相シフト回路PS3は、入力信号122Aの位相に対して第2所定量だけ入力信号122Cの位相をシフトさせて位相シフト信号152Cを出力する。また、この例において、位相シフト信号152Eは、入力信号122Eと同じ位相を有する。この例において、位相シフト回路PS2は、入力信号122Aの位相に対して第3所定量だけ入力信号122Bの位相をシフトさせて位相シフト信号152Bを出力し、位相シフト回路PS1は、入力信号122Eの位相に対して第4所定量だけ入力信号122Aの位相をシフトさせて位相シフト信号152Aを出力する。
【0081】
位相シフト回路PS1~PS5の各々は、位相シフト信号152A~152Eの内のそれぞれ対応する1つをアンテナ素子AE1~AE5の内のそれぞれ対応する1つに提供する。例えば、位相シフト回路PS1は、位相シフト信号152Aをアンテナ素子AE1に提供し、位相シフト回路PS2は、位相シフト信号152Bをアンテナ素子AE2に提供し、位相シフト回路PS3は、位相シフト信号152Cをアンテナ素子AE3に提供し、位相シフト回路PS4は、位相シフト信号152Dをアンテナ素子AE4に提供し、位相シフト回路PS5は、位相シフト信号152Eをアンテナ素子AE5に提供する。
【0082】
位相シフト信号152A~152Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、エッジリング104を介してRF波形を出力する。例えば、位相シフト信号152Aを受信すると、アンテナ素子AE1は、エッジリング104に向かって第1RF波形を出力する。また、この例において、位相シフト信号152Bを受信すると、アンテナ素子AE2は、エッジリング104に向かって第2RF波形を出力し、位相シフト信号152Cを受信すると、アンテナ素子AE3は、エッジリング104に向かって第3RF波形を出力する。この例において、位相シフト信号152Dを受信すると、アンテナ素子AE4は、エッジリング104に向かって第4RF波形を出力し、位相シフト信号152Eを受信すると、アンテナ素子AE5は、エッジリング104に向かって第5RF波形を出力する。この例において、エッジリング104は、第1~第5RF波形を組み合わせて、プラズマチャンバ内で形成されるプラズマに向かって主ビームMB2を出力する。主ビームMB2は、ローブであり、垂直軸134に対して角度-θに方向付けられる。角度-θは、x軸の負のx方向と逆向きの正のx方向へy軸に対して形成される。角度+θは、負のx方向へy軸に対して形成される。x軸は、y軸と垂直である。x軸およびy軸の各々は、z軸と垂直である。
【0083】
図1Dは、主ローブがプラズマシース162に印加される前のプラズマシース162の一実施形態を示す図である。プラズマシース162は、凸型の形状であり、中央部に高電圧(V)および縁部に低電圧を有する。高電圧は、低電圧よりも高い。
【0084】
図1Eは、主ビームMB1が印加された後のプラズマシース164の一実施形態を示す図である。主ビームMB1は、プラズマシース162の縁部における低電圧を高電圧に増大させてプラズマシース162の均一性を高めるために、プラズマシース162の縁部に向かって方向付けられる。プラズマシース162の均一性の増大に伴って、プラズマシース164が、プラズマチャンバ内で生成され、基板Sは、プラズマシース164で均一に処理される。例えば、基板Sのフィーチャにおける傾斜が、主ビームMB1をプラズマへ方向付けることによって低減される。この例において、傾斜は、主ビームMB1の印加のない場合のプラズマによって生成される。
【0085】
図1Fは、主ローブがプラズマシース166に印加される前のプラズマシース166の一実施形態を示す図である。プラズマシース166は、凹型の形状であり、縁部に高電圧および中央部に低電圧を有する。
【0086】
図1Gは、主ビームMB1が印加された後のプラズマシース168の一実施形態を示す図である。主ビームMB1は、プラズマシース166の中央部における低電圧を高電圧に増大させてプラズマシース166の均一性を高めるために、プラズマシース166の中央部に向かって方向付けられる。プラズマシース166の均一性の増大に伴って、プラズマシース168が、プラズマチャンバ内で生成され、基板Sは、プラズマシース168で均一に処理される。
【0087】
図2は、基板支持体206と共にアンテナアレイ110の利用を説明するためにシステム200の一実施形態を示す図である。システム200は、基板支持体206、エッジリング104、HFPS102、RF発生器(RFG)202、および、整合器204を備える。
【0088】
基板支持体206の一例は、静電チャック(ESC)などのチャックを含む。基板支持体206の中には、下側電極が埋め込まれており、下側電極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から加工されている。基板支持体206は、側面214、上面216、および、底面218を有する。上面216は、プラズマチャンバ内で形成されるプラズマに対向し、底面218は、プラズマから離れる方向に向いている。側面214は、上面216と底面218との間にある。
【0089】
RFG202の一例は、キロヘルツ(kHz)範囲またはメガヘルツ(MHz)範囲の動作周波数を有する発生器である。例えば、RFGは、400kHzまたは2MHzまたは27MHzまたは60MHzの動作周波数を有する。
【0090】
整合器204は、入力208Aおよび出力208Bを有する。本明細書で用いられる整合器は、インダクタ、キャパシタ、および、抵抗器などの回路素子のネットワークである。例えば、整合器は、1または複数のシャント回路と、1または複数の直列回路と、を備える。各シャント回路は、回路素子の内の1または複数を有しており、各直列回路もそうである。整合器の分岐回路が、1または複数のシャント回路もしくは1または複数の直列回路もしくはそれらの組み合わせを含んでおり、入力208Aと出力208Bとの間に接続されている。
【0091】
RFG202は、RFケーブル210を介して整合器204の入力208Aに接続されている。また、整合204の出力208Bは、RF伝送線路212を介して基板支持体206の下側電極に接続されている。本明細書で用いられるRF伝送線路の一例は、絶縁材料で取り囲まれたRFロッドを備えており、絶縁材料は、RFシースに取り囲まれている。別の例として、RF伝送線路は、RFシースによって取り囲まれたRFロッドを備えており、RFロッドは、RFシリンダに接続されている。この例において、RFシリンダは、基板支持体206の下側電極に接続されている。さらに別の例として、RF伝送線路は、RFシースによって取り囲まれたRFロッドを備えており、RFロッドは、RFストラップを介してRFシリンダに接続されている。この例において、RFシリンダは、基板支持体206の下側電極に接続されている。さらに、この例において、RFロッドは、RFストラップを介して整合器204の出力208Bに接続されている。
【0092】
エッジリング104は、基板支持体206を取り囲んでいる。例えば、側面SSsは、基板支持体206の側面214に隣接しており、したがって、エッジリング104は、基板支持体206に隣接している。例えば、側面SS2の直径は、側面214の直径よりも大きい。側面214の直径は、基板支持体206の直径である。別の例として、基板支持体206とエッジリング104との間に導電リングが存在しない。さらなる例として、基板支持体206とエッジリング104との間に誘電リングが存在するが、導電性のリングは存在しない。エッジリング104の上面TS1のx軸に沿った水平レベルは、基板支持体206の上面216のx軸に沿った水平レベルよりも低い。
【0093】
RF発生器202は、RF信号220を生成し、そのRF信号220を入力208Aへ送信する。整合器204は、RF信号220を受信し、負荷のインピーダンスをソースのインピーダンスと整合させて、RF信号220のインピーダンスを変調する。負荷の例は、RF伝送線路212と、基板支持体206、エッジリング104、および、アンテナアレイ110を有するプラズマチャンバとを含む。ソースの例は、RFケーブル210およびRF発生器202を含む。RF信号220のインピーダンスは、変調RF信号222を出力するために変調される。変調RF信号222は、出力208BおよびRF伝送線路212を介して基板支持体206の下側電極へ送信される。
【0094】
基板Sが基板支持体206の上面216上に配置された後、1または複数の処理ガス(酸素含有ガス、金属含有ガス、窒素含有ガス、または、それらの組み合わせ、など)がプラズマチャンバに供給される。1または複数の処理ガスが変調RF信号222に加えて供給されると、プラズマが、プラズマチャンバ内で点火または維持される。変調RF信号222の供給に加えて、主ビーム(主ビームMB1またはMB2など)が、プラズマチャンバ内で生成され、均一性を達成するためにエッジリング104から基板Sに向かって方向付けられる。
【0095】
一実施形態において、アンテナアレイ110は、エッジリング104の代わりに基板支持体206(図2)に結合(取り付けまたは固定または埋め込み、など)されている。例えば、アンテナアレイ110は、ネジまたは接着剤またははんだ付けまたはそれらの組み合わせによって、基板支持体206に固定されている。その実施形態において、整合器204およびRFG303は、基板支持体206から切り離されている。基板支持体206へのkHzまたはMHzRF信号の供給はない。
【0096】
一実施形態において、別のアンテナアレイ(アンテナアレイ110と同じ構造および機能を有する)が、基板支持体206に接続されている。また、別の位相シフタ(位相シフタ108と同じ構造および機能を有する)が、上記の別のアンテナアレイに接続されている。一実施形態において、別のHPFS(HFPS102と同じ構造および機能を有する)が、上記の別の位相シフタに接続されている。また、その実施形態において、アンテナアレイ110は、エッジリング104に接続されている。その実施形態において、2つの主ビーム(第1主ビームおよび第2主ビームなど)が生成される。第1主ビームは、上記の別のアンテナアレイによって生成され、第2主ビームは、アンテナアレイ110によって生成される。その実施形態において、上記の別の位相シフタは、位相シフタ108と同じ方法で制御される。上記の別の位相シフタは、第1および第2主ビームが互いに同相になるように、位相シフタ108と同期されるよう、位相シフタ108と同じ方法で制御される。第1および第2主ビームが互いに同相である時、基板Sのフィーチャ(チャネルなど)における傾斜は、おおよそゼロまたはゼロまで低減される。また、上記の別の位相シフタと位相シフタ108との間に同期がない時、フィーチャの平均傾斜は、ゼロまたはおおよそゼロであり、フィーチャの各々はより幅広くなる。フィーチャの各々は、上記の別の位相シフタが位相シフタ108と同じ方法で制御された時に達成されるフィーチャの各々の幅と比較して直径が広い。
【0097】
図3A-1は、減衰器アレイ302を説明するためにシステム300の一実施形態を示す図である。システム300は、コントローラ106、HFPS102、減衰器アレイ302、位相シフタ108、アンテナアレイ110、および、エッジリング104を備える。
【0098】
HFPS102は、接続点CP1を介して減衰器アレイ302に接続されている。減衰アレイ302は、位相アレイ108に接続されている。また、コントローラ106は、減衰アレイ302に接続されている。
【0099】
図3A-2は、減衰器アレイ302の動作の詳細を説明するためにシステム310の一実施形態を示す図である。システム310は、コントローラ106、HFPS102、減衰器アレイ302、位相アレイ108、および、アンテナアレイ110を備える。減衰器アレイ302は、複数の減衰器AT1、AT2、AT3、AT4、および、AT5を含む。減衰器の例は、抵抗器または抵抗器のグループを含む。例として、抵抗器のグループは、互いに直列に接続された2以上の抵抗器を含む。別の例として、抵抗器のグループは、互いに並列に接続された2以上の抵抗器を含む。さらに別の例として、抵抗器のグループは、互いに直列に接続された2以上の抵抗器の第1セットと、互いに並列に接続された2以上の抵抗器の第2セットと、を含む。その例において、第1セットは、第2セットに接続されている。本明細書で用いられる抵抗器の例は、固定抵抗器および可変抵抗器を含む。
【0100】
コントローラ106は、別個の接続を介して減衰器AT1~AT5のそれぞれに接続されている。例えば、コントローラ106は、接続312Aを介して減衰器AT1に接続され、接続312Bを介して減衰器AT2に接続され、接続312Cを介して減衰器AT3に接続され、接続312Dを介して減衰器AT4に接続され、接続312Eを介して減衰器AT5に接続されている。
【0101】
接続点CP1は、別個の接続を介して減衰器AT1~AT5のそれぞれに接続されている。例えば、接続点CP1は、接続130Aを介して減衰器AT1に接続され、接続130Bを介して減衰器AT2に接続され、接続130Cを介して減衰器AT3に接続され、接続130Dを介して減衰器AT4に接続され、接続130Eを介して減衰器AT5に接続されている。
【0102】
減衰器AT1~AT5の各々は、別個の接続を介して位相シフト回路PS1~PS5のそれぞれ対応する1つに接続されている。例えば、減衰器AT1は、接続316Aを介して位相シフト回路PS1に接続され、減衰器AT2は、接続316Bを介して位相シフト回路PS2に接続され、減衰器AT3は、接続316Cを介して位相シフト回路PS3に接続され、減衰器AT4は、接続316Dを介して位相シフト回路PS4に接続され、減衰器AT5は、接続316Eを介して位相シフト回路PS5に接続されている。
【0103】
HFPS120は、接続128を介して接続点CP1へRF信号120を供給する。接続点CP1において、RF信号120は、入力信号122A~122Eに分割される。
【0104】
コントローラ106は、入力信号122A~122Eの内のそれぞれ対応する1つに適用される振幅のゲインを達成するためのそれぞれの制御信号を、接続312A~312Eの内のそれぞれ対応する1つを介して送信する。それぞれの制御信号は、減衰器AT1~AT5の内のそれぞれ対応する1つに適用される。例えば、コントローラ106は、入力信号122Aの振幅にゲインG1を適用するために接続312Aを介して減衰器AT1へ制御信号318Aを送信し、入力信号122Bの振幅にゲインG2を適用するために接続312Bを介して減衰器AT2へ制御信号318Bを送信し、入力信号122Cの振幅にゲインG3を適用するために接続312Cを介して減衰器AT3へ制御信号318Cを送信し、入力信号122Dの振幅にゲインG4を適用するために接続312Dを介して減衰器AT4へ制御信号318Dを送信し、入力信号122Eの振幅にゲインG5を適用するために接続312Eを介して減衰器AT5へ制御信号318Eを送信する。信号の振幅の例は、ピークツーピーク振幅またはゼロツーピーク振幅である。一例として、減衰器によって適用されるゲインは、減衰器を通る信号の電力の振幅の低減である。例として、ゲインは、減衰器を通過する信号の電力の振幅の減衰である。さらなる例として、ゲインは、所定の量に従って電力を低減するために或る抵抗量が信号の電力に適用される際に基づく負の値である。そのさらなる例において、所定の量は、負の値である。別の例として、制御信号318A~318Eの各々は、減衰器AT1~AT5の内のそれぞれ対応する1つのそれぞれの抵抗量に基づいて生成される。減衰器AT1~AT5の内のそれぞれ対応する1つの抵抗に基づいて、ゲインG1~G5の内の1つが達成される。
【0105】
減衰器AT1~AT5の各々は、それぞれの抵抗量を適用してゲインG1~G5の内のそれぞれ対応する1つを達成することで、複数の減衰信号322A、322B、322C、322D、および、322Eの内のそれぞれ対応する1つをさらに出力する。例えば、減衰器AT1は、第1抵抗を適用してゲインG1を達成することで、減衰信号322Aをさらに出力し、減衰器AT1は、第2抵抗を適用してゲインG2を達成することで、減衰信号322Bをさらに出力する。例として、減衰器AT1は、第1量の抵抗を入力信号122Aに適用して減衰信号322Aを出力し、第2量の抵抗を入力信号122Bに適用して減衰信号322Bを出力する。
【0106】
さらに、コントローラ106は、接続126A~126E(図1A-2)のそれぞれを介して、減衰信号322A~322Eの内のそれぞれ対応する1つに適用される位相シフトの量を提供する。位相シフトの量は、位相シフト回路PS1~PS5の内の対応する1つに提供される。例えば、コントローラ106は、減衰信号322Aの位相Φ1をシフトさせないよう、接続126Aを介して位相シフト回路PS1へ制御信号を送信する。この例において、コントローラ106は、減衰信号322Aの位相に対して第1所定量ΔΦだけ減衰信号322Bの位相をシフトさせるように、接続126Bを介して位相シフト回路PS2に制御信号を送信し、減衰信号322Aの位相に対して第2所定量だけ減衰信号322Cの位相をシフトさせるように、接続126Cを介して位相シフト回路PS3に制御信号を送信し、減衰信号322Aの位相に対して第3所定量だけ減衰信号322Dの位相をシフトさせるように、接続126Dを介して位相シフト回路PS4に制御信号を送信し、入力信号322Aの位相に対して第4所定量だけ減衰信号322Eの位相をシフトさせるように、接続126Eを介して位相シフト回路PS5に制御信号を送信する。
【0107】
位相シフト回路PS1~PS5の各々は、コントローラ106から受信された位相シフト量の内のそれぞれ対応する量だけ減衰信号322A~322Eの内のそれぞれ対応する信号の位相をシフトさせて、位相シフト信号324A、324B、324C、324D、および、324Eの内のそれぞれ対応する信号を出力する。例えば、位相シフト回路PS1は、減衰信号322Aの位相をシフトさせずに位相シフト信号324Aを出力し、位相シフト回路PS2は、減衰信号322Aの位相に対して第1所定量だけ減衰信号322Bの位相をシフトさせて位相シフト信号324Bを出力し、位相シフト回路PS3は、減衰信号322Aの位相に対して第2所定量だけ減衰信号322Cの位相をシフトさせて位相シフト信号324Cを出力する。また、この例において、位相シフト信号324Aは、減衰信号322Aと同じ位相を有する。この例において、位相シフト回路PS4は、減衰信号322Aの位相に対して第3所定量だけ減衰信号322Dの位相をシフトさせて位相シフト信号324Eを出力し、位相シフト回路PS5は、減衰信号122Aの位相に対して第4所定量だけ減衰信号322Eの位相をシフトさせて位相シフト信号324Eを出力する。
【0108】
位相シフト回路PS1~PS5の各々は、位相シフト信号324A~324Eの内のそれぞれ対応する1つをアンテナ素子AE1~AE5の内のそれぞれ対応する1つに提供する。例えば、位相シフト回路PS1は、位相シフト信号324Aをアンテナ素子AE1に提供し、位相シフト回路PS2は、位相シフト信号324Bをアンテナ素子AE2に提供し、位相シフト回路PS3は、位相シフト信号324Cをアンテナ素子AE3に提供し、位相シフト回路PS4は、位相シフト信号324Dをアンテナ素子AE4に提供し、位相シフト回路PS5は、位相シフト信号324Eをアンテナ素子AE5に提供する。
【0109】
位相シフト信号324A~324Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、エッジリング104を介してRF波形を出力する。例えば、位相シフト信号324Aを受信すると、アンテナ素子AE1は、エッジリング104に向かって第1RF波形を出力する。また、この例において、位相シフト信号324Bを受信すると、アンテナ素子AE2は、エッジリング104に向かって第2RF波形を出力し、位相シフト信号324Cを受信すると、アンテナ素子AE3は、エッジリング104に向かって第3RF波形を出力する。この例において、位相シフト信号324Dを受信すると、アンテナ素子AE4は、エッジリング104に向かって第4RF波形を出力し、位相シフト信号324Eを受信すると、アンテナ素子AE5は、エッジリング104に向かって第5RF波形を出力する。
【0110】
一実施形態において、減衰器および減衰素子という用語は、本明細書では交換可能に用いられる。例えば、減衰器AT1~AT5の各々は、減衰素子である。
【0111】
一実施形態において、減衰器AT1~AT5の各々の位置は、位相シフト回路PS1~PS5の内のそれぞれ対応する1つに対して切り替えられる。例えば、位相シフタ108がアンテナアレイ110に接続される代わりに、減衰器アレイ302は、アンテナアレイ110に接続され、位相シフタ108は、接続点CP1に接続される。例えば、接続点CP1は、接続130Aを介して位相シフト回路PS1に接続され、位相シフト回路PS1は、接続316Aを介して減衰器AT1に接続される。さらに、この例において、減衰器AT1は、接続132Aを介してアンテナ素子AE1に接続される。別の例として、接続点CP2は、接続130Bを介して位相シフト回路PS2に接続され、位相シフト回路PS2は、接続316Bを介して減衰器AT2に接続される。さらに、この例において、減衰器AT2は、接続132Bを介してアンテナ素子AE2に接続される。
【0112】
一実施形態において、接続130A~130Eの各々は、所定量から所定の範囲内の量の電力が減衰器AT1~AT5の内のそれぞれ対応する1つによって受信されることを可能にするために、較正動作中に較正された長さを有する。例えば、接続130Aは第1長さを有し、接続130Bは第2長さを有し、第1長さおよび第2長さは、接続点CP1から接続130Aを介して減衰器AT1へ入力信号122Aの第1量の電力を伝送し、接続点CP2から接続130Bを介して減衰器AT2へ入力信号122Bの第2量の電力を伝送することを可能にするように、較正(調整など)される。第1量は、第2量と等しい。接続130A~130Eの長さは、基板Sを処理する前に較正動作中に較正される。
【0113】
一実施形態において、接続130A~130Eの長さは、電力センサから受信された測定値に基づいて較正および決定される。例えば、較正中、各減衰器AT1~AT5の入力が、それぞれ対応する電力センサに接続される。例として、第1電力センサは、接続130Aに接続されている減衰器AT1の第1入力に接続され、第2電力センサは、接続130Bに接続されている減衰器AT2の第2入力に接続される。また、その例において、接続点CP1は、第1長さの接続130Aと第1入力とを介して減衰器AT1に接続され、接続点CP2は、第2長さの接続130Bと第2入力とを介して減衰器AT2に接続される。その例において、コントローラ106は、第1および第2電力センサに接続される。さらに、その例において、コントローラ106は、第1および第2電力センサのそれぞれから受信した電力量が所定の量から所定の範囲内にあるか否かを判定する。さらなる例として、コントローラ106は、減衰器AT1の入力に接続された第1電力センサから受信した第1電力量が減衰器AT2の入力に接続された第2電力センサから受信した第2電力量と等しいか否かを判定する。さらなる例において、第1電力量が第2電力量と等しいと判定すると、コントローラ106は、接続130Aが第1長さを有し、接続130Bが第2長さを有することを決定する。
【0114】
一実施形態において、減衰器AT1~AT5のそれぞれから出力される電力の量が所定の範囲内になるまで、減衰器AT1~AT5のそれぞれによって適用される抵抗が決定または較正される。例えば、較正動作中、電力センサが、減衰器AT1~AT5のそれぞれの出力に接続される。具体例として、第1電力センサが、減衰器AT1の第1出力に接続され、第2電力センサが、減衰器AT2の第2出力に接続される。その具体例において、第1および第2電力センサは、コントローラ106に接続される。さらなる具体例として、第1電力センサは、接続316Aに接続されている第1出力に接続され、第2電力センサは、接続316Bに接続されている第2出力に接続される。さらに、その具体例において、較正動作中、第1電力量がコントローラ106によって第1センサから受信され、第2電力量がコントローラ106によって第2センサから受信される。続けてその具体例において、コントローラ106は、第1電力量が所定の範囲内にあるか否か、および、第2電力量が所定の範囲内にあるか否かを判定する。さらなる具体例として、コントローラ106は、第1電力量が第2電力量と等しいか否かを判定する。さらに、そのさらなる具体例において、第1電力量が所定の範囲内にあり、第2電力量が所定の範囲内にないと判定すると、コントローラ106は、減衰器AT2の抵抗を調整し(例えば、増大または減少させ)、減衰器AT1の抵抗を調整しない。そのさらなる具体例において、コントローラ106は、減衰器AT2の抵抗を変更するために、制御信号を減衰器AT2へ送信する。この例において、減衰器AT2の抵抗が調整された後、コントローラ106は、第2センサから別の電力測定値を受信し、電力測定値が所定の範囲内にあるか否かを判定する。このように、そのさらなる具体例において、コントローラ106は、第2センサから受信した電力量が所定の範囲内になるまで、減衰器AT2の抵抗を修正し続ける。そのさらなる具体例において、第2センサから受信した電力量が所定の範囲内にある場合、コントローラ106は、第2センサから受信した電力量が所定の範囲内にある時の減衰器AT2の第1抵抗値を記憶する。また、そのさらなる具体例において、コントローラ106は、第1センサから受信した電力量が所定の範囲内にある時の減衰器AT1の抵抗値を記憶する。続けてその実施形態およびさらなる具体例において、基板Sの処理中、コントローラ106は、第1抵抗値を有する制御信号318Bを減衰器AT2へ送信し、第2抵抗値を有する制御信号318Aを減衰器AT1へ送信する。このように、基板Sの処理中、減衰信号322Aの電力量は、所定の範囲内にあり、減衰信号322Bの電力量は、所定の範囲内にある。
【0115】
図3Bは、制御信号354によって示される抵抗量に基づいた減衰器352の抵抗の変化を説明するためにシステム350の一実施形態を示す図である。減衰器352は、減衰器AT1~AT5(図3A-2)のいずれかの一例である。制御信号354は、制御信号318A~318E(図3A-2)のいずれかの一例である。例えば、減衰器352が減衰器AT1である場合、制御信号354は、制御信号318Aの一例であり、減衰器352が減衰器AT2である場合、制御信号354は、制御信号318Bの一例である。
【0116】
減衰器352は、複数の抵抗器R1、R2、および、R3を有しており、各抵抗器は、異なる抵抗値を有する。コントローラ106は、スイッチSW1(トランジスタまたはトランジスタのグループなど)を介して減衰器352に接続されている。制御信号354が第1抵抗値を有する時、スイッチSW1は、第1抵抗値を有する抵抗器R1にスイッチSW1を接続するための位置にある。制御信号354が第2抵抗値を有する場合、スイッチSW1は、第2抵抗値を有する抵抗器R2にスイッチSW1を接続するための位置にある。また、制御信号354が第3抵抗値を有する場合、スイッチSW1は、第3抵抗値を有する抵抗器R3にスイッチSW1を接続するための位置にある。このように、減衰器352の抵抗は、スイッチ352の位置に伴って変化する。
【0117】
図4Aは、位相シフト回路400の一実施形態を示す回路図である。位相シフト回路400は、位相シフト回路PS1~PS5(図3A-2)のいずれかの一例である。位相シフト回路400は、上部入力410、下部入力412、上部出力406、および、下部出力408を有する。
【0118】
位相シフト回路400は、インダクタンスL/2を有する上部インダクタと、インダクタンスL/2を有する下部インダクタと、を備える。また、位相シフト回路400は、静電容量C/2を有する左キャパシタと、静電電気容量C/2を有する右キャパシタと、を備える。位相シフト回路400の上部インダクタは、位相シフト回路400の左キャパシタと右キャパシタとに接続されている。また、位相シフト回路400の下部インダクタも、位相シフト回路400の左キャパシタと右キャパシタとに接続されている。さらに、位相シフト回路400の上部インダクタは、上部入力410と上部出力406とに接続されている。また、位相シフト回路400の下部インダクタは、下部入力412と下部出力408とに接続されている。
【0119】
位相シフト回路400の上部入力410は、上部入力信号414を受信し、位相シフト回路400の下部入力412は、下部入力信号416を受信する。位相シフト回路400は、下部入力信号416の位相に対して上部入力信号414の位相をシフトさせて(例えば、変化させて)、上部出力406において上部出力信号418および下部出力408において下部出力信号420を出力する。上部出力信号418の位相は、下部出力信号420の位相に対して量Δaだけシフトされる。量Δaの一例が、以下のように提供される。
Δa=cos-1(1-(ωLC/2))・・・(1)
ここで、ωは、2πfに等しい角周波数であり、fは、HFPS102の動作周波数である。位相シフト量Δaは、位相シフトΔΦの一例である。
【0120】
図1A-2を参照すると、上部入力信号414の例は、入力信号122Bまたは122Cまたは122Dまたは122Eであり、下部入力信号416の例は、入力信号122Aまたは122Bまたは122Cまたは122Dである。具体例として、下部入力信号416が入力信号122Aである時、上部入力信号414は、入力信号122Bである。別の具体例として、下部入力信号416が入力信号122Bである時、上部入力信号414は、入力信号122Cである。
【0121】
図1A-2を参照すると、上部出力信号418の例は、位相シフト信号124Bまたは122Cまたは122Dまたは122Eであり、下部出力信号420の例は、位相シフト信号124Aまたは124Bまたは122Cまたは122Dである。具体例として、下部出力信号420が位相シフト信号124Aである時、上部出力信号418は、位相シフト信号124Bである。別の具体例として、下部出力信号420が位相シフト信号124Bである時、上部出力信号418は、位相シフト信号124Cである。
【0122】
図3A-2を参照すると、上部入力信号414の例は、減衰信号322Bまたは322Cまたは322Dまたは322Eであり、下部入力信号416の例は、減衰信号322Aまたは322Bまたは322Cまたは322Dである。具体例として、下部入力信号416が減衰信号322Aである時、上部入力信号414は、減衰信号322Bである。別の具体例として、下部入力信号416が減衰信号322Bである時、上部入力信号414は、減衰信号322Cである。
【0123】
図3A-2を参照すると、上部出力信号418の例は、位相シフト信号324Bまたは324Cまたは324Dまたは324Eであり、下部出力信号420の例は、位相シフト信号324Aまたは324Bまたは324Cまたは324Dである。具体例として、下部出力信号420が位相シフト信号324Aである時、上部出力信号418は、位相シフト信号324Bである。別の具体例として、下部出力信号420が位相シフト信号324Bである時、上部出力信号418は、位相シフト信号324Cである。
【0124】
図4Bは、位相シフト回路422の一実施形態を示す回路図である。位相シフト回路422は、位相シフト回路PS1~PS5(図3A-2)のいずれかの一例である。位相シフト回路422は、上部入力410、下部入力412、上部出力406、および、下部出力408を有する。
【0125】
位相シフト回路422は、インダクタンスLを有するインダクタと、抵抗Rを有する抵抗器と、を備える。また、位相シフト回路422のインダクタは、位相シフト回路422の上部入力410と上部出力406とに接続されている。さらに、位相シフト回路422の抵抗器は、位相シフト回路422のインダクタと、位相シフト回路422の上部出力406と、下部入力412と、下部出力408とに接続されている。
【0126】
位相シフト回路422の上部入力410は、上部入力信号414を受信し、位相シフト回路422の下部入力412は、下部入力信号416を受信する。位相シフト回路422は、下部入力信号416の位相に対して上部入力信号414の位相をシフトさせて(例えば、変化させて)、上部出力406において上部出力信号418および下部出力408において下部出力信号420を出力する。上部出力信号418の位相は、下部出力信号420の位相に対して量Δbだけシフトされる。量Δbの一例が、以下のように提供される。
Δb=-archtan(ωL/R)・・・(2)
位相シフトΔbは、位相シフトΔΦの別の例である。
【0127】
図4Cは、位相シフト回路424の一実施形態を示す回路図である。位相シフト回路424は、位相シフト回路PS1~PS5(図3A-2)のいずれかの一例である。位相シフト回路424は、上部入力410、下部入力412、上部出力406、および、下部出力408を有する。
【0128】
位相シフト回路424は、インダクタンスLを有するインダクタと、抵抗Rを有する抵抗器と、を備える。また、位相シフト回路424の抵抗器は、位相シフト回路424の上部入力410と上部出力406とに接続されている。さらに、位相シフト回路424のインダクタは、位相シフト回路424の抵抗と、位相シフト回路424の上部出力406と、下部入力412と、下部出力408とに接続されている。
【0129】
位相シフト回路424の上部入力410は、上部入力信号414を受信し、位相シフト回路424の下部入力412は、下部入力信号416を受信する。位相シフト回路424は、下部入力信号416の位相に対して上部入力信号414の位相をシフトさせて(例えば、変化させて)、上部出力406において上部出力信号418および下部出力408において下部出力信号420を出力する。上部出力信号418の位相は、下部出力信号420の位相に対して量Δcだけシフトされる。量Δcの一例が、以下のように提供される。
Δc=archtan(R/ωL)・・・(3)
位相シフトΔcは、位相シフトΔΦのさらに別の例である。
【0130】
図4Dは、位相シフト回路426の一実施形態を示す回路図である。位相シフト回路426は、位相シフト回路PS1~PS5(図3A-2)のいずれかの一例である。位相シフト回路426は、上部入力410、下部入力412、上部出力406、および、下部出力408を有する。
【0131】
位相シフト回路426は、静電容量Cを有するキャパシタと、抵抗Rを有する抵抗器と、を備える。また、位相シフト回路426のキャパシタは、位相シフト回路426の上部入力410と上部出力406とに接続されている。さらに、位相シフト回路426の抵抗器は、位相シフト回路426のキャパシタと、位相シフト回路426の上部出力406と、下部入力412と、下部出力408とに接続されている。
【0132】
位相シフト回路426の上部入力410は、上部入力信号414を受信し、位相シフト回路422の下部入力412は、下部入力信号416を受信する。位相シフト回路426は、下部入力信号416の位相に対して上部入力信号414の位相をシフトさせて(例えば、変化させて)、上部出力406において上部出力信号418および下部出力408において下部出力信号420を出力する。上部出力信号418の位相は、下部出力信号420の位相に対して量Δdだけシフトされる。量Δdの一例が、以下のように提供される。
Δd=archtan(1/ωRC)・・・(4)
位相シフトΔdは、位相シフトΔΦの別の例である。
【0133】
図4Eは、位相シフト回路428の一実施形態を示す回路図である。位相シフト回路428は、位相シフト回路PS1~PS5(図3A-2)のいずれかの一例である。位相シフト回路428は、上部入力410、下部入力412、上部出力406、および、下部出力408を有する。
【0134】
位相シフト回路428は、インダクタンスCを有するキャパシタと、抵抗Rを有する抵抗器と、を備える。また、位相シフト回路428の抵抗器は、位相シフト回路428の上部入力410と上部出力406とに接続されている。さらに、位相シフト回路428のキャパシタは、位相シフト回路428の抵抗器Rと、上部出力406と、下部入力412と、下部出力408とに接続されている。
【0135】
位相シフト回路428の上部入力410は、上部入力信号414を受信し、位相シフト回路428の下部入力412は、下部入力信号416を受信する。位相シフト回路428は、下部入力信号416の位相に対して上部入力信号414の位相をシフトさせて(例えば、変化させて)、上部出力406において上部出力信号418および下部出力408において下部出力信号420を出力する。上部出力信号418の位相は、下部出力信号420の位相に対して量Δeだけシフトされる。量Δeの一例が、以下のように提供される。
Δe=-archtan(ωRC)・・・(5)
位相シフトΔeは、位相シフトΔΦのさらに別の例である。
【0136】
図5Aは、2つの隣接する位相シフト回路の間のスイッチを用いた複数の位相シフト回路の制御を説明するためにシステム500の一実施形態を示す図である。システム500の一例は、Butler(商標)マトリクスである。システム500において、より大きいボックスは位相シフト回路を示し、より小さいボックスはスイッチを示している。システム500は、位相シフト回路のアレイと、スイッチのアレイと、を備える。
【0137】
任意の2つの隣接する位相シフト回路が、位相シフト回路の間のスイッチを介して互いに接続されうる。3つの経路502、504、および、506が、3つの異なる位相シフトを達成するために、スイッチを介して複数の位相シフト回路を接続することによって形成されうる。例えば、経路502は、位相シフト回路A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、および、H1を互いに接続することによって形成される。具体例として、ゼロより大きい位相シフトΔΦを達成するために、位相シフト回路A1は、スイッチSW1を介して位相シフト回路B1に接続され、位相シフト回路B1は、スイッチSW2を介して位相シフト回路C1に接続され、位相シフト回路C1は、スイッチSW3を介して位相シフト回路D1に接続され、位相シフト回路D1は、スイッチSW4を介して位相シフト回路E1に接続され、位相シフト回路E1は、スイッチSW5を介して位相シフト回路F1に接続され、位相シフト回路F1は、スイッチSW6を介して位相シフト回路G1に接続され、位相シフト回路G1は、スイッチSW7を介して位相シフト回路H1に接続される。同様に、ゼロに等しい位相シフトΔΦを達成するために、システム500の別のセットの位相シフト回路が、システム500の別のセットのスイッチを介して互いに接続される。また、ゼロよりも大きい位相シフトΔΦを達成するために、システム500のさらに別のセットの位相シフト回路が、システム500の別のセットのスイッチを介して互いに接続される。
【0138】
図5Bは、2つの隣接する位相シフト回路の間の接続を説明するためにシステム550の一実施形態を示す図である。システム500は、位相シフト回路552、位相シフト回路554、および、位相シフト回路556を備える。位相シフト回路552は、位相シフト回路(図5Aに示した位相シフト回路A1~H1など)のいずれかの一例である。位相シフト回路554は、位相シフト回路(図5Aに示した位相シフト回路A1~H1など)のいずれかの一例である。また、位相シフト回路556は、位相シフト回路(図5Aに示した位相シフト回路A1~H1など)のいずれかの一例である。
【0139】
システム550は、さらに、スイッチ558および別のスイッチ560を備える。一例として、各スイッチ558および560は、トランジスタである。スイッチ558は、図5Aのシステム500のスイッチSW1~SW7のいずれかの一例である。同様に、スイッチ560は、システム500のスイッチSW1~SW7のいずれかの一例である。
【0140】
位相シフト回路400、422、424,426、および、428はいずれも、位相シフト回路552の例である。位相シフト回路400、422、424,426、および、428はいずれも、位相シフト回路554の例である。また、位相シフト回路400、422、424,426、および、428はいずれも、位相シフト回路556の例である。
【0141】
位相シフト回路554は、位相シフト回路552に隣接している。例えば、位相シフト回路552と554との間には位相シフト回路がなく、位相シフト回路552と554との間にスイッチ558がある。同様に、位相シフト回路556は、位相シフト回路554に隣接している。
【0142】
コントローラ106は、スイッチ558およびスイッチ560に接続されている。コントローラ106は、スイッチ558をオンにするための接続信号562をスイッチ558に送信する。スイッチ558がオンにされると、位相シフト回路552を位相シフト回路554と接続するために、上部出力信号が、位相シフト回路552から位相シフト回路554へ伝送され、下部出力信号が、位相シフト回路552から位相シフト回路554へ伝送される。その一方で、コントローラ106は、スイッチ558をオフにするための切断信号564をスイッチ558に送信する。スイッチ558がオフにされると、位相シフト回路554を位相シフト回路552から切り離すために、上部出力信号は、位相シフト回路552から位相シフト回路554へ伝送されず、下部出力信号は、位相シフト回路552から位相シフト回路554へ伝送されない。同様に、コントローラ106は、位相シフト回路554を位相シフト回路556に接続するための接続信号をスイッチ560に送信し、位相シフト回路556を位相シフト回路556から切り離すための切断信号をスイッチ560に送信する。
【0143】
図6Aは、主ビームMB3および別の主ビームMB4の生成を説明するためにシステム600の一実施形態を示す図である。システム600は、CCPチャンバを備える。CCPチャンバは、さらに、C-シュラウド602、上側電極(U.E.)604、上側電極延長部(U.E.E)606、基板支持体206、および、エッジリング104を備える。
【0144】
C-シュラウド602は、CCPチャンバ内の圧力を制御するために用いられるスロット608A、608B、および、608Cを備える。例えば、スロット608A、608B、および、608Cは、スロットを通るガス流を増大させることでCCPチャンバのギャップ610内のガス圧を減少させるために開かれる。一例として、ガス圧は、1または複数の処理ガスの流れによって掛けられる。ギャップ610は、基板支持体206と上側電極604との間に形成されている。スロット608A、608B、および、608Cは、流量を減少させることでギャップ内のガス圧を増大させるために閉じられる。C-シュラウド602の底部延長部630が、ギャップ610内に形成されたプラズマ、もしくは、プラズマの残り、もしくは、1または複数の処理ガスの出口として、スロット608A、608B、および、608Cを有する。
【0145】
一例として、上側電極604は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属製である。また、一例として、上側電極延長部606は、半導体または導体から製造されている。さらに、一例として、C-シュラウド602は、半導体または導体から製造されている。
【0146】
上側電極延長部606は、上側電極604を取り囲んでいる。例えば、上側電極延長部606は、上側電極604を取り囲む環状リングである。C-シュラウド602は、左部分602Aおよび右部分602Bを有する。左部分602Aの断面はC字型を表し、右部分602Bの断面はC字型の鏡像を表している。また、C-シュラウド602の底部延長部630は、エッジリング104を取り囲んでいる。ギャップ610は、C-シュラウド602、上側電極延長部660、上側電極604、エッジリング104、および、基板支持体206によって囲まれ、または、包囲されている。
【0147】
システム600は、さらに、減衰器アレイ612、位相シフタ614、および、アンテナアレイ616を備える。減衰器アレイ612の一例は、減衰器アレイ302(図3A-1)である。具体例として、減衰器アレイ612は、減衰器アレイ302と同様の構造および機能を有する。位相シフタ614の一例は、位相シフタ108(図1A-1)である。具体例として、位相シフタ614は、位相シフタ108と同様の構造および機能を有する。また、アンテナアレイ616の一例は、アンテナアレイ110(図1A-1)である。具体例として、アンテナアレイ616は、アンテナアレイ110と同様の構造および機能を有する。
【0148】
さらに、システム600は、減衰器アレイ618、位相シフタ620、および、アンテナアレイ622を備える。減衰器アレイ618の一例は、減衰器アレイ302(図3A-1)である。具体例として、減衰器アレイ618は、減衰器アレイ302と同様の構造および機能を有する。位相シフタ620の一例は、位相シフタ108(図1A-1)である。具体例として、位相シフタ620は、位相シフタ108と同様の構造および機能を有する。また、アンテナアレイ622の一例は、アンテナアレイ110(図1A-1)である。具体例として、アンテナアレイ622は、アンテナアレイ110と同様の構造および機能を有する。
【0149】
システム600は、HFPS624を備える。HFPS624の一例は、HFPS102(1A-1)である。具体例として、HFPS624は、HFPS102と同様の構造および機能を有する。さらなる具体例として、HFPS624は、GHz範囲の動作周波数を有するGHz電源であり、その例は、HFPS102に関してすでに提供されている。
【0150】
HPFS624は、接続626および接続点CP2を介して減衰器アレイ612に接続され、別の接続628および接続点CP3を介して減衰器アレイ618に接続されている。例えば、HFPS624は、HFPS102が接続128および接続点CP1を介して減衰器アレイ302に接続されている(図3A-2)のと同じ方法で、減衰器アレイ612または減衰器アレイ618に接続されている。
【0151】
減衰器アレイ612は、位相シフタ614に接続されており、位相シフタ614は、アンテナアレイ616に接続されている。例えば、減衰器アレイ612は、減衰器アレイ302が位相シフタ108に接続されるのと同じ方法で、位相シフタ614に接続されている。さらに、この例において、位相シフタ614は、位相シフタ108がアンテナアレイ110に接続されるのと同じ方法で、アンテナアレイ616に接続されている。
【0152】
底部延長部630は、左底部延長部分630Aおよび右底部延長部分630Bを有する。C-シュラウド602は、さらに、本体632および上部延長部634を備える。本体632は、左本体部分632Aおよび右本体部分632Bを備える。また、上部延長部634は、左上部延長部分634Aおよび右上部延長部分634Bを備える。
【0153】
C-シュラウド602の左部分602Aは、左底部延長部分630A、左本体部分632A、および、左上部延長部分634Aを含む。同様に、C-シュラウド602の右部分602Bは、右底部延長部分630B、右本体部分632B、および、右上部延長部分634Bを含む。
【0154】
左底部延長部分630Aおよび左上部延長部分634Aは、左本体部分632Aから右部分602Bに向かって伸びている。同様に、右底部延長部分630Bおよび右上部延長部分634Bは、右本体部分632Bから左部分602Aに向かって伸びている。
【0155】
アンテナアレイ616は、複数のアンテナ素子を有しており、それらのアンテナ素子は、C-シュラウド602の左本体部分602Aに結合されている。例えば、アンテナアレイ616のアンテナ素子は、アンテナアレイ108がエッジリング104に取り付けられているのと同じ方法で、左本体部分602Aの外面636に取り付けられている。外面636は、ギャップ610から離れる方向に向いている。外面636は、左本体部分632Aの内面638と反対の方向に向けられている。例えば、外面636は、右部分602Bから離れる方向に向いている。内面638は、ギャップ610および右部分602Bの方を向いている。
【0156】
同様に、減衰器アレイ618は、位相シフタ620に接続されており、位相シフタ620は、アンテナアレイ622に接続されている。例えば、減衰器アレイ618は、減衰器アレイ302が位相シフタ108に接続されるのと同じ方法で、位相シフタ620に接続されている。さらに、この例において、位相シフタ620は、位相シフタ108がアンテナアレイ110に接続されるのと同じ方法で、アンテナアレイ622に接続されている。
【0157】
アンテナアレイ622は、複数のアンテナ素子を有しており、それらのアンテナ素子は、C-シュラウド602の右部分602Bに結合されている。例えば、アンテナアレイ622のアンテナ素子は、アンテナアレイ108がエッジリング104に取り付けられているのと同じ方法で、右本体部分632Bの外面640に取り付けられている。外面640は、ギャップ610から離れる方向に向いている。外面640は、右本体部分632Bの内面642と反対の方向に向けられている。例えば、外面640は、左部分602Aから離れる方向に向いている。内面642は、ギャップ610および左部分602Aの方を向いている。
【0158】
また、コントローラ106は、減衰器アレイ612、位相シフタ614、減衰器アレイ618、および、位相シフタ620に接続されている。例えば、コントローラ106は、コントローラ106が減衰器アレイ302に接続されるのと同じ方法で、減衰器アレイ612に接続されている。この例において、コントローラ106は、コントローラ106が減衰アレイ302に接続されるのと同じ方法で、減衰アレイ618に接続されている。さらに、この例において、コントローラ106は、コントローラ106が位相シフタ108に接続されるのと同じ方法で、位相シフタ614に接続されている。また、この例において、コントローラ106は、コントローラ106が位相シフタ108に接続されるのと同じ方法で、位相シフタ620に接続されている。
【0159】
基板Sは、基板Sの処理に向けて基板支持体206の上面216上に配置されている。基板Sの処理の例は、基板Sへの1または複数の材料の蒸着、基板Sのエッチング、および、基板Sの洗浄を含む。基板SがCCPチャンバ内に配置された後、HFPS624、減衰器アレイ612、位相シフタ614、および、アンテナアレイ616の動作は、HFPS102、減衰器アレイ302、位相シフタ108、および、アンテナアレイ110の上述した動作と同じである。HFPS624、減衰器アレイ612、位相シフタ614、および、アンテナアレイ616は、主ビームMB3を生成するよう動作し、主ビームMB3は、水平軸644に対して-θ1の角度を形成する。例えば、HFPS624は、或る電力レベルおよび或る周波数レベルを有するRF信号646を生成する。この例において、RF信号646の周波数および電力レベルは、HFPS624によってコントローラ106から受信される。さらに、この例において、減衰器アレイ612は、RF信号646を受信し、減衰器アレイ302がRF信号120に基づいて減衰信号322A~322Eを出力する(図3A-1)のと同じ方法で、RF信号646に基づいて複数の減衰信号を出力する。また、この例において、位相シフタ614は、位相シフタ108が、減衰信号322A~322Eを減衰器アレイ302から受信し、減衰信号322A~322Eに基づいて位相シフト信号324A~324Eを出力するのと同じ方法で、減衰信号を減衰器アレイ612から受信し、減衰信号に基づいて複数の位相シフト信号を出力する。さらに、この例において、アンテナアレイ616のアンテナ素子は、アンテナ素子AE1~AE5が位相シフト信号324A~324Eを位相シフタ108から受信し、エッジリング104を介して第5RF波形を出力するのと同じ方法で、位相シフト信号を位相シフタ614から受信し、左本体部分632Aを介してRF波形を出力する。この例において、左本体部分632Aは、ギャップ610内でプラズマを点火または維持する目的でギャップ610に向かって水平方向に主ビームMB3を生成するために、左本体部分632Aを介して出力されたRF波形のRF電力を組み合わせる(例えば、重ね合わせる)。主ビームMB3は、ローブである。また、この例において、主ビームMB3は、アンテナアレイ616のアンテナ素子の重心を通過する水平軸644に対して角度-θ1に方向付けられる。主ビームMB3は、基板Sの左エッジを処理するために、基板Sの左エッジに向かって方向付けられる。
【0160】
同様に、HFPS624、減衰器アレイ618、位相シフタ620、および、アンテナアレイ622の動作は、HFPS102、減衰器アレイ302、位相シフタ108、および、アンテナアレイ110の上述した動作と同じである。HFPS624、減衰器アレイ618、位相シフタ620、および、アンテナアレイ622は、主ビームMB4を生成するよう動作し、主ビームMB4は、水平軸644に対して-θ2の角度を形成する。例えば、HFPS624は、或る電力レベルおよび或る周波数レベルを有するRF信号648を生成する。この例において、RF信号648の周波数および電力レベルは、HFPS624によってコントローラ106から受信される。さらに、この例において、減衰器アレイ618は、RF信号648を受信し、減衰器アレイ302がRF信号120に基づいて減衰信号322A~322Eを出力する(図3A-1)のと同じ方法で、RF信号648に基づいて複数の減衰信号を出力する。また、この例において、位相シフタ620は、位相シフタ108が、減衰信号322A~322Eを減衰器アレイ302から受信し、減衰信号322A~322Eに基づいて位相シフト信号324A~324Eを出力するのと同じ方法で、減衰信号を減衰器アレイ618から受信し、減衰信号に基づいて複数の位相シフト信号を出力する。さらに、この例において、アンテナアレイ622のアンテナ素子は、アンテナ素子AE1~AE5が位相シフト信号324A~324Eを位相シフタ108から受信し、エッジリング104を介して第1から第5RF波形を出力するのと同じ方法で、位相シフト信号を位相シフタ620から受信し、右本体部分632Bを介してRF波形を出力する。この例において、右本体部分632Bは、ギャップ610内でプラズマを点火または維持する目的でギャップ610に向かって水平方向に主ビームMB4を生成するために、右本体部分632Bを介して出力されたRF波形のRF電力を組み合わせる(例えば、重ね合わせる)。主ビームMB4は、ローブである。また、この例において、主ビームMB4は、アンテナアレイ622のアンテナ素子の重心を通過する水平軸644に対して角度-θ2に方向付けられる。主ビームMB4は、基板Sの右エッジを処理するために、基板Sの右エッジに向かって方向付けられる。
【0161】
一実施形態において、システム600は、減衰器アレイ618、もしくは、減衰器アレイ612、もしくは、減衰器612および618の両方を欠いている。一例として、HFPS624は、減衰器アレイ618に接続されることなしに、接続628を介して位相シフタ620に接続されている。別の例として、HFPS624は、減衰器アレイ612に接続されることなしに、接続626を介して位相シフタ614に接続されている。
【0162】
一実施形態において、上側電極604は、基準電位(接地電位など)に接続されている。
【0163】
一実施形態において、上側電極604は、整合器を介して1または複数のRF発生器に接続されている。
【0164】
図6Bは、ICPチャンバのピナクル652と共にアンテナアレイ616および622の利用を説明するためにシステム660の一実施形態を示す図である。ピナクル652の一例は、ライナである。システム660は、ICPチャンバを備える。ICPチャンバは、さらに、ピナクル652、誘電体窓662、基板支持体206、プラズマ閉じ込めリング662、エッジリング104、ならびに、複数のRFコイル670および672を備える。一例として、ピナクル652は、導体または半導体から製造され、基準電位に接続されている。さらに、一例として、プラズマ閉じ込めリング662は、導体または半導体から製造されている。
【0165】
プラズマ閉じ込めリング662は、ICPチャンバ内に形成されたギャップ668内の圧力を制御するために用いられる開口部666A、666B、および、666Cを備える。ギャップ668は、基板支持体206と誘電体窓662との間に形成されている。開口部666A、666B、および、666Cは、ギャップ668内に形成されるプラズマ、もしくは、プラズマの残り、もしくは、1または複数の処理ガスがICPチャンバから出るための開口部である。
【0166】
ピナクル652は、誘電体窓662を支持している。RFコイル670および672は、誘電体窓662の上部に配置されている。プラズマ閉じ込めリング662は、ピナクル652の下に隣接して配置されている。また、プラズマ閉じ込めリング662の直径は、エッジリング104の外径よりも大きい。プラズマ閉じ込めリング662は、エッジリング104の水平レベルより低い水平レベルに配置されている。本明細書で用いられる水平レベルは、x軸に平行なレベルである。ギャップ668は、ピナクル652、誘電体窓662、プラズマ閉じ込めリング664、エッジリング104、および、基板支持体206に取り囲まれている。
【0167】
システム660は、さらに、減衰器アレイ612、位相シフタ614、および、アンテナアレイ616を備える。さらに、システム660は、減衰器アレイ618、位相シフタ620、および、アンテナアレイ622を備える。
【0168】
アンテナアレイ616は、アンテナ素子を有しており、アンテナ素子は、ピナクル652に結合され、ピナクル652は、左本体部分652Aおよび右本体部分652Bを有する。左本体部分652Aは、ギャップ668を介して右本体部分652Bと向かい合っている。
【0169】
アンテナアレイ616のアンテナ素子は、ピナクル652の左本体部分652Aに結合されている。例えば、アンテナアレイ616のアンテナ素子は、アンテナアレイ108がエッジリング104に取り付けられているのと同じ方法で、左本体部分652Aの外面674に取り付けられている。外面674は、ギャップ668から離れる方向に向いている。外面674は、左本体部分652Aの内面676と反対の方向に向けられている。例えば、外面676は、右本体部分652Bから離れる方向に向いている。内面676は、ギャップ610および右本体部分652Bの方を向いている。
【0170】
同様に、アンテナアレイ622のアンテナ素子は、ピナクル652の右本体部分652Bに結合されている。例えば、アンテナアレイ622のアンテナ素子は、アンテナアレイ108がエッジリング104に取り付けられているのと同じ方法で、右本体部分652Bの外面678に取り付けられている。外面678は、ギャップ668から離れる方向に向いている。外面678は、右本体部分652Bの内面680と反対の方向に向けられている。例えば、外面678は、左本体部分652Aから離れる方向に向いている。内面680は、ギャップ668および左本体部分652Aの方を向いている。
【0171】
基板SがICPチャンバ内の基板支持体206の上面216上に配置された後、HFPS624、減衰器アレイ612、位相シフタ614、および、アンテナアレイ616の動作は、HFPS102、減衰器アレイ302(図3A-2)、位相シフタ108、および、アンテナアレイ110について図6Aを参照して上述した主ビームMB3を生成するための動作と同じであり、主ビームMB3は、水平軸644に対して-θ1の角度を形成する。例えば、アンテナアレイ616のアンテナ素子は、アンテナ素子AE1~AE5が位相シフト信号324A~324Eを位相シフタ108から受信し、エッジリング104を介して第1から第5RF波形を出力するのと同じ方法で、位相シフト信号を位相シフタ614から受信し、左本体部分652Aを介してRF波形を出力する。この例において、左本体部分652Aは、ギャップ668内で形成されたプラズマに向かって水平方向に主ビームMB3を生成するために、左本体部分632Aを介して出力されたRF波形のRF電力を組み合わせる(例えば、重ね合わせる)。
【0172】
同様に、HFPS624、減衰器アレイ618、位相シフタ620、および、アンテナアレイ622の動作は、HFPS102、減衰器アレイ302、位相シフタ108、および、アンテナアレイ110について図6Aを参照して上述した主ビームMB4を生成するための動作と同じであり、主ビームMB4は、水平軸644に対して-θ2の角度を形成する。例えば、アンテナアレイ622のアンテナ素子は、アンテナ素子AE1~AE5が位相シフト信号324A~324Eを位相シフタ108から受信し、エッジリング104を介して第1から第5RF波形を出力するのと同じ方法で、位相シフト信号を位相シフタ620から受信し、右本体部分652Bを介してRF波形を出力する。この例において、右本体部分652Bは、ギャップ668内で形成されたプラズマに向かって水平方向に主ビームMB4を生成するために、右本体部分652Bを介して出力されたRF波形のRF電力を組み合わせる(例えば、重ね合わせる)。
【0173】
一実施形態において、システム660は、減衰器アレイ618、もしくは、減衰器アレイ612、もしくは、減衰器612および618の両方を欠いている。一例として、HFPS624は、減衰器アレイ618に接続されることなしに、接続628を介して位相シフタ620に接続されている。別の例として、HFPS624は、減衰器アレイ612に接続されることなしに、接続626を介して位相シフタ614に接続されている。
【0174】
一実施形態において、ピナクル652は、y軸と逆の方向にテーパされたテーパ構造を有する。
【0175】
図7Aは、CCPチャンバにおける主ビームMB2のオンおよびオフならびに主ビームMB3または主ビームMB4の同時オンおよびオフを説明するためにシステム700の一実施形態を示す図である。システム700は、CCPチャンバを備える。アンテナアレイ110は、エッジリング110に結合され、アンテナアレイ616は、C-シュラウド602の左部分602Aに結合され、アンテナアレイ622は、C-シュラウド602の右部分602Bに結合されている。
【0176】
主ビームMB2をオンにするために、コントローラ106は、ターンオン信号をHFPS102(図1A-1)に送信する。ターンオン信号を受信したことに応じて、HPFS102は、RF信号120を生成する。RF信号120が生成されると、主ビームMB2が生成される。一方で、主ビームMB2をオフにするために、コントローラ106は、ターンオフ信号をHFPS102に送信する。ターンオフ信号を受信したことに応じて、HPFS102は、RF信号120を生成しない。RF信号120が生成されないと、主ビームMB2は、エッジリング104から出力されない。
【0177】
同様に、主ビームMB3をオンにするために、コントローラ106は、ターンオン信号をHFPS624(図6A)に送信する。ターンオン信号を受信したことに応じて、HPFS624は、RF信号646(図6A)を生成する。RF信号646が生成されると、主ビームMB3が生成される。一方で、主ビームMB3をオフにするために、コントローラ106は、ターンオフ信号をHFPS624に送信する。ターンオフ信号を受信したことに応じて、HPFS624は、RF信号646を生成しない。RF信号646が生成されないと、主ビームMB3は、C-シュラウド602の左部分602Aから出力されない。
【0178】
また、主ビームMB4をオンにするために、コントローラ106は、ターンオン信号をHFPS624(図6A)に送信する。ターンオン信号を受信したことに応じて、HPFS624は、RF信号648(図6A)を生成する。RF信号648が生成されると、主ビームMB4が生成される。一方で、主ビームMB4をオフにするために、コントローラ106は、ターンオフ信号をHFPS624に送信する。ターンオフ信号を受信したことに応じて、HPFS624は、RF信号648を生成しない。RF信号648が生成されないと、主ビームMB4は、C-シュラウド602の右部分602Bから出力されない。
【0179】
図7Bは、ICPチャンバにおける主ビームMB2のオンおよびオフならびに主ビームMB3または主ビームMB4の同時オンおよびオフを説明するためにシステム750の一実施形態を示す図である。システム750は、ICPチャンバを備える。アンテナアレイ110は、エッジリング110に結合され、アンテナアレイ616は、ピナクル652の左本体部分652Aに結合され、アンテナアレイ622は、ピナクル652の右本体部分652Bに結合されている。
【0180】
主ビームMB2をオンおよびオフにする動作は、図7Aを参照して上述したものと同じである。また、主ビームMB3をオンおよびオフにする動作も、図7Aを参照して上述したものと同じである。RF信号646が生成されると、主ビームMB3が、ピナクル652の左本体部分652Aから出力される。一方で、RF信号646が生成されないと、主ビームMB3は、ピナクル652の左本体部分652Aから出力されない。
【0181】
さらに、主ビームMB4をオンおよびオフにする動作は、図7Aを参照して上述したものと同じである。RF信号648が生成されると、主ビームMB4が、ピナクル652の右本体部分652Bから出力される。一方で、RF信号648が生成されないと、主ビームMB4は、ピナクル652の右本体部分652Bから出力されない。
【0182】
図7Aおよび図7Bは、主ビームMB2を参照して記載されているが、図7Aおよび図7Bを参照して上述した主ビームMB2をオンおよびオフにするための実施形態は、主ビームMB1をオンおよびオフにすることにも同様に適用されることに注意されたい。例えば、ターンオン信号を受信したことに応じて、HPFS102は、RF信号120を生成する。RF信号120が生成されると、主ビームMB1が生成される。一方で、主ビームMB1をオフにするために、コントローラ106は、ターンオフ信号をHFPS102に送信する。ターンオフ信号を受信したことに応じて、HPFS102は、RF信号120を生成しない。RF信号120が生成されないと、主ビームMB1は、エッジリング104から出力されない。
【0183】
図8Aは、アンテナ素子AE1~AE5がエッジリング104に埋め込まれている様子を説明するためにエッジリング104の一実施形態を示す図である。複数のスロットSL1、SL2、SL3、SL4、および、SL5が、エッジリング104内に形成されている。各スロットSL1~SL5は、底面BS1からエッジリング104の中へ上面TS1に向かって伸びている。例えば、スロットSL1の水平レベルHL1は、底面BS1の水平レベルHL2よりも高い。各水平レベルHL1およびHL2は、x軸に沿って伸びている。別の例として、各スロットSL1~SL5は、エッジリング104内で或る高さを有するように、エッジリング104の本体の中に伸びている。エッジリング104の本体は、底面BS1と上面TS1との間にある。高さは、底面BS1から測定される。
【0184】
各アンテナ素子AE1~AE5は、スロットSL1~SL5の内の対応するスロット内に配置されている。例えば、アンテナ素子AE1は、スロットSL1内に伸びるように配置され、アンテナ素子AE2は、スロットSL2内に伸びるように配置され、アンテナ素子AE3は、スロットSL3内に伸びるように配置され、アンテナ素子AE4は、スロットSL4内に伸びるように配置され、アンテナ素子AE5は、スロットSL5内に伸びるように配置されている。一例として、各アンテナ素子AE1~AE5の一部は、スロットSL1~SL5の内のそれぞれ対応するスロットの外側に伸びていない。例えば、アンテナ素子AE1の底面は、水平レベルHL2にあり、または、水平レベルHL2の上方にある。別の例として、各アンテナ素子AE1~AE5の少しの部分が、スロットSL1~SL5の内のそれぞれ対応するスロットの外側に伸びている。例えば、アンテナ素子AE1の半分未満が、水平レベルHL2から水平レベルHL2の下方の水平レベルまで伸びている。アンテナ素子AE1~AE5の一部がスロットSL1~SL5の中へ伸びている場合、主要ローブMB1またはMB2で形成されうる任意のサイドローブが基板支持体206まで伸びる可能性が低減されることに注意されたい。したがって、サイドローブから基板支持体206への任意のダメージの可能性が低減される。
【0185】
図8Bは、エッジリング104と、アンテナアレイ110を埋め込まれたサブエッジリング804とを備えたエッジリング800の一実施形態を示す図である。サブエッジリング804は、側面SS3を有しており、側面SS3は、外側面である。サブエッジリング804は、側面SS4も有しており、側面SS4は、内側面である。側面SS3の直径は、側面SS4の直径よりも大きい。サブエッジリング804は、その中に埋め込まれたアンテナアレイ110を有する。一例として、サブエッジリング804は、環状形状であり、基板支持体206の周りに伸びている。具体例として、側面SS3の直径は、基板支持体206の直径よりも大きい。
【0186】
サブエッジリング804は、上面TS2および底面BS2を有する。サブエッジリング804は、側面SS3から側面SS4へ、および、上面TS2から底面BS2へ伸びている。上面TS2は、エッジリング104の底面BS1に隣接している。底面BS2は、プラズマから離れる方向に向いている。例えば、底面BS2は、支持リングに隣接して配置され、支持リングは、サブエッジリング804の下に配置されている。
【0187】
サブエッジリング804は、エッジリング104を製造するために用いられるのと同じ材料から製造されている。サブエッジリング804は、エッジリング104に取り付けられている。例えば、サブエッジリング804の上面TS2は、取り付けメカニズム(ネジまたは接着剤またははんだ付けまたはそれらの組み合わせなど)によって、エッジリング104の底面BS1に固定されている。
【0188】
また、サブエッジリング804は、y軸に沿って、垂直方向に、エッジリング104と整列されている。例えば、側面SS3は、側面SS1と垂直に整列され、側面SS4は、側面SS2と垂直に整列されている。具体例として、サブエッジリング804の幅は、エッジリング104の幅と等しい。その具体例において、サブエッジリング804の幅は、側面SS3およびSS4の間の水平距離であり、エッジリング104の幅は、側面SS1およびSS2の間の水平距離である。その具体例において、水平距離は、x軸に沿った距離である。
【0189】
アンテナアレイ110は、エッジリング104内に配置される代わりに、サブエッジリング804内に埋め込まれている。例えば、サブエッジリング804は、第1部分804A、第2部分804B、および、第3部分804Cを有する。この例において、第2部分804Bは、第1部分804Aの下方かつ第3部分804Cの上方にある。さらに、この例において、第2部分804Bは、第1部分804Aと第3部分804Cとの間に位置する。この例において、アンテナ素子AE1~AE5は、第2部分804B内に位置している。具体例として、第1部分804Aの中にも第3部分804Cの中にも、アンテナ素子AE1~AE5は一部も配置されていない。さらなる具体例として、第3部分804Cが最初に製造される。そのさらなる具体例において、第2部分804Bは、第3部分804Cの上部に重ねられる。そのさらなる具体例において、5つのスロットが、第2部分804B内に形成され、5つのスロットの各々は、アンテナ素子AE1~AE5の内の対応する1つを収容する。そのさらなる具体例において、サブエッジリング804を製造するために、第2部分804Bは、第1部分804Aと重ねられる。
【0190】
動作中、アンテナ素子AE1~AE5は、位相シフト信号124A、124B、124C、124D、および、124E(図1A-2)を受信する。位相シフト信号124A~124Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、サブエッジリング804の第1部分804Aと、エッジリング104とを介して、RF波形を出力する。例えば、位相シフト信号124Aを受信すると、アンテナ素子AE1は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第1RF波形を出力する。また、この例において、位相シフト信号124Bを受信すると、アンテナ素子AE2は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第2RF波形を出力し、位相シフト信号124Cを受信すると、アンテナ素子AE3は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第3RF波形を出力する。この例において、位相シフト信号124Dを受信すると、アンテナ素子AE4は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第4RF波形を出力し、位相シフト信号124Eを受信すると、アンテナ素子AE5は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第5RF波形を出力する。サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104は、第1~第5RF波形のRF電力を組み合わせて、プラズマチャンバ内で形成されたプラズマに向かって垂直方向に主ビーム(主ビームMB1(図1A-1)またはMB2(図1C)など)を出力する。
【0191】
一実施形態において、アンテナ素子AE1~AE5は、第3部分804Cに形成されたスロットに収容されている。例えば、アンテナ素子AE1~AE5の一部が、底面BS2の水平レベルよりも下方に伸びている。具体例として、アンテナ素子AE1~AE5の一部は、第3部分804Cから底面BS2の水平レベルよりも下方の水平レベルまで伸びている。別の例として、アンテナ素子AE1~AE5の一部が、底面BS2の水平レベルよりも上方に伸びている。さらに別の例として、アンテナ素子AE1~AE5の一部の水平レベルが、底面BS2の水平レベルと同じである。
【0192】
一実施形態において、サブエッジリング804は、エッジリング104の幅と比べて広い幅を有する。
【0193】
一実施形態において、エッジリング104は、サブエッジリング804の幅と比べて広い幅を有する。
【0194】
一実施形態において、動作中、アンテナ素子AE1~AE5は、位相シフト信号324A、324B、324C、324D、および、124E(図3)を受信する。位相シフト信号324A~324Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とを介してRF波形を出力する。例えば、位相シフト信号324Aを受信すると、アンテナ素子AE1は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第1RF波形を出力する。また、この例において、位相シフト信号324Bを受信すると、アンテナ素子AE2は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第2RF波形を出力し、位相シフト信号324Cを受信すると、アンテナ素子AE3は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第3RF波形を出力する。この例において、位相シフト信号324Dを受信すると、アンテナ素子AE4は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第4RF波形を出力し、位相シフト信号324Eを受信すると、アンテナ素子AE5は、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第5RF波形を出力する。サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104は、第1~第5RF波形のRF電力を組み合わせて、プラズマチャンバ内のギャップに向かって垂直方向に主ビーム(主ビームMB1(図1A-1)またはMB2(図1C)など)を出力する。
【0195】
一実施形態において、動作中、アンテナ素子AE1~AE5は、位相シフト信号324A、324B、324C、324D、および、324E(図3B)を受信する。位相シフト信号324A~324Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、サブエッジリング804の第1部分804Aとエッジリング104とに向かって第1~第5RF波形を出力する。第1部分804Aおよびエッジリング104は、第1~第5RF波形のRF電力を組み合わせて、プラズマチャンバ内のギャップに向かって垂直方向に主ビーム(主ビームMB1(図1A-1)またはMB2(図1C)など)を出力する。
【0196】
図8Cは、エッジリング104内に埋め込まれたアンテナアレイ110を説明するためにエッジリング104の一実施形態を示す図である。エッジリング104は、第1部分104A、第2部分104B、および、第3部分104Cを有する。この例において、第2部分104Bは、第1部分104Aの下方かつ第3部分104Cの上方にある。さらに、この例において、第2部分104Bは、第1部分104Aと第3部分104Cとの間に位置する。この例において、アンテナ素子AE1~AE5は、第2部分104B内に位置している。具体例として、第1部分104Aの中にも第3部分104Cの中にも、アンテナ素子AE1~AE5は一部も配置されていない。さらなる具体例として、第3部分104Cが最初に製造される。そのさらなる具体例において、第2部分104Bは、第3部分104Cの上部に重ねられる。さらなる具体例において、第2部分104Bは、5つのスロットを備えており、各スロットは、アンテナ素子AE1~AE5の内の対応する1つを収容する。そのさらなる具体例において、エッジリング104を製造するために、第2部分104Bは、第1部分104Aと重ねられる。
【0197】
動作中、アンテナ素子AE1~AE5は、位相シフト信号124A、124B、124C、124D、および、124E(図1A-2)を受信する。位相シフト信号124A~124Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、エッジリング104の第1部分104Aを介してRF波形を出力する。例えば、位相シフト信号124Aを受信すると、アンテナ素子AE1は、エッジリング104の第1部分104Aに向かって第1RF波形を出力する。また、この例において、位相シフト信号124Bを受信すると、アンテナ素子AE2は、エッジリング104の第1部分104Aに向かって第2RF波形を出力し、位相シフト信号124Cを受信すると、アンテナ素子AE3は、エッジリング104の第1部分104Aに向かって第3RF波形を出力する。この例において、位相シフト信号124Dを受信すると、アンテナ素子AE4は、エッジリング104の第1部分104Aに向かって第4RF波形を出力し、位相シフト信号124Eを受信すると、アンテナ素子AE5は、エッジリング104の第1部分104Aに向かって第5RF波形を出力する。エッジリング104の第1部分104Aは、第1~第5RF波形のRF電力を組み合わせて、プラズマチャンバ内のギャップに向かって垂直方向に主ビーム(主ビームMB1(図1A-1)またはMB2(図1C)など)を出力する。
【0198】
一実施形態において、動作中、アンテナ素子AE1~AE5は、位相シフト信号324A、324B、324C、324D、および、324E(図3B)を受信する。位相シフト信号324A~324Eの内のそれぞれ対応する信号を受信したことに応じて、アンテナ素子AE1~AE5のそれぞれが、エッジリング104の第1部分104Aを介して第1~第5RF波形を出力する。エッジリング104の第1部分104Aは、第1~第5RF波形のRF電力を組み合わせて、プラズマチャンバ内のギャップに向かって垂直方向に主ビーム(主ビームMB1(図1A-1)またはMB2(図1C)など)を出力する。
【0199】
図9は、均一性制御(エッジ均一性制御など)に用いられるアンテナアレイ900の一実施形態を示す等角図である。アンテナアレイ900は、アンテナ素子902、904、906、908、および、910を含む。アンテナ素子902は、アンテナ素子AE5の一例であり、アンテナ素子904は、アンテナ素子AE4の一例であり、アンテナ素子906は、アンテナ素子AE3の一例であり、アンテナ素子908は、アンテナ素子AE2の一例であり、アンテナ素子910は、アンテナ素子AE1の一例である。具体例として、アンテナ素子902、904、906、908、および、910は、形状が環状であるリングである。
【0200】
アンテナ素子902、904、906、908、および、910は、同心である。具体例として、アンテナ素子902、904、906、908、および、910は、同じ中心を有する。アンテナ素子902~910は、y軸に沿って測定された同じ高さを有する。例えば、アンテナ素子902~910は、同じ水平面内に位置し、水平面の底面から水平面の上面まで伸びている。
【0201】
アンテナ素子902~910の任意の2つの隣接する素子の間の距離は、dである。例えば、アンテナ素子902および904の間の距離はdであり、アンテナ素子904および906の間の距離はdである。距離dは、x軸またはz軸に沿って測定される。一例として、距離dは、2ミリメートル(mm)~10mmの範囲である。具体例として、距離dは、5mm~8mmの範囲である。別の例として、距離dは、RF信号120(図1A-1)の波長λの半分に等しい。
【0202】
また、アンテナ素子910の内面912とアンテナ素子902の外面914との間の距離Dが存在する。例えば、内面912と外面914との間の距離Dは、4センチメートル(cm)~6cmの範囲である。具体例として、距離Dは、5cmである。別の例として、距離Dは、外面914の直径と内面912の直径との間の差である。内面912は、アンテナ素子902~910の各々の重心916に向かう方向に向いており、外面914は、重心916から離れる方向に向いている。
【0203】
一実施形態において、アンテナ素子902、904、906、908、および、910は、同心ではない。例えば、アンテナ素子902~910の内の1つの重心が、アンテナ素子902~910の内の残りのものの重心と同じではない。具体例として、アンテナ素子902の重心は、アンテナ素子910の重心とは異なる。
【0204】
一実施形態において、アンテナ素子902、904、906、908、および、910は、異なる高さを有する。例えば、アンテナ素子902~910の内の1つが、アンテナ素子902~910の残りの内の1つよりも高いまたは低い。具体例として、アンテナ素子902は、アンテナ素子910よりも高い。
【0205】
一実施形態において、アンテナ素子902~910の内の任意の2つの隣接する素子の間の距離は、アンテナ素子902~910の残りの内の任意の2つの隣接する素子の間の距離とは異なる。例えば、アンテナ素子902および904の間の距離は、アンテナ素子904および906の間の距離dより長いまたは短い。
【0206】
一実施形態において、本明細書に記載の主ビーム(例えば、主ビームMB1またはMB2)によって形成される角度(+θまたは-θなど)は、以下によって提供される。
角度=sin-1(ΔΦ.λ/(2πd))・・・(5)
主ビームの角度を制御することによって、主ビームは、プラズマチャンバ内の特定の区域に方向付けられうることに注意されたい。プラズマ密度が、主ビームの方向で増大し、電子が、基板Sのフィーチャにおける傾斜を達成するためにプラズマシースを曲げるように、その方向で加熱される。
【0207】
図10は、アンテナ素子のマトリクス1002を説明するためにシステム1000の一実施形態を示す図である。マトリクス1002は、エッジリング104に結合されている。例えば、マトリクス1002は、アンテナ素子AE1~AE5がエッジリング104内に埋め込まれるのと同じ方法で、エッジリング104(図1A-1)内に埋め込まれている。具体例として、マトリクス1002は、エッジリング104の側面SS1(図2)から側面SS2まで伸びている。
【0208】
マトリクス1002は、複数のアンテナ素子AEa、AEb、AEc、AEd、AEe、AEf、AEg、AEh、AEi、AEj、AEk、AEl、AEm、AEn、AEo、および、AEpを含む。一例として、各アンテナ素子AEa~AEpは、長方形のブロックまたは正方形のブロックまたはピクセルなど、多角形のブロックである。アンテナ素子AEa~AEpの各々は、アンテナ素子AE1~AE5(図1A-1)いずれかが製造されるのと同じ材料から製造されている。また、アンテナ素子AEa~AEpの各々は、アンテナ素子AE1~AE5のいずれかと同じ構造および機能を有する。
【0209】
システム1000は、HFPS102および位相シフタ1004を備える。位相シフタ1004は、複数の位相シフト回路PSa、PSb、PSc、PSd、PSe、PSf、PSg、PSh、PSi、PSj、PSk、PSl、PSm、PSn、PSo、および、PSpを備える。位相シフト回路PSa~PSpのいずれかは、位相シフト回路PS1~PS5(図1A-2)のいずれかと同じ構造および機能を有する。
【0210】
HFPS102は、接続点CP4を介して位相シフタ1004に接続されている。例えば、HFPS102は、接続128を介して接続点CP4に接続されている。この例において、接続点CP4は、それぞれの接続を介して位相シフト回路PSa~PSpのそれぞれに接続されている。例えば、接続点CP4は、第1接続を介して位相シフト回路PSaに接続され、第2接続を介して位相シフト回路PSpに接続されている。
【0211】
位相シフト回路PSa~PSpの各々は、それぞれの接続を介してアンテナ素子AEa~AEpの内のそれぞれ対応する1つに接続されている。例えば、位相シフト回路PSaは、第1接続を介してアンテナ素子AEaに接続され、位相シフト回路PSpは、第2接続を介してアンテナ素子AEpに接続されている。
【0212】
HFPS102は、RF信号120を生成し、接続128を介して接続点CP4へRF信号120を送信する。RF信号120は、p個の入力信号に分割され、この数は、接続点CP4と位相シフト回路PSa~PSpとの間の接続の数と同じであり、pは、正の整数である。例えば、RF信号120のRF電力は、p個の部分に分割される。
【0213】
コントローラ106(図1A-1)は、別個の接続を介して位相シフト回路PSa~PSpの各々に接続されている。例えば、コントローラ106は、第1接続を介して位相シフト回路PSaに接続され、第2接続を介して位相シフト回路PSpに接続されている。コントローラ106は、コントローラ106が位相シフト量を位相シフト回路PS1~PS5に提供するのと同じ方法で、位相シフト量を位相シフト回路PSa~PSpに提供する。
【0214】
位相シフト回路PSa~PSpは、p個の入力信号を受信し、P個の入力信号の位相をシフトさせて、p個の位相シフト信号を出力する。例えば、位相シフト回路PSaは、p個の入力信号の内の第1信号の位相をシフトさせて、第1位相シフト信号を出力し、位相シフト回路PSpは、p個の入力信号の内の第p信号の位相をシフトさせて、第p位相シフト信号を出力する。P個の入力信号の位相は、コントローラ106から受信された位相シフト量のとおりにシフトされる。
【0215】
アンテナ素子AEa~AEpは、p個の位相シフト信号を受信し、エッジリング104を介してp個のRF波形を出力する。例えば、アンテナ素子AEaは、p個の位相シフト信号の内の第1信号を受信して、p個のRF波形の内の第1RF波形を出力し、アンテナ素子AEpは、p個の位相シフト信号の内の第p信号を受信して、p個のRF波形の内の第pRF波形を出力する。エッジリング104は、第pRF波形の内の第1RF波形からp個のRF波形の内の第p波形までのRF電力を組み合わせて、プラズマチャンバ内で形成されたプラズマに向かって垂直方向に主ビーム(主ビームMB1(図1A-1)または主ビームMB2(図1C)など)を出力する。
【0216】
一実施形態において、減衰器アレイが、接続点CP1とアンテナアレイ1002との間に接続されている。例えば、減衰器アレイのp個の減衰器が、接続点CP4と位相シフタ1004との間または位相シフタ1004とアンテナアレイ1002との間に接続されている。減衰器アレイは、p個の減衰器の各々によって提供されるゲインの量を制御するために、コントローラ106に接続されている。
【0217】
一実施形態において、マトリクス1002は、基板支持体206(図2)に、もしくは、C-シュラウド602の左部分602A(図6A)に、もしくは、C-シュラウド602の右部分602Bに、もしくは、ピナクル652の左本体部分652Aに、もしくは、ピナクル652の右本体部分652B(図6B)に、結合(取り付けまたは固定または埋め込み、など)されている。例えば、マトリクス1002は、ネジまたは接着剤またははんだ付けまたはそれらの組み合わせによって、基板支持体206に固定されている。
【0218】
一実施形態において、第1マトリクス(マトリクス1002など)が、基板支持体206に結合され、または、第2マトリクス(マトリクス1002など)が、左部分602Aに結合され、または、第3マトリクス(マトリクス1002など)が、部分602Bに結合され、または、第4マトリクス(マトリクス1002など)が、左本体部分652Aに結合され、または、第5マトリクス(マトリクス1002など)が、右本体部分652Bに結合され、または、それらの2以上の組み合わせが、マトリクス1002に加えて、エッジリング104に結合されている。
【0219】
図11は、セグメント化されたアンテナアレイ1102とアンテナアレイ1102の制御とを説明するためにシステム1100の一実施形態を示す図である。アンテナアレイ1102は、均一性制御(エッジまたは方位角方向の均一性制御など)に用いられる。アンテナアレイ1102は、複数のアンテナ素子(5個のアンテナ素子など)を含み、各アンテナ素子は、複数のセグメントに分割されている。例えば、アンテナアレイ1102の第1アンテナ素子は、複数のアンテナセグメントAES1a、AES2a、AES3a、AES4a、AES5a、AES6a、AES7a、および、AES8aに分割されている。
【0220】
第1アンテナ素子の任意の2つの隣接するアンテナセグメントAES1a~AES8aは、誘電体セグメントによって分離されている。例えば、セグメントAES1aは、誘電体セグメントDES1によってセグメントAES2aから分離され、セグメントAES2aは、誘電体セグメントDES2によってセグメントAES3aから分離されている。具体例として、アンテナセグメントAES1aおよびAES2aは、2つのアンテナセグメントAES1aおよびAES2aの間にアンテナセグメントがない場合、互いに隣接している。同様に、アンテナアレイ1102の第2アンテナ素子または第3アンテナ素子または第4アンテナ素子または第5アンテナ素子の任意の2つの隣接するアンテナセグメントが、誘電体セグメントによって分離されている。例えば、アンテナアレイ1102の第2アンテナ素子の任意の2つの隣接するアンテナセグメントは、誘電体セグメントDES1によって分離されている。一例として、誘電体セグメントは、絶縁材料などの誘電体から製造されている。
【0221】
アンテナアレイ1102は、アンテナアレイ110(図1A-1)がエッジリング104に結合されるのと同じ方法で、エッジリング104(図1A-1)に結合されている。例えば、アンテナアレイ1102は、ネジまたは接着剤またははんだ付けまたはそれらの組み合わせによって、エッジリング104に取り付けられている。
【0222】
システム1100は、さらに、コントローラ106、HFPS102、減衰器アレイ1104、および、位相シフタ1106を備える。減衰器アレイ1104は、複数の減衰器(AT1a、AT1b、および、AT1c、など)を備える。例えば、減衰器アレイ1104は、アンテナアレイ1102のアンテナセグメントの数と同じ数の減衰器を備える。
【0223】
また、位相シフタ1106は、複数の位相シフト回路(PS1a、PS1b、および、PS1c、など)を備える。例えば、位相シフタ1106は、減衰アレイ1104の減衰器の数と同じ数の位相シフト回路を備える。
【0224】
コントローラ106は、減衰器アレイ1104と、位相シフタ1106とに接続されている。例えば、コントローラ106は、別個の接続を介して減衰器アレイ1104の減衰器の各々に接続されている。具体例として、コントローラ106は、第1接続を介して減衰器AT1aに、第2接続を介して減衰器AT1bに、第3接続を介して減衰器AT1cに接続されている。コントローラ106は、コントローラ106がゲインG1~G5を適用するよう減衰器AT1~AT5(図3A-2)を制御するのと同じ方法で、ゲインを適用するよう減衰器アレイ1104の減衰器を制御する。例えば、コントローラ106は、第1抵抗を有する第1制御信号を第1接続を介して減衰器AT1aに、第2抵抗を有する第2制御信号を第2接続を介して減衰器AT1bに、第3ゲイン量を有する第3制御信号を第3接続を介して減衰器AT1cに提供する。
【0225】
別の例として、コントローラ106は、別個の接続を介して位相シフタ1106の位相シフト回路の各々に接続されている。具体例として、コントローラ106は、第1接続を介して位相シフト回路PS1aに、第2接続を介して位相シフト回路PS2aに、第3接続を介して位相シフト回路PS3aに接続されている。コントローラ106は、コントローラ106が位相シフト量を位相シフト回路PS1~PS5(図1A-2)に提供するのと同じ方法で、位相シフト量を位相シフタ1106の位相シフト回路に提供する。例えば、コントローラ106は、第1位相シフト量を第1接続を介して位相シフト回路PS1aに、第2位相シフト量を第2接続を介して位相シフト回路PS1bに、第3位相シフト量を第3接続を介して位相シフト回路PS1cに提供する。
【0226】
HFPS102は、接続128を介して接続点CP5に接続されている。接続点CP5は、別個の接続を介して減衰器アレイ1104の減衰器のそれぞれに接続されている。例えば、接続点CP5は、第1接続を介して減衰器AT1aに、第2接続を介して減衰器AT1bに、第3接続を介して減衰器AT1cに接続されている。
【0227】
また、減衰器アレイ1104の各減衰器は、それぞれの接続を介して位相シフタ1106の位相シフト回路の内のそれぞれ対応する1つに接続されている。例えば、減衰器AT1aは、第1接続を介して位相シフト回路PS1aに接続され、減衰器AT1bは、第2接続を介して位相シフト回路PS1bに接続され、減衰器AT1cは、第3接続を介して位相シフト回路PS1cに接続されている。
【0228】
位相シフタ1106は、アンテナアレイ1102に接続されている。例えば、位相シフタ1106の位相シフト回路の各々は、別個の接続を介してアンテナアレイ1102のアンテナセグメントの内のそれぞれ対応する1つに接続されている。具体例として、位相シフト回路PS1aは、第1接続を介してアンテナセグメントAES1aに接続され、位相シフト回路PS2aは、第2接続を介してアンテナセグメントAES2aに接続され、位相シフト回路PS3aは、第3接続を介してアンテナセグメントAES3aに接続されている。
【0229】
動作中、HFPS102は、RF信号120を生成し、接続128を介して接続点CP5へRF信号120を送信する。RF信号120は、q個の入力信号に分割され、この数は、接続点CP5と減衰器アレイ1104の減衰器との間の接続の数と同じであり、qは、正の整数である。例えば、RF信号120のRF電力は、q個の部分に分割される。
【0230】
コントローラ106から受信した抵抗値に基づいて、減衰器アレイ1104の減衰器は、抵抗値をq個の入力信号に適用して、さらに、ゲインをq個の入力信号に適用し、q個の減衰信号を出力する。例えば、減衰器ATS1aは、q個の入力信号の内の第1入力信号の電力量を減衰させて第1減衰信号を出力し、減衰器ATS2aは、q個の入力信号の内の第2入力信号の電力量を減衰させて第2減衰信号を出力し、減衰器ATS3aは、q個の入力信号の内の第3入力信号の電力量を減衰させて第3減衰信号を出力する。
【0231】
また、コントローラ106から受信した位相シフト量に基づいて、位相シフタ1106の位相シフト回路は、位相シフト量をq個の減衰信号に適用して、q個の位相シフト信号を出力する。例えば、位相シフト回路PS1aは、q個の減衰信号の内の第1減衰信号の位相をシフトさせて第1位相シフト信号を出力し、位相シフト回路PS1bは、q個の減衰信号の内の第2減衰信号の位相をシフトさせて第2位相シフト信号を出力し、位相シフト回路PS1cは、q個の減衰信号の内の第3減衰信号の位相をシフトさせて第3位相シフト信号を出力する。
【0232】
アンテナアレイ1102のアンテナセグメントは、位相シフタ1106からq個の位相シフト信号を受信し、エッジリング104に向かってq個のRF波形を出力する。エッジリング104は、q個のRF波形のRF電力を組み合わせて、主ビーム(主ビームMB1(図1A-1)またはMB2(図1C)またはMB3(図6A)またはMB4(図6B)、など)を出力する。
【0233】
一実施形態において、アンテナアレイ1102の第2または第3または第4または第5アンテナ素子の任意の2つの隣接するアンテナセグメントは、第1誘電体セグメントによって分離されている。その実施形態において、アンテナアレイ1102の第1アンテナ素子の任意の2つの隣接するアンテナセグメントは、第2誘電体セグメントによって分離されている。
【0234】
一実施形態において、アンテナアレイ1102は、アンテナアレイ110(図1A-1)がエッジリング104に結合されるのと同じ方法で、C-シュラウド602(図6A)に結合されている。
【0235】
一実施形態において、アンテナアレイ1102は、アンテナアレイ110(図1A-1)がエッジリング104に結合されるのと同じ方法で、ピナクル652(図6B)に結合されている。
【0236】
一実施形態において、減衰器アレイ1104および位相シフタ1106の位置が入れ換えられる。HFPS102が、位相シフタ1106に接続され、位相シフタ1106は、減衰器アレイ1104を介してアンテナアレイ1102に接続される。例えば、位相シフタ1106は、減衰器アレイ1104に接続される。
【0237】
本明細書に記載の実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家電、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなど、様々なコンピュータシステム構成で実施されてもよい。本明細書に記載の実施形態は、コンピュータネットワークを通して接続された遠隔処理ハードウェアユニットによってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施されてもよい。
【0238】
一部の実施形態において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。システムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備える。システムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化される。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/またはシステムに接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の任意の処理を制御するようにプログラムされる。
【0239】
概して、様々な実施形態において、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、プログラム可能論理デバイス(PLD)、1または複数のマイクロプロセッサ、または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられる命令であり、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための処理を実行するための動作パラメータを定義する。動作パラメータは、一部の実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0240】
コントローラは、一部の実施形態において、コンピュータの一部であるか、または、コンピュータに接続されており、かかるコンピュータは、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、または、それらの組み合わせでシステムに結合されている。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあるか、もしくは、ウエハ処理のためのリモートアクセスを可能にするファブホストコンピュータシステムの全部または一部である。コントローラは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べる。
【0241】
一部の実施形態では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、コンピュータネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含む)を介してシステムに処理レシピを提供する。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備え、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。一部の例において、コントローラは、ウエハを処理するための設定の形態で命令を受信する。設定は、ウエハに対して実行される処理のタイプ、ならびに、コントローラがインターフェースをとるまたは制御するツールのタイプに固有であることを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の遂行処理など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散される。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として、リモートに配置されている、など)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路を含む。
【0242】
限定はしないが、様々な実施形態において、本明細書に記載されているプラズマシステムは、プラズマエッチングチャンバ、蒸着チャンバ、スピンリンスチャンバ、金属メッキチャンバ、洗浄チャンバ、ベベルエッジエッチングチャンバ、物理蒸着(PVD)チャンバ、化学蒸着(CVD)チャンバ、原子層蒸着(ALD)チャンバ、原子層エッチング(ALE)チャンバ、イオン注入チャンバ、トラックチャンバ、もしくは、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用される任意のその他の半導体処理システムを含む。
【0243】
上述の動作は、平行板プラズマチャンバ(例えば、容量結合プラズマチャンバなど)に関して説明されているが、一部の実施形態において、上述の動作は、その他のタイプのプラズマチャンバ、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタを備えたプラズマチャンバ、トランス結合プラズマ(TCP)リアクタ、導体ツール、誘電体ツール、電子サイクロトロン共鳴(ECR)リアクタを備えたプラズマチャンバなど、に適用されることにも注意されたい。例えば、XMHzRF発生器、YMHzRF発生器、および、ZMHzRF発生器が、ICPプラズマチャンバ内のインダクタに接続される。
【0244】
上述のように、ツールによって実行される処理動作に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信する。
【0245】
上述の実施形態を念頭に置いて、実施形態の一部は、コンピュータシステムに格納されたデータを含め、コンピュータによって実行される様々な動作を用いることを理解されたい。コンピュータによって実行される動作は、物理量を扱う動作である。
【0246】
実施形態の一部は、さらに、これらの動作を実行するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ向けに特別に構成される。専用コンピュータとして規定された場合、コンピュータは、特定の目的に含まれない他の処理、プログラム実行、または、ルーチンを実行しつつ、特定の目的のために動作することができる。
【0247】
一部の実施形態において、本明細書に記載された動作は、コンピュータメモリに格納されたまたはコンピュータネットワークを介して取得された1または複数のコンピュータプログラムによって選択的にアクティベートまたは構成されたコンピュータで処理される。データがコンピュータネットワークを介して取得されると、そのデータは、コンピュータネットワーク(例えば、コンピューティングリソースのクラウド)上の他のコンピュータによって処理されてもよい。
【0248】
本明細書に記載の1または複数の実施形態は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体上にコンピュータ読み取り可能なコードとして製造されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、データを格納する任意のデータ記憶ハードウェアユニット(例えば、メモリデバイスなど)であり、データは、その後、コンピュータシステムによって読み出される。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク-ROM(CD-ROM)、CD-レコーダブル(CD-R)、CD-リライタブル(CD-RW)、磁気テープ、および、その他の光学式および非光学式のデータ記憶ハードウェアユニットが挙げられる。一部の実施形態において、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分散的に格納および実行されるように、ネットワーク接続されたコンピュータシステム上に分散されたコンピュータ読み取り可能なタンジブル媒体を含む。
【0249】
上述したいくつかの方法動作は、特定の順序で提示されているが、様々な実施形態において、その他のハウスキーピング処理が方法動作の合間に実行される、もしくは、方法動作が、若干異なる時間に実行される、様々な間隔で方法動作が起きることを許容するシステムに方法動作が分散される、または、上述したのと異なる順序で実行されるように調整されることを理解されたい。
【0250】
さらに、一実施形態において、本開示に記載された様々な実施形態に記載された範囲を逸脱することなしに、本明細書に記載の任意の実施形態の1または複数の特徴が、任意の他の実施形態の1または複数の特徴と組み合わされることに注意されたい。
【0251】
理解を深めるために、本実施形態について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲および等価物の範囲内で変形されてよい。
図1A-1】
図1A-2】
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3A-1】
図3A-2】
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
【国際調査報告】