IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特表2024-538473荷電粒子ツールのためのバンドパス荷電粒子エネルギフィルタリング検出器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】荷電粒子ツールのためのバンドパス荷電粒子エネルギフィルタリング検出器
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/05 20060101AFI20241016BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20241016BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20241016BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20241016BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01J37/05
H01J37/244
H01J37/147 B
H01J37/22 502H
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577934
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022045736
(87)【国際公開番号】W WO2023059686
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】17/494,784
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジアン ヨウフェィ
(72)【発明者】
【氏名】シュタイガーヴァルト ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106BA03
4M106CA39
4M106DB16
4M106DJ27
5C101AA03
5C101EE15
5C101EE22
5C101EE34
5C101EE51
5C101EE57
5C101EE65
5C101FF02
5C101GG03
5C101GG13
5C101GG42
5C101GG49
5C101HH11
5C101HH13
5C101HH21
5C101HH27
(57)【要約】
試料からの荷電粒子を検出するための方法およびシステムがもたらされる。1つのシステムは、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する、試料からの荷電粒子を反発するように構成された第1の反発メッシュと、第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第2の反発メッシュとを含む。システムはまた、第1の反発メッシュを通過し、第2の反発メッシュによって反発され、第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引するように構成された第1の誘引メッシュを含む。システムは、第1の誘引メッシュを通過した荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第1の検出器をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムであって、
試料からの荷電粒子の経路内に位置付けられ、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を反発するように構成された第1の反発メッシュと、
前記第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を反発するように構成された第2の反発メッシュと、
前記第1の反発メッシュを通過し、前記第2の反発メッシュによって反発され、前記第1の所定のエネルギより高く、前記第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を誘引するように構成された第1の誘引メッシュと、
前記第1の誘引メッシュを通過した前記荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第1の検出器と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の反発メッシュと、前記第2の反発メッシュと、前記第1の誘引メッシュとは、三角形エネルギバンドキャビティを形成することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の反発メッシュと、前記第2の反発メッシュと、前記第1の誘引メッシュとは、正方形エネルギバンドキャビティの少なくとも一部分を形成することを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の反発メッシュと、前記第2の反発メッシュと、前記第1の誘引メッシュと、電極ブロックとは、正方形エネルギバンドキャビティを形成し、前記第2の反発メッシュと、前記電極ブロックとは、同じ電位を有することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記第2の反発メッシュを通過する前記荷電粒子を検出するように構成された第2の検出器をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器は接地されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器は、正電圧でバイアスされることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器は、調整可能な電圧でバイアスされることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器は、ある電圧でバイアスされ、前記第1の誘引メッシュは、前記第1の反発メッシュと、前記第2の反発メッシュと、前記第1の誘引メッシュとの間の空間を、前記検出器からの電界から遮蔽することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記荷電粒子が前記第1の反発メッシュに到達する前に、前記試料からの前記荷電粒子の前記経路の位置を変更するように構成された偏向器をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記偏向器からの前記荷電粒子を集束させ、前記第1の反発メッシュを通過するように、前記第1の所定のエネルギより高く、前記第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子をコリメートするように構成された集束レンズをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記集束レンズと、前記第1の反発メッシュとの間の、前記荷電粒子の前記経路を取り囲む差電位電極をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記差電位電極は、前記集束レンズと、前記第1の反発メッシュとの間の、レンズフィールドの形成を低減するために構成されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、0eVから50eVまでのエネルギバンドに等しいことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、Em-100eVのエネルギバンドに等しく、Emは、前記試料からの最大放射荷電粒子エネルギであることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、50eV-Emのエネルギバンドに等しく、Emは、前記試料からの最大放射荷電粒子エネルギであることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギは、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、前記試料上で検出されるようになる欠陥のタイプに基づいて選択されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギは、前記試料から検出されるようになる前記荷電粒子のタイプに基づいて選択されることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、前記試料からの二次荷電粒子のみのエネルギに対応し、前記システムは、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、前記試料上の、表面または電圧コントラスト欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、前記試料からの弾性後方散乱荷電粒子のみのエネルギに対応し、前記システムは、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、前記試料上の、高アスペクト比または材料コントラスト欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、前記試料からの非弾性後方散乱荷電粒子のみのエネルギに対応し、前記システムは、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、前記試料上の埋没欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、前記第2の反発メッシュを通過し、第3の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を反発するように構成された第3の反発メッシュと、前記第2の反発メッシュを通過し、前記第3の反発メッシュによって反発され、前記第2の所定のエネルギより高く、前記第3の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を誘引するように構成された第2の誘引メッシュと、前記第2の誘引メッシュを通過する前記荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第2の検出器とをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、前記第3の反発メッシュを通過し、第4の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を反発するように構成された第4の反発メッシュと、前記第3の反発メッシュを通過し、前記第4の反発メッシュによって反発され、前記第3の所定のエネルギより高く、前記第4の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を誘引するように構成された第3の誘引メッシュと、前記第3の誘引メッシュを通過する前記荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第3の検出器とをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムであって、前記第4の反発メッシュを通過し、第5の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を反発するように構成された第5の反発メッシュと、前記第4の反発メッシュを通過し、前記第5の反発メッシュによって反発され、前記第4の所定のエネルギより高く、前記第5の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を誘引するように構成された第4の誘引メッシュと、前記第4の誘引メッシュを通過する前記荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第4の検出器とをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムであって、前記第5の反発メッシュを通過する前記荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第5の検出器をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の反発メッシュ、第2の反発メッシュ、および第1の誘引メッシュに印加された電位を系統的に変更し、それによって前記第1と第2の所定のエネルギを系統的に変更することと、前記系統的に変更された電位の少なくとも2つに対して、前記第1の検出器によって生成された前記出力を比較することと、前記出力の比較の結果に基づいて、前記試料に対して行われるプロセスのために、前記第1の反発メッシュ、第2の反発メッシュ、および第1の誘引メッシュに印加される前記電位を選択することとを行うように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、前記試料上の欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、異なるシステムによって、前記試料上で検出された欠陥をレビューするように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、前記試料に対するオーバーレイ情報を決定するように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の検出器によって生成された前記出力に基づいて、前記試料上に形成されたパターン化されたフィーチャの1つ以上の特性を決定するように構成されたコンピュータサブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項1に記載のシステムであって、前記第2の反発メッシュを通過する前記荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第2の検出器と、前記第1の検出器によって生成された前記出力、および前記第2の検出器によって生成された前記出力から、前記試料に対する情報を決定するように構成されたコンピュータサブシステムとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムは、前記第1の検出器によって生成された前記出力、および前記第2の検出器によって生成された前記出力から、前記試料上の欠陥に対する画像を生成することによって、前記試料に対する前記情報を決定するようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項1に記載のシステムであって、前記荷電粒子は、電子であることを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項1に記載のシステムであって、前記荷電粒子は、ヘリウムイオンであることを特徴とするシステム。
【請求項35】
試料からの荷電粒子を検出するためのコンピュータ実施方法を行うために、コンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実施方法は、
前記試料からの前記荷電粒子の経路内に位置付けられた第1の反発メッシュによって、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する、前記試料からの荷電粒子を反発することと、
第2の反発メッシュによって、前記第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を反発することと、
第1の誘引メッシュによって、前記第1の反発メッシュを通過し、前記第2の反発メッシュによって反発され、前記第1の所定のエネルギより高く、前記第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を誘引することと、
前記第1の検出器によって、前記第1の誘引メッシュを通過した前記荷電粒子に応答して、出力を生成することと
を行うことを含むことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項36】
試料からの荷電粒子を検出する方法であって、
前記試料からの前記荷電粒子の経路内に位置付けられた第1の反発メッシュによって、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する、前記試料からの荷電粒子を反発することと、
第2の反発メッシュによって、前記第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を反発することと、
第1の誘引メッシュによって、前記第1の反発メッシュを通過し、前記第2の反発メッシュによって反発され、前記第1の所定のエネルギより高く、前記第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する前記荷電粒子を誘引することと、
前記第1の検出器によって、前記第1の誘引メッシュを通過した前記荷電粒子に応答して、出力を生成することと
を行うことを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、試料からの荷電粒子を検出するための方法およびシステムに関する。ある特定の実施形態は、荷電粒子ツールのためのバンドパス荷電粒子エネルギフィルタリング検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明および例は、この節にそれらを含めるという理由によって、従来技術であると認めるものではない。
【0003】
ロジックおよびメモリデバイスなどの半導体デバイスを製作することは通常、半導体デバイスの様々なフィーチャおよび複数のレベルを形成するために、多数の半導体製作プロセスを用いて、半導体ウェハなどの基板を処理することを含む。例えば、リソグラフィは、レチクルから、半導体ウェハ上に配置されたレジストに、パターンを移転することが関わる半導体製作プロセスである。半導体製作プロセスのさらなる例は、化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積、およびイオン注入を含むが、それらに限定されない。単一の半導体ウェハ上の配置内に、複数の半導体デバイスが製作され、次いで個々の半導体デバイスに分離され得る。
【0004】
検査プロセスは、製造プロセスでの、より高い歩留まり、従ってより高い利益を促進するようにウェハおよび他の基板上の欠陥を検出するために、半導体製造プロセスの間の様々なステップで用いられる。検査は、常にICなどの半導体デバイスの製作の重要部分となっている。しかし、検査は、半導体デバイスの寸法が減少するのに従って、より小さな欠陥がデバイスを故障させ得るので、受け入れ可能な半導体デバイスの成功裡の製造のために、よりいっそう重要となる。
【0005】
欠陥レビューは通常、検査プロセスによってそのように検出された欠陥を再検出すること、および高倍率光学系または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、より高い解像度で、欠陥についてのさらなる情報を生成することが関わる。欠陥レビューは従って、検査によって欠陥が検出された、試料上の離散的な位置で行われる。欠陥レビューによって生成される、欠陥に対するデータがより高解像度になるほど、輪郭、粗さ、より正確なサイズ情報その他など、欠陥の属性を決定するためにより適切となる。
【0006】
計測プロセスはまた、プロセスを監視し、管理するために、半導体製造プロセスの間の様々なステップで用いられる。計測プロセスは、欠陥が試料上で検出される検査プロセスと違って、計測プロセスは、現在用いられる検査ツールを用いては決定され得ない、試料の1つ以上の特性を測定するために用いられるという点で、検査プロセスと異なる。例えば、計測プロセスは、プロセスの性能が1つ以上の特性から決定され得るように、プロセスの間に試料上に形成されたフィーチャの寸法(例えば、線幅、厚さ、その他)など、試料の1つ以上の特性を測定するために用いられる。加えて、試料の1つ以上の特性が受け入れられない(例えば、特性に対する所定の範囲外である)場合、プロセスによって製造される追加の試料が、受け入れられる特性を有するように、プロセスの1つ以上のパラメータを変更するために試料の1つ以上の特性の測定が用いられ得る。
【0007】
計測プロセスはまた、検査によって検出された欠陥が欠陥レビューで再考される、欠陥レビュープロセスと違って、計測プロセスは、欠陥が検出されていない位置で行われ得るという点で、欠陥レビュープロセスと異なる。言い換えれば、欠陥レビューと違って、計測プロセスが試料に対して行われる位置は、試料に対して行われた検査プロセスの結果とは独立したものとなり得る。特に、計測プロセスが行われる位置は、検査結果とは独立に選択され得る。加えて、計測が行われる試料上の位置は、検査結果とは独立に選択され得るので、欠陥レビューが行われることになる試料上の位置が、試料に対する検査結果が生成され、使用のために利用可能となるまで決定され得ない欠陥レビューと違って、計測プロセスが行われる位置は、試料に対して検査プロセスが行われる前に決定され得る。
【0008】
荷電粒子、例えば、電子またはイオンを用いる、検査、欠陥レビュー、および計測などの品質管理プロセスでは、ある特定のエネルギを有する、試料からの荷電粒子のみを検出することがしばしば重要になり得る。特に、試料から戻される異なるタイプの荷電粒子は、ある特定の欠陥または測定に対して、ほぼ感度を有し得る。異なるタイプの荷電粒子はしばしば、それらが異なるエネルギを有するので、互いに分離され得る。閾値エネルギフィルタ、セグメント化検出器を有するエネルギ分散セクタ、および複数の静電抑制器など、異なるエネルギを有する荷電粒子を分離するために、いくつかの異なる方法が作り出されている。
【0009】
上記で述べられた荷電粒子分離方法のそれぞれは、当技術分野で何らかの成功を見出しているが、現在用いられる方法のそれぞれに対しては、1つ以上の不都合がある。例えば、閾値エネルギフィルタは、エネルギフィルタメッシュに印加される、閾値エネルギより大きいまたは小さいエネルギを有する電子を分離できるだけである。別の例では、放射エネルギおよび角度の混合により、セグメント化検出器によるエネルギ分散セクタを用いて、異なるエネルギを有する電子を明確に分離することはかなり難しい。さらなる例では、複数の静電抑制器に対して、比較的高い電圧でフロートするそれらの複数の検出器を設計することは、かなり挑戦を要する。加えて、検出器に、これらの静電抑制器と近い電圧または同じ電圧が印加される場合、検出器にぶつかる電子は比較的小さな衝突エネルギを有し、これは信号を生成するのが難しく、またはかなり低い信号対雑音比を有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7276694号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0299767号
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0372304号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、上述の不都合の1つ以上を有しない、試料からの荷電粒子を検出するためのシステムおよび/または方法を開発することが有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
様々な実施形態の以下の説明は、いかなる形においても、添付の「特許請求の範囲」の主題を制限するものと解釈されるべきではない。
【0013】
一実施形態は、試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムに関する。システムは、試料からの荷電粒子の経路内に位置付けられ、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第1の反発メッシュを含む。システムはまた、第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第2の反発メッシュを含む。加えて、システムは、第1の反発メッシュを通過し、第2の反発メッシュによって反発され、第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引するように構成された第1の誘引メッシュを含む。システムは、第1の誘引メッシュを通過した荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第1の検出器をさらに含む。システムは、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0014】
別の実施形態は、試料からの荷電粒子を検出するためのコンピュータ実施方法に関する。方法は、試料からの荷電粒子の経路内に位置付けられた第1の反発メッシュによって、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する、試料からの荷電粒子を反発すること含む。方法はまた、第2の反発メッシュによって、第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発することを含む。加えて、方法は、第1の誘引メッシュによって、第1の反発メッシュを通過し、第2の反発メッシュによって反発され、第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引することを含む。方法は、第1の検出器によって、第1の誘引メッシュを通過した荷電粒子に応答して、出力を生成することをさらに含む。
【0015】
方法のステップのそれぞれは、本明細書でさらに述べられるように行われ得る。加えて、方法は、本明細書で述べられる任意の他の方法の、任意の他のステップを含み得る。方法は、本明細書で述べられるシステムの任意のものによって行われ得る。
【0016】
さらなる実施形態は、試料からの荷電粒子を検出する、コンピュータ実施方法を行うために、コンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。コンピュータ実施方法は、上述の方法のステップを含む。コンピュータ可読媒体は、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。コンピュータ実施方法のステップは、本明細書でさらに述べられるように行われ得る。加えて、プログラム命令がそのために実行可能であるコンピュータ実施方法は、本明細書で述べられる任意の他の方法の、任意の他のステップを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することにより明らかになるであろう。
図1】三角形エネルギバンドキャビティの一実施形態の断面図を示す概略図である。
図2】試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムの一実施形態に含まれる、三角形エネルギバンドキャビティの一実施形態の断面図を示す概略図である。
図3】本明細書で述べられるシステムの実施形態に含まれ得る、差電位電極の一実施形態の断面図を示す概略図である。
図4】差電位電極によって引き起こされる、およびその中で作り出される、シミュレートされた等電位線の一例による、図3の差電位電極の断面図を示す概略図である。
図5】システムを通した様々なエネルギを有する荷電粒子の経路の、シミュレーションの例による、図2の実施形態の断面図を示す概略図である。
図6】システムを通した様々なエネルギを有する荷電粒子の経路の、シミュレーションの例による、図2の実施形態の断面図を示す概略図である。
図7】正方形エネルギバンドキャビティの一実施形態の断面図を示す概略図である。
図8】試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムの一実施形態に含まれる、正方形エネルギバンドキャビティの一実施形態の断面図を示す概略図である。
図9】システムを通した様々なエネルギを有する荷電粒子の経路のシミュレーションの例による、図8の実施形態の断面図を示す概略図である。
図10】システムを通した様々なエネルギを有する荷電粒子の経路のシミュレーションの例による、図8の実施形態の断面図を示す概略図である。
図11】どのように本明細書で述べられるエネルギバンドキャビティ実施形態が、異なるエネルギを有する荷電粒子を別々に検出するために、本明細書で述べられるシステム実施形態で用いられ得るかの一例を示すグラフである。
図12】どのように本明細書で述べられるエネルギバンドキャビティ実施形態が、二次電子と後方散乱電子とを別々に検出するために、本明細書で述べられるシステムの一実施形態で用いられ得るかの一例を示すグラフである。
図13】どのように本明細書で述べられるエネルギバンドキャビティ実施形態が、低損失後方散乱電子と弾性後方散乱電子とを別々に検出するために、本明細書で述べられるシステムの一実施形態で用いられ得るかの一例を示すグラフである。
図14】本明細書で述べられるシステム実施形態の検出器アセンブリに入る、電子のエネルギのシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図15】本明細書で述べられるシステム実施形態の検出器アセンブリの、異なる検出器によって別々に検出される、電子のエネルギのシミュレーション結果の例を示すグラフである。
図16】本明細書で述べられるシステム実施形態の検出器アセンブリの、異なる検出器によって別々に検出される、電子のエネルギのシミュレーション結果の例を示すグラフである。
図17】複数の正方形エネルギバンドキャビティの実施形態を含んだ、試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムの一実施形態の断面図を示す概略図である。
図18】複数の三角形エネルギバンドキャビティの実施形態を含んだ、試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムの一実施形態の断面図を示す概略図である。
図19】どのように図18に示されるエネルギバンドキャビティ実施形態が、異なるエネルギを有する荷電粒子を別々に検出するために、本明細書で述べられるシステム実施形態において用いられ得るかの一例を示すグラフである。
図20】差電位電極を有しない図2のシステムの一実施形態の断面図を示す概略図である。
図21】システムを通した様々なエネルギを有する荷電粒子の経路のシミュレーションの例による、図20の実施形態の断面図を示す概略図である。
図22】最も高い欠陥コントラストのための最適エネルギバンドを動的に探索するために行われ得る、ステップの一実施形態を示すフローチャートである。
図23】本明細書で述べられる、試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムの実施形態がその中で用いられ得る、システムの一実施形態の側面図を示す概略図である。
図24】試料からの荷電粒子を検出する方法に含まれるステップの一実施形態を示すフローチャートである。
図25】本明細書で述べられるコンピュータ実施方法の1つ以上を行うために、コンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は様々な変形および代替の形態が可能であるが、それらの特定の実施形態が図面に例として示され、本明細書で詳しく述べられる。しかし、それらに対する図面および詳細な説明は、本発明を特定の形に限定するためのものではなく、これに対して、添付の「特許請求の範囲」によって定義される本発明の思想および範囲に含まれる、すべての変形、等価形態、および代替を包含することが意図されることを理解されたい。
【0019】
次に図面を参照すると、図は原寸に比例して描かれていないことが留意される。特に、図の要素のいくつかの尺度は、要素の特性を強調するために、大幅に誇張されている。また図は、同じ尺度で描かれていないことが留意される。同様に構成され得る2つ以上の図に示される要素は、同じ参照番号を用いて示されている。別段に記載されていない限り、述べられるおよび示される要素のいずれも、任意の適切な市販の要素を含み得る。
【0020】
本明細書で述べられる実施形態は、一般に、荷電粒子ツール(例えば、電子顕微鏡)のための、バンドパス荷電粒子(例えば、電子)エネルギフィルタリング検出器に関する。本明細書でさらに述べられるように、実施形態は、戻される荷電粒子信号に対して、任意の特定のエネルギバンドを選択する能力を有し、次いでこれは、任意の特定の欠陥の増強されたコントラストを有する試料画像(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)画像)を生成するために用いられるので有利である。
【0021】
一実施形態は、試料からの荷電粒子を検出するように構成されたシステムに関する。一実施形態では、荷電粒子は電子である。別の実施形態では、荷電粒子はヘリウムイオンである。いくつかの実施形態は、電子に関して本明細書で述べられ得るが、実施形態のすべては、電子、ヘリウムイオン、または半導体製造の技術分野で知られている、任意の他の適切な荷電粒子などの、荷電粒子による使用のために構成され得る。試料からの荷電粒子は、荷電粒子による試料の照射(電子またはイオンビーム撮像ツールにおけるなど)によって引き起こされることができ、または何らかの他の非荷電粒子手段(例えば、x線)によって引き起こされ得る。荷電粒子はまた、本明細書で述べられる荷電粒子のいずれかを含むことができ、試料からまたは試料によって、反射される、散乱される、透過されるなど、任意のやり方での「試料から」のものとすることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、試料はウェハである。ウェハは、半導体技術で知られている任意のウェハを含み得る。いくつかの実施形態は、1つ以上のウェハに関して本明細書で述べられるが、実施形態は、それらが用いられ得る試料に限定されない。例えば、本明細書で述べられる実施形態は、レチクル、平面パネル、プリント回路(PC)基板、および他の半導体試料などの、試料に対して用いられ得る。
【0023】
システムは、試料からの荷電粒子の経路内に位置付けられ、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第1の反発メッシュを含む。本明細書では、いくつかの要素は「メッシュ」として述べられるが、このような「メッシュ」のそれぞれは、本明細書で述べられるように機能することができる格子または他の適切な要素に置き換えられ得ることを理解されたい。図1に示されるように、システムは、試料(図1に示さず)からの、荷電粒子102の経路内に位置付けられた、第1の反発メッシュ100を含み得る。第1の反発メッシュは、それらに印加された第1の電圧、V1を有することによって、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する、荷電粒子104を反発する。言い換えれば、[0,Em]のエネルギバンド内の多様なエネルギを有する、試料からの信号電子は、第1の反発メッシュ100に遭遇することができ、E1以下の、すなわち[0,E1]のエネルギバンド内のエネルギを有する電子は、第1の反発メッシュによって反発されることができ、およびE1より大きなエネルギを有する電子は、第1の反発メッシュによって透過され得る。
【0024】
システムはまた、第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された、第2の反発メッシュを含む。第2の反発メッシュはまた、第2の所定のエネルギより高いエネルギを有する任意の電子は、第2の反発メッシュを通過するように構成され得る。図1に示されるように、システムは、第1の反発メッシュ100を通過し、それらに印加された第2の電圧、V2を有することによって、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する、荷電粒子108を反発するように構成された、第2の反発メッシュ106を含み得る。言い換えれば、E1より大きなエネルギを有する信号電子は、第1の反発メッシュを通過することができ、[E1,E2]のエネルギバンド内のエネルギを有する電子のいずれも、第2の反発メッシュによって反発される。E2より大きな、すなわち[E2,Em]のエネルギを有する荷電粒子の他のいずれも、例えば、電子110は、第2の反発メッシュによって反発されることができないが、その反発メッシュを通過することができ、本明細書でさらに述べられるように、別々に検出されるまたはされない場合がある。従って、システムは1つのエネルギバンド(すなわち、E1とE2の間のエネルギ)バンドパスフィルタと、1つのハイパスエネルギバンド(すなわち、E2より大きなエネルギ)フィルタとを含むことができ、両方のフィルタのエネルギバンドは、ユーザによって、または本明細書でさらに述べられるように選択可能とすることができる。
【0025】
システムは、第1の反発メッシュを通過し、第2の反発メッシュによって反発され、第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引するように構成された第1の誘引メッシュをさらに含む。図1に示されるように、システムは、第1の反発メッシュ100を通過し、第2の反発メッシュ106によって反発され、および第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低い、すなわち[E1,E2]のエネルギを有する荷電粒子を、誘引するように構成された第1の誘引メッシュ112を含み得る。第1の誘引メッシュは、それに印加されたV1+ΔVの電圧を有することによって、このようなエネルギを有する電子を誘引することができる。
【0026】
第1および第2の反発メッシュの両方に対して、それらの印加電圧、それぞれV1およびV2は、それらの反発する性質により、電子に対して負である。従って、V1の値は通常、V2より大きい。V1+ΔVもV2より大きくなり、その結果第1の誘引メッシュは、第2の反発メッシュから反発された電子を誘引することができる。またΔVはゼロに等しくすることができ、これは第1の反発メッシュは、第1の誘引メッシュと同じ電位にあることを意味し、これは外部電源および機械設計を簡単にするのに役立ち得ることが留意される。
【0027】
図1に示される第1および第2の反発メッシュと、第1の誘引メッシュとは、本明細書で述べられる実施形態に含められ得る複数の可能なエネルギバンドキャビティの1つを形成する。本明細書で用いられる「キャビティ」という用語は一般に、組み合わせにおいて画定された空間を通した荷電粒子の流れを制御する、反発および誘引メッシュの何らかの組み合わせ(場合によっては、電極ブロックなどの1つ以上のさらなる要素を有して)によって形成される画定された空間として定義される。本明細書で述べられるエネルギバンドキャビティのそれぞれは、それの対応する、所望のエネルギバンドを有する電子を蓄えるだけでなく、追加の偏向器を追加せずに、自動的に側面検出器内にそれらを偏向させるように構成される。第1の反発メッシュ100と、第2の反発メッシュ106と、第1の誘引メッシュ112とによって形成された、図1のエネルギバンドキャビティ114内に示される曲線は、エネルギバンドキャビティの一実施形態に対するシミュレートされた等電位線であり、これはエネルギバンドキャビティを形成する要素の正確な構成に応じて変わり得る。
【0028】
このようにして、エネルギバンドキャビティは、所望のエネルギバンド内のエネルギを有する電子のみが留まり、側面誘引メッシュへ偏向され、次いで検出器に加速される(本明細書でさらに述べられる)、空間を作り出すために用いられ、例えば、なぜなら検出器は、比較的強い信号を生成するのに十分な衝突エネルギを有して、側面誘引メッシュと比べて、より正にバイアスされるからである。試料からの荷電粒子を検出するための他の方法およびシステムに対する、本明細書で述べられる実施形態の1つの改善は、本明細書で述べられるように構成されるエネルギバンドキャビティを含めることである。本明細書で述べられる実施形態の1つの利点はそれらが、本明細書で述べられるエネルギバンドキャビティを用いて、画像を生成するために信号電子の任意の特定のエネルギバンドをより精密に選択できることである。本明細書で述べられる実施形態の別の利点は、本明細書で述べられるエネルギバンドキャビティを用いて、選択されるエネルギバンドの透過率が実質的に高い(例えば、80%より大きい)ことである。
【0029】
図2は、偏向器と、集束レンズと、差電位電極と、エネルギバンドキャビティと、2つの検出器とを含むシステムの一実施形態を示す。この実施形態では、第1の反発メッシュ100と、第2の反発メッシュ106と、第1の誘引メッシュ112とによって形成されたエネルギバンドキャビティ114は、上記でさらに述べられたように構成され得る。一実施形態では、システムは、荷電粒子が第1の反発メッシュに到達する前に、試料からの荷電粒子の経路の位置を変更するように構成された偏向器を含む。図2に示されるように、試料(図2に示さず)からの信号電子200は、偏向器202を通過する。偏向器は、信号電子雲を集束レンズの中心に中心を合わせ、また試料の走査視野および走査偏向器からの偏向による、電子雲の位置オフセットを最小にするように構成され得る。
【0030】
1つのこのような実施形態では、システムは、偏向器からの荷電粒子を集束させ、第1の反発メッシュを通過するように、第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子をコリメートするように構成された集束レンズを含む。例えば、信号電子200は偏向器202を通過した後、それらは接地電極206の間に位置付けられた、集束レンズメッシュ204を通過し得る。集束レンズは、電子雲を集束させ、所望のエネルギを有する電子が、第1の反発メッシュを通過するようにコリメートするように構成され得る。このようにして、集束レンズは、所望のエネルギバンドの下端エネルギよりわずかに高いエネルギを有する電子の損失を最小にするために役立ち得る。
【0031】
いくつかのこのような実施形態では、システムは、集束レンズと、第1の反発メッシュとの間の、荷電粒子の経路を取り囲む差電位電極を含む。図2に示されるように、システムは、集束レンズメッシュ204と、第1の反発メッシュ100との間の、信号電子200の経路を取り囲む、差電位電極208を含み得る。図3に示されるように、差電位電極は、集束レンズメッシュ204と、第1の反発メッシュ100との間の、荷電粒子の経路に沿って連続して配置された4つの電極を含み得る。図3に示されるそれぞれの要素の下の電圧は、これらのそれぞれの要素に対する印加電圧の例である。特に、集束レンズメッシュに対する印加電圧は、V0とすることができる。接地電極に印加される電圧は、0とすることができ、第1の反発メッシュに印加される電圧は、V1とすることができる。第1、第2、第3、および第4の差電位電極に印加される電圧は、それぞれ
【数1】
とすることができる。試料からの荷電粒子を検出するための他の方法およびシステムに対する、本明細書で述べられる実施形態の1つの改善は、差電位電極を含めることである。例えば、差電位電極を第1の反発メッシュの直前に位置付けすることは、「有用な」電子の損失を最小にする、すなわちE1よりわずかに大きなエネルギを有する電子の損失を低減するのに役立つことができ、これらは[E1,E2]のエネルギバンド内にある「有用な電子」の一部であり、第1の反発メッシュのエネルギフィルタリング解像度を増加させる。
【0032】
別のこのような実施形態では、差電位電極は、集束レンズと、第1の反発メッシュとの間の、レンズフィールドの形成を低減するために構成される。加えて、差電位電極は、集束レンズメッシュと、第1の反発メッシュとの間の、レンズフィールドの形成を防止するように構成され得る。例えば、図4に示される等電位線400は、集束レンズメッシュと、第1の反発メッシュとの間に、ほとんどレンズフィールドがないことを示す。差電位電極は、本明細書で述べられる様々な図では、4つの差電位電極を含むものとして示されるが、本明細書で述べられる実施形態では、集束レンズメッシュと、第1の反発メッシュとの間に、任意の適切な数の差電位電極が含まれ得る。
【0033】
システムはまた、第1の誘引メッシュを通過した荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第1の検出器を含む。例えば、図2に示されるように、システムは、第1の誘引メッシュ112を通過する電子に応答して、出力を生成するように構成された第1の検出器210を含み得る。第1の検出器112(および本明細書で述べられる他の検出器)は、当技術分野で知られている任意の適切な検出器を含み得る。本明細書で述べられる検出器のそれぞれは、検出器にわたる位置の関数として、荷電粒子を検出するように構成された、撮像検出器とすることができる。しかし、検出器は、試料の画像を出力せず、衝突する電子の数、および衝突エネルギを検出する、非撮像検出器とすることができる。いくつかのこのような実施形態では、本明細書で述べられるものなどのコンピュータサブシステムは、検出器の非撮像出力から、試料の画像を生成するように構成され得る。このようにして、本明細書で述べられる実施形態は、異なる方法で試料の画像を生成するように構成されることができ、試料の画像を生成することは、本明細書でさらに述べられるシステム構成のいくつかのためには必要ではない。
【0034】
一実施形態では、第1の検出器は接地される。別の実施形態では、第1の検出器は、正電圧でバイアスされる。さらなる実施形態では、第1の検出器は、調整可能な電圧でバイアスされる。例えば、第1の検出器(および本明細書で述べられる任意の他の検出器)は接地され、または半導体ベース、マイクロチャネルプレート、およびシンチレータ光電子増倍管(PMT)検出器などの、任意のタイプの検出器に対しては、電子の最適衝突エネルギに到達するために、正の比較的高い電圧(例えば、数kV)でバイアスされ得る。試料からの荷電粒子を検出するための他のシステムおよび方法を超えた、本明細書で述べられる実施形態によってもたらされる1つの改善は、検出器が、衝突エネルギの最適化のための調整可能な電圧を有し得ることである。加えて、本明細書で述べられる実施形態の1つの利点は、検出器にぶつかる電子の衝突エネルギが比較的高く(例えば、5keVより大きい)、エネルギバンドフィルタリング性能に影響を及ぼさずに調整可能なことである。
【0035】
一実施形態では、第1の検出器は、ある電圧でバイアスされ、第1の誘引メッシュは、第1の反発メッシュと、第2の反発メッシュと、第1の誘引メッシュとの間の空間を、検出器からの電界から遮蔽する。例えば、検出器の直前のメッシュは、遮蔽メッシュのように挙動し、その結果、検出器からの比較的高い電界は、エネルギバンドキャビティの性能に影響を及ぼすことができない。
【0036】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の反発メッシュを通過する荷電粒子を検出するように構成された第2の検出器を含む。例えば、図2に示されるように、システムは、第2の反発メッシュ106を通過する電子を検出するように構成された、第2の検出器212を含み得る。この検出器は、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。システムが複数の検出器を含む場合、検出器のそれぞれは、例えば、それらが検出するようになる電子のエネルギおよび/またはタイプに応じて、同じまたは異なる構成を有し得る。このようにして、実施形態は2つの検出器を含むことができ、一方は、所望のエネルギバンド内の電子を収集および検出するために用いられることができ(すなわち、バンドパスフィルタリング)、他方は、所望のエネルギバンドの上端エネルギより高いエネルギを有する電子を収集および検出するために用いられ得る(すなわち、ハイパスフィルタリング)。
【0037】
図2に示されるものなどのいくつかの実施形態では、システムは、第2の反発メッシュと第2の検出器との間の空間を、少なくとも部分的に囲むことにより、第2の検出器によって、第2の反発メッシュを通過する信号電子の多くの検出を容易にするように構成された、電極ブロック214を含み得る。このようにして、第2の反発メッシュ106と、電極ブロック214と、第2の検出器212(場合によっては、図2に示されない、それの直前に位置付けられた誘引メッシュを有して)とは、システム内のある種の第2のエネルギバンドキャビティを形成し得る。その第2のエネルギバンドキャビティは、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0038】
図5および6は、図2のシステム実施形態を通る、異なるエネルギを有する荷電粒子の経路のシミュレーション結果を示す。図5は、[0,Em]のバンド内のエネルギを有する電子の経路を示す。言い換えれば、図5は、図2の検出器アセンブリ内に入るすべての電子の、シミュレートされた経路を示す。対照的に、図6は、第1の検出器によって収集される電子のみを示す。バンド[E1,E2]内のエネルギを有するこれらの電子は、図5に示される電子の一部分のみである。言い換えれば、図6は、検出器アセンブリ内に入る、特定のエネルギバンド内の電子のみの経路を示す。従って、図6はここでは、システムを通した、バンドパスフィルタエネルギバンド内の電子の動きをより明瞭に示すために含められたが、実際にシステムを通して移動することになる電子のすべてを示すことを意図するものではない。
【0039】
図5に示されるように、E1より低いエネルギを有する電子500は、第1の反発メッシュによって反発されて返される。E1とE2の間のエネルギを有する電子502は、第1の検出器210上に収集される。E2より高いエネルギを有する電子504は、第2の検出器212上に収集される。より明瞭に図6に示されるように、E1とE2の間のエネルギを有する電子600は、実質的に高い透過率を有して、第1の検出器210上に収集される(すなわち、第1のエネルギバンドキャビティに対応するバンドパス内のエネルギを有する電子のほとんどすべてが、第1の検出器に方向付けられる)。
【0040】
一実施形態では、第1の反発メッシュと、第2の反発メッシュと、第1の誘引メッシュとは、三角形エネルギバンドキャビティを形成する(例えば、図1および2に示されるように)。別の実施形態では、第1の反発メッシュと、第2の反発メッシュと、第1の誘引メッシュとは、正方形エネルギバンドキャビティの少なくとも一部分を形成する。このようにして、三角形と矩形との、エネルギバンドキャビティの2つの型がある。両方の型は、3つの電位(V1、V2、およびV1+ΔV)を有する3つのメッシュと、V2として同じ電位を有する取り囲む容器とを使用する。例えば、さらなる実施形態では、第1の反発メッシュと、第2の反発メッシュと、第1の誘引メッシュと、電極ブロックとは、正方形エネルギバンドキャビティを形成し、第2の反発メッシュと、電極ブロックとは、同じ電位を有する。
【0041】
図7は、正方形構成を有するエネルギバンドキャビティの一実施形態を示す。図7に示されるように、システムは、試料(図7に示さず)からの、荷電粒子702の経路内に位置付けられた、第1の反発メッシュ700を含み得る。第1の反発メッシュは、それらに印加された第1の電圧、V1を有することによって、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する、荷電粒子704を反発する。言い換えれば、多様なエネルギ[0,Em]を有する、試料からの信号電子は、第1の反発メッシュに遭遇することができ、[0,E1]のエネルギバンド内のエネルギを有する電子は、第1の反発メッシュによって反発されることができ、およびE1より大きなエネルギを有する電子は、第1の反発メッシュによって透過され得る。
【0042】
システムはまた、第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された、第2の反発メッシュを含む。第2の反発メッシュは、第2の所定のエネルギより高いエネルギを有する任意の電子は、第2の反発メッシュを通過するように構成され得る。図7に示されるように、システムは、第1の反発メッシュ700を通過し、それらに印加された第2の電圧、V2を有することによって、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する、荷電粒子708を反発するように構成された、第2の反発メッシュ706を含み得る。言い換えれば、E1より大きなエネルギを有する信号電子は、第1の反発メッシュを通過することができ、[E1,E2]のエネルギバンド内のエネルギを有する電子のいずれも、第2の反発メッシュによって反発される。E2より大きな、すなわち[E2,Em]のエネルギを有する電子710は、第2の反発メッシュによって反発されることができないが、その反発メッシュを通過されることができ、本明細書でさらに述べられるように、別々に検出されるまたはされない場合がある。従って、システムは1つのエネルギバンド(すなわち、E1とE2の間のエネルギ)バンドパスフィルタと、1つのハイパスエネルギバンド(すなわち、E2より大きなエネルギ)フィルタとを含むことができ、両方のフィルタのエネルギバンドは、ユーザによって、または本明細書でさらに述べられるように選択可能とすることができる。
【0043】
システムは、第1の反発メッシュを通過し、第2の反発メッシュによって反発され、第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引するように構成された第1の誘引メッシュをさらに含む。図7に示されるように、システムは、第1の反発メッシュ700を通過し、第2の反発メッシュ706によって反発され、および第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低い、すなわち[E1,E2]のエネルギを有する荷電粒子を、誘引するように構成された第1の誘引メッシュ712を含む。第1の誘引メッシュは、それに印加されたV1+ΔVの電圧を有することによって、このようなエネルギを有する電子を誘引することができる。
【0044】
図7に示されるものなどのいくつかの実施形態では、システムは、図7に示される第1および第2の反発メッシュと、第1の誘引メッシュと共に、正方形エネルギバンドキャビティ716を形成する電極ブロック714を含み得る。電極ブロックは、第2の反発メッシュと同じ、印加電圧、V2を有し得る。V1、V2、およびV1+ΔVは、上述のように選択され得る。図7のエネルギバンドキャビティ716内に示される曲線は、エネルギバンドキャビティの一実施形態に対するシミュレートされた等電位線であり、これはエネルギバンドキャビティを形成する要素の正確な構成に応じて変わり得る。このエネルギバンドキャビティは、本明細書で述べられるようにさらに構成されることができ、本明細書で述べられる他のエネルギバンドキャビティの改善および利点のすべてを有する。
【0045】
図8は、偏向器と、集束レンズと、差電位電極と、正方形エネルギバンドキャビティと、2つの検出器とを含むシステムの一実施形態を示す。この実施形態では、第1の反発メッシュ700と、第2の反発メッシュ706と、第1の誘引メッシュ712と、電極ブロック714とによって形成されたエネルギバンドキャビティ716は、上記でさらに述べられたように構成され得る。図8に示されるように、試料(図8に示さず)からの信号電子800は、本明細書でさらに述べられるように構成され得る偏向器802を通過する。信号電子800は、偏向器802を通過した後、接地電極806の間に位置付けられた集束レンズメッシュ804を通過し得る。集束レンズメッシュおよび接地電極は、本明細書でさらに述べられるように構成され得る。
【0046】
システムはまた、集束レンズメッシュ804と、第1の反発メッシュ700との間の信号電子800の経路を取り囲む、差電位電極808を含む。差電位電極は、本明細書でさらに述べられるように構成され得る。システムはまた、第1の誘引メッシュを通過した荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第1の検出器を含む。例えば、図8に示されるように、システムは、第1の誘引メッシュ712を通過する電子に応答して、出力を生成するように構成された第1の検出器810を含み得る。第1の検出器810は、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の反発メッシュを通過する荷電粒子を検出するように構成された第2の検出器を含む。例えば、図8に示されるように、システムは、第2の反発メッシュ706を通過する電子を検出するように構成された、第2の検出器812を含み得る。このようにして、実施形態は2つの検出器を含むことができ、一方は、所望のエネルギバンド内の電子を収集するために用いられることができ(すなわち、バンドパスフィルタリング)、他方は、所望のエネルギバンドの上端エネルギより高いエネルギを有する電子を収集するために用いられ得る(すなわち、ハイパスフィルタリング)。第2の検出器は、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0048】
図9および10は、図8のシステム実施形態を通る、異なるエネルギを有する荷電粒子の経路のシミュレーション結果を示す。図9は、[0,Em]のバンド内のエネルギを有する電子の経路を示す。言い換えれば、図9は、図8の検出器アセンブリ内に入るすべての電子の、シミュレートされた経路を示す。対照的に、図10は、第1の検出器によって収集される電子のみを示す。バンド[E1,E2]内のエネルギを有するこれらの電子は、図9に示される電子の一部分のみである。言い換えれば、図10は、検出器アセンブリ内に入る、特定のエネルギバンド内の電子のみの経路を示す。従って、図10はここでは、システムを通した、バンドパスフィルタエネルギバンド内の電子の動きをより明瞭に示すために含められたが、実際にシステムを通して移動することになる電子のすべてを示すことを意図するものではない。
【0049】
図9に示されるように、E1より低いエネルギを有する電子900は、第1の反発メッシュによって反発されて返される。E1とE2の間のエネルギを有する電子902は、第1の検出器810上に収集される。E2より高いエネルギを有する電子904は、第2の検出器812上に収集される。より明瞭に図10に示されるように、E1とE2の間のエネルギを有する電子1000は、実質的に高い透過率を有して、第1の検出器810上に収集される(すなわち、第1のエネルギバンドキャビティに対応するバンドパス内のエネルギを有する電子のほとんどすべてが、第1の検出器に方向付けられる)。
【0050】
図11は、第1および第2の検出器を含む上述の検出器アセンブリに対する、全体的な収集スペクトルを示す。言い換えれば、このグラフは、バンドパスフィルタリングおよびハイパスフィルタリングの両方を用いるシステムに対する全体的な収集スペクトルの一例を示す。図11(および図12、13、および19)では、電子エネルギがx軸上にプロットされ、電子の数N(E)がy軸上にプロットされ、E1=-eV1およびE2=-eV2であり、ここでeは電子の電荷、およびEmは試料からの電子の最大放射エネルギであり、これは通常一次電子の入射エネルギに等しい。図11に示されるように、0とE1の間のエネルギを有するいくつかの電子は、「喪失」され、これは本明細書で述べられる検出器アセンブリは、第1の反発メッシュによって、これらの電子をフィルタ除去し、それらは検出されないことを意味する。E1とE2の間のエネルギを有する電子は、検出器1によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1の反発メッシュによって反発されず、第2の反発メッシュによって反発され、および第1の検出器の直前に位置付けられた第1の誘引メッシュによって誘引されるからである。E2とEmの間のエネルギを有する電子は、検出器2によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1または第2の反発メッシュによって反発されず、従って第2の検出器によって検出され得るからである。
【0051】
一実施形態では、第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、0eVから50eVまでのエネルギバンドに等しい。別の実施形態では、第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、Em-100eVのエネルギバンドに等しく、Emは、試料からの最大放射荷電粒子エネルギである。さらなる実施形態では、第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、50eV-Emのエネルギバンドに等しく、Emは、試料からの最大放射荷電粒子エネルギである。
【0052】
別の実施形態では、第1と第2の所定のエネルギは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、試料上で検出されるようになる欠陥のタイプに基づいて選択される。特に、実施形態は、戻される荷電粒子信号に対して、任意の特定のエネルギバンドを選択する能力を有し、次いでこれは、任意の特定の欠陥の増強されたコントラストを有する試料画像を生成するために用いられるので有利である。1つのこのような例では、サンプルから放射される信号電子は、0eVからEm(Em=e×LE、ここでLEは、一次電子の入射エネルギを表す)の範囲のエネルギを有する、二次電子(SE)と後方散乱電子(BSE)とを含み得る。通常、これらの信号電子は、試料から離れた後、検出器に到達する前に、カラムと試料の間の電位差(U)によってさらに加速されるようになる。従って、検出器アセンブリに入る電子のエネルギは、[eU,eU+Em]である。次に例えば、深さ100nm近くに埋め込まれた欠陥のコントラストを増強するように、500eV~700eVの間の放射エネルギを有する電子を収集したい場合は、第1の反発メッシュに印加される電圧(V1)は、-(eU+500)/eに等しくするべきであり、第2の反発メッシュに印加される電圧(V2)は、-(eU+700)/eに等しくするべきである。第1の誘引メッシュに印加される電圧(V1+ΔV)は、V1≦V1+ΔVとするべきであり、これは、ΔV≧0Vであることを意味する。従って、[0,200]内の残留エネルギを有する電子は、エネルギバンドキャビティの内部に捕らえられるようになり、次いで、第2の反発メッシュと第1の誘引メッシュとの間の双極子場によって、第1の検出器に偏向されるようになる。両方の検出器が接地されたと仮定すると、第1の検出器にぶつかる電子の衝突エネルギは、[eU+500,eU+700]であり、第2の検出器にぶつかる電子の衝突エネルギは、[eU+700,eU+Em]である。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1と第2の所定のエネルギは、試料から検出されるようになる荷電粒子のタイプに基づいて選択される。例えば、図12は、第1および第2の検出器を含む、上述の検出器アセンブリに対する、収集スペクトルの極端な場合を示す。このグラフは、SEと、BSEとを分離するシステムに対する、収集スペクトルの極端な場合の一例を示す。図12に示されるように、E1とE2の間、例えば、0eVと50eVの間のエネルギを有するSEは、検出器1によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1の反発メッシュによって反発されず、第2の反発メッシュによって反発され、および第1の検出器の直前に位置付けられた第1の誘引メッシュによって誘引されるからである。E2とEmの間のエネルギを有するBSEは、検出器2によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1または第2の反発メッシュによって反発されず、従って第2の検出器によって検出され得るからである。
【0054】
図13は、第1および第2の検出器を含む上述の検出器アセンブリに対する、収集スペクトルの別の極端な場合を示す。このグラフは、低損失BSEと、弾性BSEとを分離するシステムに対する、収集スペクトルの極端な場合の一例を示す。図13に示されるように、0とE1の間のエネルギを有するいくつかの電子は、「喪失」され、これは本明細書で述べられる検出器アセンブリは、第1の反発メッシュによって、これらの電子をフィルタ除去し、それらは検出されないことを意味する。E1とE2の間のエネルギを有する低損失BSEは、検出器1によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1の反発メッシュによって反発されず、第2の反発メッシュによって反発され、および第1の検出器の直前に位置付けられた第1の誘引メッシュによって誘引されるからである。E2とEmの間のエネルギを有する弾性BSEは、検出器2によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1または第2の反発メッシュによって反発されず、従って第2の検出器によって検出され得るからである。
【0055】
図14~16も、検出器アセンブリに入る、異なるエネルギを有するBSEが、どのように分離され、本明細書で述べられる実施形態によって別々に検出されるかを示す。図14~16では、電子放射エネルギがx軸上にプロットされ、電子の数N(E)がy軸上にプロットされる。図14は、検出器アセンブリに入る、0とLEの間のエネルギを有するBSEの数を示す。図15は、第2の検出器、すなわち検出器2上で収集される、0とLEの間のエネルギを有するBSEの数を示し、図16は、第1の検出器、すなわち検出器1上で収集される、0とLEの間のエネルギを有するBSEの数を示す。
【0056】
さらなる実施形態では、第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、試料からの二次荷電粒子のみのエネルギに対応し、システムは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、試料上の、表面または電圧コントラスト欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムを含む。例えば、二次電子(例えば、0~50eVのエネルギバンド内の)のみを収集することは、表面のコントラスト、または電圧コントラスト欠陥を増強し得る。電子ビーム検査(EBI)システムのためには、画像上の比較的高いコントラストを有する欠陥を見出すことは、スループットおよび感度を向上すること、ニューサンス率を低減すること、および自動欠陥捕捉のための人工知能ベースモデルの精度を改善することなど、多くの利点を有する。この実施形態のコンピュータサブシステムは、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0057】
別の実施形態では、第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、試料からの弾性後方散乱荷電粒子のみのエネルギに対応し、システムは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、試料上の、高アスペクト比または材料コントラスト欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムを含む。別の例では、弾性後方散乱電子(例えば、Em-100eVのエネルギバンド内であって、Emは、試料からの最大放射電子エネルギであり、これは通常、一次電子の入射エネルギに等しい)のみを収集することは、高アスペクト比(HAR)のコントラスト、または材料コントラスト欠陥を増強し得る。カリフォルニア州ミルピタスのKLA Corp.から市販されているeSL10(TM)などの電子ビームウェハ欠陥検査システムにおいて、本明細書で述べられる検出器アセンブリ実施形態を用いることは、捕らえることが困難な特有の欠陥であるHAR欠陥(例えば、底の深い穴およびトレンチ上の欠陥)を捕捉するのに役立ち得る。加えて、本明細書で述べられる検出器アセンブリ実施形態は、多くの異なるタイプの埋没欠陥を捕捉することができる(エアスペーサへのパンチスルー、置換金属ゲート(RMG)内の悪化するタングステンシーム、ナノシートの間の残留物、パンチスルービア、ビット線の脇のスペーサ窒化物クラックなど)。この実施形態のコンピュータサブシステムは、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0058】
HAR欠陥は、1つ以上の3DまたはHAR構造体内またはそれらの上の欠陥となり得る。一実施形態では、3D構造体は、ウェハ上に形成された3D NAND構造体を含む。3D NAND(ここでNANDとは、半導体デバイス内の、論理ゲートの1つのタイプである)は、メモリセルの複数の層の垂直積層を含む、不揮発性フラッシュメモリの1つのタイプである。例えば、3D NANDの構造体は一般に、ウェハ上に形成され、窒化シリコンのような材料と、シリコン上に形成されたチャネルとから形成された、1つ以上のHAR構造体によって分離された、交互の導電層と絶縁層から形成される、シリコンビットセルゲートを含む。メモリセルのこの垂直積層は、3D NAND構造体にそれらの3D品質をもたらす。
【0059】
本明細書で述べられる3D構造体はまた、当技術分野で知られている任意の他のHAR構造体を含み得る。本明細書で用いられる「HAR構造体」とは、10:1を超え、次世代デバイスでは100:1まで高くなり得るアスペクト比によって特徴付けられる、任意の構造体を指す。HAR構造体はしばしば、HARに対するエッチングプロセスを容易にするためにハードマスク層を含む(例えば、完全に記述されているかの如く本願に引用して援用する、2012年8月7日にリウ(Liu)に発行された米国特許第8,237,213号を参照されたい)。垂直NANDまたはテラビットセルアレイトランジスタ(TCAT)構造体に加えて、本明細書で述べられる実施形態は、その欠陥に関心がある他のHAR構造体に対して用いられ得る。
【0060】
追加の実施形態では、第1と第2の所定のエネルギの間のエネルギバンドは、試料からの非弾性後方散乱荷電粒子のみのエネルギに対応し、システムは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、試料上の埋没欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムを含む。非弾性後方散乱電子(例えば、50eV-Em内の任意のエネルギバンド)のみを収集することは、埋没欠陥(すなわち、試料の最上面の下の全体に位置する欠陥)のコントラストを増強し得る。この実施形態のコンピュータサブシステムは、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0061】
本明細書で述べられる実施形態の、1つの新しく有利な特徴は、エネルギバンドキャビティが縦続され得る(または連続して配置される)ことであり、これは、一度に、異なる出力または画像を生成するために分離され、検出され得る、複数のエネルギバンドの選択を可能にする。いくつかの実施形態では、システムは、第2の反発メッシュを通過し、第3の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第3の反発メッシュと、第2の反発メッシュを通過し、第3の反発メッシュによって反発され、第2の所定のエネルギより高く、第3の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引するように構成された第2の誘引メッシュと、第2の誘引メッシュを通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第2の検出器とを含む。
【0062】
図17は、複数の正方形エネルギバンドキャビティが連続して配置された、一実施形態を示す。図17に示されるように、試料(図17に示さず)からの信号電子1700は、それぞれが本明細書でさらに述べられるように構成された、偏向器1702と、接地電極1706によって取り囲まれた集束レンズメッシュ1704と、差電位電極1708とを通過し得る。このシステムの第1のエネルギバンドキャビティは、第1の反発メッシュ1710と、第2の反発メッシュ1712と、電極ブロック1714と、第1の誘引メッシュ1716とによって形成され、それらのすべては、本明細書でさらに述べられるように構成され得る。このシステムは、第1の検出器1718を含み、これも本明細書で述べられるように構成され得る。
【0063】
システムはまた、第2の反発メッシュ1712を通過し、第3の所定のエネルギより低いエネルギを有する、荷電粒子を反発するように構成された第3の反発メッシュ1720を含む。第3の反発メッシュは、印加電圧、V3を有する。第2の誘引メッシュ1722は、第2の反発メッシュ1712を通過し、第3の反発メッシュ1720によって反発され、第2の所定のエネルギ、E2より高く、第3の所定のエネルギ、E3より低いエネルギを有する、荷電粒子を誘引するように構成される。第2の誘引メッシュは、V2+ΔV2の印加電圧を有する。第2の検出器1724は、第2の誘引メッシュ1722を通過する荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成される。システムはまた、第2の電極ブロック1726を含み、これは、第2の反発メッシュ1712、第3の反発メッシュ1720、および第2の誘引メッシュ1722との組み合わせで、第2の正方形エネルギバンドキャビティを形成する。第2の電極ブロックは、印加電圧、V3を有する。このシステムは、第3の反発メッシュ1720を通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第3の検出器1728をさらに含み得る。これらの要素のそれぞれはまた、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0064】
図17に示されるシステムは、従って、2つのエネルギバンド(すなわち、E1とE2の間、およびE2とE3の間のエネルギ)と、1つのハイパスバンド(すなわち、E3より大きなエネルギ)とを含むことができ、すべてユーザによってまたは本明細書でさらに述べられるように、選択可能である。このようにして、本明細書で述べられる実施形態は、ツール内の物理空間が許す限り、より多くのエネルギバンドキャビティを追加し得る。
【0065】
別のこのような実施形態は、図18に示される。この実施形態では、電子の2つ以上のエネルギバンドが、検出器アセンブリによって別々に検出され得るように、一連の三角形エネルギバンドキャビティが縦続される。図18に示されるように、試料(図18に示さず)からの信号電子1800は、それぞれが本明細書でさらに述べられるように構成された、偏向器1802と、接地電極1806によって取り囲まれた集束レンズメッシュ1804と、差電位電極1808とを通過し得る。このシステムの第1のエネルギバンドキャビティは、第1の反発メッシュ1810と、第2の反発メッシュ1812と、第1の誘引メッシュ1814とによって形成され、それらのすべては、本明細書でさらに述べられるように構成され得る。このシステムは、第1の検出器1816を含み、これも本明細書で述べられるように構成され得る。
【0066】
システムはまた、第2の反発メッシュ1812を通過し、第3の所定のエネルギより低いエネルギを有する、荷電粒子を反発するように構成された第3の反発メッシュ1818を含む。第3の反発メッシュは、印加電圧、V3を有する。第2の誘引メッシュ1820は、第2の反発メッシュ1812を通過し、第3の反発メッシュ1818によって反発され、第2の所定のエネルギ、E2より高く、第3の所定のエネルギ、E3より低いエネルギを有する、荷電粒子を誘引するように構成される。第2の誘引メッシュは、V2+ΔV2の印加電圧を有する。第2の検出器1822は、第2の誘引メッシュ1820を通過する荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成される。これらの要素のそれぞれはまた、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0067】
さらなる実施形態では、システムは、第3の反発メッシュを通過し、第4の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第4の反発メッシュと、第3の反発メッシュを通過し、第4の反発メッシュによって反発され、第3の所定のエネルギより高く、第4の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引するように構成された第3の誘引メッシュと、第3の誘引メッシュを通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第3の検出器とを含む。例えば、図18に示されるように、システムは、第3の反発メッシュ1818を通過し、第4の所定のエネルギ、E4より低いエネルギを有する、荷電粒子を反発するように構成された第4の反発メッシュ1824を含み得る。第4の反発メッシュは、印加電圧、V4を有する。第3の誘引メッシュ1826は、第3の反発メッシュ1818を通過し、第4の反発メッシュ1824によって反発され、第3の所定のエネルギ、E3より高く、第4の所定のエネルギ、E4より低いエネルギを有する、荷電粒子を誘引するように構成される。第3の誘引メッシュは、V3+ΔV3の印加電圧を有する。第3の検出器1828は、第3の誘引メッシュ1826を通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成される。これらの要素のそれぞれはまた、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0068】
追加の実施形態では、システムは、第4の反発メッシュを通過し、第5の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第5の反発メッシュと、第4の反発メッシュを通過し、第5の反発メッシュによって反発され、第4の所定のエネルギより高く、第5の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引するように構成された第4の誘引メッシュと、第4の誘引メッシュを通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第4の検出器とを含む。例えば、図18に示されるように、システムは、第4の反発メッシュ1824を通過し、第5の所定のエネルギ、E5より低いエネルギを有する荷電粒子を反発するように構成された第5の反発メッシュ1830を含み得る。第5の反発メッシュは、印加電圧、V5を有する。第4の誘引メッシュ1832は、第4の反発メッシュ1824を通過し、第5の反発メッシュ1830によって反発され、第4の所定のエネルギ、E4より高く、第5の所定のエネルギ、E5より低いエネルギを有する、荷電粒子を誘引するように構成される。第4の誘引メッシュは、V4+ΔV4の印加電圧を有する。第4の検出器1834は、第4の誘引メッシュ1832を通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成される。これらの要素のそれぞれはまた、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、システムは、第5の反発メッシュを通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成された第5の検出器を含む。例えば、図18に示されるように、第5の検出器1836は、第5の反発メッシュ1830を通過する荷電粒子に応答して出力を生成するように構成される。この検出器はまた、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0070】
従って、システムは、4つのエネルギバンド(すなわち、E1とE2の間、E2とE3の間、E3とE4の間、およびE4とE5の間のエネルギ)と、1つのハイパスバンド(すなわち、E5より大きなエネルギ)とを含むことができ、すべてユーザによってまたは本明細書でさらに述べられるように、選択可能である。このようにして、本明細書で述べられる実施形態は、ツール内の物理空間が許す限り、より多くのエネルギバンドキャビティを追加し得る。
【0071】
図19は、5個の検出器を含む上述の検出器アセンブリに対する、全体的な収集スペクトルを示す。言い換えれば、このグラフは、バンドパスフィルタリングおよびハイパスフィルタリングの両方を用いるシステムに対する全体的な収集スペクトルの一例を示す。図19に示されるように、0とE1の間のエネルギを有するいくつかの電子は、「喪失」され、これは本明細書で述べられる検出器アセンブリは、第1の反発メッシュによって、これらの電子をフィルタ除去し、それらは検出されないことを意味する。E1とE2の間のエネルギを有する電子は、検出器1によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1の反発メッシュによって反発されず、第2の反発メッシュによって反発され、および第1の検出器の直前に位置付けられた第1の誘引メッシュによって誘引されるからである。E2とE3の間のエネルギを有する電子は、検出器2によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1または第2の反発メッシュによって反発されず、第3の反発メッシュによって反発され、および第2の検出器の直前に位置付けられた第2の誘引メッシュによって誘引されるからである。E3とE4の間のエネルギを有する電子は、検出器3によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1、第2、および第3の反発メッシュによって反発されず、第4の反発メッシュによって反発され、および第3の検出器の直前に位置付けられた第3の誘引メッシュによって誘引されるからである。E4とE5の間のエネルギを有する電子は、検出器4によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1、第2、第3、または第4の反発メッシュによって反発されず、第5の反発メッシュによって反発され、および第4の検出器の直前に位置付けられた第4の誘引メッシュによって誘引されるからである。E5とEmの間のエネルギを有する電子は、検出器5によって検出され、なぜならこれらの電子は、第1、第2、第3、第4、または第5の反発メッシュによって反発されず、従って第5の検出器によって検出され得るからである。
【0072】
図20は、差電位電極を含まない、図2のシステムの1つの代替実施形態を示す。図20に示されるように、試料(図20に示さず)からの信号電子2000は、本明細書でさらに述べられるように構成され得る偏向器2002を通過する。信号電子2000は、偏向器2002を通過した後、接地電極2006の間に位置付けられた集束レンズメッシュ2004を通過し得る。集束レンズメッシュおよび接地電極は、本明細書で述べられるように構成され得る。集束レンズメッシュを通過した後、信号電子は、第1の反発メッシュ100に方向付けられ得る。第1の反発メッシュ100と、第2の反発メッシュ106と、第1の誘引メッシュ112とは、三角形エネルギバンドキャビティを形成することができ、これは本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。システムのこの実施形態はまた、電極ブロック214と、第1の検出器210と、第2の検出器212とを含むことができ、これらは本明細書でさらに述べられるように構成され得る。
【0073】
図21は、図20のシステム実施形態を通した、第1の検出器によって収集された電子のみの経路のシミュレーション結果を示す。言い換えれば、図21は、検出器アセンブリに入る、特定のエネルギバンド内の電子のみの経路を示す。図21に示されるように、E1とE2の間のエネルギを有する電子2100は、実質的に高い透過率を有して第1の検出器210上に収集される。しかし、図21にさらに示されるように、この構造は、バンドパスフィルタリング性能を有し得るが、第1の反発メッシュと、集束レンズメッシュとの間の望ましくないレンズフィールドにより、多くの「有用な」電子が第1の反発メッシュによって反発されるので、透過率は、本明細書で述べられる他の実施形態よりずっと低い。
【0074】
いくつかの実施形態では、システムは、第1の反発メッシュ、第2の反発メッシュ、および第1の誘引メッシュに印加された電位を系統的に変更し、それによって第1と第2の所定のエネルギを系統的に変更することと、系統的に変更された電位の少なくとも2つに対して、第1の検出器によって生成された出力を比較することと、出力の比較の結果に基づいて、試料に対して行われるプロセスのために、第1の反発メッシュ、第2の反発メッシュ、および第1の誘引メッシュに印加される電位を選択することとを行うように構成されたコンピュータサブシステムを含む。図22は、任意の特定の欠陥の最も高いコントラストを達成するために、最適エネルギバンドを動的に探索する方法の一実施形態を示す。本明細書で述べられる実施形態の1つの利点は、それらが最も高い欠陥コントラストに対する最適エネルギバンドを、自動的に探索する能力をもたらすことである。
【0075】
図22のステップ2200に示されるように、コンピュータサブシステムは、エネルギバンド幅dEを選び得る(例えば、dE=200eV)。次いでコンピュータサブシステムは、図22のステップ2202に示されるように、エネルギバンドキャビティの3つのメッシュの間で、電位差を関連付け得る(例えば、V2=V1-dE/e、ΔV=0)。ステップ2204に示されるように、コンピュータサブシステムは、V1=-U-n×dEに設定し、nを0から開始させ得る。ステップ2206に示されるように、コンピュータサブシステムは、検出器1からの画像を生成し、保存し得る。ステップ2208に示されるように、次いでコンピュータサブシステムは、V1<-(U+Em-dE)/eであるかどうかをチェックし得る。ステップ2210に示されるように、V1が、-(U+Em-dE)/e未満でない場合、コンピュータサブシステムは、n=n+1に設定することができ、ステップ2204、2206、および2208を繰り返し得る。ステップ2212に示されるように、V1が-(U+Em-dE)/e未満である場合は、コンピュータサブシステムは、検出器2からの画像を生成し、保存し得る。ステップ2214に示されるように、コンピュータサブシステムは、すべての保存された画像を比較し、最も高い欠陥コントラストを有するものを見出すことができ、次いで最適エネルギバンドを決定し得る。
【0076】
本明細書で述べられる検出器アセンブリ実施形態は、KLAから市販されている電子ビームシステムを含む、多種多様なツールで実施され得る。このような電子ビームシステムはまた、単一またはマルチビームシステム、撮像または非撮像システム、分光器などの分析機器、その他を含むが、それらに限定されない。加えて、本明細書で述べられる検出器アセンブリ実施形態は、それらが埋没欠陥およびフィーチャのコントラストを増強し得るので、電子ビーム検査および電子オーバーレイツールに対して特に有益となり得る。
【0077】
図23は、本明細書で述べられる検出器アセンブリ実施形態がその中で用いられ得る、ツールの一実施形態を示す。このツールでは、試料に方向付けられるエネルギは電子を含み、試料から検出されるエネルギは電子を含む。図23に示されるように、ツールは、電子カラム2300と、コンピュータサブシステム2302とを含む。コンピュータサブシステム2302は、本明細書でさらに述べられるように構成され得る。
【0078】
また図23に示されるように、電子カラムは、1つ以上の要素2308によって、試料2306に集束された電子を生成するように構成された、電子ビーム源2304を含む。電子ビーム源は、例えば、陰極源またはエミッタチップを含むことができ、1つ以上の要素2308は、例えば、ガンレンズ、陽極、ビーム制限開口、ゲート弁、ビーム電流選択開口、対物レンズ、および走査サブシステムを含むことができ、それらのすべては、当技術分野で知られている任意のこのような適切な要素を含み得る。
【0079】
試料から戻された電子(例えば、二次電子など)は、1つ以上の要素2310によって、検出器アセンブリ2312に集束され得る。1つ以上の要素2310は、例えば、走査サブシステムを含むことができ、これは要素2308に含まれる走査サブシステムと同じとすることができる。検出器アセンブリ2312は、本明細書で述べられる検出器アセンブリ実施形態のいずれかを含み得る。
【0080】
電子カラムは、当技術分野で知られている任意の他の適切な要素を含み得る。加えて、電子カラムは、完全に記述されているかの如く本願に引用して援用する、2006年11月28日にマスナゲッティ(Masnaghetti)らに発行された米国特許第7,141,791号、2007年10月2日にベアトシェ(Bertsche)に発行された米国特許第7,276,694号、2010年5月11日にジェームズ(James)らに発行された米国特許第7,714,287号、2014年4月4日にジアン(Jiang)らに発行された米国特許第8,664,594号、2014年4月8日にコジマ(Kojima)らに発行された米国特許第8,692,204号、2014年4月15日にガベンズ(Gubbens)らに発行された米国特許第8,698,093号、2014年5月6日にマクドナルド(MacDonald)らに発行された米国特許第8,716,662号、および2015年4月7日にレン(Ren)らに発行された米国特許第9,000,395号で述べられるようにさらに構成され得る。
【0081】
図23で示される電子カラムは、電子が斜めの入射角で試料に方向付けられ、別の斜角で試料から散乱されるように構成されるものとして示されるが、電子ビームは、任意の適切な角度で、試料に方向付けられ、および試料から散乱され得る。加えて、電子ビームツールは、試料に対して複数のモード(例えば、異なる照射角度、収集角度など)を用いて、出力を生成するように構成され得る。電子ビームツールの複数のモードは、ツールの任意の出力生成パラメータにおいて異なり得る。
【0082】
検出器アセンブリの検出器は、試料の表面から戻された電子を検出し、それによって試料の電子ビーム画像(またはそれに対する他の出力)を形成し得る。電子ビーム画像は、任意の適切な電子ビーム画像を含み得る。コンピュータサブシステム2302は、検出器によって生成された出力をコンピュータサブシステムが受信できるように、任意の適切なやり方で、検出器アセンブリに含まれる検出器(図23に示さず)に結合され得る(例えば、「有線」および/または「無線」伝送媒体を含み得る、1つ以上の伝送媒体を通じて)。コンピュータサブシステム2302は、検出器の出力を用いていくつかの機能を行うように構成され得る。
【0083】
別の実施形態では、システムは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、試料上の欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムを含む。例えば、コンピュータサブシステムは、検出器の出力を用いて、試料上の事象を検出するように構成され得る。試料上の事象を検出することは、何らかの欠陥検出アルゴリズムおよび/または方法を、検出器によって生成された出力に適用することによって行われ、これらは当技術分野で知られている任意の適切なアルゴリズムおよび/または方法を含み得る。例えば、コンピュータサブシステムは、検出器の出力を、閾値と比較することができる。閾値を超える値を有する任意の出力は、事象(例えば、潜在的な欠陥)として識別されることができ、閾値未満の値を有する任意の出力は、事象として識別され得ない。コンピュータサブシステム2302は、本明細書で述べられる任意のさらなるステップを行うように構成され得る。
【0084】
ツールのコンピュータサブシステム(および本明細書で述べられる他のコンピュータサブシステム)はまた、本明細書ではコンピュータシステムと呼ばれ得る。本明細書で述べられるコンピュータサブシステムまたはシステムのそれぞれは、パーソナルコンピュータシステム、画像コンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク装置、インターネット装置、または他のデバイスを含む、様々な形をとり得る。一般に、「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する、1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広く定義され得る。コンピュータサブシステムまたはシステムはまた、並列プロセッサなどの当技術分野で知られている任意の適切なプロセッサを含み得る。加えて、コンピュータサブシステムまたはシステムは、スタンドアロンまたはネットワーク化されたツールとして、高速処理およびソフトウェアを有するコンピュータプラットフォームを含み得る。
【0085】
システムが2つ以上のコンピュータサブシステム(図示せず)を含む場合は、画像、データ、情報、命令などが、コンピュータサブシステムの間で送られ得るように、異なるコンピュータサブシステムが互いに結合され得る。複数のコンピュータサブシステムは、当技術分野で知られている任意の適切な有線および/または無線伝送媒体を含み得る、任意の適切な伝送媒体によって互いに結合され得る。2つ以上のこのようなコンピュータサブシステムはまた、共有されたコンピュータ可読記憶媒体(図示せず)によって、実際上結合され得る。
【0086】
図23は、本明細書で述べられる検出器アセンブリの実施形態が用いられ得る、電子ビームツールの構成を一般的に示すためにもたらされることが留意される。本明細書で述べられる電子ビームツール構成は、商用ツールを設計するときに通常行われるように、ツールの性能を最適化するために変更され得る。加えて、本明細書で述べられる検出器アセンブリは、KLAから市販されているツールなどの、既存のツールにおいて実施され得る(例えば、本明細書で述べられる機能性を、既存のツールに追加することによって)。いくつかのこのようなシステムに対して、本明細書で述べられる検出器アセンブリは、システムの任意選択の機能性としてもたらされ得る(例えば、システムの他の機能性に加えて)。代わりに、本明細書で述べられるシステムは、全く新しいシステムをもたらすように「最初から」設計され得る。図23に示されるシステムは、本明細書で述べられるようにさらに構成され得る。
【0087】
ツールは上記では電子ビームツールであるとして述べられたが、ツールは、イオンビームツールとすることができる。このようなツールは、電子ビーム源が、当技術分野で知られている任意の適切なイオンビーム源に置き換えられ得ることを除いて、図23に示されるように構成され得る。加えて、ツールは、市販の集束イオンビーム(FIB)システム、ヘリウムイオン顕微鏡検査(HIM)システム、および二次イオン質量分析(SIMS)システムに含まれるものなど、任意の他の適切なイオンビーム撮像ツールを含み得る。
【0088】
上述のように、コンピュータサブシステムは、試料上の欠陥を検出するために、検出器によって生成された出力を用い得る。このようにして、本明細書で述べられるシステムは、検査システムとして構成され得る。いくつかの実施形態では、システムは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、異なるシステムによって、試料上で検出された欠陥をレビューするように構成されたコンピュータサブシステムを含む。さらなる実施形態では、システムは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、試料に対するオーバーレイ情報を決定するように構成されたコンピュータサブシステムを含む。さらに別の実施形態では、システムは、第1の検出器によって生成された出力に基づいて、試料上に形成されたパターン化されたフィーチャの1つ以上の特性を決定するように構成されたコンピュータサブシステムを含む。例えば、本明細書で述べられるシステムは、計測または欠陥レビューシステムとして構成され得る。特に、本明細書で述べられ、図23に示されるシステムの実施形態は、それが用いられることになる用途に応じて、異なる撮像能力をもたらすように、1つ以上のパラメータにおいて変更され得る。1つのこのような例では、図23に示される電子カラムは、それが検査のためではなく計測のために用いられる場合、より高い解像度を有するように構成され得る。言い換えれば、図23に示されるシステムの実施形態は、異なる用途にほぼ適切な、異なる撮像能力を有するシステムを作り出すように、当業者には明らかになるであろういくつかのやり方で適合され得るシステムに対する、いくつかの一般的および様々な構成を説明している。
【0089】
コンピュータサブシステムは、任意の適切なやり方で、試料上で検出された欠陥をレビューするように構成され得る。例えば、コンピュータサブシステムは、電子カラムに、別のシステムによって検出された欠陥の位置における画像を収集させ得る。コンピュータサブシステムは、レビュー画像内の欠陥を再配置するために、画像に対して何らかの欠陥再検出アルゴリズムまたは方法を適用し得る。次いでコンピュータサブシステムは、サイズ、形状、コントラスト、テクスチャ、粗さ、および再検出された欠陥の近くまたはそれを取り囲むパターンなど、再検出された欠陥の1つ以上の特性を決定し得る。コンピュータサブシステムは、1つ以上の特性に対するその情報を用いて、分類、重度の程度、その他など、再検出された欠陥についてのさらなる情報を決定し得る。
【0090】
コンピュータサブシステムは、当技術分野で知られている任意の適切なやり方で、試料上に形成されたパターン化されたフィーチャの1つ以上の特性、およびオーバーレイ情報を決定するように構成され得る。例えば、コンピュータサブシステムは、パターン化されたフィーチャが測定されるべき、および/またはオーバーレイ情報が生成されるべき位置での画像を、電子カラムに生成させることができる。次いでコンピュータサブシステムは、1つ以上の寸法、例えば、線幅、テクスチャ、粗さ、形状、その他などのパターン化されたフィーチャの1つ以上の特性、および/または、試料の別のレイヤ上の別のパターンに関して、試料の1つのレイヤ上の1つのパターンの変位量などのオーバーレイ情報を決定するために、画像に対して1つ以上の画像処理アルゴリズムまたは方法を適用し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の反発メッシュを通過する荷電粒子に応答して、出力を生成するように構成された第2の検出器と、第1の検出器によって生成された出力、および第2の検出器によって生成された出力から、試料に対する情報を決定するように構成されたコンピュータサブシステムとを含む。例えば、本明細書で述べられる実施形態は、同時に試料に対する出力を生成する、複数の検出器を含み得る。従って、試料上の任意の1つの位置に対して、同時に複数の検出器よって複数の出力が生成されることができ、本明細書で述べられる実施形態による使用のために利用可能になり得る。次いでコンピュータサブシステムは、上述のものを含む多様な方法で、試料上の同じ位置に対して生成された複数の出力を用いて、試料に対する、本明細書で述べられる情報のいずれかを決定し得る。
【0092】
コンピュータサブシステムはまた、情報を決定するために第1および第2の検出器のみからの出力を用いることに限定されず、情報を決定するために、システムに含まれる検出器のいずれかに対する出力を用い得る。コンピュータサブシステムは、異なる情報を決定するために、出力の異なるセットを選択し得る。例えば、いくつかの例では、第1および第2の検出器によって生成される出力は、試料に対する第1の情報を決定するために特に有用となり、第1および第3の検出器によって生成される出力は、試料の第2の情報を決定するために特に有用となり得る。
【0093】
本明細書で述べられる実施形態は柔軟性があり、各検出器が検出する荷電粒子のタイプおよび/またはエネルギに基づいて(例えば、上述のように最適エネルギバンドを選択することにより)、容易に構成されることができ、どのタイプの荷電粒子が、どの試料情報に対して感度があるかについての情報に基づいて、コンピュータサブシステムは、試料情報が複数の検出器によって生成された出力を用いて決定されているときでも、最も高い感度および/または最も高い精度を有して、試料情報を決定するための、システムの様々なパラメータを選択し得る。
【0094】
1つのこのような実施形態では、コンピュータサブシステムは、第1の検出器によって生成された出力、および第2の検出器によって生成された出力から、試料上の欠陥に対する画像を生成することによって、試料に対する情報を決定するように構成される。例えば、異なる検出器からの出力は、試料に対する情報を決定するために別々に用いられ得るだけでなく、情報を決定するために次いで用いられる試料に対する新たな出力を生成するために用いられ得る。1つのこのような例では、2つの検出器からの2つの画像の比較または代数的演算(例えば、加算、減算、平均など)は、結果としての画像内の欠陥のコントラストを増強し得る。従って、欠陥に対してより良好なコントラストを有する新たな第3の画像を生成するために、2つの画像が用いられることができ、コンピュータサブシステムは、第3の画像を用いて、欠陥を検出する、または1つ以上の欠陥特性などの欠陥に対する情報を決定することができる。このような画像はまた、パターン化されたフィーチャ特性など、本明細書で述べられる他の試料情報を決定するために有用となり得る。
【0095】
コンピュータサブシステムは、システムによって行われる任意のステップの結果を、任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体に記憶するように構成され得る。結果は、当技術分野で知られている任意のやり方で記憶され得る。記憶媒体は、本明細書で述べられる任意の記憶媒体、または当技術分野で知られている任意の他の適切な記憶媒体を含み得る。結果が記憶された後、結果は、記憶媒体内でアクセスされることができ、および本明細書で述べられる方法またはシステム実施形態のいずれかによって用いられ、ユーザに対する表示のためにフォーマットされ、別のソフトウェアモジュール、方法、またはシステムなどによって用いられ得る。例えば、システムが検査ツールとして構成される場合は、システムは、試料上の検査プロセスを行うことができ、および検出された欠陥の境界ボックスの情報、例えば、位置その他、検出スコア、クラスラベルまたはIDその他などの欠陥分類についての情報、または当技術分野で知られている任意のこのような適切な情報など、試料上で検出された任意の欠陥に対する結果を作り出し得る。欠陥に対する結果は、任意の適切なやり方でコンピュータサブシステムによって生成され得る。欠陥に対する結果は、標準のファイルタイプなど、任意の適切な形またはフォーマットを有し得る。コンピュータサブシステムは、試料または同じタイプの別の試料に対して1つ以上の機能を行うために、コンピュータサブシステムおよび/または別のシステムまたは方法によって結果が用いられ得るように、結果を生成し、および結果を記憶し得る。
【0096】
本明細書で述べられるシステム実施形態によって生成された結果および情報は、本明細書で述べられる実施形態、および/またはシステムおよび方法によって、多様なやり方で用いられ得る。このような機能は、フィードバックまたはフィードフォワードのやり方で、試料または別の試料に対して、行われたまたは行われることになる、製作プロセスまたはステップなどの、プロセスを変更することを含むが、それらに限定されない。例えば、本明細書で述べられるコンピュータサブシステムは、検査される試料に対して行われたプロセス、および/または検出された欠陥に基づいて試料に対して行われることになるプロセスに対する、1つ以上の変更を決定するように構成され得る。プロセスに対する変更は、プロセスの1つ以上のパラメータに対する、任意の適切な変更を含み得る。本明細書で述べられるコンピュータサブシステムは、修正されたプロセスが行われる他の試料上で欠陥が低減または防止され得るように、試料に対して行われる別のプロセスにおいて試料上の欠陥が修正または除去され得るように、試料に対して行われる別のプロセスにおいて欠陥が補償され得るようになど、変更を決定することが好ましい。本明細書で述べられるコンピュータサブシステムは、当技術分野で知られている任意の適切なやり方で、これらの変更を決定し得る。このような変更はまた、本明細書で述べられる他のプロセスの結果を用いて、決定され得る。
【0097】
次いでそれらの変更は、半導体製作システム(図示せず)、またはコンピュータサブシステムおよび半導体製作システムにアクセス可能な記憶媒体(図示せず)に送られ得る。半導体製作システムは、本明細書で述べられるシステム実施形態の一部とすることができ、または一部でなくてもよい。例えば、本明細書で述べられるコンピュータサブシステムおよび/またはツールは、例えば、ハウジング、電源、試料ハンドリング装置または機構その他など、1つ以上の共通要素を通じて、半導体製作システムに結合され得る。半導体製作システムは、リソグラフィツール、エッチングツール、化学機械研磨(CMP)ツール、堆積ツールその他など、当技術分野で知られている任意の半導体製作システムを含み得る。
【0098】
システムの実施形態のそれぞれは、本明細書で述べられる任意の他の実施形態に従って、さらに構成され得る。
【0099】
別の実施形態は、試料からの荷電粒子を検出する、コンピュータ実施方法に関する。方法は、図24のステップ2400に示されるように、試料からの荷電粒子の経路内に位置付けられた第1の反発メッシュによって、第1の所定のエネルギより低いエネルギを有する、試料からの荷電粒子を反発することを含む。方法はまた、図24のステップ2402に示されるように、第2の反発メッシュによって、第1の反発メッシュを通過し、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を反発することを含む。加えて、方法は、図24のステップ2404に示されるように、第1の誘引メッシュによって、第1の反発メッシュを通過し、第2の反発メッシュによって反発され、第1の所定のエネルギより高く、第2の所定のエネルギより低いエネルギを有する荷電粒子を誘引することを含む。方法は、図24のステップ2406に示されるように、第1の検出器によって、第1の誘引メッシュを通過した荷電粒子に応答して、出力を生成することをさらに含む。方法のステップのそれぞれは、本明細書でさらに述べられるように行われ得る。方法はまた、本明細書で述べられるシステムによって行われ得る任意の他のステップを含み得る。方法のステップは、本明細書で述べられるシステムによって行われることができ、それらは本明細書で述べられる実施形態のいずれかによって構成され得る。
【0100】
さらなる実施形態は、試料からの荷電粒子を検出する、コンピュータ実施方法を行うために、コンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。1つのこのような実施形態は、図25に示される。特に、図25に示されるように、非一時的コンピュータ可読媒体2500は、コンピュータシステム2504上で実行可能な、プログラム命令2502を含む。コンピュータ実施方法は、本明細書で述べられる任意の方法の、任意のステップを含み得る。
【0101】
本明細書で述べられるものなどの方法を実施するプログラム命令2502は、コンピュータ可読媒体2500に記憶され得る。コンピュータ可読媒体は、磁気もしくは光ディスク、磁気テープなどの記憶媒体、または当技術分野で知られている任意の他の適切な非一時的コンピュータ可読媒体とすることができる。
【0102】
プログラム命令は、中でも、手続きベース技法、コンポーネントベース技法、および/またはオブジェクト指向技法を含む、様々な形のいずれかにおいて実施され得る。例えば、プログラム命令は、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans、マイクロソフトファウンデーションクラス(「MFC」)、SSE(ストリーミングSIMD拡張命令)、または所望の他の技術もしくは方法論を用いて実施され得る。
【0103】
コンピュータシステム2504は、本明細書で述べられる実施形態のいずれかによって構成され得る。
【0104】
本発明の様々な態様のさらなる変形および代替実施形態が、本明細書に鑑みて、当業者には明らかになるであろう。例えば、試料からの荷電粒子を検出するための方法およびシステムがもたらされる。従って、この説明は例示のみと解釈されるべきであり、本発明を遂行する一般的なやり方を、当業者に教示するためのものである。本明細書で示され、述べられる本発明の形は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本発明のこの説明の恩恵を受けた後に、すべて当業者には明らかになるであろうように、本明細書で示され述べられるものに対して要素および材料は置き換えられることができ、部分およびプロセスは逆にされることができ、本発明のある特定の特徴は独立に利用され得る。添付の「特許請求の範囲」で述べられる本発明の思想および範囲から逸脱せずに、本明細書で述べられる要素において、変更がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】