(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】流体抽出システム、方法及びリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515648
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022075677
(87)【国際公開番号】W WO2023061694
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スミーツ,ベンジャミン,クネゴンダ,ヘンリカス
(72)【発明者】
【氏名】リンセン,ブラム,ペーター,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ルース,ウィレム,アリー
(72)【発明者】
【氏名】フレンケン,マルク,ヨハネス,ヘルマヌス
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197AA12
2H197CD12
2H197CD44
2H197DA09
2H197DB26
2H197DC05
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA08
2H197HA10
(57)【要約】
リソグラフィ装置のための流体抽出システムであって、流体抽出システムは、流体ハンドリング構造を備える流体ハンドリングシステムが供給するよう配置される、流体を、基板の縁部と該基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流路に沿って、抽出するように構成されており、基板の特性、流体ハンドリングシステムの特性、流体ハンドリング構造の特性、流体抽出システムの特性、及び流体ハンドリング構造と流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に依存して、流路内の流体の流量を制御するようにコントローラが配置されている、流体抽出システム。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のための流体抽出システムであって、前記流体抽出システムは、流体ハンドリング構造を備える流体ハンドリングシステムが供給するよう配置される、流体を、前記基板の縁部と前記基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流路に沿って、抽出するように構成されており、
前記基板の特性、前記流体ハンドリングシステムの特性、前記流体ハンドリング構造の特性、前記流体抽出システムの特性、及び前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に依存して、前記流路内の前記流体の流量を制御するようにコントローラが配置されている、流体抽出システム。
【請求項2】
前記流体流路内の前記流体の前記流量が可変弁に依存するように、前記流体流路内に前記可変弁を更に備え、前記コントローラは前記可変弁を制御するように構成されている、請求項1に記載の流体抽出システム。
【請求項3】
前記コントローラは、最大流量と流体流なしの間における複数の異なる流量のうちの任意の1つの間で前記流量が変更可能であるように、前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項1又は2に記載の流体抽出システム。
【請求項4】
前記コントローラが依存して前記流量を制御するよう配置される、前記基板の前記特性は、前記基板の高さ、形状、反り及び接触角のうちの1つ以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記流体ハンドリングシステム内の流体流、
前記流体流路内の圧力、及び
前記流体ハンドリング構造と前記基板との間の離隔距離
のうちの1つ以上に依存して、前記流量を制御するように配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記流路内の前記流体における圧力変化の大きさを減少させるために、前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記基板の走査パターンに依存して前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項8】
前記コントローラは、制御ループに依存して前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項9】
前記流体は、液浸液及び/又は気体を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項10】
前記基板を支持するための基板サポートを更に備え、前記基板サポートは、前記基板の前記周囲構造を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項11】
リソグラフィ装置のための流体抽出システムであって、前記流体抽出システムは、流体ハンドリング構造を備える流体ハンドリングシステムが供給するよう配置される、流体を、基板の縁部と前記基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流路に沿って、抽出するように構成されており、
前記基板の走査パターン、前記基板の特性、前記流体ハンドリングシステムの特性、前記流体ハンドリング構造の特性、前記流体抽出システムの特性、及び前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムのとの間の離隔に依存して、前記流路に沿う前記流体の流量を制御するようにコントローラが配置され、
前記コントローラは、最大流量と流体流なしの間における複数の異なる流量のうちの任意の1つの間で前記流量が変更可能であるように、前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、流体抽出システム。
【請求項12】
流体ハンドリング構造を備えた流体ハンドリングシステム、及び
請求項1~11のいずれか一項に記載の流体抽出システム
を備えたリソグラフィ装置であって、
前記流体ハンドリング構造は、前記リソグラフィ装置における投影システムの一部と基板の表面との間の空間に液浸液を閉じ込め、それにより前記投影システムから投影される放射ビームが、前記液浸液を通過することによって前記基板の前記表面を照射することができるように構成されている、リソグラフィ装置。
【請求項13】
リソグラフィ装置におけるデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ装置は、基板に放射ビームを投影するように構成された投影システムと、前記リソグラフィ装置における投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込め、それにより前記投影システムから投影される放射ビームが、前記液浸液を通過することによって前記基板の前記表面を照射することができるように構成された流体ハンドリング構造を備えた流体ハンドリングシステムとを有し、前記方法は、
前記流体ハンドリング構造を使用して、少なくとも前記流体ハンドリング構造の一部と前記基板の前記表面との間の前記空間に前記液浸液を閉じ込めることと、
前記基板の縁部と前記基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流体流路に沿って流体を抽出することと、
前記基板の特性、前記流体ハンドリングシステムの特性、前記流体ハンドリング構造の特性、前記流体抽出システムの特性、及び前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に依存して、前記流体流路に沿う前記流体の前記流量を制御することと
を含む、デバイス製造方法。
【請求項14】
前記基板の高さを測定することと、
前記基板の前記測定された高さに依存して、前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムとの間の前記離隔を調節することと、
前記基板の前記測定された高さに依存して、前記流体流路に沿う前記流体の前記流量を制御することと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年10月14日に出願された欧州出願21202729.6号の優先権を主張するものであり、該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、流体ハンドリングシステム及びデバイス製造方法に関する。本発明は、リソグラフィ装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計」又は「設計レイアウト」と呼ばれることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれて、回路素子の寸法が継続的に小さくなる一方、トランジスタなどの機能素子のデバイス当たりの量は、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って、数十年間にわたり着々と増加している。ムーアの法則に遅れを取らないために、半導体業界は、ますます小さなフィーチャを作成することを可能にする技術を追い求めている。リソグラフィ装置は、基板にパターンを投影するために電磁放射を使用してもよい。この放射の波長が、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。4nm~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置が、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するために使用され得る。
【0005】
[0005] より小さいフィーチャの解像度における更なる改良は、水などの比較的高い屈折率を有する液浸流体を露光中に基板上に提供することによって実現し得る。液浸流体の効果は、露光放射が流体中では気体中よりも短い波長を有するため、より小さいフィーチャの結像を可能にすることである。液浸流体の効果は、システムの有効開口数(NA)を増加させ、焦点深度も増加させるという点にも存し得る。液浸流体は、流体ハンドリング構造によって、リソグラフィ装置の投影システムと基板との間の局所的な領域に閉じ込められてもよい。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明の目的は、既知の技術よりも改良された性能を有する流体ハンドリングシステム及び方法を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置のための流体抽出システムであって、流体抽出システムは、流体ハンドリング構造を備える流体ハンドリングシステムが供給するよう配置される、流体を、基板の縁部と該基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流路に沿って、抽出するように構成されており、基板の特性、流体ハンドリングシステムの特性、流体ハンドリング構造の特性、流体抽出システムの特性、及び流体ハンドリング構造と流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に依存して、流路内の流体の流量を制御するようにコントローラが配置されている、流体抽出システムが提供される。
【0008】
[0008] 本発明の第2の態様によれば、リソグラフィ装置のための流体抽出システムであって、流体抽出システムは、流体ハンドリング構造を備える流体ハンドリングシステムが供給するよう配置される、流体を、該基板の縁部と基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流路に沿って、抽出するように構成されており、基板の走査パターン、基板の特性、流体ハンドリングシステムの特性、流体ハンドリング構造の特性、流体抽出システムの特性、及び流体ハンドリング構造と流体抽出システムとの間の離隔に依存して、流路に沿う流体の流量を制御するようにコントローラが配置され、該コントローラは、最大流量と流体流なしの間における複数の異なる流量のうちの任意の1つの間で流量が変更可能であるように、流路内の流体の流量を制御するように配置されている、流体抽出システムが提供される。
【0009】
[0009] 本発明の第3の態様によれば、流体ハンドリング構造を備えた流体ハンドリングシステムと、前述のいずれかの態様の流体抽出システムとを備えるリソグラフィ装置であって、流体ハンドリング構造は、リソグラフィ装置における投影システムの一部と基板の表面との間の空間に液浸液を閉じ込め、それにより、投影システムから投影される放射ビームが、液浸液を通過することによって基板の表面を照射できるように構成されている、リソグラフィ装置が提供される。
【0010】
[0010] 本発明の第4の態様によれば、リソグラフィ装置におけるデバイス製造方法であって、該リソグラフィ装置は、基板上に放射ビームを投影するように構成された投影システムと、リソグラフィ装置における投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込め、それにより、投影システムから投影される放射ビームが、液浸液を通過することによって基板の表面を照射できるように構成された流体ハンドリング構造を備えた流体ハンドリングシステムと、を備え、該方法は、流体ハンドリング構造を使用して、少なくとも流体ハンドリング構造の一部と基板の表面との間の空間に液浸液を閉じ込めることと、空間内の液浸液を通して、基板上にパターン形成された放射ビームを投影することと、基板の縁部と該基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流体流路に沿って流体を抽出することと、基板の特性、流体ハンドリングシステムの特性、流体ハンドリング構造の特性、流体抽出システムの特性、及び流体ハンドリングシステムと流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に依存して、流体流路に沿う流体の流量を制御することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の更なる実施形態、特徴及び利点は、本発明の様々な実施形態、特徴及び利点の構造及び動作と共に、以下で添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012] ここで、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図面を参照しながら、本発明の実施形態が単なる例示として説明される。
【
図1】[0013] リソグラフィ装置の概略図を示す。
【
図2A】[0014] 一実施形態に係る流体ハンドリングシステムの一部を示す。
【
図2B】[0015] 一実施形態に係る流体ハンドリングシステムの一部を示す。
【0013】
[0016] 図に示される特徴は必ずしも縮尺通りではなく、図示されるサイズ及び/又は配置は限定的なものではない。図には、発明に必須ではない場合がある任意選択的な特徴が含まれることが理解されよう。更に、装置のすべての特徴が図のそれぞれにおいて示されている訳ではなく、図は、特定の特徴を説明する上で関連する要素のいくつかのみを示している場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0017] 本文献において、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線、例えば約5~100nmの範囲の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含するように使用される。
【0015】
[0018] 本文中で使用される「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に作成されるべきパターンに対応するパターン形成された断面を入射する放射ビームに与えるために使用可能である、一般的なパターニングデバイスを指すものとして広く解釈され得る。「ライトバルブ」という用語もこの文脈で使用可能である。他のこのようなパターニングデバイスの例としては、古典的なマスク(透過型又は反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリッド型など)以外に、プログラマブルミラーアレイやプログラマブルLCDアレイが挙げられる。
【0016】
[0019]
図1は、リソグラフィ装置を概略的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、且つ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートされたウェーハ)Wを保持するように構築され、且つ特定のパラメータに従って基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板サポート(例えば基板テーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。コントローラ500は、装置の全体的な動作を制御する。コントローラ500は、集中制御システム、又はリソグラフィ装置の各種サブシステム内における複数の別個のサブコントローラのシステムであってもよい。
【0017】
[0020] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからの放射ビームBを受ける。照明システムILは、放射の誘導、整形及び/又は制御のための、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型及び/又は他のタイプの光学コンポーネントなどの各種光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せを含み得る。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの面で、その断面において所望の空間及び角度強度分布を有するように、放射ビームBを調整するために使用してもよい。
【0018】
[0021] 本明細書中で使用される「投影システム」PSという用語は、使用中の露光放射、及び/又は、液浸液の使用若しくは真空の使用などの他の要素にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型及び/又は静電型の光学システム、又はそれらの任意の組合せを含む各種投影システムを包含するものとして広く解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語の使用は、より一般的な用語である「投影システム」PSと同義のものとして解釈され得る。
【0019】
[0022] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wの間の液浸空間11を満たすために、比較的高い屈折率を有する液浸液、例えば水によって基板Wの少なくとも一部分が被覆され得るタイプのものであり、これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術に関する更なる情報は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許6,952,253号において与えられている。
【0020】
[0023] リソグラフィ装置は、2つ以上の基板サポートWTを有するタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)であってもよい。このような「マルチステージ」装置において、基板サポートWTは並行して使用することができ、及び/又は、一方の基板サポートWT上に位置付けられた基板W上で基板Wの後続の露光を準備するステップを実行しつつ、他方の基板W上にパターンを露光するために、他方の基板サポートWT上の別の基板Wを使用してもよい。
【0021】
[0024] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置は測定ステージ(図示せず)を備え得る。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置される。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するように配置され得る。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の一部、例えば投影システムPSの一部、又は液浸液を提供するシステムの一部をクリーニングするように配置され得る。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れている時に、投影システムPSの下を移動し得る。
【0022】
[0025] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集光する投影システムPSを通過する。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFの助けにより、例えば放射ビームBの経路中の集束及び位置合わせした位置に異なるターゲット部分Cを位置決めするために、基板サポートWTを正確に移動させることができる。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めするために、第1のポジショナPM、及び場合によっては別の位置センサ(
図1では明示的に示されない)が使用され得る。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示される基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、それらはターゲット部分の間の空間に位置付けられてもよい。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分Cの間に位置付けられる場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0023】
[0026] 本発明を明確にするために、デカルト座標系が使用される。デカルト座標系は、3つの軸、すなわちx軸、y軸及びz軸を有する。3つの軸のそれぞれは、他の2つの軸と直交する。x軸を中心とする回転は、Rx回転と呼ばれる。y軸を中心とする回転は、Ry回転と呼ばれる。z軸を中心とする回転は、Rz回転と呼ばれる。x軸及びy軸が水平面を画定するのに対して、z軸は垂直方向にある。デカルト座標系は発明を限定しているのではなく、明確化のためにのみ使用される。代わりに、円筒座標系などの別の座標系が発明の明確化のために使用されてもよい。例えば、z軸が水平面に沿った成分を有するように、デカルト座標系の配向は異なるものであり得る。
【0024】
[0027] より小さいフィーチャの解像度の向上を可能にするために、液浸技術がリソグラフィシステムに導入されている。液浸リソグラフィ装置では、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層が、装置の投影システムPS(これを通してパターン形成されたビームが基板Wに向かって投影される)と基板Wの間の液浸空間に介在する。液浸液は、投影システムPSの最終素子の下で、基板Wの少なくとも一部を被覆する。このように、露光を受けている基板Wの少なくとも一部が液浸液に浸漬される。
【0025】
[0028] 商業用の液浸リソグラフィでは、液浸液は水である。典型的に、この水は半導体製造プラントで一般的に使用されている超純水(UPW)などの高純度の蒸留水である。液浸システムでは多くの場合、UPWは精製され、液浸液として液浸空間に供給される前に追加の処理ステップを受けることがある。水のほかに、例えばフッ化炭化水素のような炭化水素及び/又は水溶液など、屈折率の高い他の液体を液浸液として使用することができる。更に、液体以外の他の流体を液浸リソグラフィに使用することが想定されている。
【0026】
[0029] 本明細書では、使用時に最終素子と最終素子に対向する表面との間の液浸空間に液浸液が閉じ込められる局所液浸について言及する。この対向する表面は、基板Wの表面、又は基板Wの表面と同一平面上の支持台(又は基板サポートWT)の表面である(以下の本文における基板Wの表面への言及はまた、そうではないと明記しない限り、追加的又は代替的に基板サポートWTの表面を指すものであり、逆もまた同様であることに注意されたい)。投影システムPSと基板サポートWTとの間に存在する流体ハンドリング構造は、液浸液を液浸空間に閉じ込めるために使用される。液浸液で満たされた液浸空間は、平面視において基板Wの最上面よりも小さく、液浸空間は、基板W及び基板サポートWTが下方で移動する間、投影システムPSに対して実質的に静止したままである。
【0027】
[0030] 非閉じ込め液浸システム(いわゆる「オールウェット」液浸システム)や浴式液浸システムなど、他の液浸システムも想定されている。非閉じ込め液浸システムでは、液浸液は、最終素子の下方の表面よりも多くの部分を被覆する。液浸空間外の液体は薄い液膜として存在する。液体は、基板Wの表面全体、あるいは基板W及び基板Wと同一平面上の基板サポートWTの表面全体さえも被覆することがある。浴式システムでは、基板Wは液浸液浴に完全に浸漬される。
【0028】
[0031] 流体ハンドリング構造は、液浸液を液浸空間に供給し、液浸空間から液浸液を除去し、それにより液浸液を液浸空間に閉じ込める構造である。それは流体供給システムの一部である特徴部を含む。PCT特許出願公開第WO99/49504号に開示されている構成は、液浸液を供給又は液浸空間から回収し、投影システムPSの下のステージの相対運動に応じて動作する複数のパイプを備える初期の流体ハンドリング構造である。より最近の設計では、流体ハンドリング構造は、投影システムPSの最終素子100と基板サポートWT又は基板Wとの間の液浸空間の境界の少なくとも一部に沿って延在し、それにより液浸空間を部分的に画定する。
【0029】
[0032] 流体ハンドリング構造は、様々な機能の選択を有することができる。各機能は、流体ハンドリング構造が該機能を達成することを可能にする、対応する特徴部から導かれ得る。流体ハンドリング構造は、それぞれが1つの機能を指す、バリア部材、シール部材、流体供給システム、流体除去システム、液体閉じ込め構造などのいくつかの異なる用語で呼ばれ得る。
【0030】
[0033] バリア部材としての流体ハンドリング構造は、液浸空間からの液浸液の流れに対するバリアである。液体閉じ込め構造としての構造は、液浸液を液浸空間に閉じ込める。シール部材として、流体ハンドリング構造の封止特徴部は、液浸液を液浸空間に閉じ込めるシールを形成する。封止特徴部は、ガスナイフのようなシール部材の表面にある開口からの追加の気体流を含むことがある。
【0031】
[0034] 一実施形態において、流体ハンドリング構造は液浸流体を供給し、そのため、流体供給システムである場合がある。
【0032】
[0035] 一実施形態において、流体ハンドリング構造は液浸流体を少なくとも部分的に閉じ込め、そのため、流体閉じ込めシステムである場合がある。
【0033】
[0036] 一実施形態において、流体ハンドリング構造は液浸流体に対するバリアを提供し、そのため、流体閉じ込め構造などのバリア部材である場合がある。
【0034】
[0037] 一実施形態において、流体ハンドリング構造は、例えば液浸流体の流れ及び/又は位置を制御することを助けるために、気体流を生成又は使用することがある。
【0035】
[0038] 気体流は、液浸流体を閉じ込めるためにシールを形成し得るため、流体ハンドリング構造はシール部材と呼ばれることがあり、そのようなシール部材は、流体閉じ込め構造である場合がある。
【0036】
[0039] 一実施形態において、液浸液が液浸流体として使用される。その場合、流体ハンドリング構造は液体ハンドリングシステムであってもよい。前述の説明を参照すると、流体に関して定義された特徴部へのこの段落での言及は、液体に関して定義された特徴部を含むものと理解し得る。
【0037】
[0040] リソグラフィ装置は、投影システムPSを有する。基板Wの露光中に、投影システムPSはパターン形成された放射ビームを基板W上に投影する。基板Wに到達するために、放射ビームBの経路は、投影システムPSから、投影システムPSと基板Wとの間の流体ハンドリング構造12によって閉じ込められた液浸液を通過する。投影システムPSは、ビームの経路の最後にあるレンズ素子を有し、これは液浸液と接触している。液浸液と接触しているこのレンズ素子は、「最後のレンズ素子」又は「最終素子」と呼ばれることがある。最終素子100は、流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に囲まれている。流体ハンドリング構造12は、液浸液を最終素子100の下方且つ対向する表面の上方に閉じ込め得る。
【0038】
[0041]
図2Aは、一実施形態に係るリソグラフィ装置の一部を示す。
図2Aに示され以下に説明される構成は、上記で説明された
図1に示されるリソグラフィ装置に適用することができる。
【0039】
[0042]
図2Aは、基板テーブル202、基板201、基板201の周囲構造204及び流体ハンドリングシステムの一部を通る断面である。基板201は、
図1に示される基板Wであってもよい。基板テーブル201は、
図1に示される基板テーブルWTであってもよい。流体ハンドリングシステムは、液体浴206及び流体ハンドリング構造205を備える。流体ハンドリング構造205は、液浸空間211に液浸液を供給し、液浸空間211から液浸液を除去し、それにより液浸液を液浸空間211に閉じ込める。流体ハンドリング構造205は、下面205aを有する。流体ハンドリング構造205は、
図1に示される流体ハンドリング構造12であってもよい。
【0040】
[0043] 基板201は、基板テーブル202によって保持される。基板201は、基板テーブル202の1つ以上の突出部203、すなわちバール203上に支持され得る。基板201を所定の位置で保持するために、加圧及び/又はクランプ力が、基板201及び基板テーブル202の間に印加され得る。基板テーブル202は、基板201を支持することを意図しない2つの同心リング214を備え得る。
【0041】
[0044] 基板201の周囲構造204は、基板201の周りで円周方向に延在し得る。周囲構造204は、基板テーブル202とは別個の構造であってもよい。代替的に、周囲構造204は基板テーブル202の一部であってもよい。周囲構造204は、平面視でリング状に形成され、基板201の外縁を囲んでもよい。基板201の周囲構造204は、代替的にカバーリング204と呼ばれることがある。
【0042】
[0045] 流体ハンドリング構造205の下面205aは、第1の離隔距離210によって、基板201の上面201aから離隔されている。第1の離隔距離210は、流体ハンドリング構造205の、基板201より上方における浮上高さと呼ばれることがある。第2の離隔距離217は、流体ハンドリング構造205の下面205a及び周囲構造204の上面の離隔として定義し得る。第2の離隔距離217は、流体ハンドリング構造205の、周囲構造204より上方における浮上高さと呼ばれることがある。基板201の上面201aが、
図2Aに示されるように周囲構造204の上面と同一平面内にあるとき、基板201より上方における浮上高さは、周囲構造204より上方における浮上高さと同じである。
【0043】
[0046] 液体浴206は、その中の液体が液浸空間211内に流れ得るように配置される。液浸空間211は、流体ハンドリング構造205の下面205a、基板201の上面201a、及び/又は基板テーブル202の上面、例えば周囲構造204の上面によって部分的に仕切られている。
【0044】
[0047] 基板201の縁部と周囲構造204の縁部の間には、ギャップが存在する。また、基板テーブル202及び/又は周囲構造204を通る流体チャネル207が存在する。液浸空間211中の流体がギャップ209を通って流れ、次に流体チャネル207を通って流れ得るように配置された流体流路208が存在する。流体チャネル207は、基板201の縁部から半径方向外側に位置付けられ得る。流体チャネル207内には、可変弁212があってもよい。可変弁212は、比例弁とも呼ばれることがある。可変弁212は、流体チャネル207を通る流体の流れを制御するように配置される。流体チャネル207及び可変弁212は、一実施形態に係る流体抽出システムの一部である。
【0045】
[0048] リソグラフィ装置を使用する際、流体ハンドリング構造205は、基板201及び基板テーブル202に対して移動し得る。この相対移動の間、流体ハンドリング構造205は、ギャップ209を越えて移動し得る。特に、基板201の縁部が結像されている場合、あるいは基板201が最初に投影システムPSの下に移動するときなどの他の場合に、液浸空間211中の液浸液は、ギャップ209内に流れ得る。
【0046】
[0049] 流体抽出システムは、ギャップ209内に流れる液浸液を流体チャネル207に沿って抽出し得る。流体抽出システムの別の機能は、ギャップ209内の気体が液浸空間211内に逃げるのを防ぐことである。気体が液浸空間211内に逃げると、液浸空間211内に浮かぶ気泡が生じる可能性がある。そのような気泡は、放射ビームBの経路内に存在する場合、結像エラーを引き起こし得る。流体抽出システムは、ギャップ209から気体を除去するようにも構成される。そのため、流体チャネル207は気体と液浸液の両方を抽出するように配置される。そのため、流体チャネル207を通る流体流は二相流であり得る。
【0047】
[0050] より進歩した3D構造を製造するために必要とされる、基板201上にスタックされる層の数を増やすことへの一般的な要望が存在する。高さの異なる基板を有するリソグラフィ装置を動作させる能力への関連した要望が存在する。
【0048】
[0051]
図2A及び2Bは、2つの異なる基板高さ213を有する基板201が使用される場合の、流体ハンドリングシステム及び流体抽出システムの相対的配置を示す。
図2Bに示される基板201は、
図2Aに示される基板201よりも大きい基板高さ213を有する。基板201の上面201aの上方には、維持される必要がある流体ハンドリング構造205の第1の最小離隔距離210が存在する。第1の最小離隔距離210が維持されなかった場合、流体ハンドリング構造205と基板201の間で衝突が生じ得る。そのため、基板高さ213が増加した場合には、液体閉じ込め構造205と流体抽出システムとの間において、第2の離隔距離217を増加させることが必要となり得る。したがって、
図2Bにおける第2の離隔距離217は、
図2Aにおけるよりも大きい。例えば、約770μm~約850μmの範囲の基板高さ213で、リソグラフィ装置を動作させることが必要となる場合がある。維持される必要がある最小離隔距離210は、約135μmであり得る。約770μmの基板高さ213で動作するように構成された流体ハンドリング構造205及び流体抽出システムは、該流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔を増加させなければ、約850μmの基板高さ213では動作することができない場合がある。
【0049】
[0052] 液体閉じ込め構造205と流体抽出システムとの間の離隔の変化、及び/又は基板高さ213の変化は、液浸空間211内の流体流の状態を変化させる。流体抽出システムの流体チャネル207を通る流体流量は、液浸空間211内の流体流の状態を考慮して適切なものでなければならない。流体チャネル207を通る流体流量は、気体及び液浸液を適切に抽出するために十分なほどに大きい必要がある。しかし、流体チャネル207を通る流体流量が大きすぎると液浸液の過剰抽出が生じ、これは基板201上での蒸発コールドスポット(evaporate cold spots)の発生を増加させること、及び/又は液浸空間211中の気体の増加などの問題を引き起こし得る。
【0050】
[0053] 既知の流体抽出システムでは、流体チャネル207内の弁は可変弁ではない。したがって、弁は完全に開いているか、完全に閉じているかのどちらかである。弁が開いている場合、気体及び/又は液浸液が流体チャネル207に沿って抽出される。弁が閉じている場合、流体チャネル207に沿う気体及び/又は液浸液の流れは存在しない。弁が開いているときに流体チャネル207を通る流体流量は、流体抽出システムの初期構成によって決定される。流体チャネル207を通る流体流量は、弁を閉じることによって止めることができる。しかし、それ以外の場合において、流体チャネル207を通る流体流量は、流体抽出システムの初期構成によって決定された流量とは異なる流量に制御することができない。
【0051】
[0054] 既知の流体抽出システムの問題点は、弁が開いているときに、流体チャネル207を通る流体流量が、液浸空間211内の流体流の状態にとって適切ではないことがあり得るということである。特に、既知の流体抽出システムは、基板高さ213の変化を可能にするために必要とされる通りにその動作を適合させることができない。
【0052】
[0055] 実施形態は、既知のシステムが経験してきた上記の問題を解決する。実施形態において、流体抽出システムは可変弁212を備える。可変弁212は、流体チャネル207を通る流体流量を制御することを可能にする。そのため、流体チャネル207を通る流体流量を、液浸空間211内の流体流の状態の変化を考慮した適切な流量に変更することができる。これにより、流体チャネル207を通る流体流量が基板高さ213に対する変化を考慮して適切であることが確実となる。
【0053】
[0056] 実施形態は、可変弁212の動作、すなわち状態を制御するように配置されたコントローラを含む。コントローラは、
図1に示されるコントローラ500か、又は別個のコントローラであってもよい。そのため、コントローラは、可変弁212の動作を制御することによって、流体チャネル207を通る流体流量を制御し得る。コントローラは、リソグラフィ装置の他の部分の動作を制御するようにも配置される。例えば、コントローラは、流体ハンドリング構造に入り、流体ハンドリング構造から出ていく流体流の同じコントローラであり得る。
【0054】
[0057] また、コントローラは、リソグラフィ装置の複数の部分の構成を制御することが可能であり得る。特に、コントローラは、流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔を変更するか、及び/又は流体ハンドリング構造205の浮上高さを変更することが可能であり得る。例えば、コントローラは、基板テーブル202上に取り付けられている、又はこれから取り付けられる基板201の基板高さ213に関するデータを受信し、次に、所定の第1の離隔距離210及び/又は所定の第2の離隔距離217が提供されるように流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔を自動的に変更し得る。所定の第1の離隔距離210は一定であるか、又は、例えば基板高さ213及び/若しくはリソグラフィ装置の意図された動作に依存してもよい。
【0055】
[0058] コントローラは、最大流量と流体流なしの間における複数の異なる流量のうちの任意の1つの間で流量が変更可能であるように、流路208内の流体の流量を制御するように配置される。そのため、流路208内の流体の流量は、液浸空間211内の流体流の状態にとって適切に自動的に制御され得る。
【0056】
[0059] コントローラは、該コントローラによって受信されたデータに依存して、可変弁212の動作を制御し、それにより流路208内の流体の流量を制御するように配置され得る。実施形態は、実質的にリアルタイムで受信されたデータに依存して、可変弁212の動作を制御し、それにより流路208内の流体の流量を制御するように配置されたコントローラを含む。コントローラは、弁の位置を設定又は追跡する開ループを使用して、弁212を制御し得る。コントローラは、流体チャネル207内の圧力が所望の設定点に従うように、制御ループを使用してもよい。
【0057】
[0060] 受信データは、例えば基板201の特性、流体ハンドリング構造205の特性、及び/又は流体抽出システムの特性に関するデータを含み得る。受信データは、流路208に沿う最適な流体抽出流量に影響を及ぼし得る任意のデータを含み得る。特に、受信データは、基板高さ213、基板形状、基板反り、及び基板201の接触角、流体ハンドリングシステム内の流体供給流及び/又は抽出流、流体流路208内の圧力、リソグラフィ装置の動作、浮上高さ210、及び流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に関するデータを含み得る。
【0058】
[0061] 例えば、受信データは、現在の基板201の基板高さ213に関するデータを含み得る。コントローラは次に、現在の基板の基板高さ213に関する受信データに依存して、可変弁212を動作させ、流路208内の流体の流量を変更し得る。追加的又は代替的に、受信データは、流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔に関するデータを含み得る。コントローラは次に、流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔に関する受信データに依存して、可変弁212を動作させ、流路208内の流体の流量を変更し得る。追加的又は代替的に、受信データは、流体ハンドリングシステムの流体供給流及び/又は抽出流に関するデータを含み得る。コントローラは次に、流体ハンドリングシステムの流体供給流及び/又は抽出流に関する受信されたデータに依存して、可変弁212を動作させ、流路208内の流体の流量を変更し得る。
【0059】
[0062] 追加的又は代替的に、受信データは、基板201の走査パターンなどのリソグラフィ装置の動作に関するデータを含み得る。特に、基板の走査パターンにおける特定の基板移動は、液浸空間211内の気体の存在を増加させる場合がある。気体の量が増加すると、流路208内の流体の急激な圧力の上昇を引き起こし得る。流路208内の圧力変化の大きさを減少させるために、コントローラは、基板201の走査パターンに依存して、可変弁212を動作させ、流路208内の流体の流量を変更し得る。
【0060】
[0063] 実施形態は、リソグラフィ装置におけるデバイス製造方法を含む。該方法は、1)流体ハンドリング構造205を備えた流体ハンドリングシステムを使用して、液浸液を液浸空間211に閉じ込めるステップ、2)液浸空間211内の液浸液を通して、パターン形成された放射ビームを基板201上に投影するステップ、3)基板201の縁部と該基板201の周囲構造204の縁部との間のギャップ209を含む流体流路208に沿って流体を抽出するステップ、及び4)基板201の特性、流体ハンドリング構造205の特性、及び/又は流体抽出システムの特性に依存して、流体流路208に沿う流体の流量を制御するステップを含む。方法は更に、基板高さ213を測定することと、基板高さ213に依存して流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔を調節することと、基板高さ213及び/又は流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔に依存して、流体流路208に沿う流体の流量を制御することと、を含み得る。
【0061】
[0064] 実施形態は、上記で説明した技術に対するいくつかの変更及び変形も含む。
【0062】
[0065]
図2A及び2Bに示される通り、流体抽出システムは、同心リング214の間の更なる流体チャネル215、及び更なる流体チャネル215内の可変弁216も備え得る。可変弁216は、更なる流体チャネル215を通る流体の流量を制御するように配置され得る。ギャップ209を通って流れる、又は液浸空間から任意の他の流路に沿って流れる流体は、更なる流体チャネル215に沿っても抽出することができる。実施形態のすべての説明において、更なる流体チャネル215内の可変弁216は、可変弁212と同一の方法又は類似の方法で動作させてもよい。
【0063】
[0066] 例えば、実施形態は、基板テーブル202上に取り付けられている、又はこれから取り付けられる基板201の基板高さ213に依存して、流体ハンドリング構造205と流体抽出システムとの間の離隔を変更するように配置されたコントローラを含む。これは、可変弁212の動作のコントローラとは別個のコントローラであってもよい。
【0064】
[0067] 実施形態は、コントローラによって受信されたデータに依存して、流体ハンドリングシステムの流体供給流及び/又は抽出流体流を制御することも含む。これは、可変弁212の制御に加えて、又はその代替案として実行され得る。
【0065】
[0068] 弁212は、流体チャネル207内に位置付けられる必要はなく、代替的には、流路208に沿う流体流の制御を可能にする任意の場所に位置付けられ得る。
【0066】
[0069] 本発明は、リソグラフィ装置を提供し得る。リソグラフィ装置は、上記で説明したリソグラフィ装置の他の特徴又は要素のいずれか/すべてを有し得る。例えば、リソグラフィ装置は、任意選択的に、ソースSO、照明システムIL、投影システムPS、基板サポートWTなどのうちの少なくとも1つ以上を備え得る。
【0067】
[0070] 具体的には、リソグラフィ装置は、放射ビームBを基板Wの表面の領域に向かって投影するように構成された投影システムPSを備え得る。リソグラフィ装置は更に、上記実施形態及び変形のうちのいずれかにおいて説明された流体ハンドリングシステム及び/又は流体抽出システムを備え得る。
【0068】
[0071] リソグラフィ装置は、基板Wを流体ハンドリングシステムに対して移動させるように構成されたアクチュエータを備え得る。したがって、アクチュエータは、基板Wの位置(又は代替的に流体ハンドリングシステムの位置)を制御するために使用することができる。アクチュエータは、基板サポート(例えば基板テーブル)WT、及び/又は基板Wを保持するように構築された基板ホルダ、及び/又は基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWであるか、又はそれらを備えることができる。
【0069】
[0072] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0070】
[0073] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することもできる。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定の動作を実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのような動作は実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0071】
[0074] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)若しくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。そのようなリソグラフィツールは、周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0072】
[0075] 以上では光リソグラフィに関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、文脈上許される場合、光リソグラフィに限定されるものではないことを理解されたい。
【0073】
[0076] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、下記の請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明に変更を行い得ることが当業者には明白である。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のための流体抽出システムであって、前記流体抽出システムは、流体ハンドリング構造を備える流体ハンドリングシステムが供給するよう配置される、流体を、前記基板の縁部と前記基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流路に沿って、抽出するように構成されており、
前記基板の特性、前記流体ハンドリングシステムの特性、前記流体ハンドリング構造の特性、前記流体抽出システムの特性、及び前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に依存して、前記流路内の前記流体の流量を制御するようにコントローラが配置さ
れ、
前記コントローラが依存して前記流量を制御するよう配置される、前記基板の前記特性は、前記基板の高さ、形状、反り及び接触角のうちの1つ以上を含む、流体抽出システム。
【請求項2】
前記流体流路内の前記流体の前記流量が可変弁に依存するように、前記流体流路内に前記可変弁を更に備え、前記コントローラは前記可変弁を制御するように構成されている、請求項1に記載の流体抽出システム。
【請求項3】
前記コントローラは、最大流量と流体流なしの間における複数の異なる流量のうちの任意の1つの間で前記流量が変更可能であるように、前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項
1に記載の流体抽出システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記流体ハンドリングシステム内の流体流、
前記流体流路内の圧力、及び
前記流体ハンドリング構造と前記基板との間の離隔距離
のうちの1つ以上に依存して、前記流量を制御するように配置されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記流路内の前記流体における圧力変化の大きさを減少させるために、前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記基板の走査パターンに依存して前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項7】
前記コントローラは、制御ループに依存して前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項8】
前記流体は、液浸液及び/又は気体を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項9】
前記基板を支持するための基板サポートを更に備え、前記基板サポートは、前記基板の前記周囲構造を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の流体抽出システム。
【請求項10】
リソグラフィ装置のための流体抽出システムであって、前記流体抽出システムは、流体ハンドリング構造を備える流体ハンドリングシステムが供給するよう配置される、流体を、基板の縁部と前記基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流路に沿って、抽出するように構成されており、
前記基板の走査パターン、前記基板の特性、前記流体ハンドリングシステムの特性、前記流体ハンドリング構造の特性、前記流体抽出システムの特性、及び前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムのとの間の離隔に依存して、前記流路に沿う前記流体の流量を制御するようにコントローラが配置され、
前記コントローラは、最大流量と流体流なしの間における複数の異なる流量のうちの任意の1つの間で前記流量が変更可能であるように、前記流路内の前記流体の前記流量を制御するように配置さ
れ、
前記コントローラが依存して前記流量を制御するよう配置される、前記基板の前記特性は、前記基板の高さ、形状、反り及び接触角のうちの1つ以上を含む、流体抽出システム。
【請求項11】
流体ハンドリング構造を備えた流体ハンドリングシステム、及び
請求項1~
3のいずれか一項に記載の流体抽出システム
を備えたリソグラフィ装置であって、
前記流体ハンドリング構造は、前記リソグラフィ装置における投影システムの一部と基板の表面との間の空間に液浸液を閉じ込め、それにより前記投影システムから投影される放射ビームが、前記液浸液を通過することによって前記基板の前記表面を照射することができるように構成されている、リソグラフィ装置。
【請求項12】
リソグラフィ装置におけるデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ装置は、基板に放射ビームを投影するように構成された投影システムと、前記リソグラフィ装置における投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込め、それにより前記投影システムから投影される放射ビームが、前記液浸液を通過することによって前記基板の前記表面を照射することができるように構成された流体ハンドリング構造を備えた流体ハンドリングシステムとを有し、前記方法は、
前記流体ハンドリング構造を使用して、少なくとも前記流体ハンドリング構造の一部と前記基板の前記表面との間の前記空間に前記液浸液を閉じ込めることと、
前記基板の縁部と前記基板の周囲構造の縁部との間のギャップを含む流体流路に沿って流体を抽出することと、
前記基板の特性、前記流体ハンドリングシステムの特性、前記流体ハンドリング構造の特性、前記流体抽出システムの特性、及び前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムとの間の離隔のうちの1つ以上に依存して、前記流体流路に沿う前記流体の前記流量を制御することと
を含
み、
前記コントローラが依存して前記流量を制御するよう配置される、前記基板の前記特性は、前記基板の高さ、形状、反り及び接触角のうちの1つ以上を含む、デバイス製造方法。
【請求項13】
前記基板の高さを測定することと、
前記基板の前記測定された高さに依存して、前記流体ハンドリング構造と前記流体抽出システムとの間の前記離隔を調節することと、
前記基板の前記測定された高さに依存して、前記流体流路に沿う前記流体の前記流量を制御することと、
を更に含む、請求項
12に記載の方法。
【国際調査報告】